【クロス】ここだけヒナがメタナイトみたいなキャラな世界 7スレ目

  • 1二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:54:43
  • 2二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:55:33

    立て乙ー

  • 3二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:55:47

    7スレ目まできちゃったよ…

  • 4二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:56:07

    皆さん本当にありがとうございます!

  • 5二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:56:49

    とりあえず、夜ご飯食べます
    そのあとに後日談書きますね

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:58:23

    その前に10まで埋めますね

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 21:59:15

    SS書いてる時に眠くなってくるの、本当怖い。構想がぶっ飛んじゃう

  • 8二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:00:03

    初の長編でした…いやーやり切れるもんだなぁ
    まだ後日談あるけど

  • 9二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:01:14

    ていうかカービィ新作出ねぇかな…

  • 10二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:01:45

    10スレ!

  • 11二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:18:40

    前スレ>>183のつづき

    …あの事件から1週間が経過した。すっかり元の雰囲気を取り戻したキヴォトスは、平和あり混乱ありの青春の日々が続いている。


    ー万魔殿ー

    マコト「んー…!んんんー…?」

    ホシノ「…マコトちゃん、何してるの?」

    イロハ「万魔殿での慰安旅行の予定を考えているんですよ…。」

    ホシノ「へー。どこいくの?」

    イロハ「オデュッセイアのリーフリゾートです。どうやら気に入ったみたいで。」

    ホシノ「あー…あの言葉本気だったんだ…」

    マコト「おいそこ!何をコソコソ話している!?」

    イロハ「いえ?」

    ホシノ「別にぃ〜。」


    ーどこかの風吹き抜ける丘ー

    ホシノ「はぁ…はぁ…はぁ…」

    ヒナ「ふぅ…ありがとう、小鳥遊ホシノ。良い模擬戦だった。」

    ホシノ「つ…疲れた…ヒナちゃんさ、前より戦闘狂になってない?」

    ヒナ「いつも通りよ?…逆襲の時からずっと、ね。」

    ホシノ「こ、怖いなぁー…」

  • 12二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:29:58

    >>11

    ー惑星フォルアースー

    シロコ「ん…やっぱり良い星。」

    セリカ「風が気持ち良いわねぇ。」

    ノノミ「あの時は急いでましたからね!今日はのんびり過ごしましょう☆」

    アヤネ「そうですね!」

    ホシノ「みんなで来れて良かったよ。ありがとうね、ワープスター。」

    ワープスター『♪』


    ー百鬼夜行の何処かの広場ー

    ナグサ「…正式に決定した。今後、百花繚乱はシュロを追わない。」

    ホシノ「お〜、良かったねぇシュロちゃん。認めてもらえたよ〜。」

    シュロ「だーかーら!頭を撫でないでください!」

    ナグサ「…でも、もしまた悪さをしたら……必ず止めるから。」

    シュロ「やれるものならね!まぁまだ手前は諦めてませんが!」

    ホシノ「本当かな〜?正直に言いなよ〜。私達と一緒に戦って勝った時、どう思ったの?」

    シュロ「……いや…その……う、嬉しくは……あっ…」

    ナグサ「…え?」

    シュロ「〜〜〜〜!では手前、失礼します!!では!!」

    ホシノ「あ!行っちゃった…」

  • 13二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:43:52

    >>12

    ートリニティの噴水広場ー

    ミカ「はぁー…本当に大変だったねぇ。」

    リボン「でも、久しぶりに皆さんに会えて良かったです!」

    ホシノ「そっか、あの時以来かぁ。」

    ミカ「でも、あんなに大変なことを経験したんだもん!並大抵のことじゃ挫けないよ!」

    ホシノ「じゃあサボってないで戻ったら良いんじゃない?」

    ミカ「良いの良いの!イロハちゃんから良いサボり術教えられたし〜♪」

    リボン「うぅぅ…いつかバレますよー!」


    ーD.U.地区の公園ー

    ホシノ「…で、結局無所属?」

    ダークヒナ「そう。ま、ゲヘナに編入する訳にはいかないしね。」

    ホシノ「へー…でもゲヘナ方面からさっき来たよね?」

    ダークヒナ「それは、ゲヘナに住んでるからね。他ならぬ…マコトの家に♪」

    ホシノ「え」

    ダークヒナ「意外に良い匂いするのよ?彼女。」

    ホシノ「…う、うへへ……なんでこうなった…」


    ー便利屋68オフィスー

    アル「はい…任せてください。……みんな、仕事の依頼よ!」

    ハルカ「ま、またですか!やりましたね!」

    アル「えぇ!いよいよ、私達の時代ね!」

    ホシノ「急に増えたね〜。」

    ムツキ「まぁ、増えたといってもちょっとだけ、だけどね〜?」

    カヨコ「あの事件の解決に関わったってことで、評価が上がったみたい。」

    ホシノ「おぉー!良かったね!ヘマとかして落とさないでよー?」

    アル「変な圧をかけないでちょうだい!?」

  • 14二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:52:30

    >>13

    ーカヤロアランド建設地区ー

    ホシノ「野望野望言うから何かと思ったら…テーマパーク?」

    カヤ「えぇ、これが私の野望!カヤロアランドです!様々なミニゲームが遊べるんですよ!!」

    ユキノ「まだ開園までは、もうちょっとだけかかるけど。」

    カヤ「うるさいです!」

    ホシノ「うへぇぁ…リンゴの屋台の時もそうだったけど、本当に変わったねぇ…カヤちゃん。」

    カヤ「ふん、私自身は変わってませんよ。手段を変えただけです。」

    ホシノ「そっか…でも…なんか、カヤちゃんらしいや。」

    カヤ「〜〜〜〜〜!?ほ、褒めても何も出ませんよ!?」

    ユキノ「じゃあこれを。お面だ。」

    ホシノ「うへ、ありがと。」

    カヤ「ッ!?」


    ーフロラルドー

    ホシノ「やっぱり良い景色だね〜。」

    サオリ「あぁ…ここから見る朝焼けが、私が一番好きな景色だ。」

    ホシノ「…守れたね、大事な居場所。」

    サオリ「あぁ。……ホシノ。」

    ホシノ「…?」

    サオリ「私は、お前に会えて、本当に良かった。」

    ホシノ「…照れるなぁ。でも…うん、ありがと。」

    サオリ「あぁ!」

  • 15二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:07:18

    >>14

    ーミレニアムの食堂ー

    トキ「今回の事件解決により、デカグラマトン関連の大半は片付いたそうです。」

    ホシノ「そうなんだ。いやー良かったよー。これでアビドス砂漠のビナーに困る必要ないね!」

    トキ「そうですね。……ホシノさん。」

    ホシノ「あれ、この展開…」

    トキ「本当にありがとうございます。あなたに会えて、良かったです。」

    ホシノ「やっぱりぃ!うへぇぇ、恥ずかしいよぉ!」

    トキ「そうはいきません。私はこんなにも感謝しているのですから。」

    ホシノ「うへ……ありがとう…」


    ーシャーレオフィスー

    ソフ「あ、小鳥遊ホシノちゃーん!」

    アイン「こんにちは、ホシノさん。」

    オウル「どうも、こんにちは。」

    ホシノ「うへぇ…シャーレで保護してたんだ。」

    先生"砂漠で倒れているのを見つけたから、つい…"

    マルクト「ありがとうね、ホシノちゃん!」

    ホシノ「うへぇ!?…マ、マルクト?」

    マルクト「君が止めてくれたから、私も妹達も生きてる。だから、お礼をね。」

    ホシノ「そ、それは良いんだけどさ…デカグラマトンのあれはどうするの?」

    マルクト「もう痛い思いはしたくない!だから平和的な方法を模索することにした!だから無問題!」

    ホシノ「…嘘ぉ。」

    アイン「というわけで…」

    ソフ「私達を!」

    オウル「これからどうぞ、」

    マルクト「よろしく!!」

    ホシノ「……よ、よろしくね…」

    先生"あはは…"

  • 16二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:19:57

    >>15

    そして、

    ーアビドス高校 屋上ー

    ホシノ「はぁー!今回は本当に大変だったなー!」

    風に吹かれて、一休み。

    ホシノ「…でもなんだかんだ、友達も増えたね。」

    空を見上げる。どこまでも青く澄んだ空を。

    ホシノ「…いつか会えるかな、ニルちゃんに。」


    いつかかならず…あいにいくからね……はるかぜとともに…!


    ホシノ「……明日は明日の風が吹く…うん、よし!頑張るぞー!」


    勇者は今日も、風吹くままに。



    ホシノカービィ スターアライズ


    おしまい!

  • 17二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:21:40

    はい!これにてスタアラ編、完結です!!
    誠にありがとうございました!!
    書いててとても楽しかった!!

  • 18二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:39:59

    >>17

    お疲れ様でした!

    毎回とても面白く、登場人物同士の絡みが素敵な良い作品だったと思います!


    さて、次はこっちの毛糸のホシノ編かぁ…

  • 19二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 11:01:27

    >>17

    スターアライズ編完結お疲れ様でした!

    普段では見られなかった絡みが見られて面白かったです。


    次の長編も楽しみにします

  • 20二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:09:20

    格闘王への道ってなんかネル似合いそうだよね

  • 21二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:58:13

    毛糸のホシノ編、投下します

  • 22二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:59:03

    >>21

    ・毛糸のホシノ


     ここは呆れかえる程平和…ではない、学園都市キヴォトス。

     今日も今日とて自治区のどこかで銃撃戦が起こり、生徒やロボ同士での激しい争いが繰り広げられる風景が広がっています。

     そんな中、数千ある学校の一つ・ハイランダー鉄道学園では……


    ハイランダー生徒A「違う違う!その荷物はこっちに運んで!処分するのはここに置いてあるやつ!」

    ハイランダー生徒B「誰か、脚立取ってきてー!あそこにある段ボール箱、下に降ろすから!」

    ハイランダー生徒C「この書類の山はどこに持ってけばいいですかー!?」


    (ハイランダー鉄道学園・大型倉庫内部)

    (現在、ハイランダーでは学園を上げた大掃除が行われていた)

    (キヴォトスにおける鉄道管理をほぼ一手に担うこの学園において、取り扱う情報や資材の数は他校と比べても群を抜いたものがある)

    (その為定期的にこうして大掃除という名の整理整頓作業が行われているのだが…)


    ノゾミ「あーもう、つかれたー!いつまでこんな事やってればいいのさー!」

    ヒカリ「うるさーい……でも、言ってる事はどうかーん……」


    (ハイランダー生徒、橘ノゾミと橘ヒカリがうんざりした様子で壁に寄りかかる)

    (周りでは他の生徒たちが変わらず整頓作業に明け暮れているが、二人はどこ吹く風と言った様子で堂々とサボりもとい小休止していた)


    スオウ「こらそこ、何をサボっている。さっさと作業の続きに戻れ」

    ノゾミ「げっ鬼の監督官!」

    ヒカリ「オーノー……神は死んだ」

    スオウ「勝手に殺すな。それと誰が鬼だ誰が。…また素行不良で上に減点報告されたいか?」

    ノゾミ「うげげっ!それは勘弁!」

    ヒカリ「さあやろー。真面目にはたらこ―」

    スオウ「分かったのなら早く働け。まったく、私だって暇じゃないというのに…(ブツブツ)」

  • 23二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:59:26

    >>22

    (橘姉妹を叱りつけ、どこかへと移動していく監督官スオウ)

    (その後ろ姿に舌を出し、無言であかんべえするとノゾミとヒカリは整頓作業を再開した)


    ノゾミ「ったく、人使いが荒いんだから。ちょっとぐらい休んだっていいじゃん、ねえ?」

    ヒカリ「同意―。スオウ監督官は生徒使いが荒い鬼ちくしょー」

    ノゾミ「これで倒れたら労災降りるのかって……んん?何これ?」

    ヒカリ「?」


    (作業の途中でノゾミがふと手を止める)

    (箱の中から取り出されたのは、やたら古ぼけた二本の棒だった)

    (長さはちょうど二人の腰ほど。先端に標識めいた円形の板が張り付けられているものの、特に図形等は何も描かれていなかった)


    ノゾミ「なんでこんなのがうちの倉庫に?てか、何なのさこれ」

    ヒカリ「昔の鉄道標識とかー?」

    ノゾミ「それにしちゃちょっと短すぎない?それにこの辺にあるのって、他校との交易で手に入れた物品を放り込んでたやつじゃ…」


    (しげしげと、興味深げに目の前の棒だか杖だかを見つめるノゾミ)

    (特に表記らしい表記もないそれを眺めていたその時。ふとノゾミは妙に見られているような感覚を味わった)

    (というか。標識部分に目が生えていた)


    ノゾミ「――えっ?」

    ヒカリ「ノゾミ?一体どうし…!?」


    (目と目が合った次の瞬間、標識部分から強烈な光が放たれる!)

    (その光は二人を呑み込み、あっという間に包み隠す!)

    (離れた場所にいたスオウも異変に気が付き、即座に駆け付けるが――全ては遅すぎた)


    スオウ「おい!お前ら、一体何をやって…!?」

  • 24二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:59:57

    >>23

    (光が収まるのと、スオウが現場に駆け付けたタイミング)

    (その二つは奇しくも同じであり――そして、幸か不幸かそれ故に。朝霧スオウは事の目撃者となった)


    ノゾミ『くっくっく……』

    ヒカリ『ふふふのふ……』


    (妖しげなオーラを纏い、宙に浮かび上がるノゾミとヒカリ)

    (その異様さに、スオウは思わず携えていた愛銃を二人に向けた)


    スオウ「お前たち、一体――いや、何があった!橘ノゾミ、橘ヒカリ!」

    ノゾミ『ノゾミ?ヒカリ?はて、誰の事でアミーボ?』

    スオウ「何?」

    ヒカリ『ああ、きっとこの少女たちの事でアモーレ。確かにお互いをそう呼びあっていたでアモーレ』

    スオウ「…?何を訳の分からない事を言って」


    (銃口を向けるも、二人の様子に困惑し対応に迷うスオウ)

    (明らかな異常事態ではあるものの、さすがのハイランダーもこのような事態は想定の埒外もいい所)

    (そして。その躊躇こそが、この場においては致命的な隙となった)


    ノゾミ『とりあえず――邪魔者は全員まとめてしまっちゃうでアミーボ!』

    ヒカリ『了解でアモーレ!念願叶った復活のチャンス、見逃さないでアモーレ!』


    (空間を歪ませ、ノゾミが何かを取り出す)

    (それは片方だけの靴下だった。一見すると毛糸で編まれた普通の靴下に見えるが、現れ方からして明らかに尋常なモノではない事が見て取れる)

    (反射的にトリガーに指をかけ、発砲しようとしたスオウだったが。それよりも二人の動きはずっと早かった)


    ノゾミ『あ、そーれ!魔法の靴下よ、全てを呑み込んでしまえでアミーボ!』

    ヒカリ『邪魔なモノも、必要なモノも!全部ぜーんぶ、我らが手の中にでアモーレ!』

  • 25二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:00:16

    >>24

    (ノゾミとヒカリ、二人がそう言い放つや否や靴下が輝き出す)

    (すると!靴下の中がブラックホールめいた異空間となり、辺りにあるモノ全てを所構わず吸い込み始めた!)


    スオウ「な、何だと!?」

    ハイランダー生徒A「キャーッ!?何何、何!?」

    ハイランダー生徒B「うわあああ!す、吸い込まれるー!?」

    ハイランダー生徒C「だ、誰か助けて―――!」

    (咄嗟にその場で踏ん張ろうとした者、近くの棚に掴まった者、訳も分からず逃げ出そうとした者)

    (その全てを靴下は吸い上げ、平等に吸い込んでいく)

    (そして、ただ一人耐えていたスオウもまた…)


    スオウ「な、何故だ……橘ノゾミ……橘、ヒカリ……!」

    ノゾミ『ノゾミにヒカリ――フッ、それは最早過去の名でアミーボ』

    ヒカリ『我らが新たな名は“アミーボ・アモーレ”!この世界を支配する、王の名でアモーレ!』

    スオウ「くっ――あぁああああっ!?」


    (最後に残ったスオウもまた、靴下の中へ吸い込まれていく)

    (だが靴下の勢いは止まらない)

    (倉庫の中にあるモノ全てを、倉庫そのものも、そしてついには学校まで…)

    (やがて吸引が収まった時。ハイランダーと呼ばれていた場所からは全てが消え去っていた)


    ノゾミ『クックック……大成功!でアミーボ!』

    ヒカリ『ふふふのふ!さあて、ここからが大仕事でアモーレ!』


    ノゾミ・ヒカリ『『かつて為し得なかったキヴォトス征服計画、その新たな第一歩の始まりでアミーボ/アモーレ!!』』

  • 26二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:00:39

    >>25

     ――こうして。キヴォトスでまた新たな大事件が幕を開けました。

     後に『ハイランダー消失事件』と名付けられるこの大騒動。キヴォトスの鉄道網を麻痺させ、さらには全自治区をも揺るがす事になる事件はまだまだ始まったばかり。

     そして。今回もまたこの事件に立ち向かうのは、おなじみの『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』…


    ホシノ「うへぇん!夜通しパトロールしてたせいで大遅刻だよ~!!」

    ホシノ「今日は対策委員会のみんなと大事な会議があるのに、先輩の私が遅れてちゃ大問題だぁ~!」

    ホシノ「急げ、急げ!アヤネちゃんを怒らせる前に、何としても辿り着かなきゃ!」


     …なのですが。

     既にこんな大事件が起こってるとは夢にも思わない勇者ホシノ。

     はたして彼女の行く先やいかに?

  • 27二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:02:28

    >>26

    以上ここまで


    という訳で、本日より新作『毛糸のホシノ』編スタートです

    全体的な長さとしては大体Wii編と同じくらいになるものと予想しています(つまり長編というより中編)


    なのでまあ、ボチボチお付き合いくださいませー

  • 28二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 03:36:16

    >>27

    更新お疲れ様です

    つまりこれはホシノとスオウの協力!楽しみですねぇ。

  • 29二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 09:39:19

    ほ!

  • 30二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 14:23:01

    >>27

    毛糸のホシノ編更新乙です!

    原作最新話を見たあとにスレに来ると癒やされる…

  • 31二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:22:24

    >>26の続き

     …ハイランダーが消えて、およそ半日後


    ホシノ「うへえ~、お腹空いたぁ~」

    ホシノ「どうにかギリギリ会議には間に合ったけど、おかげでお腹ペコペコだよぉ~」

    ホシノ「早く……早く紫関ラーメンに……」


    (あわや大遅刻の危機を乗り越え、先輩の威厳をかろうじて保ったホシノ)

    (疲労と空腹で重い足を引きずり、どうにか柴関の屋台を目指していたその時)

    (彼女の頭に、何かが降ってきた)


    ヒュルルル……コン!


    ホシノ「あいたぁ!?も~、今度は何なのさ!」

    ホシノ「まさかこんな時に敵襲、じゃ…?」


    (周囲を見渡し、落ちてきたモノの正体を探るホシノ)

    (すると程なくして、彼女の足元に転がる『それ』が見つかった)


    ホシノ「…何これ?光り輝くトマト?」

    ホシノ「マキシムトマト、にしては何か色が変だし……新種かな?」


    (ホシノの手の中で、キラキラと光る謎のトマト)

    (じっと見つめていると、唐突にホシノのお腹が鳴り響く)


    ホシノ「そういえば、朝から何も食べてないんだった…。いやでも、落ちてたモノを食べるのはさすがに…」


    (ホシノの気持ちを知ってか知らずか、トマトは以前輝き続けていた)

    (その輝きを見るにつれ、空腹で弱っていたホシノの理性もまた少しずつ…)

  • 32二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:22:49

    >>31

    ホシノ(トマトに顔を近づけ、匂いを嗅ぐ)

    ホシノ(次いで表面を軽く手で払い、泥や土が付いていない事を確認する)

    ホシノ(きょろきょろと周囲を見渡し、他に誰もいない事を確認して息を呑む)

    ホシノ「……い、いただきます!」


    (言うが早いが、ホシノはがぶり!と謎トマトにかぶりつく)

    (そして次の瞬間、ホシノの口中を摩訶不思議な味覚が貫いた!)


    ホシノ(な――なにこれおいしい!こんなトマト食べた事ない!)


    (マキシムトマトとも異なる、豊潤で奥深い味わい)

    (奇妙な見た目からは想像もつかない旨味に囚われ、そのまま食べ尽くそうとしたその時)


    ???『『ああーっ!?』』

    ホシノ「っ!?」


    (突如空から降ってきた甲高い大声)

    (いつの間に現れたのか。見上げるとホシノの頭上には奇妙な編み物を纏った双子の少女が浮いていた)


    ノゾミ・アミーボ『こらーっ!なーに勝手に私たちのメタモルトマトを食べてくれちゃったんのよ!今すぐペッしなさいペッ!さもないと後が怖いでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『私たちの大事なトマトが―。オーマイガーでアモーレ』

    ホシノ「う、うへ…?どちら様?」


    (吐き出せと言われた所で、既に謎トマト――メタモルトマトの大半はホシノの口中)

    (今更こんなものを吐き出した所で、より怒りを買う事は目に見えているだろう)

    (そう考えたホシノは、思い切って残りのトマトをそのまま飲み込んだ!)


    ノゾミ&ヒカリ『『あーっ!!』』

    ホシノ「う、うへ……ご、ごめんね?君たちの大事なモノだった?ちゃんと弁償でも何でもするから、まずはおじさんの話を」

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:23:19

    >>32

    ノゾミ・アミーボ『うっさい!人のモン勝手に食べといて、何が話し合いでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『これはおしおきやむなしー。罰として毛糸の世界にごしょうたーい……で、アモーレ』

    ホシノ「へ?」


    (ホシノがパチクリと目を見開く中、双子はどこからともなく靴下を取り出す)

    (その靴下の履き口をホシノに向けると、たちどころに強風が生じホシノを吸い込み始めた!)


    ホシノ「う、うわわわっ!?ちょ、ちょっと何するの!」

    ノゾミ・アミーボ『何って、さっきヒカリが言ったじゃん!私たちの理想郷に招待してあげるでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『今なら特別大サービス、毛糸の国で百年間無償労働権プレゼント―……で、アモーレ』

    ホシノ「ひゃ、ひゃく…!?」


    (その場に踏ん張る事で耐えようとするホシノ)

    (だが、全ては無意味だった。先に吸い込まれたハイランダーの生徒たちがそうであったように、彼女もまた――)


    ホシノ「う――うひゃぁああああっ!?」


    (哀れ、靴下の中へと吸い込まれていくホシノ)

    (その姿を見届けると、双子はケラケラと笑いさらに高く浮かび上がった!)


    ノゾミ・アミーボ『よっしゃ、ざまーみろ!私たちに逆らった報いでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『これで一件落着ー。…さ、それじゃ改めて始めるでアモーレ』

    ノゾミ・アミーボ『まずは手始めに、ここらの自治区から!』

    ヒカリ・アモーレ『それが終わったら、次はまた別の自治区を』

    ノゾミ&ヒカリ『『そしていずれはこの世の全てを我らが手に!パヒャヒャヒャヒャッ!!』』

  • 34二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:24:06

    >>33

     ――なんという事でしょう。

     キヴォトスの希望だった『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』がなす術もなく黒幕に囚われてしまいました。

     嗚呼、このままキヴォトスは双子の思うままに乗っ取られてしまうのでしょうか…?


    ノゾミ・アミーボ『ところで。私たち何か言動安定してなくないでアミーボ?』

    ヒカリ・アモーレ『どうも依り代のアクが強すぎるせいで、やや引きずられてるっぽいー?まあ、動かす分には問題ないでアモーレ』



    (一方その頃、靴下の中に吸い込まれたホシノは…)


    ホシノ「……ぁああああ~!?」

    ボヨン!ポワン!


    (吸い込まれた時の勢いそのままに、地面へと叩きつけられるホシノ)

    (受け身を取る暇も余裕もなく、全身が砕ける衝撃も覚悟したホシノだったが――予想に反し、彼女の身体に返ってきたのは柔らかな感触だった)


    ホシノ「あ、あいた……くない?ていうか、むしろ柔らかい?」

    ホシノ「ここは、一体……?」


    (身体を起こし、ホシノが周囲を見回す)

    (そこは、何もかもが布と毛糸で作られた不思議な世界だった)

    (地面も、草花も。木々や岩石、はては遠くに見える建物や空までも)

    (そして。ホシノ自身もまた――)


    ホシノ(う、うへ?なんか、おじさんの身体ゴワゴワしてるような…)

    ホシノ(それに何だろう。手足の感覚が、いつもと違うような?)

    ホシノ「い、一体何がどうなって――」

  • 35二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:24:26

    >>34

    (自らの身体に生じた違和感、それを確かめようと右手を見つめる)

    (すると。そこには毛糸でできた自分の手の平――より正確に言えば、丸い『手』と思しきナニカがあった)


    ホシノ「――――う、へ?」


    (否、右手だけではない)

    (よくよく見れば左手も、両足も。さらには髪の毛までもが毛糸に置き換えられている)

    (というか。そもそも全体的に等身が縮んでいた)

    (具体的に言うと、およそ170㎜くらいの編みぐるみサイズに)


    ホシノ「…………」

    ホシノ「――えぇえええええっ!!!?」

    ホシノ(な、なんで!?どうして!?どどど、どうしておじさんの身体がぬいぐるみに!?)


    (大混乱に陥るものの、原因は明々白々)

    (どう考えても、直前に出くわしたあの謎の双子の仕業であろう)

    (いつぞやデフォルメクジラに変えられた時と同じか、それ以上のトンチキ事態を前に。さすがのホシノもどうすればいいのか混乱する)

    (と、そこへ――)


    バン、バアン!

    ホシノ「!」


    (ホシノの耳――耳部分に、ある意味聞き慣れた轟音が届く)

    (聞き覚えのない、けれどキヴォトスに生きる者であれば一度は何かしら耳にするモノ)

    (すなわち銃声。――そして、誰かが近くで戦っている音)


    ホシノ「…どうやら、あれこれ考えている暇はなさそうだね!」

  • 36二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:24:50

    >>35

    (たとえ身体を作り変えられようと、『勇者ホシノ』の精神性までは変わらない)

    (音の出どころまで駆けつけようと、勢いよく飛び出し――)


    ズルッ

    ホシノ「…えっ?」


    (そして。次の瞬間バランスを崩して盛大にすっ転んだ)


    ドベシャァ!

    ホシノ「うぶへえっ!…い、痛くない。痛くない、けど……この姿、めっちゃ動きづらい!?」


    (当然と言えば当然である)

    (普段の人体であればいざ知らず、今のホシノは全身毛糸の編みぐるみ状態)

    (重心の位置も、身体の動かし方も、何から何まで異なるわけであって)


    ホシノ「いや、ちょっとまって?」

    ホシノ「そもそもおじさん、毛糸の身体で動いた事なんて一度もないんだけど…」


     …………………

    (無情に吹き抜ける突風)


    ホシノ「ど――どうしよう」


     かくして、思わぬ形で出鼻を挫かれた小鳥遊ホシノ。

     彼女は無事元凶であるノゾミ・アミーボとヒカリ・アモーレを倒す事はできるのか。

     元の身体と世界に戻る事はできるのか?

     …そもそも、まともに動く事はできるのだろうか?

     かつてない程に前途多難なホシノの旅路が、今始まる――

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:25:42

    >>36

    とりあえずここまで。次回でようやく『彼女』とご対面です


    ちなみに編みぐるみに変えられたホシノのイメージは画像のぬいぐるみがまんま編みぐるみに置き換わったモノとお考えください

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 03:33:10

    >>37

    更新お疲れ様です!

    子ども達に人気出そうなブルアカだぁ…

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 11:03:44

    >>37

    更新乙です!

    冷静に考えたら戦闘力を削ぎ落としてる結構ヤベェヤツだなアミーボ・アモーレって...

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 14:23:16

    >>30

    今更だけどコレの訳がやっと分かった!

    ホシノカービィー!!原作を救ってくれぇぇぇ!!!

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:34:31

    >>36の続き

    (ここで、時は少し前に遡る)


    スオウ「はっ、はっ、はあっ……!」


    (だだっ広い平野の只中、編みぐるみに変えられたスオウはひたすら走る)

    (何の為に?無論、後ろから追ってくる怪物を振り切る為)


    怪物『ガルルル!ガウッ、ガウッ!』

    スオウ「くっ!しつこい奴――!」


    (思うように動かせない身体を叱咤し、懸命に振り切ろうとするスオウ)

    (だが抵抗虚しく、怪物との距離は徐々に縮まりつつあった)

    (覚悟を決めたスオウは、かろうじて持ち込めていた愛銃を構え迎撃するも)


    バン、バアン!

    怪物『ッ!……?』


    (発砲音に怯み足を止めるも、何事もない事に怪物は困惑する)

    (スオウが手を抜いたわけではない。ただ単に、銃の反動を制御できず銃弾を外してしまっただけである)

    (分かり切っていた苦々しい現実を前に、スオウは編みぐるみの顔をしかめた)


    スオウ(やはり、この身体では…!だがどうする、どうすればいい…!?)

    怪物『グルアアアッ!』

    スオウ「!」


    (焦燥し、立ち尽くしてしまったスオウ)

    (そんな隙を怪物が見逃してくれる筈もなく。次の瞬間、怪物はスオウに飛びかかった!)

    (我が身に襲い掛かる苦痛と衝撃を覚悟し、スオウが目を閉じかけたその時)

  • 42二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:35:01

    >>41

    ホシノ「さ、せ、る、かぁああああっ!!」

    怪物『!?』


    (突然現れた何者かが怪物目掛け勢いよく飛び込む!)

    (奇襲と呼ぶにはあまりにも雑で、それ故に豪快かつ無法な一撃)

    (油断していた怪物はまともに喰らい、避ける事もできず乱入者共々地面を転がった!)


    ホシノ「うへぇ~!?目、目が回るぅ~!!」

    怪物『アギャァアアア!』


    (そのまま一人と一匹は近くにあった木にぶつかり、盛大に吹っ飛ばされた!)


    ドシーン!

    ホシノ「ぐへえ!」

    怪物『ギャアス!』


    (目を回し、倒れ伏すホシノと怪物)

    (想定外過ぎる光景にスオウは呆然と立ち尽くしていたが、やがて我に返ると慌ててホシノに近寄った)


    スオウ「お、おい。その、大丈夫か?」

    ホシノ「うへえ~。星が、星が回るよスター…」

    スオウ「…全然大丈夫じゃなさそうだな。しっかりしろ、目を覚ませ」


    (ぺちぺちと、ホシノの頬をスオウは軽く叩く)

    (するとホシノの焦点が少しずつ戻り始め、程なくして正気に立ち返った)


    ホシノ「う、う~ん。あ、あれ?何が一体どうなって…」

    スオウ「よし。ひとまず正気には戻ったようだな、何よりだ」

    ホシノ「うへ。ど、どうも?」

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:35:28

    >>42

    スオウ「先程の礼を言いたいところだが、今は――」

    怪物『グルル…』


    (剣呑な鳴き声に、ホシノとスオウが身を固くする)

    (見ればいつの間にか立ち直った怪物が、怒りに満ちた形相で二人を睨んでいた所だった)


    スオウ「やはりあの程度でくたばるような存在ではないか」

    ホシノ「えっと……あの子、知り合いだったりする?」

    スオウ「そんな親しげな間柄に見えるか?」

    ホシノ「いや全然。とりあえず襲われてるみたいだったから、突っ込んでみただけ」

    スオウ「それはどうも。――お前は下がっていろ。ここは私がどうにか……」


    (スオウの制止を無視し、ホシノは一歩前に出る)


    スオウ「おい!何を――」

    ホシノ「大丈夫。ここはおじさんに任せて」

    スオウ「お、おじさ…?いやバカな真似はよせ!そいつはお前にどうにかできるような奴じゃ」

    怪物『ガルァアアッ!』

    スオウ「っ!しま――」


    (痺れを切らした怪物が二人に襲い掛かる)

    (その様を見たホシノは、背負っていたショットガンを掴むと『いつもの調子で』トリガーを引いた)


    ドオン!

    ホシノ「う、うわわっ!?」


    (愛銃による射撃、その反動を受けホシノは後ろにすっ転ぶ)

    (普段であれば余裕で受け流せた筈の衝撃は、しかしたった一つの見落としにより大失敗へと繋がる)

    (そう。身体が編みぐるみのそれに変わっていた、という一点から)

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:36:03

    >>43

    (当然そんな射撃がまともに当たる筈もなく、銃弾はことごとく明後日の方角へ)

    (さらにさらに、その隙を見逃さぬとばかり怪物が襲い掛かり――)


    怪物『ガルルル!ガウ、ガウッ!』

    ホシノ「あ、あわわわ!?や、ヤバいヤバい!」

    スオウ「ああもう、だから言わん事じゃない!」


    (馬乗りになってホシノに食らいつかんとする怪物と、その怪物を必死で押し返そうとするホシノ)

    (だが編みぐるみの身体に変えられた事のハンデと、単純な位置関係によるパワーバランスもあり中々押し返せない)

    (助けに入ろうとしたスオウも、この状態では援護もままならず。いよいよ進退窮まりかけた次の瞬間!)


    パァアアア…!

    スオウ「っ!?」

    怪物『ガウッ!?』

    ホシノ「うへ!?こ、今度は何~!」


    (突如としてホシノの身体が輝き出す)

    (その光は単なる発光現象に留まらず、ホシノに覆い被さっていた怪物を衝撃と共に弾き飛ばした!)

    (そして。光が収まった後、そこにいたのは――)


    ホシノ?「う、うう。一体何が、どうなって…?」

    スオウ「おい、お前――その姿は、どうした?」

    ホシノ?「うへ?」


    (唖然とした顔でスオウが指摘する先)

    (そこには、すっかり変わり果てた姿のホシノがいた)

    (すなわち。編みぐるみから四輪駆動車の姿に変わったホシノが)

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:36:22

    >>44

    ホシノ(きょろきょろと、視点だけを動かし自分の姿を見回す)

    ホシノ(次いで、自分の手足――今はタイヤに変わったそれを軽く動かす)

    ホシノ(何が起こったのか、自分がどうなっているのか。遅ればせながら理解し…)


    四駆ホシノ「え――えええええ~~~!??」


    スオウ「お、お前……実は自動車だったのか?」

    ホシノ「んなわけないでしょ!え、いやまって。なんで車?なんで変形?おじさんロボ、それともロボおじさん?」


    (予想外に次ぐ予想外に、完全に混乱状態に陥ったホシノとスオウ)

    (そんな二人に、再び態勢を立て直した怪物が襲い掛かろうとする)


    四駆ホシノ「――戸惑ってる暇はなさそう、かな。とりあえずそこの君、乗って!」

    スオウ「の、乗れだと?しかしどこに」

    四駆ホシノ「いいから!天井でもどこでも、とにかく乗って!もしくは掴まって!」

    スオウ「わ、わかった!」


    (ホシノに促され、どうにか四駆の天井部分に乗っかるスオウ)

    (乗せた事を確認すると、ホシノはくるりと身体を回し――直後、全力で怪物から逃げ出した!)


    スオウ「ちょっ!?ま、まて!いくら何でも速すぎ…!」

    ホシノ「ごめん!とりあえず今は逃げるのが最優先だから!振り落とされないよう、しっかり掴まってて!」

    スオウ「な――うああああっ!?」


    (スオウの絶叫を引きながら、四駆ホシノは全速でその場から脱出していく)

    (怪物も当初は追いかけようとしていたが、あまりの速さにあっという間に引き離され――)

    (気づけば、自らの視界から遠ざかっていく四駆ホシノの背を呆然と見つめるばかりだった)

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:38:16

    >>45

    とりあえず今日はここまで。話が中々進まない…

    次回でスオウとの情報共有が終わるので、そこから先は大分巻きで行けるって所でしょうか

  • 47二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 01:49:36

    >>46

    更新乙です!

    ここのホシノとスオウってある意味初対面?

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 02:51:24

    >>46

    更新お疲れ様です!

    出会いが一番大事やからね、仕方ないね


    >>47

    シュポガキコンビに、始めて会った反応してたし多分そう

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 09:46:55

    >>47

    >>48

    おっしゃる通りこの世界線のホシノはハイランダー組とはこれが初対面になります

    出ないと色々ややこしい事が多いので…

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 13:10:44

    保守ぅぅ!

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:36:22

    >>45の続き

    四駆ホシノ「ふい~。ここまで逃げればもう大丈夫かな?」


    (全速力で走る事十数分)

    (背後から怪物の気配を感じなくなった事を悟り、四駆ホシノはスピードを緩めゆっくりと停車した)


    四駆ホシノ「お待たせー、もう降りて大丈夫だよー」

    スオウ「……」

    四駆ホシノ「?ちょっと、どしたの?」


    (四駆ホシノが頭上?のスオウに呼びかける)

    (が、何故か返事はなく――ゆさゆさと車体を揺らし、再度反応を待った)

    (すると、ドシャリと何か重いものが落下する音が響き…)

    四駆ホシノ「う、うへ?一体どうし」

    スオウ「きゅう~」

    四駆ホシノ「……ありゃま」


    (どうやら四駆ホシノの走りが相当ハードだったらしい)

    (地面に転がったスオウは完全に目を回し、気を失っていた)

    (どうしたものかと、四駆ホシノが困り果てたその時)


    パァアアア…!

    四駆ホシノ「うへ!?こ、今度は何ぃ!?」


    (四駆ホシノの身体が輝き出し、光に包まれる)

    (程なくして光が収まると、そこには元の編みぐるみ姿に戻ったホシノがいた)

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:37:03

    >>51

    ホシノ「あ、あれ。車じゃなくなってる?どういう事?」


    (どうやら変身は一時的なものだったらしい)

    (編みぐるみの手を確かめるように動かしながら、ホシノは自分の身体を見下ろす)

    (原理は全く分からないが、今はひとまず窮地を切り抜けられた事を素直に喜ぶ事にした)


    スオウ「う、う~ん…」

    ホシノ「あ。そうだ忘れる所だった。おーい、大丈夫かーい?(ぺしぺし)」

    スオウ「う。んん……こ、ここは?」


    (スオウの頬を編みぐるみの手で軽く叩くホシノ)

    (その刺激が効いたのか、スオウはゆっくりと片目を開ける)


    ホシノ「よかったぁ。ごめんね、無茶な運転しちゃって。でも怪物は振りきれたから、もう大丈夫だよ」

    スオウ「怪物?……そうか、思い出したぞ。私はあの怪物に追いつめられて、そこを――」


    (自らの頭に手を当て、直前までの記憶を思い出すスオウ)

    (次いで、ホシノの方に視線を移し頭を下げた)


    スオウ「先程は救援感謝する。あと少しであの怪物の餌食になる所だった」

    ホシノ「お堅いなぁ。そんなカッチカチにならなくてもいいよ、おじさんは当たり前の事をしただけだからさ」

    スオウ「だろうな。お前がそういう人物だとは、私もよく知ってるよ。小鳥遊ホシノ」

    ホシノ「……うへ?おじさん、君に名乗った覚えあったっけ?」


    (思わぬ本名呼びに、ホシノは少しだけ警戒するように距離を置く)

    (するとスオウは肩を竦め、おどけるように言った)

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:37:21

    このレスは削除されています

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:37:58

    >>52

    スオウ「いいや、今日初めて会ったばかりだとも。だがその勇名は何度も聞いている。そうだろう?『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』」

    ホシノ「あー、そっち関係でかぁ。それなら納得だねぇ」

    スオウ「といっても、クロノスの報道記事と私的に聞き集めた程度の情報量だがな」

    ホシノ「……一応聞くけど、その情報ってどんな?」


    (ホシノに問われ、スオウは考え込む)

    (が、それも一瞬の事。直後に飛び出したのは、ホシノ本人をしてむず痒くなるような武勇伝の数々だった)


    スオウ「そうだな……あくまで聞きかじり程度、だが。『叛逆したゲヘナ風紀委員長とその部下たちが駆る空中戦艦をたった一人で沈めた』とか」

    ホシノ「それは……一応、事実かな。実際いくつかの助けあっての事だったけど」

    スオウ「他には『楽しみにしていたケーキを奪われた腹いせに、ゲヘナ万魔殿と便利屋を地の果てまで追い詰めて壊滅させた』とか」

    ホシノ「そ、それは――まあ、全部が全部間違ってるとは言わないけども」

    スオウ「後は『キヴォトスを破壊しようとした大彗星をショットガンで宇宙の果てまで打ち返した』とか、『夢の泉から現れた悪夢を殴り倒して、そのまま泉の燃料源に作り変えた』とか、『どこからか流れ着いた星船を乗っ取って、遥か彼方の惑星に眠っていた秘宝を略奪してきた』とか。まあこんな所だな」

    ホシノ「いや誇張が過ぎるでしょ!?てか、最後ら辺とかもう完全にただの悪事だよ!おじさんはそんな事しないよ!」

    スオウ「……誇張、という事は。それに近しい事はやってたんだな?」

    ホシノ「――(そっと目をそらす)」


    (ホシノの何とも言えない反応に、スオウはそれ以上何も言わず黙り込む)

    (話と空気を変えるべく、今度はホシノがスオウに質問した)


    ホシノ「そ、そんな事より!君――ええと、眼帯ちゃん?はどうしてあの怪物に追われてたのさ。というか、ここはいったいどこなの?」

    スオウ「が、眼帯ちゃん?……まあいい。それらの質問に対する答えだが、その前にこちらからも聞きたい事がある」

    ホシノ「聞きたい事?」

    スオウ「単刀直入に問おう。――ここへ来る前。いや送り込まれる前に、双子の姉妹に出くわさなかったか?それも片方はやたら陽気で、もう片方はとにかく掴みどころがなさそうなコンビに、だ」

    ホシノ「っ!」

    スオウ「……どうやら図星のようだな」

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:38:40

    >>54

    (双子の姉妹。恐らくはホシノを靴下の中へ引きずり込んだ、あの得体の知れないコンビの事だろう)

    (スオウは溜息を吐くと、心底申し訳なさそうな様子で再び頭を下げる)


    スオウ「巻き込んでしまった事、そして身内の暴挙に謝罪しよう。よもや、こんなにも早く同じ被害者と出会う事になろうとは……」

    ホシノ「――どうやら相当訳ありみたいだね。詳しい話、聞かせてもらってもいいかな?」

    スオウ「無論だ。むしろこっちから説明しなければと思っていたくらいだからな」


    (そうして、スオウは自分たちの身に起きた事を語っていく)

    (ハイランダーで行われていた大掃除、その最中に起きた大異変)

    (突如豹変した双子姉妹――橘ノゾミと橘ヒカリによる暴走と、それによってもたらされた結果について)


    スオウ「あいつらに吸い込まれ、気づいた時には私たちハイランダー生は皆この世界に放り込まれていた……それも、こんな編みぐるみめいた姿に変えられて」

    スオウ「幸い、すぐ近くに同じように放り込まれたのだろう我々の校舎があってな。ひとまずそこを拠点に立て直しを図ろうとしてはみたんだが」

    ホシノ「上手く行かなかったんだね」

    スオウ「…………」


    (返す言葉もない、とばかりにスオウが沈黙する)

    (実際、事態が始まってからのハイランダー生たちの反応は混乱を極めていた)

    (今すぐにでも元凶の双子を探し出そうとする者たち、ひとまず状況の把握と態勢の立て直しに務めようとした者たち、何が起こったのか受け入れられずひたすら泣き喚く者たち――)


    スオウ「……幸運、と言っていいのか微妙な所だが。私を含め全員が編みぐるみに変えられていた結果、混乱自体はすぐに収まった。暴れようにも、この身体じゃまともに身動きさえまならなかったからな」

    ホシノ「コツがいるもんねえ。おじさんもどうにか駆けつけこそしたけど、ほとんど火事場の馬鹿力みたいなものだったし」

    スオウ「それでひとまず、学園の中でも精鋭たちが各々周囲の調査に出ようという事に落ち着いたんだ。何をするにも情報がなければ始まらないからな」

    スオウ「だが。私の方は学校を出て間もなく、さっきの怪物に出くわし……」

    ホシノ「そこをおじさんが助けに入ったと」

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:39:05

    >>55

    (スオウは無言で頷く)


    スオウ「――そういえば、気になったんだが。私たちの学校について、外の世界では何も言ってなかったのか?私たちの感覚では、およそ丸一日近い時間が流れたものと思っていたんだが」

    ホシノ「うへ?それは……えっと……」


    (そういえば、例の会議中にアヤネちゃんがそれらしい事を言ってたかもしれない)

    (本来ならシャーレの先生も顔を出す予定だったのだが、急用ができたとかで不参加になっていたし……)

    (と。そこまで考えた所で、スオウが口調を改める)


    スオウ「まあ、この際外の状況については一旦置くとしよう」

    スオウ「それで、私――いや、私『たち』から頼みがある、小鳥遊ホシノ」

    ホシノ「頼み?」

    スオウ「ああ。『勇者』と呼ばれる程の力と、これまでの実績を見込んでのものだ」

    スオウ「どうか……どうか、私たちを。ハイランダーの皆を助けてほしい」

    ホシノ「――――」


    (それまで以上に深々と頭を下げ、ホシノに懇願するスオウ)

    (編みぐるみの身体を必死に保ち、転ばないようにする姿からは本人なりの必死さがありありと表れていた)


    スオウ「情けない話だが。我々ハイランダーはキヴォトスにおいて鉄道事業が主な務め、それ故に今回のような異常事態への対応力が不足している」

    スオウ「列車内で暴れた乗客への対応に、多少なり武力は保有しているが所詮その程度。とてもではないが、今のハイランダーにこの事態を収拾するだけの力はない」

    スオウ「責任は全て私が負う。事態収拾にかかったコストも、その後の報酬についても、すべて私に着せてくれて構わない。だから、どうか――」

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:39:26

    >>56

    ホシノ「皆まで言わなくていいよ、眼帯ちゃん」


    (言葉を遮り、ホシノは力強く応える)

    (スオウが顔を上げると、そこにはボタンの瞳に強い意志を宿すホシノがいた)


    ホシノ「元より、今回の事件はおじさんにとっても他人事じゃないからね」

    ホシノ「当然あの子たちにはきっちりおしおきするつもりだったし、その為の協力者も欲しいと思ってた」

    ホシノ「まさか、こんな早くに出会えるとは思ってなかったけど――私の方からも、お願いしていいかな?」

    スオウ「お願い、だと?一体何を」

    ホシノ「さっきの子たち、ええと……ノゾミちゃんとヒカリちゃん、だっけ?それと彼女たちが豹変した原因についても。とにかく、そっちが持ってる情報があるだけ欲しい」

    ホシノ「それと、その子たちが行きそうな場所についても」

    スオウ「……それは、つまり」

    ホシノ「うん」


    (スオウの縋るような視線に、ホシノはきっぱりと断言する)


    ホシノ「私は――『勇者ホシノ』は、今回の事件解決の為君とハイランダーに全面協力する」


    ホシノ「元居た世界に、キヴォトスに戻る為。私や君の身体をこんなにしたあの子たちをぎゃふんと言わせる為」


    ホシノ「そして何より――これ以上、他に被害者を生まない為に」


    ホシノ「手を貸してくれるかな?眼帯ちゃん」

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:39:43

    >>57

    (編みぐるみの右手を、スオウに向けて差し伸べる)

    (その右手をじっと見つめていたスオウは、やがて何かを決意したように頷き)


    スオウ「朝霧スオウ」

    ホシノ「え?」

    スオウ「朝霧スオウ、私の名前だ。スオウでいい」

    ホシノ「そっか。それじゃ、改めてよろしく眼帯ちゃ――もとい、スオウちゃん」

    スオウ「……できれば、ちゃん付けはやめてほしい。さすがに似合わないだろう」

    ホシノ「うへ~?そんな事はないと思うけどなぁ、『スオウちゃん』」

    スオウ「やめろ。頼むからそれだけは勘弁してくれ……」


    (この後、性懲りもなく散々ちゃん付け呼ばわりしたせいで結局『眼帯ちゃん』呼びに戻す事となったホシノとスオウ)

    (はたしてこの出会いの先に、二人は目的を果たす事ができるのか?)

    (全ては、毛糸の道の行く先に……)

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:43:34

    >>58

    今日はここまで。明日からは本格的に冒険スタートです

    といっても、だいぶ巻きになりますが…

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 00:30:37

    >>58

    更新乙です

    本家(ブルアカ)では実現できてない二人の共同戦線良き…

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 01:52:59

    >>59

    更新お疲れ様です!

    こう並べられると、この世界のホシノのスゴさよ

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 11:30:04

    ホシノとマコトが激突!その名もグルメレース、開幕!
    なお、黄色い悪魔もやってくる模様

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:09:43

    しばらく見ないうちに随分スレが進んでいる! 読み返してくるか

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:33:16

    >>58の続き

    (ホシノとスオウの冒険が始まった)

    (ある時はだだっ広い平原をひたすら当てもなく探し回り…)


    ホシノ「右を向いても緑、左を向いても緑。砂だらけのアビドスで育ったおじさんとしては、この長閑さがうらやましいよ~」

    スオウ「これで怪物どもがいなければ、といった所だがな。……おい、何をしている?」

    ホシノ「うへ?歩き詰めで疲れたし、空気も良いからちょっと休憩がてらお昼寝でもしようかと」

    スオウ「……やる気あるのか、お前」


    (またある時は灼熱の火山や砂漠、密林地帯をかき分けて進み…)


    ホシノ「あっつい……暑くて倒れそう……」

    スオウ「編みぐるみの身体でも、堪えるものは堪えるな……」

    ホシノ「ていうかこの身体、全身毛糸だから余計熱がこもるんだよ~。もうヤダ、帰りたいよ~」

    スオウ(お前がいた所も、そう大差なかったのでは?と言いたげな目)


    (はたまたある時は玩具やお菓子、楽器等々色んな娯楽・嗜好品で作られた世界を進み…)


    ホシノ「見て見て眼帯ちゃん!すっごく大きなケーキだよ~!(キラキラ)」

    スオウ「おい、迂闊に口にするな小鳥遊ホシノ。何か一服盛られてたら――」

    ホシノ「おーいしーい!見た目は編み物っぽいけど、ちゃんと生クリームの味がする~!」

    スオウ「人の話を聞け……」

    ホシノ「まあまあ、そうしかめっ面にならないならない。ほら、眼帯ちゃんも一口食べてみなよ!とってもおいしいよ?」

    スオウ「誰のせいだと――ムグッ!?(ホシノに無理やりケーキを突っ込まれる)」

    ホシノ「どう?おいしい?」

    スオウ「モグモグ)……まあ、いけない事もないな」

    ホシノ「でしょでしょ!」

    スオウ「…………」

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:33:51

    >>64

    (だが一向に目当ての双子の姿は見つからず)

    (気づけば今度は、南国風の世界に辿り着いていた)


    ザザーン…ザザーン…


    ホシノ「いや~潮風が気持ちいいねえ~」

    スオウ「そうだな」

    ホシノ「こうして海を前にしてると、いつかアビドスのみんなでリゾート地に行った事を想い出すよ~」

    スオウ「そうか」

    ホシノ「あの時も色々あったけど、みんなと先生のおかげで何とかなってね。あれはあれで楽しかったなぁ……」

    スオウ「そうか」

    ホシノ「…………」

    スオウ「何だ?私の顔をじっと見て」

    ホシノ「……その。勘違いだったら悪いんだけど、もしかして眼帯ちゃん怒ってる?」


    (ホシノの問いに、スオウは虚を突かれたような顔になる)

    (が、それも一瞬の事。すぐに不貞腐れたような顔に戻ると、スオウはぶっきらぼうな口調で言い返した)


    スオウ「別に、怒っているとかそういう訳じゃない。ただ」

    ホシノ「ただ?」

    スオウ「……呆れていただけだ。こんな非常事態に、よくもまあこうまで呑気でいられるものだとな」

    ホシノ「うへ、手厳しいな~」

    (スオウの辛辣な言葉にも、ホシノは表情を崩さない)

    (編みぐるみの顔に、いつものふわふわとした笑顔を浮かべ受け流すのみ)

    (その姿にスオウはいっそう不機嫌になりかけるも――)

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:34:14

    >>65

    ホシノ「まあ、おじさんがこんななのはいつもの事だから。それに」

    スオウ「それに?何だ」

    ホシノ「眼帯ちゃんと話してると、何だか懐かしいというか感慨深くなっちゃってね。……昔の私と先輩もこんな感じだったのかなって」

    スオウ「昔のお前、だと?」


    (予想外の言葉に、スオウは少しだけ目を見開く)

    (対するスオウは、昔を遡るようにボタン状の目を細めた)


    ホシノ「今でこそこんなのんびり屋だけどさ、昔の私は今と全然違ってたんだ」

    ホシノ「いっつも何かに怒ってて、やり場のない不満と焦燥感に追われてて。でも自分じゃ何も変えられなくて――それで、廃れていくアビドスをただただ横目に流し見てた」

    スオウ「……」

    ホシノ「けどそんな時、とある先輩に出会ってね。最初は無視しようと思ったんだけど……気が付いたら、いつの間にか一緒に行動するようになっちゃってた」

    ホシノ「あの頃はバカばっかりやってたなぁ。ありもしないお宝を探して砂漠中を駆けずり回ったり、怪しい儲け話に引っかかった先輩を助けに敵陣へ殴り込んだり。他にも――」


    (噛み締めるように、慈しむように。ホシノは『先輩』との過去話を語っていく)

    (スオウもまた口を挟む事はせず、じっと話に耳を傾けていた)


    ホシノ「最終的にその先輩とは離れ離れになっちゃったんだけどね。色々あって、今のおじさんの性格に落ち着いたってわけ」

    スオウ「……それで。その先輩とやらの話と、私に何の関係があるというんだ」

    ホシノ「別に、大した事じゃないよ。今の私と、眼帯ちゃんの態度がどことなく似てるなって。そう思っただけ」

    ホシノ「長々と語っちゃってごめんね?それじゃ、探索を再開し――」

    スオウ「小鳥遊ホシノ」


    (気を取り直し、再出発しようとするホシノをスオウが呼び止める)

    (ホシノがスオウへと振り向くと、そこにはどこか痛ましいものを見る目でホシノを見つめるスオウがいた)

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:35:01

    >>66

    ホシノ「ど、どしたの眼帯ちゃん?そんな泣きそうな顔しちゃって。ひょっとして、おじさんが何か傷つけるような事でも」

    スオウ「私は、お前じゃない」

    ホシノ「?」

    スオウ「私はお前が語る昔のお前にはなれないし。お前も、お前が語った『先輩』そのものじゃない」

    ホシノ「――――」

    スオウ「……すまない、変な事を言って。ただ、どうしてもこれだけは伝えたかった。――伝えたくなった、それだけだ」

    スオウ「行こう。お前の言う通り、探索を再開しあの二人を一刻も早く見つけ出す。今は、それだけ考えていればいい」


    (ホシノの返答は待たず、一足先に眼前の海中へ飛び込んでいくスオウ)

    (その後ろで、ホシノは胸を押さえながら強く唇を嚙んでいた)


    ホシノ「……そうだね、眼帯ちゃん。君の言う通りだ」

    ホシノ「私はユメ先輩じゃないし、ユメ先輩のようにはなれない」

    ホシノ「それでも……それでも、私は。ユメ先輩がそうしたように、守りたいモノを……」


    (一拍遅れ、海に飛び込む音が響く)

    (後には穏やかな潮風と、寄せては返す波の音だけが残っていた)

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:36:35

    >>67

     ――一方その頃。アビドス高等学校別館では。


    セリカ「ホシノ先輩と連絡がつかないって、どういう事?」


    (アビドス高校廃校対策委員会の会議室)

    (そこには、いつものメンバーが集まり緊急会議が開かれていた)


    ノノミ「それが、私たちにもよく分からないんです。スマホで電話しても、モモトークで呼びかけても反応がなく……」

    アヤネ「念の為ホシノ先輩の家にも行ってみましたが、応答はありませんでした。鍵はかかっていましたし、灯りも付いていなかった事から出かけた後だとは思うんですが」

    シロコ「柴関大将と、先生にも連絡してみた。けど、どっちも『知らない』って……」

    セリカ「そんな……」


    (一様に沈痛な表情を浮かべ、ホシノの身を案じる対策委員会)

    (そんな中、シロコが意を決した顔で立ち上がり、ガンラックに立てかけられていた愛銃を手に取る)


    アヤネ「シロコ先輩?何を」

    シロコ「ん、探しに行ってくる。ホシノ先輩の事だから大丈夫だとは思う……けど、何か事件に巻き込まれたのなら助けに行かないと」

    ノノミ「待ってください!当てもなく探すなんて無茶です!」

    シロコ「無茶でも何でも、やる。とりあえず先生にまた連絡を取って――」

    セリカ「ま、まってシロコ先輩!私も」


    ???『パヒャヒャヒャッ!へえ~、そんなに「ホシノ先輩」とやらに会いたいんだァ~』

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:37:10

    >>68

    対策委員会一同「「「「っ!?」」」」


    (突如会議室に響いた、不気味な笑い声)

    (窓の外から響いた声に、一斉に振り返ると――)


    セリカ「な、何よアレ!?人が、宙に浮いて……!」

    アヤネ「だ、誰ですか!?あなた達はいったい――!」

    ノゾミ・アミーボ『パヒャヒャ!私たちがどこのどいつなのか、だってぇ?』

    ヒカリ・アモーレ『知らずば言って聞かせよー。で、アモーレ』

    ノゾミ・アミーボ『私の名前はノゾミ・アミーボ』

    ヒカリ・アモーレ『私はヒカリ・アモーレ』

    二人『『二人合わせて、アミーボ・アモーレ!!以後よろしく!』


    (空中で、呼吸を合わせ堂々と自己紹介するヒカリとノゾミ)

    (その様にあっけにとられかけた対策委員会だったが、即座に我に返り各々の銃を向ける!)


    ノゾミ・アミーボ『って、おやおやぁ?ずいぶんと剣呑な態度じゃん。それがお客様に対する態度でアミーボ?』

    ヒカリ・アモーレ『やばーん。アビドスの人たち怖ーい、でアモーレ』

    セリカ「何かアミーボでアモーレよ!あんた達みたいな怪しさ満点な連中にまともな対応なんてするわけないでしょ!」

    アヤネ「先程、ホシノ先輩がどうとかおっしゃってましたね。もしかして、あなた達がホシノ先輩に何か……!?」

    ノゾミ・アミーボ『ああそうそう、それそれ。そのホシノ先輩?とやらなら、昨日私たちが捕らえて放り込んでやったから』

    セリカ・アヤネ「「っ!?」」

    ヒカリ・アモーレ『言っとくけど、先にやらかしたのはそっちの方だからー。私たちの大事なトマトを目の前で食べパクしたのー。だからじごーじとくでいんがおほーでアモーレ』

    ノノミ「そ、それは……うちの先輩が失礼を……い、いえ!ですが、だからといって説明もなくうちの先輩を捕らえるだなんて!」

    シロコ「ん、今すぐ居場所を教えて。さもないと」

    ノゾミ・アミーボ『「さもないと」?どうするっていうのかな、犬耳のお嬢ちゃん?』

    ヒカリ・アモーレ『おっかなーい。そんな人たちにも――毛糸の世界へご招待しちゃおー』

    対策委員会一同「「「「毛糸の、世界?」」」」

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:37:28

    >>69

    (言葉の意味を図りかね、一瞬だけ立ち尽くす対策委員会)

    (そして――それが、致命的な隙となった)

    (ノゾミが例の靴下を取り出し、力を込める!)

    (すると、三度靴下から凄まじい強風が巻き起こり!会議室内にいた対策委員会の面々を吸収し始めた!)


    セリカ「きゃあああっ!?な、何よこの風!!」

    アヤネ「セリカちゃん!?私に掴ま――きゃああああ!」

    ノノミ「セリカちゃん、アヤネちゃん!」

    シロコ「ダメ、ノノミ!私たちもこのままじゃ……す、吸い込まれる……!?」


    (抵抗する間もなく、次々に吸い込まれていく対策委員会メンバー達)

    (たちまち四人とも靴下の中に消えてしまい、後には空になった会議室だけが残された)


    ノゾミ・アミーボ『よっしゃ大成功!これでこの自治区も私たちのものでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『だいせいこー。それじゃ、次はどうするでアモーレ?』

    ノゾミ・アミーボ『次?うーん、そうねえ……』


    (喜びもつかの間、空中で考え込むように小首を傾けるノゾミ)

    (が、すぐに何か思いついたような顔になり――邪悪な笑顔を浮かべ、提案した)

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:38:21

    >>70

    ノゾミ・アミーボ『そうだ!次はさ、もっとデカいとこ狙おうよ!』

    ヒカリ・アモーレ『デカいとこ―?』

    ノゾミ・アミーボ『トリニティとかミレニアムとか、ああいう三大校ってやつ!あそこを乗っ取れれば敵なしでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『おーいいねー。それで、どっちから狙うー?トリニティか、それともミレニアムにするでアモーレ?』

    ノゾミ・アミーボ『うーん……それなんだけどさぁ。トリニティはうちらの天敵みたいな連中がゴロゴロいるし、ミレニアムもミレニアムでなんか最近になってお仲間みたいな奴が増えたし……』

    ヒカリ・アモーレ『じゃーゲヘナ―?』


    (特に何も考えず、三大校の一つというだけで出したヒカリの提案)

    (が、ノゾミにはドンピシャだったらしい。たちどころに目を輝かせ、賛同する)


    ノゾミ・アミーボ『ゲヘナか、いいね!それ採用でアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『やったー。じゃ、早速行っちゃうでアモーレ?』

    ノゾミ・アミーボ『もっちろん!善は急げ、侵略と列車はもっと早くでアミーボ!』

    ヒカリ・アモーレ『レッツゴー、でアモーレ』


    (アビドスを飛び立ち、一路ゲヘナへと飛んでいく双子たち)

    (後輩たちに降りかかった危機をホシノはまだ知らない……)

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:40:37

    >>71

    とりあえずここまで。続きはまた明日

    何か思わぬ展開になってしまいましたが、まあ創作あるあるという事で

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 00:32:46

    >>72

    更新お疲れ様です。

    創作しているうちに思い立って、別のこと書いてみるの、あるあるですよねぇ

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 01:10:56

    >>72

    更新乙です!

    ふむ、思わぬ展開になりましたが俺は好きですよ?


    トリニティには天敵が、ミレニアムでなんか最近になってお仲間みたいな奴が増えたってなんかいましたっけ

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 10:08:09

    >>74

    トリニティの場合はシスターフッド(アミアモみたいな呪物系の対処に手慣れてそう)

    ミレニアム『お仲間』はタチホシ編における絵画の魔女の事です


    説明しそびれてましたが時系列的にはタチホシ編の後になりますので、同じように「自我を宿した呪物」的な意味でのお仲間という訳です

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 17:44:40

    >>72

    そういや確か本家ってラストロボか戦車とかになってたような…




    (。´・ω・)ん?どうしたシェマタ君?そんな主砲をブンブンして

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:05:54

    >>72の続き

    ホシノ「う~みはひろい~な、おおき~いな~♪」

    スオウ「……」


    (アビドスが大変なことになっていたのとほぼ同じ頃)

    (ホシノとスオウは、大海原の上を泳ぎ進んでいた)

    (といっても、編みぐるみの姿でではない)

    (今のホシノの姿は――)


    クジラホシノ「いや~、まさか二度もクジラになる日が来るとはねえ」

    スオウ「……」

    クジラホシノ「前は先生に助けられながらの旅路だったけど、今回は普通に泳げるみたいで安心したよ。また前みたいに立ち往生したらどうしようってなってたからねぇ」


    (そう。今のホシノは、ピンクの毛糸で編まれたクジラのそれに変わっていた)

    (いつぞや絵画の魔女に変えられた時のように。されど今回は水中でも普通に呼吸し泳げる力を得て、海上をスイスイ移動していたのである)

    (その様は正に本物のクジラのようで――ホシノはスオウを背に乗せ、海の上をのんびり泳いでいく)


    スオウ「……」

    クジラホシノ「眼帯ちゃん、気分はどう?気持ち悪くなったりとか、船酔いになったとかはない?」

    スオウ「……」

    クジラホシノ「あ、この場合はクジラ酔いかな?まあ何にしても、気持ち悪くなったのならそこらの小島で一旦休む事もできるけどどうする?」

    スオウ「……いや、大丈夫だ。このまま進んでくれ」

    クジラホシノ「あ、そう?じゃあ進むね~」


    (スオウの簡潔な返答に、ホシノもそれ以上追及する事無く先を急ぐ)

    (が、その胸中では)

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:06:13

    >>77

    ホシノ&スオウ((気まずい…))


    スオウ(何故私はあのような言葉を……。思う所があったにせよ、もっとタイミングというものがあっただろう)

    ホシノ(うへ~、眼帯ちゃんが露骨に冷たいよ~。もっと真面目に応えておけばよかったかな~)


    (出発直前に交わした言葉。それが喉に刺さった魚の小骨めいて、二人の間に僅かではあるものの溝を作ってしまっている)

    (特にお互い罵り合う等の不仲が生じているわけではないが、微妙にやりづらさを感じている事もまた事実ではあった)

    (おまけに――)


    スオウ(まさか泳ぐ事さえままならなくなっていたとは……!ようやくこの身体での動きにも慣れてきた所だったというのに、格好つけて飛び込んだ直後に溺れかけるなど……)

    ホシノ(また変身能力が使えてよかったよ~。まさか速攻で溺れかけるだなんて。こりゃ思ってた以上に気を張ってかないとだね)

    ホシノ&スオウ((いずれにせよ、これ以上迷惑はかけられない/かけたくない))

    ホシノ&スオウ((もっと、自分にできる事をやっていかねば/ないと))


    (微妙にすれ違いめいたわだかまりを抱えつつも、二人は海の上を往く)

    (島を渡り、海を越え、やがて航海も半分を越えたかと思われたその時)


    スオウ「ん――おい、小鳥遊ホシノ。あれを見ろ」

    クジラホシノ「うへ?何何?」


    (航海の最中、スオウがある方向を指差す)

    (その先には、海上に突き出た巨大サンゴと思しき構造物があった)


    クジラホシノ「サンゴ礁、にしてはデカすぎるよね」

    スオウ「ああ。ここからだと分かり難いが、サンゴで作られた何かの建物か……?」

    スオウ「いずれにせよ行かない選択はあるまい。あいつらがいるかどうかは分からんが、他にそれらしい潜伏先も見当たらない事だしな」


    (決心した顔で、スオウがクジラホシノに進むよう促す)

    (ホシノもまたそれに応え、サンゴ礁ならぬサンゴ城?の前まで進むが――)

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:06:39

    >>78

    スオウ「?おいどうした、何故止まる?」

    クジラホシノ「……うへ~」

    スオウ「うへ、じゃないだろう。この中に用があるんだ、ならさっさと先に」

    クジラホシノ「――そうしたいのは山々なんだけどね。ごめん眼帯ちゃん、ここから先はおじさんに任せてくれないかな?」

    スオウ「何だと?」


    (唐突な単独行動宣言に、スオウの目が鋭く光る)

    (どういう事だと問い詰めるより早く、クジラホシノの口から決定的な一言が放たれた)


    クジラホシノ「いや、眼帯ちゃんと一緒に行きたいのは山々なんだけどね?……このお城、見た感じ大部分が浸水してるっぽいんだよ」

    スオウ「――」

    クジラホシノ「眼帯ちゃん、泳げないでしょ?だからその、ここはおじさん一人で言った方がいいんじゃないかなって」

    スオウ「……了解した、皆まで言うな小鳥遊ホシノ。……後は、お前に任せる」

    クジラホシノ「なんかその、ごめんね~?」


    (どこか落ち込んだ様子で、クジラホシノの背から降りるスオウ)

    (近くの岩場に上がり、落ち着いたのを見届けるとホシノは改めてサンゴ城の中へ入っていく)

    (……スオウからは見えなかったが。その横顔は、どこか安堵しているようにも思えた)

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:06:55

    >>79

    (スオウと別れ、サンゴ城の中を潜り進んでいくクジラホシノ)

    (やはりというべきか城の中は完全に海水で満たされており、水中に適応した者でなければまともに進めないような構造となっていた)


    クジラホシノ「編みぐるみの身体なのに、水中を自由自在ってのも奇妙な話だよねぇ」

    クジラホシノ「やっぱりあのトマトが影響してるんだろうけど……ほんとに何だったんだろ?アレ」


    (アビドスで口にした、摩訶不思議なトマトを思い出す)

    (あの時は空腹でろくに頭も回らなかったが――今思い出しても、あからさまに奇妙過ぎた)


    クジラホシノ「双子ちゃんが独自に生み出したのか、それとも元からハイランダーに眠ってたのか」

    クジラホシノ「ま、何にせよこうしておじさんの助けになってるのは有難いね」

    クジラホシノ「さてさて。あの子たちはここにいるのかな……?」


    (海中の城内、その通路を抜けさらに奥へ進んでいく)

    (長い長い通路を泳いでいくと、やがてだだっ広い空間に辿り着いた)


    クジラホシノ「ここが最深部、なのかな」

    クジラホシノ「見た所何もなさそうだけど、ここはいったい……」


    (きょろきょろと辺りを見回すクジラホシノ)

    (最深部と思しき場所は闇に覆われており、奥の方までよく見えない)

    (――と、その時。暗闇の中で、何かがぎょろりと蠢いた)


    クジラホシノ「…………えっ?」


    (一瞬見間違いかと、暗闇を凝視するクジラホシノ)

    (だが、残念な事にそれは杞憂などではなく)

    (次の瞬間、闇の中で開かれた巨大な目とホシノの視線がバッチリと合った。合って、しまった)

  • 81二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:07:16

    >>80

    (一方、所変わってこちらは海上のスオウ)

    (同行できない歯がゆさに当初は鬱憤を募らせていたものの、今はある程度落ち着いたのかひたすらじっと水面を睨み続けていた)


    スオウ「あいつが突入して、そろそろ三十分といったところか」


    (ハイランダー関係者故、この手の時間計測にはそこそこ以上に自信がある)

    (海中の城は余程広いのか、それともこの程度で音を上げるには早すぎるというべきか)

    (いずれにせよ、待つ側のスオウにとってはひたすら気を揉む以外他にない)


    スオウ(――そういえば。こうして何もしない、というのは久々だったか)


    (学校の事情もあるにはあったとはいえ、ハイランダーに入ってからはひたすら勉学と鉄道業に従事する毎日だった)

    (一分一秒の遅れが重大インシデントに繋がりかねない鉄道において、暇と呼べる時間は中々存在しない)

    (ましてスオウの立場は監督官――学園理事会直属の重要部署でもある)

    (お上の使い走りに過ぎない業務内容と言えど、上に立つ側としては必然悠長にしている暇などなく。毎日毎日、仕事に追われるような時間が続いていた)


    スオウ(自分で望んだ進路だ。今更後悔も不満もありはしない)

    スオウ(ありはしない、が……)


    (ふと。スオウは己の過去に思いをはせる)

    (何もなかったあの頃。どこの学園にも組織にも与せず、逸れ者として彷徨うばかりだった日々)

    (ふとした事で手に入れた居場所と役割も、その要たる生徒が放棄した事で実質無為も同然になり――)

    (そこまで考えた瞬間、突如大きな地響きと振動音が轟いた)


    スオウ「っ!?」

  • 82二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:07:49

    >>81

    (咄嗟に岩場の上に伏せ、状況の把握に走る)

    (どうやら振動音はサンゴ城の中から響いているらしい)

    (揺れの勢いは留まるところを知らず、やがて――)


    ズゴゴゴ…ドッカーン!!

    スオウ「なっ……!?」

    クジラホシノ「どひゃああああっ!!」


    (サンゴ城が吹き飛び、崩壊する)

    (その只中から、クジラホシノが吹っ飛ばされるように岩場のすぐ近くに着水した!)


    スオウ「お、おい!大丈夫か、一体中で何があった!?」

    クジラホシノ「う、うへぇ……な、何とかね」

    クジラホシノ「そ、それより!眼帯ちゃん乗って!すぐにここから離れないと!」

    スオウ「何?それはどういう――」


    (スオウの問い、その答えはすぐ目の前に現れた)

    (より正確に言えば、二人がいる岩場の真正面。つい先程までサンゴ城があったその海域に)

    (サンゴ城を吹き飛ばし、中から現れたのは)


    スオウ「巨大な……イカ、だと」

    クジラホシノ「城の中に隠れてたんだよ。多分、この城――というかここら辺一帯があいつの縄張りだったんだ」

    スオウ「と、いう事は」


    (巨大イカの目が、ぎょろりと二人を睨みつける)

    (その目線は、どこか怒っているようにも見えて……)

    (直後。クジラホシノとスオウめがけ、巨大触手が叩きつけられた!)

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:08:10

    >>82

    スオウ「くっ――!?」

    クジラホシノ「うわわわ!危ない!」


    (縄張りを荒らされた怒り故か、容赦なく触手を振るい襲い掛かる巨大イカ)

    (どうやら見逃すつもりはないらしく。完全にやる気満々であった)


    クジラホシノ「こうなりゃ、やるしかないみたいだね。乗って、眼帯ちゃん!」

    スオウ「……勝算はあるのか?」

    クジラホシノ「あろうがなかろうが、掴み取らなきゃどうにもならないでしょ。それとも、その岩場諸共ぺしゃんこにされたい?」

    スオウ「ご免だな」


    (クジラホシノの背に飛び乗り、自らの銃を構えるスオウ)

    (巨大イカもまた触手を複数振りかざし――壮絶な海戦が幕を開けた!)

  • 84二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:10:22

    >>83

    以上、とりあえずここまで。今回更新分で終わらせるつもりでしたが、思ったより長くなってしまった…


    毛糸編における初ボス戦がイカスタコスになろうとは…

    本当はマコトとヒナ、それと橘姉妹(アミアモ)だけの予定だったんですが上手く行かないものです

  • 85二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 02:39:38

    >>84

    更新お疲れ様です!

    イカスタコスくんおめでとう!頑張りたまえよ!

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