- 1二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:24:59
- 2君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:26:22
【お願い】
現在、メインで使用していたWi-Fiが長期的なホスト規制に合い更新が不安定な状況にあります。もしスレッドに長時間書き込みがなかった場合はスレの保守にご協力お願いします - 3君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:28:48
前回までのあらすじ
シニア2年目となり、学年も高校1年生になろうとしていたキンペイバイ。
今年の前期目標をドバイレースへの出走としてアグネスデジタルに指導を受けていたが、レースのためにドバイに向かう直前に視界のぼやけから眼球の傷が見つかり人生で初めてレースを回避することになってしまった。
そのショックで寝込むキンペイバイであったが、タイキシャトルがBBQへと招待したのだった。 - 4君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:29:45
慌ててパジャマからラフなTシャツとパンツルックに着替えたキンペイバイはタイキシャトルに手を引かれ美浦寮の庭へと連れてこられていた。
そこにはやはりというべきかBBQ用のグリルや黙々と煙の立ち昇るカマドなどがあり、ワイワイとはしゃぐ寮生達で賑わっていた。
「今年1回目のBBQパーティーデース!ペイバイチャンも楽しんでくださいネ♪」
料理の準備のあるタイキはキンペイバイを席に案内するとそそくさとグリルの方へと走っていった。
正直、楽しむ気分にはなれそうにないがせっかく仲のいいタイキシャトルに誘われたのだ、辛気臭く俯くのはやめようと顔をあげる。
「なんだァ ?辛気臭ェ顔して」
「やめなさいテュラン、配慮に欠けていますよ」
キンペイバイの正面に座る勝ち気な真紅の瞳と赤いメッシュの入った金髪をポニーテールにしているのが特徴的なテュランダイナの粗暴な言葉遣いを彼女の隣に座る息を呑むほどの美貌のリリスファタールが諌める。 - 5君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:30:04
「テュランちゃんいつも通り顔が怖いよ〜。そんなんだとま〜たトレーナーさんに怖がられちゃうよ〜」
「ハァっ!?い、今トレーナーのこたァ関係ェねェだろうがモカ!」
「うち、心配で声ばかけたかけどなんで言うてよかか分からんで、つい口調が荒うなってしまうテュランちゃんもあいらしかて思うばい」
極太ストローで果肉入りオレンジジュースを啜りながらテュランダイナを揶揄っているのは褐色肌が特徴のプリムモカ。
解説口調で一言が多く、さらにテュランダイナの声を張り上げさせているのはフェルティローザである。
そしてキンペイバイの隣には透き通るような白髪が特徴的なコードヘブンが座っていた。
「あんた達、相変わらず仲がいいんだね」
「べっ……別によかねぇよ!」
「まぁそれなりには」
「テュランちゃんはリリスちゃんにべったりだもんね♪」
「みんな仲良しが1番ばい!」 - 6君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:30:29
この席に集まった6人のウマ娘の共通点、それはトゥインクルシリーズにおける同期であるという点である。
「たァー言っても同期感はねェがな」
テュランダイナの言う通りこの6人、特にコードヘブンとキンペイバイは他の4人との関わりは極めて薄い。6人ともティアラ路線を走ってはいるが全員一緒に走ったのは秋華賞の時のみであり、シニア期以降は皆、それぞれの得意な場所でレースを走っている。特にキンペイバイは距離の長いレースに出走しがちだったのも繋がりが薄い原因なのかもしれない。
「学年やクラスも違えば親交を築くのも難しくなります。それに同期だから仲良くしなければいけないというルールもありません。己の道を進み時折その成果を確認し合うのが私達には合っているのでしょう」
「リリちゃんいい事言う〜」
流石現役ウマ娘の中で最も美しいと言われるリリスファタールが言うと絵面の説得力が高く、キンペイバイも納得してしまった。
そんな時、おもむろにコードヘブンが口を開いた。
「アタシとしてはもう少し仲良くしたいものだけど」
その言葉にキンペイバイを除く同期4人の顔に驚愕の表情が浮かぶ。まさかクラシック期において孤高の絶対女王として近寄る者を遠ざけ全身からヤマアラシの如く鋭い針を何千本も伸ばしていたようなあのコードヘブンが同期と仲良くしたいと言い出すなど想像したことすらなかったのだ。 - 7君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:32:33
「ゲッホゴッホ……ま、まさかあのコードヘブンの口からそんな事を聞く日が来るなんて……一体どういう風の吹き回しだ?」
「言葉通りの意味よ、アタシはもっとみんなと仲良くなりたい。一緒にお出かけに行ったり、一緒にご飯を食べたり。ペイバイとは何回かそうしたことがあるけれどがもっと沢山の人とそうしてみたい」
呆気に取られる4人であったが、その中でいち早く反応したのはフェルティローザであった。
「それじゃぁ自己紹介からしぇなね。うちの名前はフェルティローザ、出身は福岡で好きなもんなとんこつラーメンと御朱印集め、座右ん銘は牛も千里ウマ娘も千里ばい」
牛も千里ウマ娘も千里、歩調が遅くても早くても、同じところを目指していればいずれ到着する。要領の良い人も悪い人も、上手い下手があっても、同じ目標を立てて行動すれば同じ結果が得られるから慌てなくて良いという意味のことわざである。ゆるめのウェーブがかかった髪が特徴的な雰囲気からしてマイペースそうな彼女にはぴったりの座右の銘だろう。
実際の彼女はレースでは先行で好位をキープしつつレース状況を見てレース方針を柔軟に切り替えるクレバーなウマ娘であるのだが、一眼見ただけでそれを見抜くことができるものはいないだろう。
「アタシはコードヘブン。実家は神奈川の山の方。好きなものはこしあんのお饅頭とお母さん。えっと…よろしくねフェルティローザさん」 - 8君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:37:35
その後もフェルティローザに続くように他の同期達も続々と自己紹介をし始める。
「私はリリスファタール。出身は静岡の沼津の方ですが生まれたのはアメリカです。好きなものは甘栗、特技は弓道です。昨年の駿大祭では流鏑馬の役を任されました」
「アタシはテュランダイナだ!生まれも育ちも福島のクソど田舎。好きな食いもんはペヤングのデカいやつ、好きなことは愛車を乗り回す・メンテする・カスタムするの3つ」
「あーしはプリムモカだよ♪出身は中東のほうでぇ〜趣味はウマスタしたり〜情報収集とかかなぁ〜。ここでモカちゃんの耳寄り情報!実はフェロちゃんの替え玉記録はあのオグリキャップと同スコアなんだよ〜」
「ちょっ…ちょっとモカちゃん!うちそげん食べとらんばい!本当はオグリさんより3杯少なかっちゃけん!」
4者4様の自己紹介が終わり、全員の視線がキンペイバイの方へと向かう。
「えっ…あの、皆さんどうして私の方を…」
困惑しあたふたするキンペイバイ。そんなキンペイバにテュランダイナは若干呆れながら答える。
「なんでって、お前ェだけだろ自己紹介してねェの」
コードヘブンに対しての自己紹介とばかり思っていたキンペイバイはすでに交流がある自分には不要だろうと考えていたが、どうやらそうでもないらしい。
助けを求めて隣に座るコードヘブンを見上げる。
「アタシもあんたの自己紹介聞きたいな」
助けを求めたつもりであったが、どうやら最大の敵は最初から隣にいたようだ。コードヘブンにそう言われてはどうしようもないとキンペイバイも諦めがついたように深いため息を一つ吐き出した。 - 9二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:46:41
続けてくれて感謝顔射
自分も1時間おきに規制とかふざけたことされたりしたけど、主が続けてくれるなら保守頑張るよ! - 10二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:47:19
即落ち回避
- 11君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 20:51:57
「わ…私はキンペイバイです。歳は15で、出身は鳥取の伯耆町っていう田舎町で好きなものはコスプレとミルク味のアイスキャンディー、特技はその…あんまり得意じゃないですけどピアノです」
最後の言葉を言い切らないうちにそそくさと座るキンペイバイ。様子を伺い周囲を見渡すと皆小さな拍手で迎えてくれたのだった。
「それにしてもまさかアタシ達がこうして同じテーブルで飯を食う事になるなんてな」
「同じ路線で走る者同士、本番でぶつかり合う事はあっても食事を共にしたり切磋琢磨というものではありませんでしたからね」
串焼きの肉に齧り付きながらもがもがと喋るテュランダイナをリリスファタールがはしたないと注意しながらも、彼女もどこかしみじみとした様子であった。
「やっぱり"アレ"が理由なトコロもあるんじゃないの〜心の余裕がダンチでしょ?」
「えっ?なんのことですか?」
訳知り顔で話すプリムモカに対してキンペイバイは何も知らない様子である。他の4人中コードヘブンを除く3人も何が原因なのかは把握しているようだ。
「ペイバイちゃん知らないの〜?じゃぁ教えてあげる♪テュランちゃんもリリちゃんもあーしももうレースはないんだよね〜。つ・ま・り引退ってワケ」
「引退…ですか」 - 12君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 21:03:48
ウマ娘にとって現役引退というのは他の競技とは少し意味が違うものである。
一般的に使われる引退とはトゥインクルシリーズ、つまり1年で決まったスケジュールで行われるレースに登録して参加する現在キンペイバイが在籍しているレースシリーズからの引退という意味で使われる。
引退理由はウマ娘によって様々であるがその多くの場合は自身の競走能力の全盛期を過ぎ「ピークアウト」を迎えたからという場合や、進学や就職のために勉強する時間を取るためなどが大半である。
引退後に全く走れなくなるというわけではなく、トゥインクルシリーズで一定以上の成績を収めたものにはドリームトロフィーリーグという歴戦のウマ娘たちが集う夢のレースへの参加資格が送られる事があり、引退後にも数こそトゥインクルシリーズよりも少ないもののレースを走る機会は存在する。
「あーしは去年の末。テュランちゃんとリリちゃんも今年の1月にはもう引退宣言出してるよ〜。ペイバイちゃんはその時はドバイに向けて忙しくて気づかなかったかな?」
「いえ、私もそのニュース自体は知っていました。でも、引退と食卓を囲む事ができる理由がイコールで繋がらなくて」
キンペイバイとしてはレースでライバル関係にあってもコードヘブンとは親交を深めていたし、仲もそれなりにいいつもりであった。だからこそトゥインクルシリーズを引退したから同じテーブルにつけるようになったというテュランダイナの言葉が理解できないのだ。 - 13君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 21:23:48
「明日明後日にしのぎを削り合うって奴と同じ釜の飯が食えるかって話だよ。レースは真剣勝負の場だ、そんなとこに下手な友人感情持っていったら走りが鈍っちまうだろが」
「なんかなしわかるかも。友達と一緒に走るって練習とか併走やと楽しかばってん、いじゃ本番ってなった時に練習気分が中々抜けん事もあるよね」
ウマ娘のレースの世界はかなり特殊だ。中央トレセンが日本のウマ娘のトップ層が一堂に会す場所である都合上、レースで顔を合わせるのはほとんどが同じ学校の見知った顔なのだ。勿論、地方トレセンのウマ娘がレースに参加することもあるが、レースのグレードが上がるほど身内率は高くなっていく傾向にある。
そんな環境だからか現役中は同じ路線を同時期に走るウマ娘同士は距離をとる傾向がある。勿論、ライバル同士切磋琢磨する事もあるが、全員が全員そうであるわけではない。キンペイバイの世代のように特定の組み合わせの交流はあるが全員が仲がいいというわけではないというのは決して珍しい事でもないのだ。
「以前は一度ターフに立てば同じ戦場で戦う敵同士。情けや同情心は捨て去るべき関係でした。しかし、トゥインクルシリーズから退いた今はそのような事を気にする必要もありません。もう私達が競い合う理由もありませんから」
お互いをあまり知らないままに競い合い走り続けていたキンペイバイ達の世代。それが引退を機にこうして穏やかな食事をとる事が出来るようになったと考えるとそこに一抹の寂しさと、ようやく年頃の同年代の女学生らしくなったという感慨深さが同居しているである。
「引退か、アタシはとりあえず今年は走り切るよ。来年までかどうかはまたその時に考える」
「うちは今年いっぱいが限界かな…もうタイムが落ちてきとーっちゃんね」
今年を走り切ると力強く答えるコードヘブンと今年までが限界だと悲しそうな表情をこぼすフェルティローザは対照的である。 - 14君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 21:37:25
「キンペイバイさんはどうなさるのですか?」
「私は…」
リリスファタールの質問にキンペイバイは口籠る。自身の引退について考えて事がないと言えば嘘になる。とはいってもそれは引退レースで華々しく勝利したり、先を征くものとしての矜持を見せつけるカッコイイ最後を想像したりといったものであり、自身の引き際をいつにするかというのは考えたことがないのだ。
「私はとりあえず今はこの目を治す事が第一です。引退とかは今はまだ…それに今辞めたら心残りができちゃいそうで…」
しばらく考えた後に行き着いた結論はキンペイバイの本心ではあるものの、なんとも当たり障りのないものであった。
「まぁ心残りが残らねェようにするのは大事だな。アタシも目標は達成できて心残りなくスッキリ終われたわけだし」
そういう当たり障りのないことに関しては1番反応しそうなタイプであるテュランダイナは割と賛成の意見らしく、キンペイバイを肯定するようである。
彼女は現役中に香港マイルを2連覇しており、日本のマイルレースでも好成績を残した事が心残りのなさの要因なのかもしれない。
対してその隣に座るリリスファタールは芳しくない表情である。彼女の場合は怪我による引退というのが理由なためかトゥインクルシリーズに大きな心残りがあるのだろう。あまり刺激しないように気をつけようと心に誓うキンペイバイであった。 - 15君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/16(火) 21:47:19
その後……
1.自分達の走ったレースの思い出に花を咲かせる同期達
2.彼氏がいるかとか将来どうするのかの話で盛り上がるキンペイバイ達
3.コードヘブン「せっかくだからみんなで走らない?」
dice1d3=3 (3)
- 16二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:42:41
左ミミ娘の集まり…良い匂いしそう、した
- 17二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 00:46:14
このレスは削除されています
- 18二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 06:55:45
繁殖牝馬、早いとクラシックのうちに引退とか、そもそもレース出走しないまま繁殖上がったりするから、活躍難しいのよね
……各国から牝馬が集まってて、この世代の繁殖実績すごそう - 19二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 10:31:37
早めの保守
- 20二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 13:27:14
保守
- 21二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 19:14:40
入浴前の保守
- 22二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:21:34
保守
- 23二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 02:42:57
このレスは削除されています
- 24君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/18(木) 07:40:16
キンペイバイ世代のウマ娘達の簡単な設定を載せておきます。学年はゲームに実装された時にどのクラスに属しているかです
テュランダイナ
二つ名:快速
ウマソウル:牝馬
学年:高等部2年
出身:福島
身長:162cm
スリーサイズ:B92・W58・H87
好きなもの:ペヤング超大盛り・愛車(グロム125)
苦手なもの:うじうじ悩むこと
脚質:逃げ
主な勝ち鞍:安田記念・香港マイル
特徴:ニーテールの金髪、赤いメッシュが入っているのが特徴的なヤンキーガール。一見カッコいい寄りの外見だがよく見ると顔の造形は可愛い寄り。人情には厚く、見かけによらず他人には優しい
リリスファタール
二つ名:惑わす夜の魔女
ウマソウル:牝馬
学年:高等部2年
出身:静岡(出生はアメリカ)
身長:170cm
スリーサイズ:B84・W55・H89
好きなもの:甘栗・弓道
苦手なもの:パクチー
脚質:差し
主な勝ち鞍:エリザベス女王杯
特徴:100人中120人が振り返る美貌の持ち主。艶やかな長髪とすらっと伸びた手足誰もが見惚れる顔面は人々の脳裏に彼女の美貌を焼き付かせてやまない。ファン投票は毎回高順位であるが中々勝ちきれないウマ娘でもあった。 - 25君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/18(木) 07:43:09
フェルティローザ
二つ名:ハイネスマウンテン
ウマソウル:牝馬
学年:高等部3年
出身:福岡
身長:179cm
スリーサイズ:B99・W62・H94
好きなもの:とんこつラーメン
苦手なもの:ユニットバス
脚質:先行
主な勝ち鞍: 阪神ジュベナイルフィリーズ
特徴:博多弁が特徴的なビッグなウマ娘。アニメの美少女のような外見から放たれるゴリゴリの博多弁の衝撃は中々に強烈である。かなり体が大きいが脚部不安になった事はなく、現役時代に怪我の一つもない世代随一の頑強な肉体の持ち主でもある。
プリムモカ
二つ名:破城槌
ウマソウル:牝馬
学年:中等部2年
出身:中東方面
身長:145cm
スリーサイズ:B77・W52・H79
好きなもの:ウマスタ・情報収集
苦手なもの:自分の周りを嗅ぎ回られること
脚質:差し
主な勝ち鞍: スプリンターズステークス
特徴:ロリッ娘灰毛褐色メスガキ。世代の中ではキンペイバイに次いで小さい。中東方面から来たらしいがありとあらゆる国の言語を話せるので中東のどこの国出身なのかは不明。本人も明かしたがっていない。一説によると中東の王族のお姫様という噂もある。 - 26二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 14:35:48
プリムモカちゃんを嗅ぎ回りたい
- 27二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 22:22:32
保守
- 28二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 23:30:22
このレスは削除されています
- 29君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/19(金) 08:18:44
「せっかくだから、みんなで走らない?」
コードヘブンの提案により6人は一時BBQ会場を離れグラウンドへと向かうことになった。
タイキに一時席を外すことを伝えると、近くに居た後輩達もその話を聞きつけかなりの大所帯がレースの見学へとやってきていた。休日だというのにグラウンドの土手には平日以上にウマ娘達が集まり、その間を焼きそば売りの旗を掲げたゴールドシップがサイダー片手に練り歩いている。
「なんだか凄いことになってきましたね…」
「へっ!観客は多い方が盛り上がるってェもんよ!」
観客の多さと勢いに若干引いているキンペイバイとは対照的にテュランダイナはやる気まんまんと言った様子で拳を打ち鳴らしている。
「ペイバイの怪我を考えて左回りで、距離はどうしようか?」
「それでは2000mはいかがでしょうか?私達が初めて一堂に会した、あの秋華賞と同じ距離というのは」
「いいね、皆んなそれでいいかな?」
リリスファタールのこの提案は全員から承諾され、突如始まった野良レース2000m左はもう間も無く出走である。 - 30君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/19(金) 08:41:01
レース結果(数値が高い順に1着、2着となる)
キンペイバイ
dice1d100=30 (30) +30
コードヘブン
dice1d100=45 (45) +50
テュランダイナ
dice1d100=59 (59)
リリスファタール
dice1d100=37 (37)
プリムモカ
dice1d100=81 (81)
フェルティローザ
dice1d100=90 (90) +30
- 31君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/19(金) 09:02:41
誰がどこからか持ってきたのか分からないスターターピストルの音と共にレースが始まった。
やはり先頭を行くのはコードヘブン。シニア2年目となってもその速度は衰えるどころかさらに研ぎ澄まされており、今が全盛期であると誰が聞いても疑いはないだろう。
そのすぐ後ろにはテュランダイナが付けていた。秋華賞では序盤からコードヘブンと激しい先頭争いを繰り広げていた彼女であるが、今回はコードヘブンのペースには付き合わずそのすぐ後ろでいつでも抜かされるように待機している。
3番手は先行のフェルティローザ。彼女の大きな体はバ群の中で一際目立ち、彼女を頂点としバ群が山なりになっているようである。そんなフェルティローザであるが秋華賞の経験を活かし、今回は少し先頭との距離を詰めていた。前回のレースでは基本に習った走り方をしそれで距離を詰めきれなかったため、序盤から先頭との距離間隔を短めにし抜け出しやすくする狙いだ。
4番手に付けるリリスファタールの表情は芳しくない。というのも本来自分が確保したかった内側を体格で圧倒的に勝るフェルティローザに取られているため抜け出すにはわざわざ迂回する必要があり、そんな悠長なことをしていてはいずれ後ろの2人が上がってきた時に進路を潰されさらに外側を回る必要性が出てくる。そもそもリリスファタールはデバフを中心にレースを組み立てるタイプであるため自分から積極的に仕掛ける事はほとんどない。詰まったバ群から抜け出す方法について飽きるほどトレーニングを重ねていたが、今回レースを走る後ろ2人はそう簡単にはそれを許してはくれないだろうという直感じみたものがあった。
さてその問題の2人である。意外なことにプリムモカとキンペイバイはほぼ同位置につけていた。これは参加人数の少なさからくるものではあるが、プリムモカがわざとそうしているように見えた。彼女のレースについてはほとんど映像頼りのキンペイバイであるが彼女の持ち味がなんなのか自体は理解していた。
しかし、そればかりを意識してはいけない。前を走るのはあらゆるレースを駆け抜けてきた歴戦の同期達なのだ。怪我というハンデを背負っている自分は誰よりも注意深く観察と考察をしなければこのレースに喰らいつけないだろうことをキンペイバイは理解していた。 - 32君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/19(金) 10:00:34
レースが大きく動いたのは最終コーナーに入った直後のことであった。
現在使用しているグラウンドは一周800m、グラウンドの中程からスタートした今回のレースはグラウンドを2周した後、スタート地点とは反対側の直線に設けられたゴールを駆け抜ける手筈となっており、ゴール地点にはゴールと書かれた看板を持ったヒシアマゾンが立っている。
つまり、この最終コーナーは累計して5回目のコーナーにあたる。コーナーといえばこの世代では圧倒的コーナー加速力と莫大なスタミナから後半戦に強いキンペイバイが有利になるポジションである。
勿論、キンペイバイもここぞとばかりに仕掛けようとするがそこである違和感に気づく。
確かに今踏んだはずの右脚の衝撃が遅れて伝わってきたのだ。一歩、また一歩と歩みを進めるたびにその感覚のズレは大きくなっていく。まるで自分の思考と自分の体が離れ離れになってしまったかのように整合の取れていない状態になってしまったのだ。
そんなキンペイバイの異常を土手に腰掛けた観客のウマ娘の一部だけが気づいていた。
結局キンペイバイはレースの結果に食い込む事はなく、勝負所を間違えなかったフェルティローザが先頭2人を撫で切り勝利。破城槌の二つ名の通り破竹の勢いでバ群を貫き伸びたプリムモカがコードヘブンに続き3番手となり、この野良レースの幕引きとなった。 - 33二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 12:42:05
一週間ほど海外でお仕事してる間に見失ったかと思ったけどまだ続いてた…!
助かる!見返してくる!ありがとう! - 34二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 20:40:07
俺が落ちそうなスレやペイパイを支えるんだ…!
- 35二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 23:35:50
このレスは削除されています
- 36二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 02:51:23
このレスは削除されています
- 37君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 08:47:53
「やったー!うちの勝ち!」
「負けたちゃった…ね、もっかいやろ?」
「あらら〜ヘブちゃんもしかして負けず嫌い〜?」
勝利したフェルティローザがどすんどすんと跳ね回る。彼女の大柄体格も相まって一回跳ねる度に少しばかり衝撃がくる。大きな胸も大袈裟に揺れて視覚情報としての迫力が大きい。
惜しくも2位に敗れたコードヘブンは納得がいかないのか再選を申し込み、そんな彼女をプリムモカが笑っている。
「くっ…最下位とは情けない」
「病み上がりなんだ仕方ねぇよ」
リリスファタールが苦虫を噛み潰したような表情で拳を握りしめていた。エリザベス女王杯の直後に疲労骨折が見つかりそのまま引退となった彼女は自分が思うようには走れなかったらしく、その美しい顔を歪めて悔しさを表に出していた。
そんなリリスファタールをテュランダイナがフォローしている。纏う雰囲気こそ強面な彼女であるが、人一倍他人を気遣う性格であり、同室で入学時から寝食を共にしたリリスファタールには何かと気をかけていた。本人はその事を指摘されると顔を真っ赤にして否定するが、彼女が誰よりもリリスファタールのことを思っているのは事実であった。
「…………」
4位に終わったキンペイバイはというと先程のレースで感じた違和感を治すためにつま先で地面を軽く叩いては乖離した感触をなんとか同期させようとしていた。
このなんとも言えない違和感に根拠のない不安と冷や汗が流れるがこの事象に名前をつけることもできない彼女はただ自身の肉体の異常に不安を募らせるのだった。 - 38二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 09:00:13
- 39君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 09:14:21
このレースでキンペイバイに生じた違和感に気づいた観客席で観戦していたウマ娘は
1.タイキシャトル
2.マヤノトップガン
3.フジキセキ
dice1d3=2 (2)
- 40君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 09:26:57
レースが終わり、ウマ娘達はまたBBQ会場へと戻り先ほどのレースの話題で盛り上がっていた。当然のように本人達はその話題の中心であり、同じ席に着いたのも束の間、別の席から来たウマ娘と話したり、別の席に呼ばれたりでなかなか全員が席に着いているタイミングが無くなってきた。
それでも食べ盛りのウマ娘である。どんどんと肉や飲み物は無くなっていくので手の空いている者、大抵の場合はテュランダイナかキンペイバイが新しい皿や飲み物を持ってきていた。
そしてまた大皿の上に盛られた串が全て消えたのでおかわりを貰いに行こうとキンペイバイが空の皿を持ってタイキの所へと向かう。もうだいぶ食べたし本数は少なめでいいかなと考えていると、横から聞き慣れた声をかけられる。
振り向くと声の主はマヤノトップガンであった。
「どうしたのマヤノちゃん?」
「ちょっとさっきのレースで気になっちゃってどーしても聞いておきたかったんだ。マヤノ勘違いならいいんだけど、ペイバイちゃん、さっきのレースで怪我とかした?」
キンペイバイはこの質問に対し
1.走った時に思考と体が乖離しているような違和感があったと話す
2.異変は感じたが一過性のものだと思い心配ないと言う
3.体調不良が原因でふらついただけだと考え、異常については話さない
dice1d3=3 (3)
- 41君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 14:11:16
「ううん、怪我はしてないから大丈夫だよマヤノちゃん。たぶん最近運動してなかったら運動不足で貧血になっちゃったんじゃないかな?」
マヤノの心配にキンペイバイは笑って答える。実際、レース中に体感したあの感覚に近いのは貧血でつま先から力が抜けていくような脱力感のため、キンペイバイの言葉はあながち間違いではない。
とはいえ貧血で精神と肉体の感覚のズレは起こるはずもなく、その点はキンペイバイも苦しい言い分である事は分かっていた。分かった上で大丈夫と言ったのだ。
すでに目の怪我でドバイは棄権し、4月末の春天に向けて復帰の準備に取り組まなければいけない時期にこれ以上の体の不調を増やしたくなかったのだ。
「ペイバイちゃんが大丈夫だって言うならマヤ信じるよ。でも、もし何かあったらすぐに言ってね」
入学時からの友達からの心配の言葉にキンペイバイはどこか申し訳なさを覚える。だがその申し訳なさも自身の不調を誤魔化しているからではなく、マヤノの優しさをもらいすぎているという後ろめたさから来るものだと、心の中でそう強く願った。 - 42君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 14:12:46
その後キンペイバイは
1.同期達と食事を共にしとても仲良くなった!
2.今度同期でお出かけすることになった
3.引退した3人から現役の3人へ励ましの言葉が送られた
dice1d3=3 (3)
- 43君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 14:24:10
それから数日の時が過ぎ季節は4月。
今年も多くの新入生を迎えたトレセン学園は一層の活気に包まれていた。
新年度最初の大仕事トレセン学園ファン感謝祭に向けた準備はもうすでに進められており、少なくないウマ娘がファン感謝祭に向けての準備に奔走していた。
そんな中キンペイバイは感謝祭の準備の傍、自身の怪我復帰後の初レースとなる天皇賞春に向けてトレーニングに勤しんでいた。
数日前にようやく眼帯が取れた両目は以前の視力に戻っており、ようやく本格的な走行トレーニングを行えるようになっていた。
今年は春天の2連覇がかかっている事もあり、キンペイバイのトレーニングもより一層力が入っているように見える。
その日は練習終わりになんとなく遠回りがしたい気持ちになって三女神像の前を歩いていた。見上げる三女神は入学時から変わっておらず、変わったキンペイバイが並ぶと時の流れを感じさせる。思えば、ここで不思議な体験をしたのも1年ほど前のことである。
いきなり辺りが黒く染まったと思えば、光の中のウマ娘に出迎えられ、なぜか体の奥底から力が湧き出した。あの継承と呼ばれる出来事は偶然だったのか、今でも不思議で仕方がない。
こうして夕暮れの時間帯に三女神像の前にいるとまたあの不思議な事が起こる気がしてならない。目を閉じ、大きく吸い込んだ息と共に目を開けるとそこは光のない暗闇で……
「えっ…ここ…まさか…‥!?」
開いた瞼の先、未だ瞳を閉じていると錯覚するほどの暗闇。その闇の中確かに感じ取る己の輪郭が自身が開眼している事を教えてくれる。
「まさか…また…」
その答えを示すようにキンペイバイの視界の遥か遠くには一条の光が手招きをするように瞬いていた。 - 44君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 14:30:03
光に向かってひた走る。
そこが出口だと知っている今は初めて継承に巻き込まれて不安でいっぱいだったあの頃とは違い、そこに辿り着けばゴールだと言う安心感がある。
ならばこそ試したくなる。あの時の自分よりどれだけ成長できたのか。
ここに過去の影は見出せないが、あの光に向かって走った己を一歩分でも追い越せたなら自分はもっと強くなれるはずだとキンペイバイは信じていた。
ついに光を掴む。眩い閃光が走り抜けまた2人のウマ娘に出迎えられる。強い光に照らされ、そのシルエットしか見ることはできないが、何かを彼女達から受け取ったのだという実感は確かにキンペイバイの胸の中にあった。
継承ウマ娘dice2d100=60 76 (136)
- 45君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 17:32:06
- 46君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 18:37:33
因子継承により
1.能力の向上
2.ボリクリとシャカールの走りの固有因子(固有スキル)を部分的に受け継いでいる(別衣装も含む)
3.固有のロケットランチャーがもっと強そうなSFのビームバズーカみたいになった(固有性能上昇)
4.ロジカルになり賢さが上昇した
5.1+2+3+4
dice1d5=1 (1)
- 47二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:21:13
- 48二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:24:46
- 49君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 20:30:40
- 50二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:37:14
- 51君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 20:40:57
サバゲーもいいですね!確かに面白そうです。その場合なれるちゃんは固有のバズーカ持っていく事になりますね
- 52二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:45:10
- 53君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 20:47:06
- 54二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:51:12
ウマ娘の学生サバゲーってハンドガンメインなんかな
- 55二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:15:41
体格差が好きだしキャラ的にもヒシアケボノと戦ってほしい・・・
- 56君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 21:23:54
「西〜キンペイバイ〜キンペイバイ〜」
今年もやってきた春のファン感謝祭。ウマ娘達がそれぞれの参加種目や出店でファンを楽しませるこの日、キンペイバイはグラウンド近くに仮設された土俵の上に立っていた。
「東〜ヒシアケボノ〜ヒシアケボノ〜」
その対面にはヒシアケボノが立つ。2人とも運動着の上から褌をつけるなんとも頓珍漢な格好である。
そう、今年のキンペイバイはウマ娘相撲に参加しているのである。2度目の継承で確かな身体能力の向上を感じたキンペイバイは挑戦した事のないものに挑戦してみようと思い立ち、この競技に参加したのだ。
とは言っても相手はこの分野ではトレセン随一とも言えるヒシアケボノである。苦戦は免れないだろう。
実力
ヒシアケボノdice1d100=45 (45) +50
キンペイバイdice1d100=41 (41)
繁殖牝馬ボディの破壊力
dice1d100=56 (56) +50
(100以上で右ミミはウマソウルが興奮状態になる)
- 57君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 21:37:37
「はっけよーい!のこったっ!!」
行司に扮したゴルシの合図とともに試合が開始される。
先に仕掛けたのはキンペイバイであった。入学当初から身長も体格も成長したとはいえヒシアケボノとは頭ひとつ分以上の体格差がある。体が全てと言っても過言ではない相撲では圧倒的に不利な立場である彼女はやられる前にやる速攻で勝負をつけにきたのだ。
しかしそこは経験者であるヒシアケボノ。キンペイバイがそう行動してくるのを見越し、体勢をわざと低くして正面からかち合ったのだ。
キンペイバイの100cmオーバーのLカップバストと公称値99cm実測値100cmオーバーのヒシアケボノの爆乳がぶつかり合い、押しつぶされる。こうなっては先に褌を取るほかないが手の長さではヒシアケボノが圧倒的に上であり、自分の褌が取られないようにするのが精一杯で、その大きな尻につけた褌にヒシアケボノの手が触れないよう必死に防戦を続けていた。
だが、ここでヒシアケボノが勝負に出る。互いに押し合いの状況から身を翻し、キンペイバイの体勢を崩したのだ。こうなると自慢の体幹も意味を成さず、簡単に褌を掴まれてしまう。
見上げたヒシアケボノの顔はまさしく捕食者、その眼光に射抜かれた瞬間キンペイバイの体から力が抜けてしまう。それどころか体の奥底から発火したような熱が全身へと広がり、朝となって冷え落ちる。
ヒシアケボノの圧倒的な腕力でふわっと浮かされてしまうキンペイバイの体。このまま投げ飛ばされると思い反射的に目を瞑る。
しかし、伝わってきた感触は足先からの冷たい土の感触。恐る恐る目を見開くと土俵の縄の外についた自分の足と、自分の体を支えるヒシアケボノの姿があった。
決まり手──寄り切り - 58二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:44:15
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- 59君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 21:45:45
観客のミギミミウマ娘達の反応
興奮度dice1d100=94 (94) +50
(75以上で雄が出てる。100以上になると大興奮)
うまだっち度dice1d100=13 (13) +50
(100を超えるとここちんがうまだっちしてる)
ちなみにこの時点でキンペイバイのボディは
1.肉感たっぷりで男受け抜群だがよく見ると競技者の肉体。もう少しでフケが出てしまう
2.ステータスより成長している。実は本人も気づかないうちにフケになりかけている
3.もう赤ちゃん産んでそうな体だねと某所で書かれたくらいに成長しまくっている。あとフケが出始めている
dice1d3=2 (2)
- 60君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 21:47:24
サバゲーはルールをよく知らないのでちょっと勉強してきます。何かアドバイスや要望ありましたらお願いします
- 61二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:48:45
純情!
…本当にそうか? - 62二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:50:43
- 63二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:54:49
- 64君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 22:11:46
- 65二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:13:54
エース、ブライト、ユキノ、ダンツ
アルダン、カルストンライトオ、余、タイキ、カレン
タイキいるじゃないですかやだー! - 66君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/20(土) 22:16:05
キンペイバイチーム
・キンペイバイ
・カツラギエース
・ナリタトップロード
・ユキノビジン
・ダンツフレーム
他モブウマ娘×5
敵チーム
・メジロアルダン
・カリオストンライオ
・オルフェーヴル
・タイキシャトル
・カレンチャン
他モブウマ娘×5
全員まだキャラのわかる子達でよかった……
ところでなれるちゃんのバズーカとタイキのリボルバーはほぼ確定ですが他のウマ娘が持ってる銃は何がいいと思いますか?機種でも種類でも出していただけると頑張って調べます - 67二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:38:54
- 68二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 02:29:09
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- 69二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:53:26
アルダン→ガトリング
カレンチャン→P90
かな?正直銃の知識がないからなんとも言えないけど - 70二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 10:24:31
オルフェーブル:デザートイーグル(金メッキ仕様)
カレンチャン:デリンジャー(なぜか無限に出てくる)
拳銃は専門外なんだよなぁ…
ならもっと大型モデルガンでもいいやん!ウマ娘ならもてるやろ!そもそもペイちゃんバズーカだし!という逆転の発想をすると
アルダン:ブローニングM2重機関銃(全長165cm戦車用車載機関銃としてよく使われる、本当に電動モデルガンあってビビる) - 71二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 18:12:42
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- 72二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 22:49:48
- 73二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:18:19
サバゲーよく知らんけどウマ娘の身体能力なら人間よりも機動力はあるだろうし、スナイパー以外は正確性より面制圧タイプの銃の方が発展してたりするんだろうか?
- 74二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:25:36
基本サバゲーって単発で撃ち合うことが多いかも
ルールによってはフルオートありもあるけど
大体銃の性能(弾速)は一定だからあとは集弾性が問われる遊びかなぁ
でもごつい銃ってロマンあるよね…(ガスブロAK持って走り回って吐いたけど) - 75二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:45:57
Ace Katsuragiと言いたいんだな!
- 76二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:49:10
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- 77二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:49:42
- 78二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 08:01:44
保守
- 79君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/22(月) 08:16:58
ファン感謝祭はトレセンの威信のかかっている部分も大いにあり、投入される機材に妥協はない。故に普通に考えたら技術的・機材的に難しいような事でも可能だったりする。
そう例えば、リアルタイムのサバゲー中継を大スクリーンに映す事も可能なのだ。
今回のファン感謝祭の目玉の一つとして行われるのが「フラッグ争奪サバイバルゲーム」である。これは前年のチャンバラ陣取り合戦の好評からよりスポーティーかつエキサイティングさを求めた感謝祭運営によって企画されたものであり、使用されるエアガン等も原則として運営から支給される事になっている。(もちろん自身の銃を持ち込む事も可能である)
ルールは至ってシンプル。敵陣営のフラッグを制圧したチームの勝利、それだけだ。故にこのルールではいかにして前線を維持しつつなおかつ敵陣地に侵攻できるかが勝利のキモとなってくる。
1チーム10人複数チームで分かれた参加ウマ娘達は皆、自身の銃を手に取って目を輝かせたり、安全用の防具を装着して試合開始を待っていた。
この中にキンペイバイの姿もあった。いつもはツインテールにしている髪をポニーテールにまとめ、その体は自分用の防具で固めてある。コスプレ趣味のキンペイバイは勿論銃を扱うキャラクターのコスプレもした事があり、その時にいくつか集めていたものを今回持ってきていた。
最低限のチェストガードにガンベルトに最低限のマガジンを携行、太ももに固定するように配置されたホルスターに収まるのはカーキ色のM17。そしてその背には彼女の身の丈以上はありそうな角張った物体を背負っている。これが彼女の今回の愛銃である市販のグレネードランチャーをベースに改造したモノである。
真剣勝負というよりはエンタメ性の方が重視される今回のゲーム、彼女のように一芸に特化した銃を持ってくる者も少なくない。 - 80君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/22(月) 08:59:20
これまでに順調に勝ち進んできたキンペイバイチーム。次の対戦相手として発表されたのはアルダンやタイキのいるチームであった。
シンボリクリスエス率いるチームとの激戦を制した彼らはまさに強敵と言えよう。
しかしてこちらも勝ち上がってきたチームである。むしろ勝ち上がり制の今回のゲームでは上に行けば行くほど対戦相手が強くなるのは当然と言えるだろう。
「次の相手はオルフェーヴルにタイキシャトルと手強い奴ばかりだが、アタシらが負ける道理はどこにもねぇ。勝ちに行くぞ!」
チームのまとめ役兼盛り上げ役であるカツラギエースの掛け声と共にチームの指揮も盛り上がっていく。
各々が自身の銃の最終確認を行い、スタート位置へ着く。気合いは十分、スタートのサイレンと共にフィールドへと駆け出して行く。 - 81君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/22(月) 10:02:36
ゲーム開始直後、とにかく1人で行動しないようツーマンセルで動くキンペイバイチーム。
慎重にクリアリングしつつ進むエースとユキノの方に近づく足音があった。
「迂回、妨害、言語道断。最短距離を最速で駆け抜けることこそ勝利への道!そこを退きなさいベニヤ板どもよ!停滞を選ぶお前達に私の歩みを止める資格はない!」
足音の正体は意味不明な事を喚き散らしながら爆走するカルストンライトオであった。その手には対戦車ライフルであるPTRS-41とPTRD-41が握られ、背中にはワルサーWA2000を背負い、暴走機関車の如き挙動でステージの壁を無視し、ほぼ一直線に進んでいる。
「アイツ対物ライフル両手2丁持ちしてやがる…!ユキノ、お前はここで待ってろあの直線バカはアタシが止める」
今カルストンライトオを止められるのは自分しかいないと判断したエースは愛銃であるAK74のセーフティを解除すると、困惑するユキノを置き去りにしてカルストンライトオの元へ駆け出す。
壁の向こうへ消え、姿が見えなくなったその数秒後フィールド上空で空中戦を繰り広げるエースとライトオ。
地に足浮きまくっている戦闘に呆気に取られているユキノは背後から忍び寄るもう一人の影に気づくことができなかった。
背中に冷たい金属質の感触を感じ反射的に振り返ると、喉元にナイフが当てられる。
「HITでいいよねユキノちゃん」
そこには可愛さのカケラもないナイフキルを仕掛けたカレンチャンの姿があった。 - 82二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 17:56:58
保守
- 83二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 18:48:30
確かにナイフキルありなゲームももちろんあるけどさぁ…ほんとにやる人そうは居ないぞ…
- 84二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 20:25:22
マジで可愛さのかけらもなくて草
一体何があったカレンチャン…w - 85二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 23:19:34
このレスは削除されています
- 86二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 09:08:17
保守
- 87君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 09:49:36
さて、序盤からハイライトが目白押しだった前半戦ではフラッグの動きはなく、もう間も無く始まる後半戦でどちらかの勝利が決まる事になる。今回のフラッグ戦では勝ち抜きの都合上制限時間までにどちらのフラッグも獲得されなかった場合は、終了時点でフラッグにより接近していたチームの勝利となるためフラッグを獲ってストレート勝ちを選ぶか消耗戦に持ち込んで距離の優位さで勝利するかチームによって判断が分かれるところであった。
前半戦序盤から押し込まれ気味だったキンペイバイチームとしては消耗戦は分が悪いと、なんとしてでもフラッグを獲りにいくつもりのようであるが、そこに立ち塞がるのがアルダン率いる相手チームである。
3丁のスナイパーライフルを装備し突撃して場を引っ掻きまわす鉄砲玉カルストンライトオ、そのライトオに目を向けているとガラ空きになった背中を狙いに来るカレンチャン、ゴリゴリにカスタムされたベクターで堅実かつ大胆な攻め方で圧倒してくるオルフェーヴル、タイマン最強のリボルバー使いタイキシャトル、そしてフラッグを守る最後の壁にして最大火力ブローニングM2重機関銃で陣取るメジロアルダン、これに加えて統率の取れた他5人のウマ娘もいるのだからかなりの難敵と言えるだろう。
事実としてキンペイバイチームのキル数と相手チームのキル数では倍近いスコアがあった。
さて、この強敵達を相手にキンペイバイ達はどう戦うのか間も無く後半戦のスタートである。 - 88君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 10:15:04
後半戦開始のアラームと共に相変わらずの最高速度で飛び出して行ったカルストンライトオを見送りながらアルダン達は自陣の防御を固めていた。
前半戦でまともにやり合えばこちらを消耗戦に持ち込むには難しいと判断した相手チームは必ずフラッグを奪取しにくると考えたアルダンの指示であえて座して待ち迎撃、その後にカウンターに移るという作戦を立てた。勿論それでは相手が来ない場合敵にゆっくり進軍する時間を与えフラッグ距離の差で敗北する可能性もある。そのため、カルストンライトオを鉄砲玉とし場を撹乱、ライトオの対処には相手チーム1番の機動力の持ち主であるカツラギエースが当たらねばならず、そこをオルフェーヴルに相手を突いてもらいこちらの陣地にわざと誘い込もうという算段なのだ。
案の定、ライトオが相手の陣地に入ってすぐエースが飛び出し二人は空中戦へと移り、その下方では数人のウマ娘を連れたオルフェーヴルが進軍している。
「順調ですね、あとはオルフェーヴルさんに慌てた相手チームを仕留めるだけです」
観測班と連携し戦場の動きを観察していたアルダンは自身の作戦が上手くいき冷静さを保っているがかなり上機嫌である。そんなアルダンとは正反対にタイキの表情は険しい。
「手負いのCOWほど恐ろしいものはありまセーン。油断をしているとコワーイ目にあってしまいマース」
歴戦の経験からくる勘はタイキにまだ油断を許していなかった。敵の最大機動力を奪い、敵陣地に撹乱進行中、その様子もリアルタイムに観測できている。何一つとして不利な要素はない。なのに大事な可能性を見落としているように感じてしまうのだ。 - 89君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 10:49:45
「HIT!」
それはアルダンチームのスナイパー兼観測役が撃たれたことから始まった。
敵チームのスナイパーによるカウンタースナイプの可能性を真っ先に考えたアルダンはすぐに双眼鏡を取り、スナイパーの位置を確認しようとした。だが、スナイパーのあると思われる方向にはスナイパーの姿はなく、ならば移動している影だけでもと気を逸らしてしまう。
それが命取りであった。
ポンポンという軽い音が遥か前方より響いた。通常の人間ならば聞こえないくらいであるが聴覚に優れるウマ娘ならば聞き取る事ができる。だがBB弾の発射されるシュパシュパという音が基本的なこの場所にてそんな音の存在をアルダンは知らない。知らないからこそ気がつくことが無かった。天から落ちてくる無数のBB弾に。
「あのー私、一つ作戦を思いついたんですけどいいですか?」
後半戦開始直前、スタート位置についたチームメンバーにキンペイバイが一つの提案を行なった。
それは相手の牙城をいかにして崩すかという事であった。何がなんでもフラッグを獲りにいく、それはチームで既に決定していることであったがそこに辿り着くまでの具体的な作戦は臨機応変に対応ということで作戦の骨子のようなものはなかった。
「前半戦で気付いたんですが相手の動き、まるでこちらを上から観察しているように完璧に背後を取ってくることが多いように感じました。もしかしたら相手チームに観察役がいるのかもしれません」
「つまり、アタシたちのする事はそいつを通じて全部相手に筒抜けってことか?」
「仮説が正しければおそらく」
あり得ない話ではなかった。カレンチャンを始めとしてオルフェーヴルや他のウマ娘達も必ず背後や相手が優位なポジションで会敵する事がほとんどであり、ツーマンセルで行動していてもどちらか片方は打ち取られてしまうことが多発していた。そう考えると俯瞰して観察しそれを伝達する役割を持った相手がいると考える方が妥当だろう。
「これは相手の強みですが同時に弱みだとも言えます。この目を潰してしまえば相手の行動はたちまちに制限されてしまいます。そして相手が混乱しているうちに一気に攻めて相手の復活時間が回復しないうちに制圧する、それが私の作戦です」 - 90君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 10:50:12
この作戦を成功させるために必要な事は3つ。
まず一つは相手にこちらの意図を探らせない事。敵チームにはアルダンを始め頭のキレるメンバーが多数所属している。下手なことをすればすぐにこちらのしようとしていることがバレ、作戦が瓦解してしまう。
二つ目はこちらのスナイパーの位置を知られない事である。これは巨大な背負い物をしているキンペイバイとともに行動することでスナイパーライフルの存在を隠匿することで対処している。
三つ目は相手チームに予想外の攻撃を仕掛けることである。これは主にブローニングM2を使用するアルダンの無力化を目的としている。前半戦、一度だけ相手のフラッグに迫った瞬間があったが、それはアルダンのブローニングによって一掃されてしまったのだ。あれを対処しない限りは勝利は難しいと言えるだろう。幸いな事にこちらにはダンツフレームの持ち込んだ六連装グレネードランチャーがあり、突破口となった。
かくして敵チームの裏の裏をかく心理戦が始まったのだった。 - 91君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 11:25:46
序盤、やはり突撃してきたカルストンライトオは予定通りカツラギエースが対処することになった。これは相手側にエースの機動力を見せつけると同時に、実力が多分に知られているエースを当てなければライトオが止められないと相手チームに強く認識させ、意識を向けさせるためである。
その間、キンペイバイとタッグを組んでいるユキノはキンペイバイにスナイパーライフルを預け、偽装用のサブマシンガンを携行していた。彼女達の探しているのは不自然な光である。敵が双眼鏡やスナイパーライフルを使用しているのなら日差しの角度的に光を反射するはずであり、それを狙って撃つつもりなのだ。
ゲーム開始から約三分後、ついに高台の怪しい光を発見する。しかし角度が悪い。この場所で撃っても当てるのは困難だろう。それに悠長に構えていては相手に発見されるリスクもある。
「任せてペイバイちゃん、あたしカフェさんからこういう時の狙い方を教わってきたの」
場所を変えて撃ちやすい狙撃ポイントを探すべきか迷うキンペイバイにユキノが任せて欲しいと言ってきた。その顔は不安まじりではあるが自信もあり、現状打破のわずかな可能性に賭けて彼女に預けてみる事にした。
「カフェさんは実銃を使った戦い方と違ってサバゲーならどこに当てても一撃で相手を倒せるから無理に急所を狙う必要はないって言ってた。だから、あの手のところを狙ってみる」
簡単に言っては見せているがここからは相当に距離が遠い。いくら相手がギリースーツの類を着ていないと言っても当てるのは至難の業だろう。しかもチャンスは一度きり、身を乗り出しわずかに一呼吸の間で撃たねばならない。
意を決したように飛び出すと腰溜めに構え撃つ。走って構えて撃つこれを一息の間に行うのだから大した物である。
放たれたBB弾は風の影響を受けつつも真っ直ぐに敵の狙撃手へと向かっていき…
「HIT!」
相手狙撃手の威勢のいいヒットの声と共にキンペイバイ達の作戦は次の段階へと移る。 - 92君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 11:39:58
「ダンツちゃん!私達の出番です!」
「はい!方向お願いします!」
敵の狙撃手のヒットを合図に後方に控えていたナリタトップロードとダンツフレームが動き出す。彼らの役目は混乱した敵陣地への強襲。ダンツフレームの持つ六連装グレネードランチャーはそれにピッタリの武器であった。
「方向はまっすぐ距離は20mくらい、アルダンさんです!」
「80m……行きます!」
ポンポンとわずかな角度の違いをつけて放たれたBB弾の雨は相手狙撃手を探すのに夢中になっていたアルダンには避ける事はできず、あえなく討ち取られてしまった。
「やった!やった!」
「すごくすごいですダンツちゃん!」
アルダンという最大の壁を崩したことを喜ぶ2人であったが突如として2発響いた銃声に倒れてしまう。
白煙の立ち昇るリボルバーを構えるタイキシャトルはこれからくるであろう相手チームの進行に備えフラッグの前に陣取る。
「さぁ、ミナサーン、ワタシと遊びまショー」
自信満々余裕たっぷりと言った表情は昨日今日銃を握った新人に負けるつもりはないという気持ちの表れか、何にしてもここに来てキンペイバイチームにはタイマン最強のタイキシャトルを突破する必要性が出てきてしまった。
「まさか、アナタがファーストチャレンジャーとは思いませんでしたペイバイチャン」
最後に残った最強の刺客の前にキンペイバイは1人立ち向かった。 - 93君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 11:52:16
「ドーしますか?そこに隠れているユキノと一緒に2vs1にしマスカ?」
「タイマンで…お願いします」
キンペイバイの頬に汗が流れる。本来の予定ではタイキシャトルとの一対一を演じている間にユキノにフラッグを獲ってもらうか、援護射撃をしてもらう予定だったのだが隠れていることがバレている状況では無闇に動かす事はできないだろう。
「OKデース!ワタシもペイバイチャンとガチンコ勝負してみたかったんデース!!」
ホルスターに納めた彼女の愛銃コルトSAA(シングル・アクション・アーミー)が鈍い輝きを放つ。すぐにでもドローできるその体勢はキンペイバイにも早く自分の銃を構えろと言っているようである。
本来ならばタイマン勝負は避けたいところであるが、早撃ちであればまだ可能性はある。キンペイバイの得物はバズーカであり、発射するBB弾の総量では圧倒的に勝る。その分リロードは不可になってしまうが、最悪の場合は太もものホルスターにしまったM17を抜けばいい。最も、そんな暇をタイキが与えてくれればの話であるが。
お互いに構えた両者の間に緊張が走る。何か些細なきっかけと共に炸裂するエアーの来るのを待っているように空気が薄くなり、息苦しさを覚えるような感覚を自分の体が勘違いしそうなほどである。
やがて吹いた木枯らしが桜の花を撒いたらせたその瞬間、両者は互いの銃の引き金を引いた。 - 94君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 11:58:18
早撃ち勝負の結果
(ダイス値の高い方の勝ち)
(ダイス値の差が10以内なら相打ち)
キンペイバイdice1d100=6 (6)
タイキシャトルdice1d100=44 (44)
- 95君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 16:14:45
エアーが圧縮され金属製のパイプを通り抜ける時に出る特有の音が"1つだけ"響く。
「………っ!」
白煙を上げるのはタイキシャトルのコルトSAA。対してキンペイバイのバズーカはグリップが手から離れていた。
あの一瞬、タイキシャトルは当たりやすいキンペイバイのボディではなくバズーカを持つ右掌を撃ち抜いたのだ。
いくらキンペイバイがグローブをしていようと衝撃は伝わる。不意に感じたその感触は思わず手を引っ込めてしまうには十分過ぎるほどで、戦う意志よりも身を守る本能が優先されてしまったのだ。
「どうしてわざわざ狙いにくい握り込んでいて右手を…他のところに撃ったほうが確実に当たっていたはずです!」
しなくてもいい神業を見せたタイキシャトルにキンペイバイは疑問を感じていた。勝利を求めるのならこんな魅せプレイはしなくてもいいはずだ。仲間思いのタイキシャトルがチーム競技においてわざわざ仲間のことよりも自分のしたい事を優先するはないとこの数年間でキンペイバイはよく分かっていた。
そんなキンペイバイにタイキはゆっくりと歩いて近づくと、BB弾の当たった右手を手に取った。
「もう引退したワタシと違ってペイバイチャンはまだまだ先のレースがありマース。それなのにもしケガをして走れなくなったりしてしまったらワタシはとても悲しいデース。だから、1番怪我のしにくい、跡の残らない場所を撃ちマシタ」
タイキがキンペイバイのグローブを外すとそこにはいつもと変わらない白磁器のように美しいキンペイバイの傷一つない白い肌があった。 - 96君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 16:16:16
「これから先たくさん悩んだり悲しくなったりする事があると思いマース。でも、そんな時こそブルーな気持ちに負けないでくだサイ。ペイバイチャンの良いところは最後の最後まで走り抜けられる事だとワタシは思っていマース」
それは励ましの言葉であった。何かとキンペイバイを気にかけていたタイキは今、不調の際中にあるキンペイバイをずっと心配していたのだ。
「タイキ先輩………」
タイキの手によって嵌められたグローブを思わず見つめるキンペイバイを、くるりと180°回してタイキはその背中を押す。
「まだまだ時間はたっぷりありマース。何度でも挑戦しに来てくださいネ♪」
パチリとウィンクをするタイキに一礼をするとキンペイバイは復帰のためにスタート地点へと駆け足で戻っていった。
さて、隠れていたユキノはというとキンペイバイが走っていくのを見てなんとかフラッグを奪取しようとしていた。そろりそろりと茂みを進み、フラッグまで一直線といった時、背後に気配を感じて振り返る。だが一歩遅かったようだ。
「HIT❤️」
小悪魔の笑みを浮かべるカレンチャンは今度はP90ALPINEをユキノの背中にぴたりとくっつけていた。
「もぉーまただべー!」 - 97君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/23(火) 18:17:59
試合結果
1.フラッグ獲得によりキンペイバイチームの勝利
2.フラッグ獲得によりアルダンチームの勝利
3.フラッグ未獲得・フラッグ距離測定によりキンペイバイチームの勝利
4.フラッグ未獲得・フラッグ距離測定によりアルダンチームの勝利
dice1d4=3 (3)
- 98二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 20:24:03
そうなったか
- 99二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:45:51
保守
- 100二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 12:32:03
保守
- 101二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 19:57:53
俺の155mmWP弾をペイちゃんに撃ち込みたい…(暗喩表現じゃないと普通に18Gです)
- 102二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 22:25:00
その7.7mm弾しまっとけ
- 103二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 23:51:06
日付変わるとまず規制されるだろうから保守
- 104二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 07:04:12
朝保守
ネームドキャラの振る舞いも良き - 105君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 08:35:50
その後キンペイバイチームは
1.優勝した
2.惜しくも準優勝
3.次のゲームで普通に負けた
dice1d3=1 (1)
- 106君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 08:37:16
- 107君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 08:38:24
- 108君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 08:49:41
優勝という最高の結果でファン感謝祭を終えたキンペイバイは今年も開催される天皇賞春への出走準備のため日夜トレーニングに励んでいた。
この頃のキンペイバイの競争中の肉体と精神の乖離度
dice1d100=34 (34)
(50を超えるとかなり酷い)
この事に対してのキンペイバイの心配度
dice1d100=82 (82)
- 109君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 10:05:11
以前として全力走行中の肉体と精神の乖離というのはまだ起こっていたが、その進行はゆっくりとしたものであり、すぐさま引退とかそういうものになるようなものではないと言えるだろう。
だが、10代の少女がアイデンティティの一つに重大な枷をかけられるというのは途轍もない精神的な重荷でもあり、その心配は天皇賞春が近づくにつれ日に日に膨れ上がっていた。
そしてもう一つ、キンペイバイにはある変化が起きていた。
深夜、彼女は布団を深く被りモゾモゾと動いていた。その手には携帯が握られ、同室のルドルフを起こさないようコソコソと電話の相手との会話を楽しんでいるようだ。
「いつもごめんね、こんな夜遅くまで付き合わせちゃって」
『大丈夫だよ。俺もキーちゃんと話せて楽しいし』
電話の相手は少年であった。
最初に電話をかけたのは少年であった。今年の春から進学した高校の事で忙しくなかなか会えていなかった少年は、久しぶりにどこかに出かけようかと誘ってきたのだ。今度は神奈川の水族館を訪れた2人はその日を目一杯楽しみ、また遊ぼうと約束を交わした。そしてその時、キンペイバイからある要望を少年はされていた。
曰く、今度は自分から電話をかけてもいいかという事であったが、少年としてはこれを断る理由もなくどうして彼女がそんなことを言い出したのかを考える事なくokを出していた。
「それでね、今日の学食はとっても大きなエビフライだったんだけど付いてきたタルタルソースがすっごく美味しくて……」
それから毎日のようにキンペイバイは少年に電話をかけていた。話す内容はその日あったことや目に飛び込んだネットニュース、週末は何をするのかといったたわいもない事である。唯一、キンペイバイが自分からレースのことに関して全く話題に出さない、出したがらないというのはあったが少年はキンペイバイとのお喋りが楽しくてそんな違和感に気づいていなかった。 - 110君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 10:25:16
キンペイバイが少年に電話をかける理由、それは彼女の不安からくるものであった。
上手く走れない、自分の思ったように動けない、そんな不安を抱えるキンペイバイは誰か寄りかかれる人を求めていた。最初は母親に頼ろうかと思った。だが、母にこの事を話せば心配をかけてしまうし、なにより貴方ならできると母らしい前向きな言葉で期待をかけられたくなかったというのもある。
そこでキンペイバイは同じように上手く走れなくなった経験のある少年に甘えることにしたのだ。勿論これは意図した事ではなく、無意識による物なのである。
『最近は師匠もウチの店に来たりしてくれて走る練習に付き合って貰っちゃってさ』
「じじトレさんが!?知らなかった…」
キンペイバイとのリハビリもあり少年のイップスはだいぶ改善していた。だが、陸上競技においてブランクとは残酷なもので、いかに才能に溢れている少年であっても現時点では都大会突破すら怪しい状態であった。
そこでキンペイバイが頼ったのがじじトレであった。自分を指導してくれている彼ならば少年にもアドバイスをくれるのではと考え、リハビリをしている公園にじじトレを連れて行ったのだ。
このキンペイバイの目論みは成功し、じじトレの指導を受けた少年は今自分ができる走り方に切り替え、着実に実力を取り戻していった。今年の春に入部した高校の陸上部ではすでに頭角を表しているようで、今度の計測会が楽しみだと語っていた。
そんな事もあり、少年はじじトレを師匠と呼び慕っていたのだがまさかそこまで交流が深くなっていたとはキンペイバイも思っていなかった。
「ねぇ、───くんは走るの楽しい?」
『楽しいよ。キーちゃんが思い出させてくれた楽しさだからね。ほんと、感謝してもしきれないよ』
「照れるってば〜」
『ねぇ、キーちゃん。キーちゃんの方落ち着いたらさ、また一緒に走らない?あの河川敷で、今度は最後まで』
「うん、約束だよ」 - 111二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 10:25:46
このレスは削除されています
- 112君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/25(木) 10:26:08
あの日のようにまた一緒に走りたい、そう願って頑張り続けた少年の願いがあと少しで届きそうな所まで来たのをキンペイバイは心の底から嬉しく思っていた。
それを表すかのように携帯の光に照らされるキンペイバイの表情は薄暗い暗闇でも分かるほど優しい笑みが浮かんでいた。
不安と幸せの最中にあるキンペイバイ。だがしかし、彼女は肉体の不調をレース方面にしか考えていなかった。
胎の奥底、本能が熱を帯びて広がっていくのをキンペイバイは気付いていなかった。
フケ進行度(現在、天皇賞春まで約1週間)
dice1d100=100 (100)
(100に近づくにつれレースどころではなくなっていく)
- 113二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 12:38:03
あっ…
- 114二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 12:41:23
あっ…
逃げろ少年 - 115二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 12:44:03
少年の何かとスレの存続の危険が危ない
- 116二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 17:37:23
だから何でこういう時に限ってダイスが跳ねるのよ!!!!!
- 117二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:21:10
少年のなにかとスレの存続を祈って保守
- 118君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 07:41:48
迎えた天皇賞当日。
昨年と同じように競技場には多くの人間が訪れており、そのほとんどが昨年の優勝者キンペイバイの活躍を期待しているようであった。
だが、観客達は知らない。
キンペイバイの胎の奥、ジクジクと熱を持って暴れ出そうとしている本能に。キンペイバイも気づいてはいたが気にしないふりをしていた。今日は連覇がかかった大事な日である。多少熱っぽいだけで休むわけにはいなかないのだ。
16歳を迎えるキンペイバイ、その肉体は『母になりたい』と訴えかけていた。
本日のバ場状態
1.快晴・良バ場
2.晴れ・良バ場
3.曇り・良バ場
4.雨・重バ場
dice1d4=3 (3)
フケ進行度
100+dice1d100=77 (77)
- 119君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 07:47:45
キンペイバイのレース内容(序盤〜中盤)
1.いつも通りの走りができている
2.少しペースが乱れ気味
3.いつも通り走っているようだが熱にうなされてぼーっとしているようだ
dice1d3=2 (2)
- 120君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 08:00:46
最終位を走り続け最終コーナー付近からの怒涛の追い上げを得意とするキンペイバイは今日もバ群の最後方に付けていた。ここまで見れば誰もが今日のキンペイバイもいつも通りの調子だと期待を持てるだろう。
だが実際の所はどうかというと……
「ハァ………ハァ………なんか、体が熱い…」
あまりにもいつも通りすぎて気づかれていないが、キンペイバイのペースは乱れ気味になっていた。胎の奥から広がる熱、理性とは関係のない本能、そして肉体と精神の動きの乖離に対しての無意識の恐怖。それら全てが複合的な要因となり、キンペイバイを苦しめていたのだ。
肉体と精神の乖離度
34+dice1d100=84 (84)
- 121君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 08:05:29
レース結果
1.1着
2.dice1d5=5 (5) 着
3.dice1d10=9 (9) 着
4.dice1d18=18 (18) 着
5.18着
dice1d5=4 (4)
- 122君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 08:15:04
『───1着!!』
けたけましい実況席の興奮気味なアナウンスと観客達の歓声と祝福が1人のウマ娘に注がれる。そんな様子をキンペイバイは遥か後方から見ていた。
18着
これ以上ない屈辱的な結果であった。
言い訳をしようと思えばいくらでもできる。最終コーナー付近で下腹の疼きが最高潮に達し上手く加速できなかった事、最終直線であの精神と肉体の乖離が発生し、体をうまく操れなかったこと、今回のレースの敗因は数えきれないほどあった。
だが、そんな事をしても言い訳は言い訳でしかない。敗者の惨めな言い分に耳を貸すものなどおらず、昨年の優勝者が地に堕ちたという結果しか観客達の記憶には残らない。
その日、ネットニュースには1着のウマ娘を讃えると記事と共に『キンペイバイ18着!ピークアウトか!?』という見出しの記事が数十万を超えるインプレッションを稼ぐことになるのをキンペイバイはまだ知らない。 - 123君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 09:19:37
その夜キンペイバイは……
1.少年に電話した
2.少年の元を訪ねた
3.安価
dice1d3=3 (3)
- 124君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/26(金) 09:20:39
- 125二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 10:11:45
自分を焦がす衝動の正体も分からず夜の街を彷徨うペイバイ、そこで誰か(ダイス)と出会う…
- 126二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 12:53:30
ルドルフに相談
- 127二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 17:32:28
衝動的に少年の所に行こうとするけど、わかっちゃったマヤノに止められる
- 128二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:20:47
今年の4月に入学したてのとねっ子(新入生)が何故か可愛くて仕方なくなり追いかけ回すようになる(新入生の方は嫌がってはいない)、クリークのアレがひどくなった感じでこれにはデジたんも必死で制止
- 129二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 08:43:00
曇らせ展開に入っているのに、ダイスだけはスレタイ通りにしなければならないという競馬神の意志を感じる
- 130君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 08:58:49
1. 自分を焦がす衝動の正体も分からず夜の街を彷徨うペイバイ、そこで誰かと出会う…
2. ルドルフに相談
3. 衝動的に少年の所に行こうとするけど、わかっちゃったマヤノに止められる
4. 今年の4月に入学したてのとねっ子(新入生)が何故か可愛くて仕方なくなり追いかけ回すようになる(新入生の方は嫌がってはいない)、クリークのアレがひどくなった感じでこれにはデジたんも必死で制止
dice1d4=2 (2)
- 131君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 09:45:54
「ルドルフ先輩…私の話、少し聞いてくれませんか…?」
天皇賞春が終わり肩を落として帰寮したその夜、もう寝ようかと部屋の電気を消そうとしたルドルフに今の今まで布団を深く被って寝ているように思われたキンペイバイが声を上げた。
このところ何か思い詰めた表情をし、それを質問してもなかなか答えてくれようとしていなかった大事な後輩がようやく自分から話しかけてくれたのだ、先輩として生徒会長として聞かないわけにはいかなかった。
「私でよければ聞かせてもらえないか?」
それからキンペイバイは目を怪我してから今に至るまでの全てを話した。
ドバイのレースを棄権し精神的に辛かったこと、トップスピードになると肉体と精神がチグハグになってしまうこと、最近体が熱くて気持ちが浮ついてしまうこと。
その全てを脱線したり、言葉に詰まってしまいながら話し終えたのは日を跨ぐ頃であったが、ルドルフは逃げずに最後までキンペイバイの話に耳を傾け続けていた。
「なるほど、話してくれてありがとう。それと、謝罪をさせて欲しい」
そう言うとルドルフは頭を下げてきて、思わずキンペイバイも慌ててベットから飛び起きてしまう。
「実は君の不調の事について聞いて欲しいと少し前にじじトレから頼まれていたんだ」
「じじトレさんから…?」
「年寄りの自分が聞くよりも同年代の方がなにかと聞きやすいものもあるだろうとの事だったんだが、聞くべきタイミングを逃し続けてしまっていた。本当にすまない」
「そんな…私が不貞腐れて隠し事をしていたのが問題なんです、先輩が頭を下げないでください」 - 132君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 10:05:15
なんとかルドルフに顔をあげてもらい、話題はこの後の事になった。
「これからどうするのかは決めているのかい?」
ルドルフに問いかけられたキンペイバイは力なく首を横に振った。正直なところ、彼女には今どうすればいいのか、ましてや今後どうすればいいのかなんて分からないのだ。
「それなら、私の提案を聞いてはくれないか?」
「おやおやおや、ルドルフ会長が私の元を訪ねてくるなんて珍しいこともあるもんだねぇ」
次の日、ルドルフに連れられてやってきたのは理科実験室と書かれたアグネスタキオンの根城であった。
「そちらに隠れているのはキンペイバイ君じゃないかい!久しぶりだねぇ!またデータを取りに来たのかい!」
キンペイバイを見つけるとタキオンは上機嫌そうに近寄ってくる。少なくとも彼女の中でのキンペイバイはデータを取らせてくれる優秀なモルモットのうちの一つなのだろう。少なくとも悪意は向けられてはいないようである。
「今日来たのは私の個人的な頼みからだ。君にとっても有意義なものになると思うのだが、やってはくれないか?」
「それはその頼みの内容によるねぇ」
睨み合う両勇、なんとなく剣呑な雰囲気をキンペイバイは感じ取っていた。 - 133君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 16:11:18
「君の問題はウマソウルに由来する問題だと私は考えるね」
触診やら変な電極を付けて走らされたり、変な薬を飲まされたりとなんのデータをとっているのかもよくわからない機械を当てられたり、もはや彼女の知的好奇心を満たすためだけなんじゃないかと思うような質問攻めののち、タキオンから語られたのは肉体でも精神でもない全く新しい原因についての話であった。
「私達の存在の根幹にあると言われているウマソウル、理論はあるが実証はされていない存在するのに認知できないものとしては有名なものの一つだ。名前の通り、これはウマ娘の魂に大きく左右するもしくはそれそのものだと言割れているが……ときにキンペイバイ君、プラシーボ効果というものは知っているかな?」
「えっ!?あ、はい。治療薬として効果のない薬を患者さんに飲ませ続けたら治ってしまったっていうやつですよね?」
「概ね正解だ。ここで大事なのは思い込みや精神的なものというのは肉体に強い影響を与えうるという事だ。つまり、キンペイバイ君が今直面している問題というのは紐解けばこのウマソウルが君の肉体に強い影響を与えているのが原因だと言えるだろう」
部屋の隅から理論やら難しそうな公式で埋め尽くされたホワイトボードを持ってくると、それらを乱雑に消し新たな図式を書いていく。
「君の抱える2つの問題のうち1つは過去に何度も実例がある。君のそれはいわゆる『フケ』と呼ばれるやつだ。肉体が繁殖欲に掻き立てられ、番つまりは雄を求める本能の比重が大きくなる。過去にはこれが原因の傷害事件も起きていてね、生徒会長さんならもちろんご存知だと思うが」
「あぁ、トレセン学園でも過去に何度かそういう事件が起こりかけたことがある。無論、全ては未然で防がれたが発生頻度の問題と表面化しにくい問題から対応は常に後手後手なのが現状だ」 - 134君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 16:11:35
ルドルフのその表情から察するに、かなり重大な問題のようだ。自分もそうなっていたかもしれないと考えるとキンペイバも肝が冷える。
「それとかの話には面白い話があってね、このフケを起こすウマ娘は決まって『耳飾りを左につけた』ウマ娘なんだ。我々がつけるこの耳飾りの左右差というのもウマソウルによるものだと考えられているが、もしかしたら左耳飾りのウマ娘は本来、主に繁殖に用いられていてその名残が残っているのやも……」
「アグネスタキオン、話が脱線しているぞ」
「怒らないでくれたまえよ、これはあくまで統計的な話に過ぎないさ。さて、このフケについてはある程度の対策を講じる事が可能だ。それが薬によって沈静化を図るという方法だ。副作用もなくドーピングの心配もない、あとで紹介文を書いてあげるから近くの病院を受診してきたまえ。」 - 135君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 16:34:38
「問題はもう一つの方だ。走行中肉体と思考が連動しなくなるなんて事例は私でも聞いた事も論文を見た事もない。だが、キンペイバイ君の話を聞き実際の彼女のレースの映像を見る限り疑う余地がないのも事実だ」
フケについては簡単に答えを出せたタキオンであったが、今彼女をもっとも苦しめる問題については納得できる答えを出せないようである。
「考えられるものとしては2つ、まず一つは急速なピークアウト。打ち止めになり低下していく競争能力にもどかしさを感じる競争ウマ娘は多い。だがそれらには肉体と思考の乖離なんてものは発生し得ないんだが…最近のトレーニングタイムはどんな感じだい?」
「えっと…目の怪我で全力でトレーニングができなかった分を取り戻すために頑張ってて、今は怪我以前の状態に戻っています」
彼女にピークアウトの兆候が見られないのは誰が見ても明らかであった。スピードに乗れなかった昨日の天皇賞春においても、ウマ娘のレースに詳しい人間が見れば走り方がぐちゃぐちゃでまるでなっていないとすぐに分かるだろう。
「ふむ、そうなるとやはり考えられるのはもう一つの可能性、"ウマソウルの成長と肉体の成長が噛み合わなくなった"だろうね」
ホワイトボードに新たに二つの人形が書き足される。
「君の同期にコードヘブンというウマ娘がいただろう?彼女は本格化不全症候群、つまり肉体の急速な発達にウマソウルがついてこれず肉体の強度が競争能力に対応しきれなくなった事例だ。対して君の場合はその逆、成長したウマソウルに君の肉体が追いつかなくなってしまったんだ」
「ウマソウルの成長…?とかはよくわからないんですが、つまり私が私のウマソウルに追いつける体にならばいいという事ですか?」
「それは難しいと思うねぇ、現時点で君の肉体は最高到達点にある。これ以上伸ばすのは至難の業だろう。それにこれはフケも組み合わさり体が走る事よりも子を成す方向に持って行かれているのも原因の一つだと言えるだろう、いくら頑張っても子供を育てたがっている体ではそうではない他ウマ娘と競り合うのは難しいと私は考えるねぇ」 - 136二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 16:47:24
このレスは削除されています
- 137君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 16:50:20
『とにかく今は薬を飲んでフケを落ち着かせてから、この順序を間違えては君は2度とあの速度には辿り着けないよ』
そうタキオンに釘を刺されたキンペイバイは彼女の紹介文を手にトレセン近くの大きな病院へと向かっていた。なんでもそこの病院はウマ娘に関する知識の豊富な医者が揃っているらしい。
準備室を去った後、ドアの向こうからなにやら取引のような話が聞こえ、ルドルフが自分のためにタキオンの要求を飲んででも彼女に頼ったのだと言うことを察したキンペイバイは申し訳なさと嬉しさでいっぱいいっぱいであった。
帰りにケーキの一つでも買ってお礼を言おう、そう考えていると住宅街の隙間から目的地の病院が見えてきた。
地図と照らし合わせそれが目的地であることを確認すると、再び歩き出そうとしたその時であった。
「あれ?キーちゃん?」
声のする方を振り向くと、制服姿の少年が立っていた。学校帰りなのだろう、部活カバンを持っていないあたり今日は部活動が休みで早く帰ってきたのかもしれない。
高校生になって──というよりも走るためのリハビリをしてからだいぶ明るくなったように感じる少年は、生来の顔立ちの良さも相まってオシャレな私服に着替えたら雑誌モデルも似合いそうなほどである。
自分も用事があるので一言挨拶だけして病院へ行こう、そう考え口を開こうとしたその刹那、準備室を出る際にタキオンに言われた言葉がフラッシュバックする。
『フケが酷い時は少しでも好意を持っている異性には絶対に会ってはいけないというのは肝に銘じておいて欲しいねぇ。どれだけ理性で抑えつけても歯止めが効かなくなるのがフケだからねぇ』
キンペイバイの理性
dice1d100=81 (81)
(30を下回ると危険・20を下回るとだいぶ危険・10以下だとすごく危険)
- 138君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 17:11:09
フケ170%超・理性約80%キンペイバイは……
1.ちょっとお腹が熱くなる
2.息が荒くなる
3.危ない予感がしたのでそそくさと立ち去る
dice1d3=3 (3)
- 139君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 17:20:35
その瞬間、危険な予感のしたキンペイバは一も二もなく病院へと駆け出して行った。
のちに少年はこの時のことをこう語る。
「びっくりしました。レースなんじゃないかってくらい速いスピードで走っていっちゃいましたから。でも、キーちゃんがそんなふうになるなんてきっと何か事情があるんだろうなって思ったので特に気にはしていませんでした」
無事に病院へと辿り着いたキンペイバイは薬をゲットした! - 140君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/27(土) 17:55:52
- 141二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 17:59:35
フェロモンが出て右耳飾りの子たちに追い回される
- 142二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 18:17:00
なんだかんだスレの存続は守っていくダイス神の名采配
安価なら、じじトレにもときめいてしまう - 143二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:00:15
再び少年とニアミス
- 144二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:43:00
フケの影響で私服の露出度が増えてアメスクみたいになる
あと制服でも谷間露出するようになる - 145二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 00:41:38
- 146二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 09:15:24
お、俺はそこにコスプレ自撮り写真を添えて「会えなくても寂しくないように写真送るね❤」ってやってくれると嬉しい…
- 147二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 17:16:05
コードヘブンと鉢合わせる
- 148二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 21:30:05
保守
- 149二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 06:56:14
こうなっちゃうと、つくづく最初のクズトレと早々に縁を切れて良かったなって思うな……
- 150君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 09:24:18
1. フェロモンが出て右耳飾りの子たちに追い回される
2.じじトレにさえトキメク
3.少年とニアミス
4. フケの影響で私服の露出度が増えてアメスクみたいになる・制服でも谷間露出するようになる
5. 少年にLANEで「しばらく会いたくないけど嫌いとかじゃないから♥」と送り、コスプレ自撮り写真を添えて「会えなくても寂しくないように写真送るね❤」と続けて送信
6.コードヘブンと鉢合わせ
dice1d6=1 (1)
- 151二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 09:33:25
このレスは削除されています
- 152二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 09:35:46
このレスは削除されています
- 153君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 09:37:34
- 154二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 09:41:50
このレスは削除されています
- 155二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 09:43:08
このレスは削除されています
- 156君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 09:44:31
御執心度
(高いほどキンペイバイに対するアプローチが強い)
(☆マークのついているウマで80を超えたら実馬で産駒の可能性)
☆ドリームジャーニーdice1d100=24 (24)
イナリワンdice1d100=34 (34)
☆テイエムオペラオーdice1d100=65 (65)
ミホノブルボンdice1d100=97 (97)
☆シュヴァルグランdice1d100=82 (82)
- 157君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 09:50:08
特に執着の強い2人に絞ってやります
それぞれがキンペイバイに対してしてくる行動
ミホノブルボンdice1d4=2 (2)
シュヴァルグランdice1d4=3 (3)
1.トレーニング 2.コスプレ趣味に付き合う 3.ご飯を一社に食べようと誘う 4.安価
- 158君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 10:22:57
コスプレについて学びたいと言い出したのはミホノブルボンであった。
彼女の勝負服は歴代ウマ娘の中でも一際異彩を放つSF的要素に振り切ったものであり、同じSFに含まれるジャンルでもサイバーパンクをイメージしているキンペイバイとロボット系純サイバー系近未来系をイメージしているミホノブルボンではその様相は大きく異なる。
キンペイバイはかっこよさに振り切っていたミホノブルボンの勝負服、そしてそれを着こなすスタイル抜群な彼女に憧れを持っていたのだが、そんな彼女からまさか自分の趣味のことについて教えて欲しいと聞かれるなど考えてもみなかった。
「今度行われるドリームトロフィーに向けて新衣装を考えているのですが私1人では案がまとまらず、迷走していました。そこで学園でも様々なジャンルの服に精通するあなたなら何か得られるものがあると思いこうしてご指導をお願いしたい所存です」
そんな事を言われて嫌というキンペイバイではなく、当然のように張り切り作ったはいいものの自分では着れないコスプレ衣装を次々にミホノブルボンに着せていった。
ファンタジーな騎士、ゴシックな令嬢服、ロボットのパイロットスーツ、様々なコスプレ衣装が試されたが1番しっくり来たのは某ブレイドなシリーズの2作目のヒロインが着ていそうな衣装であった。
ブルボン先輩は剣も似合いますねと言っていると、今度はあなたのコスプレが見たいとブルボンからのオーダーがあった。 - 159君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/29(月) 11:08:29
「どうですか…?」
少し照れながら扉を開けたキンペイバイは純白の巫女服を着用していた。普段の黒系の勝負服の彼女とは180度異なる衣装である。
「実はとある行事のための衣装デザインの試作品なんです。元々イラストだったものを個人的に立体化してみたいなって思って…」
「とても素敵です」
拘ったところなどを楽しげに話すキンペイバイ。その衣装は基本的には巫女が着るようなものという事でウエストが胸下でまとめられて彼女の大きな乳房の形と質量が布越しにでも伝わってくる。
更には彼女の低い身長も相まって衣装に収まりきらなかった深い谷間がちらちらと視界に映り、男性にとってはかなりの毒であろう。
実際、この衣装の完成直後に写真を送られた少年はそこから目が離せなくなってしまうほどであった
もっとも目を奪われるのは男性だけではなく、女性であってもキンペイバイのその体は魅力的に映るものでミホノブルボンもまた会話の隙間隙間でチラチラと全身を見てしまうのであった。 - 160二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 18:43:50
自撮り送ってくれててありがとう…
- 161二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 23:18:16
保守
- 162二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 06:49:34
ブルボンとどうやって絡ませるんだと思ってたが、ええ絡みやん……!
ネームドキャラの解像度が相変わらず高い - 163君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 10:09:24
とある平日のお昼頃、トレセン学園の中央広場には多くの生徒が訪れていた。学園の生徒の間ではこの広場か食堂で昼食を取るかで2つの派閥がある。
食堂では主に大食漢なウマ娘たちが、広場ではピクニック気分なウマ娘たちが昼食を楽しんでいた。
そんな広場に設置されたベンチにキンペイバイとシュヴァルグランという珍しい組み合わせの2人がいた。
彼女達の膝の上にはランチクロス(お弁当箱を包む布)の上に置かれたお弁当があった。
可愛らしく盛り付けられたお弁当はおにぎりが2つにお弁当箱に入った色とりどりのおかず、それにバナナまだ付いていた。
「ほ、本当にこれを貰ってもいいんですか!?」
「大丈夫だよ。間違って作っちゃった奴だから、頑張って二つ食べなくちゃいけないところだったから君が食べてくれると嬉しい」
このお弁当は本来、リハビリ後に少年と食べるようにと彼女が作り始めたものだったのだが、少年が高校に進学しお弁当が必要なくなっても時たま間違って作ってしまう事があるのだ。
今日もまさにそれで、間違った二つも作ってしまったお弁当をどうしたものかと悩んでいたところ食堂の前でこの世の終わりのような表情をしているシュヴァルグランに会ったのだ。どうやら今日は保健所やらお偉いさん方がトレセン食堂の視察に来ているようで、いつもよりも席数が少なくなり、遅れてしまったシュヴァルはその性格故座る席を他の人に取られ続け、昼食にありつけずにいたのだ。
そこで先輩として困っている後輩には優しくしなければとキンペイバイが声をかけたのだ。
よほどお腹が空いていたのだろう、マヨ唐揚げを包んだ大きなおにぎりを頬張りながら卵焼きとほうれん草の胡麻和えを口の中に詰め込むように食べる。がっつきすぎて喉に詰まった時にはキンペイバイから渡されたお茶で喉を潤し、またお弁当にがっつく。
ザ・育ち盛りのウマ娘と言ったその食べっぷりにお弁当を作った者としてキンペイバイも嬉しくなる。
「これっ…すっごく美味しいです!」
「よかった。もし足りなくなったら私の分も食べていいからね」 - 164君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 10:09:37
輪切りのレンコンを包み込んだレンコンつくねを頬張りながらシュヴァルは感激したように話す。
元々、小さい頃から家事手伝いで2人分のご飯を作り続けたキンペイバイの料理スキルはかなりのもので、それをヒシアマゾンの下で伸ばし続けた現在では高級お弁当屋に置かれていても違和感のないクオリティと味にまで仕上がっているのだ。
美味い美味いとお弁当に感激しているシュヴァルグランであったが、その視線は横に座るキンペイバイをチラチラと見ていた。
今のキンペイバイの格好はいささか刺激的である。というのも、彼女の大きな胸に制服の布面積が足りないのか、谷間が露出しておりともすればブラジャーまで見えそうなほどである。それに加え隣に座るその尻はシュヴァルなものよりも明らかに厚みや広さが違う存在感があり、時折触れ合う布越しの柔らかさに心の内が悶々としていた。
「本当は幼馴染の男の子に作ってたんだけどリハビリほぼ終わっちゃって必要無くなってね。それに……私フケになっちゃって…」
先程からキンペイバイが何か言っているように聞こえるがうんはいと心ここに在らずな返答を繰り返すシュヴァルは会話の内容よりも憂いを帯びた表情で下腹を撫でる彼女の姿に下腹部辺りからの高鳴りを感じていた。
その後、キンペイバイのお弁当も貰ったシュヴァルは今までに感じたことのない魂が訴える熱に困惑しながらも、隣から感じるいい匂いと柔らかな感触を感じながらお昼休みを終えたのだった。 - 165二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 13:01:42
シュヴァルとペイバイってペイバイの方が年上の姉さん女房だから実質おねショタ
- 166君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 18:42:28
フケが過ぎ去るのを待ち、ウマソウルと肉体との乖離に苦しみながらも練習を続けていたキンペイバイ。
世間一般的には怪我による長期離脱という体を装っていた。というのも、フケなどというセンシティブな内容を10代の少女に公表させる事、ウマソウルに起因する障害レベルの競争能力の欠陥、そのどちらもメディアにとっては美味しいネタであり、また表に出すには刺激的過ぎるものでもあった。
そのため、この事は学園内でも限られた人物のみが知る事になり、キンペイバイが思わず口を滑らしてしまったシュヴァルとの会話は実はかなり危険なものであったのだ。幸いな事にシュヴァルが話をよく聞いていなかったため拡散等はなかったが、その日の夜にもキンペイバイは激しく後悔したのである。
そして、何よりもキンペイバイに取ってダメージであるのはまたもや少年との約束が遠のいてしまった事である。
現状のキンペイバイはどんどん肉体と魂の乖離がひどくなるばかりであり、これで約束通りに走ってまた発症してはたまったものではない。
それに加えて、重度のフケにより少年に会いに行けないというのもかなりキツく、しばらく会えない旨の連絡を入れるのにも3日がかかって程である。そして会えなくなる代わりにとコスプレした写真や練習風景の写真を送る事にした。ただ会えない分の話題作りとしてキンペイバイは考えていたが、その実は少年が高校で他の女の子に靡いたり私から興味を失ったらどうしようというキンペイバイ本人も預かり知らぬ彼女の心の奥底に隠された恋心にも似た感情故の事であった。
その日の夜はメジロパーマーのハロウィン衣装を参考に作ったサキュバス風コスプレの画像を送信した。 - 167二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 18:56:25
少年が部屋から出てこなくなっちゃう!
- 168二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 20:07:23
少年の因子レンタル回数は日に5回どころじゃねえぞ!
- 169君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 21:59:09
夏も近づくある日、朝方に降った雨が蒸発して少しジメッたい空気がグラウンドを満たしていた。
ジトりと肌に張り付くような感触を紛らわせるためジャージの胸元をパタパタとさせても顔には服の内側で温められた空気がかかり、胸元には大して涼しくもない風が送り込まれるだけで、これでは望む分の清涼感など一生かかっても感じることはできないだろう。
依然としてトップスピード時の違和感が消えることはなく、またフケも以前として深刻な状況であり最近では抑えきれない肉欲の高まりを自分自身でも感じるようになっていた。フケを一度発症するとその翌年、またその翌年もとより酷くなって再発する事が多いらしく、その時の状況にもよるが競争者として走れるのは今年までが限界だろうというのはじじトレやルドルフとの共通見解であった。
いつものように準備運動を済ませてグラウンドにやってきたキンペイバイであったがそこにじじトレの姿はなかった。少し遅れているのだろうと考え自主的に走りこんだり、後輩に頼まれて走り方のアドバイスをしたりしながら2時間ほどが経過していた。
流石に遅すぎやしないかとキンペイバイが感じ始めた頃、彼女の元に理事長の秘書を勤めているたづなさんが大慌てでやってきた。本当に急いでいたのだろう、彼女には珍しく息を切らしていた。なんとか息を整えると悲壮感漂う表情を作る。そんなたづなさんを見て、キンペイバイはなんとなくこれから言われる事がよくない事なのだろうなと感じ取っていた。
「落ち着いてくださいキンペイバイさん、先程じじトレさんが病院へと搬送されました」 - 170君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 22:43:14
「おぉ、連絡が遅くなってすまんの」
看護師に案内され最悪の状況を想定しながら病室の扉を開けたキンペイバイ生に飛び込んできたのは、いつもと変わらない様子でひょうきんそうに振る舞うじじトレの姿であった。
あまりにもいつもと変わらないので心配をかけられた分の文句の一つでも言ってやろうと思ったが、視界に映ったじじトレの腕に繋がれた点滴を見て言おうとしていた言葉は引っ込んでしまっていた。
なんでも外に昼食を食べに行った際にお店で倒れたらしく、トレーナー室に身分証関係を忘れてしまい身元確認に時間がかかってしまったらしい。
「いやはや、まさかこの歳になって救急車に乗せられる事になるとは思ってもみなかったわい」
冗談っぽく振る舞うじじトレであったが、キンペイバイとしては気が気ではなかったので次からは免許証くらいは入れておいてくださいとため息混じりに肩を落とすのであった。
なんだか無駄に疲れてしまったキンペイバイがいつ退院できるのかと聞こうとした時、病室の扉が勢いよく開かれた。
「師匠!?爺ちゃんと婆ちゃんから倒れたって聞いてきたんですけ…ど……」
大慌てで飛び込んできたのは少年であった。胸を上下させ息を整える少年は師匠の身を案じる言葉をかけるが、自分よりも先に病室にいたキンペイバイの姿を見て言葉尻に詰まってしまった。
キンペイバイはフケの影響で少年を見て本能の躍動を感じ、少年は連日送られてくるコスプレ写真を思い出し互いに少し距離ができていた。そんな若い2人を見かねてじじトレは近くに座りなさいと席を持って来させて2人をとりあえず座らせるのだった。 - 171君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 23:19:18
「とりあえず命に別状とかはないんですよね?」
席に着くなり少年がじじトレへと質問を投げかける。彼としては走りの指導をしてくれた恩師であるじじトレの容体についてかなり心配するところがあるのだろう。無論それはキンペイバイも同じであった。
「儂のこのピンピンしている姿を見て命が危ないと思うのかい?」
そう言ってじじトレは大袈裟に力瘤を作って笑ってみせる。
「無茶しないでください師匠、心臓病の事だってあるんですから」
「えっ…ちょっと待ってなにそれ…」
あくまでひょうきんに振る舞うつもりなじじトレに少年は心配を募らせるだけであったが、そんな彼の発した一言をキンペイバイは聞き逃さなかった。じじトレが心臓病であるなどキンペイバイは聞いたこともない話であった。
「えっ?キーちゃん知らないの……?師匠は…」
驚きで目を丸くしているキンペイバイに現状について説明しようとする少年であったが、それに待ったをかける人物がいた。そう、じじトレである。
「その事については儂が話そう」 - 172君は繁殖牝馬になれるちゃん24/07/30(火) 23:19:30
いつになく真剣そうな表情のじじトレに病室に緊張が走る。どんな衝撃的な話が飛び込んでくるものかと身構えていると、じじトレがいきなり頭を下げてきた。
「済まなかった、儂のつまらないプライドで隠し事をしてお嬢さんを心配させてしまった。本当に申し訳ない」
それはじじトレの指導者としての矜持から来るものだろうか、キンペイバイが気にしていない、頭を上げてくださいと言ってもじじトレは深々と頭を下げたままであった。
やがて気が済んだのか顔を上げると、自身の病状について語り始めた。
「お嬢さんも察しているとは思うが儂には持病の心臓病がある。儂の爺さんも親父にもあったから遺伝病のようなものじゃなの。儂がこれを発症したのは今から6年ほど前、ちょうどお嬢さんと出会う1年ほど前のことじゃ。見つかっていらい投薬治療でなんとか誤魔化してはきたが最近酷くなり始めての、このザマというわけじゃ」
「手術とかでは治らないんですか?」
キンペイバイの質問にじじトレは力なく首を横に振った。
「儂も最初は医者にそう駆け寄ってみたがどの医者も言うことは同じでの、現代医療では手術による改善は難しく投薬でなんとかするしか無いとそう言われた。それで諦められるほど儂は人間ができておらんのでの、若い頃の伝手を使ってヨーロッパやアメリカの医者にも診てもらったが…結果は同じじゃった」 - 173二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 06:35:19
(じじトレが病気で離脱するの提案したワイ、思った以上に重い曇らせ展開になってハラハラしている)
- 174二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 16:36:56
保守
- 175二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 21:19:25
保守
- 176二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 06:39:14
朝保守
そういえば今ペイバイちゃんと少年一緒にいるな……大丈夫か? - 177君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/01(木) 08:14:05
詳しい事はまた後日とその日は解散になった。
「ごめんね、おぶってもらっちゃって」
帰り道、夕焼けに照らされながら帰る2人。緊張が解け腰の抜けてしまったキンペイバイを少年がおぶってトレセン学園へと向かっていた。
至近距離で感じる少年の匂い。部活帰りにそのままきたのだろう制汗剤と発汗でいい匂いを出すシャンプーと相まっていい匂いがする。おぶられている背中も大きいし少し硬い。小さい頃、よくしてもらっていた記憶があるがその時よりも断然大きくなったように思える。
これがフケによるものなのか、それとも別のもののせいなのか今のキンペイバイにはよく分からなかった。それでも無意識に彼の胸元に回す手の力は強まっていた。
「もし、キーちゃんが困っている事があったら遠慮なく言って欲しい」
少年の匂いと感触を感じていると不意に声をかけられた。何か気に触ることでもしてしまったかと慌てる。
「これまでキーちゃんにはたくさん助けられてきた。今また走れるようになったのもキーちゃんが俺が諦めて捨ててしまっていたものを拾い上げてくれたからだ。だから…こう、上手く言えないんだけど今度は俺を頼って欲しい。キーちゃんに救われた分、今度は俺がキーちゃんを助けたい。…そりゃ、大人に比べれば頼りないかも知らないけど、俺はいつだってキーちゃんの味方だから……さ」 - 178君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/01(木) 08:14:20
途中、少し上擦ったような声になってしまった少年は言い切るよりも前に恥ずかしさが勝ってしまったのかその表情を見せてはくれない。赤い夕陽に照らされたその頬が赤く染められているのかもキンペイバイには分からない。
それでもその心意気と優しさが本物である事はよく分かる。
「(いつも助けられてるのは私の方だよ…)」
心の中で溢す感謝は音となって少年に届く事はなかったが、その表情を見れば彼女がどんな事を思っているのかは誰にとっても一目瞭然であろう。無論それは視界の端でチラリと自分の背中に強く抱きつくキンペイバイの表情を見た少年もである。
キンペイバイの表情を見て嬉しそうに微笑む少年であったがその心の内は大荒れであった。彼はまだ若干15歳の高校1年生である。そんな少年にとって雌として極上なキンペイバイと超至近距離で触れ合うというのはそれだけで本能をハンマーで殴りつけられるような物であり、彼女が幼馴染であるが故なんとか取り繕っているが、思春期の少年の劣情は荒れ狂っていた。
とはいえ、手のひらから感じる彼女のもちもち柔らかい太い太ももの感触、Lカップオーバーの爆乳を背中に押しつけられさらに先ほどから腕の力が強くなっている事でよりその存在感を感じる圧倒的質量と柔らかさ、そんなものを感じて無心でいられる男子高校生などいないのだ。 - 179二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 15:43:00
保守
- 180二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 22:42:28
保守
- 181二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 06:42:36
地の文がノリノリで草。耐えろ少年
- 182君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/02(金) 07:46:08
じじトレが退院するまでの間、キンペイバイの指導はタイキシャトルのトレーナーやコードヘブンのトレーナー等じじトレの弟子とも言える若きトレーナーたちが持ち回りで教えることとなった。
彼女のデータについてはじじトレがまとめていた膨大な資料に彼女に合ったトレーニングプランが事細かく記されており、彼らがキンペイバイに対してどういった指導を行えばいいのか悩む事はほとんどなかった。
むしろじじトレは自分達に何か特別な指導を施してキンペイバイを飛躍的に強くさせることなど最初から考えてはおらず、自分よりも学園のウマ娘達に歳の近い若いトレーナー達の方がキンペイバイの悩みに寄り添いやすいと考えているのではないかと唱える者もいた。
実際、トレーナーが彼女のメンタルケアに一役買っているということはまだないが、彼らの担当するウマ娘達は皆キンペイバイとも仲が良く、彼女のリハビリトレーニングを手伝ったり、トップスピード時の問題をなんとか解決しようと懇意にしている医者に相談してくれたりと何かとキンペイバイの助けになってくれていたのだ。
その中でもコードヘブンの熱量は凄まじく、足を治す過程で渡り歩いた様々な研究機関や医療機関に片っ端から問い合わせなんとかキンペイバイの症状を克服しようとしていた。それは単に彼女がキンペイバイに精神的に救われた恩があると言うのもあるが、またキンペイバイと同じターフの上に立つライバルとして本気でぶつかり合いたいと願っているのもあるかもしれない。 - 183君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/02(金) 07:46:31
そんな日々が数週間続いた日、天気のいいこの日はじじトレの退院日である。とはいっても迎えの人は誰もいない。復帰の連絡自体はしてあるが、若い者の手を老人が煩わせるわけにはいかないと、迎えは必要ないとたづな経由で迎えに来そうなトレーナー衆に言って聞かせるように頼んだのだ。
病院から出、久しぶりに感じる窓枠のない青空に清々しさを覚えつつ家路に着こうとした時のことであった。
正面玄関の柱の影からトタトタとこっちへ近づいてくる足音に振り返るとそこには大きな花束を持ったキンペイバイがいた。
「じじトレさん、退院おめでとうございます!」
誰にも退院日を伝えていないという事は当然教え子であるキンペイバイにも伝えていなかったのだが、どういう事だか彼女はここにいるのだ。
「お嬢さん、儂は退院日は伝えていなかったはずじゃが」
「タイキ先輩のトレーナーさんやヘブンちゃんのトレーナーさんに教えてもらったのです」
その2人からという事は大方、たづなが口を滑らしたかわざと伝えたのだろう。○○日は退院日なので病院には行ってはダメですとポカをしているところが目に浮かぶ。
「あの、こんな大きな花束を持ってきて言うことじゃないかもしれませんが、持っていくのは大変だと思うのでお家まで運ばせてください!」
流石に教え子に荷物持ちはさせられないと断ろうとするが、変なところで頑固な可愛い教え子は一瞬の隙をついて手持ちの鞄まで取り上げて、ささ行きましょう行きましょうと催促してくる始末である。
その様子は側から見れば祖父と孫の戯れそのものであった。 - 184君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/02(金) 08:22:09
時にバス、時に激坂を歩き、じじトレに案内されて辿り着いたのは府中市内の外れにある古びた木造2階建ての一軒家であった。
綺麗に整えられた垣根の支柱に当たるレンガ作りの柱にはじじトレの苗字の表札があり、ここが彼の家である事に間違いなさそうだ。
「儂以外には誰もおらんからのんびりしていきなさい」
屈んで靴を揃えているとじじトレから後ろから声をかけられた。確かにこの家はひどく静かである。足音以外の音を消すと後は壁掛けの古びた振り子時計のカコカコという動作音くらいのものだろう。外観こそ立派なのになぜか酷く寂しく思えてくる家であった。
とりあえずじじトレが戻るまで待っていようと、少し家を探索し恐らく居間だと思われる畳敷の和室に座って待つことにした。立派な机を備えた掘り炬燵で足をぷらぷらさせながら部屋の様子を見渡す。壁には額縁に入れられた賞状が飾られ、棚には数本のトロフィーが陽の光を反射して輝いている。
形からしてウマ娘レースのものだと思われるが、今とは少し作りが違うし娘さんの物だろうかと考えていると、じじトレが花瓶を持ってやってきた。
配置を吟味しつつ入れられる量を納めたが張り切って大きいのを買ってきたためかまだ花束の花は余っていた。 - 185君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/02(金) 09:13:31
余ってしまった花をどうしようかと考えているとじじトレがこっちにきてくれんかとキンペイバイを手招きする。
ついて行った先は襖を挟んだ隣の部屋、そこには大層立派な作りの仏壇があった。押し入れから座布団を二つ取り出すと、そのうちの一つに座るようにとじじトレが言う。
二重扉の仏壇には微笑みを浮かべた妙齢のウマ娘の少し古びた写真が置かれていた。
「儂の女房じゃよ」
キンペイバイから花束を受け取り、仏壇に備え付けられた花瓶に刺していく。入れ口が狭いので数本しか入れる事はできない。
「儂の初めて担当したウマ娘でな、綺麗で諦めが悪く努力は裏切らないんだと信じてやまない娘じゃった。当時の儂は大学を出たてのペーペーでの、伝手もなければ実力も経験もないときたもんで当時の女房にはそれはそれは苦労をかけたもんじゃよ」
花を刺し終わると仏壇の戸棚から線香とチャッカマンを取り出し、数本立てて火をつける。
「当時の儂らはイケイケでの、地方出身の無名のウマ娘がどれだけ頑張ってもGⅢを取れるか取れないかというのが周りからの評判じゃったがそんな評判を見返してG1にも勝ってやろうと2人でよく言い合ったもんじゃよ。結局、前哨戦のGⅡに一度だけ勝ち、G1の舞台を走る事はできたが儂らの最高到達点はそこでお終いじゃった」
線香の煙がたなびく。てっぺんの燃え滓がポトリと落ちる - 186君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/02(金) 09:13:46
「ピークアウト──当時は早枯れだの才能枯れだの何だのと名前が複数あったが、女房もそれになってしまっての、こればっかりはもうトレーニングでどうにかなるものでもなかったからの、結局女房が競技者として走れたのは極々短い間のことじゃった」
世間的にはそこまで珍しい話ではない。何か目標を達成した後に無力無気力になってしまう燃え尽き症候群は誰にだって起こりうる。ウマ娘の場合はそれがピークアウトという分かりやすすぎる形で出るのでタチが悪いがそれはヒトミミの競技者であっても同じことであった。
驚くのはじじトレの初めて担当したウマ娘がかなり早期に枯れてしまった早枯れのウマ娘であったという事だろう。キンペイバイは知らない事であったが、トレーナーの間では初担当のウマ娘が早枯れしてしまうのはそのトレーナーの才能が低い証拠という迷信めいたものがある。運や目利きもトレーナーの大事な才能であり、それを持ち合わせていないトレーナーは大成しないという蓄積されたデータから言われている事なのだろうが、じじトレはそれを打ち破った存在と言える。 - 187二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 15:49:08
しっとり保守
- 188二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 21:51:40
保守
- 189二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 00:17:03
怪文書だな
- 190君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 08:21:54
「ご結婚!ご結婚はいつされたんですか!?」
先ほどまで流れていたノスタルジーとしんみりさの混ざり合った空気に全くそぐわないキンペイバイの興奮したような声。そもそもとして恋に恋するような年頃なのである、新人トレーナーと初担当ウマ娘が結婚しましたなんてドラマでしか見たことがないようなことが身近な人に起こっていただなんて15歳の少女にときめくなという方が酷な話であろう。
「結婚なぁ…本格化が遅かったもんで出会った頃の女房は17歳じゃった、それから3年弱共に走って20の時に引退したんじゃよ。その年にはトレセンを卒業しての、卒業したその日に女房の方から告白してきよったんじゃ。儂は面食らってしもうて思わず頷いてな、それからトントン拍子で結局結婚したのは儂が26、女房が21の頃じゃった」
「それからそれから!新婚旅行はどこに行かれたんですか!?お子さんは!?1番の思い出は何ですか!!」
思った数倍はドラマチックな話が出てきて興奮したキンペイバイは捲し立てるように早口でじじトレを質問攻めにする。
「これこれ、お嬢さんがそんながっつくもんじゃないぞ。……その当時はまだ若いトレーナーの1人じゃった儂はまぁ忙しくての、それでも女房がどうしても!って聞かんもんで他のトレーナーに当時の担当を数日間だけ頼んでアイスランドに行ってきたんじゃよ」
「アイスランドですか!?」
「そうじゃ。オーロラを見るというのが女房の夢での、ちょうどチケットが取れたもんで2泊3日で行ってきたんじゃ。儂は最初ただの夜空がそんなに見たいものかと乗り気ではなかったが、実際に見ると圧巻されてのぉ…写真を撮ることも忘れてしまうほどじゃった」 - 191君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 08:38:36
いいものを見せてやるとしばらくじじトレが席を離れると、青いクッキーの缶を持ってきた。パコンッといい音を立てて蓋が外されると、中には大量のポストカードが納められていた。
その中からじじトレは一枚のポストカードを手に取る。隅が少し黄色に変色しているそれは美しいオーロラの絵がプリントされたものであった。
「写真を撮り損ねた儂らはせめて何か記念になるものを持って帰ろうと思うて土産屋に立ち寄ったんじゃ。そこで女房が選んだのがそのポストカードじゃった。写真の方もあってなそっちじゃなくていいのかと聞いたが、女房はこれがいいと言って聞かんでな、結局それを買ってきたんじゃ」
オーロラを見たことのないキンペイバイは写真と絵どちらのオーロラがいいかはよく分からない。だが、ポストカードに描かれたオーロラが人の心を惹きつけるような美しさがあるというのは分かる。
「どうして絵の方にしたのか日本に帰ってきてしばらく経った頃に女房に聞いた事があっての、何でも写真のオーロラは他人の見たオーロラだけど、絵のオーロラは誰の心にも存在できるオーロラだからだそうじゃ。全く、女心というのは難しいもんじゃの」
「そうですね。奥さんの気持ち、何だかわかる気がします」
大切な人との旅行で見た思い出深い景色を形あるものとして残したい、だけど写真のオーロラは自分たちが見た物ではなく誰かが別の日に撮っていたもの、それは思い出の景色ではない。ならば、見るものに情景を補完させる絵であればそれは心に刻まれた思い出のあの景色と同じになる。大切な記憶を大切なままに残しておくためにじじトレの奥さんは絵を選んだのだろう。 - 192君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 08:55:39
仏壇に手を合わせた後、じじトレとキンペイバイは昼食の準備に取り掛かった。最初は座ってなさいと1人で作るつもりだったじじトレであったが、退院したばかりの人が無理しないでくださいと食い下がるキンペイバイに折れてしまい、結局2人で作ることになった。
「「いただきます」」
テーブルの上には2人分の平皿、色とりどりの具材で彩られた冷やし中華、冷えた麦茶に氷がぷかぷかと浮かぶ。
冷やし中華の具材はハムにサラダチキン、薄焼き卵にカニカマときゅうり、そしてタネをしごきとった梅干しペースト。麺と汁は安い出来合いのものだが効きすぎなくらい酸っぱい汁で麺と具材を頬張れば暑くなり始めた季節にはピッタリの清涼感が口いっぱいに広がり、身体中を駆け巡っていく。
少し味に飽きれば煮出して作った濃いめの麦茶で口を洗い流し、辛子マヨネーズをかければジャンキーな味に大変身である。
そうやって無我夢中で食べ進めているとじじトレが物憂げな目で棚を見ていた。視線の先にあるのはトロフィーや写真立てといった思い出の品々である。
「この場に女房がいれば娘ができたみたいだと喜んで次から次に料理を作って持ってくるんじゃろうなぁ」
その口ぶりや家のあちこちにある写真にじじトレと奥さんの写真しかない事から、2人に子供がいないということは何となくキンペイバイも気づき始めていた。
写真の中にはトレセン学園と思しき場所で若い頃のじじトレと一緒に生徒の指導をしているであろう奥さんの様子が納められているものもあった。子供のいない2人にとって、トレセン学園の生徒は我が子同然のものなのだろう。定年間際の彼がどうして老人のように振る舞うのか何となく分かったような気がした。 - 193二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 09:08:45
そういやペイバイちゃんアーバンシー並みのアイルランド良血馬の産駒だったっけか
これを決めたのもだいぶ前になったなぁ。感慨深い - 194君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 09:19:30
その後、夕暮れまでじじトレの家で掃除を手伝ったり夜ご飯の食材の買い物に行ったりしながら過ごしたキンペイバイは少し早めの夕食に麻婆茄子を食べてじじトレの家を後にする事にした。
「それじゃ、私帰ります」
玄関で靴のつま先をトントンと鳴らすキンペイバイ。じじトレも玄関まで見送りに来ていた。
「今日はありがとうのぉ。夜道には気をつけて帰るんじゃよ」
「はい、じじトレさんも調子が良くなってからで構いませんから絶対トレセン戻ってきてくださいね!」
元気よく扉を開けて帰って行ったキンペイバイを見送ったじじトレは彼女が帰ってしばらく経っても玄関の前に立っていた。
彼は妻と交わした最後の会話を思い出していた。
彼の妻は子宮頚がんを発症し、その後ガンが全身に転移し最終的には点滴と心電図モニターに繋がれながら病室でひっそりと息を引き取った。じじトレと最後に会話したのは亡くなる数時間前の事であった。その日も面会時間ギリギリまで妻と共にいたじじトレがそろそろ帰ろうかという時、珍しく彼の妻が呼び止めた。 - 195君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 09:19:57
『あなた、もしトレーナーをやめるほんの少しの間に私のような子に出逢ったら助けてあげてくださいね。私のような子はきっとこれからも出てきてしまうから、1人だけでもいい、あの日の私と同じように泣いている子がいたら助けてあげてください。それが私の最後のお願いです』
あの日、最後に交わした約束を果たして本当に守れているのだろうかじじトレは不安に思うことがある。妻が死に、トレーナーをやめようと思っていたあの時、元教え子が担当していたシンボリルドルフからあるウマ娘を頼まれたのは何かの僥倖かと思った。
それは約束を守ることもできず枯れるだけの運命であった老いぼれが再び立ち上がり歩き出すことを決めた瞬間であった。
男ならば一度決めた事を突き通さねばならない。
古い価値観かもしれない。だが、今じじトレの体に燃える煌々たる炎にくべられている燃料は他ならないその信念であった。
再び歩き出したじじトレが向かった先は書庫。古めかしい分厚い本が並ぶ本棚から医学書を手に取る。入院している間、ただ寝ていたわけではない。もう一度キンペイバイを万全の状態で走らせる、それが今のじじトレの目標である。そのために昔とった杵柄も伝手も自分が持ち得る全てを動員していた。果たしてキンペイバイのタイムリミットが来るのが先か、人々の熱意が結果を結ぶのが先か、それは誰にもわからない。 - 196君は繁殖牝馬になれるちゃん24/08/03(土) 09:25:05
- 197二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 16:27:01
うめ
- 198二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 16:44:50
ペイちゃんの心と身体のスキマとタニマを埋めてあげたい…
- 199二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 17:06:21
そのデリンジャーしまえよ
- 200二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 17:07:55
200ならフケ悪化