- 1書いた人24/07/19(金) 21:21:12
- 2書いた人24/07/19(金) 21:22:24
気分で随時掲載していきます。
リアタイの方は暇な間、過去作でもご覧になってお待ちくださいませ。
【過去作】
#ブルーアーカイブ #二次創作 ユウカ「モモイから手が離せない......!」 - にげせんの小説 - pixiv*** 『会計担当役員、早瀬ユウカです。これより第二次補正予算案の概要をご説明します。よろしくお願いします』 ぺこりと頭を下げる私の横で、モモイはかちんこちんに固まっていた。私は右手を強く握る。すると彼女はビクッと肩を震わせ、すぐにお辞儀をした。 気持ちは分かる。なにせ眼下にミレ...www.pixiv.net#ブルーアーカイブ #二次創作 キキョウ「先生、私と勝負して」 - にげせんの小説 - pixiv*** 先生「勝負って……」 キキョウ「言葉そのまま、私とあんたの真剣勝負。挑戦受けてくれるよね」 先生「私に勝っても何も出ないよ?」 キキョウ「そんなこと分かってる。これは継承戦でも何でもない、ただの私戦なんだから」 キキョウ「初めは何にしようか……将棋なんてどう?」 先生「う、...www.pixiv.net - 3書いた人24/07/19(金) 21:36:20
- 4書いた人24/07/19(金) 21:47:34
アヤネ「はじめに、目的を確認しましょう。シロコ先輩の言った通り、ホシノ先輩を独身にしないこと。これが当委員会の目的です」
先生「ホシノは学生だよ? 独身なのは当たり前でしょ」
セリカ「先生こそ何言ってんのよ。いつまでも学生じゃないでしょ? ホシノ先輩は三年生だし、来年で卒業じゃない」
シロコ「その通り。卒業した後、ホシノ先輩は何になると思う?」
先生「何にって……それは聞いたことがないけど」
ノノミ「独身の無職です☆」
先生「言い方あるよね!?」
アヤネ「しかし事実です。先輩は自分の進路を明らかにしていません。進学も就職もされない以上、確実にそうなります。これは、学校として由々しき事態なんです」キリッ
アヤネ「私たちは毎年、連邦生徒会に進学率や就職率を報告しなくてはいけません。ところがアビドスでは、来年の卒業者が一人のみ! このままでは無職率百パーセントの学校になってしまいます!」クワッ
アヤネ「先生は顧問として、この問題をどう考えておいでですか!? まさかそうなるのもホシノ先輩の自由だなんて仰るつもりですか!」バンッ
先生「う……!」ドギ - 5書いた人24/07/19(金) 21:57:10
先生「それは……その、本人への進路指導はするつもりだよ。でも君たちが背負うことじゃない。ましてや独身の阻止なんて、話が飛躍してないかな?」
シロコ「先生、ちゃんとこっち見て」グイ
先生「!?」
シロコ「これは私たち生徒会が過半数以上の賛成をもって可決した方針。当然、先々のことまで考えてある」
先生「先々まで考えてコレなの?」
ノノミ「はい。先生の仰る通り、まずは進学や就職支援から糸口を考えてみました。でもホシノ先輩はのんびりな方で……夏にもなって何も準備していないんです」
セリカ「てゆーか、率直に言ってあの人が進路なんか考えてると思う? ヒマさえあれば屋上で寝てるのよ! ヒマじゃなくても!」
アヤネ「そういうことです。結果、私たちは方針転換しました。進学も就職もされないのなら……結婚してくれればいいのだと!」
先生(今日のみんな、気迫が違う……!)ゾーッ - 6書いた人24/07/19(金) 22:09:29
シロコ「卒業と同時に結婚すれば、ホシノ先輩は主婦になる。それなら色々と安心出来る」コクリ
アヤネ「以上の理由でホシノ先輩独身対策委員会は発足しました。これは全員にとって得であり、最も幸福な選択肢なんです」
先生「それなら、どうしてこの場にホシノがいないの?」
ノノミ「ホシノ先輩には秘密です。知られたら潰されてしまうので~」
先生「……それなら、やっぱり協力出来ないよ。当事者の同意もなしにこんな話を進めるのは良くない。そもそも相手だっていないし……」プイッ
シロコ「ん?」
ノノミ「えっ?」
セリカ「はぁ?」
アヤネ「……」ゴゴゴ
先生「何かおかしなこと言った? 当事者抜きで話を進めちゃ」
アヤネ「当事者はあなたです、先生」ピシ
先生「えええええ!?」 - 7書いた人24/07/19(金) 22:25:03
セリカ「あんただって独身でしょ? ホシノ先輩と結婚してよ」
先生「本気で言ってるの!? 私は先生だよ!? せ、生徒と結婚なんて……」ドギマギ
シロコ「ん、先生は頭が固い。よく考えて」
シロコ「結婚するのはホシノ先輩が卒業した後。その時、ホシノ先輩はもう生徒じゃない。だから何も問題ない」
ノノミ「そうですよ~。ホシノ先輩だって、先生となら結婚したいって思ってくださるはずです!」
先生「……ホシノはそんなこと、言わない」
アヤネ「聞いてみたんですか?」
先生「ないけどさ、ホシノは身持ちが固い子だと思うんだ。ああ見えて鋭い性格だし、盾持ってるし、防御型タンクだし……」
セリカ「何よもー! ごちゃごちゃ言って! 先生がホシノ先輩に惚れてること、みんな知ってるんだからね!? 本人だってとっくに気付いてるわよ!」
先生「……」クラッ
シロコ「あーあ。言っちゃった」ハァ - 8書いた人24/07/19(金) 22:36:26
先生「い」
先生「いつから?」
ノノミ「えーっと……何となくですが、みんな最初の頃から……」
先生「ホシノとそういう話は」
アヤネ「ご存知の通り、ホシノ先輩は自分の話をしない性格です。私たちも茶化すようなことはしたくないので、直接したことはありません」
セリカ「だから全員あんた待ちなのよ! さっさと告れ!」
先生「無理だよ!」ヒーン
先生「もし仮に私がホシノを好きだったとしても! 告白したらまずいでしょ! 断られたらどうするの!? もう二度とアビドス自治区に入れないよ! 連邦生徒会にバレたらクビだよ! 変態先生の烙印を押されてキヴォトスを去ることになるんだよ!」ガクブル
シロコ「……どうしてそう思うの? ホシノ先輩、先生が嫌いなわけないのに」
ノノミ「そうですよ! 先生とホシノ先輩にはこれまでの信頼関係があるじゃないですか!」
先生「それを一瞬で無かったことにするのが唐突な告白なんだよ、ノノミ。蛙化現象って知ってる? キヴォトスのみんなには分からないかもしれないけど」シナシナ
アヤネ(先生の青春に一体何が……) - 9書いた人24/07/19(金) 22:48:22
先生「とにかく! この話はもう終わり! みんなドラマや少女マンガの読みすぎだよ!」ガタッ
セリカ「逃がさないって言ったでしょ!」ガシ
シロコ「そうだよ。話はまだ終わってない」ギュム
先生「離してくれぇ!」シクシク
アヤネ「何も、先生にだけ身体を張っていただこうとは思ってません。先生の奥手はよく分かっていますから……それをサポートするのが私たちの役割です」
ノノミ「二人には幸せになってほしいんです。みんなで色々考えてきましたから、聞いてくださいませんか?」
先生(私が駄々こねてるみたいになってる! 絶対おかしい!)イヤイヤ
先生(そもそも、どうしてこのタイミングなんだよ)
先生(最近のホシノが凄く心配なのは……分かるけど。私もそうだ)
先生(対策委員会の会議に顔を出さなくなったって聞いてる。学校に来ること自体、少なくなったみたいだ)
先生(理由も分かる。あんなことがあって……みんなと顔を合わせ辛いに決まってる)
先生(それだけじゃない。私たちだって、どうホシノと接していいのか分からないんだ。毎日顔を合わせてきた彼女たちは尚更だろう)チラッ
先生(何もかも、めちゃくちゃになってしまった。実際問題、私に出来ることって何なんだろう……)ハァ - 10書いた人24/07/19(金) 22:58:53
~アビドス自治区 無人街区~
コロコロコロコロコロ
リーンリーンリーン
ゲコゲコゲコゲコ
先生(すっかり遅くなってしまった……蒸し暑いなぁ)ヨロッ
先生(早くシャーレに戻って書類を片さないと。あの件カンナにも電話しなきゃいけないし、今からだと帰りは何時だろう? 終電あるかな)
先生(今日くらいヘリで来れば良かった! だけど、燃料費が嵩むとユウカにもアオイにも怒られるからなぁ)トホホ
先生「ん?」
ホシノ「……あ」バッタリ
先生「ほ、ホシノ!」
先生「こんな時間にどうしたの? どうしてこんな場所に? えっと、今日学校は……その、もしかして体調とか悪い?」アタアタ
ホシノ「あ、ああ……大丈夫。別にそういうのじゃないから。先生こそこんな場所でどうしたの?」
先生「対策委員会の会議が長引いちゃってさ。でももう帰るところだよ? こっちが近道だと思って」
ホシノ「そっか。じゃあ送ってくよ、駅の方まで」
先生「……ありがとう」
先生(何だか、いつもと感じが違う。少し大人びてるっていうか) - 11書いた人24/07/19(金) 23:08:55
ホシノ「こないだニュースで見たよ。強盗団のリーダーを捕まえたんだって? お手柄だねぇ、先生」
先生「あれはRABBIT小隊のみんなが……私は何もしてないよ」
ホシノ「謙遜しちゃってさ。指揮したのは先生なんでしょ」チラ
先生「ま、まあうん。でも大部分を取り逃がしちゃったし、事件はまだ終わってないから」
先生(……銃と盾持ってる。こんな時間なのに)
先生「ホシノは今日……何してたの?」ドキドキ
ホシノ「私はなーんにも。気付いたら一日が終わってた」
ホシノ「お腹空いたなぁ。先生は昼、何食べた?」
先生(話を逸らされた)
先生「昼はカレーだったよ。シロコたちと一緒に作ったんだ」
先生「……」スタスタ
ホシノ「……」テクテク
先生「ホシノ。少し遠回りだけど、あっちを通っていかない?」ピタッ
ホシノ「そっちは、少しなんてもんじゃないよ。どうして」
先生「もしかして昼も取ってないんじゃない? 一緒に……ラーメンでも食べようよ」 - 12書いた人24/07/19(金) 23:19:31
〜アビドス自治区 繁華街〜
先生「終電逃した……」ガビーン
ホシノ「まあ、こうなるよねえ。他と違って電車の本数も多くないし、ゆっくり食べてたら間に合わないよそりゃ」
先生(ていうかいつもの流れで芝関ラーメンだったけど! アヤネに貰った雰囲気の良いお店リスト、完全に忘れてた。でも人が多い店はホシノが嫌がるかもしれないし……)
ホシノ「……それで。どうするの、先生」
先生「あーいや、それなら一度学校に戻ろうかなと思って。泊まらせてもらったことは何度かあるしさ」
ホシノ「ここからだと結構歩くよ? 明日もお仕事あるんでしょ」
先生「う、うん。でも」
ホシノ「私の家、この近くなんだ。泊まっていきなよ。そっちが良ければだけど」
先生「え!?」
ホシノ「元はと言えば私のせいでしょ? 気にすることないから」
先生「ほ……本気?」
ホシノ「ほら、来て」スタスタ
先生(ホシノ……)
先生(君は、もしかして)グッ - 13書いた人24/07/19(金) 23:29:14
〜アビドス 小鳥遊宅〜
先生(す、凄い数の装備品……)ギョッ
先生(廊下が軍事用物資で埋め尽くされてる。そ、それにこれは)
ホシノ「はい、上がっていいよ。転ばないようにだけ気を付けて」カチャカチャ、ピーッ
先生(玄関に指向性地雷!? セキュリティってレベルじゃないよ、ホシノ)
ホシノ「……」
先生「お、お邪魔しまーす」ソロ
先生(廊下でいいよって言うつもりだったんだけどな……あっ、部屋は普通かも)
ホシノ「何もない部屋だけどさ。まあ楽にしててよ、お茶淹れてくる」
先生「お構いなく……」
先生(まさに女の子の部屋って感じだ、良い匂いがする)クンクン
先生(あれは一緒に水族館へ行った時買った、クジラのぬいぐるみ。海で使ってたビーチクッションも。そのまま置いてるんだ)
先生(……あ)
先生(この写真、って) - 14書いた人24/07/19(金) 23:42:22
- 15書いた人24/07/19(金) 23:53:32
- 16書いた人24/07/19(金) 23:58:38
ホシノ「私、来年で卒業じゃん? それなら毎日行かなくたっていいと思うんだ。そういう三年生もいるでしょ、他の学校には」
ホシノ「みんなに心配掛けちゃって、悪いとは思うよ。でもお互い慣れといた方が良くないかな? どの道私はいなくなるんだからさ」
先生(……やっぱり)
ホシノ「突然のお別れって寂しくない? だから徐々にいなくなることにしたんだ。それがおじさんなりの終活ってやつかな」
先生「笑えないよ、ホシノ」
ホシノ「でしょ? 言わせてほしくなかったな、先生」
先生「後輩たちがそんなお別れを望んでると思う? それに、卒業したからって一生のお別れじゃないんだよ。君たちならきっと、これからも関係を……」
ホシノ「無理だよ」
ホシノ「覚えてる? 私はみんなを撃った。自分の邪魔をするなって、何度も何度もね」
先生「!」
ホシノ「多分、私にとって後輩たちなんてその程度の存在でしかなかったんだ。ユメ先輩とは大違いだよね」
ホシノ「それにさ、私の正体って怪物か何かだったんでしょ? 尚更あの子たちと一緒にいるなんて……出来ないよ」
先生「ホシノ……!」 - 17書いた人24/07/20(土) 00:06:23
先生「また、なの?」
ホシノ「……」
先生「またそうやって、一人で全部決めて……私たちから遠ざかっていくんだね」
ホシノ「うん、”また”なんだ。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも考えてないかな」
ホシノ「私ってつくづくこういう奴みたいでさ。多分死ぬまで治らないと思うよ。何か期待してくれてたなら悪いけど」
先生「……」
ホシノ「別に、二度と学校へ行かないつもりもない。本格的に怒られる前に顔を出すつもりだったよ。まだ登校日数も足りてないしね」
ホシノ「誰かが血相変えて突撃してくる前に伝えといてくれない? それくらいなら要求に何でも従うよ。もうシロコちゃんとバトるのはごめんだしさ」
先生(君の心はそこまで傷付いてしまったのか。あの戦いで)
先生(未来とか将来なんて考える余裕もないんだね。そうやって固めたはずの決意が、全て偽りだったんだから)
先生(……それなら)
先生「分かった。彼女たちが心配してたら伝えておくよ。君にはちょっとだけ、時間が必要だとね」
ホシノ「……」
先生「ところで、一つお誘いがあるんだけど……どうかな?」 - 18書いた人24/07/20(土) 00:15:44
〜ホシノ先輩独身対策委員会 教室〜
シロコ「ホシノ先輩と温泉旅行!?」パチクリ
先生「うん。すでに約束は付けてある」
シロコ「そんなのズルい……! 私も行きたい!」グワッ
ノノミ「シロコちゃん、気持ちは分かりますけど……」ガシ
セリカ「昨日の今日なんて、なかなか手が早いじゃない。いつもへタレのくせにどうしたの?」
先生「ホシノと直接話してみて、君たちの危機感が理解出来た。今更だけど、私に出来ることなら協力させてほしいんだ」
アヤネ「……そうでしたか。もう旅行の詳細は決まってるんですか?」
先生「まだ何も。そこのところを君たちに決めてほしくて……あんまりこういう経験がないからさ」
ノノミ「任せてくださいっ! きっと素敵な旅行になるようお手伝いします!」パチパチ
シロコ「ん! 私も! 行く!」ジタバタ
セリカ「……シロコ先輩を生徒会長にしなくて、正解だったわ」
アヤネ「そうと決まれば、さっそく会議を開始しましょう。今日の議題は”温泉デートの極意”です!」ニッコリ
先生「みんな……頑張ろう!」 - 19書いた人24/07/20(土) 00:22:03
〜三時間後〜
セリカ「だからー! どうせ行くならこれ! トリニティの超高級ロイヤル紅茶温泉だって言ってるじゃない!」
アヤネ「ダメです! 一泊三十万円は高過ぎるよ。せめてこれ、ゲヘナのヒノム火山温泉街!」
セリカ「ゲヘナなんてロマンチックの欠片もないじゃん! 生徒会長のくせにケチ!」
アヤネ「セリカちゃんこそ会計のくせに財布の紐が緩すぎるよ!」
ノノミ「お金のことならご心配なく! 遂にこのカードの出番が」スッ
シロコ「ストップ。ネフティスの奢りって知ったら、多分ホシノ先輩キレる」アセアセ
先生(あれ? 全然話が進まないぞ)
先生「参考までに聞きたいんだけど、みんなデートの経験ってあるの?」
シロコ「ん、ないよ」
ノノミ「私も勉強中です☆」
セリカ「何よ! なくちゃダメなの!?」
アヤネ「あ、あはは……」カァァ
先生「ないのにあんなこと言ってたの!?」ガビーン - 20書いた人24/07/20(土) 00:30:55
シロコ「確かに経験も大事だけど……こういうのはそれ以上に感性が大事。って雑誌に書いてた」ドヤ
先生「じゃあ、シロコはどんなデートだったら嬉しいの?」
シロコ「ん、私は何よりスリル重視。捕まるか捕まらないか……間一髪の駆け引きこそが醍醐味なんだよ」
先生(銀行強盗と掛け違えてない?)
ノノミ「はいは〜い☆ 私はですね、気心知れた二人のゆったりした時間が欲しいです! お互い心も体も預け合って……好きな相手と一つになれたら嬉しいと思いませんか?」
先生(なるほど。これからノノミの意見は全部却下だな)
セリカ「先輩たち、分かってないわね。こーゆーのは普段出来ない体験が大事なの。非日常的な特別感……つまり遊園地よ!」
先生(一理ある。でも問題は、ホシノがセリカほどチョロい相手じゃないことだ)
先生「アヤネはどう思う?」
アヤネ「え、あ……」カアアアア
先生「アヤネ?」
アヤネ「こ、これはセクハラです! 回答を差し控えると共に、上へと報告させていただきます!」ブンブンブン
先生「色々と今更だよ!?」 - 21書いた人24/07/20(土) 00:40:49
ユーウヤーケーコーヤーケーデーヒーーガクーレーテーーー
「「「「「つ、疲れた……」」」」」グテッ
アヤネ「まさか一日中会議で終わってしまうなんて……学生失格です……」
先生「そう思うでしょ? 大人の世界ではよくあることなんだよ……」
ノノミ「で、でも何とか纏まりましたね! 私も今から楽しみです」
セリカ「私は今から超不安……この作戦、本当に上手く行くのよね?」
先生「今日はみんなありがとう。ホシノに伝わるかは分からないけど、やってみるよ」
シロコ「……ん、それじゃダメ」
シロコ「フラれても仕方ないなんて思ってる人に、ホシノ先輩は任せられない。先生はホシノ先輩のこと本当に好き?」キッ
先生「!」
シロコ「私たちじゃ、あの人の心の奥底には触れられない。先生ならそれが出来ると思う。だから答えて」
シロコ「ホシノ先輩のこと、好き?」ジッ…
先生「……シロコ」
先生(私は、ホシノ、を)ゴク
チクタクチクタク カチ…カチ… - 22書いた人24/07/20(土) 00:42:13
こちらで前半戦終了となります。
後半戦は明日夕方頃から開始予定です。
長いですがお付き合いくださる方はどうぞよろしくお願いします。 - 23二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 01:47:02
唐突なバーボンホシノで草
- 24二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 06:03:16
ほしゅ
- 25二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 14:01:59
ホシュノ
- 26書いた人24/07/20(土) 18:34:59
保守ありがとうございます。
間もなく後半戦開始となります - 27書いた人24/07/20(土) 18:50:07
- 28書いた人24/07/20(土) 19:00:11
ユメ「ホシノちゃんが! アビドスで! 卒業出来るかが心配なの!」ブンブン
ホシノ「そんな遠い未来の話をされても……今はそれどころじゃないですから」
ユメ「そんなことないよ! 三年間なんてあっという間だよ? 私がその生き証人だからね」ドヤ
ホシノ「た、確かにこの人を見てるとそんな気もする……」ゾッ
ユメ「卒業した後ホシノちゃんはどうなるのかなぁ。私の元を巣立って、誰かいい人とゴールインしちゃうのかなぁ」ヨヨヨ
ホシノ「今度は私の卒業後ですか? そんなことまであなたに心配される理由ないですし……別に、誰とくっ付く気もありませんよ」
ユメ「それはダメだよ! ちゃんといい人と出会ってね」キリッ
ホシノ「どっちなんですかっ!?」
ホシノ「もう、本当に。ユメ先輩はお節介焼きなんですから」
ホシノ「……ユメ先輩?」
ホシノ「っ!」パチリ
ガタンゴトン
ガタンゴトン
ゴォォォォッ… - 29書いた人24/07/20(土) 19:21:50
〜山海経自治区 特急列車内〜
ホシノ(……ああ、またか)
ホシノ(あんな会話したっけ? したか。いつ? いやしてないかも)
ホシノ(どうでもいいか。自分の記憶は信用しないことに決めただろ、小鳥遊ホシノ)
ホシノ(夢の中に……ユメ先輩が、いるわけない。自分の脳内にも、住んでなんかない)
ホシノ(しっかりしろ、でないとまた間違えるぞ。また騙されるぞ)
ホシノ(お前はバカなんだから。腕っ節以外、何も……取り柄、なんて)
ホシノ(あれ。そういえばここ、どこだっけ?)
ホシノ「んぅ……」ゴシゴシ
先生「あ、起こしちゃった? ごめんね」
ホシノ(先生?)
先生「そろそろ着くよ。降りる準備しようか」
ホシノ(着くって……ああ、向かってるんだっけ。どっかに。まあどこでもいいけど)
ホシノ(ん? 何か……違和感が)
ホシノ「銃がない!?」ガバッ - 30書いた人24/07/20(土) 19:34:17
ホシノ「せんせっ……銃、私の銃は!?」
先生「え……」
ホシノ「た、盾もない! どこに行ったの!?」オドオド
先生「落ち着いて。失くしたわけでも忘れたわけでもないよ。置いてきたんだ、君の家に」
ホシノ「なっ……」
ホシノ(冗談でしょ? 何やってんの私? 外出するのに銃も盾も置いてくるなんて有り得ない。ましてや先生と、二人きりなのに)ゾッ
先生「だだだ大丈夫だって! けいか……予定通りだから! 眠いとこ連れ出しちゃったのはゴメン。でも今日行くとこは安全だし! 戦闘なんか絶対起きないから」
ホシノ(どうしよう……手の震えが止まらない。今からでも取りに帰れないかな?)プルプル
車掌『えー、次は最果て秘境駅。お降りの際はお忘れ物にご注意ください』
ホシノ「最果て秘境駅っ!?」ガーン
先生(みんな……やっぱりこれ逆効果だったんじゃ……) - 31書いた人24/07/20(土) 20:01:26
ホシノ「……」ショーゼン
シロコ「ターゲット、降車を確認」
セリカ「あ、アレ大丈夫なの? 顔が真っ青じゃない」
ノノミ「ホシノ先輩、最近は寝る時も銃を手放せないみたいですからね……」シュン
アヤネ「荒療治とはいえやり過ぎてしまったでしょうか?」ハラハラ
シロコ「ん、大丈夫。禁断症状に備えて、一応盾だけは持ってきた」ガチャガチャ
アヤネ「禁断症状って!?」
セリカ「と、とりあえず付いてくしかないわね……あんな状態なら絶対気付かれないでしょ」コソコソ
シロコ「張り合いがないね。いつものホシノ先輩なら今頃は」
ノノミ「今日は張り合わないでいてあげません……?」
アヤネ「と、とにかく作戦壱・”武器デトックス”は完了です! 作戦弐・”吊り橋効果”の遂行に移りましょう!」
「「「ラジャー!」」」 - 32書いた人24/07/20(土) 20:14:41
〜山海経 至温泉郷(桟道)〜
ホシノ「あ、あのさ……せんせ?」
先生「どうかした?」
ホシノ「ほ……本当に、こんな道しかないの?」
ホシノ「引き返そうよ? もし落ちたら死んじゃうよ?」ガクガクブルブル
先生「うーん。でもこれが一番の近道みたいなんだよね」ペラッ
先生(下を見るな! ただの橋、これはただの橋)ゾゾゾ
先生(吊り橋効果とは言うけど、これは想定してなかったな)ギシッミシッ
ホシノ(私が守らなきゃ、先生は……! もしこの人を喪って帰ったらどうなる? アビドスは、いやキヴォトスは、シロコちゃんたちは……)グルグル
ホシノ「手! 手繋ご!?」ハァハァ
先生「あ、うん」
先生(向こうから言ってくれるなんて。私が切り出す予定だったのにな……)
ホシノ(何のんびりしてるの? 早く、早く渡ってよ!)キリキリ - 33書いた人24/07/20(土) 20:24:10
〜山海経 至温泉郷(地獄谷)〜
ブシャアアアアア!!ジュウウウウウッ!!
先生「あれが間欠泉かぁ。ここの源泉は強酸性らしいよ」
ホシノ「先生! 走って!!」ガッ
先生「えっホシノ?」ドテドテ
ボーン!バシャアアアアッ
先生「うわぁ危なっ!? 岩落ちてきた!」
ホシノ「次あっち! 大きいのが来る! 頭低くして!」グイ
ッドォォォォン!
バッコーン!!ジョワアアアアアッ!!
先生「何で分かったの!?」
ホシノ「音と振動! いいから早く!」グイグイ
先生(おかしいな? カスミのくれた温泉開発ガイドには危険度”中”って書いてたはずなのに……)
ホシノ「遅い! 早く! 走れ!!」グイグイグイ
先生「ちょ、ホシノ!?」ピューッ - 34書いた人24/07/20(土) 20:55:50
〜山海経 至温泉郷(火山ガス地帯)〜
ホシノ「〜〜〜っ!!」ズダダダダ
先生「あの、ホシノさん? 私を背負ってだと重いだろうし、そこまで急がなくても……」
ホシノ「喋るなっ!!」
先生「ごめん!?」ヒィン
ホシノ(先生なんかに道案内を任せた私のミスだ! 地図の上ではこの山肌を越えた先に町がある。土壌は……これなら!)ザクッ
ホシノ「いい、先生!? 少しも離れずくっ付いてて! 絶対に振り落とされないでよ!」
先生「……!」ドキッ
ホシノ「はあああっ!!」
ダッ!ガッ!ガッガッガッ
ズガガガガガ!ズダダダダダッ!!
先生(え!? ホシノ? 坂、いや斜面、いや崖っ!?)ギュ
ドォッ! シュバァッ!!
先生(壁走ってる!? しかも登ってる!?)ガビーン
ホシノ(届け、届け、届け! 今だ……っ!!)
ズッドーーーン!ガラガラガラ…シュタ - 35書いた人24/07/20(土) 21:10:18
〜山海経 温泉郷〜
ホシノ「は、はっ、ぐっ……うっ」グッタリ
先生(あ、あの山を足で越えてきたんだよね? 同じ生物とは思えない……)ボーゼン
先生(対策委員会の四人はまだ掛かりそうだな。シロコ、さっきの真似しなきゃいいけど)
先生「お、お疲れホシノ! 予定より二時間も早く着いちゃったね。旅館のチェックインまでまだあるから、ちょっとその辺で休もうか」
ホシノ「う……うん」ヘタッ
先生(それにしても……ポニーテールのホシノ、可愛いな)
先生(あの時はそれどころじゃなかったけど。動きやすそうだし、凛とした雰囲気で凄く格好良くて)
ホシノ「先生。私の水筒、持ってない?」
先生「ああ、それならちょっと待っててくれないかな? 私が取ってくるよ。チェックインはまだだけど、そろそろ荷物が到着する頃だし」ニコ
ホシノ「到着? 何のこと」
ブロロロロッ ピーッ、ピーッ、キュッ
ガチャ!ゾロゾロゾロ
ホシノ「え?」
先生「ほら、あのバスに預けておいたんだ。ホテルに運ばれる前に取ってくるね。ホシノはここで座ってて」テクテクテク
ホシノ「……」 - 36書いた人24/07/20(土) 21:20:16
フラ…フラ……
アヤネ「げほっげほっ! 誰ですか、あのルートを提案したのは!?」
ノノミ「確か先生本人だったような……今ではなかなか見られない、古代の街道が残っているとか」ゼェゼェ
セリカ「道なんかどこにも無かったわよ! めっちゃ臭いし!」
シロコ「ん……ある意味、貴重なものは見れた」ボロッ
アヤネ「もう二度とあんな急斜面を走っちゃダメですからね!」
ノノミ「そろそろチェックインの時間ですね。気を取り直して、みんなでお風呂に入りましょ~☆ って、あれ?」
先生「ホシノ。あの、ホシノ、さん」オロオロ
ホシノ「……」ムスッ
先生「ホテルの時間だし……さっきのお饅頭は全部奢りでいいので……そろそろお許しいただけますと……」ペコペコ
シロコ「何あれ」
セリカ「怒られてるんじゃない?」
ノノミ「わあ! ホシノ先輩のあの目……初めてお会いした頃とそっくりです。向こう見ずで身の程知らずな私を諫めてくれた時のこと、思い出しますね~」
アヤネ「それってダメじゃないですかぁ!?」ガーン
先生「ごめんよホシノぉ」シクシク - 37二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:31:47
- 38二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:36:43
まぁカスミだしなぁ
- 39書いた人24/07/20(土) 21:45:22
~温泉旅館 大浴場~
ホシノ(ここに来て、ようやく頭が回るようになってきた)カポーン
ホシノ(冷静に考えると……ここまであの四人が影も形も見えないのはおかしい。特にシロコちゃんなんか、どこかで乱入してきてもおかしくないはずなのに)フー
ホシノ(仕組まれてるなぁ、これ)
ホシノ(もしかして今も近くにいるんじゃ……)キョロキョロ
ビクッ!バチャチャ
ホシノ(……いるし)
ホシノ(まいったなぁ。めちゃくちゃ気、遣われてるよ)チャプ…
ホシノ(でも、何で先生と二人旅なんだろ? これじゃ結局全員で来てるのと変わらないじゃん)
ホシノ(……避けられてるのかな)
ホシノ(バカなこと言うな! みんなを避けてるのはお前の方だろ、小鳥遊ホシノ)ブンブン
ホシノ(結局、中途半端しか出来ないからこうなるんだ。学校に戻ることも、離れることも出来ずにこんなとこへ来て。お前の身勝手でみんな迷惑してるんじゃないか)
ホシノ(あぁ……ダメだ。考えれば考えるほど、ダメになっていく。だからここ最近ずっと……ずっと、何もしないようにしてたのに)
ホシノ(やっぱり、無理だよ。前みたいに……なんて)
ホシノ(そう思いませんか、ユメ先輩)ハァ - 40書いた人24/07/20(土) 21:56:53
~客室~
ホシノ「ごちそうさま、先生」フキフキ
先生「美味しかった……! 最近カップ麺とレトルトカレーばっかりだったから……!」ジーン
ホシノ「あー……そう」
先生「海もさることながら、山の幸も良いものだね。さっき食べた川魚のフライ、明日も出るかなあ」
ホシノ(海。海か)
ホシノ(今回の旅行……そっちじゃなくて良かったな。海は大好きだったけど。だからこそ今はきっと、辛い)
ホシノ(ごめんね、先生。こないだのラーメンもだけど、味がぼやけてよく分からないんだ)
先生「今日は疲れちゃった? この後、夕涼みに出たいと思うんだ。ホシノさえ良ければ一緒にどうかな」
ホシノ「私”で”いいの?」チラ
先生「えっ、それはもちろん……」ドキッ
ホシノ「ああ、今日は他の子なんていないんだったね。ごめんごめん」
ホシノ「私で良ければご一緒するよ、先生」 - 41二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:08:35
このナーバスホシノは常に過去ホシノとおじさんの間ぐらいのトーンで喋ってそう
- 42書いた人24/07/20(土) 22:11:22
リーンリーン ジジジジ、ジジッ
先生「山あいだからかな? 外は割かし涼しいね、ホシノ」
ホシノ「何だかしっとりしてるね。アビドスとは大違い」
先生「えーっと……何だか」
ホシノ「お化けでも出そう? それか幽霊」ピシャッ
先生「あー! そ、そんな感じするね!」ザワザワザワザワザワ!
ホシノ(風なんて吹いてない。誰かが揺らしたんだ)
バサバサバサバサ!
先生「うわっ!? あ、ああ何だ、鳥か」
ホシノ(木立で休んでる鳥たちを驚かすのは良くないな。幽霊や動物の気配なんかじゃない。明らかに森に慣れてない子が四人。足音すら隠せてない)
ホシノ(さっきまでは気付かないであげられたけど……そろそろ潮時かな)
ホシノ「……あのさ、先生」
ホシノ「ちょっと走ろっか」グイ
先生「え? えー!?」スッタッタッタッタ - 43書いた人24/07/20(土) 22:24:29
~山海経温泉 山頂展望台~
先生「ぜぇ、はあ……」トテトテ
ホシノ「もう息上がっちゃったの? ほんと、先生は体力ないなあ」
先生「君に比べたらね。ていうか随分上がってきたような」フラフラ
ホシノ「見てよ。まあまあの眺めじゃない?」
先生「……旅館が、あんなに下の方に」ガーン
ホシノ「ここへ来るまでに幽霊さんたちは撒いたよ。しばらくは麓でウロウロしてるんじゃない? そろそろ本当に、二人きりで話しようか」
先生「はは……全く、敵わないな。ホシノには」
ホシノ「別に、台無しにしたいわけじゃないんだよ」
ホシノ「みんなの性格も、先生の優しさも知ってる。私だって食い下がらなかったと思うよ? たとえば、シロコちゃんやノノミちゃんが学校に来なくなったりしたらさ」
先生「……」
ホシノ「でもさ。違うんだよ」
ホシノ「上手く言い表せないけど……何かが決定的に違うんだ」
ホシノ「化け物になった私を戻してくれたこと、感謝してないわけじゃない。でも……全部が全部、元通りにはならないんだよ」 - 44書いた人24/07/20(土) 22:44:46
ホシノ「違う世界のシロコちゃんのこと、思い出してた」
先生「……!」
ホシノ「向こうじゃ、みんな死んじゃったんだってね。それでシロコちゃんは自分を責めてああなった。でも、それだけじゃない」
ホシノ「悪いのはさ、ほんとはさ」ポロ
ホシノ「シロコちゃんを追い詰めたのは、ノノミちゃんを死なせたのは、アヤネちゃんを、セリカちゃんを殺したのは……」ポロッポロッ
ホシノ「向こうの世界の、私だったんでしょ?」
先生「ホシノ……でも」
ホシノ「この世界じゃそうはならなかったって!? でもそれを聞いてさ!」グッ
ホシノ「それを知って、それを実際に自分がやろうとしてさ……! それなのにっ!」
ホシノ「もう、一緒にいられるわけないじゃんかぁ……!!」ボロボロ
ホシノ「うっ……ぐ……!」グスッ - 45書いた人24/07/20(土) 23:02:30
先生(”非有の真実は真実であるか”)
先生(あの男は言っていた。他人の苦しみを、他人が理解出来るわけがないと。確かにそれはそうかもしれない。大事な人たちを自ら殺めてしまった、そんな人に掛ける言葉を私は知らない)
先生(でも……もう一つの答えなら知っている)
先生(理解出来ない他者という存在を通して、自分自身を理解出来る。キヴォトス全土を巻き込んだあの戦いで、見つけた真実)
先生(君の苦しみは私の苦しみと違うかもしれない。でもそんなこと、君を諦める理由にはなりっこない。私はみんなで見つけたこの答えを信じる)
先生(……だから)
先生「君は失うことを恐れ、自ら全てを手放そうとしている。でも分かってるはずだ。一人じゃダメだってこと」
先生「帰っておいで。ホシノ」
ホシノ「勝手なこと言うな……っ! もう何も決めたくないんだよ! 自分で決めたことも、誰かに言われたことも、全部、全部間違ってた! 先生の言うことは何もかも正しいの!?」
先生「正しいか正しくないか、君に見定めてほしい。責任は私が取る」
先生「だから君の責任を、一緒に負わせてくれ」
ホシノ「どういう……意味? それ」
ズゥウウウウン
ボボーン……
「「!?」」バッ - 46書いた人24/07/20(土) 23:16:51
先生(何だ、今の音……? こんな大事な時に)
先生(下の方から聞こえた気がする、けど)
先生「っ!? 町が燃えてる!?」
ホシノ「え……」キョトン
ボォォォォォッ
キャァァァ!ヒィィィィッ
先生(あちこちに火が点いて……一体何が? こんな山奥の温泉街を誰が何の目的で攻撃するって言うんだ)ガバッ
先生(山奥……そういえば)
~
カンナ【先生。先日は強盗団の一斉検挙、ご協力ありがとうございました。万全で挑んだつもりでしたが予想より敵勢が多く……公安だけではホシを挙げられなかったでしょう】
先生【その件なんだけど、逃げた一行の足取りは何か掴めたの? 必要であれば私から各学園に協力を仰ごうと思うんだ。態勢を立て直せば、奴らはいつどこで蜂起するか分からない。かなり危険な状況だよ】
カンナ【ええ、是非お願いします。こちらの方ではまだ何とも。山岳地帯に逃げたという情報もありますが、ヴァルキューレの権限では立ち入れない自治区も多いですから。引き続きご協力ください】
~
先生「まずい……助けに行かないと!」
先生(奴らは傭兵崩れの戦闘集団。一般の警察が何とか出来る相手じゃない!) - 47書いた人24/07/20(土) 23:30:23
先生「ごめん。ホシノはここにいて」
ホシノ「ま、待ってよ……先生一人でどうする気なの?」
先生「対策委員会の四人も異変に気付いてるはずだ。彼女たちと合流して敵を鎮圧する。心配しないで」
先生(そうはいえ、みんな散り散りになってるかもしれない。ここは圏外だし連絡も取り合えない。シッテムの箱も持ってきてないし、どうすれば……)
ホシノ「降りてったってこれじゃ、その辺中どこも火の海だよ? 悪いこと言わないから……やめなよ」グッ
先生「そういうわけにはいかないんだ。これは私の責任だから」
ホシノ「バカ言わないで! 今日だって何度も死に掛けたくせに、こんな時だけ恰好付けないでよ!」ググッ
先生「……!」
ホシノ「責任責任って何なのさ!? それは弱い奴の吐いていい台詞じゃない。自分の身も守れないで何が出来るって言うの!?」グググッ
ホシノ「だから、だから」
ホシノ「どこにも……行かないでよ」ポタ、ポタ
先生「ホシ、ノ」 - 48書いた人24/07/20(土) 23:42:30
- 49書いた人24/07/20(土) 23:52:41
~山海経温泉 市街~
強盗団A「オラオラ! つべこべ言わずに金を出しやがれ!」
観光客(猫)「ひいいい! ど、どうかお助けを……」
観光客(犬)「今は何も持っていません! 本当です!」
強盗団B「なにい? じゃあ身ぐるみ置いてってもらおうか!?」
観光客「「ひえええっ!!」」
ズダダダダダ!
ダァン!ダァン!
強盗団A「何っ! 誰……ぐわっ!」バキィ
強盗団B「こんな所に生徒だと!? ぎゃあ!?」ドガッ
ドシャッ!バタッ!
シロコ「運が悪かったね。アウトドアで培った、私の捕縄術を見せる時が来た」ギロリ
セリカ「そんなザコほっときなよシロコ先輩! 早くノノミ先輩たちと合流しなきゃ!」
シロコ「ん……やっぱり、運が良かったね」
セリカ「こいつら凄い人数じゃない! 倒しても倒してもキリがないわよ!」
パァンパァン!タタタタ! - 50書いた人24/07/20(土) 23:57:20
シロコ「火の手が収まりそうにない。私たちは敵を引き付けよう。アヤネがきっと避難誘導をしてくれてるはず」
セリカ「もー、こんなことになるなんて! ホシノ先輩たちは大丈夫なの!?」
強盗団「いたぞ、あいつらだ! ボコボコにしろ!」ダダダッ
セリカ「ちっ、囲まれた……!」
シロコ(敵が多い! ドローンも残弾もないし、このままじゃ捕まる)
シロコ(あの時のホシノ先輩ならこれくらいすぐ……私はまだ、全然追い付けてないのに)グッ
先生『シロコ! ノノミ! セリカ! アヤネ! 聞こえる!?』
「「!」」
先生『アヤネはそのまま避難者をお願い! シロコたちは旅館に集合して! 合流して敵を掃討するよ!』
セリカ「先生、旅館にいるの? それならいいけど……」
先生『こちらは連邦捜査部シャーレ! 住民の皆さんは避難を最優先にしてください! 観光客の皆さんも荷物は持たないで!』
強盗団C「何ィ? シャーレだと……?」
強盗団D「あいつ、お頭をパクった野郎だ! 血祭りに上げてやる!」
シロコ「まずい。セリカ! 追うよ!」
ドドドドドッ…… - 51書いた人24/07/21(日) 00:08:08
バシバシ!ドンドンドン!ギシッ、ミシッ
先生「わわ、人数増えてきたね。扉破られそうになってるよ」
ホシノ「自分の居場所教えたからだよ、このバカ先生! やっぱり作戦なんて任せるんじゃなかった!」
先生「す、少しでも敵を引き付けられればと」タハハ
ホシノ「ちょっとは生き延びること考えてよ! 捕まったらおしまいなんだよ!? 偉そうに責任語る前にやるべきことがあるでしょ!」グイッグイッ
先生「何だか元気出てきたね……ホシノ」
ホシノ(扉の向こうにいる敵は三、いや四! この数なら……)
バキィッ!ドカドカ!
強盗団E「オラァ! 覚悟しろモヤシ野郎!」
強盗団F「もう逃げ場はねーぞ……って何!?」シュパッ
ホシノ(敵のサイドアームを奪えば十分! 最小限の動きで潰す!)
バンバンバンッ!タッ!ズキュン!
強盗団G「な、なにもの……ぐふっ」バタ
強盗団H「速過ぎだろ……!?」グシャ
ホシノ「走るよ先生! 付いてきて!」バッ - 52書いた人24/07/21(日) 00:16:02
先生「ホシノ……無理はしないでね」タッタッタッ
ホシノ「そっちに心配される筋合いありま……ないから!」
ホシノ(あれ? 私、今)
強盗団I「いたぞ! 撃て!」
ホシノ「!」ズギュン
強盗団I「ぐえっ」ガク
強盗団J「護衛は一匹だ、怯むな!」ズダダダダ!
ホシノ(くそっ……ショットガンがあれば!)ズキュン!バキュン!
ホシノ(コレじゃ制圧力がまるで足りない。上階に退避するしかないけど……追い詰められたら先生が)ビシビシバシ
強盗団K「アイツ、避けずに突っ込んでくるぞ……!?」
強盗団L「それならグレネードで」ガサゴソ
シュン!ピンッ、ポロッ…シュバッ
強盗団L「え? 俺、ピン抜いてな」ドォォン!!キィィィィンッ
ホシノ「先生、生きてる!? 頼むから当たってないって言って!」ハァハァ
先生「だ、大丈夫……!」ダダダッ - 53書いた人24/07/21(日) 00:27:08
~温泉旅館 屋上階~
ホシノ(残弾なし。これで、武器は身一つだけか)ポイ
ホシノ(聞こえていればシロコちゃんたちも来ているはず。まだなの? ここにはもう身を隠す障壁さえないのに……)ゼェ、ゼェ
ホシノ「私が、何とかする。だから、先生、は」ガク
先生「ホシノ!?」
ホシノ「く、そっ……」ハァハァ
ホシノ(こんなとこでへばってる場合か! 立て、小鳥遊ホシノ!)
ホシノ(相手はカイザーPMCでもゲヘナの風紀委員長でもない。ただのゴロツキだ。あんな奴らに、先生を、やられて)ゲホッゴホッ
ホシノ(……血の味がする。撃たれ過ぎた、かも)
先生「ホシノ、あの時とは違うんだ。奴らが使ってるのは違法なオープンチップ弾で、君は盾も防弾ベストも装備してない。これ以上は……」
ホシノ「イヤ、だ」
先生「!」
ホシノ「もう、これ以上……失いたく、ない、から」フラッ
ドカドカドカ!ガチャガチャガチャ
強盗団M「逃げ足だけは速い奴らめ。ようやく追い詰めたぞ」ジャキッ - 54書いた人24/07/21(日) 00:38:26
ホシノ「先……生」ヨロヨロ
ホシノ「下がっ、てて」フラ…
先生「ごめん。それは出来ない」ガシッ
強盗団N「こないだはよくもとっちめてくれたなぁ!?」
強盗団O「大体てめえ偉そうなんだよ! 何様のつもりだ?」
強盗団P「そうだ、ガキどもがいなきゃ何も出来ねえくせによ! 一人でどれだけ戦えるのか見せてもらおうか!?」ガチャ…ガチャ……
ホシノ「せんせいっ……離して」
先生「大丈夫」
先生「ここまで十分やってくれたよ。今度は私が君を守る」ギュ
ホシノ「どう、やって」
ホシノ(弱いくせに。力も、スタミナも、何もないくせに)
先生「確かに私には何もないよ。だけど、大丈夫」
先生・ユメ「「これまで奇跡的に、何とかなってきたからさ」」
ホシノ(……!!)
強盗団「野郎共、蜂の巣にしてやれ!!」 - 55書いた人24/07/21(日) 00:47:29
シロコ「先生ぇぇぇっ!!」バッ!
先生「投げてシロコっ!!」
シロコ「んぅぅっ!」ブンッッッ!!
バッ!ガチャッ、ガチャガチャガチャ!ジャキンッ!
ズダダダダダダダダダダダッ!!
ガキキキキキキキキキキキキキキン!!
強盗団Q「た、盾だと!? 一体どこから飛んできた!?」キョロキョロ
セリカ「どこ見てんのよ、バカ!」ゲシッ
強盗団R「増援か! し、しかしあのバリアは!?」シュウウウウウ…
強盗団S「傷一つ付いてねえ!? たたた態勢を立て直すぞっ!」
ノノミ「させませんよ~?」
強盗団T「なっ、こっちにも!?」
ノノミ「お仕置きタイムですっ☆」ガチャ
バラバラバラバラバラバラバラ!
ズガガガガガガガガガガッ!!
強盗団U「ぎえええ!?」ドッカーン - 56書いた人24/07/21(日) 00:55:21
バラバラバラバラ ドカッバキッズガッ
ワァァァァッ!?ギャヒーッ!
先生「みんな、まさか壁をよじ登ってくるとは……若いなぁ」
先生「大丈夫だった? ホシノ」クルリ
ホシノ「……」ポロポロ
先生(泣いてる!?)
ホシノ「っぐ……せん、せぇ……!」ギュッ
先生「怖い思いさせてごめん。私だって傷一つない。もう大丈夫だよ」
先生「帰ろう。今度こそ、私たちの居場所に。もう絶対一人にしない」
先生「一緒にいるからね。ずっと」
ホシノ「……」エグッヒグッ
ホシノ(ああ、もう)
ホシノ(本当に、本当に……どこまでも。お節介な、人)
ホシノ(分かりましたよ。巣立つ時、なんですね。あなたから)
ギュゥッ……
先生(そ、それにしても! この盾、重たいな……!?)プルプルプル - 57書いた人24/07/21(日) 01:05:50
~山海経温泉郷 広場~
チュンチュンチュ、チチチチ…
ミーンミーンミーン
暴力団X「まさか全滅とは……連邦生徒会は逃亡先もお見通しか……」
暴力団Y「こんなはずじゃ! お頭に合わせる顔がねえ!」
ミナ「何を勘違いしている? 行き先はヴァルキューレではない」
暴力団Z「えっ」
ミナ「お前たちを裁くのは山海経だ。この地を土足で踏み荒らした罪、玄龍門の掟で贖ってもらう。鯉の餌になるのを楽しみに待っておけ」ギロ
暴力団XYZ「ひぇぇぇっ!?」ガクガクブルブル
ミナ(フッ、決まったな)スタスタスタ
先生(よし。キサキへの引き渡しも済んだし、何とか状況終了だな。旅行は名残惜しいけどD.U.へ報告に戻らなくちゃ)
セリカ「あ゛ー……せっかく温泉まで来たってのに、こんな疲れるとは思わなかったんだけど」グッタリ
アヤネ「夜通しで救助と復旧を手伝ってたからね……」ヨレヨレ
シロコ「ホシノ先輩、ん。預かってたこれ返す」ガチャ
ホシノ「あー、私の盾ね。それさ、シロコちゃんにあげるよ」
ノノミ「……え!?」 - 58書いた人24/07/21(日) 01:14:23
ノノミ「でもそれ、生徒会長さんのものなんじゃ」
ホシノ「私が勝手に貰ったんだ。だから今度はシロコちゃんにあげようかなーって。私は卒業するんだしさ、継承の儀みたいな感じで」
シロコ「……はぁ。ホシノ先輩は全然分かってない」グイ
ホシノ「うへっ!? ちょっ」
シロコ「私がこれを受け取ったら、どうやって先生のことを守るの? 何だか浮かれてるみたいだけど、ホシノ先輩はまだ三年生なんだよ」
ホシノ「……えっと」
シロコ「これは返す。ホシノ先輩が卒業する時また貰う。その時までに別の盾を探しておくこと。私もこれを振り回せるように筋トレ頑張るから……それと」ズイ
シロコ「何が何でも守り抜く意志のない人に先生は任せられない。ホシノ先輩にならそれが出来る」キッ
ホシノ「シロコ……ちゃん?」ドキ
シロコ「だから答えて。ホシノ先輩は先生のこと好き? 本当に好き? 絶対に好き? 何が何でも好き? 答えて」ゴゴゴゴゴ
ホシノ「……す」
ホシノ「好き、です」カアアアッ
シロコ「ん。なら良かった」コク
先生「おーい! そろそろ始発列車が来る。荷物の準備はいい?」
ノノミ「は、はーい。それじゃ行きましょ☆」 - 59書いた人24/07/21(日) 01:20:03
ガタンゴトンッガタンゴトンッ
ゴオオオオオオッ
ホシノ(……何だか、振動が気持ちいい)
ホシノ(それに暖かい。先生、ずっと肩貸してくれてたんだ)
ホシノ(今、どの辺だろ? どれくらい寝てたのかな)
ホシノ(夢は……見なかったな。それだけ疲れてたのか、それとも)
ノノミ「ホシノ先輩、気持ち良さそうに眠ってますね。私のお膝よりリラックスしてるかも?」
シロコ「それならノノミ。これからは私が膝を借りてあげる」
ノノミ「べ、別に寂しいわけじゃないんですけど……」
ホシノ(みんな起きてる。見られてると思うと、恥ずかしいな)モゾ
ホシノ(今更か。いつも寝てる私に戻っただけ。ただ、それだけ)
ホシノ(先生……ありがと)スリスリ
ホシノ(あ、今ビクッてした。ふふ)
ホシノ(しばらく……このままがいいな)トロン
ホシノ「……うへへ」 - 60書いた人24/07/21(日) 01:28:31
車掌『次はー、D.U.シラトリ区。D.U.シラトリ区ー』
先生「ホシノ、そろそろ起きて。私たち次で降りなきゃいけないんだ。ヴァルキューレに寄ってかないといけないし……」
ホシノ「ふぁ……もう着いたんだぁ。誰か他にも降りてくの?」パチ
アヤネ「……ホシノ先輩、先生と一緒に降りてください。これから一週間、シャーレでのインターンシップを申し付けます」
ホシノ「うへ? どゆこと」
セリカ「就活ってやつよ! みんなでさっき決めたんだけど、シャーレのスタッフの方が主婦より聞こえがいいでしょ」パァァ
シロコ「そう。先生と四六時中、一緒にいられるし」キリッ
ノノミ「私たちもすぐ会えて、最高の就職先じゃないですか!」パチパチ
ホシノ「な……何を勝手に!? ちょっとアヤネちゃん? 生徒会長だからって横暴じゃない!?」
アヤネ「生徒会長としてではありません。ホシノ先輩独身対策委員会の会長としての権限です!」
ホシノ「独身対策委員会ぃっ!?」ガビーン
先生「そういうことだから……一緒に来て? ホシノ」スッ
ホシノ「あ、う……」グルグル
ホシノ(ユメ先輩っ! この学校、お節介焼き多すぎですよぉっ!!)
【END】 - 61二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 01:31:29
やっぱりホシノは可愛い!
よき物語でした!かんしゃあ - 62書いた人24/07/21(日) 01:34:20
や、やっと貼り終わった……。
こんな長いもの書くべきじゃないです。
性質として一気に最後までご覧いただく方が合っているかも?
そういった方はPixivに上げているのでご利用ください。
#ブルーアーカイブ #二次創作 先生「ど、独身対策委員会……?」 - にげせんの小説 - pixiv*** ~アビドス対策委員会 教室~ 先生「私の聞き間違いかな? もう一度お願い」 アヤネ「はい。ホシノ先輩独身対策委員会です!」 先生「えええ!?」ガビーン ノノミ「今日は最初の定例会議です! 来てくださってありがとうございます、先生☆」 先生「いやいやいや、何を言ってるの!? ...www.pixiv.netクールでシニカルなおじさんはドツボなので、他所様の二次創作にも期待したいと思います。
次はもうちょっとコンパクトにしたいです。
- 63書いた人24/07/21(日) 01:36:30