[ss] メトロイド外伝 ホームミッション (元ネタR18注意)

  • 1二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:38:17

    このスレはメトロイド及び、あるR-18同人誌を元ネタとするssスレです。
    荒らし行為などはもちろん、同人作家さまへの配慮なきレスなどはご遠慮ください。

  • 2二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:39:03

    比較的サムスなやつか

  • 3二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:39:39
  • 4二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:40:18

    立て乙
    元X、現サムス兼妻兼母な彼女の活躍に期待

  • 5二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:40:36

    このレスは削除されています

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:42:04

    見慣れたはずの場所が、見慣れぬ形へと変わってゆく。
    爆発の光と共に湧き上がる炎が、私の『世界』を崩そうとする中を走り続ける。
    無数の線と化している風景の端で、見知った人間と…それに襲い掛かろうとしている異星人を捉えて─右腕をかざす!
    腕と一体化した砲塔から放たれた光が、化け物を塵も残さず消滅させた。


    「サ、サムス…!」
    「大丈夫か。」
    「ああ……俺は、俺はなんとか…。」

    助けた男は、尻餅をついたまま何かを悔いるように俯く。
    その姿に嫌な予感を覚え、なかば祈る気持ちで"バイザー"を起動させた。


    ─生命反応 周囲に感知されず─


    「…移民船のほうに行こう。みんなもそこに避難している。」
    「ああ…。」

    ふらついたのも束の間、しっかりとした足取りで男は走り始めた。
    採掘惑星で働いてきただけあって、体力はまだまだ残っているようだ。
    生命反応…ともに日常を過ごしていた友人を探しながら後に続く。
    この星を襲った異星人…スペースパイレーツを警戒しながら…。

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:43:22

    移民船…この星に住民兼労働者を運んできた船であり今では役所としての役割を持つ建造物の門をくぐる。
    銀河系間を移動することを目的に製造されただけあり、ここだけがパイレーツの攻撃にも十分に耐えれるだけの強度とバリア・シールドを有していた。

    「ここまでくれば安全だ。しばらく休むといい。」
    「…ありがとよ、サムス。お前はどうするんだ?」
    「ああ、私は「サムス!」…!」

    聞こえてきた声に振り向くと、そこには愛しい男が駆け寄ってきた。
    その胸には赤子が、彼と私の愛の結晶が抱かれている。
    愛しの家族の姿をみて脱力した身体が、気づかぬうちに蓄積されていた疲労を訴えてきた。

    「私もしばし休むよ。家族のそばで。」

    私の名はサムス・アラン。愛する家族と、友人たちが生きるこの惑星を守るために戦う…戦士だ。

  • 8二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:44:11

    「お疲れさん、ケガはないか?」
    「ああ、大丈夫だ。そっちは?」
    「おかげさまでな。…まったく、なんでこんなことになっちまったのか。」

    なにか飲み物とってくる、そう呟いて夫は部屋の外へ出ていった。
    …昨日まで、この惑星は平和そのものだった。
    名前ではなく記号とナンバーがつけられてることからわかる通り、鉱石が豊富にとれる以外には価値あるものが無い惑星。
    銀河の辺境も辺境にあることもあってか、交易関係以外でこの惑星に訪れるものはいなかった。
    つい先日に奴らが…スペースパイレーツがやってくるまでは…。

    スペースパイレーツ…複数の種類のエイリアンで構成される宇宙犯罪者の集団。
    かつては銀河を脅かしていた奴らは、本部としていた惑星の消滅で壊滅した…らしい。
    この惑星に漂着し、夫に助けられる以前の記憶がない私にとって、奴らに関する情報は他人から聞かされたものしかない。
    その情報も「スペースパイレーツは既に過去の存在」以上の話ではなかった。
    滅んだはずの犯罪集団が、よりにもよってこの星に…私の新たな"故郷"に襲来したのだ。

    「やれやれ、こいつはのんきなもんだなぁ。まぁ、大泣きされるよりかはずっとマシだが。」

    戻ってきた夫が、ベビーベッドで眠る息子に向かって微笑みかける。
    …息子、この単語が思い浮かぶ度に心の片隅でかすかな違和感が生まれる。
    決して不満はない。生まれてきてくれたことに感謝している…そのはずなのに
    子供が"私と違う性別"であることに、なにか引っかかりを覚えるのだ。
    そういう時は…

    「なにせ見ず知らずの女を妻にした男が親なんだ。ちょっとやそっとの事じゃ動じないさ。」

    自分と夫の間に生まれた命の顔をじっと見つめる。
    この世のなによりも愛らしいその姿に、胸の中の違和感が瞬く間に消えていく。
    この世に生まれ、生きていてくれる…たったそれだけで私たちを幸せにしてくれるのだ。

  • 9二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:45:16

    「じゃあ…こいつがいつ大泣きしても対応できるように、ちゃっちゃとあの無法者どもを追い出すとしますか!」
    「…まさか、ついてくるつもりか?」

    腕まくりする夫に、怪訝な視線を向ける。
    少し休憩したら、パイレーツ撃退に出発するつもりだった…私一人で。

    「ダメだ。危険すぎる。お前はここで待ってるんだ。」
    「そうはいかねぇよ。嫁さん一人で命の取り合いさせちまったら、それこそコイツに顔向けできねぇ。」

    制止の言葉をかけても、夫の意思は揺らがないようだった。
    息子が生まれてからというもの、彼は以前よりもずっと責任感のある人間になった。
    平時は頼もしかったが、流石に今回ばかりは…。

    「そう心配すんなよ、我が家には"アレ"があるじゃねぇか!」
    「アレ?…ああ、アレか。確かにアレを使えば、そうかもしれないが…。」

    不安げな私を励ますように笑みを浮かべる夫は、そのまま「ガキの面倒を知り合いに頼んでくる!」と言って部屋を出ていくのだった。
    …仕方がない。無理に一人で行ったら、後から着いてきそうだ。
    それなら一緒に行動したほうが、彼も安全だろう。

  • 10二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:46:01

    ひと気が無くなり、所どころ崩れた街を一艇のエア・カーが進んでいく。
    そんな絶好の獲物をパイレーツが見逃すはずもなく…

    「ギィイイイイイ!!」

    威嚇のつもりか、ヒューマノイドには出しようがない雄たけびを上げながら
    前方から左右へと、エア・カーを取り囲もうと物陰からパイレーツ達が躍り出てくる。

    「フッ!!」

    エア・カーの後ろから飛び出し、まずは左に展開しているパイレーツに向かって
    右腕の砲塔…アームキャノンで狙いを定める。
    そこから生体エネルギーを弾丸に…パワービームを撃ち放ち、パイレーツを次々と塵にしていく。

    「ギッ!?ギギィ!」

    戦闘音を聞いて、右側のパイレーツが回り込んできた。
    内の一匹がエア・カーの上に飛び乗ろうとするも…

    「ギギャアァァァッ!?」

    エア・カーの表面に張り巡らされたバリア・シールドに弾き飛ばされる。
    他のパイレーツもあっけを取られてる間に、パワービームを連射する。
    油断しきっていたパイレーツは、手にした武装を使うこともできずに"また"全滅した。

    『へへっ!どうだ、サムス。"コイツ"があれば大丈夫だったろ?』
    「…お前を危険な目にあわせるために、バリア・シールドを載せたわけじゃないんだがな。」

    エア・カーのスピーカーから聞こえてくる声に溜息つきながら、スキャンバイザーを起動、周囲に敵がいないかどうかを確認する。
    ついでエア・カーの状態もチェックしておく。

  • 11二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:46:44

    ─バリア・シールド 正常 ・ 船体耐久力 問題なし─

    夫の命と直結している以上 手を抜くわけにはいかない。
    バイザーからの情報だけじゃなく、自らの眼で傷がついてないかチェックしていく。

    『全く心配性だなぁ…こいつの頑丈さはお前が一番知ってるだろうに。なんせお前を俺の所に連れてきてくれたキューピッド様だからなぁ!』

    嬉しそうに笑う夫を尻目に船体を見回っていくと、見知った…しかし意味はわからないアルファベッド三文字が目に入ってくる。

    このエア・カーの前身となったのは、私を乗せてこの惑星に漂着した脱出ポッドだ。
    どういうわけか、このポッドにはどこから射出された等のデータが一切残ってなかった。
    そのため、乗っていた私の私物ということで落ち着いた。
    それを自家用艇として改造…エア・カーにしようと夫が言い出したのだ。

    まず不要になった生命維持装置を取り外して売却、エア・カーとしての操縦系や安全のためのバリア・シールド(これは私の提案、夫は心配しすぎだと笑っていたが)を搭載した。
    夫曰く、そこらのスターシップとは比べ物にならないくらい金がかけられていたポッドは、エンジンもそのサイズからは考えられないほどの高出力だったのだ。
    なにせパイレーツとの戦闘にも耐えられたのだから…。

    『問題ねぇって!ちゃっちゃと終わらせて帰ろうぜ!』
    「…それもそうだな。あまり遅れると、あの子が不安がってしまう。」

    知り合いに預けた、愛しのわが子を想う。
    夫が急かすのも、子供を心配するが故だろう。
    少しスピードを速めよう、エア・カーのチェックを切り上げて私たちは進み始めた。
    まず目指すべきは、夫が働いている採掘施設だ。

  • 12二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:47:23

    この惑星の居住地は、移民船を中心に建てられている。
    そこから少し離れてたところに採掘施設、更にその向こうにエネルギー生産施設(採掘施設用のものである)がある。
    パイレーツが宇宙船を下ろし陣地を構えたのは、このエネルギー生産施設のすぐ傍だ。
    つまりパイレーツを撃退のためには、そこに続く採掘施設をまず通らなければならない。

    『ちくしょう…よくも、俺たちの仕事場を…!!』

    パイレーツが侵入したのはつい先日のはずだった。
    にも関わらず、すでに採掘施設は奴らの手によって砦のように改造されていた。
    変わり果てた職場に、夫は悔しさを滲ませていた。

    『こっちだ、サムス。エネルギー生産施設に続いている道だ。』
    「わかった。バリアシステムには気を付けてくれ…おそらくパイレーツが潜んでいるはずだ。街の時とは比べ物にならないほどに。」

    了解、と彼は返事をして、採掘重機用の通路をエア・カーでゆっくりと進んでいく。
    オーバーヒート対策として、バリア・シールド使用中は速度が出せないようにしてあるのだ。
    とはいえ、夫に戦闘経験がないことを考えれば、それはそれで幸いとも思えた。

    ─敵性生物 確認 ─

    「! パイレーツだ!停止してバリアにエネルギーを回せ!」
    『お、おう!!』

  • 13二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:47:59

    夫に指示すると同時にパイレーツが、すぐ近くのコンテナから飛び出してきた。
    その勢いのままに、腕のキャノンをこちらに向けて攻撃…してこなかった。
    キャノンが不発だったのだ。
    ギィギィと金切り声を上げながらキャノンをガンガンと叩くパイレーツ。
    それでも沈黙するキャノンに業を煮やしたのか、コンテナに叩きつけた。その瞬間…

    「ギィァアアアア!?」

    キャノンが暴発。パイレーツは木っ端みじんとなった。
    ‥‥これで6回目だ。およそ10匹に1匹の確立で暴発事故を起こしている。
    奴らがこの惑星を襲撃したのには、確かに理由があった。
    最早このような辺境の惑星を獲物にするぐらいしか、奴らには力が残されていなかったのだ。

    『…馬鹿な野郎どもだ。こんな無様さらすくらいなら、真面目に働きゃよかったんだ。』

    心からの呆れと、ほんの少しの哀れみが込められた言葉がスピーカーから聞こえてくる。
    真っ当に生きている人間だけが自分を、そして他人を幸せにできるのだ。夫が私を幸せにしてくれたように。

  • 14二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:48:19

    パイレーツをなぎ倒しながら、採掘基地を進んでいく。
    長年勤めた夫はもちろん、時折仕事を手伝いに来ていた私にとっては庭のようなもの…そのはずだった。

    『なんだこりゃ。こんなもん、ここには無かったはずだぞ。』
    「これは…一種のゲートのようだな。スキャンするから待っててくれ。」

    通路を塞ぐ、金属質の円形のゲートは私たちの記憶には無かった。
    おそらくパイレーツが設置したもの…つまりこの先に進ませたくないということだろう。

    ─ビームに耐性のある金属で構成されたゲート 開くには物理的な衝撃が必要─

    「このゲートは…どうやら力づくであけるのが一番らしいな。」
    『力づくか……それならいいのがあるぜ。下がっててくれ。』

    ビームが通用しないことに、どうしたものかと悩む私に対し、夫は自信ありげにエア・カーを操作する。
    船体前部から電磁チェーンに繋がれたフックが飛び出し、ゲートに張り付いた。
    そのままエンジン音を轟かせながらエア・カーをバックさせ、強引にゲートを引き剝がしたのだ。

    『どうだ!つけてて正解だったろ、このグラップリングチェーン!』

    自慢げに声を上げる夫。この装置は彼が絶対に役に立つといって搭載したのだ。
    確かに、私だけだとここで立ち往生だっただろう。
    ガハハハハと些か品のない笑い声が響く中、別の音…飛行音のようなものが、ゲートがあった場所の奥から聞こえてきた。

    「「「ギィ、ギギィイイ!!」」」

    見えてきたのは、ジェットパックと大型キャノンで武装したパイレーツ、これまでの雑兵とは明らかな違いをみせていた…!

  • 15二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:48:39

    「「「ギイィイイイイッ!!」」」

    雄たけびを上げて、空中から兵器を撃ち込んでくるパイレーツたち。
    ビームではない、これは…ミサイル!?

    『うおぉぉっ!?』
    「っっ!」

    まずい!爆発そのものはバリアで防げても、その衝撃はエア・カーまで届いてしまう!!
    夫を守るため、次々と撃ちだされるミサイルをビーム連射で撃ち落としていく。
    その時だった。私の身体が、爆発のエネルギーを吸収したのだ。

    ─ミサイル能力 システム復元完了─

    「こ、これは…?」

    突如起こった現象に困惑するも、アームキャノンから伝わってくる感覚に従ってパイレーツたちに狙いを定める。

    「ギィアッ!?」

    ビームではなくミサイルが撃ちだされ、飛行するパイレーツを次々と撃墜していく。
    そこから飛び散った生体エネルギーを吸収、ミサイルが再装填された。

    「……。」

    夫は守れたが、私の気は晴れなかった。
    敵の攻撃だけじゃなく、倒した敵すらも自身のエネルギーにできる。
    自分が普通の人間ではないことはわかっていたが、これではまるで…化け物じゃないか。

  • 16二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:49:03

    『…ありがとよ。』
    「え…?」
    『だから、ありがとうって言ってんだよ!全く情けねぇぜ、嫁さんに助けられてばっかだ。』

    ハッハッハと笑う夫。…私を気遣っているのは明白だった。
    そうだ、例え化け物だとしても…愛する者たちを守るためには、この力が必要なのだ。

    「さあ進もう。この先に、奴らの船があるに違いない。」
    『おう!』

    今度こそゲートの先を進む。この惑星の平和を取り戻し、日常を取り戻すのだ。


    しばらく進むと再びパイレーツ製のゲートがあった、それも二つ。
    一つは先ほどと同じ金属製、もうひとつは表面になんらかのエネルギーが表面に張り巡らされていた。

    ─物理的衝撃を遮断するバリア・ゲート 高出力のビームが有効─

    ビームと聞いてパワービームを撃ち込むも変化がない。
    どうやら私の武装では、こちらのゲートは開かないようだ。

    『ようし、もう一度グラップリングチェーンを…。「待ってくれ、試してみたいことがある。」おう?』

  • 17二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:49:41

    金属製のゲートに向かい、さきほど"思いついた"ことを実行する。
    物理的な衝撃で開くのであれば…さきほど使えるようになったミサイルでいけるはず!

    『おお!一発で開けちまった!」

    予想通り、金属製ゲートはミサイルの前に脆くも崩れ去った。
    その先にはかなり開けた空間が広がっている…その時、バイザーが警告を発してきた。

    ─敵性生物 接近中 危険度 大─

    とっさに夫を乗せたエア・カーを下がらせると、空間の先の通路から巨大な球体が猛スピードで転がってきた。

    「ギャオォォオオオオオオッ!!!!」

    目前で停止した球体が、その身を開く。
    現れたのは、背中に甲殻をもつ巨大な生物だった!

  • 18二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:50:03

    威嚇するかのように、巨大生物が直立する。その身体のあちこちには機械部品のようなものが埋め込まれていた。
    体長はパワードスーツを着た私を上回り、鋭い爪と牙を振りかざしてきた!

    「フッ!!」

    跳躍して爪を回避し、背中にパワービームを撃ち込むも効果はなかった。
    予想はしていたが、あの甲殻は思った以上に強固なようだった。

    ─兵器として改造された痕跡あり 体内に爆発物の反応 腹部など前面への攻撃を推奨─

    やはり、思った通りパイレーツの生物兵器か。体内の爆発物…まだ確認できていない攻撃があるようだ。
    まずは相手の戦力を確認しようと、一旦距離を取る。
    すると奴は再び球状に身体を丸め、突進してきた。
    先ほどと違っていたのは…突進と同時に爆弾をばら撒いてきたことだ!

    『サムス!』
    「来るな!エア・カーでコイツの相手は無理だ!」

    ゲートがあった位置で待機させてる夫を制止する。
    あの質量の突進を喰らえば、エア・カーのバリア・シールドでも耐えられないからだ。
    壁にぶち当たった生物は、ゆっくりとコチラを振り返る。チャンスだ!

    「喰らえっ!!」
    「ギギャオァッ!?」

    こんどは腹部から頭部にかけてミサイルを連続で叩き込む。
    奴の血しぶきに混じって機械部品が散乱する。
    爆弾などの武装強化を施したが、そのために生物自身の身体は脆くなっているようだった。
    ミサイルは撃ち尽くした、あとは傷ついた部位をビームで狙い撃つのみ。
    再び攻撃のチャンスを窺うべく距離を取ると、生物はその口から炎を噴き出してきた!

  • 19二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:50:30

    「ぐあっ!」

    炎自体はスーツの耐熱限界には遠く及ばなかったが、生物は炎を煙幕代わりして突進してきたのだ。
    もろに喰らってしまった私を、生物が押し倒してきた。
    アームキャノンも抑えられた…マズイ!!

    『この野郎ぉっ!!サムスを押し倒していいのは、この宇宙で俺だけだぁっ!!』

    その時、夫がエア・カーで乗り込んできた。
    勢いのままにグラップリングチェーンを甲殻の隙間に打ち込み、全力で引き上げていく!

    「まったく、お前ってやつは…。」

    無理やり背中を反らされ、もがく生物の口にアームキャノンを突っ込む。

    「最高の男だよっ!!」
    「ブゥゴォォオオオオオオ!!!」

    一番の急所に向けて、パワービームを撃ちまくる。
    断末魔の叫びも満足にあげられぬまま、生物は絶命、その場に倒れ伏した。

    ─ボール能力 ボム能力 システム復元完了─

    絶命の瞬間、口内に差し込んでいたアームキャノンを通して、生体エネルギーを吸収し新たな能力を得られた。
    ボムはなんとなくわかるが……ボール、能力??

  • 20二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:50:50

    『サムス!大丈夫か!!』
    「ああ、大丈夫だ。‥‥助けられっぱなしだな。」

    思えば採掘施設に来てからというもの、夫には助けられっぱなしだった。
    最初は自分ひとりで乗り込むつもりだったが…その場合、私はこの生物に会うこともできなかっただろう。

    「ありがとう、本当にお前には…!?」
    「サムス?」

    改めて礼を言おうとした瞬間、凄まじい殺気が向けられてきた。
    まるで身体を突き刺すようなソレに目を向けて、私は…絶句した。

    「な、なんだと…!?」
    『お、おい…あいつは…!』

    眼に映ったのは、無機物と有機物が混ざったような装甲、真っ赤なマスクに緑のバイザー、右腕のアームキャノン。
    私と酷似した存在が立っていた…。

  • 21二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:51:10

    突如として現れた、私に酷似した人物。
    あまりの衝撃に言葉を失う私たち…それも束の間、現れた人物がアームキャノンからミサイルを撃ちだしてきた!

    「ぐあぁっ!!」

    身を翻してかわすも、強烈な爆風に吹き飛ばされる。
    奴のミサイルは、私のミサイルより遙かに強力なのか…!

    『この野郎っ!なにしやがるっ!!』

    夫がアクセル全開でエア・カーを奴…襲撃者に突撃させる。
    かなりの速度で質量をぶつけてきたソレを、襲撃者は片手で受け止めた。

    『お?お、お、おおぉぉぉぉ!?』

    まるで石ころのように持ち上げると、空間の入り口…私たちが入ってきたゲートのほうにエア・カーを放り投げた。

    (どうにか、どうにかしないと…!!)

    夫の…私に"愛"を教えてくれたヒトの危機が、私を奮い立たせる。
    アームキャノンを襲撃者に向け、本能のままにビームを撃ち放つ!

    ─アイスビーム能力 システム復元完了─

    「「っ!?」」

    着弾した結果に、襲撃者だけじゃなく私まで驚愕する。
    無我夢中で撃ったビームは、襲撃者を氷漬けにしてしまったのだ。
    今のうちだと、横倒しになったエア・カーをなんとか立て直す。

  • 22二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:51:27

    「しっかりしろ!」
    『お、おう。俺もコイツも、なんとか大丈夫だ。』

    スキャンバイザーで調べても、夫もエア・カーも傷ついた様子がなかった。
    奴が敵意を向けているのは、どうやら私だけのようだ。
    問題はなぜ私を狙ってくるかだが…そう思い、氷漬けの襲撃者に目を向けるも

    「なっ!?」

    バキバキと音を立てて氷が割れ、襲撃者が再び動き出した。
    全身氷漬けになって、なんのダメージもないというのか…!?
    このぶんではミサイルも効果はないだろう。…マズイ、こちらにはもう打つ手がない。
    この場をどう切り抜けるか、思案していると襲撃者の後ろ、我々が向かおうとしていた通路から飛行音が聞こえてきた。

    「「「ギイィイイイイ!!!」」」

    番犬代わりの巨大生物がやられたのに気づいたのだろう、パイレーツの飛行部隊がやってきた。
    すると襲撃者はアームキャノンをパイレーツ達に向け、そのまま全身が光りだした。

    「『!!?』」

    光がキャノンに収束し、撃ちだされたビームはたった一発でパイレーツたちを全滅させてしまった。
    ミサイルだけじゃなく、ビームもこちらとは比べ物にならない…勝負にならない!

    『サムス!!』

    私の怯えを察知したのか、夫は呼び掛けと同時にグラップリングチェーンを空間の天井に打ち込んだ。
    その意図を瞬時に理解し、私は先ほど会得したばかりのアイスビームを撃ちまくる。
    すぐ解凍して動き出すだろうが、ほんの数秒でも動きを止められれば…!

  • 23二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:51:43

    『おうりゃぁっ!!』

    エンジン全開で引っ張られた天井が崩落し、襲撃者どころか空間を埋め尽くした。

    『…よし、これなら追ってこれねぇだろう。』
    「ああ、しかしよく思いついたな。」
    『採掘業やってりゃ、落盤に対する知識なんて嫌でも身につくからな。』

    しっかし、と呟いた夫がエア・カーを方向転換し、まだ通っていないゲート…バリアゲートのほうに向かう。

    『残ったのはこの道だが、結局コイツを開ける方法がねぇんだよなぁ…。』
    「…いや、ひょっとしたら開けられるかもしれない」
    『うん?』

    バリア・ゲートに近づき、アームキャノンを構える。
    先ほどの襲撃者は、ビームを撃つ前にエネルギーを蓄積…チャージしているように見えた。つまり…

    (ビームをすぐ撃つのではなく、キャノンの中に留める…!)

    砲口から今にも飛び出しそうなエネルギーを無理やりにでも押さえつける。
    やがてキャノンを中心に、私の身体が光り輝き始める。

    ─チャージビーム能力 システム復元完了─

    能力覚醒のメッセージを合図に、蓄積したエネルギーを…チャージビームを発射する。
    通常よりも数倍のエネルギーが着弾し、バリアが消失したゲートが音もなく開いた。

  • 24二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:52:08

    『サ、サムス…。お前…それは……。』
    「どうやら奴と私は、ただ姿が似ているというだけではないらしい。」

    姿や武装が似ているだけではない、奴は私と同じ能力を持っているのだ。
    そしてあの強烈な敵意、記憶を失う前の私は奴と戦ったのだろう。
    私は今まで自分の過去を考えようとすることは無かった。夫との生活に全てが満たされていたから。
    その過去がよりにもよって、故郷の危機と同時に現れたのだ。
    まるで忘れられた記憶が、忘れ去った私に制裁を与えるために襲ってきたかのように。

    『…とにかく進もう。ここまで来たんだ、後戻りはできねぇ。』
    「そうだな…。パイレーツを壊滅させない限り、この星に…あの子に平和が訪れない。」

    お互いを鼓舞する言葉を掛け合い、ゲートをくぐる。
    私は、あの襲撃者を"Memory(記憶)”から頭文字をとって"M"と名付けることにした。


    「今更アイスビームで凍結するの?」とか「サムスはこんなヘマしないでしょ」と疑問もあるでしょうが
    そこら辺の説明は、本編終了後に投稿予定のサムスサイドのssで描こうと思っております。

  • 25二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 13:54:58

    今後はこちらに投稿していこうと思います。
    ssスレを建てるのは初めてなので、何か至らぬところがあればご指摘していただけるとありがたいです。

    エターらないよう定期的に投稿する気なのですが
    ちょっと[惑星ZDR]に取材もしてくるので、投稿スピードは遅いかもしれません。
    それでもよろしければ、今後ともよろしくお願いします。

  • 26二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 14:02:38

    了解ー!

  • 27二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:07:54

    「こっちのほうには来たことがないな…。」
    『ああ、採掘するのは向こうのほうで、こっちは物置と休憩所みたいなもんだ。』

    バリア・ゲートの先は、私が行ったことがない場所だった。
    長く採掘施設で働いていた夫と違って、私は重機の修理くらいでしか採掘施設に来たことは無かったので、現場付近以外の経路は把握していなかった。
    ここから先は夫が頼りだ。

    「この先にもエネルギー生産施設に続く道はあるのか?」
    『ん~、生産施設に続いてるっていうか、あそこのすぐ傍にある湖に続いてるってのが正しいな。』
    「湖…ああ、あそこか。」

    エネルギー生産施設は湖の端と重なるように建てられており、その水を機械の冷却に利用しているのだ。
    水冷式は原始的ではあるが確実かつ安価であり、環境という比較的変化のないものを利用しているため安定性にも優れているのだ。

    『このエア・カーは水上移動もできるからな、湖を突っ切って進むことが出来る。』
    「となると、残る問題は…。」

    今後の進行ルートを相談していると、前方からまたしても球体が転がってきた。それも三つ。
    先ほど戦った生物の同類だろうが、体長はその半分ほどしかなかった。
    どうやらあの個体は特別大きく育ったものらしい。

    「ハッ!!」

    アイスビームを三連射、生物兵器たちが球体のまま凍り付く。

    『オラァっ!!』

    氷像と化した彼らに向かって、夫がエア・カーで突進する。
    質量と速度の賭け合わせに、生物たちは残らずコナゴナに砕け散った。

  • 28二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:08:33

    『またコイツらか。パイレーツの連中、全然出てこなくなってねぇか?』
    「…Mのほうに部隊を回してるのかもしれないな。」

    M…あの恐るべき襲撃者はパイレーツにも敵対していた。
    あれほどの戦闘能力を持った相手なのだから、私たちよりも優先して戦力を回さなければならないのは、当然と言えば当然だろう。

    『ん?あそこは…なんであんな所を…。』

    急に夫が疑問の声を上げる。
    つられて見てみると、またしてもバリア・ゲートがあった。

    「あそこがどうかしたのか?」
    『あそこは予備の機械を置いとく物置だったはずなんだ。パイレーツ共、なんであんなトコにゲートを造ったんだ?』

    ゲートが設置してある以上、なにかあるかもしれない。
    幸いチャージビームに使用制限はない、私たちはその物置を調べてみることにした。


    『なんだ?こんな機械、置いた覚えはねぇぞ。』
    「なにかの製造機械のように見えるが…。」

    ゲートの先にあったのは、トラックほどの大きさの機械設備だった。
    そのわきにはカプセルに保管された筒状の物体がある。
    その物体が妙に気になり、私はおそるおそる触れてみた…すると。

    ─ミサイルタンク 獲得─

    カプセルごと物体を吸収し、バイザーに表示されるミサイルの容量が増加した。
    どうやらこの機械は、パイレーツの武機製造装置のようだ。

  • 29二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:11:45

    『あいつら、俺たちの食い扶持でこんなもん造ってやがったのか!』
    「これは、少々マズイかもしれんな。」

    パイレーツがこの惑星に来て、まだ3日とたっていないはず。
    それなのに奴らは、武装を充実させる手筈を整えつつある。
    本来なら急ぐべきだが、予想外の敵…Mの出現もあって私たちは思うように急ぐことができずにいた。

    『サムス、ここ以外にも武器が転がってるかもしれねぇ。全部貰っていっちまえよ。』
    「…そうだな。なにをするにも、戦力がなければ話にならん。」

    現状の私ではMには手も足も出ない。
    この実力差を一朝一夕で埋められるとは思えないが、それでも逃走の確率を上げることくらいはできるはずだ。
    進む途中のゲートは手当たり次第に開けることにしよう、少しでも戦力を補強せねば。


    ssスレにおける実質的な初投稿になります。
    相変わらすオリ設定の捏造まみれですが、ご容赦ください。
    惑星ZDRの取材ですが、ルーキー待遇のわりにE.M.M.Iや生物たちに、それはもう熱烈に歓迎されてます。
    何度ゲームオーバーなったことかわかりません。

  • 30二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 00:51:37

    >>29

    E.M.M.Iさん達はね、メトロイドでのルート構築だとか追われる状況での対処を実践式で教えてくれる先生のようなもんだと思っています(自論)死にまくってどうやったら効率的な逃げ方ができるかとか、其々のE.M.M.Iさん達の特殊能力の対処方をどうするか考えよう!


    SS投下感謝ぁ!!明日も楽しみにしていますねぇ…

  • 31二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 01:04:51

    隣に旦那が居なかったら何回死んでるか判らんほど戦力がキツイけどこれでまだ手加減してくれてるという恐怖

  • 32二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:07:17

    オリジナル視点だと(あ、コイツあの時のXだ)って察してるんかね
    察してなきゃ問答無用で撃ってこないか

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 17:14:22

    このレスは削除されています

  • 34二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:09:26

    パイレーツ製の武器アイテムを収集しながら進むと、前方にシャッターが見えてきた。
    辺りにスイッチが見当たらないが、今まで通った通路のどこかにあったのだろうか?

    『パイレーツの奴ら、防災シャッターを閉めやがったな。』
    「防災?」
    『ああ。湖が氾濫したときに、採掘施設に水が入らないようにシャッターが自動的に閉まるんだ。もちろん手動でも閉められる。』

    なるほど、災害に備えた設備なのか。
    ならばミサイルなどで無理やり破壊するわけにはいかないだろう。
    道を戻って開けるスイッチを押そう。そう思い踵を返すも…

    『あ~残念だが、手動で閉めることはできても、開けることはできねぇんだ。』
    「?どういうことだ。」
    『氾濫が収まらないうちに、間違って開けたりしないように、開けるスイッチだけは湖側にあるんだ。』

    湖の氾濫が収まらなければ開けられないように造られているということか。
    とはいえ、外から回り込んでシャッターを開ける時間などない。
    …しかたない。せめて修理に時間がかからないように。

    「ふんっ!!」

    左手でシャッターの下部分を掴み、力を込めて持ち上げる。
    シャッターが変形し、隙間が出来た…ところで、ふとあることを"思いついた"。

    『おいおい、サムス…。自覚無いかもしれねぇが、お前って結構肉付きがいいほうなんだぜ。』

    著しくデリカシーに欠ける声を無視しながら、シャッターと床の隙間に身体をねじこもうとする。
    パワードスーツを着たままでは、とても通れそうにない狭さだが、なぜか私にはこの隙間が通れるという確信があった。
    そして…

  • 35二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:09:53

    『サ、サムス!?』

    夫が驚きの声を上げると同時に、私はシャッターの向こう側に行くことに成功した。
    …私の身体が、まるで"ボール"のように丸まったのだ。
    元の身長の半分程度の"ボールは、シャッターの隙間をくぐるには十分だった。

    『サムス!おい、大丈夫か!』
    「そんなに大きな声を出すな。私ならなんともない。」
    『いや、だって…身体は大丈夫かよ…?』

    心配げな声がシャッターの向こうから聞こえてくる。
    人体の構造を完全に無視した挙動をみせたのだから、仕方ないといえば仕方もない。
    しばらく待っててくれ、そう告げて先に進む。
    やがて一つのスイッチを見つけた。その下には丸い窪みが存在している。

    ─スイッチ作動に必要なバッテリー検知できず 代替えのエネルギーが必要─

    どうやら窪みにはバッテリーがあったらしい、パイレーツが持って行ったのだろう。
    …再びの"思いつき"に従い、"ボール"になり窪みに入り込んだ。
    この能力は、Mに襲撃される直前に戦った巨大生物から得た能力。
    その時にもう一つ、別の能力も手に入れていたはず…!
    "ボール"状態で力をこめると、身体から"何か"が放出される感覚を感じた。

    ヴゥゥゥウウウウウウウン

    "何か"もとい"ボム"の爆発エネルギーを代替えにし、スイッチが作動する。
    やはりこれは"思いつき"などではない…これは"記憶"だ。
    かつての私も、今のように様々な能力を駆使して、道を切り開いていたのだ。
    …その過程でMと戦い敗れ、この星に漂着したのだ。
    シャッターが開いたのだろう、夫も後から続いてきた。

  • 36二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:12:06

    『サムス、大丈夫か!』

    開口一番に心配の声を上げる夫。どうやら"ボール"はよほど衝撃的な光景だったようだ。

    「心配ない、それよりも見ろ。…湖だ。」

    すぐそこにあった出口を指さす。その向こうには、ほんの少しの陸地と湖が広がっていた。
    その先にはエネルギー生産施設が見える。
    そのすぐ傍にパイレーツの宇宙船があるはずだ…そしてMも。
    何故か自分でもわからないが、Mもこの先にいるという確信があった。
    武器も増え、新たな能力も使いこなせるようになったが、それでもまだMには遠く及ばないだろう。
    だが歩みを止めるわけにはいかない、故郷の…愛する家族の運命がかかっているのだ!


    コメント及び保守、まとこにありがとうございます。
    ssにおいてもZDRでの取材においても、みなさんのコメントが励みになります。
    流石に毎日投稿は難しいですが、二日に一回は投稿できるように頑張らせていただきます。

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:16:45

    結構真面目な理由で面倒な開け方が設定されてた…
    こういう理由付け大好き

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:57:27

    メトロイド本編でもなんでこんな回りくどい方法で開けねばならんのだ…ってのが色々あるけど、こんな感じでちゃんとした理由とかあるんかな。そこらへん考えるのも楽しみ方の一つになりそうだ…

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 06:17:36

    すげえよこのSS。元になってるエロ同人好きだったから助かる

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:53:22

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 22:02:41

    このレスは削除されています

  • 42124/07/22(月) 22:16:24

    すいません、今日はちょっと無理そうです。
    明日には上げるつもりなので、もう少しお待ちください。

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 22:17:23

    無理せず頑張って下さいね!我々はいくらでも保守待ちできますよ…

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 06:09:05

    このレスは削除されています

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 13:35:00

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:02:02

    エア・カーの上に乗って、湖を進んでいく。
    バリア・シールドには、私のパワードスーツには反応しないように登録してあるから可能なことだ。
    …今思えば、Mがエア・カーを持ち上げた時にもバリア・シールドは反応していなかった。
    つまり奴のパワードスーツは、私のものと全く同じだということだ。
    そしてこのパワードスーツは、私と有機的に結合している生体組織でもある。
    これが意味することは…

    『本当に誰もこねぇな…。』

    夫の何気ない言葉に、思考の海から引き揚げられる。
    確かにパイレーツや生物兵器の迎撃はなかった。
    流石にパイレーツの宇宙船に、ここまで近づけば襲撃の一つや二つはあると踏んでいたのだが…。

    『まあ、楽に進めるんならコッチとしても助かるけどよ。』
    「とはいえ、油断はするなよ。こっちも索敵は続けておくから、お前は運転に集中してくれ。」
    『了解。』

    バイザーによるスキャン範囲と広げるも、反応する者は何もなかった。
    …そう、なにもなかったのだ。湖にいるはずだった魚たちも、バイザーは探知しなかった。

    「…エネルギーをバリアから推進力に回してくれ。」
    『おうよ!』

    防御力が落ちるが私の勘が、バリアよりもスピードを優先させろと警告してきたのだ。
    そして私の読み通り、エア・カーの後方から何者かが接近してきた!

    「ギュゥエエエエエエ!!」

    それは全身を甲殻で包まれたウミヘビのような、人間程度なら一呑みにできそうな水棲生物だった。

  • 47二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:02:47

    ─巨大になるように調整された痕跡あり 体内にエネルギー増幅路を確認─

    やはりパイレーツの生物兵器か、湖の魚は皆コイツに食われたのだろう。
    ならばミサイルも喰らうがいい!

    「ギュゥアアアアアアアア!!」

    水棲生物が悲鳴をあげる、ビームよりもミサイルのほうが有効だと思ったが正解だったようだ。
    このまま続ければ、そう考えたのも束の間、奴の身体が赤く発光し始めた。

    「右だ!」

    反射的に出した指示に、即座に夫が舵をきる。
    その直後、水棲生物がロケットのように加速、船体すれすれを通り過ぎて行った。

    『あっぶねぇ!!』

    ギリギリのところで回避できたことに夫が声をあげる。
    あの突進をくらえば、例えバリア・シールドを全開にしていても耐えられなかっただろう。
    そのままエア・カーはUターンする形となり、また水棲生物との追いかけっこが始まった。

    「…なんだ?!」

    突如目の前の水面から大量の蒸気が吹き上がった。
    これも奴の攻撃なのか…?

    ─増幅したエネルギーによって体温が急上昇 甲殻を開き排熱行為を行っている模様─

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:03:10

    どうやら加速能力を使ったあとは、隙ができるらしい。今がチャンスだ!
    先ほどのお返しとばかりに、ミサイルを連射する。
    やがて蒸気が収まった。排熱が終わり、甲殻が閉じたのだろう。

    『サムス!悪い知らせだ…このままのスピードだと、エンジンがオーバーヒートするぞ!!』

    反撃の糸口をつかんだのも束の間、夫から残された時間が少ないことを知らされる。
    しかしミサイルの火力でも、短時間で奴を倒しきれるかは微妙だった。
    ミサイルがもっと強力なら…そう考えたとき、あることを思い出した。

    (ビームと同じように、ミサイルにより力を籠める…!)

    Mのミサイルだ。彼女のミサイルは、私のソレよりも遙かに強力だった。
    私と彼女は同じ能力を持っている。私がチャージビームが撃てたように、あのミサイルも撃てるかもしれない。

    ─スーパーミサイル能力 システムアップデート完了─

    システムメッセージを合図に、新たなミサイル…スーパーミサイルを叩き込む!

    「ギュゥアアアアアアアア!?」

    激しい爆発が起こり、水棲生物が絶叫をあげる。
    スーパーミサイルなら甲殻の上からでも、十分なダメージを与えられるようだ。
    これで攻略の目途がたった。アームキャノンをミサイルからビームに切り替える。

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:04:22

    「こうすれば…!」

    奴の弱点は、排熱するときに露わになる…つまり体温を上げてやればいいのだ。
    チャージビームを連続で当て続けると、再び蒸気が沸き上がった。

    「これでトドメだ!!」

    甲殻の隙間に向けて、スーパーミサイルを力の限り連射する。
    激しい爆発が断続的に起こり…

    「ギュウエェァアアアアアア!!!!」

    水棲生物の身体が爆散した。体内のエネルギー増幅路に誘爆したのだろう。
    頭だけになった奴は、湖の底へと沈んでいった。

    『やったな!サムス!!』
    「ああ、今度ばかりは中々キモを冷やしたよ。」

    念のためにエア・カーをスキャンすると、エンジン回りが真っ赤に表示されていた。
    あと1分でも遅れていれば、エア・カーは大爆発していたかもしれない…夫を巻き込んで。

    『ちょうどエネルギー生産施設も見えてきたぜ!此処まで来ればあと少しだ!』
    「おい待て、一応エネルギーをバリアに回して…「ギュエァァッ!!」なっ!?」

    逸る夫に注意しようとした瞬間、頭だけになった水棲生物が水面から飛び出してきた。
    マズイ!バリアなしのエア・カーに体当たりされたら夫は!

    「くっ!」
    『サムス!?』

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:07:30

    咄嗟にジャンプし、水棲生物にタックルを喰らわすも、そのまま吞み込まれて水中に沈んでいく。
    頭だけになってなお、嚙み砕こうとする奴に、ボール状態になってなんとか耐える。

    (ここまで来て…!)

    今ここで私が倒れれば、敵地に一人残される夫は、移民船で帰りを待っているであろう赤ん坊はどうなる!
    自分で自分を鼓舞し、無我夢中でボムを連発する。
    しかし改造の影響か、それでもまだ水棲生物は、私を放そうとしなかった。
    もっと強いボムを!もっと強い爆発を!無意識に念じていた、その時…

    ─パワーボム能力 システム復元完了─

    凄まじい衝撃が身体中を揺らす。内臓を、骨格をも揺さぶるソレは私の意識を刈り取るのに充分であった。

    ─スピードブースター能力 システム復元完了─

    パワードスーツからのメッセージを、どこか遠くに聞こえながら、私は意識を手放した。


    お待たせしました、湖ボス 改造ウミヘビ撃破です。
    お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、生物ボスたちは《メトロイド フュージョン》のボスたちをイメージしております。
    このサムスにはふさわしいかと思いまして。
    能力覚醒がお手軽すぎないか、とお思いの方もいるでしょうが、これには理由も考えております。
    が、それは後々の機会に…
    今回もコメント&保守 ありがとうございました!

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:09:01

    追記
    これからは、21時くらいを目安に投稿していきたいと思っております。

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:10:34

    このレスは削除されています

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 23:16:29

    いきなりパワーボムは派手にヤバい
    状況が状況だから威力の確認とかも出来てないだろうし試し撃ちとか絶対にするなよ!コロニー内で使っても平気なのはゲームの都合であって本来なら個人が気軽にばら蒔いて良い火力じゃないんだからな!

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:49:29

    アダムもそうだそうだと言っています

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 06:27:50

    今度の!サムスには!春が来たっ!
    大切な恋人をバディにし!襲われた母星を防衛だ!
    (二昔前のCM広告風

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 15:09:54

    >>54

    パワーボムの起爆時には超高温の熱波が広範囲に及び、巻き込まれた人間は…つまり周囲の生存者や仲間は一瞬で蒸発してしまう

    この危険極まりないパワーボムの威力は、並の素材で遮ることなど不可能だ

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 22:41:59

    保守

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 07:07:38

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 17:06:14

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 18:18:41

    本日21時ごろ 投稿いたします

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 20:58:20

    「…ス!…り…!…い、…夫か!!」

    声が聞こえる。私を呼ぶ声が。
    愛おしい声が、水底のような暗闇から私の意識を掬い上げた。
    眼を開けば、エネルギー生産施設のすぐ近くの陸地で、夫が必死に私を呼び掛けていた。

    「う…う、ん…。」
    「っ!サムス、しっかりしろ!!」
    「…ああ、大丈夫。大丈夫だ…。」

    思い出した。エネルギー生産施設を目前にして、私は水棲生物に呑み込まれたのだ。
    そして無我夢中でボムを使い…

    「無事でよかったぜぇ…。湖の底に引きずり込まれたと思ったら、スゲェ爆発が起こってよぉ…。」

    涙目で訴えてくる夫。
    彼が言っている爆発とは、おそらくパワーボムとやらのものだろう。

    「パイレーツは?見回りに来なかったのか?」
    「いや、それらしい連中はこなかったが…。」

    おかしい。夫が言う規模の爆発が起これば、なにかしら偵察にくるのが普通だ。
    そう思い、バイザーを起動させて辺りを見回すと、煙をあげるエア・カーが目に入った。

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 20:58:40

    「ああ、それな。なんとかお前を助け出せないかって動き回ってたら…爆発に巻き込まれたな。」
    「…すまない。その爆発は私が起こしたものだ。」

    夫がこのエア・カーにどれだけ熱意を注いでいたかは、よく知っている。
    私がそれを台無しにしてしまった…そう肩を落としていると、夫が声を上げて笑い出した。

    「こんなもん、何回だって直せば済む話だぜ!それよりも、お前が無事で本当に良かった。」

    そう言って、マスク越しに頭を撫でてくれた。
    だが、その目には悔しさが滲んでいるのが見て取れた。

    「…俺はここでリタイアだ。幸いバリア・シールドは張れるからな、ここで待ってるぜ。」

    確かにエア・カーでの移動ができないからには、これ以上夫についてきてもらうわけにはいかないだろう。
    生身の彼がパイレーツと…そしてMと戦うのは危険すぎる。

    「お前がいたから、私はここまで来れたんだ。…あとは任せてくれ。」
    「おう、任せたぜ。」

    悔しさを噛み殺して、歯を見せて笑う夫に、私はマスクだけを解除した。
    意図を理解してくれた夫が、そっと私を抱きしめる。
    パワードスーツ越しに、夫のぬくもりを感じながら、彼と唇を合わせあった。

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 20:59:08

    夫を残し、エネルギー生産施設に到着した。
    ここまで来る途中、結局パイレーツは姿を見せなかったが
    流石に占領した施設内ならば、奴らも駐留しているはずだ。
    敵の数を確認するために、スキャンバイザーを広範囲に起動させると

    「…っ!これは…!」

    バイザーに表示された生体反応は二十を超えていた、だが私が驚いたのはそこではなかった。
    その時

    「っ!誰だっ!」

    突如、背後から視線を感じ、アームキャノンを向ける…しかしそこには誰もいなかった。
    バイザーを起動しても、熱探知にも音波ソナーにも反応はなかった。

    「気のせいか…。」

    驚愕のあまり、集中力が乱れているのかもしれない。
    深呼吸をし、意識を落ち着かせる。ここからはスニーキングミッションだ。

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 20:59:31

    「…見つけた。」

    私がたどり着いたのは、エネルギー生産施設の工場ラインだ。
    そこには2匹のパイレーツと二十人は超える惑星居住者…私の同胞ともいうべき人たちだった。
    パイレーツは、襲撃した星の生き残りを許さない、そう聞いていた。
    だが彼らは生きていた。作業用の奴隷として、パイレーツに捕まっていたのだ。

    (残りのパイレーツは数えるほどしかいないのかもしれない…)

    Mと遭遇以降、パイレーツが現れなかった理由がわかった。
    単純に人手が足りていないのだ。
    それどころか武装の数も足りないのだろう。ここのパイレーツは武装していなかった。
    工場機械を利用し、パイレーツ達の死角に潜り込む…今だ!

    アイスビームを二連射、悲鳴を上げる暇もなく凍結するパイレーツ。
    他に仲間がいないとも限らない、素早く近づきアームキャノンによる殴打を繰り出すと、氷像と化したパイレーツは粉々に砕けた。

    「サムス!サムスだ!」
    「助けに来てくれたのか!」
    「静かに!…これで全員か?」

    突然の事態にざわめく同胞をなだめ、彼らの状況を確認する。
    すると一人の女性が前に出てくる。彼女は、私の友人だった。

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 21:02:00

    「サムス!私の、私の子供が…!」
    「なんだって!」

    彼女は、私に料理をはじめとする家事のやり方を教えてくれた人だ。
    食事をただの養分の摂取と考えていた私の料理の腕前は、彼女の指導によって劇的に改善した。
    そんな経緯もあって夫を除けば、この星で私と一番親しい人間となった。
    そんな彼女の子供が、パイレーツによって人質にされたのだ。

    「そのパイレーツは、この施設のコントロールルームにいる。」
    「案内したいところだが…」
    「いや、場所だけ教えてくれれば大丈夫だ。みんなはシェルターに退避しておくんだ。」
    「サムス…。」
    「任せてくれ、君の子供は必ず取り戻す。」

    エネルギーの暴走など異常事態が起きた際、職員が避難するためのシェルターを備えておくことが義務とされている。
    みんなをシェルターに避難させ、私はコントロールルームへと向かった。


    旦那さん、ここでリタイアです。
    いよいよホームミッションも佳境に差し掛かってまいりました。
    姿の見えない誰かさんは、このスレの皆様ならもうお気づきでしょう。
    次回、とうとうサムスは"彼女"と対峙します。

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 21:17:52

    あのこれ…後ろに透明の本物が…

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 02:11:44

    ほしゅ

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 13:01:52

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 19:24:24

    本日 21時 投稿します。

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:00:49

    慎重に進みながら、コントロールルームを目指す。
    やはり残りの数が少ないのだろう、パイレーツに遭遇することはなかった。
    …Mにもだ。彼女もこの施設に来ていると予想していたのだが、影も形も見えなかった。
    彼女が向けてきていた強烈な敵意を考えれば、私のことを諦めるとは思えなかった。

    (今だけは出てきてくれるなよ…!)

    心の中で呟く。
    彼女の武装の威力を考えると、被害は私だけでは済まないだろう。
    今この施設には、パイレーツが住民に生産させたエネルギーが貯蔵されている。
    それに誘爆すれば、この施設はおろか居住地まで巻き込みかねない大爆発が起こるだろう。

    「…いた。」

    ついにコントロールルームにたどり着いた。
    中には一匹の非武装パイレーツと、見覚えのある子供がいた。
    友人の子供だ。バイザーで生死を確認すると気絶状態と表示された。
    問題だったのは、彼がパイレーツに抱えられてるということだ。
    下手にビームを撃てば子供を巻き込んでしまうだろう。ミサイルなど以ての外だ。

    「ギギィイ!!」

    その時、後ろからパイレーツの鳴き声が聞こえた。しまった!もう一匹いたのか。
    即座にミサイルで撃破するも…ルームのパイレーツには気づかれてしまった…!

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:01:27

    「ギ…ギィ!ギギィ!!」

    爪を腕の中の子供に向けて、パイレーツはこちらを威嚇してくる。
    奴の言葉はわからないが、抵抗するな。そう言っているのだろう。

    「…抵抗しない。だから子供には手を出すな。」
    「ギギ、ギィイイ。」

    アームキャノンを下す私に対し、嘲笑うかのように口を歪めて鳴くパイレーツ。
    …無論、諦めるつもりなどない。
    本当に諦めてしまえば、子供はもちろん折角生きていた皆も…夫も赤子もパイレーツにやられてしまうだろう。
    子供を見捨てれば話は簡単だ。それでも…私は全員を助ける可能性に賭けずにはいられなかったのだ。
    爪を向けながらパイレーツはゆっくり近づいてくる。
    チャンスは一度…!アームキャノンの殴打…メレーカウンターを仕掛ける!

    「ギィアッ!?」

    チャンスを窺っていると、突如パイレーツが衝撃を受け倒れこんだ。
    その隙に子供を抱き寄せると、何もない空間からビームが放たれた。
    ビーム浴びたパイレーツは悲鳴も上げる間もなく蒸発する。
    この威力は…!

    「お、お前は…!」
    「………。」

    ビームが放たれた空間から現れたのはMだった。
    彼女は透明になる能力を持っていたのだ。
    エネルギー生産施設に来てから感じていた気配は、彼女のものだったのだ。

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:01:53

    「待て!お前の狙いは、私なんだろう…。この子供は、ここに捕まっている人たちは関係ないはずだ!」
    「………。」

    みんなを巻き添えにしてしまうのを防ぐために、なんとか説得を試みる。
    彼女はずっと私を尾行した。
    にも関わらず攻撃してこなかったのは、彼女自身が他の人たちを巻き込むのを良しとしなかったからだ。
    何故か、そんな確信が私にはあった。

    「…なぜ、その子供を助けようとした。」
    「…‥‥?」
    「なぜ、他の連中のことを気にかけているのか、と聞いている。」
    「…彼らは、素性のわからない私を受け入れてくれたんだ。」

    記憶がない、しかも得体のしれない能力を持っている人間。
    にも拘らず、みんなは私を受け入れてくれた。
    夫と結婚した時も、子供が誕生した時も祝福してくれた。

    「私にとって、彼らは同じ惑星で生きる仲間たちなんだ!失いたくないんだ!」
    「………。ならば早く避難させるべきだ。」
    「…え?」

    ついてこい、それだけ言ってコントロールルームから出ていくM。
    子供を抱き上げ、すぐに後を追った。


    「ああ、サムス。ありがとう!この子を助けてくれて…!」
    「いや、私だけでは助けられなかった。…彼女のおかげだ。」
    「えっと…この人は…?」
    「サムスの、知り合いなのか?」

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:02:20

    シェルターにいき、友人に子供を引き渡す。
    友人は喜んでいたが、他の人たちは彼女を…Mに戸惑っているようだった。
    いやMをというよりは、Mの姿をといったほうが正しいかもしれない。
    なにせ私と同じパワードスーツを着用していたのだから、記憶…過去を思い出せない私と…。

    「これで全員か?」
    「は、はい…。」
    「では、ついてこい。ここから避難するんだ。」

    そう言い放つを、Mはスタスタと歩き出した。
    戸惑うみんなを促し、そのあとに続いていく。その先はエネルギー生産施設の入り口で、そこには長距離運搬用の特殊合金コンテナがあった。

    「このコンテナに全員入るんだ。私のスターシップが居住区まで運んでくれる。」
    「スターシップ…?」
    「私の相棒が動かす。安心しろ、必ず無事に送り届けてくれる。」

    淡々と話していたMだが、相棒の部分にだけは確固たる自信が感じられた。
    そうだ、避難の手段があるのなら…

    「すまない。この近くに動けなくなったエア・カーがあるのだが、それに乗っている男も避難させてもらえないだろうか!」
    「…採掘施設に来ていた奴か?」
    「ああ、そうだ。彼は、私の夫なんだ。」
    「……………夫、か。わかった。アダム、聞こえていたな。頼む。」

    妙に間が空いたような気がしたが、了承してもらえたようだ。
    アダムというのが、彼女の相棒なのだろうか。妙に聞き覚えのあるような名前だった。

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:02:52

    紫色のスターシップが、住民を乗せたコンテナを運んでいく。
    夫とエア・カーは、その後で運ぶそうだ。
    何はともあれ、これで夫の安全は保証されるのだ。
    この施設に来るまで、Mは脅威そのものだったが、いまでは感謝の念しかなかった。
    礼を言うためにも、改めて自己紹介することにしよう。

    「私の名はサムス・アラン。ありがとう、M。みんなを助けられたのは、君のおかげだ。」
    「…M?」
    「あ。すまない、私が勝手に呼んでるだけなんだ。…そうだな、そんな記号のような呼び方は失礼だな。すまない。」
    「…いや。気にしなくていい、サムス。」

    気分を害してしまったと思ったが、彼女はあまり気にしていない様子だった。
    …思ったよりも、ずっと寛容な人間だったようだ。ならば

    「パイレーツの討伐に向かうのだろう。私にも同行させてもらえないだろうか。」
    「なぜだ。」
    「ここは私にとって故郷だ。さっきの人たちは同胞だ。それを守れるなら、戦いたい。少なくとも…この力はその為にあると思っているんだ。」

    私の頼みに考え込む、というよりは困惑してる様子だったが
    答えを返したのは意外な人物だった。

    『協力してもらい給え、レディー。』
    「アダム?」
    『先ほどのように人質を取られていないとも限らない。少なくとも彼女の存在がなければ、あの子供を助けるのは困難だった』

    彼女と私に通信してきたのは、スターシップの運転を行っているはずのアダムという人物だった。
    彼は、私の申し出に賛成のようだった。

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:03:25

    『突然失礼した、Mrs.アラン。私は彼女を支援するA.I、アダムという。』
    「そ、そうか。夫の避難は?」
    『これから行う手筈だ。」
    「ならメッセージを頼めるか。そのほうが、彼も貴方を信じてくれるはずだ。」
    『了解した。それではメッセージの録音を開始する。』
    「Mと呼んでいた人物を和解することができた。彼女は思っていたよりもずっと心優しい人物だったよ…これから彼女と一緒にパイレーツ撃退にむかうつもりだ。」


    「お前は居住区に戻って、あの子のそばにいてくれ。そして…帰ってきた私を、一緒に出迎えてくれ。」


    「…ついてきたなら、ついてくるがいい。ただし条件がある。」
    「条件?」
    「パワーボムだけは絶対に使うな。最悪の場合、貯蔵されたエネルギーが誘爆しかねない。」

    録音を終えると、黙っていた彼女が条件をつけてきた。
    パワーボム…水棲生物に呑み込まれたときに覚醒した能力か。
    あの能力のせいで、夫のエア・カーは行動不能になった。それどころか、下手をすれば夫は…。

    「わかった。パワーボムとやらは絶対に使わない。」
    「よし、では行くぞ。」

    話は終わったと言わんばかりに歩き始めるが、その前に聞いておかなければならない事があった。

    「待ってくれ!君の名前を教えてくれないか?」
    「…残念だが、言えない事情がある。好きに呼んでくれて構わない。」
    「そうか…では、イヴという名前はどうだろうか?」

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:05:17

    背中を向けたまま、歩みも止めなかった彼女だが、私の提案を聞くと止まった。というか固まった。
    そのまま、まるで油の切れた機械のようにギ、ギ、ギ、と聞こえそうな動きで振り返ってくる。

    「………なんだと?」
    「だからイヴだ。君のパートナーがアダムだからな、ぴったりだろう?」
    「待て、ちょっと待て。」
    「さあ、行こう。イブそしてアダム、パイレーツシップまで後少しだ!」
    「待て!本当にその呼び名で通すつもりなのか!?」
    『進行ルートはもうすでに計算し終えている。今後は私の指示に従って進んでくれ。異論は無いな、ミセスそしてイブ。』
    「アダムッ!!」

    パイレーツ撃退までもう少しだ。心強い味方を得て、私は駆け出した。待っていてくれ、私の大事な家族たちよ!



    Mもといイヴさんの協力を得ることができました。
    対決を期待していた方々には拍子抜けかもしれません、ごめんなさい。
    悪ノリしてるようなアダムですが、彼には彼なりの考えがあるのでしょう、きっと多分。

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 23:04:00

    有識者からの指導入ったから大丈夫だなヨシ!
    アダムはなんだかんだ今回は給料が安いと文句言ったりと感性は普通の人な所は結構ありそう

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 09:49:44

    このレスは削除されています

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 18:03:28

    このレスは削除されています

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 20:18:11

    このレスは削除されています

  • 81二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 06:13:10

    このレスは削除されています

  • 82二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 17:21:19

    本日 21時 投稿いたします

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 21:01:10

    エネルギー生産施設から弧を描くようにパイレーツシップへと進んでいく。
    そのまま直進すると、パイレーツシップから攻撃が来た場合、エネルギー生産施設に当たる可能性があるとのことだった。
    そこでシップからの攻撃で被害が広がらないように、あえて遠回りするというのがアダムの提案だった。

    「「「「「ギャオァァアアアアア!!!」」」」」

    無論何事もなく進めるはずもなく、シップに近づくにつれ生物兵器が群れをなして襲ってきた。
    しかし…

    「…すごい‥‥!」

    それらのほとんどはイヴによって撃破された。
    彼女が放つビームは、私のソレとは比べ物にならない威力であり
    私がアイスビームからのミサイルで一匹倒す間に、彼女はビームを一度に三発撃ちだし、その一発一発が生物兵器を複数蒸発させるのだ。

    「君が味方になってくれて本当にホッとしているよ、イヴ。」
    「…その名前だけはどうにかならないか。」
    「そんなに気に入らないのか?」

    これでもう五回目である。
    どうも彼女は"イヴ"という名前は気に入ってない様子だった。

    『私にはピッタリの名前だと思うがね、レディー。』
    「余計なことは言わなくていい。』
    『良い名前を思いついてくれた、Mrs.アラン。今後、名前を明かせないミッションで偽名として使わせていただこう。』
    「アダムッ!」

  • 84二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 21:01:28

    アダムの指示は的確だが、ちょくちょくイヴに対してジョークを口にしてきた。
    しかし、その所どころにイヴを心配しているのが感じられた。
    実際イヴは口数が少ないというか、他人に対し壁を造っているように思え、その分アダムが口を出してきているように思えたのだ。

    「む…イヴ、あそこにも生物兵器が。」
    「どうやら襲ってくる様子はないな…とはいえ、見逃すわけにはいかないが。」

    岩の陰に隠れる生物兵器たちを見つけた。
    どうやら改造が上手くいっていない個体たちもいるようだった。
    …もしくはイヴの戦闘力に戦意を喪失した、ということかもしれない。
    しかし、この惑星の生態系を考えると見逃すわけにはいかない。
    気は進まないながらもキャノンを向ける、その時だった。


    ギィヤォォオオオオオオオオオオオ!!!!


    つんざくような叫び声が周囲にこだまする。
    その声を聞いた生物兵器たちが岩陰から出てくる。
    その目は血走り、口からは涎を垂らしてはグルル、と唸っている。

    「なんだ?急に狂暴になったぞ…!」
    「…今の叫び声のせいだ。来るぞ。」

    大して慌てもせずに迎撃するイヴ。
    しかし、先ほどとは比べ物にならないほどの闘志が彼女から感じられた。
    どうやら今の声に心当たりがあるようだ。

  • 85二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 21:05:00

    「止まれ。」

    生物兵器の群れを殲滅しながら進み、パイレーツシップはもう目の前というところまで来ていたところで、イヴに制止された。
    周りをバイザーで索敵していて、何かを警戒しているようだった。

    『上だ、レディー。』

    アダムに促されるままに、上を見る。
    遙か上空に鳥のような物体が見えたかと思うと、それは私たちに向かって降下してきた。
    …いや違う、あれは鳥じゃない!

    「ギィヤォォオオオオ!!」

    つんざくような雄叫び、先ほどの声はコイツか!
    それも改造された、翼竜のような生物だった。しかし他の生物兵器と違って改造箇所は段違いだ。
    おそらくコイツがパイレーツの切り札だろう。

    「‥‥リドリー。」
    「え?」
    「リドリー、コイツの名前だ。気をつけろ、今までの生物兵器とは桁違いだ。」

    それだけ言うと、イヴはアームキャノンを構えた。
    その身体からは、私に向けたように…否、それ以上の敵意が発せられていた。

    (リドリー…)

    頭の中で奴の名前を呟く…。
    不思議と身体の奥から、言葉にしがたいナニカがこみ上げてくるのを感じていた。

  • 86二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 21:06:17

    今回はちょっと短いです。ごめんなさい。
    モチベ維持のためにも、細かくても定期的に投稿したかったので…
    というわけで(どういうわけで) 次回、リドリー戦です。
    やはりメトロイドといえば、この方を出さないわけにはいかないでしょう。

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:28:22

    乙です。遂にリドリー戦が…

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:29:36

    アザーM以外だと見つけた瞬間互いにサーチ&デストロイに入るが多分今回もだろう…

  • 89二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 07:10:55

    このレスは削除されています

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 14:56:09

    このリドリーは敵本人じゃないやつかな?あれはノルフェアで死んだはずだし。
    同種族の別人?

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 15:14:10

    イヴ(本家)はドレッドのアビリティ100%
    アラン(人妻)はスーパー及びSA-X準拠の能力って感じでいいのかな。スペーザーは使ってこなかったし。

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 21:16:26

    今日は無理そうです、すいません。


    >>90

    クローン再生したリドリーをサイボーグにした、くらいのことしか考えてません。

    スーパーとかプライムでも当たり前のように復活してたし、私にとってリドリーは”そういうもんだ"と思ってます。


    >>91

    イヴに関しては、"グラビティスーツ"以外は100%状態です。

    アラン夫人に関しては、実はSA-Xそのままの能力ではなかったりします。

    そこらへんや「なんでパイレーツこの惑星狙ったの?」とか「銀河連邦はなにしてるの?」とか

    「そもそもなんでイヴたちはこの惑星にきたの?」とかも

    本編終了後に投稿予定の「メトロイド外伝 ホームミッション sideイヴ」で語ろうと思っています。

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 06:06:24

    >>92

    おけ。無理せず頑張ってください。

  • 94二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 07:08:36

    このレスは削除されています

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 16:11:14

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:21:39

    「ギィヤォォオオオオ!!」

    雄叫びと共に噴出される炎をすんでの所で回避し、反撃のミサイルを繰り出すも
    生物兵器…リドリーは炸裂する衝撃を物ともせずに突撃してきた。
    繰り出される鉤爪を躱したところに、槍のように研ぎ澄まされた尾が迫ってくる。

    (避けられない!!)

    少しでもダメージを減らそうと身構えるも、横から撃たれたビームが尾を弾き飛ばしてくれた。

    「しっかりしろ!距離を取れ!!」
    「ああ、すまない・・・!」

    イヴに習いリドリーから距離をとると、奴は再び空中へと飛び上がった。

    「またか…!」
    「焦るな、落ち着いて攻撃に備えるんだ。」

    上からの強襲を躱して反撃するも、すぐに上空へと逃げられる。
    さっきから、その繰り返しだ。
    このような開けた空間だと空を飛べる相手のほうが有利だ、閉所での戦いならば短期決戦に持ち込めるのだが…。

    (短期決戦…?)

    なぜ私はそう思ったのだろう?
    まるで限られた空間で、リドリーと戦ったことがあるかのような考えだ。
    だが私はリドリーとはこれが初戦闘だ…イヴと違って。

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:22:14

    「聞け、サムス。作戦がある。」
    「え、ああ、なんだ、イヴ。」

    呼び掛けに応じようと、湧き上がる疑問を掻き消す。
    あれほどの敵を相手に、考え込む暇などないと自分に言い聞かせながら、イヴの作戦とやらを聞く。

    「奴を倒すには、まず動きを止める必要がある。」
    「それは同感だが、あの巨体をどう止めればいいか…。」

    奴の最大の武器は機動力、それを奪うことが出来れば勝機は十二分にある。
    問題はどうやって動きを封じるかだ。
    奴の体長は我々の数倍はある、力で押さえつけるのは不可能だ。
    私のアイスビームでも、あの巨体はおろか翼すら凍り付かせるには出力不足だ。
    そこまで考えて、ようやくイヴの作戦内容に気づいた。

    「わかった、イヴ。奴の動きは私が封じる!」
    「攻撃のほうは任せろ‥‥来るぞ!!」

    またしても空から襲い来るリドリーに対し、キャノンにエネルギーをチャージする。
    発想が無かったのだ。
    敵の足止めやミサイルとの組み合わせばかりで、"アイスビームをチャージ"するという発想が。

    (今だっ!)

    目標と定めた翼に向けて、チャージアイスビームを叩き込む。
    爆発した冷気が氷塊となって翼を包み込み、バランスを崩したリドリーが地面に落下した。
    それを見逃すイヴではなかった。

  • 98二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:22:33

    「くらえっっ!」

    アームキャノンからレーザーポインターが照射されたのも一瞬、凄まじい量のスーパーミサイルが撃ちだされる。

    「ギャオオァァァァァ!!」

    炸裂する"ミサイルの嵐"に翼竜が絶叫を上げる。
    しかしそれは苦悶の叫びなどではなく…

    「「「「「ギィヤァアアッ!!」」」」」
    「新手か!!」

    またしても狂暴化した生物兵器たちが、群れを成して来た。
    奴は生物兵器を操る能力を持っていたのか…!?
    新たに出現した敵から始末しようと構えた私たちだったが…

    「な…なんだ…これは!?」
    「リドリー‥‥貴様…!」

    出てきた生物兵器たちを…リドリーは貪り始めたのだ。
    奴は援軍として呼んだのではない、体力回復のためのエサとして呼んだのだ!
    生物兵器の群れは、十秒とたたずに食い尽くされた…その時だった。

    (‥‥笑った?)

    確かにこちらを見たリドリーが笑ったのだ。
    ニタリと、悪意を隠すどころか見せつけてくるような笑みを。

  • 99二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:23:23

    「また空中に、いや違う…!?」
    「逃げるつもりか!!」

    空中に飛び上がったリドリーは、今度は完全に私たちを無視して、ある方向へと移動を始めた。
    いや待て…あの方向は、居住区?‥‥まさか!?

    (みんなを"喰う"つもりか!?)

    あの悪意に満ちた笑みの真意に気づく。
    奴は戦っている私たちではなく、私たちが守ろうとしているものを襲うつもりなのだ!

    「させるかぁぁあああああっ!!」

    夢中になってアイスビームを乱射するも、奴は巧みに回避する。
    足止めも追いつくこともできない…思わず絶望した時、水色のエネルギーがリドリーの尻尾を捉えた!

    「イヴ…!」
    「お前も引っ張れ!グラップリングビームだ!!」
    「グラップリング、ビーム…?」

    聞きおぼえない、まだ覚醒していない能力を求められる。
    おそらく彼女のアームキャノンから発せられている水色のビームがそれなのだろうが…。
    どうすることもできず、イヴとリドリーを交互に見る私に、彼女はさらに叫んだ。

    「私にできることは、ほとんどお前にもできる。…自分を信じろ!」

  • 100二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:23:53

    バイザー越しに、迷いなく向けられてくる彼女のまなざしに背中を押されて
    アームキャノンをリドリーの尻尾へと構える。

    (奴を止める力…グラップリングビーム‥‥!!)

    夢中で念じながら、キャノンの先に意識を集中する。
    そして…

    ─グラップリングビーム能力 システム復元完了─

    システムメッセージが表示されると同時に、水色のエネルギー…グラップリングビームが照射された。
    イヴと私、二人がかりでリドリーを引っ張り‥‥地面に叩きつける!

    「お前だけは…生かしておけないっ!!」
    「サムス!」

    もがく翼竜に向かって走り出す私の脳内に、ある光景が浮かび上がっていた。
    それは、炎に包まれる町。
    まるで"過去にも同じことがあったかのように"鮮明に映し出されるソレは、炎の熱すらも伝えてきた。
    その灼熱の炎が…愛する夫とわが子が焼き尽くそうとしていた!

    「うぉぉおおおおおおおおおっ!!!!」

    湧き上がる"怒り"をエネルギーに変えて、奴の顔面に向けて撃ちだす!

    ─プラズマビーム能力 システム復元完了─

    鮮やかな黄緑色のエネルギーが、残虐な翼竜の頭を吹き飛ばした。

  • 101二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:25:42

    みんなを、愛する家族を守ることができた、その実感に思わずへたりこんでしまう。
    そんな私に、イヴは歩み寄ると…左手を差し出した。

    「よくやったぞ‥‥サムス。」
    「…全て君のおかげだ。ありがとう…イヴ!」

    差し出された手をガシっと掴み、立ち上がる。
    パイレーツシップはもう目の前だ。この惑星の…故郷の平和はすぐそこだ!


    サムス&イヴ、無事にリドリー撃破です。
    パイレーツの切り札もクリアして、勝利はもう目前です。
    しかし、イヴと会ってからサムスの様子がおかしいですね…もう一波乱あるかもしれません。

  • 102二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 07:13:26

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 13:17:42

    そういえばドレッドだとリドリーはクローンもロボットも出なかったな

  • 104二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 22:40:36

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 07:12:55

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 18:29:30

    このスレは落としたくはない!保守!

  • 107二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 18:38:16

    本日 21時 投稿します

  • 108二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:02:13

    パイレーツシップに乗り込んだ私たちは、真っすぐにコントロールブリッジに向かっていた。
    道中でパイレーツが現れることは無かった。リドリーが正真正銘、最後の切り札だったようだ。

    「道はこっちで合ってるのか?」
    「ああ。不本意ながら、この手の艦の構造は頭に入っている。」

    多少ウンザリしたような声を返すイヴだが、その足取りに迷いはない。
    おかげで艦内を見回す余裕すらあるほどだ。

    「それにしても、まあ…なんというか…。」
    「涙ぐましいものだな。」

    言葉を濁す私とバッサリ言い切るイヴ。
    それほど艦内の様子は酷いものだった。
    所どころサビだらけなのは序の口、壁はヒビだらけで今にも崩れそう。
    今走ってる通路も心なしか傾いており、極めつけは補修として巻かれてるダクトテープだ。

    「こんなもの…B級映画でも見ないぞ、今時。」
    「この執念をもっと良い方向に活かせなかったものか…。」

    あきれ果てる私たちの目前に、比較的マシな状態を保っているゲートが見えてきた。
    パイレーツシップの最重要部分、コントロールブリッジに繋がるゲートだ。

  • 109二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:02:54

    「流石にブリッジにはパイレーツ共がいるはずだ、そいつらを倒し…。」
    「ブリッジを制圧すれば、後は任せればいいのか。」
    「ああ、私が艦を衛星軌道上まで操縦し、アダムが銀河連邦に引き渡す手筈だ。お前はブリッジ制圧後にすぐに降りろ。」

    あのゲートの向こうの敵を倒せば、私の戦いも終わりということか。
    改めて気を引き締めて、一歩踏み出した瞬間…景色が一変した。

    「‥‥え?」

    狭い通路は広い空間へと変わり、壁や床からサビやヒビは消え失せ、窓の外には暗黒の宇宙空間が見えた。
    しかし一番変化が起きていたのは、イブだった。
    パワードスーツの装甲が引き剥がされて、まるで皮膚が剝き出しになったような姿となっていたのだ。
    変わり果てた彼女は、右腕のアームキャノンを私に向けて…

    「…ス!サムス!」
    「え、あ…イヴ?」
    「急にどうした?いきなり立ち止まって…。」
    「い、いや…なんでもない…。」


    (…今のはなんだ?)


    ただの幻で片づけるには、あまりにも現実味にあふれていた。
    特にイヴの姿は鮮明だった。まるで本当に見た記憶があるかのように…。

    (…記憶?)

    辿り着いた考えに身震いする。さっきの幻は、私の記憶だというのだろうか。
    あの幻の続きに、私が本当は何者なのか、という答えがあるというのか。

  • 110二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:03:29

    「おい、どうした?本当にだいじょ っ!?」

    イヴが私を気遣ってくれた、その時
    シップ全体が揺れたかと思うと、通路の壁を突き破った巨大な手がイヴを"
    掴んだ"。

    「イブ!!」
    「来るな!お前はこのまま‥。」

    全てを言い切る前にイヴは穴の向こうへと引きずり込まれた。
    慌てて覗き込んだ先にいたのは…

    「リドリー!!?」

    頭部を失い、屍となったはずのリドリーがイブを高々と掲げていた。
    そのまま近くの大岩へと彼女を叩きつける。
    早く助けねば…そう思い、壁の穴をくぐろうとすると

    『待つんだ、ミセス。』
    「アダム!?しかし、イヴが!」
    『彼女を助けたいなら、コントロールブリッジに急ぐんだ。』
    「ブリッジに?」

    どういうことか、訝しむ私にアダムはリドリーの種明かしをした。

  • 111二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:04:02

    『リドリーに向けて、コントロールブリッジから何らかの信号が発せられている。おそらくリモートコントロールされているのだろう。』
    「では、ブリッジを制圧すれば!」
    『あのリドリーは無力化できる。』
    「了解!!」

    やるべきことを教えられ、ゲートを開けた。
    なんとか持ち堪えてくれ、イヴ‥‥!


    「ギィヒッ!シネッシネッシネェェッ!ギィヒヒヒィィィ!」

    コントロールブリッジは、今までの通路に負けず劣らずボロボロだった。
    メインモニターには、頭部を失ったリドリーとイヴが映し出されており
    コントロールパネルを、狂ったように笑うパイレーツが操作していた。
    楽勝だと思っていた辺境の惑星で、ここまで追い詰められたことに発狂したのだろう。

    (悪いが、手加減してやるつもりはない!)

    先に襲ってきたのは奴らなのだ。正気を失っていようが構うものか。
    そう思い、アームキャノンを向けるも…

    「シネッ!サムス・アラン!!シネェェェェエ!!」

    …奴は今何と言った?
    サムス・アラン?‥‥‥‥イヴが?

  • 112二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:04:29

    彼女は、私と同じ名前だったのか?
    ‥‥いや、ひょっとしたら‥‥。
    私が彼女をイヴと呼んだのは、彼女自身が「名前を言えない事情がある」と言ったからだ。
    私が覚醒した能力の多くは、彼女を真似する形で覚醒したものだ。


    "イヴが私と同じ"なのではなく、"私がイヴと同じ"なのではないか?



    「ギィヒヤァァァアアアアアアアアッ!!?」

    パイレーツの断末魔で我に返る。
    メインモニターに映っているのは、リドリーを文字通り木っ端みじんにしたイヴだった。
    コントロールパネルからは煙がのぼっており、少し離れたところで焦げたパイレーツが転がっていた。
    リドリーが倒されたショックで、リモートコントロール装置が爆発し、パイレーツが巻き込まれたのであろう。

    (私の助けなど必要なかったか…。)

    彼女が無事だったことに胸を撫でおろす。
    知りたいことはまだ山ほどあるが、当面の問題は解決したのだ。
    事前の指示に従い、シップから降りようとする‥‥その時だった。

    ─自爆装置 作動 爆発マデ5分─

    「なっ!??」

    突然の警報に驚愕する。
    まさか、リモコン装置の爆発に連動して自爆装置が作動したとでもいうのか!?

  • 113二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:04:52

    突然の警報に驚愕する。
    まさか、リモコン装置の爆発に連動して自爆装置が作動したとでもいうのか!?

    「いくらなんでもオンボロにも程があるだろうっ!!」

    慌てて、どうにかして自爆装置を解除できないかバイザーでブリッジを調べまわる。
    しかしどれもこれも壊れて、電源を入れることすらできなかった。

    「アダム!アダム!応答してくれ!調べてほしいことがあるんだ!!」
    『‥‥残念だが、エネルギー生産施設は爆発圏内だ…。』
    「そ…そんな‥‥。」

    膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪える。
    生産施設に貯蔵されたエネルギーに誘爆すれば、居住区までも焦土となってしまう。
    折角みんな助かったと思ったのに…愛する家族のもとに変えれると思っていたのに…。
    絶望するなか、一つだけ動かせるシステムがあることをバイザーが示した。
    操縦システムだ。

    「…アダム。イヴと一緒に避難してくれ。君たちまで巻き込まれる必要はない。」
    『待て!ミセス…』

    強引に通信を打ち切り、操縦席に座る。
    電源を入れ、各種スイッチをONに、操縦桿を引くとパイレーツシップはゆっくりと浮上を始めた。

    「すまない…これしかもう手段がないんだ…。」

    帰りを待っているであろう最愛の人に、最愛の息子に詫びる。
    もう彼らのもとに帰ることはできないのだ…。

  • 114二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:07:23

    最終盤のお約束 自爆装置の登場です。

    いつもなら脱出するシーンですが、今回ばかりはそうはいきません。

    果たしてサムスはどうなるのか。 次回 エピローグとなります。


    >>106

    保守していただき、本当にありがとうございます!

    ご期待に沿えるssになるかどうかわかりませんが、最後まで書き切ることを誓います。

  • 115二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 06:12:46

    お疲れ様!この先どうなるのか…

  • 116二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 07:11:30

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 11:14:31

    貯蔵されたエネルギー…?なるほど、「適任」がいるね。

  • 118二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 20:37:24

    ほしゅ

  • 119二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 08:01:56

    保守チャージ

  • 120二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 19:14:04

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:13:04

    本日 21時 投稿します

  • 122二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:05:03

    「遠くへ…できる限り、遠くへ…。」

    レーダーを頼りに、パイレーツシップをエネルギー生産施設から遠くへ動かしていく。
    メインモニターが完全に壊れてしまった今、レーダーに表示されるマーカーだけが頼りだった。

    「大丈夫…。時間いっぱいまで移動させれば、みんなは助かる…。」

    自分以外誰もいないブリッジで、ただただ言葉を吐き出し続ける。
    間に合うかどうかの不安を掻き消すように…

    「私が、私一人が犠牲になれば全て解決するんだ。」

    もしくは、今にも逃げ出しそうになる自分を縛り付けるために…

    「私は元々よそ者だ。いなくなったところで大した影響はない。」

    (おーい!機械直ったぞ、サムスのおかげだ!!)
    (いつもありがとうよ!)
    (全く、もうサムスがいないと仕事にならないぜ!)

    「みんなも得体のしれない私がいなくなって、せいせいするだろう。」

    (料理だいぶ上手になったわねぇ~、先生として鼻が高いわ。)
    (サムス、一緒に服を買いに行かない?あなた美人なんだからお洒落しなきゃ。)
    (聞いたわ、夫の仕事を手伝ってくれたんでしょう。ありがとう、サムス。)

  • 123二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:06:05

    「あ、あいつも‥‥わたしなんかよりっ‥‥もっと、いいっ、ひとがっ…!」

    (サムス‥‥ありがとうな。お前のおかげで、この子は生まれてきたんだ。)

    「ぐうぅ…。うっ、うぅぅ‥‥!」

    涙で視界が歪む。
    自分が犠牲になることを、自分に納得させようとする言葉に反して
    頭の中に浮かぶのは、この星での…愛する人との日々だった。

    「いやだ…。しにたくない・・・!」

    限界だった。

    「かえりたい…。あのひとの、ところに…。あのこのところに…!」

    しかし、それは許されないのだ。
    みんなを助けるためには、私が犠牲に‥‥


    「ならば、帰ればいい。」


    その時、ブリッジのゲートが開いた。
    そこにいたのは…

    「イヴ!?」

  • 124二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:07:03

    彼女はリドリーを倒したあと、地上に置いていったはずなのに…
    いや驚いている場合ではない!

    「早く逃げるんだ!この艦はもうすぐ爆発するんだ!!」
    「なんだ、さっきまで泣いていたのに…他人の心配か?」
    「私は…私はこの惑星の住民だ。犠牲になる理由がある…けど君は違う!」

    彼女は、この惑星の住民ではない。
    巻き込まれていい理由などないのだ。

    「誰であろうと犠牲になってよい理由など、あっていいはずがない。」

    しかし彼女は聞き入れず、怒りを感じさせる口調で反論してきた。
    そのまま近づいてきた彼女は、私の肩をガシッと掴む。
    バイザー越しの瞳が、真っすぐに私を見つめてくるのが確かに見えた。

    「戦いとは、生きるためのものだ。お前は、お前の愛する者たちと共に生きるために戦ってきたはずだ…!」
    「イヴ…。」
    「アダム!」

    私を激励すると、相棒に呼び掛けるイヴ。
    この状況を乗り切るだけの手段を、彼らは持っているというのだろうか。

    『自爆まであと2分。そのうち30秒も移動を続けていれば、爆発の影響がどこかに及ぶ心配はない。」
    「つまり1分30秒の猶予があるということか。」
    『そこからでて左に曲がり、突き当たりから助走すれば十分なはずだ。』
    「わかった。お前は安全圏まで退避しててくれ。」
    『了解だ。』

  • 125二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:07:27

    オートパイロット機能まで壊れている以上、あと30秒は操縦を続けなければならない。
    しかし、そこから1分半で爆発から逃れるなど…。

    「私ができることは、お前にもできる。」
    「え?」
    「いいか、私の説明をよく聞くんだ。」



    ─自爆マデ アト1分─

    爆発まで1分をきり、アナウンスが始まる。
    すでに艦は周囲から遠く離れた場所に移動し終わっており、完全に動きを止めていた。

    ─自爆マデ アト30秒─

    その艦から、二つの光が飛び出してゆく。
    そして…

    ─アト10秒─

    ─アト5秒─

    ─3─

    ─2─

    ─1─

  • 126二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:07:55

    遠くで起こった爆発を、なかば呆然として見つめる。
    ついさっきまで自分が乗っていた艦は、跡形もなく消え去っていた。
    無論、周囲への影響などはない。もちろん…私自身にも。

    「シャインスパーク。」
    「え?」
    「今やった技の名前だ。スピードブースター能力の"裏技"みたいなものだ。」

    シャインスパーク‥‥パイレーツシップ脱出のために教わった技。
    あんなことができるなんて、想像すらしていなかった。

    「知らなかったのも無理はない。私も"あるモノ"から教わらなければ一生気づくことはなかっただろう。」

    そう言うと、イヴは背を向けて歩き出した。
    気づけば、その先には紫色のスターシップが着陸していた。
    まさか、このまま帰るのだろうか。

    「待ってくれ、イ‥‥サムス!」

    このまま見送れば、二度と会えなくなる。しかし生半可な言葉では引き止められない。
    そう直感した私は、イチかバチかの賭けにでた。
    そして、イヴ‥‥サムスは足を止め、コチラに振り返った。

    「‥‥思い出したのか?」
    「いや、記憶が戻ったわけではないんだ。ただ‥‥パイレーツが君をそう呼んでいた。」
    「パイレーツ…そうか、その線があったか。まあ、記憶が戻っていないなら‥‥」

    なにやらブツブツ言っているサムス。
    私の記憶が戻ったら、何かマズイことがあるのだろうか。

  • 127二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:08:19

    「記憶に関してはあまり気にするな。それがお前と…お前の家族のためでもある。」
    「…自分自身のことを知ることが悪いことだと?」
    「‥‥お前の場合はな。それに‥‥」


    「お前が、私と同じであることがそんなに重要か?」


    自分と全く同じ人間がいることを、なんでもないように語るサムス。
    その時、私に通信が入ってきた。

    『サムス!サムス、無事か!?』
    「あ、ああ…大丈夫だ。お前のほうは?」

    夫だ、バイザーに表示される発信元は移民船になっていた。
    アダムはちゃんと避難させてくれていたのだ。

    『おう!みんな大丈夫だ。パイレーツの艦が爆発したのがこっちからも見えてな…。』


    『みんな、お前のこと心配してるからよ。早く帰ってきてくれよな!』


    「ああ、わかった。今から帰る…もう少しだけ待っててくれ。」

    通信を切り、サムスと…もう一人の私と向き合う。
    彼女と私は同じ部分が多すぎる…しかし決定的に違うものもある。
    帰る場所だ。帰りを待ってくれている者だ。

  • 128二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:08:54

    「答えは出たようだな。」
    「ああ。」

    左手を差し出すと、彼女はしっかりと握手で返してきてくれた。
    きっと、かつての私たちは右腕のアームキャノンを向けあっていたのだろう。
    しかし今、武器を持たない手で通じ合うことができたのだ。

    「ありがとう。みんなを、私を助けてくれて…全ては君たちのおかげだ、"サムス・アラン"。」
    「さらばだ、"サムス・アラン"。お前と、お前の家族が平和に生きられるように願っている。」

    そう言って、スターシップの上部に飛び乗るサムス。
    シップの中に入る間際に、彼女はパワードスーツを解除した。
    その姿は…私と同じだった。

    「さようなら…もう一人のわたし‥‥。」

    きっとそれは彼女のメッセージなんだろう。
    大事なのは姿や能力ではないという…。
    私の恩人たちは、遠い銀河のどこかへと帰っていった。
    私も‥‥みんなの所に帰ろう。

  • 129二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:09:12

    エネルギー生産施設を通り過ぎ、採掘施設を抜ける。
    たった数時間の戦いだったが、私にとっては大きな意味を持つ戦いだった。
    記憶を持たない私だが、確かに"過去"はあったのだ…その"過去"が私を助けてくれたのだ。

    壊れた街へとたどり着く。
    復興には時間がかかるだろうが、みんなで力を合わせればきっと元通りになるだろう。
    そう思い走っていると、前方に人だかりが見えた。

    「サムス!サムスが帰って来たぞ!」
    「よかった、無事だったんだ。」

    私の友人たちと、愛する家族だ。
    先頭で夫が、私との愛の結晶を胸に抱いていた。
    もう戦いは終わったのだ。必要なくなったパワードスーツを解除する。
    戦士から…一人の妻、一人の母に戻るときがきたのだ。


    「おかえり…サムス…。」
    「ああ‥‥ただいま‥‥!」

    私の名はサムス・アラン。
    この星で愛する人たちと共に生きる、一人の人間だ。

  • 130二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:13:51

    コメントと♡、保守ありがとうございます。

    これにて メトロイド外伝 ホームミッション 本編は完結となります。

    明日からは イヴもとい "サムス・アラン"視点の番外編 ”イヴ・レポート"を投稿したいと思います。

    もうしばらくお付き合いくださいますよう、お願いします。


    >>117

    彼女の”左手"のことをすっかり忘れていました!

    確かにその手がありましたね…。

    ただ、主人公のサムスにとっては”記憶を失っている"ことが重要なファクターだと思ってますので

    "知っていなければ使えない"シャインスパークによる脱出を採用させていただきました。

    "左手"に関しては、構想してる次回作に使いたいなぁ とは思っております。

    素晴らしいアイディアをありがとうございました。

  • 131二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:27:57

    本編完結お疲れさまでした
    これから職場内の運動会とかで光輝きながら爆走するサムスを見る事になるのか…

  • 132二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:15:46

    本編完結お疲れさまでしたー

  • 133二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 07:18:23

    お疲れ様。番外編楽しみに待ってるよ

  • 134二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 08:57:00

    職場でフルパワーを出すんじゃない

  • 135二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 13:18:20

    エロ同人スレから良SSスレが生まれるバグ

  • 136二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 14:07:14

    本日 21時 投稿します。

    今回のssは、裏設定というの名の捏造のオンパレードとなっております。
    公式はもちろん、元ネタとなった同人にも、表記されておりません。
    あくまでこのss独自のモノだということを留意されますよう、お願いします。

  • 137二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:02:28

    私の名はサムス・アラン。
    フリーのバウンティーハンターだ。
    もっとも、賞金稼ぎ稼業は現在休業中なのだが‥‥。

    先日起こった、惑星ZDRでの戦い。
    その過程で、私は自分のルーツの一つともいうべき存在と戦った。
    そこで私は、育ての親たる鳥人族の関して知らないことが多すぎることに気づいたのだ。

    現在私は、宇宙の各地に散在する鳥人族由来の文明の跡地を巡っている。
    "宇宙の平和を守る" それが鳥人族が私に託した使命。
    それを果たすためにも、鳥人族の歴史を知るべきだと判断したのだ。
    ‥‥私自身が、宇宙の平和を脅かす存在にならないためにも。

    現在、私は惑星ターロンⅣ…惑星ゼーベスでのファーストミッションから程なく訪れた惑星だ。
    この惑星には、鳥人族の遺跡が存在しており、それらは時に私の助けに、時に私に試練をもたらした。
    その遺跡を調べることが、今の私には必要なことだと思ったのだ。
    そんな時だった。

    『サムス、銀河連邦から緊急依頼だ。』

    私の相棒である支援AI…"アダム"から通信が入った。
    銀河連邦…かつて私が所属し、バウンティーハンターになった今でも繋がりがある組織。
    だが現在私は、彼らとは距離をとっていた。
    惑星ZDRで私に起こった"ある変化"を彼らに悟られたくなかったのだ。
    とはいえ、緊急の依頼とあれば無視するわけにはいかない。

    『スペースパイレーツの残党が確認された。』
    「スペースパイレーツの実験体の脱走が確認された、の間違いではないか?」

  • 138二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:03:08

    明かされた依頼内容に、反射的に皮肉が出てしまった。
    かつて銀河連邦は、宇宙を脅かしたスペースパイレーツを自分たちの戦力に利用しようとしていたのだ。
    奴らに大切なモノを奪われた人々の心情を、考えようともせずに…。
    そうした銀河連邦の"暴走"がもたらした悲惨な光景を、私はこの目で見たのだ。

    『レディー、これは決して冗談などではない。パイレーツの生存が確認され、無辜の人々に危機が訪れているのだ。』
    「‥‥すまない、アダム。すぐ戻る、スターシップ発信準備を。」
    「もうすでに完了している。急げ。』

    相棒からの窘めに、態度を改める。
    かつての彼は、その"暴走"を文字通り"命を賭して"清算しようとしたのだ。
    そんな彼が、私が言った皮肉のような依頼を受けるはずがないというのに。
    スターシップに乗り込み、ターロンⅣから飛び立つ。
    依頼内容は、現地に向かう過程で詳細を聞けばよい。



    『パイレーツに襲撃されたのはここ、辺境の採掘惑星だ。』
    「辺境も辺境だな…。」

    辺境の採掘惑星と聞いて、懐かしい気持ちになると同時に胸騒ぎを覚える。
    …私とスペースパイレーツの因縁もまた、ある採掘惑星から始まったのだ。

    「銀河連邦軍の動きは?」
    『惑星のある星系に展開されているが、積極的な動きはない。』
    「‥‥なんだと?」

    スペースパイレーツの襲撃が確認されたにも関わらず、銀河連邦軍は現場に急行していない。
    少なくとも私が知っている銀河連邦の動きではない。
    それほど慎重にならねばならないほどに、件の残党共は強力なのだろうか。

  • 139二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:03:47

    『パイレーツの規模そのものは過去最低レベルだ。問題は、採掘惑星のほうだ。』

    私の疑問を予想していたのだろう。
    質問するまえに、アダムは返答してきた。

    「なにかあるのか?」
    『この採掘惑星は、鳥人族によって造られたものだ』

    返ってきた答えに息を呑む。
    奇しくも、鳥人族の文明を調査していた私にとって、"用意された舞台"のように感じられたのだ。

    『鳥人族…そのなかでも"ソウハ族"は無用な環境破壊を嫌っていたのは、君も知っての通りだ。』
    「ああ、最近調査した文明もそうだった。」

    環境を生活も適した形に作り変える、それは銀河中どこでも行われていることだ。
    だが鳥人族はそれをよしとしなかった。
    彼らは、自然と科学の"調和"を重んじており、中には科学技術を捨て去る選択をした文明もあったほどだ。

    『しかし銀河の発展を考えた場合、資源採掘は必要なものだ。環境保護と資源採掘、それらを両立する術として産み出されたのが、件の惑星だ。』

    モニターに、ある機械の画像が映し出された。
    その意匠は確かに鳥人族特有のものだ。

    『この機械は惑星の中心に埋め込まれている。コレによって、周囲の宙域にあるデブリなどが惑星内部に吸収され、鉱物資源として分解・再構成されるのだ。』
    「いわば、無限の採掘資源ということか。」

    毎度のことだが、鳥人族の技術力には驚かされる。
    そして…その技術力がスペースパイレーツの手に堕ちようとしている。
    それではまるで…

  • 140二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:08:12

    『銀河連邦は恐れているのだ、レディー。戦いが大規模になることで鳥人族の"遺産"が失われることを、そしてそれ以上に‥‥。』


    『鳥人族のテクノロジーを手に入れたスペースパイレーツが、かつての勢力をとりもどすのではないか、と。』


    まるで惑星ゼーベスの二の舞ではないか。
    もはやこの依頼は、私にとって"依頼"ではなくなっていた。
    実の両親と過ごした採掘惑星K-2L、第二の故郷たる惑星ゼーベス‥‥。
    それらを彷彿とさせる惑星が、パイレーツの魔の手に堕ちようとしているのだ。
    その魔の手を阻止することこそ、私に課された"使命"なのだ。

    「全速力だ、アダム。件の惑星に急行する。」
    『了解した。ただちにワープ・ドライブを起動する。備えたまえ。』

    こうして私の新たな戦いが始まった。
    その中で、予想外の"再会"があることも知らずに‥‥。


    メトロイド外伝 ホームミッション イヴ・レポート ついに始まりました。
    舞台となる採掘惑星について、元ネタである同人誌では詳しい説明はありません。
    よって"鳥人族"関連は、このssのみの設定です。混合しないよう、ご注意ください。
    なぜそんな捏造したかというと…
    採掘資源堀尽くしたら、サムスと家族はどうなる?⇒いっそのこと無限の採掘資源があればなぁ⇒そんなんできるの、鳥人族くらいじゃん⇒パイレーツが襲う理由と、銀河連邦がサムスに依頼する理由できた!
    とまあ、こういう流れです。
    このイブ・レポートは、こういう裏設定という名の捏造のオンパレードなので、そういうのが不快な方は…ごめんなさい。

  • 141二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 06:42:25

    おお、遂に始まった!これからサムスはどう感じていたのかが分かるのか….

  • 142二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 16:00:53

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 19:23:16

    本日 21時 投稿します
    今回はちょっと短めです

  • 144二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:01:55

    緊急依頼を受けてから数時間。
    パイレーツの侵略から2、3日経過したころ
    我々は例の惑星の衛星軌道上に到着した。

    『まずは状況を探る、小一時間ほど待ってくれ。』

    本当ならすぐにでもパイレーツ殲滅に動きたいところだが、今回ばかりは、そんな単純な話ではなかった。
    惑星居住者の生存が確認されていたのだ。

    『スキャン完了、確認を。』

    惑星の状況が、モニターにリストアップされる。
    それで以下のことが判明した。

    ・パイレーツ達は、採掘施設付近にあるエネルギー生産施設、その周辺の荒野にシップを降ろしている。
    ・エネルギー生産施設で惑星居住者たちが強制労働させられている。
    ・採掘施設はパイレーツによって要塞化が進んでいる。
    ・残りの居住者は、役所も兼ねている移民船に避難している

    『一刻も早い解決を望むなら、パイレーツシップを直接叩くべきだが。』
    「愚問だな。」

    真正面からパイレーツとぶつかれば、捕まっている居住者たちはもちろん、避難している者たちも危険だ。
    我々の行動で、生存者に被害が広がるのは何としてでも避けねばならない。

    『では採掘施設を潜入し、エネルギー生産施設にいる生存者を救出、その後にシップを叩く。異論はないな、レディー。』

    私の返答を予測していたのだろう。
    反論することなく、もはや合言葉になったセリフを言うアダム。
    ミッションスタートだ。

  • 145二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:02:19

    パイレーツの砦となった採掘施設を進んでゆく。
    今のところ順調に進めていた‥‥順調すぎた。その理由は‥‥

    「またか…。」

    比較的損傷の少ないパイレーツの屍を発見した。
    どうやら武装が整備不良により暴発したのが原因のようだ。
    だが、居住者くらいならば素の身体能力だけで制圧できるはずだ。
    つまり…

    『やはり、我々が来る前に戦闘が起こったようだ。』
    「パイレーツと戦えるだけの戦闘能力をもった者がこの惑星にいるのか?」
    『銀河連邦軍から提供されたデータでは確認されなかった。』

    暴発の危険のある武装を使ってでも、排除しなければならない"敵"がいたということだ。
    だが、そのような者を連邦軍は把握していない。

    (‥‥ここは鳥人族が作った採掘惑星、ならば…)

    私は、惑星ZDRで対峙した鳥人族の武闘派‥‥マオキン族を思い出していた。

  • 146二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:02:50

    彼らのデータは、鳥人族の穏健派‥‥ソウハ族と違って銀河連邦にはほとんど存在しない。
    ならば今パイレーツと戦っている、銀河連邦も把握していない者は‥‥。

    『レディ、私はもう一度この惑星のデータを調べてみる。君も警戒を怠るな。』
    「ああ、わかった。そっちは頼んだぞ。」

    アダムとの通信を切り、進行を再開しようとするも

    「ギャオォォオオオオオオッ!!!!」

    遠くから、何らかの生物の絶叫が聞こえた。
    どうやら、謎の人物が戦闘にはいったようだ。

    (急げば追いつけるかもしれない)

    このミッションを達成するためにも、確認は早いほうがいいだろう。
    絶叫が聞こえてきた方向に走り出す。
    やがて見えてきたのは‥‥

    「…なんだと‥‥!?」

    かつての私の姿であった。

  • 147二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:05:23

    今回は、かなり短くてすいません。
    この先からは、説明的な文章が多くなるので
    どこで切り上げればいいか、少々悩んでしまい、このような短さとなりました。
    次回も、説明が多くて話が進まないかもしれません、ごめんなさい。

  • 148二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 06:34:21

    おけ。気にせずゆっくりしてくだされば良いですよ。

  • 149二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 17:39:28

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 23:05:35

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 02:57:45

    保守スーパーボム

  • 152二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 07:38:55

    保守ビーム

  • 153二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 19:00:03

    本日 21時 投稿します

  • 154二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:03:40

    "寄生生命体X"‥‥かつてこの宇宙に存在した惑星SR388に原生していた、アメーバのような生命体。
    いちど寄生してしまえば、瞬く間に増殖し対象の中枢神経破壊し、命を奪う。
    そして寄生した生物の遺伝子を複製することで擬態する。
    その余りにも驚異的な生態に、鳥人族が"Xの天敵""として造ったのが、メトロイドである。

    私も寄生されたが、そのメトロイドの細胞から精製したワクチンによって、助かることができた。
    しかし遺伝子は複製されてしまい、それにより"ベストコンディションのサムス・アラン"に擬態することを許してしまった。
    それが最凶最悪のX‥‥"SA-X"だ。

    その後、Xの巣窟となったBIOLOGIC宇宙生物研究所…通称、B.S.Lにおいて対決。
    増殖能力によって総勢10体にまで増えたSA-Xであったが、アダムの協力もあり、B.S.Lと惑星SR388を衝突させることに成功。
    これにより"少なくともSA-Xは"この宇宙から根絶することはできた。
    ‥‥そのはずだった。


    (馬鹿な…!なぜ、なぜSA-Xがここに!!?)

    思いかけず再会することになった、最悪の敵。
    そのあまりの衝撃に言葉を失ってしまう。

  • 155二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:04:45

    ─生体反応検知 地球人種・成人男性─
    (っ!生存者か!)

    一瞬にも満たない空白から、バイザーのシステムメッセージで我に返る。
    SA-Xの近くにあったエア・カー、それに乗っていたのは生存者だったのだ。
    まずは彼からSA-Xを引き離さなければならない。
    スーパーミサイルをSA-X、の近くの地面へと発射する。爆風がSA-Xを吹き飛ばした。
    あとは居住者の男性をこの場から逃がせば、そう思ったのも束の間…

    『この野郎っ!なにしやがるっ!!』

    なんと生存者がエア・カーを私に向かって突撃させてきたのだ。
    それ自体は脅威ではないが、状況が状況だ。
    Xの生態を説明する暇も余裕もない以上、多少手荒にでも対応するしかない。
    せめてケガしないように、注意を払いつつ私側の通路に放り投げる。しかし‥‥

    (パワードスーツが…凍結した!?)

    やはりこのような隙を見逃すSA-Xではなかった。
    攻撃をくらうのは覚悟の上であったが、パワードスーツが‥‥惑星ZDRでの戦いを経て、完全に低温耐性を取り戻したはずのパワードスーツが凍結してしまったのだ。

    (走ってきた…ダッシュメレーか!)

    すかさずコチラに向かってきたSAーXに、さらなるダメージを予測する。
    回避は不可能、せめて意識だけは失わないようにと、歯を食いしばる。

  • 156二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:05:09

    このレスは削除されています

  • 157二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:05:45

    『大丈夫か、レディー。』

    土砂の中から這い出た私を気遣うアダム。
    生き埋めになる直前にモーフボール状態になれたのもあって、ダメージは微小ですんだ。
    そこからボムで少しずつ土砂を破砕し、脱出できたものの、もう十数分も経過してしまっていた。


    「ああ‥‥すまない、アダム。ふがいないところを見せてしまった。」
    『いや、それについては私も同罪だ。行うべき支援を怠ってしまった。』

    謝罪に対し謝罪を返すアダム。どうやらSA-Xの変化は、彼にとっても相当な衝撃だったようだ。
    落盤を起こしたのはエア・カーの男であり、SA-Xのアイスビームはその支援のために撃たれたものだ。


    エア・カーの男は、SA-Xを‥‥寄生生命体Xを意のままに操る手段を持っているということだ。

    「Xをコントロールする方法を、銀河連邦が見つけたという情報は?」
    『ない。そもそも我々以外は、映像でしかXを知らない。それだけでコントロールする手段を開発するのは不可能だろう。』

    それをエア・カーの男は有しているということか。
    ある意味、スペースパイレーツ以上の脅威と遭遇してしまったようだ。

    『それにしても、趣味の悪いジョークだ。』
    「Xが操り人形になっていることか?」
    『それもあるが、なによりも‥‥。』

    『あの偽物を、レディーの名前で呼ぶとは。エア・カーの男にはジョークセンスというものが無いようだ。』

    どうやらアダムにとって一番気に入らなかったのは、エア・カーの男がSA-Xを"サムス"と呼んでいたことらしい。
    前々から思っていたが、この支援AIは些か過保護な面があるようだ。

  • 158二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:07:14

    『これより、エア・カーの男を"Y"と呼称する。私は取得したデータの分析に入る。君は当初の予定通り、エネルギー生産施設を目指したまえ。』

    Y‥‥なるほど、Xに何かしらの変化を与えた男には相応しいコードだろう。

    「了解した。幸いこちらの通路は、エネルギー生産施設に続いているようだ。」

    通信をきり、当初の目的地に向かって歩き出す。
    SA-X‥‥かつての私を模した最強の敵、それを操る謎の男。
    もはやこの戦いは、この惑星だけの話ではない。宇宙の命運をかけた戦いになったのだ。

    (毎度のことだな‥‥。)

    今まで通りといえば、今まで通りだ。
    この戦いも、必ず乗り越えてみせる。アダムと共に‥‥。


    この度も、コメントと保守ありがとうございます。
    なんだか旦那さん、とんでもない勘違いされてますね。
    "Y"とかいうコードまでつけられちゃって…ある意味この掲示板らしいっちゃらしいですが。

  • 159二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 21:56:59

    お疲れ様です。楽しく読ませてもらってます。
    XとYか…別作品のキャラを連想したよ

  • 160二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 07:01:37

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 18:56:10

    保守

  • 162二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 18:58:02

    >>156

    目前まで迫ったSA-Xは‥‥そのまま私の脇を通り過ぎた。


    (どういうことだ!?)


    Xは複製元の生命体の生存を許さない、そのはずだった。

    現にB.S.Lで誕生したSA-Xは、執拗なまでに私を狙ってきた。

    だが、今回のSA-Xは‥‥


    (あのエア・カーの男を、守っているだと…!?)


    私をほおっておいたSA-Xは、エア・カーを立て直すだけではなく、壁になるかのように立ちはだかったのだ。

    Xにあるのは"種の繁栄"のみ。そのためなら、自らはもちろん他のXすらも犠牲にできる。

    そのXが、あろうことか異種族を守ろうと、命を賭けている。


    「「「ギイィイイイイ!!!」」」


    混乱する私に追い討ちをかけるように出現したのは、ジェットパック装備のパイレーツ達だった。

    だが、装備の老朽化具合から、戦闘力は高くないことは目に見えていた。

    戦いは、弱いほうから減らしていくのが定石だ。


    (長引かせない、一発で決める!)


    チャージプラズマビームが、パイレーツたちをまとめて消し炭にする。

  • 163二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 18:59:14

    >>156

    しかし、隙は生まれてしまっていた。

    その隙をついたのはSA-X、ではなかった。


    『サムス!!』


    突如言われた私の名前、それが私ではなくSA-Xへ向けられている。

    そのことに気づいたときには、またしても私の身体は凍りついていた。


    (私が使っていたアイスビームではない…!?)


    二度の被弾で、ようやくSA-Xのアイスビームがより強力になっていることに気づく。

    少なくとも、"Xに寄生された当時"の私のアイスビームでは、このパワードスーツを凍結させることなど不可能なのだから。

    そこまで考えた私の頭上から、岩石が降り注いできた‥‥。



    すいません、チャージビームの下りを入れ忘れたので差し替えます。

    能力覚醒イベントなのに、なにやってるんだ…自分。

  • 164二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 19:50:11

    表情が見えないから行動で誤解されるとそのまま恐怖の殺戮マシーンに見えるのがパワードスーツの欠点だよね…

  • 165二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 07:07:56

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 14:34:58

    ほしゅ

  • 167二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 20:28:25

    21時 投稿します
    あと、土曜 日曜は諸事情あって投稿できません。
    ご了承ください。

  • 168二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 21:02:38

    「ギィイヤァァアアアアアッ!!」

    金切り声のような断末魔をあげて、パイレーツがまた一人消え去った。
    なんとも悲惨な有様だが、同情するような気は一切しない。
    人様の惑星に侵略してきたのだ、返り討ちにされても文句は言えまい。

    再開された進行は順調だった。
    パイレーツに改造されたとはいえ、採掘施設の構造そのものは、事前に提供された情報通りだったのだ。
    採掘重機が並行して移動できるほど広大な主要経路、それは採掘施設の入り口からエネルギー生産施設まで一直線に繋がっている。
    この一本道が落盤で崩壊しなかったのは不幸中の幸いだった。

    「ギィヤァォオッ!?」

    物陰から奇襲しようとしたパイレーツに、逆に先制攻撃をくらわせる。
    装備の粗末さもあって、パイレーツの襲撃すら、障害らしい障害にはなっていなかった。
    それこそパワードスーツになんらかの異常が起きて、能力が喪失でもしなければ苦戦はありえないだろう。
    そう思っていると、アダムからの通信が入った。

    『レディー、SA-Xに関するデータ分析が終わった。』
    「今なら大丈夫だ。報告を頼む。」
    『ではまず第一に‥‥あのSA-Xが能力の大半を喪失していることが判明した。』

    先ほど私が想像した通りのことが、SA-Xの身に起こったらしい。
    どおりでアイスビーム以外の攻撃を行ってこなかったわけだ。

  • 169二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 21:03:16

    『惑星ZDRで起こった君の体質変化‥‥それと同レベルの変化がSA-Xに起こったと思われる。』
    「‥‥Yにコントロールされていたことと関係あるのだろうか。」

    惑星ZDRでの変化…私の身体の中にあるメトロイドDNAが活性化し、私自身が"メトロイド"そのものになった。
    それに匹敵するほどの変化が起こったのであれば、あのXが他者にコントロールされるのもあり得る話と思えた。

    『それは定かではないが…ほかに特筆するべき変化として、寄生能力の喪失と増殖能力の低下、そして‥‥サムス・アランへの擬態能力の特化があげられる』

    さらに判明するSA-Xに起こった変化。
    前二つも驚くべき変化だが、最後の変化だけはあまりピンとこなかった。
    私に擬態することに特化とは…?

    『まず寄生能力の喪失。これはそのままの意味だ。奴がこれ以上、他の生き物に寄生することはない。』

    これは喜ばしいことだ。
    Xがもつもっとも厄介な能力が消えたことは大きい。

    『次に増殖能力の低下。欠損した部位が再生することはあっても、個体数を増やすほどの増殖はできなくなった。』

    これも嬉しい誤算だ。
    B.S.Lで発生したSA-Xは、たった数時間で10体にまで増えたが、少なくとも採掘施設で遭遇したSA-Xはあの一体だけで終わるということだ。

    『最後にサムス・アラン擬態能力の特化。現状、我々が一番注意すべき部分だ。』
    「それがイマイチわからないんだが、私に擬態することに何か変わりがあるのか?」

    元からXの擬態能力は完璧といって良かった。
    鳥人族の技術の結晶たるパワードスーツまでコピーしているくらいだ。

  • 170二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 21:03:31

    『君が何らかの要因で能力を喪失した時、代替に相当するアイテムや生体エネルギーなどを取得し、"モジュール機能"によって能力を復元しているだろう。だが、SA-Xは違う。』


    『奴は"ベストコンディションのサムス・アラン"であることが基本状態になったのだ。それは例え能力が喪失しても、"必要な養分と時間さえあれば、外的要因に頼らず能力を復元できる"ことを意味しているのだ。』


    先ほどの遭遇でSA-Xを仕留められなかったことが悔やまれる。
    次、戦うときの奴はフルコンディションとなっていてもおかしくないのだ。
    しかし、アダムの話はまだ終わっていなかった。いや、ここからが本題だったのだ。

    『さらに奴は、X特有の変異能力でパワードスーツの改造を行っている。』
    「なんだと‥‥!?」

    このパワードスーツは、銀河連邦はおろか鳥人族の後継として育てられた私ですら把握してない部分も多い。
    そのパワードスーツを、改造‥‥!?

    『最たる例が君を凍結させたアイスビーム。あれはスペイザー能力で三発同時発射されるところを、あえて一本に統合することで威力・弾速そして凍結能力を飛躍的に上昇させたのだ。』

    気づけば冷汗が流れていた。
    凍結能力の強化、それはメトロイドの…私への対抗手段に他ならないからだ。
    奴は、自身の天敵たるメトロイドの、天敵になろうとしているのだ。

    『警戒しろ、レディー。次に会敵するSA-Xは、先ほどのSA-Xと同じではない。』

    改めてXの脅威性を思い知る。
    時間がたてばたつほど、奴は強大になる。
    それこそ、私の手にも負えなくなるくらいに‥‥。

  • 171二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 21:08:52

    今回は設定説明回です。
    寄生と増殖能力の喪失したのは、妊娠した際に胎児への影響を本能的に避けようとして喪失した、という設定です。
    交配による繁殖に適応した、という意味ではこれもある意味で進化といえるでしょう。
    (妊娠云々は、この時点のサムスとアダムが知る由もないので、此処で説明しました。)

    擬態特化とパワードスーツ改造は
    『変なタイミングで能力を取り戻したこと』と『なぜ低温耐性を取り戻したサムスが凍結したのか』に対する答えです。

    本編主人公のほうのサムスが、心は人間になったが、X特有の能力も残ってはいる…というのを表現したかったのです。

  • 172二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 08:24:34

    保守

  • 173二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 18:21:40

    面白い設定だ

  • 174二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 19:54:36

    これ、サムスとアダムから見ると現時点で『Xを制御するなんらかの方法が発見された』(しかも寄生・増殖能力は失われているので『安全に運用』できる)って認識になるから最悪の場合大急ぎで住民を避難させてこの惑星そのものを爆破する事も視野に入れ始めるヤツなんですよね多分…
    SA-Xを人間が制御できるってかつての銀河連邦がやろうとしてた事ですし、そんな技術は闇に葬らねばならず…しかも遺跡が存在する惑星に『それ』をする人間がいる、となれば因果関係も感じてしまうし、情報収集中のアダムは最悪の状況を想定して思考が大変な事になってそう

    でもそのサムス、ただ男とヤって新しい家族の形を作っただけなんすよ

  • 175二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:33:20

    >>174


    こう考えると結構あれと言うか危険な話だな、言い換えると生物兵器を制御するノウハウが出来つつあるとも言えるから(極端な一例とは言え)

  • 176二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:48:42

    >>175

    だからこそ、サムスとアダムは銀河連邦にこの夫婦の事を報告することは無さそう

    旧銀河連邦のやべーやつとかレイヴンビークのような輩がそれを知ったら大変な事になるのは火を見るよりも明らかだし…これもうドレッド終わって一応Xの完全な絶滅確認後なのがまだ不幸中の幸いだな

    もしレイヴンビークがこの事実知ったら間違いなく突っ込んでくるし、Xの絶滅確認前だといらぬ争いを呼ぶ

  • 177二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 05:08:18

    >>176

    強い生物兵器が欲しいって奴等からすれば天然のかつてのサムス上位互換って言う

    夢みたいな素体が壊滅寸前のスペースパイレーツでも制圧出来る辺境に有るって言う状態だからなぁ・・・(白目

  • 178二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 12:06:13

    >>177

    フュージョンでの描き方からすると銀河連邦が欲しがったのは『寄生浮遊生命体X』よりも『サムス・アランと同等の戦闘力を持った生物』っぽいからこの惑星で起こってる事を表面だけ見ると真面目に理想的な生物兵器(に見える)のが性質が悪い…どうかあの家族に平穏無事な未来がありますように

  • 179二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 21:32:57

    ほしゅ

  • 180二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 07:13:47

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 17:43:06

    ほしゅ

  • 182二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 21:23:07

    保守保守

  • 183二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 07:10:18

    遅れてしまい申し訳ありません。
    本日の21時には投稿したいとおもいますので、もう少々お待ちください。

  • 184二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 18:51:35

    保守
    今更だが弾速が上がっていたからアイスビームを避けられなかったのか...。

  • 185二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 21:00:28

    『SA-Xについて判明したことは以上だが‥‥Yについて気になったことがある。』
    「Yに…。奴について、何か手がかりが見つかったのか?」

    宇宙で最も進んだ科学技術を誇る鳥人族ですら、Xに関しては"根絶"という強硬手段しかとれなかった。
    それもメトロイドという"天敵"を用いなければ、ほぼ不可能だ。
    そんなXを…SA-Xを従える人間について何もわかっていないのだ。
    情報は一つでも欲しいというのが本音だった。

    『奴が乗っていたエア・カーだが、そのベースとなっているのがB.S.Lに配備されていた脱出ポッドだ。』
    「脱出ポッド?あの時に使用された脱出ポッドがあったのか?」
    『私には確認できなかった。もっとも任務後半にかけては、施設の崩壊が進んだ影響でスキャンできない箇所がほとんどであったが…。』

    B.S.L‥‥SA-X誕生となった地であり、私とSA-Xの因縁の始まりとなった地でもある。
    まさかこんなところでその名を聞くとは思わなかったが、根絶したと思ったSA-Xがまだ存在してた理由がわかった。

    「研究員の知識を得たSA-Xが、B.S.Lから脱出したということか。」
    『Xの性質を考えれば十分あり得る話だが、そうだとすると二つの疑問が生まれる。』
    「疑問?」
    『一つは漂着したXが、この惑星の生物を寄生・捕食しなかったこと。もう一つはSA-Xの漂着を、Yはどうやって探し当てたのか。』

    言われて見れば疑問である。
    惑星ZDRでは、Xが脱走して一時間とたたずに惑星中の生物が寄生され、原生生物は全滅してしまった。
    それに対し、この採掘惑星の居住者も原生生物も、Xの脅威には晒されていなかった。
    更にSA-Xの存在は、私たちも銀河連邦も把握していなかった。今回のパイレーツの襲撃がなければ気づけなかっただろう。

    「この惑星に漂着した時点で、寄生能力を失っていたという可能性は?」
    『それもありうるが…私としては、脱出ポッドはYが使用した、と考えている。』
    「Yが‥‥まさか。」
    『YはB.S.Lの生き残りではないか、というのが私の見解だ。』

  • 186二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 21:01:11

    B.S.Lの生き残りということは、YはB.S.Lに所属していた研究員ということだ。
    それが、何らかの目的をもってSA-Xを連れてB.S.Lから脱出、否逃亡したというのがアダムの見解だった。
    そうだとすると、気になることがある。

    「YがB.S.L所属の研究員ならば、銀河連邦と繋がりがあるのでは?」

    銀河連邦のXに対する執着は異様と思えるものだ。
    私にとって、それは無謀以外の何物でもなかった‥‥この惑星で"制御されたSA-X"と遭遇するまでは。
    最初からXを制御する方法を持っていたのなら、Xの確保に執念を燃やすのも納得できるというものだ。

    『断言はできないが…銀河連邦とYの間に繋がりは無いと思っている。」
    「というと?」
    『もし銀河連邦がYとSA-Xの存在を認知しているならば、パイレーツと一戦交えてでも、彼らを確保しようとするはずだ。』
    「確かに‥‥。」

    下手をすれば、この惑星の無限ともいえる鉱物資源だけでなく、SA-Xと"Xを制御する方法"までもパイレーツに奪われてしまう。
    その危険性を考えれば、今も銀河連邦が待機を続けるはずがないのだ。

    『我々に依頼したことも根拠の一つだ。Xの利用を阻止するべく惑星一つをこの宇宙から消し去った我々にだ。』

    現に私たちはSA-X排除を前提に動いている。
    このことを想定できない銀河連邦ではない、と私も思った。

    「つまりこういうことか。何らかの目的でSA-Xと共にB.S.Lを脱出したYが、この惑星に潜伏しながらSA-Xを研究・改造していたところパイレーツの襲撃が起こったと。」
    『パイレーツと戦っているのは、自己防衛のためか…もしくはSA-Xの性能テストのためか。…どっちにしろ、これらは推論の域を出ない。』

  • 187二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 21:01:59

    議論はここで切り上げるべきだろう、と提案するアダムだが
    私には最も懸念していることがあった。

    「アダム、あのSA-Xは個体数を増やすことはできないと言っていたな。」
    『それは間違いない。』
    「では、Yの手によって増殖する可能性はあるか?」
    『‥‥低下した増殖力を科学的手段で補うことは十分可能だろう。むしろ、この宇宙でクローン培養に対しXほど適した生物はいないだろう。』


    『事態を楽観視するべきではない。YがSA-Xを"量産"していると想定して動くべきだ。』


    あのSA-Xが、生物兵器として量産されている。
    考えるだけで寒気がしてくるが、だからといって逃げるわけにはいかない。
    奴らの使用する能力は私から複製したもの、むざむざと寄生された私にも責任があるのだ。
    なんとしてもSA-Xを根絶する使命が、私にはあるのだ。

    『一番現実的な手段は、居住者を避難させたのちに、この惑星を爆破することだが‥‥。』
    「私がパイレーツ退治と、YとSA-X相手に時間稼ぎしている間に避難を進めるということか。確かにそれなら‥‥。」
    『レディー、話はそう単純ではないのだ。』

    アダムの提案、というよりも呟きに同調するも、他ならぬアダム本人から却下された。
    量産されたSA-Xと戦うよりも、よっぽど現実的だと思ったのだ。
    鳥人族の遺産が失われるのは残念だが、Xの脅威から宇宙を守れるなら彼らもわかってくれるはずだ、と。
    ‥‥それがいかに浅はかな考えだったかは、すぐにアダムが教えてくれた。

  • 188二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 21:05:34

    『この惑星の鉱石資源が、銀河の星々の発展や文明維持に活用されているのは話したはずだ。‥‥それが失われてしまえばどうなるか。』
    「…銀河中の人々が困窮する‥‥!」
    『それだけですむなら、まだ御の字だ。』


    『最悪の場合、資源の争奪を起因とした星間戦争が勃発しかねない。』


    ‥‥まさしく最悪の状況というわけだ。
    どうやら私たちの力だけで、SA-Xの集団を"殲滅"しなければならないようだ。
    その時、ある映像がアダムから送られてきた。
    湖をホバー移動する、例のエア・カーだ。

    『サムス、YとSA-Xを確認した。採掘施設とエネルギー生産施設の間にある湖を移動している。』
    「奴らもエネルギー生産施設に向かっているのか。」
    『君もすぐにエネルギー生産施設に向かいたまえ。この任務を達成するには、Yの身柄を確保することが一番有効だ。』
    「了解した。お前は引き続き監視を続けてくれ。」

    YがSA-Xを制御しているなら、Y本人を無力化すればSA-Xの無力化につながるかもしれない。
    通信をきり、私たちはそれぞれの任務に集中するのだった‥‥宇宙の平和をかけた戦いに向けて‥‥。


    たいへんお待たせしました。コメント&保守、いつもありがとうございます。
    今回はYに対するサムスとアダムの議論です。
    本人のあずかり知らぬところで、どんどん話が盛られて行っています。
    この"勘違い状態"が イヴ・レポート の味、のようなものだと思っております。
    では次回 『アダム、衝撃の光景を目撃する』の巻 お待ちください。

  • 189二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:02:12

    毎度楽しみにさせていただいてます。
    Xの女性、Yと呼ばれた男性。染色体を思い出す組み合わせですね。

  • 190二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 07:13:18

    保守

  • 191二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 18:22:32

    次のssのまえに次スレを建てようと思います。
    本日中には建てますので、もう少々お待ちください。

  • 192二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 22:32:46

    次スレ作成完了しました。

    ここは適当に埋めるのをお願いします。


    https://bbs.animanch.com/board/3743888/?res=8

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています