ヒシママゾンのイラストが欲しいっ！

茹だるような暑さだというのに都内某所の住宅街の一角、古くも新しくもないアパートの一室、そのキッチンからは轟々と燃やされる都市ガスとその炎を受けて熱せられた中華鍋の上を踊る米と具材の奏でる五重奏が響き渡り、視覚だけで胃袋を刺激してくる。

「ヒシアマ姐さん特製のレタス炒飯の出来上がりだよ！」

お揃いの中華風の皿に盛り付けられた炒飯は艶やかな油を纏い、室内照明に反射され光り輝く様は正に宝石の如しである。
さてこの炒飯、見た目からもわかる通り米がパラパラとほぐれる日本人好みの町中華の炒飯の様相であるのは勿論のこと、具材としていられたらレタスが油を吸った米と高相性であり、口の中に運ばれた旨みの凝縮体である脂を一つ残らず胃袋へと届けてくれる極上の出来に仕上がっていた。
この炒飯を調理したヒシアマゾンは自身と向かい合って座る男が実に美味しそうに炒飯を食べる様を見て笑みをこぼしていた。真に美味しい料理は言葉ではなく食事姿に現れるとはよく言ったもので、こうも勢いよくがっつかれると作った甲斐があったというものである。

「今日も美味しいよありがとう」

「なんだい照れるじゃないか」

こんなやり取りを幾度となく繰り返してきたのだろう。お互いの左手の薬指に嵌められた指輪の輝きはまだ真新しいが、2人が重ねてきた年月はその指輪では表しきれないほど長いものであることは部屋の調度品から察せられた。

綺麗にたいあげられた皿を二つ持って男が台所へと向かう。自分がやると言うヒシアマゾンであったが、男に無理矢理座らされてしまう。君の負担を少しでも減らしたいんだと優しい顔で言われては、惚れた側としては太刀打ちが出来ず、せめて何かあったらフォローできるようにと台所の方を向いて座る事にした。
とはいえたかが皿洗いである。強いていえば油がなかなか落ちにくいくらいの問題点はあるが、怪我をする事もなければ危険なものでもない。手慣れている彼女にとっては大して負担にもならないだろう。
だが、彼女としては夫のその心遣いが嬉しくてたまらなかった。奮闘する夫を見て自然に笑みが溢れ、銀の指輪をはめた左手が腹を撫でる。エプロン越しでも分かるほどに膨らんでいるその腹はヒシアマゾンが新たな命を宿し、母になろうとしている何よりの証左であった。

>>21

17二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:46:42

身重の妻の助けになりたいと率先して家事をするようになった夫も最初こそぎこちなかったが最近では一通りそつなくこなせるようになっている。お腹が大きくなり日常の動作に負担が生じる身になりつつあるヒシアマゾンにとっては夫のその行動は心強いものであった。

「あんたのお父さん、あんたとお母さんのために頑張ってくれてるんだよ。あんたもしっかり栄養とっては頑張って大きくなるんだよ」

腹の子に語りかける姿は正しく母の姿であり、激闘のレースを走り抜けたヒシアマゾンにとっての真のゴールのようにも感じられた。
もうしばらくすれば家族は3人になり、このアパートの一室も少々手狭になるだろう。そうなれば2人で目をつけているあの一戸建てに引っ越すのも悪くないかもしれない。今でも少し狭く感じるこの部屋には多くの思い出があるが、ここを出ていくのも悪くはないと思えるようになっていた。
そんなふうに感傷に浸っていると、台所の方から夫の小さな悲鳴が聞こえた。慌てて駆け寄るとどうやら洗剤を洗い流している時に角度が悪く水が大量に跳ねてしまったらしい。

「まったく、だからエプロンはちゃんとしなくちゃダメだっていっただろ？ほら、アタシのを貸してやるから濡れたシャツ脱いじゃいな」

まだ家事全般を任せるには少しおぼつかない旦那の可愛い姿に思わず笑みが溢れる。
時刻は12：40分ごろ、もう少ししたら2人で近くのスーパーに買い物でも行こうか、そんなことを考えてもう一度椅子へと腰掛けた。

>>21

18二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:49:43

なんか長くなっちゃった

19二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:58:22

>>1的にはヒシママゾンなので普通に寮でエプロンして料理しているヒシアマ姐さんとは違うママみが必要な感じかね？

>>20

20二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:59:40

>>19

こう寮長みたいな大役から解放された1人のウマ娘としてのママ味が欲しいんだよね

21二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:07:46

>>16

>>17

名文じゃん…

22二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 23:18:52

単に妊婦姿だけ描くんじゃ足らんなコレ

23二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 00:11:12

こんなんでよければ
良いSSでした

>>25 >>26 >>27

24二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 00:14:16

料理の表現って難しいのによく顕せていると思う
いいSSだよ

25二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 00:16:03

>>23

生活感やアマさんの表情、トレのやらかしとしあわせな日常の一コマって感じで素晴らしいね

良いSSと良いイラストが揃ってしまったな…

26二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:19:40

>>23

いいですね！

27二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:31:15

>>23

やったイラストもらえたー！

待てよ、これもしかして俺がss書けばもっとイラスト貰えるのでは…？

28二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:17:53

「この子にはたくさん兄弟姉妹を作ってあげたいんだ」

空港のラウンジ、待合室の少し硬い座席に座る彼女は大きな窓から見える離着陸していく飛行機達を眺めながらそう言った。
現在、ヒシアマゾン夫妻は彼女の両親がアメリカからやってくるというので彼らを出迎えるために空港にやってきていた。ヒシアマゾンの両親の訪ねてくる理由は彼女のお腹を見ればすぐに分かるだろう。
まるで月を納めたかのようにまんまるな大きなそのお腹は胎児を宿しはや9ヶ月が過ぎていた。臨月と呼ばれる頃合いの彼女の出産のサポートのため、わざわざ彼女の両親が1ヶ月も日本に滞在すると言ってきたのは1ヶ月ほど前。娘夫婦に負担はかけさせないと近くのホテルの一室を一ヶ月も抑えたのだから相当なものである。
愛されてるねと言うとヒシアマゾンは照れながらはにかみ、その様子が可愛くてつい旦那は彼女を揶揄いたくなってしまう。

「アタシは末っ子だったからね、兄弟姉妹がいるのが当たり前だった。毎日が賑やかで楽しくて、そんな日々をこの子にも送って欲しい」

そう言うと、こちらへと振り返り旦那の手に自らの手を重ねる。
子を作るというのはどちらかの意思のみでは成り立たず、夫婦の考えが一致した時に初めて成せるものだ。だからどれだけヒシアマゾンが望んでも旦那が望まなければこれ以上子供は願えないだろう。

29二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:18:06

アンタが無理なら大丈夫だよ、と言うヒシアマゾンの手に敷かれていた自らの手を起こし彼女の指と自分の指を絡ませる。誰にも見えない恋人繋ぎ。それは彼女の考えと自身の考えが同じであるという無言の肯定であった。
次は男の子がいいなと言う旦那に今更ながら公衆の面前でなんとオープンなことを言ってしまったのだろうと急に恥ずかしくなったヒシアマゾンは、誤魔化すように少し疲れたと言って旦那の肩に体重を預け、赤く染まった顔が見られないようにする。

「俺は一人っ子だったから兄弟にはちょっと憧れてたんだ。だから、ヒシアマがそう言ってくれて嬉しい。この子にたくさん弟妹を作ってあげてくれないか？」

「バッ……そんな事、こんな所で言うもんじゃないよ！…アタシとしても賑やかな家庭の方が好きだからね。5人でも10人でもアンタの子産んであげるよ」

さらに赤くなり、シャツ越しにヒシアマゾンの熱が伝わる。それは彼女の命の温度。その熱が冷めないよう、2人の距離が短くなる。
飛行機の到着まではあと十数分、繋いだ手が途切れる様子は無かった。

30二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 10:03:30

ヒシママゾン夫婦の幸せそうな顔が目に浮かびます

31二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 19:17:50

保守

32二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 23:52:47

保守

33二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 08:05:51

いいSSをありがとう

34二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 18:15:48

新妻期間が長いのか、早めに子どもができるのか
どちらもいいな

>>36

35二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 18:17:45

多分知ってるだろうけど馬場庵って同人シリーズはいいぞ

36二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 06:07:04

>>34

まだ子供いない時期の様子も結構好きなんだよね

37二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 16:51:10

ヒシアマ姉さんに子供産んであげるって言われるの男冥利に尽きるよね。10人は産んでもらうからな

38二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 19:56:41

ママゾンか良いね