- 1二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:07:02
- 2二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:07:51
- 3二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:08:59
スレ管理ガバ2回目でヤンスよ…
- 4二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:09:20
とりあえず10まで埋め埋め
- 5二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:10:30
まだ書いてくださっている方がいる以上、落としたくはない
- 6二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:14:01
思いのほか盛り上がってくれてSSまで書いてくださっていること、本当に嬉しい
- 7二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:15:51
ていうか本当にカービィ新作こないかなぁ…
- 8二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:16:07
また落としてしまった…
昼頃いっぺん覗いとけばよかった
ここのところ安定して上げれてたからうっかりしてました。反省 - 9二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:17:06
- 10二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 15:20:28
とりあえずこれで10スレ目ぇ!
- 11二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:02:48
その2スレにみんな気づいてくれぇー!!
- 12二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:45:06
7スレ目82の続き
――一方その頃。場所は再び変わってゲヘナ学園。
(ゲヘナ学園生徒会・パンデモニウム・ソサエティーでは、今日も万魔殿に務める生徒たちがそこかしこを行き来していた)
(といっても、上が上なので大半は仕事しているフリがほとんどだったのだが)
(そんな中、万魔殿所属の棗イロハはというと)
イロハ「ふう。ひとまずこんな所でしょうか」
イブキ「わー、ピッカピカだー!」
(万魔殿の中庭、その端に設置された戦車庫)
(そこでイロハは、イブキ他戦車乗員共々相棒である重戦車の手入れに励んでいた)
(といっても専門的な整備は直属の整備員たちが行うので、イロハ達にできるのは精々車体の洗車くらいだったのだが…)
イロハ(それでも、こうして自分たちの手で綺麗にするというのは悪くないものですね)
イブキ「ねえねえイロハ先輩!せっかくだから、このまま近くをパトロールしてみない?」
イロハ「うーん……。悪くない提案ですが、綺麗にしたばかりの車体を走らせ回って汚すのも……」
(本音は面倒臭いからでもあったが、イブキにちらりと視線を向ける)
(そこにはしょんぼり顔で俯くイブキの顔があって)
イロハ「ですが気が変わりました。さ、乗ってくださいイブキ。とりあえず万魔殿周辺を回りましょう」
イブキ「えっ、いいの!?」
イロハ「もちろんです。さ、あなた達も行きますよ。配置はいつも通りで――」
ゲヘナ戦車要員『…………』
イロハ「? あなた達、話を聞いて……ッ!?」
(イロハの呼びかけに、しかし他の生徒たちは応えない)
(違和感に気づいたイロハが振り返ろうとした、次の瞬間) - 13二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:45:45
シュルルル!
イロハ「なっ!こ、これは!?」
イブキ「きゃああっ!な、何これぇ!?」
(イロハとイブキ。二人の身体に何かが巻き付き、縛り上げる)
(それはワイヤー程の太さを持つ巨大な毛糸だった)
???『パヒャヒャヒャッ!だ~いせ~いこ~う!』
(同時に、笑い声と共に空から二つの人影が降りてくる)
(その正体は言うまでもなく――)
ノゾミ・アミーボ『油断大敵ってね、お二人さ~ん?』
ヒカリ・アモーレ『ゲヘナのトップ、かくほー。思ってたよりちょろーい』
イロハ「あ、あなた達は……!?」
イブキ「いきなり何するの、放してよー!」
(縛られた状態で、何とか抜け出そうとあがくイロハとイブキ)
(だが二人を戒める毛糸はびくともせず、まるで振り解けそうになかった)
ノゾミ・アミーボ『無駄無駄、むぅ~だ!その毛糸は私たち特製の代物でアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『ちょっとやそっとの力じゃ解けないし、千切れないよー?それこそうちの車両に使われてるケーブル並でアモーレ』
イロハ「何の真似ですか、これは……!?」
(無為を悟り、ノゾミとヒカリを睨みつけるイロハ)
(その姿がツボにハマったのか、邪悪な笑みを浮かべると自慢気にノゾミは言い放つ)
ノゾミ・アミーボ『何のつもりかって?そりゃあもちろん、このゲヘナをそっくりそのまま頂きに来たに決まってるじゃん!』
ヒカリ・アモーレ『そしてあなた達は今から私たちのしもべにジョブチェンジー。退屈な万魔殿暮らしから刺激的な毛糸生活に変えてあげるでアモーレ』
- 14二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:46:14
イロハ「ずいぶんと、勝手な事を言ってくれますね」
イブキ「そうだよ!そんなの、マコト先輩たちが許すわけないよ!」
ノゾミ・アミーボ『……へぇ~?マ・コ・ト・せ・ん・ぱ・いかぁ~。ひょっとして、それがここのお偉いさんの名前?』
(イブキの叫びに、ノゾミが面白そうな目でにじり寄る)
(イロハが抑えようとするも、一歩遅く)
イロハ「あの、イブキ?あまりマコト先輩を当てにするような事は――」
イブキ「そっちが何者か知らないけど!マコト先輩を怒らせたら怖いんだからね!誰が来ようとケチョンケチョンなんだから!」
ノゾミ・アミーボ『へぇ~!怖い怖い!全身が(笑いで)震えて止まらないでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『どうかーん。そんなのがいるなら、猶更さっさと潰しておかないと出アモーレ』
(イロハ達から視線を外し、双子達は万魔殿上部へと飛び去ろうとする)
ノゾミ・アミーボ『それじゃあね、お二人さん♪全部終わったら、後でた~っぷり可愛がってあげるから、お楽しみに!パヒャヒャヒャッ!』
ヒカリ・アモーレ『善は急げ、洗脳はお早めに―。レッツゴー』
イブキ「こら、まてぇー!」
イロハ「……とんでもない事になってしまいましたね」
イブキ「大丈夫だよイロハ先輩!きっとマコト先輩がどうにかしてくれる筈だから!」
イロハ(いえ。とてもじゃないですけどイブキ、それを聞いて安心する気にはなれないです……)
(ぐるぐる巻きのまま放置されてしまったイロハとイブキ)
(はたして万魔殿議長・羽沼マコトはこの窮地に気づく事ができるのか……!?)
(だが。その前に、舞台は一旦ホシノ達の下に移る――)
- 15二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:46:48
シュルルルル!バンバンバン!
スオウ「!上だ、小鳥遊ホシノ!」
クジラホシノ「うひゃあああっ!」
ドバババン!
スオウ「今度は下から来るぞ、気をつけろ!」
クジラホシノ「いや、気をつけろと言ったって――うわわわ!危ない!」
(巨大イカとホシノ達の戦いは熾烈を極めていた)
(頭上と海中。異なる方向から襲い掛かってくる敵の触手の打撃は強烈なものばかり)
(まともに喰らえば戦闘不能は避けられないだろうそれらを、必死で掻い潜り回避に専念していた)
クジラホシノ「うへ~。これじゃらちが明かないよ~」
スオウ「同感だ。だが、この触手をどうにかしない事にはあいつに触れる事すらままならん」
クジラホシノ「触れる、ねえ」
(クジラホシノが、巨大イカの頭部に視線を向ける)
(そこには所在なさげに垂れ下がる、毛糸付きのボタンがあった)
クジラホシノ「……もしかしなくても、アレが弱点だよね?」
スオウ「正直、まさかとは思いたいがな。ああまで大っぴらに自分の弱点を晒す奴がどこにいる?」
クジラホシノ「うーん。多分、おじさん達の真正面にいる奴がそうだと思うなぁ」
(クジラホシノが軽口を叩く間にも、巨大イカは次々と触手による攻撃を繰り出してくる)
(それらを必死で掻い潜り、捌く中。やがてクジラホシノは意を決したように眼を鋭く細めた)
- 16二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:47:06
クジラホシノ「こうなったら一か八かやるしかない、かな」
スオウ「何か考えでもあるのか?」
クジラホシノ「半分博打みたいなものだけど、いい?」
スオウ「――構わん。どの道現状のままではじり貧もいい所だ。お前に良い策があるというのなら、それに乗ろう」
クジラホシノ「了解。それじゃ――しっかり掴まっててね、眼帯ちゃん!」
スオウ「おい待て。その前にどんな作戦なのか説明し、ろぉおおおっ!?」
(直後、クジラホシノが凄まじい速度で泳ぎ――否、疾駆する)
(蹴飛ばすような勢いで白波を立て、水上を爆走する様はまさに段違い)
(巨大イカの触手を置き去りにし、瞬く間に敵の攻勢をかいくぐる)
スオウ(こっ……これが、本気の小鳥遊ホシノ……!)
(先程までの泳ぎが、背に乗せる自分にどれ程配慮した動きだったのか)
(スオウ自身必死でしがみつく他ない挙動と速度に、されど懸命に食らいつく)
巨大イカ『――――!!』
(そして巨大イカも負けていなかった)
(それまでとは比較にならない速度を見せる『敵』に対し、ならばとばかりに触手による手数を増やし対抗する)
(こちらもまた先程までの攻撃とは比較にならない勢いであり、とても突破は叶わないように思えた……)
(だが)
クジラホシノ「――この攻撃を、待っていたぁ!」
巨大イカ『!??』
- 17二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:47:24
(クジラホシノが、触手の間を素早く回る)
(攪乱するような動きを前に、触手群もまた追いつこうとくねらせ、行く手を阻まんとし――)
(そして。まんまと触手同士、絡まった)
クジラホシノ「そりゃ、それだけ触手が密集してたらそうなるよねぇ……!」
クジラホシノ「眼帯ちゃん、今だよ!」
スオウ「っ!」
(ホシノの呼びかけに、スオウは目を見開き跳びかけていた意識を取り戻す)
(気が付けば触手の防衛網を抜け、眼前には垂れ下がるボタンが一つ)
スオウ「っ――あああああ!」
(咆哮と共にスオウは跳躍し、空中のボタンを掴み取る!)
(そのまま下で構えていたクジラホシノに着地すると、再びばく進劇が始まった!)
(抵抗しようにも、肝心の触手は未だ絡まったままで――)
巨大イカ『~~~~!!?』
(ボタンに引っ張られ、瞬く間に巨大イカの身体が解けていく)
(やがて頭部を覆っていた毛糸が完全に失われ――そこには、ツルッパゲになったイカモドキの姿があった)
クジラホシノ「やった!……の、かな?」
スオウ「いや待て、何か様子がおかしい――」
(イカモドキの身体が赤く染まっていく)
(怒りで?それもあっただろう)
(だが。ホシノ達は知る由もなかった)
(眼前の巨大イカ――その名を『イカスタコス』と名付けられた怪物の正体を)
- 18二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:47:40
- 19二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 00:48:51
- 20二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 01:15:30
- 21二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 10:51:38
保守!
- 22二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 19:51:24
臨戦ホシノの絆ストーリー見てたら「タカナシ・ナイト」なる単語が飛び出てきた
『風紀騎士(ヒナナイト)』の対になる『タカナシ・ナイト』…
アリでは? - 23二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 19:53:08
何かキキキ大王が本編でトリプルデラックスのごとき扱いの向上を受けたんですが
- 24二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 23:40:39
- 25二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:08:29
>>18の続き
(巨大タコに変わったイカスタコスとの戦いもまた、容易いものではなかった)
(タコスミによる煙幕と、その妨害を突いた触手攻撃。さらに自らの身体を槍のように変えた突進攻撃)
(巨大イカ形態の時よりも狡猾で、機動力の増した猛攻にホシノ達も押し切られそうになる)
(だが。最後に制したのは――)
クジラホシノ「眼帯ちゃん、今だよッ!」
スオウ「了解した――はああっ!」
イカスタコス『!!!』
(スオウの放った銃弾が、狙い過たずイカスタコスの頭部を撃ち抜く!)
(断末魔の悲鳴を上げ、イカスタコスは海中へと没していった…)
スオウ「こ、今度こそ――倒した、か?」
クジラホシノ「多分ねぇ~。うへぇ~、今回は本当に疲れたよぉ~」
(疲労困憊、といった風にプカプカとその場に留まるクジラホシノ)
(スオウも今ばかりは何も言わず、クジラホシノの上で身体を伸ばした)
- 26二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:08:51
スオウ「しかし……今回も、あいつらの手がかりらしいものは見当たらなかったな」
クジラホシノ「だねぇ。まったく、どこに逃げ込んだのやら」
スオウ「手あたり次第、行ける所を順に当たってきたつもりだったが。いい加減ヒントの一つでも見つかってほしいものだ」
クジラホシノ「ひとまずさ、ハイランダーの方に戻らない?ひょっとしたらあっちの子たちが何かしら情報持ってるかもしれないし」
スオウ「そうだな。他に当てもないし、めぼしい所は大体探し終えた。一旦戻るのも手と言えば手か」
クジラホシノ「よ~し。それじゃ、ハイランダーに向けて全速ぜんし~ん」
スオウ「……頼むから、さっきのような爆速航行だけは勘弁してくれ」
クジラホシノ「あはは、さすがにアレはもうやらないよ~。おじさんにとっても滅茶苦茶疲れるからねぇ」
(パシャパシャと、水音を立てながらホシノ達は陸地を目指す)
(目指すはハイランダー校舎。双子達の情報を求めて……)
――さて。所は変わって、こちらはゲヘナ学園の万魔殿。
万魔殿本部最上部・執務室では議長の羽沼マコトが部下からの報告を聞いていた。
万魔殿生徒「報告は以上となります、マコト議長」
マコト「うむ、分かった。下がって良いぞ」
万魔殿生徒「はい。それでは失礼致します」
(マコトに頭を下げ、万魔殿生徒が退出していく)
(それを見届けると、マコトは優雅にコーヒーを飲みながら一服した)
マコト「今日もゲヘナはいつも通り。相も変わらずバカ騒ぎに浮かれる不良共と、その対応に追われる風紀委員会か」
マコト「キキキッ。あのにっくきヒナが苦労してる様を思い浮かべるだけで、こちらの疲労も吹き飛ぶというもの…」
- 27二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:09:13
(その時。ガチャリと執務室のドアが開かれる)
(そこには先程退出したばかりの万魔殿生徒が立っていた)
マコト「何だどうした?報告漏れでもあったか?」
万魔殿生徒?『……』
マコト「いずれにせよ、ノックぐらいしたらどうだ。仮にも栄えある万魔殿の一員なら、その自覚をもってだな…」
(どうせ大した用でもないだろう。そう高をくくっていたマコトは気づかなかった)
(入ってきた万魔殿生徒、その瞳が怪しく光り輝いている事に)
(そして。入って来た生徒が、彼女一人だけではなかった事に――)
マコト「……ん?何だ、どうしたお前たち。いつの間にこんな大勢でやってきた?」
万魔殿生徒たち『『『『『…………』』』』』
マコト「おい。お前たち何とか言ったらど――!?」
(ようやく異常に気づき、問い質そうとするマコト)
(だがマコトが行動に移すより早く――万魔殿生徒たちは、マコトに飛びかかった!)
マコト「なっ!何だ貴様ら!このマコト様に何をする!?」
万魔殿生徒たち『『『『『……!』』』』』
マコト「や、やめろ!貴様ら、こんな真似をしてタダで済むと……!?」
(あっという間に縛り上げられ、身動き取れなくされてしまうマコト)
(その身体に巻き付いていたのは、イロハ達を拘束したものと同じ毛糸だった)
- 28二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:09:48
ノゾミ・アミーボ『パヒャヒャヒャッ!な~んだ、どんな強敵かと思ってたけど全然チョロいじゃん!』
ヒカリ・アモーレ『楽勝らくしょー。ヌルゲーの極みでアモーレ』
(完全に拘束された事を確認し、例の双子――ヒカリとノゾミが顔を出す)
(その手には魔法の靴下が握られており、これから何が行われるか明々白々だった)
マコト「な、何だ貴様ら!?いつの間にこの万魔殿本部に乗り込んできた!」
マコト「いや、それより今すぐこれを解け!こんな真似をして、ただで済むとでも」
ノゾミ・アミーボ『キャー怖―い!このお姉さん、おっかないでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『さっすがゲヘナのお偉いさーん。怒った時の凄みも人一倍でアモーレ』
(マコトに怒鳴られても、おどけるように茶化す双子達)
(次の瞬間、その顔は邪悪な笑みのそれに変わり、靴下の履き口をマコトへ向ける)
ノゾミ・アミーボ『そーんな怖いお姉さんは、毛糸の世界へ追放しちゃうでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『一名様ごあんなーい。二度と帰ってこなくて大丈夫でアモーレ』
マコト「な――何ィいいい!?」
(悲鳴を上げながら、なす術もなく吸い込まれていくマコト)
(数秒と経たぬ間にその姿は消え、執務室には双子と操り人形に変えられた万魔殿生徒たちが残された)
ノゾミ・アミーボ『これで万魔殿も制圧完了……。クックック、我々ながら手際が良すぎて怖くなってくるでアミーボ』
ヒカリ・アモーレ『でもでもー。確かゲヘナにはまだもう一つ強敵が残ってたでアモーレ?』
ノゾミ・アミーボ『あー……そういえばそうだっけ?』
(ゲヘナ風紀委員会。ゲヘナの治安維持その要を担う集団であり、キヴォトス全土から見ても有数の武闘派戦力)
(ゲヘナを制圧する以上、この組織との対決は避けて通れない所だったが)
- 29二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:10:06
- 30二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 00:10:58
- 31二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 01:17:07
- 32二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 09:48:37
- 33二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 15:58:26
ありがとうございます!
- 34二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:56:26
>>29の続き
(ゲヘナが大変な事になっていたのと同じ頃)
(ホシノ達は一旦冒険を止め、ハイランダーに戻っていた)
ハイランダー生徒「お疲れ様です、監督官!」
スオウ「ああ、ご苦労。私の留守中異常などはなかったか?」
ハイランダー生徒「はい、異常ありません。他の生徒たちも現在は落ち着いたのか、ひとまず暴れ出す様子等はないようです」
スオウ「そうか、それは何よりだ」
(部下と思しき生徒相手に淀みなく対応するスオウ)
(その姿を、ホシノは一歩引いて観察していた)
ハイランダー生徒「ホシノさんもお疲れ様です。スオウ監督官および我々へのご助力、大変助かっております」
ホシノ「そんなかしこまらなくていいよ~。おじさんがやりたいと思ってやってるだけだしね」
ハイランダー生徒「いえ、元を辿れば私たちの学校で起きた不始末。それなのに他校の方に救援いただき、あまつさえ自ら助力を申し出て下さるなど……感謝してもしきれません!」
ホシノ「うへ~」
スオウ「……あまり困らせてやるな。感謝の念も、度が過ぎれば時として重荷になってしまう事もある」
ホシノ「眼帯ちゃん……」
スオウ「まあ。お前の言う通り助かっているのは事実なのだがな」
ホシノ「も~。眼帯ちゃんまでそんな事言う~?」
(困ったように、それでも満更でもなさそうな顔でホシノは微笑む)
(スオウとハイランダー生徒も、その姿に肩の力を抜きかけたその時)
- 35二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:56:51
ドガアアアン!
一同『っ!?』
スオウ「何だ、今の爆発音は!」
ハイランダー生徒「て、敵襲でしょうか!?まさか監督官のおっしゃっていた、怪物が……!?」
ホシノ「何にせよ、ここでじっとしてる場合じゃないね……!」
(愛銃を構え、一足先にホシノが飛び出す)
スオウ「おい、小鳥遊ホシノ!?」
ホシノ「眼帯ちゃんは他の生徒ちゃん達の避難をお願い!そこの子もね!」
(スオウの返答を待たず、ホシノは一人駆けだして行く)
(爆発音を追って、その発生源と思しき場所に向かってみると――)
ホシノ「あれは……!?」
ハイランダー生徒A「う、撃て撃て!これ以上進ませるな!」
ハイランダー生徒B「そ、そんな事言われても!?この身体、戦い難くて……!」
怪物たち『ギャオオオオン!!』
ハイランダー生徒A・B「「う、うわああああっ!?」」
(そこはまさに戦場だった)
(校舎内に入り込み、そこかしこで毛糸の怪物たちが暴れ狂う)
(その暴威に抗わんと必死で抵抗を試みるも、力及ばず蹴散らされていくハイランダーの生徒たち)
(あまりにも無惨な光景を前に、ホシノの中で何かが弾けた)
- 36二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:57:14
ホシノ「――お前らっ!!」
怪物A『アギャ?――ギャアアス!?』
怪物B『ギャオッ!?ギャオスギャオス!』
怪物C『シャアアアアッ!』
ホシノ「どいつもこいつも、うるさいっ!」
(怪物の只中に飛び込み、ショットガンを撃ちまくるホシノ)
(完全な奇襲に、暴れていた怪物たちは完全に混乱していた)
ハイランダー生徒A「あ、あなたは……!?」
ホシノ「呆けてないで、逃げて!ここは私が受け持つから!」
ハイランダー生徒B「で、でも――」
ホシノ「いいから!さっさと逃げろっ!!」
ハイランダー生徒A・B「「は、はいいっ!」」
(襲われていたハイランダー生徒たちを、怒声と共に撤退させる)
(救援というより最早脅しに近かったが、今のホシノにそこまで気を配っている余裕はなかった)
怪物B『グルルル…!』
怪物C『シャアアア……!』
ホシノ「どいつもこいつも、毛糸の癖に威圧感だけはいっちょ前だね。それで脅しになるとでも?」
ホシノ「別の学校とはいえ私の前で生徒を傷つけたんだ。覚悟、できてるんだろうね」
(ホシノの憤怒と凄みの前に、怪物たちもたじろぐように後ずさる)
(無論、そんな事でホシノが躊躇う筈もなく――直後、怪物たちの絶叫と激しい戦闘音が響き渡った)
- 37二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:57:41
スオウ「これは――」
(生徒たちの避難を済ませ、スオウが駆けつけた時。全ては終わっていた)
(毛糸で編まれた身体はバラバラに解かれ、全ての怪物が駆逐されている)
(さながら骸めいて散らばる無数の毛糸。その中央に、ホシノは一人立ち尽くしていた)
スオウ「小鳥遊、ホシノ」
ホシノ「――眼帯、ちゃん?皆の、避難は」
スオウ「……問題ない。負傷した者も何人かいるが、ひとまず全員を確認できた。お前の、おかげでな」
ホシノ「そっか。それならよかった」
(編みぐるみの身体に返り血などはなく。今までと何ら変わらないホシノの姿がそこにある)
(だが――スオウは幻視せずにいられなかった)
(全身を真っ赤に染め上げた、小鳥遊ホシノの立ち姿を――)
スオウ「……!」
ホシノ「眼帯ちゃん?どしたの?」
スオウ「い、いや。何でも、ない」
スオウ「それより。今は怪物たちの出処を突き止めねば。一体こいつらがどこからやってきたのか、その根源を――」
???『ほお。あの軍勢を蹴散らすとは、さすがだなぁ?勇者ホシノ(ホシノカービィ)』
スオウ「っ!?」
ホシノ「――!」
(突如として響き渡った、ある意味聞き慣れた声)
(直後、間髪入れず上空に映像が展開され、声の主が姿を見せる)
- 38二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:57:59
ホシノ「マコト…!?」
スオウ「あれは――ゲヘナ万魔殿の議長、だと……!?」
マコト?『キキキッ。久方ぶりだな勇者ホシノ、それにハイランダーの残党どもよ』
マコト?『毛糸の世界に幽閉されてさぞ落ち込んでいるかと思えば……存外、やる気が残っていたようで何よりといった所か』
ホシノ「なんで、マコトがこの世界に――」
スオウ「どういうつもりだ、マコト議長」
(ホシノの問いかけを遮り、スオウがマコトに呼びかける)
(その瞳には、隠しようもない憤怒と疑心がありありと浮かんでいた)
マコト?『どういうつもり、とは?質問の意味が分からんなぁ』
スオウ「惚けないでもらおう。先程、我々の学園を襲った怪物ども。それらをお前は『軍勢』などとほざいたな?」
スオウ「それはつまり。この怪物どもは、お前が差し向けたという事か?」
ホシノ「……ッ!」
マコト?『――キキキッ!そうだ、と言ったらどうする?』
スオウ「どうする、だと……?」
(ギリ、と。スオウが拳を握りしめ、マコトを睨みつける)
(映像の中のマコトはまるで動じず、むしろ愉しむようにどこまでも見下していた)
スオウ「ふざけるな!仮にもゲヘナのトップたる貴様が、我が校に対するこの所業!よもや、ゲヘナからハイランダーに対する宣戦布告とでも言うつもりではあるまいな!」
マコト?『ゲヘナ。ゲヘナか……まだ、そんな小さな話だと思っていたとは驚きだ』
スオウ「何……!?どういう意味だ!」
マコト?『どうもこうもない、そのままの意味だとも。最早ゲヘナの、いいやキヴォトスの支配者はこの私などではない。全てはアミーボ・アモーレ様の手の内なのだから!』
ホシノ&スオウ「「っ!?」」
- 39二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:58:18
(アミーボ・アモーレ)
(ホシノ達をこの異世界に閉じ込め、編みぐるみの姿に変えた元凶)
(その名前がまさかのマコトの口から飛び出し、二人はボタンの目を見開く)
ホシノ「まって、マコト!キヴォトスの支配ってどういう事!まさかうちにも――アビドス自治区にまで手を出すつもり!?」
マコト?『つもりも何も、今頃とっくに手の中だろうさ。あの方々が本気になれば、アビドス程度の弱小、容易く片付く話でしかないのだから!』
マコト?『ああ、そういえば。お前の出身校はアビドスだったか?だとすればお気の毒、と言っておこうか。お前の可愛い後輩も、もう既にあの方々の配下にされた頃合いだろうしな!』
マコト?『せいぜい噛み締めているがいい!居場所も何もかも、奪われた絶望をなぁ!』
ホシノ「――――ッ!マコトぉ!!」
(高笑いしながら、映像を切るマコト)
(反射的にショットガンを上空に撃ち放つも、当然銃弾が何かを貫く事はなく)
(ただただ虚しく、空を切り裂いて終わった……)
ホシノ「……眼帯ちゃん」
スオウ「何だ。小鳥遊ホシノ」
ホシノ「ごめん、力を貸して。――あいつがどこから通信してきたのか、今すぐ知りたい」
スオウ「無論だ。言われずとも、好きなだけ協力してやる」
ホシノ「……あの馬鹿の事だし、どうせまた操られでもしてるんだろうけど」
スオウ「それはそれ、これはこれだ」
ホシノ&スオウ「「とりあえず、一発ぶっ飛ばす」」
(期せずして心が一つになったホシノとスオウ)
(はたして、マコトの居場所は何処に……?)
- 40二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 00:59:28
- 41二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 02:42:50
- 42二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 13:44:46
保守!
- 43二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 22:05:17
- 44二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:16:02
スレ主として感謝を!ありがとうございます!
- 45二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:21:51
- 46二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:52:01
臨戦ホシノの絆ストーリー見てきたぜ!
やっぱり、ホシノはヒーローじゃないか!
こりゃホシノカービィ(勇者ホシノ)じゃないか! - 47二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:50:33
>>39の続き
・前回までのあらすじ
(突如ハイランダーを襲撃した毛糸の怪物たち!)
(ホシノの奮戦によりどうにか撃退されるも、その怪物たちはマコトの手により差し向けられたものだと判明した!)
(一体マコトは何を考えているのか?はたしてどこに隠れ潜んでいるのか!)
(ハイランダー側の逆探知により、判明した居場所は――)
ビュオオオオ…
ホシノ「さ、寒い…!毛糸の身体なのに寒いよ~!」
スオウ「我慢しろ。雪山なんだから仕方ないだろう」
(ハイランダーの逆探知で特定されたマコトの居場所。それは何と、雪山そびえ立つ極寒の世界だった)
(前回訪れた南洋風世界とは一転、凍てつく吹雪が二人を出迎え容赦なく凍えさせる…)
ホシノ「ていうかズルくない?眼帯ちゃんだけそんなガッチガチなコート着込んじゃってさ。おじさんにもちょうだいよ~」
スオウ「悪いな小鳥遊ホシノ。このコートは一着限りなんだ」
ホシノ「うがー!それならおじさんも中に入れさせろー!独占反対はんたーい!(ガサゴソ)」
スオウ「おい、やめろ!無理やり入ろうとするな!コートが伸びたらどうしてくれる!?」
ホシノ「うるさいやい!おじさんだって寒いものは寒いの!」
スオウ「ええい、何という我が儘…!というか、そんなに耐えられないのなら例の変身能力とやらで寒さに強いものに化けられたりしないのか!?」
- 48二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:51:11
(状況を半ば忘れ、どったんばったんと取っ組み合いを繰り広げるホシノとスオウ)
(が、その最中スオウが発した言葉にホシノは思わず動きを止めた)
ホシノ「そっか。その手があったね、眼帯ちゃん!」
スオウ「な、何だと?」
ホシノ「寒さがつらいのなら、寒さに強いものに化ければいい――その通りじゃん!」
ホシノ「よおし!今こそおじさんの底力、発揮する時だ~!」
(もう何度目かになる、変身時の発光現象)
(ホシノの身体が光に包まれ、やがてそこから姿を現したのは――)
ホシノペンギン「……」
スオウ「ペンギン、だな」
(クチバシを思わせるたらこ唇と、全体的に丸みがかった見た目。そしてフリッパーと化した両手)
(どこからどう見ても、ペンギンのそれであった)
スオウ「……とりあえず、寒さには強そうに見えるが。実際の所はどうだ、小鳥遊ホシノ?」
ホシノペンギン「う~ん。さっきまでと比べたらマシ――」
ビュオオオオッ!
ホシノペンギン「でもない!やっぱ寒いよ~!」
スオウ「まあ、いくら見た目が変わった所で身体は毛糸のままだからな」
ホシノペンギン「うへ~、これじゃただの一発芸だよ~。何かこう、もっとそれらしい能力とかないの~?」
(ブンブンと身体をばたつかせるホシノペンギン)
(すると。その足元に毛糸が寄り集まり、一枚のボードに変化した)
- 49二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:51:37
ホシノペンギン「うへ?」
(吸い込まれるようにホシノペンギンの足が着地し、ボードと繋がる)
(直後。ホシノの身体はズズズ、と滑り出し――そのまま、坂道を下り始めてしまった!)
ホシノペンギン「ちょ、まずっ。これ、止まらない――!」
スオウ「お、おい!?小鳥遊ホシノ!?」
ホシノペンギン「うひゃああああ~~~!?」
(スオウが見つめる中、ホシノペンギンは一直線に坂を下り、あっという間に見えなくなる)
(完全に姿を消してしまった相棒を前に、呆然と立ち尽くすスオウだったが)
ホシノペンギン「……ぁあああああ~~~!?」
スオウ「っ!」
(再び、ホシノペンギンが雪を蹴立てながら帰還する)
(途中でバランスを崩し、盛大にすっ転びこそしたものの。どうにかスオウの眼前でホシノペンギンは停止した)
スオウ「そ、その……大丈夫、か?小鳥遊ホシノ」
ホシノペンギン「うへえ~、目が回るよ~。身体のあちこちが痛いよ~」
スオウ「よし。嘆く元気があるなら大丈夫そうだな」
ホシノペンギン「ひどくない?確かに大丈夫なのはその通りだけどさ、もうちょっと気を遣ってくれてもよくない?」
(不満を漏らしつつも、立ち上がるホシノペンギン)
(その場でジャンプしたり足元を確認する事を何度か繰り返すと、やがて合点がいったかのように頷いた)
ホシノペンギン「よし、こんなものかな」
スオウ「こんなもの、とは?」
ホシノペンギン「さっき、滑り落ちてる中で色々確かめてみたんだけどね。どうやらこの身体、雪上の移動に適応してるみたいなんだ」
ホシノペンギン「こうやってボードを出せば、普通に歩くより速く雪の上を走れるし。ちょっとした障害ならジャンプで飛び越える事もできる。着地は失敗しちゃったけど、乗りこなせれば相当強いよこれ」
- 50二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:51:56
スオウ「な、なるほど。分かったような、分からないような」
ホシノペンギン「まあ、おじさんも感覚で何となく理解しただけだからね~」
スオウ「それでいいのか、お前は……?」
ホシノペンギン「こういうのはぶっつけ本番だよ、眼帯ちゃん。――と、いうわけで」
(ガシッ!と。ホシノペンギンがスオウの身体を掴む)
(さらに足元に力を込め、先程のボードを再び生み出す)
スオウ「ちょ、ちょっとまて小鳥遊ホシノ。何をするつもりだ?」
ホシノペンギン「何って、見ての通りこれでマコトの所まで突っ込むつもりだけど?さっきも言ったじゃん、『こっちの方が速く走れる』って」
スオウ「なっ――」
ホシノペンギン「ハイランダーのみんなのおかげで大体の居場所は分かってるし。後は辿り着くまでが悩みどころだったけど、これなら思ってたより速く行けそうだねぇ」
スオウ「ま、まて!私は賛同するとは一言も」
ホシノペンギン「まあまあ。これも言ったでしょ?『こういうのはぶっつけ本番だ』って」
ホシノペンギン「と。いうわけで」
(まだ何か言おうとしていたスオウを押さえつつ、ホシノペンギンはボードに乗る)
(次の瞬間、足元を蹴飛ばすと――二人を乗せたスノーボードは、勢いよく下り始めた!)
スオウ「う、うおわぁあああっ!?」
ホシノペンギン「ひゃっほーう!きっもちいいー!たまにはこういうのも悪くないね、眼帯ちゃん!」
スオウ「あああ、後で覚えていろ貴様ァアアアア!!」
(絶叫と悲鳴。相反する二つの声と共に、スノーランドを駆け抜けていく)
(その先には、氷と雪で造られた巨城が建っていた…)
- 51二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:52:13
(一方その頃。氷雪城内部では)
マコト「キキキッ……やはりやってくるか、勇者ホシノ(ホシノカービィ)」
(氷の玉座に座り、マコトは目の前の映像からホシノ達の動きを傍観する)
(その瞳は怪しく輝き、正気を失っている事が容易に見て取れた)
マコト「見知らぬ顔もいるようだが、なあに問題はない」
マコト「この『フロストマコトキャッスル』に乗り込んだが最後、こいつらの命運は尽きたも同然」
マコト「討伐の暁には、アミーボ・アモーレ様に捧げ盛大に勝利を祝うとしよう…!」
マコト「キキキッ――キーッキキキッ!」
(玉座の上で高笑いし、今か今かと待ち受けるマコト)
(はたしてホシノ達は今のマコトを止める事ができるのか…!?)
マコト「キキキ――――は、は、は、ハックション!!」
マコト「ブルル…それにしても、寒すぎるだろうこの城は!」
マコト「ええい、格好つけてこんな場所を拠点にするのではなかった…!」
マコト「イロハァ!サツキィ!チアキィ!イブキィ!誰かいないのか!?」
マコト「というか――何故、これだけ大きな城に私一人だけなんだァ!!?」
(…案外、どうとでもなるかもしれない)チャンチャン♪
- 52二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:54:24
- 53二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 01:11:51
- 54二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 02:18:25
- 55二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 10:26:40
保守!
- 56二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 18:14:55
夕方保守ー
- 57二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:07:32
>>51の続き
(雪山を爆走し、その勢いのまま氷雪城に突入したホシノとスオウ)
(二人の快進撃は留まるところを知らず、とうとう最奥部たる玉座の間に辿り着いた!)
マコト「キキキッ……とうとう来たか、勇者ホシノ(ホシノカービィ)にお供のハイランダー……」
スオウ「誰がお供だ、誰が」
ホシノ「眼帯ちゃん。今はそこ気にしなくてよくない?」
マコト「だが、貴様らの進軍もここまでだと思え……何故なら!このマコト様がいる限り、貴様らに希望などありはしないのだからなぁ!キキキッ!」
(氷の玉座から見下し、余裕綽々といった風に嘲笑するマコト)
(それに対し、ホシノとスオウの反応は――)
スオウ「言ってくれるな羽沼マコト。万魔殿の議長といえど、そうまで好き放題言われてはこちらも」
ホシノ「よし。じゃ、さっさとやろっか(ジャキッ)」
マコト「は?」
スオウ「黙っていられ(ズドォン!)――おいコラまて!何をやっている小鳥遊ホシノ!?」
(スオウの台詞を無視し、躊躇なく玉座のマコト目掛け発砲するホシノ)
(まさかいきなり攻撃されるとは思っていなかったのか、マコトはもろに散弾を喰らいあっけなく沈黙した)
ホシノ「何って、見ての通り瞬殺だけど?こっちはあの双子ちゃん達に用があるんだから、マコトなんかに構ってらんないよ」
スオウ「だ、だからといっていきなりこれは……。というか、対応手慣れ過ぎてやいないか?」
ホシノ「まあ初めてじゃないからね。ええと、これで何度目だっけ……確か、お空の上で操られたのと、リボンちゃんが助けを求めに来た時と、それから――」
スオウ「ええ…?」
- 58二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:08:03
(淡々と、興味なさげにマコトとの戦歴を語っていくホシノ)
(その姿にスオウがドン引きする中、玉座のマコトがゆらりと立ち上がると)
マコト「キキ、キ――ウガァアアアア!!」
スオウ「っ!?」
ホシノ「眼帯ちゃん、下がって!」
(咆哮と共に、マコトがハンマーを取り出す)
(同時に天井高く跳躍し――ホシノ達目掛け、勢いよく叩きつけてきた!)
(間一髪、回避には成功するも氷の床が砕け散る程の衝撃が周囲を襲う――)
スオウ「くっ――!なんという破壊力だ……!」
ホシノ「あれでも一応ゲヘナのトップを張ってる身だからね。こりゃ怒らせちゃったかな?」
マコト「コロス……タカナシ、ホシノォ……!」
(攻撃された怒り故か、それとも元から正気を失っていたのがより強く表れたか)
(いずれにせよマコトの瞳は確かにホシノ達を捉えており、見逃す様子など欠片も見えない)
ホシノ「最も。見逃してもらおうだなんて、こっちは欠片も考えてないけどね!」
マコト「!」
(マコトに愛銃を向け、再度ホシノは銃弾を叩き込む)
(だが。その射撃は、氷の床を滑るという回避運動の前にことごとく空を切った)
ホシノ「嘘っ!?」
マコト「キキキ――スキダラケ、ダッ!」
- 59二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:08:21
(予想外の動きに、ホシノはマコトの肉薄を許してしまう)
(瞬く間に懐へ入り込まれ、痛烈な蹴りがホシノの身体に突き刺さった!)
(そのまま氷の壁に叩きつけられ、編みぐるみの全身を激痛と衝撃が貫く)
ホシノ「あぐっ!」
スオウ「小鳥遊ホシノ!おのれ――!」
(それを見たスオウが、反射的にマコトへ銃口を向ける)
(が、一歩遅く――いつの間にかハンマーから持ち替えていたスナイパーライフル『唯我独尊』の射撃が容赦なくスオウに突き刺さった)
スオウ「ぐうっ!?」
ホシノ「眼帯ちゃん!」
マコト「キキキッ――コノテイドカ?フガイナイヤツラメ……」
(マコトの嘲笑に、ホシノとスオウは今度こそ歯噛みした)
(どうせマコトだろうと油断していた分もあったが。今のマコトはあまりにもこの場所での戦いに精通しすぎている)
ホシノ「それ、でも……引き下がるわけには、いかない、よね……!」
スオウ「――同感、だ。この程度で終わりだと思ってもらっては、あまりにも舐められ過ぎている……!」
(――とはいえ。ホシノとスオウもこの程度で怯むような生徒ではない)
(痛みを堪えながら立ち上がり、目の前のマコトを鋭く観察する)
ホシノ(何か。何か、あいつの弱点になりそうなものは――)
ホシノ(……?)
(ふと、マコトの身体から妙な違和感を見て取るホシノ)
(だがその正体に気づくよりも早く、マコトが動き出した)
- 60二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:08:40
マコト「ドウシタ?コナイノナラバ、コチラカライクゾ!」
(マコトが再びハンマーに持ち替え、天井まで届く勢いのまま跳躍する)
(また叩きつけ攻撃かと二人が身構えた直後、マコトは信じられない挙動に出た!)
(空中でハンマーごと回転しながら二人目掛け吶喊、そのまま何度もバウンドを繰り返し室内を蹂躙する!)
ホシノ「う、うわわわ!」
スオウ「避けろ、小鳥遊ホシノ!」
ホシノ「そ、そんな事言われても!?この床、滑りやすくて――!」
(さながら巨大なスーパーボールめいて跳ね回るマコト)
(あまりの猛攻ぶりを前に、さすがのホシノも反撃どころではなく必死で逃げ惑う)
マコト「キキキッ!キキキ――――」
(だが、永遠に続く攻撃など存在し得ない)
(最初こそ勢いよく跳ね回っていたマコトだが、徐々にそのスピードは衰え始め……やがて、とうとう動けなくなる)
(止まった先には、完全に目を回したマコトの姿があった)
(そして。その瞬間を見逃さず――ホシノが先程抱いた違和感の正体に気づく!)
ホシノ(!あれは――)
ホシノ「眼帯ちゃん!あいつの頭上、撃って!」
スオウ「っ!了解、だ!」
(ホシノとスオウ、二人がほぼ同時に愛銃の引き金を絞る)
(ただし狙いはマコトではなく――その頭上、天井から伸びていた『あるモノ』に)
- 61二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:08:59
マコト「ギッ――アァアアああああっ!?」
(天井から伸びていた『あるモノ』――マコトを操っていた、毛糸が断ち切られる)
(直後、マコトから絶叫が上がり……そのまま、ばたりと床に倒れ伏した)
スオウ「や、やった……のか?」
ホシノ「眼帯ちゃん、それ言っちゃダメなやつだよ。――でも、どうやら決まったみたいだね」
(倒れたマコトの傍に、ホシノ達は慎重に近づく)
(得物であるハンマーとスナイパーライフルを取り上げ、完全に気絶している事を確認して。ようやく、二人はほっと一息ついた)
ホシノ「いや~、まさかこんなに手こずらされるとは思わなかったねぇ」
スオウ「お前がいきなり銃をぶっ放さなければ、もう少しマシな事になっていたとは思うがな」
ホシノ「悪かったよ~。だって、どうせまた誰かに利用されてるんだろうと思ってたから。軽くボコせば正気に戻るかなって」
スオウ「昔の家電じゃあるまいに……。それで?こいつはどうする?」
(倒れたマコトを指差し、スオウはホシノに問いかける)
(ホシノもまた一瞬だけ考えるが、元より答えは一つだった)
ホシノ「う~ん。ここに置いとくのも何だし、何があったのかも聞かなきゃだから。連れてかえろっか」
スオウ「ハイランダーに、か?」
ホシノ「現状、そこしか拠点の当てがないからねぇ」
スオウ「……了解した。あいつらにどう説明したものか」
ホシノ「そこら辺は眼帯ちゃんに上手い事任せるよ~」
スオウ「気楽に言ってくれるな、全く」
- 62二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:09:17
(倒れたマコトをホシノとスオウで持ち上げ、氷雪城の出口を目指す)
(お世辞にも丁重とは程遠い運び方だったが、幸いにも運ばれてる対象が目を覚ます気配はなかった)
スオウ「ところで小鳥遊ホシノ。外に出るまではこうやって運ぶとして、そこから先はどうやって帰るつもりだ?」
ホシノ「うへ?そんなの、またあのボードを駆使して一気に下るつもりだけど?」
スオウ「――まて、ちょっとまて。私だけならともかく――いや私もご免だが――こいつを連れた状態でここから麓まで下る気か!?」
ホシノ「え~?でもそっちの方が手っ取り早いじゃん」
スオウ「バカ、考え直せ!積載量の問題を考えろ!私だけならまだしも、こいつまで加わったら今度こそ――」
ホシノ「まあまあ。そんな難しく考えなくても何とかなるって」
スオウ「なるかぁ!!」
(結局。スオウの抵抗も虚しく、例のスノーボードで下る事となったホシノ達)
(山を下りる間、ひたすらスオウの絶叫とホシノの歓声が響き渡っていたという……)
(ちなみにマコトは途中で目を覚ましていたようだが、自分が置かれている状況を認識すると即座にまた気絶した)
- 63二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:10:11
- 64二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 00:25:34
- 65二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 07:53:56
あさほしゅ
- 66二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 11:26:27
- 67二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:08:27
>>62の続き
(さて。ホシノとスオウがマコトを撃破し、洗脳を解いたのと同じ頃)
(ゲヘナ自治区上空では、空中戦艦でパトロール中だったヒナが地上の異変に気付いていた)
ヒナ「ゲヘナの様子がおかしい……」
ヒナ「普段あれだけ暴れ回ってる不良たちの姿が見えないどころか、街を歩く住民の姿まで見当たらないなんて」
アコ『ヒナ委員長!先程から万魔殿との連絡が取れません!それどころか、地上で活動してる筈のイオリやチナツとも連絡が取れず……!』
ヒナ「――やっぱり、何かが起きてる」
ヒナ「アコ、地上への降下準備を。部隊を編成し、一旦風紀委員会本部に帰投する。イオリ達との合流はそれから」
???『パヒャヒャヒャッ!そうはさせないよ、風紀委員長ちゃ~ん!』
ヒナ「っ!?」
(アコに指示を出し、地上へ戻ろうとしたヒナ)
(だが全ては遅すぎた。邪悪な笑い声と共に、ヒナの頭上からヒカリとノゾミが襲い掛かる!)
(咄嗟にその場から跳躍し、逃れようとするヒナだったが)
ノゾミ・アミーボ『ざ~んねん!そんなんじゃ私らからは逃げられないでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『靴下はつどー。毛糸の世界へご招待でアモーレ』
ヒナ「なっ――うああああっ!?」
(抵抗する間もなく、靴下の中へ吸い込まれてしまうヒナ)
(その様子を見届けると双子は、互いににんまりと笑い空中戦艦から飛び去っていく)
(艦橋からは置き去りにされたアコからの通信が虚しく響いていた)
アコ『委員長!?どうなさいました、ヒナ委員長!?』
ノゾミ・アミーボ『こ・れ・で。めぼしい邪魔者はみ~んないなくなったでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『あの戦艦はどうするー?で、アモーレ』
ノゾミ・アミーボ『んー……後回しでいいっしょ。今乗っ取る事もできるけど、変に抵抗されたら面倒でアミーボ』
- 68二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:08:57
ヒカリ・アモーレ『らじゃー。それじゃ、一旦地上に戻るでアモーレ』
ノゾミ・アミーボ『オッケーオッケー。……クックック、全ては順調。このままいけば、キヴォトス全土を手中に収めるのも遠くないねぇ!』
(高笑いしながら、ゲヘナ上空を飛び回るヒカリとノゾミ)
(最早彼女たちを止める術は、存在しないのだろうか……?)
(一方、所変わってこちらはハイランダー校舎の保健室)
(そこでは、気絶したまま運び込まれたマコトを前にホシノとスオウが目を覚ますのを今か今かと待ちわびていた)
マコト「――――」
ホシノ「全然起きないねえ、マコト」
スオウ「……そうだな」
ホシノ「まったく。何があったのか、何でこっちに来てたのか。聞きたい事は山積みだっていうのにさ」
スオウ「そうだな」
ホシノ「そりゃおじさんもいきなり散弾ぶち込んだのは悪かったけどさぁ。けどその後は普通に反撃してきたじゃん?いい加減起きてくれてもいいと思うんだけどな~」
スオウ「そうだな」
ホシノ「……」
(先程から生返事ばかりのスオウに、ホシノが視線を向ける)
(見ればそこには、備え付けの机に突っ伏したまま椅子に座るスオウの姿があった)
(やる気がない、というより気力そのものがないといった様子である)
- 69二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:09:26
ホシノ「……眼帯ちゃん。もしかして、なんだけどさ」
スオウ「なんだ。小鳥遊ホシノ」
ホシノ「ひょっとして――――まだ、氷の城でのダメージが残ってる?」
スオウ「(ビキッ)」
ホシノ「ダメだよ、無理したら。おじさんはもうだいぶ平気だけど、眼帯ちゃんはおじさん程頑丈じゃなさそうだしさ。何だったら、マコトの隣の空いてるベッドで休んでた方が」
スオウ「――誰のせいだと思ってる!このクレイジースノーボーダー!!」
(ホシノの心配に対し、スオウがたまりかねたかのように激昂する)
ホシノ「く、クレイジー……って。ひょっとして、あの帰り道の事?」
スオウ「ひょっとしなくてもそうだ!あれだけ止めたのに、あんな無茶な真似をよくも、よくも――!」
(スオウの脳裏に、つい先程までの忌まわしい記憶が蘇る)
(超高速で過ぎ去っていく斜面と、すぐ隣を掠める道中の木々や岩石)
(年相応にはしゃぎまわり、高度なアクロバットまで決めるホシノ)
(そのホシノに必死でしがみつき、振り落とされまいとするスオウ)
(南洋風世界での気遣いは何だったのか。こんな奴に縋るんじゃなかった。頼むからもうやめてくれ――)
(そんな風に喚き散らしたスオウの声もまるで届かず、結局雪山を下りるまでホシノの爆走劇は丸々続いた……)
ホシノ「お、大げさだなぁ。ちょ~っとばかし、最短距離を突っ切って山を下っただけじゃん?」
スオウ「そのショートカットで死にかけたんだよ、私は!?」
ホシノ「う、うへ……ご、ごめんね?」
スオウ「……はぁ。もういい。お前が話に聞いていた以上の無鉄砲だという事は改めて、そして嫌になる程よく理解した」
スオウ「だから。――次からは、頼むからあんな無茶な真似は本当に控えてくれ。心からの頼みだ」
ホシノ「う、うん。努力するよ(一応)」
スオウ「今聞き捨てならない小声が挟まったような気がするんだが?」
ホシノ「た、多分気のせいだよ~」
マコト「う、む……?」
- 70二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:09:47
(と、タイミングが良いのか悪いのか。ずっと眠っていたマコトが目を覚ました)
マコト「ここは……?私は、いったい……?」
ホシノ「あ。ほ、ほら眼帯ちゃん!マコトが起きたよ!?」
スオウ「あからさまに話をそらそうとするな……。いやまあ、目覚めた事自体は喜ばしい事ではあるがな」
マコト「お、お前は小鳥遊ホシノ!?な、何故お前がゲヘナに……ま、また我々に喧嘩を売りに来たわけじゃあるまいな!?」
マコト「言っておくが!今の我々は貴様に目をつけられるような事は何もしていないぞ!きらきら星の独占も、スターロッドの分割も、貴様のおやつのケーキ強奪もイブキに捧げる為のプリン集めもだ!いやケーキ強奪に関しては明白に冤罪だが!!」
スオウ「……すまない、小鳥遊ホシノ。こいつはいったい何を言ってるんだ?」
ホシノ「う、うへ~。眼帯ちゃんは知らなくてもいい話だよ~」
ホシノ「そんな事よりマコト、一旦落ち着いて?ここはゲヘナじゃないし、そもそもキヴォトスですらないよ?」
マコト「何ィ?」
(ホシノに促され、マコトは自分が今いる場所をきょろきょろと見回す)
マコト「……確かに。言われてみれば、ゲヘナの救急医学部の病棟ではない?」
マコト「というか――そもそもここはどこだ?私は確か、万魔殿本部でサボ、もとい事務仕事に励んでいた筈……」
マコト「いやまて。そういえばあの時――!」
(そこまで考えた時、マコトはようやく思い出した)
(万魔殿本部、その執務室で起きた出来事。自分に降りかかった災難の記憶を)
マコト「お、思い出したぞ!私はアミボウなんたらとか名乗る奴らに捕まって、靴下の中に吸い込まれたんだ!」
ホシノ「!やっぱり……!」
スオウ「お前も例の双子の被害者だったという訳か。予想はしていたが、改めて頭が痛くなってくるな」
マコト「おのれ!こうしてはいられん!」
- 71二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:10:36
(ベッドから跳ね起き、飛び出そうとするマコト)
(それを慌てて制止するべく、ホシノはマコトに掴みかかる)
ホシノ「ちょ、ちょっとマコト落ち着いて!どこへ行く気!?」
マコト「ええい、止めるな!この万魔殿議長にしてゲヘナのトップたるマコト様にあのような無礼千万、断じて許せん!何としても捕まえて、私直々に手を下してくれる!」
スオウ「落ち着け、議長殿。猛り狂うのは当然だが、捕まえるにしても当てがないだろう?」
マコト「何ィ!?――いやまて、貴様誰だ?先程からしれっと小鳥遊ホシノの隣にいたが、アビドスの新入りか何かか?」
(今更ながらにマコトがスオウの事を問いただす)
(スオウは溜息を一つ吐くと――)
スオウ「……その辺りの事情も含めて。そちらには説明しなければならない事が山ほどある。どうか今一度、落ち着いて私たちの話を聞いて頂けないだろうか。議長殿?」
(そうして、スオウは順繰りに説明していった)
(ハイランダーで起こった全ての始まり、その結果もたらされた数々の事態。巻き込まれたホシノと、スオウとの出会い。さらに今に至るまでの双子捜索等々…)
(反応はてき面であり、度々話の途中で激昂したり仰天していたが。どうにかスオウは誠に全ての事情を説明し終える事ができた)
マコト「ま、まさかそのような大事になっていたとは……」
スオウ「そういえば気になっていたのだが。ハイランダー消失について、ゲヘナでは何の情報も入っていなかったのか?そちらには優秀な情報部が存在していると聞いていたが」
マコト「無論、受け取ってはいたとも。ただ、あまりにも内容が荒唐無稽すぎたから一旦確認を取らせていただけだ!(本当はヒナにでも押し付けようと思っていたのだがな)」
スオウ「なるほど。極めて妥当な判断だな」
ホシノ「……(多分、いやきっとろくでもない事考えてたんだろうけど黙っておこう)」
マコト「で?そういう貴様らの方はどうだったんだ?」
スオウ「どう、とは?」
マコト「決まっている!例の双子――アミボー・タモ売りとやらの居場所は突き止められたのかという事だ!」
ホシノ「それを言うなら、アミーボ・アモーレでしょマコト」
マコト「やかましい!それでどうなんだ、見つかったのか!?」
- 72二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:11:06
(マコトの詰問に、ホシノとスオウは顔を見合わせる)
(だが隠していても始まらず、スオウは素直に打ち明けた)
スオウ「……すまない。こちらとしても手は尽くしたのだが、現在に至るまで双子の行方は分かっていない」
マコト「何ィ!ええい、なんて頼りない!我らがゲヘナ情報部であれば、一日もあれば即座に突き止めている所だぞ!」
ホシノ「あー、マコトの話は半分程度に聞き流しとけばいいよ。……それよりもっと重大な情報も得られた事だしね」
スオウ「重大な情報、だと?」
ホシノ「眼帯ちゃんも聞いてたでしょ、『マコトはゲヘナの万魔殿本部で双子ちゃんに襲われた』って」
ホシノ「つまり――この世界には、そもそもあの子達がいなかったって事だよ」
スオウ「!」
(これまでホシノ達は、例の双子――ヒカリとノゾミがこの世界に潜伏しているかもしれないという可能性に賭けて捜索していた)
(だがマコトの話通りであるならば。そもそも双子はこの毛糸世界に存在すらしていない)
(それはすなわち、元凶を倒す事もできないという事であり――)
スオウ「だ、だが!それでは私たちは、ハイランダーはどうなる!?あの双子をどうにかしなければ、この異世界から脱出する術も当てもないんだぞ!」
ホシノ「そう、なんだよね。正直、今の状況は最悪に近いと言っていいかもしれない」
ホシノ「私たちがここに飛ばされてきたのは、あの子達の力によるもの。でも当のあの子達はキヴォトスに残ったまま」
ホシノ「あの子達が、自らこっちに入ってくるような真似でもしなければ私たちにはどうしようもない……」
- 73二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:11:24
(ホシノの顔が曇っていく)
(出揃った情報を並べ、明らかになったのは希望ではなく絶望に近い現状)
(主導権はほぼ元凶側に握られているも同然で、ホシノ達からはこれ以上どうしようもない)
(せめて、先生がいてくれれば何かしらの突破口も開けたかもしれないが――ここにいない以上考えるだけ時間の無駄だった)
マコト「ええい、何たる不甲斐ない……!ならば、このままあいつらに好き放題させたままでいろというのか!?」
スオウ「――そう、なるな」
ホシノ「おじさん達も……私たちも、できるだけの事はやった。けど、これ以上他に方法なんて……」
(無論、ホシノ達とてこのまま黙っていたいわけがない)
(スオウ達ハイランダー生からすればこの事態は他ならぬ自分たちの学園で起きた事件であり。ならばそのけじめは何としてでもつけねばならない)
(ホシノにしても大事なアビドスが窮地に晒されていると知った今、なりふり構っている余裕はなく。正直、ギリギリのところで理性と本能が綱渡りをしているのが実情だった)
(けれど、どれだけ思い詰めても打つ手がない)
(いよいよ俯きかけたその時――)
マコト「ぐぬぬ……!ええい、あの双子め!靴下め!どうせなら、もう一足どこかになりと転がっていればいいものを――!」
ホシノ「……まって。マコト、今何て言った?」
マコト「もう一足、どこかに転がっていればいいと言ったんだ!靴下なんてものは対で存在していて当然だろう!」
ホシノ「それだ」
マコト「何ィ?」
スオウ「……?何を言っている、小鳥遊ホシノ?」
ホシノ「対だよ。もう片方の靴下がどこかにあるかもしれない!」
- 74二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:11:47
(俯いていたホシノが顔を上げる)
(その顔は先程までとは一転し、希望に満ちていた)
ホシノ「なんで気づかなかったんだろ――ヒントはいくらでも転がってたって言うのにさ!」
マコト「お、おい。小鳥遊ホシノの奴は何を言ってるんだ?」
スオウ「いや、私に言われてもな……。どういう事だ、説明しろ小鳥遊ホシノ」
ホシノ「だから!元々、あの双子ちゃんがおかしくなったのはこの学校に眠ってた厄ネタのせいなんでしょ?」
ホシノ「だとすれば、あの双子ちゃんが使ってた魔法の靴下もここに眠ってたものかもしれない。そして靴下は二足で一つ」
ホシノ「つまり――この学校に、もう一足あるかもしれないって事だよ!元の世界に戻れる、魔法の靴下が!」
スオウ&マコト「「!!」」
ホシノ「眼帯ちゃん、生徒全員に呼びかけて!双子ちゃんが担当してたっていう、例の倉庫を徹底的に探し直してって!」
スオウ「了解した!今すぐ校内放送で呼びかける!」
マコト「キキキッ!私も協力してやる!あのにっくき双子への意趣返しだ、嫌とは言わせん――」
??「その探し物とやらだけど。もしかして、これの事かしら?」
(保健室内に突風が吹きすさぶ)
(突如響いた、第四の声)
(保健室の窓から響いた声に振り向くと――いつからいたのか。そこにはヒナが立っていた)
- 75二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:12:27
ホシノ「ヒナ、ちゃん……?」
スオウ「ゲヘナの、風紀委員長だと?何故ここに――」
ヒナ「私の事より。今は『これ』の方が重要ではなくて?」
(驚愕するホシノ達を他所に、ヒナが右手に持っていたモノを見せつける)
(それは、光り輝く靴下だった)
スオウ「あれは、まさか!?」
ホシノ「間違いない、双子ちゃん達が持ってた靴下と同じやつだよ!」
マコト「何ィ!?――キキキッ、やるじゃないかヒナァ!お前もたまには気の利く真似をするものだ!」
マコト「何故、そしていつの間にここへ来ていたのかは知らんが。さあ、その靴下をこっちに――」
(マコトがベッドから立ち上がり、ヒナに近寄る)
(その手が靴下に伸ばされた直後――マコトの身体が、部屋の端まで吹っ飛ばされた)
マコト「ぐっ、がっ!?」
スオウ「なっ――」
ホシノ「っ!眼帯ちゃん、伏せて!」
- 76二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:13:15
- 77二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:14:51
- 78二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 01:18:55
- 79二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 01:33:18
お疲れ様です!
ヒナきたぁぁぁ!!一気に油断できない雰囲気に!
…いやアミボー・タモ売り!思わず笑っちゃったよ!
あ、ヒナ戦のBGMおいときますね。
【Kirby's Epic Yarn】毛糸のカービィ BGM メタナイト
余談ですが、今書いてくださっている毛糸編が終わったら、ディスカバ編を書きたいと思っているのですが、よろしいでしょうかね?
ちなみに時系列はスタアラ編の後になります。
- 80二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 09:34:14
あさほしゅ
- 81二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 10:25:00
- 82二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 12:29:03
- 83二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 12:30:37
このレスは削除されています
- 84二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 12:31:35
>>82(画像貼り忘れたので再投稿)
そしてもう一つ。個人的にはこちらの方が主題かつ本命となります
対策委員会編三章を読み終えて、ふと思いついたSSネタ。その詳細については毛糸編完結後に公開予定
今しばらくお待ちくださいませー
・夢見鳥
キヴォトスに伝わる一つの都市伝説。
その鳥/蝶は、平時は決して姿を現す事はないという。
何処から来て、何処へ消えるのか。そもそも本当に蝶なのか、正体は誰も知らない。
ただ、一つの記録として――それは『ある条件』を満たした時、現世に顕現するという。
強き生徒の断末魔。未練であれ、絶望であれ、あるいはさらなる闘争を望む渇望であれ――それらを感知した時、その夢見鳥はどこからともなく降臨する。
そして。夢見鳥が現れたならば、覚悟しなければならない。
何故なら。夢見鳥が顕現するという事は、この世で最も恐ろしい戦士が生まれる前触れでもあるのだから……
- 85二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 20:18:48
ついにこのスレにもアイツが……
- 86二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:21:29
>>76の続き
(ハイランダー学園敷地の一角)
(先の怪物たちによる襲撃を受け、敷地内では復旧と再襲撃に備えての防御陣地構築作業が急ピッチで進められていた)
ハイランダー生徒A「おーい、こっちにもっとセメント頼む!防壁修理分が全然足りないんだ!」
ハイランダー生徒B「瓦礫を撤去する時は図面をよく確認しろ!最悪、弾薬類や爆薬が埋もれてる可能性もあるからな!」
ハイランダー生徒C「固定銃座用の機銃持ってきましたけど、どこに持ってけばいいですかー!?」
(ハイランダーの生徒たちが忙しなく走り回り、瓦礫撤去や外壁修復に勤しむ)
(自分たちの居場所と命を守る為、いつまた襲ってくるかもしれない怪物を恐れて等々。行動の理由は個々人ごとにバラバラだったが、概ね行動はほぼ一致していた)
ハイランダー監督官A「この様子なら日暮れまでには何とかなりそうですね」
ハイランダー監督官B「ああ。だが如何せん人手が足りない。陣地を構築できたとしても、はたして十全に運用できるかどうか」
ハイランダー監督官A「先日の襲撃で、だいぶ負傷者を出してしまいましたから……」
(つい先日、学園を襲った怪物たちの事を思い出し監督官たちが眉を顰める)
(あの時は協力者たるアビドス生のおかげでどうにか乗り切れたが、次同じような襲撃が起きた場合防ぎきれるのか)
ハイランダー監督官B「……いや。弱気になってばかりもいられまい。私たちもハイランダーの一員なんだ、よそ者ばかりに頼りきりでは学園の名が廃るというものだろう」
ハイランダー監督官A「そうですね。確かに、落ち込んでる場合じゃありませんでした」
ハイランダー監督官B「ひとまず、スオウ監督官に今後の事を相談し――」
- 87二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:21:47
(監督官たちの意見がまとまりかけた、まさにその時)
(今度は遠く離れた、救護病棟の方から爆発音が轟いた)
ハイランダー監督官A「っ!?ま、また爆発!?」
ハイランダー監督官B「噂をすれば、か!?――総員作業中止、至急戦闘態勢に移行せよ!」
ハイランダー生徒D「か、監督官!大変です!」
(監督官たちが即座に指示を出す中、慌てた顔で別のハイランダー生徒が駆けつける)
ハイランダー監督官B「報告しろ、何が起きた!」
ハイランダー生徒D「て、敵襲です!救護病棟の方で、アビドスの生徒さんとスオウ監督官が交戦しています!」
ハイランダー監督官B「やはりか!それで、敵は何体だ!?今どの辺りまで浸透されている!?」
ハイランダー生徒D「そ、それが――」
ハイランダー監督官B「?どうした、早く報告しろ!」
(監督官の詰問に対し、ハイランダー生徒は困惑したように言葉を詰まらせる)
(だが監督官に促されると、半ば叫ぶように報告した)
ハイランダー生徒D「ひ、一人です」
ハイランダー監督官B「……な、に?」
ハイランダー生徒D「ですから、敵は一人です!コウモリのような翼と、巨大なヘイローを浮かべた生徒がたった一人でアビドスの生徒さんとスオウ監督官とやり合ってます!!」
- 88二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:22:10
(一方、所変わって救護病棟付近)
(そこでは今まさに、ホシノとスオウ、そしてヒナの三人による死闘が繰り広げられていた!)
ホシノ「くっ――!」
ヒナ「逃がさない」
(『終幕:デストロイヤー』による猛射をかいくぐり、かろうじて被弾を避けるホシノ)
(幸い敷地内という事もあり遮蔽物には事欠かなかったが、それでも機関銃の弾幕は生中な瓦礫をものともせず粉砕してきた)
スオウ「調子に乗るな、ゲヘナ風紀委員長……!」
(ホシノに射線が集中している隙を突き、スオウが真逆の方向から援護する)
(遮蔽物を盾にしている二人に対し、ヒナは剝き出しの生身)
(まともに当てられればこちらにも分がある、そう考えての援護射撃だったが)
ヒナ「……この程度?」
スオウ「なっ――」
(距離があったとはいえ、散弾の直撃)
(多少なり痛撃になったと思われたそれらを、しかしヒナは微動だにせず受け流す)
(さらに、お返しとばかりにホシノに向けていた銃口をスオウに向け――嵐の如き反撃を叩き込んだ)
スオウ「――っ!」
ホシノ「眼帯ちゃん!」
ヒナ「そこで寝転がってなさい。次はあなたの番よ、小鳥遊ホシノ」
(瓦礫ごと貫かれ、スオウが完全に沈黙する)
(無力化したと判断するや否や、再びヒナはホシノに銃口を向けた)
- 89二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:22:31
ホシノ(やっぱり、風紀委員長ちゃんは強い……!)
ホシノ(どうする……!どうやって、あの子を無力化すればいい!?)
(迂闊に近づいたり、射撃を試みれば即座に弾幕)
(弾切れを期待しようにも、正確な射撃と銃弾の貫通力がそんな希望を許さない)
(さらに間の悪い事に氷雪城から帰還して間もなかったホシノは補給を済ませる前で、まともに持ち出せたのはこの愛銃一丁のみ)
(頼みの綱のスオウも先程の斉射でダウンしてしまい――つまるところ、ホシノは追い詰められつつあった)
ホシノ(多分、風紀委員長ちゃんもマコトと同じように操られているだけの筈。だったら、せめて毛糸さえ断ち切れれば――)
ヒナ「悪いけど。かくれんぼに付き合ってあげる程、暇じゃないの」
ホシノ「っ!」
(再びヒナが猛射を再開し、ホシノが隠れていた瓦礫を中心に撃ち抜いていく)
(慌てて飛び出し、別の遮蔽物へ逃げ込むも、安全圏は明らかに削られつつあった)
ホシノ「あーもう!その火力ズルくない!?弾幕張れて遮蔽物まで貫通してくるとかインチキだよ~!」
ヒナ「そう思うのなら、あなたも撃ち返してくればいい。その手に握られた銃は玩具じゃないのでしょう?」
ホシノ「ぐぬぬ……!好き放題言って……!」
(せめて盾さえあれば、と思うものの。肝心の盾を失くしてしまった現状ではそれも叶わない)
(恐らくは例の双子に吸い込まれた際、向こう側に落としてきてしまったのだろうが――)
- 90二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:22:48
ヒナ「そろそろ終わりにしましょう、小鳥遊ホシノ」
ヒナ「遊びはここまで。安心して、苦しまないよう一撃で終わらせるから――」
ハイランダー監督官A「今だ、撃てえ!」
(ヒナが本気で潰しにかかろうとした次の瞬間、怒号と共にヒナに銃弾の雨が降り注ぐ)
(さらに、間髪入れず迫撃砲による一斉砲火もたたき込まれ――ヒナの周囲は爆炎に覆われた!)
ホシノ「う、うへ?な、何事?」
ハイランダー監督官B「ご無事ですか、ホシノさん!」
(混乱するホシノの傍に、スオウとは別の監督官が声をかける)
(先程の襲撃報告を受け、急遽部隊をまとめて駆けつけてきた生徒たちだった)
ホシノ「君たちは――」
ハイランダー監督官B「到着が遅れ、申し訳ありません。これより我々も援護に入ります!」
ハイランダー生徒D「スオウ監督官の保護および退避完了!気絶していますが、命に係わる怪我等はありません!」
ハイランダー監督官B「よし!そのまま他の奴ら同様援護に移れ!」
ハイランダー生徒D「了解!」
(ハイランダー生徒たちも援護に加わり、ヒナ目掛け集中攻撃が始まる)
(銃撃、砲撃、そして爆撃。ハイランダー側の持てる火力が一点に投入され、辺りを壊滅させる勢いで叩き込まれる)
(だが、それでも――)
- 91二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:23:07
ヒナ「邪魔よ」
(爆炎の中、ヒナが全方位に掃射する)
(レーザーもかくやとばかりの猛射を前に、攻撃に移っていたハイランダー生徒たちはまとめて吹き飛ばされた!)
ハイランダー生徒一同『きゃああああっ!!』
ハイランダー監督官A「ば、バカな……あれだけの火力を浴びせて、まだ動けるだと!?」
ハイランダー監督官B「ええい、ゲヘナの風紀委員長は化け物か!」
ヒナ「言ってくれるわね。まあ、その手の言葉はゲヘナで聞き飽きたくらいだけれど」
ハイランダー監督官B「くっ!怯むな、反撃しろ!ホシノさん、今の内に態勢を――ホシノ、さん?」
(圧倒的な火力を前に、くじけそうになるハイランダーの生徒たち)
(それでも心を奮い立たせ、どうにか反撃しようとするも……そこで、ふと気づいた)
(いつの間にか、すぐ傍にいた筈のホシノの姿が消えていた事に)
(どこに?それは勿論、言うまでもなく――)
ホシノ「とったよ、風紀委員長ちゃん」
ヒナ「!?」
(集中攻撃と、その後の反撃である一斉掃射)
(二つの大きな空白を突き、ホシノはヒナのすぐ傍まで接近していた)
(そして、その手が伸びる先はヒナの身体――ではなく)
ヒナ「っ!私の、銃に――!?」
ホシノ「さっきからずっと気になってたんだよねぇ……風紀委員長ちゃんの銃に巻き付いてる、この邪魔そうな毛糸がさ!」
- 92二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:23:38
(ヒナが現れた時、そして戦闘に移った時。彼女はいずれも屋外にいた)
(氷雪城で戦ったマコトとは異なり、彼女の頭上からは毛糸など伸びていない)
(では、彼女を操っている毛糸はどこに?その答えが、これだった)
ヒナ「やめっ」
ホシノ「いいや、無理だね。引きちぎらせてもらうよ、この毛糸――!」
(ホシノの手が、デストロイヤーに絡んでいた毛糸を掴む)
(そのまま渾身の力を込めて引っ張ると、いとも容易く毛糸はバラバラに解けた)
ヒナ「う――あぁああああっ!!?」
(同時に、ヒナが絶叫しその場へと倒れ込む)
(慌ててホシノが駆け寄り確認したが、どうやらマコトと同じく気絶しただけらしい)
(大人しく横たわるヒナの顔には、先程までの暴れようからは想像できない程の穏やかさに満ちていた)
ホシノ「や、やった……どうにか、勝てたよ……」
ハイランダー監督官A「大丈夫ですか、ホシノさん!」
ホシノ「だいじょばない……全身ボロボロで、もう一歩も動けないよ~」
ハイランダー監督官B「す、すぐに医務室へお運びします!動ける奴らは他の救護に回れ!復旧作業は中断だ!」
(ハイランダー生徒に担がれ、他の医務室へと移送されていくホシノ)
(その隣では同じように保護されたスオウも運ばれており、心の中で安堵していた)
ホシノ(眼帯ちゃん――無事でよかった――)
ホシノ(あれ、でも。何か、まだ忘れているような……)
ホシノ(まあ、いっか。どうせ忘れる程度の事なら、大した事はないよね……?)
- 93二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:23:50
- 94二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:25:21
- 95二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:47:14
- 96二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 08:15:01
あさほしゅー
- 97二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 17:09:17
- 98二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:12:17
>>92の続き
(ヒナ襲来からしばらく後)
(ハイランダー学園、ヒナを寝かせた医務室では…)
ヒナ「う……ん……?」
ヒナ「ここ、は――」
ホシノ「あ。風紀委員長ちゃん、起きた?」
(気絶から目を覚まし、ヒナが顔を動かす)
(見覚えのない天井や壁を不思議そうに見回すと、傍らに座っていたホシノに視線を向けた)
ヒナ「小鳥遊ホシノ……?どうしてここに。それに、私は何故こんな場所に」
ホシノ「覚えてない?ちょっと前まで、おじさんと派手にドンパチ繰り広げてたりしたんだけど――」
ヒナ「ドン、パチ……!?」
(そこで記憶が戻ったのか、勢いよくヒナが起き上がる)
(が、まだ本調子ではない事もあり、ベッドの上からは下りられずシナシナと俯いた)
ヒナ「う、ぐっ……!」
ホシノ「ちょっ、無理しちゃダメだよ!さっきの戦闘で大分やられてたし、ダメージもまだ残ってるんだから!」
ヒナ「それどころじゃ、ない。ゲヘナが、ゲヘナが――!」
ホシノ「知ってるよ。あの双子ちゃん達に襲われたんでしょ?」
ヒナ「っ、どうして――」
ホシノ「おじさん達も同じ被害者だからね。それに、同じような事情でこっちに来てたマコトともやり合ったし。多分、大体何が起こったかは分かってるつもりだよ」
ヒナ「そう。だったら猶更邪魔しないで。早く、ゲヘナに戻ってアコ達の安否を確かめないと……!」
スオウ「その前に。我々の話も聞いてはもらえないだろうか?ゲヘナ風紀委員長殿」
(医務室の扉を開け、スオウが入ってくる)
(後始末に駆けずり回っていたのか、その顔には疲労が色濃く見えた)
- 99二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:12:42
ホシノ「あ、眼帯ちゃん。そっちの仕事は片付いたの?」
スオウ「何とか、といった所だがな。……先の襲撃と比べ、学園敷地内への被害は最小限に抑える事ができていた。お前が、そこの風紀委員長を足止めしてくれたおかげだ。小鳥遊ホシノ」
ホシノ「そっか。そりゃよかったよ~」
ヒナ「あなた、は……」
スオウ「自己紹介がまだだったな。私は朝霧スオウ、ここハイランダー学園の監督官を務めている者だ」
ヒナ「……そう。多大な迷惑をかけてごめんなさい、この償いは後で必ず――」
スオウ「すまないが、その手の謝罪は後回しにしてくれ。今はもっと重要な情報を伝えに来た」
ホシノ&ヒナ「「重大な、情報?」」
???「ほほう、それは実に興味深い。是非とも、この私にも聞かせてもらおうか!」
(ヒナが横になっていたベッドの隣、その間を仕切っていたカーテンが勢いよく開かれる)
(そこには、全身包帯でぐるぐる巻きになったマコトがベッドの上に腰掛けていた)
ホシノ「あ、マコトいたんだ」
マコト「いたわ!最初からずっと、そこの空崎ヒナの隣で寝かされてたわ!不承不承だがな!!」
ヒナ「……その。ずいぶんとアバンギャルドな格好になったわね、マコト」
マコト「誰のせいだ、誰の!――いや、貴様の事はいい。よくはないが、このマコト様をぶっ飛ばした件については後回しにしておいてやる!」
マコト「問題は!小鳥遊ホシノ、朝霧スオウ!貴様ら、負傷した私をほったらかした挙句すっかり忘れていたとはどういう料簡だァ!?」
(マコトの糾弾に、ホシノとスオウはすっと視線を逸らす)
(この件に関しては完璧に忘れていたというのが実情でもあった為、言うに言い返せなかった…)
- 100二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:13:11
ホシノ「うへ。えっと、その~……ごめんね?(テヘペロ♡)」
スオウ「面目次第もない。激戦故、完全に存在を忘れていた」
マコト「き・さ・ま・ら~!!」
ヒナ「……あなた達」
(ぎゃいぎゃいぎゃい!と、マコトが暴れ散らかす事およそ数分)
(どうにか宥める事に成功したホシノとスオウは、改めて重要情報について説明し始めた)
スオウ「それで、例の重要情報についてだが――――結論から言おう。キヴォトスへの帰還手段が確立された」
ホシノ&マコト&ヒナ「「「!!」」」
スオウ「まずは、これを見てほしい」
(スオウが腰元のポケットからあるモノを取り出す)
(それは、襲撃の際ヒナが見せびらかしていた魔法の靴下、その片割れだった)
スオウ「この靴下と、有志による調査と実権を行った所。元居た世界――つまりキヴォトスへの出入り口になっている事が判明した」
マコト「出入り口、だとォ?そんなちんけな靴下がか?」
スオウ「詳しいやり方については後程説明する。とりあえず今は話を聞いてくれ、万魔殿議長殿」
マコト「ふん!」
ホシノ(……操られてたとはいえ、一応あいつもここを襲った側なんだけど。なんであそこまで偉そうにできるんだろうね?)ヒソヒソ
ヒナ(マコトだから、としか言いようがないわね。……ある意味、あのずぶとさだけは大したものだと言えなくもないけれど)ヒソヒソ
マコト「聞こえているぞ、貴様らァ!」
スオウ「……話を進めるぞ。先程言っていたキヴォトスの件だが、偵察要員を幾人か派遣した所大変な事になっていると判明した」
ホシノ「大変って――そりゃまあ、おじさん達がこんな事になってる以上充分大変だけどさ。これ以上何かが起こり得るわけ?」
スオウ「ああ。平たく言うとだな――キヴォトスの風景が、全部毛糸と布に置き換わりつつある。らしい」
ホシノ&マコト&ヒナ「「「は?」」」
- 101二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:13:39
(あまりにも予想外な内容に、ホシノ達は思わずポカンと口を開ける)
(スオウもある程度予想はしていたのか、構わず説明を続けた)
スオウ「私たちがこれまで調べてきた、この世界と同じだ。建物も、植物も、はては道路に空までが毛糸と布に変えられていたとの事だ。無論、お前たちがいた自治区もな」
マコト「な、な、な……!?」
ヒナ「――やっぱり。私が見たあの異常は、見間違いじゃなかったのね」
ホシノ「風紀委員長ちゃん、何か見たの?」
ヒナ「ええ。といっても、私が見た時は建物はじめ風景に異変はなかった。ただ――」
ホシノ「ただ?」
ヒナ「人の姿が、見当たらなくなっていたの。暴れ回ってる不良たちも、住民も、誰も彼もが全員ね」
マコト「何ィ!そ、それは確かに異常事態だ……!」
ホシノ「ええ……マコトまで認める程?」
(スオウが咳払いし、脱線しかけていた流れを元に戻す)
スオウ「とにかく、キヴォトスに戻る手段は確立された。であれば、我々が次にとるべき行動はただ一つ」
ホシノ「キヴォトスに戻る、そして元凶である双子ちゃん達を叩きのめして全部元に戻してもらう。だよね?」
マコト「キキキッ、当然だ!このマコト様を舐めてかかった報い、必ずや受けさせてくれる!」
ヒナ「私も協力するわ。アコ達部下が心配だし、ゲヘナも取り戻さないと。それに――」
ホシノ&スオウ&マコト「「「それに?」」」
ヒナ「……もしも、だけれど。先生にまで手を出しているのなら、絶対に許さない。何としてでも助け出さなきゃ」
ホシノ&マコト「「!!」」
スオウ「先生、というと例のシャーレの……っ!?」
- 102二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:13:53
(突如として放たれた、異様な圧と殺気)
(その様に思わずスオウは身体を強張らせ、何事かと身構える)
(発生源にいたのは――)
ホシノ「――そう、だったね。自分たちの事でいっぱいいっぱいだったけど、その可能性があった事、すっかり忘れてたよ」
マコト「私もだ。おい、小鳥遊ホシノ、空崎ヒナ。ここは一旦、これまでの遺恨を置いて共同戦線といかないか?無論、期間は先生を無事に助け出すまでだ」
ヒナ「上等ね。別にあなたの助けがなくとも構わない所だったけど……そういう事なら、今だけはお言葉に甘えさせてもらうわ。マコト」
スオウ(な、なんだこれは。何故、こいつらは急にやる気を漲らせている……!?)
(先生と縁がなかった事もあり、ホシノ達三人の激怒が理解できないスオウ)
(これまで見てきた、どの姿からも想像できなかった怒り様の前にさすがの彼女も口を挟めず沈黙する他なかった)
ホシノ「よし。そうと決まったら、早速準備しようか」
ホシノ「目的地は私たちの故郷、キヴォトス。敵はこの事件の元凶、アミーボ・アモーレ」
ホシノ「何としてでもぶっ倒して、元の日常を取り戻すよ……!」
(めらめらと、さながら瞳に炎を燃やす勢いで戦意を高めていくホシノ達)
(最終決戦の時は、すぐそこ……)
- 103二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:14:14
(一方その頃、キヴォトスでは)
ノゾミ・アミーボ『ぶえっくしょい!でアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『どしたのー?風邪ひいたー、でアモーレ』
ノゾミ・アミーボ『い、いや何でもない。ただ、何か今すごい悪寒がしたでアミーボ……』
ヒカリ・アモーレ『ふーん?まあここ結構風邪強いから、あまり長居しない方がいいかもでアモーレ』
(真下に見える景色を見下ろす)
(ノゾミとヒカリは今、キヴォトスのD.U.区内――その、とあるビルの屋上にいた)
(何故、こんな所にいるのかというと)
??“……!…………!(ジタバタ、ジタバタ)”
ノゾミ・アミーボ『ありゃ、まだ暴れてるでやんの。いい加減大人しくしたらでアミーボ』
ヒカリ・アモーレ『抵抗は無駄むだー。どの道、そんな非力じゃこの毛糸は千切れないでアモーレ』
ノゾミ・アミーボ『そうそう!だから、さ――じっとしてた方が身のためだよ?』
ノゾミ・アミーボ『ねえ――シャーレの先生さん?(ニタァ)』
(邪悪な笑みを浮かべ、毛糸で拘束された先生を見下ろすノゾミ)
(ホシノ達の危惧は、最悪の形で的中していた――)
- 104二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 00:15:12
- 105二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 01:50:37
- 106二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 03:31:12
- 107二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 13:38:39
お昼の保守
- 108二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 23:43:45
投稿したくなったから超短編をば…
スタアラ編おまけ
ホシノ「…こうして見るとすごいねぇ。」
ダークヒナ「?…何のことかしら?」
ホシノ「いやぁ…こうしてみんなと過ごしてるのが不思議だってことだよ。」
シュロ「まぁ、手前は2回ほど敵対しましたしねぇ。」
カヤ「い、良いじゃないですか!別に今は悪いことしていないんですし!」
ダークヒナ「マコトからは「どの面さげて味方面しているんだ!?」て言われたけど、それをあなたが言うの…て思ったわ。うふっ。」
ホシノ「確かにねぇ。んーでも、特にみんなとはしっかり対峙したなぁ…。」
カヤ「…私のしたいことは変わっていませんよ。私は私のやり方で野望を叶えるだけです。」
シュロ「そうそう、手前もまだ諦めてはいませんよぉ?」
ダークヒナ「私はもうマコトに夢中だから一抜けた。」
カヤ・シュロ「「ちょっと待ってください!!」」
ホシノ「うへへ、あんまり問題は起こさないでね〜。」 - 109二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:13:46
>>103の続き
ホシノ「みんな、準備はいい?」
スオウ「ああ。いつでも問題ない」
ヒナ「私もよ」
マコト「当然、私もだ!キキキッ!」
(ハイランダー学園の校庭。そこには来たる決戦に備え、最後の準備を整えたホシノ達が集結していた)
ハイランダー監督官A「気を付けてくださいね、スオウ監督官!それにホシノさん達も!」
ハイランダー生徒A「我々も無事と武運を祈っています!同行できない事は、申し訳ありませんが……」
スオウ「いや、いい。またあの怪物どもが襲ってきたら事だからな。留守は任せたぞ」
ハイランダー生徒一同『了解!どうか、お気をつけて!!』
(ハイランダーの生徒たちに見送られ、ホシノ達は魔法の靴下を取り出す)
(早速これを使って元居た世界に戻ろうとして――)
ホシノ「……ところで、どうやって使えばいいのこれ?」
スオウ「ああ。そういえばまだ言っていなかったか。何、そう複雑な手順じゃない。その靴下を握ったまま、行きたい場所を思い浮かべて強く念じる。ただそれだけだ」
ヒナ「何だかずいぶんあやふやな方法ね」
スオウ「これでもあれこれ実験してみた結果だ。とにかく、やってみろ小鳥遊ホシノ」
ホシノ「りょーかい了解。――よし、それじゃいくよ」
(ホシノが靴下を顔の前まで近づける)
(その状態のまま目を閉じると、瞼の裏で慣れ親しんだアビドスの風景を思い浮かべた)
(アビドス砂漠、枯れたオアシス、寂れる一方の都市部に、大事な居場所であるアビドス高校別館――)
- 110二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:14:06
パァアアア…!
マコト「!お、おい!靴下が――」
ヒナ「光り出した、という事は」
スオウ「いいぞ……その調子だ、小鳥遊ホシノ!」
(ホシノの手に握られた靴下が輝き始め、その勢いを増していく)
(一方、当のホシノは一心に元居た世界の事を強く念じ続けた)
ホシノ(帰るんだ――私たちは、絶対に――)
ホシノ(元居た場所に……アビドス自治区に……!)
ホシノ(だから、お願い。力を貸して、魔法の靴下!)
(ホシノの想いに応えるかのように、靴下の輝きが頂点に達する!)
(そして、次の瞬間!)
カッ!
スオウ「っ!こ、これは――」
ヒナ「く、靴下の中に……吸い込まれる!?」
マコト「な、何ィいいい!?」
ホシノ「――――!」
(魔法の靴下、その履き口から強風が巻き起こり四人が吸い込まれていく!)
(初めて毛糸の世界へ送られた時と同じように。瞬きの間に四人は靴下の中に消え、見えなくなった――)
- 111二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:14:41
ハイランダー監督官A「う、上手くいった……ん、でしょうか?」
ハイランダー監督官B「分からん。だが、信じるしかないだろう」
ハイランダー監督官B「頼みましたよ、スオウ監督官。それに、ホシノさん達……」
(強風が収まった後には、靴下もまた消えていた)
(事前に試した通り、恐らく靴下ごと向こう側――キヴォトスに消えたのだろう)
(最早、残されたハイランダー生徒たちに渡る術は残されておらず。ただひたすら、祈る事しかできなかった……)
(そして。吸い込まれたホシノ達はというと)
一同『……あああああ!!?』
(『向こう側』に消えた靴下が現れ、そこから一斉にホシノ達が吐き出される)
(ある者は地面に転がり、ある者は叩きつけられ、またある者は華麗に着地し――どうあれ、彼女たちは無事転移に成功していた)
ヒナ「どうやら、無事辿り着けたみたいね」
マコト「無事、という程無事でもないがな……!ええい、もっと丁寧な運び方というものはなかったのか!」
スオウ「贅沢を言うな、五体満足で辿り着けただけ御の字というものだろう。なあ、小鳥遊ホシノ」
ホシノ「うへ~、そうでもないよ~。飛び出した時口に砂入っちゃった、ぺっぺ」
ヒナ「それにしても、ここは……」
(立ち上がりつつ、周囲の状況を探るホシノ達)
(見た所住宅街らしく、周囲には灯りの消えた建物と街灯がいくつも並んでいた)
(ただし――)
- 112二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:15:05
スオウ「毛糸、だな」
ヒナ「ええ。どれも毛糸と布で作られている。いえ、この場合は編まれていると言った方がいいかしら?」
マコト「どちらでもいい。クソッ、話半分に聞いていたが世界が作り換えられているという話は本当だったようだな……!」
(スオウ達が指摘した通り、どの建物も毛糸と布に置き換えられたものになっていた)
(外壁と屋根はフェルト生地を思わせるようなものに。柱は毛糸に。そして扉と窓はアップリケに)
(全てがメルヘンチックに――そして、どうしようもない程に悍ましく作り変えられていた)
スオウ「急いであいつらを探すぞ。このまま放っておいては何をされるか」
ホシノ「……ん!?あ、あれは!」
ヒナ「小鳥遊ホシノ?」
マコト「お、おい!どこへ行く!?」
(ホシノがあるモノを視界に捉え、一直線に走り出す)
(その先に転がっていたモノは――)
ホシノ「やっぱり!これ、おじさんの盾だよ~!こんな所に落ちてたなんて、ラッキー!」
ヒナ「はあ……何かと思えば」
マコト「こんな時に紛らわしい真似をするな、お前は!」
スオウ「(特大の溜息)」
ホシノ「な、なにおう!言っておくけど、これでおじさんの戦闘力爆上がりなんだからね!今までが主砲抜き戦車だとするなら、今のおじさんは多砲塔戦車クラスだよ!」
スオウ「……それはもう戦車でも何でもないのでは?」
ヒナ「あと、多砲塔戦車は思ってる程強くないわよ。小鳥遊ホシノ」
- 113二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:15:38
(周囲からの冷静な、というか軽く冷たいツッコミを前にホシノがさらに言い返そうとする)
(と、その時!)
ザッザッザッ…!
スオウ「!まて、誰か来るぞ!」
ヒナ「あれは――」
(ホシノ達が視線を向ける先、大勢の足音と共に何者かが迫る)
(現れたのは、ゲヘナ風紀委員会の制服と万魔殿の制服をそれぞれ纏った生徒たちだった)
ヒナ「あれは……うちの子達?それに万魔殿の生徒たちまで。どうしてここに」
スオウ「どうしても何も、考えられるとすれば一つしかないのでは?」
マコト「ああ、そうだな。つまり――」
マコト「このマコト様を!遥々出迎えに来たという訳だ!」
ホシノ&スオウ「「ええ…?」」
ヒナ(心底から頭を抱える)
マコト「キキキッ!出迎えご苦労、お前たち!中々気が利いた真似をするでは(ジャキッ)」
(近寄ろうとしたマコトに対し、生徒たちが一斉に銃口を向ける)
(風紀委員も、万魔殿も。全員が等しく敵意を向けており――その瞳からは、およそ正気というものが消えていた)
マコト「は?」
ヒナ「ッ、バカマコト!避けなさい!」
ズドガガガガ!!
- 114二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:15:58
マコト「な、何ィいいいい!?」
(ヒナの警告も、一歩遅かった)
(マコトに対し、生徒たちの一斉射撃が浴びせられる!)
(直撃を受けたマコトはひとたまりもなく、哀れ粉々になったかと思われたが――)
ホシノ「……うへ~、危ない危ない。ね、早速役に立ったでしょ?この盾」
(間一髪。まさに、紙一重の所で盾を構えたホシノが庇う事に成功していた)
(久方ぶりに主の手に戻ったその盾は雄々しく輝き、数多の一斉射撃をモノともしていない)
マコト「た、助かった……れ、礼を言うぞ小鳥遊ホシノ」
ホシノ「どういたしまして。――さてと。それじゃあ、次は」
(一斉射撃で仕損じても、生徒たちは全く怯まない)
(各々がリロードを済ませ、再びホシノ達に銃口を向けてくる)
(だが――)
ヒナ「どういう事かは知らないけれど、立ちはだかるのなら容赦はしない」
スオウ「恐らくあいつら――橘ノゾミと橘ヒカリに操られているのだろう。……うちの生徒が、どこまでもすまない」
ヒナ「気にしないで。――私も人の事を言える立場ではないから」
(デストロイヤーで容赦なく薙ぎ払っていくヒナと、その間隙を埋めるように制圧していくスオウ)
(無論、ホシノ達もやられっぱなしではなく各々の得物で生徒たちを撃破する)
(数では勝れども、相手は一般生徒に毛が生えた程度の戦力。ホシノ達の敵ではなく、瞬く間に蹴散らされていった――)
- 115二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:16:18
マコト「ど、どうにか片付いたか……?(ぜえぜえ)」
スオウ「援護射撃ばかりだったのに、どうして一番疲弊してるんだ」
ヒナ「ただの運動不足よ。いつもサボってばかりで、身体がなまっているんでしょう」
ホシノ「そういう風紀委員長ちゃんも、あれだけ捌いて汗一つかかないとか大概だけどね~(集中砲火をまともに喰らいながら、ピンピンしているの図)」
スオウ「お前が言うか、お前が……?」
(ともあれ、敵集団を蹴散らした事で一行はどうにか探索を再開する)
(そして。進んでいくにつれ、ますます現状の深刻さと世界の改変ぶりを知る事となった)
マコト「なんだこれは――砂漠を抜けたかと思ったら、荘厳な教会に最新設備の工場だと!?」
ヒナ「あの建築様式、トリニティで見たものに似ている……。あっちの工場はミレニアムかしら」
ホシノ「これってさ、もしかしなくても各地の自治区を好き放題継ぎ接ぎしまくったとかそんな感じのやつ?」
スオウ「恐らくはそうだろうな。……あの馬鹿ども、どこまでやらかせば気が済む(特大溜息)」
(その後も和風と中華風の建築が入り混じった雪山に、大海原に浮かぶ高層ビル群等々。見る者が見れば正気を疑うような光景が次々と目に入る)
(それらのパッチワーク世界を乗り越え、潜り抜け――ついに、一行は敵の本拠地と思しき場所に辿り着いた!)
- 116二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:16:38
スオウ「……ここまでの流れで、もしやとは思っていたが」
ホシノ「ヒナちゃん、マコト。もしかしなくても、この建物って」
ヒナ「ええ。あなた達の考えている通りよ、小鳥遊ホシノ、朝霧スオウ」
マコト「あ・い・つ・ら~~!よくも、よくも我が万魔殿本部を、こんな出来損ないに改造してくれたなぁ!!?」
(マコトが怒りの雄たけびを上げる正面、そこには変わり果てたパンデモニウム・ソサエティー本部の姿があった)
(ベースとしては万魔殿のそれだが、そこへさらに風紀委員会本部や他学区の施設を積み重ねたりくっつけた事で見る影もなく作り変えられている)
(さながら、山海経に存在するという『九つ龍の城塞』もかくやと言わんばかりの違法建築ぶりであった)
(……もっと言えば、『子どもが考えた最強の建築物』とでも評すべきか)
マコト「ええい、許せん!何としてもあの双子をふん捕まえて、元の完璧な万魔殿に直させてくれる!」
ヒナ「その時はうちの施設も戻してもらうわ。マコトと同じ建物で作業とか、気の休まる暇がないもの」
ホシノ「あ、ちょっと待ってよマコト、風紀委員長ちゃ~ん!」
スオウ「やれやれ……結局ここまで来てもこのドタバタぶりは変わらないままか……」
(気炎を上げながら突入するマコトと、呆れた風についていくヒナ)
(その後をホシノとスオウが追いかけ、やがて開かれた万魔殿の扉が再び閉じられていく)
(はたして、その先に待ち受けるものは鬼か蛇か)
(キヴォトスの全てを賭けた最終決戦、その時は近い――)
- 117二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:17:44
- 118二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 01:31:46
- 119二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 02:47:58
- 120二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 13:13:55
昼保守のカービィ!
- 121二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:07:38
>>116の続き
スオウ「どうやら、この扉で最後のようだな」
(立ち塞がる万魔殿生徒と風紀委員を蹴散らし、ひたすら内部を突き進む事十数分)
(とうとうホシノ達は最奥部と思しき大扉の前に辿り着いた!)
マコト「まったく、手こずらせてくれる……まあ!このマコト様の敵ではなかったがな!」
ヒナ「……私の記憶が正しければ、ほとんど私と小鳥遊ホシノで蹴散らしていたと思うのだけれど?」
ホシノ「まあまあ、風紀委員長ちゃん。細かい事は言いっこなしだよ~」
ホシノ「それじゃ。ようやくたどり着いた事だし――さっさと入ろうか。いい加減、あの子達もお待ちかねだろうしね?」
(大扉がゆっくりと開かれる)
(盾を持ったホシノを先頭にスオウ・ヒナ・マコトの順で侵入し、慎重に入り込む)
(その先で待ち受けていたのは――)
ノゾミ・アミーボ『パヒャヒャッ!ひっさしぶりだねえ、お姉さん達!ここまでご苦労様でアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『おつかれさまー、そしてさようならー。皆さんの旅はここでデッドエンドでアモーレ』
(聞き覚えのある嘲笑と共に、ノゾミとヒカリ――アミーボ・アモーレが姿を見せる)
(四人は一斉に銃を構えると、険しい顔で宿敵を睨みつけた)
- 122二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:07:58
ホシノ「こちらこそ、お久しぶりだね双子ちゃん。……おじさん達だけじゃなく、ずいぶんと好き放題やってくれたみたいじゃない?」
ノゾミ・アミーボ『キャー怖ーい!そんな顔で睨まないでよー、毛糸の世界も中々悪くなかったでアミーボ?』
スオウ「そうだな。凶暴な怪物どものもてなしが何とも愉快な、最低最悪の世界だったよ」
ヒカリ・アモーレ『あ、まだ生きてたんだ監督官。てっきりもう怪物の胃袋に収まっているかと思ってたー』
スオウ「生憎、これでも生き汚い方でな。あの程度で私たちを排除できたと思っていたのなら、とんだお笑い草だったぞ」
ノゾミ・アミーボ『おーおー、えっらそうに。編みぐるみになってもその性格は変わんないねえ、監督官!』
スオウ「そういうお前たちは考えなしの度合いがますます悪化したようだな?ここまでの道中で散々見せてもらったが、つくづくお前たちに美的センスというものがない事を理解させられたよ」
(同学園という事もあってか、ホシノ達以上にバチバチと火花を散らし合うスオウと双子達)
(だが、そんな因縁を気にする面々でもなく。マコトが横から口を挟んだ)
マコト「ええい、貴様らだけで勝手に盛り上がるな!おいそこの双子ども!よくも万魔殿議長たるこのマコト様をいいように操ってくれたな!?」
ノゾミ・アミーボ『……えっと。ごめん、あんた誰でアミーボ?』
マコト「なっ!な、な、なぁっ……!?」
ヒナ「どうやら。あいつらの方は眼中にもなかったみたいね」
ヒカリ・アモーレ『あ、そっちの白い方は覚えてるよー。確か私たちに瞬殺された、ゲヘナのクソザコ風紀委員長さんでアモーレ』
ヒナ「――――(ジャキッ)」
ホシノ「ふ、風紀委員長ちゃん?落ち着いて、敵の挑発だよ?」
(双子からの無礼千万極まりない返答に、マコトとヒナが憤怒の形相で銃の引き金に指をかける)
(それを見たノゾミは、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべ)
ノゾミ・アミーボ『せっかく遊びに来てもらって悪いけどさぁ。いきなり私たちが相手になるのも芸がないと思うワケ』
スオウ「何だと?」
ヒカリ・アモーレ『そーそー。だから――まずは、前座と遊んでもらうでアモーレ!』
- 123二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:08:35
(ノゾミとヒカリが右手を上げ、高らかに指を鳴らす)
(すると!遥か頭上より複数の人影が降り立った!)
(その、正体は――)
操られた生徒たち『…………』
ヒナ「アコ!それに、イオリとチナツまで……!」
マコト「イロハ、サツキ、チアキ!それにイブキもだとォ!?」
スオウ「やはり、他にもまだ支配されている生徒がいたか……!小鳥遊ホシノ、どうす――!?」
(その時、スオウは自分のすぐ隣から凍てつくような敵意を感じ取った)
シロコ「ウ……アア……」
ノノミ「ホシ、ノ……セン、パイ……」
ホシノ「シロコちゃん、ノノミちゃん」
セリカ「タオス……アミーボ・アモーレサマノテキ……」
アヤネ「ヨウシャ、シマセン……ゼンイン、タオシマス……」
ホシノ「セリカちゃん、アヤネちゃん」
(ホシノの前に現れたのは、変わり果てた対策委員会の後輩たち)
(いずれも禍々しい色の毛糸に絡みつかれ、正気を失いうわ言だけを吐き続ける無惨な姿だった)
ホシノ「――ごめんね、みんな。いつも肝心な時に、役に立たない先輩(おじさん)で」
ホシノ「でも、もう少しだけまってて」
ホシノ「こんな真似をしてくれた、あのふざけた元凶を、すぐにぶっ飛ばすから!!」
ノゾミ・アミーボ『パヒャヒャヒャヒャッ!やれるもんならやってみろ、バーカ!』
ヒカリ・アモーレ『それじゃ、戦闘かいしー。みんな、やっちゃってー』
スオウ「来るぞ、お前たち!」
ヒナ「分かってる!――やるわよマコト。できる限り速やかに、けどなるべく傷つけないように制圧する」
マコト「ええい、簡単に言ってくれる……!だが、今回ばかりは協力してやる!他はともかくイブキを傷つけるわけにはいかんからな!」
- 124二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:09:19
(ノゾミとヒカリの号令を受け、生徒たちが一斉に襲い掛かる!)
(ホシノ達もまた各々の相手を受け持ち、最終決戦が始まった!)
アコ「コウゲキ、カイシ……チナツ、イオリ。ヤリナサイ」
チナツ&イオリ「「――――」」
(アコの支援を受け、イオリとチナツがそれぞれヒナに向かい突っ込んでくる)
(その様を見たヒナは、愛銃であるデストロイヤーの銃口を――)
ヒナ「……はあ」
(銃口を下ろし、鈍器のように構え直す)
(そのまま突っ込んできたチナツとイオリを軽くあしらうと、デストロイヤーのストック部分で殴り倒し気絶させた)
アコ「!?」
ヒナ「操られているとはいえ、指揮がお粗末すぎ。突撃隊長なイオリはともかく、回復要員であるチナツまで突っ込ませても足手纏いでしょう?」
アコ「クッ!」
ヒナ「そしてもう一つ。対処された後の判断が遅すぎる」
(デストロイヤーの銃口を改めてアコに向ける)
(慌てて自らの拳銃を取り出すアコだったが、そんな後手後手の動きが通用する筈もなく)
ヒナ「……私の不甲斐なさで、こんな情けない立ち振る舞いをさせてしまってごめんなさい。せめて、痛くないよう一瞬で終わらせてあげる」
(ヒナの銃弾が、アコを貫く)
(ただの一撃。それだけでアコは沈黙し、先にやられた二人共々気を失った)
(一方、速攻で片づけたヒナに対し)
(マコトはというと、自らに群がるイロハ達万魔殿幹部を前に苦戦を強いられていた)
- 125二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:09:39
マコト「ええい、貴様らいつまでいいように操られている!?私だ!マコト様が分からないのか!?」
イロハ「アミーボ・アモーレサマノテキ、シバキマス。アト、ヒゴロノウラミ……」
サツキ「マコトチャ~ン、サイミンノオジカンデスヨ~?」
チアキ「ウヘヘ……サイミンシタマコトセンパイデアンナコトヤ、コンナコト……」
マコト「お前ら本当は自我が残ってるだろ!?」
ヒナ「大変そうね、マコト。必要なら力を貸すけど?」
マコト「だ、誰が貴様の力など――」
イブキ「マコトセンパイ!」
マコト「イブ――ぐえっ!?」
(その時、マコトめがけイブキが勢いよく突っ込んできた)
(勢いあまってタックルのようになってしまい、そのままマコトは姿勢を崩してしまう)
(ちょうど、仰向けに転がったマコトのマウントをイブキが取った形である)
マコト「い、イブキ。そこを、どいて――」
イブキ「マコトセンパイ、イッショニアソボウ?アミーボ・アモーレサマニシタガエバ、イツデモスキナトキニアソビホウダイダヨ!」
マコト「イブキ……」
イブキ「マジメナマコトセンパイモスキ!デモ、イブキトモットアソンデクレタラ、ウレシイナッテ――」
マコト「……」
(操られながらも、その顔はいつもと変わらず無邪気なまま。どこまでもマコトに微笑みかけてくる)
(その後ろから、じわじわと迫るイロハ達の姿を捉え。マコトは――)
マコト「ごめんな、イブキ」
イブキ「エッ?」
- 126二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:10:13
(優しく、だが絶妙な力加減でマコトはイブキを気絶させる)
(自らの上にどさりと倒れ込むイブキを、マコトはそっと受け止め――その状態のまま、右手で握った愛銃をイロハ達に向けた)
(そうして、響き渡る三度の銃声)
イロハ「ウ、ア……」
サツキ「ソ、ソンナ……」
チアキ「ム、ムネン――」
マコト「まったく、手間をかけさせてくれる。これでは万魔殿の名が泣くというものだ」
ヒナ「やればできるじゃない。普段からそうであったのなら、私の方もだいぶ楽できるのだけれども?」
マコト「ふん、お断りだ。貴様は精々、そこで蹴散らされた部下共と苦労しながらあくせく働いているがいい」
ヒナ「そう。なら、あなたも自分の部下たちはちゃんと面倒見てあげなさい。今回の事で、怖い思いをさせた分も含めてね」
マコト「言われるまでもないわ」
(ヒナ、マコトと操られた仲間たちを無事制圧に成功する)
(そして、ホシノもまた――)
ホシノ「また一段と、動きのキレが増したねシロコちゃん。この調子じゃ、おじさんもいつか追い抜かれちゃうんだろうな~」
ホシノ「ノノミちゃんは、もうちょっと詰められた時の動きを考えた方がいいね。ただでさえそのマシンガン、小回りが利きづらいでしょ?サイドアームに拳銃でも用意しておいた方がいいんじゃないかな」
ホシノ「セリカちゃん、また命中精度が上がったんじゃない?おじさんから見てもヒヤッとする場面が何度かあったよ~。まあ、まだ予測できる範疇ではあったけども」
ホシノ「アヤネちゃんは、今回は場所が悪すぎたね。これだけ乱戦状態だと、いつもの支援も難しいでしょ?下手すると他の子達も巻き込んじゃうからねえ。屋内じゃ雨雲号も展開できないし……」
- 127二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:10:49
ホシノ「――うん。本当に、強かったよみんな」
ホシノ「けど、ごめんね」
ホシノ「今はまだ、負けるわけにはいかないんだ」
(ホシノの背後に、四人の敗者が倒れ伏す)
(シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネ。操られ精彩を欠いていたとはいえ、鍛え上げられた後輩四人がかりの攻勢をホシノは難なく捌き下してのけた)
(だが、その顔に勝利の喜びは決してなく。あるのはただ、後輩にこんな真似を強いた元凶への深い憤怒だけだった)
(――そして。その姿を、戦慄と共に見守っていた者が一人)
スオウ(これが……小鳥遊、ホシノ……)
(対策委員会との戦闘が始まる直前、スオウはホシノに止められ後方で見守るだけに徹していた)
(援護すら許されない、完全な傍観である)
ホシノ『わがまま言っちゃってごめんね。今が大一番だっていうのは分かってる』
ホシノ『だけど。それでも――許してもらえるのなら、この場は私一人に任せてもらえないかな?』
ホシノ『大丈夫。すぐに終わらせるし、どれだけ長引いたとしてもちゃんと勝つから』
(結局気圧される形でホシノに全てを預けた、預けてしまったスオウ)
(だが。今となっては、その判断が正しかったのかもしれないと思わずにいられない)
(それ程までに、今見ていた戦いが特別なモノであったと。他校生であるスオウにも理解できるものがあった)
- 128二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:11:08
ホシノ「さて、と。これでもう、君たちを守る味方はいなくなったよ」
ホシノ「覚悟はできてるよね?まあ、できてなくても構わずぶっ飛ばすんだけどさ」
(空中で戦いを見守っていたノゾミとヒカリを、じろりと睨みつけるホシノ)
(対する双子はホシノの圧にも全く怯む様子はなく。むしろ空中で地団太を踏みながら、怒り散らしていた)
ノゾミ・アミーボ『なんだよもう!ぜんっぜん役に立たないじゃんか、こいつら!』
ヒカリ・アモーレ『想像以上に弱すぎ―?もしくは敵が強すぎー?』
ノゾミ・アミーボ『上等!こうなったらやるよ、ヒカリ!』
ヒカリ・アモーレ『あいあいさー。毛糸魔法、はつどー』
(双子がそれぞれ握った長杖、それらが怪しく光り輝く)
(すると、周囲の布と毛糸が動き出し!瞬く間に怪物の姿に生まれ変わった!)
ヒナ「これは――!」
マコト「あ、あいつら覚えているぞ!確か、私が操られていた時に使役していた化け物共じゃないか!」
ホシノ「……成る程。ああやって生み出しては襲わせてたわけだ」
スオウ「ふん、今更の真実だがな。他校生が当てにならなければ、今度は即席の兵隊とは。どこまでも他力本願だな、お前たち」
ノゾミ・アミーボ『うっさい!その大口は、こいつらを叩きのめしてからほざけでアミーボ!』
ヒカリ・アモーレ『言っとくけど、この子達はつよいよー?即席とはいえ私たちが手掛けた自信作でアモーレ』
ホシノ「へえ、言ってくれるね。それじゃ――本当におじさん達の仲間よりも強いのか、見せてもらおうか!」
(洗脳された生徒たちを倒され、直々に牙を剥くヒカリとノゾミ)
(だが、ホシノ達は怯む事無く。最終決戦第2ラウンドが幕を開けた!)
- 129二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:11:52
- 130二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 00:54:31
- 131二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 02:04:20
- 132二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 07:58:23
あさほしゅー
- 133二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 12:32:32
ひるほし!
- 134二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 22:16:09
よるほしゅ
- 135二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:11:54
>>128の続き
(橘姉妹との戦いは、物量との戦いになった)
(次から次へと生み出される毛糸の怪物と、それらをあしらい撃破していくホシノ達)
(一体一体は大した強さではなかったものの、如何せん数が多い)
(最悪、押し切られる可能性も頭によぎったホシノ達だったが――)
ノゾミ・アミーボ『あーもー、しつっこい!どんだけ粘る気なのよあんたら!』
マコト「キキキ……ど、どうした?もう打ち止めか?ならば、諦めて降参するがいい……(ぜえぜえ)」
ヒナ「下がって休んでなさい、マコト。息が上がっているわよ」
スオウ「もう諦めろ、橘ノゾミ、橘ヒカリ。お前たちはとっくに詰んでいるのだと、分からないのか?」
ノゾミ・アミーボ『うっさいうっさい!そういうあんた達こそ、いい加減余裕がなくなってきてるの分かってんだからね!――ヒカリ!次出して、次!』
ヒカリ・アモーレ『……』
ノゾミ・アミーボ『ちょっと、聞いてんの?早く新手を――』
ヒカリ・アモーレ『ごめん、もうない』
ノゾミ・アミーボ『は?』
ヒカリ・アモーレ『在庫空っぽ、もう使える毛糸なくなっちゃったでアモーレ……』
(ヒカリの消え入るような声に、ノゾミは思わず振り返る)
(見れば、ホシノ達が戦っていた部屋――元万魔殿最奥部は壁も天井も消え、完全に開かれた状態になっていた)
(当然、その原因はノゾミ達が怪物作成に濫用した為である)
(室内に在った調度品までも残らず消費され、今やまともに残されたのは足場である床のみであった)
ノゾミ・アミーボ『え、えーっと……』
ホシノ「どうやら、本当にもう打ち止めみたいだね?」
ノゾミ・アミーボ『た、タンマ!一旦補給チャンスをちょうだ』
ホシノ&スオウ&マコト&ヒナ「「「「あげる(やる)わけないでしょ(だろう)!!」」」
- 136二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:12:15
(進退窮まった橘姉妹が後退りする)
(当然ホシノ達がその隙を見逃す筈もなく。即座に四人がかりの総攻撃が始まった!)
ノゾミ&ヒカリ『『ぎぃやぁああああっ!!?』』
ホシノ「これで、終わりっ!」
(あっという間にボコボコにされる橘姉妹)
(最後にホシノが散弾をお見舞いし――完全に、双子は沈黙した!)
(双子の手から長杖が零れ落ち、床に突き刺さる…)
ノゾミ&ヒカリ『『や、やられた~(きゅう)』』
マコト「キキキッ!どうだ、思い知ったか!このマコト様の恐ろしさを!!」
ヒナ「相変わらず、自分が有利になった時は調子いいんだから……」
ホシノ「まあまあ風紀委員長ちゃん。――これで、全部元通りになるって事でいいのかな?」
スオウ「ああ。元凶であるこいつらを倒したんだ、直全て元通りになるだろう」
(操られていた生徒たちを確認する)
(いずれも気絶させる際、いくらかの負傷はあったものの命に別状はない)
(放っておけば、その内また目覚めるだろう――)
マコト「さあて、と。この双子共の扱いについてだが!」
ヒナ「とりあえず拘束はしておきましょう。また起きてから暴れられても事だものね」
ホシノ「うへ~、といっても拘束できそうなものあるかな~?」
スオウ「そこら辺の毛糸を使えばいいだろう。こいつらにはお似合いというもの――」
ノゾミ・ヒカリ「「う、う~ん……」」
(その時、ちょうど双子が目を覚ます)
(目を覚ました二人は、不思議そうな顔で周囲を見渡した)
- 137二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:12:41
ノゾミ「あ、あれ?ここどこ?確かさっきまで、倉庫の片づけやってた筈じゃ?」
ヒカリ「目覚めると、そこは見覚えのない青空?だった……」
スオウ「――目を覚ましたか、橘姉妹」
マコト「キキキ……後ほんの少し、眠っていればよかったものを。そうすれば、ほんの少しだけ幸せな夢の中にいられただろうになぁ?」
(スオウが凄み、マコトが過去一邪悪な笑みを浮かべながら双子に迫る)
(倒したとはいえ彼女たちは事件の元凶。それを思えば、至極当然の対応であったが――)
ノゾミ「え、え!な、何何!?なんで監督官がここに!?てか、滅茶苦茶キレてない!?」
ヒカリ「テリブル、テリブルー。しかも、ニュース記事でしか見た事ない人までいるっぽいー?」
ホシノ「……?」
ヒナ「小鳥遊ホシノ、これは――」
(何が起こっているのか分からない、といった風に困惑する橘姉妹)
(それを言い逃れと見て取ったのか、スオウとマコトの目はますます鋭くなった)
スオウ「呆れた奴らだ、この期に及んで下手な演技とは。残念ながら今回ばかりは庇いきれんぞ。何しろお前たち自身が元凶なんだからな」
マコト「何、好きにさせてやるといい監督官殿。そうやって言い逃れようとすればする程、こいつらの首も勝手に絞まっていくのだからな、キキキッ!」
ノゾミ「いやだから、何の事!?さっぱり訳わかんないんだけど!」
ヒカリ「どうやら慈悲はないっぽいー……オーマイガー……」
(スオウとマコトの詰問にも、より戸惑うばかりの橘姉妹)
(それを見ていたホシノとヒナの疑問が頂点に達しかけた時、『それら』は音もなく動き出し――)
スオウ「とにかく!まずは学校を元に戻してもらおうか。いつまでもあんな世界に放置するわけにはいかないのだから」
ホシノ「眼帯ちゃん、マコト!危ない!」
マコト「何――ぬおわぁっ!?」
- 138二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:13:01
(双子を詰問していたマコトとスオウ、その間を『ナニカ』が高速で過ぎ去る!)
(突風の後、現れたモノの正体は――)
????『おのれ……よくも、我々の計画をここまで邪魔してくれたなでアミーボ』
????『お前たち、絶対に許さんでアモーレ!』
ホシノ「あれって――双子ちゃん達が持ってた、杖だよね?」
マコト「う、浮いているだと?おい、お前たちこの期に及んで一体何をした!」
ノゾミ「いや知らないし!?むしろ私らの方が聞きたいくらいなんだけど!」
ヒカリ「あんびりーばぼー。夢でも見てるみたーい」
ヒナ「……そうか。そういう、事だったのね」
(空中に浮かぶ二本の杖――否、魔杖)
(その光景を前に、ヒナがいち早くある真実に気が付いた)
ヒナ「私たちは、てっきりこの子達――橘ノゾミと橘ヒカリが力を得て暴れているものだとばかり考えていた」
ヒナ「けど違った。この子達の力は、外付けで得たものでしかない」
ヒナ「今、あそこに浮かんでる二本の杖――あの杖こそが、『アミーボ・アモーレ』の正体よ!」
マコト「な、な、な!何だとォ!?」
ホシノ「うっそぉ!そんなのありぃ!?」
スオウ「――いや、だが確かに思い当たる節はある。こいつらは普段から問題児ではあったが、それでも世界をどうにかする程の力は持っていなかった」
ノゾミ「それ庇ってんの、貶してんの?」
スオウ「(無視)こいつらがおかしくなったのは、あの大掃除の最中……その時、アレに触れていたのだとしたら辻褄が合う」
ヒカリ「いや、合うも何も。私たちの記憶が飛んでるのも、あの杖?を見つけた辺りからだしー」
ホシノ「……なるほどね。じゃあ、やっぱりあいつらが元凶なわけだ?」
(ホシノ達が改めて元凶――アミーボ・アモーレと対峙する)
(一方、追い詰められている筈の魔杖達は余裕綽々といった風で見下していた)
- 139二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:13:46
アミーボ『ふん!そこのガキどもを解放したくらいでいい気になるなでアミーボ!』
アモーレ『いかにも!我々にはまだ切り札が残っているのでアモーレ!』
ヒナ「へえ。切り札、ね」
ホシノ「ふん、どうせ大したモノじゃないんでしょ?切り札でも何でも、出せるものなら出して――!?」
(アミーボ・アモーレに負けじと睨み返し、身構えていたホシノ達)
(だが次の瞬間、魔杖達が出した『切り札』を前に一同は凍りついた)
マコト「あれは――先生、だとぉ!?」
スオウ「何。あれが、話に聞いていたシャーレの先生……!?」
先生“……“
(意識を失っているのか、毛糸で縛られたまま先生はぐったりした様子でピクリとも動かない)
(その有り様に、ホシノとヒナがまず真っ先に動揺した)
ヒナ「――ッ!先生を放しなさい!」
ホシノ「先生!しっかりして、先生ッ!」
(二人の叫び声にも応えず、空中で縛られたままの先生)
(その姿に多少なり留飲を下げたのか、アミーボ・アモーレは哄笑と共にさらなる手を打った!)
アミーボ『くくく……事前調査通り、効果てきめんでアミーボ!』
アモーレ『お前たちがこの“センセイ”とやらに強い執着心を抱いている事は操ったガキどもを介して理解済みでアモーレ!』
ホシノ「――お前らッ!!」
アミーボ『おっと!動くなでアミーボ!それ以上一歩でも近寄ったり、こちらに銃を向けたらこの“センセイ”がどうなるか分かるでアミーボ?』
ホシノ・ヒナ「「……!」」
アモーレ『それが嫌なら、そこで大人しく見守ってるでアモーレ。最も――』
アミーボ・アモーレ『『大人しくしていた所で、返す気は微塵もないでアミーボ/アモーレ!!』』
- 140二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:14:09
このレスは削除されています
- 141二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:14:53
(アミーボ・アモーレが空中の先生を操り、自分たちの間に挟む!)
(さらに散らばっていた毛糸をかき集め――先生共々自分たちに巻きつけていく!)
ホシノ「先生、せんせえっ!!」
ヒナ「先生に一体何を――!?」
マコト「な、なんだ……一体何が起きている!?」
スオウ「分からん。だが、とてつもなく嫌な予感がする……!」
アミーボ・アモーレ『『クックック……!さあ、その目に焼き付けるがいい!』
アミーボ・アモーレ『『我らが一世一代の大仕掛け、究極の編み細工!』』
アミーボ・アモーレ『『集大成たるこの傑作をもって――今こそ、キヴォトス完全征服達成でアミーボ/アモーレ!!』』
(かき集められた毛糸が輝き、先生とアミーボ・アモーレを包み込む)
(そして、光が消えた時。現れたのは――)
アミーボ・ロボ『『クックック……』』
(それは、毛糸で編まれた禍々しい兵器の姿をしていた)
(球形の胴体に歯車めいた脚部、そして道化師とも伯爵とも思わせるような不気味な外装)
(本体たる魔杖は両腕の代わりに取り付き、両サイドから兵器を操っていた)
(先生の姿は見えない。恐らく、より内部に封印されてしまったのだろう。ホシノ達がどれだけ目を凝らしても、人影さえ見当たらなかった)
アミーボ・ロボ『『さあ!覚悟するでアミーボ/アモーレ!』』
アミーボ・ロボ『『この形態となった我らは無敵で最強!お前たちが叶う道理は一切なし!』』
アミーボ・ロボ『『我らに逆らった愚行の報い、その身をもって味わい悔むがよい――!』』
- 142二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:15:19
マコト「あいつら……このマコト様の先生に、ふざけた真似を!」
ヒナ「断じて、あなたのものでもないわよ。……絶対に許さないアミーボ・アモーレ」
スオウ「だが、どうする?見た所先生とやらは完全にあの中だ、迂闊に攻撃すればどんな影響があるか――」
ホシノ「ゆるさない」
(ギリ、と。ホシノが強く歯を食いしばる)
ホシノ「先生を捕まえて、あんな風にしたアミーボ・アモーレも。こんなになるまで、呑気にそこら中ほっつき歩いてた私も。絶対に、絶対に許さない……!」
スオウ「小鳥遊、ホシノ……?」
ヒナ「あなた、身体が光って――」
ホシノ「何としてでも、先生は助け出す。その為なら私の身体なんてどうなったっていい」
(ホシノの目は、最早アミーボ・アモーレを見ていなかった)
(その目が捉えているのは、過去の自分自身)
(かつて一つの過ちから、大事な先輩を守れなかった過去。それから長い時をかけて築いた、新たな絆であり『大切』を守れなかった現在)
(その悔恨と憤怒、そして決意が――彼女の身体に変化を起こす!)
ホシノ「だから、何だっていい!力を!私に――あの人を、今度こそ救える力を寄越せ――!」
- 143二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:15:39
スオウ「!?」
ヒナ「これ、は――!」
マコト「な――何ィいいい!?」
(――それは、本人でさえ無意識の叫びだったのだろう)
(ホシノが宿す神秘と、ホシノが喰らった魔法のメタモルトマト)
(二つが嚙み合い、昂ぶった感情に引き起こされた結果――一つの奇跡が完成した!)
ホシノ「……う、へ?私、どうなって……?」
マコト「こ、今度は何だ。突然、小鳥遊ホシノの身体が光ったと思ったら我々まで……!?」
ヒナ「――嘘でしょう」
スオウ「視界が、高くなって……これは、何かに乗っている、のか?」
(ホシノが冷静さを取り戻すと同時に、スオウ達もまた自らを襲った異変に気がつく)
(四人の身体は、いつの間にか眼前のアミーボ・ロボと目線が合う高さにまで移っていた)
(否、移っていたのではなく。それは――)
ホシノ「うへ?(手元にあるレバーに気が付く)」
マコト「は?(ホシノが向かって右のレバーを倒した所を目撃する)」
ヒナ「……(レバーを倒したのと同時に、『それ』の右腕が動いたのを確認する)」
スオウ「――(現状を把握・理解し、完全に思考を放棄した)」
(端的にまとめると)
(四人は今、ホシノをデフォルメしたような見た目のロボに乗っていた)
(それも――アミーボ・ロボと同じく、全身毛糸で編まれたロボに)
四人『…………』
四人『は――はぁああああ!!?』
- 144二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:15:56
ホシノ「どどど、どうなっちゃってるのさ!?なんでおじさん達、ロボットに乗ってるの!」
マコト「知るかぁ!むしろ私が知りたいわ!お前はどんだけ無茶苦茶なんだ、小鳥遊ホシノォ!」
ヒナ「でも、これはある意味好都合かもしれない」
スオウ「好都合……?何がだ、風紀委員長……(遠のきかけた意識をかろうじて繋ぎ止めている図)」
ヒナ「経緯と状況はどうあれ、目の前には敵が作った兵器。そしてこちらにも、対抗できそうなロボ……ロボ、が一機」
ヒナ「だったら、やるべき事はただ一つ。――これを使って、先生をあいつらから救い出す」
ホシノ&マコト&スオウ「「「!!」」」
スオウ「――できるのか?下手をすれば、中に囚われているだろう先生もただではすまないぞ」
マコト「そ、そうだ!もし、先生に万一の事があれば……」
ホシノ「よし。やろう、風紀委員長ちゃん」
マコト「おいい!?小鳥遊ホシノ!?」
ホシノ「大丈夫だよ。上手く説明できないけどさ、『あの』ゲヘナ風紀委員長ちゃんがやるって言うのなら、何かしら勝算があるって事でしょ?」
ホシノ「だったらおじさんは信じるよ。その勝算ってやつをね」
ヒナ「……言ってくれるわね、小鳥遊ホシノ。そうまで断言されると、面映ゆいのだけど」
ホシノ「んじゃ、やめる?」
ヒナ「まさか。あなたにそこまで言われたのだもの、私だって今更引き下がらないわ」
ヒナ「それに――向こうも、いい加減待ちくたびれたようだしね」
(アミーボ・ロボが全身を震わせ、ホシノロボ(仮)に向かってくる)
(その姿に、渋っていたマコトとスオウも覚悟を決めた)
アミーボ・ロボ『『さっきからごちゃごちゃとうるさいでアミーボ/アモーレ!そんなへなちょこ細工、我らの手で木っ端みじんにしてやるでアミーボ/アモーレ!!』』
スオウ「来るぞ、小鳥遊ホシノ!」
マコト「ええい、こうなればやけだ!私もお前の策とやらに乗ってやる!その代わり、しくじったら許さんぞ!」
ヒナ「いいから黙って見てなさい、マコト」
ホシノ「よおし!それじゃ始めるよ!」
ホシノ「これがほんとにほんとの、最終決戦だ!!」
- 145二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:18:57
- 146二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:45:17
- 147二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 04:17:46
- 148二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 13:40:02
昼ほし
- 149二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 20:50:33
原作より人数増えて賑やかな最終決戦ですね!続き楽しみにしてます
- 150二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 00:06:51
>>144の続き
(ホシノロボvsアミーボ・ロボ、その戦いは一方的なものとなった)
(互いに主兵装はミサイルであり、真っ向からの撃ち合いを繰り広げた最終決戦)
(相手はキヴォトスを改変し、制服せんと目論んだ元凶)
(当然、死闘を覚悟し最悪の場合共倒れも覚悟していた。の、だが……)
ボガーーーン!!
アミーボ・ロボ『『ウギャ―――で、アミーボ/アモーレ!!』』
ホシノ「うわっ、よっわ!?」
スオウ「おい、どうなってる……ほとんどこちらが撃ってるだけで終わったぞ」
マコト「さすがのマコト様もこんなに一方的だと少し引く」
ヒナ「まあ、元々他人を操って好き放題するのが本領のようだし?自分で戦う事自体慣れてなかったんでしょう」
アミーボ・アモーレ『『グ、グギギギ……!』』
(本当に、本当にあっけなく決着はついた。ついてしまった)
(開戦と同時に相手のミサイルを撃ち落しつつ、ひたすら撃ち返し続けたホシノ達)
(アミーボ・ロボも当初こそ果敢に反撃していたが、それも本当に最初の内だけ)
(気が付いた時には、ロボの残骸たる毛糸とその傍らに倒れる魔杖達が転がっていた……)
アミーボ『お、おのれおのれおのれ!かくなる上は、もう一度切り札の出番でアミーボ!』
(毛糸の山から、拘束された先生の姿が浮き上がる)
(再び人質の盾にでもするつもりなのか、魔杖達は手元に吸い寄せようとして――)
ホシノ「させるわけないでしょ、ボロ杖ども」
アミーボ・アモーレ『『な――ぬあああっ!?』』
(アミーボ・アモーレ目掛け、ホシノが再び、そして躊躇なくミサイルを発射)
(操りの力を阻まれ、先生が落下しかけるも)
- 151二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 00:07:21
ヒナ「――させない!」
(すかさず、ロボから飛び出したヒナが先生を受け止める!)
(ついでに邪魔な毛糸を強引に取り払い、その身体を解放した!)
マコト「なぁっ!ひ、ヒナの奴いつの間に!?」
スオウ「目にも留まらぬ速さだったな。さすがは、ゲヘナの風紀委員長……」
ホシノ「風紀委員長ちゃん!先生の具合は!?」
ヒナ「……大丈夫、どうやら気絶してるだけみたい。見た限り、だけど怪我の類は見当たらないわ」
ホシノ「そっか、よかった」
ホシノ「――さてと。それじゃ、次はこいつらの番だね」
(ロボから飛び降り、ホシノ達が地面に転がる魔杖たち――アミーボ・アモーレに近寄る)
(先程のミサイルが決定打になったのか、魔杖たちは抵抗もせず震えながらホシノ達を見つめるばかりだった)
アミーボ『あ、あわわ!あわわのわ!』
アモーレ『そ、その――ど、どうか。命だけはお助けを……』
ホシノ「――(ハイライトが消えた目のまま、パキポキと指を鳴らす)」
マコト(いつになく冷徹な顔で、スナイパーライフルをリロードする)
スオウ(ショットガンをリロードし、片方の目で鋭く睨みつける)
- 152二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 00:07:56
アミーボ・アモーレ『『…………』』
アミーボ・アモーレ『『さ――さいならー!でアミーボ・アモーレ!!』』
(状況の圧倒的不利を悟り、反射的に飛び去ろうとするアミーボ・アモーレ)
(だが。そんな甘えた逃走が許される筈もなく、直後魔杖たち目掛け機関銃による弾幕が浴びせられた!)
アミーボ・アモーレ『『ギャアアアアッ!!?』』
ヒナ「どこへ行くつもり?まだこちらの用は済んでないのだけれど」
アミーボ・アモーレ『『ひ、ヒィィッ!!』』
(射ち落とされたアミーボ・アモーレの行く手を遮るように、絶対零度のヒナが立ち塞がる)
(さらに後ろからはホシノ達が無表情で迫り――)
ホシノ「とりあえず、ぶっ壊すのは確定でいいよね?」
マコト「当然だ。イロハ達だけでなくイブキにも手を出したのだからな。百回、いや千回虎丸で轢いても飽き足りんくらいだ」
スオウ「だが、その前に学園と皆を元に戻してもらわねば。……何、楽しみは後で取っておくのも手だろう?」
ヒナ「そうね。私としては拷問とか趣味ではないのだけれど――今回は別」
四人「「「「こいつらだけは絶対許さない/許さん」」」」
(ギラリ!と。四人の瞳が鋭く光る)
(最早元凶たるアミーボ・アモーレに希望は残されてなどおらず)
(ただ、迫りくる『その時』を震えて受け入れる他なかった……)
アミーボ・アモーレ『『あ――アァアアアアア~~~~!!!』』
(――かくして。キヴォトスを襲った大事件、『ハイランダー消失事件』と『キヴォトス毛糸災害』はここに終着を迎える)
(今回もまた、『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』とその仲間たちにより救われたキヴォトス)
(元凶たる魔杖たちの断末魔が夜空に轟く中――毛糸に変えられた全ては、再び元の姿を取り戻していくのだった……)
- 153二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 00:08:34
- 154二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 01:13:43
- 155二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 01:58:13
- 156二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 05:10:01
早朝ほしゅ
- 157二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 14:37:49
お昼ほしゅ
- 158二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:16:41
>>152の続き
シノン「皆様、おはようございます!クロノススクールのアイドルレポーター、川流シノンです!」
シノン「本日はキヴォトス物流・交通の要にして、つい先日起きたばかりの消失現象で話題のハイランダー鉄道学園にやって参りました!」
シノン「本校舎およびそこにいた生徒丸ごと消失し、キヴォトスを震撼させた大事件。さらに間を置かず襲来した怪異アミーボ・アモーレ!」
シノン「この二つの、より詳細な因果関係を確かめるべく今回はハイランダーの方々に直撃取材を試みたいと思います!」
シノン「おっと!言ってる傍から第一号生徒を発見!すいませーん、お時間よろしいでしょうかー!」
(シノンがたまたま通りがかった眼帯姿の生徒に駆け寄る)
(その生徒――朝霧スオウ監督官は突然の声掛けに驚いたものの、即座に落ち着いて返答した)
スオウ「クロノスの生徒か?いきなり何の用だ」
シノン「はい!実は私たち、先日この学園で起きた消失事件の事について調べておりまして――」
スオウ「……またか。その件なら、学園側の事務局に対応を一任してあると伝えた筈だが?それに、連邦生徒会とヴァルキューレにも報告は済ませてある。そちらからも公式のプレスリリースが為されていると思うのだが」
シノン「もちろん、存じ上げておりますとも!ですが――」
スオウ「ですが?」
シノン「まだ、何かあるんじゃあないですか?連邦生徒会にも、ヴァルキューレにもお伝えしていないとっておきのネタとかが!」
スオウ「――」
- 159二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:17:07
(溜息を吐き、露骨に面倒臭そうな態度を示すスオウ)
(実際クロノスの来訪は今回の件が初ではなく、既に二桁に届く勢いで行われていた)
(青筋を立てるのをどうにか堪え、無難に受け流そうとしたその時)
ハイランダー監督官A「す、スオウ監督官大変です!」
スオウ「何だ、こんな時に。見ての通り、マスコミ対応中なんだが?」
ハイランダー監督官A「そ、それが。謹慎処分中だった例の双子が脱走して、勝手に列車を走らせておりまして……!」
(ビキッ!と。スオウの額に青筋が立つ)
(その様子に、スクープチャンスか!?と目を輝かせるシノンだったが)
スオウ「すまない、急用ができたので失礼させてもらう。後、そちらからの返答に関しては今後事務局以外での対応は一切お断りさせて頂くので悪しからず」
シノン「へ?いや、あの、ちょっと――」
スオウ「もし仮に、うちの生徒が何かしら漏らしたとしても――その内容は、ハイランダーの公式発表とは一切関係ないガセネタであると思って構わない。では、私はこれで」
(それ以上シノンには何も返さず、駆けつけた監督官共々現場に急ぐスオウ)
(残されたシノンは、ぽつんと立ち尽くすばかりだった……)
- 160二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:17:56
(所変わって、ゲヘナ学園・パンデモニウム・ソサエティー本部)
マコト「ごめんなぁ~、イブキぃ~。私がもっとしっかりしていれば、お前を怖い目に遭わせず済んだというのに……」
イブキ「いいよ、マコト先輩!だってイブキ、操られてた時の事そんなに覚えてないもん!だから、そんな気に病まないで!」
マコト「嗚呼……!イブキ、お前はなんて天使なんだ!いや、最早お前が神か!?」
イロハ「バカな事言ってないで、仕事してください。あと、そうやってイブキを甘やかすの何度目だと思ってるんですか」
サツキ「うふふ、マコトちゃんったら私たちが目を覚ましてからずっとああだものね?」
チアキ「う、羨ましい……。私らにも同じくらい優しくしてくださいよ~!」
マコト「黙れ。お前たちは恥を知れ、恥を。イブキを危険に晒しておいて何だその言い草は」
チアキ「ひどいっ!?」
イロハ「ぶん殴っていいですかねこのバカ議長」
サツキ「い、イロハ?気持ちは分からなくもないけど、我慢よ我慢?」
(そうして、いつもの如くワーワーギャーギャーと騒がしくなる万魔殿の執務室)
(あれだけの大事件後もあっという間に元の態勢を立て直し――あるいは元から立て直す程の態勢がなかったとも――とにもかくにも、今日も平常運転を続けるのであった)
(そして。平常運転を続けているのは、万魔殿だけではなく……)
ヒナ「アコ。ここからここまでの書類、お願い。必要な分の決裁は済ませておいたから」
アコ「了解です、ヒナ委員長!」
ゲヘナ風紀委員「委員長、大変です!また温泉開発部の連中が街中で採掘作業にかかっているとの情報が!」
ヒナ「イオリを指揮官に現場へ部隊を回して。私もすぐに出る。アコ、後の対処は任せた」
アコ「了解です!お気をつけて、ヒナ委員長!」
- 161二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:18:21
(一時間後…)
アコ「お疲れ様です、ヒナ委員長。こちらコーヒーです」
ヒナ「……ありがとう(ごきゅごきゅ)」
アコ「……」
ヒナ「?どうかした?」
アコ「い、いえ!何でもありません!」
ヒナ「そう」
アコ「――――(そわそわ)」
ヒナ「……。アコ、言いたい事があるのなら、今の内に言う。私だって暇じゃないんだから」
(ヒナに眇められ、アコは反射的に背筋を正す)
(直後、申し訳なさそうな顔になりヒナへ頭を下げた)
アコ「……その、いつぞやは申し訳ありませんでした。ヒナ委員長」
ヒナ「毛糸事件の事?それならとっくに済ませた筈だけど。あれは――」
アコ「『あなた達の落ち度じゃない、私の力不足でもあった』ですよね。ええ、よく覚えています」
ヒナ「なら」
アコ「ですが!……それでも、私は私を許せないんです!ヒナ委員長を危険に晒し、あまつさえ敵のいいように弄ばせてしまった事。ヒナ委員長なきゲヘナを守れなかった事。そして、まんまと敵の手に落ち、ヒナ委員長と敵対してしまった事も……!」
ヒナ「――」
アコ「委員長からしてみれば、結果的に大した事ではなかったのかもしれません!ですが、それでも私は――!」
ヒナ「アコ。もういい」
- 162二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:18:42
(ヒナの言葉に、アコは俯いていた顔を上げる)
(そこにあったのはいつもの無表情で冷徹な風紀委員長ではなく。部下を慮り気遣う少女の顔があった)
アコ「ヒナ、いいんちょう……?」
ヒナ「――許せない、か。似たような言葉を、あの事件の中でも耳にしたわ」
ヒナ「その子は、今のあなたのように自分を責めていて。そして――そこで立ち止まらず、自分の力に変えて見せた」
アコ「!」
ヒナ「あなたはどうなの、アコ。そうやって、いつまでも自分を責め続けて闇の中に留まっているのか。それとも、『彼女』のように状況を切り開く糧に昇華するのか」
ヒナ「少なくとも。私の知る天雨アコは、前者より後者を良しとする生徒だったと思うのだけど?」
アコ「~~~!い“い”ん“ちょ”お“~~~!!」
(ヒナの激励を前に、アコが滂沱の涙を流す)
(そのまま自分に抱き着き、すり寄る彼女を、この時ばかりはヒナも突き放さず優しくなで続けた)
ヒナ「けど。意外だったわ、アコがそんなにも自分の無力さを反省してただなんて」
アコ「ふえ?」
ヒナ「アコの事だから、てっきり先生辺りにでも焚きつけられていつもの気力を取り戻していたと思ってたのだけど……そういう心構えだったのなら、私も遠慮しなくてよさそうね」
アコ「い、委員長?あの、何の話を」
ヒナ「何の話、って――ゲヘナ風紀委員会総出による、戦力向上の為の特別訓練計画だけど?」
- 163二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:19:02
(アコの顔が、一転して青ざめる)
(風紀委員会の特別訓練計画。それは、時たまに行われる地獄の鍛錬を意味する)
(曰く、その訓練に送られた者は送られる前とでは別人のようになる。曰く、訓練を全うできなかった者はゲヘナの大地の肥やしになる。曰く、その訓練とはかの『雷帝』直々に発案されたものである――等々)
(いずれにせよ、全ての風紀委員にとっては悪夢以外の何物でもなく。アコもまた、その地獄の味を嫌という程過去に味わっていた側であった)
ヒナ「日々の業務もあるからいきなり全員、という訳にはいかないけど。まあ、上手い事シフトを合わせながら回していくしかないわね」
アコ「ひ、ヒナ委員長。あのその、わ、私はあくまで自分の不甲斐なさを悔やんでいただけで。そんな、委員長がお考えになられたように訓練を所望していたわけでは……」
(冷や汗を流しながら、必死で撤回させようとするアコ)
(が。そんな彼女に対し、鬼の風紀委員長は笑顔で部下に告げるのであった)
ヒナ「大丈夫よ、アコ。あなたも昔、同じ訓練を乗り越えたのでしょう?なら、今回もきっと大丈夫」
ヒナ「だから――私と、いえ私『たち』と共に、生まれ変わりましょう。どんな脅威も跳ねのけられる、無敵の風紀委員に、ね?」
アコ「…………」
アコ「――うわぁあああ!なんでぇええええっ!?」
(ゲヘナの空にアコの絶叫が響き渡る)
(この後話を聞いたイオリとチナツも同じように絶叫する事になるのだが、それはまた別の話……)
- 164二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:19:23
(一方その頃。アビドス高校別館では)
アヤネ「――と、いうわけで。今月の返済ペースは以上の通りとなります」
ホシノ「ふむふむ(ナデナデ)」
ノノミ「予想はしていましたが、今週も大変そうですね~」
ホシノ「そだね~、おじさんも気合い入れて頑張らないとだ(モミモミ)」
シロコ「ん、それでも私たちが力を合わせればきっと何とかなる」
ホシノ「シロコちゃんは頼もしいな~。おじさんも後輩が育ってくれて嬉しいよ~(モフモフ)」
セリカ「…………」
ホシノ「ん?セリカちゃん、そんな渋い顔してどしたの(サワサ――)」
セリカ「い・つ・ま・で!密着!してるのよー!!?」
(チュドカーン、と。そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで、セリカが絶叫する)
(さながら火山噴火かガス爆発か。登校してきてからというもの、後輩たちにべったりベタベタな先輩を前にとうとうセリカの堪忍袋は爆裂した)
ホシノ「う、うへえ!?どどど、どうしたのさセリカちゃん。そんな急に怒り出して、おじさんまた何かやっちゃった?」
セリカ「どうしたのか、はこっちの台詞よ!朝からずっと、私たちにくっついてベタベタベタベタ……いい加減暑苦しいわ!」
アヤネ「ま、まあまあセリカちゃん。ホシノ先輩も私たちを心配しての事だから」
セリカ「知ってるわよ!あんな大事件があった後だもの、そりゃあホシノ先輩にだって心のケアが必要だと思ったから我慢してたけど……!」
セリカ「けど!だからといって限度があるでしょ、限度が!こんな朝から下校時間まで毎日毎日べったりされてたら、いい加減我慢の限界よ!」
ノノミ「私は別に構いませんよ~。ホシノ先輩に揉まれるの、満更でもなくなってきましたし~☆」
シロコ「ん、セリカ反抗期?思春期の子どもの扱いは難しい……」
ホシノ「う~ん、シロコちゃんがそれを言うと感慨深いものがあるな~」
セリカ「反抗期違うわ!てか、先輩たちも同じ年頃の子どもでしょうが!」
- 165二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:19:48
(ぜえぜえハアハアと、吐き散らかしたのか肩で息をするセリカ)
(その姿を見ると、ホシノは肩を竦めてセリカに謝った)
ホシノ「ごめんごめん、おじさん調子に乗りすぎちゃった~」
ホシノ「なんせ今回の戦いはみんなと長い事離れ離れだったからねぇ。アビドス成分が足りなくなっちゃって、ついべったりしちゃった」
セリカ「いや、アビドス成分って何よ?」
ホシノ「うへ~?じゃあ、対策委員会成分?」
セリカ「いや、そっちでも意味わかんないし!」
(頓珍漢なホシノの言葉に、鋭くツッコミを入れるセリカ)
(そんないつも通りの対策委員会の光景に――しかし、シロコだけは真顔で目を細める)
アヤネ「シロコ先輩?どうしました?」
シロコ「……ん。何でもない。ただ」
アヤネ「ただ?」
シロコ「なんとなく、だけど。ホシノ先輩、どこか無理してるような気がした。それだけ」
ノノミ「…………」
(シロコの言葉に、ノノミもまた思う所があったのか。一瞬だけホシノの方に視線をやる)
(が。すぐにいつもの笑顔を浮かべると、しまっていたあるモノを取り出した)
ノノミ「――そういえば。今日は皆さんに贈り物があるんでした~」
ホシノ「うへ?」
セリカ「お、贈り物?何それ」
ノノミ「じゃじゃ~ん☆」
(ノノミが通学用カバンから『それ』を取り出す)
(それは、ハイランダーの校章が入った菓子折りだった)
- 166二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:20:11
アヤネ「ノノミ先輩、これは――」
ノノミ「今朝、ハイランダーの方から届いたものです~☆先日の事件解決に協力してくれた、お礼の品なんだとか~」
シロコ「開けてみるね(バリバリ)」
アヤネ「シロコ先輩!?早い、早いです!あと開け方が雑!」
ホシノ「どれどれ~?」
セリカ「中身は――クッキーにマドレーヌに、それとお饅頭……?いや、どういうラインナップよこれ」
ノノミ「何でも、各学区の特徴をモチーフにしたお菓子詰め合わせだって言ってました。早速みんなでお茶にしましょ~」
ホシノ「いいねえ!おじさん、このクッキーもーらい!」
セリカ「あ、ズルい!じゃあ、私はこっち!」
シロコ「なら、私はこのお饅頭を貰う」
アヤネ「ちょっ、皆さん!こういうのはちゃんとバランスを……」
(中身を巡り合い、あっという間に争奪戦を繰り広げる対策委員会の面々)
(そこには先輩も後輩も関係なく。ただ、年頃の少女らしい光景が広がっていた――)
毛糸のホシノ編、おしまい
- 167二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 00:21:26
- 168二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 01:05:55
- 169二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 01:38:49
お疲れ様でした!
いやー面白かったです!
こうたくさんの作品を見てみると、この世界線のブルアカをゲームで見てみたくなりましたよ。
さて、ディスカバ編書くぞ〜。夜に更新となりますのでよろしくお願いします!