- 1◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:29:42
- 2◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:31:16
※注意事項
このスレは、ばんえい競馬を見に行って脳を焼かれたスレ主がなんとなく作ったダイスを使ったレースゲームのテスト用です。
スレ進行とノリでゲームルールが改訂/アップデートされます。
まだキャラの外見や特徴が未定な点が多く、最低限の特徴を捕らえただけなので、絵は今後も変わっていくかもしれません。
あと、だらだらとフレーバーが書かれています。
それでも良ければお付き合いください。
現在、テレグラフが貼り付けられないため、まとめテキストを貼っていきます。
テレグラフはリンク先の、tの後ろの全角『あ』を削除してください。
tあelegra.ph - 3◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:31:51
4スレ目
【ばんえいウマ娘】オリウマ娘が北の大地を駆ける4|あにまん掲示板あたしは、特にこれといった特徴のない、どこにでもいる平均的なウマ娘!それでも、ウマ娘に生まれたからにはレースの世界に飛び込んでみたい!輝いてみたい!その念願がかなって、帯広トレセン学園に入学できました…bbs.animanch.com3スレ目
【ばんえいウマ娘】オリウマ娘が北の大地を駆ける3|あにまん掲示板あたしは、特にこれといった特徴のない、どこにでもいる平均的なウマ娘!それでも、ウマ娘に生まれたからにはレースの世界に飛び込んでみたい!輝いてみたい!その念願がかなって、帯広トレセン学園に入学できました…bbs.animanch.com2スレ目
【ばんえいウマ娘】オリウマ娘が北の大地を駆ける2|あにまん掲示板あたしは、特にこれといった特徴のない、どこにでもいる平均的なウマ娘!それでも、ウマ娘に生まれたからにはレースの世界に飛び込んでみたい!輝いてみたい!その念願がかなって、帯広トレセン学園に入学できました…bbs.animanch.com1スレ目
オリウマ娘が北の大地を駆ける|あにまん掲示板※注意事項①このスレッドは、スレ主がなんとなく作ったダイスを使ったレースゲームのテスト用です。②バランスが悪い、あんまり面白くないと感じたら削除するかもしれません。③初スレ立てで進行が不慣れなのに加え…bbs.animanch.com - 4◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:33:02
キャラクター紹介
【概要】1/2
名前:カミノクニスノウ
種別:ばんえい種(日本輓系種)
耳飾り:左耳
目の色:濃い青灰色
学年:不明
毛色:青毛
身長:191cm
スリーサイズ(いずれも100に近いほど大)
B:dice1d100=31
W:dice1d100=9
H:dice1d100=50
脚質:先行
特技:未定
苦手な事:未定
ルックス:dice1d100=59(100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
雰囲気:dice1d100=9(100に近いほどボーイッシュ。1に近いほどガーリー)
髪の長さ:dice1d100=32(100に近いほど長い/100で腰以上。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
髪の癖:dice1d100=91(100に近いほど直毛/ストレート。1に近いほど癖っ毛/ウェービー)
- 5◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:34:48
【概要】2/2
趣味:
イラスト描き
ほとんど熱中しておらず、暇な時にちょっと描いたりするくらい。
描き始めて5年ほどで腕前は人並みか、やや下。
得意な事:
・動物(特に猫)の扱いが上手い
・ヘアアレンジが得意
備考:
・出生地は北海道上ノ国町(かみのくにちょう)。檜山管内。
・実家はコメ農家。
・五人姉妹の長女。妹はヒトミミが二人。ウマ娘が二人。
・祖母はめちゃくちゃ強かった。通算成績109戦50勝の通称”上ノ国の女傑”。
・トレセン入学前の一時期が残念な環境だっただけで幼少期の実績はある。
・実は怪我からの復帰直後(入学前に肋骨を骨折。現在は回復済み)
・実はすごい寂しがり屋。
・愛用のどきゅーとタイシンを実家に置いてきている。二体目を寮にお迎えするのは断念した。代わりのぱかプチ六体の為にアルバイト奮闘中。
・各種職業への適性がやたら高い。むしろレースより仕事した方がいいくらい。
・ジンギスカンはタレ派。
直近の戦績:
選抜レース (ばんえい200) 9着/模擬レース (ばんえい200) 3着/メイクデビュー (ばんえい200) 1着/ジュニア級Cクラス戦 (ばんえい200) 1着/ハイセイコーマート帯広駅前店リニューアル記念 (ばんえい200) 1着/白菊賞 (ばんえい200) 3着/いちい賞 (ばんえい200) 1着
BGⅢ ナナカマド賞 (ばんえい200) 1着
南北海道地区選抜特別 (ばんえい200) 1着
赤鼻のトナカイ特別 (ばんえい200) 8着
BGⅡ ヤングチャンピオンシップ (ばんえい200) 4着
インフラ保守に感謝しよう記念 (ばんえい200) 1着
BGⅡ 黒ユリ賞 (ばんえい200) 1着 - 6◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:37:30
寮の同室
【概要】
名前:シャコータングラム
種別:ばんえい種(日本輓系種)
耳飾り:左耳
目の色:暗緑色
学年:不明
毛色:芦毛
身長:208cm
スリーサイズ(いずれも100に近いほど大)
B:dice1d100=95
W:dice1d100=5
H:dice1d100=42
脚質:逃げ
特技:未定
得意な事:未定
苦手な事:未定
ルックス:dice1d100=18(100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
髪の長さ:dice1d100=4(100に近いほど長い/100で腰以上。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
髪の癖:dice1d100=15(100に近いほど癖っ毛/ウェービー。1に近いほど直毛/ストレート)
備考:
・出生地は北海道積丹町(しゃこたんちょう)。後志管内。
・ジンギスカンは塩コショウ派。
主な戦績:
いちい賞 (ばんえい200) 3着/BGⅢ ナナカマド賞 (ばんえい200) 2着/南北海道地区選抜特別 (ばんえい200) 2着/BGⅡ ヤングチャンピオンシップ (ばんえい200) 2着
BGⅡ 黒ユリ賞 (ばんえい200) 2着
- 7◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:38:40
カミノクニスノウのトレーナーさん
【概要】
名前:正式名は未定
種別:人間男性
年齢:27歳
実力:dice1d100=55(100に近いほどハイスペック)
ルックス:dice1d100=32(100に近いほど美形。1に近いほど地味)
体形:dice1d100=69(100に近いほどグラマー/デブ。50で標準。1に近いほどスレンダー/痩せ)
性格:dice1d100=46(100に近いほど明るい/ポジティブ。1に近いほど厳格/物静か)
人格:dice1d100=83(100に近いほど人格者)
人脈・コネ:dice1d100=41(高いほど広い)
趣味:
ゴルフとクロスワードパズル
どちらも結構ハマっている。ゴルフ歴7年、クロスワード歴3年。
腕前は不明。北海道だしゴルフはパークゴルフかも?
備考:
・カミノクニスノウを勧誘した理由は、たまたま模擬レースを見て、磨けば光るものを感じた。
・スレ主の解釈としては「チームのサブトレ上がりか新人トレーナー」「地味だけど爽やかな体育教師」。
ただし未定部分が多いので、大いに変化する可能性あり。
・名前はまだない。
- 8◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:39:26
名前:クインルゴサローズ
種別:ばんえい種(日本輓系種)
耳飾り:左耳
目の色:ローズレッド
学年:不明
毛色:芦毛
身長:205cm
スリーサイズ(いずれも100に近いほど大)
B:dice1d100=69
W:dice1d100=44
H:dice1d100=67
脚質:先行
特技:未定
得意な事:未定
苦手な事:未定
ルックス:dice1d100=79(100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
髪の長さ:dice1d100=85(100に近いほど長い/100で腰以上。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
髪の癖:dice1d100=81(100に近いほど癖っ毛/ウェービー。1に近いほど直毛/ストレート)
備考:
・出生地は北海道美唄市。空知管内。
・大輪の花のような雰囲気のほわほわ口調ウォーモンガー。
主な戦績:
白菊賞 (ばんえい200) 1着/いちい賞 (ばんえい200) 2着
北央地区選抜特別 (ばんえい200) 1着
BGⅡ ヤングチャンピオンシップ (ばんえい200) 1着
BGⅡ 黒ユリ賞 (ばんえい200) 3着
- 9◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:40:26
名前:モチモッツァレラ
種別:ばんえい種(日本輓系種)
耳飾り:なし
目の色:マゼンタ
学年:不明
毛色:鹿毛
身長:219cm
スリーサイズ(いずれも100に近いほど大)
B:dice1d100=23
W:dice1d100=11
H:dice1d100=32
脚質:逃げ
特技:未定
得意な事:未定
苦手な事:未定
ルックス:dice1d100=38 (100に近いほど美形。1に近いほど可愛い)
髪の長さ:dice1d100=25 (100に近いほど長い/100で腰以上。1に近いほどショート/1でシャカール並み)
髪の癖:dice1d100=20 (100に近いほど癖っ毛/ウェービー。1に近いほど直毛/ストレート)
性格:dice1d100=47 (100に近いほど明るい/ポジティブ。1に近いほど厳格/物静か)
備考:
・出生地は北海道美深町。上川管内。
・粘り強い足腰が持ち味。
・試しにパラメータを振ったところ根性がほぼ最低値だった為に他ステと入れ替えられた。
・未だにイメージイラストがない。
主な戦績:
白菊賞 (ばんえい200) 2着/BGⅢナナカマド賞 (ばんえい200) 3着/BGⅡ ヤングチャンピオンシップ (ばんえい200) 3着
- 10◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:42:15
【参考資料】
実際のばんえい競馬オフィシャルHP
【公式】ばんえい十勝/馬の一発逆転ライブショー世界で唯一の競馬【ばんえい十勝】オフィシャルホームページ。馬券購入、ライブ映像、騎手情報、馬券購入方法、レース協賛等、ばんえい競馬に関する情報が満載!banei-keiba.or.jpHBC制作の「ばんえい競馬」についての番組
- 11◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:45:25
【ルール説明】
・コースについて
――ばんえい競バで使用されるコースは、直線200メートルのダートのみ。
――スタートからゴールまで走るレーンが決まっているセパレートコースとなる。
――ばんえい競バで使用されるコースの直線200メートルは、五つのエリアから成り立っている。
――スタートから第1障害までの約35メートルの直線。『第1直線』。
――続いて、高さが1メートルになる『第1障害』。
――降りた後が、第1障害から第2障害間で約77メートルの『第2直線』。
――続いて、高さが1.6メートルになる『第2障害』。
――最後が、第2障害からゴールまでの約62メートルの『最終直線』。
なおゴール手前40メートル地点には、上り勾配5パーセントになる10メートルの坂がある(冬季は撤去される)。
・判定について
――対象エリアごとに2d6を振る。
――対象エリアは、それぞれ難易度に応じた基準値を持つ。これに『ばんえい重量補正』を加えた値が、その対象エリアの最終的な基準値となる。
――各エリアでは使用するパラメータが決められている。
( 2d6の出目 + パラメータ補正 + 根性補正 + 脚質補正 ) が、そのエリアでの自分の走りの値となる。
――( 2d6の出目 + 各種補正) - ( 基準値 + 『ばんえい重量補正』 ) = 成功量となる。
――成功量が大きいと、そのエリアでの走りが良かったことになり、小さいと悪かったことになる。
――5エリア分の成功量を出したら、最終着順ダイス1d10を振る。
――1d10の出目 - ( スタミナ補正 + やる気補正 + 天候/馬場補正 + 5エリア分の総成功量+ライバル補正) = 最終着順となる。
――各エリアをスムーズにクリアしている(総成功量が大きい)と最終着順ダイスの出目が悪くても勝利となる。
――いずれかのエリアで成功量がマイナスになってスタミナ補正でカバーしきれなくなると、そこがスタミナ切れの表現となる。
――天候/馬場補正は、スキルの天候/馬場○×とレース状況にあわせて最終着順ダイスに補正値(-1~+1)を受ける。
――同じレースに名ありのライバルが出走していると、ライバル一人につき-1の補正を受ける。 - 12◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:45:45
・作戦について
――作戦は、そのレースで取る作戦となる。
――脚質と作戦が一致しないと、下記の脚質補正は得られない。
なお現状で作戦と脚質に関するスキル未実装なので脚質と作戦を変える意味は今のところ無い。
――脚質により得意範囲が決まる。脚質ごとに全5エリア中の2エリアを対象とする。
――対象エリアでのダイス判定への補正値+1を受ける。
――逃げ → スタート-第1障害~△第1障害 =『第1直線』+『第1障害』
――先行 → △第1障害~第1障害-第2障害 =『第1障害』+『第2直線』
――差し → 第1障害-第2障害~△第2障害 =『第2直線』+『第2障害』
――追込 → △第2障害~第2障害-ゴール =『第2障害』+『最終直線』
・各種補正について
――ばんえい重量500kgごとに、各エリアのダイス判定を行う際の基準値に対して補正(+1~+10)を受ける。
未勝利戦で重量2500kg、G1クラスは重量5000kgとなる。
――やる気(絶不調~絶好調)に応じて、最終着順ダイス判定への補正値(-2~+2)を受ける。 - 13◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:46:04
・スキルについて
――スキルごとに、発動するエリアや条件、発動するための基準値、効果がそれぞれ決められている。
――レース中に発動条件が一致すると自動的に発動判定となる。発動判定の際は、賢さの補正値がダイスの出目にプラスされる。
――( 2d6の出目 + 賢さ補正) ≧ スキルの基準値 で発動成功となる。
――レース中に行われる各種動作は、自分だけではなく他人も行っている(例えば、刻んだりする等)。
――本システムにおいては、他者よりも上手く「その動作を行える」と言うことがスキルの表現となる。
スキル『集中力』
スタートが得意になり 出遅れる時間がわずかに少なくなる。
発動エリア:第1直線
基準値:8
効果:発動成功時に、第1直線での判定ダイスの出目に+1される。
スキル『刻み○』
レース中盤で無駄のない息の入れ方でわずかに疲れにくくなる。
発動エリア:第2直線
基準値:10
効果:発動成功時に、最終着順ダイスの出目に+1される。
スキル『道悪○』
「重」のバ場状態が少し得意になる。
発動エリア:レース前
基準値:無し(バ馬水分による)
効果:レース開始時のバ場水分 2.0%未満の重バ場の時に、最終着順ダイスの出目に+1される。重バ場で無条件発動する。 - 14◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/23(火) 23:47:06
・成長について
――パラメータ上昇判定
――パラメータは低いと上がりやすく、高いと上がりにくい。
判定は対象パラメータのランクによって変動し、
ランクA~B:2d6≧9
ランクC~D:2d6≧7
ランクE~G:2d6≧6
で+1となる。
――上がらなかった場合は、次回の成長チェック時に確率アップするヒントLvが付与される(ヒントLv1につき次以降の出目+1)。
――スキル習得判定
――対象スキルの発動基準値が、そのまま習得の基準値となる。
2d6+賢さ≧基準値
で習得する。
――習得できなかった場合は、次回の習得チェック時に確率アップするヒントLvが付与される(ヒントLv1につき次以降の出目+1)。
――なおイベント扱いで習得判定が除外されるケースも多い。 - 15二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 10:24:43
保守
- 16二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 20:22:00
次は焼肉回か
トレーナーの財布vsスノウの食欲はどうなるかな - 17二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 21:57:23
いい筋肉…
- 18◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/24(水) 23:00:56
※スノウちゃんはGⅡに勝ったことで、ついにGⅠ出走が見えてきました。
GⅠで着る勝負服なのですが、まだデザインが決まっていません。
先に進む前に、まずはどんな衣装なのか、ざっくりと決めていこうと思います。
勝負服メインカラー
R:dice1d255=83 (83)
G:dice1d255=41 (41)
B:dice1d255=117 (117)
勝負服露出度
dice1d100=43 (43)
(100に近いほど肌面積が多い。1に近いほど肌面積が少ない)
勝負服デザインライン
dice1d100=89 (89)
(100に近いほど格好いい系。1に近いほど可愛い系)
- 19◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/24(水) 23:29:54
メインカラーは濃い目の紫、露出度は普通、かなり格好良さに振ったデザイン。
スノウちゃん自身が可愛い系の雰囲気なので、わざと逆方向に振ってみたのでしょうか。
しかし、次はどういう風に絞り込んだものか…。 - 20◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/24(水) 23:54:02
勝負服デザインの方向性を振ってみます。
ファッションセンス皆無のスレ主には、選択肢を考えるのがなかなかに辛い。
勝負服デザインの方向性
1.共通勝負服のようなドレス系(Starting Future、New Star Roseのようなスカート系)
2.共通勝負服のようなドレス系(Glorious Azureのようなショーパン系)
3.共通勝負服のようなドレス系(Snowy Integrity、Road of Radianceのようなコート系)
4.ストリート風
5.サイバーパンク風
6.ゴシック風
7.和風
dice1d7=6 (6)
- 21◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/24(水) 23:59:49
- 22二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 10:52:57
保守
- 23二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 21:21:36
保守
- 24二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 21:37:39
このレスは削除されています
- 25◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/25(木) 21:40:38
※せっかくなのでスノウちゃんと同じテーブルを使って、シャコータングラムの勝負服を決めておこうと思います。
デザインの方向性がスノウちゃんと被ってしまったので、振り直しで。
勝負服メインカラー
R:dice1d255=232 (232)
G:dice1d255=135 (135)
B:dice1d255=43 (43)
勝負服露出度
dice1d100=60 (60) (100に近いほど肌面積が多い。1に近いほど肌面積が少ない)
勝負服デザインライン
dice1d100=73 (73) (100に近いほど格好いい系。1に近いほど可愛い系)
勝負服デザインの方向性
1.共通勝負服のようなドレス系(Starting Future、New Star Roseのようなスカート系)
2.共通勝負服のようなドレス系(Glorious Azureのようなショーパン系)
3.共通勝負服のようなドレス系(Snowy Integrity、Road of Radianceのようなコート系)
4.ストリート風
5.サイバーパンク風
6.ゴシック風
7.和風
dice1d7=1 (1)
- 26◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/25(木) 21:45:16
メインカラーはオレンジ、やや露出多め、格好良さに振ったデザインの大きなスカートタイプのドレス。
爆乳なシャコたんが露出過多にならなくて一安心。 - 27◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/25(木) 22:18:42
ここまで出番が増えると思わなかったので、今まで全然決めていませんでしたが、シャコータングラムの趣味を決めていこうかと思います。
とりあえず二つほど趣味があるという事で、まずは大きなカテゴリから。
シャコータングラムの趣味ですが…
1.アウトドア 2.囲碁・将棋 3.イラスト 4.占い 5.園芸 6.音楽 7.格闘技 8.華道 9.カメラ 10.カラオケ 11.車・バイク 12.ゲーム 13.茶道 14.スポーツ 15.釣り 16.登山 17.ウェルネス 18.パズル 19.グルメ 20.その他ホビー 21.なし
dice2d21=4 9 (13)
です。
- 28◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/25(木) 22:43:20
その中でも、占いは…
1.相性占い 2.血液型占い 3.星座占い 4.姓名判断 5.タロット 6.手相 7.風水 8.夢占い 9.トランプ占い 10.その他
dice1d10=5 (5)
カメラは…
1.カメラ 2.写真撮影(アウトドア系) 3.写真撮影(インドア系) 4.ビデオカメラ 5.動画撮影
dice1d5=4 (4)
が好きだそうです。
ハマリ具合と歴を今から決めるとキャラが変わる恐れがあるので、不明にしておきます。
- 29二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:04:17
撮影が目的じゃなくてカメラというガジェットが好きってことか、家電オタク的な。
- 30二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 10:04:42
小型ジンバルカメラとか動作にロボ感があって見てて面白いしね
ガジェット好き同士でトランセンドと気が合いそう - 31◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/26(金) 21:27:04
ダルいです。
全身の筋肉痛はいつものことなのであまり気にはなりませんが、とにかく体が重くて力が入らず怠いです。
こんな状態でやっても効果どころかデメリットしかないので、トレーニングは無しです。
トレーナー室に置いてある来客用の二人掛けソファを贅沢に独り占めして寝転がりながら、取り留めもなくイラストを描きます。とは言っても本格的なものではなくノートに鉛筆で描いて、色鉛筆で彩色する程度。お世辞にも上手いとは言えませんが、そこそこ長く続けているおかげで、描く速さはあります。
シャシャシャと、静かな室内に鉛筆の走る音が妙に大きく響きます。
黒ユリ賞はあたしが1着、グラムさんが2着。
寮にいても、同じようにレース後の燃え尽きた状態になっているグラムさんと同じ部屋。
気まずいとかそういうのでは無しに――ばんえいウマ娘はレース外ではのんびりした気質でレース結果を引きづらないので――お互いに疲れ切っていて会話すらする気力がありません。あたしが寮にいない理由は単純。気力ゼロのばんえいウマ娘二人が存分にダラダラゴロゴロするには、寮の部屋はちょっと狭いのです。昨日もグラムさんにくっついて寝ていましたが、布団の中と外とでは話が別です。それになんだかんだで寮は数百人からが生活を共にする空間なので煩いですし。おそらく、グラムさんも自分のチームの部室で同じようにしている筈。
全身のエネルギーを一気に燃やし尽くしたレースの後。体の奥深くまで染み込んでいる重い疲労は、心まで疲れさせます。つまり、やる気も出ません。
なので、ダラダラします。
分かってくれているので、トレーナーさんは何も言いません。むしろトレーナーさんも仕事していません。
実際に体を動かすトレーニング以外にも、他の子のレース映像を見て勉強したり、トレーニングの手段論や方法論などのトレーニング学の理論など学ぶべき事柄はあるのですが、トレーナーさんはレース直後の調子は把握してくれていますので、今日は完全にオフの日です。片方が休んでいるのに、もう片方が仕事をしていたら、気まずくなったりもするでしょう。
なので、トレーナー室で二人揃ってダラダラします。
よし。
デフォルメされた大怪獣ルゴサドンがトレセンを破壊するイラストが完成です。これは見つからないように注意しましょう。
次は何を描きましょうか。 - 32◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/26(金) 21:30:47
あたしはソファの上で目的もなくイラストを描いて、トレーナーさんは自分のデスクで雑誌のクロスワードパズルを相手にぶつぶつ言いながら頭を悩ませています。
決めた。
トレーナーさんをスケッチし始めました。
じっとトレーナーさんの、こうして眺めてみると意外に凛々しい横顔を見つめながら、鉛筆を操ります。
視線をトレーナーさんとノートとを行ったり来たりさせながら、頭では別の事を考えていました。
黒ユリ賞優勝のご褒美。
文字通り、勝ち取った権利とは言え、ちょっと言い出しづらい。
あの時はレース直前で気が昂ってましたから普通に言ってしまいましたが、冷静になった今となっては、少しばかり赤面モノです。
立って走れたばかりのとねっこでもないのに『ご褒美ちょうだい』とか。しかも『なんでも一つ』とか。
しかし、このまま無かった事にするには、勿体ない。
悩んでいると、視線を感じたのか、先手を打たれました。
「どうかしたかな?」
「いや、あのトレーナーさん、あれですよ。ほら、もし勝ったら何か一つご褒美にお願いをって」
あわあわと意味もなく手が動きます。
「いいよ」
拍子抜けするほど、さらりと言われました。
公序良俗に反するものはダメだけどね、とも苦笑いしながら付け加えられました。
「スノウ君に嘘は付かない。トレーナーと担当バの間には、なによりも信頼が無ければね。
スノウ君のお望みとあれば、僕はなんでもしようじゃないか?」
茶化し気味のトレーナーさんの言葉。
であれば、こちらも遠慮するのは失礼というもの。
「焼肉食べに連れていってください!」
今度こそ、トレーナーさんは笑い出しました。
「あっははは!スノウ君は欲がないな!いや、ある意味、欲に忠実なのかな。
そうだな、ナナカマド賞に勝った時にいったジンギスカンでいいかい?」
「せっかくですし、ジンギスカンではなくてですね……」 - 33◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/26(金) 21:31:43
- 34二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:56:15
なかなかチャレンジャーだなぁw
- 35◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/26(金) 23:30:28
※スノウちゃんは、またそういう下調べが大変なのを引いてくれますね……。
お高い炭火焼肉や鉄板焼きでディナーとはならないのが、彼女らしいと言えばらしいのですが。
とりあえず、トレーナーの人脈・コネ:41を下回るかどうかチェックします。
dice1d100=77 (77)
- 36二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 08:48:39
ウサギ、ハト、シカなんかはそのへんのスーパーでは売ってないですね。
ダチョウ牧場はトレセンからだと遠いかな?
アジア系ならカエルやワニとか…
昆虫食は肉って感じじゃないから除外でしょうかね〜 - 37二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 12:43:23
大怪獣ルゴサドンがすごく気になる
- 38◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/27(土) 19:30:04
※大怪獣ルゴサドンは、スノウちゃんがその場で考えたデザインです。
シングレの怪獣オグリンみたいなので、モチーフは言わずもがな。 - 39二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 22:37:03
ばんえい十勝 帯広競馬場でウマ娘コラボイベントですってよ!
- 40◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/28(日) 00:12:02
なんかすっかり定番イベントになってきましたね。
見に行きたいですが、飛行機使わないと行けないのは厳しい。
9/14(土)~15(日) ウマ娘 プリティーダービー×ばんえい十勝コラボイベントばんえい十勝では、今年もウマ娘 プリティーダービーとのコラボイベントを実施いたします。4名のウマ娘キャストを招いてのトークショーやPOP UP STOREの出店、来場者プレゼントなど、盛りだくさん…www.banei-keiba.or.jp - 41二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 09:18:58
保守
帯広までの飛行機代がもっと安ければなぁ - 42二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 19:20:47
保守
- 43◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/28(日) 23:45:23
「なるほど。それならば、善は急げ、だな。体が戻ってきたらトレーニング優先でゆっくり食べている暇も少なくなりそうだ」
トレーナーさんは机の上に放り出してあったスマホを取り上げ、おもむろにどこかに電話をかけ始めました。
「あ、――さん。お久しぶりです。いつもお世話になってます。帯広トレセンの、ええ、はい……そうです、担当を持つようになりまして。
……おお!ご存じでしたか。いつも見て頂いているとは、ありがとうございます!それで、ですね……」
いつもとは全く違う口調のトレーナーさん。
「あぁ、それは残念です。――さんのところのは美味しいので、うちの担当にも食べさせてやろうと思ったのですが……ええ、その時は是非に。
はい……はい、ありがとうございます……はい。では、また。失礼いたします」
「どなたですか?
恐る恐る声をかけます。
「知り合いの猟師さん」
トレーナーさんは事も無げに答えました。
「鹿肉を分けてもらおうと思ってね。残念ながら、今は回してもらえるだけのストックがないそうだ。
珍しいのと来たから、枝肉を分けて貰って学園の食品加工室で燻製にでもしよう、と思ったんだけどね。
獣害対策として野生動物の食肉化に関する実証実験という事にすれば学業の点数も貰えるしで一石二鳥だったんだが、そうそう上手くはいかなかったよ」
トレーナーさんは肩をすくめてみせました。
獣害は農家にとって死活問題なので、鹿は駆除できるものならして欲しいのが本音ではあります。
米農家は直接の食害は比較的少ないですが、群れの移動中に田んぼに入って泥にハマって暴れて稲をなぎ倒したりするし苗を食べるしで、奴らにかける慈悲はありません。
ただ、今回実際やろうとしたのは燻製パーティなのですが。大人のやり方。
「まだまだスノウ君はこんなやり方を覚える必要はないけど、何事にも建て前は大切だよ。
建て前があって筋が通っていれば、何でも押し通せる。そして愛バの為であれば、どうとでも理由をこじ付けてでも何でもやるのがトレーナーさ」
言いながら、トレーナーさんはまたスマホを構えました。
「週末じゃないから混んではいないと思うけど、念のために予約いれておこうか」
「どこ行くんですか?」
「普段食べない肉、食べに行きたいんだろう?」 - 44◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/28(日) 23:47:26
制服のまま店に連れて行くわけにはいかない、という事でいったん寮に帰らされ、遅くなるといけないからという事で外出届も書かされました。
これで万が一に寮の門限を過ぎても安心です。
理由欄には、トレーナーさんから指示されて書いた「野生動物の食肉化に関する実例の情報収集」で、同伴者はトレーナーさんになっています。
提出された申請書と、制服でもジャージでもトレーニングウェアでもない私服姿のあたしを見比べた受付当番の先輩は、神妙な面持ちで受け取って受理欄と、さらには寮長が押すはずの承認欄にもハンコを押してくれました。
そして一言、
「頑張れよ」
と、よく分からない励ましをくれました。
大食い勝負の店でもないですし、何を頑張るんでしょうか? - 45◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/28(日) 23:49:02
帯広駅から、わずか徒歩5分。
飲食店や居酒屋が連なる、そこにあるのは屋台村。
帯広の観光名所としてすっかり定着した感のある、いまでは全国あちこちにある屋台村の先駆けとなった場所です。とは言うものの、あたしは知識で知っているだけでしたけれど。学生なので食べにも呑みにも行ったことはありませんし、そもそも堂々と飲み屋が連なる場所を、店が開いている時間に歩いていたら怒られます。
「うわぁ~」
辺りの賑やかな様子に、思わず惚けたような声が出ます。
看板を見れば、和食、炉端焼き、居酒屋、イタリアンと個性豊かな様々なお店が集まっています。店舗一つ一つはごく小さく、どこも10人も入れないようなプレハブの屋台。それが一本の通り沿いに20軒ほど、みっちりと軒を連ねて立ち並んでいます。
行き交う人も様々で、地元なのかいかにも慣れた風情の人、カメラ片手の明らかに観光客の人、外国の方の姿もちらほらと。みんな酔っ払う前か、酔った後か。食べる前か、満腹か。本当に雑多です。
トレーナーさんは人波をかき分け、迷うことなく歩いていきます。周りの全てに目移りしているあたしも、遅れながらもそれに続きます。
「店長さん、お久しぶりです」
「あの……お邪魔しま~す」
学生で、こういう場所に通い慣れていない身では場違いな感が半端ないです。自然体で一軒の屋台に滑り込むトレーナーさんの背を追って、体を縮こまらせるようにして、扉をくぐりました。
店長の威勢のいい声が、あたしとトレーナーさんを出迎えてくれました。
トレーナーさんの紹介では、店長さんが猟師もしているそうで。
「ほいよ、鹿肉ソーセージと豚肉ソーセージの盛り合わせ。ギガサイズで」
店長さん自らが仕留めた獲物を自分で料理して出してくれるお店です。
店が狭いという事は、客と厨房もごく近いという事です。
目の前で焼き上げられていく、極太のソーセージの音と香りのパンチが強烈に五感に突き刺さります。ジュージューという肉の焼ける音は普段よりも近く、馨しい香りは鼻を通り抜けて胃袋を直接殴ってくるかのよう。 - 46◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/28(日) 23:56:22
トレーナーさんは日本酒。
あたしはジュース。
目の前には、山盛りの肉。
口の中は、もう生唾でいっぱいです。
なんですか。この肉を前に待てって言うのは、新手の拷問ですか。
「スノウ君、黒ユリ賞優勝おめでとう」
「ありがとうございますいただきます!!」
トレーナーさんと交わす祝杯もそこそこに、目の前で湯気を立てているソーセージにかぶりつきました。隣で苦笑しているトレーナーさんも目に入りません。
牛ではない。もちろん豚とも、羊とも違う。
もちもちした赤身なのに肉質は柔らかく、脂が少ないので淡白ですが、しっかりとした旨味が感じられます。臭みはありませんが、野趣と言いますか大自然を感じる香り。
美味い。
ひたすらに美味い。
口いっぱいに溢れ出る肉汁を鹿肉と一緒にかみ砕き飲み込む。熱々なソーセージを極上の音とともに食いちぎり、咀嚼する。その幸せっぷりと言ったら!
飲み込むごとに胃から鼻へと抜けていくのは豊かな肉の香り。変な臭さはほとんど無く、普段食べているお肉と違うのは確かですが、これこそが鹿肉の香りでしょうか。
「ああ、おうちのお米が欲しい……!」
この脂がたっぷりと染み込んだ、実家で採れた白米を食べたい。
太く長く油に塗れてテラテラと濡れたように光る肉の棒。それを咥えて口内に招き入れては、噛みちぎり、もぎもぎと噛み砕いては飲み込んでいく。
はふ、と満足の溜息と共に零れでます。
「羆のハンバーグ、お待ち」
食感はかなり硬めです。肉の密度が高くて、ミンチ肉にしてハンバーグにしてもなおギシッギシッと噛み分けようとするこちらの歯に歯向かってくる、まさに山の王者である羆らしい力強さ。刻んだ行者ニンニクがたっぷり混ぜ合わせって匂いを消そうとしてもなお、独特の香りが強い。
でも、美味い。 - 47◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/29(月) 00:00:49
国内最強生物のパワーを分けて頂く心持ちで、夢中で頬張ります。
「いやぁ、お嬢ちゃん、よく食べるねぇ。さすがは、ばんえいウマ娘だねぇ」
たまたま一緒にいたお客さんの、褒めるような呆れるような口振り。ばんえいウマ娘とその食べる量を知っているという事は、地元の方でしょう。
「もしかして、お嬢ちゃん、レース走ってる子かい?」
「ええ、そうですね。まだジュニア級ですが、つい先日のレースで勝ちまして」
さりげなく、お酒の入っている他のお客さん達との間に入ってくれるトレーナーさん。
「んん?どっかで見たと思ってたら、あの吹雪いてたレースで勝った子かい!カミノクニスノウだろ?レース見たよぉ!」
「ははは、ありがとうございます。今後も応援していただけると嬉しいですよ」
「マジで?!いや、すっげ。似てんなとは思ってたけど、すんません、握手してもらっていいスか」
「え~?この子、レース走ってるんですか~?トゥインクルは見たことあるけど、ばんえい競バは見たことなくって~。
筋肉スゴいんですよね~?触らしてもらっていいですか~?」
「いいですよ。じゃ、そこに手を置いたままにしてくださいね……いち、にの、フンッ!!」
ばんえい競バの、こじんまりとしているからこそのファンとの近さでしょうか。
トレーナーさんとのご飯は途中から、ばんえい競バを知っているファンや知らない皆さんとの交流が始まって、思っていたのとはちょっと違うご褒美になりましたが、ファンとの交流や、お肉を堪能したのでした。 - 48◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/29(月) 00:04:01
「スノウさぁ、これちょっと夜食っつーには、重くない?」
鹿肉ソーセージのギガサイズ盛り合わせ。
他の匂いも充満している店内では兎も角、寮部屋の中では、その香りは凄まじい存在感を放っています。
なぜか不憫そうな目であたしを見る受付当番の先輩に帰寮の報告をして、部屋に戻りがけに食堂によって電子レンジで加熱したせいでソーセージは温かいです。おかげで香りもすごいですが。
「ですね。ちょっとはしゃぎ過ぎて、量をミスったかもです」
そこは素直に謝ります。
「でもですね、トレーナーさんと行ったお店が、すごい美味しかったんですよ!
飲み屋さんだったんであたし達だけではいけませんから、テイクアウトしてきました」
にっかりと笑います。
「も~すごく美味しくって!それで、グラムさんとも一緒に食べたかったので!」
グラムさんが溜息をつきながら、それでも笑顔を見せます。
呆れたような、照れたような、それらが混ざったような不思議な笑みでした。
「ウチと一緒に、か……」
美味しかったから。
一緒に食べたかったから。
つい先日にバチバチに闘り合った間柄だと言うのに、屈託なく、蟠りなく、そこには純粋に友を想う心情しかなく。
「なんのお話です?」
「いんや、なんでもないべさ。ウチは良い友達持てて幸せだなぁってお話」 - 49◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/29(月) 08:42:29
- 50二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 17:51:27
お肉が食べたくなったので、今日のお昼はすた丼
- 51二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 19:40:04
ムッチムチでムッキムキとか性癖壊れる
- 52◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/29(月) 22:58:32
※夏バテに加えてオリンピック馬術を観戦していて、次のアイデア全然浮かばないスレ主です。
バロン西よ、ウラヌス号よ、日本はやりましたよ。
帯広競バ場には、ばんえい競バに選手として出ていて、引退してからお客様案内係をやっているハクウンリューちゃんやフクスケちゃんがいます。
レース開催日などは、ふれあいの一環として、小さなお子さんを抱き上げたり肩に座らせたりしてくれます。
自分の腰ほどもある太い腕で抱かれて、自分の頭と同じくらい巨大な胸が当たったりして、今日も帯広に住む男子小学生の性癖を捻じ曲げていることと思います。 - 53二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 09:25:49
保守
- 54二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 20:03:25
保守
- 55◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/31(水) 00:06:28
※保守してくださっている方々、ありがとうございます。
現在、2月上旬のBGⅡ黒ユリ賞が終わり、ジュニア級の最強決定戦であるBGⅠイレネー記念まで一ヶ月を切っています。
現状ではジュニア級は4強状態となっていますが、それぞれのイレネー記念にむけての心構えを見ておこうかと思います。
カミノクニスノウ
自信度
dice1d100=31 (31) (100に近いほど自信あり。1に近いほど不安が大きい)
シャコータングラム
自信度
dice1d100=78 (78) (100に近いほど自信あり。1に近いほど不安が大きい)
クインルゴサローズ
自信度
dice1d100=84 (84) (100に近いほど自信あり。1に近いほど不安が大きい)
モチモッツァレラ
自信度
dice1d100=69 (69) (100に近いほど自信あり。1に近いほど不安が大きい)
番外
カミノクニスノウのトレーナーさん
自信度
dice1d100=5 (5) (100に近いほど自信あり。1に近いほど不安が大きい)
- 56◆Lj.vT9ErJJ7R24/07/31(水) 00:10:21
- 57二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:51:57
甲子園落としたとはいえG3とG2勝っておきながらものすごく不安になるじゃん
中途半端に突出した成績ながら感触として自分のほうが強いとはみじんも感じられないからめちゃくちゃ不安って感じなのだろうか - 58二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 09:50:09
ローズの自信度84が、まぁそうだよなって感じ
- 59二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 19:10:32
保守
- 60◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 01:07:43
- 61二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 09:00:01
朝の保守
- 62二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 18:59:57
保守
- 63◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:20:42
BGⅡ黒ユリ賞を勝利で飾って後、無理をせずに集中的に休んだおかげで、ようやく体が回復傾向に乗ってきました。
次走であるイレネー記念まで一ヶ月を切っています。
イレネー記念は、デビュー初年度のジュニア級の最強を決める競走。ジュニア級三冠の最後の一冠。ばんえいウマ娘王国である十勝の歴史を受け継ぐ伝統の一戦です。グレードは、ばんえい競バの最高峰であるBG1に格付けされています。
自然、心は逸ります。
焦っても意味はないと分かってはいても、今すぐやらなければならないもっと頑張らないといけない、と思ってしまう。誰が出走してくるのかを考えると、何もかもが足りていないと思えてしまう。
十分な休養は得ました。今のところ目立った怪我や不調はありません。全身あちこち軽く疼くような筋肉痛に、手も足もテーピング塗れなのは、いつもの事です。
そのジュニア級最高峰のレースに向けて、ここから出来る限りのトレーニングを積み、コースに立つ時に最高のコンディションであるように持っていくよう調整の日々が待ち構えています。
「では、ロードワーク行ってきます」
「スノウ君も分かってるとは思うけど、念のため。
ここ最近暖かいから日中は少し路面が解けてるけど、日陰は凍ってる。スリップには十分に注意するように」
「はい、気を付けます!
……トレーナーさん、大丈夫ですか?」
最近、トレーナーさんは妙に元気がない気がします。
正確に言えば、元気はあるようには見えるのですが、影が薄くなっていると言うか、生命力が薄っぺらくなってきていると言うか。
あたしのトレーニングが終わってからも、かなり遅くまでトレーナー室に残っている様子がありますし、トレーナー室のゴミ箱に入っている栄養ドリンクの空き瓶の本数が増えているような気もします。
「まぁ最近は何かと立て込んでいるから疲れ気味であるのは確かかな。でも、大したことはないよ。
僕もスノウ君も初めてのGⅠ挑戦だ。これ以上ないくらいに準備しておかなければいけない。
それに、スノウ君が練習しているのに、僕だけゆっくり休んでいる訳にはいかないからね」
そう言って、軽く笑いました。 - 64◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:23:30
そう言われてしまえば、あたしはそれ以上は追及するわけにもいかずです。
トレーナーさんは大人ですし、トレーナーだから自分の体調管理も大丈夫だろう、と自分を納得させました。
何かがおかしいのですが、確証の無いぼんやりとした気配程度でしかないので、誤魔化されてしまいます。
歯痒い。
ですが、それを解決する方法はない。だったら、あたしは自分のやるべき事をきっちりやって答えを出して、トレーナーさんへの負担を減らすしかないでしょう。仮に全てがあたしの気の迷いや勘違いだったとしても、そうするのは損にはならない筈。
シューズの底をチェックし、しっかりと刻み蹄鉄の溝が残っているか、取り付けが緩んでいないかを確認。
あたし達ばんえいウマ娘は重いですからね。下手に転んで、一般の人を巻き込んだら大変です。
トレーナーさんが言われたように、日中はそこそこ気温が上がるようになってきていて陽が当たると路面やアスファルト上にへばりついた氷が解けるようになってきました。素直にそれが解けて消えてくれれば楽なのですが、そんな訳はなく。
流れた雪解け水ならぬ氷解け水は、ちょっと冷えるとまたすぐに凍り付きます。そうすると、うっすらと路面に氷が膜を貼ったアイスバーンの出来上がりです。
これが厄介なのです。最近は、ロードワークに非常に気を遣う日が続いています。
とは言っても、トレーニングメニューからランニングを欠かすわけにはいきません。勿論トレーニングルームにはランニングマシンがありますが数に限りがあるので、いつでも使えるわけではありません。
ばんえい競バはパワー勝負のレースとは言っても、その選手にはランニングも大切です。
ばんえいウマ娘ですと筋力を追い求めて筋トレばかりと思われがちですが、そのパワーの源は心肺機能です。有酸素運動であるランニングで不要な脂肪を燃やし、また心肺機能を向上させるにはとても大切なのです。筋トレとランニングは互いに支え合う関係で、車輪の両輪と言っても良いでしょう。
平地競争を走る軽種のウマ娘さん達ほど速く走れはしませんが、ばんえいウマ娘もウマ娘。けして鈍重ではないのです。 - 65◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:26:48
この時期、路面の不規則な凍結に加えて、他にも理由があり校外のランニングは大変です。
路肩に設置されているウマ娘専用レーンが、車道から退かした雪で埋もれており、たまに雪の小山と化して立ちはだかっている場合があるからです。そういう時は速度を落として、歩道に入らざるを得ません。油断して車道に出ると危ないので注意するよう、トレーナーさんや先輩方から入念に指導を受けています。
今も歩道に残る根雪をザッカザッカと蹄鉄で蹴り飛ばしながら、道行く人を跳ね飛ばさないように速度を落としてランニングです。
せいぜいジョギング程度のスピードとは言え、ばんえいウマ娘の体重でぶつかると人間は大抵吹っ飛びます。
そうして、スピードを落として、周りに注意しながら走っていたおかげでしょう。道沿いにある名前も知らない小さな公園に、知った顔を見つけられたのは。
緩くウェーブして広がる豪奢な芦毛。バランスよく厚い、立派な体躯。
クインルゴサローズさん。
と、彼女を取り巻く何人もの子供達。
小さな公園の真ん中で、ダブルバイセップスのポージングを決めるクインルゴサローズさんがいました。ボディビル会場でもありませんし、何をしているんでしょうか?
ただ、ボディビル会場と言えなくもない様子でしたが。両腕を曲げて拳を上げ、手首を捻って力こぶを出したダブルバイセップスのポーズのクインルゴサローズさんを、観客めいた様子で子供達が取り囲んでいます。
ここからですとよく見えませんが、おそらくは彼女の広背筋にも力が漲り、内側から押し出した筋肉でパンパンにジャージが張り詰めているでしょう。子供達がその様に引いた感じはありません。むしろ期待が見られます。
「さぁ!おいでなさぁい」
クインルゴサローズさんの号令と同時に、ワッとばかりに子供達が飛びかかりました。
我先にと飛びかかった子供達は、クインルゴサローズさんの身体中のあちこちにしがみつき、
「おーほっほっほっほっ!」
クインルゴサローズさんは、子供を貼り付かせたまま、その場でグルグルとフィギュアスケートのスピンのように回転を始めました。
「……え?!」
あまりの予想外の動きに、顎が落ちるかと思いました。 - 66◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:28:16
高笑いをBGMに回る即席メリーゴーラウンドが回転を重ねていくたびに、甲高い楽しそうな悲鳴を上げながら、しがみ付いていた子供達が公園の雪の上に振り飛ばされていきました。
子供ってああいうの好きですよねー。
現実逃避なのか、頭の片隅からやたら冷静な感想が出てきます。
ランニングの足を止めて見ていると、それを何回も繰り返しています。
ばんえいウマ娘、しかも現役でレースを走るアスリートですから、小学生程度の子供が何人くっつこうが大した負荷にもなっていないでしょう。それはそれとして、即席メリーゴーラウンドが回転する時、ぶれていない軸がクインルゴサローズさんの体幹の良さを感じさせます。
何回目でしょうか。
またしても両腕と言わず子供をぶら下げて、残るは、やや年齢が高めの男子小学生が一人。
空いているのは、クインルゴサローズさんの真正面のみ。
と、その子の目尻がヤニ下がり、ニヤリと笑いました。そして、なにか丸い大きなものを鷲掴みにするように手指を広げて飛びかかりました。狙うモノは明白。グラムさんほどではないにしても、クインルゴサローズさんにも掴まるには程よい出っ張りがあります。
エロガキがおっぱいにぶら下がってやろうとして、指が触れるか触れないかの瞬間。
「奮ッ!」
一瞬、クインルゴサローズさんの身体がブルリと霞みがかかったかのように震え、飛びかかったエロガキが正反対の方向に弾き飛ばされました。
彼だけではなく、彼女の身体にくっついていた他の子供達がすべてクインルゴサローズさんを中心とした同心円状に弾き飛ばされ、それぞれの体重にあわせて様々な小さな放物線を描きます。
わずかに宙を舞った子達は、そのまま積もった雪の上にぼとぼとと落ちました。
間。
あっけにとられ、次の瞬間、口々に「すげー」「またやってー」と驚きと称賛の声を上げて今までにないほどに沸きます。
そんな盛り上がる子供達をよそに、クインルゴサローズさんがこっちを向きます。
「カミノクニスノウさん、そんなところに突っ立っていると通行人の方にお邪魔ですわよぉ」
「えへへ、バレてましたか」
「隠れるつもりもありませんでしたでしょうに、バレるもバレないもありませんわぁ」
照れ隠しに頭を掻きながら、小さな公園に入っていきます。 - 67◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:35:46
クインルゴサローズさんが言うには、この公園は彼女のロードワークの休憩ポイントに使っているんだとか。そこでたまたま遊んでいた子供達と知り合いになり、今のように遊んであげる仲になったそうです。
人は見かけによりませんね。
「聞こえてますわよぉ」
公園には、鍛えたばんえいウマ娘の巨体が二つに増えました。
子供にとって、力いっぱい遊べるというのは面白いもの。あたし達ばんえいウマ娘は頑丈なので、そんなに力を加減しないでも大丈夫です。
早速、遠慮なしに男女取り混ぜた子供達がまとわりついてきます。
が、あたしは五姉妹の長女です。妹達四人の相手を長い事してきたんです。しかも二人はウマ娘。これくらいの子らの相手するなんて朝飯前。群がって来た子供の手を取ってブランコばりに適当に振り回しては、怪我しないように足からそっと下ろす。
楽しそうに立ち向かってくる子供達を順番に、注意深くぶん回してあげます。
文字通りの意味で片手間に子供達の相手をしつつ、クインルゴサローズさんに尋ねました。
「さっきのアレ、ぶるっと震えたと思ったら吹っ飛ばしてましたけど、アレはなんだったんですか?必殺技ですか?」
「あれは寸勁ですわぁ」
「すんけい」
「ゲームや漫画とかで似たような言葉は出てきますけどぉ、本来は純粋に武術の術理を示す単語ですわねぇ」
いきなり出てきた聞き覚えの無い用語と、それが出てきた唐突さに脳がフリーズしかけます。
あたしは、目をぱちくりと瞬かせました。
「私、幼少の頃より武術を嗜んでおりましてぇ」
あたしの戸惑いに気付いていないのか、気にしていないのか、クインルゴサローズさんは話を続けます。
「要点のみを言いますとぉ、最小限の重心移動と身体操作で力を発生させて体外に作用させる技法、ですわねぇ。
あとはトレーナーさんにお聞きになられるとよろしいですわぁ」
自分は説明が上手くないとのことで、それ以上の事は教えてくれませんでした。
その後、クインルゴサローズさんと一緒に即席メリーゴーラウンドで子供達と遊ぶ羽目になったのでした。 - 68二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 22:40:20
このレスは削除されています
- 69◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:43:37
「……なんていう事があったんですよ」
「ランニングからなかなか帰ってこないから心配したけど、そう言う事情だったのか。いや、心配したよ」
「ごめんなさい、トレーナーさん」
「いやまぁ、無事だったから良いんだ」
ほっとした表情を見せたのも束の間、トレーナーさんの表情が、急に真剣さを増します。
「しかし武術か……しかも僕に聞け、と?
うーむ、寸勁か……最小限の重心移動で運動量を発生させるとクインルゴサローズ君は言ってたそうだが、興味深いな。
だいたい格闘技では打突部位の移動量が多いほど、つまり腕や足を大きく振れば振るほど打撃の威力は強くなるものだ。
けれど、寸勁は違う。まさに一寸の移動量で、十分な威力を持った打撃を加える技法ということになる。
……最小限の重心移動、身体内部での運動量の発生、か。なるほど、分かって来たぞ」
その時、ふと閃いた!
このアイディアは、カミノクニスノウとのトレーニングに活かせるかもしれない!
カミノクニスノウの成長につながった!
――スキル習得判定
対象スキルの発動基準値が、そのまま習得の基準値となる。
2d6+賢さ≧基準値 (10)
dice2d6 = 5 4 (9) +6
※誤字があったの修正です。その為、判定部分は再判定無しです。
- 70◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:44:54
カミノクニスノウは、スキル『バイキ』を獲得した!
――スキル『バイキ』
無駄のない力の使い方でわずかに障害を越えやすくなる。
発動エリア:第1障害or第2障害
基準値:10
効果:発動成功時に、第1障害もしくは第2障害での判定ダイスの出目に+1される。レース中の発動上限は1回のみ。 - 71◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 22:58:53
「私も甘いですわねぇ……」
クインルゴサローズが嘆息しながら、呟く。
カミノクニスノウに寸勁による吹き飛ばしを見せたのも、術理の原理を教えたのも、彼女の意図的な行為だった。
それが相手陣営に塩を送る形になったのは明白だ。
カミノクニスノウのトレーナーであれば、伝言越しとは言え、遠からず寸勁の意味とばんえい競バでの用途に気が付くだろう。そして、それをカミノクニスノウに身につけさせるだろう。
カミノクニスノウは愚鈍ではないどころか、まさにその逆。よく頭が回る。目を見張るほどの吸収力もある。それは授業を見ていても分かった。調子に乗りやすいという一面も、見ていてよく分かったが。
「でも、今のままのカミノクニスノウさんでは全く張り合いがないですしねぇ……。
それにしても、アレに気が付いていないのが当のコンビお二人だけとは、まったく笑い話にもなりませんわ」
寮や教室でのカミノクニスノウを見ている限りではあるが、それで判断材料とするには事足りた。
カミノクニスノウの言動はどこか浮足立ってふわふわと不安定で、集中力にも欠けている。手指に余計な動きが出るなど、無意識の所作に余裕がないのが見て取れた。
それが次走のプレッシャーに拠るものであろうと推測するに難くなかった。クインルゴサローズ自身にも身に覚えがあるからだ。何もかも初めてという次のレースを想うと、今だって胃の奥が重くなる。
さらには、そのプレッシャーを跳ねのけられるほどには自らの実力に自信が無いのだろうと、クインルゴサローズは推測した。クインルゴサローズとカミノクニスノウに違いがあるとすれば、前者にはこの胃の重みを楽しむ余裕があるところだ。
ここ最近のカミノクニスノウの有り様からすれば、それはもう自信がないどころではなく、むしろ不安が心の奥からにじみ出してきてダダ漏れしていると言ってすら良いレベルだった。
GⅢナナカマド賞にGⅡ黒ユリ賞と勝っておきながら、現ジュニア級の中で最強の一角だと言われておきながら、それにも関わらず自信がない。 - 72◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/01(木) 23:00:02
おそらくは、カミノクニスノウは自分が強いという実感がないのだ。
クインルゴサローズは、推測を重ねた上でそう結論付けた。
理由までは知らないが――レースを走るばんえいウマ娘としては華奢な辺りが理由であろうか――自信がないという事実については、それで概ね説明がつく。
クインルゴサローズはレースの勝敗への拘りは薄い。勝利の栄誉にも、最強の称号にもそこまで魅力を感じていない。その為、普通の選手であれば勝つだけ勝っておいてその言い草はなんだと憤りたくもなるだろうが、そこまで腹立たしくはなかった。
彼女が求めるのは、ひたすらに強い相手との闘争である。
強いばんえいウマ娘とレースで闘りあえるのが楽しくて仕方がなく、その楽しみを求めて帯広トレセン学園の門を叩いたのである。
とは言え、勝たなければ強い選手が参加しているレースには出られない。
クインルゴサローズが勝利を求めるのは、より強い相手と戦うための手段であって目的ではなかった。
「自信の無さは、自らの実力への不安の表れ。強くなれば、それだけ不安は消えて自信がつく事でしょう」
カミノクニスノウは同期であり、学友であり、同じ釜の飯を食った仲であり、さらには共に競い合うライバルである。
友人が苦境に陥っているのを見過ごすのは、クインルゴサローズの性に合ってはいない。そしてライバルが腑抜けていては、全くもってつまらない。赤子の腕を捻ったところで、何が面白いものか。
だからこそ、ヒントを贈ったのだった。
これでカミノクニスノウがプレッシャーを跳ねのけ、技を身に着けて強くなり、胸を張ってイレネー記念のゲートに立ってこそ、走り甲斐があるというものである。
「さぁ、カミノクニスノウさん、強くなってくださいな。
そして……存分に私と闘りあいましょうねぇ」
ベロリと厚い舌が形の良い唇を舐る。
そう独りごちるクインルゴサローズの瞳には、獲物を狙う猫科の猛獣のような光が炯々と宿っていた。 - 73二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 06:41:11
寸勁!?
ルゴサさんやべープロレスだけじゃないのね… - 74◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/02(金) 16:22:06
イレネー記念まで一ヶ月を切っている現在、スノウちゃんは自信喪失中で、傍から見て分かるくらいに不安感が溢れています。
ウマ耳や尻尾があるので、人間よりかはメンタル不調が分かりやすいのかもしれません。
そんなスノウちゃんに声をかけてくれたのは…
1.家族
2.友人
3.先輩
4.トレセン学園関係者(トレーナー以外)
dice1d4=2 (2)
- 75◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/02(金) 18:49:40
暑いので、ちょっとでも納涼を。
劇中での季節にあたる2月にやっている馬追いが、ウマ娘世界でどう落とし込まれるのか妄想のし甲斐があります。
大量の妊婦ウマ娘さんが雪を蹴散らしてランニングしている絵は、それはそれで壮観。
- 76二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 23:13:51
保守
- 77二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 06:50:30
友人かー、誰が出てくるのかな?
- 78二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 16:22:21
ただでさいゴツいばんえい馬が群れてると迫力すごいな
- 79◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/04(日) 00:18:57
※朝から神輿と山車行列に参加して、夜は盆踊りでアルコール入ってしまい文が進まないスレ主です。
AIを使って描いた、サラシ褌姿の神輿担ぎスノウちゃんのイメージイラストで保守しようとしましたが、危険になったのでお蔵入りです。 - 80二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 10:58:43
保守
- 81二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:16:32
ほ
- 82◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 00:53:53
※保守ありがとうございます。夏季休暇中でなかなか進まないスレ主です。
AIを使って描いた、浴衣姿のスノウちゃんのイメージイラストで保守しようとしましたが、概ね不知火舞みたいな格好にされるので断念。 - 83二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 09:09:39
保守
- 84◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:13:32
帯広トレセン学園の所属人数は800人ちょっと。
生徒総数2000人弱と言われている府中の中央トレセンの規模とは比べ物になりませんが、それでも結構な人数です。通える距離に実家がある子や下宿している子もたまにいますが、概ね、寮での生活となります。
それだけの生徒が使うのですから、寮の大浴場は一気に大人数が入れるように、さらには巨躯のばんえいウマ娘向けに作られているので、スーパー銭湯もかくやの規模です。
しかも寮の浴場なのに温泉。これは帯広トレセンが自慢できるポイントの一つです。
温泉地である帯広市は、市内であっても当たり前のように温泉が湧き出ており、帯広トレセンでも独立した温泉井を持っています。泉質はモール温泉。モール温泉とは、泥炭などに由来する植物性の有機物を多く含むアルカリ性の温泉のことです。肌を滑らかにして、皮膚を再生する作用があって、当然ながら筋肉痛や疲労回復にもよく効きます。まさに打ち身擦り傷が絶えないアスリートであり乙女である、ばんえいウマ娘にぴったり。
「う゛あ゛ーー」
湯の暖かさに、お父さんのような呻き声が出てきます。
大浴場の窓から見える外は既に真っ暗で、太陽なんてとっくに地平線の向こう。
消灯時刻も近い、夜遅めの入浴です。
遅めですが、まだ所々で賑やかな笑い声が起きては、お風呂場に特有の歪んだ残響を残しています。
最近、空いている時間帯を狙って来ているので、混んでいる時に比べると人影はまばら。どうにも友人達や見知った顔と一緒に入る気が起きないと言うか、はしゃぐ気分になれないのです。
手で湯をすくって、パシャリと顔を洗う。
気持ちは良いですが、気は晴れません。 - 85◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:15:14
半身浴の状態から、ずるずると沈む込むように肩まで浸かると、あたしのごつごつした三角筋と僧帽筋を湯が洗って流れ越していきます。
そのまま、身体はあたし気分と同じように沈み込み続け、口元まですっかりお湯の中。
プクプクと泡が一列に立ち昇っていっては、水面に着いて、プチンとはじけては消えます。
温泉が身体の芯まで温めてくれます。熱と温泉成分が肌を通して入り込んできて、細胞の一つ一つがプチプチと音を立てて元気になっていくような錯覚。
でも、心は身体ほどには温まりもしなければ元気にもなりません。
イレネー記念を前にして、あたしには何もかもが足りていない気がします。勝とうとしても、勝つためにやらなければいけない事が多すぎて、まるで頂上の見えない崖を前にしたように足が竦んで動けないような感じ。
あたしはあたしのやるべき事をしっかりやろうと思えば思うほど、グラムさんやクインルゴサローズさん達の強さを思い出してしまい、やるべき事がぼやけていく。
そんな、このままお湯に溶けてしまいたいと思いそうになっていた思考を、あたしを呼ぶ声が断ち切りました。
「あ、スノウちゃんだ。こんばんは」
あたしより頭一つ大きいスラリとした長身にタオルを巻きつけたモチモッツァレラさん。
「スノウちゃんもお風呂だったんだね。
あ、そうだ。ねぇ、スノウちゃん。サウナ、いきませんか?」
モチモッツァレラさんが、フィンランドサウナの方向を指差しています。
あまり誰かと一緒に過ごしたい気分ではありませんが、どっちにしろサウナで汗を流すつもりでしたし、面と向かって断るのも悪いのでモチモッツァレラさんのお誘いに乗る事にしました。 - 86◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:18:18
帯広トレセンの大浴場はとても大きな作りですが、それは湯舟だけが立派なのではありません。
サウナも、普通のドライサウナやフィンランドサウナなど、しっかりしたものが複数完備されています。フィンランドサウナで使う白樺の枝を束ねたヴィヒタは、森林科学科の子らに教わって皆が自分の分を作ります。素材は学園内に自生していますからね。
ロウリュはありますが、アロマオイルなどの芳香剤の持ち込みは禁止されています。なんでも、本来は希釈して使うべきところを熱いサウナストーンに北見産ハッカ油原液をぶちまけて、サウナを催涙ガス室にした先輩がいたそうで。
「あっつーーー」
「ききますねー」
並んで座る二人の顔から身体から、ポタポタと汗が滴り落ちては床を濡らします。足触りの良い木製の床は汗を吸って黒く変色しますが、それもすぐ乾いて元に戻る。
サウナの壁から吊るされた白樺の枝葉から発する爽やかな香りが、サウナ内を満たしてくれています。
汗が流れて、一緒に体内の嫌なものも流れ出て、代わりに開いた汗腺から熱と香りが入ってくるようで気持ちが良い。
「ねぇスノウちゃん。最近、なんか調子悪そうだけど大丈夫なの?」
その問いに、ぐっと拳に力が入ります。
言うべきか、はぐらかすか。
逡巡。
ウマ耳がへにょりと倒れます。
辛抱強く待ち続けるモチモッツァレラさんの視線に耐え切れず、とうとう吐き出してしまいました。
「大丈夫、ではないです……すごく不安なんです。次のレースが。
あたしは、どこにでもいる普通の子です。そんなあたしが強い皆と一緒にGⅠだなんて、そんなのある訳ないです。
……今まで勝ててたのだって、たまたまで」
「それで、あんなに変な感じだったんだね。うーん、不安なんだ、スノウちゃんって自分が強くないって思ってるのか~。
そっかー、私もね、我慢強いくらいしか取り柄がないんだよね」
口から心の中身が漏れ出ていくにつれて、視線がどんどん下がっていきます。
その下を向き切った頭を引き戻す言葉が、モチモッツァレラさんの口から飛び出しました。
「今から、このサウナで我慢比べしようか」
「……え?」
ひたりとあたしに向けられている冷たい視線。 - 87◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:20:06
「強い癖に、勝ってる癖に『あたしは強くなんてありません』とか、何様かな?その態度がムカつくんだよね。
挑まれて逃げるよう腰抜けなら、レースの方も今から出走取消ししてくればいいんだよ。レースに出なければ不安も消えるよ?
なにを訳分からないなんて顔してるのかな、はんかくさい!私はスノウちゃんに喧嘩売ってるんだよ?」
そこまで言われては、聞き捨てなりません。
普段はけして荒い性格ではないと自負していますが、それが勝負事、レースとなれば自分を抑えきれません。あたしの気性難がむくむくと鎌首をもたげます。眉間に皺が寄り、目が吊り上がり、人相が悪くなるのが自分でも分かります。
頭一つ上にあるモチモッツァレラさんを下からねめつける。
視線が絡み合いますが、互いに引きません。
ポツポツとサウナに入っていた先輩達が、
「ここは若いもんに任せて退散しましょっか」
「いいねぇいいねぇ青春だねぇ。存分に喧嘩するといいよぉ」
「ごゆっくり~。でも、暴れたり無茶しちゃダメだよ~」
と口々に優しく囃し立てながら、止める素振りも見せずに退室していきました。
残ったのは、あたしとモチモッツァレラさんのみ。
これでタイマンだ。
モチモッツァレラさんがサウナストーンにたっぷりと投げつけるようにして水を浴びせると、もうもうと火傷するように熱い水蒸気が上がり、サウナ内を一杯に満たしていきます。
あたしは砂時計を掴むと、ダン!と叩きつけるようにしてひっくり返しました。
乱暴に扱われた砂時計がミシッと悲鳴を上げていましたが、知った事か。 - 88◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:20:51
ダラダラと滝のように汗が滴り落ちます。
汗が出るのと一緒に肌から湯気が立ちのぼる感覚。
砂は半分が落ちました。
もわっと視界がぼやけます。
呼吸が早くなる。
砂は四分の三が落ちました。
頭の天辺から玉のような汗が流れ落ちてきて目に入ります。
ちょっとでも動くと熱い空気に当たってきついので、ウマ耳はぺったりと畳み、尻尾も腰に巻き付けたまま。
砂は最後の一粒が落ちました。
もう限界です。
あたしとモチモッツァレラさんの腰が浮いて、サウナのドアを開けるのは同時でした。 - 89◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:25:09
二人とも肌は真っ赤。
視界はふらふら。頭はぐらぐら。
息は熱くて、芯まで火照った頭と身体を冷やすのは水風呂ではとうてい間に合わなさそうです。
その時、ふと閃きました!
サウナの本場フィンランドでは、サウナ後に外に出て全裸で雪にダイブするとか。幸いにして、ここは真冬の北海道。ロケーションは似通っています。
熱で朦朧とした頭では細かい事なんか考えられず、大切なことを色々忘れているような気もしますが、どうでもいいです。
早く冷やしたい。
大浴場の片隅にある、清掃時に外に出る勝手口のドアをまさに勝手に開けて、一歩踏み出しました。
途端、びょうと吹く風。
横殴りに吹き付ける粉雪。
「――――ッ!」
あたしの口から、声にならない叫びが溢れ出ます。あまりの温度差に身体中の血管が騒いでいる。
風と雪が熱を持ち去って肌がキュッと締まる感覚。
全身から響くジンジンと疼くような感触から逃げるようにして、裸足のままで一面の雪原に飛び出した勢いのまま、駆ける。
そして、飛びました。 - 90◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 18:25:27
「だりゃーーっ!」
ボスンと体が落ちれば、雪面に描かれるのは、ばんえいウマ娘サイズの大の字。
表面の硬くしまって半分くらい氷と化した雪の板が、身体の下でバキンバキンと割れ砕けていく愉快な感触。雪面がばんえいウマ娘の体重にあっさり負けて粉々に砕けると、その下にあるのは、ふわふわのパウダースノーです。
冷たく柔らかい雪に抱かれて体が徐々に冷えていくと、喉の奥から冷たい息が出ていく不思議な感覚。
「やーーっ!」
あたしに続いて、モチモッツァレラさんも同じように、雪面ダイブ。
雪の上で大きく手を広げてひっくり返ると、暗い夜空を背景に、白い風が右に左に好き勝手に吹いていきます。
「スノウちゃん、ごめんね。あんな酷いこと言って」
「いいんです、今ならモチモッツァレラさんのやりたかった事、分かりますから」
「よかった。でも、スノウちゃんはもっと自信をもっていいんだよ。
私と同じくらい我慢強い子はそんなにいないよ。それなのに私と同着できるくらいに、スノウちゃんは強い子なんだから。
不安に思う必要なんてないんだよ。自信をもって。それで一緒にイレネー記念で走ろう?」
そっと重ねられるモチモッツァレラさんの手。
吹雪く風が強くなったのでしょうか。
視界が滲みます。
「ありがとう、ございます」
あたしは良いお友達を持てて幸せです。
そう言いたかったですが、喉が震えてお礼を言うのが精一杯でした。 - 91◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 21:53:42
「ぶえっくしょい!」
「へくちっ!」
どれだけ身体を雪に預けていたでしょうか。
二人同時にクシャミが出ます。
さすがに長く冷やし過ぎたみたいなので、またお風呂に入って温め直しといきましょう。
ガチャ。
「……開かないです」
致命的な感触が、ドアノブから伝わってきました。
「……え?」
意味が分からないと言わんばかりのモチモッツァレラさんの戸惑いの声。大丈夫です。あたしも分かりません。事態は全然大丈夫ではないですけど。
慌てて何度もドアノブを回しますが、ガチャリガチャリと鳴るだけで回り切りません。寒さと氷で固着した感触とは違います。誰かが向こう側、浴場側から締めてカギをかけていったとしか思えません。
外は弱く吹雪いていて視界が悪く、しかもあたし達二人は寝っ転がっていました。その為、ドアを閉めた人は、まさか誰かが外に出たままだとは思わなかったのでしょう。なんて、呑気に原因分析している余裕がなくなってきました。
寒い。
冷たい。
体内に蓄えた熱気の鎧が無くなって、冷えた空気が肌に突き刺さるようになってきました。
温泉で火照っていた筈の体からはすっかり暖気が抜けていて、かすかに震え始めます。寮からわずか徒歩数秒の距離で八甲田山するのは御免です。
「やばいやばい足冷たいですどこか開いてるとこまわりましょう」
「ええええ恥ずかしいよー」
しかも、あたしもモチモッツァレラさんも体にバスタオルを巻き付けて致命的な露出こそ防いでいますが、布切れ一枚外せば全裸です。こんなところでこんな姿で凍死とか、二重に恥ずかしすぎて、死んでも死に切れません。
消灯時刻前なので寮の中央玄関なら開いているでしょうけど、そこにバスタオル一枚で突入して自分の寮室まで帰るのは、凍死こそしませんが恥ずかしさで死んでしまいます。さらには社会的に死ぬかもしれません。
ドアをぶち破るのはとても簡単ですが、もしそれで校舎破壊の罪で停学とかになったら、レースも出走停止になってしまいます。
悩んでいるうちに、風と雪が容赦なくあたし達から熱を奪っていきます。
「ああああれです一階の誰かの部屋の窓から入りましょう」
「そそそそれいいね」
カチカチ鳴り始めた歯が会話の邪魔をしてきます。
「ああたしの部屋がいい一階ですしグラムさんいますいきましょう」
「それがいいねいこういこう」 - 92◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 21:55:38
「さーむーいー!!」
全力疾走です。
バスタオルはとっくに凍り付いてコルセットのようになっていて、支えなくても落ちなくなっています。
便利!
「まってすのうちゃん!あそこ!せいとかいちょうさんとりょうちょうさんが!」
風を切る鼻先の感覚が怪しくなってきました。
早く自分の部屋の外まで辿り着いて、グラムさんに窓を開けてもらわないと。
積もった雪をバキバキ割りながら、走り抜けます。
「すまんな、寮長の仕事があるのに、こんな遅くまで付き合わ、せ、て……」
「いえ、生徒会長こそお疲れでしょうから、少しでも助けにな、れ、ば……」
「ああああ!ごめんなさい!ごめんなさあぁぁい!みないでくださーーい!」
ん?今、誰かいましたか? - 93◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/05(月) 21:57:41
「いやー、外の雪ン中からスノウとモッチが出てきた時は、なまら驚いたさー」
なんとか凍え死ぬ前に自室まで辿り着きました。
今までのウマ娘生で、グラムさんに気付いてもらうために窓を叩いた時ほど必死になったことはありません。
窓から暖房の効いている室内に転がり込んでタオルで身体を拭いて着替えを済ませ、なんとか命を繋げました。
その代わり、グラムさんにはすごく笑われました。
あたしもモチモッツァレラさんも口を濁して誤魔化そうとしましたが、窓から凍ったタオル一枚を巻き付けて飛び込んでくるばんえいウマ娘二人とか、異常事態でしかありません。恩人に説明しない訳にもいかず。
何かがあったのか聞いていた途中から、グラムさんはあまりに笑いすぎでお腹が痛くなったようで、ビクンビクンと床でのたうち回っていました。
と、廊下の天井に設置されているスピーカーが、不意にブザー音を立てました。
『……号室のカミノクニスノウ。……号室のモチモッツァレラ。至急、寮長室まで来るように!身体を温めたら、可及的速やかに出頭しろ!』
唐突に始まったアナウンスは、唐突に終わりました。
あたし、なんかやっちゃいましたかぁ?
「どう考えても、やっちゃってるっしょ?」
いや、グラムさん、肩に手を置くのは止めてください。
あたしは無実です。たぶん。
それはもう、なまら怒られました。
生徒会長と寮長の二人がかりで。
あたしとモチモッツァレラさんが二人揃って風邪を引かなかったことだけは、丈夫なばんえいウマ娘に生まれついた運命に感謝です。 - 94二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 23:59:12
女子がそれやっちゃだめーw
北大の寮だったかで雪にダイブする伝統行事?みたいなのがあったけどあれまだやってんのかな - 95二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 01:13:38
ハッカ油…ほんと何してんだ先輩…w
- 96◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/06(火) 11:46:26
※北見産ハッカ油愛用中のスレ主です。この時期は浴槽に数滴垂らすと爽快です。滴下後にきちんと攪拌してから浴槽に入らないと、湯の表面に張った薄い油膜にデリケートゾーンが接触して愉快なことになります。
なお、サウナが無いのでサウナストーンにハッカ油原液を垂らした際の効果は未検証です。
この後、サウナ後の雪ダイブ禁止が告知されますので、数年後にはスノウちゃんも「余計な事しでかしてくれた先輩」の仲間入りです。
まぁ雪ダイブは気持ち良いので、禁止されてもやる奴は結局やるんですけどね。 - 97二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 22:00:10
保守
ゴルシとかに比べれば、まだ大人しいな…ってなる不思議 - 98二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 09:55:49
保守
- 99二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 20:18:33
ほしゅ
- 100二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:22:56
このレスは削除されています
- 101◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/07(水) 23:25:17
- 102二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 07:19:24
なるほど、この体格じゃ普通の和装は難しそうだね
- 103二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 10:55:44
人寂しいからって、このボディが寝てるベッドに潜り込むスノウは狭くないのか
あと起き抜けは二人とも同じ香りがして、周囲からなんか誤解されてそう - 104二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:12:09
保守
- 105◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/09(金) 00:11:25
「はーい、ゆっくり下ろしてー」
「ぬっぐぐぐ……」
だいたい5秒くらいかけて、ゆっくりと片膝を下ろします。早すぎても遅すぎてもいけません。膝を曲げすぎたり内側に入れたりすると効果が薄れますし、怪我の元です。正しい時間、正しいフォームを意識しながら、ずっしりと重い身体を片脚で受け止めながら、沈みこませていきます。
膝の角度が90度になったらストップ。
「はーい、一気に上げてー」
「ふんっ!ぬあぁぁぁっ!」
下半身の筋肉を総動員して出来る限り素早く膝を伸ばして、沈んだ身体をググッと元に戻します。太腿から脹脛までの全ての部位に力が籠められ、筋線維がまるで金属製のワイヤーが撓るようにして伸び縮みします。
「これで10回終わったべさ。ほい、あと半分っしょ」
頭の上から、グラムさんのカウントが降ってきます。
帯広トレセンの広大なジムの一角で、筋トレです。
今のメニューはマシンを使わずに、グラムさんを肩車してのブルガリアンスクワット。お互いに交代で肩車して負荷役となるペアでのトレーニングです。
グラムさんの大きな体が上下に運動するたびに、カウントが進んでいきます。
メインとなる下半身全体への負荷もさることながら、肩車されているグラムさんを落とさないように真っ直ぐ綺麗に上下させるため、腹筋を始めとする体幹にもかなり効きます。 - 106◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/09(金) 00:15:08
「っりゃぁっ!!」
「はい、20回おしまい!お疲れ様~、1セット終わったから交代しよっか」
グラムさんを落とさないように慎重に身体を下げて、肩から降りたグラムさんとハイタッチ。
息を整えながら、パンプして深くなった筋肉のカットの谷間を岩清水のように流れる汗をタオルで拭いていると、不意にあたしのスマホがブルブル震え始めました。
発信元はトレーナーさん。
出ます。
「はい、トレーナーさん!どうしましたか?……ええ、今ジムでトレーニング中ですけど……今からですか?1セット終わったので切りは良いですけど……」
スマホのスピーカーから聞こえてきたトレーナーさんの言葉。
「えっ?!」
それを耳にした途端、あたしの頭の天辺から爪先まで、まるで電流が走ったみたいでした。
「わかりました!今すぐ行きますので!」
トレーナーさんの返事を待たずに、通話を切ります。
スマホが短くピッと鳴り終わるや否や、
「すいません、グラムさん。トレーニング途中ですけど、ちょっとトレーナーさんに呼ばれたので、いってきます」
「オッケー、まぁこっちは大丈夫さー。それはしても……スノウ、なんか良いことあった?」
「はい!とびきりの、でしょうか」
気分は今すぐにでもトレーナー室に飛んでいきたいところですが、使った筋肉はしっかりストレッチしておかないといけません。
ああ、もどかしい! - 107◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/09(金) 00:15:46
「お待たせしました!」
「こらこら、廊下は走らないように」
苦笑しながら窘めるトレーナーさん。
しかし何と言われましても、これが走らずにいられましょうか。かなり遠くから、あたしの駆ける音が聞こえたことでしょう。
トレーナー室の来客用の机の上には、大きな衣装箱。他にも小物や靴が入っていると思われる箱がいくつか。
「さきほど仕上がってね。君のだ。スノウ君だけのものだ」
どきどきと高鳴る心臓。勝手にゆるんでいく両頬。
「開けてごらん」
誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントを開ける時にも匹敵する、いえ、それ以上の興奮で指先が震えます。
勝負服。
それは、GⅠなどのグレードの高いレースに挑むウマ娘が身にまとう特別な衣装。レースを走るウマ娘にとって憧れの的です。それは平地競争でもばんえい競バも同じ。
特にGⅠが年に一回しかない、ばんえい競バのジュニア級では、年に10人しか袖を通すことが許されない、本当に選ばれた者のみが着用する衣装です。
「わぁ……」
あたし専用の勝負服。
黒と紫を基調とした、ゴシック調のドレス。レザージャケットを中心に据えてゴシック・パンク風にしてフリルの類は少なく直線的なラインで、スカート丈は短く、動きやすい。
ミニスカートには大胆にサイドスリットを設けてありますが、紐で編んで無駄にはためいてチラチラしないように。
ロングスリーブの袖は、両肩だけ露出しています。
フィッシュネットと呼ばれる目の荒いストッキングに、ドレスと同じ色合いの膝丈のブーツ。
ゴシック調ではあるものの過剰な飾りやあまりダークに寄った装いにはせず、ミステリアスな雰囲気と格好良さを併せ持つデザインです。
「とうとう、ここまで来たな」
衣装箱から取り出した勝負服を壁にかけて、二人で眺めます。
「これがスノウ君の信念のカタチ、か。これを着て橇を曳くスノウ君を見るのが、今から楽しみだよ」
感無量という口調のトレーナーさん。
す、とあたしはトレーナーさんに向き直りました。
「トレーナーさん。本当に、ありがとうございました」
深々と頭を下げます。
これを間に合わせるためにトレーナーさんがどれだけ苦労していたか、あたしは知っています。目の下の隈が徐々に深くなっているのも、だんだんと飲む量が増えていく栄養ドリンクも。 - 108◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/09(金) 00:19:43
全て、あたしの為。トレーナーさんがあたしをここまで連れてきてくれました。
「いやいや、スノウ君が頭を下げる必要はない。これは僕がやりたい事でもあるからね。
あの模擬レースでスノウ君が走っているのを見た時、僕はこの子がどこまでいけるのかを見てみたかった。この子の走りを磨いてみたいと思った。
それが、いまやスノウ君はGⅢにGⅡを一勝ずつ。君の耳にも入っているだろうが、ジュニア級最強候補との前評判も高い。
ここまで来たのなら、その評判通りにスノウ君をジュニア級最強の座につけたい。優勝レイを肩から掛けている姿を見たい」
トレーナーさんは、そこで一旦、言葉を切りました。
「その為なら、僕は何でもする」
それだけだ。
きっぱりと言い切ったトレーナーさんの言葉には、鋼のように硬い意思が感じられました。
「それに僕らヒトミミはレースを走れない。僕が準備をして、スノウ君が走る。ウマ娘とトレーナーは二人三脚さ」
(違う)
あたしは、内心、トレーナーさんの言葉を否定しました。
今は二人三脚じゃない。
あたしがトレーナーさんにおんぶにだっこでしかない。あたしの背をトレーナーさんは押してくれますし、危ない時は引き留めてくれます。でも、逆は出来ていない。全然、トレーナーさんの負担を減らせるようには動けていない。その方法もまだ分かりません。
支え合い、補い合うのが二人三脚の筈です。
いつか本当の二人三脚になれるようにしたい。
トレーナーさんの想いに報いたい。
苦しい時にトレーナーさんの背を押してあげることも、危ない時に引き留め代わることも、あたしにはまだ難しいです。今のあたしに出来るのは、走り、ひたすらに輓曳することだけ。
あたしはトレーナーさんには出来ない、あたしには出来る事をしましょう。肩を貸すことが出来ないのであれば、後ろから押してもらった肩を無駄にはしない。
だったら、次のレースは"勝ちたい"ではありません。"勝ちにいく"でもありません。
真新しい勝負服に視線を据えたまま、静かに宣言します。
「次のレース、勝ちます」
カミノクニスノウのやる気が一段階アップ!
やる気 好調 → 絶好調 - 109二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 12:04:13
保守
- 110二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 14:51:23
ばんえいウマ娘さんと農場を持ちたいだけの人生だった
- 111◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/09(金) 23:31:03
- 112二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 23:33:11
- 113二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 09:57:39
- 114◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/10(土) 21:02:34
イレネー記念。
ジュニア級最強を決める競走。ジュニア級三冠の最後の一冠。
イレネー記念は、現在ばんえい競バで行われているレースの中では唯一、その功績を記念してウマ娘の名を冠したレースとなっています。帯広競バ場には、彼女の功績を称えて銅像が建立され、来場する人々や、帯広トレセン学園に通う多くのばんえいウマ娘達を見守ってくれています。
"偉大なる母"イレネー。
その名前を知らないばんえいウマ娘は、皆無と言って良いでしょう。学校でも、母親がばんえいウマ娘であれば家庭でも、繰り返し教えられて、語り継がれてきたからです。
ばんえいウマ娘の間では、"全てのばんえいウマ娘の母"や"グレートマザー"と言えば、彼女を指す言葉です。
時に明治時代。
日本政府は開拓使を設け、北海道の本格的な開拓に着手しました。時代が進み、開拓使から北海道庁に変わっても開拓は苦難の連続でした。開拓は北海道への移民、移住者によって行われましたが、それぞれの故郷とは気候も植生も異なる地での過酷な労働。苦難の道程でした。
日本政府や北海道各地の開拓団は人の手を拒む強大な大自然を前にして、開拓の力としてのウマ娘を海外に求めました。当時日本にいた在来のウマ娘では、文字通りの意味で力不足だったのです。
当時のヨーロッパ諸国からすれば、日本の北海道は、東洋の小さな島国のさらに開拓途上の人跡未踏の地。
僻地も僻地で、さらには母国とは言葉も食事も生活習慣も、何もかもが違います。当然、遠路はるばる渡欧してきた日本人の誘いでも、なかなか二つ返事でとはいきませんでした。
しかし、日本人もくじけません。
彼らには圧倒的な大自然の驚異を前にしても挫けない、あらゆる艱難辛苦を乗り越えようとする不屈の開拓者魂がありました。もっとも開拓に失敗しても帰る郷里すらないので背水の陣となっているような移住者も、中にはいましたが。 - 115◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/10(土) 21:08:22
渡欧した彼らの背後には、今も開拓中で生きるか死ぬか、食うや食わずの仲間達がいます。
必死でした。これでダメなら帰りの船から身を投げると言わんばかりの、不退転の覚悟と情熱をもって臨んでいます。共に開拓をしようと、当時の日本にはいない筋肉美に溢れた豊満な肢体をした金髪碧眼の重種ウマ娘を、あらゆる手練手管で口説きました。
食事に誘ったりダンスを請うたり、あるいは言葉を教えてもらう事を口実にしたり。腕に覚えがある者は、相撲や剣道などの力比べや腕比べで気を引こうともしました。
そうこうするうちに、当初は頑なに見えたウマ娘側にも次第に変化が生まれていきました。
人と共に在って、人と共に働く。
それは、重種のウマ娘の本能の一部とも言えます。
未開の土地を拓こうと苦労している人達がいる。これ以上ないくらいに激しく自分達を求めてくれている人達がいる。
海を越えた盛大な嫁探しに、心を動かされたウマ娘は少なからずいました。
イレネーは、そのうちの一人でした。
1910年、イレネーは生まれ故郷のフランスから北海道に渡りました。
開拓は過酷な事業です。
貧困、事故、飢餓、干ばつに冷害水害雪害のオンパレードです。そんな環境にあって道半ばで連れ合いや親を亡くし、寡婦や孤児となってしまったばんえいウマ娘も無数に存在しました。
そんな路頭に迷いかけたり悪徳な斡旋業者の毒牙にかかりかけたりした彼女らを引取っては面倒を見たのがイレネーでした。イレネーは母となり師となり、多くのばんえいウマ娘を教え導きました。そして彼女の薫陶を受けた"イレネーの子供達"は当時の北海道各地に散って、そこで種を蒔くように彼女の教えを実践していきました。
蒔かれた種は芽吹いて花開き、再び種を蒔いては広がっていきます。そのようにしてイレネーは十勝地方における開拓と、今に繋がるばんえいウマ娘の礎を築いたと言われています。
イレネー記念は現在唯一のウマ娘の名を冠したレースとなっています。そしておそらくはこの先も、彼女の名がレースの冠から外される事はないでしょう。 - 116◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/10(土) 21:23:23
- 117二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:26:52
- 118二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 01:52:13
保守
- 119二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 11:52:11
レースになるとジャケットの肩と袖が内側から筋肉に押されてミチィ!ってなるやつ
- 120二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 22:25:07
- 121二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 00:21:38
- 122二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 11:46:33
色とりど〜りの勝負服っ!
でも筋肉に目がいく - 123二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 12:23:02
露出度が高めのGⅠのパドックだと、ボディビル大会ばりに掛け声飛び交ってそう
- 124◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/12(月) 22:00:48
※ニコニコでばんえい競馬MADを見て、パドックか入場のBGMにIt's My Lifeにしたくてたまらないスレ主です。
イレネー記念で走るまでの文が長くなり過ぎたので頑張って削り中です。 - 125二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 08:35:02
保守
- 126二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 18:49:34
保守
いまだにイメージ絵の無いモチちゃん - 127◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:16:50
三月上旬。
第11R、BGⅠ、イレネー記念。
黒ユリ賞から一か月経って、三月です。空気も二月に比べるとだいぶ温かい。
最低気温はほとんどマイナス10℃を下回らなくなりましたし、日が高いうちなら吐く息が白くならない日も増えてきました。とは言えまだまだ雪は降りますし、根雪は融けてませんから、本州からすれば冬のうちですけれど。
実家では今頃、今年の米作りの準備が始まっている頃でしょう。冬に外していた育苗用のビニールハウスのビニールを戻して、木炭の粉を蒔いて雪を融かして地面を温めて、圃場は田起こし前の土づくりの時期です。
二月の身を切りつけるような風に比べれば気温は上がっていて、上ノ国の風の匂いを嗅がずとも、今年もやるぞ、と勝手にうずうずしてしまいます。
でも、今年は違います。
去年までは、あたしも田んぼを手伝っていました。それこそ子供の頃から毎年手伝っていて完全に手に馴染んだ習慣です。
それが今年はない。
馴染んだ道具を取り上げられ、新しく手の中に押し込まれた道具を持て余す感触。それが良いとか悪いとかではなく、季節ごとに肌で覚えている感覚が違っているという奥歯に物が挟まったかのような違和感。今までも大小こそありますが、そう言う違和感はずっと感じていました。それが今回に限って大きいのは、田植え前という米農家にとってはとても大切な時期だからでしょう。
でも、それはここにいる皆が同じ筈。帯広トレセンに来る迄は、畑や酪農など、それぞれの家業の手伝いをしていた子達がほとんどでしょう。
おそらくは皆が胸の奥にそんなうずうずしたものを抱えていて、それをどうにかしてレースへのモチベーションに置き換えようとしている。あたしも同じです。
でも、家業はあくまで家の仕事。今のあたし達がやるべき事ではありません。
ここにいる全員、いえ、帯広トレセン学園の生徒全てが、自分の進む道を選択してココにいます。あたし達がするべきはレース、目指すべきはゴール、歩むべきは競バ場のコース、です。
既に控え室で、勝負服には着替え終わっています。
「スノウ君、この辺りでいいかい?」
「はい、そこでお願いします」
ガラを首から下げ、ガシャガシャと鎧のような金属音を立てながら、ワラビ型をガラの上に当てて調整します。 - 128◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:21:28
カバーされていない金属同士が触れあって本来なら耳障りでしょうけど、慣れた今となってはむしろ落ち着く騒音です。
装鞍所でワラビ型を始めとする装具を順繰りに装着していくと、不思議と頭の中からいろんな余計なものが振り落とされていきます。
「変な感じです」
「ん?すまない、スノウ君。どこかズレたかな?」
「いえ、そちらではなくて……控え室で、この勝負服を着た時もまだ不安があったんです。あたしはちゃんと走れるのかなって。
でも、それが今は不安だとかこの時期だと実家は大変そうだなぁとか、グチャグチャしててまとまらなかった頭の中がスッと綺麗になっていって。
それが変というか、面白くって」
「それだけ君が、競走バになってきたと言うことじゃないか。
見てごらん、この面子を前にしてそんな呑気なことを言ってられるのだから、やはりスノウ君はジュニア級最強にふさわしいよ」
装鞍所は、今までに見たことがないような、華やかな場所になっていました。別にGⅠだからって飾りつけされているのではありません。
そこにいるウマ娘達が華やかなのです。
今までのレースでは、素っ気のない体操服にブルマかショートパンツでしたが、今日は違います。
出走する全員が、勝負服をまとっています。先輩方のレースで勝負服を着たばんえいウマ娘は何度も見ていますが、コースを見るのと同じ空間にいるのとでは距離が違います。
ちょっと視線を振れば、そこには思い思いの勝負服を身に着けた、よく見知った同期の顔が。
秘密主義という訳ではないのですが、あたしのように直前ギリギリになって届くようなケースもあるので、皆の勝負服を見るのは初めてです。レース前だというのに、勝負服の見せ合いっこしてたりもします。誰だって可愛いのは大好きですからね。
グラムさんは、オレンジと黒を基調にした裾の短いカジュアルなジャケット。彼女の巨大な胸を包む白いシャツも裾は短く、大根を摺り下ろせそうほどに鍛え上げた腹筋を誇示するかのように、大胆に腰回りを晒しています。上半身に合わせたオレンジと黒のミニスカートからは、黒いサイハイを吊り上げる為のガーターストラップが覗いて、これまた鍛えた大腿筋に目を向けさせる仕掛け。 - 129◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:25:43
クインルゴサローズさんの勝負服は、シックな黒をベースにところどころに赤を差し込んで重い色になりすぎないようにした、略礼装のブレザーのようなジャケット。下半身は彼女の鍛えられた太腿とお尻のラインを引き立てる、ぴったりとした真白いパンツルックです。胸元には彼女の名前のようにバラをあしらっています。
モチモッツァレラさんは黒単色ベース。歩くたびに裾が翻る真っ黒いロングコートは、彼女の長身もあって、そこだけ闇夜を切り取ってきて貼り付けたようです。可愛かったり派手だったりするデザインとは真逆をいく勝負服ですが、それだけに周りからは良い意味で浮き上がり、目立っています。
他の出走メンバーも同様に勝負服。
つまりそれは、自分は本気も本気、大一番に臨んでいるぞという事を示しています。
今日のレースはジュニア級最後の一冠。その奪い合い。
皆の気合が伝わって来て、二月に比べれば温くなってきた装鞍所の空気の中にいるのに背筋がひんやりします。
にも関わらず、うっすらと頬が緩むのが自分でも分かりました。
イレネー記念はジュニア級最強決定戦ですが、正直、あたしは最強とかにはそこまで興味はありません。最強の称号は貰えれば嬉しいですが、心の底からそれが欲しいかと問われれば首を傾げざるを得ません。
でも、走りたい気持ちはこれ以上ないほどです。それは最強を求めない事と矛盾しません。
走りたい。
曳きたい。
そして、勝ちたい。
橇を曳いて、走って、歩いて、ここにいる全員まとめてぶち抜いて勝ちたい。
心臓のさらに奥にある大きなエンジンに火が入って燃え猛り始め、だんだんゆっくりと回転数が上がっていくイメージ。胸の奥で点火した闘争心の炎が背筋を導火線代わりにして伝わって、頭の中で疼きのような熱になる。
「スノウ君、締めるぞ」
ぎしっとハーネスが鳴りながらワラビ型を締め付け、鋼鉄のマフラーを身体に密着させます。
「あまり逸ってスタート前に集中力を切らせないように。落ち着いていこう。
……と言っても初めてのGⅠだ。なかなかに難しいか」
それはあたしだけではなく、トレーナーさんが自身に向けて言葉でもあるのでしょう。装具を扱う指先が、いつもよりわずかにたどたどしいです。
なぁんだ。
あたしもトレーナーさんも、足並み揃ってるじゃないですか。さっきとは別の意味の笑みが浮かびます。 - 130◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:31:21
装具を付けてウォーミングアップを終えた頃、
「おー、スノウ、気合入ってんねぇ」
一足先に準備を終えたグラムさんが、がしゃりがしゃりと装具を鳴らしながら近づいてきました。
その豊満な身体付きを強調するように、露出度高めの勝負服。装具を付けたせいで前に大きく突き出した胸が目を引きます。勝負服の色合いもあって、装鞍所にいる面々の中でも一際派手です。
ブーツを履いていても、あたしとグラムさんとの間には頭半分の差があります。
体格差や体重差はばんえい競バにおいて、橇に積む弁当箱の重さこそ変わりますが、それ以外は考慮されません。それは平地競争でも同じです。あたしは身体も力も小さい。それは事実です。今はどうやっても変えられない事実です。でも、今更それがどうしたと言うのです。華奢なボディだったってどうにかこうにか頑張って、GⅠの晴れ舞台にまで来たんです。その事実があたしの背を支えます。臆する事はありません。
グラムさんに比べると、ほんのわずかに少しだけ心持ち小さいと自認する胸を張って、彼女を迎え撃つように立ち上がります。
「ほら、これ」
と、差し出された掌には、見覚えのある小さなケース。あちこちテーピングが巻かれた指が蓋を開ければ、そこに小さく煌めくのは、クリスマスにグラムさんに贈ったイヤリングでした。
一対の、小さなクリスタルを抱えた金の星。
「あは、持って来たんですね」
「せっかくもらったプレゼントだし、ウチらの晴れの舞台なら付けるっきゃないしょ?」
イヤリングに視線を落として、はにかむように笑うグラムさん。
「ねぇ、付けてくんない?」
前にも聞いた同じ言葉。 - 131◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:33:33
片方を摘まみあげ、スッと下がったグラムさんの左側のウマ耳に優しくつけてあげます。みっしりと生えた芦毛が温かく指先に心地よい。いつまでもフニフニと挟み揉んでいたくなりますが、今日はそうもいきません。
「ありがと。ウチも付けてあげるね……ほい、これでお揃いっしょ」
ちり、とグラムさんとあたしの左のウマ耳で、小さな心地よい音色を立てるイヤリング。
「ウチとスノウはずっと一緒だったっしょ。今日、GⅠ出るのも一緒。だから、これもおそろにして一緒さー」
ばさりばさりと二本の尻尾がせわしなく振られています。尻尾の揺れに合わせて、互いの左耳で揺れて光る金の星。
お互いにイヤリングを付け終わったら、そのままごく自然に腕を伸ばして相手を求め、ハグを交わしました。
辛うじて互いにだけ届くであろう、微かな囁きを交わします。
「クリスマスに言ってたっしょ。"本物の星"を取りにいこう。けっぱるべや、全力で」
「ええ。グラムさんもあたしも、きっともっとキラキラした星を掴めます。だから掴みましょう……今日これから」
こればかりは一緒に、とはいかないのは二人とも分かっています。
なぜならば、これから星を掴めるのは、唯一人。
「今日は」
「絶対」
「「勝つゲン」」
ここで飲めないのが残念ですよ。
クスクス笑いながら抱きしめ合う時間を、
「パドック入場でーす!」
装鞍所に響いた係員さんの声が断ち切りました。 - 132◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:40:53
今年一年で何度となく立ったパドック。
お立ち台の上で、深呼吸を一回。
勝負服を隠すように羽織っていたジャージを、あたしは一息に放り投げました。
バッとジャージが宙を舞い、観客の皆さんに、勝負服のお披露目です!
メイクデビュー戦ではへなちょこな広がり方しかしなかったジャージ。それが今は綺麗に広がり、帯広の空を舞います。
パサリと地面に落ちるのと同時。観客席からの割れんばかりの拍手と喝采が、その出来栄えを褒め称えてくれています。
真っ先に拍手してくれたのは、パドックの真正面に陣取っている、おばあちゃんお父さんお母さん妹達。
腕組みして、日本海の荒波を撥ね返して海上に立ち続けるもんじゅ岩さながらに仁王立ちするおばあちゃん。
「「「「おねぇちゃーーん!!!!がんばれーー!!!!」」」」
手製の横断幕を掲げ、ぴょこぴょこと忙しなくジャンプして上下運動しては両手を振り回す妹達。妹達よ、応援は嬉しいですが跳ね回るのは周りの人に迷惑なので止めなさい。
「スノウ頑張りんさいよー!」
久しぶりのお母さんの声。
お父さんはスタートする前から、もう泣いています。
どくん。
「カミノクニスノウさん!応援してます!」
初詣で会った女の子。
どくん。どくん。
「けっぱれよー!勝ってまた食べにこいよー!」
屋台村で一緒にご飯を食べた人達。
胸の奥が震えます。燃えるような闘争心とは別の何かで、胸が熱くなります。
熱さは胸を満たして喉から溢れて、笑みになりました。
それがさらにスタンドに詰めかけた観客を沸かせます。
投げたジャージを拾って係員さんに渡し、パドックからゲートまで、レースコースとスタンドの間にある走路をランウェイばりに移動します。
歓声、喝采、装具は鳴り、蹄鉄が砂を踏む。全ての音が混ざって、どうしようもなく興奮させられます。
ふと、誰かがあたしを呼んだような気がしました。
周りを見回すと、引き寄せられるようにおばあちゃんと目が合います。背筋が震えるような恐ろしささえ感じさせる視線。それを真っ向から受け止めます。おばあちゃんの唇が動きました。
声は聞こえなくても、不思議と何と言っているのかは分かりました。
(けっぱれ)
かつて曳いたばんえいウマ娘から、これから曳くばんえいウマ娘へ。
その無音のエールに、あたしはただ右拳を突き上げて応えました。 - 133◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:43:45
それぞれウマ番は…
1.カミノクニスノウ 2.シャコータングラム 3.クインルゴサローズ 4.モチモッツァレラ
dice4d10=6 7 6 1 (20)
です。
あたしの人気は…
dice1d5=3 (3)
です。
みんなのコンディションは…
1.シャコータングラム 2.クインルゴサローズ 3.モチモッツァレラ
1.不調 2.普通 3.好調 4.絶好調
dice3d4=4 4 2 (10)
他の出走メンバーですが、やはりGⅡをステップとしてきている子が多いので…
アンデスレッド
インカアウェイクン
シーニーグローム
マネーマーケット
ビッグアイアン
と、あと一人。
1.アイリシュコブラー 2.コガネマル 3.シャドークイーン 4.トカチゴールド 5.ノーザンアカリ 6.ノーザンルベウス 7.ノースパープル 8.メイクイーン
dice1d8=1 (1) です。
- 134◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:46:29
第11R、BGⅠ、イレネー記念
基礎ばんえい重量は、3500kg。
『ばんえい重量補正』 = 7(3500kg~3999kgは7)
カミノクニスノウのやる気は『絶好調』です!
天気は、
1.晴れ 2.曇り 3.雨(雪) 4.悪天候
dice1d4=4 (4)
バ場水分は、
天気(晴れ 曇り 雨)の時は、dice1d50=24 (24) / 10 [%]
天気(悪天候)の時は、dice1d80=59 (59) /10 +2.0 [%]
バ場水分 2.0%未満で重バ場 / バ場水分 2.0%以上で軽バ場
※被ったのでクインルゴサローズのウマ番6→5とします。
- 135◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/13(火) 22:51:52
※本日の進行はここまでとします。
嵐か吹雪か、砂は水を吸い込みまくり、せっかくの勝負服もいきなり濡れまくりです。
それを嘆くようなウマ娘はいないでしょうけど。 - 136二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 07:39:43
ワクワク
- 137二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 17:45:52
男爵ちゃん参戦
- 138◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 00:51:22
疲労困憊でなかなか進められないスレ主です。
暑さがきつい。 - 139二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 01:27:23
ハンデ競走を連覇するの控えめに言ってですね……あ、4連覇、風物詩、そうですか……(ドン引き)
前奏もとい陸自のアレは正しくはばんえい記念のファンファーレで年に本当に1回だけということを今さっき思い出した
- 140二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 10:12:47
ばんえい競馬は現役時代が長いから、たまに変な記録が生まれるの好き
ホクショウマサルの2年半休養した後の31連勝とか - 141◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:21:25
パドックからスタート地点に移動して、ゲートイン。
ばんえい競バでは各自がゲートに入ってからも、橇の準備があるので、やや間があります。
このジッと待つ時間に、いかに集中力を切らさないかが大切です。
ゲートの枠の中に佇んでいると、頭の上にはうっすらと雪が降り積もっていきます。都度都度、ぶるりとウマ耳を振り回して払い除けますが、焼け石に水。
カレンダー上では温かくなるにつれて全体的に発走時刻は遅くなっていき、準ナイター開催の今、第11競走の発走は19時30分頃。
太陽が沈むとまだまだ冷たいですが、確実に春に向かっていっているのが分かる風。もっとも今夜は大量の雪交じりですけれど。
肌を突き刺すような冷たさはなくなった風がゆるやかに頬を撫でては、鼻先に白いものを残して去っていきます。それを味わうように、大きく深呼吸。吐いた息がナイター照明の明かりを受けて、雪の中でもなお白く光る。雪こそ降っていますが、厳寒期のように下手に吸うと咽ることもなくなりました。
数日前から、十勝地方は季節外れの大雪に見舞われている最中です。
大雪と言っても、インフラがダウンするほどのどうしようもない量の積雪にはならず、レースは滞りなく開催されました。今までにない過酷なばんえい重量になる、このレース。そこにさらに天候が追い打ちをかけてくれた、と思われがちでしょうが、そうでもないのが面白いところ。荒れた天候の方が得意、気合が入るという子もいるのです。
あたしは別に雪は得意でも苦手でもないのですが、この程度の雪ではあたしの脚を止めるには全くもって足りません。それは、どの子にとっても同じでしょう。
この程度では止まりません。
スタンドにはたくさんのお客さん。ジュニア級とは言えGⅠの栄誉を掴む子が誰かになるのかを見に来てくれている。雪が降っているにも関わらず、口々に出走している子の名を叫んでいる。応援と歓声と送ってくれている。
歓声はばんえいウマ娘達の興奮を呼び起こし、興奮は闘争心を燃やす薪になります。
テンションが上がり、熱くなった頭に、熱くなった筋肉。
レースを目の前にぶら下げられたばんえいウマ娘が、この程度の雪くらいで止まる筈がありません。 - 142◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:22:15
大人しくしていろと抑えつけていてもなお、早く曳かせろと猛る心が、どっくどっくと心臓を駆動させます。駆け巡る血液はウォーミングアップで生まれた熱を身体中にくまなく配り、降りしきる雪の冷たさに負けるな準備は良いかと、今か今かと出番を待つ筋肉達を叱咤します。
風は弱い。けれど、途切れずに空から静かに落ちてくる雪で視界はあまり良くない。
それを歯牙にもかけないと言わんばかりの気迫が、ゲートの枠越しに辺りから伝わってきます。
ずしりと重たい熱気。
その熱に当てられるように、あたしの眦がきりきりと釣り上がり、表情が険しくなっていくのが分かります。
お互いがお互いの闘争心を煽りたてる。
走りたい。
曳きたい。
曳いて、走って、歩いて、今ここにいる全員に勝ちたい。
吹きこぼれた鍋のように心中から溢れでた気合が、バサッバサッと尻尾を揺らします。
青毛を飾っているのは一本の赤いリボン。妹達がプレゼントしてくれた特別なリボン。レース付きの赤いチェックのリボンです。白い雪の中でも、振られる赤いそれが目に入ったのでしょう。一際大きな妹達の応援の声がここまで届きます。
頭の中、目の奥でずくずくと疼く熱がリミッターをゆっくり溶かしていく。
どいつもこいつも、上等だ。
特等席でこのリボンを拝ませてやる。
胸の奥の奥から湧き上がってくる熱と想い。沸き立つ想いは吹きこぼれ、ドロリと溢れ出して、ゆっくりと頭の中を熱く染め上げていく。でも、それを俯瞰する自分も認識できています。
身体は熱く、心の片隅は冷たく。
それが上手く出来ているなら、何度もこのスタート前のドロリと煮えるような興奮を経験してきた甲斐があったというものです。 - 143◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:25:29
まだ開閉扉が閉まっていないので、眩い照明が、短くて長い1ハロンの過酷な道のりを照らしだしています。
第一障害と第二障害の向こう。二つの頂きを越えた先にあるゴール。
そこを見つめながら、ステップを踏むように足踏み。ブーツがズレる感じはなく、あつらえただけあってピッタリで実によく馴染みます。履いているだけで、両脚の芯から力が湧いて出るかのような不思議な感触。この勝負服を作るために連日苦労してくれたトレーナーさんを想うと感謝しかありません。あたしの感謝は言葉ではなく、競走バらしく行動で示すべきでしょう。
砂を踏んで、トントンと軽くジャンプ。スカートの翻る感触に、自分はいま勝負服を着ているんだという実感が沸きます。
真新しいブーツの、真新しい蹄鉄が砂を踏みしめては、耳に馴染んだ音を立てます。
あたしだけではありません。
十の枠の中で、十人の色とりどりの勝負服を着たばんえいウマ娘が、自分なりのルーティーンで闘う準備を整えています。
空気が膨れ上がるような周りの昂りを感じながら、あたしは両手の指先同士をくっつけます。掌を押し付け合う合掌ポーズで両腕と胸に力を籠めて解したら、ぐっぱぐっぱと拳を開け閉め。
関節はどこも滑らか。痛みもなし。筋肉の重さもなし。よし。
最後にグッと握り拳を形作ります。
握った左右の拳で、自分の太腿の辺り、ちょうどミニスカートとブーツの合間の絶対領域をトントンと軽く叩きます。
「日本の米はぁ……」
そのまま右拳で左肩、左拳で右肩を。
パァン!
最後に両手が頬を張った乾いた音が、辺りに響きます。
『世界一ぃぃ!!!』
いつものルーティーン。
あたしのルーティーンにあわせて観客席から同じタイミングで同じ掛け声を、ファンの皆さんが、あたしの家族が、トレーナーさんが、力いっぱい叫ぶのが耳に届きました。
ただそれだけで、いつも観客席にはいなくても、いつもずっと見守っていてくれた事が分かります。
それだけに。
無様は見せられません。
そう思った途端。足先でブルリと大きく一つ震えが生まれました。波のようなそれは、両足、腰、胸と這い登ってきてウマ耳の先を揺らして消えていきます。
武者震いに、思わず笑みがこぼれました。
たぶん、それはとても獰猛に見えたことでしょう。 - 144◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:32:29
『季節外れの大雪がふりしきる過酷な空模様、帯広競バ場。ダート直線200m、10人のばんえいウマ娘たちが挑みます。
本日のメイン競争は第11競走、イレネー記念、BGⅠ。若きばんえいウマ娘達の頂上決戦。
バ場水分は7.9%。バ場状態の発表は良となっています』
濡れた砂を踏みにじるようにして蹄鉄を地面に押し付け、砂の濡れと締まり具合を確かめます。
今までにないほどの硬い締まり具合。橇はほとんど沈まないでしょう。
『ジュニア級の三冠目、ジュニア級の最強決定戦とあって観客席には、雪にも関わらず多くのお客さんが来場しております。
日没を迎えてから気温は下がり雪も勢いを増してきていますが、皆さん、スタートを今や遅しと待ち構えている様子。
ここ数日はみぞれから、ご覧のような雪の天候となっております。かなりバ場が湿っていますので、スピードの出るレースになりそうですね』
実況と解説の場内アナウンスが場内のボルテージを上げていきます。
人が多い。応援が多い。負けるな頑張れと背を押す声が多い。
これがGⅠ。
ぐびりと生唾を飲み込みます。平地競争のGⅠに比べれば十分の一にも満たないでしょう。でも、ばんえい競バとしては大入りです。
『本日の1番人気――』
出走バの解説アナウンスが場内に響いています。
そのたびに一拍置いて観客席の方から届く波のようなざわめきは、波は波でも頭上から覆いかぶさってくるほどの大波です。
その間にも、ゴロゴロとディーゼルエンジンを唸らせるトラクターがまとめて引っ張ってきた橇が、次々とスタート位置に並べられていきます。所定の位置についた橇は、並べられた端から既定の重量の錘を乗せられていき、どれもこれも重いので速度はゆっくりですが手際よくスタート準備が整えられていきます。
『人気を3番と落としたのは、6番カミノクニスノウ』 - 145◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:37:22
後方からゲート内に入ってきた係員さんが、勝負服の上から付けたワラビ型とハーネスに、かじ棒や胴引きを接続していきます。
接続確認でパンパンとダブルタップされるのも、もう慣れたもの。
係員さんはスルリとあたしとゲートの隙間を潜って前に抜けでて、あたしの目の前の開閉扉を閉めます。
がしゃり。
小さく響く金属のロック音。ピッピッと小気味良い仕草で指差し呼称して閉鎖確認。
あたしの感謝のサムズアップに、崩れた敬礼が返ってきます。
『前走の黒ユリ賞では競り合いの末の1着となり、ジュニア世代の中で唯一の重賞二勝をあげています。
ただ若干のムラっ気があるようで、負けた際の順位が安定しません。そこが人気を落とした理由でしょうか。
とは言え"上ノ国の女傑"の孫として今後にも期待のかかる実力はトップクラスと言って良いでしょう。
重賞三勝目をあげて、世代の頂点に輝くのか。はたまたライバル達がそれを阻み乱世が続くのか。この雪を吹き飛ばすような熱いレースに期待しましょう』
その後も他の子達の紹介が続きます。
『――以上、10人によって争われます』
場内アナスンスがなにかを伺うように静かになりました。
一呼吸。
二呼吸。
『ばんえいフルゲートです!』
溜めに溜めた実況に、どぉっと、地響きのようにスタンドが沸き立ちます。
『さぁスターターが向かっています』
重賞競走のファンファーレ。
しんしんと降り続ける雪に吸われる事なく、トランペットの音が勇ましく場内に響き渡ります。
『歓声が沸き起こります、帯広競バ場』
スターター員がスターター台に向かってきます。勝負の時が、文字通り一歩一歩近づいてきます。
『さぁ各ウマ娘、ゲートイン完了の様子。
すべての係員が離れまして……出走の準備が整いました』
スターター台の上でスターター員が、勢いが衰えない降雪にも負けず、シャンと背を伸ばして赤い旗を振りかざしています。
大きく振られた旗は止まって、天を指します。 - 146◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:38:17
緊張感に満ちた静寂がゲートに、帯広競バ場全体に満ちます。
静寂は穏やかを意味しません。
スタート直前で燃えあがるような皆の闘志が肌を打つ。負けているなんて露ほどにも思いません。あたしが一番に決まっている。
ゲートが開くまでの、まるでばんえい競バの一ハロンのような、長いけれど短い一瞬。
走りたい。
それはウマ娘が持つ衝動でしょう。だから、これから走りだす。
曳きたい。
それはばんえいウマ娘が持つ本能でしょう。だから、今から曳いて飛びだす。
勝負服を着てゲートに立つと、その気持ちが一層はっきりとしてきます。
走る理由は、左胸の奥が教えてくれる。フェアリーナナセ先輩の言っていた言葉が、今なら理解できます。
時間がゆっくりと引き延ばされるような奇妙な感覚。一点に向けて高まっていく集中力。
ガシャン!!
10人のばんえいウマ娘達の視界を塞ぐ、金属の扉が一斉に開きます。
『各ウマ娘、一斉にスタートしました!』
瞬間。
ばんえいウマ娘が身に着けた装具が、橇とウマ娘とをつなぐ部品達が、一斉に盛大に巨大な鈴のような音を鳴り響かせます。
「っしゃおりゃあぁぁぁっっ!!」
戦いの雄叫びを喉から迸らせながら、10人のばんえいウマ娘が一斉にゲートを飛びだしました。 - 147◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:39:09
『第1直線』 ばんえい重量補正基準値=11 判定 dice2d6=5 6 (11)
→スキル『集中力』 基準値=8 判定 dice2d6=6 1 (7)
『第1障害』 ばんえい重量補正基準値=13 判定 dice2d6=2 5 (7)
→スキル『バイキ』 基準値=10 判定 dice2d6=3 2 (5)
『第2直線』 ばんえい重量補正基準値=15 判定 dice2d6=4 4 (8)
→スキル『刻み〇』 基準値=10 判定 dice2d6=5 4 (9)
『第2障害』 ばんえい重量補正基準値=17 判定 dice2d6=1 2 (3)
→スキル『バイキ』 基準値=10 判定 dice2d6=4 1 (5)
『最終直線』ばんえい重量補正基準値=15 判定 dice2d6=5 6 (11)
最終着順ダイス dice1d10=8 (8)
→スキル『道悪〇』 基準値=バ場水分2.0%未満
――本競争では、ライバル補正が3人分(-3)かかる。
- 148◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:50:25
『第1直線』の成功量 = 出目(11) + パラメータ補正(6) + 根性補正(0) + 脚質補正(0) + スキル発動(1) - 11 = 7
→出目(7) + パラメータ補正(6)≧8 →スキル『集中力』発動成功!
『第1障害』の成功量 = 出目(7) + パラメータ補正(4) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) + スキル発動(1) - 13 = 0
→出目(5) + パラメータ補正(6)≧10 →スキル『バイキ』発動成功!
『第2直線』の成功量 = 出目(8) + パラメータ補正(6) + 根性補正(0) + 脚質補正(1) - 15 = 0
→出目(9) + パラメータ補正(6)≧10 →スキル『刻み』発動成功!
『第2障害』の成功量 = 出目(3) + パラメータ補正(4) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - 17 = -9
→出目(5) + パラメータ補正(6)≧10 →スキル『バイキ』発動済みなので未発動
『最終直線』の成功量 = 出目(11) + パラメータ補正(6) + 根性補正(1) + 脚質補正(0) - 15 = 3
最終着順 = 出目(8) - (スタミナ補正(6) + やる気補正(2) + 天候/馬場補正(0) + スキル発動(1) + 総成功量(1) + ライバル補正(-3)) = 1
→スキル『道悪〇』 基準値=バ場水分2.0%未満 →スキル『道悪〇』未発動
順位は、2着に1/2バ身差~ハナ差をつけての1着! - 149二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 21:52:29
ここで名勝負作るのわかってるわこのダイス
- 150◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 21:54:19
※2着以降を決めたいので、それぞれのダイスを振ってみます
【シャコータングラム】
『第1直線』dice2d6=4 3 (7) 『第1障害』dice2d6=3 1 (4) 『第2直線』dice2d6=1 1 (2) 『第2障害』dice2d6=2 4 (6) 『最終直線』dice2d6=3 2 (5)
最終着順ダイス dice1d10=4 (4)
【クインルゴサローズ】
『第1直線』dice2d6=6 6 (12) 『第1障害』dice2d6=4 3 (7) 『第2直線』dice2d6=4 3 (7) 『第2障害』dice2d6=6 2 (8) 『最終直線』dice2d6=2 4 (6)
最終着順ダイス dice1d10=10 (10)
【モチモッツァレラ】
『第1直線』dice2d6=2 1 (3) 『第1障害』dice2d6=5 3 (8) 『第2直線』dice2d6=5 6 (11) 『第2障害』dice2d6=1 5 (6) 『最終直線』dice2d6=6 1 (7)
最終着順ダイス dice1d10=6 (6)
- 151◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 22:22:54
【シャコータングラム】
『第1直線』=出目(7)+パラメータ補正(6)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 11 = 3
『第1障害』=出目(4)+パラメータ補正(7)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 13 = -1
『第2直線』=出目(2)+パラメータ補正(6)+根性補正(0)+脚質補正(0) - 15 = -7
『第2障害』=出目(6)+パラメータ補正(7)+根性補正(0.5)+脚質補正(0) - 17 = -3.5
『最終直線』=出目(5)+パラメータ補正(6)+根性補正(0.5)+脚質補正(0) - 15 = -3.5
最終着順=出目(4)-(スタミナ補正(7)+やる気補正(2)+天候/馬場補正(0)+総成功量(-12)) = 7
【クインルゴサローズ】
『第1直線』=出目(12)+パラメータ補正(7)+根性補正(0)+脚質補正(0) - 11 = 8
『第1障害』=出目(7)+パラメータ補正(5)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 13 = 0
『第2直線』=出目(7)+パラメータ補正(7)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 15 = 0
『第2障害』=出目(8)+パラメータ補正(5)+根性補正(0.5)+脚質補正(0) - 17 = -3.5
『最終直線』=出目(4)+パラメータ補正(7)+根性補正(0.5)+脚質補正(0) - 15 = -3.5
最終着順=出目(10)-(スタミナ補正(4)+やる気補正(2)+天候/馬場補正(0)+総成功量(1)) = 3
【モチモッツァレラ】
『第1直線』=出目(3)+パラメータ補正(2)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 11 = -5
『第1障害』=出目(8)+パラメータ補正(7)+根性補正(0)+脚質補正(1) - 13 = 3
『第2直線』=出目(11)+パラメータ補正(2)+根性補正(0)+脚質補正(0) - 15 = -2
『第2障害』=出目(6)+パラメータ補正(7)+根性補正(3)+脚質補正(0) - 17 = -1
『最終直線』=出目(7)+パラメータ補正(2)+根性補正(3)+脚質補正(0) - 15 = -3
最終着順=出目(6)-(スタミナ補正(4)+やる気補正(0)+天候/馬場補正(0)+総成功量(-8)) = 10 - 152◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 22:29:51
帯広第11競走、イレネー記念、BGⅠの着順が確定いたしました。
1着 カミノクニスノウ
2着 クインルゴサローズ
3着 シャコータングラム
4着 モチモッツァレラ
と確定しました。
カミノクニスノウは好スタートを見せてクインルゴサローズと序盤から競り合う形となり、わずかにハナを奪われた形でぴったりとマークしましたが、第2障害ではばんえい重量に大苦戦。クインルゴサローズに突き放され、後続の追撃を許しました。しかし最終直線で崩れたクインルゴサローズの隙を逃さず、見事に追い込んでかわし、イレネー記念制覇となりました。
クインルゴサローズはスタートで綺麗な逃げを見せて後続を離しました。第2障害までは好調でしたが、第2障害降りたところでペースダウン。最終直線で怒涛の追い込みを見せたカミノクニスノウにかわされる展開となり、ハナ差での2着となりました。
レース前の調整では絶好調なシャコータングラムは序盤は先頭集団でしたが、第2直線での突然の減速が大きく響いた結果となりました。すぐに持ち直してじわじわと追い縋りますが、クインルゴサローズを追撃しきれずに無念の3着。
モチモッツァレラはスタートの出遅れで得意の逃げに持ち込めず、中盤から粘り強く持ち直したものの、序盤の遅れを取り返せずに最終的に4着に終わりました。 - 153◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/15(木) 22:38:41
※個人的にはシャコたんに勝ってもらいたかったスレ主です。
それはそれとして、仮にスノウちゃんがスキル『バイキ』未所持の場合、1着2着がひっくり返る結果となり、クインルゴサローズの贈ったヒントがレース結果を分けたとも読めます。
まぁ本人負けても満足してそうですけど。 - 154二次元好きの匿名さん24/08/16(金) 08:15:27
きっちりスキルが活きてるのがすごいな
- 155二次元好きの匿名さん24/08/16(金) 10:06:29
力加減が出来ていないハグをされる可能性があるので、勝利で感極まったばんえいウマ娘には安易に近づいてはいけない
「うわぁぁん!勝てたよ、トレーナーー!」
「うおおお!よくやったぞ、〇〇ー!……はっ!」
ガシッ!メキメキメキ……
「なんてこった、抱きつかれた鉄柱がへし曲がっていきやがる」
「とれーなー?なんでよけるんです?あたし、かちましたよ?だっこしてください?」 - 156二次元好きの匿名さん24/08/16(金) 20:30:14
送った塩で返り討ちにされてるけど全力勝負に満足してツヤツヤしてるルゴサさんか…
- 157◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/17(土) 00:03:50
- 158二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 08:57:22
本日の第4R「ちょっとだけよ貴女もす記念」保守
- 159二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 19:30:28
保守
- 160◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/18(日) 00:23:36
※ダイス神が名勝負にしてくれたレースシーンを書き途中です。
- 161二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 08:24:43
ワクワク
- 162二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 18:50:01
ほしゅ〜
- 163◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/19(月) 00:37:32
- 164二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 12:04:44
あしふといな!
- 165二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 16:24:07
マッチョすぎて好き
- 166二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 20:16:27
ほほう…いいメカクレですね
- 167二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 00:54:59
やっぱりビジュアルイメージってだいじ
ただセリフだけを読むのとシチュは関係なくとも「この子はこんな見た目してる」って情報を合わせて読むのでは解像度がケタ違いに跳ね上がるんだ - 168◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 01:12:35
- 169二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 12:31:26
モチちゃん、この見た目で2.2メートルあるのか
- 170◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 21:56:23
『お待たせしました。帯広競バ場、今日のメイン競争、第11レースはイレネー記念、ばんえいグレードⅠ。
ジュニア級のオープン、定量の一戦、十人で争われます』
しんしんと降りしきる大雪。
その雪に吸われないような大きなアナウンスが、これから始まる戦場の紹介をしています。
『すっかり雪景色となりました帯広競バ場。天候は大雪の荒れ模様。バ場水分は7.9%。基礎ばんえい重量は3500kgとなります』
ファンの声援。トレーナーの激励。
声の大きさは、それぞれが応援するばんえいウマ娘への期待を籠めてのものなのでしょう。けしてスピーカーから流れるアナウンスに負けていません。
『将来のばんえい競バ界を担うスターの登竜門イレネー記念。未来へと続く、新鋭たちの頂上決戦』
一呼吸おいて、
『ばんえいフルゲートです!』
二回目の"ばんえいフルゲート"コールに、またもスタンドが沸きます。
『10コースが今、係員が橇の後端を合わせます』
ばんえい競バでは、正確なスタートラインの位置はゲートではなく、ゲートの後方。そこに橇の最後端を揃えるのですが、如何せん橇は重いので、たまに微調整に手間取ることもあります。
『人気は圧倒的にクインルゴサローズに集まっています』
隣にチラと目をやると、当のクインルゴサローズさんはそんな事などお構いなし。レーザービームでも出しそうな眼付きで真っ直ぐに前を見つめています。ある意味、とてもクインルゴサローズさんらしい。
『十人全員ゲート内、入って揃っています。今、係員が離れまして……合図かかりました。
イレネー記念、スタートです!』
「っしゃおりゃあぁぁぁっっ!!」
一斉にゲートを飛び出したばんえいウマ娘達の口から轟く、雪なんて吹き飛ばしてやると言わんばかりの鬨の声。
橇と装具が打ち付けあい、甲高く鳴り響く騒音は、まるで楽器のよう。
『ほぼ揃った飛び出し。ジュニア級では初となる重いばんえい重量での本レース、全員が3500kgの橇を引きます』
重い!
ですが、速い!
大雪が、コースを恐ろしいほどの高速バ場に変えてしまっています。 - 171◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 21:57:59
たっぷりと水を吸った砂は踏めば水飛沫を立てます。ばんえいウマ娘の踏み込みでも沈まず、がっちり締っていて橇の3500kgの重量を受けても、それをしっかりと受け止めています。橇のズリ金が全然沈みこまないので、重い癖に一度動くとズルズルと曳ける。
『5番クインルゴサローズ、外からビッグアイアン上がっていきます』
クインルゴサローズさんが速い。
強烈なロケットスタートで、高速バ場なのを使って一気にペースを掴もうとする腹積もりでしょうか。
そうはさせるか。
『追うのは7番のシャコータングラムです』
じゃりん、じゃりん、じゃりん、じゃりん。
橇はまるで巨大なスレイベルです。十個の巨大な楽器が奏でるリズムが今日は早い。
十人ほとんど差が無く、あっという間に第1障害です。
「ふんっ!」
身体を単に前に持っていこうとするのではなく、沈みこませながら地面に添わせるようにして、重心を押し出してやるイメージ。
クインルゴサローズさんが言っていた寸勁からヒントを得たトレーナーさんが考えたバイキの動き。それは、スムーズに橇の荷重を前に進むベクトルに変えてくれます。トレーナーさんと目いっぱい練習した動きは、練習通りに出来ています。
ガツンと肩から胸に大きな衝撃が走り、橇を一息で引き揚げます。
『第1障害にきたシーニーグロームを最後に全バが1障害をクリアー』
皆、スタートダッシュを上手く助走に変えて、難なく第1障害をクリアしています。ここにいるメンバーはジュニア級とは言えGⅠに出れるほどメンバー。言い換えれば今年のジュニア級トップ10です。さすがの実力。
『7番のシャコータングラム先行して、並んで5番クインルゴサローズ、それから6番カミノクニスノウです』
第1障害を降りた勢いが早い。
序盤こそクインルゴサローズさんに喰いつきましたが、あたしはややペースを落とします。この先、第2障害があります。ばんえい重量3500kgを曳き上げなくてはいけないので無理にペースを掴もうとしても、終盤が厳しくなるでしょう。
先頭がこちらの手の届く範囲内にいれば良い。
『4番のアンデスレッドも差がありません。
外から9番ビッグアイアン。それをかわしてマネーマーケット、それから1番モチモッツァレラです』 - 172◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:00:19
ぞくり。
異様な展開に、融けた雪と汗でびしょぬれの背筋が粟立ちます。
第2直線で、誰も刻みません。
普通、第1障害から第2障害への直行はしません。少なくとも一回は刻んで息を入れます。それにも関わらず、ジュニア級最大重量の3500kgを曳いているにも関わらずの直行。
『2番のインカアウェイクン。続いて3番シーニーグローム』
一呼吸ごとに吐き出される白い息。
しっかり踏ん張れる濡れた砂。それをザカッ、ザカッと踏みしめて走る十の足音が地響きのように轟きます。
誰も足を止めません。
異様なペースに、普段とは違うレース展開に、ラチの向こうのスタンド前で出走バと併走しているお客さん達から歓声が上がります。
『少し置かれて10番のアイリシュコブラー』
慣性が乗った橇が滑るので、曳き続けている限りはパワーが小さくて済むけれど、足を止めてからまた進むには普段通りのパワーがいります。
これは水を張った洗面器に顔を付けて、誰が最後まで息を止めれていられるか。そういう勝負です。我慢比べに負けて、足を止めたらオシマイ。この速いバ場では置いていかれます。
刻み一回が勝負を分ける。それだけに十人全員、止まりたくても止まれません。
クインルゴサローズさん、序盤からこんな我慢比べを強いる早仕掛けとは、やってくれました。
だが、あたしに向かってスタミナの喧嘩とは上等だ。
『まもなく2障害手前、各バほとんど差がありません』
周りから聞こえてくる苦しそうな息。蹄鉄が砂を食む音。ズリ金が砂を曳き潰す音。
我慢比べはひとまず休憩です。
『シャコータングラム、クインルゴサローズ、外から9番のビッグアイアン』
バ群は、頭から尻までほぼ離れずの一塊り。
『2障害前、続々と各バが集まります。前半44秒で来ました』
第2障害の麓で足を止めれば、荒々しい呼吸音が四方から聞こえてきます。
それぞれが息を入れて回復させながらも、顔色を伺うようにチラリチラリと左右に視線を走らせます。
フェイントを入れるか。入れた振りして、そのまま曳くか。逆にフェイントに乗った振りをして行かず、フェイントを仕掛けた相手だけそのまま行かせるか。
脚は止まっていても、レースは止まりません。
『さあ、まずは行ったビッグアイアン。挑戦始まった!各バのチャレンジ始まります』 - 173◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:03:32
ビッグアイアンさんがバイキをかけて、じゃりん!と盛大な音と共に高低差1.6メートルの頂きを目指して、登り始めます。
フェイント無しの真っ向勝負。
いいですよ、好きですよ、そういうの。でも、焦りは禁物ですよ、あたし。自制するだけの冷静さはまだあります。
『続けて5番のクインルゴサローズ、4番のアンデスレッド、じわぁっと上がってくる。
6番のカミノクニスノウはどうか』
緩やかに調息。
十分に息を吸い込み、ググっと身体を後退させて。
「……いき、ます、よぉっっっ!!」
バイキを掛けた途端、ワラビ型がガツンと肩と胸に喰い込みます。
勝負服から露出している肩の筋肉が、絶対領域の太腿がググッと膨れ上がり、布地が肌に喰い込みます。
重い!
みしみしと全身が悲鳴を上げます。
ばんえい重量が圧し掛かり、それを受け止めて引っ張り上げる為に全身に力を籠めて輓曳する。全力で登り始めたものの、ゆっくりとしか上がらない。
『さあ5番のクインルゴサローズ、そしてアンデスレッドが降りた。
7番のシャコータングラム、後ろから6番のカミノクニスノウやってきた』
(これがGⅠクラス!でも……いける!)
と。
ズルリと濡れた砂の上で蹄鉄が滑りました。
バランスを崩した身体が、ばんえい重量に引き倒される。
そう判断する前に、身体は勝手に動いていました。前方に身体全部を投げ出すようにして、膝をつく。
『6番のカミノクニスノウが膝を折った。ジュニア級には重い重い3500kgが襲いかかります。
1番モチモッツァレラがかわした』
重い。胸が苦しい。肩も、胸も、足も、力いっぱい曳いていて、どこもかしこも熱くて痛い。勝負服は水浸しの砂まみれで酷い有様。
あたしの身体が小さくて体重が軽い分だけ、トラクションの掛かりが甘かったのでしょう。ここで膝を折るタイムロスは致命的です。それでもまだ勝負は捨てていません。捨てるものですか。走って最後まで曳くのが輓曳。レースに出ているばんえいウマ娘がレースを捨てるなんて、曳くのを諦めるだなんて、とんでもない。
それに、勝負はまだついていません。
『6番のカミノクニスノウ、立ち直すのに時間がかかっている』
地面に手をついても砂が崩れるだけ。 - 174◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:08:01
片膝立ちから、どうにかしてスタートするしかありません。が、ここまでの道程で疲弊した筋肉は、普段と同じパワーを発揮しないでしょう。それでも疲れているなんて、理由にもなりません。
グラムさんの巨躯を背負って片足だけで身体を持ち上げるブルガリアンスクワット。それを始めとして毎日の厳しいトレーニング。それは何の為だったのか。
「それは!こういう時の為!だろうがあぁぁぁっ!!」
膝頭に掌をついて、気合一発。叫び声と共に足を地面に撃ち込むような勢いで、立ち上がります。噛み締められた奥歯がギリギリと音を立てる。
『そのあとにインカアウェイクン。
さらにマネーマーケット。ここでカミノクニスノウが立て直した』
「ぬりゃあああぁ!!」
一歩。
さらに一歩。
ゆっくりですが、前に、ひたすら前にと輓曳します。
登り切った第2障害の稜線。見れば、先頭集団は一歩先を行っています。逆に言えば、その程度しか離されていない。
ヒュオッと大きく吸気。
肺の中身を入れ替えるような勢いで二呼吸。出来る限りの新鮮な空気を飲み込みます。それは、これからの地獄のように苦しい花道への備え。尻込みしているような暇はありません。準備が整えば、飛び込むのみです。その先にしか勝利は無いのですから。
ズザッと蹄鉄で砂を蹴立てて、斜面を駆け下ります。
不思議と、自分の頬が緩んでいるのが分かりました。楽しい。こんなに苦しいのに、こんなに楽しい。さぁここからもっと楽しくなる。さぁ勝負だ。全員ぶち抜いてやる。
第2障害を駆け下りた勢いは、そう長くは続きません。普段であれば。
今日のバ場は湿度がめちゃくちゃ高い高速バ場です。砂は橇を絡めとらず、勢いが死に辛い。曳くためのパワーが少なくて済んで、スピード勝負に持ち込めるのであれば、スタミナの比べ合いになるのであれば。
あたしの足は負けない。
『6番のカミノクニスノウ走る走る!』
「にがす、もんかぁぁぁっ!」
第2障害の下り坂をカタパルト代わりにして、コースを走ります。
『一気に!一気に6番のカミノクニスノウがかわした』
ばんえい重量が極めて軽いレースならいざ知らず、重賞クラスの橇を曳いて最終直線で実際に"走る"ような選手はまずいません。普通は、歩いて止まって曳く、です。
そこを、あたしは走りました。 - 175◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:10:07
でも、このバ場条件、この第2障害の勢いを利用しただけの、とても限定された条件での走りです。
勢いそのままに突き進んでいるだけで、一回でも足を止めて刻んでしまえばパワー勝負に逆戻り。速度の勝負であれば皆を凌げる、あたしの足の強みは帳消しになる。
だから、
「この脚ぃ!止めてぇ、たまるかあぁぁっ!」
『残り30メートルです』
叫んで、自分を無理やりに叱咤して、帯広競バ場のコースを駆ける。
『まだ5番のクインルゴサローズが先頭だ』
狙うは、その向こう側の位置。
『2番手アンデスレッド刻んだ。足が止まる』
あたしの足の回転は落ちません。
『駆けて追撃する6番カミノクニスノウ、前に7番のシャコータングラムと、うち1番モチモッツァレラ』
まだ足の回転は落ちません。
ドカッドカッと一人だけハイテンポな足音を立てて曳きます。
「待つべや、スノウ……!スノォーーーッ!」
「いかせ、ない、スノウちゃん、いかせないよっ!」
叫ぶ二人への返事がわりに、尻尾の赤いリボンを振り回して見せつけます。
『かわした!怒涛の追い上げの6番カミノクニスノウ。シャコータングラム、モチモッツァレラとアンデスレッドをまとめてかわした』
これで、あたしの前にいるのは一人だけ。
『残り10メートルを切りました』
これこそが、一発逆転のばんえい競バ。
こここそが、ばんえいウマ娘の花道。あたし達の闘う場所。
『ここで6番のカミノクニスノウがクインルゴサローズに並んだ!』
「お礼を言います、あの時、あれを見せて、くれなかったら、あたしは、届かなかった」
「礼を言うには、まだ早く、ないかしらぁ?」
手を伸ばせば届きそうな距離にあるゴールライン。そこを真っ直ぐ見据えながら、荒い呼吸交じりの会話。 - 176◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:11:33
ゼハッ、ゼハッ、ともう自分のだかクインルゴサローズさんのだか分からない激しい呼吸音が、頭蓋骨をぐわんぐわんと揺らして響きます。
酷使された喉も肺も焼け付くようです。
「いいえ、必ず言って、やりますよ。あなたの技で勝てました、ありがとうって!!」
「あっはははぁ!絶対に、言わせません、わぁっ!!」
『クインルゴサローズわずかに足が鈍った。6番のカミノクニスノウがじわっと、じわっと前に出る』
お互いに酸素やエネルギーもガス欠。
それでもなお獰猛に、相手を喰らってやろうと笑いながら、輓曳する。
「そうですわぁ!そうこなくては面白くないですわぁ!」
『アンデスレッドは苦しくなりました。足が止まっている』
今の土俵は、全てを吐き出し切って、メンタルでフィジカルを駆動する領域。つまりは意地と根性のぶつかり合い。
『カミノクニスノウが入線、続いてクインルゴサローズも入線しました。両者とも足は止まらない』
入線しても、橇の後端がゴールラインを越えるまでゴールした事にはならない。まだレースは終わってない。
あたしの左胸の奥から溢れ出して、心と体を衝き動かす声。
走りたい。曳きたい。
そして、勝ちたい。
今、二人のばんえいウマ娘を突き進ませるもの。それは、相手に勝つという執念に他ならない。
『カミノクニスノウが前に進む、クインルゴサローズも必死に追う。差は縮まらない』
「うあああぁぁっ!勝つのはっ!!あたしだああぁっっ!!」
「ぶっっ潰してっっ!さしあげ、ますわあぁぁぁぁっっ!!」
ほんのわずかな距離。
ほんのハナの差。
それはほんの一歩にも満たないようなとても短くて、とても大きな差。
『文句なし、競り合いを制したのは6番カミノクニスノウ!2番手はクインルゴサローズ』 - 177◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:13:38
意味をなさない叫びと共に、転がり込むようにしてゴールラインを通過。
したとたん、じめんがぶつかってきました。いたい。
『そして3着争い』
となりで、おおきなおとがしました。
めだけうごかせば、クインルゴサローズさんがすなのうえでねています。ぎょうぎわるいですよ。
『シャコータングラムとモチモッツァレラどちらか、ほとんど同時』
しんぞうのおとがうるさい。
『アンデスレッド苦しい。まだ足が止まっている』
すながつめたいきもちいい。
『その隙にアイリシュコブラー』
ゆきがつもってとけてつめたいきもちいい。
『それからインカアウェイクン、シーニーグローム』
あしおとが聞こえる。
『そしてマネーマーケット』
グラグラしているあたまをどうにかこうにか動かすと、こちらに駆けよってくるトレーナーさんが見えます。
『今アンデスレッドが入線』
ひどく慌てたようなトレーナーさんと係員さん達が装具から橇を、次に装具も外してくれました。
一気に息が楽になります。
『最後9番ビッグアイアン』
酸欠だったところに急に新鮮な酸素が流れ込んできて痛む頭を押さえながら、上半身を起こすと、トレーナーさんが飛びついてきました。
おめでとう、よくやったと喉を震わせて繰り返す様子に、しゃっきりしない頭でもようやく結果が飲み込めてきます。
『果敢に第2障害にチャレンジしましたビッグアイアン、最後に入線です』
彼女の健闘を称えて、観客席の誰からともなく自然と起きる拍手。帯広競バ場では、いつもの事です。たとえ成績は振るわなくたって完走、つまり仕事をやり終えたというのは賞賛されるべき事なのです。
拍手が収まった頃。酸欠だったあたしの身体と頭は、ようやくなんとか立てそうなくらいには調子が戻ってきていました。 - 178◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:16:39
スッと、右手が、あたしの前に差し出されました。
黒と赤の男装の麗人のような勝負服。汗と砂と泥に塗れてもなお艶々と輝く、大輪の花のような雰囲気をしたクインルゴサローズさんが手を差し伸べてくれています。
彼女の手を取ろうとして、前にも似たようなシチュエーションがあったようなのを思い出し、ちょっと躊躇。
その躊躇をクインルゴサローズさんは真正面から無視して、無理やりに右手を持っていかれて、握手させられました。
『帯広競バ場、第11レース、イレネー記念、ばんえいグレードⅠ。見事、ジュニア級の頂上決戦を制したのは6番カミノクニスノウ!
この娘こそ来年のクラシックの台風の目となっていくのか!』
「大変良いレースをありがとうございました~。とっても激しく闘り合えて満足ですわ~。
でもぉ、次はぶっ潰してさしあげますねぇ」
「はい!次も負けませんよ!」
「あ、まーた二人だけで雰囲気だしちゃってからにさー。
あ゛ーー!ウチも勝ちたかったべさーー、スノウ、おめでとう」
立ち上がろうとして、かくりと膝から力が抜けて、倒れそうになります。
寸前。
よろめきそうになった肩を、トレーナーさんが支えてくれています。肩を組んで、まるで本当の二人三脚みたい。
膝から崩れ落ちそうになる身体をグラムさんが、クインルゴサローズさんが、モチモッツァレラさんが、一緒に戦った皆が支えてくれています。
あたしは、皆の力を借りながら顔を上げて精一杯胸を張って、観客席を向きます。たくさんの知らないファンの方々。知っているファンの皆さん。おばあちゃんお父さんお母さん妹達。
グッと握りしめた右の拳。
それをいまだに大雪を降らす空に向かって突き上げ、勝利の雄叫びを上げたのでした。 - 179◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:17:36
帯広競バ場 第11レース イレネー記念 BGⅠ
着順 馬番
1 6 カミノクニスノウ
2 5 クインルゴサローズ
3 7 シャコータングラム
4 1 モチモッツァレラ
5 10 アイリシュコブラー
6 2 インカアウェイクン
7 3 シーニーグローム
8 8 マネーマーケット
9 4 アンデスレッド
10 9 ビッグアイアン - 180◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/20(火) 22:19:25
※スノウちゃんは見事にG1勝者となりました。
いつものように祝勝会でスノウちゃんを労うのか、スノウちゃんがいつもお世話になっているトレーナーさんを労うのか。
という事で、スノウちゃんがして欲しい事 or トレーナーさんにしてあげたい事を募集します。
安価は無しで、数が揃えばダイスで決めたいと思います。 - 181二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 08:56:52
まあご飯行こうぜご飯
- 182二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 17:50:13
ドライブして海を見に行こう!となっても3月だしなー
鉛色の空と流氷で覆われたオホーツク海 or 強風と荒波が押し寄せる太平洋 or 荒涼とした雪景色が広がる根室海峡
になりそうだし、道民は冬のデートとかどうしてるんだろう
ドライスーツ着て流氷ウォークは面白そうではあるが - 183二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:30:38
ひとまず保守
- 184◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/22(木) 01:08:03
- 185二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 10:21:23
保守
ばんえいはレーススピードが遅いから、ばっちばちにガンギマった表情したウマ娘達をじっくり眺められるのか - 186二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 20:07:03
北海道民の男はばんえいウマ娘と結婚するのが一番の夢だということは知っているね?
高身長ムキムキの美人さんと結婚してぇよ - 187二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 00:21:01
保守
- 188◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/23(金) 00:40:06
結婚式。
結婚式とは、神様や参列者の前でふたりが愛を誓い、夫婦となることを決意し表明する儀式のことです。
洋の東西、国、時代がどれだけ違っても、二人の婚姻を成立させ、周囲に認めてもらうための儀式であることは変わりありません。
その結婚式のシーズンと問われると、何月頃が頭に浮かぶでしょうか。
ジューンブライドという言葉があるように、おそらくは五月から六月にかけての穏やかな温かい季節が連想されることが多いでしょう。少なくとも滝のように汗の滴り落ちる真夏や、歯の根も合わない真冬にウエディングドレスを着て幸せそうにしている新婦の姿は、ちょっと想像しがたいものがあります。
ですが、かつて、そして今も、ばんえいウマ娘の結婚式は春や秋などの優しい季節には行われません。
まさに、その極寒の冬季に結婚式を行うのが、ばんえいウマ娘達の慣例となっているのです。
これは何も、これから家に入ってくる新婦をいびってやろうなどという不埒な考えに始まったものではありません。そもそも機械化の進んでいない時代にあって、ばんえいウマ娘の強大なパワーは何物にも代えがたいものでした。機嫌を損ねるような真似など、とうてい出来る筈がありません。
実際、嫁入りしてきたばんえいウマ娘は下にも置かれぬ扱いを受けました。もっとも"人と共に在り、人と共に働く"ことに意義と喜びを見出す当のばんえいウマ娘達が、そのような特別扱いを嫌ったケースがほとんどだったようですが。
そのばんえいウマ娘の強大なパワーは農地の開拓、田畑の耕作、農作物の運搬など、重機もトラックもない時代にはあらゆる産業分野で求められ、それに応えて八面六臂の活躍を見せました。 - 189◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/23(金) 00:43:14
当然ながら田畑の耕作は、種が死んでしまうような寒さと厚い雪に覆われた期間には出来ません。
農業において、土を掘り返したり反転させたりして耕すことを耕起と呼びます。今でこそトラクターなどの農業機械が主力ですが、モータリゼーションの波が訪れる以前の農作業においては、ばんえいウマ娘こそがそのような作業における主力でした。
五月から六月と言えば、北海道においては田植え真っ盛り。
まさに猫の手も借りたいような、一族一家総出で行う作業の連続となる時期です。
そのような時期に、結婚式などやっている余裕はありません。
なにせ、その時期の作業の出来不出来で、翌年に自分達の食い扶持があるかどうかすら決まってくるのです。どの農家だって必死です。重要な労働力であるばんえいウマ娘を花嫁に出している余裕も、迎え入れている余裕もありません。
その為、ばんえいウマ娘の結婚式は、農閑期の二月から三月に新郎宅で行うのが慣例となったのです。
これが、いわゆる"バ橇の花嫁"と呼ばれる風習です。
昭和三十年代中頃まで北海道や東北地方の農村地域で行われていた風習です。
花嫁であるばんえいウマ娘が、ぴかぴかの嫁入り道具を乗せたバ橇を曳いて花婿のいる家まで運んでいく、または嫁入り道具と一緒に花婿を乗せて二人の新居まで運んでいくというものです。
この結婚式の風景は、当時の北海道の冬の風物詩でした。
時代は進み、農業を始めとする各産業分野の機械化が進んだことで、かつてのようにばんえいウマ娘はそれら産業分野の主力ではなくなりました。しかし主力で無くなったと言うだけで、今でも昔同様に田畑を耕し、一次産業に従事するばんえいウマ娘は数多くいます。
そして農業が季節と天候に従う産業である以上、働く彼女らが従うカレンダーは今も昔も変わりありません。
今でこそ当時のままの"バ橇の花嫁"は、古式ゆかしい作法にロマンを求めるようなカップルが行う時以外は、見られなくなりました。
それでも、現代に生きるばんえいウマ娘の間では、たとえ家業が農家でなかろうとも、結婚式を挙げるのは冬であるという"バ橇の花嫁"の風習と言葉は廃れずに、受け継がれているのでした。 - 190◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/23(金) 00:53:06
- 191二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 02:38:40
ありがたやありがたや
- 192二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 08:46:00
保守
- 193二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 19:37:38
保守
- 194二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 19:38:04
卒業してすぐにこうなるケースもあるんだろうなぁ
- 195二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 00:28:31
そろそろ次スレだなぁ
- 196◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/24(土) 00:36:56
※日中ほとんど水分摂らずに歩き回ったせいでダウン中のスレ主です。
スレの残りが僅かなので進行させず、明日にでも次スレに移行しようと思います。 - 197二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 10:41:32
保守
- 198◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/24(土) 10:51:24
- 199二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 12:03:13
乙埋め
- 200◆Lj.vT9ErJJ7R24/08/24(土) 14:29:05