- 1二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:42:21
- 2二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:45:33
お前の目にボクがどう映ったのか、それは分からないけれど・・・ボクは独り雨に濡れるお前を見て、思わず家に連れて帰りたいと思った。
それが使命だとすら思えるほどに強くそう感じた。幼い正義感だった。
お母さんは案の定驚いていたけどボクは正しいことをしたつもりだったよ。 - 3二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:50:52
「元いたところに返して来なさい」
お母さんはそういっていたね。雨はもうすっかり上がっていたから、ボクはもう一度同じ道を辿ることになった。お前を元のT字路に戻すために歩く足取りはこの上ないほどに重かったのをよく覚えているよ。
夕暮れが始まるにはだいぶ早い空に虹がかかっていた。キレイだったけれど、あのときのボクは悲しかったよ。
お前は結局、何があったのか分からないような顔でまた同じように段ボールに座って何かを唱え始めたね。あの頃のボクには分からなかったけど、今の私が聞いたら理解できるのだろうか? - 4二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:52:53
ホームレス…?
- 5二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:58:55
その日の夕飯はボクの好きなカツカレーだったけど、ボクはいつもなら絶対におかわりをするのだけど、ボクは半分くらい残してしまった。
兄も姉も事情を知らないためか、ひどく心配していたけれど、お母さんだけは短くため息をつくだけだった。
その日の夜、と言ってもまだ日が沈んだばかりの時刻、ボクの部屋を訪れてふさぎ込むボクの頭をそっと撫でてこう言った。
「お母さんは面倒見ないからね。お前がしっかり世話するんだよ?」
それからボクは自転車に乗って、全速力であのT字路に急いだ。嬉しさと心配と急な運動と・・・とにかくすべてがボクの鼓動を速くしていた。
すっかり暗くなったT字路に、変わらず佇んでいたお前はボクを見て言ったね。
"おん"と。 - 6二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 17:59:45
何喰ってたらこんな発想浮かぶんだ
- 7二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 19:06:49
ぬいぐるみなのか本体なのかで話が変わってくる
- 8二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 21:05:24
袈裟衣が雨を吸って重くなっていたね。あの当時はまだ「袈裟」なんて言葉は知らなかったけど、水に濡れながらも懸命に何かを唱えているお前を見たとき、ボクは感じたんだ。
お前と暮らせる喜びをね。 - 9二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 21:09:32
それからボクらはいつも一緒だった。
寝るときも食事のときもお散歩のときも、ずっと一緒に過ごした。
お母さんは「世話しない」なって言ってたけど、こっそりお前を散歩に連れ出して一緒に何かをつぶやいて遊んでいたのをボクは知っている。
兄も姉も、みんなが「大僧正、大僧正」って口々にお前を誉めているのをみて、ボクも誇らしかった。
ボクらは、ボクら家族は、最高だったんだ。 - 10二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 21:22:30
夜宵ちゃんですら封印するだけで飼い慣らしたりはできなかったのにこの推定ショタ何者だよ…。
- 11二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 08:08:47
夏休みが始まって何日か経った頃、たぶん大人になった今の私にとってはほんの短い期間だろうけど、当時のボクにとってはそれなりの時間が経った頃、ボクら家族は田舎の祖父の家に遊びに行ったね。
祖父の家のそばの山に登ってたくさん遊んだ。お前は袈裟を着ていたから山を登るのは大変だったと思うけど、いつもニコニコしていたよね。本当に楽しかった。