バウムクーヘンエンドじゃないけど【SS・悲恋】

1二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 22:38:41

学園を卒業して、トレーナーさんが私のトレーナーさんじゃなくなって、今は何回目の春でしょうな？何度冬を越えたことでしょうか？草々は枯れてはまた青々と生えてを繰り返していますが、私のあなたへの想いは一度だって枯れたことはありません。むしろあなたと離れ離れになって想いは募るばかりでした。

あの数年は本当に幸せでした。皆さんに笑顔を届ける、幸を届ける。それは今も変わりません。なので、今だって充分に幸せです。ですが、あなたの笑顔が見れないというのは悲しい。だから、やはり今よりもあの数年の方がどうしても幸せなんです。

——あの頃はあなたの笑顔で幸せになれたのになあ

結局、最後の一歩を踏み出せなくて、卒業後はなかなか会う機会がなくて……会いに行く勇気もなくて、そのまま気づいた時にはこんなに時間が経っていて………偶然出会ったあなたの隣には他の人がいました。私があなたの隣にならぶ余地はなくなっちゃいました。

臆病ですよね、私。弱いですよね、私。……情けないですよね、私。何度、この七つ折り半をグシャグシャにしてしまいたくなったか。一体、何十枚を無駄にしてしまったか。

あなたに直接想いを伝える勇気がなかった。あなたに会いに行って想いを伝える勇気がなかった。けれど、あなたへの想いを捨てる勇気もなかった。もう手遅れとわかっているのに涙が止まらなかった。

あなたの名前の後に続くのは私の名前じゃない。そう思い知らされるたびに涙で出て、文字が滲んで、視界が滲んで……泣いて、泣いて、泣いて、泣き腫らして、もう一滴の涙も出なくなってようやく書き終えることができました。これが『祝詞』だなんておかしいですよね。

けど、安心してください。私があなたの幸せを心から願っているのは本当ですから。あの時から変わりませんから。例えその笑顔が私に向けられたものじゃなくても、あなたが笑っているなら私は充分幸せです。……………幸せなんです。

募りに募った私の気持ちを全て乗せますから、きっと神様もご祈願を聞いてくださると思います。齋い幸わっちゃいます。あなたとあなたの大切な人は一生幸せに生きていくでしょう。いくに決まってます。………私があなたの隣に立つことは絶対ない。それでいいんです。だって、私がおらずとも今のあなたはとてもとても———

———幸せなんですから。