- 1◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 00:32:48
- 2二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:33:45
たて乙
- 3二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:36:36
このレスは削除されています
- 4二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:38:27
このレスは削除されています
- 5◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 00:39:38
前スレ
錠前サオリの裏バイト奇譚3【SS、微ホラー】|あにまん掲示板自分探しのために色んなアルバイトをして各地を放浪する錠前サオリ。だがその中には恐ろしいものが隠されている危険なアルバイトもあった。これはそんな危険なアルバイトにうっかり勤めることとなったサオリのお話。…bbs.animanch.comタイトル変更前
何!?1枚500円のチラシ配りだと!?【SS、微ホラー】|あにまん掲示板早速働き始めた錠前サオリだ。業務は普通のチラシ配りと変わらんな。だが指定された配布時間が人の少ない深夜なのは何故だ?歩合制だからなるべくたくさん配りたいのだが。まあ、それ故の高額な報酬のだろう。「………bbs.animanch.com - 6二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:43:02
たておつ
とりあえず10まで - 7二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:43:46
URLはURLないレスがつくまでバグで表示されないぜ!
- 8◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 00:44:35
バグなんですね、気をつけます。いらないものは消しときました。
- 9◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 00:45:40
どこまで続くか分かりませんが本スレからドレスサオリです。
- 10二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 00:50:18
幽霊大好きイギリスモチーフのトリニティ
怪奇譚多めのドイツモチーフのゲヘナ
因習でお馴染み日本モチーフの百鬼夜行
呪術等の本場中国モチーフの山海経
元祖呪いの国エジプトモチーフのアビドス
都市伝説多めのアメリカモチーフのミレニアム
怪僧が政権取った事もあるロシアモチーフの赤冬
厄ネタいくらでもありそう - 11二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 01:00:18
本場の百鬼夜行と山海径は存在が認知されてて怪異対策専門の組織がありそう
ゲヘナはブルアカホラーの元祖たる今日は快晴が発生する、けど日常的混沌の一つ判定かも?
ミレニアムは治験や実験で色々と…フルダイブを利用した五億年ボタンとか…
アビドスはハムナプトラ - 12◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 01:02:11
銃火器ドンパチをよくやる分ハムナプトラがマシに見える……
- 13◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 01:07:13
- 14二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 01:40:27
- 15◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 01:59:41
- 16二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 02:55:44
- 17二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 03:19:19
- 18◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 07:12:23
- 19二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 08:18:58
- 20◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 08:40:09
- 21二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 11:01:02
- 22◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 18:49:48
ビーチ前屋台警備のバイトを始めた錠前サオリだ。ここはアウトロービーチ……の付近にある⬛︎⬛︎自治区で1番大きなビーチ。たくさんの観光客が遊びにくる場所で、海の家はないが祭りの縁日のように屋台が並んでいるのが大きな特徴だ。この屋台はビーチの組合が管理しており、私は組合に雇われて屋台周辺の警備をすることになった。
先日のヘルメット団総連合会ではDJの護衛を中心に様々な仕事を行ったが、今回は警備だけをやることになる。ビーチで巻き起こるトラブルを無事に解決し、時には荒事に飛び込んで行かなければならない。大変な仕事だが時給は1万円、さらに昼食や飲み物を買うためにどの屋台でも使えるフリーパスが支給される。気前がいいな、張り切って行こう。
なになに、注意事項として『本ビーチではココナッツジュースの販売が禁止されている。もしココナッツジュースを飲んでいる客を見かけたら組合本部に報告すること』……とのこと。ヘルメット団総連合会では販売されていた覚えがある、ココナッツに穴を開けてストローを通して飲むアレだな。ここではダメなのか、覚えておこう。 - 23◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 18:50:26
(1日目)
カラッとした眩しい日差しに照らされる中、観光客達が青い海を求めてビーチにやってくる。熱に浮かされた人々は財布の紐も緩くなり、気前よく屋台で買い物をしていた。焼きそばやジュースが飛ぶように売れる、何だかよく分からないキーホルダーやアクセサリーもついでに売れる。
「よってらっしゃい見てらっしゃい!このビーチ名物の緑閃光の写真集だよ!縁起物だよ〜!絵ハガキとかもあるよ〜!」
……お土産屋、と言ったところか?おおよそ屋台で売るような物ではない物を売っている屋台もある。何というか……凄いな、先日のヘルメット団総連合会以上の活気だ。押し流されないようにしなくては。
そんな喧騒の中、私の業務は始まった。ビーチの屋台エリアを練り歩き、怪しい人物がいないか監視をする。何か見つけたら、耳につけたインカムで組合本部に報告し、不審者の確保や応援の要請を行う。左手には組合の腕章をつけており、それを見て助けを求める観光客が話しかけてくることもある。それを助けるのも仕事だ。
滞りなく業務を行い、たこ焼き屋の店主にいちゃもんをつけている観光客の身柄を取り押さえていると、ちょうど昼休憩の時間になった。
「ありがとね、警備のお姉ちゃん!よかったらうちのたこ焼き食べてって!」
店主からたこ焼きを3パックも貰った。何を食べようか迷ってたからちょうどいいな。だがフリーパスがあるとは言え、こんなに貰っていいのだろうか?
「いいのいいの!どうせ原価バカ安いんだから、ちょっとおまけしても問題ないわ!」
「そ、そうか……。なら頂こう、感謝する」
駆け付けた組合職員に取り押さえた観光客を預け、私はその場を後にした。 - 24◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 18:51:37
「どこか座って食べられる場所は……」
屋台エリアを離れ、ビーチの駐車場エリアへと入る。確かここにはいくつかベンチがあったはずだ。水着(ヘルメット団総連合会で着ていたもの)を着ているとは言え、今の私はアルバイト。ビーチの砂浜で観光客に混ざって食べるのは気が引けた。
そんなわけで空いているベンチを探していると、歩道で誰かが揉めているのを見つけた。片方は組合職員、もう片方は……悲壮な表情の獣人(ラッコ)の女性だ。
「どうした、トラブルか?手伝おうか?」
「ん?ああ、バイトの人か。いや〜この人ね〜、届け出を出してないのにビラ配りしててね〜。困っちゃうよホント」
「そんな!出してるじゃないですか!何度も何度も!なのにどうして許可してくれないんですか!?」
「いや〜そこら辺は上の人の裁量次第ですけど……屋台の宣伝ならともかく、行方不明者の捜索チラシは通りにくいといいますかぁ……」
「……行方不明者?」
「そうなんです!!」
私が呟いた瞬間、女性は血相を変えて私の肩を掴み、顔を近づけてきた。
「去年、このビーチに息子と遊びに来たら、いつの間にかいなくなったんです!ヴァルキューレに捜索して貰ってるけど全然見つからなくて……!もう心配で……!ああ……坊やっ、どこにいるの……!?」
女性は私にしなだれかかり、さめざめと泣き始めた。周囲の観光客が好奇の視線を向けてくる。ヒソヒソと何かを話しているのが聞こえる。だがそんなことが気にならないくらい、この女性が哀れに思えた。 - 25◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 18:51:48
彼女が持つチラシを1枚貰い受ける。息子さんの写真と、息子さんの情報がびっしりと書かれている手作りのチラシ。少しでも息子さんに繋がればと祈るような思いを感じた。……とても愛情深い人だな。ヴァルキューレの操作を待ち続け、自分でも何かしようとチラシを配っているんだろう。勝手に配っているのは悪いことだが……何かしてやれないだろうか?
そんなことを考えていると、それを見透かしたような困り顔で、組合職員は私から女性を引き剥がした。
「もう、困りますよ〜お客さん。とりあえず本部連れて行きますから、ほら立って。バイトさんはこれから昼休憩だよね?もう大丈夫だから、行っていいよ」
「だが……」
「あんまり入れ込むものじゃないよ、ね?」
「あ、ああ……。失礼する」
職員に促され、私はその場を離れる。後ろからは女性の鳴き声と、職員の宥める声が聞こえ続けた。
しばらくして、ちょうどいいベンチを見つけた私はそこでたこ焼きを平らげ、ホッと一息を吐く。たこ焼きは美味しかった。でも何かが胸に引っ掛かっているように感じる。恐らくその原因である、ずっと持っていたままのチラシをもう一度見た。
写真には真っ白なカバの帽子を被った少年が笑顔で写っている。確かアズサの友達ファウストが同じキャラクターの鞄を背負っていたな。爆弾を仕込んでいたあの人形も……何にせよ、特徴的な目印だ。
「入れ込まない方がいいのは同意する。だが、頭の片隅に入れておくだけなら、文句はないだろう……」
息子さんの顔を覚え、チラシを丁寧に折り畳み、ポケットに仕舞った。 - 26◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 18:52:39
一旦ここまで、ビーチ前屋台警備編の始まりです。よろしくお願いします。
- 27二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 19:11:25
えへへ……七囚人の1人すら退けたサオリ姉さんなら今回こそ何事も無く終わりますよね……
- 28◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 19:39:03
そんなヒヨリちゃんにはここのスレタイを読んでもらいましょう。
- 29二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 19:48:28
海は怖いからねぇ…人もそれ以外も…
- 30◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 19:50:20
サオリ「観光客いっぱいの楽しいビーチだ、ぜひ遊びに来てくれ……!」
- 31二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:06:15
うーん、海は広いな大きいなぁ(目逸らし)
今の所ココナッツジュースくらいしか情報がないのがこれまた不気味な……ココナッツか…… - 32二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 21:19:25
あはは…ペロロ様のこと覚えててくださったんですね
せっかくですしペロロ様についてもっとお話してみませんか?
こっちへ
ほら
さぁ - 33◆yQm0Ydhu/2pS24/07/26(金) 21:27:21
- 34二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 01:45:05
単純にヤシの実から器にうつしたり、実の方を器として使うとか、あるいはジュース状態じゃなければセーフだったり…
まあ実際セーフかどうかの確認作業でなにかあったりする可能性があるからやらないだろうか - 35◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 07:09:28
境界線はギリギリを攻めてやらかすくらいなら近づかないのが1番ですからね。一律禁止にした方がむしろ安全……
- 36二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 09:37:57
たこ焼き店主の「原価バカ安い」っていうセリフが怖い。裏バイトナイズされてるように感じる。
- 37◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 10:34:10
- 38◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 10:41:21
アリウス時代の劣悪な環境に慣れてしまったせいで、道中の異常な雰囲気や空気感を見極めて撤退する能力が致命的にないサオリ。
だけどベアトリーチェやユスティナなどの異常存在を見慣れているおかげで、いざ怪異に遭遇したら真っ先に「あ、こいつはヤバい!」と勘づくし対処してしまえる。
チーズにあっさり釣られるけど罠にかかって袋の鼠になってからが本番みたいなイメージ。 - 39◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 10:45:28
異常じゃない敵ならそうでもないけど、異常な奴らにはサオリはそんな感じかなというイメージです。
- 40二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 20:05:58
ホラー、主人公の人間性が(偶然だとしても)最終的に自身を助ける展開も好き
サオリはどうなるかな - 41二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 20:59:20
8番出口的なのとかどうでしょう?
今回のイベントとのエクストラ?ステージを見て、そう思いました。 - 42◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:16:18
- 43◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:16:39
(7日目)
今日も元気に屋台エリアを練り歩く錠前サオリだ。バイトを始めて随分経ったが、多少のトラブルはあれど概ね異常なし、平和な日々が続いている。屋台の食べ物も美味しいし、ここで働いてる人達もみんな優しい。とてもいい職場だと思う。少し暑いがな。
ただ1つ気になることがあるのだが、ココナッツジュースを持った観光客を、この7日間見ていない。いや、販売を禁止されているのだから当然だが……。
わざわざ注意事項に記していると言うことは、どこかでココナッツジュースが売られることがあるのだろう。しかし、7日の間に屋台エリアの屋台は全て見回ったが、そのようなことをする屋台があるとは思えなかった。どこの屋台も皆いい人達で、せっかく観光地に屋台を出せてるのにわざわざルールを破ってまでココナッツジュースを売る気はないと言っていた。なのになぜ……?
「あの〜、ちょっといいですか?」
そう考えながら見回りをしていると、後ろから声をかけられた。何か困ったことがある観光客が話しかけてくるのも日常茶飯事だ、今回もそれだろう。そう思ってすぐに振り返った。
「どうした?何か困ったことでも……ん?お前は!」
「あれ!?サオリさん!?」
互いに驚いた声を上げた。話しかけて来たのは見知った顔の生徒だったのだ。ウェーブのかかったツインテールの金髪。いつもは制服に赤い上着を着ているが、今日はフリルがついた可愛らしい赤の水着を着ている。つり目はまん丸く見開き、私をまじまじと見つめていた。そんな彼女はトリニティ総合学園放課後スイーツ部所属……私の友達の1人の伊原木ヨシミだ。 - 44◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:17:24
「サオリさん久しぶり!またバイトしてるの?」
「ああ、久しぶりだな。今はここの屋台エリアの警備をしているんだ。ヨシミは……観光か?スイーツ部の子達も一緒に来たのか?」
ひょんな事から知り合い、一緒にスイーツを食べた友人達を思い出す。目の前にいるヨシミと、カズサ、アイリ、ナツの4名からなる放課後スイーツ部の面々。たまにモモトークのメッセージが来て、それに返信をしているが、直接会うのはチラシ配りのバイトの後……一緒にスイーツを食べた時以来だな。
だからいるなら顔を見たい、そう思ってヨシミに問いかけたが、彼女は首を横に振った。
「課題とか当番とか、色々被っちゃって。仕方ないから1人で来たの」
「そうか、それは残念だ。だがとてもいい場所だから、是非とも楽しんでいってくれ」
「ええ、そうするわ!……あ、そうだ!サオリさん、私、幻のココナッツジュースを探してこのビーチに来たんだけど……」
「幻の、ココナッツジュース?」
今度は首を大きく縦に振ったヨシミ。見た覚えはないが聞き覚えはとてもあるそれに、私は目を丸くした。
「スイーツの情報収集をしていたら、このビーチの屋台エリアのどこかに、幻のココナッツジュースがあるって噂を聞いたのよ。だから探し出して、あわよくばみんなの分も買って帰りたいんだけど、何か知ってないかしら?」
来ることができなかった3人のことも考えているのか、いい子だな。しかしココナッツジュースか……困ったな。
「ヨシミ、すまないが力になれそうにない。そのココナッツジュースは私も見たことがないんだ」
「ええ!?そんなに貴重なの!?もしかして限定ドリンクだったりするの!?」
「いいや違う。そもそも……このビーチではココナッツジュースを売ってはいけない決まりになっているんだ」
「ええ!?何で!?」
「すまない……それもよく分からないんだ……。だがそう言う決まりだから、どの屋台でもココナッツジュースは売られていないはずだ。ここで働いて7日目になるが、今までココナッツジュースは見たことないぞ」 - 45◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:18:12
「そ、そんな!じゃあココナッツジュースはないってこと!?せっかく⬛︎⬛︎自治区まで来たのに……!」
そう言ってヨシミはへなへなとその場に座り込んだ。確かにトリニティ自治区からここまでは電車で3時間くらいの距離がある、わざわざ遠出して目当てのものにありつけなかったらショックも大きいだろう。しかも今日は1人なのだから。
「……ヨシミ」
私は勤めて笑顔を作り、屈んでヨシミと目を合わせた。
「ココナッツジュースは残念だが、他にも美味しいものはたくさんある。私は仕事があるから一緒に遊べないが、せっかく来たのだから楽しんでいってくれ。私のおすすめのスイーツが売られている屋台を教えてやるから」
「うう……わかったわ。……こうなったらやけ食いよ!屋台のスイーツ全制覇してやるんだから!!」
頭から蒸気が出そうなほどに怒って、だが元気を取り戻したようで安心する。せっかくのビーチ、残念なままで終わってしまっては私も悲しいから、ヨシミには楽しい思い出を作って欲しいものだ。
その後、いくつかおすすめの屋台をヨシミに教えてやった。バイト初日にたこ焼きをくれた屋台や、3日目に食べた冷やしチョコバナナも美味しかった。きっと気にいるだろう。
「海で遊ぶだけじゃなくて、結構面白いものいっぱいあるじゃない!あ、緑閃光ってのがこのビーチの名物らしいんだけど、サオリさんそれは知ってる?」
「緑閃光……一応知ってるが、これも見たことがないな」
写真集などが売られる屋台があるほどの、このビーチのメインの名物、緑閃光。それは夕暮れ時にだけ見れる自然現象だ。
夕暮れ時、太陽が完全に沈む際に一瞬だけ、緑色の光がまたたいて見える現象だそうだ。普通なら稀な現象だが、このビーチは様々な要因が重なって頻繁に発生するのだとか。 - 46◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:19:28
「でも仕事中だから、ビーチには行かないし空も見上げない。だから見逃しているんだと思う」
「そうなんだ……じゃあ今日見れたら写真撮って、モモトークに送っとくわ!」
「……ありがとう、楽しみにしておこう」
「任せてよ!……って、頭撫でないで!こどもじゃないのよ!」
誇らしげに胸を張るヨシミが可愛らしくて、無意識に頭を撫でてしまった。ヨシミは身長が小さいのを気にしていたから、気に障ってしまったのだろう。
「すまない、つい無意識で……!」
「もう、先生じゃないんだから!フン……まあいいわ、じゃあねサオリさん。バイト頑張って!」
「ああ、ヨシミも楽しんでいってくれ」
ラムネのように弾ける笑顔を浮かべ、ヨシミは走り去って行った。きっとこの後は私が教えた屋台スイーツを買って食べて、緑閃光を見て、今日来れなかった3人のためにお土産をいっぱい買って帰るのだろう。楽しい思い出になってくれると嬉しい、そのためにも私も警備を頑張らないとな。
「よし、業務再開だ……ん?」
気合いを入れ直し、見回りを再開しようとした瞬間、私はそれを見つけて慌てて人混みの中に紛れた。
「ココナッツジュースを飲んでる観光客……本当にいるんだな」
睨みつける先には紫のアロハシャツと麦わら帽子のロボット市民。彼の手にはストローが刺さったココナッツがあり、それを美味しそうに飲んでいた。間違いない、ココナッツジュースだ……!
噂をしたら何とやら、さっきヨシミにないと言ったものが目の前の観光客が握っていることに驚きを隠せない。何にせよ早速報告だ。私は耳に指を当て、インカムを起動する。
「HQ、こちら警備バイト。屋台エリア第2ブロックでココナッツジュースを持った観光客を発見した。これより尋問を行う」
全く、売るなと言ってるのに販売したのはどこのどいつだ?あの観光客から話を聞き、不届きな屋台を止めなくては。私はふんっと鼻息を吐き、紫アロハの観光客へと足を進めた。瞬間、インカムから絶叫が返ってきた。
「やめて下さい!止まれ!絶対に話しかけないで!」
「っ!?な、なぜだ!?」
「いいから!本部から職員を派遣します!バイトさんは監視を続行して現在位置を報告し続けて下さい!」
「……了解」 - 47◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:20:16
……急に叫ばれて驚いたが、それが命令なら従おう。付かず離れずの距離を保ち、監視を続けた。
紫アロハの観光客はどこか目的地があるわけではないようで、屋台エリアの中をぐるぐるぶらぶらと移動していた。屋台を散策……と言うわけでもなさそうだ。魅力的な屋台の商品に目もくれず、真っ直ぐ前を見て、たまにココナッツジュースを飲みながら歩いている。他の観光客とぶつかりそうになったら避ける以外は、淡々と一定の行動をしているように見える。実際ロボットなのだが、まるで機械のような挙動だ。そして感覚的なものだが、こう……生気を感じられない。あの観光客は一体何だ……?
「お〜い!そこのお兄さん!」
後方から複数人の駆け足の音。振り返ると、組合職員数名が息せき切らして向かって来ていた。私は彼らに「アイツだ」とジェスチャーを送る。すると戦闘の組合職員がサムズアップをし、私を通り過ぎて紫アロハの観光客へと駆け寄った。
「こんにちわ〜、すいません呼び止めちゃって。観光ですか?」
「はい、こんにちは!このココナッツジュースを飲みに来たんです。とっても美味しいんですよ!皆さんもいかがですか?売ってる場所に案内してあげます!」
「いや、結構です。それよりお兄さんとお話ししたいのですが、ちょっと本部の方まで来ていただけますか?」
「………すみません、よく分かりません。ココナッツジュース、とっても美味しいんですよ!皆さんもいかがですか?売ってる場所に案内してあげます!」
「は〜いこっち来ましょうね〜!!」
強引に話を遮り、組合職員達は紫アロハの観光客の肩を掴んでそのまま引きずって行った。その間も紫アロハの観光客は「ココナッツジュース、とっても美味しいんですよ!皆さんもいかがですか?売ってる場所に案内してあげます!」と、壊れたレコードのように何度も何度も言い続けていた。……何なんだアイツは?私は彼らが見えなくなるまで呆然と眺めていた。 - 48◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:21:15
「こちらHQ、ココナッツジュースを持った観光客の回収を確認しました。バイトさん、お疲れ様です。業務に戻って下さい」
インカムからの声にハッと我に帰る。淡々と指示を飛ばされたがそれどころじゃない。
「あの観光客は何だったんだ?様子がおかしく見えたが……!?」
「……バイトさん。問題ありませんから、業務に戻って下さい」
淡々とした、しかし圧を感じる声に私は思わず黙り込む。何もわからないし怪しいが、これ以上教える気はないし詮索もするなと言うことか。
「……了解した、業務に戻る」
ここで噛み付いて無理矢理聞き出すのはよくないだろう。通信を切って大人しく引き下がる。気持ちを切り替えるために帽子を外し、髪に滴る汗をタオルで拭う。冷や汗も混ざっているからか、いつもより多く汗が流れている気がする。
……初めて遭遇したが、今後もああやって対応するのだろうか。不安だな。……何かあったら、その時はちゃんと説明してくれると信じよう。
まだ沈む気配のない日差しを嫌って帽子をかぶる。そして警備の仕事を再開した。
その後は何も問題なく終業時刻となり、私は拠点の廃墟へと帰還した。
……そう言えばヨシミは大丈夫だろうか?ちゃんと楽しめて、今頃電車の中で遊び疲れて寝ているのだろうか?気になってモモトークにメッセージを送った。
『今日は会えて嬉しかった。帰りは気をつけてくれ』
しかし既読はつかない。やはり寝ているのかもな。私も疲れたから早く寝よう。
返事を待つことなく、私は眠りに着いた。 - 49◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 22:23:52
- 50二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:10:16
- 51◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 23:33:25
組合本部は回収してどこに持って行ってるのでしょうね……
- 52二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:52:49
ぜ、絶対巻き込まれるやつ……!
- 53◆yQm0Ydhu/2pS24/07/27(土) 23:57:22
ヨシミちゃんと帰れたかなぁ〜
- 54二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 00:46:07
- 55◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 00:53:09
よもやよもや組合が発足してるレベルの大規模観光ビーチでそんなことなど……
- 56二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 08:24:47
- 57二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 11:38:28
ヨモツヘグリとかそういう感じのやつだったりして・・・
- 58二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 17:38:03
- 59◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:12:29
(8日目)
「そういやバイトちゃん、どうしてこのビーチでココナッツジュースを売っちゃダメなのか分かるか?」
「どうして……か?いや、知らないな」
水分補給と休憩をと思い、立ち飲みバーのような屋台に入った錠前サオリだ。そこでは屋台のテントを2つ使い、客席を用意してジュースを提供している。日陰があるので休憩にはもってこいの屋台だ。
「理由なんてあるのか?」
「そりゃあもう、理由もなしに名指しで禁止だなんてしないだろうよ!」
客のいないタイミングに入店したからか、暇そうにしていた店主が私に話しかけてきた。トロピカルジュースを受け取り、一口含む。フルーツの甘酸っぱさが体に染みる。
……ふむ、確かに気になる話題だな。休憩がてら聞いてみるか。私は店主に話の続きを促した。
「とは言っても、こう……論理だった理由じゃないんだ。⬛︎⬛︎自治区……いや、このビーチ近辺の地元民の、昔からの風習のせいでダメになっている」
「風習?」
「ああ。ココナッツってのは、海に流されて色んなとこの浜辺に打ち上がって、そうやって生息域を広げる植物なんだ。このビーチにも、潮の流れの関係で流れてくるんだが……どうやら地元民はココナッツをあの世から流れてくるものと思ってるらしい」
「あの世……随分と突飛な発想だな」
店主は私が溢した言葉に「そうだな」と肯定し、ガハハと大笑い。
「そもそも、このビーチはあの世に近い場所だって言い伝えがあるんだよ。緑閃光……このビーチの名物のグリーン・フラッシュがあるだろう?他の地区では見ると幸せになる……だなんて言われてる縁起物だが、ここの言い伝えではあの世の海とこの世の海が繋がった時に出る光だって言われてるんだ」
「なるほど。そんな謂れがある海から漂着するから……」
「ああ、ココナッツはあの世の恐ろしい食べ物で、そんなものを売ったらクレームが来ちまう。対応するのが面倒……いや配慮としてココナッツジュースは売らないって決まりになったんだ」
土着信仰……それも他とは差異がある言い伝えが残されているのか、興味深いな。それに商売をするならその地の風習に配慮するのは大事なことだろう。それを怠って地元民を怒らせて、歪み合うくらいなら最初から売らないという判断は間違っていないと思う。 - 60◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:14:14
氷が溶け、薄くなったジュースを飲み干した。そして残った氷をストローでクルクル回しながら、屋台の外の賑わいに目を向ける。
「地元民は寄りつかないけど、外からやってきた組合がビーチを買って、屋台を置いて、毎年観光客がたくさん来るようになった。さしずめ他所者のビーチ、外来種のビーチってところだな」
店主はそう言ってパインジュースを飲む。そして私と同じように観光客へと視線を向け、しかしどこか遠くを見ていた。
「……随分と詳しいな」
「俺も組合と一緒にここに来たんだ。色々あった……」
「……そうか」
「ああ、本当に色々……いやふざけんなよマジで………!」
「そうか………ん?どうした?店主?」
「クソがよォ……!どうして……どうしてココナッツジュースを売っちゃいけねーんだよ!?」
「店主!?」
しんみりした空気だったはずなのに、急に店主が声を荒げた。何を怒ってるんだ?ココナッツジュースを売らない理由ならさっき自分で話してたじゃないか!?
「照りつける陽射し、足をくすぐる砂、きらめく海……そうとくればッ!!ココナッツジュースを飲むしかないじゃねえか!!!!」
「そうなのか……!?私には分からないが、こだわりがあるんだな……」
「そうなんだよ……!うう、畜生……!!」
「その……きっといいことがあるさ」
一頻り怒った後、店主はひどく落ち込んだ様子でテーブルに突っ伏した。その後、何とか店主を宥めてやって、私は業務へ戻ったのだった。
________先ほどの店主からおまけで貰ったスポーツドリンクを飲みながら、今日も元気に屋台エリアを練り歩く。かんかん照りの中でも賑わいは弱まらず、この場所が人気の観光地だと再認識させられる。
通り過ぎる人々の笑顔に何だか嬉しくなっていると、遠くの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「坊や……?坊や!!」
「ん?あの声は……」 - 61◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:15:16
見ると、1日目にビラ配りをしていた獣人の女性が小さな子供を抱きしめていた。子供は真っ白なカバの帽子を被っている……探していた息子さんか!
「見つかったのか……!よかった……ん?あれは」
女性の努力が報われたことに安堵した瞬間、息子さんが手に持っていたものに目が行った。ココナッツジュースだ、息子さんの手にはストローが刺さったココナッツがあり、それを美味しそうに飲んでいたのだ。
私はすぐに監視する体勢に入り、親子に気づかれず会話を盗み聞きできる位置に移動する。道中で組合本部への連絡も行った。
「ココナッツジュース美味しいよ!売ってる場所教えてあげる!」
「坊や……!ずっと探してたのよ……、どこに行ってたの?もうママから離れないでね……!ほら、可愛い坊や、またママって呼んで……?」
「……ごめんね、よく分かんない。ココナッツジュース美味しいよ!売ってる場所教えてあげる!」
「え?ココナッツジュース……?」
さめざめと泣いていた女性は、息子さんが同じことしか話さないことをすぐに疑問に思ったようだ。どうにか落ち着いて、我が子に問いかけた。
「ココナッツジュースがどうかしたの?それよりお家に帰りましょう?」
「ココナッツジュース美味しいよ!売ってる場所教えてあげる!」
「坊や?……でもまあ、そこまで言うならママも飲んでみようかしら」
「うん!じゃあ連れてってあげるね!」
息子さんは女性の手を取り、嬉しそうに駆け出した。私も後を追う、しかしすぐに見失ってしまった。いや、忽然と消えた……?
「……何故だ?親子は一本道を走っていたはず。なのにまばたきをした瞬間、どこにもいなくなって……!?」
あちこちを探して回るが、親子の姿はどこにもない。見間違いだろうか?しかし確かに声を聞いた。どうなっているんだ?
「お〜い!バイトさ〜ん!」
困惑していると、駆け付けた組合職員と合流できた。1日目にあの女性を本部に連れて行った組合職員だった。ちょうどいい。
彼にことのあらましを説明すると、困ったように笑いながら頭を掻きだした。
「あ〜、マジか〜……。了解、報告はこちらでしておきます」
「探さなくていいのか?」
「ああ、いいですよ。どうせ戻って来ないですから…………あヤベッ」
「おい、どう言うことだ……?」 - 62◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:16:01
聞き捨てならないな。凄んで見せると、組合職員はあっさりと答えた。
「……実は、ココナッツジュースを持ってる観光客はみんな、このビーチで行方不明になった人達なんです」
「行方不明者……?確かにあの子供は行方不明者だが、さっき確かにそこにいたんだぞ?」
「ですよね、分かりますよ。でも……いつからかは分からないんですが、このビーチでは行方不明者がココナッツジュースを持って徘徊するようになって、興味を持って話しかけた他の観光客と一緒に消え去るようになったんです……」
「な、何だそれは……?」
意味が分からない、だが嘘を言っているとも思えない。理解に苦しみながらも、私は組合職員の話を聞き続けた。
「消え去った観光客は、しばらくするとココナッツジュースを持ってどこからともなく現れるでしょう。あいつらと同じになってるんです。ココナッツジュースをオススメする人形に。だからバイトさんが見た人も、そうなると思います」
「……行方不明者達は、どこへ行ったんだ?」
「う〜ん、私には何とも……。ああ、本部に報告しに行かなきゃ!じゃあ後はお願いします!」
組合職員は適当にはぐらかし、足早にその場を去って行った。私は呆然としていて引き止めることができなかった。
……情報の一つ一つが強すぎて処理が追いつかない。じゃあ、アレは……昨日見た紫アロハの観光客も行方不明者だったのか。そして息子さんも。このビーチでいなくなり、しばらくしたらココナッツジュースを片手に屋台エリアを練り歩く。どう言う目的で?何がしたい?それにあっさり答えていたが、組合本部も知ってるのか?どうしてビーチを閉鎖しないんだ?そんな恐ろしい存在がいるのなら、今すぐ閉鎖するべきだろうに……。 - 63二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:16:26
ああなるほど
持っていかれるのか - 64◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:16:38
(足音)
立ち尽くして考え込んでいると、背中に誰かの体が掠める感覚がした。しまった、ここは他の観光客もいる屋台エリアの通路。こんなところでずっと立ち尽くしてはいけない、すぐに移動しなくては。そう思って振り返った瞬間、私は誰に掠められたか理解した。
「……ヨシミ?」
私は驚いた声を上げた。私の前を通り過ぎて行ったのは見知った顔の生徒だったのだ。ウェーブのかかったツインテールの金髪。いつもは制服に赤い上着を着ているが、今日はフリルがついた可愛らしい赤の水着を着ている。つり目は柔らかい笑顔を浮かべていて、手に持っているココナッツジュースをまじまじと見つめながら歩いていた。そんな彼女はトリニティ総合学園放課後スイーツ部所属……私の友達の1人の伊原木ヨシミだ。
「おい、ヨシミ……!」
「なに?……あなた誰?どうしたの?あ、ココナッツジュースが気になるのね!いいわ、売ってる場所を教えてあげる!」
「誰って……私だ!錠前サオリだ!何を言ってるんだ!?」
ヨシミの肩を掴み、強めにブンブンと振りながら話しかけた。ヨシミの様子がおかしい。昨日の紫アロハの観光客と同じ気配がする。淡々と一定の行動をしているように見える。まるで機械のような挙動だ。そして感覚的なものだが、こう……生気を感じられない。目の前にいるヨシミは一体何だ……?
「……ごめんなさい、よく分かんないわ。それよりココナッツジュースが気になるんでしょ?売ってる場所を教えてあげるわ!」
首を一瞬傾げた後、ヨシミは元気に私へココナッツジュースを勧めてきた。その時やっと気がついたらのだが、ヨシミの頭上には本来あるはずのヘイローが見当たらなかった。 - 65二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:17:27
あああああ…
- 66◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:18:57
- 67二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:27:46
- 68二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:41:10
- 69◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 22:47:52
- 70二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:58:50
ヨ、ヨシミが…まだ偽物の可能性がある…偽物だった場合持ち帰ってもバレないかな?
- 71二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:59:06
なんでヨシミ1人だけなのかと思ったらスイーツ部全員だとカズサあたりがココナッツ人形人を不審に思ったり警戒する可能性があったからか作者さんさすがです加減しろ莫迦
- 72◆yQm0Ydhu/2pS24/07/28(日) 23:09:33
- 73二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 23:56:51
よ、ヨシミィ!!!まだだ!まだ大丈夫だ!そうだきっとそう……だよな!?ダメならヤシガニを持ち込むしか……
- 74二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:31:25
- 75二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 00:43:39
まだ実態がわからんが、ココナッツマシンにつられて消えた人間が新しいココナッツマシンになって、連れて行った方のココナッツマシンが消えてるなら七人ミサキ感はある
自分の「代わり」を連れて行って自分は解放される、みたいな
- 76二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 08:19:59
- 77二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 11:58:35
何故危険なビーチを閉鎖しないのか、組合員も行方不明者の事はかなりあっさり割り切っているし、ひょっとしてだけどこれは遠回しな生贄なんじゃないか?
定期的に誰かを犠牲者にしないと大変な事が起こるが、実際に誰かを生贄にするなんて心理的にキツイ、だけど事故ならしょうがない、それが起こらないよう注意したけれどそれでも起こってしまった事故なら自分達は悪くない
だからあえて危険な存在の徘徊するビーチに観光客を集め、誰かが偶然に犠牲となるのを期待しているんじゃないか
しかし遂に生徒に犠牲者が出てしまったか、先生がおかしくなったヨシミを見たらどんな感情を抱くのか
というか回収された行方不明者達はどうなってるんだ、放っておくと勝手に消えそうではあるけど - 78◆yQm0Ydhu/2pS24/07/29(月) 18:32:59
- 79◆yQm0Ydhu/2pS24/07/29(月) 18:35:34
- 80二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 18:46:24
- 81二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 20:34:52
- 82◆yQm0Ydhu/2pS24/07/29(月) 20:43:17
- 83◆yQm0Ydhu/2pS24/07/29(月) 23:40:43
幕間・サオリのバイト飯
1.もやし弁当
食べた時のバイト:コンビニ深夜勤
説明:胡椒の効いたもやし炒めと少しの漬物、そして白米が入った弁当。コンビニ弁当の中で1番安い。
実は他の弁当に使う牛肉と一緒に格安で仕入れた牛脂でもやしを炒めており、肉の香りとコクが染み込んでいる。企業努力と工夫が感じられる逸品。
コメント:お金がないけど肉が食べたくなった時によく食べている。肉の残り香を感じられ……いややっぱり普通に焼肉弁当が食べたい。
2.ひまわりの種
食べた時のバイト:公園の清掃
説明:鳩の餌として買ったひまわりの種。栄養たっぷりでまんまると肥えている。いっぱい食べると鳩も私もまんまるになるだろう。
本当は鳩の餌として全部ばら撒くつもりだったが、先生に止められてしまったため、先生と一緒に消費することになった。
コメント:栄養価が高いしかさばらない、携行食として最適かも知れないな。味は……可もなく不可もなく。 - 84二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 07:47:19
もっとちゃんとしたもの食え……!
- 85二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 08:15:21
夏イベの焼きそばのくだり然りアリウスはみんなこういう感覚なんだろうな
おのれ絶対に許さんぞベアおばと陸八魔アル - 86二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 11:42:56
ヨシミが犠牲者になってしまたけどサオリはどうするんだろう
前回と違って陸の孤島でもないし、とりあえず先生やアツコに助けを求めるのか、少なくとも無駄だろうけど救護騎士団は呼んだ方がいいな、脳に異常のあるパターンかもだし
スイーツ部のみんなは呼ばないかな、助ける手立てがあるならまだしも犠牲者を増やしかねないし、何よりココナッツ人間になったヨシミを彼女らに見せるのは酷すぎる - 87◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 17:52:54
幕間・サオリのバイト飯
3.トロピカル丸ごとパイナップルピザ
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明: 皮をむいただけのパイナップルを丸々乗せ、そこにチーズをぶっかけて焼いた、この世の終わりみたいなピザ。他のピザと比べても圧倒的な全長をしているため、専用のオーブンが用意されていた。
賄いとして食べさせてもらった。
コメント:ピザにパイナップルを入れることを容認する派閥とそうでない派閥で戦争になっていると聞く。私は普通に美味しいと思ったが、そんなことで争えるのは贅沢だなと感じた。ただこれはやり過ぎだと思う。
4. フレッシュカリフォルニア寿司ピザロール(10センチ)
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明:寿司ネタの一つ、カリフォルニアロールをピザにした非常に挑戦的な逸品。Sサイズよりも一回り小さな生地にカニカマ、アボカド、キュウリ、白ゴマと大量のチーズをトッピングして焼き上げ、チーズが溶けている間に巻き寿司のように巻いて完成となる。溶けたチーズが接着剤になってくれているおかげで中身がこぼれ落ちないのはこの商品の戦術的優位性だろう。
コメント:どう見てもゲテモノだがとても美味しかった。配達しながら食べれるので、ほぼ毎日これを食べていたと思う。
酢飯のような味のするピザ生地をどうやって作っているかは企業秘密らしい。
5.ビッグマンモススタミナピザ
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明:ひき肉が練り込まれたピザ生地にガーリックバターを塗り、牛・豚・鳥・羊・馬の肉をこれでもかとトッピング。仕上げにピザの耳にソーセージを捩じ込んで焼き上げた肉まみれのピザ。見ているだけで胃もたれがする。
コメント:工事現場に配達に行った時に食べさせて貰ったが、重すぎて一切れでダメだった。作業員達が何切れも食べているのには感心した。それくらいのハードワークなのだろう、頭が下がる思いだ。 - 88◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 17:58:35
- 89二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 18:25:00
やりすぎ感あるけどパイナップルのは食べてみたい
ロールピザは食べやすそうだけどその分ずっしり来ちゃうかも
肉肉肉?ちょっと何言ってるかわからないんでアカリ呼びますね? - 90二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 19:22:32
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- 91◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 19:23:28
- 92二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 19:32:21
- 93二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 20:28:59
- 94二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 21:48:14
- 95◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:34:36
キヴォトスの生徒にはヘイローがある。意識がある間は頭上に存在し続け、それが消えるのは意識を失った時。あるいは、死んだ時。
だから目の前の存在……ヘイローがないのに普通に行動している生徒には違和感しかない。それなのにその姿や声、仕草は私の友人の伊原木ヨシミそのものであり、私の困惑は増していった。
「………お前は誰だ?」
「私?私はトリニティ総合学園の伊原木ヨシミよ!それよりお姉さん、ココナッツジュースが気になるんでしょ?売ってる場所を教えてあげるわ!」
「………私の知っているヨシミじゃないな?」
「え?ごめんなさい、よく分かんないわ。それよりココナッツジュース!売ってる場所に案内してあげる!」
「教えてくれ、本物のヨシミはどこに行った?」
「ヨシミ?……ごめんなさい、よく分かんないわ。でもココナッツジュースのことは分かるわ!教えてあげる!」
「…………ッ!!」
私は目の前のヨシミもどきを殴り飛ばしたくなる衝動を必死に抑えた。何も考えずに行動してはいけない、もっと情報を引き出さなくては……!
『……実は、ココナッツジュースを持ってる観光客はみんな、このビーチで行方不明になった人達なんです』
『いつからかは分からないんですが、このビーチでは行方不明者がココナッツジュースを持って徘徊するようになって、興味を持って話しかけた他の観光客と一緒に消え去るようになったんです……』
『消え去った観光客は、しばらくするとココナッツジュースを持ってどこからともなく現れるでしょう。あいつらと同じになってるんです。ココナッツジュースをオススメする人形に。だからバイトさんが見た人も、そうなると思います』
組合職員の言葉を思い出す。アレが正しいのなら、目の前のコイツはココナッツジュースをおすすめする人形になったヨシミだろう。だが生徒の象徴たるヘイローがないのが気になる。コイツは本当にヨシミなのか?薄い希望に縋ってるだけかも知れない、ヨシミが無事だと信じたいだけかも知れない。だがどうしてもコイツは偽物で、ヨシミは別の場所にいると思わずにはいられない。 - 96◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:35:46
(………いや、信じよう。ヨシミはきっと無事だ。だから一刻も早く助け出す、そう考えて行動する。待ってろ……!)
歯を食いしばり、絶望を噛み潰す。体と心をスクワッドを指揮していた時と同じ臨戦体勢と緊張感に切り替える。絶対に助け出す……状況開始だ。
「お姉さん?何ぼーっとしてるの?それより早く行くわよ!ココナッツジュース!」
「…………」
……さてどうするか、コイツからこれ以上何かを聞き出すのは無理そうだ。ならそのココナッツジュースがある場所とやらに連れて行って貰おうか?だが何の考えもなしに敵陣に飛び込むのは危険だ。誰か応援を……組合は放っておけと言って手伝わなさそうだな。なら先生を……。
「……もう!ココナッツジュースいらないの!?なら私行くからね!」
「っ!待ってくれ!」
くそっ、間に合わなさそうだな!それならすぐに連れていって貰おう。道中でスマホをこっそり触って、先生に連絡すればいい。
「ココナッツジュースに興味がある。案内してくれ」
「分かったわ!はい、手を握って」
何の怪しげもなく差し出された手。コイツはヨシミの顔でニカっと笑い、白い歯を見せている。私はその手を凝視し、一呼吸した後に握った。酷く冷たい手にゾッとする。
ヨシミもどきは私の手を引いて屋台エリアの人混みの中を歩き出した。どこに向かうかは定まっていない足取りで、目的地の把握が難しい。だがしばらく歩いてもこちらを振り返る様子はない。よし、今のうちに……!
(先生にモモトークだ。『ヨシミが大変なことに巻き込まれたかも知れない、今すぐ⬛︎⬛︎自治区のビーチに来てくれ』……っと)
スマホを取り出し、見えないように操作する。前方を警戒しながら、スマホを腰の方に隠してチラチラ画面を見ながらの操作だったが、しっかり入力できていてよかった。よし、送信しよう。
『送信できませんでした』
は……?もう一回。
『送信できませんでした』
日光の熱でイカれたか?事故物件ロンダリングのバイトの時に買い替えたばかりだぞ?もう一回。
『送信できませんでした』
「何故だ!?」
思わず声を上げ、スマホの画面を眼前まで持ってくる。すると異常にすぐ気がついた。
「圏外……?どうして?」
本当にスマホがイカれたのかと思い、ブンブン振ってみたり、天高く掲げたりしてみる。しかし一向に電波は繋がらない。だがそうしていると周囲の異常にも気がついた。 - 97◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:36:24
(波の音)
屋台エリアで聞くことのなかった音が聞こえる。目と鼻の先は海だが、毎日観光客でごった返し、笑い声と客引きの声が絶えないこの場所では波の音なんて聞こえないはずなのに。
周囲を見回す。……人がいない。練り歩く観光客達はもちろん、屋台の中で働く店員すらいない。今この場にはヨシミもどきと私だけしかいなかったのだ。
さらに言うと、屋台の中には売り物が一つもなかった。くじ引き屋の景品も、たこ焼き屋のたこ焼きも、武器屋の弾薬や手榴弾も消えている。屋台のテントとテーブルや棚だけが、そこに取り残されていたのだ。
「いつの間に……!?どう言うことだ!?」
「お姉さん?どうしたの?いいから早くココナッツジュースのところに行くわよ!」
「ッッ!離せ!!」
立て続けに起こる異常事態とそれによるストレスで、遂に私の衝動が抑えきれなくなった。感情のままに手を振り解き、アサルトライフルを取り出し構える。奴の手に握られて冷えた指が熱された引き金に触れた。そのまま撃とうとしたがどうにか抑え、奴に問いかける。
「フーっ……ここはどこだ?観光客や店員達はどうした?お前はヨシミに何をした!?答えろ!!」
「………ごめんなさい、よく分からないわ。それよりココナッツジュースがある場所までもうすぐよ!ほら、早く行きましょ!」
「黙れ!ヨシミを返せ!私の友達の顔と声で話しかけるな!」
サイトを覗き、照準をヨシミもどきの頭に合わせる。困ったような顔が、怒った顔に変わった。小動物のような愛らしさのあるあの子の怒り顔が酷く悍ましく見える。
「ココナッツジュースいらないの?は?ダメに決まってるでしょ?ここまで来たんだから。ほら、行くよ」
冷たい声で突き刺すように吐き捨てて、ヨシミもどきはこちらへと歩み寄って来た。私は2、3歩下がる。
「っ!動くな!撃つぞ!」
奴は歩みを止めない。
「警告したからな……!」 - 98◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:37:44
(銃声)
「うっ」
頭部狙いだったが、ヨシミの顔に当てるのを躊躇って咄嗟に照準をずらした。結果、弾丸は奴の腹部に命中し、呻き声と共に動きが止まった。
「ココナッツジュース、飲みなさいよ……」
うずくまり、腹部を押さえ、それでもこちらをみる奴の眼差し。
「連れてってあげるから、ココナッツジュースを飲まないと……!」
ブツブツと呟き続け、こちらへと這いずって来る。私も後退り、悲鳴を上げた。
「早く……ココナッツジュース!」
「うわあああああああああああ!」
踵を返し、弾かれたようにその場から走り去る。特に目的地は決まっておらず、とにかくその場から離れたくて真っ直ぐ屋台エリアを走り抜けた。
もう少しでビーチが見える所まで来た瞬間、目についたのは海原ではなく人影。
「ヒッ……!」
「こんにちは!美味しいココナッツジュースを飲みに行きませんか?」
紫アロハの観光客と、
「あのココナッツジュース、とっても美味しかったわね!お姉さんもいかが?」
「一緒に飲みに行こうよ!案内してあげる!」
獣人の親子、
「しょうがないから案内してあげるわ!ほら、早く行きましょ!」
そしてヨシミだった。
「何故だ!?さっき私が……!!」
何度も見直すが確かにヨシミだ。ヘイローのないもどきだ。紫アロハの観光客と獣人の親子……行方不明者達が私の前に立ち塞がったのだ。とにかく……とにかく逃げないと!
(爆発音)
私は咄嗟に手榴弾を真横の屋台に投げ、吹き飛ばす。テントが弾け飛び、向こう側の通路に繋がる道ができる。そこに飛び込んで、今度はビーチとは逆の方向に走った。
「何故だ……!どうしてヨシミが2人いるんだ!……うわっ!?」
瞬間、両脇のテントから人が飛び出して来て、私を捕まえようとしてくる。どうにかそれを避けて敵を確認する。2人ともヨシミだった。
「増えたぁ!?」
素っ頓狂な叫びをあげ、もう訳がわからなくなっていると2人のヨシミが襲いかかってくる。これまでの訓練のおかげですぐに対応し、咄嗟にアサルトライフルを構えた。 - 99◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:38:28
「っ!!」
(銃声)
弾丸が効くのは有難い。先生のように1発で死に至る訳じゃないが、動きは止まってくれる。だが一瞬だけで、すぐに立ち上がって襲いかかって来る。厄介な……!
「クソっ……!」
その場から離脱し、今度は駐車場エリアを目指す。ビーチを出れば、何かが変わるかも知れないと思ったのだ。
道中でも紫アロハの観光客や、獣人の親子や、ヨシミや、それ以外の見知らぬ人間達から襲われる。見知らぬ人間達も行方不明者なのだろう、皆ココナッツジュースと連呼していた。
それをどうにか対応し、時には発砲し、必死に逃げ続けた。私はこれくらい走っても問題ないように訓練されている。だが悍ましい存在とは言え人型で、しかも友人と同じ姿をしている存在に発砲する嫌悪感が、そしてこの状況が頭を混乱させて吐きそうになっていた。
しばらくしてようやく屋台エリアを抜けて駐車場エリアに入る。早速このビーチの外に出ようとしたが、また不可思議なものに遭遇した。
「霧?どうなっているんだ?」
ビーチの外に、やけに真っ白な霧が立ち込めていた。それはビーチの敷地を取り囲むように広がっており、まるで世界から切り離されているかのようにその先の景色が見えない。
どうしてこんな場所に霧が?どうしよう、あんなものに突っ込んでいいのだろうか?無理矢理入っても、外に出られるのだろうか?助けに来たつもりだったが、私は助かるのだろうか……?
(足音)
途方に暮れていると、霧の方から複数の人影がこちらに近づいているのが見えた。銃口を向け、待ち構える。銃口と指先が震えている。今度は誰だ?恐れながら待っていると、ようやっと姿が見えた。
「近くに美味しいココナッツジュースがあるんだ。興味はあるか?」
私だ。私の姿をした、しかしヘイローのない存在が7人、こちらに近づいて来た。 - 100◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:39:02
「ここもダメか……!」
私もどき達が来る前に退散しよう。そう思って振り返った瞬間、屋台エリアの方からこちらに向かって来る大量の人影が見えた。
(たくさんの足音)
挟まれた……!最悪だ、軽装だから弾薬もいつもより携行していない。手榴弾も残り少ない。どうにかして……どうにかして逃げ切らなければ……!
そうやって焦っている間にも奴らは距離を詰めて来る。どう考えても今の私では対応できない。このまま死ぬんじゃないかと諦めた瞬間、
「________サオリさん!!」
「ッ!!その声は!」
物陰からの声に顔を向けると、そこにはヨシミの姿があった。だがさっきから私が見ていたもどきじゃない。ボロボロで汚れていて、私の名前をちゃんと呼んで、そして頭上にはヘイローがある!
「ヨシミ!無事だったか!」
「いいから!こっちに来て!逃げるわよ!」
そう言ってヨシミは手を差し伸べてくる。私はすぐに走り出し、その手を握った。温かな体温を感じて目頭が熱くなる。昨日会ったのに長年会ってない気分になる。積もる話が山ほどある。だが今はここから逃げ出さなくては。
「こっちよ!あそこの建物はアイツら寄ってこないの!」
そう言って手を引く頼もしい背中を追いかけ、私は逃走に成功した。 - 101◆yQm0Ydhu/2pS24/07/30(火) 23:41:29
- 102二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 23:55:55
美術館怪異みたいなコピー?を作るタイプだったか
ヨシミも無事だし安全地帯もあるようだし勝ったな海入ってくる - 103◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 00:20:07
海水浴には⬛︎⬛︎自治区のビーチを是非!
- 104二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:31:22
7人ミサキならぬ7人サオリってな!HAHAHA!
いや普通に怖いわ - 105二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:37:55
怖いよ!ねぇなんなのこいつら!?ココナッツが原因なのか!?伐採するのが1番……いや、多分近づけないな……焼くしかないなか!?
- 106二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:38:45
まさかヨシミが無事だったとは、よかった
そうかココナッツどもは複製だったのか
しかし霧に包まれた人気の無いビーチってサイレントヒルみたいだな - 107二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 00:49:45
ヨシミ生きてた!これ多分偽物に捕まったら本当に終わりなんだろうね
キヴォトスでは口約束でも力を持つ、興味があるといった時点で引き込まれるのかな
出来る限り生き残りもつれて脱出したい! - 108◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 01:32:59
- 109二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 03:02:57
案内とかの「〇〇してくれ」もある意味で契約だよなっていう
- 110二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 09:28:23
サオリが7人!?
なら1人持って帰ってもかまわんな? - 111◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 11:22:47
- 112◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 13:12:01
幕間・サオリのバイト飯
6.豆腐ハンバーグ健康ピザ
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明:豆腐ハンバーグや大豆ミート、減塩チーズなどの健康にいい食材で作られたヘルシーピザ。もちろん野菜もたっぷり入っている。
コメント:普通のピザと比べるとボリュームは感じられなかったが、このピザに関しては逆にそれがいいと思う。とても美味しかった。
7.ファンシーレインボーユニコーンピザ
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明:パプリカやナス、紫玉ねぎなどの色味が強い食材をカラフルにトッピングした馬肉のピザ。
コメント:店長曰く、ユニコーンは小さな女の子達の憧れらしい。……確かに美味しいんだがそんなものをピザとしてお出しするのはどうかと思う。小さな女の子達泣かないか?
8.姫達が買ってきた惣菜
食べた時のバイト:ピザ屋の配達
説明:潜伏先の近所のスーパーで売っていた唐揚げ、餃子、春雨サラダ、おにぎり、コーラ、チョコパイ。
コメント:ピザ屋の配達バイトでの給料を貰い損ねた私のために、3人がお金を出し合って買ってくれた。代金を払おうとしたが、「私達がしたいことのためにお金を使ってるから大丈夫。サッちゃんは気にせずいっぱい食べて」と言ってくれた。今までで1番美味しい夕食だった。 - 113二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 13:34:30
アリスクあったけぇ…
- 114二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 16:35:25
保守
俺は待ち続けるぜ...あんたのスレが楽しみすぎるんだよ... - 115二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 19:39:07
飲んでないなら逃げられると信じたい
- 116二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 22:25:56
アリスクの絆が美しい…
- 117◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:16:05
- 118◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:16:23
ヨシミに手を引かれ、連れて来られたのは組合本部の建物だった。コンクリート製の平屋で、職員達はここで業務を行っている。私も業務開始時と終了時に来てミーティングに参加するが、休憩は屋台で済ませていたからほとんど寄り付かない場所だった。
「ほら見て、アイツらはこの建物には寄り付かないで、どっか行っちゃうの」
出入り口の扉に手をかけながら、ヨシミは奴らに指を刺す。奴らはこの建物から10メートルほど離れた場所でこちらを凝視し、しばらくしたらどこかへと駆けて行った。無人になった周囲に小さく波の音が響いた。
「ほら、サオリさんも入って。エアコンがつかないから暑いけど、日陰があるからマシよ」
「ああ、ありがとう。それと無事で何よりだ」
「えへへ、そう簡単に捕まる私じゃないんだから!」
室内は確かに日陰でマシになっているが、快適と言える温度ではない。窓は全て開け放たれており、時折海風が生暖かい空気を生暖かい空気に取り替えてくれる。要するに何も変わらない。私は帽子を外して自分の顔をパタパタと仰ぎながら、持っていたスポーツドリンクに口をつけた。
「…………」
「………ん?どうした?ヨシミ」
ふとヨシミを見ると、こちらを……いや、スポーツドリンクを凝視していた。その目はぼーっとしているように見えた。
「え!?いや、何でもないわよ!」
「いや、何でもないことはないだろう?顔色が悪い……。脱水症状か?もしかして、水を持ってなかったのか!?」
そう言えば外の屋台エリアには食べ物も飲み物もなかった。ヨシミがいつからここにいるのか分からないが、こんな炎天下で飲まず食わずは命に関わる。 - 119◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:17:13
思わずヨシミの両肩を掴んだ。しかしヨシミは「ああもう!違うって言ってるでしょ!」と叫んで振りほどいた。
「はぁ……はぁ……ふぅ。スイーツとドリンクはいっぱい持ってたの。だけど、朝までには全部食べちゃって……。それでちょっと喉が渇いて、本当にそれだけなの!じっと見ちゃって悪かったわね!」
顔を真っ赤にして怒鳴ってくる。怒っていると言うより、恥ずかしそうにしている。自分がスポーツドリンクを凝視していたことが、意地汚いと思われたんじゃないかと考えているのだろうか?
「……気にするな。それより、ほら」
そう言って残り半分になったスポーツドリンクのボトルを差し出す。
「……何よ」
「少ないが飲んでいいぞ」
「べっ、別にいいわよ!サオリさんのでしょ!?」
「あ、すまない」
他人が口をつけたものに口をつけるのは嫌だろう、気づかなくて申し訳ない。私はペットボトルの蓋を開け、ハンカチで口を拭いて再度差し出した。
「ほら、これで大丈夫だ」
「そう言うことじゃないわよ!私が今それを飲んだらサオリさんの飲み物無くなっちゃうでしょ!?だからいらないってこと!!」
「ああ、すまない!そう言うことだったか!………なら心配はいらない。ここに来る前にトロピカルジュースを飲んでいたんだ、フルーツが入っている奴だ。だから腹も膨れてるし喉もそんなに渇いていない」
「で、でも……」
「大丈夫だ。それに私は1週間は飲まず食わずでも戦えるよう訓練を受けている。少しくらいなら問題ない」
「何よそれ!特殊部隊じゃん!」
「間違ってはいないな」
その後幾らか押し問答をしたが、ヨシミの体力が尽きていたようで勢いがなくなっていき、私は強引にペットボトルを持たせてヨシミに飲ませた。少し抵抗したが、口をつけたら我慢できず、一気に飲み干してくれた。 - 120◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:17:55
「ぷはっ!……はぁ、何だかいつもよりスポーツドリンクが美味しかった………」
「脱水の証拠だな。スポーツドリンクや経口補水液がやけに美味しく感じるんだ。少し座ろう、水が巡って楽になるはずだ」
少しでも快適になるように、日光が入らず風が入る窓の近くに椅子を2席運び、ヨシミの肩を支えて座らせてやる。隣に私も座り、様子を伺った。少し楽になったようで顔色も良くなっている。一安心して彼女の頭を撫でた。
「………昨日ね、せっかく来たから色んな屋台を回って、満喫してから帰ろうって思ったの。だから屋台のスイーツ制覇して、夕方には緑閃光も見て、綺麗だったから写真も撮って、それで帰ろうとしたの」
「………そうか」
「うん……。そしたらね、ココナッツジュースを持ってる人を見つけて、ああ、サオリさんはないって言ってたけどやっぱりあるじゃないって思って、その人に話しかけたの。ココナッツジュースどこで売ってるんですかって。そしたら案内してくれるって言ってくれて……それでついて行っちゃった……」
……やはり、私と同じ方法でこちらに来たのか。あのココナッツジュースを持っている行方不明者達。まさか昨日、他にも出現していたなんて。見逃してしまったばっかりに、ヨシミが……!
「ついて行ったら、観光客とか、屋台の人とかがみんないなくなっていて……、もしかしてサオリさんと初めて会った時の、あの変な奴と同じものに巻き込まれたんじゃないかと思って、すぐに逃げたの。そしたらおんなじ顔の奴とか、私と同じ顔の奴とかに追いかけられて、ビーチの外は霧みたいになっていて、出れない、どうしようって思ってたらここに逃げ込めて……」
「それで、ここに一晩いたんだな。本当に、本当に無事でよかった。お前達が危険な目に遭わないようにするのが私の仕事なのに、本当にすまない……」
「ううん、サオリさんは悪くないわよ。私は無事だし。……でも暑いし、1人だし、グズっ……それで夜とかに、どうなっちゃうんだろうって思って……このまま帰れないんじゃないかって……うわあああああああん!!」
堰を切ったように泣き出したヨシミを抱き寄せ、背中を優しく叩く。訳の分からない状況で、幸運がなければもしかしたら死んでいたかも知れなくて、その中で1人で耐え続けていたんだな。気が強く、いざと言う時は頼りになる彼女が小さく見えた。それくらい本当は恐ろしかったのだろう。 - 121◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:19:22
「大丈夫。大丈夫だ、私が助け出してやる……」
「ゔゔっ、ザオリざああああん!!」
正直に言うと、宥めるのは得意ではない。私が今までスクワッドの皆にこうしてやることはなかった。姫がよくやっていて、たまに私も無理矢理抱き寄せられていた。だから姫の見よう見まねだが、それでもヨシミは安心したようで、しばらくすると泣き止んでくれた。もう大丈夫だと安心してくれた。何よりだ。
「……ごめんなさい、サオリさん。……あ!みっ、みんなには言わないでよね!私が泣いてたなんて知ったら、アイツら絶対からかって来るから!」
「そんなことはないと思うぞ。きっとみんな心配している。早く元気な姿を見せてやらないとな」
「わ、分かってるわよ!そんなこと!」
気の強さも戻ってきたようだ。安心して微笑んでいると、ヨシミはまた顔を真っ赤にして怒ってきた。うん、これなら問題ない。
そう思っていると、ヨシミは急に起こるのをやめ、私を見てクスリと笑った。
「………ねえ、サオリさん」
「どうした?」
「今ね、何となくだけど、サオリさんって先生に似てるなって思ったの」
「先生に……?私が?」
「先生はサオリさんと違ってすぐに変なこと言ってくるし、ふざけてくるけど、……でも頼りになるし、とってもカッコいいのよ!」
誇らしげにそう語るヨシミ。しかしすぐにハッとして赤面し、「たまに!たまにそうってだけだから!」と叫んだ。万華鏡のように表情が変わる様は見ていてとても面白い。しかし、私が先生に似ている……か。
「フフッ」
「もう!何がおかしいのよ!!」 - 122◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:19:52
「いや、すまない。……前に先生に言われたんだ。私は先生と言う仕事に向いているのかも知れないと」
「……え?そんなこと言われたの?」
「ああ。でもそれが私のやりたいこと、なりたいものかはまだ分からないから保留中だ」
「そっか……フフッ、いいんじゃない?錠前サオリ先生ってかっこいいと思うし、先生以外になったとしても、サオリさんはきっと素敵な大人になれると思うわ!」
「……ありがとう、ヨシミ。ヨシミもきっと素敵な大人になれるさ」
「私は今関係ないでしょ!」
……あのチラシ配りのバイトの時に偶然出会い、関係が続いている放課後スイーツ部の子達は……アイリ、ナツ、カズサ、そしてヨシミは、本当にいい子達なんだ。私には勿体無いくらい、奇跡のような巡り合わせだと思っている。思えば先生に助けてもらって、先生に向いているかもと言われたあの日から奇跡は続いているのだろう。それを絶やさぬためにも、ここから脱出しなければ。何としてもヨシミを助け出し、私も生還するんだ。
窓の外、無限に広がる青い空に視線を移す。太陽はまだ天高く輝いている。夕方まで時間がかかりそうだ。
「ところでヨシミ、昨日は緑閃光を見たんだったな?」
「え?見たけど……そんなことよりここから脱出する方法考えないと!」
「問題ない、アテがあるんだ」
「アテって何?教えなさいよ!」
私はヨシミに顔を向け、肩をすくめる。
「……真偽の程は分からない。正直に言って賭けだ。乗ってくれるか?」
「……でも、思いつくのはそれしかないんでしょ?じゃあいいわよ!やってやるわ!」
「感謝する。なら私の知っていることを教えておこう。実は緑閃光はな……」
そう言って私は緑閃光……このビーチの名物に隠された言い伝えを教えてやった。 - 123◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:21:54
一旦ここまで。ごめんなさい今日で終わらせられませんでした。次回撤退戦、果たしてサオリとヨシミの運命は……?
先に言っておきますと、今の所想定している展開にはブルーアーカイブの独自解釈が含まれます。今更ですが。 - 124二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 23:33:33
サオリ×ヨシミだと!?データにないから追記した、かんぺき~
恋愛色のない同性の絡みは癒しだ…こんな状況でなければ…! - 125◆yQm0Ydhu/2pS24/07/31(水) 23:41:27
未知のデータをちゃんとインプット出来るデータキャラの鑑
- 126二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 09:04:15
保守
ヨシミってこんなにかわいかったっけ…(絆エピを確認する)
かわいかったわ… - 127◆yQm0Ydhu/2pS24/08/01(木) 09:11:44
ヨシミちゃんかわいいって言って
- 128二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 11:31:19
- 129◆yQm0Ydhu/2pS24/08/01(木) 12:28:40
- 130◆yQm0Ydhu/2pS24/08/01(木) 15:04:02
幕間・サオリのバイト飯
9.放課後スイーツ部イチオシのスイーツ
食べた時のバイト:チラシ配り
説明:トリニティ自治区にあるスイーツショップで売られている、放課後スイーツ部の面々からオススメされた4種のスイーツ。
コメント:ナツからオススメされたミルクたっぷりシュークリームは、中身のクリームがその名に違わない濃厚なミルクの味でとても美味しかった。カズサからオススメされたビターなチョコとクリームケーキはチョコの苦味とクリームの甘さが織り混ざってクセになる美味しさだった。ヨシミのルナティックムースはふんわりとした食感が心地よくて狂ったように食べきれそうだった。アイリの特盛チョコミントアイスは……まあ、嫌いじゃあないが、次は並盛りでいいな………。
追記:次会う時はカフェ・ミルフィーユに連れて行ってくれるそうだ。楽しみだな。 - 131二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 15:54:50
ココナッツのスイーツをどうぞ…ココナッツのスイーツをどうぞ…ココナッツのスイーツをどうぞ…
- 132◆yQm0Ydhu/2pS24/08/01(木) 15:57:20
- 133二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 17:46:33
ブルアカ宣言に全てを覆されたサオリが今度は青春の物語を紡ぐ側になるとか素敵やん
期待 - 134二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 17:50:40
- 135二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 20:45:00
(M134を持ち出し乱射)
- 136二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:34:02
緑の閃光が有る時に船を逆さに…
- 137二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 21:43:28
再会できて良かったぁ……いやあんまり良くねぇ!!それでも誰かいるって心強いから心境的にはかなりマシになってるはず!頑張れ2人共!!!
- 138◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:13:30
(8日目、逢魔時)
「________おそらくここはあの世ないし何らかの別世界だろう。あのココナッツジュースの奴らはこの世とあの世を自由に出入りでき、こちらに誘い込んで何かするつもりなんだ」
「何かって……何?」
「知ってるか?ココナッツジュースを持ってる奴らは皆このビーチで行方不明になった者達なんだぞ」
「行方不明!?じゃあ私たちを追いかけてきたのって……!」
「ココナッツジュースに釣られてここに来た行方不明者達の複製(ミネシス)、それらはまた外に出てココナッツジュースで観光客を釣り、新たな行方不明者を増やしているのだろう」
ヨシミはそれが酷く恐ろしかったようで、細い腕で震える体を抱き締めていた。そして恐る恐るといった様子でこちらに問いかけてくる。
「ここに来た本物の行方不明の人達って、どうなるの?」
「奴らについて行けば分かると思うぞ。行ってみるか?」
「いい!やっぱいい!大丈夫!!」
すっかり青ざめたヨシミを見て、揶揄いすぎたなと反省する。そして私は被っていた帽子をヨシミの頭に乗せ、着ていた上着をヨシミの肩にかけた。
「体力が落ちてる中で炎天下を行動するのはまずい。暑いかも知れないが、少しでも日差しを浴びないように着ておくんだ」
「でも、サオリさんは……」
「私はまだ余力がある、心配するな。ここから出たら返してくれればいい」
「……ありがと」
素直に言うことを聞いてくれた彼女に微笑み、私は窓を見る。正確な時刻は分からないが、日没まであと少し。空は茜色に染まっていた。もうすぐ日が沈むんだからヨシミに帽子と上着を貸さなくていいだろとも思ったが、脱出のために少しでも体力を温存して欲しかったのだ。正直これは気休めだ。
「……どう?似合ってる?あんまり帽子って被らないから分かんないけど……」
そう言って心配そうに見せてきたヨシミだが、私の帽子と上着をしっかりと着こなしていた。自慢のツインテールは、帽子が被りやすいように位置を下げておさげのようにしている。上着は少しサイズが大きいようだが、オーバーサイズ?と言う着こなしみたいでこれもまたオシャレに見えた。
「問題ない。似合っているぞ」
褒めてやると、彼女は誇らしげに胸を張った。それが可愛らしくて顔を綻ばせ、こんな状況ですり減っていた精神がいくらか楽になった気がした。 - 139◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:14:21
「……それで、要するに、緑閃光が輝いた瞬間に海に潜ればいいのね?」
「ああ、情報が正しければ、それで元の世界に帰れるだろう」
立ち飲みバー風屋台の店主から聞いたこと……緑閃光の言い伝えを思い出す。緑閃光……グリーン・フラッシュとは、夕暮れ時の太陽が完全に沈む際に一瞬だけ、緑色の光がまたたいて見える現象だ。普通なら稀な現象だが、このビーチは様々な要因が重なって頻繁に発生するのだとか。
他の地区では見ると幸せになれると言われている縁起物だが、ここの言い伝えではあの世とこの世の海が繋がった時に出る光だと言われている。
「緑閃光が輝き、この世とあの世が繋がった瞬間に海に入れば、もしかしたら元の世界に帰れるかも知れない。……あくまで予想だがな」
「でもその言い伝えを信じるしかないわよね。……ほっそい可能性だけど、この世界自体おかしなものなんだから、きっとそれも本当に起きるわよ!」
「ああ、そうだな。信じよう」
頷き合って、私達は装備の最終確認を始めた。私はアサルトライフルとハンドガン、予備マガジンが各種3つ、手榴弾2つ、暴れる観光客を捕縛するためのワイヤーが1本。サバイバルナイフ1本。普段より少ないが、これだけあれば充分だ。
ヨシミはアサルトライフルと予備マガジンが2つだけ。心許ないが、観光に来ただけなんだ。仕方ない。
「せめてこの建物に武器になるようなものがあったら……」
「何もなかったわね……。何に使うか分からないおっきな焼却炉はあったけど」
「多分ゴミを燃やして……いや待て、大きすぎないか?そんなにゴミが大量に出るとは思えないが……」
「大は小を兼ねるって奴じゃない?それより火かき棒の1本でもあれば、こう……バコーンってぶっ飛ばせたのに!」
「た、逞しいな……」 - 140◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:15:07
何か察しそうになったが、アサルトライフルをバットのように振り回すヨシミの姿を見ているとどうでもよくなった。さて、出発しようか。
「荒事は私が対処しよう。ヨシミはひたすら走って海に飛び込め」
「私だって戦えるわよ!」
「分かっているさ。だが物資が足りないのはどうしようもない。自分の身を守ることを優先してくれ」
「ま、まあそう言うなら、任せて!」
納得してくれて何よりだ。こうは言ったが、全力で守り切って見せよう。
「よし………行くぞ」
扉を開け、意を決して飛び出す。組合本部の敷地を抜けて、屋台エリアに入る。
「作戦は単純だ!突っ走れ!邪魔する奴は薙ぎ倒せ!いいな!」
「OK!大得意よ!」
(たくさんの足音)
無人の屋台に、突如地鳴りのような足音の群れが響く。一瞬で人の気配が溢れたことに困惑したが、駆ける足は止めない。止めてはならない。
「サオリさん!前!」
警告の声、前からは見覚えのある獣人の親子が4組8人、ココナッツジュース片手に迫っていた。そう言えば母親もここに来ていたな。きっともう、ダメだろう。
「押し通る!!」
(銃声)
母子共に銃弾を浴びせて薙ぎ倒す。良心が酷く痛み、心の中で詫びる。しかし道は開けた。無事走り抜けることができた。
(テントが軋む音)
「上か!気をつけろ!」
テントの上に複数の人影……偽物の私とヨシミが複数名で、テントの上から飛び掛かって来た。 - 141◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:16:19
「私の姿を勝手に使わないでよ!気持ち悪い!」
(乱射音)
正確とは言えない銃撃だが空中の奴らは避けられず、次々と撃墜されていく。運良く当たらなかったヨシミもどきが1匹、私の前に着地した。
「はあっ!」
最初の頃は抵抗があったさ、偽物とは言えヨシミを攻撃するのには。だが今は本物を守らなきゃならないんだ。遠慮なく殴り飛ばした。ヨシミもどきは吹っ飛びテントに激突、そのまま倒壊するテントに巻き込まれた。
「うーわゾワっとする!自分じゃないって分かってるけど!ゾワっとする!」
「ああ、すまないヨシミ!極力攻撃しない方がいいか?」
「あ、ごめん大丈夫!私もサオリさんのこと撃ちまくったから!サオリさんじゃないけど!」
「私は構わない。遠慮なくやってくれ」
「わ、分かったわ。………ところでさ、サオリさん」
「ん?どうした?」
「サオリさんって……何だか慣れてない?こんな不思議な状況に。チラシ配りの時といい、何でこんな危険なバイトばっかりやってるの?」
「………危険なバイトばかりやってる訳じゃない、何ならこんなひどい目にあったりあわなかったりするのは不本意なくらいだ」
「えぇ……じゃあ何で……?」
「契約書や条件はよく確認しているつもりだ。ただ……稀によくこう言うのに当たることがあると言うか………うっかりと言うか………」
「うっかり………サオリさんって、結構抜けてるわよね」
「ううむ………」
返す言葉がない。辛いけど否めない。どうして毎回こうなるのだろうな。
「………先を急ごう」
「そうね……」
そんな一幕がありながらも、私達は屋台エリアを走り抜けた。襲い掛かる行方不明者らを迎撃し、避け、どうにかビーチに辿り着く。
「もうすぐ日が沈む……!ヨシミ」
「分かってる!あと少しでしょ!?」
サラサラの砂に足を踏み込む。後少しで海に入れる。私達はより一層足を早めた。瞬間、
(大きなものが落ちる音) - 142◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:17:02
「っ!?」
「きゃあ!!」
何かの塊が私達の眼前に落ちてくる。咄嗟に立ち止まり、直撃は免れたが飛び散った砂が降り掛かってきた。
……落ちて来たもの、それは紫アロハの観光客だった。
「ジャンプして私達を飛び越えたのか?まさかそんな……?」
「………っ!サオリさん上!」
「え?………っ!!?」
見上げると、上空には夥しい量の塊があり、ビーチに降り注いだ。それは全て行方不明者達、ヨシミ、そして私であり、砂浜に激突すると、すぐに立ち上がってこちらに笑顔を向けてきた。
「ココナッツジュース、美味しいよ!売ってる場所に連れてってあげる!」
……ああ、そうだ。この世界は私達の世界ではない、奴らの世界だ。奴らのホームグラウンドなんだ。だから無人の屋台エリアに突如群れを成して現れるし、何もない空中からもたくさん湧いてくるのだろう。私達は、今この異常なビーチの世界に追いかけられているんだ。
「くそ……!走れ!」
驚いて動きが止まったヨシミを急かすがもう遅く、私達は取り囲まれ、あっさりと捕まってしまった。どうにかもがくが、複数人で取り押さえられていると脱出は厳しい。
「離してなさいよ!こんなことして、タダで済むと思ってるの!?」
ヨシミも捕まってしまったようでもがいている。クソ……守ると誓ったのに!………いや待て!
「このっ………よいしょ!」
どうやら奴ら、ヨシミの体をちゃんと掴んでいなかったらしい。上着を脱ぐと、ヨシミはあっさりと脱出することができた。不幸中の幸いだ!これなら……!
「やった!サオリさん!今助けるわ!」
「来るな!」
「え……?」
肩に飛びついてきたヨシミもどきに頭突きを喰らわし、腕にしがみついていた獣人の子供を振り解いて私は叫ぶ。
「お前だけでも逃げろ!」
「でも、サオリさんが……!」 - 143◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:17:53
ヨシミに向かう紫アロハの群れに発砲。弾切れになったアサルトライフルで獣人の母親の顔を殴りつける。
「私なら大丈夫だ、先に戻ってくれ!………ヨシミを助けられなかったら、スイーツ部の子達に怒られるからな」
最後の手榴弾を起爆させ、周囲の行方不明者らを吹き飛ばす。爆風が辺りに漂い、ヨシミを隠してくれた。これなら大丈夫だ。
私はアサルトライフルを抱えて膝をつき、リロードしながらハンドガンを乱射する。迫り来る敵を少しでも押し留めるために弾幕を維持する。時間を稼げ、あの子が海に入るまで、緑閃光が輝くまで!
「うおおおおおおおお!!」
最後のマガジンを空にして、周囲の私の群れを薙ぎ倒す。それを踏み越えて私の群れが迫り来る。アサルトライフルをバットのように構えて迎え撃った。
(打撃音)
1匹の私もどきを殴り倒すのに成功した。しかし横から迫るもう1匹の拳が直撃し、吹っ飛ばされてしまう。
「くっ……しまった………!」
拳は顎に当たり、脳を揺らした。視界がぼやけ、体に力が入らない。何とか立ち上がろうとしたが、1匹の私もどきに取り押さえられた。そいつの手には、ココナッツジュースが握られている。
「美味しいココナッツジュースだ。お前のために持ってきてやったぞ。飲んでみろ」
「っ……!!」
顔にストローを押し付けられるが、どうにかもがいて拒否する。すると私もどきは口元を押さえつけ、ストローを捩じ込もうとしてきた。無機質な微笑みで、私を見つめている。 - 144◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:18:46
「さあ、美味しいぞ」
「んんっ……!!んんんん!!」
もう少しでストローが口に入る……瞬間、
(銃声)
「うっ!?」
私もどきの頭部に銃弾が直撃。私もどきは意識を失ってその場に倒れた。自由になった私は慌てて後退り、振り返る。
ちょうど爆風の煙が晴れ上がって、涙目になってこちらを睨むヨシミの姿が現れた。
「ヨシミ……!逃げろと言っただろ……!?」
「舐めないで!私だってサオリさんを助けられるの!信じて!」
そう言ってアサルトライフルを構えるが、無理だ。屋台エリアから行方不明者の群れがこちらに向かっている。ヨシミの装備じゃ太刀打ちできない。しかしヨシミは1歩も引かず、行方不明者達に叫んだ。
「ふんっ、やっつけてやる!」
瞬間、風を切る音が辺りに響き、上空から巨大な何かが降ってくる。
「……は?ミサイル?」
巨大な何かはミサイルだった。ミサイルは行方不明者の眼前に突き刺さり、1拍置いて弾ける。
「くらえっ!」
(爆発音)
……当然だが、私の手榴弾以上の爆風と振動がビーチを襲い、私は体勢を崩して倒れ込んだ。するとヨシミが駆け寄って来て、私の手を引いてくれた。
「サオリさん大丈夫!?ほら、さっさと逃げるわよ!」
「あっ、ああ……いや待て、ヨシミ?今のミサイルは……?」
「え?私のミサイルだけど?」
「ヨシミのミサイル………ん?」
「ほら、そんなことどうでもいいでしょ!早くしないと、緑閃光出ちゃうわよ!」
「ああ、分かった……いや………は????????????」 - 145◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:19:23
全く飲み込めないが、どうやらヨシミはミサイルを持っていて、それを使ったらしい。どこに隠し持っていたんだそんな物?何で当たり前のように使って………いや、もういい。それより早く脱出だ。
(波の音、水を掻き分ける音)
「もうすぐ日が沈む!緑閃光が出るわ!」
「よし、緑閃光が見えたら思いっきり潜れ!いいな!」
波打ち際から海水を掻き分け、どんどん進んでいく。後ろからは足音が聞こえ始めたが、もう振り返らない。私達の勝ちだ。沈む太陽を真っ直ぐ見つめ、ついに来るその時に備える。そして……、
「………今だ!」
太陽の最後の一欠片が水平線とぶつかり、光の色が混ざり合って緑になる。緑閃光だ。とても美しいが、鑑賞は後だ。私達は頭を海に突っ込んだ。
暗い水中の中、体を反転させて水底まで一気に潜る。隣のヨシミも私の後に続く。先ほどまで足がついていた深さに来たが、地面が見当たらない。奇妙だが構わずに潜り続けた。すると底に光が見えて来た。私達は光に向かい、一心不乱に泳いだ。
「………ぷはぁ!!ここは……?」
「ぷはぁ!!………サオリさん!あそこ!」
顔を出したヨシミが砂浜に向かって指を刺す。そこにはくつろぐ観光客の姿があった。あの世界で見た行方不明者達の顔じゃない。普通の観光客がそこにいたのだ。
(観光客達の喧騒)
「……ハハハ、無事に戻れたみたいだな」
「よかった……もう、本当に大変だったんだから!」
這う這うの体で海から上がり、2人で砂浜に寝転がる。夜景を眺めている観光客達が怪訝な表情でこちらを見るが、疲れ過ぎて気にならない。
不意に耳に装着していたインカムにノイズが走る。電波を拾える場所に戻れたからだろう。私はインカムを起動した。
「こちら警備バイト、HQ応答願う」
「こちらHQ、どこに行ってたんですか?突然連絡が取れなくなって探していたんですよ?」
「すまない、ココナッツジュースを持った観光客に遭遇したんだ」
「何ですって!?今どこに!?」
「ビーチだ。観光客1名を保護している……。迎えを寄越してくれないか?」
慌ただしい声と音がインカムから垂れ流される。そしてすぐに組合職員がこちらに来て、私とヨシミを本部まで連れて行ってくれた。 - 146◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:20:04
________その後、私達は念のため病院に搬送され、診察を受けた。
私は軽症だったがヨシミは1日入院することになった。元気に見えたがやはりダメージが大きかったのだろう。
一足先に治療を終えた私は組合本部に戻り、何があったのかを説明した。どうやら、連れ去られて戻って来た事例は初めてだったらしく、明確な攻略法を見つけてくれたことにとても感謝された。そして職員として働かないかと誘われたが、丁重に断ってバイトも辞めた。
翌日、退院したヨシミをトリニティ自治区に送り届けた。どうやら放課後スイーツ部が戻ってこないヨシミを捜索していたらしい。無事に再会できたヨシミは3人にもみくちゃにされていた。
「そんなことよりヨシミ!カフェ・ミルフィーユで新作が出るって!」
「本当!?早く行かなくちゃ!」
「大丈夫なのヨシミちゃん!?入院してたんでしょ!?」
「平気平気!それより早く!新作売り切れちゃうわよ!」
「ロマンは止められない物だね。さ、れっつごー」
相変わらず、4人は元気で仲良しだ。いいことだな。
「それじゃあ私はこれで。新作スイーツ、手に入るといいな」
「何言ってるのサオリさん!一緒に行くわよ!」
「え?ちょっ、引っ張るな引っ張るな!」
結局ヨシミに引き摺られてカフェ・ミルフィーユに向かった。正義実現委員会に見つからないか警戒していたが幸い遭遇せず、しかし新作スイーツは1つしか買うことができなかった。仕方がないのでみんなで分け合って食べた。
「ココナッツケーキ、とっても美味しいね!」
「中々深い味わい、ばっちぐーだね」
「あれ?ヨシミ?サオリさん?どうしたの?そんな青い顔して」
「な、何でもないわよ!ね?サオリさん」
「あ、ああ、その、初めて食べるな。ココナッツ……」
少しびっくりしたが、ココナッツケーキは美味しかった。
ここだけサオリが裏バイトで働いていて、ひどい目にあったりあわなかったりする世界 - 147◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:24:36
ビーチ前屋台警備編、完結です。遅くなってすみません、お付き合い頂き、ありがとうございました。
調べてみたら、海で緑の光が出るとあの世に繋がるって設定はパイレーツオブカリビアンだけの物っぽいみたいです。嘘やろ……
- 148二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:26:29
祝!生還!
今回の情報のお陰で、居なくなってすぐなら助けられる可能性が出来たのは大きい
スイ部とカフェにも行けたし今回も終わりヨシ!なのでヨシ!
ココナッツだけでなくこの風習すらも海を通じて外から流れついたものだったのかもね~
ペロロジラと似た存在ってコト - 149◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:28:48
土着信仰すらも外来種かもしれない。本当の在来種は誰だったんでしょうね……
- 150◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 00:30:04
錠前サオリの裏バイト奇譚12
業務内容:ビーチ前屋台警備
注意事項: 『本ビーチではココナッツジュースの販売が禁止されている。もしココナッツジュースを飲んでいる客を見かけたら組合本部に報告すること』
勤務期間:8日間
給与額:1時間10000円×1日7時間×8日間=560000円
コメント:先生に事のあらましを伝えると、対応してくれると言ってくれた。だが⬛︎⬛︎自治区が非協力的で、時間がかかりそうだと困っていた。一体あのビーチには何があって、この先どうなるのだろうか。 - 151二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:47:08
よっしゃぁ!!救出成功!!
良かった良かった!いやまぁ……ココナッツで身の危険を感じた後にココナッツはまぁ……そうなるよねぇ… - 152二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 00:55:08
流木が流れ着くかのごとく沢山やってくる怪異...
焼却炉、なんに使うんでしょうねぇ... - 153◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 01:04:52
- 154二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 01:32:56
ヒナがレーザー撃ってホシノがバリア張ったんだ、ミカが隕石降らせたりヨシミがミサイル召喚できても何らおかしいことじゃないよね
なんかサオリはびっくりしてるけど…… - 155◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 01:39:33
ヒナホシノミカとは違ってヨシミは一般人ですから……。多分アイリのクソデカチョコミント爆弾を見たら腰を抜かします。
- 156二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 02:12:44
- 157◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 02:22:57
組合としては正社員になれる権利が最高の報酬だったみたいですね……蹴ったけど
- 158二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 07:41:24
ココナッツミルクは熟すと食べられないって話思い出した。
お疲れ様です - 159二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 09:40:24
ココナッツジュース飲んでたらやっぱり戻れなくなるんだろうな
でも何故ビーチは人を拐いたがるのかは結局分からずじまいで不気味だ
これがゲマトリアの言う崇高なのか、よかったねベアおば、ココナッツジュース飲めば多分向こうの存在になれるよ
というかそろそろゲマトリア絡みの依頼とか来ないかな、本家で言うQ絡みの依頼的な
でもデザイナーみたいなのだけは来ないで欲しいな、嫌だよ生徒も先生も全員◯んでそのコピー達で物語が続くとか - 160◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 10:10:42
- 161二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 13:10:09
ここまで危険な怪異が多いから
ぱっと見めちゃくちゃヤバそうなのによくよく調べたら
別に大した被害を出すわけでもない無害寄りの怪異出してサオリを困惑させて欲しい - 162二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 14:26:05
- 163◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 15:41:55
- 164二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 15:43:05
このレスは削除されています
- 165◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 15:43:31
幕間・サオリのバイト飯
10.妖怪MAXエナジーバー
食べた時のバイト:デバッガー
説明:大人気エナジードリンク、妖怪MAXのエナジーバー。1本食べるとたちまち元気になると言う。
コメント:妖怪MAXを濃縮して固体にした味。常用すると死ぬと思う。元気の前借りとはよく言ったものだ。
11.住民達の手料理
食べた時のバイト:デバッガー
説明:井戸の神の神社を管理する近隣住民達の手料理。肉じゃがやコロッケ、川魚の串焼き、麻婆豆腐など様々な種類の料理が出された。
コメント:綺麗な水で炊いたお米がとても美味しく、手料理と一緒にたくさん食べた。とても暖かい食卓だった。
12.井戸水
食べた時のバイト:
説明:
コメント:またおいで - 166二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 16:26:03
あの井戸の水は飲んでも大丈夫なんだろうか…
- 167二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 16:50:13
- 168二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 17:30:29
やっと追いついた…
本家裏バイトもサオリも大好きだからスレ主さんには体に気を付けて続けてほしい - 169二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 17:48:56
- 170二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 18:18:28
緑の閃光の時に海に…は某海賊映画から影響を受けてたりしますか?
- 171◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 18:40:59
神の水ですから、きっと大丈……ああ、うん、まぁ………
ココナッツビーチからおかえりなさい。ネームド生徒との絡みがあるかは分かりませんが、考えてみます。ありがとうございます。
ありがとうございます、まだまだ暑いですのでそちらも気をつけて。
サオリはいい子ですからね、井戸の神も魅入って下さったのでしょう。それがいいことかはともかく……
某海賊映画大好きなんですよ……!
ただ『グリーンフラッシュにあの世とこの世が繋がると言う逸話がある』というのはどうやらあの映画独自の設定みたいで、私が調べた限りどの地域でも『グリーンフラッシュは吉兆の印』でしかないみたいです。
- 172二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 20:46:21
やっぱよもつへぐいみたいなもんじゃないですかー!ヤダー!!
- 173◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 22:54:43
拾い食いダメ、絶対!神隠しに遭います。
- 174◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 22:56:19
データ入力のバイトを始めた錠前サオリだ。場所はミレニアムサイエンススクールの校舎からモノレール3駅分離れた場所にあるビルの一室で、ここでAIに覚えさせるデータをひたすらパソコンに打ち込む業務となっている。
この部屋はミレニアムのAI技術研究部と言う部活の所有物で、雇い主もその部員の1人。何でも、とある研究を1人で続けていたらしい。しかしさすがに人手が足りなくなってバイトを応募したそうだ。報酬は20万円。私が採用された瞬間ブラックマーケットの私の銀行口座に振り込まれた。口座を教えた瞬間振り込んできたのには驚いたが、さすがミレニアムの技術力と言ったところか。よく分からないが、電子決済?みたいなことをしたのだろう。……当たり前だがアリウスにはITのアの字もなかったから知識が全くない。この仕事を通して勉強しよう。
そしてビルから出られないので3食おやつ付き、風呂もベッドも使い放題だ。気前がいいな、張り切って行こう。
なになに、注意事項として『機密保持の為バイト中はビルから出てはならない。生活必需品は定期的に配送されるため、心配せずに作業を続けること』……だそうだ。仕事が終わらない限りはずっと引き篭もることになるのか。大変だな。 - 175◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 22:57:20
(1日目)
「……その、凄まじい量だな」
「いや〜ごめんね〜バイトちゃん?」
呆然としていると、横で雇い主のAI技術研究部員が申し訳なさそうに頭を掻いた。今、私達の目の前にはデータを入力される書類があるのだが、それが机の上に山のように置かれている。シャーレで先生が捌いている量の半分くらいだろうか?なんて量だ……!
「いや、シャーレがおかしいだけか……。それにしても、これがAI技術研究に必要なのか?」
「必要も必要。これがAIの礎になるんだよ。……AIってのは、すごいざっくり言うと、高性能なコンピュータに人間と同じような知的行動をできるようにしたものなんだけど、そのためにはたくさんのデータを覚えさせなきゃいけないの」
「なるほど……喋るために言葉を覚えさせる、みたいなことか?」
「うん、そんな感じの認識でいいかな。だからバイトさんにはいっぱいデータを入力して、AIを育てて欲しいんだよ」
そう言って雇い主はパソコンを撫でる。製作者の彼女にとっては自分の子供みたいなものなのだろう。その視線はとても愛おしそうだ。まだやりたいこと、なりたいものが分からない私にはその姿がとても輝いて見えた。このAIを完成させることが、彼女の大切なことなのだろう。
「……任せてくれ。研究が上手くいくようにサポートをしよう」
「うん!ありがとね、バイトちゃん!じゃあ早速よろしく!」
そう言って雇い主はサムズアップをして見せる。早速私は席につき、1番上の書類を手に取った。その内容はインタビュー記事だった。 - 176◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 22:59:56
『AI技術研究部 プロジェクトNo.1059
インタビューへの回答記録
対象者:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(71)
出身:百鬼夜行
対象者説明:百鬼夜行の老人ホームに住んでいる老婆
「もうすぐお迎えが来るとは思うけど、そうねぇ……。ずっとお家で花屋さんをしていたから、お花がいっぱいある場所に行ければいいわねぇ」
対象者:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(16)
出身:ゲヘナ
対象者説明:末期癌患者の少女
「何よ!?当てつけ!?それともさっさと死んでしまえとでも言いたいの!?出てってよ!好きでこんな目に遭った訳じゃないんだから!本当に……好きでこんな……!ゔゔっ、もっと……もっと学校に行きたかった……。友達と青春したかった………!誰か助けてよぅ………死にたくないよぅ………」
対象者:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(32)
出身:D.U.
対象者説明:建築会社勤務の男性
「まあ、危ない現場もあるから保険にも入ってるし、考えたことない訳じゃないな。そうだなぁ……いやカミさんと息子がいるしなぁ。どこに行きたいってよりは、2人を見守れたらいいなぁ」 』
……何のインタビューだ?一体何を作ろうとして……。
「知りたい?」
「っ!?」
振り向くと、雇い主が私の顔を覗き込んで笑っていた。びっくりした。
余程困惑が顔に出ていたらしい。だが教えてくれるのならありがたく聞いておこう。
「そう言えば聞いてなかった。何の研究をしているんだ?AIにこれを覚えさせて、何をしようと……?」 - 177◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 23:00:32
「……私ね、とある人のために作りたいものがあるの」
「作りたいもの……?」
雇い主の笑顔に影が刺す。何か辛いことを思い出したかのように視線を下げる。数秒黙り込み、そして口を開いた。
「うん。
________天国」 - 178◆yQm0Ydhu/2pS24/08/02(金) 23:02:40
- 179二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 23:41:47
ログアウト先がありませんを思い出した
- 180二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 23:59:51
恐らくキヴォトスでなら実現可能範囲だろうね
それが本当に天国と呼べるのか、其処に居るのが死者なのかはわからないが - 181◆yQm0Ydhu/2pS24/08/03(土) 00:07:19
- 182二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 02:36:48
AIでホラーって言うと、「いつの間にか知らん言語開発してAI同士で人間には理解できない秘密の会話をしていた」て事例が現実でもあったらしいね
どれ程進歩しようと人は未知と遭遇する恐怖からは逃れられない…… - 183二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 04:01:48
天国を作るか、なんかサガフロンティアを思い出したな、魔術師達がなんでも願いを叶える指輪を使って天国みたいな世界を作ろうとしたけど、出来上がったのは見た目は天国で実態は地獄な世界だったって話
- 184◆yQm0Ydhu/2pS24/08/03(土) 08:22:11
- 185二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 08:28:03
- 186◆yQm0Ydhu/2pS24/08/03(土) 12:09:06
こちらこそリクエストありがとうございます、ご期待ください
- 187二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 16:53:43
- 188◆yQm0Ydhu/2pS24/08/03(土) 16:53:45
- 189◆yQm0Ydhu/2pS24/08/03(土) 16:58:06
オシゴトオイシイ…オシゴトオイシイ…
- 190二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 18:11:05
このレスは削除されています
- 191二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:19:36
縦乙
- 192二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:00:57
うめ・・・うめ・・・
- 193二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:21:45
埋め
- 194二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:34:08
埋め
- 195二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:02:34
梅
- 196二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:03:10
うめ
- 197二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:07:36
うめー
- 198二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:12:22
スレを埋めるバイトを始めた錠前サオリだ、よろしく頼む
- 199二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:12:34
埋め
- 200二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 22:13:56
えへへ……200なら次スレでサオリ姉さんは幸せになりま……