- 1二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:45:49
思いつきです。
※以下注意
・あくまで個人的な妄想です。
・モンハン世界の人間の種族にウマ娘が加わった世界です
・キャラの口調や性格などは限りなく再現していくつもりですが、それでも一部再現しきれない場合があるかもしれません。
・ウマ娘の役職や身につける武器や装備は個人的に似合うかどうかで決めてます。
・各キャラの装備についてモンハン本編における防具スキルとかは関係なく決めていますので、ご了承下さい。
・スレ主のモンハン歴は初代からXXまでのいわゆる旧式のハンターです。
・今回の物語はMH4の本編ストーリーを参考にしています。
・一部のウマ娘について、原作とは著しく異なる姿で登場します。
後は、予防線貼るようで申し訳ありませんが
SS初心者です。暖かく見守って頂ければ幸いです。 - 2二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:47:37
ー遺跡平原ー
今や風化し自然の造形物と化した遺跡が金色の平原から切り立つ岩山にかけて散在するこの遺跡平原は、安定した気候で小型から中型モンスターが幅広く生息し、近隣の初心者ハンターからは狩猟の いろは を学べる場として重宝されている。
もちろん危険が無いわけではなく、飢えた轟竜が遥々訪れたり、岩山の頂に火竜が営巣したりと、上級ハンターであっても油断ができないフィールドであるが、それだけ豊かな環境でもある証拠なのだ。
しかし現在、遺跡平原は不気味な程静まり返り、草食竜はおろか、普段は遺跡エリアを中心に跋扈している狗竜達も居らず、とても豊かとは言えない有様である。
その原因は遺跡平原の谷の奥、まるで目隠しをするように蔦が覆うこの薄暗いエリアにいた。 - 3二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:49:24
金獅子ラージャン
漆黒の毛並みと一対の巨大な角を持つこの牙獣は地盤を砕く程の怪力を発揮する剛腕と、目に入る者全てを敵とみなし苛烈なまでに攻め入る超攻撃性を持って、縄張りとした地域一帯の生態系を崩壊させかねない影響力を持っている。
加えて、怒りによって内に秘められたエネルギーを爆発させれば、全身が漆黒から異名の由来となる黄金の毛並みとへと変化し、その際には大自然の化身とも言える古龍すらも殴り飛ばす程の力を発揮すると言うのだ。
そう、この古龍級生物の存在こそが遺跡平原の現状の理由である。 - 4二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:50:22
しかし今ここにいるラージャンを見ると、自慢の角は折れ、身体中の至る所に傷をつけ弱っていた。
そう、このラージャンは今、傷を癒すべく身を隠せるこのエリアまでやってきたのだった。
一体、どれ程の者がこの金獅子を追い詰めたのか。
「ついてく…ついてく…」 - 5二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:52:07
眠りにつこうとしたその時、怨敵の気配を感じた金獅子は傷の痛みはお構いなしに再び黄金の闘気を纏った。
怒れる視線の先には、漆黒の鱗を纏い二振りの冷たい爪を携えた小さな影が一つ。
己がここまで追い詰められるまでにラージャンは怨敵についてある程度学習はしていた。
ー奴は自分の攻撃を尽くかわし、じわじわと冷たい刃で斬りつけてくる。懐に潜り込まれてはいけない。ー
しかし、ラージャンは怨敵に正面から跳びかかった。
ラージャンは許せなかったのだ。
これまでビリビリ激しく小賢しい角付きや、空から火を撃ち王様気取りの羽野朗や気持ち悪いモヤモヤを出す黒い奴、その他様々な敵の何をも打ち倒してきた金獅子のプライドが、この小さな存在に追い詰められるなどあってはならないと、彼を駆り立てたのだ。
もはや己の生き死にはどうでもい、ただコイツだけは仕留めろと。
そして怨敵にその剛腕が届かんとした
その瞬間 - 6二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:53:36
ラージャンの動きが止まった。
後一歩で敵を捻り潰せるこの距離で、腕、脚が動かせない。抗うようにラージャンは唸り吼えた。
「うっニャニャー!今だよライスちゃん!」
その声の方を見ると数日前から小さな怨敵の横についていたもっと小さな桃色の毛玉…
この痺れはこのちっぽけな毛玉のせいだとラージャンは理解した。
「ごめんね、ラージャンさん。」
ラージャンが最期に見たのは己をに振り下ろされる二振りの酷く冷たい爪だった。 - 7二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 13:55:03
一旦、ここで止まります。
また続きは夜ぐらいに投稿しようと思います。
…もっと書き溜めてからやればよかった… - 8二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 14:05:28
昨日のライスとナリブの人か
とりあえず10まで伸ばすね - 9二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 14:05:41
ほ
- 10二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 14:05:49
しゅ
- 11二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 14:08:18
【Monster Hunter Rice】
〜オグリキャップの秘密①〜
かつて一人で"燼滅刃"を仕留めた伝説を持つ永世四強の一角。狩猟中に彼女の闘志から感じるオーラやドンドルマの食料を一夜で食い尽くすとも言われる恐るべき食欲からウマ娘の皮を被った古龍級生物とも恐れられてる。 - 12二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 14:09:48
- 13◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:20:12
金獅子を仕留めた事を確認した漆黒の双剣使いは一緒にいる桜色のアイルーに預けていた信号弾を受け取り、空へ向けて放つ。後は迎えを待つだけだ。
「ふぇぇ…何とか倒せたね」
「ライスちゃんすごかったニャ!ジャキーン!シュバッ、ズババババババババーン!って!!本当に強くてカッコよかったニャ!」
「ウララちゃんも凄いよ!鬼人笛とか吹いてくれたし、最後の罠もとても助かったよ!ありがとう、ウララちゃん!」
「うニャニャー♪ライスちゃんに褒められたニャ!」
つい先程、金獅子を仕留めたとは思えないのほほんとした空気を醸し出すこの二人組。
漆黒のスパイオシリーズに身を包んだ、ライスと呼ばれるこの双剣使いの名は
ライスシャワー
小柄な体躯ながらもウマ娘ならではの素早い身のこなしと、種族全体としてスタミナに優れるウマ娘の中でも特に優れたスタミナを活かし、徹底的なマークで標的の懐で斬り続ける戦いを得意とする。双剣の特性上、その火力を最大限発揮するならば、スタミナを大幅に消費する代わりに集中力を最大限に高め、その斬撃の威力を強化する"鬼人化"と呼ばれる肉体強化が必須であり、一般的には強走薬の使用や身軽な装備でスタミナ消費を軽減するなどの工夫をしなければならないが、このライスに至っては、持ち前のスタミナのみで狩猟中の常時鬼人化を可能とし、正に鬼が宿ると形容される程、攻めに攻めた狩猟を行う。 - 14◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:20:48
そしてもう一人…いや一匹、天真爛漫な笑顔を見せる桜色の毛並みを持つこのアイルーの名は
ハルウララ
現在はオトモ兼ニャンター見習いとしてライスと行動を共にしている。ニャンターとしてはまだまだ未熟なところがあるものの、オトモとしては的確に笛を吹いたり、罠を張ったり非常に優秀である。かつて一流のハンターの元でオトモとして鍛えて貰ったからとは本人談。またオトモとしての腕は勿論、その笑顔や愛嬌は過酷な大自然の中での癒しとなりそれが評判でオトモスカウトが良く受けていた。噂ではカイザー装備のハンターがよく声をかけていたらしい。しかし本人としては尊敬する一流ハンターみたいになりたいのでオトモのみとしてのスカウトは受けず、ニャンターとしても自分を受け入れてくれたライスとコンビを組んでいる。
「あ!ライスちゃん、おむかえきたニャ!」
「トレセンに戻ったら甘いもの食べようね、ウララちゃん!」
「そしたら私、にんじんぷりんが食べたいニャ!」 - 15◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:23:32
ートレセンー
ハンターズギルドの集会所になっている大型飛行船を中心に様々な飛行船キャラバンや地元の商人やハンターなどが集う大規模な市場であり、また空路を使い移動するため、かのバレバレと同様に地図に乗らない事で有名である。
遺跡平原から戻ってきたライスは早速、トレセン集会所へ今回の狩猟についての報告をしに向かった。
「ライスシャワーさん!?お帰りなさい!無事に戻ってこられて何よりです。」
トレセン集会所の受付嬢兼ギルドマスター(何故かここでは理事長と呼ばれている)秘書のタヅナは数日ぶりに姿を見せたライスにまずは無事であった事を喜んだ。
「お久しぶりです、タヅナさん。ラージャンは確かに狩ってきました。それで、その…ギルドマs…理事長さんに直接報告したくて…」
「はい、確かに伝書でラージャン討伐の報告は来てますね。確か今回のクエストは理事長直々にライスシャワーさん指名での依頼でしたね…きっと理事長もライスシャワーさんからの報告を待っていると思います!今すぐ都合を確認致しますので少し待っていて下さいね。」
タヅナを待つ間、少し乾いた喉を潤そうとカウンターバーに座り薄めのハチミツドリンクを注文した。 - 16◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:26:27
ライスが座って寛ぎ始めるやいなや、周りがざわつき始める。
「聞いたか!?ラージャンを討伐したってよ!」
「そう言やぁ最近遺跡平原に出たって、上級ハンター以下は立ち入り禁じられてたよな」
「しかもよ理事長ご指名って事は、そりゃ腕が立つわな」
当然の反応である。
かの金獅子ラージャンを討伐したと聞けば、集うハンター達は注目し、彼らの話題の中心にもなる。
しかし……
「ん?ライスシャワーって確か…これまでに古龍を2度討伐したっていう…」
一人の男がそう言うと
「え?あの漆黒のステイヤー、鬼人ライス!?え?ウソ!ちっちゃくない!?え、可愛いんだけど!?あ、ハチミー飲んでる!ヤダ、可愛い!」
「へぇー…確かに噂通り、漆黒の装備…そして双剣……へぇー!?」
ラージャン討伐よりもライス自身の話題となった。
しかしそれはすぐにライスの居心地を悪くする。 - 17◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:28:26
「でもよ、ライスシャワーの古龍討伐ってあれだろ?2回とも別のハンターが追い詰めた奴にトドメを刺したんだろ?」
「あー、確か1回目がバルファルクで2回目はテオ•テスカトルだっけ?」
「え?じゃあ手柄を横取りてきな?」
「いや、横取りっていっても古龍相手だぜ?」
「バルファルクの時は…そう、ミホノブルボンとライスシャワーだったな。当時注目株だったミホノブルボンがバルファルクを倒しに行くってんで各地で話題になって…。ただ、ミホノブルボンはその戦いの途中で負傷してハンター引退しちまってさ…ライスシャワーも凄いがミホノブルボンも凄いハンターでよ…まぁ最終的にライスシャワーが倒したんだけどよ…まぁ当時は注目株の引退とか相当話題になって、でバルファルク倒したのが当時まだ良くて中堅程度って言われてたライスシャワーが!ってんだからまぁ、いいとこ取りなんかな?良い話にはならんわな。」
「テオ・テスカトルの時は確か…砂漠でメジロマックイーンが追い詰めて、火山まで追いかけようとしたところ、火山付近にいたライスシャワーが討伐したんだっけ?…まぁ、これはなぁ…。」
「手負の古龍とか恐ろしい物をよく倒したもんだぜ?」
「でも、俺はあれだな〜名優メジロマックイーンが古龍を打ち倒すって話を楽しみにしてたんだがなぁ…残念っちゃ残念だよ」
いつの間にかついて回るヒールの称号、もう慣れた物だとライスは空になった樽ジョッキを傾けた。 - 18◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:30:04
「やや!?そこにいるのは…!?ライスさんじゃあ、ありませんか!!!お久しぶりです!聞きましたよ!!あの金獅子を討ち取ったと!!いやー、友人として誉高いですね!ハッハッハッハ!!!」
「ば、バクシンオーさん!?」
重い空気を割いてライスの元に驀進してきたのは
サクラバクシンオー
非常に快活で見ていて爽快な彼女は、今は行動を別にしているがライスとは、かつてハンター訓練所で苦楽を共にした友人である。彼女のランス捌きは実に模範的であり、特にその業脚から繰り出される突進はかの角竜とも互角にぶつかりあえると、まことしやかに囁かれている。
「うんうん、こうして友人と再会できるのもトレセン集会所の醍醐味ですね!ところで今日はどう言った要件で集会所に?もしよろしければ、この委員長がお手伝い致しますよ?」
「あのね、さっき遺跡平原から戻ってきたばかりで、それでね理事長さんにクエストの報告をしにきただけなんだ。ところでバクシンオーさん、その手に持っているの…クエストの受注書じゃないかな?」
「ちょわっ!?そうでした、そうでしたとも!!私、これから砂漠のティガレックスを捕まえに行くところでした!?急がねば!!ではライスさん、また会いましょう!バクシーン!!!」
変わらぬ友人の姿を見て少し元気になったところでタヅナが戻ってきた。どうやら理事長への報告も今日中に済ませられそうだ。 - 19◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:31:24
とりあえず続きはまた家に帰って書きます。
あと、トリップつけてみました。
今後とも見ていただければ幸いです。 - 20二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 19:32:41
この概念何度か妄想したことはあるけどおれではうまくまとまらなかったので支援
- 21◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 19:37:06
【Monster Hunter Rice】
〜ビワハヤヒデの秘密①〜
最近、毛並みのケアに泡狐竜の毛皮を使ったブラシを愛用しているらしい。 - 22◆9pXoeeDvcs22/02/14(月) 23:58:01
ライスがギルドへの報告を行っている頃、ウララは先に二人が拠点としているキャラバンに戻っていた。
「お、帰ってきたな!?ライスの姿は見えないが…お前の顔を見るに遺跡平原の平和は無事守られたようだな!!」
「ただいまニャ!ねぇねぇ団長、ライスちゃんね、凄くカッコよかったニャ!!」
「そうかそうか。いざって時はアタシのトラディショナルに弾けるスーパーエスカトンノヴァジャッジメントでもって、黄金の大地を舞台に永遠の始まりを刻んでやろうと思ってたが、その必要はなかったようだな!!」
芦毛の美しい髪をたなびかせ、景気良くウララを出迎えた団長と呼ばれる長身のウマ娘。一見クールビューティーな容姿だが、それを感じさせない破天荒さが一言二言に表れている。彼女の名前は
ゴールドシップ
ライスとウララが現在所属しているキャラバン隊「我らの団」の団長であり自称トレジャーハンター。とにかく楽しい事、面白い事、そして自由をこよなく愛し、それはそのまま我らの団の方針にもなっている。現在は他の飛行船キャラバン同様、トレセンについていく形で我らの団所持の飛行船で世界各地を巡っている。各地に知り合いや顔馴染みがいたり、時にハンターズギルドや王立書士隊、龍歴院などの重役から彼女宛に伝書が来たり、船内には彼女がかつて使っていたと思われる黄金の錨型ハンマーや防具があったりと、とにかくその過去に謎が多いが、本人がこうにも愉快な人物なため、「まぁゴルシ(団長)だし」の一言で深掘りされることはない。
「と、アタシの説明が終わったところでウララ、帰ってきたならみんなにも顔見せて安心させてこい!アタシは今から今夜の宴のために市場と言う過酷な地でバトってこないといけないからな!」
「?説明?……うん!わかったニャ!がんばってニャ団長!!」 - 23◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 00:02:21
ゴルシを見送ったウララは改めて無事を報告するために我らの団所有の飛行船「ゴルシちゃん号」の中を進んだ。
〜ゴルシちゃん号(鍛冶場)〜
「ジャスタさーん!ただいまニャー!」
「おかえりなさい。5日間に渡る任務、お疲れ様でした!さ、ウララちゃん、僕が見てあげるから防具と武器を貸してね。」
と、ジャスタと呼ばれるウマ娘はウララから武器と防具を預かった。
ジャスタウェイ
我らの団において、ハンターの武具加工やその他ゴルシちゃん号のメンテナンス、兵器増設を行う加工担当である。ゴルシとはかなり古い付き合いであり、我らの団もゴルシとこのジャスタの2人によって設立された。ゴルシ唯一無二の親友であり、理解者であると同時に、彼女もまた謎が多いウマ娘である。武器加工の技術については彼女の真面目な気質もあってか非常に高い技術を持っており、とりわけ一部の強力なモンスターが持つ爆破属性の扱いには長けており、爆弾やそれに伴う火薬類の扱いも他方に知れ渡っている程に得意である。ちなみに、キリンやベリオロス、ブランゴやフルフルなど白いモンスターが好きらしい。
お芦誰。違ゴ聞。
「ウっニャニャー♪かるいかるーい!じゃあ、ジャスタさん、お願いしますニャ!」
防具を預け、身軽になったウララは鍛冶場を後にした。 - 24◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 00:04:21
〜ゴルシちゃん号(甲板)〜
「ロブロイちゃーん!」
「あ、ウララさん!お帰りなさい!!……あれ?ライスさんは…?…え、まさか…!?」
「ライスちゃんはギルドにほうこくしに行ったニャ!でもすぐに帰ってくると思うニャ!!」
そうですか。とホッと胸を撫で下ろすのは
ゼンノロブロイ
彼女はハンターズギルドの出張受付嬢として我らの団に在籍。主にライスやウララなど我らの団のハンター達は彼女からクエストを受け、狩猟に向かっている。ライスとは昔馴染みであり、かつてライスが学んでいたハンター養成所でハンターとしての訓練を重ねており、ライスとはクラスが違うものの同じ寮のルームメイトとして寝食を共にした中でもある。その後はハンターとして少し活動をしたのち、ギルドの受付嬢に転職し各地を転々としながらギルドの業務をこなしていた。我らの団へは、昔馴染みのライスがいた事とギルドがゴルシへのお目付役としてギルド職員をつけたかった事、そして何よりロブロイ自身がゴルシに目をつけられるなど様々な理由が重なり今に至る。ハンターとしての経験は勿論、ギルド所蔵の記録や書籍を全て読み漁ったり、各地を流転する中で見聞してきた経験によりその知識量は凄まじく、そのアドバイスは多いに団員達の助けとなっている。
「そうだウララさん、他の皆さんは食堂にいましたよ!」
「本当!?ありがとうニャ、ロブロイちゃん!!」 - 25◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:41:22
寝落ちてしまいました。続きです。
ロブロイにお礼を言った後、ウララは甲板を後に
他の仲間がいると言う食堂に駆けて行った。
〜ゴルシちゃん号(食堂)〜
メンバーのほとんどが種族として健啖家なウマ娘であるため、キッチン及び食料保管庫が充実しているのも、このゴルシちゃん号の特徴である。
特に食料保管庫に関しては自慢の設備らしく、ゴルシ曰く幻獣の亜種や冰龍、鋼龍などの素材で拵えた最高の冷蔵、冷凍庫との事だが、実際に希少かつ幻とも言われる古龍の素材が使われてるかどうかは団長と加工担当のみぞ知る所である。ただ、冷蔵庫や冷凍庫の性能は確かな事とあのゴルシの発言なので本当なのかもしれない…。
そして、キッチン。何やら香ばしく良い匂いがするなと思いウララは元気よく入って行った。 - 26◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:41:42
「みんなー!たっだいまー!!!!」
「Oh!?ウララ!!無事帰ってきてよかったデス!!ウララ、カモン!!ムギュ!っとハグさせてくだサイ!」
「うん、ありがとニャ!私もぎゅーっ!!タイキちゃん!…でもちょっと苦しい…ニャ」
キッチンで食材を焼いていた陽気なウマ娘の熱烈な挨拶にウララも全力で応えるが、なにぶんアイルーの中でも小柄なウララだ。本人は嫌がっていないが、全力のハグは少しキツそうだ…。この微笑ましい光景を傍目にそれを嗜める声がした。
「おい、それくらいにしておけニャ。ウララが潰れるニャ。あとリュウノテールおかわりニャ。」
声のする方を向くと黒鹿毛のクールなアイルーが空の皿をテーブルに重ねていた。
「あ、ブライアンさん!ウララ達、勝ったんだニャ!」
「お前たちの実力なら油断をしなければ問題ない相手のはずニャ。それにライスなら下らん油断などするわけがないからニャ。」
「えへへ…褒められちゃったニャ…」
一見、ぶっきらぼうで一匹狼のような雰囲気を出しているが面倒見は良さそうなアイルーである。
そしてまた1人、食堂の隅にあるハンモックからも…
「おやおや?この声はウララかな〜?この様子だとラージャンは無事に倒したみたいだね。いやはや、遺跡平原への移動時間含めて5日間で仕留めるとは、やりますね〜。」
「あ、セイちゃん!お昼寝のジャマしちゃってごめんニャ!」
「いいのいいの!それに仲間が帰ってきたんだからお昼寝してる場合じゃないしね。」 - 27◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:42:24
ここで一気に我らの団のメンバーを紹介すると、
まず、ウララを熱烈なハグで迎えたのは
タイキシャトル
キャラバンでは主にキッチン担当としてメンバーに料理を振る舞っている。特に焼く事に関しては経験に裏打ちされた確かな勘を持って肉でも野菜でも魚でも絶妙に焼き上げる。また、ただ焼くだけでなく大事なのは下拵えや下味だと、豪快な調理に反して丁寧な仕事をするので、同じ調理をしても中々彼女のような味は出せないのである。何より、食事はみんなで楽しくがモットーであり、彼女の料理は味以上に彼女の人柄を感じ楽しい気分にさせてくれる。元々はライトボウガンを使うハンターであり、ガンナーとしての腕はあの永世四強の1人、スーパークリークにも引けを取らないとまで言われており、特に砂漠や沼地など足場の悪い環境での狩猟を得意としている。我らの団へは、峯山龍狩りによる祭りの席でゴルシにハンター業の側、みんなとBBQで盛り上がりたいという夢を語った際にスカウトされた。現在ではゴルシちゃん号が停泊した際などには食堂を外部にも開放して、多くの人に自慢のBBQを振る舞っている。それがまた我らの団の資金源の一つにもなっている。 - 28◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:44:10
そして食堂のカウンターでひたすら肉を食べている、鼻っ面に絆創膏をつけたこの黒鹿毛のアイルーの名は
ナリタブライアン
元はギルド直属の特殊な任務を行う筆頭ニャンターとして、筆頭ハンターであるシンボリルドルフやエアグルーヴ、トウカイテイオーらと共にパーティを組んで任務に当たっていた。しかし、より強さを求めたいのと、堅苦しい任務は性には合わないとパーティーを離脱。しかし筆頭ニャンターの肩書きはそのままなので現在ギルドより、ゴルシのお目付役という名目で我らの団にて自由に過ごしている。また、かつてのパーティとは決して険悪な中ではなく、むしろ仲が良い方で、離脱に関しても仲間の理解を得ており、なんなら今でも報告という建前で手紙のやりとりをしている。ごくたまに、シンボリルドルフ直筆の手紙を見た彼女が頭を抱えている事があるが書かれてる内容については、皇帝にも世間体と言う物がある。と言って他言する事はない。ニャンターとしての実力は本物であり、身につけている装備もかつて倒した覇竜の素材を使った逸品である。我らの団では先述したようにゴルシのお目付役として居るものの、基本的にはライスやウララと同様、我らの団を拠点に狩猟へと勤しんでいる。
あと、この前寝言で「ねーちゃん…おんぶ…」って言ってたぜ。
おい。 - 29◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:46:36
そしてハンモックから寝惚けた顔でウララを迎えたのは
セイウンスカイ
かつて、最大金冠のガノトトス亜種を釣り上げた際に、そのガノトトスの腹の中にいたゴルシに面白い奴だなと誘われて我らの団に入ってきた。かつては片手剣を使い、その作戦展開能力やアイテムの捌き方などからトリックスターと呼ばれていた名ハンターである。現在ではハンターを引退し我らの団の元でのんびり行商人として、持ち前の策士っぷりで安く釣り上げた各地の珍品逸品や、ライスやウララ、ブライアンらが剥いできたモンスターの素材などを取り扱っている。またハンターを引退したとは言えその勘は未だ衰えておらず、趣味の釣りでガノトトスやチャナガブルを釣り上げては仕留めて帰ってくることがある。ウララとは古い顔馴染みで、ウララが現在我らの団にいるのもスカイとウララの共通の友人である一流ハンターの紹介によるものだったりする。 - 30◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:48:19
以上が現在の我らの団のメンバーである。
基本的に我らの団は人の入れ替わりが多く、これよりも多いことも少ないこともあるが、団長のゴルシ曰く、旅は道連れ世は情け。とりあえず退屈なら船に乗れ、途中で面白い事、やりたい事を見つけてそこへ行くなら応援するぜ。との事で世界を廻るキャラバンの特性上、実に様々な人物がこのキャラバンに足を運ぶ。
「おい、ゴルシはどこに行ったニャ?」
「そう言えば、見てまセンね?」
「ねぇウララ、団長さんどこに行ったか知らない?」
「団長さんならね、市場でバトってくる?って言ってたニャ。」
「ウララちゃん、装備のメンテナンス終わりましたよ。後、誰かシップがどこにいるか知りませんか?」
そうやりとりしていると、何やら甲板の方が騒がしくなっていた。
「だ、団長さん!?なな、なんですかそのヴォルガノスは!?」
「おーう、ロブロイ!見てみろこのお頭付きを!!知ってるか?ヴォルガノスは表面の固まった溶岩を落とすと金色の鱗をしてるんだぜ?祝いの席にはもってこいだ!!」 - 31◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:50:57
とりあえず、一旦区切りです。
殆ど説明みたいな章にになりましたが、狩猟などの描写はおいおい増えていく予定です。
それではまた、続きは夕方か晩くらいに投稿していこうと思います。 - 32◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 09:54:19
【Monster Hunter Rice】
〜カワカミプリンセスの秘密①〜
スラッシュアックスやチャージアックスなどは壊してしまうため、主に大剣やハンマーにした方がいいと一流のアドバイスを受けたことがある。 - 33◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 12:03:52
〜トレセン(ギルドマスター室)〜
「感服ッ!流石は"黒い刺客"、"鬼人ライスシャワー"と言ったところか!今回の依頼は君に任せて正解であった!!」
扇子を高らかに掲げ、ライスの話に喜んでいるのは理事長こと、トレセンギルドマスターのヤヨイである。
「はい…お役に立てたなら何よりです…また、ライスなんかでもできることがあれば呼んで下さい。あと、お土産のにんじんケーキ、こんなに沢山…ありがとうございます!!」
「謝恩ッ!ささやかなもので申し訳ないが、これは今回の件も含め、君達のキャラバンには度々助けられている故。是非皆で分けて欲しい!」
かの恐暴竜の食欲すら満たせそうな量のにんじんケーキを受け取ったライスはトレセンを後にしようと席を立ち、部屋を出ようとした。
「克己ッ!ライスシャワー、君に関する噂は我々にも聞き及んでいる。しかし君は紛れもなく優秀なハンターであり、我々もそれは知っている。まぐれで古龍を2度も倒す事はできない!だからこそ私やリコ君は君に今回の任務を任せたのだ。結果っ!現に君は金獅子を退けて見せた!…だから君にはもっと胸を張って欲しい。」
「…ありがとうございます、理事長。」
理事長の賛辞は決してお世辞でも哀れみでもない事は分かっているが……ライスは理事長に一礼し、トレセンを後にした。
そして我らの団に戻って、甲板の上で見事に捌かれたヴォルガノスを見て驚き、背中に背負った大量のにんじんケーキで仲間を驚かせた。 - 34◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 12:09:33
【Monster Hunter Rice】
〜エルコンドルパサーの秘密①〜
オトモンのリオレウス『マンボ』とは幼少の頃より共に育ってきた姉弟のような間柄である
とりあえず、話の導入部はこれで終わりです。
もし、見ている方がいたら改めてお礼申し上げます。
文章自体、実は書き溜めてはありませんが、絶対に最後まで完遂しようと思います。 - 35二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 12:11:15
こうゆうのであんまりチートだとイライラする
- 36◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 18:45:59
【Monster Hunter Rice】
〜サクラバクシンオーの秘密①〜
実は狩猟がない日でも一日一本、強走薬Gを飲んでいる。
なるべく、ウマ娘Tueeee!にならない様に気をつけようと思っています。
ご意見ありがとうございます。
少し続き入ります。
- 37◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 18:50:16
ライスとウララが帰還してからしばらく、我らの団の受付嬢であるロブロイの元にギルドからの伝書が届いていた。
「…と、言うわけでギルドから直々に我らの団へ遺跡平原の環境調査の依頼がきたんですけどどうしましょうか?」
朝食時、食堂に皆が集まっているタイミングでロブロイはギルドからの依頼内容を伝えた。
「私は受けても良いと思います。ライスさんとウララちゃんがラージャン倒した後の環境調査なんですよね?ギルドとしても当事者である彼女達に行ってもらった方が良いとの判断では?」
ジャスタの発言に皆が頷く中、
「え〜、でもジャスタさん、古龍調査船やギルドの専門家だっているのに態々キャラバンのハンターに頼むと思います?」
と、ギルドの依頼について何か裏があるのではと訝しむのはスカイ。各々が食べながら考え込んでいる中、
「アタシはいいと思うぜ?面白そうだし。」
傘鳥の一声。一同がゴルシの方を見る。
「まぁ、スカイが言うように何かあるかもしれないけど、トレセンを通した依頼だろ?それにライスとウララなら大丈夫だろ?ま、行くか行かないかはお前らに任せるけどな。」
その発言にそりゃそうだと、空気が一気に軽くなった。
唐突にヴォルガノスを担いで持ってきたり、何かの臨時講師としてイャンクックを招いてお茶会したりと、行動の意図が読めない事があるゴルシだが、団長というだけあってキャラバンを率いるに値する何かを持っているのだ。 - 38◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 18:55:28
「私はその調査に行こうと思うニャ。我らの団への依頼であって誰に行けとかの指定はニャいんだろ?地域を支配する強者が消えたフィールド、新たな強者共が己の縄張りを得んと跋扈する…東国の百竜夜行とまでは言わニャいが、その土地の主が決まるまでのヒリついた空気は楽しみニャ。」
野菜をウララの皿に移しながらブライアンは行くと宣言した。それに続いてライスとウララも
「ライス、行くよ。あれから充分に休めたし、それに…あの時消えていたモンスターさん達がどうなっているか気になるから。」
「私も行くニャ!ねぇみんな、今回はオトモじゃなくてニャンターとして行っていいかニャ?」
ウララの発言について同じアイルーであるブライアンが肉を食べながら答えた。
「かまわないと思うニャ。討伐依頼じゃあるまいし、遺跡平原ならいい練習になるニャ。」
「よーし話は纏まったな!ブライアン、ライス、そしてウララがこの依頼を受けるってな!!じゃあ善は急げだ!お前らどうせいつでも出発できよう準備できてるんだろ!?早速出発していいぞ!!ギルドへの返答はロブロイ、頼むぜ!!よっしゃあ!!タイキ、飯の追加じゃーい!!」
「もうできてマース!さ、3人とも沢山食べて、パワーをつけて下サイ!!」
ゴルシの号令と同時に、待っていましたと言わんばかりの勢いで山盛りの料理が3人分、テーブルに置かれた。
「おい。」
「さっきウララのお皿に野菜、移してマシたよネ?」
「だからと言って、ニャんで私だけ野菜を倍に盛るニャ?」
「ウララはデリシャス言ってくれマシた。」
野菜嫌いとして、かのドンドルマやミナガルデにその名を轟かせたブライアンも、このうるうるした表情のタイキには勝てなかったようで
「チッ、別に私が食の好みを改めるわけじゃないニャ。タイキの料理だから食べるだけニャ。1番は肉ニャ!!」
ブライアンは山盛りの野菜を肉と共に平らげた。 - 39◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 19:04:01
〜遺跡平原(ベースキャンプ)〜
依頼を受けて、即出発した3人はその日の夕刻にはギルドが設営したベースキャンプに到着していた。
地平線の彼方に沈む太陽に照らされた平原は茜色に染まり優しい風に草がたなびいている。
「あ、ジャギィさん達が増えてきたね。」
双眼鏡を使いベースキャンプから平原辺りの様子を眺めているライスが呟いた。
「これからの時間、肉食竜が増えてくるニャ。移動による疲労もあるし今日は休んで調査は明日の朝からするべきニャ。」
「じゃあ、今から作戦タイムだニャ!!」
続けてブライアンがとりあえずの方針を定め、ウララはささっとアプトノスが引く荷車から荷物を下ろしながら話し合いの提案をした。 - 40◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 19:27:18
すっかり周囲は闇に包まれ遠くから狗竜の遠吠えが聞こえる中、ベースキャンプで3人は焚き火を囲み、タイキ謹製の燻製弁当を食べながら打ち合わせをしている。
「今回の調査目的は確か、ラージャンさんが居なくなった後の遺跡平原におけるモンスターさん達の生息状況の把握だよね?」
「あぁ、その通りニャ。今回の調査は明日から明後日までの2日間でやるニャ。
まず明日だが、ライスは谷方面を中心に、私は山岳方面、ウララは平原の方で調査をするニャ。
だがベースキャンプを出た後、私とウララは一度一緒にアイルーの集落へ行って、原住民への聞き込みをするニャ。その後は別れて私はそのまま山岳方面、ウララは道を戻って平原に向かうニャ。
そして日が真上に昇る頃に一度、全員で信号弾を撃つニャ。1人でも信号弾が確認できなければベースキャンプに戻り状況確認、全員の信号弾が確認できれば調査は夕方まで続行ニャ。
そして夕方にもう一度、信号弾を放ち…同じ対応ニャ。ただしウララは夕方の信号弾を打ったらベースキャンプに戻って待機ニャ。私とライスは調査を続行する。
その後は、ここに時計があるニャ?ウララはこれを見て針が西を刺す頃に信号弾を打ってくれニャ。これが調査終了の合図ニャ。
私とライスはそれを見たら信号弾を撃ってからここに戻るニャ。以上ニャ。ここまでで何か聞きたい事はあるかニャ?」
今回の調査にあたり3人の中で最もパーティでの狩猟や調査任務などの経験があるブライアンが陣頭に立つようである。ブライアンは明日の方針を一通り言った後、2人の方を見る。 - 41◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 21:03:27
「うん、ライスは大丈夫だよ。」
「私も大丈夫ニャ!あとね、原住民の人達へのおみやげにってどうかなって、セイちゃんからガムートさんの毛皮を貰ってきたニャ!」
「予め現地の集落に行くと伝えていたが…土産を用意していたかニャ、悪くニャい。…と言いたい所だが、それは悪手となることもあるニャ。地域によってはより高級品を求めて強請るように情報を渋る場合もあるニャ、覚えておくニャ。」
「うぅ…ごめんなさいニャ…」
「いや、謝る事はニャい。次からは気をつければいいニャ。それに遺跡平原の連中はがめつい事もニャいし、今回は聞き込みと言っても軽い挨拶と連中の安否確認がメインだニャ。その土産もきっと喜ぶニャ。」
「うん、わかったニャ!」
場合によっては悪手になると言ったが、この自分なりに前向きに頑張ろうとする姿勢こそがウララの武器なんだろうと思ったブライアンの口元から僅かに笑みが溢れていた。 - 42◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 21:05:12
「じゃあ、次は2日目だよね?」
ライスが次の話を切り出すとすぐにブライアンは表情を締め、話し始めた。
「ああ、明日の調査で特に何もニャければ、明後日も同じ流れで調査をするが、私は谷側、ライスは山側と、場所を変えての調査ニャ。」
「じゃあ私はまた平原の方に行くニャ!」
と、ハキハキと答えるウララの横から…
「そうなんだけど、お昼の信号弾を撃った後、ウララちゃんには原住民さん達の集落に向かってもらって、そこでライスと落ち合って欲しいの。」
「じゃあ、そこから私はライスちゃんのオトモをするのかニャ?任せてニャ!!」
「いや、オトモとしてではなくニャンターとしてライスの近くで行動してくれニャ。ここに来るまでにライスとも話していたが、ニャンターとしての経験を積むため、2日目はお前にま夜間の調査をしてもらうニャ。とは言え、昼と夜とでは危険度も変わるし、オトモとして夜の狩猟経験はあるだろうが、オトモとニャンターでは勝手が違うニャ。だからライスの近くで…という訳ニャ。」
ウララは改めてニャンターとして活躍できる事に嬉しくなり、より張り切った声で
「うん!ウララ、がんばるニャ!!」
ブライアンとライス、2人の手練れの眼差しに全力で応えた。
「調査については以上ニャ。まぁ、またベースキャンプを出る前に確認で同じ事を言うけどニャ。そして帰還は明々後日の午前中の予定ニャ。」
話が纏まった後、3人は残りの夕食を平らげて、
ローテーションで1人が見張りをする形で眠りについた。 - 43◆9pXoeeDvcs22/02/15(火) 21:14:03
【Monster Hunter Rice】
〜アグネスタキオンの秘密①〜
彼女の周りで虹色のアイルーが目撃される事がある。
とりあえず今日はここで区切ります。
…地の文とか無い方が良かったですかね…?
とりあえず、今回に関しては最後までこの形でやっていこうと思います。 - 44二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 08:17:17
【Monster Hunter Rice】
〜ウイニングチケットの秘密①〜
何故か砂竜や角竜の狩猟によく誘われる
今日はまた、夜に書こうと思います。 - 45◆9pXoeeDvcs22/02/16(水) 19:38:15
夜が明け、再び遺跡平原が金色に戻る頃、3人は揃ってベースキャンプを発った。
ベースキャンプから狩場までの安全圏を抜ようとしたその時、ブライアンは足を止めた。
「ウララ、これから行く狩場に中型以上のモンスターはいるかニャ?」
「うーんと…………谷の方に2頭、山の方にも1頭…かニャ?」
「いい感じニャ、概ね私もそう感じているニャ。いずれも中型…"ケチャワチャ""ドスジャギィ""アルセルタス"辺りの連中と言った所かニャ。」
あらゆる人種の中でも野生の勘とでも言うのか、アイルーを始め獣人種というのは何かと鋭い面があり、その中でもニャンターとして狩猟を生業とする者は、より磨き上げられた野生の勘を持って、先程ウララとブライアンが行ったように狩場のモンスターの大まかな位置の把握が可能になると言われている。
「ニャンターとして着実に成長しているようだニャ。」
「やったー!ブライアンさんに褒められた!!」
「よかったね、ウララちゃん!!」
まだまだニャンターとしては見習いだが、ウララ本人はもちろん、ライスもブライアンも彼女の成長に喜んだ。だが間もなくブライアンは険しい顔になる。
「だが…このフィールドから少し遠い所にも気配を感じる…気がするニャ。おそらく飛竜…私の気のせいかもしれニャいし杞憂だとは思うが覚えておいてくれニャ。」 - 46◆9pXoeeDvcs22/02/16(水) 19:40:17
ブライアンの発言にライスとウララは息を飲む。
「『老成持重』…かつての仲間が言っていた言葉ニャ。お前たちニャら心配無いが、例え古龍を退けた英雄でも油断すればランポスに狩られる事もあるニャ。大事なのは常に慎重に、そして無事に生き残る事ニャ。」
ライスとウララは黙って深く頷いた後、歩みを再開したブライアンについていった。
「じゃあ、ウララちゃんもブライアンさんも気をつけてね。」
「うん!ライスちゃんもがんばってニャ!」
「ライス、そっちは任せたニャ。」
昨晩の打ち合わせ通り、まずは二手に分かれライスは谷の方へ、ウララとブライアンは原住民であるアイルー達の集落へと向かっていった。 - 47◆9pXoeeDvcs22/02/16(水) 19:42:18
クエスト【環境調査依頼】
狩猟環境:不安定、?????
目的地:遺跡平原
依頼主:ギルドマスター代理
『出張につき現在トレセンを離れている理事長に代わりお願い申し上げます。まずは先日の金獅子討伐お見事でした。遺跡平原も近日中に元の様に戻るでしょう。しかし主たる支配者がいない今、現地では支配権を巡るモンスター同士の争いが予想されており、当方の調査員による現地調査は難しいと考えています。つきましては貴キャラバンのハンターにお力添え頂ければと思い、遺跡平原の生態調査を依頼致します。』
とりあえず一旦、区切ります。
続きは深夜あたりに - 48◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:20:56
ライスと分かれた後、ブライアンとウララは平原を抜け岩肌が険しい山岳地帯、その麓のちょっとした池がある地点までやってきた。この辺りに原住アイルーの住処があるのだ。
※ここからのセリフは獣人語の翻訳。
到着して間もなく、ブライアンは岩が重なり合った場所に向かってハッキリした声で呼びかけた。
「おい!そこにいるヤツ、我々はハンターズギルドより遣わされたハンターだ。この辺りの最近の事情について聞きに来た!!」
すると岩の隙間から黒いアイルー…いや、メラルーが出てきた。
「おぉ、やはりハンターさんですか。これはこれは……うん、強そうなお方だ。……うん、貴女方は信用できそうだ。」
「こんにちわ!私、ハルウララ!こっちは、」
「ナリタブライアンだ。」
「……うん、早速案内しましょう。こちらへ…。」
うんうんと頷きながらメラルーは2人を手招きし自分達の集落へと案内した。 - 49◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:24:56
〜遺跡平原(アイルーの集落)〜
「みんな、ハンターさんがきたぞ!!」
集落につくなり、メラルーが呼びかけると
「え、ハンターさん?」「久しぶりにお客さんきたね!」「もしかしてこの前のラージャン倒してくれた人かな?」「おもてなししなきゃ!」「門番の奴が通したなら信用できるな!」
続々と、住民達が顔を出してきた。先日のラージャンの件もあったからか、久しぶりの来客に住民達は落ち着かないようだ。しかし2人の案内をしているこの門番メラルーは住民達に一目置かれているようで、門番メラルーに認められた2人に対し住民らの警戒心は薄く、むしろ歓迎の気すら感じる。そんな賑やかな集落の奥から、高齢ながらも威厳を感じさせる非常に背筋の伸びたアイルーがやってきた。
「遠路遥々よくぞいらして下さりました、ハンター様。私はこの集落の長です。その佇まい、歴戦の勇者とお見受け致します。何卒、お見知り置きを……。さて、今日はどういった御用件で来られたのでしょうか?観光ならば喜んで我々の集落でおもてなしをさせて頂きたいところですが……そう言う事情では、ないようですな。」
「(くどい…まるでルドルフのようだ…)その通り、我々は話を聞きに来た。それが済み次第此処を出る。聞きたいのは最近までこの地域にラージャンが巣食っていたと思うが、その時の被害や現在の状況についてだ。」
少々面倒くさそうだと思いつつもブライアンはズバリとした物言いで話を進めた。 - 50◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:27:37
そんな集落の長とブライアン達の話を傍で聞いていたウララはふと、自分に向けられた熱い視線に気がつき振り返ると、そこには小さなアイルーの少年がキラキラした瞳でウララを見ていた。
ウララがこんにちは!と挨拶すると少年は、更にキラキラした顔となり、大きな声で喋り出した。
「やっぱりだ!やっぱりこのお姉ちゃんだ!!オイラ見たんだ!!お姉ちゃんが黒いハンターさんと一緒にラージャンと戦ってたの!お姉ちゃん小ちゃいのに!あんな怖い奴の目の前に出てさ、かっこ良かったんだよ!!」
ウララよりも小さい少年は興奮が止まらぬようで、更にそれを聞いた周りの大人達も…
「おぉ!あの娘が倒してくれたのか!」「我々の恩人ではないか!」「あんなに小さいのに…なんて勇気のある娘なんだ!!」
と感動する者まで出てきた。そんな空気の中、まるで轟竜のような声で怒鳴る女性がいた。
「この馬鹿ッ!!あの時集落のどこにも居ないと思ったら、そんな危険な所にいたなんて!!!」
どうやら、ウララの戦いを見たと言う少年の母親のようだ。
「でも…オイラちゃんと帰ってきたじゃん…!」
「でも、じゃないよ!!長達から集落の外には出るなって言われてただろう!奇跡的に帰ってこられたからよかったけど…!…ラージャンに見つかってたら……アンタ死んでたんだよ!!?………本当に良かった…帰ってきてくれて良かった…」
号泣しながら息子を強く抱き締める母親、息子もその母の本気の気持ちを理解したようで、顔が涙と鼻水でくしゃくしゃになっていた。
ウララや他のアイルー達はその光景を黙って見守る。 - 51◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:29:30
少し落ち着いた母親は少年から離れウララの元へ駆け寄り、両手でウララの右手を熱く握り、感謝の言葉を伝えた。
「ハンターさん、本当にありがとうございます!!息子が無事、生きて帰ってくれたのはハンターさんがラージャンを倒してくれたからです!!本当に、本当にありがとうございます!!」
母親に続き、周囲のアイルー達もウララに感謝の言葉を送る。それに対しウララは、改めて母親に向き直り、右手を握る母親の両手に自分の左手を添え、そして周りに語りかけるようにこう言った。
「私はその時、ハンターじゃなくてオトモとしてライスちゃんといたんだ。だから、ラージャンを倒したのはウララじゃなくてライスちゃんなんだ!!凄いのはライスちゃんなんだよ!!」
と、あくまでライスが凄いとウララは主張した。しかし、それでもアイルー達は
「それでもラージャンに立ち向かうなんて凄いぞ!」「そうよ!そうよ!こんどそのライスちゃんってハンターと一緒に来て!歓迎するわ!!」
「もう、これはウララちゃんを応援する会を作らないとな!!」「他の集落にもこの活躍を伝えようぜ!!」
と、あくまでもウララは勇敢で凄いと言うのだ。この声援を前にウララは一人前のハンター(ニャンター)にならねばと改めて決意した。 - 52◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:35:46
「うん!ウララ、もっと頑張る!そして今度はライスちゃんと一緒に遊びに来るからね!!」
すると、後ろから
「丁度、話が終わった。住民に被害は無かったようだ。そして地域の主だったリオレウスはラージャンにやられていたようだ。そして今、主は居ないらしい。中型のアルセルタスとケチャワチャはすでに戻ってきているようで、そろそろ大型種が集まる頃だとも言っていたな。…懸念すべきは、今朝私達が感知した気配は3つの中型モンスターだと言う事。残り一体は何なのか……ここの連中がまだ見てないだけなのかもしれないが、注意に越した事は無いだろう。」
「うん、分かった!!…あ、そうだお土産!!」
そう言うとウララはポーチのどこにしまっていたか分からないが、人間1人を包めるくらいの巨大な毛皮を2枚引っ張り出して、それを集落の長に手渡した。
「はい、長さん!ここの集落にお土産だよ!!」
「ほぅ、これは何とも大きく…温かい…まさかこれは…雪国の…?」
「ガムートの毛皮だ。切り分けて防寒具にでも住居の壁に貼るなり床に敷くなり使ってくれ。」
「これは有難い、早速これは共用施設の床などに使わせてもらいます!」
「じゃあ私達は行く。情報提供、感謝する。」
「みんな、まったねー!!!」
挨拶を終え、集落を出ようとする2人の前に再び門番メラルーが現れた
「最近まで暗かった集落の空気が明るくなった。……うん、やはり貴女達に来てもらって良かったです。では、出口までお送り致します。」
※ここまで獣人語の翻訳。 - 53◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:36:04
おおよそ、1時間もしないうちに2人は集落から出てきた。そして…
「じゃあ私はこのまま山へと登るニャ。ウララ、平原の調査と信号弾、よろしく頼むニャ。」
「まかせてニャ!それじゃあウララ、がんばるニャ!!」
各々の使命を全うすべく、別々の道へと進んでいった。 - 54◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 00:41:54
【Monster Hunter Rice】
〜ヒシアケボノの秘密①〜
実はヨツミワドウとの相撲に勝った事があるとの噂がある。
とりあえず、今日は以上です。
…狩猟や戦闘の描写は明日にはでると思います。
もしかすると3スレくらい使うかも… - 55二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 12:00:59
【Monster Hunter Rice】
〜トウカイテイオーの秘密①〜
回復薬グレートの調合に使うハチミツはギルド公式レシピの倍の量を使う。
本日もまた夜に続きを書いていきます。 - 56◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 23:21:49
〜遺跡平原(渓谷地帯)〜
周囲の紅葉が風化し倒壊した遺跡を美しく彩る赤い台地を行く黒い影が1人。
ウララ達と別れたライスは目的地である渓谷の最深部へと向うべく、周囲の状況を記憶しながら歩みを進めていた。
前回、金獅子討伐の折に訪れた時には不気味な程に静まりかえっていたこの地も現在は鳥達が囀り、煩わしいブハナブラの羽音が鳴り、ケルビを追いかけジャギィ達が駆ける、元の喧騒を取り戻しつつある中で、先日の戦いの影響か所々不自然に地盤が割れていたり、崩れ積み重なった岩なども散見され、改めてライスは相手にしていた敵の恐ろしさを感じ、今こうして生きている事に安堵した。
大きな耳でひっきりなしにあちらこちらへ聞き耳を立て、時には小さな身体をより小さくし、時には音もなく駆け抜けて狗竜など面倒な相手との衝突や不意打ちなどを避けるように、とにかく情報を集めながらライスは進み続ける。
ウマ娘は種族として優れた感覚能力を持ち、身体能力は人間や竜人などに比べ非常に高く、特に脚力に関しては非常に突出して優れており、その脚力を活かし走る様は宛ら幻獣キリンが駆け抜ける様に例えられる程である。
ハンターを生業にするあたり、人間ですら厳しい修練を重ねた末に高所から落ちても平気だったり、身の丈以上の武器を軽々扱える様になったり、モンスターの攻撃にある程度耐えられるまでになれるのだ。そんな修練を元より身体能力に優れたウマ娘に施せば、当然優秀なハンターとなる。そのため、ハンターとなるウマ娘は多い。
しかしウマ娘自体の人口は少なく、そもそもウマ娘と言う存在は突然的に人間の子として生まれたり、ウマ娘の子供は必ずしもウマ娘であるわけでは無いなど謎も多く、人間のハンターに比べ遥かに数が少ないのだ。
話を戻し、ライスはハンターとして訓練された優れたウマ娘としての能力を活用し、順調に調査を進めていた。 - 57◆9pXoeeDvcs22/02/17(木) 23:27:34
そろそろ渓谷の最深部…前回金獅子との決着をつけたエリアに入ろうとした所で何やらこの先が騒がしい事に気がついた。
岩陰に身を潜めその方を伺うと、そこそこの数のジャギィとジャギノス達が何やら上を見て騒いでいる。上には蔦が天井のように張り巡らされており、そこに一つ大きなモンスターが尻尾でぶら下がり、嘲笑うかのようにジャギィ達にちょっかいを出していた。大きな耳に長い鼻の剽軽な顔をしたそのモンスターは…
奇猿狐 ケチャワチャ
まるで猿の様にも狐の様にも見える牙獣種の中型モンスター。非常に長い腕の鉤爪と爪付きの長く太い尻尾を器用に使い木々を渡る他、腕の下から体側に沿って皮膜があり、これで凧の様に風を捉え滑空することもできる。非常に好奇心旺盛で、テリトリー付近を行く者に襲撃する事もあり、専ら多くのハンターからは危険と言うよりも厄介者として認識されている。
(確かこの辺りって、元々ジャギィさん達の巣があったはずだよね…?ウララちゃん達が二つの中型モンスターさんの気配があるって言っていたから、一つはドスジャギィさんだと思っていたけど……ケチャワチャさんがここにいる状況で群れのリーダーが出てこないのは変だよ…)
ケチャワチャとジャギィ達の争いを静観しているライスは目の前の出来事に対する違和感について考えていた。
すると争いに進展があったようで、拮抗状態に痺れを切らしたであろう一匹のジャギィがケチャワチャの元へ詰め寄った瞬間、ケチャワチャは撫でるように自慢の鉤爪でジャギィを掬い上げ、残りのジャギィ達の所に投げつけたのだ。投げつけられたジャギィは特に大きなダメージも無く直ぐに立ち上がるが、もれなく全員怯んでしまった様で、その隙に畳み掛けるかのごとくケチャワチャは鼻から水塊の様な粘液を発射しジャギィ達に浴びせた。いくら頭数が多いとは言え、これは敵わないと悟ったジャギィ達は大きい岩の隙間などを抜け、この場を後にした。後にはこの光景を笑うかのように1頭の厄介者が手を叩く音だけが響いてた - 58二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 10:43:10
【Monster Hunter Rice】
〜カレンチャンの秘密①〜
フルフルやギギネブラがカワイイという風潮を作った本人である。
昨晩は寝落ちましたが、
今晩から明日にかけ進めていきます。 - 5919542021gk22/02/18(金) 22:24:04
お調子者の奇猿狐を遠目に見つつライスは考えていた。一旦引き返して別の場所に行くか、そのまま奥へ進むか。
この奥に"運命的な何か"をライスは感じていた。
その曖昧な何かで行動を選択するのはハンターとして正解とは言い難い事をライス自身理解はしている。しかしライスは遺跡平原の渓谷な奥へ、奥へと進む程に何かに呼ばれている様な気がしてならなかった。だからこそライスはひたすらにここまで歩み続けていた。
故にライスはこのまま進む事を選んだ。しかし行く道には奇猿狐が立ち塞がる。
次の選択肢は、目の前の奇猿狐が去るまで待つか、このまま進み戦うか…尚、今はギルドにおいて奇猿狐の狩猟につ制限はかけられていない事は確認している。さてどうするか、ライスは背中の双剣に手をかけ考え続ける。
今回ライスが携えてきたのは藍色の刀身に蛍光色の刃が光る双剣だ。爆発する粘菌を用いて火山の生態系の上位に君臨する獣竜種、砕竜ブラキディオスの素材を使った爆破属性の双剣である。
今回の任務ではどんなモンスターに遭遇するか予想ができないため、幅広いモンスターに対応できる爆破属性の武器をライスは選んできたのだ。
考えている間にも時間は過ぎていく。任務で来ている以上、時間は有限だ。意を決して武器を構えてようとした
その時である。奇猿狐は高く跳躍し、そのまま身体の皮膜を広げて飛び去っていった。ジャギィ達を追い払ったは良いものの、薄暗く特に奇猿狐が興味を持つ様なものがないこのエリアに飽きたのだろうか、その真意は奇猿狐のみぞ知る所であるが、何はともあれ邪魔者は去った。
奇猿狐を目で追ったライスは、すっかり太陽が真上に登る頃、合図を出す時間になった事に気がついて、空に向かって信号弾を放った。そして遠くに放たれた二つの信号弾の音を確認した後、すっかり静まり返った渓谷の最深部へとライスは歩みを進めた。 - 6019542021gk22/02/19(土) 02:00:01
〜遺跡平原(山岳地帯)〜
時間は遡りウララと別れた後、ブライアンは切り立つ岩の間を縫う様に山を駆け登っていた。
まずは頂上。かつての遺跡平原の主、火竜リオレウスが営巣しているであろう場所を目指し、ブライアンは突き進む。
そろそろ頂上に差し掛かろうとする所で何やら鼻につく腐臭を感じ、それが気になったブライアンは頂上へ向かう道から少し逸れ、腐臭の原因が何か探る事にした。
臭いの発生源はすぐに見つかった。火竜リオレウス……の亡骸だ。絶命してからそれなりに時間が経っているであろうにも関わらず、ある程度原型を残しているのは、最近まで金獅子の活動により肉食竜が姿を隠していたので啄む者がいなかったのだろう。残った肉と内臓は腐り、大地に溶ける様に伏せたその亡骸こそが漂う腐臭の原因であった。おそらく原住民が言っていた遺跡平原の主だった火竜だと思われるが、本当に金獅子の暴力による惨劇なのか調べる必要があると判断したブライアンは火竜の亡骸に近寄る。
が、その前に…と亡骸を中心に自分が見ていた面の裏側へと回り込んだ。ブライアンが回り込むとそこにはジャギィとマッカォが3匹ずつ、お互いにギャンギャン喚き睨み合っていた。おそらく目の前にあるご馳走、火竜の亡骸を巡っての争いだろう。火竜の亡骸を見つけた時から、その反対側で煩わしい小競り合いが行われている事にブライアンは気がついていた。邪魔者達を退かすべくブライアンは大外から一気に回りジャギィとマッカォの間に割って入った。
突然の乱入者に両者とも一瞬動きが止まるが、自分達より小さなアイルーだと分かるやいなや、興奮していた事もあり互いに向け合ていた敵意は全てブライアンに向いた。
しかし頭に血が上った小型鳥竜はブライアンの敵ではない。まず向かって左側、ブライアンの近くにいたジャギィが大きく口を開き噛みつこうと真っ直ぐに突撃してきた。これに対しブライアンは真正面から右手と左手で上顎と下顎をそれぞれ掴み口を押さえつけ、飛びかかってきた勢いのまま、まるで尾槌龍が自慢の尻尾をグルグル回すようにジャギィをぶんまわし、他のジャギィの元へ投げ飛ばした。
次に右側からマッカォがその自慢の脚で蹴りを食らわせようと飛びかかってきたが、カウンターのようにマッカォの顎目掛けキリンが後ろへ脚を蹴り上げるように両足蹴りを食らわせ、蹴られたマッカォも仲間の元へ吹っ飛ばされる。 - 6119542021gk22/02/19(土) 02:00:17
想定外の出来事にすっかり両者とも意気消沈し逃げ腰になり、すかさずブライアンは右手の肉球を硬く握り、それを足元の岩場に振り下ろし小規模ながらも岩盤を割り隆起させて見せた。アイルーとは思えぬ芸当を見せる小さな怪物に、すっかり怯えた鳥竜達は一目散にこの場から逃げ去っていった。
さて、改めて亡骸を見てブライアンは少し驚いた。火竜に寄り添うように雌火竜リオレイアの亡骸もそこにあったのだ。最小金冠サイズだろうか、ブライアンが来た方から見ると火竜が雌火竜を隠す形となり見えなかったのだ。
おそらく番だったのだろう。番の火竜はどんなに熟練のハンターであろうと入念な準備と最大限の警戒をもって相手すべき強敵ではあるが金獅子には敵わなかったようで、2頭の亡骸には所々金獅子の雷撃による焦げ跡や馬鹿力で殴られたと思わしき甲殻の割れや歪みがある。しかし周囲には血痕はあるものの特に争った形跡はなく、おそらく別の場所で戦い敗れ、辛うじて逃げてきたこの場で2頭共力尽きたのだろう。
モンスターを狩る、つまりは命を奪う事を生業としているハンターだが決して命を軽視している訳ではない。むしろその逆で、その身一つで大自然に挑むハンターだからこそ、大自然に生きるモンスター達への敬意というものを持っており、ブライアンもまた、最期まで共に寄り添い続けた火竜の番に感心と少し感傷的な気持ちを抱いていた。
しかしそこは熟練のニャンター、ブライアン。
フゥっと息を吐くと気持ちを切り替え、この場を後に調査を続行した。
すると丁度、渓谷側から信号弾の音がしたので、もうそんな時間かと、ブライアンも信号弾を放ち合図を送った。続いて平原からの合図も聞こえた。 - 6219542021gk22/02/19(土) 02:25:29
【Monster Hunter Rice】
〜ファインモーションの秘密①〜
最近、竜骨スープと魚竜ダシの組合せの黄金比を見つけ出すことにご執心らしい。
とりあえず続きは明日の昼頃に。
改めて見返すと校正すべき箇所どころかアラだらけ…
とりあえずしつこいですが完結を目指します。 - 63二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 14:23:27
〜遺跡平原(平原地帯)〜
渓谷や山岳部に比べて比較的危険度が少ない平原地帯。そこを元気にピョコピョコと駆け回っているのは、この辺りの調査を任されたウララである。
危険度が低いとは言え大自然、油断は禁物。ウララは警戒を怠る事なく、主にこの辺に屯している草食竜の動向を記憶したり、辺りに大型モンスターの痕跡でも無いか探したりと、時々薬草やキノコなどを採取しながら一生懸命に動いていた。
少し休憩しようと、ウララは手頃な岩に座り携帯食料を齧りながら、平原の草を食むアプトノス達を眺めていたら、渓谷と山岳の方から順に空に弾ける信号弾の煙が見えたので、応えるようにウララも信号弾を放った。
さぁ、次の合図の時間まで頑張るぞ!と立ち上がったその時、渓谷の方から何かが飛来してくる気配がした。同時にあたりのアプトノス達がざわつき、何かに怯え始めている。内心、緊張しながらも気配の正体を確認すべく、平原と渓谷の境目にある蔦に覆われたエリアへウララは急いで向かった。
エリアに入るや否や、ウララは近くの茂みに身を潜め周囲を探る。どうやら、飛来してきたのは先程までジャギィ達の巣を荒らしていたケチャワチャだった。気配の正体を確認したウララは、無用な戦いは避けようとエリアから身を引いて引き続き日が沈むまで調査を続けようとしたその時、
「ウララお姉ちゃーん!!」
声の方を向くと、先程訪れた原住民の集落にた少年アイルーが大きな声でウララに手を振っているのが見えた。
おそらく少年はあの後、ウララ達の後をこっそりついてきたのだろう。そして少年のいる所からはケチャワチャが見え辛かったのだろう。一見派手なケチャワチャの体色は、この遺跡平原に置いては保護色として働くのもあるが、子供であるが故に、迂闊にも大声を出したのだろう。
「え、何でニャ!?………あ、危ニャい!!?」
ウララが行動するよりも先に、ケチャワチャは新たな暇潰しを見つけたと言わんばかりに少年に向かって駆けて行った。 - 64二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 17:31:39
少年の目と鼻の先までケチャワチャは迫ってきた。例えケチャワチャにとっては遊びのつもりで殺意は無くとも、小さなアイルー…しかもその子供であれば、戯れられるだけで命を落しかねない。
もうダメだ…少年は身を縮め、目を瞑ったその時、
横からブーメランがケチャワチャの鼻っ面を掠め、文字通り出鼻を挫かれ驚いたケチャワチャは脚を滑らせ転げてしまった。
「どこかにかくれるニャ!!!」
ウララが叫ぶと、少年はすぐ近くの崖の隙間に隠れた。少年が無事隠れた事を確認すると同時にウララは背中の武器を構え、今度は敵意を此方に向けたケチャワチャと相対する。
ニャンター見習い、ハルウララ。
ドスジャギィやドスファンゴなどをすっ飛ばして
奇猿狐を相手にニャンターとして初めての戦いに挑む。 - 65二次元好きの匿名さん22/02/20(日) 03:54:35
ウララは現在、オトモ兼ニャンターとしてライス達と行動を共にしているが、それ以前からも別のハンターの元でオトモをしており、そのため狩猟に携わってきた経歴は長く、実力も前回のラージャン狩猟について行ける程確かなものを持っている。しかしそれはあくまでオトモとしての経験であり、ハンターのサポートとして動くオトモと、ハンターと同等の立場としてモンスターに立ち向かうニャンターとでは求められる立ち回りが大きく違うのだ。
『いいかしら?ウララさん、狩猟において大切なのは相手を知ることよ!一流を目指すならまずは観察なさい!!』
かつてオトモしていたハンターの言葉をウララは思い出した。そして改めて相手を見る。気をつけるべきはあの長い鉤爪かな?とウララが考えていたその時、ウララを所詮は小さなアイルーと侮っているのか、警戒不要とでも思っているのだろうか、ケチャワチャはウララの元へダダダダダッと駆け寄るやいなや、さっと左から横一線に鉤爪を薙ぎ払う。が間一髪、ウララはケチャワチャの脇をすり抜ける様にこれを躱した。背後を取られたケチャワチャは振り向きざまに今度は反対の鉤爪で薙ぎ払うが、これも同様に躱し再び背後を取る。4、5回程これを繰り返すと、少し苛立ったのかケチャワチャは癇癪を起こした様に両腕を振り下ろすように鉤爪を連続で時計回りに叩きつけ、さっきから自分の周りをチョロチョロしてるウララに食らわせようとした。しかし間合いを取れば躱すまでもない攻撃なので、ケチャワチャが叩きつけをしてる間にもウララはじっくり観察していた。
叩きつけ攻撃も躱されたケチャワチャは、ならば今度は不意を突いてやろうとでも言うのか、身軽さを活かした跳躍でウララの背後や側面に回りこみ攻撃を仕掛け始め、これを連続で繰り出してきた。ウララとしても、いきなり動きに緩急をつけられると躱すのも容易ではなくなり幾らか鉤爪が擦りそうになったが、やはり慣れてくれば擦りもしなくなる。