【SS?】魔女は使い魔に胃袋を掴まれる。

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:47:01
  • 2二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:47:30

     最近ずっとフウカの様子がおかしい。
     いつもと同じくご飯を作ってくれるし、週末の同衾もしてくれる。
     ただ食事中の会話が少なくなった感じがする上、週末にはほぼ毎日どこかに行っているようで一緒にいる時間が短くなっている。
    「どうしたらいいじゃんね?⭐︎」
    「あまり相手を束縛しようとするのはよくありませんよ」
    「心配なのはわかるが、今回はあまり詮索しないのが吉だと思うよ」
     会議の合間の休憩時間。友人二人からの言葉を受けて自分を返り見る。考えてみればフウカに甘えすぎているのかもうしれない。ほぼ毎日遅い帰宅に夕食を毎日作ってくれる。いや朝食もそうだ。自分より朝早く起きて朝食を作り自分より遠くのゲヘナへ通っている。
     学校では毎日激務に追われる毎日。食材の仕入れから数千人分の給食を作り配膳だけでなく出前もやっているそうだ。加えて美食なんちゃらとかいう連中が攫いに来るというのだから貯まる疲労というのも相当なモノである。対して自分はトリニティという学園においてこうもお菓子を食べながら学園の行く先を友人と話しているにすぎない。
     通う学校は違えど学生であることには変わりない。このままでは最悪フウカに見放されてしまうだろう。フウカのご飯が食べられない、その焦燥感に駆られたミカは早速行動を始めた。

  • 3二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:47:56

    「ゲヘナ嫌いの貴女がわざわざ来るなんてね……まあ事情は聞いているし理由は察せるから特別よ」
     ゲヘナの牢屋。ミカとしては来ることはおろか近づくことさえ考えたことも無かったが全てはフウカのためであり、用事はそこにいる囚人にある。
     トリニティの要人であることと事情に詳しいヒナがミカの護衛として案内する。ヒナが看守に説明してセキリュティをパスして目的の牢屋へ。
    「あら、ヒナ風紀委員長と……トリニティのミカさんでしたっけ? みずぼらしい囚人に何か御用で?」
     その牢の主はまるで反省の色を見せないままで出迎えた。
    「何度やっても懲りないとかまるで学習能力がまるでないじゃん⭐︎」
    「探求の道に果てなどございませんから。加えて私たちが求めるのは美食。三大欲求の一つである食欲の至高を求めているのですからゲヘナだろうとトリニティだろうと理解をするのは難しくないかと」
    「食べ物の前にルールも無くなるとかそこらの畜生と同じだよ⭐︎」
     バチバチの空気になる2人。このままでは本題に入れないと察したヒナがため息をつき仲介に入る。
    「言い争うために来たわけじゃないでしょう? めんどくさいから本題に入って」
     ヒナの一言で我に返る二人。ミカが咳払いしたあと話し始めた。
    「フーちゃんの好きなモノを知らない?」
    「フーちゃん? ああ、フウカさんのことですか。なるほど、それで私たちのところに来たのですね」
     囚人は少し考え込んだあと答える。
    「フウカさんは暇さえあれば料理の事を考えていますからねぇ……作った料理を食べてくれることが彼女の好きなことであり、モチベになっているそうですからやはり……調理道具でも贈ってあげるのはどうでしょう?」
    「嘘を言っている感じがしないし、これで良い?」
     ヒナの言葉に面会を切り上げることとなった。
     帰り際、ヒナは見送るついでにミカに一言告げる。
    「最近、フウカは便利屋68と行動しているそうよ。ただ、彼女らは学区内にいることは少ないし比較的静かな方だからどうするかは任せるわ」

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:48:26

    「とりあえず来てみたけど、さっぱり……」
     ゲヘナで得た助言を元にトリニティのデパートに来てみるが、普段料理をしないせいでミカには道具の良し悪しが分からなかった。なるべく良いモノを贈れれば良いのだが、詐称こそ少ないが客におべっかを使った表現のせいでどう比べれば良いのか判断出来なかったのだ。
    「うーん……あ、ナギちゃんならお菓子作ってるから分かるはずじゃんね⭐︎」
     ナギサの意見を聞けば良いと電話をかけようとすると声をかけられた。
    「あら、ミカさんではありませんか」
     声の主はサクラコ。後輩のシスターを引き連れて買い物をしているようだ。
    「あ、サクラコちゃんじゃん⭐︎ みんなでお買い物?」
    「ええ、そのようなところです。先日の炊き出しを行った際に幾つか不良になったモノが出てきたので代わりのモノを探しに来たのです。それでミカさんの方はなにか入り用で?」
    「あー、私も同じような感じ。けど何買おうか分からなくって……」
    「なるほど……はい? ──なるほど分かりました。では良ければご一緒にどうでしょうか?」
     サクラコは後輩のシスターの一人に耳打ちされた後何か理解したような表情を見せて提案する。
    「良いの? 時間かかっちゃうかもしれないけど」
    「問題ありません。困った人を助けるのは人として当然のことですから」
    「じゃあ頼むじゃんね!」
     こうして、ミカはサクラコたちと調理道具の品定めをすることにした。

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:49:40

     サクラコらに連れられて来たのは、家電量販店。それも電子レンジ等の調理道具系が揃っている箇所だ。
    「さて、ここでならちょうど良いのが見つかるのではないでしょうか?」
    「あーうん……で、どれが良いのかな?」
    「私で良ければよろしいでしょうか?」
     シスターの一人がミカの前に歩み出て話しかけてきた。
    「うん。お願いね⭐︎」
     そこまでしてくれるなら有難いとミカはすぐ承諾する。シスターは少し驚きつつ、緊張しながら家電の説明を始めた。
     シスターの家電知識はしっかりしている上分かりやすく、ミカにとっても助かった。
    「食洗機の洗剤って普通のとどう違うの?」
    「専用のは普通のと比べて強力ではあるのですが、それを手洗いで使ってしまうと手が荒れてしまいます……」
    「この電子レンジすごそうじゃんね!」
    「その機種のは多機能ではあるのですが、その分一つ一つの性能がいまいちなのでそれぞれ別の優れた方が良いかと……」
     ミカにとっては少し誘導されている気がするが、悪くても買い替えるなり責任を押し付ければ良いし良ければフウカが喜んでくれるのでなお良しということにした。
     家電を数点買うことが決まったうえ、運送やら買い替える家電の買取の手続きまで手伝ってもらいなんとか済ませる。ミカが家電を見ている間にサクラコの方も買い物を済ませたようで、近場の喫茶店で合流することにした。

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:57:27

    「買い物の手伝いでここの奢りをしてもらうなんて……」
    「でもこうじゃなきゃ私もサクラコちゃんも入ること無かったじゃんね⭐︎」
     合流場所として選んだのは有名なチェーン喫茶店。富裕層のミカや世俗に疎いサクラコには馴染みがなかったが、一緒に来たシスターの一人が常連で、その子に全員分の注文を頼のむことにした。サイズやらトッピングやら予め決めさせてもらったが、いざ注文となるとそのシスターも店員も呪文のように詠唱をしたのはミカもサクラコも驚くしかなかった。
     テーブルを一つ陣取り世俗の味を味わいながら近況も兼ねた世間話を話し始めた。トリニティの話だけでなくゲヘナの話も混じったガールズトーク、エデン条約が締結されていなければありえない話が飛び交う。
    「トリニティも結構変わったね」
    「そうですね。そういえばミカさんも最近どうですか?」
    「どうって、どういう意味かな?」
    「フウカさんとのことです」
    「ん゛!? ゲホッゲホ──」
    「ああ!? すみません……」
     フウカのことを持ち出されミカは咽せてしまい、飲んでいたフラッペを少しこぼしてしまった。サクラコもこの反応に驚いて謝りつつ、こぼれたのを手拭きで拭う。というのもミカとフウカが同棲してしばらく経った頃、休日の教会でイチャついてしまったのをサクラコから叱られてしまったからである。当時のことをミカもフウカも反省しているものの、あちらから持ち出されてはこうにもなる。
    「フーちゃんのことを言うのは卑怯だよ……」
    「すみません……あの時、結構お熱い仲のようでしたので今も冷めていなければと思ったのですが……」
    「あ……うん……」
    「反応からしてまだお熱いようですね。なら良かった。こちらをシスターフッドを代表して私からのプレゼントとして送らせていただきました」
     サクラコはそう言って、一枚のレシートとスマホを見せた。スマホには幾つかの調理道具が映った写真をスクロールして見せられる。
    「こちらの鍋や皿の数点を先ほどの買い物ついでに買っておきました。そちらの家電と同じ日には届くかと」
    「え? 良いの?」
     レシートを見る限りそこそこの値段はしている。賄賂になりかねないモノを組織の金で買って良いはずがない。
    「ご心配ありませんよ。こちらは私の財布ですので」
    「それはそれで……」
    「そちらも問題なく。こちらは別の方のお礼ですので」
    「?」

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:58:18

     ミカの買い物から数日経ったある日。
     買ったモノがようやく届いて業者の手により、大型家電の入れ替えが行われる。その間にシスターフッドからの荷物も届く。
     新しく入る家電に調理道具やらにフウカは驚きながらも子供のように目を輝かせていた。そんなフウカを見てミカも嬉しくなる。
    「大きなオーブン! 食洗機! そして最新式の大型冷蔵庫! 良いの!? ミカちゃん!!」
    「フーちゃんのためならこれくらい安くないじゃんね⭐︎ これでもっと美味しいの作って!」
    「うん! あ、でも今日のはちょっと待って」
    「?」
     フウカはミカに疑問を持たせたまま、新しい調理道具を洗って収納スペースに片付け始めた。ミカの方も空になったダンボールに包装のゴミをまとめていると、玄関にチャイムが新しく鳴った。
    「あ、来た!」
    「私が出るね」
     フウカは来訪者が誰か勘づいているようだが、家主であるミカが出迎えに向かう。ドアを開けるとそこには四つのヘイロー、そして何人かにはツノが生えている。
    「ゲヘナ!? 何しに来たじゃんね!」
    「便利屋68よ。そちらにお住まいの愛清フウカさん宛の荷物を届けに来たわ」
     主格のゲヘナ生が名乗り出て名刺を差し出す。ミカは呆気に取られてそのまま名刺を受け取る。名刺に書かれた名前を見ている間にフウカが奥から出てくる。
    「ありがとうね。じゃあ報酬は近日中に」
    「ええ、ではまたの利用をお待ちしているわ!」
     ミカは状況が掴めぬ間に便利屋はその場を去っていった。
    「さっきの何??」
    「秘密。これで作れるからちょっと待っててね」

  • 8二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:58:56

     便利屋が持ってきた食材をミカが冷えた冷蔵庫に収めて、その間に調理を始めるフウカ。食材を納めきったあとは、残った家事等の雑務をミカが片付ける。
     しばらく経って並べられた料理を見てミカへあることに気づいた。
    「これって……トリニティ料理?」
     フウカはゲヘナ生である以上ゲヘナの料理が多い。それでも美味しい上味覚も合わせられたモノを出されているのでミカ的には大満足なのだが、今回は今まで出したことはおろかミカですら見たことがあまり無いモノだった。
    「へへへ、わかりますか? えっと……教会であった一件からシスターフッドの方々に声をかけられて古書館? とやらにある古いレシピ本の再現を頼まれてしまって、休みの日とかにさっきの便利屋の人たちと再現とアレンジをしてたの……それで出来上がったのをミカちゃんに食べて貰いたいなーって……///」
     フウカの惚気に釣られて自分も顔が赤くなる。そして
    ようやく謎が全て解けた。
     最近反応が悪かったのはこの日のために色々秘密にして準備していたからであり、全て自分のためだったのだと。加えて事情を知っていたから買い物の買う時、シスターフッドが異様な誘導をしてきたのであろう。
     変に疑った自分が馬鹿みたく感じて泣きたくなって来る。腐ってもトリニティ生だ。何かあると疑いたくなる自分に対して本心のまま動くゲヘナ生であるフウカがすごく眩しく見えた。
    「うっうっ……」
    「え、あ? 最近ちょっと反応悪かったですね……心配させて……」
    「ううん、これは嬉し泣きじゃんね。冷めないうちに一緒に食べよ」
     咄嗟に嘘を着いた自分が恨めしく思った。

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 20:59:38

    おまけ
    「実に美味しい依頼だったわね。二つの意味で」
    「アルちゃんギャグはつまんないよー? でも良かったよね。ご飯も食べれてお金も貰えて」
    「長期的な依頼でしたからね……でも家賃は大丈夫でしょうか……」
    「家賃……振り込みが間に合えば……なんとか……」
    「そんなことよりお腹空いたー!」
    「はいはい、仕入れの時に食材をいくらか分けてもらったしレシピもくれたからそれ食べよっか」

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:00:18

    上げ直し終わり! 何がテーマかは忘れた!

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:15:54

    久々の濃いフウミカじゃんね

  • 12二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 05:36:00

    そもそもフウミカのスレだからな! ここ!

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 11:07:36

    他の人のフウミカが読みたい!

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 16:35:44

     ゲヘナの学区内にあるとあるビルにて

    「ミカさんの惚気話には飽きてきましたね……紅茶がいつも甘くて甘くて……」
    「嫉妬してるんですか? なら公表すれば良いのに」
     飲食物持ち込み可の喫茶店で会話するゲヘナ生とトリニティ生。トリニティ生の持ち込んだデザートとマスターの入れたコーヒーで談笑していた。
    「そうゆうわけにはいきませんよ。お互いに立場ある生徒。マスコミもありますし、そもそも貴女の上司は煩いでしょう?」
    「あー、確かに。根掘りかほり聞かれて今みたいにサボれなくなるのは……って、今日のクッキー甘くないんですが……」
    「え? ……私的には変わりませんが……ストレスによる味覚障害でも出たのでしょうか?……」
    「……適度にサボらないから……それかあのカップルの事考えながら作ってたんじゃないんですか?」
    「後者かもしれませんね。コーヒーが砂糖を入れなくてもそこそこ甘く感じるので」
    「……砂糖を貰ってきます。甘いお菓子をコーヒーでバランスとるつもりが逆になってますし」

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 20:22:26

    あとはひたすらイチャイチャと祝福ジュリを書くか……

  • 16二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 06:25:09

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 17:15:29

    エ駄死なのはあり?

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 17:41:00

    >>17

    良いよ。自分はエ駄死書くの苦手だからありがたい

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 05:39:47

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 12:49:04

オススメ

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