- 1二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 22:35:43
「おーチビども、遊びに来たぞー」
休日の昼下がりのこと。
その日は幾分か風がよく通るせいか、リビングの窓を開けてテイオーたちと涼んでいた。そんな僕たちのところに、聞きなれた声が届いたのだ。
「よおテイオー、ツヨシ……それからおチビ。元気にしてたか」
「シリウスさん」
腰まで届くであろう髪を靡かせて我が物顔で家に入ってくるこのウマ娘、シリウスシンボリとその旦那さんであった。
「来るなら来ると連絡を入れろ……俺は何度そう言ったか」
シリウスさんたちが来てから十分ほど経っただろうか。
書斎から出てきた父さんがシリウスさんの旦那さん──シリトレさんなんて呼んでいる──を思いっきりげんこつしていた。
正直この光景は見飽きているけど、何度見ても痛そうである。
「そんな毎度殴らなくたっていいじゃねぇか。俺とお前の仲なんだから」
「"親しき中にも礼儀あり"という言葉を知らんのかお前は」
父さんにしては怒って、いや呆れた顔を浮かべるも本当に嫌がっているわけではないようだ。
僕の父は、信用している人には割と口調が砕けるし、対応が雑になっている気がする。だけどそれも父さんなりの信頼の証なんだろうし、実際幼馴染の人たちはそんな扱いにも慣れているようで、父さんがそんな物言いなのを気にしていないようだ。
「まぁそれはいいが、何しに来たんだ」
「はぁ? ダチとその子供たち見に来たんだが」
「私は皇帝サマに、ちょっとな」
いつもは得意げに笑うシリウスさんは、今日に限って気まずそうに頬を掻く。珍しい雰囲気ではあるけど、母さんに相談事があるなら首を突っ込むのは野暮なんだろう、と何も言わないことにした。 - 2二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 22:36:04
「そういえば、お前のところの子は?」
「あぁ……マルゼンスキーのところの息子と遊びに行ってるよ」
マルゼンスキーの元担当で現旦那さんは二人の共通の友人が一人だ。その子とシリウスさんとシービーさんのところの子、そして僕はお互い級友でよく一緒にいる。あの一昔前に放送されていたドラマのカップルらしい二人のところはしょっちゅう家族で出かけているけど、それに付いていったのだろうか。
「悪いなルド坊、今日はうちのおチビいないんだ」
「別に……いいけど」
そんなことを考えていたのが分かったのか、シリトレさんが慰めらしいことを言ってくる。
そういえば今日二人は遊びに行くって、前に言ってたっけ。
「シリウス、来たのか」
「あぁ邪魔するぜ」
奥から出てきた母さんはシリウスさんを自分の部屋にそそくさと招いて消えた。
「俺も話があるんだわ」
「なら、書斎に来い」
そう言って父さんも自分の書斎にシリトレさんを連れて行ってしまった。
完全に置いてけぼりを食らって固まっている僕とツヨシだったが、テイオーは冷凍庫からアイスを三つ持ってきた。
「ボクたちにできることはないから、これでも食べて待ってよ」
「あ、はい」
そうやってアイスの蓋を外してスプーンを突き立てる二人を見てて、それでいいのかと思わずにはいられなかった。 - 3二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 22:36:20
その後、シリウスさんのところに第二子が生まれたのだった。
家族や友人と祝っていたわけだけど、ふと疑問が浮かんだ。どうして父さんのところにわざわざ報告しに来るんだろう、と。
それに対して、父さんの答えはこうだった。
「あいつら、俺とルドルフの反応を楽しんでるんだろう」 - 4二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 22:37:12
以上です。
某所で投げていたルドトレ一家幻覚になります。
試験的にスレ立てで書いてみました。