バレンタイン、一つの決着をつける時

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:00:07

    「…ついに届いたか」

    「お取り寄せ半年待ちの、人気ショコラが…!」

    「…正気なのか、姉貴」
    「…正気じゃないかもしれないな」
    「義兄貴は…姉貴の手作りの方が美味しかったと確かに言ってたんだろう?だったら手作りのものを渡せば良い」
    「ああ…そうかもな」
    「だったらなんで…」
    「…これは、私の挑戦さ」
    「挑戦…?」
    「…前に、トレーナー君にはデパートで購入したチョコと、偶然作る事になったチョコの二つを渡した」
    「…そうだな」
    「しかし…私は思ったんだ。

    …どちらも、最大限には満ちていない、と」
    「…どういう事だ?」
    「デパートで購入したものは、もちろんトレーナー君の好みを考慮して選んだ高級品だった。だが…探せば上には上がある。今回は、トレーナー君の好みかつ、私が手に入れられる中で最高の物であるチョコを購入してきた」
    「……」
    「そして…手作りチョコ。前は、元はと言えば成り行きで作ったもので、トレーナー君のために自ら進んで制作に取り組んだものではなかった。
    …今一度、トレーナー君のために、私の持つ全てを込めて、チョコを作りたいと思ったんだ」
    「姉貴…」
    「これらを…改めてトレーナー君に食べてもらう。そして、真にトレーナー君が好きと言うのはどちらなのか…はっきりさせる」
    「…する必要のない戦いだろう」
    「ふっ…そうかもな。これは、完全に私のワガママだ。
    だが…解をはっきりさせずにはいられないのさ。ブライアン」
    「……なら、もう何も言わん」
    「ああ、そうしてくれ」

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:00:31

    (…見た目、味、包装のバランス。全てに計算を重ね、ついに、私の作れる最高のチョコができた)

    (そして、こちらの人気ショコラ。世に名高いショコラティエが作ったという至極の一品)

    (…普通に考えれば、一流の職人が作ったものの方が美味いに決まっている。私の勝ち目は、薄いと言わざるを得ない)

    (…負けたら負けたで、それで良い。そちらの方がトレーナー君を幸せにできると言うなら、次からそうするまでだ)

    (だが…私は…私には…)

    (━━私には、止められない想いがある)

    「…失礼するよ、トレーナー君」

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:01:45

    「どうも、ハヤヒデさん。今日のトレセン学園は、一段と賑わってますね」
    「ああ。待ち侘びた人も多いであろう、バレンタインだからな。日頃の感謝から、秘めたる情熱まで、様々な思いがぶつかり合う日だ」
    「ええ。素敵な一日です」

    「…さて、前置きはもう必要はない。単刀直入に言おう、トレーナー君」
    「ほう」
    「君には、これから二つのチョコを食べてもらう」
    「おや、二つもですか」

    (…度を越して優しいトレーナー君は、気を遣って手作りの方を選ぼうとするかもしれない)

    (事前情報は一切なし。この場で二つ食べて、その後どちらが良いかを質問する)

    「まず、これを食べてくれ」

    (…まずは、購入した物から)

    「綺麗な見た目ですね。いただきます」 モグモグ

    「……うん。美味しいです!凄く上品な味がして、程よい甘味が素晴らしいです。風味も良いですね」

    「…うん、そうか。では、次はこれを」

  • 4二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:02:12

    (…私の、手作りチョコ)

    「こっちも凄いですね…いただきます」 モグモグ

    「…………」

    「……濃く、強い甘味を感じますね。食べた時にじんわりと味蕾に沁みてくるような感覚があります」

    「ふむ…そうか」

    (さて…後は、どちらが好みだったかを聞くだけだ…)

    「…あと、これは私の個人的な感想ですけど」
    「ん?」

    「私、こっちの方が好きです」

    「……っ!!」
    「こう、言葉に表すのは難しいんですが、こっちの方が優しい味が含まれてて、もっと食べたいなって感じがしました」
    「それはっ…本当か?」
    「はい。もちろん前者のも非常に美味しかったんですけど、私は後に食べた物の方が良いなって思いました」
    「……!! そうか…!」

  • 5二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:02:31

    「…そういう事でしたか」
    「ああ…すまなかった。君を試すような真似をしてしまった」
    「さて?試された覚えはありませんよ。私は、純粋に自分の好きだと思う方を好きだと言っただけです」
    「…ふふっ、そうか」

    「…トレーナー君」
    「はい?」
    「最後に…問題でも出すとしようか」
    「問題、ですか」
    「とは言っても、正解か不正解かは私が決めることじゃない。君が選んだ答えが、正解になると思ってくれて良い」
    「…?随分不思議な問題ですね」

    「…私は、この手作りチョコに、どんな想いを込めたと思う?」

    「……」
    「…繰り返すが、君も思ったものが正解さ。そんなに難しく考える必要はないさ」

    「ただ、トレーナー君」

    「私は…君なら私の…“想定解”を選んでくれると…少し、期待しているからな」

    「……」

    「…では、失礼するよ」


    「…全く、ハヤヒデさんは…」

    「…その“想定解”を選ぶためには…私も、腹をくくらなければならないそうですね」

  • 6122/02/14(月) 20:08:57
  • 7二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:11:59

    これは……凄いぞ(クソ雑魚語彙力)

  • 8二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:14:06

    こんな短時間にクソ甘いものを摂取させるんじゃないよ!糖尿病になるだろーが!おかわり!

  • 9二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 20:46:41

    今日知人にマジで似たようなことされてヒヤヒヤした

  • 10二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:14:53

    >>9

    良い…

    SSもイラストも良い…

  • 11二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 03:57:37

    流石ハヤトレだ…

  • 12二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 12:00:23

    >>9

    描きやがったコイツ!

  • 13二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 20:37:22

    良いものを見た…

  • 14二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 20:41:15

    敬語ヒデトレニキも速筆ニキも良い仕事しやがるぜ…!!!
    来月も頼みますね!

  • 15二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 20:48:25

    あなたたちが神か…

  • 16二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 06:31:58

    半年待ちのショコラってマックイーンのイベントに出てきたこれの事か!奮発したな姉貴…

  • 17二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 18:18:19

    >>9

    👺 筆が速い!

  • 18二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 00:03:01

    >>14

    来…月…?

  • 19二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 08:28:56

    どんな高いチョコを出されても姉貴の手づくりの方が良いに決まってるからな…

  • 20二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 08:52:19

    >>18

    ホワイトデーなるイベントがありましてぇ〜…

    大丈夫だぁ!あと3週間程度は時間ある!

  • 21二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 20:17:01

    ホワイトデーに同じようなことされるハヤヒデが見たい

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