おい、フク　(バレンタインスペシャル)

1二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:00:15

(…バレンタインデー、ねぇ。女子校同然のトレセンじゃあ友チョコがメインになるんだろうが…)
「ん？あれは…」

「…………」
「なにボケっとした顔してんだ、スズカ」
「っ！　フクキタルのトレーナーさん…」
「フッ。察するに、スズトレにそのプレゼントを渡すタイミングでも考えてたか」
「…はい。というより…渡すものがこれで良いのかなって」
「わざわざ中身を聞きやしねぇが…多分、そいつはお前が特別な気持ち込めて用意した物なんだろ？」
「……はい」
「なら、迷うことはねぇよ。真っ直ぐアイツに向き合って、素直に渡せりゃ良い。お前の選んだその贈り物が正解だからな。
スズトレなら、絶対にそいつを受け止めるはずだ。俺が保証する」
「…ありがとうございます、フクキタルのトレーナーさん。おかげで、勇気が湧いてきました」
「なら良いんだ。…頑張れよ、スズカ」

2二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:00:31

「フクキタルのトレーナーさあぁーーーん！！！」
「おぉ、タイキか。どうした？」
「ワタシのトレーナーさんの居場所、どこだか知らないデスカ？」
「シャトトレさんなら二階の休憩室の方で見たぞ。多分今も居るはずだ」
「オゥ、センキュー！…ウェイト、休憩室、デスカ？」
「ああ。なんでも少し寝不足なんだとか」
「ウーン…ワタシ、トレーナーさんに特別なチョコを作ったきたんデス…
でも、トレーナーさんがお疲れだと、渡さない方がベターですカ…？」

(…まさか、このデカいのがチョコか？すげぇな…)

「…そいつは心配いらねぇよ、タイキ」
「エッ…？」
「この際ハッキリ言っちまうけどよ…トレーナーってのはみんな、担当のことが好きでしょうがねぇのさ。
だから、元気が出ねぇ時に、担当がプレゼントを持ってきてくれたときたら、嫌でも嬉しくなっちまうもんだ」
「…！　本当デスカ…？」
「ああ。お前はシャトトレさんの担当なんだからよ。シャトトレさんを一番幸せにできんのは、タイキ。お前だ」
「……！！　…センキューベリーマッチ！フクキタルのトレーナーさん！！」
「いいってことよ。そんじゃ、気合い入れて行ってこい！」

3二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:00:50

(フッ。隅に置けねぇなあ、スズトレもシャトトレさんも…)

(……………ん？)

(…俺、貰ってねぇな)

(俺だけ貰ってねぇな！？)

(…フク？　おい、フク？)

(アイツ、前はくれたよな…俺に、手作りのやつ…)

(…いや、何考えてんだよ俺は。別にチョコ作んのは義務じゃねぇんだからよ)

(そもそも大人の男が女子高生に期待するもんじゃねぇだろ…)

(…帰るか)

4二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:01:58

「えーっと、鍵、鍵…どこだ…」

「……トレーナーさんっ！！」
「えっ…？」

「はぁっ…はぁっ…」
「フク…！？　なんだお前、こんな時間に…」
「こ、これをっ！！　ハッピーバレンタインです！！トレーナーさんッ！！」

「…お、おぉ…？あ、ありがとうよ」
「…すみません、こんな遅い時間に…」
「…なんか理由があったのか？」
「それは、ですね…」
「…あぁ、分かったぞ。占いでこの時間に渡せば吉！とか出たんだろ。ま、占いに従うのはお前らし…」

「違いますっ！！逆です！！逆なんですよ…！！」
「えっ？…逆？」
「…私、もちろんトレーナーさんに飛びっきり特別なチョコを用意してたんです。でも…

今朝の占いで、“チョコを渡すべからず” と出てしまって…私、分からなくなっちゃって…」
「…それでも渡しにきたのは、なんでだ？」

5二次元好きの匿名さん22/02/14(月) 21:02:30

「…スズカさんと、タイキさんです」
「…！？」
「私がグズグズに悩んでいた時…さっき、スズカさんとタイキさんがやってきて、言ってくれたんです。
“トレーナーさんなら、絶対に受け止めてくれる”“トレーナーさんを一番幸せにできるのは私”だって…！」
「なっ…」
「だから、今日だけは私、占いを捨てました！！　…トレーナーさんに、私の気持ちを知ってほしかったから…！！」
「フク…」
「なので… どうか、受け取ってください！！」

「…おい、フク」
「……ﾊｲ…」
「外、寒いんだよ。いつまでもいちゃあ風邪引いちまう」
「えっ…？」

「…家入れ。一緒に食べるぞ」
「……っ！　はいっ！！」