【微グロ注意】ここだけモモイのみ別ゲーと化した世界線 Part.2

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:13:32

    【あらすじ】
    モモイはホールインした。
    以上。

  • 2二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:16:24
  • 3二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:19:19

    一乙

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:36:54

    建て乙です

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:40:08

    このスレ、明日の01:36に落ちるって書いてあるんだけど大丈夫そ?
    表示バグか何かだといいんだけど、一応起きとくか・・・。

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:41:25

    たておつー、10まで埋めるぞ

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:43:16

    >>5

    バグじゃないぞ


    ここの掲示板のスレは10スレまでは2時間で〆、10スレ以降は12時間で〆になる仕様なんだそうだ

    つまり頑張って10スレ以上消費しないとヤバい

  • 8二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:43:44

    立つ乙です。

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:44:55

    ついでに前スレも埋めといていいかね?
    もう残り5スレしかないし、ここ建てたんなら埋めといても問題ないと思われるが

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 23:45:09

    10まで保守

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 00:16:57

    ただいま、皆ありがとう。


    >>9

    いいよ。

  • 12二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 00:55:10

    >>11

    それじゃ埋めときますね

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 08:31:33

    ほしゅ

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 09:35:40

    目が覚めると、私は下水道に倒れ込んでいた。
    本能的に呼吸を確保したのか、それとも そう倒れ込んだのか、私は仰向けになっている。
    ・・・それでも臭うな。

    私は起き上がると、汚水塗れになった服を軽く絞った。
    ポケットに入れておいたものを確認する。

    スマホは・・・ダメだ。
    落下の衝撃で壊れてる。

    弾倉も浸水して使えそうにない。

    グレネードは・・・見当たらない。
    もしかして落下の衝撃で全部爆発したか・・・。

    見れば私の周りだけやけに焼け焦げている。
    むしろこれで良く助かったな私。

    私は脳裏に、デットマザーとかいうふざけた大人を思い起こした。
    あのアマ、いつか絶対復讐してやる・・・。

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 09:41:10

    それはそうと、私が落ちてきたであろう下水道の入り口には、ご丁寧に落としたアサルトライフルとナイフが捨ててあった。
    上を見上げると、入り口も ご丁寧に蓋がされている。
    試しに入り口から外に出ようとしてみるけど、上に何か自販機でも置いているのかビクともしなかった。

    私は諦めて、下水道をトボトボと歩く。

    ・・・そういえば、ポケットにまだ入れてるものがあったな。
    私は懐からベチャベチャになったクレジット紙幣を取り出した。

    ・・・使えるかなコレ。
    私がアルバイトの会計でコレ出されたら先輩呼ぶけど・・・。

    まぁ、まずは下水道を出てからの話だよね!

  • 16二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 09:48:49

    ───数十分後。

    私はようやく下水道から出ることが出来た。
    迷路みたいな下水道だった・・・。
    ここに落としたデットマザーへの殺意が高まる。

    ・・・そういえば、私 人を殺したんだったな。
    ナチュラルに沸いて出た殺意で不意に思い出した。

    命を奪った手の感触が、いまだに残っている。
    私が殺したスレイブは、誰かにとって・・・私でいうミレニアムの皆や先生みたいな大切な人だったのだろうか。
    ・・・でも、まだ止まれない。
    罪を償うのは、まだまだ先のことだ。

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 09:56:17

    閑話休題。

    私が出たのは、ブラックマーケットの隅っこだった。
    マンホールの蓋を開け、外に這い出る。

    道行く人に、汚水塗れの臭いで顔をしかめられるけど、私の知ったこっちゃない。
    文句ならデットマザーに行って欲しい。
    ホント、何が目的で人を下水道にホールインワンしたんだろう・・・。

    それはさておき、このまま汚水塗れで歩くのは精神衛生上よろしくない。
    しかし肝心の持ち金も汚水塗れだ。
    電子決済をしようにもスマホが壊れているし、仮に生きていたとしても口座には残り僅かなクレジットした入っていない。

    どうしようかと思いながらブラックマーケットをブラブラ歩いていると、不意に闇銀行が目に入った。
    ・・・そういえば、銀行って汚れた紙幣の交換もやってるよね。
    そう思った私は、為せば成るの精神で、何も考えず闇銀行に足を踏み入れた。

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 10:09:36

    闇銀行に入った私は、思いの外綺麗な内装に驚いた。
    もっとこう・・・アウトローな感じだと思ったのに。

    受付の機械を操作し、発行された番号札を手に取る。
    格好が格好なので、椅子に座ることもなく、壁にもたれかかることもなく待つ。

    特に何の意味もなく、行きずりの愛銃”リベンジ・パートナー”をガシャガシャと鳴らしてみる。
    あと、ナイフを指でなぞったりもしてみる。

    ・・・そういえばナイフには特に名前が無かったね。
    キヴォトスでナイフに名前を付けてる人は聞いたことがないけど、付き合いが長くなりそうだから名前を付けちゃおうか。
    そうだねぇ・・・。
    ・・・。
    ”マーダー・ナイフ”でいっか。
    意味は”人殺しのナイフ”。
    アハハハハハハハ!!
    ・・・はぁ。

    思わず声を出して嗤ってしまった。
    自分のネーミングセンスの無さに吐き気がする。
    それでも、頭から”マーダー・ナイフ”の名前と その意味が消えることは無かった。

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 10:11:43

    小休止。

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:22:06

    私は一人で落ち込んでいると、突然 私の番号が呼ばれた。
    私の番号はもっと先だったはずだけど・・・。

    ・・・もしかして私の挙動が余りにも危ないから、さっさと用件を済まさせて帰らそうとしてる?
    まぁ、それならしょうがないか。
    私もバイト先に突然笑い出す上に、何か銃とナイフをベタベタ触ってる人間なんて居たら警察を呼ぶ。

    通された先に座・・・らずに、私は立って汚水に汚れた現金を交換しに来た旨を伝えた。
    銀行員は私が立ったままなのは何も言わず、慌てて適当なビニール袋を持ってくると、汚れた現金は そこに入れるよう言った。
    私は差し出されたビニール袋の中に、汚水に塗れた現金を入れた。

    銀行員はピンセットを取り出して、汚水を吸った現金をペラペラと剥がして確認すると、軽く溜息をついた。

  • 21二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:22:31

    銀行員:
    「申し訳ございません、ミカン様。
    これらの紙幣は我々の方では取扱出来ません。」

    モモイ:
    「そっか・・・。」

    私は深く溜息をついた。
    ミカンっていうのは私が適当に名乗った偽名だ。
    こんな場所で本当の名前を使いたくない。

    それにしても、この現金が使えないんじゃ今後どうしようか。
    アルバイトでもする?
    この格好で?
    ミドリ達を助けるには時間が1秒でも惜しいのに?

    私が黙りを決め込んでいると、不意に銀行員の方から口を開いた。

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:23:06

    銀行員:
    「えっと・・・その、どうしてもと言われるのでしたら・・・1割ほどなら換金しても構いません・・・なんて。」

    え、そんなに良いの?
    私は思わず強い目線で銀行員さんの方を見た。

    銀行員:
    「ひぃ・・・!
    3割!私の方からは3割までしか上げることしか出来ません・・・!
    どうか・・・どうか命だけは・・・!」

    急に始まった銀行員の命乞いに、私は困惑する。
    はっ!もしかして私がセルブスグループの幹部を〇害したって情報が、既に出回ってる!?
    そこまで考えて若干パニックになりかけたけど、ふと自分の服装が目に入ったときにスンと納得した。
    今の私は汚水に塗れているけど、それを差し引いても消せない血の臭いとシミが付いている。
    例えば このキヴォトスで最も禁忌とされる”死”を取り扱う人間だと、どうして否定できよう。

    要するに、この銀行員は、明らかにヤバい客の対応を押しつけられるっていう貧乏クジを引いたワケだ。
    そりぁビビる。
    私は妙な納得感を感じながら、どうしようか考えた。
    プルプルと震える銀行員は、ちょっと脅せば上に換金の比率を上げるように掛け合ってくれるだろうけど、正直、そこまで大事にしたくない。

    ・・・そうだ!こんなことって出来るのかな?
    私は銀行員に尋ねた。

  • 23二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:33:29

    モモイ:
    「う~ん、じゃあそれでいいけど、その代わり この汚れを落とせるシャワーのあるホテルと、替えの服を買う店を紹介してくれない?
    勿論、費用はそっち持ちで。」

    結構ヤバいことを言ってる自覚はある。
    でも何か、一回カマした方が有利にコトが進められる気がした。

    銀行員:
    「かしこまりました・・・!
    直ぐに、そのように・・・!」

    そうだよね、流石にダメ───
    え、いいの?

    銀行員:
    「えー、こちらが当銀行から紹介できるホテルと店舗になります・・・!
    お支払いの方は、こちらから連絡しておきますので何卒・・・!」

    暫く待って、銀行員が印の書かれた地図を持ってきた。
    現在位置と、目的の場所が簡潔に記されている。
    いや~、無理そうでも言ってみるもんだね。

  • 24二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:34:14

    小休止。

  • 25二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 16:28:59

    予定があるので席を外す。
    4~5時間は帰ってこない。
    帰ってきたら更新したい。

  • 26二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 17:19:24

    どんどんアングラに突っ込んでいくのはいいね!
    冒険を経てどんな歪な成長をするのか楽しみだ

  • 27二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:07:42

    闇銀行を出た私は、銀行員に貰った地図を参考に、まずは服屋に向かった。
    ホテルに行ってシャワーを浴びるにしても、着替えが無かったら意味ないもんね。
    費用は銀行が何か持ってくれるみたいだし、好きな服でも買っちゃおう。
    お姉ちゃん頑張ってるし、そのくらい贅沢してもいいよねミドリ。

    暫くして目的の店に着いた。

    モモイ:
    「え、ここ?」

    私は自分の目を疑った。
    明らかに銃とかを取り扱ってるミリタリーな感じだ。
    女の子の服を扱ってる感じではない。
    もう一度地図を確認する。

    ・・・ここだね。

    あの銀行員・・・今からでも戻って しばこうかな・・・。
    でも もしかしたら外見だけで隠れた名店かもしれないし・・・一応入ってみようか。
    他の店を探してもいいけど、タダで買い物が出来る店を食わず嫌いは無いよね。

  • 28二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:18:13

    入ってみると、明らかにミリタリーな服が沢山並んでいた。
    ・・・よし、戻って銀行員を しばこう。

    そう思った直後、奥から店員が小走りで近づいてきた。

    店員:
    「ようこそ、ミカン様!
    ささ、奥へどうぞ。
    シャワーの準備をしてあります。」

    え、シャワー?
    それなら話は別だよ。

    私は店の奥に備え付けられた電話ボックスみたいなシャワー設備でシャワーを浴びた。
    泥とか血が落ちてく実感があって、気持ちいい。

    ・・・一応、アサルトライフルだけは持ってシャワーに入った。
    ここはブラックマーケット。
    いくら用心しても損は無い。

    シャワーから出て、店員に用意して貰ったバスローブに身を包むと、店員に案内されるまま商品を見て回った。
    どうやらこの店は素行の悪い生徒や、学籍を失った傭兵とかを客層にしているみたいで、女物が少なく無かった。
    あ、下着もある。
    地味だけど、安くて まとめ買い出来る感じだ。

    私は散々説明を受けた後、一人で選ぶと言って店員を下がらせ、改めて商品を見て回った。

  • 29二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:20:08

    このスレにおけるモモイのデザインを考えるから、2~3時間 席を外す。

  • 30二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:21:09

    目を覚ましたら姉/友達が人間を辞めてました

    まあアリスも人間じゃないし大丈夫だろ

  • 31二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 00:18:17

    本人に自覚はないけど皆と再開する頃には闇落ちフォームみたいになってそうだなあ

  • 32二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 02:01:29

    やっと終わった・・・。
    デザインに想像の倍くらい時間掛かった・・・。

  • 33二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 02:12:45

    結局のところ、今の私に欲しいのは防御力だ。
    元々 体が小さいこともあって、敵が持ち前の再生能力で受け止めきれる銃弾も、私だと受け止められるダメージの最大値事態が小さいから受け止めきれずに潰れてしまう。
    そうならないように、最低限の防御力を備えなければ。

    そう思い、取り敢えず商品の中で一番 防御力の高そうな”バトル・ドレス”を選んだ。
    店員の説明によると、屋外・屋内問わず乱戦を想定して作られたらしく、多少重いけど防御力は折り紙付きらしい。

    下着も替えて・・・え、何コレ、下に穿く専用のハイレグがあるの?
    あぁ、そう・・・。

    私は着替えて鏡の前に立った。
    ・・・うん、ちょっと顔が やつれたかな?

  • 34二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 02:25:58

    髪もボサボサでクセが付いちゃってるし、目の色も おかしい。
    ヘイローも、形こそ変わってないけど色が変色してる。

    ・・・疲れてるんだな、私。

    それはそうと、バトル・ドレスの方は中々良かった。
    重いから人気が無いらしいけど、私は好きだな。
    ”戦士”って感じがする。

    それに、思いの外 動きやすい。
    むしろ軽いとすら思う。
    問題ないんじゃない?
    重いなんて嘘じゃん。
    ・・・それとも私の装備重量が上がったのかな?
    まぁ、どっちでもいいや。
    大事なのは、これが気に入ったってこと。

    私は店員さんを呼ぶと、このバトル・ドレスを買う旨を伝えた。
    結構高い買い物らしく、サービスで弾倉やグレネードの補充を受けることが出来た。
    至れり尽くせりである。
    最近、いいことが無いと思ったら、こういうところに運が回ってきてたのか!
    ・・・いや、いいよ!こんなアウトローな幸運 要らないって!日常系の幸運に回してよ!

    はぁ、変なゴネ方しても しょうがない。
    案内通り、ホテル行こ・・・。

  • 35二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 02:28:57

    今日はもう寝る。
    おやすみ。

  • 36二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 11:36:15

    折角大量のクレジットが手に入ったんだからって、私はブラックマーケットの他の店で買い物を済ませた。

    グレネードで搦め手の出来る爆発物の良さに気付いちゃったから、設置型のトラップ・・・クレイモアや携帯型の地雷とかを買ってみる。
    炎はセルブス系統に相性が悪いから買わないけど、閃光やシンプルな爆発、煙幕なんかは有効だったから、そいうタイプの物を買った。

    あと、壊れたスマホの代わりの新しいスマホも買った。
    勿論、ミカンって偽名で契約した。
    学籍が怪しい不良生徒を相手にしているからか、スマホの契約自体もガバガバで、定期的に金さえ払って貰えれば良い感じだったから助かった。
    取り敢えずスマホの代金と、向こう一ヶ月の使用料金を渡しておく。
    ・・・データ制限は無制限のプランを選択した。
    動画をバリバリ見たいし、ゲームもしたいもんね。

    取り敢えず思いつく限りの買い物を済ませた私は、地図に示されたホテルに足を運んだ。

    ・・・これまた凄いな。
    案内されたホテルは、正に一流のホテルって感じだった。
    この立派なホテルを見るだけでも、闇銀行の銀行員が どれだけビビッていたのか窺える。

    ・・・いや、それなら何で服屋は あんなんだったんだよ。
    私、可愛い服の方が好きなんだけど?
    気に入ったから良いけどさ・・・。

  • 37二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 11:47:41

    ホテルの玄関に近づくと、何処からともなくホテルの従業員が現れた。

    従業員:
    「お待ちしておりました、ミカン様。
    お部屋の準備は出来ております。
    ささ、お荷物をお持ちしましょう。」

    そう言って手を差し出してくるので、爆発物が大量に詰まった肩掛けバックを従業員に渡した。
    肩掛けバックはトラップを買った店で、サービスで貰った。

    モモイ:
    「爆弾が いっぱい入ってるから気を付けてね?」

    従業員:
    「畏まりました。」

    従業員は普段から そういった荷物を取り扱うことが多いのか、動揺することなく荷物を持って歩き出す。
    私はその後に続いた。
    一応、銃だけは握っておく。

    従業員はエレベーターに乗ったかと思うと、一番上の階層のボタンを押した。
    え?一番上?

    私が困惑している間にもエレベーターは上昇を続け、チーンと間の抜けた音がする。
    最上階に着いた私は、従業員の案内で一番奥の部屋に通された。

  • 38二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 12:03:59

    従業員:
    「こちら、当ホテル最高の部屋となっております、ロイヤルスイートルームです。
    最高級の調度品が醸し出す、最高の一時をお楽しみ下さい。」

    モモイ:
    「うわぁ・・・。」

    通された部屋は、宮殿かと見紛うほどの豪奢な部屋だった。
    大きなソファや机、テレビなどが設置されても余裕で余るくらいの広い間取り。
    室内ではレトロな蓄音機からクラシックが流れている。
    あ、止め方がピクトグラムで説明されてる・・・。

    従業員の説明では、最初の部屋はリビングにあたり、シャワーや お風呂、ベッドルームは別々にあるのだという。
    ・・・いや、広すぎでしょ。

  • 39二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 12:05:32

    普通の部屋で良かったんだけどなぁ・・・。
    でも折角だから泊まるか。

    従業員:
    「ちなみに こちら、銀行の方からは特に宿泊日数などは指定されていませんが・・・如何しましょう?」

    モモイ:
    「明日の朝には出るよ・・・。」

    どんだけビビられてたんだろう、私。

    従業員:
    「朝食は如何されますか?」

    モモイ:
    「日の出と一緒に出るつもりだから・・・それより早く持ってこれる?」

    従業員:
    「問題ございません。」

    モモイ:
    「じゃあ、それでお願い。」

    従業員:
    「畏まりました。」

    そう言うと、従業員は そそくさと退散していった。

  • 40二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 12:08:04

    用事済ませてくる。
    15時くらいに再開する。

  • 41二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 12:41:25

    アルちゃんよりアウトローしてるよこのモモイ

  • 42二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 16:34:55

    従業員が出て行ったことを確認すると、私はホテルの出入り口や窓という窓にトラップを仕掛けた。
    初めてだから上手く出来たか分からないけど、用心は大切だ。
    あとは、自分が間違えて引っ掛からないよう注意するだけ。

    私は粗方トラップの設置を終えると ようやく人心地つき、シャワーを浴びて お風呂に入った。
    その間にもアサルトライフルの”リベンジ・パートナー”だけは直ぐに取れる位置に置いておく。
    ・・・私ってこんなに警戒心強かったけ?

    お風呂から上がると、リビングに移動して荷物から敷き布を広げ、その中央にアサルトライフルやナイフを置き、あと銃用の清掃道具や刃物の砥石を並べた。
    ミリタリーな服の店員にオススメされて貰ってきたものだけど、どうやって使うんだろう?

    私は早速買ってきたスマホを起動して、動画アプリを起動した。
    ・・・あ、このホテル無料のWi-Fiがある・・・。

    私が見るのは銃の清掃や刃物の研ぎを解説する動画だ。
    今までこんなの見たことないけど、割と楽しい・・・。
    ・・・へぇ、そんなとこまで・・・うわ、気持ちいいなコレ。

    銃の整備は初めてってワケじゃないけど、ここまで丁寧にやったのは初めてかもしれない。
    私の前には心なしか輝いている”リベンジ・パートナー”があった。
    へへ、いいってことよ相棒。

    ナイフも研いでみた。
    多分量産型のナイフだけど、元が良いのか少し磨き上げるだけで大分綺麗になった。
    う~ん、アナタはまだ心を許せないかな・・・。
    危険な問題児って感じ。
    アナタが悪いってワケじゃないんだけど、ごめんね”マーダー・ナイフ”。

  • 43二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 23:16:01

    装備のメンテナンスを終えた私は、キングサイズの布団に入る。
    ・・・フカフカで気持ちいい。

    今回の事件が無事に終わったら、ゲーム開発部の皆で泊まりに来ようかな・・・。
    そのときには矯正局行きだろうけど、模範囚になれば一日外出くらいなんとか・・・。
    そんなことを考えながら、私は眠りに落ちていった。
    ごめんね皆、私少し休むよ。

    ZZZ・・・。

  • 44二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:01:47

    ・・・夜明け前に起きた。
    つい最近までの私だったら昼まで寝てたと思うのに、変な緊張感で直ぐに起きちゃった。

    従業員:
    「ルームサービスです。
    ミカン様、朝食をお持ちしました。」

    不意に出入り口の方から声が聞こえた。
    あぁ、昨日頼んだ朝食の件か。

    モモイ:
    「分かった!
    ちょっと待ってて!」

    私は出入り口の近くに行って、仕掛けられたトラップを解除した。

    モモイ:
    「いいよぉ!」

  • 45二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:02:21

    私は扉を開けた。
    勿論、アサルトライフルを片手に。
    しかし従業員も慣れているのか微動だにしない。

    従業員:
    「それでは こちら、朝食のトーストにスープ、サラダとデザートの果物盛り合わせで ございます。
    もし足りませんでしたらルームサービスから問い合わせ下さい。」

    結構な量だから頼まないと思うけど・・・。

    従業員:
    「食べ終わりましたら、食器などは置いておいて頂ければ係の者が回収いたしますので。
    それでは。」

    従業員は朝食を、私が置くように指示したリビングの机の上に配膳すると、そそくさと退散していった。

  • 46二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:34:24

    毒とか盛られてないかなあ
    どうだろうなあ

  • 47二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:34:35

    私は朝食の前のソファに座ると、大画面のテレビを着けた。
    今まで まともに見てこなかった朝一のニュースを見る。

    クロノス報道部:
    「───現在でもミレニアム近郊ではブラックマーケット大規模戦力との抗争が続いており、危険な状態が続いています。
    連邦生徒会は今回の件についてミレニアムに一定の資金援助を約束しつつも武力介入に関しては否定的な見解を述べており───」

    ミレニアムは今日も大荒れだ。
    裏で戦争を煽っていたセルブスグループの幹部は一人潰したワケだし、少しは優勢になっててくれるといいんだけど・・・。

    クロノス報道部:
    「───ここで現場の意見も聞いてみましょう。
    現場のシノンさん?」

    シノン:
    「はい!クロノス報道部アイドルレポーターの川流シノンです!
    今から現場のミレニアム生の声を聞いてみたいと思います。
    すみませ~ん!クロノス報道部の者ですけど───」

    レポーターが適当なミレニアム生に声を掛け、”今の状況をどう思うか”とか、”今回の連邦生徒会の声明を聞いてどう思った”かとか当たり障り無い?ことを聞いていた。
    ミレニアム生の回答としては”最悪”、”連邦生徒会マジ使えない”程度?の意見しか出てこなかったけど、私にはそれより気になることがあった。

    え?
    今一瞬・・・え?
    私は自分の目に映った一瞬の映像が理解できなかった。

    そこには”ミドリ”の手を引いて歩く”私”の姿と、それに連れ添う”ユズ”の姿があった。
    まるで私に起きた全ての不幸が あざ笑われたかのような光景に、私は数分間 放心するしか無かった。

  • 48二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:37:04

    今日はここまで。
    おやすみ。

  • 49二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 10:28:15

    ・・・疲れてるんだな、私。
    全く、テレビに在りし日の自分達を見るなんて。

    私はテレビを消して朝食を掻き込んだ。
    ・・・おいしいけど、何か薬みたいな味がするなぁ・・・。

    朝食を食べ終わった私は、ホテル内のトラップを全て解除&回収して回り、装備を装備し、荷物を全て持ってロイヤルスイートルーム出た。
    エレベーターに乗って、1階に降りる。

    受付にチェックアウトの連絡をしようと思ったら、変な目で見られた。
    何事だろうと思ったら、受付に少し待つように言われた。
    まぁ、待つけど・・・何だろう。

    暫くして受付は黒電話を持ってきた。
    黒電話て。
    いつの時代だよ。

  • 50二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 10:37:39

    私は受付から手渡されて黒電話を手に取る。
    電話機の向こう側から、気怠そうな女性の声が聞こえた。

    ???:
    「はぁ、この電話が繋がるってことは、本当に毒は効かなかったみたいね。」

    モモイ:
    「毒!?」

    私は受付の人を見た。
    受付の人は悪びれることもなく軽く頭を下げるだけだった。

    ???:
    「ガキのアンタには分からないかもしれないけど、大人ってのは皆 自分の仕事を持ってて、その仕事を果たすことに罪の意識なんて覚えてたら身が持たないから。
    そこ、ウチと関係が深いホテルだし、攻撃しても それ以上 情報は何も出ないよ。」

    モモイ:
    「・・・アナタ誰?」

    ???:
    「あぁ、ごめん。
    自己紹介 忘れてた。
    私はアンタが追ってるセルブスグループの幹部、ライブスタック。
    名刺はホテルの受付に預けてあるから、宜しく。」

  • 51二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 10:44:55

    いや、いらないけど。
    セルブスグループの幹部、皆 名刺 好きだな・・・。
    いや、社会人のマナーといえばマナーなのか・・・。

    ライブスタック:
    「まぁ毒が効かないってことは、デットマザーのシナリオ通りに経過が進んでるってことだし?
    私が動いても大丈夫そうかなぁ・・・。
    はぁ、面倒臭い。」

    モモイ:
    「・・・何をするの?」

    ライブスタック:
    「・・・何をすると思う?」

    ゾクッとした。
    今まで気怠げにしていた声が、突然悪意を滲み出してきたから。

    ライブスタック:
    「あ~、知りたきゃ私のビルに来るんだね。
    ・・・”皆”と”おもてなし”の準備して待ってるからさ。」

    そう言うとライブスタックは電話を切った。

  • 52二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 10:52:08

    ・・・何だったんだろう。
    あの一瞬 滲み出してきた悪意は・・・。

    そんなことより このホテルだよ!
    客に毒を出すなんてどうなってんの!?

    モモイ:
    「ねぇ?」

    受付:
    「はい?」

    モモイ:
    「はい?じゃないよね。
    客に毒を出すなんて・・・覚悟は出来てるの?」

    キヴォトスの人間は毒にも強いけど、別に死なないってワケじゃない。
    どんな種類の毒を使ったのかは分からないけど、私がライブスタックの言う通りに経過とやらが進んでいなかったら死んでいた可能性もあるんだ。
    ・・・ていうか、もしかしてセルブスグループ関係者は毒も効かないのか・・・。
    いよいよ自分がセルブスグループ側の人間になりつつあることに嫌悪感を覚えつつ、私は受付を問い詰めた。

  • 53二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 11:03:56

    受付:
    「?
    しかしセルブスグループ様から お話があったのでは?
    ご不満があればセルブスグループまでお願いします。」

    な、舐められてる・・・。
    私は直感的に そう思った。

    なので、反射的に私は受付の人を撃った。
    どこから ともなく武装したホテルの従業員がワラワラ出てくるけど、知ったこっちゃない。

    私はその場に居た全員を、弾丸が収束した熱線で薙ぎ払うと、受付から厨房まで爆破して回った。
    ・・・ふぅ、これで暫くは舐められることはないでしょ。
    ライブスタックは知らないみたいだけど、ここはブラックマーケット。
    利益の有無に関わらず、舐められたら殴り飛ばさないと人権に関わる。

    私は黒焦げ になったホテルを出ると、スマホを起動して最も近いセルブスグループの支社ビルを探した。
    ・・・ホントに近いな。
    スマホには ここから徒歩3分くらいの距離にセルブスグループのビルが表示されていた。
    これだけ近ければ確かに関係性は深いかと、ちょっと反省した。
    いや爆破したことじゃなくて宿選びの方を。

  • 54二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 11:06:02

    小休止。

  • 55二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 13:19:45

    私が支社ビルに着くと、直ぐに奇妙さに気が付いた。
    警備が誰も居ない・・・。

    あれだけ おもてなしが どうとか言っておいて、誰も居ないなんてあり得る?

    取り敢えず正面玄関は明らかに罠なので、裏口っぽい扉を蹴破って中に入る。
    ワイヤーやセンサーを使ったトラップに注意しつつ、スタッフルームっぽい場所からロビーに出ると・・・本当に誰も居ない。
    てっきり正面玄関に張ってると思ったのに・・・。

    私が 不気味さを感じていると、不意にエレベーターがチンと鳴った。

    私は咄嗟に銃口を向け───

    モモイ:
    「・・・ミドリ?」

    そこにミドリが立っていた。
    黒い服を着て、いつものアクセサリーも全部外しているから分かり難いけど、私には それがしっかりミドリだと分かった。

    モモイ:
    「どうして こんなところに!?
    毒は もう大丈夫な・・・の・・・?」

    私は不意に、破裂音と胸部の痛みを感じた。
    見れば、”バトル・ドレス”に阻まれた銃弾が、床に落ちるところだった。

    ───ミドリに撃たれたのだと理解するのに、数秒の時間が掛かった。

  • 56二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 13:31:52

    ミドリ・・・何で?
    何で、お姉ちゃんを撃つの?

    私が頭にクエスチョンを大量に浮かばせている間にも、目の前のミドリは、見慣れたアサルトライフル”フレッシュ・インスピレーション”とは似ても似つかない銃のリロードを済ませる。
    ・・・ダメだ、話し合いは通じそうにない。
    私のせいで毒状態になったことを、そんなに恨んでるの?

    ともかく今は逃げなきゃ。
    私はミドリが放つ弾丸の射線を躱しながら、階段へとダッシュする。
    同じ会社の支社ビルなんだから、大して構造も変わっていないはずだとは思ったけど、実際同じ場所に階段があった。
    これ幸いと階段を駆け上る。

  • 57二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 13:33:27

    用事があるから4~5時間 消える。
    戻ってきたら更新したい。

  • 58二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 14:51:03

    精神を揺さぶりに来てるなあ
    やっぱりそう言う所の変化が鍵なんだろうか

  • 59二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 19:42:54

    階段を登っていると、不意に電話の音が聞こえた。
    普通なら無視するべきだけど、幾ら探し回っても人っ子一人見当たらず、例のセキュリティカードが見つけられなかったので、次の階層に行けなかったから、周囲にミドリが居ないことを確認して電話を探した。

    電話は かなり近くにあった。
    また例の黒電話だ。
    ライブスタックの趣味なんだろうか。

    私は受話器を取る。

    モモイ:
    「もしもし?」

    ライブスタック:
    「ねぇ、アンタ バカなの?
    このままじゃ いつまで経ってもシナリオが進まないじゃない。」

    モモイ:
    「じゃあ、セキュリティを解除してよ。
    今すぐシメに行くから。」

  • 60二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 19:43:11

    ライブスタック:
    「本当にアンタ バカね。
    そんなチート許されるワケないじゃない。
    ・・・でもヒントは教えてあげるわ。」

    モモイ:
    「なに?」

    ライブスタック:
    「セキュリティカードね、そこに居るアンタの妹が持ってるから。
    殺して奪いなさい?」

    モモイ:
    「は!?
    そんなこと出来るワケないじゃん!」

    ライブスタック:
    「はー、いちいち うるさいわね。
    これだからガキは・・・。
    あのね、ここに本物が居るわけないでしょ。
    なんの為に私達 幹部が分割して解毒薬の保管場所の情報を持ってると思ってるのよ。
    毒で擬似的な人質作って、C&Cとかの実行戦力を誘き出して潰す筋道が通らなくなるじゃない。
    本末転倒よ。」

  • 61二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 19:44:20

    小休止。

  • 62二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 20:51:55

    ライブスタックの言い分はムカつくかど、一応の筋は通ってるように聞こえる。
    まぁそれで素直にハイと殺せるかというと、そんなワケも無いのだけど。

    モモイ:
    「・・・爆破してセキュリティを無理やり突破しても良いんだよ?」

    ライブスタック:
    「別にいいけど、アンタそれした瞬間、私が管理してる解毒薬の保管場所の情報は処分させて貰うわよ?
    アンタが私を殺すのが先か、私が小さな金属片をドロドロに溶かしてしまうのが先か・・・興味深いわね。」

    無理だ。
    直感的にそう判断した。

    ・・・それに別に必ず殺さなくちゃいけないってワケじゃないはずだ。
    首に掛けているなら、気絶させて その隙に回収しちゃえばいい。
    それ以外の場所でも、それなりにやり方があるはず。

    ライブスタック:
    「あー、アンタ今もしかして”殺さなくてもいい”なんて甘えたこと考えてない?」

    ギクッ。
    なぜこうもセルブスグループの大人は勘が鋭いのか。

  • 63二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:00:12

    ライブスタック:
    「私が そんな生っちょろい仕掛けするワケないじゃない。
    セキュリティカードはアンタの妹の心臓の”中”に用意してあるわ。
    ・・・どうやって殺さずに取り出そうというのかしら?」

    モモイ:
    「・・・。」

    ライブスタック:
    「あら、何も言わないのね。
    覚悟は決まったということかしら?
    それなら、さっさと───」

    私は受話器を置いた。
    このまま、このムカつく大人の言葉を聞いていたら おかしくなりそうだった。

    ミドリは・・・殺さなくちゃいけない。
    私は医者でも何でも無いから、心臓を切開して無事にセキュリティカードを取り出す方法なんて分かんない。
    分かるのは、心臓を開ければ大量の血が出ること。
    そしてミドリが死ぬことだけだ。

    ・・・大丈夫、大丈夫。
    あれは本物じゃない。
    本物であるはずがない。
    本物だったら、ライブスタックの言い分が通らなくなる。
    ・・・セルブスグループの目的が分からなくなる。

  • 64二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:05:23

    セルブスグループの目的は、ミレニアムを潰す、ないし占拠することが目的のはずだ。
    それを考えれば、毒で人質をとってC&Cや隠れた実力者を誘き出すのは合理的な判断だ。
    ・・・だから間違えてない。
    あのミドリは本物じゃない。

    私は あのミドリの無機質な目を思い出す。
    大丈夫、あれはミドリの顔をした何かだ。
    断じて、ミドリじゃない。

    ミドリを助ける為にミドリを殺す。
    ・・・私は何をしているんだろう。

    不意に足音が聞こえた。
    きっとあのミドリ・・・いや偽ミドリだ。

    私は銃を構える。
    ナイフに手を伸ばす。

    ミドリ・・・ごめんなさい。
    ───今から、アナタを偽物とは言え、殺す。

  • 65二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:21:54

    【偽物のミドリ】

    私は偽ミドリが横を通りかかった瞬間、物陰から出てアサルトライフルを斉射した。
    全弾命中して、偽ミドリの小さな体は吹き飛ぶ。

    モモイ:
    「あ・・・ミドリ、大丈───」

    つい偽ミドリに声を掛けてしまう。
    次の瞬間、偽ミドリは虚ろな目で手持ちの銃を乱射してきた。

    偽ミドリが持っているのはサブマシンガンで、室内での取り回しの良さを重視している。
    スナイパーライフルじゃない。
    それだけで大分、心理的ダメージは下がる。
    これは明らかにミドリじゃない。

    私は狙いの定まっていない弾丸を全て躱すと、そのまま倒れ込んでいるミドリに迫った。
    半分 起き上がりかけている偽ミドリに膝蹴りを かまして再び地に伏せさせると、その上に馬乗りになった。

  • 66二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:22:28

    モモイ:
    「ごめんね、直ぐ済むから───」

    虚ろな目をしている偽ミドリは、何を言うでも無いけど、至近距離で私にサブマシンガンを接射してきた。
    流石にこれにはバトル・ドレスも耐えきれず、銃口が向いていた右腕・・・銃を持っていた方の腕が弾け飛ぶ。

    でも、まだ左腕がある。
    私は偽ミドリが銃を持っている左手のサブマシンガンをナイフで弾き飛ばすと、その靱帯をナイフで切断した。

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    偽ミドリは痛みに悲鳴を上げることもなく、淡々と、今度は何も持っていない右手で殴り掛かってきた。
    なので、今度は右腕の脇の肉を削ぐ。

    それだけで、偽ミドリの右腕はダランと脱力した。

  • 67二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:35:25

    偽ミドリは動かない。
    動けないという方が正しい。
    ネル先輩の皮膚にはナイフは弾かれたけど、普通の生徒なら、このくらいはダメージを与えられるよね。

    虚ろな目をした偽物のミドリと見つめ合う。

    モモイ:
    「・・・ごめんね。」

    私はナイフを偽ミドリの胸部に振りかぶった。
    しかし───

    モモイ:
    「え?」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    ナイフは まるで丸太に刺さったかのような手応えで、偽ミドリの体に少ししか刺さらない。
    でも、傷は出来たようで、少し血が流れる。

  • 68二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:35:54

    モモイ:
    「・・・なんで。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    偽ミドリが、今度は自由になった左腕で殴り掛かってくる。
    私は さっきより手際よく脇の肉を削いだ。

    モモイ:
    「・・・腕はこんなに速く切れるのに。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    なすがままにされるミドリ。
    本物と同じように、傷口は再生しない。

    モモイ:
    「なんで・・・。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

  • 69二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:36:16

    ナイフを振り上げ、降ろす。
    少し、血が出た。

    モモイ:
    「何で肝心の心臓がある胸が・・・。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    再び振り上げ、斬りかかる。
    血が出た。

    モモイ:
    「なんでこんなに・・・こんなに・・・。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    また、傷つける。
    かなり、血が出た。

    モモイ:
    「こんなに・・・硬いの・・・。」

    偽ミドリ:
    「・・・。」

    何度も何度も傷つける。
    ただ、虚ろな目をした偽物のミドリが、咎めるように見つめていた。

  • 70二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:11:23

    ・・・分かってる。
    この世界のゲーム性のせいだ。
    私が かつて銃で喧嘩していたように、この世界で一番攻撃力が強いのは銃だ。
    銃が最も、この世界において強い。
    だから、刃物が強いと困る。

    例えば私が今、偽物のミドリの靱帯を切断したように、肉体を傷つけることは出来ても命を奪うのは難しい。
    きっと、それと同じように銃に比べて治りも早いし、私に比べて痛みも少ないんだろう。
    つまり致命的なダメージになりにくいし、直ぐ治るし、ショックで気絶させることも出来ない。
    だから、刃物は銃にとって変わることが出来ない。

    でも、だからって、今そのルールが適用されなくたって・・・!

    私は一心不乱に偽ミドリの胸部にナイフを振り下ろす。
    少しずつ傷が開き、肺を傷つけ、偽ミドリが口から血を吐いた。
    ・・・もう、見てらんない。

  • 71二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:11:54

    モモイ:
    「早く・・・!」

    偽ミドリ:
    「っ・・・。」

    ナイフを振り下ろす。
    ナイフが生々しい音と共に刺さり、偽ミドリの肋骨を露わにした。
    私はそれを掴み、滅茶苦茶に折って内臓を引き摺り出す。
    偽ミドリの綺麗な肺と・・・脈打つ心臓が露わになり、偽ミドリは更に激しく吐血した。

    モモイ:
    「早く・・・死んでよ・・・!!」

    偽ミドリ:
    「っ・・・!」

    偽ミドリの心臓を掴み、太い血管ごと引き摺り出す。
    ・・・セキュリティカードを傷つけるわけにはいかない。
    私はナイフで心臓に繋がった血管を切ろうとした。
    ・・・しかしまるで太い縄を切ろうとしているかのように上手く刃が入らない。

  • 72二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:12:46

    モモイ:
    「死んで!!」

    偽ミドリ:
    「っ!!!」

    ───十数分後。
    遂に最後の血管が切れたとき、偽ミドリは全身血塗れになっていた。
    これじゃあ、何が原因で失血死したのか分からない。
    吐血か心臓近くの外傷か、はたまた痛みによるショック死か。
    いつの間にか、ミドリと何故か全く同じ形をしていたヘイローは消えていた。
    ・・・私が殺した。

  • 73二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:13:11

    手元に残った綺麗なピンク色の心臓を切り捌く。
    今度は私のさっきまでの醜態を嘲笑うかのように柔らかかった。
    かくして それはあった。
    血液で茶色に変色したセキュリティカード。

    ・・・これだけの為に私は・・・私は・・・。

    モモイ:
    「おぇ・・・ひぐっ・・・グスッ・・・うぇ・・・。」

    吐き気と涙が同時に込み上げてきた。
    ・・・今朝 食べた朝食の原型が残った嘔吐物が、涙と混ざった。
    もう、吐き慣れてきたので、変に痙攣することも無かった。

    汚泥に塗れた陰鬱とした気持ちの中で、私は ただ、手の中にある薄汚れたセキュリティカードに縋っていた。
    フラグはまだ折れてない。
    進み続けなくちゃ。
    それは もはや呪いの言葉だった。

  • 74二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:13:42

    小休止。

  • 75二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 22:56:46

    涙は、止まった。
    吐き気も収まった。

    吹き飛んだ右腕を見ると、既に再生され、以前見た黒く変色した異形の手になっていた。
    私は吹き飛んだ方の右腕を見た。
    ・・・パーツを全て交換した船は、果たして同じ船といえるのか。
    私はそんな、”テセウスの船”の逸話を思い出した。

    ・・・前に進まなくちゃ。
    例え私が別者になったとしても、本物のミドリ達が助かるなら、それでいいじゃないか。

    決意を新たに、Lv.2の階層へと進む。

    ─── チン。

    エレベーターが、また開く。

    中には、今度は”ユズ”が入っていた。

  • 76二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 23:09:42

    【偽物のユズ】

    ・・・今度のユズはスナイパーライフルを持ってる。
    スコープを覗き、照準を合わせ、何の躊躇も無く撃つ。

    ・・・これもユズじゃない。
    本物のユズみたいに髪をまとめて無いから、お化けみたいになってるし・・・。

    私は弾丸をナイフで弾くと、一気に偽ユズに迫った。
    今度は躊躇無く蹴り飛ばす。

    多分今度も心臓にセキュリティカードが入ってるから、同じく人体の弱点である頭を狙う。
    蹴り飛ばされて倒れ込んだ偽ユズの腹部と銃を持っている方の手を踏んで固定し、額にアサルトライフルを接射した。
    1マガジンで気絶し、2マガジンで血が出始め、3マガジンでグチャグチャになった。
    ごめんね、ユズ。
    でも偽物とは言え、楽に殺してあげれたよね。

    屍体になった偽ユズの胸部を、ナイフで切開する。
    既にヘイローの加護が失われているからか、簡単に心臓を取り出すことが出来た。
    そして心臓の中には、確かに薄汚れたLv.2のセキュリティカードがあった。
    良かった、今度は脳に埋め込んだとか言われたら とんだク〇ゲーだった。

  • 77二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 23:24:53

    ・・・何だか視界が おかしい。
    まるで片目だけ急に視界が悪くなってしまったかのようにボヤける。
    でもその代わり視野が広い。
    極端な話、真横まで見える。

    ・・・何だか、今は鏡を見たくない気分だ。
    次の階層に行こう。

    私はLv.3のセキュリティカードのある階層へと向かった。

    ─── チン。

    性懲りも無く、エレベーターが鳴る。
    今度は中から、”私”が出てきた。

    【偽物のモモイ】

    私は偽物の自分の武装を確認するまでもなく、熱線で頭部を狙い撃ちにした。
    エレベーターの壁に叩き付けられ、数秒間逃げるように藻掻いていたけど、やがて静かになった。

    熱線の放射を止めてみると、頭部の無くなった偽物の私が倒れ込んだ。
    閉まろうとするエレベーターの扉に挟まる。
    しかし、障害物を感知したエレベーターのシステムが扉を開ける。
    もう一度閉める。
    障害物を検知する。
    開ける。

    ・・・何だか みっともなかったから、扉から出してやった。
    そして仰向けにし、心臓を取り出す。
    するとやはり、Lv.3のセキュリティカードがあった。

  • 78二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 23:35:48

    もっと躊躇いなく殺しができるようになってからが見物だねえ

  • 79二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 23:37:31

    何だか やけに体が軽い。
    羽のように、軽い。
    ここまで体が軽いのは、TSC2で特別賞を受賞して以来だ。
    ・・・今、私の足って どうなってるんだろう。
    装備を剥がして、見てみようかな・・・やっぱ、いいや。

    ・・・Lv.3のセキュリティの先の階層へと来た。

    案の定、簡易金庫があったので、一握りだけクレジットを抜いておく。
    もう、この行為にも罪悪感を覚えなくなってきた。

    社長室の扉を蹴破る。
    ・・・しかし、そこにはライブスタックらしき人影は無かった。

    代わりに、SFで見るような培養カプセルに浮かぶ”私”や”ミドリ”、”ユズ”の姿が、大量にあった。
    そして奥には巨大なモニターがあり、何処かの風景が映っている。
    ・・・あの風景は───

    チリリリリリン。

    モニターに映る風景が喉から出そうになったタイミングで、何処かから電話の呼び鈴が聞こえ始めた。

  • 80二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 23:50:19

    呼び鈴は、社長室だと思っていた培養室の入り口近くに設置されている黒電話から鳴り響いていた。
    通話相手は・・・もう良く分かっている。
    私は受話器を手に取る。

    モモイ:
    「・・・何?」

    ライブスタック:
    「えぇ、褒めてあげようと思って。
    アナタ、存外一度やっちゃえば思い切りが良いのね。
    後半の手際の良さには感嘆すら覚えたわ。」

    モモイ:
    「・・・また切るよ?
    どこに居るの?」

    ライブスタック:
    「このビルの地下に居るわ。
    ”Lv.4”のセキュリティの先ね。」

    モモイ:
    「分かった、今 殺しに行く。
    ・・・それで?
    Lv.4のセキュリティカードは何処にあるの?」

    ライブスタック:
    「フフ、別の意味で”こちら側"の人間になってきたわね。
    話が早いわ。
    ・・・ところで話は変わるけど、”あちら側”の人間って随分 甘ちゃんよね。」

  • 81二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 00:00:30

    モモイ:
    「どういう意味?」

    ライブスタック:
    「どういう意味も何も、ホラ私達って まず人を信用しないじゃない。
    それでいて目の前の人間を どう動かせば自分の利益になるかだけを考えてる。
    相手が死のうと不幸になろうと知ったこっちゃない。」

    反論しようとして、自分のブラックマーケットでの蛮行を思い出して止める。
    確かに あの時は そういう思考をしてた。
    そういう意味では、確かにライブスタックと私は同類かもしれない。
    とっても腹が立つけど。

    ライブスタック:
    「それに比べて”あちら側”の人間は人を信頼し過ぎる。
    目の前の人間が自分に害を為そうとしているなんて露も思って無くて、相手がどうすれば不愉快にならないかだけ考えてる。
    相手が、どうすれば幸せになるか考えてる。
    ・・・例えそれが自分の身を滅ぼすとしても・・・ね。」

  • 82二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 00:12:30

    モモイ:
    「何が・・・言いたいの?」

    何となく嫌な予感がして、私は喉がカラカラになった。

    ライブスタック:
    「ふふ、いやね本当は もう気付いてるはずでしょ?
    目の前にモニターが3枚あるわよね。」

    確かに巨大なモニターは3枚ある。
    それぞれが誰かの視点のようにグリグリ動いている。
    そしてその視点が映すのは───

    ライブスタック:
    「───ミレニアムサイエンススクール。
    アナタの母校ね。
    今は どこかのグループのせいで大変な時期のはずなのに、そこで造ってるアナタ達の偽物を送り込んだら、面白いように中に入れてくれたわ。
    ・・・視界データが私達に送信され続けてるとも知らずにね。
    まぁ、外来の技術だから、分かろうはずも無いのだけど。」

  • 83二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 00:27:24

    モモイ:
    「ハァ・・・ハァ・・・。」

    私は自分の息が荒くなっていくのを感じていた。
    ・・・ミレニアムは、戦略的に致命的な間違いを犯している。
    あろうことか、スパイカメラを内部に入れてしまっている。

    見ればモニターには致命的では無いものの、内部の設備や現在のミレニアム内の状況の一端、ロボット等の量産体制など、そこそこ重要なものを映してしまっている。

    このままいけば、内情を知られているミレニアムが勝てる道理は無い。
    少なくとも、私はそう感じた。

    だけど、それ以上に───

    ライブスタック:
    「どう?
    面白いでしょう?」

    モモイ:
    「・・・アリスは?」

    ライブスタック:
    「あら?」

    モモイ:
    「この部屋にはアリスは居ない。
    今朝 見たときも、偽物達にアリスは混ざって無かったし、私が仕留めてきた偽物達にもアリスはいなかった。
    ・・・もしかして、Lv.4のセキュリティカードは偽物のアリスが持ってるの?」

  • 84二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 00:41:40

    ・・・認めよう、今朝テレビで見た”私達”の後ろ姿は間違いなく幻覚ではなく、確かに存在する偽物だった。
    でも、アリスが存在しないのは理由が分かんない。
    動機は分かんないけど、私達”ゲーム開発部”の偽物を造るなら、全員分用意した方が怪しまれにくいはずだ。

    ライブスタック:
    「急に鋭いところを突くわね。
    ・・・いいわ、正直に答えてあげる。
    はぁ、アレは再現できなかったのよ。」

    モモイ:
    「再現できなかった?
    アリスに効くナノマシーンは造れたのに?」

    ライブスタック:
    「そのナノマシーンが私達が出来た限界よ・・・。
    いいこと?
    例え話だけど、”山を崩す”と”山を造る”だったら必要な技術も異なれば必要なエネルギーも違うじゃない?
    言ってみれば私達はダイナマイトや重機を用意して山を崩すことは出来ても、地層を操作して盛り土じゃない本物の山を造ることは出来ない・・・お分かり?」

    モモイ:
    「つまり・・・アリスは妥協したわけ?」

    ライブスタック:
    「えぇ・・・”我々”では”名も無き神々の王女”の再現は不可能だもの・・・。」

  • 85二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 01:10:44

    ”名も無き神々の王女”。
    良く分かんないけど、アリスの中に居たケイって子が、アリスをそう呼んでいた気がする。

    モモイ:
    「私が言うことじゃないかもしれないけど、ガワだけ用意すれば良いんじゃない?
    完全再現しなくても、見た目だけ同じなら騙せるでしょ。」

    ライブスタック:
    「簡単に言ってくれるわね・・・。
    結論だけ言うと、無理よ。
    ヘイローの形でバレるわ。
    魂は どうとでもなるけど、少なくとも肉体を完全に再現しないと、このキヴォトスに同一神秘のコピーを存在させる為に必要な”ダミーヘイロー”が宿ったときに、肉体に引っ張られて歪んでしまうわ。」

    モモイ:
    「ふーん。」

    ライブスタック:
    「・・・聞くだけ聞いといて興味ないのね。」

    モモイ:
    「言ってみただけだし。
    ・・・逆にアナタが そこまで喋ったことに驚きだよ。」

    ライブスタック:
    「別にこの件に関して、アナタに対する守秘義務は無いわ。
    ・・・それに、喋ること自体は昔から好きだもの。」

    モモイ:
    「ふーん。」

  • 86二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 01:29:59

    何だか、最後の口調だけは やけに人間味があったような気がする。
    まぁ、だからといって何というワケでも無いのだけど。

    ・・・だけど、良かった。
    ゲーム開発部は、完全にコピーされたワケじゃない。
    ───私達の居場所が、完全に奪われたワケじゃない。

    モモイ:
    「・・・じゃあ、結局Lv.4のセキュリティカードはアナタの話の流れから考えると、ミレニアムサイエンススクールに送り込んだ偽物達が持ってるの?」

    ライブスタック:
    「あら、物わかりが良いじゃない。
    もっと慌てたり、感情の発露が見られるものと思ってたのだけど。」

    モモイ:
    「怒ってるよ?
    でもそれ以上に、あんなデットコピーが私達に成り代わってるのが許せない。
    だから、殺す。
    セキュリティカードは、その ついで でしかないよ。」

  • 87二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 01:42:37

    ライブスタック:
    「フフ、ついで、ね。
    それは良い答えね。
    いいこと?
    Lv.4のセキュリティカードは偽物達の内、アナタの妹の心臓に埋め込んであるわ。
    さっさと殺して戻ってきてね?」

    モモイ:
    「うん。
    首洗って待ってて。」

    そう吐き捨てると、私は受話器を置いた。

    モモイ:
    「・・・はぁ。」

    正直に言うと、今からミレニアムに戻って殺人をすることに、抵抗が無いワケじゃない。
    きっと皆に蔑まれて、恐怖される。
    ・・・でも、それでミレニアムが勝てるなら。
    ミドリ達が助かるのなら。

    ───私はどんな怪物にだって成ってやる。

  • 88二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 01:46:07

    今日はここまで。
    おやすみ。

  • 89二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 12:16:56

    取り敢えず私は、培養室にある”私達”を全て殺した。
    私達は一人ずつだけだ。
    本物の居場所を、偽物が奪うなんてあっちゃいけない。

    グチャグチャになった培養室を後にした私は、ブラックマーケットで適当な乗り物・・・放置されていたバイクに乗ってミレニアムに向かった。
    最初は乗り方すら分からずに手こずり、分かってもコツを掴むまで何度もコケたりしたけど、持ち前の再生力と残ったバトル・ドレスの防御力で何とか耐え、数十分で軽くマスターした。

    ここからミレニアムまではバイクなら数時間で着く。
    装備の補充は道すがらにしたから、準備はバッチリだ。

    日が暮れてきたので、ミレニアム近くのギリギリ戦闘地域になっていないブラックマーケットでホテルをとって眠る。
    前回の反省を活かし、今度はセルブスグループの支社ビルからは離れたホテルを選択した。
    セルブスグループから頂戴したから お金はあったけど、普通で部屋で。

    ベットが部屋の大部分を占めた部屋で、銃の点検をし、ナイフを研ぐ。
    ・・・アナタとも大分 わかり合えた気がするよ”マーダー・ナイフ”。
    結局、アナタが怖いんじゃなかった。
    使う私が怖いんだった。

    心なしかツヤツヤしているナイフをベルトケースに仕舞うと、出入り口や窓にトラップを設置し、アサルトライフルを抱えて眠った。

  • 90二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 12:20:06

    少し、所用で外す。

  • 91二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:16:05

    ───やっぱり日の出前に起きた。
    もうすっかり、習慣が変わってしまっている。

    朝食はホテルで摂らず、そこら辺のコンビニで買い食いした。
    もうミレニアムは直ぐそこだから、ここまで乗ってきたバイクを乗り捨てる。

    次は良い乗り手に乗ってもらうんだよ。
    そう願いを込めて、表通りに堂々と置いておいた。

    バイクを乗り捨てて少し歩くと、ミレニアムとブラックマーケットの戦争地帯に入った。
    見れば、ミレニアム生徒やミレニアム製ロボットが、マーケットガードや傭兵の生徒などのブラックマーケット戦力と戦っている。

    私はそこを、電光石火のスピードで走り抜けた。

    傭兵の生徒:
    「!
    今、何か通ったか!?」

    傭兵の生徒:
    「?
    いや、何も通らなかったけど?」

  • 92二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:16:45

    ブラックマーケット側から駆け抜ける。
    傭兵の生徒達の中には勘の良いのもいるみたいだけど、流石にゲームが違うレベルのスピードに反応できた人間は少ない。

    ミレニアム生:
    「!
    なに!?」

    ミレニアム生:
    「・・・何も・・・いや、それより戦線の維持を───」

    ミレニアムの防衛線を通り抜ける。
    良かった、ミレニアムの人間に気付かれるか どうかが最大の関門だった・・・。
    このままいけば、誰にも気付かれずにミレニアムから偽物を消すことが出来そうだ。

    私はミレニアムの校区に入り、見慣れた校門を潜って内部に潜入した。
    ・・・いや、自分の学校なんだから、潜入っていうのも おかしいんだけど。

  • 93二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:23:44

    私は見慣れた校舎を歩く。
    みんな戦争で出払っているせいか、見慣れているはずの校舎が やけに不気味に見えた。

    ・・・さて、偽物達は どこに居るかな。
    順当に行けばゲーム開発部の部室だけど───

    ???:
    「やぁ、モモイ。
    久しぶりだね。」

    聞き慣れた、だけど酷く懐かしい声が聞こえた。

    モモイ:
    「・・・久しぶり、ウタハ先輩。」

    振り返ると そこには無表情のウタハ先輩が居た。
    手には、いつものサブマシンガン”マイスター・ゼロ”が握られていない。
    完全に無手の状態だった。

  • 94二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:32:04

    私は恐らく目的がバレているんだろうな、と思いつつも念のため笑顔を貼り付けて猿芝居を敢行する。

    モモイ:
    「じゃあ、私 先を急ぐから!
    また ゆっくり話そうね!」

    ウタハ:
    「・・・C&Cから話を聞いているよ。
    人を・・・殺したそうだね。」

    ウタハ先輩が珍しく言いづらそうに口にする。
    だけど私には効果抜群で、貼り付けた笑みがスンてなった。

    モモイ:
    「うん・・・殺した。
    仕方の無いこと・・・だとは思ってないけど、後悔はしてない。」

    ウタハ:
    「そうかい・・・。
    それで?
    それから今までに何人殺したんだい?」

  • 95二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:32:35

    モモイ:
    「・・・4人。」

    あの偽物の人形達も、一応 命と言えば命だった。

    ウタハ:
    「・・・辛かったかい?」

    モモイ:
    「辛かった・・・。」

    それは私の本心から出た言葉だった。

  • 96二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:40:30

    本当は、一人たりとも、人形ですら殺したく無かった。
    だけど私が手を汚し続ける限り、ミドリ達が助かる可能性が生き続けるのならと、その一心で動いてきた。
    だけどもう、正直 限界だった。
    その心に、ウタハ先輩の寄り添うような言葉は深く響いた。

    ウタハ先輩:
    「なら、ここで止めようモモイ。
    もう自分を傷つけ続ける必要は無い。
    私達にも共に背負わせてくれ。
    一緒に戦おうじゃないか。」

    それは私が心の底から欲していた言葉だった。
    ただ任せっきりにすることが怖い私に、かつてのゲーム開発部の皆と同じように、一緒に戦おうと言ってくれる。
    今度は私が指揮官じゃない。
    それなら違う結末があるはず。
    涙が・・・溢れて止まらなかった。


    ───だけど、私はウタハ先輩に銃を向けた。

  • 97二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 14:41:00

    小休止。

  • 98二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 15:57:34

    ウタハ:
    「モモイ?なぜ?」

    ウタハ先輩は険しい顔で私を見る。
    ・・・ごめんね、ウタハ先輩。
    ウタハ先輩の言葉は痛いほど嬉しい。

    ───でも、もう一緒には戦えない。

    私が存在しているゲームジャンルは、もうレーティングがR18Gくらいなんだ。
    そんな残酷な世界に、ウタハ先輩みたいな善い人を引き摺り込むことは出来ない。

    私は笑った。
    ニッコリと笑った。
    涙が止まらないけど、不器用だけど、ちゃんと笑えた・・・つもりだ。

    私の顔を見て、ウタハ先輩は辛そうな顔をした。
    ・・・そんな顔をしないでよ、ウタハ先輩。
    アナタはライブスタックの言う通り、”向こう側”の人間で、誰かの幸せを真摯に願うことが出来る人なんだから。

    私みたいに、誰かの死を願ってる人とは違うんだから。

  • 99二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 15:58:51

    >>95

    修正。

    よく考えたら、4人以上殺してる。


    モモイ:

    「・・・たくさん。」

  • 100二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 16:04:20

    モモイ:
    「ウタハ先輩。
    そこをどいて?
    私、やることがあるの。
    私にしか出来ないことなの。」

    ウタハ:
    「・・・私が退いたら、君は また人を殺すだろう?」

    私は、ウタハ先輩の優しさに胸が痛くなった。
    何も武器を持っていない状態で殺人鬼と向き合って、怖いだろうに それを一切態度に出さず、一生懸命に説得しようとしてくれる。
    だけど、ごめんウタハ先輩。
    これしか、私には道が無いの。

    私はウタハ先輩の横を突っ切った。
    目指すはゲーム開発部の部室。
    ウタハ先輩が道中で立ちはだかったってことは、偽物達は そこに居る。

  • 101二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 16:12:46

    ウタハ:
    「・・・説得に失敗した。
    これよりプランBに移行する。」

    背後でウタハ先輩の声が聞こえた。
    ・・・当然、説得が失敗したときのバックアップ・プランも用意してるよね・・・。

    チヒロ:
    『了解。
    緊急閉鎖システム、オール・オン。』

    ヴェリタスの副部長のチヒロ先輩の声がスピーカーから聞こえた。
    次の瞬間、怒濤の勢いでミレニアムの廊下のシャッターが下り始めた。
    短い区間で区切るシャッターは、ミレニアム内に敵が侵入した際の最終防御システムだって、避難訓練のときに言ってたっけ・・・。

    そっか、私はミレニアムの敵なんだ。
    そう思うと、ストンと胸に落ちてくるものがある。

    ・・・私の邪魔をするなら、容赦しない。
    例え それが、大好きな先輩達でも。

  • 102二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 16:28:30

    閉鎖された廊下内で、通路の脇から警備ロボットが大量に出てくる。

    チヒロ:
    『モモイ、やり過ぎだよ。
    ここから先はミレニアムの戦力の中枢。
    早く降参した方が───』

    モモイ:
    「私の!邪魔を!するなぁ!」

    私は熱線で警備ロボット達を薙ぎ払うと、隔壁を勢い良く融解させた。
    隔壁を融解させる瞬間は、とんでもない太さの熱線が出た。
    ・・・力むと まだまだ出そうだね・・・。

    チヒロ:
    『っ・・・!
    高エネルギー反応・・・!
    このエネルギー量は───』

    チヒロ先輩が何か言ってるけど、私の知ったことじゃない。
    弾倉を替えて、次から次へと出てくる警備ロボットを対処する。

  • 103二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 16:36:59

    小休止。

  • 104二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:03:55

    バァン!

    隔壁が熱線で貫かれて融解する。
    私はドロドロと溶けていく隔壁に空いた穴の中を平気で通った。
    溶けた鉄が顔に掛かっても、暖かい泥が顔に掛かったくらいにしか感じない。
    手でペイってやる。

    不意に、横で何かが動いたことを、不鮮明な視界で捉えた。
    私は不鮮明な視界の中、やけにハッキリ見える弾丸をナイフで弾いた。

    ???:
    「うそ!?
    今のをナイフで弾くの!?」

    モモイ:
    「・・・マキ?」

    私は友達の名前を呼んだ。

    マキ:
    「そう!
    アナタを止めに来たよ!」

  • 105二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:08:13

    ハッキリとした視界で、マキの方を見る。
    マキは自分以外にも二人の先輩を連れていた。

    ハレ:
    「はぁ、こんなにして。
    落とし前はつけても貰うよ?」

    コタマ:
    「抵抗は止めて下さい。」

    モモイ:
    「ヴェリタスの皆・・・。」

    そうは言っても、私の立場からすると、攻撃を止められるはずもなく。
    私はヴェリタスの皆に銃を向けた。

  • 106二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:13:13

    モモイ:
    「・・・どいて。
    私は やるべきことをやる。
    邪魔しないでよ。」

    コタマ:
    「何があったのかは知りませんが、そう言われて「はいそうですか。」と通すほど、私達が薄情に見えますか?」

    モモイ:
    「・・・。」

    思わない。
    そういう人達だからこそ、傷つけたくないんだけど・・・。

    マキ:
    「モモ、これ以上は止めよう?
    こんなの おかしいよ、ミレニアム同士で攻撃し合うなんて───」

    モモイ:
    「ごめん、マキ。
    今は話し合いで解決できる状況じゃないよ。」

    私はヴェリタスに向けて発砲した。
    ヴェリタスの皆が私に気兼ねなく銃口を向けれるように。

  • 107二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:32:16

    【ヴェリタス・メンバー】

    私の銃弾を躱したヴェリタスの皆は、一斉に私に向かって反撃の銃弾を放つ。
    私は それらを全て置いてきぼりにしてヴェリタスの皆の背後に回り込むと、一番冷静そうなコタマ先輩の背に、アサルトライフルの接射を1マガジン分食らわせてやった。

    コタマ先輩は反対側の壁まで吹き飛ばされる。

    コタマ:
    「グッ・・・!」

    マキ:
    「コタマ先輩!?」

    ハレ:
    「速い・・・!」

    ハレ先輩が照準を こちらに合わせようとするけど、遅い。
    私はハレ先輩に迫ると、アサルトライフルをバットのように振りかぶって、ハレ先輩の腹部にクリーンヒットさせた。

  • 108二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:34:03

    ハレ:
    「うっ・・・。」

    ハレ先輩も吹き飛んでいく。
    やっぱり近接も、銃さえ間に挟めば それなりに効く。

    ・・・よし、後はマキさえ押さえ込んでしまえば包囲網を抜けれる。
    そう思ったとき、不意に腰のあたりに衝撃が来た。
    見れば、マキが私に組み付いて足止めを敢行してきたところだった。

    マキ:
    「今だよ!
    コタマ先輩!」

    コタマ:
    「・・・任されました。」

    次の瞬間、いつの間にか戦線に復帰してきていたコタマ先輩が、私の頭を狙って引き金を引こうとする。
    ・・・不味い、いくら超再生能力があるからって頭を抜かれたら数秒は意識が飛ぶ。
    そうしたら きっと お縄だ。

    私は咄嗟にコタマ先輩を迎撃しようとして───



    ───背後から来た、謎の黒い一閃がコタマ先輩の腹部に刺さった。

  • 109二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:42:55

    コタマ:
    「くっ・・・。」

    モモイ:
    「え?」

    マキ:
    「今度は何!?」

    その場の誰も、状況を詳しく理解出来なかった。
    しかし時間が経ってくると、私には見えてくるものがあった。
    コタマ先輩の腹部に刺さっているものは、サソリの尻尾のようにも見える。
    完全に毒針。
    そしてそれは、私にコタマ先輩の腹部の感触を返していた。

    ・・・これは私に生えてきたものだ。

    その答えを肯定するかのように、私の困惑を反映するかのように、毒針はコタマ先輩の腹部から離れる。
    そして、元あった位置に戻るかのように、私の背に引っ込んでいった。

    コタマ:
    「・・・これは・・・。」

    そう言い残して、コタマ先輩はフラつき、そして倒れる。
    その症状を、私は見たことがあった。

    モモイ:
    「・・・嘘・・・まさか・・・。」

    それはデットマザーが私の大切な友達に撃ち込んだ毒の反応と、全く同じだった。

  • 110二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 18:51:08

    ハレ:
    「・・・っ、コタマ先輩に、何をしたの!?」

    そんなの私にも分からない。
    だけど、新しく生えてきた肢体は私の言うことを あまり聞かず、咄嗟に銃を構えたハレに向かって反射的に反撃してしまう。
    今度はハレ先輩の首筋に、毒針が刺さった。

    ハレ:
    「あっ・・・。」

    ハレ先輩も、毒を受けて倒れた。
    ・・・。

    意識が・・・混乱する。
    何で私からデットマザーが持ってる毒が?

    ───今度は・・・私が・・・マキから仲間を奪った?

    マキの方を見る。
    マキはただ、呆然としていた。
    何も分かっていない目は泣きそうで、きっと先輩が何故か倒れたくらいしか分かっていないんだろう。
    ・・・きっと私が撃ち込んだそれが、遅効性の猛毒なんて、思ってすらいないだろう。

  • 111二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 19:00:29

    マキ:
    「・・・覚えててよねっ!」

    マキは半泣きになりながら、先輩二人を置いて去って行った。
    ・・・それでいい。
    友達まで殺したくない。

    私はヴェリタスの先輩二人を、安全そうな壁際に寄せて座らせる。
    ・・・ここに居れば、きっと私の”事”が終わった後に救助がくるよ。
    そうすれば病院に行って延命治療を受けることが出来て・・・それから・・・それから・・・。

    ・・・私が解毒薬を持ってくる。
    そうすれば皆助かる。
    そうだ、それでいいじゃないか。

    だからこそ、何をしてでも解毒薬を手に入れなきゃ。
    例え、人を殺してでも解毒薬を手に入れなきゃ。
    私が何に成っても、皆が助かることに比べたら大したことない。

    ・・・その為に、まず私達の偽物を殺さなきゃ。

  • 112二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 19:04:09

    小休止。

  • 113二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 19:31:56

    もう生徒とも言えない外見になって来たか。ここからは直ぐだね
    ミドリユズが偽物って確証もないし。どうなるやら

  • 114二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 20:36:29

    ゲーム開発部への部室へと歩く。
    視界の半分がボヤけてるから、いつもと勝手が違う。
    たしか、こっちだったはず・・・。

    ・・・。
    あれ、まだ着かないの?
    とっくに着いてても おかしくない頃なのに。

    ???:
    「説明が必要なようですね!」

    また聞き慣れた声だ。
    今日はもう、聞き慣れた声なんて聞きたくないのに。

    モモイ:
    「・・・コトリ。」

    コトリ:
    「私だけじゃありませんよ!」

    ウタハ:
    「私も居るよ。」

    モモイ:
    「ウタハ先輩・・・。」

    今度はエンジニア部か・・・。
    もう誰も、傷つけたくないんだけどな・・・。

  • 115二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 20:50:27

    モモイ:
    「離れて二人とも。
    私は今、キヴォトスの人間でも死に追いやれる猛毒を持ってる。
    ・・・それ以上近づくなら、命の保証は出来ないよ。」

    実際、背中・・・正確には尾てい骨から生えている毒針を備えた尻尾を、私は制御できない。
    戦闘中に近づいて来られたら十中八九、刺してしまうだろう。

    ウタハ:
    「・・・へぇ、それは興味深いね。
    だけど、それは私が このまま君の非行を許す理由にはならないよ?」

    コトリ:
    「わ、私もです!
    モモイさん を止めるためなら、そのくらいのリスク・・・負って見せます!」

    ・・・本当に優しいな、二人とも。
    でも そんな優しい二人が出てきてるのに、もう一人が引っ込んでる理由が分からないな・・・。

  • 116二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 20:51:40

    コトリ:
    「今 私達が居るのはエンジニア部謹製、”ラビュリントス・ルーム”です。
    この区画に入ったが最後、外部の人間が操作するか、内部の人間が全滅するまで抜け出せませんよ?」

    モモイ:
    「・・・へぇ、”内部の人間が全滅すれば”良いの?」

    コトリ:
    「その通りで───」

    ウタハ:
    「!
    コトリ!危ない!」

    コトリ:
    「へ?」

    私はコトリに向かって銃を斉射した。

  • 117二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 21:02:37

    私が放った弾丸は、ウタハ先輩が どこからともなく設置したセントリーガン・・・通称”雷ちゃん”によって防がれた。
    そのまま残られると面倒なので、熱線で焼き払う。
    ・・・雷ちゃんは、爆発四散した。

    ウタハ:
    「酷いことをするね、モモイ。
    ・・・もう、”あちら側”に行ってしまったのかな?」

    ウタハ先輩は、私の変化に気付いたようだ。

    モモイ:
    「・・・今日ウタハ先輩に初めて会ったときから、私は”あちら側”の人間だよ。
    ただ、覚悟が決まっていなかっただけ。
    ・・・でも、今は違う。
    もう、私は何でもする。
    最終的に、皆 助かれば それで良い。」

    毒針だって使用を躊躇わない。
    むしろ、一撃で無力化できる道具だと思えば頼もしい。

    ウタハ:
    「・・・最終的に助かる人間に、君は含まれているのかい?」

    モモイ:
    「え?」

    どこからか甲高い音が響いた。

  • 118二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 21:19:40

    私は飛んできた迫撃砲の弾を掴んで握り潰した。
    爆発が起き、破裂した金属片で手がズタズタになる。
    でも煙が晴れる頃には完璧に再生してしまったので、まるでノーダメージのように見える。

    ヒビキ:
    「効かないか・・・。」

    物陰に隠れていたヒビキが姿を現す。

    ウタハ:
    「我々の常套戦法なのだけどね。」

    ウタハ先輩が残念そうに首を左右に振る。
    どうやら今の奇襲が最大の策だったようだ。

    モモイ:
    「・・・万策尽きたなら、そこに横に並んでよ。
    順番に気絶させていくから。」

    コトリ:
    「───そうはいきませんよ?」

    完全に油断していた。
    横から来ていたコトリが何かを投げつけ、私は それをマトモに食らってしまった。

    すると、突然激しい痛みに襲われ、私は その場に蹲るようにして動けなくなった。

  • 119二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 21:22:25

    小休止。

  • 120二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 00:35:39

    モモイ:
    「あ”・・・あ”あ”ぁ”・・・。
    な、何を・・・?」

    ウタハ:
    「なに、何の変哲もない液体窒素を撒き散らすグレネードさ。
    C&Cの調査から得られたデータの分析で、”君たち”は冷気や水など・・・熱を奪われることに弱いことが分かってね。
    とはいえ実戦で試したことが無かったので ぶっつけ本番だったけど・・・その様子だと”効果は抜群”だったようだね。」

    モモイ:
    「ぐ・・・ぐぅ・・・。」

    ウタハ先輩の奥の手に、ぐぅの音しか出ない・・・。
    悔しいけど、油断が招いた完敗だった。
    体に纏わり付いた冷気で、私は指先すらピクリとも動かすことが出来ない。
    まさか こんな弱点があったなんて・・・。

    ウタハ:
    「コトリ、ヒビキ、例の拘束用 水槽の準備を。
    ・・・試験段階だが、この様子だと良い お灸になるだろう。」

  • 121二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 00:42:33

    モモイ:
    「・・・まだ、だよ。」

    私は冷気で震える喉の奥から、声を振り絞った。
    動かない手足を無理やり動かして起き上がろうとする。

    ウタハ:
    「・・・無駄だよ。
    シミュレーションでは、君は・・・いや、”君たち”は それを浴びれば1時間は動けない。」

    ”君たち”とは、きっとセルブスグループ関係の人間のことを指すのだろう。
    その言葉でウタハ先輩に一括りにされたのは・・・少し悲しかった。

    モモイ:
    「・・・シミュレーションでは、何て・・・データキャラの・・・負けフラグだよ・・・ウタハ先・・・輩。」

    腕に力を入れる。
    体重を支える方の腕が、ミシミシと音を立てた。

    それを見たウタハ先輩が、辛そうな顔をする。
    ・・・あぁ、そんな顔をしないで。

    ウタハ:
    「・・・モモイ、無理はしない方がいい。
    大丈夫、悪いようにはしない。
    なに、少し休むだけさ。」

  • 122二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 00:49:54

    モモイ:
    「・・・そん・・・なの、許され・・・ない・・・。
    もう・・・止まれ・・・ない。
    フラグ・・・は・・・折れてない・・・。
    進み・・・続けなく・・・ちゃ・・・。」

    そうだ、進み続けなくちゃ・・・。

    もう自分で毒針を刺してしまった。
    私が大好きな先輩を殺してしまうなんて・・・そんなの嫌だ。

    ミドリ、ユズ、アリス、ユウカは、まだ起きてない。
    エンディングは、まだ迎えてない。

    ハレ先輩は・・・コタマ先輩も、起こさなきゃ。
    エンディングは、まだ迎えてない。

    ───私が。

    私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。

  • 123二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 01:04:28

    ───私が、このゲームをクリアしなきゃ。

    ウタハ:
    「モモイ?」

    そうだ、何で忘れてたんだろう。
    このゲームは元々ダークファンタジーだったじゃん。

    それなのに、なんでNPCの助けを期待してたんだろう。
    結局は自分で敵を倒さなきゃ。

    私がラスボスを倒さなきゃ、このシナリオは終わらないじゃん。
    バカみたい。

    散々大好きなNPCに縋って泣いて・・・。
    それでイベントチャートの管理をミスってNPCを再起不能にして・・・。

  • 124二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 01:09:18

    チヒロ:
    『───ウタハ!離れて!!
    その子は、もう───』

    誰かの声が聞こえる。
    誰だっけ?
    あ、そうだ”NPCの”チヒロ先輩だ。
    そうか、まだチヒロ先輩のチャートは生きてるんだ。
    ・・・スチル、回収出来るかな。

    ウタハ:
    「しかし───・・・っ!」

    ・・・ごめんね、ウタハ先輩。
    ここで意識を失って貰わないと、”ラビュリントス・ルーム”ステージの攻略が出来ないんだ。
    暫く眠ってて。
    私はウタハ先輩の腹部に刺した毒針を抜いた。

    さぁ、ヒビキもコトリも毒針で眠らせちゃおう。
    多分それが、一番安全。
    変に参戦させちゃうと、ボス戦中にHPが0になって死んじゃうから、後から解毒薬で復活も出来ない。
    大丈夫、少しチクッてするだけだから。

    ───私が敵を全部やっつけて、エンディングに連れて行くから。

  • 125二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 01:17:13

    今日はここまで。
    おやすみ。

  • 126二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 08:41:05

    もう原形が無いやんけー!
    こんなモモイに偽物と本物の区別がつくんでしょうかねえ

  • 127二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 12:31:28

    【エンジニア部・メンバー】

    ヒビキ:
    「ウタハ先輩がやられた!コトリ!」

    コトリ:
    「ま、任されました!」

    コトリがミニガンを構えるけど、遅い。
    私はコトリの背後に回り込むと、その背中に毒針を刺した。

    コトリ:
    「あっ・・・!」

    ヒビキ:
    「コトリ!
    ・・・よくも皆を・・・!」

    近くにコトリが居るからか、ヒビキが迫撃砲で殴り掛かってくる。
    気迫は凄いけど、その振りかぶる速度は あまりに・・・遅い。

    私はヒビキの迫撃砲の砲身を手で受け止めると、その脇腹に毒針を刺した。
    ・・・これでエンジニア部は全滅した。

    あとは私が一時的に〇ねば・・・この”ラビュリントス・ルーム”ステージの攻略は完了する。
    私は自分の頭を掴むと、思いっきり首ごと捻った。

    ゴキリと骨が折れる音がして、私の意識は暗転した。

  • 128二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 16:24:06

    ───数分後。
    私の意識は覚醒し、寝違えたように歪んだ首を少し捻って治す。

    チヒロ:
    『まさか、そんな方法で”ラビュリントス・ルーム”が破られるなんてね・・・。』

    まさか一回死ぬことで突破されるとは思っていなかったのか、チヒロ先輩の驚く声が聞こえた。
    フフ、レアなイベントだ。

    見れば先程までの入り組んだ廊下は消えて無くなり、ただ真っ直ぐな廊下が目の前にあった。

    チヒロ:
    「だけど、これ以上は先に進ませない。
    ”あの子”たちの下には行かせない。」

    今度はスピーカーからではなく、生の声が聞こえた。
    見れば、大量の警備ロボットを引き連れたチヒロ先輩が、覚悟を決めた目で こちらを見ていた。

    ”あの子”たち?
    偽物の人形に随分愛着が湧いてるんだな。

  • 129二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 16:25:22

    所用を済ませてくる。
    終わったら本格的に更新したい。

  • 130二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 19:14:10

    心身共に堕ちて行く感じだ
    ハッピーエンドにたどり着けるんだろうか

  • 131二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 21:08:30

    【ヴェリタス副部長、各務チヒロ】

    一斉に銃弾が発射される。
    それは正に弾幕だったけど、私の目には抜けが幾つもあるように見える。

    結局のところ私を狙わないといけないんだから、私のスピードについてこれないと意味ない。
    例の液体窒素の入ったグレネードや、冷却目的なのか高圧放水なんかも放たれてるけど、さっき それらが有効だったのは、あくまでエンジニア部 全員の身を挺した奇襲と、完全な初見殺しだったからだ。
    ネタが割れてるなら、どんなマジックも つまらないもの。

    私は まだこちらを捉え切れてないチヒロ先輩と警備ロボット達の上をとると、チヒロ先輩ごと熱線で薙ぎ払った。
    警備ロボットは耐えきれずに爆発するだろうけど、流石にチヒロ先輩なら気絶で済むでしょ。

    常軌を逸した速度で熱された物質は沸騰して爆発を起こし、その爆発がロボットの燃料に引火して更に爆発を起こす。
    その爆発は熱線が当たっていなかったロボットをも巻き込み、結果 大爆発になった。

  • 132二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 21:10:33

    ・・・これなら流石のチヒロ先輩も気絶したでしょ。
    私は見切りをつけて背を向けた。

    ───その時だった。

    チヒロ:
    「あああぁぁぁぁぁ!」

    爆発の煙から、液体窒素の入ったグレネードをピンを抜いた状態で持って走り込んできたチヒロ先輩が飛び出してきて、タックルを仕掛けてきた。
    このまま下手な対応をしたら、こっちも無事では済まなそうだ。

    ・・・やりすぎだよ、チヒロ先輩。

    チヒロ:
    「ぐぅ・・・!」

    私はチヒロ先輩の腹部に毒針を刺すと、弛緩していくチヒロ先輩の手からグレネードを抜き取り、未だ爆発を繰り返すロボットの残骸の山へと投げ込んだ。
    一瞬、炎の勢いが弱まった気がしたけど、直ぐに火の手は戻る。

    私は火災現場からは少し離れた、火の手の回ってこない換気の行き届いた場所にチヒロ先輩を座らせた。

    ・・・待っててね。
    このゲームがエンディングを迎え、大団円を迎える、その時まで。

  • 133二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 21:12:50

    小休止。

  • 134二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:20:08

    チヒロ先輩を安全な場所に置いてきた私は、廊下を歩く。
    何だか視点が高い。
    まるで大人になったみたいだ。

    ・・・もう、止めてくれるエンジニア部やヴェリタスは居ない。
    まだ、マキが残っているけど、きっと もう姿を見ることも無いだろう。
    自分が望んでいたことのはずなのに、何故か少し、寂しく思った。

    ・・・暫く歩いて、ようやく辿り着いた。
    ここが、”私達”の居場所・・・ゲーム開発部 部室・・・。

    私はその扉ドアノブを、丁寧に回す。
    ・・・開かない。
    鍵が掛かってる。

    ・・・。

  • 135二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:20:52

    私は扉を蹴破った。
    ・・・?
    誰も居ないの?

    私が物陰を一つ一つ確認して回っていると、不意にロッカーがガタッと揺れた。
    ・・・あぁ、本物と同じように、そこに隠れてたワケね。

    私は”ユズ”のロッカーを開ける。

    偽ユズ:
    「あ・・・───」

    私は偽ユズの首を掴んで引っ張り出した。
    ・・・アナタは そこに居ていい存在じゃない。
    そこは私の仲間の”ユズ”の居場所。
    断じて、アナタではない。

    それに、ユズのロッカーが汚れちゃったら怒られちゃうもんね。

  • 136二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:23:03

    私は手に力を込めた。

    偽ユズ:
    「あ、ぁぁ・・・。」


    変なの。
    まるで”感情があるみたいな”恐怖に引き攣った顔して。
    アナタ達は感情の無い人形のはずでしょう?

    あぁ・・・きっと私の罪悪感が そう見せているんだな。
    大丈夫だよ、私。
    痛みを感じる暇もなく殺すから、何も問題ないよ。

    そうして私は偽ユズを一瞬で蒸発させようと、首を掴んでいる方の手を加熱させていき───

    ???:
    「やめて!
    ユズを離して!!」

    え?
    その声は───



    ───私?

    しかし時 既に遅く、私の手の中で偽ユズは一瞬の閃光を放ち、灰と髪が焼ける嫌な匂いを残して消えてしまった。

  • 137二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:36:47

    モモイ?:
    「バケモノ!
    ユズをどこにやったの!?」

    ・・・私が目の前で喋ってる・・・。
    あの日、ほんの数日前。
    ただ皆で楽しくゲーム開発部として やっていた私のままで。

    きっと、この私は今、”仲間のユズ”が死んだことも理解出来ていないんだろうな・・・。
    私は何だか違和感を感じる口を動かした。

    モモイ:
    「死んだよ。
    ”アナタの仲間の”ユズは死んだの。」

    声を無理やり変成器で変えたような、男の人の声に近い、バケモノみたいな歪で低い声が出た。

    モモイ?:
    「・・・嘘・・・うそだよ・・・。」

    目の前の私は相当ショックらしく、血の気の引いた顔で たじろいだ。
    正直、なんで殺した偽ユズといい、目の前で喋っている偽物の自分といい、どうしてここまで感情豊かなのかは分からない。
    多分、ライブスタックの嫌がらせだろうけど、メタ的にこのシナリオを考えたヤツは頭がおかしい。
    どうかしている。

    なんで、私が嫌がるシチュエーションを用意するためだけに、”今までとは違う偽物”を用意するかな。
    製作コストを考えたら、同一にした方が楽でしょ。

    でもまぁ、やることは変わらないかな。

  • 138二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:55:35

    私は、偽物の私の後ろで心配そうに顔を出している偽ミドリに飛びかかった。

    ・・・正直、ミドリだけは感情の無い方の人形にしてくれないかなって思ってたけど、そんな都合良くはいかないか。

    モモイ?:
    「止めて!
    妹には手を出さないで!!」

    偽物の私が泣き叫ぶけど、知ったことじゃない。
    それどころか、自分の無力さを自分自身で証明しているようでイライラする。

    私は追い縋ってくる偽物の自分をハタいて弾き飛ばした。
    ・・・アナタは最後にしてあげる。
    私と同じように、ミドリが死んで行く様子を見るといい。

    アナタは私の心が死んで行く間にも、私達の居場所のはずのゲーム開発部を占拠して楽しんでいたんでしょ?
    何も知らないクセに。
    何の力も無いクセに。
    何にも辛い思いをしていなクセに。

    ───私のエンディング報酬を奪わないでよ。

    偽ミドリ:
    「お、お姉ちゃ───」

  • 139二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 22:57:00

    私は偽物の私に手を伸ばした偽ミドリを一瞬で蒸発させた。
    灰と髪が焼ける嫌な匂い。
    私の手元に、心臓に埋め込んで合ったLv.4のセキュリティカードだけが残る。

    モモイ?:
    「あ、あぁ・・・。」

    偽物の私が、目の光りを失い、力なく項垂れる。
    ・・・なんだか、これじゃない感。
    ついやってしまったけど、こんなことなら偽ミドリより先に偽物の自分を処理しておけば良かった。

    そう思いつつ、私は偽物の自分に手を伸ばし───

    マキ:
    「ダメ───!」

    マキに、その手を阻まれた。

  • 140二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 23:25:01

    ここでマキの登場か・・・。
    正直、マキの登場は予想して無かった。
    てっきり戦闘力的に、もう出番は無いと思ってたから。

    ・・・仕方が無い。
    取り敢えず偽物の私から引き剥がして、抵抗が激しそうだったら毒針で昏倒───

    マキ:
    「大丈夫?モモ?
    このモンスターに何されたの?」

    モモ?
    そっちは偽物の私だけど・・・?
    あれ、そっちがモモイなの?
    なら主人公の・・・私は誰?

    いや、落ち着こう。
    きっとマキは、多分 今 変な姿になっているであろう私の変身シーンを見てないから、私をモモイと認識出来ていないだけだよ。
    それに多分、きっとマキは偽物の私に ついて知らされて無かったんだ。
    だから、多少 格好が違っても、同じ顔の偽物を本物だと思い込んでるだけなんだ。

  • 141二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 23:25:32

    モモイ?:
    「・・・マキ。私は───」

    マキ:
    「私が来たからには、もう大丈夫!
    こんなモンスター、私が追い払ってやるんだから!」

    そう言うマキの膝は震えていた。
    その瞳には、モモイでは無く、無慈悲で残酷なモンスターが映っている。
    そこには怖くても命がけで”友達”を守る、立派なマキの姿があった。

    でも私の友達が”友達の私”だと思っている存在は、”私”じゃない。
    でもマキが それを”私”だと思うなら、それこそが”モモイ”なのでは?
    ・・・。

  • 142二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 23:26:39

    モモイ:
    「・・・マキ、逃げて・・・。
    私、マキも失いたくない・・・。」

    マキ:
    「・・・!
    ・・・大丈夫だよ、私は強いもん・・・!」

    ・・・。
    ダメだよ。
    これじゃあエンディングまで行っても、私の席が・・・。

    私じゃなくて、戻ってきた仲間に喜ぶ、”モモイ”のハッピーエンドになっちゃう。
    ・・・?
    それでいいのでは?
    何か間違いが?
    ・・・あれ?

    ───私は その場から逃げ出した。
    ”モモイ”を守るマキを見ていると、頭が おかしくなりそうだった。

    私はモモイのはずだ。
    だけど、でも・・・。
    もしかしたら、私は自ら”偽物のモモイ”に成ってしまったのかも知れない。

    私の手にはLv.4のセキュリティカードが握られていた。
    ・・・マキの手を握っていた”モモイ”の手に比べると、随分と虚しいものに思えた。

  • 143二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 23:31:06

    小休止。

  • 144二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 03:20:32

    ─── チリリリリン。

    ミレニアム郊外の廃墟の路地裏で、突然、一昔前の電話の呼び鈴が聞こえた。
    ・・・こんなとこまで。
    私は例の黒電話を探した。

    ・・・果たして それはあった。
    廃墟の片隅に、ポツンと、黒電話が鎮座している。
    そのミスマッチさは、不気味ですらあった。

    モモイ?:
    「・・・もしもし。」

    ライブスタック:
    「あら、酷い声ね。
    Lv.4セキュリティカードを手に入れる”ついでに”、偽物達を殺すことは出来た?」

    ・・・分かってたクセに。
    このイカれたシナリオを書いた張本人のクセに。

    モモイ?:
    「・・・必ず、アナタを殺すよ。」

    ライブスタック:
    「えぇ、楽しみにしてるわ。」

    私は黒電話を蒸発させた。
    あのメタ視点持ちのクソボスを、一刻も早く このゲームから除外しよう。

  • 145二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 03:40:35

    しかし、まぁ結局のところ、移動には それなりの時間が掛かるワケで・・・。

    私は今の背丈に合うバイクを探した。
    行きのときは内心急いでいたので適当な共用バイク(盗難され続けているとも言う)で済ませたけど、今は悪い意味で心に余裕があるから、せっかくマスターしたからには自分のバイクが欲しい。

    セルブスグループから せしめた金は・・・あっ。
    変身したときに飲み込まれちゃったけど、戻り方分かんない・・・。
    じゃあ しょうがない、盗むか。
    ・・・いや、闇銀行に お金を借して貰えるか聞いてからでも遅くないか。

    私は手ぶらで闇銀行に向かった。

  • 146二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 03:51:21

    ───十数分後。

    銀行員:
    「お金は差し上げますから!
    どうか命だけは・・・!」

    悲報。
    銀行に入って借金の相談をしたら、銀行強盗ばりに怖がられている件。

    ・・・おかしいなぁ。
    私、ちゃんと受付番号の案内に従って、この席に着いてるよね・・・。
    私が怪異か何かに見えてるのかな?(バリバリ怪異の見た目をしながら)

    まぁ、でも、せっかく自分から お金くれるって言ってくれてるワケだから、貰っちゃおうか。

    モモイ?:
    「じゃあ、1,000万クレジットくらい用意出来る?
    今、バイクが欲しくてね───」

    銀行員:
    「お安い ご用です!
    少々お待ち下さい!」

    ・・・話が終わる前に行っちゃった。
    まぁ、お金くれるなら何でも良いか。

  • 147二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 03:58:06

    銀行員:
    「はい!
    こちらに これでもかと詰めました!
    ですので、どうか命だけは・・・!」

    モモイ?:
    「しつこいな。
    お金さえ借して貰えるなら文句は無いよ。
    それで?
    このお金は いつまでに返せばいいの?
    金利?みたいなのもあるんでしょ?」

    銀行員:
    「いえ・・・!
    返済は結構です・・・!
    というか出来れば二度と来ないで下さい・・・!!」

    ・・・何だか とっても失礼なことを言われた気がする。
    取り敢えず銀行員を、死なない程度に殴って吹っ飛ばしといた。
    銀行内の空気が凍り付いたような気がしたけど、気にしない。

    私は闇銀行を出た。
    手元には明らかに1,000万クレジット以上の金の入ったバックがある。
    これで好きなバイクが買えるね!

  • 148二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 04:12:11

    私はブラックマーケットのバイクショップに来た。
    とはいえ、私は別にバイク好きでも無ければバイクに詳しいワケでも無い。

    なので、適当なバイクを店員に見繕わせた。
    店員が持ってきたのは かなり大きめの黒いバイクで、元の私の身長では操作できない くらい大きい。

    特に拘りも無かったので、少し試乗して問題なさそうだったから それに決める。
    サービスでペイントやオプションを付けてくれる という話だったので、差し色にオレンジを入れて貰った。
    元の私のイメージカラーは桃色だけど、今の私はオレンジだ。
    ・・・悲しい。

    自分のバイクにガソリンをタップリ入れて貰うと、ライブスタックの下に走り出した。
    盗んだバイクでは無く、買ったバイクで。
    (半分脅し取ったような金で”買った”といえるのかは甚だ疑問ではあるけど。)

  • 149二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 04:15:32

    寝る。

  • 150二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 13:57:24

    ───数時間後。

    ライブスタックが待つビルに着いた。
    適当な場所に、オプションで付けて貰った盗難防止アイテムをバイク取り付け・・・いや、スレイブの前例を考えると、ここら一帯が瓦礫の山になるワケだし、もっと離れた場所に置いとくか・・・。
    せっかく買った?のが直ぐスクラップになるのは悲しいし、ここまで来たらライブスタックも逃げたりしないでしょ。

    ・・・逃げたら腹いせ に 支社ビルを瓦礫の山にしてやろ。
    結構な被害額になるだろうし。

    どれだけ暴れても、ある程度 余裕のある場所にバイクを停めて、今度こそ盗難防止アイテムを取り付けると、私は歩いて支社ビルまで戻った。

    準備出来たよ。
    ・・・ようやくアナタを殺せるよ、ライブスタック。

  • 151二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 14:02:59

    少し所用を済ませてくるから、4~5時間は更新できない。

  • 152二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 19:20:42

    取り敢えず罠が怖いから正面玄関からは入らず、ビルの壁を破壊してロビーに侵入する。
    ・・・特に何も無い。

    ガランとしたロビーで地下への入り口を探す。
    すると、ロビーの受付の奥の、スタッフルームと おぼしき場所で、不自然に設置された大きめのベットの下に隠し階段を見つけた。
    ・・・最初に気付かれたら、どうするつもりだったんだろう・・・。

    見れば、結構長い地下への階段が続いていたので、階段下からの急襲に気を付けつつ、階段を下る。

    ・・・。
    ・・・・・・。
    ・・・・・・・・・。

    階段を下りてから暫くすると、階下から銃撃戦のような音が聞こえ始めた。
    ・・・ちょっと、嫌な予感がした。

    慌てて階段を駆け下りると、案の定Lv.4セキュリティカードが必要だったであろう豪奢な扉が爆破によって こじ開けられ、中ではライブスタックと思わしき蚕が人の形をマネしているかのような異形と、C&Cが銃撃戦を繰り広げていた。

  • 153二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 19:32:23

    ライブスタック:
    「───あら、遅かったじゃない。」

    蚕が人の姿をとったかの異形、ライブスタックが先にコチラに気付き、声を掛けてきた。
    とは言っても、4本ある腕を利用して二丁のライフルを扱いながら、C&Cに対する銃撃は止めない。

    ネル:
    「あ?
    新手か・・・。」

    C&Cを率いるネル先輩は、ライブスタックと撃ち合いながらハンドサインでメンバーに指示を出した。
    指示を受けたメンバーは、カリン先輩がネル先輩と一緒にライブスタックの相手を、アスナ先輩とアカネ先輩が私の方に向かってきた。
    見た目が見た目だから しょうがないところはあるけど、状況的にもライブスタックの仲間だとしか思われていないということが、ちょっと悲しかった。

  • 154二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 19:33:18

    小休止。

  • 155二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 20:32:13

    【C&C、一之瀬アスナと室笠アカネ】

    アカネ:
    「排除させて頂きます。」

    アスナ:
    「・・・。」


    どうにもアスナ先輩の様子が おかしいけど、私が気にしても しょうがないか。
    私は瞬間移動のようにC&Cの二人の後ろに回り込むと、アカネ先輩に跳び蹴りを食らわせた。

    アカネ:
    「くっ・・・。」

    流石C&Cというべきか、跳び蹴りは受け止められ、殺しきれなかった勢いだけでアカネ先輩を吹き飛ばすだけに留まった。
    これでは直ぐに戦線に復帰してきてしまうだろう。

    その間に超常的な感覚を持つアスナ先輩をダウンさせてしまいたいところ。
    私がアスナ先輩を見ると、アスナ先輩はアカネ先輩が吹き飛んだことには動揺せず、冷静な目で銃口をこちらに向けていた。

    銃口から火が出る。
    私は滑るように銃弾を躱してアスナ先輩に迫る。

    てっきりアスナ先輩は、目が追いつくとか追いつかないとか そういうのを無視して何故か弾丸だけは的確に当ててくると思っていたけど、不気味なほど何事も無くアスナ先輩の放つ弾丸を躱すことが出来た。

  • 156二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 20:46:17

    アスナ先輩は弾丸は当たらないと見るや、こちらの動きに合わせたタイミングで銃身を握り、振りかぶって近接に切り替えてきた。
    その動きはあまりに合理的で、何だか いつものアスナ先輩では無いようだった。

    ・・・とはいえ、その膂力は今の私からすると、あまりに非力で、振りかぶった銃身は いとも簡単に片手で抑えることが出来た。
    少し掌が砕けるけど、一瞬で再生する。

    不気味なほど、弱い。
    このレベルなら軽くハタけば簡単に気絶させることが出来て、無力化出来るだろう。

    そう思って毒針を使うこと無く気絶させようとし───



    ───アスナ先輩の脇腹に、忘れようも無いピンク色の麻酔弾が生えた。

    アスナ:
    「あっ・・・。」

    アカネ:
    「アスナ先輩!」

    アカネ先輩の悲痛な叫びが耳に痛い。
    麻酔弾の飛んできた方を見ると、あの忌々しいイカれた大人が立っていた。

    デットマザー:
    「お待たせしました、ライブスタック。」

  • 157二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 20:48:38

    小休止。

  • 158二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 21:19:50

    第2章も佳境か
    わくわく

  • 159二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:14:13

    ライブスタック:
    「ハー・・・ハー・・・アンタも・・・遅かったじゃない・・・。
    ミレニアム最強の・・・ハー・・・コールサイン00(ダブルオー)と・・・精鋭の・・・コールサイン02(ゼロツー)の・・・コンビの相手をするのも・・・ハー・・・楽じゃ・・・ハー・・・無いんだけど・・・おぇ・・・。」

    ライブスタックは傷だらけでボロボロになりながら、ネル先輩とカリン先輩の相手をしていた。
    ・・・何と言うか、持ち堪える為にペース配分なんて考えずに全力疾走した図に見える。

    デットマザー:
    「これは失礼しました。
    時間通りに来たつもりでしたが、配慮が足りなかったようです。
    ・・・皆、C&Cの方々を丁重に追い出しなさい。」

    その言葉と同時に、デットマザーの背後から大量の黒い仮面を被った生徒が現れ、C&Cとライブスタックの間に壁を作った。

  • 160二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:15:07

    ライブスタック:
    「ぜぇ・・・はぁ・・・これでまだ”残業”出来そうね・・・。」

    ネル:
    「クソ!
    また、コイツらかよ!」

    カリン:
    「リーダー、このままだと囲まれる。」

    ネル:
    「わーってる!
    アカネ!アスカを連れて脱出するぞ!」

    アカネ:
    「!
    はい!」

    アカネ先輩は倒れ込んだアスナ先輩を手早く担ぐと、ネル先輩達と一緒に追い込まれるように地上へと走って行った。

  • 161二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:25:54

    デットマザー:
    「ふむ、感謝しますライブスタック。
    囮を買って出て頂いた お陰で、あの一之瀬アスナを完全に無力化することが出来ました。
    大分前から仕込みをしていたとはいえ、これでシナリオが より進め易くなるでしょう。」

    ライブスタック:
    「仕事だもの・・・はぁ・・・ふぅ・・・当たり前じゃない。
    でも、シナリオ通りとは言え・・はぁ・・・もっと早く来てくれると有り難かったわ・・・ふぅ。」

    デットマザー:
    「重ね重ね、お詫び申し上げます。」

    大人達が仕事の話をし始める。
    居ない者のように扱われるのが気に障ったので、シンプルに疑問に思ったことを口にしてみる。

    モモイ?:
    「ねぇ、アスナ先輩に何をしたの?
    何だか いつものアスナ先輩じゃないみたいだったけど。」

    デットマザー:
    「あぁ、それはですね。
    前々から一之瀬アスナの食事に毒を混ぜていたのですよ。」

    反応は期待してなかったけど、思いの外デットマザーが話題に食いついた。

  • 162二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:37:42

    デットマザー:
    「ご存じの通り、我々の目的は”ミレニアムの占拠”です。
    その為に最も厄介な人間の一人に、一之瀬アスナがいたのです。
    彼女の神秘は、”何でもかんでも過程を吹き飛ばして正解を引き当ててしまう”というもの。
    そんなチートが実働部隊に居ては、いつ我々のシナリオがブチ壊されてしまうのか気が気ではありません。

    ですので、我々の動きが表面化する 少し前から、我々は一之瀬アスナの食事に毒を入れ始めました。
    その毒自体は毒性が弱い物で、少し摂取したところで何の問題もありません。
    ですが我々は、彼女の食生活を完全に把握し、その供給元を買収して広範囲に、一之瀬アスナにだけ蓄積するように細工したのです。

    その結果、一之瀬アスナの体内には毒が蓄積され、ついに その毒の本来の毒性である”神秘の弱体化”が効果を現し始めました。
    先程、アナタは”神秘の弱まった”一之瀬アスナを見たのではありませんか?」

    確かにそうだった。
    さっき私が相手にしたアスナ先輩は、あまりに弱かった。

  • 163二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:50:06

    デットマザー:
    「このキヴォトスにおいて、神秘の強さとは防御力の強さであったり、攻撃力の強さであったり、破壊力の強さであったり、特殊能力の強さであったり・・・まぁ様々な恩恵と束縛をもたらします。
    一之瀬アスナは、その中でも最も大きな代償を支払っている部類でしょう。
    だからこそ、その力は脅威と言えます。

    もし彼女の神秘が弱まっていなければ・・・先日の話ですが、アナタは人殺しにならなかったし、そもそもC&Cは私の手勢に囲まれることすら無かったでしょう。
    彼女は あの時点で、”直近の正解”しか引き当てる・・・いえ察知することしか出来ないレベルにまで神秘が弱まっていました。

    ・・・本当はあの時点で無力化するべきだったのですが、私のミスのせいでライブスタックには苦労を掛けてしまいましたね。」

    ライブスタック:
    「ホントよ、仕事増やさないでくれる?」

    デットマザー:
    「おや、元気になったようですね。
    では時間稼ぎはこれくらいにして、後は頼みましたよ、ライブスタック。
    C&Cは こちらに お任せ下さい。」

    ライブスタック:
    「はいはい、さっさと行った。
    幾らアンタの手勢が優秀だからって、アンタ無しでミレニアム最強にいつまで持つか分かんないんだから。」

    ライブスタックが手を払うと、デットマザーは掻き消えるように居なくなった。

  • 164二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 23:52:03

    小休止。

  • 165二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:21:43

    ライブスタック:
    「さて、ここからは”残業”ね。
    ・・・決着を付けましょうか、モモイだった誰かさん?」

    全てを知っている異形は、そんな表情出来ないはずなのに、ニタリとでもいうかのような悪意を全面に押し出した。
    その異形の風貌は男性のようにガッシリとした体躯をしていて、その喉から出る声は、電話口に聞いた声と比べて明らかに不自然で、低い。
    まるで男性の声のような それに、自分自身に起きた声の変化と、スレイブが突然 女性になった理由を見た気分だった。

    モモイ?:
    「・・・”私達”は性別を擬態出来るの?」

    ライブスタック:
    「ん~、性別の擬態とは また違うわね。
    確かに体格は男性に近くなるけど、別にそこに意味は無いもの。
    ただ一時的なパワーアップとでも思えば良いわ。
    体が大きくなると声が低くなるのは、何の不思議でもないでしょう?」

    ライブスタックの言い分は、相変わらず通ってるように聞こえる。
    そして、実際そうなのかも知れない。

    ・・・ていうか、話し方と声がミスマッチ過ぎて、オカマみたいに聞こえる。

    モモイ?:
    「ふ~ん。
    まぁいいや。
    殺し合おっか。」

    私は無手で構え、ライブスタックは 何処からか4本のレイピアを取り出して4本の腕に それぞれ装備した。

  • 166二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:37:17

    【セルブスグループ幹部、ライブスタック】

    モモイ?:
    「レイピアか・・・。」

    ゲームでは微妙な武器に なりがちだけど、こうして相手にしてみると滅茶苦茶 厄介に感じる。
    4本も装備しているから単純に物量に押されてるっていうのもあるけど、一振りだけでも十分脅威だ。
    何しろ、相手は刺し殺すことしか考えなくて良い。
    単純かつ強力な武装は、それだけで脅威だ。

    ライブスタック:
    「フフ・・・面倒でしょう?
    良いことを教えてあげるわ───」

    次の瞬間、ライブスタックが突貫してきた。
    突き出すのは右側の一本・・・恐らく最も力の入るであろう利き腕の一撃。
    私はそれを紙一重で回避すると、次の瞬間 左腕の2本が襲ってきた。
    ・・・これは避けれない。
    私は出来るだけ急所を外して2本の一撃を受けた。

    肉の中に金属が入る、嫌な感じがする。
    そして、追撃に正面から最後の右腕の1本の一撃。
    ・・・完全に仕留めに来てる。
    私は傷口が開く痛みが走るのを覚悟で、右側に転がって回避した。
    傷口が必要以上に開き、血が噴き出す。

    ライブスタック:
    「結局のところ、戦闘では自分ルールを相手に押し付けられれば勝ちなのよ。」

    ライブスタックは身も蓋もない真実を口にした。

  • 167二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:54:22

    ライブスタックの攻撃はシンプルだ。
    絶対に躱さなきゃいけない一撃で相手に突進し、強制的に躱させ、次に絶対躱せない連撃を差し込み、また躱さないといけない一撃をブチ込む。
    そうして最後の一撃を無理やり躱すと、必要以上に血を流させることが出来る。
    これを繰り返せば必ず勝てる。

    ゲームなら確実にクソ戦法。
    でも現実なら極めて合理的な戦法だ。

    ライブスタックがジリジリと間合を詰めてくる。
    ・・・その威嚇するみたいにレイピアを4本上に掲げるのは止めて欲しい。
    ちょっと笑える。

    ライブスタック:
    「フフ・・・笑ってる場合かしら?
    この戦法を破らないと、まずアナタに勝ち目は無いわよ?」

  • 168二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:55:11

    モモイ?:
    「・・・私も良いことを教えてあげるよ───」

    私は距離を取ろうとしていた態度を一変させて、突然ライブスタックの間合に飛び込んだ。
    ライブスタックは慌てることも無く、コンボの一段目を繰り出し───



    ───私は それを躱すことなく腹にレイピアを刺した。

    ライブスタック:
    「・・・は?」

    モモイ?:
    「クソコンボは!
    相手がこうする・こうなるだろうっていう前提が崩れると弱い!」

    私はレイピアが腹に深々と刺さった状態で、ライブスタックの顔面を殴って吹き飛ばした。

  • 169二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 01:55:44

    小休止。

  • 170二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 02:49:48

    ライブスタック:
    「フフ・・・身も蓋もないわね・・・。」

    ライブスタックはヨロヨロと立ち上がった。

    私も、腹部に刺さったレイピアを抜く。
    放り投げられたレイピアが、カランカランと硬い音を立てた。

    モモイ?:
    「・・・素直に殺されてくれるなら、楽に殺してあげるよ?」

    ライブスタック:
    「冗談。
    手札は まだ残ってるわ。
    私をスレイブ以下と思って貰っちゃ困るわね。」

    そう言うと、ライブスタックは残りの3本のレイピアを投げ捨てた。
    カラカラと耳障りな金属音が、やけに爽やかに聞こえる。

  • 171二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 02:53:42

    ライブスタック:
    「上品な振りは・・・もう、やめにしましょう。」

    突然、雰囲気が変わった。
    それを視覚的に表すように、蚕のように白かった異形の体が、炭のように黒く染まる。
    そして闘気が迸るように、全身から陽炎が滲み出してくる。

    腕が、一回りも二回りもバルクアップし、体格が細身の剣士の それ から、一気に格闘家の それ に変わる。

    ライブスタック:
    「私は・・・これより 一人の戦士。
    ・・・幼き戦士よ!
    私を超えてみなさい!」

    次の瞬間、今度は戦法もクソも無いシンプルに発生が速い右ストレートが私を襲った。

  • 172二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 03:06:26

    モモイ?:
    「ヴァァァァァァ!?」

    私は高速で出口の階段をバウンドさせられたかと思うと、次の瞬間には圧倒的衝撃が背中に走り、気が付けば深い地面の底に居たはずの私は、地下を飛び出して空中に投げ出されていた。
    慌てて姿勢を整えると、視界にセルブスグループの支社ビルが映った。
    そして次の瞬間には、私をカチ上げた張本人であるライブスタックが映り込んだ。

    脳が危険を認識するよりも速く、腹部に拳が打ち込まれる。
    私は背後のビルを何棟も貫通し、最後には低めのビルの屋上に投げ出された。

    モモイ?:
    「何が・・・どうなって・・・───」

    グチャグチャになった内臓が、自分でも分かる超速度で再生される。
    しかし次の瞬間には、意識の外から体を持ち上げられ、屋上の床に叩き付けられる。
    私は その衝撃で、低めとはいえビルの最下層まで突き抜けた。

    モモイ?:
    「・・・。」

    もう理解が追いつかない。
    分かるのは、目の前に降りてきた大人が、今までの大人とは一線を画す怪物だということくらいだった。

  • 173二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 03:26:02

    ライブスタック:
    「全く、策を弄するというのは どうにも性が合わないわ。
    やっぱり こうやって、気に入らないものは直接殴って解決する方が何倍も気持ちいいもの。
    ・・・ねぇ、アナタもそう思わない?」

    あれだけ策を弄しておいて、それが性に合わないと言われるのは、正直 恐怖しか感じない。
    でも、これだけの暴力を内に秘めていたのだったら、策を弄するのが好きじゃないという発言も、筋が通っているように感じてしまう。

    ライブスタック:
    「早く立ちなさい。
    死んでしまうわよ?」

    私は慌てて立ち上がる。
    傷は既に癒え始めているけど、心の方は既にズタボロだった。

  • 174二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 03:27:42

    また、理不尽な発生スピードの右ストレートが飛んでくる。
    今度は何とか受け止めるけど、勢いを殺しきれず、ビル数棟分 吹き飛んだ。

    ライブスタックはピッタリ張り付くように追いかけてくる。

    ライブスタック:
    「みっともないわね・・・。
    仲間を毒に侵されても、意気地なしなワケ?アナタ?」

    そうだ、ミレニアムの皆・・・!
    私が・・・私が助けなきゃ・・・!!

    モモイ?:
    「・・・ブッ殺す!」

    ライブスタック:
    「そうこなくちゃ!」

    私とライブスタックの拳が ぶつかった。

  • 175二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 03:55:35

    【戦士、●●●】

    衝突したライブスタックと私の拳だったけど、やっぱりパワーではライブスタックの方が上だ。
    簡単に吹き飛ばされてしまう。

    しかし、ビルを数棟 突き抜けた辺りで、私は体勢を立て直し、近くにあったビルの壁を蹴って迫ってくるライブスタックに殴り返した。
    ライブスタックは それを簡単に受け止めるけど、私は次の瞬間には股下を潜り、地面を蹴って背中に蹴りをカマした。

    ●●●:
    「・・・フンッ!」

    ライブスタックはカウンターで地面に強く踏み込み、アスファルトの道路を砕いて擬似的な剣山を瞬時に生成した。
    私は、剣山が発生する勢いを逆に利用して その場を脱する。

    ・・・やっぱり、私が自分の性能について来れていなかっただけで、スピードだけなら私の方がライブスタックよりは上だ。
    でも、ライブスタックの耐久が圧倒的過ぎて、このままでは致命傷を与えることが出来ない。

  • 176二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 03:55:57

    ●●●:
    「・・・まだ勘違いしてるの、アンタ?」

    また雰囲気が少し変わった。
    第三形態のスレイブのときみたいに、少し口調が幼くなる。

    モモイ?:
    「・・・何を?」

    ●●●:
    「この世界じゃ肉体のスペックが全部じゃないってコト。
    アンタはもっと強くなれる。
    それなのに、無意識で自分を押さえつけてる。
    私、つまんない。」

    ・・・そんなことを言われても、困っちゃう。
    無意識で押さえつけてるものを、どうやって解放しろっていうの?

  • 177二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:06:53

    次の瞬間、私を無邪気な暴力が襲った。
    私は玩具のように上に飛び、下の落ち、横に吹き飛ぶ。
    明らかに、さっきまでより速い・・・!

    ビルを数棟、当然のように粉砕した先で、当たり前のように居るライブスタックと再び対面した。

    ●●●:
    「アンタに必要なのは、こんな圧倒的な暴力。
    スピードなんかオマケだよ。
    もっとパワー出して!」

    どんどんライブスタックの口調が幼くなってきているような気がする。
    そしてそれに比例して、強さもエグい。

    万力のような握力で顔面を掴まれると、重機のような衝撃力で何度もコンクリートの地面に叩き付けられた。

    ●●●:
    「だ~せ!だ~せ!
    じゃなきゃ死んじゃえ!!」

  • 178二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:07:53

    あまりに無邪気な、それでいて恐ろしいことを言うライブスタックに、私の血管は沸騰した。

    モモイ?:
    「アァァァァァァ!!!」

    先日、正気を失ったあの時のように、私は無意識で地面を強く叩いた。
    すると同じように、地面にオレンジの亀裂が入る。

    ●●●:
    「・・・それ!
    私が欲しいの、それ!」

    慌てて避けるライブスタックの声は、あまりに嬉しそうだった。

  • 179二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:20:45

    そんなに惨く死にたいなら・・・やってやる!
    私は全力で丹田に力を込めた。

    モモイ?:
    「ガアァァァァァァ!!」

    今にも沸騰して爆発する溶鉄のような輝きを放つ拳が、超速でライブスタックに入る。
    あの時と同じように発生する、閃光、轟音、耳鳴り───

    しかしライブスタックは一歩も怯むことなく、ニカッと笑った。

    ●●●:
    「・・・いい拳じゃん。」

    ライブスタックも豪速の拳を打ち込んでくる。
    大気が弾かれるような爆音を上げて、私の顔面に直撃する。
    しかし私は一歩も引かない。
    これはきっと、どちらかが一歩でも引いたら負けなんだ。

    それを肯定するかのように、今度はライブスタックが無抵抗で私の輝く拳を受け止める。
    再び走る閃光、轟音、耳鳴り。
    そして今度は私がライブスタックの大気を割る一撃を受ける。
    再び走る爆音。

    それらはやがて感覚が速くなっていき、遂には大気の流れと閃光が混じり合い、二人の周りにゴウゴウと燃え盛る炎を形成した。
    爆音と轟音が入り交じり、この世の終わりのような地響きと化す。

  • 180二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:34:06

    永遠に続くように思えた殴り合い。
    しかし終わりは突然 訪れた。

    ズッ───。
    ライブスタックが、ほんの少し。
    僅か数ミリだけ、後ろに下がった。
    それだけで、ライブスタックは満足そうに笑って拳を下ろした。

    今 全力で殴れば、ライブスタックは吹き飛ぶ。
    そんな確信があった。
    アンタの圧倒的な暴力、アタシに見せてみなよ。
    言外にそう言われた気がした。

    私は深く踏み込み、全力の右ストレートをライブスタックに お見舞いした。
    ライブスタックは、亜音速で吹き飛んでいく。
    私は それすら遅く感じるスピードで、吹き飛んでいくライブスタックに追いつくと、強く地面を蹴って跳び蹴りを食らわせた。

    極めて光速に近いスピードで放たれた跳び蹴りは、周辺のビルを粉砕する衝撃波を起こし、ライブスタックのバケモノ染みた耐久を誇る肉体を粉々に飛び散らせた。

  • 181二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:45:09

    ●●●:
    「良かったよ。
    ”私”という一人の人間の最期を締めくくるには最高の一撃だった。」

    ボロボロの上半身だけになったライブスタックは、瓦礫の上で しかし満足そうに語る。

    ●●●:
    「・・・これが最後のチャンスだった。
    私という個人を出せる・・・最後のチャンス。」

    モモイ?:
    「・・・。」

    ●●●:
    「私はスレイブみたいには なれない。
    責任を果たす為なら、怪物にすら成り果てる・・・あんな責任の鬼には。
    ・・・私は只の社畜だしね。」

    モモイ?:
    「・・・。」

    ●●●:
    「・・・おかしな顔をするんだね。
    貴方は私という不倶戴天の敵を成敗できたんだから、笑えばいいのに。」

    自分が今、どんな顔をしているのか分からない。
    でもきっと、異形の顔に浮かぶのは”喜び”では無いのは確かだった。

  • 182二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 04:59:38

    ●●●:
    「でもまぁ、最低限 責任は果たした。
    これなら退勤しても、文句は言われないでしょ。
    ・・・ねぇ、君?私を殺して?」

    そう言うと、ライブスタックは残った腕で自分の心臓部分を さらけ出した。

    ●●●:
    「ここが、”私達”の弱点。
    ”コア”と呼ばれる部位。
    再生能力の限界を超えた状態で”コア”を潰されると、”私達”は死ぬ。
    ・・・貴方も良く覚えておくと良いよ。」

    最初から随分 言葉遣いが変わり、すっかり毒気の抜けたライブスタックのコアに、私は手を掛けた。

    ●●●:
    「・・・ねぇ君。
    貴方が何者に成ろうと、私を超えたのは貴方という事実は変わらないからね。」

    その言葉を最期に、ライブスタックはコアを砕かれ、スレイブと同じようにオレンジ色の液体になった。
    ・・・忌々しい敵を殺したはずなのに、何も嬉しく無かった。
    ただ、ライブスタックの最期の言葉だけが、私の心に残り続けた。

  • 183二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:13:55

    ライブスタックのビルに戻り、地下から解毒薬の在処を示す鍵となる金属板を手に入れた。
    残念なことに今もう一枚の金属板は体に取り込まれてしまっているので検証は出来ないけど、これが後 何枚あれば解毒薬の場所が分かるんだろ。
    もう直ぐミドリ達のタイムリミットも半分近いワケだし、さっさと判明して欲しいんだけど・・・。

    まぁ、焦っても仕方ない。
    私は遠くに停めておいたバイクが無事だったのを確認すると、盗難防止アイテムを外し、エンジンを掛けて走り出した。

    取り敢えず、一徹して もう朝だし、やけに お腹も減っている。
    ジャンキーなフードを食べたい。
    それも お腹一杯。

  • 184二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:24:25

    ───数十分後。

    ハグッ・・・ハグッ・・・。
    慣れない横開きの顎に悪戦苦闘しながら、金に物を言わせて各種大量のハンバーガーを机の上に積んで頬張る私の姿があった。
    こんなに沢山のハンバーガーを食べるのが夢じゃなかったといえば嘘になるけど、これだけ食べても まだ足りなそうなのが怖い。
    ・・・何か味覚薄いし、最悪 土でも食べて誤魔化そうかな。

    まだ お金は大量にあるから そんな心配は要らないだろうけど、いざというときには使えそうなライフハックだ。

    そんなことを思っていると、不意に横に誰か座った。
    怖がられてる私の周りには沢山 空いてる席があるのに、やけに近い場所に座るな と思って ふと見たら、口に入れたハンバーガーを噴き出しそうになった。
    そこには標準的な食事セットをトレーで持ってきたデットマザーの姿があった。

  • 185二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:35:16

    デットマザー:
    「お疲れ様です。
    ライブスタックは骨が折れたのではないですか?」

    そして何事も無かったかのように話を始める。
    あまりにも自然なので、つい、この大人がミドリ達を・・・アスナ先輩を毒で死の淵に追いやっているという事実を忘れそうになる。
    しかしまぁ、それを今言っても仕方のないことだから、私も普通に答える。

    モモイ?:
    「まぁね。
    でも折れたのは骨以上に心かな。
    ・・・あれはダメでしょ。」

    デットマザー:
    「そうですね。
    あれは我々の中でも屈指の脳筋ですから。
    仕事なら悪辣な策も弄せますが、基本、敵を殴っていたい人です。
    ・・・でも、アナタも嫌いでは無かったのではないですか?」

    モモイ?:
    「時期によるかな。」

    仕事モードのライブスタックはブッチ切りで嫌いだけど、オフモードになったときのライブスタックは好きだったかもしれない。
    人となりを知る時間は ほんの僅か だったから、今ではライブスタック個人への気持ちは確かめようも無い。

  • 186二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:42:46

    デットマザーも、モソモソとハンバーガーを食べ始める。
    ・・・よくもまぁ、自分を殺したいと思っている人間の横で食事が出来るものだ。

    そこまで見て、ふとデットマザーの服装が、喪服であることに気が付いた。
    別にデットマザーに不幸があっても喜ばしいだけだけど、どうにも気になる。
    それは今まで理解出来ないと思っていた人間が、急に人間味を出してきたようなものだった。

    モモイ?:
    「その服装・・・身内が死んだの?」

    デットマザー:
    「えぇ、この度 身内に不幸がありまして・・・。
    まぁ、”引き金”は私が引いたんですが。」

    聞くんじゃ無かった。
    ダークサイドの人間の葬儀事情。

  • 187二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:50:30

    デットマザーはコーヒーを啜る。

    デットマザー:
    「・・・この話は あまりしたくないですね。
    それよりモモイだったアナタ、今朝のニュースは見ましたか?」

    モモイ?:
    「人の傷口に塩を塗らないで、ブッ殺すよ?
    ・・・ニュースは見てない、怖いから。」

    どうせ、私の所業を悪し様に報道してるに決まってる。
    誤解でも何でも無い、正論パンチなんて聞きたくない。

    デットマザー:
    「アナタ、”ミレニアムの怪物”なんてキャスターに呼ばれてましたよ。
    ・・・今後は そっちで名乗ったらどうです?
    どうせ”モモイ”の席は今 埋まっているでしょう?」

    モモイ?:
    「え~・・・。」

    何て安直な・・・。
    確かに やったことは正しく怪物だけど・・・。

  • 188二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 05:56:10

    でも確かに、私が固有名詞に飢えていたことは事実だ。
    偽名の”ミカン”だとアイデンティティにするのは難しいし・・・。
    まぁ、他に思いつくまでは、それで繋ぐか。

    ミレニアムの怪物:
    「まぁ、別にいいけど。
    それより、デットマザー?
    聞きたいことがあるんだ。」

    デットマザー:
    「なぁんでふか?」

    見れば、デットマザーは口にポテトを突っ込んでいるところだった。
    いや、食べるか喋るか どっちかに しなよ。

  • 189二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:08:09

    ミレニアムの怪物:
    「私の毒ってさぁ・・・アナタの持ってた毒と同じもの?」

    デットマザー:
    「もぐもぐ・・・まさしく、私が今日 アナタに接触したのも同じ理由です。
    少し毒を採取しますから、ジッと していて下さい。」

    そう言って、デットマザーが空の注射針 片手に後ろに回り込む。
    ・・・今ここでデットマザーを刺してやったら どうなるんだろうと思いつつ、しかし そうすると肝心の答えが分からなくなるので止める。

    少しチクッとしたかと思うと、何やら体内の熱が溢れるような錯覚に襲われる。
    その感覚は直ぐに止み、デットマザーの手には、ミドリに撃ち込まれた毒と同じように無色透明な液体の入った注射針があった。
    デットマザーが その場で、正体不明な液体が入った試験管に注射針の液体を注入する。

    すると、デットマザーの手元の試験管は、忌々しい麻酔弾のピンクのボンボンの それと全く同じ色になる科学反応を示す。
    デットマザーが、安堵するかのように軽く息を吐いた。

  • 190二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:16:48

    デットマザー:
    「・・・大丈夫です。
    アナタの毒は、我々が保有している毒と同じものです。
    ・・・それにしても、良く我々の生成した毒を再現できましたね?」

    デットマザーは、そう言いながら、サンプル用なのか別の試験管に私の毒の原液を詰める。

    ミレニアムの怪物:
    「・・・。」

    正直、この胡散臭いイカれた大人が、どれだけ本当の事を言っているのか検討もつかない。
    だけど、先程の安堵したような反応を見ると、”同じ毒”という部分については信用しても良い気がしてくる。

    まぁ、正直に言うと、誰でも良いから”実は私の毒は即死毒でした”なんて考えを否定して欲しかっただけの私からすると、デットマザーの言葉が真実か どうかなんて本当のところは どうでもいいのだけど。
    ・・・まぁ、気分は良くなったかな。

  • 191二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:26:46

    デットマザー:
    「・・・それで、これからどうするんです?」

    見れば、いつの間にかデットマザーは食事を終えようとしているところだった。
    ・・・さっきまで試験管を弄くり回していたクセに いつの間に・・・。

    ミレニアムの怪物:
    「・・・取り敢えず、最寄りのセルブスグループの支社ビルを襲うよ。
    そうするしかない。」

    今までは そうしてフラグを立ててきた。
    これからも そうするだろう。

    デットマザー:
    「あぁ、それでは間に合いませんね。」

    デットマザーはピシャリと言い切った。

  • 192二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:37:02

    ミレニアムの怪物:
    「・・・間に合わないって何が?
    ミドリ達の解毒のタイムリミット?」

    それなら暴れるけど。

    デットマザー:
    「いえ、そちらは大丈夫です。
    間に合わないのは、我が社が今度仕掛ける、対ミレニアムサイエンススクールへのウイルス兵器散布です。」

    ミレニアムの怪物:
    「はぁ!?」

    いきなり創作物でしか聞いたことがない兵器の名前が出てきてビックリする。
    そんなの使っていいの!?

    デットマザー:
    「会場はコチラです。
    興味があれば、是非ご足労 下さい。」

    そう言って、デットマザーは分かり易そうな地図の書かれた一枚のチラシを取り出した。
    ・・・一般見学イベントでも無い限り、デットマザーの手作りだろうか・・・。

  • 193二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:51:20

    ミレニアムの怪物:
    「・・・。」

    デットマザー:
    「?
    どうか・・・しましたか?」

    ミレニアムの怪物:
    「怪しい。
    アナタはセルブスグループの人間なのに、身内の手の内を明かすなんて、絶対おかしい。」

    デットマザー:
    「では・・・無視しますか?
    そのデッカいフラグを。

    別に私としては構いませんよ?
    最寄りのセルブスグループ支社ビルを梯子しても、幹部クラスの人間は一人も居ませんから。」

  • 194二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:52:19

    ミレニアムの怪物:
    「・・・。」

    デットマザー:
    「無視・・・出来るのですか?
    アナタの大切な大切なミレニアムサイエンススクールに、悍ましいパンデミックが発生するのを指を咥えて見てられますか?」

    ミレニアムの怪物:
    「・・・チッ。」

    私はデットマザーのチラシを手に取った。

  • 195二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:52:45

    ミレニアムの怪物:
    「嘘だったら、まずアナタから殺すから。」

    デットマザー:
    「えぇ、嘘ではありませんよ。
    嘘では・・・ね。」

    含みを持たせた言い方だったけど、正直、気にしてられる余裕はない。
    今すぐ、チラシが示す場所に向かわないと。

    私は残りのハンバーガーを高速で処理すると、急いで席を立つ。

    ミレニアムの怪物:
    「片付けはやっといて。」

    デットマザー:
    「はいはい。」

    デットマザーは優雅にコーヒーを堪能していた。
    心に余裕の無い私には、それすら腹が立って仕方が無かった。

  • 196二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 06:56:03

    ─────side:???─────

    ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。───

  • 197二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 07:02:46

    2章は ここまで。
    3章・・・次スレは、用事があるから8月20日あたりまで建てれない。
    良かったら、このスレを埋めといてくれると嬉しい。

  • 198二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 07:44:37

    面白かった

  • 199二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 08:41:00

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 08:59:06

オススメ

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