- 1二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 03:22:01
「トレーナー、悪いがトレーナー室物置きにするぞ」
シリウスがいきなりやってきたから何事かと思えば、抱えきれないくらいのチョコレートをトレーナー室にばらまいた。大半はご丁寧に包装されたものであり、義理チョコとか友チョコで済ませるには少々、いや多分に問題がありそうだ。それを乱暴に投げるのだから、渡した本人が目撃すれば卒倒するかもしれない。
「あぁ、今日は2月14日だったか」
「なんだ、一つくらい貰えると思ってそわそわしてたんじゃないのか?」
「さてね。バレンタインには昔から縁がなかったからな」
バレンタインだからと胸を踊らせるには歳を取りすぎてしまった気がする。ああいうのはせいぜい学生までだ。まあ、シリウス達は学生なのだから存分に浮かれていても良いのだが、よくもまあこんなに貰ってくるものだ。
「置いとくのは良いが、どうするんだこれ。ここに冷蔵設備なんて無いぞ」
何なら暖房がついている。チョコレートを保管するには全く適していない。捨てるわけにも行かないし、かといって短期間で食べ切ろうものなら健康に悪いなんてレベルじゃない。
「アンタが食うか?」
「お前宛てのもの食ったらバチが当たりそうだ。それに、俺は甘い物はそこまで好きじゃない」
「ハハハッ、チョコよりは煎餅の方が好きだったな」
「寮の部屋は駄目なのか?」
「駄目だ。ナカヤマフェスタの分も入り切らないってのに私の分まで入れたら足の踏み場もなくなる」
そういやこいつの同室はナカヤマフェスタだった。あちらも結構な人気を誇っているらしいし、さぞや貰っていることだろう。
「仕方ねえ。どっかからクーラーボックスでも借りてくるか」
トレーナー室を出ようとすると、シリウスが何かを投げ渡してくる。それは、包装されたチョコレート菓子だった。
「駄賃代わりだ。一つくらいくすねても、バチは当たらねえさ」
「……そうだな、ありがたく分けてもらうとしよう」
前言撤回。大人になってもバレンタインというのは案外嬉しいらしい。 - 2二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 03:22:52
まだ5時になってないから2月14日と言い張っていく。