パーマーに抱かれてぇ

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:12:51

    めちゃくちゃにしてほしい、噛み跡とかいっぱい付けてほしい

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:13:06

    わかる

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:13:17

    独占力発揮して欲しい

  • 4二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:13:53

    パーマーはそんなことしねぇ〜
    優しくリードしてくれるはずなんだ この目で見たんだ

  • 5二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:17:16

    パーマーはイケメンだからトレーナーのこと気遣いながらマーキングするよ

  • 6二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:17:18

    パーマー普通に女の子な性格なのに顔がイケメンだからおかしくなりそう

  • 7二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:18:09

    >>4

    でもよぉ…優しくリードしてくれるはずのパーマーが自分に噛み跡をいっぱい着けて所有権を主張してくれるのもそれはそれでアリなんじゃねぇか…?

  • 8二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:21:11

    噛み跡付けられた次の日に他のウマ娘と仲良くしてるところ目撃されて人気のないところに呼び出されると服をはだけさせられて追いマーキングされたい

  • 9二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:23:00

    パーマーは騎手ウマ濃密勢だから湿度凄いと考えられる。

  • 10二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:24:20

    >>7

    なんだとぉ〜?そりゃお前

  • 11二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:27:07

    トレーナーには悪いけど好きだった彼女に振られちゃってみたいなシチュにして欲しい。そんでパーマーがトレーナーを慰めようと抱くんだよね...

  • 12二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:28:30

    アニメではギャグっぽく描かれてたけど
    せっかく大レースに勝ったのにトレーナーが来てなくてガチ凹みしてそう

  • 13二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:28:47

    次の日に付けた噛み跡を1つずつなぞりながら付けたときのことを話していくんだよね…

  • 14二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:34:10

    >>12

    病室で何度も謝るトレーナーに無事で良かった〜って笑うんだけど、その笑顔の奥には仄暗い何かが……

  • 15二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:36:04

    >>12

    ウマ箱でパーマーのアニメトレーナーはパーマーが勝ちそうになったのをみて興奮して倒れたのあかされてるらしいぞ

  • 16二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:36:58

    >>12

    テンション上がりすぎて倒れたせいでトレーナーがパーマーが勝ったときに来なかったことを知ったパーマーが、次の夜にいつもの優しいのとは真逆の激しく乱暴な手付きでトレーナーに溜め込んでいた感情をぶつけるんだ

    次は勝ったところを見てもらえるように離れられないようにしちゃうんだ

  • 17二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:38:00

    ウマ娘は俺をメスにしようとしてくる娘が多すぎますわ

  • 18二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:45:48

    お前が上!俺が下だ!

  • 19二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:48:56

    宝塚勝った後に来なかったことで責められながら乱暴にされてぇ~
    それで彼女が勝利したのに側に居てやれなかったことを謝ってパーマーにされるがままにされていたらパーマーに謝られつつ感謝されながら抱き締められて、脳をドロドロに蕩かされてぇ~

  • 20二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:49:47

    >>15

    >>16

    そこってそういう補完されてたんだ…

  • 21二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:51:00

    宝塚でお仕置きされた後にちゃんと見届けた有馬で甘々にされるのいいよね……

  • 22二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:51:28

    お嬢様の姿か?これが...

  • 23二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:52:18

    >>22

    いいだろ?メジロの異端児だぜ?

  • 24二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:52:18

    パーマーがレースで負けた後に「俺のせいだ...」みたいな感じで卑屈になってるトレーナーを抱くパーマーは私性合

  • 25二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:55:02

    >>17

    メス堕ちは女の子だけの専売特許じゃねえぜ!!

  • 26二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 08:58:05

    夜はトレーナーと健全に身体を寄せ合って寝てるに違いない。

  • 27二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:01:45

    >>26

    いつもはね

  • 28二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:01:55

    出先のホテルでも1つのベッドに身を寄せあって眠るんだよね
    健全なときも健全じゃないときも寝るときは一緒なんだ

  • 29二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:10:50

    >>11

    もう普通の恋愛できないねぇ...

  • 30二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:12:47

    >>29

    ここでその口調だとタキオンなのかウンコできないおじさんなのか混乱する

  • 31二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:19:04

    夜まで残ってたらなんか書く

  • 32二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 09:24:41

    >>31

    待ってるぜ…

  • 33二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 15:16:14

    周りの期待を背負う辛さを知っていて、それから逃げるすべも知っているって最強か?抱いてくれぇ?

  • 34二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 15:26:43

    下の毛濃そう

  • 35二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:05:19

    ヘリオスはどう思う?

  • 36二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:07:04

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:10:10

    パーマーはスタミナがウマ娘屈指だし延々と何時間もかけて攻めて来そう

  • 38二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:10:56

    俺はルドルフやブライアンに女の子にされたんだがパーマーにも女の子にされるのかな?

  • 39二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:15:54

    >>38

    その前にフジキセキだ

  • 40二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:17:46

    直球スレなのに
    ウマシコ絵の有無を聞いただけで消されてワロタ

  • 41二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:19:42
  • 42二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:21:06

    シンイチ。ごめん少し寝る…

  • 43二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:22:38

    >>1が寝たか…

    パーマーのウマシコ貼っていい?

  • 44二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:24:51

    >>42

    いや…こんないつ爆発するかわからない直球スレほっといて寝たらマズイだろ!?

  • 45二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:26:31

    >>44

    しらん。人間が勝手に立てたスレにわたしがなぜ介入しなくちゃいけないんだ?

  • 46二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:30:49

    >>45

    君が>>1じゃないのか

    >>36がすぐ消されたから>>1がいるのかと

  • 47二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:33:36

    パーマーの健全な純愛絵貼る

  • 48二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:34:19

    >>47

    シェアできないもん春菜。それ続きは野梅奴だろ?

  • 49二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:35:34

    野梅奴ってなんだよ……
    農奴か?

  • 50二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:36:06

    >>49

    やばいやつ

  • 51二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:37:50

    右になんか見えてんだよなぁ

  • 52二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 16:39:10

    >>51

    寄生してんでしょ

  • 53二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 17:35:29

    頭撫でて欲しい

  • 54二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 17:37:53

    >>34

    この意見他でも聞いたなw



    俺は大好きですw

  • 55二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 17:39:23

    下の毛の描写などペン先とインクの無駄よ(過激派)

  • 56二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 19:51:10

    ほしゅ

  • 57二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 23:04:49

    午後6時。日も暮れかけたグラウンドには、練習に励むウマ娘の姿も少なくなってきた。
    そんな中、たったひとりでコースを”爆逃げ”する担当ウマ娘───メジロパーマーは、最終コーナーを曲がって最後の直線を駆け抜けていく。
    「パーマーあと100!頑張れ!」
    「よっし、最後にギア上げますかあああ!!」
    ゴール板を横切ると同時にストップウォッチを止める。タイムを見ると、今日一番の速さだった。
    ゆっくりとスピードを落としながらこちらに向かってくるパーマーにそのことを伝えると、彼女はよっしゃー!と大袈裟に喜んでみせた。

    ───あの時の顔とは似ても似つかない。
    頭の中に降って沸いた考えをかき消すように、手元のバインダーにタイムを書き込む。
    先月よりも今月、先週よりも今週。パーマーはどんどん速くなっている。周りのウマ娘たちよりは遅くなったが、今が伸び盛りの時期なのだろう。トレーナーとしては腕の見せ所だ。
    「よーし、お疲れ。今日はこの辺にしようか」
    「うぃーっす、お疲れー。いやーくたびれたね……」
    そう言ってパーマーはタオルで汗を拭う。言葉とは裏腹に、彼女はあまりくたびれているようには見えなかった。
    「結構キツめのメニューしたつもりだったが、案外余裕そうだな?」
    「そう?まあ、自分でも体力ついてきたのは実感するかな。逃げってやっぱスタミナが大事だし、結構イケてる感じじゃない?」
    「ああ。最近のパーマーは驚くくらい成長してるよ。これなら次の宝塚記念はいけるかもしれない」
    「それもこれも、公私ともに支えてくれるトレーナーのおかげってね。やっぱ相性って大事だよ」
    「……かもな」
    相性、と聞いて思わず苦笑いする。褒められているのは確かだが、彼女との関係を鑑みるとあまり手放しで喜べるものでもない。
    そんな複雑な俺の内心を知ってか知らずか、パーマーは俺の耳元に顔を寄せてくる。
    「ね、この後ヒマ?だったらちょっと付き合ってよ」
    「……分かった」
    何に、とはあえて聞かない。それが分かっているのか、パーマーはくすりと笑いながら尻尾を俺の腕に絡ませてくる。
    傍から見ればほんのじゃれあいのような微笑ましい仕草。だが、その本当の意味を知っているのは俺以外にいないだろう。彼女の瞳に映る自分の顔は、期待と不安が半々といったところだった。

    「じゃ、鍵は開けといてね」

    俺は今夜も、彼女に抱かれる。

  • 58二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 23:09:28

    今日は仕事遅くなったんでこの辺が限界でした 明日も残ってたら頑張ります

  • 59二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 23:10:27

    いいね…
    心の底ではパーマーに抱かれることを望んでいるトレーナーの心情が絶妙に描かれていて最高…

  • 60二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 08:07:47

    保守うぇい

  • 61二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 08:16:54

    テンション上がっただけでぶっ倒れる人襲うんじゃないよ
    血圧上がりすぎて死ぬかもしれないだろ!

  • 62二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 08:51:30

    >>61

    イくかイかないかギリギリのライン責めるから

  • 63二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 09:39:17

    普段は飄々としてるパーマーなんだけど
    いったんスイッチ入ったらジットリ&ギラギラになって襲いかかってきてほしい

  • 64二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 16:47:24

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 20:40:21

    パーマーのトレーナーの背丈はパーマーより少し高いくらいが私性合

  • 66二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 23:01:07

    >>57

    ウマ娘はキスマークではなく歯型をつけたがる。まだトレーナーにもなっていない学生時代に同級生から聞いた、くだらない与太話と気にも留めなかった噂。まさか自分が、その噂の真偽のほどを身をもって体感することになるとは夢にも思わなかった。



    それも、よりにもよって担当ウマ娘が相手だなんて。


    ある日、俺はグラウンドを見下ろせるスタンドの片隅でトレーニングに励むウマ娘を眺めていた。別に有望なウマ娘や、パーマーのライバルになるような子がいるわけではない。ただ、久々の休日にやることが見つからなかっただけの話だ。

    「あの子、いいな」

    眺めているだけといっても、仕事柄ウマ娘の走り方にはつい注目してしまう。

    グラウンドには20人ほどのウマ娘がいたが、その中で目を引いたのはウッドチップコースで練習に励む、少し癖のある鹿毛のポニーテールの子だった。

    トモの張りもいいし、走りのフォームにも癖がない。まだ本格化までは遠そうだが、将来的に重賞レースで勝ち負けできる可能性は十分ありそうだ。

    「そういや、いつかは次も考えなくちゃならないのか……」

    ウマ娘の現役期間はそう長くない。現役で走り続けられるのはほんの数年で、トレーナーは担当ウマ娘が引退したら次の相手を探さなければならない。

    パーマーは今が全盛期真っただ中だが、いつかは引退するときが来る。そうなれば別れの日もそれから遠からず訪れるわけだが……それにはひとつ懸念事項がある。

    「…この関係だけは清算しないとな」

    いつからか始まった、絶対に人には言えない爛れた関係。それはもはやある種の習慣になってしまったわけだが、パーマーは仮にも名門メジロ家のご令嬢だ。この関係が明るみに出ても最悪お縄につくのは俺だけだが、彼女、さらに言えばメジロ家の名誉にも傷がつきかねない。つまり、いつかは───遅くてもパーマーの引退までにはすっぱりと清算しなくてはならない。それがお互いの将来のためだ。


    だというのに、何故だろう。本来なら今すぐにでも切り出さなければならない話なのに、彼女を前にするとそんな気が失せてしまうのは。

  • 67二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 08:28:57

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 17:52:49

    パーマーに抱かれてとかもう堕ちるわ絶対

  • 69二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 00:51:09

    普通にギュッとしてほしい…

  • 70二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 00:51:52

    >>1はヘリオスかな?

  • 71二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 01:30:23

    >>66

    考えごとをしているとき、人は無防備になるという。彼女からすれば、それは絶好の好機だったに違いない。


    「やっほ!トレーナー!」

    「うおおっ!?」

    耳元で突然叫ばれたことに驚き。

    「うぇーい、元気?」

    「うわーっ!?」

    覗き込んできた顔を見て更に驚いた。噂をすれば影とはいうが、いくらなんでもタイミングが良すぎやしないだろうか。

    「パ、パーマー……なんでここに?」

    「やだなあ、そんなに驚くことないじゃん」

    ステイヤーズステークス分くらいは寿命が縮んだであろう俺を見下ろして、パーマーはあっけらかんと笑う。今日はここにいるはずがないのだが。

    「今日はヘリオスと出かけるんじゃなかったのか?」

    そう、今日は親友のダイタクヘリオスと共に都心へ買い物に行くと言っていたはずだ。まさかすっぽかすはずもないだろうと疑問をぶつけると、パーマーは苦い顔をして肩を竦めた。

    「それがさー、これから雨だっていうからバイブス上がんねってことで解散になっちゃったんだよね」

    「え、雨?これから?」

    空を見ると、確かに半分ほどを雨雲が覆っていた。つい先ほどまで雲一つない青空だったのだが、この時期の天気はまったく不安定だ。

    「もー、休みの日に天気予報も見ないのはダメだぞー?……ま、とにかく予定がなくなっちゃったからトレーナーのこと探してたってわけ」

    「ああ、すまんな……場所教えとけばよかったか」

    「んー?気にしなくていいよ。別に待ち合わせしてたわけでもないんだしさ」

    そう言ってパーマーは俺の隣に腰を下ろすと、身体を寄せて肩に腕を回してきた。傍から見れば恋人同士と思われそうな距離感だ。

    「おいパーマー、ちょっと近いぞ」

    「誰も来ないから大丈夫だって」

    思わず腕を引きはがそうとすると、逆に強い力で抱き寄せられた。どうやら離してくれる気はないらしい。確かに周りに人の姿はないし、グラウンドのウマ娘たちも集中しているからこっちを見そうな様子はないが、万一見られたら非常にまずい状況だ。とりあえずなんでもいいからこの場は納めなければ。

  • 72二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 01:42:23

    >>71

    「こんな休日までウマ娘のこと見てるんだ。ちゃんと休んでる?」

    「まあ半分趣味みたいなもんだよ……それはいいから、ちょっと離れてくれないか。その、誰もいない場所なら付き合うから」

    「ほんと?じゃあ1個だけ質問に答えてくれたらいーよ」

    「まあ、それくらいなら……」

    質問、か。確かにそれだけで済むなら安いものだが、何だか嫌な予感がする。どうか答えやすい類のものでありますように。

    そんな俺の内心を知ってか知らずか、パーマーは笑みを浮かべたまま額が触れ合いそうなくらいに顔を寄せてきて───視線をグラウンドに向けた。

    「どの子?」

    「……え?」

    パーマーの腕を剥がそうとしていた手が、思わず固まった。するとその間隙を縫うように手が胸の辺りに伸びてきて、緩めに締めていたネクタイを俺の首から剥ぎ取った。

    「どの子のこと見てたの?」

    いつの間にか空は暗雲に覆われて、少し蒸し暑いくらいだった初夏の空気は少し肌寒いほどに冷え込んだ。

    メジロパーマー。陽気で面倒見のいい、自由気ままなウマ娘。その内心に秘められたじっとりとした独占欲に気づく者は少ない。

    「あ、当てたげよっか。……あの鹿毛の、ポニテの子でしょ?」

    彼女が指差した先には、なんとなく目で追っていたウマ娘の姿があった。ぴたりと言い当てられて、背筋が冷たくなるのを感じる。

    「……当たってるよ。すごいな、パーマーは」

    「へへっ、なんとなくそんな気がしたんだ。で、なんで見てたの?」

    「…まあ、走り方が綺麗だな、と」

    「へえ、確かに綺麗かもね。ザ・お手本的な?」

    パーマーの手が、ワイシャツのボタンをひとつ、ふたつと外していく。

    「そこんとこ行くとさ、私の走り方ってどうなの?まあ、あんまり褒められることないんだけど」

    「綺麗だと思うよ。ウマ娘ってよりは、ヒトの陸上選手みたいだけど、な」

    シャツの中に入ってきた指が何かを探すように鎖骨の辺りを蠢く。くすぐったさとほんの少しの快感とで思わず声が出そうになるが、ここは真っ昼間の屋外だ。唇を噛みしめて声を押し殺そうとすると、顔を覗き込むパーマーの目が悪戯っぽく細められる。

    「ヒトの陸上かあ。そういう発想はなかったかも。やっぱよく見るの?」

    昨夜の記憶を頼りに、指が目的の場所まで辿り着いた。それと同時に、シャツの胸元がはだけられる。外気が素肌に直接触れて、温度差で鳥肌が立った。

  • 73二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 11:37:55

    良いSSが来たな……

  • 74二次元好きの匿名さん22/02/18(金) 20:54:02

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 01:03:02

    ♀トレだと尚良い

  • 76二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 11:35:13

    パーマーに食われまくるトレーナーはいいぞ

  • 77二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 15:56:07

    パーマーはマルゼンみたいにギューって抱きついてたりするだけで安心感すごいと思う。

  • 78二次元好きの匿名さん22/02/19(土) 21:15:04

    >>77

    ギューっ、へへっ、大好きだよトレーナー♥

  • 79二次元好きの匿名さん22/02/20(日) 00:12:33

    >>72

    「あ、おい……!」

    「ははっ、隠しちゃダメだって」


    慌てて襟を正そうとする手は、当然だが制された。


    「ね、なんであの子見てたのが分かったのか教えたげよっか?」


    肩が剥き出しになったことで露わになった”マーキング”───くっきりと付けられた歯型を、パーマーが愛おしげに撫でる。その手付きはいやに優しくて、ゾクゾクと背筋が震える。

    その顔にはもう、いつもの快活な少女の笑みはどこにもない。ただ、嫉妬と愉悦が相混ぜになった”女”の顔だけがあった。


    「ひょっとして気づいてない?」


    そんな顔をして、パーマーは俺の耳元で囁く。顔を背けようとする俺の顎を掴んで、グラウンドの方へ向けさせて。




    「あの子、ちょっと私に似てるでしょ。髪の色とか、顔とかさ」

    「っ……!」


    向けさせられた視界の中で、ポニーテールを揺らしながら走る件のウマ娘。その姿が、一瞬だけ隣の愛バと被って見えた。

    愕然とした。パーマーと別れた後のことを考えていたくせに、結局俺は彼女を追っていたのか。


    「教えてよ。なんでこんな日に他の子のこと見てたのかさ」

  • 80二次元好きの匿名さん22/02/20(日) 10:26:21

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん22/02/20(日) 19:51:15

    やっぱりパーマーって言うくらいだし、よくパーマかけてるんだろうか

  • 82二次元好きの匿名さん22/02/20(日) 22:55:16

    続き半分くらいできてるけど今日は寝ますわ

  • 83二次元好きの匿名さん22/02/21(月) 01:40:32

    保守

  • 84二次元好きの匿名さん22/02/21(月) 02:02:41

    保守

  • 85二次元好きの匿名さん22/02/21(月) 11:51:58

    >>1

    >>5

    じゃあ折衷してトレーナーの前では易しくするけど寝た後は噛み痕とかのマーキングをきっちり残すのはどう?

  • 86二次元好きの匿名さん22/02/21(月) 18:31:45

    >>85

    噛まれたときの痛みで起きるけど寝てるフリをするトレーナーは私性合

  • 87二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 00:08:12

    >>79

    「それは……」

    答えに詰まる。ここで即座に気の利いた返答ができるほど、俺は器用な人間じゃなかった。

    「私のこと嫌いになった?」

    「いや、違う!……違う。でも、なんて言ったらいいのか……」


    それは違うと断言できる。パーマーのことは好きだ。担当としても、ヒトとしても。

    ただ、彼女に上手く伝えるような理由が出てこない。きっと嘘やごまかしは通じない。それが分かっているだけに慎重になる。


    「ただ、そう……お前とこういうことするのも、いつかは終わるのかと思って」

    「ふ~ん……ああそっか、そういう理由だったかぁ」


    あまり働かない頭がなんとか絞り出した答えに対して、パーマーは納得したような、それでいて少し意外そうな顔をする。そして俺から少し離れると、ぺこりと頭を下げた。


    「ごめんね!今まで無理させちゃってたんだ」

    「え……?」

    「いつも誘うのはこっちからだったし、トレーナーと担当ウマ娘でこういうのはって前から言ってたもんね」


    申し訳なさそうに手を合わせる彼女の言葉は、俺にとって予想外のものだった。

    あれだけ人を弄んだのに、こうもあっさりとやめられるものだろうか。


    「嫌ならさ、別にやめてもいいんだよ。我慢までして続けてほしくないし」

    「あ、ああ……」


    驚きはしたが、この関係をすっぱりやめるには渡りに船だろう。

    ここで「もうやめよう」と言えば、きっと俺たちは健全な関係に戻れる。それで何の問題もないはずだ。

    もうやめよう。そう口を開きかけたところで───


    「でも、さ。これだけ言っとくよ?”トレーナーだから”とか、そういう立場で答えて欲しくないかな。君自身の気持ちを言ってよ」

  • 88二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 00:29:49

    「…っ」

    またも返事に詰まった。
    トレーナーとしてだとか、大人の男としてだとか、そういった立場を理由にしたものではない、本当の本心。パーマーはそれが聞きたいらしい

    「それが聞けたら、君の言うとおりにしたげる。だから、ちゃんと答えてよ」

    自分の身体を見回してみる。乱れた服の隙間から覗くのは、パーマーに刻まれたいくつもの印。歪んだ形ではあっても、確かに愛されたことの証。
    そのパーマーに視線を移すと、彼女はにやりと口元を歪めた。

    「こういうの、いや?」

    視線がぶつかる。
    もはや俺の答えはひとつだった。


    「…いやじゃ、ない」
    「……そっかそっか。よかった~、私ひとりだけ楽しんでたなら悪いことしちゃったと思ったからさ」

    そう言って、パーマーは再び俺に身体を密着させてきた。柔らかい感触に胸が高鳴る。

    「トレーナーも楽しんでるんならさ、他の子によそ見はダメじゃん?だからこれは、”お仕置き”」

    次の瞬間、ズキリ、と肩に痛みが走った。

    首元に埋まる彼女の髪の匂い。まだ降ってはいないが、曇天から漂う雨の匂い。
    トレーニングに励むウマ娘たちの声と、時々それに混ざって聞こえるホイッスルの音。
    目を閉じると一層鋭敏に感じるバラバラなそれらを、痛みが心地よくひとつにまとめてくれる。

  • 89二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 00:42:18

    >>88

    数十秒。いや、ひょっとするとほんの数秒だったかもしれない。

    やがて口が離されて───ぎりぎり血が滲まないほどに新しく刻まれた証を、パーマーはそっと舌でなぞる。


    「えへへ、また新しくつけちゃった」

    「…後で大変だ」

    「ま、服着てたら見えないし大丈夫でしょ。嫌じゃないんだもんね?」


    頷くしかなかった。


    「しっかし面白いくらい誰もこっち見ないね~。この際だしここで───」


    パーマーがよくないことを言い出そうとした矢先、頬に冷たい感触が走る。

    思わず空を見上げると、ポツリ、ポツリと雫が次々落ちてくる。どうやらこれから降る出すようだ。


    「あらら。降ってきちゃった……いいとこだったのにね。とりあえず、トレーナー室戻ろっか」

    「その、パーマー……」


    自分でも驚くほどに媚びるような声が出た。

    そんな声と欲求不満を訴える身体を見て気を良くしたのか、彼女は嬉しそうに笑ってウインクした。


    「はは、分かってるって。こんなとこでお預けなんてするわけないじゃん?」


    ああ、やっと分かった。俺は悦んでいるんだ。こんな年下の少女に独占欲をぶつけられて、まるで所有物みたいな印をつけられて。それがたまらなく嬉しいんだ。

    本降りになる前に服を着直してその場を後にしようとしたとき、ふとグラウンドの方を振り向いた。不良バ場の練習をしたいのか、大半の生徒が残ってトレーニングを続けている。きっと目移りしていたあのウマ娘もいるのだろう。

    しかしその中に、彼女の姿はもう見えなかった。

  • 90二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 00:57:24

    パーマーはメジロ入りさせてくるのかな

  • 91二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 10:50:47

    あれ?首筋噛んで興奮させるって……、当てウマいらずだな。

    >>89

  • 92二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 10:54:24

    ということはトレーナーは首筋を噛まれるとそういうスイッチが入るのでは…?
    えっちだなぁ…

  • 93二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 10:55:26

    >>92

    というかウマ娘にそういう性質が存在している可能性はある。多分

  • 94二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 15:07:31

    >>92

    食われるための体質じゃん……

  • 95二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 15:18:25

    どうしてそうやって俺の大好きな感じのssを書くんだ
    美しすぎる

  • 96二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 23:11:02

    ウマ娘の生態的に唾液か何かからフェロモン分泌してヒトの発情を促すっていうのはアリじゃなかろうか

  • 97二次元好きの匿名さん22/02/22(火) 23:24:08

    >>96

    あり。個人的にはそっちの方が妄想もしやすい。

  • 98二次元好きの匿名さん22/02/23(水) 09:52:07

    今日中に宝塚記念編を……

  • 99二次元好きの匿名さん22/02/23(水) 19:22:45

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 03:47:26

    早いかもだけど保守

  • 101二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 07:28:25

    >>92

    調教済みじゃん……

  • 102二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 15:24:47

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 15:30:37

    >>101

    白因子パーマーに放出する時噛みつかれてると噛みつかれないと放出できなくなってそうだよね。

  • 104二次元好きの匿名さん22/02/24(木) 20:57:25

    パーマー…勝負服実装されてたね…よかったね…

  • 105二次元好きの匿名さん22/02/25(金) 00:46:24

    勝負服モデル出て改めて実感するけどめちゃくちゃ顔がいいなこいつ……

  • 106二次元好きの匿名さん22/02/25(金) 06:54:24

    激しくシた後丁寧に竿を綺麗にしてくれそう

  • 107二次元好きの匿名さん22/02/25(金) 14:14:13

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん22/02/25(金) 14:17:43

    何故かこういう癖っ毛のあるウマ娘は下の毛が濃そうな偏見がある

  • 109二次元好きの匿名さん22/02/25(金) 22:55:24

    >>108

    わかる。

  • 110二次元好きの匿名さん22/02/26(土) 08:05:58

    >>108

    正直堪能したい

  • 111二次元好きの匿名さん22/02/26(土) 17:36:45

    トレーナーのハロン棒が力尽きて収縮してきたら前立腺攻めて無理やりやって欲しい。

  • 112二次元好きの匿名さん22/02/26(土) 20:54:11

    >>89

    担当契約を結んでから3年余りの月日が経ったが、相変わらず俺とパーマーは良好な───そして、不健全な関係を保っていた。変わったことといえば、今までは決まってパーマーの方からだった誘いが、時々俺の方からになったくらいで。


    さて、いよいよトゥインクルシリーズ上半期の総決算、宝塚記念の日がやってきた。

    条件を満たすためのファン数が足りず、ファン投票でも優先出走枠を獲得できなかったが、URAからの推薦という形でなんとか滑り込めたグランプリ。

    本来であればトウカイテイオーやメジロマックイーンが名を連ねるはずだったが、両者ともに故障のために出走を見送った。そのため一部では小粒なメンバーと言われているようだが───相手は誰であろうと関係ない。パーマーにはベストな走りをしてもらうだけだ。


    「パーマー、緊張してないか?」

    「大丈夫大丈夫。G1も初めてじゃないし、いつも通り逃げるだけだからさ」


    ここはパドック入りを待つ控え室。けろりとしているパーマーとは裏腹に、俺はガチガチに緊張していた。

    G1自体は今年の天皇賞・春で経験済みだが、会場全体がマックイーン一強ムードだったその時とは訳が違う。混戦必至ということでスタンドにも異様な雰囲気が立ち込めている。


    「むしろ、心配なのはこっちかな」

    「え?」

    「今朝から思ってたんだけどさ、なんか顔色悪いよ。昨日はちゃんと寝れた?」

  • 113二次元好きの匿名さん22/02/26(土) 21:06:31

    そう言ってパーマーは心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
    彼女の心配は当たっている。確かに昨日は徹夜をした。念のため言っておくと仕事でだ。
    寝不足の頭をカフェインで動かしているため、緊張も相まって大分グロッキー気味だが、実際に走るのは俺ではないのだしまあ問題はないだろう。寝ようと思えば帰ってからいくらでも寝られるのだし。

    「まあ、ぼちぼちだな。体調は問題ないよ」
    「ほんとー?」
    「確かにちょっと寝不足かもしれんが、レース見てたら眠気なんか吹き飛ぶよ。とりあえず、パーマーのコンディションが万全ならそれでいい」
    「相変わらずだなあ。……自分の身体も大事にしなよ?」
    「そう思うならアレの日はもうちょっと早く寝かせてくれよな」
    「んー?それはちょっと……スイッチ入っちゃうとさ、自分でも抑え利かないんだよね」

    ───およそレース前にする話じゃないな。
    その後も他愛のない話をしているうちに俺の緊張もすっかり消えて、気づけばパドック入りの時間が来た。

    「ダイタクヘリオスとの競り合いになると思うが……ま、楽しんで来るように。パーマーにはそれが一番大事だ」
    「オッケ!」

    パドックへと歩いていくパーマーの背を見送って、俺はスタンドまで登ってきた。ちょうど10レースが終わったところで、観客の熱気は結構なものになっていた。レースが始まる頃には地鳴りのような歓声が起こるだろう。
    ああ、空を見上げると太陽が黄色い。レースが終わったら少し仮眠を取った方がいいかもしれないな。

  • 114二次元好きの匿名さん22/02/27(日) 08:36:34

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん22/02/27(日) 19:18:07

    パーマーの勝負服見て思う・・・やっぱり抱かれたいわ

  • 116二次元好きの匿名さん22/02/28(月) 06:12:19

    イケメンすぎる……

  • 117二次元好きの匿名さん22/02/28(月) 14:45:13

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん22/02/28(月) 23:28:49

    史実パーマーは種付け上手かったのかな

  • 119二次元好きの匿名さん22/03/01(火) 09:22:45

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん22/03/01(火) 17:50:04

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん22/03/01(火) 22:43:30

    いいSSが多くて助かる
    これで妄想がはかどる

  • 122二次元好きの匿名さん22/03/01(火) 23:32:09

    >>113

    ───30分後。高らかなファンファーレとともに、宝塚記念のゲートが開いた。

    外枠スタートということに不安はあった。しかしパーマーは抜群のスタートを切ると、前々からの作戦通りダイタクヘリオスを抑えてハナを奪い、そのままぐんぐんと飛ばしていく。他のウマ娘たちも離されないようにペースを上げているが、ここまでのハイペースは初めてのようでその顔は苦しげだ。


    「宣言通りメジロパーマーが先頭に立ちました!さあどんどん前に出る!」


    前半1000mを越えて、リードはまだ3バ身ある。大逃げというほどではないが、逃げウマ娘としては十分なリードだ。


    「おい、メジロパーマーがあんなに飛ばしてるのに全く垂れてこないぞ」

    「障害行ったりしてたからスタミナはあるんだろ。とはいえ、直線入る頃には失速すると思うけどな」


    予期せぬ展開に、会場からも徐々にざわめきが起こる。何せパーマーは13人中の9番人気だ。ほとんどの人間は勝敗に絡むとも思っていなかっただろう。

    しかし、レースは刻々と進んでいく。既に後方の2~3人はスタミナ切れで脱落しかかっている。


    「第3コーナーを通過、メジロパーマーが相変わらず先頭だがやや苦しいか?ここでカミノクラッセがすーっと上がってくる!」


    しかし、ここに来てパーマーも体力が切れかかってきた。ラップタイムを見るとトレーニングのときにはなんとかもったペースだったが、実戦となるとやはり消耗が激しいのか。

    あとは勢いと根性の勝負だ。なんとか粘ってくれ、パーマー。


    「さあメジロパーマー先頭だ!ダイタクヘリオスらが追ってきて400を通過!どこまで粘れるかというところ!」


    レースはいよいよ最後の直線に差し掛かった。予想外の展開に戸惑っていた観衆もようやく慣れてきたのか、地鳴りのような歓声が巻き起こる。俺はというと、声援を送ることも忘れてフェンスにかじりついていた。

    いつの間にか汗が垂れてきたのか、生暖かい感触が口元を伝う。ハンカチを出すのも惜しいとシャツの袖で拭って視線をコースへ戻した瞬間、視界の端を赤い何かがかすめた。


    「メジロパーマー!メジロパーマー!ちょっと後ろとは差があるぞ!」


    袖を見ると、汗を拭ったはずの部分に真っ赤な染みが広がっていた。

  • 123二次元好きの匿名さん22/03/02(水) 07:15:30

    保守!!

  • 124二次元好きの匿名さん22/03/02(水) 16:39:41

    あげ

  • 125二次元好きの匿名さん22/03/02(水) 16:45:13
  • 126二次元好きの匿名さん22/03/03(木) 00:14:41

    保守!

  • 127二次元好きの匿名さん22/03/03(木) 12:00:40

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん22/03/03(木) 20:32:50

    保守

  • 129二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 06:58:42

    >>125

    うわぁ……攻め適正たかぁい

  • 130二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 08:10:18

    読んでて、ゾクゾクしました。SS書いてる人うまい。

  • 131二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:44:20

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 23:04:46

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん22/03/05(土) 01:03:32

    >>122

    ───血?なんで、血なんか。

    どっと歓声が大きくなるのと同時に、視界がぐるりと反転した。


    「おい、誰か倒れたぞ!救急車!」

    「血ぃ出てるぞ血!ヤバいって!」


    ドスン、という衝撃とともに耳鳴りが起きて、地面に倒れたのだと分かった。

    明滅する視界の中で、何人もの人が俺を囲んで見下ろしている。大丈夫だと伝えようとしたが、声が出ないし身体が上手く動かせない。


    「ぁ───」


    せめて最後に教えて欲しい。ゴールの瞬間を見そびれたから誰が勝ったのかを。

    しかし、それすら伝えることも叶わず、目の前が真っ暗になった。



    ~~~🕒~~~



    目を覚ますと、白い天井がまず視界に入った。見知らぬ天井。どうやらベッドに寝かされているらしい。少し重い頭を動かして左を向くと、窓の外に夕焼け空が広がっていた。

    今、何時だろうか。俺はどのくらい寝ていた?

    人の姿を探して反対側を向いたが、部屋の中に人の姿はない。ただ、腕に繋がっている何かの点滴と、ベッドの横に置きっぱなしのパイプ椅子だけがそこにあった。


    ───で、なんで寝てるんだっけ。再び天井を見つめて、経緯について思い出す。

    パーマーのレースをスタンドで見ていた。それは覚えている。しかし、最後の直線に差し掛かってからの記憶がないのである。そこでいったい何があったのか……


    「あ、起きた!」

  • 134二次元好きの匿名さん22/03/05(土) 10:55:22

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん22/03/05(土) 19:02:12

    待ってました!

  • 136二次元好きの匿名さん22/03/05(土) 22:36:47

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 01:05:52

    >>133

    そんな考えを中断させるように、ドアが開く音がした。そちらを向くと、ウイニングライブ用の衣装に身を包んだパーマーが立っていて、目が合うなりこちらへ勢いよく駆け寄ってきた。


    「大丈夫?具合悪くない?」

    「ああ、なんとか……俺、どうしたんだ?どうも記憶が曖昧で」

    「んー、私も又聞きだから詳しくは分かんないんだけどね」


    そう言ってパーマーはパイプ椅子に腰掛け、俺の額に手を当てる。どうやら少し熱っぽいのか、彼女の手のひんやりとした感触が心地いい。


    「急に血圧が上がって、鼻血出して倒れたんだって」

    「はなぢ」

    「うん、鼻血。バイブス上げてこって言ったけどさ、いくらなんでも上げすぎだよ~」


    ああ、記憶が少しづつ鮮明になってきた。袖で顔を拭いたときに付いていたのは鼻血だったのか。何が起きたのかと思ったが、まったく間抜けな話だった。


    「とりあえず休んで、体調が戻ったら帰っていいってさ。……いや~よかった、あんまりにも安らかな顔してたからさ、もう起きないかと思った」

    「ああ……すまんな、心配かけて」


    大丈夫大丈夫、と笑うパーマーの顔には疲労の色が浮かんでいた。レースの後というのもあるのだろうが、余計な心配をさせた分もあるのだろう。本当に申し訳ないことをした。よりによってG1レース、ハレの日だというのに───


    「───あ、そうだ!レース!レースはどうなった!?直線までは先頭だったよな!?」


    そうだ、レースだ。パーマーが勝てたのかどうか、確かめられなかったじゃないか。後続はもちろんパーマーもスタミナが切れかかっていて、あとは最後の粘りの勝負といったところだった。

    逃げ切れたか、それとも差し切られてしまったか。すっかり忘れそうになっていた問いをぶつけると、パーマーの表情が露骨に暗くなった。


    「あ……うん。それが、さ。やっぱり結構キツかったみたいで」

    「そう、か……」


    どうやらダメだったらしい。

    途中まではいい流れでレースを進められたが、流石にG1の壁は高かったか。しかし、今日の経験を元にまた努力すればパーマーならきっと───

  • 138二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 11:28:51

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:47:59

    保守

  • 140なんかIP制限食らってました22/03/07(月) 00:01:32

    >>137

    「皆バテバテだったからなんとか逃げ切っちゃいましたっ!」


    急に溢れんばかりの笑顔になったパーマーがどこからか取り出したのは銀色のトロフィー。台座の部分には”宝塚記念 優勝”の刻印が施されている。


    「これって、トロフィー?」

    「うん。デカいから置いてきちゃったけどレイも貰ったよ」


    貰ったということはどこかから持ってきたわけではないらしい。つまり、この宝塚記念のトロフィーはパーマーに与えられたものということになる。


    そして、トロフィーを貰えるのは勝者だけだ。ということは───?


    「……うおおおおおっ!勝ったのか!?」

    「ちょいちょい、落ち着いて!また血圧上がっちゃうよ?」


    パーマーは見事逃げ切ったのだ。G1という舞台で、大勢のウマ娘を下して。

    マックイーンやライアンと自分を比べて思い悩む時期もあったが、とうとう彼女にも栄光を掴む瞬間が訪れたのだ。


    「よかった……そうか、勝ったのか……」


    自分に言い聞かせるように呟く。

    それなのに、何故だろう。今ひとつ実感が湧かないのは。

    G1トレーナーなんてそう簡単になれるものではないし、ましてや初めて担当したウマ娘でなんて数十年に一度あるかないかのことだ。本当ならもっと狂喜するようなことなのに。

  • 141二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 00:03:12

    >>140

    「うん、勝ったよ。嬉しい?」

    「当たり前だろ。ずっと頑張ってたのが報われたんだ、誇らしいよ」


    まあ、時間が経てばきっと実感も湧くだろう。パーマーの言う通り、体調も良くないのだからあまりはしゃぐのもよくない。

    とりあえず明日にでも盛大にお祝いをしよう。メジロ家の親戚たちや友人も招いて、なるべく賑やかな会にしたい。

    その後もレースについて色々と話をしているうちに、すっかり外も暗くなってきた。

    どうやらここはレース場の医務室だったようで、ドアの外からは慌ただしい足音がバタバタと聞こえ出した。


    「そんなこんなでパーマーさんこれからライブだからさ。もう行かなきゃなんだ。とりあえず顔が見れてよかったよ」

    「ああ、頑張っておいで」

    「……うんっ!んじゃ、行ってきまーす!」


    なんだ、今の間は?

    それを聞く前にパーマーは駆け足で部屋を出て行った。部屋にひとり残されて、俺は再び天井を見上げる。


    「そういや、口取り式はどうなったんだろうな……」


    口取り式とは、レースを制したウマ娘が親族やトレーナーなどと共に写真を撮る風習のことだ。

    当然俺は参加できなかったわけだが、メジロ家の大所帯がずらっと並んだんだろうしまあ問題はないだろう。

    テレビを点けると、ちょうどライブの中継が始まろうとしていた。今日はテレビの前でという形になったが、次こそは最前列で愛バのライブを見たいものである。

  • 142二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 09:27:00

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 19:49:03

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 22:22:59

    パーマーと布団の中で歯が浮くようなセリフ言い合いたいね

  • 145二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 07:59:47

    朝保守

  • 146二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 19:02:59

    ssの続き待機所みたいになってるう〜

  • 147二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 19:04:07

    しかしよく荒らされないなこのスレ
    ありがたいけど

  • 148二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 19:08:52

    アオハルで勝負服見られるようになったけど改めてスケベの塊だなこいつ

  • 149二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:22:42

    保守!!

  • 150二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 01:41:55

    >>141

    「夜はちょっと肌寒いね~。上着持ってくればよかったかも」

    「んで、今度は上着持ってくと今度は夜までバカみたいに暑いんだろ?」

    「あはは、そのとーり。気温って不思議だよね」


    人っ子一人いないトレセン学園。他愛もない話をしながら、栗東寮へと続く道をふたりで歩く。

    あの後、ライブを終えて新幹線で学園に戻ってきた頃には、すっかり夜が更けていた。門限はオーバーしているがちゃんと外出届けは出している。寮長のフジキセキは怒らせると色々怖いのだ。


    ライブもテレビでの観戦となった俺だったが、とりあえず歩けるまで体調が回復したのでひとまずパーマーと共に帰宅することになった。まだ少し身体がだるいが、どの道数日はトレーニングもオフだ。こっちも少しは休息を摂ることにしよう。

    やがてすっかり灯りが消えた寮の前に着いた。俺はこれからトレーナー室に向かうから、パーマーとはここでお別れとなる。


    「部屋に戻ったらさっさと寝るんだぞ?オフだからって夜更かしはしないように」

    「はいはい、分かってるって」

    「んじゃ、お休み。今日は本当におめでとうな」

    「ん、ありがと。じゃーね!」


    笑顔で手を振るパーマーに手を振り返して、今度はひとりで夜の学園内を歩く。府中といえば東京の中でも田舎寄りだから、時折スズムシやらの鳴く声が聞こえてくる。


    「しっかし相変わらず暗いな夜は」


    そう、夜のトレセンはとにかく暗い。常夜灯は点いているが、広い敷地内をカバーするには少々心もとない。

    セキュリティは万全で、入ってこられる不審者といえばあの笹針女くらいのものだが、ひとりで歩くとなるとやや心細かったりする。

  • 151二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 02:04:49

    >>150

    「────ん?」


    そんな夜道。虫たちの鳴き声に紛れて、背後からばたばた、と何か別の音が聞こえてきた。

    振り返ってみるが誰もいない。だが、音は確かに近づいてくる。

    おいおいおい。まさかだろ。聞き間違いであってくれと思いながら、少しずつ歩くペースを速める。しかし、ばたばた、ばたばた、と音は───いや、もう分かる。足音はどんどん大きくなっていき───


    「あ、いた!おーいトレーナー!」


    ……その声でもっていささか拍子抜けな結末を教えてくれた。振り返ると、見慣れたシルエットが数メートル後ろでおぼろげに手を振っているのが分かる。

    なんだ、驚かせやがって。内心毒づきながら歩み寄ると、少し息を切らせたパーマーがそこに立っていた。荷物を持っていないから一度部屋に戻ったらしい。いったいどうしてこんなところにいるのか。


    「パーマー?どうした」

    「いや実はさ、トレーナー室に忘れ物しちゃったみたいで。取りに行ってもいい?」

    「別にいいが……何忘れたんだ?」

    「んー?まあ、ちょっとね。ほら早く行こうよ」

    「おう……」


    釈然としないまま、文字通り背中を押されて再び歩き始める。

    トレーナー室には自分とパーマーの私物が混在しているが、覚えている限りでは変わったものはなかったような気がする。わざわざ寝る前に取りに行くほど大事なものがあるだろうか。まあ、年頃の女の子の所持品事情など俺に分かるはずもないのだと言い聞かせて自分を納得させる。


    「うわあっつ……」


    数分後、トレーナー室へと辿り着いてドアを開けた。当たり前だが誰もいない部屋の中は、暗く静まり返っていた。

    冷房も消したままなので、昼間のなんとも言えないじんわりとした熱気がまだ籠っている。

    まずは電気と、それからエアコンだ。こんな不快な環境で探し物なんてできない。


    「ちょっと待っててな、今電気を───」


    入口の横のスイッチに伸ばそうとした腕が、突然強い力で引っ張られた。

  • 152二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 10:57:48

    保守

  • 153二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 14:20:12

    続きを!続きを早く!!!

  • 154二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:18:24

    パーマーの引力は凄い…

  • 155二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 22:19:56

    >>151

    「うおっ───」


    抵抗する間もなくそのまま何か柔らかい台の上に放り出される。


    「な、なんだ!?」


    起き上がろうとした両手が押さえつけられ、完全に身動きが取れなくなった。顔の近くで感じる息遣いと、そこから漂う甘い香り。ソファの上でパーマーに押し倒されたと分かったときには、もう手遅れな状態だった。


    「パ、パーマー……?」

    「じっとしてよ」


    返ってきた声はいつになく冷たかった。こんなに近くにいるのに、暗闇の中では彼女の表情を窺い知れない。

    今そういうことをするのはまずい。いつもパーマーと夜を過ごす日には外泊届を出しているが、今日は用意していない。外出届に書いた帰寮予定時間は多目に見積もってはいるものの、流石にそろそろオーバーしてしまうだろう。そうなれば、寮長がきっと探しに来る。万にひとつでもこの光景を見られでもしたら確実にアウトだ。


    「相手なら今度してやるからさ、今日のところは───っ!?」


    ひとまず説得を試みようとした口が乱暴に塞がれる。首を振って逃れようとしたが、片手で顎を固定されてしまったのでもうどうしようもない。

    息をつく間もなく歯をこじ開けられて舌が入り込んでくる。


    「パーマー、やめっ……」


    パーマーのキスは長い。口の中を散々に蹂躙されて解放された頃には、すっかり酸欠寸前になっていた。加えて蒸し暑い部屋の中にいるものだから、熱中症気味で頭がクラクラしてくる。

    その一方で目が暗闇に慣れてきたのか、少しづつパーマーの表情が見えてきた。

  • 156二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 23:26:08

    >>155

    「お前……泣いてるのか?」

    「……っ!ウソ、見えてんの?」


    パーマーは慌てて目元を拭ったが、彼女の目からは確かに涙がこぼれていた。


    「どうしたんだよ。何かあったのか」

    「なんでもないよ。キスしたらちょっとむせただけ」

    「だが……」

    「いいからちょっと大人しくしてて。こっちも色々溜まってんだからさ」

    「いてっ……!」


    いつものように首筋を噛まれる。だが、今日のは勝手が違った。

    普段は緩急を効かせて心地よい痛みを与えるような甘噛みなのだが、今日は感情をぶつけるような乱暴な噛み方だった。

    やはり、いつものパーマーらしくないと思う。こんな形でしか不調を感じ取れないのはいかがなものかと思うが、見つけてしまったからには看過はできない。

    気は進まないが、やるか。


    「……えっ、ちょっと、トレーナー?」


    両手からぐったりと力を抜いて、目を閉じる。あたかも気を失ったかのように。猛獣相手には死んだフリ。古い手だが、今日は前科があるだけに相手が動揺しているのが分かる。


    「やばっ、てか部屋あっつ……エアコンつけなきゃ」


    押さえつけられていた身体が解放されて、部屋が明るくなるとともに冷たい風が入ってくる。これ幸いと身体を起こすと、ちょうど振り向いたパーマーと目が合った。信じられないものを見るような顔をしていた。


    「……騙したね?」

    「貞操の危機でな。仕方なかったってやつだ」

    「とっくに卒業したくせに」


    恨みがましい顔をしながらも、パーマーは大人しく俺の隣に腰を下ろした。

  • 157二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 07:43:02

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 14:54:00

    保守

  • 159二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 19:51:32

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 23:43:35

    >>156

    「で、なんでこんなことしたんだ」

    「……別に、なんとなく気分っていうか」

    「原因が俺にあるっていうならさ、教えてくれなきゃまた同じことをするかもしれない。それはパーマーも嫌だろ?」


    譲らないぞ、という意思を込めて少し語気を強める。すると、心が通じたのか渋々、という様子でパーマーは事の顛末を語り始めた。



    「……分かった、話すね。今日のレースのことでさ」

    「ああ」

    「勝ったから写真撮ることになったんだよ。でも、断っちゃった」

    「どうして?」


    写真撮影を断ったウマ娘なんて聞いたことがない。G1なら猶更だ。

    確かにトレーナーの俺は欠席になったが、だからといって断れるものでもないだろうに。

    パーマーは写真を撮られるのは好きなはずだ。それも、レースで勝った後なら二つ返事で受けそうなものなのに。いったいどうして───


    「メジロの人がさ、今日は誰も来なかったんだよね」

    「……え?」


    耳を疑った。メジロ家といえば、自分のところのウマ娘がG1に出るときは決まって大勢でレース場に詰め掛けることで有名だ。

    それが今日は来なかったのか?パーマーが出るグランプリだというのに。


    「ど、どうしてだ?自分とこのウマ娘の晴れ舞台だろ?」

    「おばあさまが期待してたライアンも、出世頭のマックイーンも出なかったから。私ひとりじゃ全然期待なんかされてなかったんだよ」

    「そんな……」


    まったくもって初耳だった。確かにパーマーの競走人生は順調なものとはいえないが、それでもメジロ家からは期待を寄せられていると思っていたのに。

    お前ひとりに用はないと告げられたような状況で、いったい今日の彼女はどんな気持ちでレースに臨んでいたのか。───誰より傍にいたはずなのに、まったく気づけなかった。

  • 161二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 23:54:52

    >>160

    「でも、それは別によかったんだ。あの2人に比べたら落ちこぼれってのは分かってたし、メジロらしい振る舞いなんてしてこなかったしね」


    いや、それだけじゃない。俺のせいで余計に彼女の心を傷つけてしまった。


    「トレーナーだけいればいいやって思ってたんだよ。好きなヒトだし、私がレースに出る以上は絶対着いて来てくれるわけだから」

    「……でも、俺は行けなかった」

    「そ。トレーナーがトラブルで来られませんって言われてさ。だからかえってミジメだな~って。まさか倒れたなんて思わなかったけど……それで、寂しくなって襲っちゃったってわけ」


    ああ、本当に。俺はなんてことをしてしまったのか。気がつけば、パーマーの身体を抱きしめていた。

    彼女の身体がほんの少し震えているのが分かる。その震えをなんとか止められないかと思って、回した腕の力を強める。


    「……どしたの急に」

    「ごめん、本当にごめん。俺、トレーナーとして最低だ」


    担当ウマ娘の夢を叶える手伝いをする。それがトレーナーの役割だ。

    そのために毎日トレーニングメニューを考えたり、レースでの作戦を組み立てたりするのだ。


    でも、そんなことより遥かに大切で、基本的な仕事があるはずだろう。

    彼女たちがレースで勝ったとき、傍にいて喜びを分かち合ってやるのがパートナーとしてまず真っ先にやるべきことじゃないのか。

    何が勝ったのか、だ。初めてのG1だっていうのに、バカ野郎。

    今度は俺の目から涙が零れてくる。


    「次は絶対見届ける。誰よりも勝利を喜ぶ。それでも、今日の埋め合わせにはまったく足りないだろうが……」

    「もうG1なんて勝てるか分かんないよ?マックイーンやテイオーだっているんだし」

    「"次"は絶対作る。絶対にだ。パーマーならできる」


    逃げ切りは、何度も通用する戦法じゃない。ただでさえ目標にされやすい位置に陣取る上に、戦果を挙げれば挙げるほどに対策されやすくなる。今日勝ったのだって、パーマーがダークホースだったからという事情もある。

    でも、それでも。俺とパーマーならきっと。

  • 162二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 00:21:19

    >>161

    「……へへっ、随分と買い被ってくれるじゃん」

    「ひとりくらい、そういう相手がいてもいいだろ?」

    「ん……そうだね。たまにはやりすぎなくらい期待されるのも悪くないかも」


    ふと、抱き締めていた両腕が振りほどかれた。そして今度はパーマーがしなだれかかってくる。


    「でも、そういうこと言うならもうちょっと頼りがいが欲しいかな?」

    「おい……俺、病み上がりだぞ?」

    「大丈夫大丈夫。また倒れたら看病したげるからさ」


    話も済んだしこのまま流されるのもいいか……と思いかけた瞬間、部屋のドアがノックされた。その音をきくやいなや、パーマーが勢いよく俺から離れる。

    こんな時間に来客なんてあるだろうか。相手は学園関係者だとして、思い当たるセンは───


    「えっ、誰?」

    「───あ、フジキセキだ!」


    慌てて壁の時計を見ると、外出届に書いた時間なんてとっくに過ぎていた。きっと寮長のフジキセキが探しに来たのだろう。

    まずいことになった。パーマーを寮に帰すにしても、ここはなんとか言いくるめて帰ってもらわなければ。


    「とりあえず俺が出るから」

    「う、うん……気をつけてね」


    いったい何を気をつけろというのか。パーマーがソファの陰に隠れたのを見届けて、ドアへと向かう。無論、先ほどのあれこれで乱れた衣服を直して、である。

    催促するようにもう一度ノックがされる。意を決してドアを開けた。


    「やあ、どうもこんばんは。いい夜だね」

    「ど、どうも……」


    ドアの向こうには、とても素敵な笑顔の栗東寮長フジキセキが立っていた。既にすべてを見透かされているような気がしないでもないが、これから彼女をなんとか言いくるめなければならないのだ。気後れしている場合ではない。

  • 163二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 01:25:43

    こりゃ修羅場だぞ

  • 164二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 01:35:50

    結構怒ってるやつだこれ...寮長はキレさせたらやばい

  • 165二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 08:53:22

    あげ

  • 166二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 17:13:34

    支援

  • 167二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 22:51:33

    保守!

  • 168二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 02:34:47

    >>162

    「実はパーマーがまだ寮に戻っていなくてね。学園には戻ってきたのは分かっているから、トレーナーさんなら何か知ってるかと思って」

    「ああ、来たよ……うん、さっき。忘れ物を取りに」

    「さっき?とすると、もうここにはいないのかな?」

    「それはそうだろ。もう夜も遅いんだし」

    「そうだね……もう良い子は寝る時間だ。出歩いているのはきっと悪い子だろうね」


    さっきからフジキセキは笑顔のままだ。それがかえって恐ろしい。


    「ところでその忘れ物ってなんだったのかな。パーマーがここに取りに来たなら君も知っているよね?」

    「え?ああ……確か、ゴルフの雑誌だったかな」

    「雑誌?こんな夜更けに、雑誌をわざわざ取りに行ったのかい?朝でもいいと思うんだけどな」

    「まあ、どうしても大事なものだったんだろ……パーマーにとっては」

    「そうかなぁ……パーマーはあまりそういうことに執着しないと思っていたけれど」


    まずい。このままだと根掘り葉掘り聞かれそうだ。となれば、すぐにボロが出る。

    とにかくこの場の主導権を握らなければ。逆にこっちから話を進めるんだ。


    「とにかく、今日はレースに出たりで色々あってな。あまり怒らないでやって欲しい。帰りが遅くなったのは俺のせいでもあるし」

    「というと?」


    よかった。とりあえず関心を示してくれた。

    ひとまず今日の顛末を話せる範囲でフジキセキに伝えた。話をしていくうちに笑顔の仮面も外れて、驚きと納得が入り混じったような表情をしている。


    「……ふぅん、なるほど。そんなことがあったんだ。てっきり浮かれていたからだと思っていたよ」

    「え?」

    「ああ、こっちの話さ。……そうそう。実はこのところ、パーマーは元気がなくってね。それはトレーナーさんにも分かってた?」

  • 169二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 02:55:21

    どうなってしまうんだ…

  • 170二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 09:06:45

    早保守

  • 171二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 18:53:06

    保守!

  • 172二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 00:34:41

    「それは、君たちに対してか?俺に対してはなるべくいつも通りに接してたと思うが」
    「うん。なるべく普段通りに振舞おうとしているのは分かるんだけど、かえって空元気で痛ましいというか。とにかく、いつもの明るさはちょっと鳴りを潜めていたかな」

    フジキセキは話を続ける。本気でパーマーのことを心配してくれているらしい。

    「いつもは自分だけじゃなく周りの子も元気にしてしまうような子だったから、余計に心配になってね。今日の勝利ですっかり元通りになると思っていたんだけれど……どうやらそう単純にはいかないようだね」
    「パーマーなりに、いろいろ抱えてるものがあるんだ。これから少しづつなんとかしていきたいと思ってる。あまりいいやり方は思いつかないが」
    「……そうだね。君たちには、そういうやり方が合っているのかもしれない」

    フジキセキは何やら考え込み始めた。

    「私はね、頑張った子にはそれに見合ったご褒美があって欲しいと思うんだ」
    「まあ、そうだな。対価がないと人は動けないもんな」
    「だよね。だからこそ、彼女にも何かプレゼントをしてあげたいんだけど───ああっ!」
    「ど、どうした!?」
    「しまった。私としたことが大事なことを忘れてたなんて!」

    フジキセキが指を鳴らすと、いつの間にか俺の手に何かの紙が握らされていた。

    「実はパーマーは今日、外泊届を出していたんだ。ほら、これを見て?」
    「……外泊届だな、俺とパーマーの字の」

    無論、書いた覚えはない。いったいどうやって用意したんだろうか。

    「夜遅くに時間を取らせてしまってごめんね。それじゃ、今夜はごゆっくり。───今日はいいレースだったよ、本当に」

    そう言って、フジキセキはウインクと共に去っていった。その背中が見えなくなったところでドアを閉める。それと同時に大きなため息が出た。

    「フジキセキには足を向けて寝られんな、ホント……」

  • 173二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 01:02:13

    >>172

    なんでか分からないが見逃された。その事実にほっと胸を撫でおろしていると、ソファの影からひょっこりとパーマーが顔を出した。


    「ど、どうだった?」

    「なんか助かったよ。外泊届出してたことになった」

    「ウソー!フジ先輩、門限破りってめっちゃ厳しいのに!お墨つきもらったってこと?」


    パーマーは大げさに驚いて見せた。おそらく怒られた経験があるのだろう。


    「次はないぞ、多分」

    「あはは、大丈夫大丈夫!これからはさ、先に外泊届出しといて勝とうが負けようがするってことにすればいいじゃん?」

    「勝つならいいけどな、負けてからやるのは結構メンタルに来るぞ……」

    「じゃ、そうならないように頑張って」

    「はいはい、善処しますとも……」


    再びソファに押し倒された。あまりにも色々あった夜はこうしていつも通りに更けていく。


    翌日、案の定俺は高熱を出して寝込み、パーマーの看病を受けた。やはり夜更かしは大敵である。ウマ娘だけでなく、トレーナーにとっても。

  • 174二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 10:24:06

    保守

  • 175二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 19:26:12

    保守!

  • 176二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 22:49:24

    やさしいなフジは

  • 177二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 07:41:04

    保守

  • 178二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 15:49:48

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 22:57:13

    保守

  • 180二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 00:22:36

    >>173

    すっかり日も落ちた夜。俺たちは車で学園への帰途についていた。

    今日行われたのは暮れのグランプリ、有馬記念。宝塚記念を制したにも関わらず15番人気に甘んじたパーマーは、しかしその前評判を覆してグランプリ連覇を成し遂げた。

    俺はというと泣くわ喚くわで逆にパーマーに宥められる始末だったが、勝利を見届けられた分喜びもひとしおなのだ。


    「いやー、嬉しい……マジで嬉しい」

    「あっはは、語彙力すごいことになってるよ」

    「そりゃそうだろお前……今日はメジロ家の皆さんも詰め掛けてたし」


    今日もメジロからの出走はパーマーひとりだったが、今回は”おばあさま”ことメジロ家の当主をはじめとして、一族の関係者がズラリと参列した。多いとは聞いていたもののまさかあんなにいるとは思わなくて面食らったが、寂しいよりはずっといいに違いない。


    「おばあさまに話し掛けられたときのトレーナー、面白かったなあ。王様の前みたいに緊張してさ」

    「仕方ないだろ……あんなに風格出して歩いてる人、初めて見たわ」


    その当主とも少しだけ話をした。といっても、終始圧倒されて俺はほとんど何も言えなかったのだが。

    格式ばった挨拶や労いの言葉はほとんど覚えていないが、去り際に言われた「あなたはよほどパーマーに合うのね」という言葉がやけに記憶に残っている。

    そんなことは俺が一番分かってるんだ、といつか言い返したいものだ……


    「しかしまあ、この車ともお別れか。嬉しくもあり寂しくもありだな」

    「んー?」


    助手席のパーマーが伸びをすると、シートがぎしりと軋んだ。

    初めて免許を取った日から乗り回していた愛車のハンドルを撫でる。値段こそ安かったものの燃費も悪いし故障だらけで、とてもいい車とは言えなかった。その分愛着もあるので手放すとなると少々寂しくもある。


    「いやさ、副賞で車貰ったんだよ。ウン百万するやつ」

    「ああ、そういや車欲しいって言ってたね。……あーっ、もしかしてそれが本命だったなあ!?」

    「バレたか」


    有馬記念は何社ものスポンサーの協賛を得ていて、その中には某有名自動車メーカーの名前もある。その一環として、勝利したウマ娘のトレーナーには新車が贈られるのが慣例となっていた。

    俺のような貧乏人では値段を聞いただけで怖くてハンドルも握れないような代物である。

  • 181二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 00:32:58

    >>180

    「メジロのお嬢様をこんなボロ車に乗せてるなんて言ったらいい笑いモンだ。ちょっとはマシなやつに乗り換えようと思ってたからさ……新車にはパーマー号って名付けようか」

    「ちょっとやめてよ。なんかハズいじゃん」


    そんな冗談交じりの会話をしながら車を走らせていると、いつの間にか県境を超えて東京に入っていた。


    「もう東京か。行きは長かったが帰りはあっという間だな」

    「だね。渋滞もないし、そんなにダベってる時間もないかも」


    念のため外泊届は出してあるが、この分なら余裕をもって門限までには学園に帰れるはずだ。さてどうしようかと隣を向くと、パーマーと目が合う。


    「ここ最近、最後の追いきりってことでお留守だったよね?」

    「ああ」

    「一応聞くけど、"そういうお店"とか言ったりした?」

    「……行くと思うか?」

    「聞いてみただけだって。……だったらさ、このまま帰っておやすみなさいっていうのも寂しいよね」


    街の灯りに照らされて、パーマーの笑顔が蠱惑的なものに変わっていく。俺は果たしてどんな顔をしているだろうか。彼女はそのまま俺の耳に顔を寄せて、そっと囁いた。


    「今日はせっかくいいことあったんだしさ、帰りたくないなあ……なんて」


    ハンドルを握る手に尻尾が絡まされる。男として、この誘いを断ることができるだろうか。


    「危ないだろ」


    事故を起こすわけにはいかない。手を軽く払いつつ、カーナビの行き先を変更した。

    下調べなんてしていないから、値段も何も分からない。ただ、眺めがいい場所がいいなと思った。


    「先にコンビニだけ寄ってくか?」

    「うん。色々入用だし」

  • 182二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 02:53:47

    保守

  • 183二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 11:14:25

    このレスは削除されています

  • 184二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 18:31:53

    早保守

  • 185二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 18:57:34

    待機保守

  • 186二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 23:55:39

    おやすみ保守!

  • 187二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 00:48:17

    >>181

    ───少し値の張るホテルの最上階。部屋に入るやいなや、荷物も放り出してもつれるようにベッドへ飛び込んだ。

    パーマーが服を脱ぎながら熱烈に唇を重ねてくる。自分の方が済んだら今度は俺の服だ。もはや一種のルーティンのような流れだが、彼女は随分とそれがお気に召したらしい。

    組み伏せられ、最近はすっかり綺麗になっていた首元が甘噛みされるのを感じながら、さっき放り投げたコンビニのレジ袋を目で探す。こういう空気になってしまえば中身の大半は用済みだが、ひとつだけ大事な用のある物が残っている。


    「おい、ゴム……」

    「んー、今日は大丈夫だって言ったでしょ?」

    「そういうのは信用しないんだ。ちょっと取ってきてくれるか」

    「はいはい」


    お目当ての物を手に取ったパーマーが再びベッドへ戻ってくる。一度仕切り直しにはなったが、再び火が付くのも早かった。

    冬だというのに汗だくになって、今までの悔しさや今日の喜び、興奮なんかを全てないまぜにして、お互いを求め合う。

    何度キスをしたか、跡を付けられたか、まったく覚えていない。ただ、今日が今までで一番激しかったのは確かだ。


    「トレーナー、好き、大好きだよ」

    「ああ、俺も……」


    今日の主役のそんな姿を間近で見ることができた俺は、きっと世界一の苦労人で、幸せ者に違いない。

    結局、精も根も使い果たしてほとんど意識を失うように眠った。

  • 188二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 00:58:33

    >>187

    凄まじい疲労感と共に目が覚めた。視界に広がるのは明かりが点いたままのホテルの天井。

    横ではパーマーが静かに寝息を立てていた。


    「パーマー?」


    軽く声を掛けて揺すってみたが、少し唸ったくらいで起きる気配はない。レースとライブの疲れもある中であれだけ求め合ったんだ、スタミナ自慢とはいえ無理もないか。


    「……お疲れ様だな、本当に」


    普段の彼女は年齢よりずっと大人びて見えるが、寝ている顔にはまだあどけなさが色濃く残っていた。警戒心のひとつもなく眠りこける表情を見ると、思わず俺の頬も緩むのを感じる。


    さて、子供も寝たし大人のお楽しみと行くか。

    伸びをしつつベッドから抜け出て部屋にあった寝間着に着替える。時計を見ると夜の3時過ぎだった。

    テレビを点けようかとも思ったが、疲れているパーマーを起こすといけない。スマホを弄りつつ、買ってきたきり放りっぱなしの缶ビールを開けてちびちび飲む。すっかりぬるくなっていてお世辞にも美味いとは言えなかったが、不思議と今の気分では悪くないと思えた。


    「激動の年っていうのは今年のことを言うのかな……」


    ふと外の景色が見たくなってベランダに出ると、冷たい風が身体に吹き付ける。ここに入ってから初めて見る夜景はなかなかのものだったが、さっきまで見ていた絶景と比べると少し陳腐に感じた。

    そんな街の様子を見下ろしながら、今年の出来事を振り返ってみる。


    障害挑戦から帰ってきて、確かな成長を見せた天皇賞・春。

    栄誉と共に色々な感情を味わった宝塚記念。

    秋は大敗したが、各陣営の思惑の隙をついてグランプリ連覇を成し遂げた今日の有馬記念。

    そして、それらの合間には決まってパーマーが与えてくれた甘い時間があった。


    俺は彼女に与えられた分のどれくらいを返せただろうか。これから、どれだけ返していけるだろうか。

    そればっかりは分からない。俺の人生は完全にパーマーに変えられてしまったのだから。


    いよいよパジャマ一枚では寒くなってきた。ベランダを後にして部屋へと戻る。

  • 189二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 01:00:19

    完走しそうだから感想控えてるけどいつも見てますわ
    なんかビターエンド迎えそうで怖いな……

  • 190二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 01:31:06

    >>188

    今日は───いや、もう日付は変わっているから昨日はクリスマスだった。しかし今年は有馬記念に向けたトレーニング三昧で、クリスマスらしいことは何もしてやれなかった。いかにレースが大事とはいえ、それは良くなかったかもしれない。

    いや、名誉のために言っておくならば一応用意はしてあったのだ。ただ、そういう空気にならなかったというだけで。


    「……何事も遅すぎるってことはないか」


    誰にともなく言い訳して、熱に浮かされる前に最後の理性がハンガーに掛けておいてくれた上着に手を伸ばす。お目当ての品は内ポケットの中にあった。

    飾り気のない2つの小箱と、可愛らしいラッピングが施された包み。迷わずに小箱の方を上着に戻した。


    「メリークリスマス」


    残された包みをパーマーの枕元にそっと置く。中身は前から欲しがっていたゴルフグローブだ。

    ブランドものとはいえ高級車にはとうてい釣り合わないが、プレゼントとは額ではなく気持ちだと偉大な先達が教えてくれたのでよしとしよう。

    万一を思って用意したあの小箱は───俺にはちょっと早すぎる。それを今日実感した。


    それからしばらく部屋でぼんやりと過ごしていたが、徐々に酔いが回ってきたのか急激に睡魔に襲われた。

    ベッドへ戻って目を閉じると、パーマーの腕が腰に回されてぎゅっと抱き締められた。


    「……ヘタレ」


    ぼそりと聞こえた声を聞き逃すことはなかったが聞こえないふりをして、布団を頭から被った。


    「でもそういうところも好きだよ」


    俺がウマ娘だったらさぞかし耳や尻尾が反応していたことだろう。人の身に生まれたことを感謝して───わざとらしく寝息を立てた。


    「おやすみ」

    「……ああ」

  • 191二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 12:58:24

    保守

  • 192二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 22:04:29

    保守

  • 193二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 00:32:32

    >>190

    翌朝、俺たちはホテルを出て再び車に乗り込み、今度こそ学園への帰途についていた。

    助手席のパーマーの様子を横目で窺うと、包装を解かれた例のゴルフグローブを手に鼻歌を歌っている。起きてからずっとこんな調子で、渡した側からすれば嬉しいがちょっと喜びすぎじゃないかと心配にもなる。


    「朝から上機嫌だな。もう昼だけども」

    「いやだってさぁ、朝起きたら枕元に欲しかったグローブ置いてあったんだよ?そりゃ気分もアガるって」

    「ほー、それは良かったな。サンタに感謝だ」

    「うんうん。クリスマス終わってから来たおっちょこちょいなサンタさんにお礼言っとくよ」


    飲んでいた缶コーヒーが気管に入ってむせかけた。

    遅刻するサンタとは一体何者だろうか。機会があれば会ってみたいものだ。


    「ああそうだ。アレ、やっぱりオッケーにするよ」

    「アレ?」

    「新しい車にパーマー号って名前付けるの。やっぱりちょっとハズいけど、まあいいかなって」

    「冗談で言ったんだがな……まあいいや、じゃあお言葉に甘えて使わせてもらおう」


    もし廃車にしようものなら冗談じゃ済まなくなるな。まだ見ぬ愛車への思いやりが一段と深まるのを感じた。

    角を曲がると、とんでもなく大きいトレセン学園の時計塔が見えてきた。一泊付きのドライブもそろそろ終わりの時が来る。


    「その代わりさ、届いたら最初に助手席乗せてよ。んで一緒にゴルフ行こ」

    「別にいいけどルールとか全然知らないぞ、俺」

    「いいのいいの。見てればそのうち覚えてくるから」


    確か指定された打数より少ない数で穴に入れたらいいんだったか?パーマーにしては珍しくお嬢様らしい趣味だと思っていたが、内容については全然知らないままだった。

    これを機に、色々と勉強した方がいいのかもしれない。

  • 194終わりです22/03/17(木) 00:34:46

    >>193

    「どしたの、難しい顔して」

    「いや……俺はまだまだ君のことを知らないなと思って」

    「ああなんだ、そんなことか」


    パーマーはあっけらかんと笑った。一応真剣に言ってるんだぞ、と視線で訴えると、向こうもそれは分かっていたようで。


    「あはは、大丈夫だよ。これからちょっとずつ知ってもらえばさ」

    「そうか?」

    「うん。だって君は他の誰にも目移りしない、私だけのトレーナーだもんね」


    快活そうに見えて、僅かにじっとりとした笑顔。なるほど、もう彼女から逃げることはできないらしい。

    でも構いはしない。逃げられなかろうが、もとより逃げるつもりなんてないのだから。

    アクセルを踏み込んで、気づけば目前に迫っていた学園の門を通り抜けた。

  • 195二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 01:02:47

    bravo.....

  • 196二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 02:26:59

    重い愛を受け入れるのはいい………
    ありがとう……………

  • 197二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 12:35:19

    このレスは削除されています

  • 198二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 12:57:42

    後でまとめて渋あたりに投稿してほしいなこれ
    滅茶苦茶よかった

  • 199二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 13:25:48

    このレスは削除されています

  • 200二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 13:26:24

    このレスは削除されています

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