- 1■■■書22/02/15(火) 10:47:35
「あれ? ドーベルさん、今日も画集を見ていらっしゃるんですね。さっき72類の棚辺りに居たという事は、ご趣味のマンガの取材でしょうか」
「え……う、うん。よく紙芝居とかじゃなくて、ピンポイントで分かったね……ロブロイ」
「ふふっ……ドーベルさんの考えてることは、だんだん分かるようになってしまいました」
マンガのヤマで行き詰まって、図書室に来るのは何回目だろう。資料を見るのに集中していたせいで、いつもお世話になっている図書委員のロブロイが居るのに気づかず、大袈裟に驚いてしまった。
背筋どころか耳までピーンと伸びてしまったアタシを微笑ましそうに一瞥し、いつもの落ち着く声で話しかけてくれる。
恥ずかしくて赤くなりかけたのも、彼女を見ると自然と収まっていくようだ。 - 2■■■書22/02/15(火) 10:47:59
「どういうシーンに挑戦されるのでしょう。これは……もう山場じゃないですか?」
「あはは、全部お見通しだね。やっぱりよく見てるよね、ロブロイは。アタシも同じ人見知りなのに、怖いから観察とか出来ないもん」
「もう、 そんなにご自分を卑下しないで下さい……! ドーベルさんのいつも凛乎として励む姿を見て、私はたくさん勇気をもらってるんです。
それに、人見知りだって、私たちが話すきっかけになった共通点の一つじゃないですか。こんな素敵な方とお近づきになれたのだから、私は良かったと思うぐらいですよ!」
「う、うん。そうだねありがとう……?」
すぐ卑屈になりがちなアタシを、彼女はすかさず包むようにフォローしてくれた。
彼女に本の話以外で、ましてアタシの事でこんなにビシバシ言われるなんて……なんでか一瞬、ドキッとした気がする。
これがギャップ、なのかな……なんかすごく参考に出来そう。 - 3■■■書22/02/15(火) 10:48:15
「……なるほど。ヒロインが辛い宿命を背負ってしまった英雄然とした想い人の居場所になろうと四苦八苦する……この場面のヒロインの心情が納得いく仕上がりにならないと」
「……描き進めるうちに何となく分かってたけど、大分大きなスケールの話になっちゃって……ノリだけで描くと後で後悔するものなんだよね……」
「私になにか手伝えることはありませんか? この魅力的な作品を、ドーベルさんが完成させる様を見届けたいんです」
「そんな大げさだよ……うーん、それなら。
ロブロイはヒロインになりたいって思ったことある?」
「ヒロイン、ですか……」
- 4■■■書22/02/15(火) 10:48:38
スケールが膨張したのは考えものだが、今まででかなりいい出来のものになっている……と思う。
特にキャラは今のところ自信がある。「アタシだけのヒロイン」を描けているように思えるのだ。
上手く進めるためにも、アドバイスがほしい。
問題の、主人公が想い人だけのヒロイン──拠り所になる為に奮起するシーン。
別角度の視点として、ヒロインに成りたいと憧れる純粋な気持ちを参考にしたいのだと伝える。
ロブロイは歴史に刻まれるような英雄を目指していると言うが、女の子だし、ヒロインに憧れたことが一度はあるだろう。
そういう情動を、参考にしたかったんだけど……
「……私の気持ちは、参考に出来ないと思います。だって、私はずっと英雄に憧れているので……。
代わりといってはなんですが、さらに別の、想い人の視点に関して一助になれば」
「? ヒロインじゃなくて、想い人の……」
「戦場に臨むとき想い人──英雄は1人ですが、多くの人の想いがあってこそ立ち上がれるのです。その最も近い場所で支えて、ともに励もうとするヒロインが居てくれる。
これで英雄がヒロインを、大切にしない理由がありますか?」
- 5■■■書22/02/15(火) 10:49:01
まるで自分のことのように、ロブロイは熱意を持ってアドバイスしてくれる。聴いている中で、この構図はアタシたちのレースに当て嵌ると気付いた。
アタシたちウマ娘は一人で走るけど、多くの人の想いがあって……それこそトレーナーの助けやロブロイたちの応援があって挑めるわけで。
いつもはヒロイン以外の視点に自信が無いけど、今回は分かる。
きっと、スケールなんて関係ない。英雄やウマ娘を信じて帰る場所になってくれるヒトがいる。なら、お互いに信じられれば、自ずと──
「誰よりもかけがえのない、自分を示す帰る場所。
きっと、お互いが同じ未来に向かって、交われば……想いは報われますよ。
あっ、また長話に……ごめんなさい一人でっ! しかも逆説的で、メタ的で……ズルい見方になっちゃいました……!」
「ううん、そんなことない。何となく、もっと大事な事に気付けた気がする。英雄もヒロインも両方。ありがとう、ロブロイ」
「……本当に? そうですか……? なら、良かったです………えへへ」
不安げな表情から一転、はにかんで照れる彼女を見て思う。こんなかけがえのないヒトたちの想いに報いるためにも、アタシはもっと精進しなくちゃって。
- 6■■■書22/02/15(火) 10:49:28
「ヒロインも想い人も向ける気持ちは大きいに決まってるから、いつか必ず結ばれるんだよね。アタシがそう信じて描いたら……やっぱりノリになるけど。
それでレースで、アタシも同じように。いつか、夢を叶えられたらいいな」
「ドーベルさんなら必ず。……私も、いつか英雄になってみせます」
「お互い頑張ろう!
そういえば、参考にならないっていうのは、やっぱりヒロインより主人公……英雄に憧れてるからなんだよね──あれ、どうしたの?」
「──あっ、すみません。少し考えちゃって。
……英雄と同じ未来を見て、拠り所となってくれるヒロイン、ですか……………やっぱり、私も欲しいな」
遠くを見るような、されど身近に臨むような、彼女の発露が、耳をくすぐった。
英雄を目指す彼女だから、物語の先達みたく、ヒロインが欲しかったりするんだ。一瞬だったけど、英雄になりたいという意志と同じくらいの熱を感じた気がする。
……これも、凄いギャップだ。ロブロイは……意外と肉食系だったりするのかな……?
- 7■■■書22/02/15(火) 10:49:47
「そっか、ロブロイならスケールそのままだもんね。でもきっと見つかるよ。どんな感じだろうね、ロブロイだけのヒロイン」
「……ええ。いつか必ず──手に入れてみせます」
「───……」
目線が交わっている。はっきりと、彼女は宣言していた。
……なんだろう。
その熱は、想いは。さっきの、一瞬電流が奔った以上に、こっちに向かってくるみたいで───
……マンガを現実に当て嵌めて考えてたから、自分を投影しちゃってるのかな。さっきより心臓、ずっとバクバクしてる、気がする。
逆にマンガの方は……何故か今なら、ヒロインの気持ちが上手く描ける、気がする。
- 8■■■書22/02/15(火) 10:50:07
「──さん───ベル──き───ドーベルさん」
「───あっ」
「聞いてください、ドーベルさんっ! 英雄はたくさんの応援があって事を成せます。貴方は、その中の大事な一人なんです。
いつも応援してくれて、ありがとうございます……!」
「ロブロイ……こちらこそ、ありがとうね」
「はわぁ……はいっ!これからもよろしくお願いします……!」
さっきまでの、全部覆われ、絡めとられるような錯覚は消えて。
大輪が咲き渡るような、笑顔を向けてくれる彼女が居た。
先ほどの動揺は行き場を失って、少し収まっている。
アタシを応援してくれるロブロイを応援出来る、かけがえのない相互関係を実感する。こういう一つ一つの想いを大切に、お互い頑張っていきたいな。
アタシも英雄とまではいかないけど、夢を叶えられるように励み続けようと思えたひとときだった……!
- 9■■■書22/02/15(火) 10:50:27
なんでもない会話だったはずなのに、いつの間にか、自分たちの未来にまで想いを馳せることとなった。
ちょっと気恥ずかしかったけど、私の気持ちはやっぱり揺るがないのだと再認識出来たから、良かった。
ただ『その中の』なんて、咄嗟に一集合に構成してしまったのは……我ながらいただけない。
「お互いに、望む景色のために頑張ろうね。じゃあ!」
「はい。望むものを手に入れてこそ英雄ですからね……それではお気を付けて」
- 10■■■書22/02/15(火) 10:51:06
「夢を叶えた先の未来を、同じく。
そして、拠り所となってくれるヒロイン……やっぱり、私には分かりません。
……だって、私は欲しくてたまらない側なんですから」
「夢は全く違うモノだけど。叶えた先の、未来なら──」
図書室を去っていく彼女の背を、今はまだ見送ることしか出来ない。
でもそう、夢──英雄ならば。
いつか、必ず。
「未来で待っていてくださいね───私だけのヒロイン」
──望むものは、すべて手に入れるのだ。
私だけのヒロイン -fin-
- 11■■■書22/02/15(火) 10:51:56
クロスじゃないSSはここでは初投稿です
だから感想ください
誰もやらないから私がロブロイ×ドーベルをやりました
いつかどこかで見た「ヒロインが欲しい英雄ゼンノロブロイ概念」を参考にしました
果たして攻ロブロイとドーベルはどうなってしまうのか…未来はみんなの妄想次第…
以下「今度こそ二人でロリータファッション店に入るロブドベ」等マイナーウマウマ概念投げるスレ - 12二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 11:34:55
公式でうまよんしか絡みがない幻のロブドベ・・・!?
例の目(画像略)で密やかにドーベルを自分だけのヒロインにしようと狙うロブロイ・・・!? - 13二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 11:38:01
良いぞ
ロブドベはもっと流行らせろ
でも本関連とかの繋がり+史実種付けで書きやすそうなのになんで流行らないんだ - 14二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 12:00:05
これロブロイはマンガの英雄を通して暗に自分の気持ちを伝えてるんだ…貴女に帰りを待ってくれるヒロインになってほしいんだって…(昇天)
- 15二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 12:19:40
昼から良いものを見てしまった・・・アリガトウアリガトウ…
- 16二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 12:37:54
英 雄 色 を 好 む
俺はなぜ今までこの可能性に気が付かなかったんだ… - 17二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 13:43:01
これがドベ主人公乙女ゲーのロブロイルートちゃんですか
- 18二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 14:43:59
文学少女の隠れてた獰猛な一面に気づいたら呑まれてる少女マンガ脳ドーベル・・・
- 19二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 15:02:18
- 20二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 15:08:57
おとなしく見えて肉食系のロブロイはあると信じていた
- 21二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 17:31:49
流行れとまでは言わんけど人気投票2位くらい取るcpじゃん
これだけ世界観ファンタジーなルートだったんだよね(おめめぐるぐる) - 22二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 18:32:53
- 23二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 18:50:28
- 24122/02/15(火) 20:15:17
- 25122/02/15(火) 22:19:24
2人がまた紅茶店に行ってその帰りに前は勘違いだったはずのロリータファッション専門店に入っちゃうんだ…
やっぱりこういうのに興味あったのかなって思うドーベルだけど気付いたら自分に服が当てられてて
ロブロイが見るんじゃないのって聞くとえ?ドーベルさんに着てh…お似合いだと思ったんで前から連れてきたかったんです
って言われて結局試着しちゃうんだ…
最後にはロブロイとのカップr…シミラールックで購入して
なんか勢いに押されたけど凄い恥ずかしい事しちゃったんじゃ…って赤くなって終わるドーベル概念なんだ…(したり顔ロブロイを添えて)
- 26二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 22:36:10
うわぁいきなり砂糖を吐くな!
しかしこれで公式の供給はしゃぶり尽くしてしまったという事実…少ねぇ! - 27二次元好きの匿名さん22/02/15(火) 22:36:42
ドーベルにロリータもの着せたがるロブロイ概念か・・・もっと書いて♡
- 28122/02/15(火) 23:38:57
あげてしまうか…
もっとみんな見てくれ〜!