華麗なるお悩み相談【ヘリルビ・SS】

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:44:33

    「ヘリオスの好みが知りたい?」

     カフェテリアの片隅で、メジロパーマーとケイエスミラクルは同時に聞き返した。恐らく、その表情は二人が意識する以上に驚きに満ちていたのだろう。
     聞き返されたダイイチルビーも意表を突かれたのか、ワンテンポ置いてから二人に頷いた。

    「……近頃はヘリオスさんからお誘いを頂く際、私の予定に随分気を遣って下さるようになりました。私の知らぬ間に屋敷の者の大半と連絡先を交換し、普通ならば知り得ないような予定まで事前に察して頂いております」

     一瞬ルビーの表情に複雑な感情が見え隠れしたが、一先ずそのような行動を取るヘリオスへの印象は悪くないようである。パーマーとミラクルは、まずここで密かに胸を撫で下ろした。
     何を隠そう、ヘリオスにそのように行動するよう丁寧にアドバイスしたのはこの二人だからである。

     ルビーに一目惚れして以来、ヘリオスは果敢にアタックを続けていたが、如何せんヘリオスの行動はバイブス優先。ダメ元だろうと突っ込む迷いの無さもあって、とてもルビーからの印象が良いとは言えなかった。
     故に、なんとかヘリオスの個性や性格を活かしてルビーとの関係を前へ進めるにはどうしたら良いか二人であれこれ考えた結果が『外堀とバイブスアゲアゲ作戦』だった。既にルビーの執事とはウマスタとLANEで相互フォロー済という情報から編み出した奇策である。

     正直、ルビーからの印象も考えると大博打ではあったが、一先ず裏目には出ていないようだ。新たな交流関係のおかげでルビーの予定を気遣えるようになったのなら万々歳である。
     寧ろ、おけまる水産、とウインクしてからほんの僅かな期間で屋敷中の使用人と連絡先を交換して見せる行動力とコミュ力の高さに驚くべきか。ルビーの飼い犬ことサフィーちゃんが秒で懐いたという話は聞いていたが、然もありなんといったところである。

  • 2二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:45:38

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  • 3二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:46:10

    「無論、こちらの事情を汲んで頂けるようになったのは喜ばしい事です。お陰で、ヘリオスさんと外出する機会も以前より増えました」
    「うん、ヘリオスもよくルビーとのデートの話をしてくれるよ。二人が楽しく過ごせてるみたいで、おれも嬉しいよ」

     ミラクルがそう言って微笑むと、ルビーは思わず目を丸くした。直後、ハッとしてそれまでの凜とした表情に戻る。頬をほんのりと紅玉色に染めながら。

    「……外出をデートと呼ぶべきかはさておき、ヘリオスさんは外出中、時間を気にすることが殊更に多くなり……」
    「あー……もしかして予定を入れる時だけじゃなく、出掛けた先でも色々気を遣っちゃってるんだ?」
    「はい。勿論、嬉しい事ではあるのですが……」

     頷くと同時に、ルビーは目を伏せた。外で一緒に居るときのヘリオスの様子が目に浮かび、パーマーとミラクルは思わず向き合って苦笑い。

     "華麗なる一族"の令嬢として、ルビーは常に分刻みのスケジュールをこなしている。時には一族の顔として社交の場に赴きつつ、三道や武道に励み華麗なる一族を担う者として自身を磨いていた。恐らくは、そういった曜日毎のスケジュールもヘリオスは使用人達との交流で把握するようになったのだろう。
     結果、ルビーのためならと必要以上に時間を気にしてしまうようになったのも想像に難くない。

     本人なりの努力の表れと言えばアドバイスした二人にとっても喜ばしいが、肝心の意中の人にその行動を心配されているとなると一考の余地があるだろう。
     さて今度はどうアドバイスしたものか、と思案する二人に、ルビーが凛と声を張る。

    「なので、今度は私からヘリオスさんをお誘いしてみようかと存じます。事前に一緒に居られる旨をお伝えすれば、余計な気を遣わずに済むかと」
    「なるほど、それでヘリオスの好みを色々と知りたいんだね」
    「……正直、外出の際は、行き先を私の好みに合わせて頂いている部分が多いようにも思います。叶うならば……私はヘリオスさんにも楽しんで頂きたく」
    「じゃあ今度はヘリオスのバイブスがアガるトコにルビーからご招待って訳だね? 良いじゃん!」

     そう言って、パーマーがずいと身体を乗り出した。

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:46:36

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  • 5二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:47:10

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  • 6二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:47:55

    「そういう事なら、パーマーさんにお任せ♪ 自慢じゃないけど、ヘリオスのテンアゲポイントなら幾らでも教えられるよ!」
    「おれも協力するよ。と言っても、ヘリオスがこれ良いよね、って教えてくれた事を伝えるだけになりそうだけど」

     楽しそうに笑みを浮かべるパーマーと、優しく微笑むミラクル。大切な人の為、迷わず手を差し伸べてくれる二人を前に、ルビーは瞳を煌めかせた。

    「よろしくお願いします、パーマーさん、ミラクルさん」

     ルビーが声を上げて笑ったり、年相応の笑顔を見せる所は七不思議レベルで誰も見たことがないが、少なくとも付き合いの長い二人にはルビーの表情の変化が読み取れた。何より、ルビーの方からヘリオスに歩み寄ろうとするなんて、少し前までは考えられなかった。

     予てより伝えていた通りにヘリオスが動いてくれるようになったのは良いが、必要以上に気を遣わせているという負い目もある。かと言って、自身の為に一生懸命なヘリオスの行動を遮るような事をしたくない。
     
     そんなルビーの想いがヘリオスにも届くよう、パーマーもミラクルもヘリオスについての情報をルビーに伝えた。行きつけのライブハウスや知り合いの多い商店街、今話題の映えスポットやスイーツなど、ヘリオスのバイブスが上がりそうなアレコレを並べていく。ルビーもそれらを一つ一つ聞いてはメモに取り、時にスマホで調べながら情報を整理していった。

    「……そんな所かな。どう? 参考になりそう?」
    「はい、ありがとうございます。ヘリオスさんに御満足頂けるよう、種々の準備を始めたいと思います」
    「役に立てて良かった。楽しいデートになると良いね」
    「……ええ、本当に」

     そう言って仄かに微笑んだルビーの煌めく瞳を見ていると、ヘリオスが惚れ込むのも分かる気がする。
     二人は互いにちらと目を合わせ、二人の仲が深まることを祈るのだった。

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:47:58

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  • 8二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:48:48

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  • 9二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:49:02

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  • 10二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:49:03

    見てるから、気にせんと続けてええで

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:49:52

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  • 12二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:49:54



    「それで、この間は一緒に水族館に行ったんだって」
    「おっ、いいねいいね。それで?」
    「ペンギンの散歩でペンギン達と一緒に歩いてる写真を見せて貰ったよ。後はシロイルカとのツーショット、いやスリーショットかな?」
    「私は二人でパフェとパンケーキを食べてるトコ! ルビーの事だからスイーツは結構厳しいハズなのに……いやぁ、遂にここまで来たか~」

     そう言って感慨深く頷いたパーマーに続き、ミラクルも嬉しそうに微笑んだ。
     ルビーの相談に乗り、ヘリオスの好みをあれこれ伝えた一幕からしばらく経ったある日、二人はその後の進捗について情報共有を行っていた。最初はルビーへのアプローチについて検討会議を行う為の場であったが、今やすっかりヘリオスとルビーの仲は進展し、こうして二人の歩みに喜びを感じるばかりである。
     振り返ってみれば苦労の連続、ゲートを出てからここに至るまで影に日向に応援してきたズッ友としては、感慨も一入だ。

     その時、何かに気付いたパーマーが不意に立ち止まる。

    「……ヘリオス?」
    「えっ? どこに?」

     パーマーの視線の先をミラクルもすぐに追ったが、ヘリオスの姿は見えない。しかも、その視線の先にあるのは移動教室で使用する部屋で、今は誰も居ないハズだった。

    「見間違いじゃないかな?」
    「いや、間違いないよ。確かにヘリオスだった」
    「本当に? でもなんでこんな人気のない所に一人で……」
    「……そんなの、決まってるでしょ?」

     どこかわざとらしく含みを持たせて応えたパーマーの方を見ると、ニヤニヤと悪い笑みを浮かべている。その表情で、ミラクルもパーマーが何を思ったのかを察した。そして、その後の行動に至るまで。

    「……流石にやめた方が良いと思うけどなぁ」
    「そっかぁ……気にならない? 今の二人の雰囲気」
    「まあ、気になるかと聞かれると……ね?」
    「ふっふっふ、正直でよろしい」

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:52:37

     恥ずかしそうにはにかむミラクルに、パーマーは満足そうによし、と一言。二人は周囲に誰も居ない事を確認しつつ、抜き足差し足気配を消してヘリオスが入っていったと思われる教室へと忍び寄る。
     目的は勿論、ヘリオスとルビーの逢瀬と言うか密会をその目で見届ける為である。デートの後は色々とその時の事を話していたし、その話を聞いているだけでも二人の仲は伝わってくる。

     しかし、他の人が居る外出時や教室ではなく、真に二人きりとなった場合どのような雰囲気でどんな話をするのか。気になった事が無いと言えば嘘であった。あまり褒められた行為ではないが、二人は静かに教室の側まで近づくと、扉際の壁からそっと教室内の様子をうかがった。

     そして、半開きの扉から見えた光景に、二人は思わず息を呑んだ。
     目線の先に居たのは、互いを抱き寄せて口付けを交わすヘリオスとルビーの姿。自身が息を殺している所為か、二人の間から微かに漏れる息や唇の音が遮られず耳に届き、電撃のようにシナプスを貫く。
     想像以上の光景を前にその場で固まってしまった二人が居るとは知らず、ヘリオスとルビーは少しだけ顔を離し、互いに見つめ合った。

    「仕方のない人。学園でなくとも、二人きりになれる機会は作っているというのに……」
    「えへへ、ゴメン。でもね……ウチ、もうそれだけじゃ足りんくて。こうしてルビーとずっしょしてたいくらい、ルビーが好き」
    「……ええ、私も……無遠慮に抱き寄せてくる貴方と、こうして触れ合う時間が……愛おしくて、仕方がない……」

     嬉しそうに微笑みを浮かべるルビーの表情は、今まで見てきたどんな表情よりも美しかった。向かい合うヘリオスがどんな表情でそれに応えているのかは二人の位置からは窺い知れない。
     けれど、ヘリオスはもう一度静かにルビーを抱き寄せ、二人は想いを分かち合っている。ならば、どんな表情でルビーを見つめているのかなど、火を見るより明らかだろう。
     ヘリオスは、そっと身体を起こし、ルビーの耳元へ口を寄せる。

    「ね、ルビー。あと何分?」
    「……五分、程」
    「りょ」

     そうして今度は軽く触れるだけの口付けを交わすと、二人は再びお互いに身体を寄せ合い、溢れ出る想いを分かち合う。
     その時、ふとルビーの目線が教室の扉へと動く。半開きになった教室の扉の向こうには、しんと静まった廊下があるばかりだった。

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:54:08

     さて、ヘリオスとルビーの進展具合をまざまざと見せつけられたパーマーとミラクルは、カフェテリアに逃げ込んで息を切らしていた。
     しばし固まったままその様子を見つめていたが、不意にルビーの視線がこちらへ動きかけた刹那、二人は実際ニンジャめいた反射速度でこれを躱すと、音も無く全速力でその場を後にしていたのである。

    「いやぁ、参った参った。まさかあそこまで進んでいたとは……」
    「楽しいものにしたいってルビーは言ってたけど……あの後、二人でどんなデートしたんだろう」
    「そりゃあもう、ねえ?」

     そう言って困ったような笑みを浮かべるパーマーに、ミラクルも苦笑する。口にしなくとも、察しは付くというものだ。
     しかし、パーマーはふうと一息付いて困り顔を納めると、すぐさまニッと笑ってミラクルに向き直る。

    「まあ、とりあえず」
    「うん」

     ミラクルもすぐさま切り替え、二人は真っ直ぐカウンターに向かった。
     パーマーは二人分のコップを手に、基本特別な時にしか飲まないにんじんジュース・極を確保。ミラクルは最近メニューに追加され評判を呼んでいるというキャロット・二・アイスノセターノ(ダブルサイズ)を奮発して購入。
     そうして二人はカフェテリアの机に向かい合うように座ると、お互いのコップに並々とにんじんジュースを注ぎ、手に取って掲げた。

    「では、我らがヘリオスとルビーの恋の成就と」
    「太陽が照らす眩い未来に」
    「乾杯!」

     コップを打ち鳴らした二人は、同時にコップのにんじんジュースを飲み干した。そして手元の大きなアイスを瑞々しいイチゴごと大きく一口。どちらも普段なら少しずつ味わって食べるのが定石だが、事ここに至ってはそんな細かい事はどうでもよかった。
     祝いの席に、遠慮は無用なのである。

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:55:36

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  • 16二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:56:09

    「あー……! 染みるなぁ……!」
    「ふふっ、台詞が老けてるよ?」
    「だって、ねえ?」
    「……うん、分かるよ。おれも今、すごく嬉しいから」

     胸に溢れる熱い想いを、心地よい甘さとひんやりした感覚と共に噛みしめる。その時、先程聞いたモノとは打って変わって二人にとっては耳に馴染んだ声が響いた。

    「あー! なになに二人ともめっちゃ豪勢じゃん!! どったん!? 何パ!?」
     
     声の方に振り向くと、ヘリオスが二人の目の前に置かれたにんじんジュースとアイスに目を輝かせていた。
     一瞬ドキッとしたが、あんな一面を見せてもこうして二人にとって馴染み深い笑顔を目の当たりにすれば、脳を貫かれた感覚も和らぐというものだ。

    「いやあ、ちょっと良い事があってさ。二人でお祝いパ!」
    「良かったら、ヘリオスもどう? 折角だし、一緒に食べようよ」
    「マ!? 良いの!? コレダブルサイズだよ!?」
    「勿論。遠慮無く食べて」
    「はぁ~……!! ミラてんまぁじやさ娘! それじゃ、いっただっきま」
    「ヘリオスさん」

     ミラクルのアイスを手に取ったヘリオスがかぶりつこうとしたその瞬間、凜とした声がヘリオスを制した。
     いつの間にやって来たルビーも、先程の甘く蕩けるような表情は何処へやら、"華麗なる紅玉"ダイイチルビーのそれに戻っている。思わずパーマーとミラクルに緊張が走った。
     そんな二人の内心を知ってか知らずか、ルビーはヘリオスにそっと歩み寄る。

    「私の記憶違いでなければ、先日トレーナーさんからスイーツの食べ過ぎに注意するよう指導があったばかりかと存じますが」
    「がーん! そうじゃん!? あちこちプニったら普通にアウトじゃん!」

     頭を抱えるヘリオスと、静かに溜め息を付くルビー。どうやら外出の予定だけでなく、トレーナーの目が届かない時の栄養管理もルビーの管轄になったらしい。
     そういう事情なら、と納得したパーマーは頭を抱えるヘリオスを宥める。

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 22:58:08

    「まあまあ、アイスとジュースは逃げないから、また今度ってコトで!」
    「次は思いっきり食べて良い時に、四人で一緒に食べよう?」
    「よっしゃおけまる! んじゃ今からパマちんとミラてんリザね! もち、お嬢も!」
    「……検討しておきます」

     すまし顔のままヘリオスの提案に応えたルビーだが、その尻尾はいつもより気持ち楽しげに揺れている。
     パーマーとミラクルは、一先ず先程の盗み見がバレていなさそうな事と、以前よりもずっと対応が優しくなったルビーに安堵の笑みを浮かべた。

    「んじゃ、ウチそろそろトレーニングだし、トレぴんトコ行ってくんねー!」

     一緒にアイスを食べる話が終わったかと思ったら、そう言ってヘリオスはあっという間に去って行った。眩い笑顔と楽しげな声で場を明るく照らす、正に太陽のようである。
     二人の仲が進んでも、ヘリオスのそういう所はいつまでも変わらないで居て欲しい、そうパーマーとミラクルが思い至ると、ルビーも二人に向き合った。

    「では、私も失礼します。お二人も甘味の摂りすぎにはご注意を」
    「分かってるって、ありがとね」
    「まあ、これは今日だけって事で、ね?」
    「……何があったかは存じませんが、お二人にとって善き事ならば何よりです。ですが、程々に」

     改めて一言注意を促したルビーは、そう言って二人に向けて優雅にお辞儀をした。

    「ああ、それと」
    「えっ?」

     ふと何かを思い出したように声を上げ、ルビーは一歩、二歩前に出て、二人をじっと見つめる。ここに至って、まるで心中を見透かすかのような鋭い視線が、少しだけ息苦しい。
     先程ヘリオスのおかげで意識せずに済んだ緊張が、俄に湧き上がってくる。二人は務めて普段通りを装い、ルビーの言葉を待った。

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:00:45

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  • 19二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:00:55

     そんな二人に、ルビーは静かに自身の左手を持ち上げると、その人差し指をゆっくりと唇にあてがい、鋭い覇気を纏って微笑んだ。
     刹那、パーマーとミラクルの背筋に電撃が奔り、その額には冷や汗が浮かぶ。ルビーの仕草の意味を、二人は瞬時に理解したのだ。あの時二人がヘリオスとの逢瀬を覗き見ていた事に、ルビーは恐らくずっと気付いていたのだろう。

    「では、ごきげんよう」

     普段通りの優雅な挨拶にさえ、氷柱のような鋭い冷気を纏っているように思える。去り際の微笑みが、却って迫力を増していたように思えたのは、きっと気のせいではない。
     そうしてルビーが優雅に去った後、二人は少しばかり青ざめた顔で向かい合った。

    「……今度から、ああいうのは無しって事で」
    「うん……これからは、ええと……後方親友面って言うのかな? それとも、奥ゆかしさ重点?」
    「そんな言い方、誰から聞いたの……? えーっと、まあその、アレだよ。二人が幸せなら私達も幸せって事で、ね!」
    「……そうだね!」

     パーマーとミラクルは二人してそう自身を納得させると、改めて二人の前途を祝してにんじんジュースで乾杯した。

     それからしばらくして、ヘリオスとルビーの仲はすっかり学園中が知る所となった。一見会話もノリも釣り合わないように見える二人が寄り添い合って歩く姿を遠目に眺め、憧れの視線を送る者も増えていく。
     そして、そんな二人を時折後方から腕組みしつつ嬉しそうな顔で二人を見守るパーマーとミラクルの姿も時折見られるようになったという。

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:02:22

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  • 21二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:04:20

    以上です、ありがとうございました。
    推しCPの一つがヘリルビなのですが、最近は素敵なヘリルビスレが多くてバイブスが高まります。お嬢がヘリオスにデレる瞬間からしか得られない栄養素がある。この尊さはDNAに素早く届く。

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:04:49

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  • 23二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:05:14

    乙です!!頑張って投下してくれてありがとう。お陰で私にも栄養素が届いた

  • 24二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:05:17

    >>21

    良かったよ 

    ありがとう

  • 25二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 23:06:40

    >>21

    良いヘリルビ&後方パマミラだった

  • 26二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 00:05:22

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  • 27124/08/09(金) 00:05:52

    読んで頂きありがとうございます。 


    >>10

    応援ありがとうございました、励みになります。


    >>23

    こちらこそ、読んで頂きありがとうございました。

    栄養素が素早く届いたならば何よりです。


    >>24

    ありがとうございます。次も良いと言って頂けるよう精進致します。


    >>25

    ここ最近のヘリルビスレのおかげで、甘々ヘリルビと全力気ぶり後方パマミラにハマりました

    後方パマミラもなんだか味があって好きです

  • 28二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 00:08:24

    いいぞ~これ
    余計なお節介かもしれんけど次はトリップ付けたほうがいいかも
    過去に本文コピペして増殖バグみたいに見える荒らしも有ったからな
    なるべく複雑なトリップ付けるとええで(単純なやつだとツール使って割られる)

  • 29二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 06:10:01

    良質なヘリルビはもう一息頑張りたい金曜日の活力になる

  • 30二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 10:44:37

    さりげなく普段呼びはお嬢のままだけど二人きりの時はルビー呼びになってるの良いな

  • 31二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 13:29:00

    >そして、そんな二人を時折後方から腕組みしつつ嬉しそうな顔で二人を見守るパーマーとミラクルの姿も時折見られるようになったという。


    寄り添い合って歩くヘリルビを見守りながらどっかの大将軍みたいな笑顔で後方腕組みしてるパマミラが目に浮かぶ

  • 32124/08/09(金) 21:47:50

    読んで頂きありがとうございます。


    >>28

    ヘリルビは良いぞ

    トリップについてはどうしましょうね……作らないつもりだったのですが、毎度毎度コレだと流石に検討した方が良いのでしょうか。


    >>29

    その内夏バテにも効くようになる。


    >>30

    ルビーの側から二人きりの時は……とヘリオスにお願いしてたりすると良いですよね……。


    >>31

    普段はすんごい良い笑顔で見守ってるけどヘリオスとルビーに悪い虫が近づいてきたら全力で飛んでくるなどしそうですね。

オススメ

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