ナギちゃん、それはないよ

「それで、今日はどうだったのかな？」

三人だけの茶会、最早恒例行事となったそれで口火を切ったのは百合園セイア。三人の中では最も思慮深いブレインだ。

「積極的にアプローチしてみます、って言ってたもんね」

追撃を放つのは聖園ミカ。少々考え無しなところもあるが積極的な意見を出していき、幼馴染という事で渦中の人物についても詳しい。

「ええと、ですね……その件につきましては」

そんな二人からの問いかけに歯切れ悪く答えるのが桐藤ナギサ、セイアとミカに相談に乗ってもらっている身であり…シャーレの先生に恋する一人の少女でもある。
そんなナギサは積極的なアプローチを二人に約束して先生との用事(と言っても、単なる業務連絡だが)に臨んだのだが……

「あちゃー、やっぱり駄目だったかー」
「予想通りだね、私の直感すら不要だったよ」
「二人とも辛辣ではありませんか！？」

案の定、いつものように、決まりきった結末として。
積極的なアプローチなど失敗した報告を受けた二人は、この奥手が過ぎる友人の恋愛成就を祈って今日も頭を悩ませる事になるのだった。

「やっぱり部屋に連れ込んじゃうとか……」
「屋根裏にいる君とは立場から違うのだから無理に決まっているだろう、そもそも連れ込んだところで何か出来ると思うのかい？」
「無理そうだねー、だって連れ込むって聞いただけで」
「連れ込み…！？そのようなふしだらな…！いえ、ですがそれも一つの……などと言うわけがないでしょう！ああ、しかし仮にそうなったとして私は一体どうすれば…！？」
「完全に暴走しちゃってるもんね」
「やれやれ、まずは精神面からどうにかする必要がありそうだね」

呆れたような口ぶりながらも、ミカもセイアも楽しそうにしている。年頃の少女らしい話題で盛り上がる自分たち…そんな現状は二人にとって好ましいものではあったから。
……まあ、友人の初心っぷりだけはどうにかならないものかと思ってもいるのだが。