【微トレシャカSS】Who was that?

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:00:12

     夏が近づいて来たとある日のこと。俺とシャカールは、トレーニングの開始時刻までトレーナー室で過ごしていた。
     先程まで夕方のニュース番組を映していたテレビから、急におどろおどろしいナレーションとBGMが聞こえてきた。少し驚きながらテレビを観ると、どうやら近々公開予定の学校を舞台としたホラー映画のCMのようだった。
    『…決して…開いてはいけない…』
    ドンドン!と外から叩かれ揺れる教室のドアをバックに、タイトルと公開日が表示され、画面は次のCMへと変わった
    (CMの時点でも結構怖かったな…)
    とはいえ俺も大人。子供の頃ならいざ知らず、CMだけならとても恐ろしいという程ではない。

  • 2二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:00:32

    (シャカール…大丈夫かな…)
     実は彼女は、心霊現象や幽霊の類いが苦手なのだ。以前アグネスタキオンの研究室で怪奇現象に遭遇した際、その原因をロジカルに証明しようとしていたが、かなり怖がっている様子だった。だが先程のはあくまでも創作物、偽物だ。
    (ならそんなに怖がっていないかも?)
     そう思い、シャカールが座っているソファーの後ろのデスクから様子を伺う。
     こちらからはシャカールの後頭部だけ確認出来る。今シャカールは右耳をテレビの方へ向け、左耳は周りの音を確認するように忙しなく動いている。あれは不安な時や警戒している時に見せる動きだ。小気味良いタイピング音も今は全く聞こえない。
    (ダメそうだな…)
     シャカールは一言も発していないが、彼女がかなり怖がっているのは伝わってきた。ウマ娘にとっては「耳は口ほどに物を言う」のだろう。

  • 3二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:00:48

    「えっと…シャカール?」
    「…ッ!ンな、何だよ?」
     急に声をかけた為か、肩をビクリとさせて驚いていた。無駄に怖がらせてしまった…。
    「いや…ちょっと早いけど、そろそろ準備しようか?」
     まだほんの少し早いが、コースの予約時間が近づいていたので、少しでもシャカールの気を紛らわせればと提案してみた。
    「ああ…そうだな。着替えてくる」
     そう言うとシャカールは鞄を持ち、更衣室へと向かった。トレーナー室から出る際、やたらと周囲を見回していたのは、見なかったことにしておこう。

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:01:15

     その後、特にアクシデントもなく無事にトレーニングを終えた。変わったことがあったとするならば、俺達の後の予約がキャンセルされた為、折角ならばと貸切状態で追加のトレーニングを行ったことくらいか。シャカールも最初こそ集中出来ていなかったようだが、徐々にそれも無くなっていった。
     トレーナー室に戻り、明日以降の打ち合わせをしていた。
    「よし、こンなとこだな。お前が提案したのも加味して詳細は後で送っとくから、確認しとけ」
    「ああ、分かった」
     打ち合わせも終わり、シャカールがノートPCを鞄にしまう。このまま寮に帰るのだろう。いや、ネカフェに行くのかな…。
    (俺ももう少しだけ残ろっかな…)
     そう思い立ち上がり、デスクに向かった。しかし、シャカールはソファーに座ったままスマホを取り出し、弄りだした。

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:01:39

    「…シャカール?」
    「アァ?」
    「帰らないのか?」
    「…オレがいつ帰るかなンて関係ねェだろ。少し休んだら勝手に帰っから放っとけ」
    「そうか…」 
     シャカールらしくない、少し屁理屈気味な物言いに戸惑いながらデスクに座る。
     パソコンを立ち上げるが、シャカールの様子が気になって仕方がない。
     俺は一つ、推察した。
    (まさか、一人で帰るのが怖い…のか?)
     トレーニングが長引いた為、辺りはすっかり暗くなっていた。校舎内には恐らく俺達以外殆ど人はいないはずだ。夕方に見た、ホラー映画のCMを思い出す。舞台は学校…当然、校内で襲われるシーンもしっかり映っていた。そんなものを観た後の夜の学校なんて、ホラーが苦手で無くとも恐ろしいだろう。ならば…とパソコンの電源を落とし、帰る支度をする。

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:01:56

    「あ…?なンだよ…?」
     帰り支度する俺を、シャカールは少し驚いた様子で見ていた。恐らく、俺が帰るまで残るつもりだったのだろう。今日はいつもより多くトレーニングをした。早く帰って休んでほしい。
    「今日は早く帰ろうと思ってさ。シャカールはどうする?もう少し休むなら、鍵預けておこうか?」
     しかし悟られてはいけない、シャカールは怖がっていないつもりなのだ。あくまで自然に聞いてみる。
    「…いや、いい。…オレも帰る」
    (よし…!)
     心の中でガッツポーズをする、作戦成功だ。
    「寮まで送るよ」
    「あぁ…」
     怖がっているからか、やけに素直なシャカールを新鮮に思いつつ、二人でトレーナー室を出た。暗い校内を並んで歩く際、いつもより距離が近いような気がした。

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:02:27

    「…あ」 
     校舎を出たところでシャカールが小さく声をあげた。
    「どうかした?」
    「…忘れた」
    「え?」
    「…スマホ…忘れちまった…トレーナー室に」
    (あ、あの暗い校内を…また…?)
     シャカールの手前、何ともないように振る舞っていたが、正直に言うと俺も少し怖くなっていた。しかしこれ以上シャカールを怖がらせる訳にはいかない。
    「お、俺が行ってくるから、シャカールはここで待ってて…!」
     怖いから付いてきて…!なんて言えるはずもなく、腹を括る。しかし…
    「…ッま、待てよ…!」
     踵を返し校内へ向かおうとした時、シャカールに腕を掴まれた。
    「ひ、一人にすンな…じゃなくて…!お前一人だと不安だ。オレが、付いてってやるよ…?」
     微かに震える声、不安気に揺れる瞳。確かにここで一人待たされるのも怖いだろう。
    「分かった。じゃあ、付いて来てくれ!」
    「お、おう…」
    俺達は再び、トレーナー室へ向かうのだった。

  • 8二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:02:46

    (つ、着いた...)
     さっきよりも長く感じた、トレーナー室への道。やけに響く二人分の足音。長い廊下は、CMで観た、突き当たりに幽霊が佇んでいるシーンを想起させる。窓から射し込む普段は優しい月明かりも、何故か不気味に思える。シャカールの少し前を歩き、トレーナー室の扉の前まで来た。
    「オイ、早くしろよ…!」
    「ご、ごめん…!」
     少しもたつきながら鍵を開ける。何故か二人とも小声になってしまっていた。扉を開いてすぐに部屋の明かりを点ける。
    (ああ…落ち着く…!)
     パッと明かりに照らされた見慣れたトレーナー室が、まるで天国のように思えた。
    「よし、回収した。オイ、とっとと帰ンぞ」
    「そうか、じゃあ……帰ろうか」
     またあの道を戻るのか…。気が重いが、帰るだけならましだと、部屋から出ようとしたその時。
    フッと、部屋の照明が消えた。

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:03:00

    「うわっ!?」「…ッ!?」
     月明かりが射している為真っ暗ではないが、突然のことに驚いてしまう。シャカールは声もあげられなかったようだ。
     すると、
    コツ…コツ…コツ…と足音が聞こえてきた。
    (な、何だ…?他に、誰かいたのか…?)
     しかもその足音は、段々と大きくなっていき、やがて…
    コツ…コツ…コツ…コツ……コツ
     この部屋の前で、音が止んだ。
    トントン…
    「…ッ!?」
    "何か"が扉を叩き始めた。
    『…決して…開いてはいけない…』 
    CMのナレーションを思い出し、心臓が破裂しそうな程、鼓動が激しくなってくる。
    (まて、幽霊と決まった訳じゃない)
     しかし学園関係者でもない、ある意味もっと恐ろしい"者"かもしれない。
     トントン…トントン…
    扉を叩く音が止まない。すると急に、腰に締め付けられる感覚があった。

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:03:17

    振り返ると、目をギュッと瞑り、両耳を手で抑え、体を縮込ませながら尻尾を俺の腰に巻き付けているシャカールが見えた。恐怖で震えているシャカールを見て決心し、彼女の頭を撫でる。
    「大丈夫…俺が…守るから…!」
     自分でも分かる、震えていて、頼りない俺の声。それでも...
    「俺の身に代えても...絶対守るから…!」
    さあ来い…!と前を向き、身構える。といってもここは部屋の中、扉さえ開かなければ一先ずは安心…
    「あ…」
    (鍵…締めてない…)
    「シャ、シャカール?尻尾ほどいて…!鍵、締めてないから…!」
    ガチャ……キィ……
    「…ッ!?」
    蝶番を軋ませながら、扉が開いた。
    「く、来るならこい…!シャカールには、指一本触れさせ…な…い?」
    「こんばんは…。どうされたんですか…?明かりも点けないで…」
     俺の目の前には幽霊でも、不審者でもない、あるウマ娘が立っていた。

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:03:32

    「き、君は、マンハッタンカフェ…だよな…?」
    「はい…そうですが…」
    マンハッタンカフェ。シャカールと同じクラスのウマ娘だ。腰まである艶やかな青鹿毛の髪と、黄金色の瞳。頭頂部には一房の白い髪の束が後ろ向きに跳ねている。間違いない、正真正銘、本物の彼女だ。
    「よ、よかった…」
     安心した俺の全身から力が抜けていき、へたり込む。
    「トレーナーさん…?大丈夫ですか…?後ろにいらっしゃるのは…シャカールさん…?シャカールさんも…大丈夫ですか…?」
    「はっ!?そうだ、シャカール!シャカールは無事か…!?」
     さっきまであった、尻尾が巻き付けられていた感覚がない。シャカールの方へ振り返ると
    「うるせェ、でけェ声出すな」
     さっきまでの様子は何処へやら、何時もの様子のシャカールが、腕を組んで立っていた。ただバツが悪そうに、そっぽを向いていたが。

  • 12二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:03:48

    (なんともなくて良かった…)
     ほっと一息つき、立ち上がる。
    「…あの、一体なにが...?」
    「ああ、ごめん。実はね…」
    全く状況が分からない様子のマンハッタンカフェに、これまでの経緯を説明した。

    「成る程...。シャカールさんの忘れ物を取りにトレーナー室に戻ると、照明が突然消えた…と」
    「ああ、原因は分かンねェけどな…」
     月明かりだけの薄暗い部屋で、マンハッタンカフェと話す。三人になっただけなのだが、恐怖心は和らいでいた。説明が終わるとシャカールは、ブツブツと呟いていた。照明が突然消えた理由を一人考えているようだ。
    「そう言えば聞きたかったんだけど…」
     俺は一つ、マンハッタンカフェに尋ねた。
    「君は、どうしてこんな時間に学園に?」
    「ああ…私は"お友だち"を……いえ……私も忘れ物を取りに来てたんです…。そうしたら、この部屋に明かりが点いたのが見えて…誰か居るのかな…と」

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:04:12

    気になって、様子を見に来ただけです…と微笑むマンハッタンカフェ。
    (今の間、なんだったんだろう…"お友だち"?て言ってたような…) 

     独特な雰囲気を纏う彼女。そう言えば、彼女と彼女のトレーナーの身の回りにはたびたび不可解な現象が起こるのだと、彼女のトレーナーから聞いたことがある。
    『いやぁ、まだ少し怖い時もありますけど、もう慣れましたよ』
     アハハと笑いながら話す彼の姿を思い出す。
    (すごいなあの人…)
    「オイ、もう帰ろうぜ」
     シャカールに肘で小突かれる。時計を確認すると、結構時間が経ってしまっていた。
    「そうだな…君はどうするんだ?」
     マンハッタンカフェに尋ねる。忘れ物を取りに来たと言っていたが…
    「…私は…忘れ物を取りに行きます…」
    「マジかよ…付いてかなくて大丈夫かァ?」
    「ええ…心配いりません…。お気遣い、ありがとうございます...」

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:04:28

    トレーナー室から出て、鍵を締めながら彼女の話を聞く。これから一人で忘れ物を取りに行くらしい。
    「そうか…。じゃあ俺達は先に帰るけど、あんまり遅くならないようにな」
    「ンじゃ、気ィ付けろよ」
    「はい…それでは…」
     マンハッタンカフェをトレーナー室の前に残し、俺とシャカールは今度こそ、校舎を後にした。

    「ああ…やっぱり…ここにいた…」
    「あなただったの…イタズラしたのって…。何故...二人にあんなことを…」
    「え…?"あの男を試してみたかった"…?」
    「…何のことだか分からないけれど、あまり人を怖がらせてはダメ…分かった…?」
    「"アイツは合格"…?」
    「…まあ、気が済んだのなら…帰りましょうか…私達も…」

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:04:41

    「…ったくカフェの奴、驚かしやがって…。ノックばっかすンじゃなくて、声掛けたりしろよな…」
    「あはは…確かに、それならあんなに怖くなかったかもな」
     マンハッタンカフェと別れた後、寮までの帰り道でシャカールは悪態を吐いていた。しかし、どこか安心した様子だった。
     二人並んで歩く夜道。さっきまでは不気味に思えた月明かりも、今はいつも通りだった。
    「…にしても、あの時なンで照明が突然消えたンだ…?」
     再びあの不可解な現象について考えだしたシャカールに、声を掛ける。
    「シャカール、そのことなんだけど…」
    「あァ?」
    「多分…電球が切れたんだと思う」
    「…ハァ?…ンなタイミング良く切れねェだろ、何言って…」
    「シャカール」
     あり得ない、と切って捨てようとしたシャカールに、俺は食い気味に言った。
    「深く考えないようにしよう。あの時丁度、電球が寿命を迎えてしまった…可能性はゼロではないだろ?」
    「……まぁ、それもそうだな…。今回ばっかりは、お前の案に賛成しといてやるよ」

  • 16二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:04:59

    「たまには楽観的に考えるのも悪くないだろ?」と続けると「ハイハイ…」と呆れたようだった。
     ふいに、シャカールが立ち止まる。
    「シャカール?」
     どうしたのかと尋ねると、
    「あー…その…わ、悪かったな…オレのせいで、付いてきてもらっ…てよ…」
     バツが悪そうに俯きがちに、珍しく吃りながらシャカールが謝ってきた。
    「シャカール…そんなことないよ。忘れたのか?付いてきてくれって言ったのは俺の方だよ」
    「いやあれは…。ハァ…もうそれでいいか…」
     何か言おうとして諦めたシャカールは再び歩きだした。

    「それじゃあ、おやすみ。また明日な」
    「あぁ…。いや、ちょっと待て」
     寮の正門前までシャカールを送り、俺も帰ろうとしたら、彼女が引き止めてきた。
    「…"アレ"のこと、さっさと忘れろよ?」

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:05:13

    「"アレ"って…?」
    「……アレっつったらアレだよ…ほら…」
     あー…とか、ほら…とか言いづらそうにしていたシャカールだが、何のことかさっぱり分からない様子の俺にしびれを切らし
    「…ッ!だァから!オレが、オ、オメーの体に、尻尾巻き付けてたことだよッ!!」
    と、こちらを睨み上げながら怒鳴った。
    「シャ、シャカール、静かに…」
    「オメーが分かってねェからだろうが…!」
     ボリュームを下げながらも、ドスをきかせて唸るシャカール。
    「心配しなくても、言いふらしたりなんてしないよ」
    「そういうことじゃねェ…!忘れろっつってンだ…!いいか、今すぐ、忘れろ!分かったな!?」
    「わ、分かった、分かりました…!忘れます…!」
     唸りながらずかずかと歩み寄り、最後には胸ぐらを掴んで俺の顔を引き寄せて忠告する。その迫力に圧倒され、つい敬語になってしまう。

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:05:28

    「……悪ィ…お前がああいうことを言いふらすような奴じゃねェのは理解してるってのに…」
     流石にやり過ぎたと思ったのか、シャカールは手を離した。
    「…とにかく、この話はこれで終わりだ。じゃあな…」
     寮の玄関に向かおうとするシャカールに
    「シャカール、大丈夫!絶対忘れるから!」
    と声をかけたが
    「声でけェンだよバカ!」
    と再び怒られてしまったのだった。

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:05:44

    「くぁ…はぁ…」
     もう何度目だ?さっきから欠伸がとまらねェ…。
     オレは帰ってすぐに晩飯を食い、風呂に入った。シャワーだけでなく湯船に浸かり、しっかり温まった。風呂から上がると、スマホに通知が二件きていた。
     一つはカフェから。オレ達と別れた後、何事もなく無事に寮に帰ってきたという報告。もう一つはトレーナーから。風呂に入る前に、アイツの提案を加えたメニューを送っており、それについての返信だった。
     それぞれに返事を送った後、パソコンを弄っていたが
    「ふぁ…」
     駄目だ、やっぱり眠ィ…。時計をみると寝るにはまだ少し早い時間だったが、いつもより長くトレーニングをした後にあンなことがあったンだ…そりゃ疲れるに決まってる。
    「…」
    頬杖を付き、あの時の事を思い出していた。急に明かりが消えたトレーナー室に近づいてくる足音。恐怖のあまりオレは身を縮めて震わせ、あろうことかトレーナーの体に尻尾を巻き付けることしか出来なかった。

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:05:56

    (みっともねェ…あンな醜態晒すなンざ…)
    『大丈夫…俺が…守るから…!』
    『俺の身に代えても...絶対守るから…!』
    その際に聞こえた、トレーナーの言葉が頭をよぎる。自分だって怖がってたくせに、一丁前にあンなこと言いって。しかもアイツ、オレの頭を撫でやがった。だが確かにあの瞬間、恐怖心が和らいだ。
    「~!!」
    オレは雑念を振り払うように頭を振った。
    (クソッ…もう寝る。さっさと寝てあンなこと
    忘れてやる…!)
     ドトウはまだ戻っていないが、談話室でオペラオー達と話してンだろう。オレが帰ってきて入れ違いになった時、そンなことを言っていた。
    (オレが先に寝てたら、アイツ驚くだろうな)
    そンなことを考えながら、寝支度をしていると部屋のドアが開く音がした。

  • 21二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:06:27

    「ただいま戻りました~…あれ?シャカールさん、もう休まれるんですかぁ?」
    「ン…?ああ、今日は疲れたからな。もう寝る。お前まだ起きとくンなら、電気点けっぱで構わねェぞ」
     噂をすれば、ドトウが戻ってきた。事前に言っていた時間を少し過ぎていたのは、それだけ話が弾ンだのだろう。
    「いえ、私ももう寝ようと思っていたので~。シャカールさん、お疲れですよねぇ、遅くまでトレーニングされてましたから…」
    「なンだ、知ってたのか」
    「はいぃ~…実は、教室にノートを忘れてしまいましてぇ…。取りに戻ったその帰りに、シャカールさんがトレーナーさんと三人でコースに居たのを見かけたんですぅ…」

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:06:48

    「……!」
    コイツ…今何て言った…?"三人"…?コースはオレとトレーナーしかいねェ、貸切状態だったはず…。
    「オイ、ドトウ…今…さ、三人っつったか…?」
    「えぇ…?はい…トレーナーさんがコースの外で記録を取っていて、シャカールさんが、髪が黒くて長い、小柄な方と併走されていたのを見たんです…。ずっとシャカールさん
    のすぐ側を走っていてぇ…」
    ドトウの言葉を聞いた瞬間、動悸が激しくなり呼吸が乱れ、背すじが冷たくなった。
    「最初は、後ろ姿が良く似ているから、カフェさんかなぁと思ったんですけどぉ…何でしょう…雰囲気?…が違うような気がして…。お顔も良く見えなくてぇ...。シャカールさん…」

    「あの方…どなただったんですか…?」

  • 23二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:09:08

    おしまいです。我ながら長ぇよと思いますが、許してください…。
    カフェのお友達はSS説を採用しました。良かったなトレーナー、お義父さんに認められたぞ。

  • 24二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:31:18

    オカルト苦手なシャカールからしか取れない栄養がある、感謝

  • 25二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:42:09

    夏のホラーとトレシャカ助かる
    ふたつ合わさってなんかすごくすごい良い栄養が出てる

  • 26二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 19:46:29

    二人を案じるおともだちもお茶目だし、勇ましいようで抜けてるシャカトレと怪奇現象には敵わないシャカールが可愛かったぁ
    もっと怯えてぴくぴくしちゃうシャカールがみたいからおともだちはいっぱいイタズラしてください…

  • 27二次元好きの匿名さん24/08/15(木) 22:47:19

    皆さん感想ありがとうございます。

    >>24

    普段クールにキメているのに、ホラー関係苦手なの可愛いですよね。強がっているところも良い。

    >>25

    自分、ホラー苦手なのでそういった作品にあまり触れないのですが、楽しんでくださったのなら良かったです。

    >>26

    気ぶりお友達…。多分他の娘達のところでも、似たような事してると思います。格好つけても失敗するのがシャカトレの真骨頂だと思ってます。ストーリーだとちゃんと格好いいところあるんですけどね。

オススメ

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