熹一「いやぁお腹減ったのぉ」 龍星「ですねぇ」

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:29:53

     一瞬。上条は自分があまりにもバカだから関西弁を聞き間違えたのかと思った。

    熹一「おなかへったのぉ」

    龍星「ですねぇ」

    上条「・・・・・・」

    熹一「おいっおなかへった、って言うとるやろ」

     いつまでも固まっている上条に、ちょっぴりムッとしたように少年は言った。

     もうダメだ、ダメに決まってる。こんなの、こんなの日本語以外に聞こえない。

     上条は自分が聞いた声が幻聴でないことに一瞬安堵しつつ・・・バタンッと全力でベランダの扉を閉めた。

     彼らにはどこか遠いところで幸せになってもらおう。

  • 2二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:30:55

    悪夢を超えた悪夢おそらく幻覚だと思われるが

  • 3二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:31:12

    遠いところって…
    ま…まさか

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:31:26

    こんな幻想さっさとぶち殺せって思ったね

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:31:47

    >バタンッと全力でベランダの扉を閉めた。

    >彼らにはどこか遠いところで幸せになってもらおう。

    英断を超えた英断

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:32:19

    上条さんが灘の技覚えれば強いんじゃないっすか?

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:32:24

    なっなんだあっ

  • 8二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:32:49

    おもしれーよキミグッド改変として認めるネ

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:33:04

    これってま…まさか
    最初の敵は二人を追ってきた弱き者…?

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:33:10

    正面から見たら晒し首なんだよね
    おそらく通報したほうがいいと思われるが…

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:33:44

    >いつまでも固まっている上条に、ちょっぴりムッとしたように少年は言った。

    …オッサンですね🍞

  • 12二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:33:55

    >>6

    (オティヌスのコメント)

    格闘技なんて覚えちゃダメダメェ

    殺さない力でぶん殴るから尊いんだ絆が深まるんだ

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:34:17

    右手で触れたらま、まさか…

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:34:50

    まあ安心して
    上条さんはこんなクソボケジャワティーでも助けようとする


    者ですから

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:35:50

    >>14

    そしてアホ不良中年が持ってくる迷惑に巻き込まれた

  • 16二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:35:50

    500億回の悪夢の内容ってま…まさか

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:37:02

    >>8

    あざーっス、続き書いてもいいっスか?


    >>11

    しゃあけど、正直実年齢は兎も角ワシはまだ龍継キー坊が学生に見えるんです・・・

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:37:52

    恐らく『熹一「学園都市…?」』の導入だと思われるが…

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:38:21

    >>5

    ちなみに後半の文章はとある魔術の禁書目録たんネタらしいよ

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 21:38:34

    学園都市の計画にある「ドラゴン」ってまさか…

  • 21二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 22:58:26

    >>17

    どないする?まぁええやろ

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:11:13

    >>1

    「山盛り野菜炒めうまいのぉ」

    「なんか酸っぱいし腐ってる気がしますねえ」

    「ホンマ助かるで、腹減って死にそうやったんや」

     鍵も閉めたはずなのにそれを無理矢理開けてから乗り込んできておいてなんて図々しいやつだこの野郎という気持ちを胸に仕舞い上条は恐る恐るであるがこの不審者共に会話を試みることにした。

    「あのですね、率直に聞きますがどちら様なんでしょうか?」

    「おうっ、ワシは宮沢熹一や、隣におるのは龍星や」

    「長岡龍星です、いきなりすみませんでした」

     かっ喰らっていた野菜炒めを一旦机に置き話し始める不審者、最低限の礼儀はあるようだがなにより隣の眼帯をつけた青年が相槌以外だと普通に喋れるのかというのがちょっとした衝撃である。

    「それで、なんであなた方はアクロバットに盛大に失敗した感じでベランダにぶら下がってたんでせうか?」

     それに対しては眼帯の、長岡という大学生くらいの青年が話してくれた。

    「多分信じてくれないとは思うんですけど、俺たちは魔術師と呼ばれる連中から追われている・・・らしいんです」

    「にわかには信じられへんけどな、ワシらは逃げてる最中に建物同士を飛び移ろうとして見事に失敗したんや」

     魔術師・・・科学信仰蔓延る学園都市では眉唾物として扱われるオカルト、証明のできない命題という先入観に名前をつけたものを操る人々。無論そんなもの信じるはずもない上条はある意味学園都市の人間らしい返事を返す。

    「魔術師って言われてもなぁ・・・」

    「まぁそれが普通の反応やのぉ」

     そこからは曖昧な証言ではあるが現在の状況を聞き出せた。自分たちは10万3000冊の魔道書の原典を共有して記憶していること、記憶しているだけで長岡はともかく宮沢は元々の頭脳からして何が書いてあるか記憶に画像で残っているがなんて書いてあるか読めないということ、それを疎ましく思っている人たちが二人を追っていることを話してもらった。どれもこれもこの街の住人基準で考えればタチの悪い冗談として聴き流すようなものであった。

  • 23二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:13:05

    一方通行は幻魔や幻突を弾けるのか教えてくれよ

  • 24二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:13:24

    >>22

    「取り敢えずあんた達が大変そうだってことはわかったよ、そういや俺の名前を言ってなかったな・・・」

     自分の名前、知らなかったようなので学園都市と能力開発について、そして幻想殺し、実はこれから補講なので学校に行かないといけな

    「やべっ、補講に遅れちまう。はいこれっ」

    「なんや」

    「合鍵だよ、その感じだとIDも怪しいだろ? 俺の部屋に暫くいてもいいからさ、夕方にまた話そう」

    「いやそこまでしてもらうわけには・・・」

    「いいっての、困ったときはお互い様だろ」

     テレビとかも使っていいぞと言い残して上条はドタバタと玄関から外に飛び出していった。

    「まずいまずい話し込んじゃった」

     昨日の停電でエレベーターが止まってたので急いで階段を駆け下り学生寮を跡にする。

     それを上から見下ろす視線があることに上条当麻は気づかない。

    「いやぁ静かになったのぉ」「ですねぇ」

     実際はどうあれ一旦家に招いてもらったこと、そして記憶自体がまるで外付けのようにどこか他人事に感じることも合間ってか緊張の糸が途切れていた。

    「熹一さん、なんか知らない番組やってます」

     龍星が変えたチャンネルから甲高いナレーターの声が聞こえてくる。

    『今日の超機動少女カナミンにはなんとあの一一一が登場、彼の活躍を見逃すな!』

    「ガキくさいのぉ」

    「まぁ特にやることもないですし適当に流しときましょうよ」

     そうしてボーッとした時間が過ぎていく、太陽は真上へと登り少し傾き始めた。

    「あれっそういえば昼ご飯は?」

    「熹一さんわかってますか? 俺たち一応逃亡者なんですよ。上条さんが帰ってくるまで贅沢言えませんって」

    「かみじょー、カミやんでええか。カミやんが帰ってきたら多少は言うこと聞いてもらえると思っとるあたり龍星も龍星やな」

    「うっ、それよりも熹一さんちょっと昼寝でもしませんか? 外よりは安全ですし何より空腹も誤魔化せます」

     会話に詰まった龍星が話を逸らす為に提案した。

    「おうっ、ワシの食欲は睡眠欲には負けへんで」

    「まぁまぁ一旦ソファで横になりましょうよ」

     食欲と睡眠欲、人間の三大欲求はどちらに軍配が上がるのか。

    「ぐがぁ・・・」「・・・・・・」

     どうやら今回は睡眠欲だったようだ。そうして寮の中へ本当の静寂が訪れた。

  • 25二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:19:52

    >>24

    「いい加減倒れてくれないかな?」

    「人に物を頼む態度じゃないな」

    「まぁ、どうでもいいんだけどさ」

    「小癪な、また炎のトリックか」

    「魔術、と呼んでほしいものだね」

     太陽は傾き、西日が寮の中へと差し込む。下校する生徒のはしゃぐ声で2人は微睡みから意識を浮上させる。

    「やっぱり昼寝に限りますね」

    「せやな、しゃあけどやっぱり腹が減るわ!」

     空腹に悩ませながら会話をしていると、固定電話の方に龍星が近寄ると家主からFAXで『もう直ぐで家に着くから好きなものあったら送ってくれ』というメールが送信されていた。

    (静虎さんみたいに優しいですね・・・)

     その時であった、ドンっと少し大きな音が扉の奥から響いていた。

    「なんやっ!?」

    「魔術師とやらが来たかもしれません、ちょっとだけ様子を見ますよ」

     同時刻にて上条は寮の前へと辿り着いていた。

    「おっエレベーター復旧してるじゃん、勿論使いますよっと」

     無料のレジ袋を片手にもう片方の手で額の汗を拭いながら目的の階までエレベーターの中で一息をつく。


     そこで、上条当麻は目撃することとなる。

     自らの常識から外れた「魔術」という概念を。

  • 26二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:27:08

    >>23

    一方通行の反射議論には致命的な弱点がある

    こいつわからんもんでもある程度なら無理くり弾けることや

  • 27二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:27:31

    >>18

    本当に始まったじゃねえかよえーっ!

  • 28二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:36:18

    >宮沢は元々の頭脳からして何が書いてあるか記憶に画像で残っているがなんて書いてあるか読めない

    貴様ーッキー坊を愚弄するかあっ

  • 29二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:37:13

    >>15

    なぁアイツやっぱり殺そうぜ

  • 30二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:38:34

    悪魔を超えた悪魔と大悪魔を戦わせるのです

  • 31二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:40:01

    確かに聖人レベルにはきついが...そこらへんの宗派のそこそこの魔術師くらいは余裕で薙倒せるぜ

  • 32二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:40:58

    >>31

    そこそこの魔術師どこへ!?

    アニェーゼすら上澄みらしいんだよね

  • 33二次元好きの匿名さん24/08/17(土) 23:58:50

    >>25

     エレベーターの扉が開き直線的な通路が広がる、その向こう側に長身の二人組が立っていた。しかし上条はそれよりも気になることがあった。目線の下、お掃除ロボットの隙間から垂れている赤色の液体、そしてその中に倒れ込むように落ちているのは・・・まさかっ人!?

    「・・・・・・、あ・・・・・・?」

     最初に感じたのは、むしろ恐怖よりも戸惑いだった。

     うつ伏せに倒れている見知らぬ男の背中、ほとんど腰に近い辺りが焼きごてを押し付けられたように燃やされていた。

    「ほら、見つかった。人払いは撒いた筈なんだけどね」

    「ステイルがやりすぎるからでしょう」

     上条は知らないうちに手に持っていたビニール袋を落としたようでそこで彼らに存在を知られた。

     一人は赤髪の男、年は不明でありタバコに火をつけていた、目元にはバーコードのようなものがある。服装からして恐らくは神父だろうか。

     もう一人は青紫色の髪をした女性、スタイルはよくジーンズが不自然なほど半分無くなっているがそれよりも気になったのは腰に刺した長い長い日本刀、いくら学園都市が日本国拳法を無視しているとはいえ銃刀法ぐらいこの街にもある。女の方は何か指で折り畳んで緑のオーラを下の男に流し込んでいた。

     不思議そうに見つめるのを気になったのか赤髪の男がぶっきらぼうに答える。

    「一応言っておくけどね、神裂がやっているのは治療だよ。やっぱり僕の術式では手加減が難しいからさ」

     聞き捨てならなかった、この男は言ったのだ。この見知らぬ男は私がやりましたと、そしてそれを見過ごせるほど上条の精神は優しくなかった。

    「てんめぇ・・・お前がこれをやったのか!?」


     その声は部屋の中へと聞こえていた。

    「上条さんが帰ってきたみたいです、恐らくこのままだと巻き込まれますよ」

    「おうっ、そんじゃ行くでえ!」

     二人揃って駆け出し玄関のドアを思い切り開け放ったところで二人は目撃した。

    「おいおいマジか・・・」

    「あなたも来てたんですか」


    「「鬼龍ーッ」」

  • 34二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 00:02:05

    >日本国拳法

    おいおいマジか 変換まで野蛮になってるやん

    それはそれとしておじさん…

  • 35二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 00:02:44

    >>34

    あっやべ()

  • 36二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 08:38:25
  • 37二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 09:44:28

    >>33

    「えっ、あんたらの知り合いか?」

    「知り合いというか、父です」

    「てんめぇよくも長岡の父さんを!」

    「まぁあのオッサン一回痛い目に遭った方がいいだろうしええんちゃう?」

     激昂する上条に対しどこか冗談混じりにに突き放す宮沢、この歪んだ信頼こそがある意味で彼らのこれまでの流れを察せる材料である。

     茶番劇のような流れを断ち切ったのは煙草を咥えた不良神父であった。

    「もういいかな? まぁ身内だったのなら謝るよ。僕はステイル=マグヌス、見ての通り魔術師さ。と言っても君たちは信じてくれないようだけどね」

     魔術師、長岡が言っていたオカルト使い。つまりこいつらが・・・宮沢達を追い回していた。そして父親までも。

     それ以上の思考は不要だった、右の拳を硬く握りしめ赤髪の男に一発叩き込む為に走り出す。

    「野蛮だね」

    「ステイル!」

    「殺しはしないよ、暫く入院はしてもらうけどね」

     煙草が地面へと落ちた次の瞬間だった、ジュワッと煙草の煙が渦を巻き炎を吹き出してきた。上条は咄嗟に右手を合わせる。

    「なにっ炎が消えたっ」

    「ははっ、そっか。魔術だってオカルトなんだから俺の右手は通じるんだ」

     気を抜けばそのまま尻餅をつきそうな気持ちを抑え相手を見据える。

    「なんですって、ならば・・・」

    「俺たちを忘れないでもらえますか?」

     打ち消された炎を見てサポートに回ろうとした神裂を咄嗟に龍星が飛び込み二人して落下していく。

    「おいおいマジか、ワシ女の人とはあんまり闘りとうないんやけどな」

     宮沢もまた壁を飛び越え落下していった、落下した先で向かい合う宮沢、長岡、そして神裂の3名。

    「一応腕を入れたから怪我はしてないと思うんですけどね」

    「お気遣い感謝します、ですが大丈夫です。これでも結構頑丈なので」

    「おうっ、ワシらあんたらに聞きたいことがぎょうさんあんねん。言っとくけどワシらかなり強いで」

     自信に満ち溢れた言動を見て神裂の頬が軽く緩む。

    「そうですね、ですが心配は無用です」

     神裂が鞘に触れながら答える。

    「私はこれでも『聖人』と呼ばれていますので」

     もう一つの戦いが幕を開けた。

  • 38二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 13:53:36

    >>37

     最初に仕掛けたのは神裂だった。

    「ちょっ、早っ」

     熹一の腹に掌で叩かれた衝撃が走る、次の瞬間、ドバッという人間から発せられるべきではない音と共に熹一がノーバウンドで吹き飛ばされていく。

    「熹一さん!?」

     驚愕の声を上げながらも神裂を観察し別方向からの攻撃を仕掛ける。

    (吹っ飛んでいくところは見えた・・・凄いスピードだ)

     龍星の選んだ行動は腕摑みだった、神裂もそれを察知、腕を引くのではなく敢えて素早く伸ばすことで先に攻撃を当てにかかる。

    (早過ぎる・・・)

     万事休すか、そう思った時だった。

    (腕の動きが、読める? そうか、ガルシアの目の力が・・・)

    「はあっ」

     龍星は手首の先を摑みそのまま跳躍、これにはさしもの神裂も驚きを隠せずにいた。

    「私の速度についてこれるんですか!?」

    「少し痛いかもですけど、先に仕掛けてきたのはそっちですからね」

     龍星が神裂の手首を極めようと動く、それはホワイトナイトバトルにて熹一がルスランにやって飛翔・猛禽返しであった。

    「はあっ!」

     だが神裂もまた聖人と呼ばれる世界に20人といない特異体質、手首を極められるも早く駆け出し近くの壁へ龍星を叩きつけようと動く。

     走り出してすぐのことであった、神裂のバランスが崩れる。

    「小石!? さっきはこんなところになかった!」

     神裂は壁に叩きつける寸前で派手にバランスを崩し、その拍子に龍星もまた手放されてしまう」

    「おっと・・・」

     龍星が受け身を取りながら視線を横へと向ける。

    「おらああっお前らだけでなに盛り上がっとんのじゃあっ、宮沢熹一を無視すんなあっ」

     そこには自らの服を丸めて投石器ようにぶん回しながらこちらへ向かってくる熹一の姿があった。

    「熹一さんッ」

    「全く、ねーさん強いのぉ。ワシゃビックリしたで、どこにそんな力があるんや」

     神裂もまた起き上がり自分の足元へ正確に投擲した熹一を見据え刀を構える、その構えはさながら抜刀術のようであった。

    「そんな危ないもん振り回そうとすんなや」

    「熹一さん、また来ますよ」

  • 39二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 14:00:55

    今読み返したら龍星の一人称僕だったんだよね
    殺せ・・・俺だと覚え違いしてたワシを殺してくれ・・・

  • 40二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 14:05:04

    >>39

    100%間違いではないよね間違ってはね

  • 41二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 14:39:19

    >>38

     神裂が鞘から日本刀を抜く動作を行うのとアスファルトの地面が捲り上がるのは同時だった。

    「どわあっ!」

    「はっ」

     驚きながらも二人して射線から逃れるべく動く、神裂がやっていることはとても刀だけでは行えない芸当、しかしガルシア・アイはその種明かしを既に終え宿主の脳内に答えを与えていた。

    「熹一さん、よく見てください。無数のワイヤーが辺りに広がっています」

    「よくわかったのぉ」

    「この目のおかげですよ」

     初見で七閃を回避した二人を見て神裂もまた相手の力を計り取る。

    (初見でこれを避けますか・・・できれば日本刀を直接使いたくはないのですが)

    「熹一さん、まず僕がワイヤーの位置を指示しますのでそこから・・・」

    「めんどくさいわ」「ちょっ、熹一さん!?」

     既に熹一は飛び出していた、それには神裂も反応を見せもう一度七閃を放つがそれは熹一には当たらない。

    「なんですって!」

    「こういうのは思いっきり行けばなんとなくどんな動きすればいいかわかるもんや!」

     熹一はあろうことか七閃のワイヤーを足場として使い神裂の上を取っていた。神裂は少しだけバックするとまた更にもう一回ワイヤーを動かす、しかしそれにさえも熹一は順応、足場を飛び越え神裂目掛けて蹴りを放つ。

    「それっ」

     切り刻まれたアスファルトの霧で熹一の位置は摑み辛くなっていた、そして神裂は腕をクロスすることでそれを迎え撃つ。

    「防御してくれて助かるで、あんま怪我させたくないしのおっ」

    「ぐううっ」

     玄腿による剛柔併せ持つ蹴りにはさしもの聖人でさえも無傷ではいかない、骨が軋み痛みが腕から全身へと伝播し神裂が呻き声を発する。

     因みにこの時龍星もまた移動を開始していた。神裂が熹一を迎撃する為に七閃の軌道を変えた結果真正面への防護が疎かになっていた。

     龍星は真正面からタックルを敢行、神裂はそれを迎撃する為に痺れる腕を動かしながら龍星を摑む。

    「ほれっ」

    「なっ」

     熹一の蹴りを受けたことで元々倒れそうになっていた神裂が既に着地していた熹一の掌でグッと肩を押されたことで今度こそ体幹を崩した。そして龍星はその行動の意図を汲み両腕で神裂の片腕をガッチリホールド、一緒に倒れながらも遂に神裂の腕を極めることに成功した。

    「灘神影流・雪崩返し」

    「まぁちょいと変則的な使い方ではあるがな」

  • 42二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 14:58:31

    上やんの戦いがないじゃないかよ えーーーっ

  • 43二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 15:00:09

    面白い戦いしてるだろ、うそみたいだろ?鬼龍のおじさんが寝てるんだぜ。近くで…

  • 44二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 15:00:26

    >>42

    原作なぞるだけの戦いなど必要あるか?

  • 45二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 15:01:01

    >>40

    どこで切り替わったんスかねこれ

  • 46二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 15:41:46

    >>41

     神裂は極められた腕を強引に戻し再度日本刀に手をかける、基本的に速攻で仕留める神裂にとって関節技の痛みは初めて受ける痛みであった。しかしこんなところで拘泥してはいられない、なんとしてでも彼らを捕まえなければ彼らの命が危ないのだ。

    「というか神裂さん、でしたっけ? どうして僕たちを狙うんですか? 確かに僕たちの頭の中には10万3000冊の魔導書があります。ですけど僕たちは本の中身は記憶で読めてもそれを理解する前提知識を持っていません、これじゃああなたたちの敵にはなれませんよ」

     半分くらい嘘を混ぜた、正直龍星レベルの脳みそであれば前提知識を埋め合わせるのには手が届くだろうし龍星自身もそう思っていた、でも今それを明かす必要はない。

     それを聞いた神裂はどこか憐憫を込めた視線を向ける。

    「貴方達は、何も知らないんですね。魔道書の原典のことも、毒のことも、そして・・・インデックスのことも」

    「インデックス、なんやねんそれ」

     熹一が疑問を投げるとそれに対しては上からの声が答えた。

    「熹一よ、恐らくだがその女の言ってることは真実だ」

     柵を乗り上げるように上から眺めていたのはなんと血塗れで気絶していた筈の鬼龍であった。

    「おーっやっぱそう簡単にはくたばらんか」

    「そんなっ、確かに回復魔術は施していましたがあの怪我でもう立ち上がれるんですか!?」

     更に鬼龍の方をよく見ると片手で気絶した男を抱えていた。

    「ステイル!?」

    「このガキと戦っている時に隙だらけだったんでな、後ろから一撃だ。防御力は大したことはないようだな、魔術師とやら」

     横には上条もいた、さっきまで敵だったというのにしきりにステイルことを心配しているようだった。

    「おいっホントに殺してないんだろうな」

    「うるさい、それよりここだと声を張り上げる必要があって面倒だ、下に降りるぞ」

    「おいっ、ここ何階だと思ってちょちょちょ、おいってああああ!!」

     両腕でそれぞれ上条とステイルを抱えると鬼龍もまた柵を越え地上へと着地した。

    「じゅ、寿命が縮むかと思いましたよ・・・」

     上条の弱音を無視しながら気絶したステイルをぶっきらぼうに放り出し地面に激突する前に神裂が拾い上げ偶々近くにあったベンチへと寝かせた。

  • 47二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 15:58:58

    そのうち鬼龍が原因で上条さん死にそうっスね

  • 48二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 18:42:11

    >>46

     いつくすねたのかステイルから奪った煙草を吸い一息つくと鬼龍が話し始めた。

    「俺も元々気がついたらこの街にいたタイプでな、散策をしていると夜道を逃げ回ってる熹一と龍星を見たんだ」

    「いきなり目の前が洋服で塞がれた時はビックリしました、まぁ確かに身内なら助けたくもなりますよね」

    「勘違いするな、こいつらは俺を継ぐ者となるのだ。こんなところで油を売ってもらうわけにはいかん」

    「それで、本音はどうあれ捕まってほしくないから囮役を買って出て僕たちと半日以上追いかけっこをしていたってわけだね」

     目を覚ましたステイルが気怠そうに反応を返す。

    「ステイル、体は大丈夫なんですか?」

    「別にどうってことないよ」

    (なんやワシら鬼龍に助けられたみたいやのぉ)

    (じゃなきゃベランダになんてぶら下がれませんよね)

    「随分不服そうじゃないか」

     和やかな雰囲気が5人の中で流れるがそれについてこれていない人がいた。

    「ちょっとちょっとちょっと、勝手に納得しないで俺にも説明してくれよ。というかそもそも魔術師ってなんなんだよ」

     なんにもわかってない巻き込まれ一般学生上条当麻であった、これに対してはステイルがどうせわからないだろうけど聞かれたから答えてやるかと言った感じで捲し立てる。

    「才能のない人たちが才能ある人たちに追いつく為に魔術を編み出してのが魔術師の始まりで魔術は魔道書に書かれていて10万3000冊の原典を記録する禁書目録という少女がいて彼女の記憶と防衛機構が何故か消えたその知識の移動先がそこの二人だまだ内容を殆ど理解できていないから原典の毒が効かないけどその内防衛機構が本来の宿主を求めて暴走するし魔術サイドとしてもこんな知識の塊を二人も三人も作りたくないだから早く記憶を丸ごと消して再度禁書目録に移植する必要がある因みに防衛機構の居場所は現在わからなくなっているよ理解できたかできたと認識するよもう同じ質問はしないでくれ」

     ・・・・・・もう半泣きするしかなかった。

     ステイル自身嘘はついてないが理解できないように抑揚を持たせずに話した、これでもう突っかかってくることはないだろうと思ったがここに二人ほど例外がいた。

    「大体理解しましたよ、だったら僕たちにも協力させてください」

    「いっそのこと魔術サイドに追われ続ける人生というのもありじゃないのか龍星?」

    「勘弁してください」

  • 49二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 19:23:15

    龍星の高IQ設定が有効活用されるなんてファンタスティックだな

  • 50二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 19:59:24

    うーっ続きみせろ

  • 51二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 20:06:28

    しゃあっ保守

  • 52二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 20:22:47

    >>48

    (後で詳しく説明しますから)

     馬鹿が教えを請うことが決まった。

    「にしても腹減ったわ、ワシらなんも食うてないし」

    「あぁでしたらおにぎりくらいはありますよ」

    「気が効くやないか神裂のねーさん」

     元々は潜入先でお金をあまり使わないためですけどね、なんて言いながら自分で握ったおにぎりを熹一と物欲しそうに眺めてた龍星に手渡す。

    「うまっ」

    「ですねぇ、それより防衛機構でしたっけ? それって最低でもこんなところで発動させちゃまずいでしょう。どこか広い場所にでも・・・」

    「おっ、ようやく上条さんの出番みたいだな。ちょっと歩くことになるけど広場になら心当たりがあるぜ」

     歩きながら上条は幻想殺しについて神裂に話す、そして彼らを連れてやってきたのは補講帰りにも通るちょっとした広場であった、メタ的に話すなら2000円札呑み込みチェイサー公園である。

    「もう完全下校時刻は過ぎてるし、この時間帯なら人は殆どこない。結構打ってつけだと思うんだけど・・・」

     どこか地下施設にでも案内されると思ったのだろう、平和ボケした住人にステイルは溜息をついた。

    「一応人払いは貼っておいたけどね、普通もっと監視が少ないところでやるもんだよ」

    「まぁいいじゃないですか、先程の場所に比べれば検査には向いています」

    「簡単に終わるものならさっさと終わらせるぞ」

     ステイル、神裂、鬼龍の頭良い大人(実年齢はさておき)組が各々感想と方針を整える。

    「僕と宮沢はそこの「長岡龍星です」、長岡を」

    「私と上条さんで宮沢さん・・・熹一さんを検査します」

    「おうっ、優しく頼むで。後ワシ他の人からはよくキー坊って呼ばれてるからねーさんも上条もそれでええで」

     ステイルと神裂は手持ちから護符のようなものを取り出し検査を進める。

    「にしてもこうされてる間は暇やのぉ龍星、ファーッ」

    「ん?」

    「熹一さん一緒に昼寝したのにまだ欠伸出るんですか」

     熹一と龍星の会話を見て上条が不思議に思う。

    「なぁキー坊、ちょっと口を大きく開けてくれないか?」

    「なんや? あ───っ・・・これでええか?」

    「やっぱり、何か光ってる・・・?」

     上条は頭の中の知識をそのまま言葉にだした」

    「魔法陣・・・?」

  • 53二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 20:42:10

    あれっそういや龍星→鬼龍の呼び方は?

  • 54二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 20:44:30

    >>52

    「「なんだっ(です)て」」

     上条の言動を聞き二人が臨戦体制に入る、ステイルは咄嗟にルーンのカードを広場一体へと撒き神裂もまた七閃のワイヤーにて攻防一体の魔法陣を築き上げた。

    「なんやなんや」

    「いきなり一体どうしたんだよ」

    「熹一、どうやら防衛機構はお前に移ったみたいだぞ?」

     魔術師達の慌てぶりから何が起こったのかを察した鬼龍が解説をし周りのやつに指示を飛ばす。

    「上条、熹一の口に指先を突っ込め! 面白いことが起こるぞ。熹一、口を可能な限り開けて気をしっかり持つんだ。龍星、構えろ!」

    「お、おう・・・すごい慌ただしいな」

     指示に従い指先を突っ込んでいく

    「ほがほがふぐ」

    「これは俺の勘だがな」

     鬼龍は口角を上げこう呟いた。

    「面白いことが起こるぞ」

     上条の指先が熹一の喉奥に触れた瞬間であった。

     何かが弾かれるような音と共にソレは起きた。

    「があっ!!」「上条さん!」

     衝撃波で上条が地面を転がる、そして立ち上がった先では不可思議な現象が起きていた。

    「キー、坊?」

     宮沢熹一が薄っすらと光り宙に浮いていた、目が真っ赤に充血し魔法陣が浮かんでいた、なによりも異質なのはその表情と声色、無機質無感情、それでいて敵意だけはありありとこちらへ向けられていることがわかった。

    「───警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum───禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備・・・・・・失敗。『首輪』の自己再生は不可能、生命力による個人判定にも該当無し・・・そもそもこの『首輪』は禁書目録以外の存在にあると予測。本家禁書目録の知識は敵性魔術師の手によって流出されたと予測。これ以上の知識の流出を防ぐ為、そして一〇万三〇〇〇冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

     無機質な瞳は死刑宣告を終えた。

     魔術師達以外は知る由もないがそれは『自動書記』と呼ばれる自動迎撃システムであった。

    「おい上条、恐らくだがもう一度触れればアレは止めるぞ。見殺しにしたくなければお前が立つしかないぞ」

    「当たり前だ、ここまで来てはいそうですかと降りれるかよ」

    「素直じゃないんだから」

    「来ます!」

     神裂の言葉が合図となり『自動書記』との戦いが幕を開けた。


    おしまい・・・?

  • 55二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 22:24:54

    >>54

    ふざけんなっこんなところで終わらせんなや

    おらーっ出てこいやぁ!

  • 56二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:19:26

    >>54

     最初に襲いかかってきたのは基礎の四大属性であった。『自動書記』から吐き出された土砂崩れの中から無数炎の槍、氷の砲弾、鋭い風が射出される。

    「魔女狩りの王!」

     炎の怪物が氷の砲弾を蒸発させながら土砂に飲まれただの風に晒され吹き散らされる、炎の槍は神裂が作り出したワイヤーの魔法陣から射出された水によって消化され残りもワイヤーの切断力によって魔法陣の分解と同時に相殺されていく。

     鬼龍は真正面からくると思い飛び上がって上条を摑み背後へと回っていた。

    「無理に長引かせる必要もない、とっとと終わらせろ」

    「ああっ!」

     上条が熹一の背中に触れる直前、上条と鬼龍の視界がグルリと回り気がつけば肺の中の酸素を全て吐き出していた。

    「ガハッ!? クソ、一体何が・・・」

     そして立ち上がったタイミングで上条は目撃した。

     因みに龍星は土砂が来たタイミングで後ろへ飛び、収まった段階で踏み越えようとしたところでステイルから警告が飛んだ。

    「やめておけ、あれは物理的なものじゃない。恐らくは底なし沼の象徴、足をつければ実際の深さに関係なく沈められることになるぞ」

    (怖ぁ・・・)

     そして敵から一瞬でも目線を逸らしたことを一瞬反省しつつ『自動書記』を見た龍星もまた目撃した。


     そこにいたのはゴリラであった。

  • 57二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:23:57

    >>56

    四大属性は氷ではなく水だと思われるが

  • 58二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:34:16

    >>57

    正直水単品で津波を考えたがまぁ氷でも扱えると信じて土属性の土砂崩れに枠を譲ったロンギヌスのメンバーと言っておこう

  • 59二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:35:45

    >>56

     因みにゴリラの身長は種類にもよるがあんまり人間と変わらなかったりする。その情報を踏まえた上で今回のゴリラのサイズを答えよう、5m越えである。

    「嘘でしょ・・・というか魔術なんですかこれ?」

     ゴリラがステイル目掛けて突撃する、基本的にルーンを撒いたりなど裏方に徹するステイルではその突撃を回避しきれない。

     蜃気楼で多少輪郭はボヤけさせたようだが服の端を引っ掛けただけなのにまともに広場の外へと吹っ飛ばされた。

    「ステイル!」

    「ガルシアの目でも、動きが見えなかった?」

     ステイルから視線をゴリラに向け直すと背後から迫る影があった。

    「おおおおおおおおおっっっっ!!」

     当時まだそこまで耐久のなかった上条当麻がゴリラの直撃を受けて立ち上がれるのか、それには一つ理由があった。鬼龍だ、鬼龍がインパクトの瞬間に上条の前へと一瞬にして躍り出ることで上条当麻の盾となり横へ転がったのだ。無論インパクトの瞬間に鬼龍の意識は闇に堕ちた。

     嫌味ったらしいが確かにそこには鬼龍の優しさがあった、それを上条当麻は絶対に忘れない。

     しかし肝心のゴリラは我関せずと言った感じで走りステイルにトドメを指しにかかる。

    「唯閃!」

     瞬間、ゴリラの片腕が千切れて飛んだ。

    「人はかつて、見たことのない動物を妖怪として伝えたことがあります。アレは少々変則的ですが、日本人が渡来人に伝えた妖怪が逆に動物として置き換えられたものです。実際に現れた動物がどんな形であれ人智の及ばない怪物という概念が形をとったもの」

     神裂は七天七刀を抜いていた。

    「ですが、日本神話には怪物や神を退治する伝承などいくらでもあります。私の刀なら、届く。ただし・・・・・・」

     ゴリラは視線を変え今度は神裂へと突撃、それに対して神裂もまた避けきれずに吹き飛ばされていく。

    「神裂さんの動きよりも遅い筈のゴリラの動きがなんで見えないんだ!?」

     龍星は困惑しながらも飛び上がるとゴリラの真後ろからドロップキックを仕掛け首を振り向かせる、それだけ時間を稼げれば充分だった。

     上条当麻が間に合った。

    「届けえェェェェェ!!」

     上条の右手がゴリラに触れると次の瞬間にはゴリラは最初からいなかったかのように崩壊した。

  • 60二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:38:47

    ふうん
    ゴリラを超えたゴリラということか

  • 61二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 23:58:39

    >>59

     しかしゴリラなど手数の一つに過ぎない。

    『自動書記』は幻想殺しの弱点を見抜きつつあった。次にやってきたのは広場一帯を包み込む濃厚な霧、無論上条が霧に触れた瞬間に霧は消える、その場所だけ。

    「クソっ、一度に全部は消せないのか!」

    「恐らくですが位置関係は変わっていません。真っ直ぐに霧を消し続けましょう。攻撃が来るタイミングは僕が読みます!」

     少々心細くもあるが二人とも知識量に差はあれど本質は熱血、二人して迷いの森を駆け抜ける。

     当然『自動書記』からの迎撃は飛んでくる。

    「右20度、左30度と45度に2本!」

    「おらっ!」

     炎を水を氷を石を風を雷を土を毒を、おおよそ考えられる攻撃を次から次へと打ち消していく二人。

     上条当麻の前兆の予知はこの時まだ目覚めてはいない、しかしそこは龍星の戦闘勘がカバーする。龍星はこれまでの少ない大会を脳内で自動分析、既に攻撃のタイミングはある程度読めるようになってきていた。

     どうしても避けられない時には龍星が上条を持ち上げ物理的に回避する。

     そうして走ること数十秒、霧が完全に晴れ眼前数メートルに『自動書記』が迫る。そしてその時上条は目を見開いた。

     『自動書記』の周囲に数十数百、いや千にも届くレベルの魔法陣が展開され既に射撃の準備が完了していた。

    「アレは、火矢ですか!?」

     龍星がそう言ったのと同時だった、膨大な数により面の一撃となった膨大な弾幕が炸裂し爆発し二人の視界を完膚なきまでに蹂躙した。

  • 62二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:00:00

    >>61

    「対象の沈黙を確認、休眠形態へと移行しま「まだ生きてるぜ」

     上条当麻は既に鼻先まで迫っていた。回避などできるはずもない一撃はどうやって対処されたのだろうか、その鍵を握るのは龍星だった。

    「これ後で死に掛けるからあまり使いたくないんですけどね・・・」

     ガルシアの心臓は生物を爆破するほどの圧倒的な力を持っている、龍星は嘗てそれを使い熊を爆発四散させたことがあった。

    「これ、ギリギリ無機物にも通じるみたいですね」

     1本の火矢は龍星の右手に触れると爆発しその火矢の破片は別の火矢に辺り爆発しその破片が・・・と言った形で千を超える蹂躙は範囲を狭めたことで自壊することとなった。

     しかし『自動書記』もまた防衛装置である、背後に隠していたのは雷の紋章、例え鼻先にいたとしても雷速は音の数十倍を越える、雷の衝撃波で敵性を後ろへと弾き飛ばす。

    「まだだ・・・!」

     雷に貫かれようと、上条当麻は止まらない。

     最後の力を振り絞り感電の痛みにも耐え遂に『自動書記』、熹一の鼻先に触れた。

     その瞬間、全ては終わった。

     因みに雷光に射抜かれて上条当麻が後ろに吹き飛ばなかったのは鬼龍の悪知恵によって勘が鋭くなっていた龍星が今度は左腕で何もない空間にて心臓パワーを解放したからである。

     解放した瞬間に雷は衝撃を受け爆散、その爆風により上条はかろうじて後ろに吹っ飛ぶことを免れていた。しかし無理な二発目は雷を爆散させるだけに留まり破片にまで爆発効果を付与することへと失敗したのだ。

     ・・・・・・龍星はそこまでを見届け上条、そして熹一と共に目を閉じた。

  • 63二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:09:23

    >>62

     気がついたら6人で知らない病院の上にいた。

    「一体どんな怪我をしたんだい? 個々ならわかるが同時にこれだけ多彩な怪我を浴びるのは狙ってやっても難しいと思うんだけどね?」

     真っ先に目を覚ました熹一に話しかけているのはカエル顔の医者、通常冥土帰しであった。

    「しゃあけどワシ喉に手ぇ突っ込まれてからの記憶ないからわからんわ!」

    「まぁいいんだけどね? この少年のリヒテンベルク図形を完璧に取り除くのには苦労したよ」

     因みにだが後々に回復したステイルと神裂曰く、防衛機構と記憶装置は一体となっていたらしく熹一と龍星から魔道書の知識は消滅、本家本元の禁書目録へと返ったらしい、だが『自動書記』はほぼ破壊されているため再起動は難しいとのこと、そして熹一達には伝えていなかったが1年ごとに記憶を消さなければならない禁書目録だが上からの指示でその必要がなくなったことが告げられた。それを聞いた魔術師は怪しみながらもどこか浮き足だった状態でイギリスへと帰国したそうだ。

     退院する時に気がついたら熹一と龍星にも学園都市のIDが発行されていたらしいがどうもまだ寮は決まっていないので上条の部屋で続いて暮らすことに。

     気絶こそして出番が少なかったがそこそこのファインプレーをした鬼龍はというと目が覚めたと同時にコード類を引きちぎって部屋に金を置いてどこかへ行ったらしい。

    「僕たちこれからどうなるんですかね?」

    「まぁ今回みたいなことは流石にしょっちゅう起きてほしくはないわな・・・やっぱり戦うならファイターやで」

     怪我の痕一つ残ってない体で会話をする二人。

    「それにしても」


    「いやぁお腹減ったのぉ」

    「ですねぇ」


  • 64二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:11:18

    三沢塾で先生やってる土竜さんと小萌先生の家に居候してるOTONと暗部介入による生存者増加IFとかありますし前後の文繋がってないだけでいくつかありますがこのスレの中身はこれでお終いっス、よしっ次はおとどすだっ

  • 65二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:33:40

    見事やな……

  • 66二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 07:36:29

    >>64

    (次はおとどすだっ) えっ

  • 67二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 07:38:09

    >>64

    邪魔だクソゴミ

  • 68二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 12:08:44

    殆ど出番のないおじさんに哀しき現在・・・

  • 69二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 14:53:49

    >>68

    しゃあけど、戦果は残したわ!

  • 70二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 15:09:46

    木原とよろしくやってそうっスねこの街の鬼龍は

  • 71二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:48:30

    どうしてインデックスが灘コンビに移ったんやろなぁ…

  • 72二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:50:50

    >>71

    その辺含めて続編で書くつもりじゃなかったんスかね?

    まぁおとどす書きに行っちゃったみたいなんやけどなブヘヘ

  • 73二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 09:39:15

    記憶「消える」
    「「えっ」」

    しなくて良かったですね…本当(マジ)にね

  • 74二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 16:37:09

    続編まってるよ…

  • 75二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 16:38:25

    >>74

    ボケーっ>>64で終わり書いてあるやろがっ

    はようスレ落とさんかいっ

  • 76二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 23:00:58
  • 77二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 05:03:32

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 08:03:49

    >>76

    諦めを知れ…鬼龍のように

  • 79二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 20:00:13

    なんか鬼龍が学園都市に放たれるssを思い出したのは俺なんだよね

  • 80二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 20:01:37

    >>77

    イギリス清教で知識が写った段階で気絶・・・

  • 81二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:53:33

    >>45

    龍星は一人称を使い分けてるんだ

    鬼龍の血を意識したり自発的に何かをやろうとしたり奮い立とうとしたり調子に乗ったりしている時なんかは「俺」をよく使うんだよね

    勿論これ以外の場面でも使う時はあるんだけどね!!(グビッグビッ)

  • 82二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 11:35:03

    >>81

    ふうんそういうことか

    neo坊みたいなキャラブレでは無いんですねぇ

  • 83二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 17:44:33
  • 84124/08/22(木) 19:06:03

    ふざけんなっ!
    おとどす×とある魔術の禁書目録×ヘヴィーオブジェクトの方スレが吹き飛んどるやないかっ!!
    おらーっ出てこいや鬼龍ーッもう頭の中で結末組み上がっとったんやぞ!後誰やずっとこのスレ補修しとるやつは

  • 85124/08/22(木) 19:24:04

    キャッシュを見てそこから魚拓を生成したジャコブは昨日までの分しか残ってなくて3000字くらい消えたことに腹を立て財布から金を奪って逃走する

    https://web.archive.org/web/20240822102136/http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache%3Ahttps%3A%2F%2Fbbs.animanch.com%2Fboard%2F3760474%2F&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=ja-jp&client=safari

  • 86二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 20:15:15

    スレ開いたら胡散臭そうな男二人がベランダの手摺りに引っ掛かっているインパクト抜群の画像が目に飛び込んできて腹筋がバーストしたんだッ

  • 87続きいりますか?24/08/22(木) 22:55:15

    熹一「いやーついに来たのォ 三沢塾」
    龍星「ですねぇ」

  • 88二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:23:13

    うーっ見せろ
    三沢塾講師の土竜さん見せろ

  • 89二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 10:25:43

    ◇なにが始まる…!?

  • 90二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 10:52:49

    >>87

    「にしても塾で勉強することになるとは思わんかったわい」

    「僕もです、まぁ学園都市の知識となると知らないことだらけですからね。一緒に頑張りましょう熹一さん」

     8月8日の昼、彼らは三沢塾と呼ばれる進学塾へと来ていた。

    「にしても朝起きた時は驚いたのぉ、いきなり鬼龍が部屋の真ん中で鎮座しとったんやから」

     それはその日の朝のことであった。

    「裏で色々やって俺とお前達のIDを作ることに成功した」

    「いきなりすごいですね、ここセキュリティ関連も軽く見た感じバケモノクラスだったと思うんですけど」

    「あぁ、だからIDまでだ。学校や能力検査と言ったところまでは作れなかった、だから奨学金や補助金と言った制度はない、その代わりだがな」

     鬼龍が二人の前に見せてきたのは塾のチラシであった。

    「聞いたことないのぉ、三沢塾?」

    「長岡家で勉強していた頃に見たことあります、確か業界トップシェアの進学塾だって」

    「ここには落第防止が不登校の生徒を集めて教鞭を何時間か振るってくれる特別コースがある、そこに二人で今日から入れ。と言っても今日は顔合わせぐらいのものだがな。教材と塾代は気にするな、俺は手に職をつけたからそこから出してやる」

    「怪しいのぉ、なんで鬼龍がワシらの為にそこまでするんや?」

     あまりの至れり尽くせりぶりに熹一が怪しみながら疑問を投げる。

    「・・・・・・そうしてくれた方が俺が動きやすいだけだ」

     鬼龍は言葉を濁しながら三沢塾への地図と少々の金を残して外へと出ていった。

    「あれ、誰か来てたのか?」

     お寝坊さんの家主が来た時には既に鍵は外から閉められていた。


    「よぉ侵入者、悪いが俺と来てもらうぜい」

    「ふんっ・・・」

  • 91二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 16:51:38

    SSが墓から蘇る!

  • 92二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:58:47

    >>90

    「なんてことがあるとはのぉ、にしても鬼龍のやつ・・・」

    「えぇ、多分相当無理して僕たちにID与えましたね」

     最新鋭の進学塾と言われるだけもあり外装と内装、共に芸術性と学園都市のハイテク技術を違和感なく織り交ぜている。

    「おっ、あっちが受け付けかい。おーい!」

    「やめてください熹一さん、僕が行きますから・・・」

     龍星が受け付けで何かを話している中、熹一は暇なので塾生の会話に耳を傾けることに。

    「やったぜ、この前の俺の模試結果見ろよ。遂にクラスの半数を蹴落とすことができた!」

    「馬鹿よねー、今の時期だと漸化式は試験に出にくいっていうのがわかんないのかしら?」

    「それより聞いたー? 新しい講師のこと。すごいお爺ちゃんでしかも義足なんだってー、ヤクザとかじゃないよね?」

    「どうでもいいよ、高い学費に見合った授業で俺たちの成績に貢献するなら・・・逆に貢献しなかったら追い出してやる!」

     野蛮、野卑、見下し・・・どれもこれも凝り固められたプライドによって織りなす暴言のカーニバルであった。

    「怖いのぉ、ワシがいたアオコーではこんなことなかったで。うん?」

     その時熹一の頭の中で先程の会話が反芻する。

    「義足のお爺ちゃん先生・・・?」

    「熹一さん、終わりましたよ」

     後ろから声を掛けられ熹一が振り返る。龍星と受付の前に行くとこちらになりますと言われ個室へと案内された。

     コップ一杯のお茶を渡されたかと思うと少々お待ちくださいと平坦な声で言った女性スタッフが奥へと引っ込んでいった。

    「にしても会話の内容がすごいですよね」

    「あぁ、なんや人を見下す講義でもしとるんかって感じやったわ」

    「いやまぁそれはよくあることなんですが、てそうじゃなくて中身ですよ・・・教科書をチラ見したんですが見たことのない薬品や大学受験でも殆ど使わないような化学物質が当たり前のように登場している、久しぶりに歯応えのありそうな勉強ができそうですよ。頑張りましょう熹一さん!」

    「おっ、おう・・・そうやな」

     正直愚痴以外の部分は何を言っているのかわからなくてまともに聞き取れなかった熹一としてはついていけるかどうかがかなり気掛かりであったがまだそこそこ残っていたプライドがそれを言うことをギリギリで許さなかった。

  • 93二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 23:08:44

    このレスは削除されています

  • 94二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 23:09:15

    このレスは削除されています

  • 95二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 09:38:39

    やっぱVPNで続きなんて書くもんじゃないよねパパ

  • 96二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 19:28:56

    >>95

    もしかして>>93>>94のレスだったタイプ?

  • 97二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 20:39:45

    >>92

    「それにしてもこの水美味いのぉ、喉越しがええわ」

     熹一に釣られて水を飲もうとした龍星は扉の前に誰か来たのを目撃した。

    「熹一さん、講師が来ますよ」

     ドアノブが回り扉が開く、そして入って来た人を見て二人は噴き出すかと思った。

    「フェッフェッフェッ受け付けから話は聞いておるわ。この土竜甚五郎のところで授業を受けたいというもの好きな若者の面倒を見てくれとな」

    「尊鷹、土竜さん何してるんですか!」

    「かーっ義足の老人先生ってお前のことかい尊鷹!」

    「フェッフェッフェッ、ワシはここでお前らに会うのは初めてなんやけどなぁ」

     含みのある言い方に龍星はその言葉の意図を汲んだ。

    「そうですね、はじめまして土竜先生」

    「は? はじめましてやない・・・わかったわい」

     土竜からの視線で熹一もまたこの芝居に付き合うことを決めた。

    「それで土竜先生、今日僕たちは何をすればいいんですか?」

    「学力調査じゃよ」

     そう言って土竜さんが取り出したのはテスト用紙と筆記用具だった。

    「フェッフェッどうせ持ってきとらんやろ、これ使え」

    「あ、ありがとうございます」

    「ゲーッいきなりテストかい、ワシあんまり自信ないわい」

    「じゃからその自信と実力を測る言うとるやろ、もう始めてええぞ」

     問題に軽く目を通した瞬間に気が滅入っていた熹一とは対称的に龍星は声にこそ出していないが内心テンションが上がっていた。

     自分の過去は振り返りたくもないようなものだった、義理の兄弟は直接手を下さずに他人を使って虐めてくる、義理の父はそれに気付いていたいなかったのかわからないが止めもしなかった。学校の勉強には飽き何かが変わると思って入れてもらった本山道場ではあろうことに師範は外面だけはいい性犯罪者、唯一慕っていた母親は病死・・・と良いことなんて殆どなかった。しかし元々龍星は新しいものを学ぶことに対してそこまでの嫌悪感はなかった、寧ろ好奇心溢れる若者のように貪欲に、且つ楽しみながら吸収する。

     龍星の持つペン先が次々と問題をこなしていく、そしてテスト時間60分が経過した。

    「そこまでだ、といってもお前たちの解答用紙を見ながら目視で採点しておったから点数書いたらすぐ突き返すがの」

  • 98二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 20:40:17

    >>96

    ウム・・・今絶賛内容思い出しながら書き直してるんだなァ

  • 99二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 20:50:15

    もしかして姫神は原作同様空気なタイプ?

  • 100二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 21:54:00

    このレスは削除されています

  • 101二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 22:01:57

    >>97

     土竜先生が解答用紙に赤ペンでメモを軽く書き終えると封筒に入れて龍星へと手渡した。

    「ど、どうも」

    「にしても久しぶりにテストなんて受けたわ! やっぱ疲れるでホンマ」

    「何を言うか、本来なら何日もかけて消化するものをワシが問題を作り直して10科目を60分で纏めたというのに」

     熹一と適当に会話しながら土竜はそのまま立ち上がり少しだけ纏う雰囲気を変えた。

    「土竜、先生・・・?」

    「なんやねん、いきなり」

     さて、という声と共に土竜先生は中腰を辞め背筋を伸ばすとドアノブへ手を当てゆっくりと回転させた。

     扉を開ける、たったそれだけの行為の筈なのに纏っているオーラには緊張感が込められいた。そのオーラに充てられ二人もまた動きがぎこちなくなっている。

     無音の扉が開かれるとそこにば別世界が広がっていた。

    「な、なんやこの異様な雰囲気は・・・」

    「空気が違う、確かに僕たちがいる場所は三沢塾の筈ですが・・・なんだか酷く他人事のように感じる・・・というより」

    「私達が拒絶されたように感じるだろう」

     龍星に続けるように土竜先生、いいや宮沢尊鷹が言葉を重ねた。

    「ついてきなさい」

     三人の耳元には確かに生徒達の喧騒が聞こえてきている、しかしテレビの液晶越しの様にどこか現実感がないのだ。

     途中不思議な空気に耐えられなくなった熹一が適当に大声で叫んでも誰も反応を示さなかった。

    「ここはコインでいう裏側のようなところだ」

    「尊鷹さんはここの仕組みには最初から気づいていたんですか?」

    「始まりはただの偶然だよ、塾の中に見慣れない生徒が入っていくのを意識して追っていったらこうなった」

    「全くこの街は不思議なことだらけやのぉ、うわッ」

    「熹一! そういえば言い忘れていたな、こちら側では・・・生徒には触れるなよ。私達はもう、塾の外に出るまで表側に干渉することはできない・・・」

    「はよぉ言わんかいそういうことは!」

     そうして三人は人混みを避けながら階段で二階へと上がる、踊り場についた時に熹一は大人しくなっていた。

    「熹一さん?」「どうした熹一」

     シッと口元に手を当て静かにするよう促した、そうしてゆっくりと二階への階段を上りきった時に熹一は全力で背後を警戒していた。

    (不気味やな、耳を澄ましてもギリギリ聞こえるかどうか・・・)

     その時背後から熹一にしか聞こえない声が聞こえてきた。

  • 102二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 23:58:06

    >>101

    『・・・・・・ことは』

     その声が聞こえた時には熹一は二人の背を庇うようにして手を伸ばし右手で龍星、左手で尊鷹に触れた。

    「さっきから誰かは知らんけど、ワシらとやろうってんなら容赦は

    『忘れろ』

     時刻は太陽の高さ的に2時半前くらいであろうか、熹一と龍星は二人して三沢塾の扉の前へ立っていた。

     入っていく生徒たちは不思議そうな顔で二人を眺めている。

    「あれっ、ワシら何しとったんやっけ?」

    「もう、今日はこの三沢塾でデモンストレーションを・・・受けましたね」

     その証拠とも言える封筒を龍星は抱えていた。

    「もしかして僕たち揃って熱中症になったんでしょうか」

    「んなアホな、塾の中は冷房が利いてて水だって飲んだやないか」

    「塩分が足りてなかったってことも考えられますよ、それよりも熹一さん・・・その左手なんですか?」

     龍星が恐る恐るといった感じで熹一の手を指した。

    「どないしたんや急にって、ドワーっ! なんじゃこの血は!!」

    「ちょっと熹一さん声が大きい・・・近くに広場あるんだからそこで汚れ落としましょう」

    「お、おう・・・」

     幸いにも公園は時間の割には空いており大して人目に触れることもなく手を洗うことが出来た。だからこそ、なのかもしれない。一直線上に空けた広場から二人は目撃した。

     三沢塾の建物の端の方で会話している人影を。

    「カミやんやないか、隣におるあいつは・・・」

    「ステイルさんですよ。にしても不思議ですね、何か魔術絡みのことでもあったんでしょうか?」

     龍星は熹一が手を洗い終わったのを見ると二人の元へ駆け出していく。そしてステイルもまたそれに気づいて溜息を吐いた。

  • 103二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 23:59:00

    やっぱりアウレオルスって強いんじゃないんスか?

  • 104二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:11:15

    原作だとインデックスの方から三沢塾に来てたけど、本来は黄金錬成と吸血鬼を用意してから呼ぶなりむかえにいくなりするはずだったろうからインデックス不在でもおかしくないんスね

  • 105二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 10:20:51

    >>103

    あたぬか!

    メンタルも強ければなぁ…

  • 106二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 16:05:44

    >>103

    無理です


    メンタル強いアイツとか普通に作中最強格に躍り出ますから

  • 107二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 18:48:05

    >>102

    「なるほどのぉ、女の子を助け出す」

    「そういうことでしたら僕たちにも協力させてください」

     こういう反応が来ることを予測していたからかステイルは更に深いため息を吐いた。

    「あのねえ、死にたいなら勝手にしてもらっても構わないんだけど僕の足まで引っ張らないでもらえるかな?」

    「鬼龍に後ろから一突きされたやつがよう言うわい」

    「まぁまぁまぁ! 数が多いに越したことはないって、なぁ?」

     ピリピリした気配を察知した我らの兄貴分上条当麻が割って入りそれに龍星も同調する。

    「そういえば神裂さんは今回は来ないんですか?」

    「ん? あぁ、神裂ならイギリスでインデックスの保護任務についているよ。錬金術師・アウレオルス=イザードは元々インデックスと一緒にいたからね、悪用されたら溜まったもんじゃない」

    「えっ?」

     その情報を聞いた時龍星の頭の中で何かが引っ掛かった。そういえば以前公園に熹一を検査しに行く時に神裂からこんな話を聞いたのだ。


    「魔術師は胸に刻んだ魔法名を持っているんですよ」

    「魔法名?」

    「はい、元々魔術師というのは挫折の象徴です。その夢を叶える為に胸に魔法名と言うものを宿しているんですよ。私はSalvare000です」

    「なるほど・・・」

    「まぁ先祖代々でもない限り基本的に魔術に縋ることが起きなければ魔術師になることもありませんからね。他にも才能のある人が魔術を使うと・・・・・・」


     そこまで思い出した龍星はステイルに耳打ちする。

    「ステイルさん、もしかしてその錬金術師って記憶のことを・・・」

     暫く龍星の話に耳を傾けた暫く経ったくらいにステイルが軽く舌打ちをした。

    「なるほど、そういうことか」

    「えぇ、だとしたら」

    「モグリというのも考えものだね、全く気持ちはわかる分嫌な仕事だ」

    「なぁどういうことが教えてくれよ」

     勝手に二人の中で納得されこのままでは置いてけぼりになるのを察した上条が二人へ声を掛けるがステイルは一蹴した。

    「君が気にする必要はない」

     えぇー、とあんまり納得の行かない上条に対して熹一は龍星から情報を聞き出していた。

    「確かに知ることはできひんな」

  • 108二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 18:48:28

    >>107

    「ですよね、なんとか穏便に誤解を解きたいものです」

     こうして上条以外が情報共有できた状態で三沢塾へと入っていく。

    「そういえばなんで学園都市に拠点を置いたんだろうな、その、アウレオルスってうやつは」

    「まさか科学の総本山にいるわけない、と思わせたかったんだろうね。痕跡も完璧にないし、でもそれが逆に怪しすぎたのさ」

     上条とステイルに一歩引くようにして熹一とは歩く龍星は横の壁に横たわっているモノに気付いた。人混みで下の方はよく見えないがパッと見は完全に西洋の甲冑、こんな場所にはとてもそぐわないがまぁ学園都市ならなんでもありだろうという風に流してしまう。

    「おっ、かっこいい鎧やないか」

     龍星の視点に熹一も気付き向きを変え歩いていく、その最中であった。遅刻しそうなのだろうか、熹一の後ろから中学生くらいの少女が駆けてきていた、バッグからはガシャポンで手に入りそうなストラップがぶら下がっておりそれ自体はなんの変哲もない物の筈だった。

    「はうっ」

     後ろから熹一を追い抜いた時熹一の脇腹に激痛が走る。

    「服が・・・破けとる!?」

     そのまま体制を崩し目の前へと倒れる、そしてその時熹一の頭の位置に上条の右手が触れた。

     ガラスの砕け散るような音と床に倒れる熹一はその瞬間に全てを思い出した。

    「思い出したァ!」

    「うわっどうしたんですか熹一さん!」

    「お前も早よ解いてもらえや」

     後ろを振り向き龍星の手を摑みそのまま頭を上条の右手へと触れさせる熹一。

    「はっ、思い出しましたよ。上条さん、ステイルさん、よく聞いてくださいね・・・」

     そして龍星の話を聞いた二人はエレベーターではなく階段に向かうことに。

     そうして階段を登っていた時に熹一はさっき見たものを皆に話していた。

    「それにしても学園都市ってアンバランスやのぉ、あんな外国っぽい鎧がそこら辺に転がっとるなんて」

     それに対して上条とステイルは首を傾げた、上条は首を傾げっぱなしだったがステイルは合点がいったようであぁ、と言い熹一にそれがなんだったのかを伝えた。

    「あれはただの死体だよ」

     驚愕で固まる3人に対してステイルは淡々と事実だけを述べていく。

    「まぁあの感じまだ息はあるけどね、でもまぁここは戦場だしそんなのよくあることじゃ・・・」

    「んなもん関係あるかい!」

  • 109二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 18:48:50

    >>108

     即座に階段を飛び降りる為に後ろを振り向いた時に熹一は異変に気付いた。

     下にいた生徒たち全員が皆こちらを向いていたことに。

     いいや、一階だけに留まらない二階の廊下を歩いていた生徒もまた熹一たち四人を視線の檻へと閉じ込めていた。

    「熾天の翼は輝く光、輝く光は罪を暴く純白─────」

     そして生徒たちは四人を見て口々に何かを紡いでいた。

    「純白は浄化「の証、証は行動の結」果─────」

     一人の声に、二人目が重なった、そして二人目の声にも三人目四人目五人六人七人八人九人・・・・・・。

    「一律は全「て、全てを創るのは過去、過去は原」因、原因は「一つ、」一つは「「罪、罪は人、人は」罰を恐れ、恐れ」るは罪「悪、罪悪とは」己の中に、己「「 「の中に忌み嫌うべきものがあ」るなら」ば、熾天の翼に」より「己の罪を暴」き内から弾け飛ぶべし──ッ!」

     まるでカルト地味た詠唱、だがいつまでもビビってはいられない、こうしている間にも鎧の人は死に掛けている。熹一は手すりを使って一気に飛び降りようとしたところでその手すりが無くなっていることに気付いた。

    「なんや・・・と!?」

     既に腕に力は込めて足は上げた状態だ、熹一は体制を立て直す為に顔に体重を駆けてそのまま駒のように半ば回転しながら駆け降りて一階に着地。

    「ワシがなんとか診てやるさかい、なんとか持ち堪えて・・・」

    「熹一さん!!」

     龍星の声に振り向くよう顔を上に向けようとした瞬間、眼前に青白い光が迫っていた。

    「危なっ!」

     しゃがんだままの姿勢で2mくらいジャンプしてそれを回避、そして行き場を失った青白い光はそのまま塾の壁へとぶつかる。ジュウジュウと音を立てて溶け出す壁を見て熹一は恐れ慄く。

    「わ、ワシも当たったらあの壁みたいになっとったんか」

     一つ一つの大きさはピンポン玉程度のもの、眼前に迫ったことで通常よりも大きく見えたことが熹一の命を繋いでいた。

     しかしそれで攻撃が止むとは限らない、今のは熹一を狙ったものではあるが別に彼らにとっての標的は熹一だけではない。

     上条達のいる階段でも挟み撃ちのように青白い光が放たれようとしていた。

    「クソっ、俺の右手でも後ろからは防げないぞ!」

     龍星はそれを見て自らの心臓に手を当てていた。

    (最悪もう一回心臓の力を使う手もありますね、この街のお医者さんは本当に優秀みたいですし)

  • 110二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 18:49:22

    >>109

     強酸のような効果を帯びた致死の光弾が迫り来るのを見て龍星は覚悟を決めた、そして龍星が力を発動させる直前のことであった。

     ドガッ、という轟音と共に一階から飛んできた思われる机と椅子が壁に突き刺さる、光弾はそれらに激突していき消失する。

     椅子と机は完全に溶かされはしたものの背後からの攻撃を完全に防ぐ盾としての役割は全うして見せた。

     前からの迎撃に躍起になっていた上条は驚きを見せる、しかし熹一と龍星は誰が助けてくれたのかを感覚で理解していた。

    「尊鷹!」「尊鷹さん!」

    「騒がしいと思ってこちら側に来てみたんだが、やはり熹一たちも来ていたか・・・」

     宮沢尊鷹、右腕に止血用の簡易的な包帯を巻いた状態でこそあるが彼もまた三沢塾の裏側に来ていたのだ。

     この時ステイルは階段を駆け上り二階にて魔術の核を発見していた。

     上条達は知る由もないがこの魔術はグレゴリオの聖歌隊を真似た偽・聖歌隊という術式である。

    「これで始末は完了、と・・・全くビニール袋にでも核を包んでおけばよかったものを」

     そうして彼らのいる階段へと降りていき欄干から一階を見下ろした時にステイルは尊鷹の後ろに隠れている少女を目撃した。

    「まさかもう見つかるとはね、吸血殺し・姫神秋沙」

     その声は龍星にも届いていた。

    「えっ彼女がそうなんですか?」

    「というか尊鷹、その血はなんや?」

    「その子とはここであった、そしてこの血は魔術を使った反動だ」

    「おいおいマジか、遂に尊鷹は魔術師にもなれたんか」

    「いいえ、なれてないからこうなってる」

     熹一の声へと挟んだのは巫女服を着た姫神秋沙であった。そして龍星は再度神裂との会話を思い出す。


    「他にも才能のある人が魔術を使うと・・・例えばこの街で能力開発を受けた人間が魔術を使うと副作用のようなものが起きるんです」


    「ちょっと待ってください、尊鷹さんは能力開発なんて受けてませんよ」

    「知ってる、学園都市の能力開発は子供しかできない。だからきっと、彼は『原石』なんだと思う。元から才能ある人間。何か普通の人と違うものを持ってるんじゃないかな?」

    「違うもの、まさか!」「そう、鳳腿だ」

     龍星の予想は当たっていた。

    「特別な足ってことは、ワシや親父や鬼龍もダメってことかぁ」

    「僕はどうなんでしょう、外付けで心臓と目を移植したんですけど」

    「変則的だけど、多分だめ」

  • 111二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:56:35

    >>110

     そうですか、とどこか気の抜けた感じで答えると同時に龍星がサイドステップを踏みその場から退く。

    「屹然、やはり適当に投げはなったものでは当たらないか」

    「この眼のおかげです」

    「毅然、我が瞬間錬金を目にしてそこまで堂々としていられるとはな。客膳、偽・聖歌隊を退けるまでの戦力を前に不意打ちでは物足りなかったか」

     龍星は足元の床が液体の金になっているのには内心驚いていたが顔には出さない。

    (さっきの青白い光も物体を溶かす術だった、そして錬金術は元々金を製造する目的もあったから不自然ではないですね・・・それにしても悪用すれば貨幣制度に打撃を与えれそうな・・・)

     尊鷹は既に二階へと跳躍していた、その手にあるのは床のタイル。両足で踏み砕き両手で抱えていたのだ。

    「ふんっ」

     尊鷹が更に床材を素手で砕き20を超える瓦礫として投げ放った床材に対して錬金術師も秒間10発の黄金の鏃を放ったところで。

    「吸血殺しの紅十字」

     錬金術師の横っ腹に炎柱が突き刺さった。

    「がはッ」

    「おいおいいきなり攻撃仕掛けてきたアイツは誰なんだよ!?」

    「多分アイツがアウレオルス=イザードやろ」

    「マジか!?」

     まだそこまで場数を踏んでいない上条の疑問に熹一が答えそのまま階段駆け上がる、一方龍星は姫神を庇うように立ち鏃と液体金の動向を観察していた。

     アウレオルスの脇腹は炭化しておりまともに闘える状態ではない、筈だった。

    「当然、私は錬金術を極めている。この程度で倒れるほどの研鑽ならば最初からしてはいない」

     立っていた、喋っていた、その異質さに熹一の足が竦む。その隙をアウレオルスは逃がさない。

     同時に複数本の鏃を放つ。

    「完全、これで終わりだ」

    「舐めんなっ」

     熹一は階段を登りながら既に幻突の踏み込みを終えていた。溶けていない手すりの一部分を幻突で外しそれを横へと放り投げる。

     細長い手すりは途中で金となるが投げられていた為それは熹一の歩みを止めることはない。

    「しゃあっ堪忍せえやアウレオルス!」

    「現前、下の仲間は気にしなくていいのか?」

    「なにっ」

     溶けた手すりは確かに階段を溶かすことはなかった、しかし欄干を飛び越えた液体金は下へとそのまま降り注ぐ、その場所には姫神と龍星がいた。

  • 112二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:58:28

    >>111

     本来ならばステイルでも迎撃できるほどの時間、しかしアウレオルスは熹一、尊鷹、上条、ステイルの五方向に少し距離を離して同時に3本ずつ投げ放つことでそれぞれで動きが制限されることを見越していた。

     アウレオルスの顔面へ熹一の拳が突き刺さるのと広く伸ばされた手すりが龍星と姫神を包み込もうとするのはほぼ同時だった。

    「姫神さん!」

     その時龍星は咄嗟に姫神の背中を庇おうとして一瞬戸惑った、仮にアウレオルスが死に物狂いでもう一本鏃を投げそれが龍星に当たった場合姫神もまた金を浴びてしまう、これではダメなのだ。

    「どうするっ」

     万事休すか、しかし降り掛かる寸前に声が三沢塾へと響き渡る。

    「消えよ」

     次の瞬間、液体の金は最初から存在しなかったように消え失せた。

     そして尊鷹が背後を振り返ると三沢塾の入り口にいたのは・・・。

    「なにっ」

     錬金術師アウレオルス=イザードだった。

     その疑問に答えを出したのはやはり同じ魔術師のステイルだった。

    「やはりね、2階にいるアレは所詮魔導人形なのだろう? 名付けるならそう、アウレオルス=ダミーってとこかな?」

     その問答に一人、いや一つ納得できていないものがきた。

     2階に立っていたアウレオルス=ダミーであった。

    「いや、当然、だがおかしい・・・でも、魔力、錬金っ」

     だけれども、本物を見た時認めてしまっていたのだろう、この男こそが本物で自分は偽物であることを。

    「かわいそう」

     それを見た姫神が感情のない物言い、けれでもどこか憐憫の籠った瞳で告げる。

    「気づかなければ。アウレオルス=イザードでいられたのに」

    「ぐっ・・・・・・!? き、さまァ!!」

     激情する人形、両腕で乱雑に取り出した鏃で自ら血を流しながらも手持ちの物を全て解き放つ。そうでもしなければ自我を保てそうになかった。

     しかし、それらが解き放たれることはない。

    「砕けよ」

     ヒビが入ってそのまま砕けた、砕けたモーションはあった筈なのに上条はそれがまるで一動作で行われたようにしか見えなかった。

     触れた物全てを黄金へと転じる鏃もまた、能力を失いただの鏃として床に落ちていく。

     ステイルはそれを見て益体のない考えを思い浮かべている。

    (まさか、本物の『黄金錬成』だなんて言わないだろうな。仮にそうなら・・・・・・僕たちに勝ち目はないぞ)

  • 113二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 07:39:38

    保守やのぅ

  • 114二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 18:31:46

    >>112

     その異様な光景を前に誰もが動けずにいた、しかし忘れてはいけない。そもそも龍星たちは厳密にはアウレオルスと今ならまだ闘わずに済む可能性もあるということを。

    「待ってください、僕たちは貴方と闘いたいわけじゃない」

    「当然、それはこちらも同じこと。無論助ける必要もないのだが、私の目的には吸血殺しが不可欠なので守ったにすぎん」

    「話はできるみたいだな。それじゃあ会話しようじゃないか。あの子・・・いいや、インデックスについてね」

     その名前が出た時アウレオルスの平坦な表情が僅かに揺らいだ。

    「空前、インデックスを知っているのか?」

    「もちろんさ、だって僕は元々お前と同じインデックスの保護者だったからね」

    「茫然、ならば話は早い。よもや私の目的も理解しているのか?」

    「当然、と返しておこうかな」

     空気の流れが不自然な揺らぎを生んでいるのを魔術師以外の五人は感じていた。どこか弛緩していて、それでいてどこか緊張感が走る。ここが運命の分かれ目であることを心のどこかで理解させられていた。

     そしてステイルは決定的な事実を突きつける。

    「結論だけ先に言っておくとだね、あの子の記憶は消す必要がなくなった」

    「・・・・・・なんだと?」

    「まぁ詳しいことは女狐が隠してるからわからないんだけどね。そうそう、過去に消した記憶は戻ってこないからそれだけは言っておくね」

    「唖然、そんな冗談が通じるとでも?」

    「信じる信じないは勝手だけどね、現にあの子はイギリスで神裂監視の元で元気に記憶を残しているよ」

    「・・・・・・、待て。それでは」

    「ああ、ご苦労様。君、ローマ正教を裏切って三年間も地下に潜っていたらしいけど、全くの無駄骨だよ。いや、努力が報われなかった痛みはわかるが気にするな。今のあの子は君が望んだ通りとても幸せそうだよ?」

     致命的に路線が切り替わる、いいや路線が元に戻ると言うべきか。アウレオルスの感情の箍が外れ全てが既定路線へと戻り始める。まさにその瞬間であった。

    「だから、会いに行ってあげたらどうですか?」

    「おうっ、ワシらもなしてこんなことになったか聞きたいしな」

    「・・・・・・そうだね、そもそもなんであの子が記憶を消さなくてよくなったかは厳密なところは本当にわかっていないんだ」

    「唖然、それは・・・どういう?」

     混乱するアウレオルスを前に今度は上条が言葉を重ねる。

オススメ

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