- 1二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:09:21
- 2二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:09:54
- 3二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:11:01
さて、スレ埋めしなければ、
- 4二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:13:12
- 5二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:14:18
- 6二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:17:38
- 7二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:18:48
ていうか8スレ目かぁ…続いているなぁ…嬉しいなぁ
- 8二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:19:37
これも皆さんが見てくださったり、スレに書き込んでくれているおかげですよ
- 9二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:21:22
ま、ホシノにはカービィのようによく食べてよく寝て透き通るような青春を過ごしてほしいものですねぇ。
あ、地下生活者と夢見鳥は帰ってもろて。 - 10二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 02:21:53
はい10スレ目ぇ!
- 11二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 05:53:57
超早朝保守
- 12二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 13:11:03
此方のホシノとは真逆ですね...
- 13二次元好きの匿名さん24/08/18(日) 22:30:00
保守のカービィ
- 14二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:37:01
前スレ187の続き
(存在の反転から、さらに異なるナニカへと変質した小鳥遊ホシノ)
(その変異に動揺しているのは先生たちだけではなかった)
地下生活者「何だ……一体何が起こっている……!?」
地下生活者「何故、暁のホルスがさらなる変化を遂げる!小生のキャンペーンにそんな下りは組み込まれていない!!」
(彼の名は地下生活者。かつてゲマトリアに所属していた者であり、長い間地下牢に幽閉されていた怪人である)
(ゲマトリア壊滅後、ある者の手引きにより解放され一連の事態を引き起こしていたのだが)
地下生活者「これも先生の差し金なのか!?いや、当の先生も呆然としている。仮に元凶であるならばあのような態度はあり得ない!」
地下生活者「匿名の行人は何をやっていた!こんなものバグだ!小生が対応するような範囲じゃないだろう!?」
地下生活者「――いや、落ち着け。起こってしまった以上、まずはキャンペーンの修正に取り掛からねば……!」
(夢見鳥の乱入、それに伴うホシノのさらなる変質)
(想定外の事態を前にしながら、それでも主導権を取り戻すべく地下生活者は落ち着きを取り戻そうとする)
(そして、彼の行動に応えてか応えずか――)
セトの憤怒『■■■■――――ッ!!』
地下生活者「オオッ!?」
(ホシノ*テラーの降臨に伴い顕現していたセトの憤怒)
(それが、変質したホシノに対し雷霆を撃ち放った)
(セトの憤怒から見ても脅威に映ったのか、あるいは当初の目的通りだったのか)
(その意図は誰にも分からないまま、雷霆は容赦なくホシノを穿ち蹂躙する――) - 15二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:37:31
地下生活者「いいぞ、いいぞ!やってしまえ、セトの憤怒!」
地下生活者「元より小生の目的は反転を成し得た時点で半ば達成されている!」
地下生活者「暁のホルスがいかに変質しようが、クリア条件に変化はない!そのまま、変わり果てたホルスを粉々にしろ!」
地下生活者「そしてぇ!小生は、世界の滅亡をこの目で――」
(見届けるのだ。そう続けようとした言葉は、しかし形にならなかった)
(何故なら)
ホシノ?『――――』
地下生活者「……は?」
(雷霆が収まり、砂煙の中からホシノが姿を現す)
(度重なる稲妻に撃たれ、一部はガラス化する程の熱量に焼き尽くされながら)
(しかしホシノの身体には傷どころか焦げ目一つさえなかった)
(それ、どころか――)
ホシノ?『――』
セトの憤怒『?』
(右手に握られた、魔改造ショットガンを一閃)
(剣を振るう、というより虫でも払うような。そんなあまりにも雑な仕草)
(そんな、ただの一閃が。空中に浮かんでいたセトの憤怒の片腕を消し飛ばした)
セトの憤怒『■■■■■―――!!!』
(セトの憤怒が絶叫する)
(彼、あるいは彼女か。当事者でさえ斬られてから認識できた超速級の破壊現象)
(その効果は凄まじく、バランスを失ったセトの憤怒は眼下の砂漠へと墜落していく……!)
- 16二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:37:56
セリカ「う、嘘でしょ……?何が起きたの、今」
アヤネ「あの怪物を、一撃で沈めた……!?」
シロコ「……ッ!ホシノ先輩!」
ノノミ「ダメッ!シロコちゃん!!」
(変わり果てた先輩に、それでもシロコはたまらず駆け寄ろうとする)
(だがそれを敵対行動とでも受け取ったのか。次の瞬間、ホシノはシロコに銃口を向ける)
シロコ*テラー「バカシロコ!行っちゃダメ!」
先生“アロナ、プラナ!バリア全開!今すぐ!”
(銃口より放たれる、極大光線)
(ホシノの破壊衝動を具現化したようなそれは、シッテムの箱の全力防御をもってしてなお軋みを上げさせた)
(だが、それでも――)
アロナ『うっ、ぐっ!ぎぎぎ……!』
プラナ『守り、ます……!今度こそ、絶対に――!』
(アロナとプラナ、二人のAIによる渾身の防御処理)
(膨大な過負荷に全身が焼き尽くされるような痛みを味わいながらも、二人はかろうじて成し遂げた)
(光線が消え、再び一同の前にホシノの姿が現れる)
(砂漠の一部が消し飛び、地形を変える程の破壊を為しておきながら。その顔には、微塵の疲労も見えなかった……)
アヤネ「さ、砂漠が……」
セリカ「デタラメどころじゃない……!こんなの、反則じゃない!」
- 17二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:38:28
(目の前の地獄に、たまらず絶叫するセリカ)
(奇しくも同じ頃、地下生活者もまた異空間で似たような叫びを上げていた)
地下生活者「そうだ、ふざけるな!!」
地下生活者「何だこの無茶苦茶な火力は!?セトの憤怒が赤子のようにあしらわれるだと!?」
地下生活者「チートだ!こんなものレギュレーション違反だ!」
地下生活者「暁のホルスめ、たかがキャンペーンの一駒でありながらふざけた真似を……!?」
(最早平静を失い、喚き散らすばかりとなった地下生活者)
(その両目が、映像の向こうに映るホシノの顔を捉える)
(向こう側に映ったその視線は、ちょうど地下生活者のそれとぶつかり合い――同時に、かつてない程の悪寒を地下生活者に味わせた)
地下生活者「……!?な、何だこの感覚は……!」
地下生活者「ま、まさか見えている?小生を、認識しているとでも?」
地下生活者「いやあり得ん!ここは如何なる手段をもってしても干渉はおろか認識さえ叶わない領域の筈!まして、ただ破壊だけが能の暁のホルス如きに見破られるなど」
(疑問に対する答えは、すぐ目の前からやってきた)
(映像の向こう側。先生たちから見れば何もない空間に対し、再び魔改造ショットガンを振り下ろすという格好で)
(地下生活者からすれば――まさにたった今、自分に対して刃が降り下ろされたと。そう認識するような恰好で)
(そして。その認識は正しかった)
- 18二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:38:52
ザンッ
地下生活者「は?」
(地下生活者のすぐ左隣。何もない空間が、音もなく『ズレる』)
(風もなければ自分以外音を出すものもない領域。そこに、膨大な衝撃波と破壊音が押し寄せる)
(それは幻覚でも何でもない、確かな物理現象で――直後、地下生活者の身体は迫りくる混沌の渦にひとたまりもなく呑み込まれた!)
地下生活者「ひっ、ぎゃっ――――ぎゃぁあああああっっっ!!!?」
地下生活者「何だこれは!何だこれは!何なんだ、これはぁあああああ!!?」
(正しく、嵐の中に揉まれる葉っぱとでも呼ぶべきか)
(絶叫が過ぎ去った後には何も残らず、ただ何物も及ばない静寂だけが戻っていた)
(先生たちの与り知らない所で、地下生活者が退場していた一方)
(残された先生たちは、暴走し続けるホシノを前に必死の抵抗を試みていた)
(だが――)
シロコ「う、うう……」
セリカ「つ、強すぎる……あんなの、どうしろっていうのよ……」
先生“シロコ、セリカ!しっかりして!”
ノノミ「弾幕も、爆撃も通じません……!」
アヤネ「物資の残りも、もう……ここまでずっと戦い詰めでしたから」
(あまりにも無法、あまりにも隔絶)
(対策委員会四人に加えシロコ*テラーと復活したヒナ。そして合流したシャドーホシノの力を借りてなお、目の前のホシノとの戦力差は絶望的だった)
- 19二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:39:43
シロコ*テラー「私の力でも、通じないなんて……さすがホシノ先輩」
ヒナ「言ってる場合?このままだと私たち全員死ぬわよ。もちろん、先生も含めてね」
シャドーホシノ「――さすがにそれは看過できない、かな。後輩ちゃん達も、先生も、黒いシロコちゃんにヒナちゃんにも死んでほしくないし」
(満身創痍の中、シャドーホシノが立ち上がる)
(影とはいえ元は同じ『小鳥遊ホシノ』である故か、この場にいる誰よりも今のホシノとの戦い方に慣れているように思えた)
先生“シャドーホシノ、何かまだ手があるの?”
シャドーホシノ「一応、だけどね。あのクソ野郎――地下生活者の誤算は二つ。一つは、夢見鳥の存在を計画に組み込んでなかった事」
シャドーホシノ「そして、もう一つは――反転した『私』が一人だけだと思い込んだ事。……まあ、これに関しては想像しろっていう方が無茶だけど」
先生“!?それって、まさか――”
シャドーホシノ「言ったでしょ、先生。私は『小鳥遊ホシノ』の暗黒面が表れた存在だって」
シャドーホシノ「だから当然、こういうインチキもできちゃうんだなぁこれが」
(シャドーホシノの身体が黒く光る)
(漆黒の柱が立ち昇り、やがてその中から現れたのは――)
シャドーホシノ*テラー「と、いうわけで。じゃじゃーん、皆さん初めまして~。スーパーシャドーおじさん、ここに参上ってね☆」
一同『(唖然)』
先生“……存在の反転って、こんな気楽にできていいものだったっけ?”
シロコ*テラー「違う、絶対に違う。無名の司祭が見たら助走をつけて全力パンチしてくるレベルの暴挙」
シロコ「ん……やっぱりさっき色彩に触れなくて正解だった。ありがとう、もう一人の私」
セリカ「いや、もう何でもありなの?それでいいの、ホシノ先輩?」
アヤネ「あはは……まあ、ホシノ先輩だし」
ノノミ「可能性は無限大、というやつでしょうか」
シャドーホシノ*テラー「あれぇ?まさかの総スカン?おじさん、さすがに凹むよ?」
先生“いや、その顔でお惚けられるのはちょっと……”
- 20二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:40:02
(ちなみに余談だが。シャドーホシノ*テラーの見た目は全身黒くなったホシノ*テラーと言えば大体合っていた)
ホシノ?『――――』
(半ば無視される格好となっていたホシノが動き出す)
(魔改造ショットガンの銃口を向け、再びエネルギーチャージ。先生たちを吹き飛ばそうとした、極大光線が放たれようとする――その、瞬間)
シャドーホシノ*テラー「はい、そこまで」
ホシノ?『っ!?』
シャドーホシノ*テラー「そんな危ないもの、乱発しちゃダメだよ?ただでさえボロボロなのに、この上本当に命まで捨てるつもり?」
(シャドーホシノ*テラーが、魔改造ショットガンの銃口を弾き上げる)
(寸前で逸らされた結果、極大光線は何を抉る事もなく遥か天空へと伸びていった)
ホシノ?『……!』
シャドーホシノ*テラー「おお怖い怖い。そんな目で睨まれたら、せっかくの美人さんが台無しだよ~?いつもみたいに、もっとだらけきった顔で笑いなよ」
シャドーホシノ*テラー「……少なくとも。ちょっと前までは、そうやってユメ先輩の努力に応えようとしてたじゃん」
シャドーホシノ*テラー「だから、いい加減目を覚ましなよ私。いつまで後輩ちゃん達や先生に背を向け続けるつもり?あと、もう一人のシロコちゃんと風紀委員長ちゃんにも」
(シャドーホシノ*テラーが、ちらりと先生たちの方を向く)
- 21二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:40:22
シャドーホシノ*テラー「ごめん先生、それとアビドスのみんな!ちょーっとばかし、手を貸してくれないかな!?スーパーとはいえ、さすがにおじさん一人じゃ手に余るかなーって!」
先生“――!ああ、勿論だよシャドーホシノ!みんなでホシノを元に戻そう!”
シロコ「ん、了解。最初から私一人でもホシノ先輩を正気に戻すつもりだった」
シロコ*テラー「それは無理。よわシロコには不可能」
シロコ「……(ピキピキ)」
シロコ*テラー「――(フッ)」
セリカ「こんな状況で、自分同士でしょうもない喧嘩してるんじゃないわよ!」
アヤネ「あはは……。でも、らしいと言えばらしいです」
ノノミ「援護は任せて下さ~い!持てる残弾と全力で支援します☆」
ヒナ「当然、私も協力するわ。乗り掛かった舟だもの、最後まで付き合わないとね」
シャドーホシノ*テラー「それじゃ、始めよっか私――いいや、バルフレイホシノ」
シャドーホシノ*テラー「その暑苦しそうな兜叩き割って、今すぐ目を覚まさせてやる。――夢に囚われる日々は、もう終わりにしよう?」
シャドーホシノ*テラー「それが、このキヴォトスに生まれた私の――」
バルフレイホシノ『■■■■――――ッ!!』
(バルフレイホシノが咆哮し、シャドーホシノ*テラーに襲い掛かる)
(アビドスの、ひいてはキヴォトスの命運をも賭けた戦いが幕を開けた!)
- 22二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:42:26
――それからどうなったのかって?
まあ、大体は予想してる通りだよ。
暴れ狂う私(ホシノ)を、私(シャドーホシノ)と先生、そして後輩ちゃん達と風紀委員長――ヒナちゃんの全員がかりで抑え込んで、黙らせて。
一旦落ち着いた所で、シッテムの箱の力を借りてあいつの精神世界(なか)に飛び込んで。
それで、各々の説得をぶつけたりして、どうにか元の『小鳥遊ホシノ』に戻したんだ。
まあ、その後も倒されたと思ってたセトの憤怒が復活してきたり、色々あった訳だけど……その辺は、語るまでもないかな。
私(シャドーホシノ)は何て言って説得したのって?
それは――
ホシノ「結局、何なのさお前は」
シャドーホシノ「……」
ホシノ「突然キヴォトスに現れて。いきなり私んちにやって来たかと思ったら気絶させて。挙句、私に化けて先生に迫ったりして――意味、分かんないよ」
シャドーホシノ「――分からないって。それ、本気で言ってる?」
ホシノ「……」
シャドーホシノ「言ったでしょ。私はあなたの暗黒面、『小鳥遊ホシノ』が有する負の面が具現化した存在だって」
ホシノ「で?それと、先生に迫る事がどうつながるのさ。負の面だっていうのなら、もっと傷つけるような事するもんじゃないの?」
シャドーホシノ「傷つけてほしかったの?」
ホシノ「――」
シャドーホシノ「睨まないでよ。……本当は、薄々分かっている癖に。この期に及んで、まだ取り繕えるとでも思ってるの?」
ホシノ「何を……」
- 23二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:42:53
シャドーホシノ「私があなたを傷つけたのは、あなたが心の中でそう望んでいたから。私があなたを嘲ったのは、あなたがそうした感傷を抱えてたから」
シャドーホシノ「私が先生に迫ったのは――あなたが、『そうする・そう望む』事を許されない事だと、悪であると断じていたから」
シャドーホシノ「私はね、ホシノ。あなたの自罰・自虐・自嘲――要するにあなたがあなた自身を責め苛む心、罪悪感と自己嫌悪を糧に生まれた存在なんだよ」
ホシノ「――――っ」
私の言葉を前に、『私』は何も言えず唇を噛む。
厳密に言えば精神世界なので『私』の姿は見当たらなかったわけだけど。まあ、細かい話はいいだろう。
そんな『私』に、私はどこまでも望まれた役目を全うする。
シャドーホシノ「……ねえ。もう、いいんじゃないのホシノ」
シャドーホシノ「あなたがどれだけ幸せになる事を拒もうと。あなたがどれ程『あの日』の出来事を悔やみ、呪い続けても。ユメ先輩は還ってこないし、救われない」
シャドーホシノ「私はユメ先輩じゃないから、『ユメ先輩はこんな事望んでない』なんて言えないし言わない」
シャドーホシノ「それでもね。同じ『小鳥遊ホシノ』を構成する一部として、言わせてもらうのなら」
ホシノ「……やめろ」
シャドーホシノ「あなたは、もう。いい加減、救われる側に回ってもいい――」
ホシノ「やめろォ!」
- 24二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:43:23
『私』が私の首を掴む。
万力のように容赦なく、どこまでも締め上げてくる。
だが、私はまるで苦しむ事もなく。ただ無感動な顔で、虚空の『私』を見ていた。
当然と言えば当然だ。私は小鳥遊ホシノの自罰心、その私を害そうとしたところで何の苦痛があるという?
それでも。虚空の『私』は、吠えるように、噛みつくような勢いで私を問い質す。
ホシノ「なんで!どうして!責める側のお前が、そんな事言い出すんだ!」
ホシノ「私にそんな感情なんてない!許されていいわけがない!!」
ホシノ「私があの人を見捨てたんだ!私のせいで、あの人は死んだんだ!!」
ホシノ「だったら!私は、あの人以上に苦しんで!苦しみ続けないと、いけないじゃないか――!!」
シャドーホシノ「だから?その為だけに、あなたは何度も何度もキヴォトスを、皆を救ってきたって言うの?」
ホシノ「――――」
シャドーホシノ「違うよね?だって、苦しみたいのならわざわざそんな面倒する意味がない」
シャドーホシノ「風紀委員長ちゃんの逆襲なんか止めず、彼女のやりたいように好きなだけ革命する姿を見守っていればよかった」
シャドーホシノ「大彗星を奪った怪談家を放置して、怪異による地獄絵図と化すキヴォトスを見届けていればよかった」
シャドーホシノ「秘宝を奪い、手に入れたカヤの思うままに全宇宙を支配させてしまえばよかった」
シャドーホシノ「ベアトリーチェに星ごとキヴォトスを搾取させ、そのまま滅ぼしてもらえばよかった」
シャドーホシノ「ミレニアムに降伏し、狂った機械に支配されるがまま奴隷になっていればよかった」
シャドーホシノ「再臨した破神の手で、蹂躙されるキヴォトスを見ていればよかった――」
- 25二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:43:48
他にも、数を上げればきりがない。
私たちが思っている以上にこの世界は危機が日常茶飯事で、本当の意味で呑気にしていられる暇など数えられる程しかなかった。
それでも。その全てを退け、この世界を護り続けていたのは。
シャドーホシノ「苦しみに囚われるままじゃない、本当に護りたいものをまた見つけられたから。そうでしょ?」
ホシノ「――――」
――いつかの記憶を思い出す。
生徒会を締め、自分一人になった学校から去ろうとしたあの日。本当の意味でアビドス高等学校に引導を渡し、全てに背を向けようとしていた日。
もしもあの時、ノノミちゃんがやってこなければ自分はどうなっていただろうか。
シロコちゃんを拾わず、セリカちゃんとアヤネちゃんも受け入れなかった世界。
そんな世界で、私はどう生きて、どう終わっていたのだろう?
考えた所で答えなど出ない。出した所で、ろくでもない末路なのはわかり切っている。
それでも。そうならなかったのは――あの子たちに出会えたから。
あの子たちに出会って、秒読みだと思っていた青春が延ばされて。そうして、その果てに先生とも知り合えたから。
- 26二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:44:06
シャドーホシノ「『私』が消える日は、多分永遠に訪れない」
シャドーホシノ「あなたの中に癒えない傷がある限り。あなたがそれを罪だと認識し続ける限り。『私』は何度でも表れる」
シャドーホシノ「あなたが望むのなら、私は何度でもいつでもあなたを責め苛み続けるよ」
ホシノ「……私、は」
シャドーホシノ「でも。どうか、これだけは覚えておいてほしい」
ホシノ「?」
シャドーホシノ「小鳥遊ホシノ。あなたは――あなたが思っている以上にヒーローで、そして紛れもなく多くを救ってきた存在なんだって事を」
シャドーホシノ「始まりが罪悪感と自己嫌悪だったとしても。その道のりは、決して間違いばかりだったわけじゃないって事を――」
シャドーホシノ「だから。もういい加減、目を覚ましなよ」
シャドーホシノ「先輩も、ずっと待ってるよ?」
ホシノ「――え」
私が、『私』の後ろを指差す。
その先にいたのは、忘れようもない先輩の――
- 27二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:51:15
- 28二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 00:53:57
- 29二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 01:12:50
更新乙です!
こちらのアビドス編3章も総力戦で圧巻ですねぇ…
シャドーホシノ*テラーとバルフレイホシノの激突は熱いと言わざる得ない
地下生活者は極楽の夢見鳥からギルティを食らってこの世から退場したのかな?…まぁ同情の余地もないけど
- 30二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 01:55:28
- 31二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 11:33:49
保守
- 32影ホシ編執筆者24/08/19(月) 17:51:56
ちなみに今更過ぎる話ですが
ホシノカービィ版影ホシ編&アビドス三章編の時系列はスタアラ編とディスカバリー編の間です
ホシノがワープスターを持ってたり、SS内で今までの戦いに言及されてたのはその為 - 33二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:11:50
- 34二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:17:37
>>27の続き
先生“……そういえばさ。ずっと聞きそびれてたんだけど”
シャドーホシノ「んー?何かな先生」
先生“あの時、君が言ってた単語――『極楽の夢見鳥』だっけ?アレって結局、どういう意味だったのかなって”
シャドーホシノ「ああ、アレかぁ。確かに、それっぽい事言ったはいいけどあの時は説明どころじゃなかったからねぇ」
(シャドーホシノが、遠くを見るように目を細める)
(その姿はいつもの黒いアビドス制服姿――ではなく。アビドス高校で採用されている、体育用ジャージとブルマ姿だった)
シャドーホシノ「ノノミちゃんも律儀だよねぇ。その気になれば服の汚れとかリセットできるんだから、洗濯する必要もないのに」
先生“ははは……でも、満更でもないでしょ?”
シャドーホシノ「まあね。――話、戻そっか。極楽の夢見鳥はね、キヴォトスに伝わる古い都市伝説に出てくる存在だよ」
(それは、遥か昔から語り継がれる伝承の一つ)
(強大なる生徒が決戦に臨み、戦いの果てに倒れた時に上げる断末魔)
(その叫びに応え、黄泉の世界から顕れ生徒の魂を啜るのだという……)
- 35二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:18:02
シャドーホシノ「そして、啜った魂を基に生まれたのがあの紅い騎士――バルフレイテラーってわけ」
先生“バルフレイ……そういえば、あの時もホシノの事をそう呼んでたね”
シャドーホシノ「正確にはバルフレイホシノ、だけどね。……実際、あの時は既にテラーでも何でもなくなってたし」
先生“えっ”
シャドーホシノ「シロコちゃんから聞いてない?『存在の反転からの復活は、死んだ人間を蘇らせるようなもの』だって。その通り、本来であれば一度反転してしまった存在は二度と元に戻り得ない」
先生“でも、ホシノは――”
シャドーホシノ「多分、反転が完全なものじゃなかったんだろうね。変質しながらも、ギリギリのところで自分を繋ぎとめていた。だから夢見鳥に啜られた後も復活する事ができた」
(砂漠での決戦後を思い出す)
(死闘の末バルフレイホシノを下し、精神世界へ干渉した直後。ホシノの身体を覆っていたアーマードレスと兜は消え、再び元の制服姿のホシノが現れていた)
(念の為病院で検査してみたものの、身体に異常らしい異常はなく。むしろ反転前よりも健康になっていたまであったという)
シャドーホシノ「夢見鳥の恩恵か、それとも私自身の神秘によるものか……。まあ、いずれにせよ今回は恩恵として働いた、と考えていいんじゃないかな。次はどうなるか分からないけど(ボソッ)」
先生“次なんて、起こさせないよ。私の目が黒い内はね”
シャドーホシノ「へえ、頼もしい事言ってくれるじゃん先生」
先生“……そういえば、なんだけど。地下生活者、だったっけ?結局あいつはどうなったんだろう?”
シャドーホシノ「ああ、あいつ?あれならもう無力化できた……というか、無力になってたからほっといていいって黒い方のシロコちゃんが言ってたよ」
先生“シロコが?”
シャドーホシノ「うん。何でも、居場所を突き止めて殴り込んだら、既にボロ雑巾みたいな姿になってたって」
- 36二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:18:28
(先生とシャドーホシノは知る由もなかったが。地下生活者は、バルフレイホシノの一撃であの場から吹き飛ばされていた)
(かろうじて命は拾っていたものの、間近で味わった死の恐怖と物理的な暴力の直撃は地下生活者の心身をこの上なく痛めつけ――結果、シロコ*テラーが殴り込んだ頃には廃人同然となった彼の姿があった)
(さすがのシロコ*テラーもそれ以上痛めつける気にはなれず、最低限警告だけを残して立ち去ったそうな……)
シャドーホシノ「ま、何にせよもう二度とアビドスにはちょっかい出してこないでしょ。出してきたら今度こそ引導渡すだけだし」
先生“よ、容赦ないなぁ”
シャドーホシノ「私も『小鳥遊ホシノ』だからねぇ。そりゃ、アビドスを傷つけようとする輩には容赦しないよ」
シャドーホシノ「……ところで先生。この後って、何か予定とかあったりする?」
先生“えっ?いや、今日はもうシャーレに戻るだけだよ?”
シャドーホシノ「ふーん、そっか。――じゃあ、今がラストチャンスってわけだ」
(ギラリ、と。シャドーホシノの目が捕食者めいて光る)
(嫌な予感を覚えた先生だったが、時すでに遅く――シャドーホシノが、先生に飛び掛かった!)
先生“う、うわぁっ!?”
シャドーホシノ「うへへ……それじゃ、先生。この前の続きといこうか?」
先生“ま、待ってシャドーホシノ!君も一応生徒なわけで、先生である私が君に手を出すわけには!?”
シャドーホシノ「そ~んな事言っちゃって。ダーク風紀委員長ちゃんに迫られた時は、満更でもなかったんじゃないの~?」
先生”な、何故それを!?“
シャドーホシノ「そりゃ、あの時も『私』はあそこにいたんだもん。今でもよーく覚えてるよ?あの時の事」
シャドーホシノ「それじゃ、無駄口はここまでにして――いっただきまー」
???「さ・せ・る・かぁあああっ!!」
- 37二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:18:56
(いよいよ先生を喰らうべく、下半身に手を伸ばしかけたホシノ)
(が、次の瞬間。横から駆けつけた何者かに思いっきり蹴飛ばされた)
先生“ほ、ホシノ!?どうしてここに!?”
ヒナ「――いつまで経っても戻ってこないから、小鳥遊ホシノと呼びに来たの。どうやら正解だったようね」
先生“ひ、ヒナまで!”
シャドーホシノ「あいたた……やってくれるね、オリジナル。せっかくいい所だったのに台無しじゃん」
ホシノ「台無しで結構だよ!この前といい、今日といい……ほんと、喧嘩を売るのが得意みたいだねぇ……!」
シャドーホシノ「べっつにぃ~?私は私の本能の赴くがままにやってるだけだよ。そうやっていつまでもヘタレてばっかなオリジナルが悪いんじゃない?」
ホシノ「――ヒナちゃん」
ヒナ「ええ、分かってる。皆まで言わなくていい、小鳥遊ホシノ。――他校とはいえ風紀委員会の長として、先生を護る生徒として。彼女の存在は見過ごせない」
(ホシノとヒナが目を据わらせ、互いの指をパキポキと鳴らす)
(銃火器は置いてきてしまった為丸腰だったが、ことこの二人に関しては然程のハンデでもない)
(そして、元凶であるシャドーホシノもかかってこいと言わんばかりに挑発し――)
シャドーホシノ「来なよドヘタ恋愛コンビ。本能のままに生きるケダモノの強さ、その身に教え込んであげる」
ホシノ「言ってろ黒歴史!今日という今日こそはぶっ飛ばして、二度とモノを言えないようにしてやる!!」
ヒナ「あなたに恨みはないけれど――あなたを見てると嫌な奴を思い出すの。だから、容赦しないわ」
先生“み、みんな落ち着いて――うわぁあああっ!?”
(かくして始まる、どったんバッタン大騒ぎ)
(この後、騒ぎを聞いてシロコ達が駆けつけてくるまで。少女たちの争いは続いたという)
- 38二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:19:17
――乱闘騒ぎから一時間後。夜のアビドス高校別館、屋上。
ホシノ「で?これからどうするつもりなのさ、偽者」
シャドーホシノ「偽者じゃなくてシャドーホシノだってば。呼びづらいならカゲちゃんとでも呼んでよ」
ホシノ「……じゃあシャドー。これからどうする気?行く当てとかあるの?」
シャドーホシノ「うーん、特に行く当てはないかなぁ。強いて言うなら先生の所にでも転がり込むくらいとか?君の影とはいえ、立場的には実質フリーみたいなもんだし……冗談だよ、冗談」
(ホシノに本気で睨まれ、シャドーホシノは撤回する)
(変わって、今度は真面目な顔で告げた)
シャドーホシノ「真面目に話をするとね、しばらく黒い方のシロコちゃんを見守ろうと思うんだ」
ホシノ「黒い方って、あの並行世界から来た?」
シャドーホシノ「そうそう。あの子もある意味私と似たような存在だし、同じ『シロコちゃん』である以上ほっとけないからねぇ」
シャドーホシノ「とはいえ、直接的に助けようとしたら絶対嫌がるだろうし。最初の内は遠くから見てるだけにするよ。ヤバそうな事件に巻き込まれたり、行き詰ってたら手を貸す程度かな?」
ホシノ「ふうん」
(想像以上にまともな返答に、ホシノは自分の影たる彼女を見直す)
(てっきり変なちょっかいでも出して怒らせたりするのではないかと思っていたが――)
- 39二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:19:36
シャドーホシノ「そんな真似するわけないでしょ。世界は違えど可愛い後輩なんだもの、なら先輩として助けるのは当然の事だよ」
ホシノ「……前々から思ってたけどさ。ひょっとして、心とか読めたりする?」
シャドーホシノ「いいや~?単純にオリジナルやみんなが分かりやすいだけじゃないの~?」
(煙に巻くようなシャドーホシノの言い草に、ホシノは再び顔をしかめる)
(分かり切っていた事ではあるが、やはり)
ホシノ「大っ嫌いだ、お前なんか」
シャドーホシノ「そりゃどーも。私としても『自分を愛する私』なんてナルシストな姿、見たくないからちょうどいいね」
(ホシノの露骨な拒絶にも、シャドーホシノはケラケラと笑うのみ)
(と、不意にシャドーホシノはホシノの頭に手を伸ばし――くしゃくしゃと、髪の毛ごと名で始めた)
ホシノ「ちょっ、何するのさ!」
シャドーホシノ「んーん、ちょっとね。……今回の事で思い知ったと分かってるけど、これからは自分だけで背負い込むのは控えなよ?」
シャドーホシノ「どんなにヒーローと呼ばれても、どれ程多くを救う力があっても。君は/私は、まだまだ子どもなんだからさ」
シャドーホシノ「手に負えない事態や敵が現れた時は、誰かに頼っていい。何もかもを背負いこみ、思い詰めなくていい」
シャドーホシノ「少なくとも――『私』が知ってる先生なら、こんな感じの事を言うと思うけど?ね、先生」
ホシノ「……………………えっ?」
- 40二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:19:51
(シャドーホシノが、ちらりと屋上の出入り口へと振り向く)
(いつからいたのか、そこには気まずそうに立ち尽くす先生の姿があった)
ホシノ「せ、先生!?なんで!っていうか、いつの間に!?」
先生“あ、あはは……いや、ホシノ達の姿が見えないからどこに行ったのかなって。そしたら、屋上の方から声が聞こえて、ね?”
シャドーホシノ「ちなみにだけど、私は最初からずっと気づいてたよー?誰かさんは私に夢中で全然気づいてなかったみたいだけどねぇ?(ニヤニヤ)」
ホシノ「~~~~!!(ジャキッ!)」
(顔を真っ赤にしながら、傍らに置いていたショットガンを掴むホシノ)
(その姿を見たシャドーホシノは屋上のフェンスを飛び越え、夜の砂漠へと消えていく――)
ホシノ「待てコラァ!逃げるなぁ!」
先生“ほ、ホシノ!落ち着いて!”
シャドーホシノ「あははははっ!せいぜい素直に生きる努力をしなよ、私っ!たまには可愛い所を見せた方が、先生にもより愛されるってもんだしねー!」
ホシノ「うがぁあああっ!!」
(夜の砂漠に、銃声がこだまする)
(静寂を突き破るように、どこまでも少女の怒声と笑い声は響いていくのであった――)
- 41二次元好きの匿名さん24/08/19(月) 23:21:14
- 42二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 02:25:39
お疲れ様でした!
ディスカバリー編にも綺麗に続くような感じでありがとうございます!スタアラとシャドーホシノを通して知った助け合い、しっかりやっていこうね、ホシノ。
極楽の夢見鳥は強大な生徒の魂を啜る…なるほど。恐ろしい蝶々や…。まぁ、ホシノはバルフレイ化をなんとかした訳だしもう大丈夫だな!
じゃあさ、ホシノ。もう一度、仲間たちと一緒に戦ってみようか。
- 43二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 10:58:41
アビドス編3章完結お疲れ様でした!
勇者と称えられているホシノが暴走し、それを静めたのもホシノという何とも不思議な回でしたねぇ
生徒の断末魔の叫びに応え、黄泉の世界から顕れ生徒の魂を啜るって原作と変わらず傍迷惑な存在やな極楽の夢見鳥...
恋愛ドヘタコンビとシャドーホシノに煽られて格闘戦に持ち込もうとするホシノとヒナに笑うわw
- 44二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 14:15:53
ほ(しゅだ)よ!
- 45二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 22:58:12
エフィリン「なるほど、そんなことがあったんだね。」
ここは新世界キヴォトス。ホシノたちの世界のキヴォトスよりはかなり小さいが、第二の都市として皆が思い思いに過ごしている。
ホシノはカフェでエフィリンと思い出話をしていた。
ホシノ「うん。…幻滅、しちゃった?」
エフィリン「ううん!ホシノのこと、ちゃんと知ることが出来て嬉しい!それに、どんなことがあっても、ホシノはかっこいいヒーローだよ!」
ホシノ「うへへ、嬉しいこと言ってくれるねぇ〜このこの〜。」
エフィリン「くすぐったいよ〜!」
イロハ「…何イチャイチャしてるんですか。」
通りかかったのは、ホシノとともに戦ったイロハであった。
ホシノ「あ、イロハちゃん。イブキちゃんはいないの?」
イロハ「イブキなら今は、マコト先輩と一緒にコロシアムで観戦中ですよ。風紀委員長…ヒナさんが『ぼすぶっち』をするとかで、それを見に。」
ホシノ「ヒ、ヒナちゃん…新世界に来てから本当にイキイキしてるね…。」
エフィリン「あはは…」
イロハ「まぁそれはともかく。展望台にキャロラインが来てますよ。どうやら、あなたに用があるみたいです。」
エフィリン「キャロラインが?…あ、そうそうホシノ!」
ホシノ「どうしたの?」
エフィリン「平和になった後、アニマルたちとみんなで集まった時も、レオンガルフはいなかったでしょ?あれ以来、ずっとキャロラインも彼を探しているみたいなんだ。」
レオンガルフ…黒幕に操られていた被害者であり、本当は仲間達をまとめていた良きリーダーのアニマルらしい。
ホシノ「そっか…ということは、何か分かったのかもしれないね。よし、キャロラインを手伝ってあげよう!」
エフィリン「うん!」
イロハ「…私も行く流れですか?……はぁ、分かりましたよ、付き合ってあげます。」 - 46二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 23:22:03
キャロライン「ニャオ〜ン。」
ホシノ「お待たせ、キャロライン。…これは。」
展望台に登ったホシノ達。展望台の目の前には謎の渦が存在していた。
イロハ「名前の通り、謎な渦ですね。」
キャロライン「ニャオン、ニャン。」
エフィリン「え!?ここからレオンガルフの気配がするって!?」
ホシノ「この渦の先に、レオンガルフが…?」
そうして観察していると、展望台に誰かが登ってきた。
シロコ*テラー「あ、ホシノ先輩。」
シロコ「ここにいたんだ、ホシノ先輩。」
ホシノ「あ、シロコちゃん達!」
シロココンビと…
ノゾミ・ヒカリ「「キャッキャ」」
スオウ「お前達、今日は…何故か私達が…視察に来たんだ。遊びに来た訳じゃ…」
ホシノ「あ…スオウ、ちゃん…」
スオウ「た…小鳥遊、ホシノ…」
ハイランダー組がやってきた。後輩たちに気まずい関係のスオウが同時にやってきたことで複雑な気持ちになったホシノ。
突然!渦が大きくなり!ホシノ、エフィリン、イロハ…そしてシロコ、シロコ*テラー、さらにはスオウが!!
ホシノ「うへぇあー!?」
エフィリン「うわぁー!?」
イロハ「ちょ、まっ、いきなりですか!?」
シロコ「ん!?」
シロコ*テラー「ッ!?」
スオウ「急になんだ!?」
吸い込まれてしまった!!
キャロライン「ニャオーン!!」
ノゾミ「え!?」
ヒカリ「…急展開、わお。」
- 47二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 23:36:12
謎の世界に投げ飛ばされるホシノ達を、追いかけてきたワープスターがキャッチする。
シロコ「あ、危なかった…。」
シロコ*テラー「…ここは?」
エフィリン「…この感じ!ボクがフェクト・エフィリスに取り込まれた時に見た世界にそっくりだ!…もしかしたら あの戦いのあと、レオンガルフはこの世界に閉じ込められちゃったのかも…!」
ホシノ「…よし、探索してみよう。レオンガルフのこと、放ってはおけないしね。」
ホシノは偶然にも出会えた仲間たちを見る。
ホシノ「みんな…お願い!手伝って!…助けたい存在がいるんだ!」
エフィリン「お願い!」
ホシノは一人じゃない。頼れる仲間がいる。
イロハ「…まぁ、こうなったら最後まで付き合いますよ。」
シロコ「もちろん。…先輩に頼られた、頑張る…!」
シロコ*テラー「ん、もちろん。頼ってくれて、ありがとう。」
スオウ「私は巻き込まれただけだが…いや、私はホシノに借りがある。申し訳ないこともした。分かった、力を貸そう。」
ホシノ「ありがとう、みんな。じゃ、行くよ!」
忘らるる絶島が広がる謎の空間を行くホシノ達であった…
ホシノカービィ ディスカバリー特別編
〜魂と混沌と夢見鳥〜 はじまり!
- 48二次元好きの匿名さん24/08/20(火) 23:37:26
一旦休憩します、12時には再開します。
- 49二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 00:19:08
>>47(再開!)
絶島ドリーミー・フォルガを進むホシノ達。新世界の場所の数々に似た地形を探索していると、光る何かを見つけた。
イロハ「何です、これ?」
シロコ*テラー「…感じる、これは…魂?」
シロコ「魂…どういうこと?」
エフィリン「…そうか!これはレオンガルフの魂のカケラだよ!きっとレオンガルフはエフィリスに取り憑かれた時、邪魔な魂をバラバラにしてこの世界に散らしたんだ!」
ホシノ「じゃあ、このレオンガルフの魂…ソウルを集めていけば、彼を救えるかも!」
スオウ「…もしその説が本当なら、そのレオンガルフは今かなり危険な状態かもしれない。早く集めて向かうぞ。」
方針が定まったホシノ達は、レオンのソウルを集めながら突き進んでいく。そしてホシノ達は、アライブルモールの駐車場のような場所にやってきた。
イロハ「ここは…ゴルルムンバと戦った場所に似てますね。」
ホシノ「うわぁ、なんだか懐かしい気持ちになるね。」
すると空から何かが降ってきた!激しい衝撃波を耐えるホシノ達!そして…
VS Psychic Power Given Form - Kirby and the Forgotten Land OST [082] - 50二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 00:33:03
ホシノ「な、何これ!?」
スオウ「これがそのゴルルムンバか…?」
イロハ「あんな変な色じゃないですよ!」
エフィリン「きっとあれはエフィリスの作り出した思念体だよ!ボク達を足止めする気だ!」
シロコ「つまり、エフィリスはまだ消えていない…!」
シロコ*テラー「とにかく、戦うしかない…!」
そしてここからホシノ達は怒涛の幻のビースト達とバトルを繰り広げることになる!
キャロラインやアルマパラパ、そしてマコト、さらにはトロピカルウッズまで、さらに強化された強敵たちを戦っていき、進んでいくホシノ達!
そして数時間後…ついに最奥までたどり着いたホシノ達。
ホシノ「はぁ…はぁ…おじさんも歳とったなぁ…もう…ヘトヘト…」
イロハ「う…うえ……帰ったら…絶対に…休暇とってやる…」
スオウ「くっ…流石に…堪えるな…ここ数時間で…格段に強くなった気が…する…」
シロコ「わ…私…肩…かし…て…」
シロコ*テラー「う…うん…はい…」
エフィリン「みんな大丈夫!?はいこれ!元気ドリンクだよ!」
少女休憩中…
ホシノ「うへぇ〜…で、ここは…。ラボ・ディスカバール…みたいだね。」
エフィリン「この先からレオンガルフの気配がするよ!行ってみよう!」
- 51二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 00:45:39
その先には、浮かぶ丸い球体の中でうずくまるレオンガルフの姿があった。
ホシノ「レオンガルフ!」
スオウ「あれが…。」
エフィリン「レオンガルフ!…これを!」
エフィリンが集めたレオンのソウルを与える。するとレオンガルフは目を覚まし、地面に降り立った。
レオンガルフ「ガ、ガウ…?」
イロハ「ふぅ…一件落着ですね。」
シロコ「よかった…」
シロコ*テラー「間に合ったね。」
救ってくれたと察したレオンガルフはホシノ達と笑顔で接する……
レオンガルフ「ウグッ!!?」
しかし、突如としてレオンガルフは苦しみだした!
エフィリン「ど、どうしたのレオンガルフ!?…もしかして!」
ホシノ「まだエフィリスが中に…!!」
【ウガァァァァァァァアアアアアアアア!!!】
- 52二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 01:03:57
イロハ「エフィリスの仕業ですか…しつこいですね…!」
ホシノ「みんな、レオンガルフを止めるよ!」
シロコ「うん、分かった!」
シロコ*テラー「苦しんでる…放っておけない!」
スオウ「倒すためではなく、救うための戦いか…やってやる!」
レオン・フォルガ【ウガァァァァァアアア!!!】
レオンを助けるため、ホシノ達は戦った!攻撃の合間を縫ってダメージを与えていくと、ついに操っている者の姿も見えてくる!
スオウ「あれがエフィリスか!」
シロコ「アレとレオンガルフを引き離さないと!」
シロコ*テラー「待ってて、レオンガルフ。もう少しだけ我慢して!」
苛烈な攻撃の数々を喰らっても、ホシノ達は諦めない!避けるタイミングを掴み、着実に攻撃を加えて、最後はトドメの飛び蹴り!
ホシノ「行くよ!スオウちゃん!」
スオウ「分かった!はぁ!!」
2人の蹴りが炸裂!レオン・フォルガが壁に叩きつけられた。
レオン・フォルガ【グゥ!!!ガァ!ウガァ!!ウガァァァァァァァアアアアアアアア!!!】
激しい断末魔を叫びながらレオン・フォルガは気絶する。
そして中から現れたエフィリスは、まだ諦めていなかった!
エフィリン「ホシノ!」
ホシノ「うん!ここで決着をつけるよ!」
ソウル化したエフィリスとバトルだ!!
- 53二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 01:19:42
- 54二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 01:24:32
今回はここまで!次回、バルフレイテラー戦!
ある意味ホシノvsホシノですね!そして今回はダブルシロコとスオウを加えてみました!代わりにイブキはお留守番です。
実際、バルフレイナイトが出てきた時は「お前の姿それ固定なんだ!?」と驚いたものです。 - 55二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 01:37:52
更新乙です!
一部の生徒達(ホシノ、シロコ、シロコ*テラー)と因縁があるバルフレイテラーとの再戦は熱いですわ
原作だとギャラクティックナイト抜きでバルフレイナイトは顕現出来るのかと驚いたものですが此方だとホシノ抜きで顕現出来てることを考えると作品に登場するごとに強さが増してるヤベー奴なんだなって…
- 56二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 09:37:48
- 57二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 15:50:24
ほし!
- 58二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:37:20
>>53(つづき)
ホシノ「これが…あの時の私…」
エフィリン「バルフレイテラーってことなの!?」
イロハ「なんですか、この感じは…」
スオウ「くっ…凄まじい…!」
シロコ「何であの姿なんだろう…ホシノ先輩に憑いた訳じゃないのに!」
シロコ*テラー「…ホシノ先輩に憑いた時の姿を、自分の姿に決めたんだよ…!」
バルフレイテラーとの再戦勃発!その激しい攻撃の連続に苦戦は必須だった!
バルフレイテラー【…!】
ホシノ「ッ!後ろに瞬間移動!?」
スオウ「はぁ!」
バルフレイテラーの0距離ショットガンを、銃を蹴り上げることで阻止するスオウ!しかしバルフレイテラーは間髪入れずに2人に拳を振るう!
ホシノ「うわーっ!」
スオウ「くそっ…!」
壁に叩きつけられるホシノとスオウ!
シロコ「ホシノ先輩!スオウ!」
イロハ「心配してる場合ですか!今のうちに攻撃しますよ!」
その隙を与えまいと、銃を横に薙ぎ払いながら撃つバルフレイテラー、すると大小様々な火柱や炎の竜巻が発生し、3人を襲った!
シロコ*テラー「あの時より…確実に強くなってる!」
イロハ「危ないですね…避けるのに手一杯ですよ!」
- 59二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:51:21
その時、起き上がったホシノとスオウが一瞬で散開し、双方向から銃弾を放つ!その2人に対し、空中から衝撃波を放つバルフレイテラー!
ホシノ「先輩…私に力を!」
盾で受け止めるホシノに…
スオウ「こんなもので止めれると思うな!」
手をクロスさせ気合いで耐えるスオウ!
シロコ「今!」
そしてバルフレイテラーに近づき一気に攻めようとするシロコ!
だが…!
バルフレイテラー【!!】
羽を震えさせ鱗粉の衝撃波をシロコに浴びせた!
シロコ「ッ!?……あ…!」
シロコの目が赤くなり、近くにいたホシノに襲いかかった!
ホシノ「うへ!?どうしたのシロコちゃん!」
イロハ「まさか洗脳…!?厄介ですね!」
シロコ*テラー「私のことは私が止める!」
シロコを引き剥がすシロコ*テラー!
イロハ「私とこのシロコさんで食い止めておきます!あなたはアイツを!」
ホシノ「任せたよ!」
仲間に託し、バルフレイテラーに目を向けると、スオウがバルフレイテラーと、いつのまにか召喚されたソウル・フォルガのような念獣と2vs1になっていた!
極楽念獣【…。】
バルフレイテラー【…!!】
スオウ「はぁ…はぁ…!」
ホシノ「スオウちゃん!大丈夫!?」
スオウ「あぁ、何とかな。小鳥遊ホシノ、私はこの獣を倒す…!」
ホシノ「うん。バルフレイテラーは任せて!」
- 60二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:02:31
心強い助っ人に託して、バルフレイテラーと対峙するホシノ!
バルフレイテラー【!!!】
いよいよ本気を出したのか、奴の持つ銃が巨大化し、さらに二丁に増えた!
ホシノ「はぁぁぁ…ふぅー…!…よし、本気モード!」
ホシノも気合いを入れて戦う!
確かにバルフレイテラーはあの時よりさらに強くなっていた。しかし、あの時と決定的に違うものがある。それは!ホシノカービィがこちら側にいるということだ!!ヒーローが、勇者が、カービィがいる…それだけで戦況は変わる!
エフィリン「ホシノ!ボクの力も!!」
さらには、エフィリンのパワーも加わる!
ホシノ「私は気づいたんだ…信じられる仲間がいる…背中を預けられる友達がいる…それに今は、一緒に冒険した相棒がいる!」
今のホシノがいるかぎり!
ホシノ「絶対に、負けない!!」
バルフレイテラー【!!!??】
ホシノの放つ銃弾がバルフレイテラーに当たる。バルフレイテラーは膝から崩れ落ちると、火の粉となって消滅した。
ホシノ達は勝ったのだ!
その時飛び去った何かを、目撃した者はいなかった…。
- 61二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:13:30
ホシノ・エフィリン「「勝った!」」
スオウ「はぁ…はぁ…やったな…」
シロコ「……ん、ごめん。」
イロハ「やっと戻りましたね、全く…」
シロコ*テラー「レオンガルフは…!?」
皆、倒れているレオンガルフの元に向かう。
レオンガルフ「…。」
エフィリン「レオンガルフ!ねぇ!レオンガルフ!」
スオウ「…おい、何かおかしくないか?」
シロコ「何で目覚めないの…?」
ホシノ「レオンガルフ…!」
ホシノがレオンガルフの手を持ち上げる。ホシノの顔が青ざめた。
イロハ「ホシノ?……まさか。」
ホシノ「…レオンガルフの体が軽い。まるで、魂がないみたい…」
シロコ*テラー「…エフィリスがいなくなったから、その分なくなってしまった。……私達が集めた、レオンのソウルは…」
全部じゃなかった、足りなかった。誰の頭にも、その言葉が浮かんだ。
エフィリン「そん…な…。」
ホシノ「…まだだよ、まだ何か手があるはずだよ。」
スオウ「…間に合うと思うのか。もう時期、レオンガルフの命は尽きるぞ…。」
ホシノ「スオウちゃん!」
スオウ「………。」
ホシノ「……ま、まだだよ…!絶対に…諦め…な…!」
- 62二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:34:18
その時、入り口の方から複数の足音が聞こえてきた。それは…たくさんのレオンのソウルを集めてきたアニマル達と新世界キヴォトスの生徒たちであった。
エフィリン「み、みんな!」
ホシノ「キャロライン、ゴルルムンバ、アルマパラパ…たくさんのアニマル達!」
イロハ「マコト先輩、イブキ、ヒナさん…」
シロコ「ノノミ、セリカ、アヤネ…!」
シロコ*テラー「他の学園の生徒も…!」
スオウ「橘ノゾミに橘ヒカリ…お前らまで…!?」
みんな、協力して集めてくれたのだ。
キャロライン「ニャオン、ニャオォ!」
ヒナ「キャロラインが必死に何かを訴えてきてね。そして、ハイランダーの生徒からあなた達がいなくなったことを知ったの。」
マコト「それで察したぞ。小鳥遊ホシノ、お前はまた面倒ごとに首を突っ込んでいるんだとな!キキキ!…付き合いは長いんだ、それくらい分かる。」
イブキ「だからね!みんなでお手伝いすることにしたの!」
セリカ「ホシノ先輩には助けられてばかりだったからね!」
アヤネ「今度は私達の番です!」
ノノミ「せめてもの恩返し、ですよ☆」
セイア「無論、私達もだ。今まで何度、キヴォトスを…世界を救ってもらったか。」
ノゾミ「私達のことも、助けてくれたしねー!」
ヒカリ「借りは返す、これじょーしき。」
先生"みんな、ホシノに恩返ししたいって言って、協力してくれたんだ。"
ホシノ「…先生。」
先生"キヴォトスだけじゃなく、こうして新世界のためにも頑張ってくれるなんてね。やっぱり、ホシノはヒーロー…カービィだよ!"
「ありがとう!」「あの時も本当にありがとう!」「ワオンワオーン!」「ウホッ!」「あなたは最高のヒーローだよ!」「キュイー!」
- 63二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:44:09
スオウ「…小鳥遊ホシノ、お前は本当にすごいな。……友人として、誇りに思う。」
イロハ「同じく、ですね。」
シロコ「ホシノ先輩…!」
シロコ*テラー「…先輩、どう?自分が歩んできた道のりを見た感想は。」
ホシノ「……うへ…!」
目に涙を浮かべるホシノ…。
ホシノ「…最高だよ……!」
エフィリン「うん…うん!みんな、ソウルをレオンガルフに!!」
皆が空にソウルを掲げる。ソウルはレオンガルフに入っていき…レオンガルフが目を覚ました…!
レオンガルフ「ガウ…!」
キャロライン「ニャウゥ〜!」
レオンガルフ「ガウ!?…ガウ、ウゥ!」
エフィリン「やったぁ!!」
ホシノ「レオンガルフが復活した!」
ぴょんぴょんと喜ぶホシノ。
ホシノ「私達全員でやったんだぁー!!」
「「「「「うぉー!!!」」」」」
こうしてレオンガルフは復活し、アニマル達とキヴォトスの皆の絆が深まりました…とさ!
- 64二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:48:42
- 65二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:52:45
- 66二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 09:41:17
- 67二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 12:02:37
ほ!
- 68二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 14:26:22
- 69二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 21:58:58
>>64(続き!)
シノン「と、いう訳でですね!『The アルティメットカップZ』を開催します!カップと言っても、実際は異空間に続く穴に入っての調査に近いですが!さぁ、腕に自信のある方はいらっしゃいましたら、是非!」
イロハ「…らしいですけど。」
ヒナ「勝手にイベントにしてる…。」
マコト「…先生、その穴には何人ほど送れそうだ?」
先生"多分、エフィリンを含めて2人…よくて3人かな…"
マコト「ということらしいが?小鳥遊ホシノ。」
ホシノ「まぁ、おじさんが行くしかないよねぇ。…ちょっと待ってて、準備してくるから。」
エフィリン「待ってーホシノー!」
マコト「さて、後1人誰が行くかだが…」
イロハ「さすがに私は無理です。足手纏いになってしまいます。」
先生"なら、私が"
ヒナ「先生はなおさらダメ。…私が行く。白石ウタハ、最新型の小型カメラとかない?」
ウタハ「ん…あぁ、あるとも。360度あたりを見渡せる超小型カメラだ、そのカメラの映像はこのパソコンからリアルタイムで見ることができる。自爆機能がまだ付けていないけどね。」
ヒナ「いや、いらないから。じゃあ、借りるわ。先生はこのカメラを通して指示を出して。」
先生"分かった。……気をつけて。"
- 70二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:10:34
- 71二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:27:05
未知の異空間に足を踏み入れ進んでいくホシノ達。絶島ドリーミー・フォルガの世界をもっと混沌にしたような世界には、あの幻のビースト軍団も待ち受けていた。中には、あの時はいなかったヒナの幻もいた。
そうしてホシノ達は、ラボ・ディスカバールの屋上にたどり着いた。
エフィリン「…あ!この気配…フェクト・エフィリスだ!……待って!バルフレイテラーの気配も感じるよ!」
ホシノ「…なるほどね。エフィリスは、夢見鳥の力を得てしまったんだ…。」
ヒナ「つまり、より強化されてしまったわけね。…来る!」
(Final Boss) Two Planets Approach the Roche Limit - Kirby and the Forgotten Land OST [071]夢見鳥と原生種たちの数多のソウルが混ざり合い…混沌の新種となったエフィリス。だが、今彼の中にあるのは破壊衝動だけである。全てを破壊する前に…止めてくれ!ホシノカービィ!!
- 72二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:47:21
カオス・エフィリスは、元のをさらに激しくした攻撃や隕石落下、バルフレイテラーのようにという訳ではないが、竜巻攻撃など多彩すぎる技を繰り出してくる!
ホシノ「せい!ヒナちゃん、とにかく当たらないようにね!命大事に、だよ!」
ヒナ「えぇ、分かった…わ!」
エフィリスの槍による連続薙ぎ払いを避けるホシノ!
ホシノ「いくら私が丈夫でも、嫌なものは嫌だからね!よっ!」
ヒナ「ふっ…!ホシノ、あなたも隙を見つけて攻撃して!」
ホシノ「うへぇ!?無茶言うなぁもう!」
一進一退の戦い!エフィリスは痺れを切らしたのか、レーザーを放った!
ホシノ「ッ!」
それをホシノは盾で真っ向から受け止める!
ホシノ「そう簡単に…破れないよ!絶対に!」
エフィリン「今だよ、ヒナ!ボクの力も加えるね!」
ヒナ「えぇ、ありがとう。………そこね…!」
その後ろからエフィリスの膝めがけて撃つヒナ!思いがけない一撃からか、エフィリスは膝から崩れ落ちる!その時、背中にエネルギーのドームが現れた!
ホシノ「今だ…!」
すかさず後ろに回ったホシノはそのドームを、新世界で得たあの能力で掴む!そして…!
ホシノ「うぐぐぐぐ…せいやっ!!」
そのドームを引っ張りだすことに成功!エフィリスは活動を停止する……。
だが、そのエネルギーのドームはホシノの手を離れ空中に浮かぶと、エフィリスの体を取り込む…そして四方八方にレーザーを噴射した!!
ヒナ「くっ!まだ終わっていない…!?」
エフィリン「うわわっ!」
ホシノ「こんなの…もう暴走だよ…!」
その時、突如としてホシノは、その神秘ゆえか、その能力ゆえか、バルフレイ化したことがあるからか、否か…エフィリスの【トラウマ】を知った。
- 73二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:49:07
このレスは削除されています
- 74二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:50:10
- 75二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 22:54:27
それではご覧ください!
それではご覧ください!
それではご覧ください!
それではご覧ください!
いかがでしたか?
言語設定オート…
それではご覧ください!
侵略活動を…
ドキドキ発見…
我々が手に…
ワープ実験事故が……
それではご覧ください!
究極の生命体…
ID-F86です! - 76二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:09:02
ヒナ「……シノ!ホシノ!どうしたの!?」
現実に引き戻されたホシノ!
ホシノ「これ…は………苦しみ?」
ヒナ「苦しみ…エフィリスが苦しんでいるというの?」
エフィリン「た…確かに…エフィリスからすごい…悲しい気持ちが伝わってくる……!」
【蜉ゥ縺代※縺上l縺医∴縺医∴縺医∴縺医∴縺!!!】
エフィリスのような何かは苦しさで動き回るかのように暴れ回る!!
【繧ゅ≧雖後□!蠕御ス募屓閨槭¢縺!!蜉ゥ縺代※縺上l!!隱ー縺句勧縺代※縺上l!!!!】
ホシノ「……勝手なことばかり言っちゃってさ。君はそんな風に叫んだ人たちを何人もやったんだよ?」
でも、だからって、このままにしておくのは、可哀想だよね。
ホシノ「…分かった。エフィリス、今助けてあげるね!」
ヒナ「た、助ける!?何を言っているの…小鳥遊ホシノ…!」
ホシノ「……。」
ヒナ「……はぁ、分かった。とにかく、倒せば良いのよね?」
ホシノ「うへへ、うん!」
エフィリン「よーし!エフィリスを助けよう!」
- 77二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:23:57
その苦しみを表すかのような攻撃にホシノ達は悪戦苦闘する。しかし、それくらいでホシノ達は止まらない!強烈な攻撃の数々を打ち破る!!
そして、ついにその時が!
ヒナが終幕:デストロイヤーから銃弾の嵐を放つ!
ヒナ「行きなさい…ホシノカービィ!!」
エフィリン「いっけぇぇぇぇ!!」
ホシノが一気に近づき、Eye of Horusから銃弾を放った!
ホシノ「……私達の、勝ちだ…!」
銃弾がエフィリスに命中した…!
エフィリスから光が溢れる。
光が溢れ…光の粒となった。
彼女達の神秘の力が奇跡を起こしたのだ。
光の粒は消えることなく、エフィリンに抱き止められ…
そして、1つとなった。
エフィリン「…もう大丈夫。終わったよ。」
ホシノ「…そっか、良かった。」
ヒナ「…終わったわね、ホシノ。」
ホシノ「うん。……あ…!」
異空間の混沌とした空が晴れ、透き通るような青空が広がる。本当の、本当の、本当に。終わったのだ…!
- 78二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:37:48
それからホシノ達はエフィリンの力で抜け出した。
エフィリン「着いた!」
ヒナ「ふぅ…疲れたわね。……ほら、ホシノ。みんな、待ってるわよ。」
ホシノ「うへへ…ただいま、みんな!」
シノン「あ…あの空間から無事に帰ってきましたっ!!流石はキヴォトスが誇るヒーロー、ホシノカービィだぁー!!!」
「「「「「「きゃー!!!!!!」」」」」」
「流石すぎる!」「ワオーン!」「このパソコンから見てたわ!」「すごすぎるぜ!」「これで本当の本当に安心できるわ!!」
先生"おかえり、ホシノ!ヒナ!エフィリン!無事に帰ってきてくれたね!…結局私、全然指示出せなかったね…あはは…"
イロハ「マイクがなぜか機能不全になりましたし、仕方ないですよ。」
マコト「このマコト様の激励が聞けなくて、さぞ残念だっただろう!?」
ヒナ「い、いや、そんなことないけど…。」
皆、大盛り上がりだ。
- 79二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:44:29
ホシノ「…終わったね、エフィリン。」
エフィリン「うん。長いようで短かった気がするよ…。」
エフィリン「でも、ホシノとの日々は終わらないよ!」
ホシノ「うへへ、もちろん。」
ホシノ「これからも一緒だよ、エフィリン。楽しい日々を過ごしちゃおっか!」
エフィリン「うん!とっても楽しみだね!!」
「「おー!」」
ホシノカービィの物語は、まだまだ続く…!
ホシノカービィ ディスカバリー特別編
〜魂と混沌と夢見鳥〜
おしまい!
- 80二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 23:50:07
- 81二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 03:27:43
深夜保守
- 82二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 09:51:48
更新お疲れ様です!
これで本当にディスカバリー編も完結ですか…。長かったような、あっという間だったような
エフィリンもレオンガルフも助かって、エフィリスもまた収まるところに収まって。ひとまずは大団円といった所でしょうか
何にせよ、お疲れ様でした!
- 83二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 10:32:08
- 84二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 18:47:38
夜保守
- 85二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:16:15
唐突だけど、新作ホシノカービィの時間だ!
- 86二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:16:38
ここは呆れかえる程平和から程遠い学園都市キヴォトス。
その一角、アビドス自治区は今日も変わらず砂まみれ。
おや?何やら砂漠を彷徨う人影があります。
あの、姿は――
ホシノ「うへぇ~、今日も相変わらず暑いよ~」
ホシノ「これだから砂漠は嫌いだよ~。たまには涼しい日もあってくれればいいのに~」
(アビドス砂漠を一人彷徨う小鳥遊ホシノ)
(その服装はいつものアビドス高校の制服ではなく、動きやすさと丈夫さを兼ね備えた探検服になっていた)
(背中には大きなリュックサックを背負い、完全に探索モードである)
(何故、彼女がこんな姿で砂漠にいるのか?事の起こりは、今から数時間前の朝に遡る――)
ホシノ『アビドス砂漠の宝物?』
セリカ『そう!何でも大昔の生徒会が地下に隠したんだって!いざって時用の、連邦生徒会も知らない隠し財産なんだとか!』
シロコ『連邦生徒会も知らない……ん、胸が躍る』
ノノミ『夢が膨らみますね~。ほんとにあれば、の話ですが☆』
ホシノ『セリカちゃん……言い難いんだけど、そういうのは昔おじさんが一年の時に探し尽くしちゃってたからさ。しかも、その時もほぼ全部ガセネタだったんだよ~』
ホシノ『だからさ。今回も多分、いやきっと外れだと――』
(心の底から申し訳なさそうに否定しかけるホシノ)
(が、予想に反し援護射撃は思わぬ方向から飛んできた)
- 87二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:17:13
アヤネ『いえ!今回はいつもとは違うんです、ホシノ先輩!』
ホシノ『うへ?あ、アヤネちゃん?』
アヤネ『確かに、セリカちゃんが持ってきた儲け話はほとんどが曰くつきか詐欺情報ばかりでした……でも!今回は、今回は本当に珍しく確度の高い情報なんです!』
セリカ『ちょっと!?さすがにひどくないアヤネちゃん!?』
アヤネ『(無視)まず、第一の証拠にこれを見てください!』
(アヤネがカバンから何かを取り出し、机の上に置く)
(それは、古ぼけた一冊の本だった)
(劣化が進み、退色した表紙にはかすれた文字でこう書かれている――すなわち『アビドス地下財産目録』と)
シロコ『アビドス……地下、財産?』
ノノミ『アヤネちゃん、これをどこで?』
アヤネ『昨日、セリカちゃんと別館の図書室を掃除していたら見つけたんです。棚の奥にしまわれていたのか、今まで誰も気づいてなかったみたいで』
ホシノ『……私もこの本は初めて見るよ。でも、いくら何でもこれだけで判断するのは早計じゃない?単に使われなくなったものが追いやられていただけとかさ』
アヤネ『おっしゃる通りです。ですが、この地図を見てください』
(今度は古ぼけた藁半紙を取り出し、机の空いたスペースに広げる)
(そこにはアビドス砂漠と思しき地図と、かすれた文字で書かれた何かしらの座標が描かれていた)
- 88二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:17:39
シロコ『これは――まさか、宝の地図?』
セリカ『そう!正確に言えば、宝の在処に繋がっているかもしれない地図よ!』
ノノミ『それは、ほとんど同じなのでは~?』
アヤネ『この地図情報を、タブレット内の地図情報と照らし合わせた結果それらしき座標を特定する事ができました。目録の中身通りの代物が今も残っているかは不明ですが、足を運ぶだけの価値はあるかと思われます!』
シロコ&ノノミ『『おお~!』』
ホシノ『う、うう~ん』
(アヤネの説得にシロコとノノミが盛り上がる中、ホシノは半信半疑を捨てきれずにいた)
(興奮する後輩たちには悪いが、この手の宝探しはかつて散々徒労に終わらされたものばかり)
(どうせ今回もそういう類だろうと、たかをくくっていたのだが)
シロコ『行こう、ホシノ先輩(ずいっ)』
セリカ『今回はホントにホントだから!お願い先輩!(ずずいっ)』
アヤネ『わ、私からもお願いします!(ずずずいっ)』
ノノミ『たまには、こういうのも悪くないんじゃないでしょうか~☆』
ホシノ『う、うううう……』
(可愛い後輩たちに迫られ、ホシノは追い詰められる)
(その希望に満ちた顔を前にしては、さすがの『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』も断り切れず……)
- 89二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:17:57
ホシノ「結局、こうなっちゃったんだよねぇ」
(炎天下の砂漠を、完全装備のホシノはトボトボと往く)
(アヤネからコピーされた地図データとコンパスを片手に彷徨う事早三十分。未だそれらしき地下空間への入り口は見当たらない)
(辺りをどれだけ見渡しても、目に入るのは一面の砂、砂、砂……)
(ホシノは早くも後輩の頼みを断り切れなかった事を後悔し始めていた)
アヤネ『(ザザッ)こちらアヤネ。ホシノ先輩、そちらの首尾はいかがですか?』
ホシノ「はいはい、こちらホシノ。首尾って言ったって相変わらずだよー。どこを見ても砂ばっかで、お目当ての出入り口なんてありゃしない」
アヤネ『了解です、引き続き調査をお願いします』
ホシノ「うへぇ、手厳しいなぁ。……そういや、他のみんなはどうなってるの?」
アヤネ『私を含め、他の人たちも未だそれらしき報告はありません。何分捜索範囲が広大ですから』
(現在、ホシノ達対策委員会の面々はそれぞれ三方向に散らばる形で捜索を行っている)
(スタート地点から見て北東方面をノノミ・セリカチーム、南西方面をシロコ・アヤネチーム、そしてその中間地点をホシノ一人で――といった具合である)
(ちなみに今回の探索にシャーレの先生は同行していない。一応声がけはしたのだが、シャーレの業務が溜まり過ぎてて一歩も動けない、と断られていた)
アヤネ『先生も一緒に来られればよかったんですが……』
ホシノ「しょうがないよ。先生は他にもいっぱいやる事があるんだからさ」
アヤネ『ホシノ先輩も気を付けてくださいね。何かあったらノノミ先輩にも連絡してすぐ駆けつけますから』
ホシノ「りょーかい。アヤネちゃん達も気を付けてねー」
アヤネ『ありがとうございます。では、失礼します』
(アヤネからの通信が途絶え、右耳のインカムが沈黙する)
(ホシノもまた、捜索を再開するべく改めて一歩踏み出し――)
- 90二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:18:27
ズボッ!
ホシノ「…………うへ?」
(踏み出して、その先から砂の感触が消える)
(何が起こったのか。理解するより早くホシノの足元が崩れ、沈み始めた)
(平たく説明すれば――流砂への落下である)
ホシノ「う、嘘っ!?こんな所に流砂なんて……!?」
(動揺しながら、どうにか脱出を試みるホシノ)
(ショットガンを杖代わりにしたり、両足をもがかせて持ちこたえようとする)
(だが)
ホシノ(だ、ダメだ……呑み込まれる……ッ!?)
(抵抗も虚しく、流砂は容赦なくホシノを引きずり込んでいく)
(足を取られてからわずか五分。ホシノの姿は砂の中に消え、完全に見えなくなった――)
――ピチョン、ピチョン
ホシノ「……う、ううん」
(流砂に呑み込まれ、どれくらい経ったのだろうか)
(ホシノが目を覚ますと、そこは砂漠ではなくなっていた)
ホシノ「ここ、は――洞窟?」
(素肌に伝わってくる土と岩の触感)
(周囲の気温も一転し、うだるような灼熱が消え肌寒さすら感じさせる冷たさが漂っている)
- 91二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:19:11
ホシノ「アヤネちゃん、聞こえる?アヤネちゃん」
(耳元のインカムで救援を呼ぼうとするも、ノイズばかりで何も還ってこない)
(流砂に呑まれた際壊れてしまったのか。それとも洞窟内に特殊な磁場でも働いているのか。いずれにせよ、専門家ではないホシノにはわからない)
(スマホで連絡しようにも、落下時の衝撃で完全に壊れて使い物にならない)
(ひとまず状況を把握しようと、ホシノは立ち上がる。バックパックから懐中電灯を取り出し、灯りをつけると――)
ホシノ「うわぁ……!」
(ライトに照らし出された先、そこにあったのは無数の水晶と広大な地下空間だった)
(いったいどれ程の面積があるのか。ホシノが今いる場所からは想像もつかない)
(頭上を見上げても天井は全く見えず、宵闇色に輝く岩壁もあってさながら異世界に迷い込んだような錯覚を味わった)
ホシノ「まさか、砂漠の地下にこんな洞窟が広がってたなんて……」
ホシノ「こりゃ後でセリカちゃんとアヤネちゃんには謝らないとだね」
ホシノ「まあでも――まずはここからの出口を見つけなきゃ、か」
- 92二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:19:29
(パッと見た限り、地上に繋がっている道らしきものは見当たらない)
(一応リュックサック内にピッケルは用意してきたが、さすがに天井も見えない高さまでとなると選ぶにしても最後の手段だろう)
ホシノ「というか、よくそんな高さから落ちて無事で済んだよね私」
ホシノ「これも日頃の行いの賜物、なのかなぁ。できれば流砂にハマるなんて事態から避けたかったけど」
ホシノ「ま、嘆いてても始まらないか」
ホシノ「とりあえず道は続いてるみたいだし、行ける所まで行ってみよう!」
(懐中電灯を構えながら、ホシノは目についた道をまっすぐ進む)
(砂漠探索から洞窟探検へ。当初の予定とは大きく変わってしまったものの、ホシノのやるべき事は変わらない)
(広大な洞窟を舞台に、ホシノの新たな大冒険が始まった!)
- 93二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 22:21:04
- 94二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 23:26:09
- 95二次元好きの匿名さん24/08/23(金) 23:49:20
- 96二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 00:40:01
更新お疲れ様です!
洞窟大作戦だ!ウルデラをプレイし直している私からしたらなんてタイムリー!楽しみにしてますね!
ちなみにこのスレ↓にある、
【クロス】ここだけヒナがメタナイトみたいなキャラな世界 2スレ目|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/3304840/?res=190・こんなスレタイですが、ヒナ→メタナイトの話題だけではなく、「カービィ枠はホシノだな」「マコトはさし…bbs.animanch.com『ヒナナイトでゴーDX』の洞窟大作戦編でヒナが、ホシノは地下でお宝を手に入れた、ということを言っているのですが、今回のお話はその時のホシノのお話という認識でよろしいですかね?
ヒナナイトでゴーDXは私が書いた話なので、私としては全然アリなんですけど…いかがです?
- 97二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 09:54:13
- 98二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 10:14:44
なるほどです!
- 99二次元好きの匿名さん24/08/24(土) 17:45:29
ゆうほしゅ
- 100二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:44:01
>>92の続き
・STAGE1:地底の木々
(洞窟内を進む事およそ十数分)
(ホシノの行く先に明かりが見え、新たな出入り口が見つかった!)
(早速入ってみると――)
ギャァ、ギャア!
バサバサ、バササ…
ホシノ「これって……ジャングル?噓でしょ。だってここ、地下だよね?」
(目の前に現れたのは、広大な密林だった)
(地底とは思えない程様々な植物が生い茂り、ホシノの背丈を優に超えるものも多数存在している)
(さらにそこかしこから獣のものと思しき鳴き声も響いており、最早完全に一つの自然として成り立っていた)
ホシノ「まさか異世界、もしくは死後の世界――なんて事は、さすがにないよねぇ」
ホシノ「となると、考えられるのは何者かが人工的に作り上げたって所だろうけど……」
(そこでふと、セリカとの会話を思い出す)
セリカ『何でも大昔の生徒会が地下に隠した――』
セリカ『連邦生徒会も知らない、緊急時用の隠し財産……』
ホシノ「……まさか、これがそうだっていうの?」
(今でこそ見る影もなく衰退してしまったが、かつてのアビドス高校は今の三大校にすら引けを取らない規模の学園だったという)
(昔の事などホシノは知らないが、あの列車砲をも作らせた当時のアビドスであればこれくらいはやってのけるのかも――)
ホシノ「いやいや、ないない。さすがにないって」
ホシノ「と、とにかく!今は出口を探さないと!水も食料もそんなにないし、急がなきゃ――」
- 101二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:44:33
ガサガサッ!
ホシノ「っ!?」
(余計な考えを振り払い、ホシノが先へ進もうとしたその時)
(ホシノのすぐ目の前にある草むらが、音を立てて動いた!)
(咄嗟に銃を向け、迎え撃つ態勢を整えるホシノ。彼女の前に現れたのは――)
???『……』
ホシノ「へ?」
(草むらから現れたのは、全く予想外の存在だった)
(見た目を説明するならば、『全身銀色のボクサーロボ』とでも呼ぶべきだろうか。カイザーPMCの戦闘員程もあろう体格をしており、メタリックシルバーの身体が目を惹きつける)
(問題があるとすれば。何故か武装の一つもない、ボクサースタイルで対峙しているという事だが)
ホシノ「な、なにこれ。カイザーの新兵器?い、いやでもさすがにこんなトンチキロボ、あのカイザーが作るわけ」
ボクサーロボ『――(ブォン!)』
ホシノ「わわわっ!?危ないっ!」
(混乱するホシノを他所に、ボクサーロボは躊躇なくホシノに拳を振りかぶる!)
(顔面を狙ったその一撃はかろうじて回避できたが、当たれば生徒と言えど無事では済まないのは明らかだった!)
ホシノ「何者だか知らないけど、襲ってくるなら迎え撃つまでだよッ!」
(ボクサーロボの胴体目掛け、ショットガンの銃口を向ける)
(そのまま引き金を絞ると、狙い過たず銃弾はボクサーロボの身体を貫いた!)
(まともに喰らったボクサーロボは、あっけなく崩れ落ちる……)
- 102二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:45:03
ボクサーロボ『ガ、ガガ。ピー……』
ホシノ「び、びっくりしたぁ。見たところ住人とかじゃなくて、完全に自動機械っぽいけど……何だってこんなものがここに?」
(砂漠の地下に広がる大洞窟。その中に生い茂った密林。そしてその密林を彷徨うボクサーロボ)
(情報量が多すぎて、最早訳が分からない)
(ひとまずボクサーロボは捨て置き、先に進もうとしたホシノだが――ふと、その視界に光り輝く何かが映った)
ホシノ「?今この辺が光った、ような――」
(光の発生源に、ホシノは慎重に近づく)
(もしや先程のボクサーロボが救援でも呼んだのかと警戒したが、その先で見つけたのはこれまた予想外の代物だった)
ホシノ「これって……まさか、宝箱?」
(多少植物の蔓が絡みついてはいたが、この程度であれば問題なく手持ちのナイフで取り除ける)
(念の為ブービートラップ等がない事も確認し、恐る恐る開けてみると。そこには金色のメダルが一枚だけ入っていた)
(仰々しい見かけの割にしょっぱい中身。落胆しかけたホシノだったが、次の瞬間メダルの模様を見て驚愕した)
(メダルの表面、そこに刻まれていたモノは紛れもなく――)
ホシノ「これ、アビドス高校の校章!?な、なんでこのメダルに!」
ホシノ「まさか――本当に、この地底世界がセリカちゃん達の言ってた隠し宝物庫なの!?」
(昔のアビドス生徒会が残したという、地下の宝物庫)
(またいつものガセネタだろうと思っていた。そんなモノ、今更このアビドスに遺されている筈がないと)
(だが。手の平で輝くメダルは、ホシノの疑念を払拭して余りある説得力を有していた)
- 103二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:45:39
ホシノ「……うへへ」
(我知らず、ホシノの口角がつり上がる)
(先程まではどうやってここから脱出するべきか、どうやって地上のみんなと連絡を取るべきか。そもそもここはどこなのか――そればかり考えていた)
(だが。ここがかつてのアビドス高校に由来する場所であり、尚且つ未回収の財宝が眠っているとあれば話は違ってくる)
ホシノ「ここが昔のアビドス高校に関係ある場所なら、必ずどこかに出口はある」
ホシノ「既に塞がってるかもしれないし、そうでなくても埋もれてしまってるかもしれない――けど、人が出入りしてたのなら絶対に出入り口はある」
ホシノ「と、なれば……やるっきゃないよね、お宝探し!」
(ホシノの目が光り輝く)
(元より一年生時代から、この手の話にはめっぽう弱かった小鳥遊ホシノ)
(失敗に次ぐ失敗、挫折に挫折を重ねてきた事ですっかり荒んでしまっていたが――彼女とて、年頃の少女であり子どもである)
(ならば、どうして目の前に転がるお宝の山を見逃せようか?)
(否!答えは断じて、否である!)
ホシノ「アヤネちゃん達には心配かけて申し訳ないけど――ま、ちゃちゃっと出口を見つければ問題ないよね!」
ホシノ「よーしっ!お宝探しのついでに地下からの出口探し、再開だぁ!」
(かくして、目的と手段が入れ替わりつつある小鳥遊ホシノ)
(だが、この時の彼女は知る由もなかった。この地底『世界』が、文字通り並大抵の広さではなかった事を)
(そして、その行く先に待ち受ける試練の存在を……)
- 104二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 00:47:37
- 105二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 01:26:11
- 106二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 01:44:44
- 107二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 12:06:13
ちなみに洞窟大作戦編はじっくりやる予定ですので、割と長めな感じになりそうです
しばしの間、よろしくお願いしますね~ - 108二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 12:09:05
保守のカービィ
- 109二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 21:49:52
最初から読んでやっとここまで追いついたの保守
続きが楽しみです - 110二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:37:15
>>103の続き
(意気揚々、ジャングルの中を突き進み出口とお宝探しに明け暮れるホシノ)
(その甲斐あってかあらずか、彼女の手中には少なくない数の収穫があった!)
ホシノ「大昔のお金、鞭、占い用の水晶に招き猫……それに、こっちは山海経で使われてた刀剣?色々あるもんだねぇ」
(他にも色々と、用途の分からないお宝までぎっしり詰め込まれたリュックの中を見ながらホシノは笑みを浮かべる)
(専門家ではないホシノには、どのお宝にどれ程の価値があるのかさっぱりわからない)
(だが、どうあれいずれも大事にしまわれていたものだ。なら、相応の値段は付くだろうとホシノは楽観的に考えていた)
ホシノ「こんな事もあろうかと、ミレニアム製の収納リュックを買っておいてよかったよ~。こんなに沢山詰め込んでも全然重さを感じないんだからすごいね」
(小柄な身体に見合わない、やたら大きなサイズのリュックを見やる)
(流砂に落ちても――中にしまってたモノはさておき――外側には傷一つなく、今も十全に役割を果たしてくれていた)
(そうして、ホシノが先へ先へと進んでいくと……)
ホシノ「ここは……地底湖?こんな立派な水源が、まだアビドスに残ってたなんて」
(目の前に広がる、広大な湖を前にホシノは思わず息を呑む)
(砂漠化が進み、かつて存在した大オアシスすら枯れ果てて久しいアビドス)
(そんなアビドスにあって眼前の地底湖の存在は正しく一つの奇跡にも思えた)
- 111二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:37:36
ホシノ(ここの水、何とか地上にまで引き込めないかな。そうしたら、砂漠化もどうにか食い止められ――)
(その時。ホシノのお腹が小さく鳴り響く)
(思えば朝ごはんを済ませてから、何も食べていなかった事を今更のように思い出した)
ホシノ「……とりあえず、休憩しよっか。この辺はロボや猛獣もいないみたいだし、ゆっくり休むなら今の内だね」
(地底湖にかかる橋、その片隅に腰を下ろす)
(リュックの中から昼食の塩むすびと水筒を取り出すと、ホシノの口中にも涎が湧いた)
ホシノ「うへへ……いっただきまーす!」
ザザザザ…!
ホシノ「うん、うまい!やっぱり疲れた身体には塩だねぇ、お腹の中が満たされていくのを感じるよ~」
(白米に塩を揉み込んだだけの、シンプルな手作りおむすび。それでも疲れた身体にはこの上ないご馳走であり、ホシノは夢中で口にする)
(その美味しさは、背後から迫る水音にも気づかせない程で――)
ホシノ「……ん?なんで地底なのに、急にくら、く……?」
(ホシノが異変に気付いた時、『それ』は既に真後ろまで迫っていた)
(というか。ぴったり張り付いていた)
- 112二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:38:05
このレスは削除されています
- 113二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:40:34
???『……』
ホシノ「……」
(それは、巨大なクジラとしか言いようのない怪物だった)
(大柄な体躯に見合わないつぶらな瞳でホシノを見下ろし、じっと様子を伺ってくる)
(何故地底湖にクジラが?そんな疑問が頭に浮かび、しかし理由を突き止める暇もなく、巨大クジラ――ファッティホエールは咆哮を上げ、ホシノに襲い掛かった!)
ファッティホエール『ブオオオ――――ッ!!』
ホシノ「う、うひゃああああっ!?」
(背中の噴気孔から盛大に海水を噴き上げ、ホシノに迫るファッティホエール)
(天井まで届く程の水柱は岩肌を削り、それによってひび割れ砕けた岩石群が次々に落下する!)
(いかな生徒といえど、まともに喰らえば無事ではすまない。ホシノは橋の上を駆け回り、どうにか回避した!)
ホシノ「あ、あっぶなぁ……恐るべし鯨、潮吹きだけで攻撃になるなんてとんでもないね」
ホシノ「でも。あれだけの水量、一度放てば早々連射はできない筈……?」
(かろうじて落石の数々を避けきったホシノ)
(次は何をしてくるのかと様子見に徹していたが――直後、ファッティホエールは予想だにしない行動に打って出た)
(なんと!自身の身体を丸め、ゴム毬めいて跳躍してきたのである!)
ホシノ「え――えええええっ!?そ、そんなのありぃ!?」
ファッティホエール『ブオオオオン!』
- 114二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:41:24
(水面から水面へ交互に飛び移り、盛大に水を跳ね上げていくファッティホエール)
(圧し潰さんと迫る圧倒的な巨体を前に、それでもホシノはどうにか攻撃をかいくぐる事に成功する!)
ホシノ「このっ!調子に乗るなっ!」
(やられっぱなしではいられず、反撃の散弾をお見舞いする)
(だが――ファッティホエールもまたさる者。散弾が届くより早く水中に退避し、ホシノの反撃をやり過ごす)
(水中に逃げられては銃弾の威力も減衰し、まともな打撃にならない。かといって飛び込めば相手の思うつぼ)
ホシノ(やっぱり、水面に出てきた所を狙うしかない……!)
ホシノ(けど、それは当然相手も予想してる筈)
ホシノ(勝負は一発。急所を狙って、確実に仕留める!)
(――束の間。湖面に静寂が訪れる)
(諦めて去ったのか?否、たかだか一度二度のやり取りで地底湖の主は見逃さない)
(これは嵐の前の静けさ。お互いに次が最後であると理解し、その一撃に全てを賭す前触れ)
(そして――その時は、ついに訪れる!)
ズザザザ…!
ホシノ「!」
(湖面が盛り上がり、水中より巨体が躍り出る!)
(迫りくるはファッティホエール、大いなる地底湖の支配者)
(縄張りを犯した者に、その身をもって制裁を下す者――)
ホシノ「――――」
(対するは、橋の上で一人ショットガンを構える少女)
(アビドス高校唯一の三年生にして、砂に埋もれゆく自治区の守護者たる『暁のホルス』)
- 115二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:41:50
(そして、もう一つの名は――『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』!)
(両者の視線が一瞬だけぶつかり合い、そして――!)
ホシノ「ごめんね。知らなかったとはいえ、君の縄張りに土足で踏み込んじゃって」
ファッティホエール『――――』
ホシノ「でも。おじさんも、負けるわけにはいかないんだ」
ホシノ「帰るべき場所……後輩ちゃん達の元へ、戻らないといけないから」
(銃声、そして轟音)
(ホシノのスラッグ弾は、狙い過たずファッティホエールの顔面を貫いた)
(対して、ファッティホエールの巨体は少女を圧し潰す事もなく……そのまま湖面へと叩きつけられる)
(やがて力尽きた肉体が浮かび上がり――そして、二度と動き出す事はなかった)
(勝利を確信するホシノ。と、激戦の反動からか全身の力が抜け、その場にへたり込んでしまう)
ホシノ「あ、危なかったぁ……。まさか、地底湖で鯨に襲われる日が来るなんて思わなかったよ~」
ホシノ「とりあえず、今は休んで態勢を整えないと……」
(そこで再び、ホシノのお腹がぐうと鳴る)
(昼食を取った直後に乱入され、挙句にこの激戦。たかだか塩むすびの一個二個程度で割が合う筈もなく……)
(と、その時。ホシノの目に、プカプカと浮かぶファッティホエールの亡骸が映った)
ホシノ「……」
ホシノ「(じゅるり)」
(この後、ホシノが何を思い、そしてどうしたのか。あえて書く必要はないだろう)
(ただ、本人曰く――『鯨肉って初めてだったけど、あんな味なんだねぇ』との事だったという)
- 116二次元好きの匿名さん24/08/25(日) 23:43:26
- 117二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 01:02:08
- 118二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 02:31:14
- 119二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 09:48:17
ファッティホエールの調理絡みに関しては原作ホシノではなくホシノカービィ版ホシノだったからという事で一つ(震え声)
ほらアレです、星のカービィでいう所のコピー能力・コック的なやつ - 120二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 13:04:22
ほしゅの
- 121二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 20:22:21
>>115の続き
・幕間:トロッコ危機一髪!
(地底湖に潜んでいた思わぬ脅威を打ち破り、お腹も満たして再出発したホシノ)
(橋を渡り、彼女が進んだ先にあったものは――)
ホシノ「おっ、トロッコじゃん!さっすが洞窟(?)、こんなものまでちゃんとあるんだねぇ」
(恐らく昔のアビドス生が使っていたのだろう)
(所々錆びも浮かんではいたものの、試しに押してみた所問題なく車輪は回り動かせる事を確認した)
(ならば早速――と言わんばかりに、ホシノはトロッコへ飛び乗る)
ホシノ「うへへ、おじさん昔っから一度トロッコに乗ってみたいと思ってたんだよねぇ」
ホシノ「よいしょ、っと。さてさて、どこに繋がっているのかなー……?」
(愛銃を杖代わりに押し出し、トロッコを動かす)
(するとたちまち車輪は回転し、今まで放置されていたのがウソのようなスピードで走りだした!)
ガタゴト、ガタゴト!
ホシノ「うっひょー!きっもちいいー!」
(風を切り、敷かれたレールに沿ってばく進するトロッコ)
(道中には猛獣や警備ロボも何体かいたが、トロッコとホシノの前では何の足止めにもならない)
(上り、下りを繰り返し、やがて進む事しばらく――とうとう線路の終わりが見えてきた!)
- 122二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 20:22:44
ホシノ「おっ、もう終点かぁ。もっと乗っていたかったけどな~」
ホシノ「ま、しょうがないね。それじゃあ、ブレーキを引いて――」
(トロッコを止めるべく、目の前のブレーキレバーに手を伸ばすホシノ)
(そのまま勢いよく手前に引いて――直後、嫌な音と共にレバーはあっけなくへし折れた)
ホシノ「えっ」
(想定外の事態を前に、思わず目が点になるホシノ)
(その間にも線路の終わりは間近に迫り、あっという間に行き止まりが見えてくる)
(だが減速しようにもブレーキは見ての通り大破しており……その、結果)
ドガシャーン!!
ホシノ「う――うわぁああああっ!!?」
(速度を一切緩めることなく、トロッコは行き止まりに突入した!)
(激突の衝撃でトロッコは大破し、乗っていたホシノもまた宙に投げ出されてしまう)
(さらに間の悪い事に、吹っ飛ばされた先は縦穴となっており――ホシノは、吸い込まれるように落下していった!)
(はたして、ホシノの運命やいかに……)
- 123二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 20:23:21
- 124二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:16:35
>>122の続き
・STAGE2:水晶の畑
ホシノ「う、う~ん。あいたたた……」
(トロッコの暴走により、縦穴へと落下してしまったホシノ)
(底の見えない暗闇が広がった時は死も覚悟したが、どうにか空中で体勢を立て直し最小限のダメージで不時着する事に成功したのであった)
ホシノ「うへぇ、ひどい目に遭ったよ~」
ホシノ「まさかブレーキがへし折れるだなんて……一体どれだけほったらかしにされてたんだか」
(思えば、人気も絶えて久しいだろう洞窟内のトロッコ)
(当然メンテナンスなどされている筈もなく、そして整備されなければ自然と劣化していくのは道理なわけで……)
(とりあえず、今後トロッコを見かけても迂闊に乗らないようにしよう。そう固く誓ったホシノであった)
(ともあれ、リュックの中の無事も確認し、ホシノは改めて進んでいく)
(やがて光が見え、その先に広がっていたものは――)
ホシノ「うわぁ……!」
(この洞窟を初めて訪れた時のような、感嘆の声を上げるホシノ)
(目の前に広がっていたのは、無数の水晶群だった)
(洞窟の中であるにも関わらず光を浴びて輝く様は、さながら宮殿の如し。地面にも、壁にも、天井まで、至る所に水晶は転がっていた)
ホシノ「まるで、水晶の畑みたい……こんな景色が、アビドスの地下に広がってただなんて」
- 125二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:16:57
(感嘆しながらも、ホシノは周囲への警戒を怠らない)
(愛銃を構え、敵がいないか慎重に確かめながら進むホシノ)
(と、その時。近くの水中に、きらりと光る何かが見えた)
ホシノ「あれは――間違いない、宝箱だ!」
ホシノ「やっぱり、この辺りにも転がってるんだ……!よおし!」
(リュックを置き、探検服も脱ぎ捨てて水辺へ飛び込む)
(それからしばらく、水中で宝箱を引き上げるべく悪戦苦闘し――そしてついに、その宝箱を地上へと引き上げた!)
ホシノ「ぷはぁっ!や、やっと引き上げられた……。この宝箱、地味に重すぎるよ~」
ホシノ「で・も。これだけ重いって事は――うへへ、当然中身も期待していいって事だよねぇ?」
(身体を拭き、服を着直す暇も惜しみ宝箱を開くホシノ)
(その予想通り、確かに宝箱の中はぎっちりとお宝が詰まっていた)
(ただし――――全部、十円玉の山という中身だったのだが)
ホシノ「…………」
(ホシノの目から光が消える)
(確かにお宝ではある。お宝ではある、のだが――)
ホシノ「私、こんなものの為に苦労させられたの……?」
(ホシノの嘆きに、しかし共感してくれる者は誰もいない)
(どこからともなく空っ風が吹き抜け、冷えたホシノの身体を容赦なく苛むのであった……)
- 126二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:17:33
(気を取り直し、再び先を急ぐ事にしたホシノ)
(やはりと言うべきかこのフロアにも相当数のお宝が転がっており、ホシノのリュックは徐々にだが着実に膨らんでいた)
ホシノ「これだけしまい込んでも、まだまだ余裕があるなんて。ミレニアムの技術はすごいなぁ」
ホシノ「に、しても……お宝といえば、てっきり名画だとか宝石だとかを想像してたけど。なんか思ってたのとは全然違うものばっかだねぇ」
ホシノ「ここら辺で拾ったのも、大昔の化石だとかヌンチャクだとか。後はこのよく分からないでっかいパーツ?だとか――変なのばっかだし」
ホシノ「本当に売れるのかなぁ、これ。遭難した上、骨折り損のくたびれ儲けだけは勘弁してほしいよ~」
(グチグチ言いながらも、お宝の回収だけは欠かさない)
(そうこう言ってる間に奥へ奥へと進み続け……気が付くと、ホシノはだだっ広い場所に出ていた)
ホシノ「うへ~、ずいぶん広い場所に出たねぇ」
ホシノ「さっきの密林の構造からして、そろそろここも最深部に近づいてきたのかな?」
ホシノ「……だとすると、何か嫌な予感がするなぁ」
(半ば無意識の内に、愛銃を構え周囲を警戒するホシノ)
(見渡す限り、辺りに転がっているのは水晶の山。近くに魔獣や自動機械も見当たらず、一見すると何の変哲もない空間に思えた)
(だが。嫌な予感というものは往々にして当たる為にあるようなもので……)
- 127二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:19:12
ヴィーム!ヴィーム!
ホシノ「っ!」
(突如として鳴り響く警報音)
(リュックを下ろし、ホシノが周囲を警戒すると――それは、唐突に現れた!)
電子音声『エマージェンシー、エマージェンシー。最深部に未確認侵入者の反応を検知』
電子音声『照会中……完了。リスト一覧に該当者なし、財宝目当ての侵入者と判断』
電子音声『システム「バトルウィンドウズ」起動。これより、侵入者の排除を開始します』
(電子音声が途絶え、代わって空中に複数のモニターが現れる)
(大中小。異なるモニターにはそれぞれ異なる情報が表示され、淡々と映し出していた)
(その、内容とは――)
ホシノ「……何これ?えっと、『スライムがあらわれた!』?」
(一番上の、『MESSAGE』と表示された大きな画面にはホシノが言った通りの文言が)
(その右下、一番小さい画面には『HP:64』という表示が)
(さらにさらに、残る中くらいの画面にはゲル状と思しき緑色の怪物が表示されている)
(それはまるでロールプレイングゲームを模したような光景であり――何の冗談かと、目を疑いたくなる光景だった)
(と、次の瞬間。スライムと呼ばれた怪物が画面から飛び出してきた!)
- 128二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:19:37
ホシノ「ッ!……?」
(咄嗟に身構え、相手の出方を伺うホシノだったが。予想に反し、何の攻撃も飛んでこない)
(どういう事かと訝しがっていると、ふと頭上の一番大きな画面が目に留まった)
(そこに書かれていた内容は……)
ホシノ「『ホシノの、こうげき!』――えっ、おじさんの方から殴っていいの?どゆこと?」
(てっきり相手の方から攻撃してくるものとばかり思いこんでいたホシノは、完全に困惑する)
(だが待てども待てども画面の表記は変わらず、スライムもまた何もしてこない)
(意を決し、恐る恐る散弾を撃ち込むと――次の瞬間、あっけなくスライムは弾け飛んだ!)
(ついでに、HPと書かれた小画面の数値も一挙に0に変わり――)
ドガガーン!
バトルウィンドウズ『スライムを、やっつけた!』
ホシノ「え、ええー……?な、何かよくわかんないけど倒したって事でいいの?」
(――もし、この場に。某最先端科学を取り扱う学校の、ゲーム開発を生業とする生徒たちがいればこう反応した事だろう)
(「これ、マジもんのRPGだ!しかもミレニアムにもない体験型アトラクションだ!」と)
(だが生憎、ここに居合わせたのはホシノただ一人。加えてこれまでの生活を思えばホシノにゲームをやってる暇や余裕などある筈もなく。つまり、完璧に未知の敵性存在としか映らなかったのである)
(もっとも、仮に知っていたところでホシノの対応はさして変わらなかっただろうが……)
ホシノ「と、とりあえずこれでここは突破という事で――」
バトルウィンドウズ『おどりにんぎょうが、あらわれた!』
ホシノ「だよねぇ。そんな事だろうと、思ってたよっ!」
- 129二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:20:05
(再び画面に人形を模したモンスターが表示され、ホシノに襲い掛かってくる)
(とはいえ、一度要領さえ理解すればホシノの敵ではない)
(画面から飛び出た人形に躊躇なく銃弾をお見舞いし、一撃で粉砕する)
(たちどころに相手は粉々になり、跡形もなく消滅した!)
(そうして、最後の敵が現れる。今度の相手は、ローブを纏いとんがり帽子をかぶった魔法使いのような姿をしていた)
バトルウィンドウズ『まほうつかいが、あらわれた!』
バトルウィンドウズ『まほうつかいの、せんせいこうげき!』
バトルウィンドウズ『まほうつかいは、こおりのまほうを、となえた!』
ホシノ「ッ!」
(画面の中の魔法使いが、ホシノ目掛け冷凍弾を飛ばしてくる!)
(咄嗟に盾で防いだホシノだったが、冷凍弾は盾の表面に当たるや否や凍りつき、ホシノの左手をも脅かす!)
ホシノ「つめたっ!?しまった、防ぐんじゃなくて避けた方がよかったかな」
ホシノ「でも、戦えないわけじゃない。右手さえ無事なら、まだ何とか――」
(凍りつき、盾とくっついてしまった左手を苦々しく見やるホシノ)
(その間にも、バトルウィンドウズはホシノに手番を回してくる)
(かろうじて撃ち返すホシノだったが、左手の凍傷もあってか狙いは定まらず――結果、微妙に削り残してしまった)
ホシノ(HP:20……さっきまでの行動を見るに、あの数字を削り切れればこっちが勝つ)
ホシノ(けど、もしも削り切れなかったら――いや、その時は考えるだけ無駄か)
ホシノ(とにかく、次に出てきた瞬間を狙う。確実に、一撃で仕留めないと)
- 130二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:20:30
バトルウィンドウズ『まほうつかいに、80ダメージ!』
バトルウィンドウズ『まほうつかいは、ガードのまほうを、となえた!』
ホシノ「……は?」
(ガードの魔法。ゲームに疎いホシノには、その意図する所が分からない)
(ただ、何となく。ほぼ直感的に、それが防御に徹した類の行動だという事は察知した)
ホシノ(ちょっ、そんなのアリ!?見てから行動決めるとか露骨すぎるでしょ!)
ホシノ(どうする、どうする!この腕じゃリロードもままならない!かといって、素直にぶん殴った所で倒れてくれる相手かどうか……!)
(予想外の動きに、完全にテンパってしまうホシノ)
(だがその時、ホシノの右手は腰元にある固いモノの感触に気が付いた)
ホシノ「――」
バトルウィンドウズ『ホシノの、こうげき!』
ホシノ「……そういえば、忘れてたよ。一応、念のために持ってきてた『これ』の事」
ホシノ「正直、地下空間でこんな危なっかしいもの使いたくなかったけど――これだけ広ければ、大丈夫だよね?」
ホシノ「一か八か――これでも喰らえっ!」
(腰元に備え付けていた『それ』を掴み、安全ピンを外し投擲する)
(『それ』――手りゅう弾は狙い過たず魔法使いの足元に落下し、次の瞬間盛大に爆発した!)
(魔法使いはひとたまりもなく爆炎に呑み込まれ、そして……)
- 131二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:21:17
バトルウィンドウズ『まほうつかいを、やっつけた!』
バトルウィンドウズ『ホシノは、てきをぜんぶやっつけた!』
バトルウィンドウズ『けいけんち142ポイントかくとく!(いみがない)』
バトルウィンドウズ『ヒーローっぽさが、1ポイントあがった!ゆうきが、5ポイント――』
(どうやらこれで打ち止めだったらしく、画面に次々とよく分からない文言の羅列が並んでいく)
(一方、当のホシノは喜ぶ気にもなれず。ひたすらじっと警戒しながら画面を睨む)
(やがて、最初に現れた時と同じようにモニターが消え――再び、元の何もなかった地下空間に回帰した)
ホシノ「……。倒した、のかな」
(愛銃を下ろし、ホッと肩の力を抜く)
(次いで、凍りついた左手をどうしようかと見やり――)
ホシノ「えっ?」
(今度は、物理的にではなく精神的な意味で凍りつく)
(左腕と盾が、元に戻っている。あれ程冷たく侵していた筈の氷が、今や欠片も見当たらない)
(まるで最初から凍ってなどいなかったように、左腕も盾も綺麗に元通りとなっていた)
ホシノ「どういう事……?さっきまであんなに冷たかった筈なのに、今じゃ何の違和感もない……」
ホシノ「まるで、幽霊でも相手してたみたいな――」
ホシノ「…………ッ!!(ゾクゾクッ)」
(幽霊。我知らず呟いた言葉に、ホシノの背中に悪寒が奔る)
(その場に残って調べる気にもなれず、ホシノは逃げるように立ち去って行った――)
- 132二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:21:43
(ホシノは知る由もなかったが。この防衛システム『バトルウィンドウズ』には、かつてキヴォトスに存在したとある天才の技術と知恵が流用されていた)
(正式名を『干渉型仮想現実システムズ』。その名の通り仮想現実(バーチャルリアリティ)でありながら、現実のものと錯覚せしめる程の異端技術)
(発現している間は致命の危機をも齎し得る反面、停止すれば何事もなかったかのように元通り。あまりにも矛盾、キヴォトスにあってなお異質なオーバーテクノロジー)
(如何にしてこのシステムが構築されたのか、最早その所以を知る者はキヴォトスに誰一人として残っていない)
(ただ一つ、消滅する寸前のバトルウィンドウズの画面。その片隅に、目を凝らさなければ見えない程小さな文字でこう書き記されていた)
(Groznyi――『雷帝』、と)
- 133二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 00:24:01
- 134二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 01:01:59
- 135二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 02:38:53
- 136二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 13:18:19
保守だZOY!
- 137二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 22:56:01
実際思うのは、2Dカービィやディスカバリーみたいにホシノやヒナを操作してみたいよね。側転してジャスト回避からのショットガン発射とかやってみてぇ〜
- 138二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 22:58:04
保守でゲス
- 139二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:35:51
>>132の続き
・STAGE3:古代の塔
(バトルウィンドウズとの戦いを制し、洞窟探検を再開したホシノ)
(水晶の畑を抜けた彼女の前に現れたのは、天高くそびえ立つ一本の塔だった)
ホシノ「でっか……!地底なのに、こんなものまであるなんて」
ホシノ「密林がある時点で大概だったけど、本当に無茶苦茶だねこの地底世界」
(これ程までの巨塔であれば、もしかすると地上に繋がっているかもしれない)
(そんな期待を胸に、ホシノは早速塔の中へ突入した!)
自動機械A『シンニュウシャハッケン、シンニュウシャハッケン』
自動機械B『セントウモードキドウ、コレヨリゲイゲキカイシシマス』
(中に入るや否や、巡回していた自動機械たちがホシノに容赦なく襲い掛かる!)
(だが――)
ホシノ「どいたどいたーッ!おじさんの前に立ち塞がるなら容赦しないよー!」
自動機械A・B『『ガガピーッ!(チュドーン!)』』
(いかに数で勝ろうと、今のホシノの敵ではない)
(たちどころに蹴散らし、上へ上と進んで行く)
(しかし塔内に潜んでいたのは自動機械だけではなかった)
- 140二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:36:40
ゴリラ『ウガアアアッ!』
ホシノ「うへっ!?あ、危ないっ!」
(突如としてホシノの頭上からゴリラが降ってくる!)
(何故塔の中にゴリラが――そんな考えを巡らせる暇もなく、猛り狂ったゴリラは拳を振るいホシノへと襲い掛かってきた!)
ホシノ「ゴリラに恨みはないけど……襲い掛かってくるのなら、容赦しないよっ!」
ゴリラ「ウガアアアッ!」
(動きに一定のパターンがあった自動機械と異なり、ゴリラは生物)
(本能のまま暴れる様はホシノをして予測しきれないものがあり、手こずらせる)
(とはいえ、ホシノもまた翻弄されるばかりではなく――相手の隙を突き、着実に削っていった!)
(そして、ついに……!)
ホシノ「これで、トドメッ!」
ゴリラ「ウホオオオッ!?ウ、ウホ……(がくり)」
(ホシノの蹴りを後頭部に喰らい、とうとうゴリラが沈黙する)
(そのまましばらく警戒したものの、どうやら完全にノックダウンしたらしく起き上がってくる気配はなかった)
ホシノ「ふう、びっくりした~。まさかこんなのまでいたなんて」
ホシノ「にしてもこの子妙に荒れてたような……そういえば、よく見ると傷も多すぎない?」
(ホシノが負わせたものもあるとはいえ、それ以外にも心当たりのない傷が多い)
(さらに観察してみると、その中には銃創と思しき貫通痕まであった)
- 141二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:37:19
ホシノ(さっきの戦いで、私は銃は使ってなかった筈……だとすると、自動機械との交戦によるもの?)
ホシノ(いや、でもこの貫通痕どこかで見覚えが――)
カツン……カツン……
ホシノ「!」
(その時。ホシノの耳が足音らしきものを捉えた!)
(足音はホシノの元に向かってきており、徐々に近づいてきているのは明らかだった)
ホシノ(自動機械や猛獣のものじゃない。これは……人の、足音?)
ホシノ(まさか、シロコちゃん達が助けに――!)
(思わぬ事態に、期待と緊張が入り混じるホシノ)
(それでも万一の襲撃に備え、近くの柱に身を潜める)
(一歩、二歩、三歩。着実に迫る足音に耳を澄ませていると、徐々に人の声らしきものも聞こえてきた)
(その、声の主は――)
???「――ねえ、本当にこっちで合ってるの?」
??『はい、問題ありません。私の計算通りであれば、先程の猛獣はそちらの方に逃げていった筈です』
???「逃げた先で待ち構えている可能性もあります。慎重に進みましょう」
???「心配性だなぁ。あれだけ痛めつけたんだ、今頃私たちにビビって塔の外まで逃げたんじゃないの?」
??『逆に、復讐心を燃え滾らせている可能性もありますけどね。ああ、そうだとしたらイオリの運命もこれまででしょうか……』
ホシノ「――うへ?い、イオリちゃん?」
- 142二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:38:04
(まさかの名前に、思わずホシノは声を漏らしてしまう)
(途端、ホシノが隠れている方に向け複数の銃を構える音がした!)
イオリ「誰だ!そこに隠れている奴、出てこい!」
ホシノ(やばっ、ついうっかり声出しちゃった!)
ホシノ(……あれでも、ちょっとまって?イオリちゃんがいるって事は、ひょっとして)
チナツ「イオリ、落ち着いて。――皆さん、警戒を怠らないように!仲間が隠れている可能性もあります!」
アコ『サーチ中……確認しました。イオリ達から見て2時の方向に熱源を探知。数は一人分、周囲に他の熱源や機械類は確認できません』
ホシノ(やっぱり。この声、ゲヘナの風紀委員長ちゃんの部下たちのだ。でも何だってこんな所に?)
ホシノ(いや、考えるのは後にしよう。今はとりあえず……)
イオリ「よし――聞こえているな!大人しく出てこい、お前は完全に包囲されている!」
イオリ「両手を上げて投降しろ!さもなくば、悪いよう、には――?」
ホシノ「うへ~。分かった分かった、降参するから攻撃しないでよ~」
(意を決し、ホシノは両手を上げながら柱の影から出る)
(ついでに無抵抗を示すべく、盾とショットガンも置いてきていた)
イオリ「お、お前は小鳥遊ホシノ!?な、なんでここに!」
チナツ「あの方は、以前委員長の空中戦艦を墜とした――何故、こんな場所に……」
アコ『イオリ、チナツ、落ち着いて下さい。――まさかあなたまでここに来てるとは思いませんでしたよ、小鳥遊ホシノさん』
- 143二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:38:50
(声の主たちの正体は、ホシノもよく知る者たちのものだった)
(銀鏡イオリ、火宮チナツ、天雨アコ。アコだけは本人ではなくドローンが映すホログラフ映像によるものだったが、それ以外はお馴染みのゲヘナ風紀委員の顔ぶれが揃っている)
(また、イオリ達だけでなく部下と思しき一般風紀委員の生徒たちもいた)
(いずれも、姿を見せたホシノの事を驚いた顔で見つめており――)
ホシノ「やあやあ、久しぶり~。こんな所で出会うだなんて、ずいぶんと奇遇だねぇ?」
アコ『ええ、全くです。……よもや私たち風紀委員以外にも、このマジルテの存在に気づいていた者がいたとは。それも、同じゲヘナ生ではなく他校生であるあなたがだなんて』
ホシノ「へ?どゆこと?だってここ、アビドス砂漠の地下でしょ?」
イオリ「はあ?そっちこそ何言ってるんだ。ここはゲヘナ自治区のヒノム火山、その温泉地帯の地下空間だぞ」
ホシノ「……えっ?」
(アコとイオリ、両者からの意外な言葉を前にホシノは唖然とする)
(どちらも嘘をついているようには見えず、ホシノを見返す目は至って真剣そのものだった)
ホシノ「ちょ、ちょっとまって。おじさん達はアビドス砂漠の地下に眠ってるとかいう、昔の生徒会の隠し財産を探しに来てたんだけど?ゲヘナの火山なんて、一歩も踏み入れちゃいないよ?」
イオリ「おい、いい加減な事を言うな。私たちは温泉開発部の奴らがいつものようにまたやらかして、それで開いた大穴と地下空間の調査に遥々来たんだぞ。なのに他校のお前がいるなんておかしいだろ」
ホシノ「そ、そんな事言われても困るよ~。おじさんだって、流砂に呑み込まれてようやくここまで進んできたっていうのにさぁ。てか、この地下洞窟ゲヘナにまでつながってたの?」
チナツ「……いえ、少々お待ちください。アコ行政官、こちらの座標をもう一度ご確認いただけませんか?」
アコ『座標確認、ですか?それなら先程更新したものが、そちらにも共有されている筈では』
チナツ「念の為、です。私の推測が正しければ、恐らくホシノさんのおっしゃってる事は真実かと」
アコ『りょ、了解しました。座標を再確認。しかる後更新、を――――嘘、これって……!?』
イオリ「アコちゃん?どうしたの、アコちゃん」
- 144二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:39:22
(チナツの助言を受け、画面の向こうのアコが何事か機器を操作する)
(すると、信じられないものを見たと言わんばかりにアコの目が見開かれた)
(そして――アコの口から放たれた言葉に、今度はホシノとチナツを除いたイオリ達ゲヘナ風紀委員までもが驚愕する)
アコ『ざ、座標が……異なる座標が、それぞれ重なっています!私たちのゲヘナ自治区の座標と、ホシノさんのおっしゃっていたアビドス砂漠の座標が!』
ホシノ「えええっ!?」
イオリ「はあ!?そ、そんなわけ――」
チナツ「いえ、行政官のおっしゃる通りかと。……やはり、以前本で読んだ通りですね」
アコ『ど、どういう事ですかチナツ?』
(アコを筆頭に、その場にいる全員の視線がチナツに集中する)
(対するチナツは動じる事なく冷静に応えた)
チナツ「以前、ゲヘナ学園の古書で目にした事があります。ゲヘナとアビドス――いえ、キヴォトスの地下に太古の昔から存在するという地底世界『マジルテ』」
ホシノ「マジルテ……?」
チナツ「その地下世界は自治区の境界を超えて存在し、内部は距離も空間も色々曖昧になるとも」
チナツ「恐らくですが、アビドス砂漠にいたというホシノさんがゲヘナ地下にいる筈の私たちと遭遇した理由もそこにあるのではないかと」
一同『…………』
(あまりにも壮大な話を前に、チナツを除いた全員が絶句する)
(地底世界マジルテ。ホシノの大冒険は、ここより急速に終わりへと向かい出す――)
- 145二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:41:20
- 146二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 01:24:46
- 147二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 04:25:51
更新お疲れ様です!
まさに『マジルテ』…混じり合う地下迷宮ということですね、なるほどです。
そして出ましたヒナナイツ!バル艦長枠のアコ(ただし危ない時に1人で逃げるなんてことは絶対にしない)も入ってますねー。
ていうかあの『空崎ヒナの逆襲』のSS書いたの5月なんだよなぁ…時が経つの早ーい…
- 148二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 13:17:45
ほ!
- 149二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 22:23:51
更新お疲れ様です。
…雷帝君、ちょっとO☆HA☆NA☆SIしようよ☆ - 150二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:21:41
>>144の続き
(イオリ達ゲヘナ風紀委員会と遭遇後。ひとまずホシノは彼女たちと行動を共にする事にした)
(イオリ達が入って来たという出口から脱出する、という理由もあったが。それ以上にゲヘナ側――主にアコがホシノの持っている情報を聞き取りたがった為である)
アコ『密林に水晶の山、それに地底湖の鯨に謎の防衛システムですか。相変わらず、冒険の話には事欠かないようですね小鳥遊さん』
ホシノ「好きでこうなってるわけじゃないんだけどねぇ。そういうそっちは、この塔が最初に辿り着いた場所なんだ?」
チナツ「ええ。私たちはいつも通りゲヘナ自治区でパトロールしていたんですが、その最中に温泉開発部がまた無茶な採掘をしようとしていると通報があり――」
イオリ「その制圧に駆けつけたら、一帯の地盤が崩れてて大穴が開いていたという訳だ。逃げ出したのか、私らが現場に着いた頃には温泉開発部の連中はいなくなっていたけど」
ホシノ「こうして開いた穴をほっとく訳にもいかなかった。そうだね?」
(ホシノの言葉に、イオリ達が首肯する)
(そして調査の為潜っていたところ、この地底世界に踏み込みホシノとも遭遇する事になった……というのが大まかな事情だった)
アコ『ところで小鳥遊ホシノ、さっきから一つ気になっていた事があるのですが』
ホシノ「ホシノでいいよ行政官ちゃん。で、何?」
アコ『では遠慮なく。――そのリュック、異様に膨らんでいますが一体何が入っているのでしょうか?』
ホシノ「(ギクッ!)そ、そんな事言われてもなぁ~。普通に、探検用の道具とか食料とかそんなのだよ?」
イオリ「にしても大きすぎじゃないか?そりゃあ探検には物入りだけど、そんなに大きくちゃ動き難くてしょうがないんじゃ……」
ホシノ「(ギクギクッ!)う、うへへ……そそ、そんな事はないよ?おじさんのパワーなら、これくらいまだまだ余裕だよ~」
- 151二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:22:01
(痛い所を突かれ、冷や汗を流すホシノ)
(今やリュックの中は地底世界で見つけたお宝がぎっしり詰まっており、アビドスが抱える借金返済の為には絶対に持ち帰らねばならないものばかり)
(いくら風紀委員会とはいえ彼女たちはゲヘナの生徒。さすがに没収してくる可能性は低いだろうと見ていたが……それでも警戒せずにはいられなかった)
チナツ「まあまあ皆さん、ホシノさんは他校生ですから。あまり深入りするのはよろしくないのでは?」
イオリ「それは……そうかもしれないけど」
アコ『すいませんホシノさん、風紀委員会として荷物チェックの血が騒ぎまして』
ホシノ「い、いいよ気にしなくて~。それで話は変わるけど、この後はどうするつもり?一旦地上に戻る?」
アコ『そうですね……ホシノさんから聞いた話では、この地底世界は相当広いようですし。今日の所は一旦ここまでにして、地上に帰還した方がいいでしょう。私たちもそんなに準備していた訳ではありませんしね』
チナツ「私もアコ行政官に同意です。元救急医学部所属としての意見でもありますが、下手に捜索を進めて負傷者を出すような事態は避けた方がよろしいかと」
イオリ「私は、まだまだ余裕あるんだけどな」
アコ『イオリ?あなたが大丈夫でも、他の子達はそうもいかないでしょう?(ズゴゴ)』
イオリ「わ、分かってるって!従います、ちゃんと従います!」
アコ『やれやれ。ではホシノさん、あなたも引き続きご同行願えますか?他校生とはいえ、一応あなたは遭難者。であれば、このまま見過ごすというのも人道的に――』
ホシノ「それもあるけど。本音はおじさんからあれこれ聞き出したい事があるんじゃないの~?」
アコ『何の事でしょう。私たちは至って善意からご提案させて頂いているだけですが?』
(映像の向こう側、アコの顔がこれ以上ない程の笑顔を浮かべる)
(が、口元は笑っていても目元が全く笑っていない姿にイオリとチナツは内心引いていた)
(ホシノもまた薄々感づいてはいたものの、あえてそれ以上は深入りせず沈黙を貫いた)
ホシノ(ま、地上が見えたら適当にトンズラしちゃえばいいか)
ホシノ「それじゃ、早速みんなで――――?」
- 152二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:22:34
(その時、ふとホシノがきょろきょろと周囲を見回す)
(思わぬ動きに、アコやイオリ達ゲヘナ組も首を傾げた)
チナツ「ホシノさん?何か?」
イオリ「おい、どうしたんだ。そんな風に顔を動かして」
ホシノ「……ねえ、行政官ちゃん。ここにやってきたのって、イオリちゃんとチナツちゃん以外にもそれぞれいた筈だよね?」
アコ『え?ええ、イオリとチナツをリーダーに、部下の子達を何人か引き連れさせていた筈ですが』
ホシノ「だよね。おじさんが会った時も、何人か連れてたのを見たし」
イオリ「それがどうしたっていうんだ?」
ホシノ「うん……おじさんの勘違いだとかならいいんだけど」
ホシノ「なんか、さ。――人数、減ってない?具体的に言うと、一人か二人くらいいなくなってるような気がする」
アコ・イオリ・チナツ『「「っ!?」」』
(ホシノの言葉を受け、アコとイオリ達が一斉に動き出す)
(同時に、風紀委員会の一般生徒たちも驚いた顔で自分たちの隣を確認し合う)
(その結果はたちどころに表れた)
アコ『か、確認しました!確かに、突入した時と比べて二人ほど欠けています!塔の中に入るまでは揃ってた筈なのに!』
チナツ「まさか、探索中に逸れた……!?そんな、いつの間に!」
イオリ「いや違う!さっきまでは確かに全員揃ってるのを見た!だとすると、こいつ(=ホシノ)と話してる間に何かがあったとしか――」
ホシノ「シッ!みんな、静かにして!……何かが近くにいる!」
- 153二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:22:58
(ホシノの言葉に、イオリ達が全員警戒態勢に移る)
(一見するとホシノ達以外何もいないように見える空間。だが――)
アコ『周辺をサーチ……熱源・音源共に反応なし。何かの間違いでは?』
ホシノ「いや、いる。姿は見えない、けど――すぐ近くに動く気配が――」
(視覚聴覚、嗅覚に触覚まで動員し、周囲を探る)
(やがて、視界の片隅に揺らめく気配を捉え――間髪入れずホシノは発砲した!)
ホシノ「そこだッ!」
???『っ!!』
(銃弾がすぐ手前で着弾し、驚いた何者かが姿を現す!)
(張り付いていた石壁。そこに溶け込むように同化していたモノの正体は――)
イオリ「何だアレ……バカでかい、カメレオン!?」
チナツ「擬態能力!?でも、まるで見分けがつきませんでした!あれではもう、光学迷彩レベルーー」
アコ『こちらの機器でも検知できました!信じられません……こんなにはっきり姿を見せても、ほとんど反応がないなんて……!』
ホシノ「多分、そういう能力を持った特殊生物なんだろうね。――見て、あそこ」
(ホシノが指さした先、巨大カメレオンの尻尾を見る)
(そこには、ゲヘナ風紀委員会の制服を着た生徒たちが二人囚われていた!)
- 154二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:23:55
ゲヘナ風紀委員A「むーっ!むーっ!」
ゲヘナ風紀委員B「むぐぐーっ!」
(恐らくはずっと助けを求めていたのだろう)
(ようやく気付いてくれた先輩たちに対し、口元を抑え込まれながらも必死で何事か叫ぼうとしている)
イオリ「あいつ!よくも私たちの仲間を!」
アコ『落ち着いて下さいイオリ!その位置で下手に撃ったら、人質も危険です!』
イオリ「っ!?でも!」
チナツ「行政官の言う通りです。イオリ、ここは冷静に……!」
(イオリを諫めるチナツとアコもまた、僅かながら身体が震えている)
(仲間を人質に取られた怒りがそうさせているのは、誰が見ても明らかだった)
(そして。そんな光景に居合わせたホシノもまた――)
ホシノ「大丈夫だよ、みんな」
アコ『ホシノ、さん?』
ホシノ「あのカメレオンは私が倒す。だから、イオリちゃんとチナツちゃんは人質の方をお願い」
イオリ「おい!何勝手、な事を……!?」
チナツ「――!」
(反論しかけたイオリと、何事か言おうとしたチナツが思わず絶句する)
(その横顔からは、今まで見てきた『小鳥遊ホシノ』のどの姿からもかけ離れた威圧感が漂っていた)
ホシノ「まっててね、ゲヘナの子たち」
ホシノ「すぐにそいつをぶっ飛ばして、助け出してあげるから」
- 155二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 00:26:22
- 156二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 01:11:10
- 157二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 02:00:43
- 158二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 12:08:41
保守
- 159二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:04:00
何か書きたいなぁ…満を持しての『ホシノカービィ〜はるかぜとともに(内容はGBの初代カービィ)』編とか書こうかなぁ…
- 160二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:21:15
>>154の続き
(ホシノ達を襲い、知らぬ間に風紀委員会の生徒たちを拉致していた巨大カメレオン――ガメレオアーム)
(人質を取られた不利状況を前に、ホシノはまず目にも留まらぬ速さで突進した!)
イオリ「は、早っ!?あいつ、あんな素早く動けたのか!?」
チナツ「私たちと戦った時は全然本気ではなかったという事でしょうか……」
アコ『ぐぬぬ……!い、いえ!それより今は目の前の敵に集中です!ホシノさん、いえ小鳥遊ホシノは一体何を――』
(アコ達が訝しがる中、ホシノは一気にガメレオアームの眼前まで肉薄する!)
(不意を突かれたガメレオアームは、驚いた顔でホシノを見つめるしかできない!)
(その隙を見逃さず、ホシノはガメレオアームの胴体を勢いよく蹴り上げた!)
ホシノ「どりゃあっ!」
ガメレオアーム『グゲエッ!?』
(渾身の蹴りをまともに喰らい、ガメレオアームは悶絶する!)
(と、次の瞬間尻尾の拘束が緩み、囚われていた風紀委員の二人が解き放たれた!)
ホシノ「イオリちゃん!今の内に回収してあげて!」
イオリ「!わ、分かった!おいお前ら、行くぞ!」
ゲヘナ風紀委員たち『りょ、了解!』
(ホシノはガメレオアームの注意を惹きつけるように立ち回り、風紀委員の二人から引き離す)
(その間に、イオリ達は倒れていた二人の回収に成功した)
- 161二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:21:35
イオリ「おい、しっかりしろ!ケガはないか!?」
ゲヘナ風紀委員A(元人質)「こ、怖かった……!」
ゲヘナ風紀委員B(元人質)「わ、私たち後ろの方を歩いてたら、急に前が見えなくなって……それで、気が付いたらあいつに捕まってて……!」
イオリ「もう大丈夫だ、安心しろ。お前らはこいつらを連れてチナツの所まで下がれ!」
ゲヘナ風紀委員C「イオリさんは!?」
イオリ「私はあいつを――小鳥遊ホシノを援護する!分かったら急げ!」
ゲヘナ風紀委員C「りょ、了解しました!」
イオリ「……援護、か。自分で言っておいて何だけど」
(イオリは後退していく風紀委員たちから正面方向に視線を移す)
(そこにはガメレオアームを翻弄し、既に圧倒するホシノの姿があった)
イオリ「もうあいつ一人で何とでもなるんじゃないかな(ボソッ)」
アコ『イ・オ・リ?ゲヘナ風紀委員会の一員として怠慢は許しませんよ?』
イオリ「いいっ!?あ、アコちゃん聞こえてたの!?」
(耳元の通信機から響いたアコの𠮟責に、イオリは反射的に身を竦ませる)
(そして、それが仇になった)
(一瞬の隙を突き、ホシノがガメレオアームから距離を取る!その退避先には、無防備なイオリの姿が――)
- 162二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:22:25
ホシノ「っ!イオリちゃん、逃げて!!」
イオリ「しまっ!?」
アコ『イオリ!』
(ガメレオアームが口を開け、中から長い舌を伸ばす!)
(伸びた舌はイオリの右足に巻き付き、そのまま空中へと放り上げた!)
(さらに大口を開け、イオリを呑み込まんと舌を巻き上げる――!)
イオリ「うわぁあああっ!?」
チナツ「イオリ!」
ホシノ「させるかぁっ!」
(追いついてきたホシノが跳躍、そのままガメレオアームの後頭部を蹴り飛ばす!)
(背後からの奇襲にガメレオアームは舌を緩ませ、結果放り出されたイオリは地面を転がった)
(並みの生徒であればしばらく動けなくなる衝撃だが、そこはゲヘナ風紀委員会の切り込み隊長。落着の瞬間受け身を取り、身体への衝撃とダメージを最小限に抑える)
(そして――そんな彼女が、やられたままで済ます筈もなく)
イオリ「やってくれたなクソトカゲ!こいつはお返しだッ!」
ガメレオアーム『!!』
(ホシノの攻撃でふらつくガメレオアームの頭部を、イオリの銃弾が的確に貫く!)
(それが決定打となり、今度こそガメレオアームは完全に倒れ伏した……)
イオリ「どうだ、思い知ったか!これがゲヘナ風紀委員会の力だ!」
ホシノ「おお~!さっすがイオリちゃん、お見事!」
イオリ「ふふん、そうだろうそうだろう!」
ホシノ「うちのセリカちゃんも狙撃が得意だけど、イオリちゃんのはまた格別だね~」
イオリ「ま、まあな!これでもゲヘナ風紀委員会で切り込み隊長張ってるんだ。このくらいはできないとな!」
- 163二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:22:44
アコ『はいはい、そこまで。あまりうちのイオリを甘やかさないでくださいね、小鳥遊ホシノ。この子すぐ調子に乗ってやらかしちゃいますから』
イオリ「アコちゃん!?」
ホシノ「うへ~、手厳しいなぁ。その言い草、風紀委員長ちゃんを思い出すよ~」
アコ『――はぁ?我らがヒナ委員長が、私のような面倒臭い人間と同類だとでも言いたいのですか!?』
ホシノ(あ、ヤバい。地雷踏んじゃったっぽい)
ホシノ「というか、面倒臭い自覚はあったんだね……(い、いやいや?そんな事言ってないよ行政官ちゃん)」
アコ『逆!!本音と建前が逆です!!ていうか、どっちみち失礼ですねあなた!?』
チナツ「アコ行政官、落ち着いて下さい。今は部下の安否を心配しないと……」
(ホシノの些細な言葉をきっかけに、いつもの激昂を披露するアコ)
(それを窘めたのは、囚われていた風紀委員たちを救護し終えたチナツだった)
アコ『し、失礼しました。それで?あの囚われた二人はどうでした?何か、怪我等は――』
チナツ「いえ、それは大丈夫です。締め付けられていた事で多少圧迫痕は確認されましたが、本人たちの深刻でも異常は確認されず、また触診した限りでもそこまで重態ではないものと思われます」
アコ『そうですか。それは何よりです』
チナツ「とはいえ、念には念をという言葉もあります。やはり、ここは一度地上へ帰還した方がよろしいかと」
イオリ「私も同感。さすがにこの状態じゃ無茶させられないよ」
- 164二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:23:05
(チナツとイオリの進言を受け、アコは考え込むように口元へ手を当てる)
(が、それも一時の事。すぐに姿勢を戻すと、凛とした声で二人に指示を下した)
アコ『……いいでしょう。元より最初から一旦帰還する予定でした。このまま周囲を警戒しつつ戻ってきてください』
イオリ・チナツ「「了解」」
アコ『それと、小鳥遊ホシノ?あなたには引き続き我々にご同行お願いしますね?』
ホシノ「うへ~、りょうか~い。……ところで、気のせいだったら申し訳ないんだけど。なんか行政官ちゃん、おじさんへの当たりきつくなってない?というか元に戻ってない?」
アコ『さて、何の事でしょう?もしも理由があるとすれば、それはご自身の胸に手を当ててみればよろしいかと』
(先程の激昂からは信じられない程、涼しい声と態度でホシノの疑問を受け流す)
(と、そこでふと思いたったかのように。自身の豊かな胸元を見せつけ――)
アコ『ああ失礼。当てられるだけの胸も、なさそうだった事を忘れていました♪』
ホシノ「んなっ!?」
アコ『では、私は一旦失礼しますね。ヒナ委員長に途中経過を報告する必要が生じましたので』
(最後に痛烈な皮肉をかまし、アコからの通信が途絶える)
(誰の目から見ても逃げたのは明らかで――イオリとチナツは、揃ってため息をついた)
(そして。残るホシノはというと)
- 165二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:23:19
ホシノ「……ふ。ふふふ、ふふふふふ」
イオリ「お、おい?小鳥遊ホシノ、どうした?大丈夫か?」
チナツ「い、イオリ!今はまだ、そっとしておいた方が!」
ホシノ「言ってくれるね、行政官ちゃん」
(口調こそ、いつものホシノを思わせるのほほんとしたもの)
(だが何故だろう。イオリとチナツには、それがまるで怒りを堪える猛獣のそれにしか聞こえなかった)
ホシノ「これは、地上に戻ったら一度『お話』しなきゃだねぇ……!ふふふ、今から楽しみだよ~」
イオリ・チナツ((めちゃくちゃ怒ってる……))
ゲヘナ風紀委員一同(すごく怒ってる……)
(かくして、最後の最後にとんだ爆弾を残したアコ)
(すぐ傍で導火線を燃やすホシノに、イオリ達は内心冷や汗を流しながら付き添うのであった……)
- 166二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:24:12
- 167二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 01:16:32
- 168二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 09:33:49
- 169二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 11:05:09
昼前保守
- 170二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:23:25
>>165の続き
(ガメレオアームを撃破し、そびえ立つ塔から脱出したホシノ達)
(塔を抜けた先は再び洞窟となっており、ホシノに先導される形でイオリ達ゲヘナ風紀委員も後に続いた)
イオリ「うう、気持ち悪い……」
ホシノ「どしたのイオリちゃん。気分でも悪くなった?」
チナツ「何かお薬でも処方しましょうか?一応頭痛薬に酔い止めなど、一通り揃っていますけど」
イオリ「いや、そうじゃない。気分悪いのは本当だけど、それは肉体的――というか、感触的なやつで別に病気とかじゃないから」
ホシノ「感触?」
(その言葉に、ホシノは先程の戦いを思い出す)
(確かあの時イオリは――)
ホシノ「……ひょっとして、なんだけど。あのカメレオンの舌に巻き付かれた時の感覚が、まだ忘れられないとか?」
イオリ(ギクゥッ!)
チナツ「ああ、そういう……。相変わらず舐められる事に定評がありますね、イオリ」
イオリ「好きで舐められてるわけじゃない!!というか、何度も舐められてるみたいに言うな!」
アコ『――あら?その割には、シャーレの先生にしばしば足を舐められる姿が確認されているとの報告もありますけど?』
- 171二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:23:44
(ヒナへの報告を終えたのか、アコが再び通信状態で復帰する)
(ホシノからジト目で睨みつけられるが、アコは涼しい顔で見なかったフリをした)
(何より、今は……)
イオリ「あ、アコちゃん!?いきなり何を言い出すのさ!」
ホシノ「……へえ~。面白い事になってるみたいだね、イオリちゃん。よければ詳しい話、聞かせてもらってもいいかな?」
イオリ「べ、別に何でもない!あのヘンタイと顔を合わせる度足を舐めさせろとねだられてるとか、それ用のクリーム持ち込まれたとかそんな事はないからな!?」
ホシノ「ええ、そこまで……?」
チナツ「イオリ……」
アコ『前半はともかく後半は初耳です。正直私も若干引きましたが?』
イオリ「~~~~~~!!(ボッ)」
ゲヘナ風紀委員A「イオリさんって、やっぱり……?(ヒソヒソ)」
ゲヘナ風紀委員B「しっ!そっとしておいた方がいいって!(ヒソヒソ)」
(盛大に自爆をかまし、イオリがこれ以上ない程に顔を赤くする)
(ホシノは問い詰める気も失せ、「先生何やってるのさ」と「今度私も試しに言ってみようかな……いやいや、ないない」という二つの感情が交錯した)
(あんまりといえばあんまりな姿に、後方の風紀委員生徒たちまでヒソヒソ話をし始める……)
イオリ「そ、そんな事よりアコちゃん!まだ出口に辿り着かないの!?」
ホシノ「あ、話を逸らした」
チナツ「露骨すぎますね、イオリ」
イオリ「うっさい!それでどうなのさ、アコちゃん!」
アコ『そうですね……確かにイオリの言う通り、そろそろ出口に辿り着いてもおかしくない筈なのですが……おや?』
- 172二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:24:12
(映像の向こう側、何やら機器類を操作していたアコが訝しがる)
(と、同時にホシノ達が進む前方からも光が見えた)
チナツ「行政官?いかが致しました?」
アコ『いえ、こちらの機器類に妙な反応が――。この先に広大な空間があると出ているのですが、侵入前に観測した情報との差異が……』
イオリ「何だっていいでしょ!どうせすぐそこまで見てるんだ、行けば分かるよ!」
ホシノ「あ、イオリちゃん待った!先に行かないで~!」
(戸惑うアコを他所に、イオリが先んじて駆けだす)
(その後を慌ててホシノ、チナツ、ゲヘナ風紀委員たちが続き、光の下へとひた走る)
(そして。洞窟を抜けた先、そこで一同が目にしたモノは――)
イオリ「――――(呆然)」
ホシノ「なに、これ……」
チナツ「これは……一体?」
(それは、まるで一つの宮殿の姿を呈していた)
(密林や水晶の畑のような自然の風景ではなく、先程苦労して踏破した塔でもない)
(全体的にメルヘンチックでファンタジック。それこそお伽話に出てくるお城のような、華やかさと彩りに満ち溢れていた)
ホシノ「一応聞くけど、さ。イオリちゃん達が入って来た場所に、こんなド派手な宮殿とかは」
イオリ「あるわけないだろ……。ていうか、こんなのがあったら絶対覚えてるし先に言ってるよ」
チナツ「私も初めて見ました。これは一体……アコ行政官?」
アコ『これは――位相がズレている――?いえ、それ以前に侵入地点との繋がりが――(ザザッ)』
チナツ「行政官?どうしました、行政官!?」
アコ『通信が、不安定に(ザザッ)、イオ(ザザッ)ナツ(ザザッ)、気を付け――(ブツッ)』
- 173二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:24:41
(アコを表示していたホログラフ。それが突如として乱れ出し、音声にもノイズが混ざる)
(やがて一度大きく揺らいだかと思った直後、突如ホログラフ映像は消滅し完全に見えなくなってしまった!)
イオリ「アコちゃん!?」
チナツ「ダメです、応答なし!このフロア全体に特殊な磁場が働いているのか、こちらからは完全につながりません!」
ホシノ「なら、一旦さっきの場所に戻って――!?」
(ホシノが来た方向を振り返り、愕然とする)
(先程まで確かに開かれていた筈の、洞窟に繋がる入口。それが跡形もなく消えていた)
(まるで引き返すことは許さないと。地底空間そのものがそう告げているかのように)
ゲヘナ風紀委員A「そんな!?さっきまで確かに開いてたのに!」
ゲヘナ風紀委員B「わ、私たちこの得体の知れない空間に閉じ込められちゃったって事……?」
(異常事態を前に、さすがのゲヘナ風紀委員の精鋭たちも動揺を隠せない)
(これは不味い、と。ホシノがフォローに回ろうとしたその時)
イオリ「狼狽えるなッ!」
ゲヘナ風紀委員一同『っ!!』
イオリ「ただ、今まで通って来た道が閉じられただけだ!引き返した所で洞窟の奥に戻るだけ、封鎖された所で何の不都合もない!」
イオリ「いや――むしろ、帰り道を分かりやすくしてくれたと。感謝すべきかもな!」
ゲヘナ風紀委員一同『イオリさん……』
チナツ「イオリの言う通りです。私たちの目的はこの洞窟からの脱出。そして来た道を引き返してきた以上、この先に間違いなく出口は存在する筈――いいえ、存在します」
チナツ「ですから皆さん、今一度気を引き締め直しなさい。この先何が待ち受けていようとも、私とイオリで必ずやあなた達は地上に帰します。いいですね?」
ゲヘナ風紀委員一同『……!はいっ!!』
ホシノ「――」
- 174二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:25:13
(先程のおちゃらけたやり取りからは一転、毅然とした態度で部下たちの士気を取り戻し立ち直らせたイオリ)
(チナツもまたイオリの行動に応え、あえて断言する形で地下からの脱出を保証する)
(これぞゲヘナの秩序を守る者たちの真骨頂。有事に遭っても取り乱さず、何をすべきか瞬時に導き出し実現する行動力)
(過去の事件では立ちはだかる相手として薙ぎ倒しただけだったが――改めてゲヘナ風紀委員長・空崎ヒナの仲間達の底力を目の当たりにし、ホシノは思わず目を見張った)
ホシノ「……まいったなぁ。こんなの見せつけられちゃったら、おじさんも本気出すしかなくなっちゃったよ~」
イオリ「当然だ。むしろ事ここに至っては、お前にも全力で協力してもらうからな」
チナツ「何としても、この地底世界から脱出しましょう。――無論、全員で」
ホシノ「もっちろん!おじさんも後輩ちゃん達の元に帰らなきゃだしねぇ。だから」
(ホシノが改めて前を向く)
(正面にそびえ立つ宮殿は見た目こそファンシーだが、内部の様子は全く見えない)
(待ち受けているのは無数の罠か、それともこれまで同様自動機械と猛獣たちの大群か――)
(いずれにせよ、脱出する上で取るべき手段はただ一つ)
イオリ「行くぞゲヘナ風紀委員会!これより正面の宮殿を攻略する!」
チナツ「負傷した人は私に報告を!片っ端から救護します!」
ホシノ「おじさんが先頭に立ってカバーしまくるよ~!だからみんな、遠慮なく暴れてね~!」
ゲヘナ風紀委員一同『おおーっ!!』
(勢いも最高潮に、ホシノ達は宮殿へと突入する!)
(地底世界最後となる戦いの舞台――『神秘の楽園』での戦いが幕を開けた!)
・STAGE4:神秘の楽園
- 175二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:26:11
- 176二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 23:47:50
- 177二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 04:04:25
ど深夜保守
- 178二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 07:15:46
保守のカービィ
- 179二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 16:31:19
洞窟大作戦編完結したらどうしますかね…
一応ネタがないわけではありませんが、そろそろ絞り出すにも難しくなってきた今日この頃 - 180スレ主24/08/31(土) 18:57:16
- 181洞窟大作戦執筆者24/08/31(土) 20:01:41
- 182二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:31:47
>>174の続き
(『神秘の楽園』、その内部はこれまで踏破してきた地底世界の全てが凝縮されたような場所だった)
(立ち塞がる無数の自動機械と猛獣たち。張り巡らされた仕掛けと罠。上へ下へと移動する複雑な構造…)
(ホシノ一人で探検していた時とは違い、今はゲヘナ風紀委員という仲間も引き連れた身。その探索は容易ではなく、時には悪戦苦闘も強いられた)
(とはいえ、ホシノ達も日々キヴォトスで鍛えられてきた生徒たち。進行そのものはゆっくりでも、着実に楽園の奥へ足を進めつつあった!)
ホシノ「覚悟はしていたけど、やっぱり敵が多いね~」
イオリ「ああ……だがへこたれてばかりもいられない。何とかして委員長やアコちゃん達の元に帰らないと――痛ッ!」
チナツ「はいはい、その為にもあまり無茶はしないでくださいねイオリ?……私としても無理を言っているのは分かってます。ですが、あまり気負い過ぎて身体を傷つけては元も子もないかと」
イオリ「わ、分かってる……」
(イオリの腕に包帯を巻きながら、チナツはその身を案じる)
(一方で、ホシノの身体をちらと見やると――羨望と呆れが入り混じったような表情を浮かべた)
ホシノ「?どしたのチナツちゃん?おじさんの顔に何かついてる?」
チナツ「いえ、何でも……(彼女、ここまでずっと最前線で戦ってきた筈ですよね?)」
イオリ(その筈、だけど)
(包帯どころか、かすり傷一つないホシノの身体にイオリ達は思わず嘆息する)
(どうやったらあの領域にまで至れるのか、それともあれが自分たちの上司と対等にやり合える者の証なのか)
(二人には――否、この場のゲヘナ風紀委員一同には理解できない話だった)
(……そんな雑談交じりの探索も佳境を迎え、一行はとある空間に出る)
- 183二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:32:47
イオリ「なんだここ?やたら暗いというか、灯りがついてるのに足場以外何も見えないじゃんか」
チナツ「周りの風景も、これまでとは雰囲気が違います……皆さん、気を付けて」
ホシノ「う~ん。とりあえず罠や仕掛けの類は見当たらなさそうな感じだけど……!?」
(ホシノ達が警戒しながら部屋の半ばまで進んだ、その時!)
(突如室内が揺れ出し、暗闇の中から何かが姿を現した!)
ホシノ「な、何あれ!?」
イオリ「石で作られた怪物……!?けど、ここからじゃ顔以外何も――」
チナツ「!皆さん、上です!」
(チナツの警告に、ホシノ達は頭上を仰ぐ)
(そこには今まさに叩き潰さんと迫る石造りの手があった!)
ホシノ「わわわっ!?あ、危ないっ!」
イオリ「くっ!?」
ゲヘナ風紀委員たち『うわあああっ!』
(間一髪避ける事に成功するホシノとイオリ、そしてゲヘナ風紀委員たち)
(石造りの手は無念そうに浮き上がると、再び暗闇の奥へ消えていく……)
ホシノ「今の攻撃――アレが、あいつの攻撃手段って事!?」
チナツ「石でできた身体……民族風お面を思わせる顔……まさか!」
イオリ「チナツ、何か知ってるの!?」
チナツ「覚えてますか?以前ゲヘナ学園の図書館で、マジルテについて書かれた古書を読んだという話を」
ホシノ「そういえば、そんな事もあったね……おっと!(再び降って来た石手を避ける)」
チナツ「あの本には、こんな内容も書かれていました。『地底世界、その最深部にて迷宮を守りし者。その名、魔人ワムバムロック――』」
イオリ「ワムバムロック……それが、あいつの名前か!」
- 184二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:33:08
(石の怪物改め、ワムバムロックはじろりとホシノ達を睨みつける)
(その視線には明確に敵意が宿っており、ホシノ達を狙っている事は明らかだった)
ホシノ「どうやら、見逃してくれる気がなさそうだね」
チナツ「ええ。そして、もう一つ悪い知らせがあります。私たちが先程通った入り口と、向こうの出口が見えますか?――その二つが、同時に閉ざされました。十中八九あの怪物の仕業と見て間違いないかと」
イオリ「ふん、上等だ!誰を閉じ込めたのか、その岩石の身体を砕いて思い知らせてやろうじゃないか!」
ホシノ「うへ~、さすがイオリちゃん。こんな状況になっても、タフだねぇ」
ホシノ「でも。今だけは、その意見に賛成かな」
(愛銃にスラッグ弾を込め、ホシノは眼前の魔人と向き直る)
(その目には闘志が宿り、魔人の敵意にも勝るとも劣らない鋭さがあった)
ホシノ「悪いけど、おじさんにも帰らなきゃいけない場所があるんだ。邪魔するっていうのなら、力ずくでも押し通らせてもらうよ!」
(三度、ホシノ目掛け振り下ろされる石造りの右手。頭上から迫るそれを、ホシノは最小限の動きだけで回避する)
(間髪入れず暗闇の奥のワムバムロック本体に照準を合わせ、トリガーを引いた!)
(銃弾が発射され、ワムバムロック本体へと向かう。だが――)
ワムバムロック『……』
ホシノ「!?な、なんで!?確かに当たった筈なのに!」
イオリ「こっちもダメだ!さっきから何発も撃ち込んでいるが、まるで効果がない!」
(遠く離れた場所で戦っていたイオリも叫び返す)
(ホシノ達がワムバムロック本体目掛け撃った銃弾、その悉くがワムバムロックの身体をすり抜けた故の反応だった)
(実際、ワムバムロック本人?もまた何の痛手も感じていないよう睨み続けている)
- 185二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:33:35
ホシノ(まさか、バトルウィンドウズの時みたいな立体映像?いや、それなら銃弾が当たらない理由にならない)
ホシノ(どこか他に攻撃が通じる部分がある筈。でも、一体どこに?)
ホシノ(他に攻撃できそうな所なんて……所、なんて……)
イオリ「クソッ、どうなってる!まさかこいつ、無敵だとでもいうのか!?」
チナツ「イオリ、落ち着いて下さい!必ずどこかに弱点はある筈です!」
イオリ「けど!このままじゃ――」
ホシノ「いいや。弱点なら、さっきからずっと見せつけてるよ」
(先程までとは一転して、落ち着いた顔と表情でホシノが頭上を睨みつける)
(そこには、今まさにホシノへ叩きつけられようと石手が迫っていた!)
(ホシノは余裕をもってそれを躱し、そして――)
ホシノ「今っ!」
ワムバムロック『!!?』
(今まさに降ってきた石手に、ホシノがスラッグ弾を撃ち込む!)
(すると、何度撃たれても無反応だったワムバムロック本体が動揺し苦悶の表情を浮かべた!)
(撃たれた石手は、慌てて宙へ逃げ帰っていく――)
イオリ「ど、どうなってるんだ?あの怪物、様子がおかしいぞ」
チナツ「まさか……!」
ホシノ「うん、多分チナツちゃんが思ってる事で正解だと思う。詳しい理屈はおじさんも分からないけど、多分あの石の手と魔人の本体は何かしら繋がってるんだ」
イオリ「つまり?」
ホシノ「狙うべきは暗闇の中に浮かんでる方じゃなくて、攻撃してくる手の方って事だよっ!」
イオリ「!!」
- 186二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:33:55
(先程のお返しか、再び石手がホシノ達の元へ迫る!)
(が、何度も同じ攻撃を喰らうようなホシノ達ではない。今度はさらに余裕をもって躱し、イオリ達も攻撃に加わった!)
(魔人は目に見えて苦しみ出し、より怒りの形相へと変貌していく)
(その変化に呼応するかの如く、魔人の攻撃も苛烈さを増した!)
(それまでのような叩きつけ攻撃だけではなく、床を叩く事で天井の岩柱を落としにかかる!)
ゲヘナ風紀委員たち『きゃあああっ!!』
ホシノ「!しまっ、みんな――」
イオリ「バカッ、小鳥遊ホシノ!左だ避けろ!」
ホシノ「っ!?」
(落石に晒され、悲鳴を上げるゲヘナ風紀委員たち)
(その惨状に気を取られ、一瞬ホシノは魔人から注意を外してしまう)
(そして――その一瞬こそ、魔人が最も望んでいたモノだった)
(イオリの警告も一歩遅く、どこからともなく現れた魔人の石手がホシノを捕まえる!)
ホシノ「うああああっ!?」
チナツ「ホシノさん!」
(ホシノの身体を、石手が万力のように締めつける!)
(必死に抵抗を試みるが、相手は人外。いかに強大と言えど、少女の身ではできる事もたかが知れていた)
ホシノ(ま、ずい……!いし、きがもう――)
ホシノ(ノノ、ミちゃん……シロコ、ちゃん……アヤネちゃ、ん……セ、リカちゃ……)
ホシノ(ユメ、せんぱい……)
ホシノ(…………せん、せ)
- 187二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:34:15
(総身を貫く苦痛と、少しずつ遠ざかる意識)
(大切な人の顔が走馬灯のように浮かび、消えかけたその時――不意に、ホシノを締め上げていた石手が爆発した!)
ワムバムロック『!?』
ホシノ「う、へ――?」
イオリ「小鳥遊ホシノッ!」
(石手から解放され、そのまま足場へと落下するホシノ)
(間一髪のところでイオリが受け止め、叩きつけられる事だけは回避した)
ホシノ「ごほっ、げほごほっ!」
チナツ「ホシノさん、しっかり!今、救護を!」
ホシノ「い、いいよ……それより、さっきの爆発はいったい……?」
ゲヘナ風紀委員A・B「「ホシノさんっ!!」」
(ホシノの下に、ゲヘナ風紀委員の生徒たちが二人駆け寄る)
(その顔は忘れもしない、あの塔でガメレオアームに囚われていた二人だった)
(片方の手にはロケットランチャーが握られており、今なお白煙を上げている)
(そこからホシノは何が起こったのか、何があったのかを瞬時に悟った)
ゲヘナ風紀委員A「ホシノさん、しっかりしてくださいホシノさん!」
ゲヘナ風紀委員B「わ、私たち――あの時、助けてもらった恩を返したくて――だから、必死で……!」
- 188二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:34:45
ホシノ「……!」
イオリ「お前ら……」
ゲヘナ風紀委員A「ホシノさんとは、学校も所属も違いますけど!それでも、あの時助けに来てくれた事本当に嬉しかったんです!」
ゲヘナ風紀委員B「昔、敵に回った私たちが言えた言葉じゃないかもしれません……そでもお願いします!どうか、死なないで……!」
ゲヘナ風紀委員A・B「「負けないで!『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』!!」」
ホシノ「!」
(ホシノの両目が見開かれ、遠のきかけていた意識がはっきりと覚醒する)
(あれ程痛めつけられていた筈の身体からは、今や完全に痛みも苦しみも消えていた)
(いや、むしろ――溢れんばかりの力が湧いてくる!)
ホシノ「……ありがとうね、二人とも」
イオリ「お、おい。小鳥遊ホシノ?」
チナツ「待ってください!まだ動いては――」
ホシノ「大丈夫だよ、イオリちゃん、チナツちゃん。おじさんはこの程度でどうにかなるような、やわな生徒じゃないからね」
ホシノ「何より――今は、あいつをぶっ飛ばしたくてしょうがないんだッ!!」
(立ち上がったホシノの姿に何かしらの脅威を感じ取ったのか)
(魔人は、今までとは比較にならない程の石手を生み出しホシノへと襲い掛からせる)
(だが――最早、勝負は決まっていた)
- 189二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:35:05
ホシノ「言ったでしょ。『邪魔するのなら力ずくでも押し通る』って」
ホシノ「そっちに恨みはないけれど――これで終わりだ、古の魔人」
(ホシノの愛銃『Eye of Horus』から散弾が放たれる)
(本来であれば、例え同じ攻撃であってもどれか一つは耐え抜き、ホシノを脅かし得たかもしれない猛攻)
(けれど、石手の群れはどれもホシノの身体はおろか眼前にすら迫る事なく――次の瞬間、その全てが粉々に粉砕された!)
(同時に、暗闇の中の魔人もまた限界を迎えた様に爆散していく――!)
ズゴゴゴ…!
チナツ「!て、天井が……!」
イオリ「まずい、崩れるぞ!急げ、ここから離れるんだ!」
ホシノ「う、うへ!?で、でも出口は――」
チナツ「いえ、アレを見てください!どういう仕組みかは分かりませんが、向こうの出口が完全に開いてます!」
イオリ「よしっ!全員走れ、地上に戻るぞ!」
ゲヘナ風紀委員一同『りょ、了解!!』
ホシノ「う、うへえ~!おじさん、無茶したばっかで疲れてるんだけど……」
イオリ「急げ小鳥遊ホシノ!生き埋めになりたいのか!?」
ホシノ「――ああもう!分かった、分かったよぉ!今そっちに行くから、置いてかないで~!!」
(崩れゆく広間から、間一髪脱出に成功するホシノとゲヘナ風紀委員たち)
(最後の大岩が落ち切った時、そこには最早何者も残されていなかった)
- 190二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:35:31
・エピローグ
ヒナ「――それで。温泉開発部が開けたという穴は、ここで間違いないのね?」
アコ「は、はい!間違いなくこの穴から内部へと突入しました!私もこの目で見守っておりましたので、間違いありません!」
(ゲヘナ自治区、ヒノム火山麓に広がる温泉地帯)
(その一角――大穴が開いた地点に空崎ヒナと天雨アコ、そして部下であるゲヘナ風紀委員たちは集まっていた)
(無論、目的はただ一つ。更新の途絶えた先行調査部隊――すなわち銀鏡イオリと火宮チナツ、その他同行した風紀委員の面々を救助する為である)
(交信が途絶えた直後、アコはすぐさま上司であるヒナへ事の次第を報告した)
(得体も知れない場所に何の相談も報告もなく、部下たちを向かわせた事に当初こそ眉をひそめたヒナであったが……アコからの報告を聞くと、その怒りは即座に吹き飛んだ)
(それからすぐに部隊を編成し、遥々ここまで駆けつけたという訳であった)
ゲヘナ風紀委員「空崎風紀委員長、天羽行政官!突入準備、完了しました!全員いつでも入れます!」
ヒナ「わかった。総員、突入開始。これより先行して向かったイオリ達の救出、に――」
アコ「ひ、ヒナ委員長?何か?」
ヒナ「……撤回するわ。どうやら、その必要もなくなったみたい」
アコ「えっ?」
(アコの疑問に、ヒナは無言で大穴の奥を指差す事で応える)
(そこにいたのは――)
- 191二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:35:52
???「――――ぉお~い。おお~い。誰か、そこにいるの~?」
???「いるのなら、応えてほしいなぁ~。おじさん達、もうヘトヘトなんだよ~」
アコ「あ、あれは……!?」
ヒナ「どうやら、今回も悪運は尽きていなかったようね。――小鳥遊ホシノ」
(大穴の奥から、ボロボロになったホシノが姿を現す。次いでイオリにチナツ、そして残りの風紀委員たちも後に続いた)
(全員汗だく泥まみれの疲労困憊だったが、重傷者や脱落者は誰もいない。全員生きて帰還する事ができていた)
アコ「イオリ!チナツ!無事だったんですね!!」
イオリ「無事……まあ、無事かなぁこれ……?」
チナツ「生きて戻れただけでもよしとしましょうイオリ……私はもう二度とこりごりです……」
ヒナ「イオリ、チナツ、お疲れ様。――負傷者の救護と、救急医学部に至急連絡を。『要救助者たちの無事を確認した、これより救護に当たられたし』とね」
ゲヘナ風紀委員(地上班)「了解です!直ちに!」
ヒナ「さて、と」
(ひとまず部下たちの無事を確認し終え、後々の手配と指示も済ませたヒナ)
(その視線が、今まさにこっそり抜け出そうとしていた第三者――ホシノへと向けられる)
ヒナ「どこへ行くつもり?小鳥遊ホシノ」
ホシノ「(ぎくうっ!)……い、いや~。ひ、久しぶりだね?風紀委員長ちゃん。お元気そうで何よりだよ~」
ヒナ「そういうあなたはずいぶんボロボロのようだけど。よかったら、うちのシャワーとお風呂貸すわよ?」
- 192二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:36:21
アコ「ひ、ヒナ委員長!?」
ヒナ「(じろり)アコ、あなたには後で話がたっぷりあるから。今の内に言い訳を考えておくように」
アコ「ひっ!?わ、分かりましたぁ!」
(余計な口を挟みかけた部下を黙らせ、ヒナは再びホシノを見やる)
(相変わらず居心地悪そうなホシノに、小さくため息を漏らし――)
ヒナ「……別に、立ち去るのは勝手なのだけど。せっかく遥々アビドスとシャーレから駆けつけてくれた人たちに対し、その態度はあんまりではなくて?」
ホシノ「えっ?」
???『ホシノ先輩ッ!!』
(ヒナの口から出た、予想外の単語。それらにホシノは、思わずヒナの顔を見つめ返す)
(すると直後、ホシノはどこからか現れた複数の気配に抱き着かれた!)
(その、正体は――)
ノノミ「ホシノ先輩、ホシノ先輩っ!よかった、ご無事で……っ!」
シロコ「ん、心配したよホシノ先輩。――無事で、よかった」
セリカ「ごめんなさい、ごめんなさいっ!わ、私があんな地図(モノ)見つけてこなければ……!」
アヤネ「セリカちゃんだけのせいじゃないよ。私だって、こんな事になると分かってたら……!」
ホシノ「み、みんな?どうしてここに?だってここ、ゲヘナじゃ――」
(泣きながら、ホシノの身体を抱きしめるアビドス廃校対策委員会の面々)
(状況の変化に理解が追いつかず、ホシノは呆然とされるがままになっていた)
ヒナ「私が先生を通して連絡したの。地下で、イオリ達と遭遇したという時点でね」
先生“――それで、すぐに私もノノミ達と合流してきたんだ。何と言っても生徒の一大事だからね”
- 193二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:36:55
ホシノ「せ、先生まで!?そ、そんな大げさな――」
アヤネ「大げさなんかじゃありません!私たちが、どれだけ心配したと思ってるんですか!」
セリカ「そ、そうよ!そりゃ、元を辿れば私が持ち込んだ儲け話のせい、だけど――本当に、本当に心配したんだからっ!」
シロコ「――ん。ホシノ先輩は、もう少し自分が愛されている事を自覚するべき」
ノノミ「同感で~す☆私たちだって心の底から心配してたんですよ~?」
(なおも泣きながら訴えかけてくるアヤネとセリカ。いつもの調子を取り戻しつつ、目尻にうっすらと涙を浮かべるシロコとノノミ)
(その姿を見て、ようやくホシノはどれだけ自分が後輩たちを不安がらせていたのか理解した)
(理解して――そっと、後輩たちの頭をなでていく)
ホシノ「……そっか。そう、だよね。心配、かけさせちゃったよね」
ホシノ「ごめんね、みんな。それとありがとう、こんなダメなおじさんの身を案じ続けてくれて」
ホシノ「もう大丈夫。おじさんはここにいるし、ちゃんと両手両足もくっついてるからね?」
ホシノ「だから――ただいま、みんな」
対策委員会一同『ホシノせんぱぁ~い!!』
(ホシノに抱き着き、感極まって再び一斉に泣き始めるアビドス対策委員会の後輩たち)
(そんな彼女たちの姿を、ゲヘナ風紀委員会も、先生も温かい目で見守っていたが――ふと、先生が内に抱いた疑問を口にする)
先生“そういえばホシノ、そのリュックどうしたの?何だかずいぶんと、大きく膨らんでるみたいだけど……”
ホシノ「う、うへ?あ、ああこれは――」
アコ「そういえば、私もずっと気になってはいたんですよねそれ。結局私やイオリ達とのやり取りでは一度も明かしてくれませんでしたし――イオリ、チナツ、あれから何か聞いてますか?」
イオリ「へ?いや全然。私らも気になって吐いたんだけど、全然触らせてくれなくて」
チナツ「それどころか、近寄ろうとすると激しく威嚇してきて拒絶される始末でして……」
ホシノ「そそ、それはその!だ、誰だって自分のカバンの中身とか、見られたくないものでしょ!?」
ヒナ「…………」
- 194二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:37:38
ホシノ「ふ、風紀委員長ちゃん?その、あんまりこのリュックには近寄らないでくれると有難いな~って」
ヒナ「小鳥遊ホシノ。このリュック、底の方がほつれかけているようだけど?」
ホシノ「うへ?」
(ヒナの指摘がきっかけとなったか。それとも単なる偶然か)
(限界に限界を重ねて詰め込まれたリュック、その底部がほつれ一斉に外れだす)
(次の瞬間――リュックの中に詰め込まれていたモノ全てが、一斉に放り出された!)
ドサドサドサドサーッ!!
アコ「な!ななな、なんですかこれは!?」
イオリ「何だこれ、昔のお金に宝石、それに……よくわかんないガラクタまで?」
チナツ「待ってください。これとこれ、図書室の本で見た事があります……確か、時価にして数十万はくだらない宝物ですよ!」
先生“す、数十万!?ホシノ、一体これをどこで!?”
ホシノ「う、うへぇ……じ、実はその~、さっきまで潜ってた洞窟の中で色々探し当てたもので……」
(そうして、ホシノはキリキリ白状させられた)
(流砂にハマり、マジルテに迷い込んだ事。その中で、偶然にも大昔のアビドス生徒会が遺したお宝の数々を見つけた事。調子に乗って、半ば脱出そっちのけで宝探しに明け暮れていた事等々……一切合切全て)
ゲヘナ風紀委員会一同『…………(しらーっ)』
先生“ほ、ホシノ……その、流石に今回の事は、ちょっと”
(説明を聞いていくにつれ、ヒナ達ゲヘナ風紀委員の顔が白けきっていく)
(戦いを共にしたイオリとチナツも、あの時勇者呼びしてくれた風紀委員の子達も。さらにアコとヒナもまた)
(先生ですら、あんまりといえばあんまり過ぎる事情を前に軽く言葉を失っていた)
(そして。一番心配していたであろう対策委員会の面々はというと――)
- 195二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:39:00
シロコ「私たちがあんなに心配してたのに。ホシノ先輩は一人で宝探し……?」
ノノミ「これは――ちょっと、いえさすがに頭にきますね~」
セリカ「ほ・し・の・せ・ん・ぱ・い~?」
(あれだけ泣き崩れていた姿はどこへやら)
(完全に涙は引っ込み、各々不満・呆れ・怒りに満ちた表情でホシノを見下ろす)
(一方、対するホシノはたじたじ気味に後ずさり……)
ホシノ「ま、まってみんな!これには深くて大きなわけが――」
アヤネ「――」
ホシノ「あ、アヤネちゃん!アヤネちゃんなら分かってくれるよね!?わ、私はただみんなの為を思って」
アヤネ「ホシノ先輩」
(絶対零度、あるいは超重圧とでも言うべきか)
(アヤネの口から出た、かつてない程冷たい声にホシノはビクッ!と身を竦ませる)
(その凄みは、遠巻きに見ていたゲヘナ風紀委員会や先生をして一瞬震え上がらせるものがあった)
ホシノ「あ、アヤネちゃん……?」
アヤネ「ホシノ先輩――――お説教の、時間ですッッッ!!!」
(ドンガラガッシャーン!!と。さながら本当に雷が落ちたかのような大音声)
(かくして。命からがら生還したにもかかわらず、ホシノは救護されながら説教も同時にされるという事態に陥ったのであった……)
ホシノ「うわぁあああ――なんでぇ――!?」
ホシノ「もう、宝探しなんてこりごりだぁ~!!」
- 196二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:39:15
- 197二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:43:40
以上、長々と失礼しました。これにて『ホシノの洞窟大作戦!』編は完結です!
そして、これで事実上本スレでのホシノカービィシリーズも最後となります
今まで見て下さった方、感想を書き込んでくれた方。本当にありがとうございました!
自分もまさかここまで長い付き合いになるとは思ってもいませんでした…
最初にSS投稿した時は、せいぜい1スレ限りの付き合いだろうとばかり
それでも最初にここのスレが建ってからの数か月間、本当に大変ながら楽しい時間を過ごす事ができました!
今後またSSを書くかどうかは未定ですが、またどこかで会えたら幸いです
最後に。本スレを最初に建て、それからずっと保守管理を続けてくれたスレ主さん、長い間お世話になりました!
心より感謝とお礼をここに述べます。重ね重ね、今までありがとうございました!
- 198二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:59:46
- 199スレ主24/08/31(土) 23:08:02
さて、ここからはスレ主として。
数ヶ月の間、みなさん本当にありがとうございました!
ヒナとメタナイトはシナジーがあるなぁ…という軽い気持ちで立てたスレがここまで続いてくれた!それだけで自分は本当に嬉しいです!
そして1つのSSから他の方々がそれに続いて書いてくれて、本当に嬉しかったです!楽しかったです!!
このスレシリーズを通して、もっとブルアカを、もっとカービィを好きになっていただけたなら幸いです!
前述の通り、しばらくはスレを立てることはないでしょうけど…いつかまた何かのスレを立てられたら良いなぁと思います。
本当に皆様!長らくお付き合い頂き、誠にありがとうございました!!また会いましょうね!!! - 200二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:11:29
