- 1二次元好きの匿名さん22/02/16(水) 23:15:35
※曇らせ要素あり
※現在進行系のスレが元ネタ
タイキシャトル(29)|あにまん掲示板ヘーイ、ボーイ達!道路で遊ぶのは危ないデスよー! 公園空いてるから、サッカーはそこでやるのがベストデース!はぁ……また、やっちゃった。もう15年も日本に居るのに、カタコトだった時期の喋り方が未だに抜け…bbs.animanch.com※キャラ改変あり
※スレで出てなかった、働きはじめのタイキシャトルがメインです
それでも良ければ今から書きます
- 2◆CTE0YLiQSw22/02/16(水) 23:25:03
とあるオフィス。如何にも業務用といったデスクが並び、スーツ姿の者達が集まる場所で、二人の女性が挨拶を行っていた。
「ワタシ、タイキシャトルと申しマス! よろしくおねがいしマス!」
「め、メイショウドトウです……! 迷惑かけちゃいますが、何卒よろしくおねがいします!」
二人のウマ娘は新卒として採用されていた。タイキシャトルと名乗る快活なウマ娘は、人受けの良さそうな笑みを振りまき、メイショウドトウと名乗る気弱な雰囲気のウマ娘は、深くお辞儀をしていた。
「よろしく、二人共。私はこれから貴方達の上司になる者よ。早速だけど、導入研修を行うわね」
二人の上司となった女性は、職場のシステムと、就業規則、そして主となる仕事を教え込む。
タイキシャトルは、上司の話を聞きながらメモを取っているうちに、無意識に近寄っていた
「タイキさん、貴方は少し態度がフランク過ぎるわね……あ、いや、悪い事ではないのよ。ただ、無意識なのは少し危ないから、せめて意識してね」
「oh、ソーリ……スミマセン! ワタシ、まだ学生気分があまり抜けてなくって……」
「仕方ないわ、新卒なんて私だってそうだったから。そういう意味では、ドトウさんは気弱だけど他人との関わり方は満点ね」 - 3◆CTE0YLiQSw22/02/16(水) 23:49:27
「は、はい! ありがとうございます!」
メイショウドトウは、上司の称賛に対して背中をピンと張る。しかしメモを取る手は疎かにはならず、何が良かったのかを彼女なりに解釈していた。
「教える事はこれくらいね。ここからは雑談なんだけど……タイキさん、貴方は本当にこの職場で良かったの? アメリカに家族を残してるらしいけれど……
「ノープロブレ……モーマンタイです! 少し遠いですけど、会おうと思えばいつでも会いにいけマス! ワタシもオトナになりましたし、折角日本に居るのなら日本で働きたいんデス!」
「貴方が良いなら良いけれど……ここ、常に人材募集してるし。ただ……大人になると、親に会える回数が減ってしまうわ。そこはよくよく注意してね」
女性は、何かを思い出すかのような、後悔しているかのような瞳でタイキシャトルに忠告する。しかしまだ若いタイキシャトルには、女性の言葉の重みを理解しきれていなかった。
「……? そう、デスね? 確かに、会える回数は減っちゃいマスネー……」
タイキシャトルなりに女性の言葉を解釈しようとしているが、女性はやや困ったように瞳を細める。
「まぁ、私のお節介よ。気にし過ぎるのも良くないわ。さ、ドトウさん。タイキさん。最初は雑用のみだけど、3日もすれば前線入りよ。貴方達ならどんな相手でも交渉を上手く行えるはず、期待してるわ!」
「「はい、がんばります(マス)!」」
この時のタイキシャトルは、理解していなかった。世界は残酷で、予測できないものであるということを。 - 4◆CTE0YLiQSw22/02/16(水) 23:50:36
数ヶ月働き、二人のウマ娘達の中にも余裕が生まれた頃だった。
昼休み中、カフェテリアでメイショウドトウとタイキシャトルは雑談していた。
「ウーン、変ですネー……」
「タイキさん、どうしたんですか?」
「毎日、パパとママにメールを送ってるんですケド……昨日から連絡がつかないんデス」
タイキシャトルは、相手からの既読がつかないメッセージを開きながらメイショウドトウと雑談をしていた。
その時、タイキシャトルのスマートフォンからコール音が鳴り響く。
「あ、シスターからデス。Hi、sister! ……pap、mam……hurricane? missing……?」
会話をしているうちに表情がどんどん表情が青ざめていくタイキシャトル。瞳からは少しずつ光が消え、何かを聞いた瞬間にタイキシャトルは通話を切ってしまった
再びコール音が鳴り響くが、タイキシャトルは拒否をし続けている。
「タイキ、さん?」
「……パパとママの住んでる家が、ハリケーンに巻き込まれて……それで、パパとママか、い、いな、いなくなって」 - 5◆CTE0YLiQSw22/02/16(水) 23:54:19
「た、タイキ、さん……」
メイショウドトウは、何も言えなかった。根拠のない慰めが、余計に彼女を傷付けるかもしれない。ただ震えるタイキシャトルを抱きしめる事しかできなかった。
「イヤ、イヤ、イヤ……!」
昼休みのカフェテリア。一人のウマ娘の嗚咽と、けたたましく鳴るスマートフォンのコール音だけがその空間を包んでいた。
その場面を見て呑気にしていられる者など、誰も居なかった。あのムードメーカーのタイキシャトルが、この状態になるのだから。 - 6◆CTE0YLiQSw22/02/16(水) 23:58:51
電話を取ろうとしないタイキシャトルに代わり、メイショウドトウがそのコールを取る。
「もしもし……」
『Japanese……? あぁ、貴方が姉さんの友人の……ドトウさん? あぁもう……姉さんは多分駄目だから、ドトウさんに説明しますね。後で落ち着いたときに姉さんに説明してください』
流暢な日本語がメイショウドトウの耳に入るが、それを気にする余裕もなかった。妹が告げた内容としては、タイキシャトルの両親が住む地域が大嵐に巻き込まれ、二人が住んでいたであろう住宅が吹き飛ばされた事、両親はそれ以来行方不明になり、嵐の過ぎた場所には、二人が直前まで身に着けていたスマートフォンの残骸が散らばっていたこと。
それらの要素から、タイキシャトルの両親は、恐らく亡くなっている。それを告げた瞬間、タイキシャトルは電話切り、耳を傾けようとしなくなっていた - 7◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:02:36
タイキシャトルは、ただ震えていた。膝から崩れ落ち、親友であるメイショウドトウの言葉にも耳を傾けようとはしなかった。
仕事にならないどころか、このままでは彼女が壊れる。そう考えたメイショウドトウは、二人揃って早退し、タイキシャトルの住む独身寮まで見送る。玄関まで来てタイキシャトルは落ち着きをようやく取り戻してきた。
「ノープロブレム……とは、言えません。今日は、少し、休ませてください。でも、明日には元気になります、なりますとも!」
「む、無理しないでくださいね? その、国に戻る時とかは、手続きとか手伝いますから……」
「……パパとママは、死んでなんかいません。国に戻る必要なんか、ないデス。大丈夫、大丈夫なんです」 - 8◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:07:39
平常とは言い難いその様子を見て、メイショウドトウはそのまま帰ることは出来なかった。
「……一緒に、いますよ。ご飯は私が作ります。だから、今日はゆっくり休んでください」
「……センキュー、ドトウ。私、チョット疲れちゃったので、グッナイしますネ」
家にあがると、タイキシャトルはそのまま布団に潜りこみ、横になる。メイショウドトウは、食べやすいお粥やスープなどを作り、タイキシャトルが目覚めるまで待つが、その日にタイキシャトルが目覚めることはなかった。
メイショウドトウが目を覚ます頃には日付が変わっていた。
「オハヨウ、ドトウ! 昨日はゴメンナサイ。元気バリバリのゲッコウチョウです!」
空元気には見えないタイキシャトルの態度が、逆にメイショウドトウの不安を煽る - 9◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:12:40
だが、メイショウドトウは昨日のように国に戻るべき、とは言えなかった。あの時のタイキシャトルの表情は、恐怖と絶望に染まっていた。もう一度同じことを告げれば壊れてしまうかもしれなかった。
「……その、タイキさん。ご飯、あたためますね」
「oh……昨日のうちにドトウの美味しいご飯をすぐに食べれないなんて、アンラッキーデース……うっ、涙が、涙が、止まらない、デス……」
笑いながらもポロポロと涙をこぼすタイキシャトル。メイショウドトウは、何も言えなかった。どうして泣いてるのかは分かっているのに、なんと声をかければいいのか分からなかった。
「ワタシ、バ鹿でした。あの人の言うこと、何も理解してなかったんです、ひっぐ、何にも、なんにも……うっ、えぐっ、うぅ……!」
縋るようにメイショウドトウに抱き着くタイキシャトル。その日は無断欠勤となった二人だが、誰もその二人を責めることはできなかった。 - 10◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:16:32
それから数年後。すっかり明るさを取り戻し、日本語も更に流暢になったタイキシャトルは、誰もが慕う職場のエースとなっていた。新人には常に優しく、人懐っこい笑みで緊張している人達を暖かく出迎えていた。
「はいはーい、新人さん達! 私はタイキシャトルデース! 貴方達の入社を待機しとる……あれ? ウケない? 会長さんにはこれで爆笑間違いなしって言われたのに……」
つまらない駄洒落を挟みながらも、タイキシャトルの仕切る新人歓迎会は和やかに進んでいた。新人達を出迎える姿を見て、タイキシャトルが未だに傷心してると思う者など誰もいなかった。
ただ一人を除いては - 11◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:20:47
「……タイキさん、あれからハグもしなくなりました。他人と関わるときに、壁を作るようになっちゃいました。私と関わるときも、どこか一歩置いてるような……だけど、常に誰かと関わりたそうな……」
ぎりり、と拳を握り込むメイショウドトウ。親友の助けになれない自分の無力感が、メイショウドトウを苦しめていた。
タイキシャトルは、常に誰かと共に居たがる。それまではメイショウドトウでも理解できた。彼女は寂しがり屋だからだ。
しかし一歩距離を置くようになったのは、彼女の両親の訃報を聞いてからだった。誰かと密接な関係にならないように振る舞っていた。それは、親友であるメイショウドトウも例外ではなかった。
「……なんとかしなきゃ。あのままだと、タイキさん……でも、どうすれば」
強く握った拳が掌に食い込み、血が流れ出てもメイショウドトウは力を緩めなかった。あの日から、メイショウドトウがタイキシャトルの家に上がれたことはなかった。 - 12◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:28:13
寂しい。
だけどあんな想いは二度としたくない。寂しい
寂しいよ、寂しいよ。誰か、私を助けて。でも助けないで。誰も私の前に現れないで。誰も私の前から消えないで。
パパ、ママ、ドトウ、スズカ、フク、パール……
ぐるぐるとした感情が、タイキシャトルを包む。そしてタイキシャトルの大事な人達は、彼女の目の前で大嵐に巻き込まれて吹き飛ばされた。
「イヤアアアアッ!!」
絶叫しながら目覚めるタイキシャトル。夢であることを理解したタイキシャトルは、薄暗い部屋で呼吸を整える。
「また……また、あの夢……皆とキャンプした時は、大丈夫だったのに……」
一人で寝ているときに見る悪夢。学園で暮らしていた時はルームメイトがいたが、今は誰もいない。連絡を取り合う両親も、もう居ない。
タイキシャトルの心は、とっくに壊れていた。
「……仕事、行こう。皆が、待ってる」
流暢な日本語で独り言を呟くタイキシャトル。彼女は、意図して英語訛りの発音を減らしていくうちに、あらゆる言語表現を日本語で行うようになっていった。
そして一人でいるときは、かつての明るさはない。外に出るその瞬間まで、冷たく暗い顔をしていた。 - 13◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:33:45
休憩時間にて。喫煙ルームで二人の男が話していた。
タバコをふかしながら、タイキシャトルについての話を行っていた。
「タイキシャトルさんって、本当に日本語上手いよなぁ。美人で優しくて明るくて……でもなんでか分からないけど、お近付きになりたいとは思えないんだよな」
「分かる。非の打ち所がない美人なんだけど……なんか、無意識に壁作られてる感じするよな」
二人の男は、完璧な女性に対して何故、邪な欲望が欠片も沸かないのか。男達は、自分の価値観に対して疑問を覚えていた。
「……でもまぁ、あの人ならきっと彼氏はいるだろう。あんなに良い人がフリーなわけもない」
「あー、それな。どうせフリーなわけないのに狙うのもなー……高嶺の花っつーか、他人の花だわな〜」
事情を知らぬ男達は、都合の良い解釈を結論として話を終わらせていた。 - 14◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:41:03
そしてまた月日が経ち、タイキシャトルも29歳。三十路に突入する頃。
壊れた心は、壊れた環境に慣れてしまった。毎日のように寂しさで枕を濡らすのも慣れてしまった。
「うっ……ううっ……寂しい、寂しいよ……」
タイキシャトルは、最低限の食事を外で済ませた後は毎日疲れるまで泣き続けていた。腫れた瞼は化粧で誤魔化していた。彼女の美貌のおかげで誤魔化せてはいたが、旧知の仲と言える者達は流石に異常を理解していた。
「……学園にいた時は。レースしてたときは、皆がいたのに」
友人達の差し伸ばした手は、未だ届く事はなかった。タイキシャトルは、距離を詰める事を怖がっていた。それに加えて、タイキシャトルの友人達も次々結婚していった為に、そもそも集まることが困難となっていた。
「トレーナーさん、トレーナーさん……会いたいです、もう一度……うっ、うう……!」 - 15◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:47:10
彼女の青春を駆け抜けたトレーナーは、卒業を機会に疎遠となってしまった。仕事に追われるうちに連絡先も途絶えてしまったが、タイキシャトルはトレーナーを慕っていた。もうひとりの父親のように……あるいは、一人の男として。
「……すぅ……すぅ……」
泣き疲れたタイキシャトルは、目に隈を作りながら眠りについた。悪夢を見ないように、深く深く眠りにつく。そもそもの体力が落ちているため、夢を見るほどの活力さえも彼女には残っていない。
そんな彼女に転機が訪れる。職場の後輩達がバーベキューに誘った時だ。
「良いですねー! 夜通し騒げますよー! 寝かしませんからね!」
本当はそんなことしたら体力がなくなって翌日ダウンする、そう思っていたが、泣き続けるよりはマシだろう。そう思い、後輩達のバーベキューに参加する。
そうして集まった会場には、かつての恩師の姿があった。
「トレーナー……さん?」 - 16◆CTE0YLiQSw22/02/17(木) 00:47:26
終わりです
- 17二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 11:00:19
終わるな
- 18二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 11:27:55
チュン チュン チュン(まぁイロイロあってトレーナーさんと朝チュンして幸せになるから皆もタイキシャトル29歳スレ見よう!並感)
- 19二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 11:31:15
そこで終えるな馬鹿者(続き書いてくださいお願いします)
- 20二次元好きの匿名さん22/02/17(木) 12:27:46
あのスレが完走したら続き書きます