- 1二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:35:04
- 2二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:36:37
生肉ドレス
- 3二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:46:50
- 4二次元好きの匿名さん24/08/21(水) 23:48:50
もちもちドラゴンか…
- 5二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:26:23
「ぷ、プロデューサーさん……!」
帰り際、彼を呼んだ甜花の顔はいつになく真剣だった。ともすると大事なオフの日を申請するとき以上であり、呼ばれたプロデューサーも思わず「お、おう……!?」とわざわざ椅子を回して甜花に正対する。
「これ、読んで、ほしい……!」
そう言って甜花が差し出した本を、プロデューサーが受け取った。表紙を飾るのは、甜花と同じくらいの歳のファッションモデル。その服装は落ち着きながらもどこか妖艶で、それが彼女を年齢よりもずっと大人っぽく見せている。
「ファッション雑誌か」
「そう……ファッションの、雑誌……!」
普段あまり手入れしていないはずなのに形のいい天然物の眉をキリリと傾けて、甜花は力強く言った。
「……理由を聞いても?」
しかし、プロデューサーに尋ねられると、「あうぅ……」といういつもの鳴き声とともに、八の字の困り眉に変わる。空いた両手でもじもじと指を組んだりほどいたり、視線も足元やデスクなどあちらこちらに逸れる。
たっぷり数十秒はそうしていただろうか。口元を両手で隠すようにしながら、甜花は「……えっと、ね」と恐る恐るといった様子で答えた。
「今度、プロデューサーさんと、お出かけ……で、デート……!するとき……甜花、どんな服がいいか……わかんなくて……」
ところどころ声を裏返しながら、とつとつと言う。
「だから……プロデューサーさんに、好きなの……選んでもらおうかな、って……」
ようやく説明を終えた頃には、その顔はうっすら赤くなってしまっていた。
「……そっか」
プロデューサーは短く言うと、一度だけ頷いて、受け取った雑誌をデスクに置いた。その雑誌に、甜花とプロデューサー両者の視線が集まる。
「甜花も普段、どこかにお出かけするときはあるだろう?」
「う、うん……ゲーセン、とか……近くでレアモン出たときとか……」
「俺と出かけるときも、そういうときに着てる服でいいよ」 - 6二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:28:32
- 7二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:28:52
「で、でも……」
「それでさ」
不安そうな甜花の言葉を遮って、プロデューサーはやや大げさなくらいに笑ってみせた。
「お出かけで、一緒に服を見に行かないか?」
「……甜花の……?」
「うん。実際に見てみたり試着したりしながら選んだほうが、やっぱり良いと思うんだ」
「……一緒に、服屋さん……」
口の前でもじもじとした手はそのままに、甜花はややへにゃりと、だらしない笑みを浮かべる。
「にへへ……デートっぽい……!」
甜花の知る「デート」はまだフィクションの中にしかない。時には過剰なほどにきらきらとしたそれはあくまで作り物であるとは分かっている。
それでも、淡い憧れが少なからず現実になる期待を隠しきれず、笑みが漏れてしまうのを止められなかった。
「じゃあ……待ち合わせは、いつもどおりの格好で……行く……!だから、プロデューサーさんも……あんまり、おしゃれしてこないでね……!」
「あ、ああ……」
嬉しそうな笑顔に楽しげな声色とは裏腹な、微妙に弱気な発言。そんなものを残して、甜花は足元に置いていた自分のバッグを取った。
「それじゃあ、お、おつかれさまでした……プロデューサーさん……!」
「おう、おつかれさま」
「にへへ」という浮かれた笑い声とともに、足取り早く甜花は事務所からフェードアウトしていった。
残されたプロデューサーは、微笑んだまま満足気にため息を付く。
甜花に似合う服を、ちゃんと選べるようにならなければ。そう思いながら、甜花の置いていった雑誌の表紙をめくった。
そして、ぱらぱらと何ページか見ると、「……なるほど、分からない」とだけ呟いて、ぱたんと雑誌を閉じて、ひとり頭を抱えた。 - 8二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 00:33:50
- 9二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 05:40:26
(びっくりした………適当に建てたのに起きたらSSが書かれてた…)
- 10二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 07:19:54
でももう甜花のものだよ
- 11二次元好きの匿名さん24/08/22(木) 10:00:49