- 1二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 23:52:12
- 2二次元好きの匿名さん24/08/26(月) 23:56:00
前スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart5|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバの活躍は起こるはずだ…bbs.animanch.com1スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら|あにまん掲示板アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。bbs.animanch.com2スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。はたして、アグネスは、ルナマ…bbs.animanch.com3スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart3|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。己を取り巻く不可解な状況に四…bbs.animanch.com4スレです
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart4|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバとアグネスはその進撃…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 01:26:20
ピピピピピ。ポチッ。
ベッド布団にくるまり、瞼を空ける。体を大の字にして今度は天井を見上げる。ここはゴンドワナの宿舎の一室。
昨日の出来事、二個艦隊との会戦、勝利と敵艦隊の殲滅、慌ただしい救助活動とゴンドワナへの帰還がまるで幻のようなに感じる。
アグネス「(どうにも実感がわかないわね)」
あれが一日のうちに起きたことなのか?いや、正確に24時間ぴったしというわけではなかったが、それにしても。
アグネス「(考えてもしょうがないわ。心配ならメイリンにでも聞けば?アグネス・ギーベンラート)」
そう自分に言い聞かせ、制服に着替える。マインドフルネス、マインドフルネス。自分の呼吸に意識を集中させ、冷静さを回復する。
アグネス「(良し!)」
ガシャッ。と敢えて大きく音を立て、扉を押し開きバタンと閉じる。昨日を終わらせ今日を始める為に。
コンコンコン。
アグネス「メイリン。おはよう。起きてる?」
隣の部屋のメイリンを起こす。一応、私達軍人だし、時間を守らねば。
メイリン「ちょっと待ってください。すぐ…」
パタパタと中で軽い物音がリズムよく聞こえる。良かった。彼女はまだ大丈夫ね。
ガチャ!
メイリンの隣の部屋から制服にぴっちり着替えたルナマリアの姿。相変わらずのスカートの丈だわ。
アグネス「おはよう。ルナマリア」
ルナマリア「おはよう。アグネス。どうしたの?」
アグネス「いえね。何時ものスカートの丈だな、と思って」
ルナマリア「どういたしまして!そう言えばあんたはズボンに変えたのね。化粧の仕方も変わってる…。心境の変化ってやつ?」 - 4二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 01:33:04
確かに見た目もいろいろ変わったわね。胸に付けている略綬の数だけじゃない。カーペンタリアでメイリンとお買い物をした辺りから、化粧は薄め、もしくはナチュラルメイクを心掛けている。気分によっては前と同じくらいの日もあるけど。
スカートからズボンにしたのは最近のこと。ガルナハンで墓地に跪いたとき、足が痛かったのがきっかけ。ロングにしようとしたけど何か中途半端でしっくりこなくて、この前の叙勲式が終わった後、思い切ってみた。因みに周りの男どもは何も反応を返さない!
アグネス「(案の定なバカどもだったわ。何か言うものでしょう?普通。似合っているとか、前の方が良かったとか…。後者ならまた考えたのに)」
自分としてはこれまで凄い短いスカートだったから、やっぱり鏡で自分を見るたびに違和感を覚える。あんな場面はそうそうないと思うのにどうして身だしなみまで変えたんだろう?自分でも良く分からない…。
アグネス「まあ、そうね。気分でスカートも履くわ。今日はそういう気分じゃないだけ」
ルナマリア「…。そうね。それはなんか分かるわ」
うん。感覚、残っているものね。実体剣だったし。機体の振動を通して『切り殺している』感じがあったわ。まあ、直ぐに元通りのはずよ。これまで通りの戦闘。戦争は殺人ではない。
義務を果たし、手柄を上げただけのこと。アーモリーワンから、こなして来たじゃない!
規模に慄いているだけよ。きっと。
アグネス「(今更…。らしくないわよ、私。雑魚の首の数で勲章が増えるんだから、もっと喜ばなきゃ!)」
メイリン「遅くなりました!おはようございます。アグネスさん!おはよう。お姉ちゃん」
ルナマリア「遅い。たるんでるわよ」
アグネス「まあ、まあ」
私が『まあ、まあ』?そう言われる側でしょ。普通。
案の定、目を丸くする二人の表情に敢えて気が付かないふりをして、3人で食堂に向かう。 - 5二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 01:55:32
保守
- 6二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 03:13:15
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 05:49:36
保志
- 8二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 05:51:12
建て乙です
一時的かもだがついに原作ルートから大きく外れたなー
AAやファントムペインとはどうなるか… - 9二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 05:55:35
そろそろOPが僕たちの行方に変わる辺りか?
- 10二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 05:55:55
10保守
- 11二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 09:34:03
ゴンドワナの食堂で朝食を皿に取分けていると、食堂のモニターからニュースが聞こえてくる。
ニュースキャスター「昨日の月軌道会戦から一夜。地球連合軍月艦隊大敗の報は各国に衝撃をもって受け止められています。既に大規模な反戦集会が大西洋連邦、ユーラシア連合等、条約加盟国各地で自然発生的に発生、大西洋連邦内ではコープランド大統領が和平の意向を固めつつあるという観測も…」
ニュースキャスター「大西洋連邦首脳筋の情報によると連邦政府はオーブ連合首長国に兵力の派遣をいっそう強く求める方針であるとのこと、オーブ国内の世論は出兵反対派が過半数を占め…」
ニュースキャスター「大西洋連邦からの要請にオーブがどう応えるか世界の注目が集まっています。一方、首都オロファトではアスハ代表の意向を尊重し、戦争への直接参加を拒もうとする市民が大規模なデモ活動を計画。オーブ政府の対応次第ではゼネスト決行の観測も流れています。首長会とは別に国民から直接選挙で選出された国会では賛否が拮抗しつつ有り…」
アグネス「(反応が早いわね。当たり前か…。流石にあの規模の敗北、隠せるはずもないわね。それにしても今の情勢。流動的すぎるわ)」
3人で席について朝食も頬張る。ゴンドワナのパン、美味しいわね。おかずなしでも何個でも食べられるわ。
食事の話題はどうしても、世界情勢と仕事になってしまう。3人とも職業柄仕方ないか…。
ルナマリア「オーブね。シンの母国か…。どうするんだろう?」
アグネス「今はアスラン先輩の祖国でもあるわね。そうね。この状況で派兵要請に応じるのはセンスゼロだけど…」
メイリン「セイラン家は連合と一蓮托生ですからね。う~ん。でもアスハ代表が派兵反対であることはもう国民も理解していますし。あの声明の真偽について政府は表向き『関知しない』としていますが…」
私はどうするべきなのだろう。いや、私の役割はさほど問題ではないかも知れない。アスランがどう動くのかが、ポイントだわ。 - 12二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 09:37:24
アグネス「(いっそ最高評議会を説得して、オーブと単独講和できないかしら。講和後の安全保障ならオーブ本国に駐留しなくてもカーペンタリアからも援助可能だし)」
ここでオーブを大西洋連邦から離反させられれば、ドミノ倒しのようにこの戦争が終結していくかもしれない。
何だったら、戦後、オーブが永世中立国を目指すならプラントは保障国の一つになっても良いはず。
それはそうと―
メイリン「私達の今後の任務はどうなるのでしょう?」
アグネス「それも問題よね。やっぱり、上の判断次第でしょうけど、私としてはこのまま戦闘哨戒も兼ねつつ、月裏側の偵察もやるべきと思うのよね」
パンを齧りながら2人と話す。礼儀作法?桟橋に置いてきたわ。改まった席でもないし。
ルナマリア「そうね。月軌道艦隊とか言いつつも、アルザッヘルの膨大な兵力と対峙せざるを得なくて、そっちはあんまり行けてないのよね。今、連合艦隊が大打撃を受け混乱している時期なら、可能かも。常時やるにはまだ、アルザッヘルに兵力が残っているけど、今ならね」
アスランやハイネ先輩、艦長を説得してフェイス権限で評議会と国防委員会に上申してもらった方が良いかな。まだ、ミネルバの修理完了の報告は受けていないし。
食後のコーヒーを飲みながら、食堂の兵達を何と無く見回す。
アグネス「(さっきから他部隊の兵士からやたらと私達、注目されているのよね。針の筵とは違うけど。注目されるに値するだけの手柄を上げたのは確かだけど、食事中はそっとしておいてほしいわ)」
まあ、堂々としていましょう。叙勲がいつになるか、楽しみだわ。 - 13二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 11:01:32
このままだとレクイエムがバレるのも時間の問題だしジブリールが想定より早く動き出すかもなぁ
- 14二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 11:08:24
たておつです
前スレから出てきてるナスカ級の名前みんなどっかで聞いたことあるなーと思ったら天空のキラでエターナル追撃に来てた3隻やネオジェネシス照射で巻き込まれた艦か - 15二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 17:02:48
捕手
- 16二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 23:24:36
そろそろオーブ派兵阻止のためにアークエンジェルと協調して動きたいところだろうけど…まだミネルバは修理中か?
アスランとセイバーだけでも送り込んで支援できたらなあ。 - 17二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 23:52:08
コーヒーを飲み終え食堂を退出。
一旦、ルナマリアやメイリンと一緒に自室に引き上げる。一応、大規模な戦闘の翌日である今日は、ご褒美にパイロット、クルー皆一日休暇を貰えている。
逆に言えば、私達は明日にはゴンドワナを次の順番の隊に明け渡して、出港しなければならない。
ここからどう動けばいいのか。いや、もっと具体的に今日、私はどう動く必要があるのか?
アグネス「(黙っていても任務は勝手に下りてくるわ。ただ、この流転が激しい世界情勢。ただ無関心に流されていては負け組になりかねない。あのインチキ議長の動向も気になるし…)」
そう思ったなら…。いや、でも今日は皆、オフか?う~ん。
考えが上手くまとまらない。こんなに自分は鈍い人間だっただろうか。というか、そもそもゴンドワナの艦内自体不案内だわ。迷子になりそう。取り合えず何時もの面子に合流しなければ。
戻ったばかりの自室を出て、隣のメイリンの部屋のインターホンを押す。流石に朝に続いてノック連打は気が引けるわ。
アグネス「メイリン。これからの対策も考えないといけないから、私はアスラン先輩や、シン達に会いに行こうかと思う。休暇中に相手に悪いかな?」
メイリン「いえ。こんなご時世だし当然かも。私も一緒に行きます」
アグネス「ありがとう」
メイリンも元々同じことを考えてたのか、ノータイムで部屋から出てくる。緑の制服の上下・タイトスカートをキッチリ着こなす彼女、随分頼もしく格好が良い。
アグネス「(メイリンが伸びたのか、私が気づいていなかったのか、どっちだろう?)」
多分、両方だけど、後者の割合がより大きいだろう。
アカデミー入学前から私の中で『緑服』は侮蔑の対象だった。口に出したことは無いつもりだけど、赤未満の人間はよっぽど親しい者かディアッカ先輩のような例外じゃない限り、モブだと思っていた…。 - 18二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 23:55:37
メイリン「どうしました?」
不思議そうな顔で、メイリンは私に尋ねてくる。
アグネス「いえ…。いや、その制服姿カッコいいわね!きっと、これからモテ期(?)が来るわ!」
我ながら意味不明な発言だが、メイリンはそれを誉め言葉と取ってくれたらしい。嬉しそうな顔でお礼を言ってくれる。
メイリン「ありがとうございます!お姉ちゃんも連れて行きますか?」
アグネス「当然!ルナマリア!」
コンコンコンコン!
ルナマリア「どうしたの?!何」
インターホンからルナマリアの声が聞こえる。
アグネス「メイリンと何時もの面子-アスラン先輩やシン達-と合流して今後の善後策を考えようと思って。来る?」
ルナマリア「行く。着替えるから待って!というかノックじゃなくてインターホン押してよ。朝起こしに来たわけじゃないんだから」
アグネス「『運命はこのように扉を叩く』ものよ」
ルナマリア「それは俗説」
しょうもないやり取りの後、制服姿になったルナマリアが姿を現す。一瞬開いた部屋には脱ぎ捨てたズボンが…。悪いことしたかな。
アグネス「悪いわね」
ルナマリア「いえ、置いてけぼりにされなくて、かえって良かったわよ」
そう、なら―
アグネス「行きましょうか!」
ルナマリア「アポイントメントは?」
メイリン「そんな暇なかったよ!」
ルナマリア「そうね。うん」 - 19二次元好きの匿名さん24/08/27(火) 23:59:48
急展開なんだ。そもそもアーモリーワンから。用意も準備も何もない。伏線も回収もあったもんじゃない。回収と伏線が同時パンチに来てそれがずっと続いているようなもの。そもそも昨日の会戦自体がそうだった。
アグネス「まあ、レディのお誘いを無下にはしないでしょう」
ルナマリア「レディね…」
アグネス「何よ!私はレディよ!」
ルナマリア「ああ…。確かに身分的な意味で言えばそうね」
女性士官宿舎を出て窓口の保安兵2人に敬礼。几帳面そうな男と逞しいゴリラのような女性兵。私達の貞操を守ってくれているわ。ゴリラは優しい。増して彼女はゴリラではない!二人の返礼を受けて直り、今度は男性士官宿舎に向かう。
男性士官宿舎の窓口を守る保安兵は何か気だるそうね。こっちは一人だわ。インターホンを押して声をかける。
アグネス「申し訳ありません。ザラ特務隊員、グラディス隊、シン・アスカにお話が…」
保安兵「一応、手続きを踏んでもらわないと…」
保安兵は、最初はうろん気に私達を見た後、私の胸の略綬を確認。更に改めて私、ルナマリア、メイリンの順で顔を確認すると窓口から慌てて飛び出してきて敬礼してくる。
保安兵「ザラ特務隊員とグラディス隊、シン・アスカさんですね。直ぐにお呼びします。ただ、もしかしたら…」
ルナマリア「ええ。あちらがお忙しいようなら無理には…」
保安兵「分かりました。少しだけお待ちください」
窓口に急いで戻り、内線電話をかけ出す彼を見ると不思議な感覚になる。思い出すといった方が正しいか。
ファミリーネームを名乗って特別待遇を受けるのは子供の頃から慣れっこだった。でも、アカデミー入学後は、『軍』に入ったら、その手は原則使えない。『原則使えない』だけだったけど。
一般待遇に慣れたと思ったらこれだから風邪をひきそうになるわ。
アグネス「(名誉勲章持ちじゃないし、そこまでして貰う義理は無いのだけど…)」
昨日の大勝利の後だから、まあ、これぐらいはしてもらってもいいかな。 - 20二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:02:48
保安兵「直ぐにいらっしゃると。あ、ちょっと待ってくださいね!」
保安兵が詰所からパイプ椅子を三脚引っ張り出し始めたので慌てて制止する。
アグネス「そこまでして頂かなくても…」
保安兵「いえいえ」
ルナマリア「本当に結構ですから…」
保安兵「まあまあ。どうぞどうぞ」
日系みたいなやり取りの末に広げられた3つの椅子。
仕方が無いのでルナマリアとメイリンと一緒に座るわ。
アグネス「(レディがどうのこうの言っていたけど…。実際にやられると心苦しいというか、変な感じね。周りの視線が恐いわ。見られてないわよね!?)」
自分の手柄をひけらかして下っ端に横柄な態度を取っている、と思われたらどうしよう?
ルナマリア「針の筵、とはこのことね」
メイリン「お姉ちゃん、多分ちょっと意味が違うよ」
アグネス「違わないわよ。失敗したかも…」
私達の『おもてなし』に成功した保安兵は何か満足げな顔をしている。う~ん。丁寧な接客、かえって迷惑ね。これ。
暫く座り心地が二重の意味で悪い椅子に座っていると向こうからアスラン、シン、レイ(呼んでない!)、そしてハイネ先輩!!
ガチャン!
パイプ椅子から撥ね飛ぶように立ち上がって敬礼。三人同時。サクッとアスランとハイネ先輩に返礼され、直り、急いで椅子を片付ける、片付けようとするが、また保安兵が邪魔して自分でやってしまう。
アグネス・ルナマリア・メイリン「ありがとうございます」
保安兵「いえいえ」
『いえいえ』じゃないでしょう!こういう時、階級社会のようで割とフラットなザフト軍の体質を感じるわね。 - 21二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 00:09:40
そのまま私達は気を付けの姿勢を取ろうとするが、その前にハイネ先輩が目の前に来て話し出す。
ハイネ「お前達。随分、仕事熱心だな」
アグネス「はい。ありがとうございます」
皮肉、と言う訳じゃなさそうね。素直な行為を感じるわ。
ハイネ「ということは、やっぱり任務の話か?」
ルナマリア「そうです」
メイリン「!?!」
あれ、メイリンどうしたの、その顔…。しまった、ここまで来て私とルナマリア、メイリン、3人とも話す内容を詰めていない!
アグネス「(仕方ないじゃない!準備万端でやるプレゼンじゃないわ。意見を出し合う類のもの。乗り切るわよ)」
どの道、今日の午前に打ち合わせしておかなければいけない内容ではあるんだから。
アグネス「今後の任務や隊の方針について、出来れば認識の共有なり出来ればと…。身分不相応なことを言いだして申し訳ありません」
『認識の共有』そうこれよ。皆でお気持ちや考えを洗い出すの。別に準備不足で来たんじゃないんだからね!
アグネス「(う…。苦しいか?ちゃんと資料作りからやって来るべきだったか?しかし―)」
私達の内心を察したのか、ハイネ先輩がアスランやシン達に視線を移して提案してくれる。
ハイネ「皆、こんなところじゃなんだから、取り合えず、レクリエーションスペースに行こうぜ。話があるならそこで」
アスランたちも互いの顔を見合わせて一度頷き、私達もタイミングを合わせて返事をする。
アスラン・アグネス・一同「はい!」
ハイネ先輩「うん」 - 22二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 09:12:52
ハイネ先輩「それで?」
ゴンドワナのレクリエーションスペース。おしゃれなカフェになっている。何と無くカーペンタリア基地を思い出すわね。カフェで会議・打ち合わせか。リラックスできるのは良いけど機密が…。一応人払いはしているとは言え―
アグネス「(いや、これが正解ね。この場にフェイスが2人もいる。おまけに私達グラディス隊は既にあちらこちらから注目されているわ。自分の艦ならまだしもゴンドワナでは密室で話し合うよりオープンスペースの方がかえって我が身を守ることに繋がるかも知れない)」
メイリンが淹れて来てくれたコーヒーが皆に行き渡ったのを確認する。ハイネ先輩、アスラン、私、ルナマリア、シン、レイ、メイリン自身。
ルナマリアとメイリンにもアイコンタクト。取り合えず最初は私の話に合わせて欲しい。
二人のOKサイン!良し。話を切り出す。相手は最先任のハイネ先輩。
アグネス「分不相応と承知していますが…」
ハイネ「はは!そう言うのは大丈夫だから。前言ったように、俺達、ザフトのモビルスーツパイロットは戦場へ出ればみんな同じだろ?フェイスだろうが、赤服だろうが、緑だろうが、命令通りにワーワー群れなきゃ戦えない地球軍のアホ共とは違う。それが強みだろう!」
ハイネ先輩の持論ね。確かに。そう言った風通しの良さが出来たばかりの軍の強さね。勿論、『建軍』がなれば様々な制約や規則を今以上に重んじなければならない。しかし、創業は易く守成は難し。私達は創業すら達したとは言い難いのだから、杓子定規に動いて機を逸するべきではない。
アグネス「ありがとうございます。では、端的に2つ、一つは、昨日の戦果を次につなげる為にも月軌道艦隊は特に月の裏側への哨戒活動・威力偵察を強化するべきである、と提案したいと思いまして。それともう一つはアレックス・ディノ特使に、もう一度オーブ不参戦のための働き掛けを考えて頂きたいと願っています」
レイ「…」
何かレイが苦虫を噛み潰したような顔をしたわね。まあ、こいつは私が何か言うたびにそういう顔をするから、一旦放置だわ。 - 23二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 09:22:30
私はアレックスことアスランに視線を移す。『オーブ』の単語が出た瞬間から彼の目がやばいわ。シンもピクッと反応している。
ハイネ先輩はアスランの表情を見て、何かを察しつつ、話を続けてくれる。
ハイネ「ディノ特使との意見交換は後半で。それで月の裏側の話はアルザッヘルの圧力が弱まったからだよな?」
アグネス「はい。開戦以来、月軌道艦隊は敵主力基地であるアルザッヘル基地とその駐留艦隊に注力せざる終えず、月の裏側まで十分な哨戒網を構築できずにいました。そうよね、ルナマリア?」
ハイネ先輩の視線がルナマリアに。事情は皆知っているから、確認の意味を込めたアイサインね。
ルナマリア「はい…。お恥ずかしながら…」
ハイネ「恥ずかしがることじゃないさ。艦隊の皆が、よくやってくれて、そのおかげもあって昨日勝てた。でも、そうかなるほど」
ハイネ先輩が一つ頷いてコーヒーに口を付けた瞬間にレイがしゃしゃり出る。
レイ「お言葉ですが、アグネス自身が言及したように地球連合軍の主力基地はアルザッヘル。戦力の分散は得策ではありません。主力基地を重点的に監視し、これからの本格攻勢の準備をするべきでは!」
な…、なんだこいつ?そんなにアルザッヘル攻めやりたかったの?地球にいたときはなんか嫌がる素振りすらあったように思うのに…。
シン「そうか?俺はアグネスに賛成かな。レイの言うこともわかるけど。アルザッヘル攻めを確実にするためにも月の裏側をしっかり調べて安全を確保しておいた方が良いと思うぞ」
コーヒーを少し啜ったシンが意外な援護射撃をしてくれる。
アグネス「(そうよ。先ず調べてからじゃないと。哨戒艦隊を定期的に出すだけでも効果はあるはず。宙域の安全を確定しないと、アルザッヘル攻めをした時、搦手から敵援軍が現れたらどうするのよ。挟み撃ちにされるわよ)」
歴史上、そういう先例も多い。レイも知らないはずは無かろうに…。 - 24二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 09:30:24
ダイダロス周辺になんかバレたら困るものでもあるのかな(棒)
- 25二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 09:32:45
レイ「シン…。それにアグネス!そうは言うが、月の裏側に地球連合軍の大規模な基地は無い。杞憂ではないか?」
アグネス「ダイダロス基地がありじゃない?大規模かは、まだ分からないけど。レアメタル採掘用の拠点だから、これまで優先順位は高くなかったけど。資源採掘用でも何でも地球連合の基地であるのには変わりないし…。だいたい、資源採掘施設の跡地に造られた巨大要塞を死ぬ思いで攻略したばかりじゃない!?私達、ガルナハン・ローエングリンゲートで!忘れたの!」
しっかりしてくれなきゃ困るわ。色々あり過ぎて感覚が狂うけど、まだ10日と経っていないのに。
レイ「それは…」
レイが口ごもる中、それまでオーブのことで頭が一杯と言った風だったアスランが、それまで組んでいた腕を解いて話に加わる。
アスラン「確かに。レアメタル採掘後の巨大な空洞を利用すれば、地下に堅固な要塞施設が建設可能だ。艦隊規模の大規模な戦力を隠しているかもしれない。もしくは核などの大量破壊兵器の大量備蓄に用いているとか。その両方もあり得る」
ハイネ「核だって!?」
それまで何とはなしに議論を見守っていたハイネ先輩が慌てて喰いついてくる。血のバレンタインとフォックストロット・ノベンバーを経験したプラント国民にとって核の脅威は切実な問題だもの。当然の話だわ。
レイ「いや…。しかし、それは推測を重ねたもので…」
煮え切らないレイに勢い込んだハイネ先輩が答える。
ハイネ「じゃあ、確認しないとな。それに月の裏側がザフトにとって盲点になっていたのは確かだ。アルザッヘルが一番やばいのは確かだが、月の裏側全体を確認しといて損はない。俺達、月軌道艦隊なんだぜ。月軌道をちゃんと守らなきゃな、俺達。ルナマリア、メイリンはどう思う?」 - 26二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 13:30:55
無いとは思うけど連合の危ない兵器とかあるかもしれないしなー
核なんてあったら大変だからなーまぁ無いとは思うけどなー - 27二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 14:09:39
なんかレイが妙に腰が重いなあ
エロ本でも月の裏側に隠してるのか? - 28二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:23:53
話を振られたルナマリアは緊張感200%で答える。
ルナマリア「はい!そう思います。月軌道艦隊は月軌道全体、月全部を本来守護しなければなりません!せっかくの好機、生かすべきです」
お隣のメイリンも異存があるはずもない。
メイリン「そう思います!」
アグネス「(ふむ。ルナマリアもメイリン気合十分ね。良し良し)」
哨戒任務、威力偵察をするならば、やっぱり言いだしっぺの原則から第一陣はグラディス隊になるだろう。パイロットだけでなく、クルーにも連戦を強いることになる。メイリンの反応は心強いわ。他の人の指標にもなる。
二人の答えを聞いたハイネ先輩は一度考えを巡らせた後、アスランに話を振る。
ハイネ「アスラン、俺と一緒に、出来たらグラディス隊長と3人で、月の裏側の哨戒、それとダイダロス基地への威力偵察を決行すること。ゴンドワナの月軌道艦隊司令部に上申してみようぜ。それと本国の国防委員会と最高評議会にも一応注意の呼びかけを。軍人の政治介入とかではなく、現場の専門家として」
アスラン「そうですね。この話し合いが終わり次第、艦長の所に」
???「向かうのは私の所じゃなくて司令部で良いわ!私と3人で。多分許可が下りるでしょうけど。ダメならフェイス特権3人分で。出撃は明日、早朝にも」
突然の声に心臓が飛び出しそうになる!何?ここにいないはずの女性士官の声。年齢のわりに老けた…もとい貫禄のあるこのお声の主は…。
アグネス「か…艦長!?」
ハイネ「た…隊長!!」
シン・ルナマリア・メイリン「!!??」
レイ「…」
特務隊、タリア・グラディス艦長。ミネルバ艦長にしてグラディス隊隊長!息を切らせて眦を吊り上げている。恐い!いや、マジで。
アグネス「か…艦長?なんで」
どっし、どっしと艦長がこちらに歩み寄って来る。 - 29二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:34:55
ガタッ!ガタッガタッ!!
その場の7名が一斉に立ち上がり敬礼、艦長は返礼すると『座りなさいのジェスチャー』。
今度は皆、大慌てで座る。
タリア「女子宿舎の保安兵から、大至急と連絡があったわ。大柄な女性隊員から…。貴女達、心配かけないでよ!彼女、貴女達が群れで男子宿舎に向かったから不純異性交遊じゃないかと冷や冷やしていたわ!アーサーは仰天しているし…」
あの逞しい女性兵か!?オフの時ぐらいいいじゃない!あんたは私の母親か!!
じゃなくて―
アグネス「(誤解もいいところではあるけれど。そういえば、男女関係の倫理規定ってどうなっているんだっけ?ベッドインしたらアウト、直前までならセーフとか?ゴンドワナ内のデートって良いのかな)」
この艦の規則どうなっているんだっけ?ザフト軍は割と艦内恋愛大丈夫な気も…。うーむ。私達、若い将兵はルーズだけど、本当はグレーなのかも。弾丸みたいに往来していたからね。いや、言い訳ばかりしていたら負け組になる。スキャンダルで出世を棒に振ってたまるものか!
アグネス「誠に申し訳ありません。配慮が足りていませんでした。ハイネ先輩達へのアポイントメントなしでの訪問を言い出したのは私です。全部私が…」
チラッ。チラッ。
ルナマリア「いいえ。私も一緒に言い出しました!」
メイリン「私も」
何て麗しい友情なの。感動したわ。1000000000アグネスポイント。
タリア「…。それは良いわ。誤解と分かったから。でもミーティングなら私にも一報を。それにしても、月の裏側…。確かにね。盲点だったわ。そして連合はいま、この月戦線で追い詰められつつある。何をしでかすか分からない。良からぬことを実行するだけの余力がもしあるなら…」 - 30二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:40:17
艦長が自分で椅子を持ってきて私とハイネ先輩の間にどっしり割り込む。特に他意は無く。場の中心に陣取ろうとするとこの位置になるだけ。しかし―
アグネス「(すぐ横に艦長、白服・フェイス。緊張するわね。流石に)」
レイ「艦長、しかし」
シン「艦長も同意見なんですか?」
一度に言うな、男子ども。私もちょくちょく、やっちゃうけど。相手は凄く偉いのよ、今更だけど。
艦長は二人を、特にレイを宥めるようなジェスチャーをした後、言葉を発する。
タリア「そう言ったことを確かめる為にも月の裏側に行かなければならない。連合が態勢を立て直す前に。必要なら威力偵察、哨戒時の戦闘も辞さない、そうでしょう?」
皆に視線を配りながら、自分自身に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
タリア「核はもう撃たせてはならない。どの市、どの区にも絶対に。どうして月の裏側の対策を怠っていたのか…。自分が思い至れなかったのか。情けないわ」
アグネス「(艦長…?)」
ギリッと拳を握りしめ、感情をあらわにする艦長に少し皆が驚いている。
ただ、私はその理由に何となく心当たりがある。
アグネス「(男の子がいる、そう言っていたわね。ウィリアム君。艦長のこと、正直、母性に乏しい人なのかと思っていたけれど―)」
人間は複雑な存在だ。もしかしたら、この人は母親として失格な所があるのかもしれない。寡婦になった後、議長とよりを戻し(?)、ずるずると愛人関係を続けていることに変わりは無いわけだし。自分のキャリアのために子供を放置してきた面もあるかも知れない。 - 31二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:43:24
それでも親は親。まともな人間なら、自分の息子の死を望むことがあろうはずがない。ウィリアム君がこれから生きる祖国プラントに直接的な脅威が降りかかることなど、絶対に座視できない。そう言うことなのだろう。
それは私もザフト全軍、皆同じだわ。この戦いは元の元を正せば、大量破壊兵器の脅威から祖国を守るためのもの。有利な条件で講和したいし、領土も賠償金も欲しいけど、それはあくまで、その後の話。
アグネス「(アプリリウスにはパパもママもいる。ナチュラル居住区には私のナチュラルの親族も。軍事目標を除けば首都が一番危ない)」
艦長の反応を目の当たりにし、アスランが大切なことを思い出したように述べる。
アスラン「それが月面戦線の重視をルイーズ・ライトナ―議員にお願いした一番の理由でした。ニュートロンスタンピーダーの残量が不明ですから…」
ハイネ「良し!じゃあ、後半の話をささっと済ませて上申しに行くぜ」
レイ「…」
話がオーブ関連に進もうとするのをアスランが制する。
アスラン「いや、特使としての話は司令部への上申と出撃許可を得てからにしたい。昨日の一戦で月の軍事バランスは一変している。時間がないかも知れない」
レイ「!!??」
タリア「窮鼠猫を嚙むというものね。まして地球連合はネズミじゃないわ。トラやライオンよ。獲物の前で舌なめずりしている間はないわね」
さっきからレイが目を白黒させていて、逆に自分が冷静になれるわ。嘘、本当は凄く動揺している。話の展開が早い。
アグネス「(自分で持ちかけておいてなんだけど…。ちょっとついて行けてないわね)」
艦長がハイネ先輩、アスランを伴って席を立つ。私達も急いで起立。周囲に一斉に椅子を引く音が鳴り響く。
艦長は私達が姿勢を正すまで一拍置き、それからアスラン、私と目線を順に向ける。 - 32二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:44:48
タリア「必ず後でオーブの話も聞くわ。ただ、今はこちらに。後であなた達に連絡を」
アグネス「はい。ありがとうございます」
アスラン「分かっています。プラント国民の安全が第一です。ただ、オーブのことも…」
タリア「ええ。分かっています。彼の国の動向、この戦争に与える影響も大きいわ」
では、取り合えず私は待機か…。
ハイネ「では、司令部へ。フェイス3人で。他の物はまあ、リラックスして過ごしてくれ」
一同「はい!ありがとうございます」
三人と私、シン、ルナマリア、レイ、メイリンで敬礼を交わし、艦長達の後ろ姿を見送る。
ガタッ。
3人の姿が見えなくなるとレイが倒れるように椅子に座り込み頭を抱え始める。そんなに月の裏側の哨戒任務が嫌なのか―
アグネス「ちょっと!別にアルザッヘル基地を軽視するなんて、私、言ってないからね!」
レイは頭を抱え、気落ちしたまま答える。
レイ「それは分かっている」
ルナマリア「分かっているって…。シン、レイどうしたの?」
レイの横に立っているシンにルナマリアが尋ねる。彼女も同期の友の不可解な態度に戸惑っている。
シン「いや、俺も…」
シンも困惑。本当にどうした?体調不良か何か?
レイ「いや、俺は大丈夫だ。すまない。心配をかけたな」
ようやく頭を上げたレイが皆を見渡して、努めて冷静に話す。 - 33二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:46:11
アグネス「まあ、戦場の霧はいつどこで発生するか分からないから、あんたの懸念も分からなくは無いわ。でも、多分今はこれが正解のはず」
レイ「そうだな。俺も少し考えがまとまっていなかった。すまない」
何時に無く殊勝な態度のレイを見てルナマリアが驚きの声を上げる。
ルナマリア「レイがアグネスに謝る!?よくあることなの?」
アグネス「滅多にないことよ!初めてかも」
私もびっくりだわ。明日は雨ね。慣用句的表現として。
やや気持ちを持て余し気味な私達に、気を利かせたメイリンが紅茶を淹れて来てくれた。
アグネス「ありがとうメイリン。お茶くみ係みたいなことさせてごめん」
メイリン「いえいえ」
シン「ありがとうな」
レイ「ありがとう」
ルナマリア「できる女って感じね。あんた。ありがとう」
メイリン「次はお姉ちゃん淹れてね」
ルナマリア「シン達にも言いなさい!」
女性陣のジト目を見て慌ててシンとレイも姿勢を正す。
シン「ちゃんと気を利かせるよ」
レイ「ああ…。そうだな」
何と無く困惑顔のレイを宥めつつ、軽い茶話会をして、一旦ミーティングをお開きにする。 - 34二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 22:48:16
アスランだけでなくタリアやハイネだってSEED後半の地獄絵図の戦場を経験してるはずだし、そりゃ再度の核攻撃のリスクに思い至ったら行動は速いよね…
- 35二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:13:40
この時期レクイエムって完成してるんだったか
- 36二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:31:58
どうだろ…?
ただ建造中だとしてもバカでかい砲口や中継ステーション用の廃コロニーがあちこちにあるはずだから即座に仕組みまではわからなくても何かあるってバレはすると思う
映画の時みたくミラコロで覆われてるわけでもないし - 37二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:35:57
>年齢のわりに老けた…もとい貫禄のあるこのお声の主は…。
ダメだった
確かに29歳のお声にしてはちょっとと思ってるけどさぁ!
- 38二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 12:40:03
レイも深く考えずにこっち(シン、アグネスサイド)に来いよ…楽になろうぜ…
- 39二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 22:35:38
保守
- 40二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:24:17
そのまま私とシン、ルナマリアは一緒にゴンドワナのシュミレータールームに移動する。誰が提案したわけでもないが、そのまま、訓練を開始する。他にすることは思いつかなかったわ。
メイリンには月の裏側の情報を片っ端から調べてもらうようお願いした。必要ならゴンドワナの施設も借りて。既に副長の許可は得ている。
彼女のことだから、何か見つけてくれるかもしれない。レイは自室に引っ込んで行ったわ。やっぱり体調不良か何かか…。
シュミレーター訓練では、『陽電子リフレクター装備モビルアーマー+随伴モビルスーツ3~5機』をグフ1機で粉砕する訓練を重点的に行う。
我ながら、結構無茶な内容だけれど、もし月の裏側で昨日のような状況に陥れば、援軍は期待できない。皆が一騎当千とはいかないまでも十人力で働く必要がある。私達は百人力ね。
アグネス「(実際、火事場の馬鹿力で昨日はそれをやってのけたわ。後はそれをコンスタントに出来るようにするだけ)」
因みにシンとルナマリアは機体が違うから、また、訓練内容が別だわ。ルナマリアにはちょっとした助言をしてあるけど、結果はどうかしら―
休憩時間にルナマリアにちょっと話しかける。
アグネス「どう?」
ルナマリア「『どう?』も何も。ザクウォーリアでブレイズウィザード。片手にビーム突撃銃、片手にファルクスG7ビームアックス。どっかの誰かさんが提案した盛り沢山装備。やってやりますとも。百人力しないといけないからね!」
彼女はシュミレーターで好成績を叩きだしつつ、私にちょっとした八つ当たりをしてくる。何てやつだ。全くこっちだって!
アグネス「仕方ないでしょ!ザムザザーが出てくるかもしれないんだから。私も無理を押してM68キャットゥス500mm無反動砲を片手に持って行ってるんだからアイコでしょ!」
ルナマリア「それはそうだけど。メイリンまでパシリにして…」
アグネス「してないわよ!!彼女は情報のエキスパートなの!すごいんだから」
ルナマリア「メイリンが情報のエキスパート?確かにその分野の成績は良かったけど…。あんまりそんな印象は―」
全く嘆かわしい。姉として16年生きて来て妹の真価を知らないとは。身近な人ほど―という側面はあるにしろ、全く困ったものだわ。 - 41二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:29:00
- 42二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:34:36
シンはほぼブラスト一択で訓練。少しでも効率的にモビルスーツ群を吹き飛ばしてもらわないといけない。一応、ソードシルエットでMMI-710 エクスカリバー・レーザー対艦刀のトレーニングも頼んではいる。
シュミレーター訓練室では事情を話して声をかけたショーンとデイル、甲板組も到着。各々乗り込んで訓練に取り組み始めたわ。皆の装備も基本、ブレイズウィザード。理由は機動力と打率の良いファイヤビー誘導ミサイルが使用できるから。ガナーウィザードは使いこなすには、難易度が高い。熟練者向きだ。
ショーンとデイルにはルナマリアと同じようにブレイズにビーム突撃銃、ファルクスG7ビームアックスを装備してもらう。ザクファントムだし、この二人は私達と切り込む都合上、陽電子リフレクター装備モビルアーマーとぶつかる可能性が高い。ビームトマホークもあるといえばあるけど、それは守り刀にして欲しいところ。
アグネス「(しかし、休日出勤上等でシュミレーター訓練に加わってくれるとは。皆、ガルナハンの頃から頭が沸いちゃってるわね)」
私自身もだけれど。もう、戦闘・訓練・戦闘をひたすらループすることに慣れてしまっている。ディオキアも完全に休めた日は1日もない。シンが潰してくれたせいで実質半休だったわ。1日目は移動と公務だったし。
アグネス「(休んで勘が鈍る方が恐い。そんな気持ち。戦後PTSDに苦しむかもしれないけれど、それでも今日と明日を生き抜くことに専念したい。多分ミネルバ組は皆そう)」
はっ!私がPTSD?冗談でしょ。手柄を上げるの大好きなのよ。しっかりしろ、アグネス・ギーベンラート。
マルベースパイロット達「すまん。おまたせ」
ブルトンパイロット達「今から訓練参加だ!」
他の2隻のパイロット隊にも声を一応掛けたら、皆来たわ!やばい。訓練室に入室するや各自シュミレーターに乗り込んでいくわ。勘が鈍ることを怖がっているのは私達だけではないらしい。いや、もう彼らも『私達』グラディス隊か。 - 43二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:35:57
大部隊だぁ…
- 44二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:37:55
シン「マルベースとブルトンの人達も来てくれたのか...」
シュミレーターから出て来たシンがそれを見て、驚嘆している。
ルナマリア「そりゃあ、仲間だからね」
シン「そうか…。そうだよな」
ルナマリアと話しながら、シンが何かを思い出したようなほろ苦い表情を浮かべる。
アグネス「うん?」
どうした?こいつ。
シン「プラントに来て、アカデミーに入ってから、ちょっと、俺は変だった。上官や教官、年上の軍人の人達、皆が敵に思えて…」
アグネス「まあ、上官や先任は基本恐いものでしょ。あんたが意味不明に噛みつきまくっていただけ」
シン「そうだな。意味不明だった。ただ、その時は必死で…」
ルナマリア「反省できたなら、もう良いわよ。私達、皆そう言うところあったし、ね?」
『ね?』って何よ!私は上手くやっていたわ。まあ、シンが反省したなら、それで良し。作戦前だ。話を合わせてやるか。
アグネス「そうね。反省することしきりよ」
シン「うん…」
アグネス「(しかし、我ながら仕事中毒ね。少し前の自分なら久しぶりの休日、遊び倒していたはず。今はもう、休みの日何をしていたのかすら思い出せない)」
いや、一つ思い出したわ。ミーアのライブは楽しかったな。また参加したい。何時になるかは分からないけど。
ピピピピピ!
休憩時間終了のタイマーが鳴る。
アグネス「さて…」
ルナマリア「後半戦開始ね」
アグネス「気合、強い、私達は!」 - 45二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:40:05
疲労感を振り払うように自分を元気づける。二人はちょっと目を丸くするが付き合いの良いルナマリアは調子を合わせてくれる。
ルナマリア「そう!私達は強い!」
シン「大丈夫か?二人とも?」
アグネス・ルナマリア「あんたも言うのほら一緒に!」
シン「おおぅ。強い!俺達は…」
アグネス「勝てる!勝つ!」
ルナマリア「おぉー!」
アグネス・シン「おぉー!」
ほぼ、キャラが崩壊しているわね。私達…。というか私。まあ、素面じゃ乗り切れないわ。
自分の置かれた状況自体が激変している。ついて行くのにただ必死だわ。地球も特にユーラシアを中心にグチャグチャだし。そう言えば、結局、スエズはどうするんだろう?もう、ちょっと分からないわね。
それぞれ、またシュミレーターに乗り込む。今は目前の課題に集中を。シュミレーターの訓練内容をチェンジ!
ネルソン級、ドレイク級、アガメムノン級の対空砲火をひたすら潜り抜ける訓練スタート!
シュミレーターからヘロヘロに成りながら抜け出し、同じく這い出してきたシン、ルナマリア、ショーンとデイル、甲板組と合流。皆もそろそろ限界が近いわね。顔がやばいわ。ゾンビみたい。ちょっと体を伸ばしましょう。
アグネス「皆、そろそろ、ティータイムにしない?昼食は結局栄養ゼリーだったし」
ルナマリア「賛成!」
シン「俺も」
ショーン・デイル達「おう。そうしよう」
甲板組「ああ」
決まりね。 - 46二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:41:40
自他共に厳しいアグネスがメイリンを情報のエキスパートなすごい人だと認識してるのほっこりする
同室の友人だもんね
シンへの対応は勿論犬猿の仲なレイへの対応もフォローが少し優しめだったり体調を気にかけたり変化を感じるな
戦争の最前線にいながらMS操縦だけでなく緩衝材や戦略と色々頑張ってるアグネスがまいってきてるのが感じられて心配だ - 47二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:42:54
ぞろぞろと10人でレクリエーションスペースのカフェに移動。周囲にいたゴンドワナクルー、パイロット達が一斉に注目し、畏敬の念がこもった眼差しを向けてくる。一応、私は笑顔で応えておく。皆はそんな余裕はなし。私も実は無いんだけど…、こういうサービスはエリートの義務!
注文したサンドイッチを頬張っていると、向こうからパタパタとメイリンが駆け寄って来る。
ショーン「ああ。メイリン、お疲れさま」
メイリン「お疲れさまです」
デイル「何か分かったか?ああ、どうぞ、この席に」
デイルがメイリンのために椅子を持ってくる。場所は私とルナマリアの間。ちゃんとレディに気を効かせてえらい。1000000アグネスポイント。
メイリン「ありがとうございます。ウェイターさん、紅茶とスコーンを」
ゴンドワナ・給仕兵「はい。ただいま」
注文が出てくるまでにメイリンはデバイスを広げ、何やら忙しくキーボードを撃ちこんでいる。メニューが提供された段階で目線を皆に向ける。
メイリン「グラディス隊長や副長、ハイネ先輩やアスランさん、マルベース・ブルトン両艦長にはご報告済みです。ただ、皆にも」
アグネス「ありがとう。それで」
メイリンはデバイスの画面を私達の方向へ。これは第3艦隊か?
メイリン「地球連合軍第3艦隊の母港はアルザッヘル基地ではなく月の裏である可能性が高いです」
ほう!私はてっきりアルザッヘルかと思っていたわ。
ルナマリア「月の裏側、というとやっぱりダイダロス基地かしら」
メイリン「グラディス艦長達はそのつもりで動いています。私が報告した後に改めて月軌道艦隊司令官から正式な命令を。その後、ゴンドワナの情報部も再確認。出撃は明日早朝。グラディス隊を先頭にナスカ級6隻が続きます」 - 48二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:46:14
ルナマリア「ナスカ級6隻、つまりモビルスーツは36機ね…。グラディス隊は3隻24機だから合わせて9隻60機。艦隊司令部が本国抜きで即断して動かせる戦力の限界に近いんじゃない?結構本気ね」
メイリン「第3艦隊は40隻前後の戦力ですから、こちらが強襲を仕掛ける側とは言え用心するに越したことは無いと。仮に第3艦隊と接敵しない場合でもこの陣容でダイダロス基地に威力偵察を仕掛け、もし可能なら陥落させても構わないとのこと」
アグネス「なるほどね。他には?」
サンドイッチの2つ目を食べきり、紅茶に口を付けながら、メイリンに続きを促す。
メイリン「これは未確認情報ですが…。ダイダロス基地に戦略兵器級の威力を持つ砲台が存在するという情報が―」
スコーン3個目を無事腹に収めたデイルがちょっとパサついた声で発言。メイリンは頷きながら話を続ける。
メイリン「はい。捕虜にした連合兵から聞き出した情報によると―あ、拷問とかはしていませんよ―巨大なビーム砲台か何かのようです。連合軍内でも最高機密だそうで詳細はアルザッヘルの中でもごく少数の高級将校、それも艦隊・基地司令部の人間しか知らないそうです。ザフト情報省でも月の裏側に断続的に大量の物資が搬入されていたこと自体は把握しているとのこと」
何でメイリンがザフト情報省の機密を知っているのかということはさて置き。やはり無力化した敵兵はちゃんと捕虜にするべきね。見捨てず救助活動をしておいてよかったわ。
それにしても…。
シン「巨大なビーム砲台…。ガルナハンの時のローエングリン砲台のすごく大きいバージョンみたいなものかな?」
甲板組パイロット「ダース単位の陽電子砲を結合した巨大砲か、もしくは本当にただのすごく太いビーム砲なのか…。もしかして小型ジェネシス!」
アグネス「ジェネシス…」
『ジェネシス』。忌まわしい言葉に和気藹々としていた空気が凍り付く。地球を危うく滅ぼしかけた大量破壊兵器は作った側のザフトですらトラウマになっている。作り始めた時の用途は別であったというのに…。 - 49二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:49:00
アスラン「…。何にしろ問題は射角だな」
アグネス「アスラン先輩、ハイネ先輩も…」
司令部から戻って来た二人がレクリエーションスペースのカフェに入店してきた。ハイネ先輩は軽く手を挙げながら話しかけてくる。
ハイネ「すまん。盗み聞きする気は無かったんだが。その情報も艦長達と共有済みだ。そんで問題は…」
アスラン「巨大な戦略兵器級の砲台が基地に備え付けてあるとして。問題は射角だな。そのビーム砲台-もしくはジェネシスのようなものーがエレベーターで発射時に上昇してくるタイプなら途轍もない脅威だ。発射の兆候が確認された瞬間に全力で全艦隊、全モビルスーツ隊が緊急回避運動・回避行動をする必要がある。発射の間隔も知る必要がある」
確かに。それが分からなければ対策の立てようがないわね。
甲板組パイロット「そのためにも威力偵察が重要、ということですね」
ハイネ「そうだ。流石に大群で行ってドカン、は困るからな。無論、俺達で破壊できればそれに越したことは無いぜ。そもそも本当にそんなものがあるのか、あったとしてどの程度のものか分からないからな」
そう言いながら、二人も席に座りメニューを注文し始める。
ハイネ「しかし、休日なのにすごい熱心さだ。感心感心。ここは俺とアスランがおごろう。いっぱい頼め。あの後、シュミレーター訓練なら皆、昼は栄養ゼリーだろう」
アスランが隣で何か言いたそうに口を開くが、ハイネ先輩がウィンクして黙らせる。
一同「はい。ありがとうございます」
ハイネ先輩の心遣いとアスランの犠牲を無駄にできないわ!私はストロベリーケーキとチョコレートパフェを追加で!皆も一品2品、シンに至ってはお子様ランチ(みたいなもの)を追加で注文。若いし、ハードな訓練後だからいくらでも食べられるわ。 - 50二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:51:52
皆でガツガツ食べて居ると、ハイネ先輩から大事なお知らせ。
ハイネ「今夜、ペルシャ湾以降の高位勲章の授与式だ。本当は、明日以降、他の部隊とも合同でやるはずだったんだが、グラディス隊の急な出撃に合わせて、まず、ミネルバ隊のみ先行して。ラドル隊や中東方面軍は後日ちゃんともらうから気兼ねしなくて大丈夫だ。地上のクルーはリモート参加。俺は合流前だったが、仲間が表彰されて嬉しい。ビシッと決めようぜ」
アグネス・一同「はい!ありがとうございます」
ハイネ「うん」
アスラン「…」
勲章アレルギーのアスランも何となくいつもより表情が柔らかい。自分が貰えることはどうでも良いが、仲間が褒章を受けることは嬉しいのだろう。ちゃんと戦争犯罪を伴わない堂々とした戦果で―。
アグネス「(さて、何が貰えるかな。ネビュラ勲章、いけるか?!)」
カフェでティータイムを終え、ミネルバの皆はシュミレーションルームに戻る。私はハイネ先輩、アスランとメイリンは艦長の下に。オーブ問題について話し合わないといけない。
士官用の会議室に入室。先に待っていてくれた艦長と敬礼を交わし、着席。やっぱりミネルバの士官室より豪華ね、ここの会議室。出世したらゴンドワナ級の艦長も悪くないかも知れないわ。椅子の座り心地もグッド!
奥に座った艦長から、私達に声をかけてくれる。
タリア「さて、オーブね。どうしたものかしら。ディノ特使、ご意見は?」
そうそう。まず、何はともあれアスランの意見を聞かないと話が始まらないわ。そこのところどうなの?
アスラン「はぁ。いや、ジッダでスカンディナビア大使とプラント大使に繋いだ後はまだ何も…」
ガクッと来るわ。まだ何もじゃなくて自分から情報を取りに行かないと。わざわざ向こうから知らせてくれるわけないでしょう。
アグネス「(というのが大原則ではあるけど。あの後も作戦続きで正直、余裕なんてあるわけないわよね。そもそも、私とジッダに行ってから日数的にほとんど経っていない。世界の流れが急すぎるんだ。そもそもアスハ代表の結婚式が破談になってから、ジェットコースターだわ。いや、それを言ったらアーモリーワンから…)」 - 51二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:56:02
でも、それが現在の世界の在り様なのだから、ついて行くしかない。オーブが―ある国が―いやしくも条約を締結して、一か月と経たず破棄するかどうかとしているのも異常だけど世界が異常なのだから仕方ない。
ハイネ「まあ。アスラン―ディノ特使-の過失じゃないことは俺達も分かっている。それで、兎も角、オーブに条約を破棄させなきゃいけないんだよな?あと、出来ればアークエンジェルとアスハ代表にオーブに帰ってもらって、アスハ派に政権を奪取させると」
タリア「それが理想ね。プラントとしても私達にとっても」
アスラン「そうです!」
アグネス「失礼します」
ちょっと立って、コーヒーを5人分淹れる。今度は私の番ね。目線でメイリンに『立たなくてもいい』のサイン。メイリンは笑顔で返してくれる。コーヒーはインスタントだけど仕方なし。仕方ないことばかりね。まず、4人にお出しし、それから自分の前にも。
タリア・ハイネ・アスラン「ありがとう」
アグネス「いえ…。今朝のニュースによればオーブには相当強い派兵圧力がかかっています。ただ、それに対して国民の反発も激化。アスハ派のみならず、無党派の市民も加わってデモや決起集会が計画…」
タリア「計画じゃなくて、もう始まっているわ。まだ、平和的なデモに留まっているけど。出兵を強行するなら、ゼネストの決行を告知されてセイラン政権、首長会も狼狽しているみたいね」
なるほど、私達がシュミレーター訓練をしている間に事態はそこまで進展していたか。
ハイネ「それと朗報、なのかは分からないが。ユーラシア連合は西側の反発に遂に耐え切れなくなって、ブリュッセルからモスクワに首都移転を宣言・実施を開始した。
首都移転を領土放棄と勘違いした住民が一斉蜂起して市庁舎や総督府を占拠、現地民主体の部隊も寝返ったため、低地諸国、旧ベネルクス3国からユーラシア連合の勢力は一掃されつつある。
グレートブリテン島の大西洋連合は上陸作戦策定に入っているらしいが、同様の現象はライン川沿いの旧ドイツ西部・南部、旧フランスのアルザス=ロレーヌ、シャンパーニュ=アルデンヌ地方に拡大。イベリア半島は元々、プラントの勢力圏だから、ジブラルタルの部隊は現地住民の保護と人道的援助を目的というか名目に大規模進駐を開始。先遣隊は既にピレネー山脈を越えたらしい」 - 52二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:02:44
アグネス「…」
どんな感情を抱くべきか。生まれた頃から存在する超大国の一つが崩壊しつつある。そのきっかけになった出来事の一つに私自身が参加していた…。
タリア「ユーラシア連邦は何とかベルリンの支配権は死守する構えよ。あのあたりで大規模な衝突が発生するかも。ただ、既にザフトの進駐軍はワルシャワ以東にも存在するから…」
欲張りすぎだ。私が言うのもおかしいけれど。
アグネス「(ただ、流石に西ヨーロッパを長期支配するつもりはプラント最高評議会にもないはず。要所、要所に基地を作って引き上げることになるのかな。新ヨーロッパ連合なり西ユーラシア連邦なりに後の統治は任せて)」
アスラン「…。どうなるんでしょうか?」
タリア「さあ。先のことは分からない。私達も今は、今思って信じたことをするしかない。」
そう。この状況で流れに身を任せるのみでは身の破滅だわ。残念なことに、幸運なことに私達は一般の軍人より少しだけ、力がある。
アグネス「オーブについては、首長会はともかく、下院議会と協力して、宰相ウナト・エマの不信任決議案を採決させるよう、暗に働きかけることは出来ませんか?そうすれば無血で合法的に政権をアスハ代表に戻すことが出来ます」
アスラン「無理だ!」
メイリン「どうしてです?アスハ代表の側近なんですよね、アスランさん」
意味不明に断言するアスランにメイリンから当然の疑問が出る。
アスラン「俺はオーブ議会に伝手がない…。オーブ連合首長国におけるアレックス・ディノの役職はあくまで、国家元首カガリ・ユラ・アスハの護衛官で…。特使の官職は外務省ではなくカガリの勅選だから…」
う~ん。なら、オーブの国会議員諸君諸姉の健闘に任せるほかないのか。こうしてみるとオーブでのアスランのポジションがいかに脆弱なものであったか実感するわね。
ハイネ「アスハ代表にアークエンジェルでオロファトに乗り込み、帰還してもらったらどうだ?オーブ軍が寝返ってくれるなら…」
アスラン「オーブ軍人には真面目な人が多いからどうかな…。政治問題に不介入を貫くかもしれない。最悪、流血の惨事になる可能性も高い。セイランが軍に民衆への直接攻撃を命令した場合は抗命するだろうが…」 - 53二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:07:01
この際、多少の流血は覚悟でアスハ派にクーデターを起こして欲しい。そう思う私は批判されなければならないだろうか?カーペンタリアはすぐ傍だ。もし、大西洋連合がハワイから南下し、セイラン政権を助けようとするなら、南太平洋で決戦してもいいが…。
アグネス「(そこまでの覚悟を最高評議会が決断できるかな?議長は明らかにやる気なさそうだし。それこそオーブを戦場にするというアスハ代表が一番嫌がる結果になるかも知れない…)」
オーブ本国、というかセイラン政権の姿勢が不明瞭で今一どう動けばいいか分からない。ともかく、ジッダで進んでいるであろうスカンディナビア王国を通したアスハ代表・アークエンジェルとプラントとの会談と調整の詳細を確認しなければ。
温くなりかけのコーヒーを3分の2、一気に飲みアスランに提案。
アグネス「アスラン先輩。月での任務が終わったら一度、汎ムスリム会議領ジッダをもう一度訪問し、情報収集してはいかがでしょうか?艦長?」
タリア「ええ。確かに。ハイネ?」
ハイネ「異存は有りません」
二人の快諾を受け、アスランが頭を下げる。
アスラン「本当に申し訳ありません。用事を済ませ、直ぐに帰任します」
タリア「よろしい」
話もまとまったし、この場はお開きかな。皆でコーヒーの残りを飲み干していると艦長から嬉しいサプライズが!
艦長が内線電話をかけ、副長を呼び出す。
予め、待機していたのだろう。直ぐに副長が入室。艦長は敬礼を押し留めると副長を座らせる。
アーサー「失礼します」
隣の副長に一瞬労りの視線を向けた後、艦長のお知らせが始まる。
タリア「バクーでのミネルバの改修。本日をもって完了したそうよ。先程知らせが来たわ。ディオキアのクルーは既にバクーに移動を開始。ディオキア基地の立ち上げも無事、終了したと報告がありました」
おおっ!遂にか。これで『借家暮らし』はおさらばね。 - 54二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:12:59
メイリン「すごい!。もっとかかるかと。嬉しいです」
アグネス「ふん。メイリン。甘いわね。第二次世界大戦時なんか恐ろしい勢いで、各国は艦船の建造、修復、改修が行われていたんだから!プラントの国力と我等コーディネイターの能力をもってすれば、ちょちょいのちょいよ!」
メイリン「それもそうですね!」
お偉いさんの前で、同期とこんなやり取りをすることになろうとは、少し前なら考えられないわね。
喜びの声を上げる私達を艦長と副長は満足げに見守る。そんな私達とはやや対照的にアスランが2人に話しかける。
アスラン「戦時下の艦船、兵器等の製造スピードの迅速さはアグネスの言う通りではありますが、それを考慮しても速いですね」
タリア「勿論、こちらも全力よ。プラント本国から派遣された技術者のみならず、カーペンタリアからも多数の技術職が参加。当然、地元バクーの工業労働者・造船業者もスパイが入り込まないようスクリーニングした上で大量動員。軌道上から工作機械も順次持ち込みました」
アスラン「なるほど」
やはり戦時下だと平時では到底考えられないような無茶が通るらしい。
アーサー「他にもミネルバ級の予備パーツ、それと次級であるスーパーミネルバ級に使うはずだった最新パーツもバクーにシャトルで運搬。改修に用いたとのこと」
うん?スーパーミネルバ級。そんな艦級聞いたことがないけれど。何?
ハイネ「ほう。スーパーミネルバ級。ミネルバの次級ですか?」
タリア「そう。私も知らされていなかったのよ。本当に昨夜、戦闘後報告に行ったときよ。伝えられたのは、信じられる?」
そう呆れたように口にしながら、艦長は手元のデバイスを回して私達の画面を見せてくれる。あくまで大枠の完成予想図であるが、艦長の言うミネルバの次級『スーパーミネルバ級』の映像が映し出される。ミネルバとよく似ているが主翼が後ろになっていること、全通甲板を採用していること、それと― - 55二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:16:35
アグネス「(艦首のでっぱりはなんだろう?」」
メイリン「これはなかなか…」
ハイネ「見るからに…」
タリア「軍の最高機密よ。信頼を裏切らないように」
一同「はい!」
アグネス「(軍艦には当然、次級の計画が存在するものだけど。設計局とマティウス・アーセナリー社。相当気合入れているわね。エザリアおば様も一枚噛んだいるのかしら)」
目線を上げて艦長の目を見る。すると艦長も私の目を見つめ返す。
アグネス「この艦の完成パーツを流用したということは。単なる修理では無かったということですね」
タリア「察しの通りよ。ミネルバは今回の修理で大幅に近代化改修。スーパーミネルバ級のタイプシップとなる。改ミネルバ級となりました」
デバイスの画面が切り替わり、改修後終了後の我らが母艦ミネルバの新たなる姿が映し出される。
アグネス「(なるほど。印象としてはミネルバとスーパーミネルバ級を足して2で割った感じね)」
副長の補足説明が入る。
アーサー「まず、副砲は前回のガルナハン戦を教訓に通常火薬3連装副砲M10「イゾルデ」を廃止、リニア砲「クルヴェナール」に交換。戦闘時の誘爆リスクを防ぐ目的だ。
それとこれまでは戦闘時、特に艦底を守るため、直掩モビルスーツを張り付け続けなければ必要があった。それを改善するためCIWSの数を増強。また追加された砲塔は宇宙空間限定ではあるが分離、有線誘導砲塔として使用可能。
陽電子破砕砲QZX-1「タンホイザー」は改良型に交換。射角が4方向になった。
他、海中の航行能力も付与。モビルスーツの発艦方法はこれまで通りで、全通甲板の採用も見送られたが、甲板直通の大型エレベーターを新たに設置。カタパルト入口に異変があってもモビルスーツを真上に出すことが出来る」 - 56二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:20:09
ふむふむ。説明の度、頷くので歩行時の鳩みたいになっているわね。隣のメイリンと一緒に。
タリア「最も大きな変更点はこの改ミネルバ級は単艦でも大気圏離脱能力が備わっています」
アグネス「!?」
アーサー「空中へのタンホイザー発射によりポジトロニック・インターフェアレンスを発生させ、増設したスラスターと改良した機関部の馬力で一気に地球の重力を振り切る」
タリア「ただ、スラスターと機関部の増強のために艦体が350mから380mに延長しました。それに合わせて甲板とカタパルト、モビルスーツデッキも伸長し、モビルスーツ運用可能機数も増えたけど艦も大きくなった。主翼、後翼も。敵の格好の標的になるでしょう。守り切れるかしら?」
艦長は私達を試すように悪戯っぽい視線を投げかける。そんのもの答えは決まっているわ。
ハイネ・アスラン・アグネス・メイリン「はい!全力で完遂します」
元気よく返事。380mが何ほどのものか!連合のガーディ・ルー級と同サイズではないか。恐れるに足らず!
タリア「よろしい。それと…」
艦長が衝撃の事実を付け加えて話す。
タリア「スーパーミネルバ級に装備予定の艦首ラム「ゴウテン」。改ミネルバ級への装備は激論の末、見送られましたが、艦首部分の強度を強化。その上で艦の先端部を改造。スーパーミネルバ級の形状とは大きく異なりますが、カタログスペック上は艦首最先端部をヒートさせたうえで衝角攻撃が可能になっています」
アグネス「(そうなんだ…。外見上は変化してなかったから分からなかったわ)」
ヒートソード部はカバーの下か。邪魔くさい。設計局はたまに変なことをする。
アグネス「(まあ、使うことも無いでしょうけど。日露戦争前ごろから、あっても使わなかったわけだし)」
ハイネ先輩はちょっと顎に手を当てた後、私とメイリンに注意を促す。
ハイネ「ただ、留意することもある。ザフトが無理を通せたってことは連合も無理を通せる。新型兵器の投入時期を早めたり、コケの一念で兵器の大量生産を実行に移すかもしれない。その可能性は頭に入れておけよ」
アグネス「はい」
メイリン「分かりました」 - 57二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:27:01
ハイネ「うん。良し。艦長?」
タリア「私からの話は以上。ディノ特使は?」
アスラン「はい。いえ。今日の意見交換、ありがとうございます。アグネス、メイリンも」
すくっと立ち上がってアスランから敬礼してくるので、私とメイリンは慌てて起立して敬礼。艦長達も敬礼してくれたので、この集まりは正式に終了となる。
メイリンと一緒に取り合えず自室に向かう。改ミネルバ級『ミネルバ』いい響きね。テンションが上がるわ。ただ、肝心のオーブ対策が上手くいかないわね。
アグネス「(いや、『上手くいかない』ことを把握することにも意味がある。セイラン政権、の動向に注目。月軌道から降りたら一度はアスランをジッダに。今は、それでいい)」
自室に戻る際に面倒見がよすぎる逞しい女性兵に再会。この兵のおせっかいのおかげで艦長を訪ねる手間が省けたわ。結果論だけど。
メイリンと一緒に心を込めて敬礼。返礼を受ける。とは言え、ほどほどにして欲しくはあるわね。
アグネス「(寮母さんみたいにあれこれ気にされても…。私達の世代が軽はずみなのは確かだろうけれど)」
ともあれ、勲章授与式までの時間。僅かとは言え静かに過ごしたい。横になったら寝てしまうから、椅子に座って瞼を閉じてマインドフルネスをしながら時を過ごす。ミーアの歌をバックミュージックにかけて―
ピピピピピ。
椅子に座ってぼんやりして居たら、またタイマーで覚醒させられる。今度は勲章授与式か…。
嬉しくはあるけれどね。制服に袖を通し、部屋を出てメイリンをインターホンで呼んで合流する。さて―
アグネス「(しゃっきり格好つけていくわよ)」 - 58二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:49:20
ミネルバだいぶ強化されたな
武装構成はほぼミレニアムだ
いいことなんだけどこれAAが真っ向勝負挑まれたらだいぶ不利だぞ… - 59二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 07:00:50
アグネスの心の声
ハイネ『先輩』とアスラン『』に大きな格差を感じるな
色々上手く行ってるしあとはオーブが無血開城できればいうことはないんだけど - 60二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:30:24
副長、シン達とも合流して、ゴンドワナの大広間に通される。ゲストは月軌道艦隊司令部と各隊の隊長・副長クラス。それに現在一緒に轡を並べているグラディス隊の隊員達。ハイネ先輩が祝福の眼差しを送ってくれる。ルナマリアも其方に並んでさり気なく手を振ってくているわ。
アグネス「(此方を妬む素振りもない。彼女の長所ね。アカデミー時代は鼻につくと思っていたのに…)」
今の立場になると、それがどんなに稀有なものであったか気づかされる。ルナマリアが私の友達でいてくれて良かった。彼女の友情に私はどこまで報いているだろうか。
アグネス「(分からないわ。私はいろいろなことに無配慮で在り過ぎた。多分、今もそうなんだと思う)」
整列した私達の斜め横には大型モニター。スイッチが入れられ、地上組のクルーの面々と再会する。随分久しぶりに感じるのはただ、私の感覚がおかしくなっているためだろう。背後には改修済みのミネルバ。そちらの会場はバクーか。
アグネス「(シンは改ミネルバ級に驚いているわね。逆にヴィーノ達技術班は意外と冷静な反応…。あるいは昨晩の内に艦長から前もって知らされていたのか。操艦担当のマリクさんも、しっかりした顔をしている。もうシュミレーター訓練に取り組んでいるのね)」
大広間の壇上にはさらに大きなスクリーンモニター、そのスイッチがオンになる。予想通り、そこに投影されるのはインチキ議長ギルバート・デュランダル氏。多分、あそこはメサイア内の執務室かな。
タリア「全員。敬礼!」
ザッと皆と一緒に敬礼し、議長からの返礼を受け、直る。
デュランダル「皆、集まってくれてありがとう。本来、私が出向くべきだが、ご覧のようにこちらでも果たさなければならない役割があってね。タカオ・シュライバー国防委員長にご足労いただいた。国防委員長、どうか頼みます」
議長に代わって、紫服のシュライバー国防委員長が登壇する。どうやら近くの宙域まで『本来の日程の授与式』のために向かっていたところ、予定が繰り上がったので全速でゴンドワナに来たらしい。ご苦労なことだけど、存在感がないことに定評がある(私の中で)国防委員長はこういう時ぐらい頑張ってくれないとね。大概、無能っぽいし、この人も。 - 61二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:31:18
AAにいるカガリがどういう流れでオーブを掌握するのか楽しみにしてます!
- 62二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:33:12
アグネス「(と言うか、有能無能を論じる前に、本当にこの人空気ね)」
そんな私の内心を他所に、威儀を正した我らが国防委員長閣下は授与式を粛々と進める。後ろのスクリーンモニターから議長に睥睨されながら―
シュライバー国防委員長「では、これよりミネルバクルー・パイロット諸君諸姉の勲章授与式を執り行う。ミネルバのペルシャ湾・マハムール基地到着後の目覚ましい戦果は我等プラント最高評議会のみならず、プラント全国民を大いに勇気づけ、連合の圧政から立ち上がらんとする民衆に多大な貢献を果たしたものである。この場をもってこれを賞したい。では、頼む」
紫服「はい。代表タリア・グラディス前に」
タリア「はい」
国防委員長の前に艦長が進む。紫服はやや大きな箱を持ってくる。両方紫服だけど。
最初に勲章を授与されるのは、ある意味で私達にとって最も大切な人達だ。
後ろの画面上で議長が口上を述べる。
デュランダル「ガルナハン・ローエングリンゲートをめぐる戦いにおいて戦死した惑星強襲揚陸艦ミネルバ・クルー38名。その勇敢さとプラント及び世界のために払った自己犠牲に最大の敬意を表し、プラント最高評議会の名の下。最高評議会名誉勲章を授与するものである。同要塞を攻略し、地球連合軍コーカサス方面軍・カスピ海小艦隊に大打撃を与えたことは、ただガルナハン市、ガルナハン市民を解放したことのみならず、圧政に苦しむユーラシア諸民族をナチュラル・コーディネイター問わず勇気づけるものであった」
タリア「ありがとうございます」
拍手は無い。ただ、全員姿勢を正し、艦長が38人の遺影の前に順番に名誉勲章を置いていくのを見つめる。最後の一人に勲章が渡されれ、ようやく皆の緊張が解ける。式の後、あの勲章は改めて遺族のもとに手渡される。 - 63二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:38:47
勲章授与は続く。次は艦長ね。
紫服「続いて、同艦艦長タリア・グラディス」
タリア「はい」
デュランダル「ミネルバ艦長タリア・グラディス。ガルナハン・ローエングリンゲートをめぐる戦いにおいて同要塞を攻略したのみならず、地球連合コーカサス方面軍・カスピ海小艦隊に大打撃を与え、ガルナハン市、ガルナハン市民を解放したことを賞しプラント最高評議会の承認の下、ここにネビュラ勲章を授与するものとする。おめでとう」
タリア「ありがとうございます」
紫服から国防委員長が勲章を受け取り、艦長の胸に着ける。
シュライバー国防委員長「おめでとうございます。2つ目とは。本当に素晴らしい」
タリア「ありがとうございます」
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アグネス「(おお!艦長。2度目のネビュラ勲章授与ね。ブラボーね。もしかしたら、この大戦で初めてかも)」
私も大きく拍手。ネビュラ勲章は2階級特進相当。今の艦長は他国に行ったらどんな儀礼を持って迎えられるのだろう。元帥か?上級大将?
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シュライバー国防委員長「では続いて、ザフト軍より同じくガルナハン・ローエングリンゲートをめぐる戦いにおいてその勇敢な戦いと国家への最上の貢献を称え、惑星強襲揚陸艦ミネルバ及びミネルバパイロット隊に『プラント最高評議会議長部隊表彰』を。代表タリア・グラディス」
タリア「はい」
シュライバー国防委員長「おめでとう」
シュライバー国防委員長が艦長の右胸に新しいリボン(略綬)を着ける。部隊表彰なので私達も感状とリボンが後で配られる。
アグネス「(これで『プラント最高評議会議長部隊表彰』(5回目 星4)目か)」
これもなかなか無いことね。 - 64二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:42:39
シュライバー国防委員長「続いて、特務隊アスラン・ザラ」
アスラン「はい…」
勲章アレルギーを拗らせているアスランが国防委員長と―その後ろでリモート参加中の議長の前に立つ。
デュランダル「同会戦において、その勝利に大きく貢献し、砲台攻略、ミネルバの防衛双方に顕著な貢献を果たしたことを賞し、ここにプラント最高評議会の承認の下、ネビュラ勲章を授与するものとする。おめでとう」
アスラン「え…。え…、はい」
アスランは軽くパニックになっている。気持ちは理解できる。
アグネス「(『最高評議会の承認』の語が彼には重いわ。アスランの中で自分はアスハ代表の下にいるつもりなのに、どんどん身分がプラント、ザフト軍に取り込まれて行く。これも議長の策略なのか…)」
アスランの反応に国防委員長は不思議がりながらも戸惑う彼の右胸にネビュラ勲章を着ける。
シュライバー国防委員長「おめでとう」
アスラン「はい…」
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仕方ないので拍手。ただ、アスランの内心を慮ってやや音を小さめにする。せめてもの気遣いだわ。
シュライバー国防委員長「コホン。では顕著な働きをしたミネルバ・パイロット諸君諸姉にも勲章の授与を。アグネス・ギーベンラート、シン・アスカ、レイ・ザ・バレル」
アグネス・シン・レイ「はい!」
呼ばれて3人横一列で国防委員長の前に立つ。レイの顔色は悪くない。お養父さんの前だからかな?
シュライバー国防委員長「ガルナハン・ローエングリンゲート、要塞完全破壊と新型陽電子リフレクター装備モビルアーマー・ゲルズゲー撃破、ミネルバ防衛とカスピ海小艦隊撃破に顕著な働きをし、その勇敢さと祖国への献身を賞し―」
アグネス「(賞し…、何?)」
シュライバー国防委員長「3人に殊勲十字章を授与する。おめでとう」
まあ、そう世の中上手くいかないわね。『殊勲十字章』(3回目 柏葉2個)か…。滅多にないこと。素直に喜ぶことにするわ。 - 65二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:47:20
デュランダル「シン、レイ、アグネス。おめでとう」
シン・レイ「ありがとうございます」
アグネス「ありがとうございます(このインチキ議長!さり気なくシンとレイを先にしたわね)」
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アグネス「(しかし、実質養子のレイを私の先にするのは分かるけど、何でシンを最初に呼んだんだろう。敵機撃墜数が多いからかな)」
インパルス、すごいもんね。シンの技量にケチをつける気はないけど。
これでガルナハン戦の授与は終わりか…。甲板組やショーンやデイルも頑張っていたんだけどね。うーん。まあ、皆で部隊表彰を授与されているから大丈夫かな。
紫服「では続いてディオキア解放戦をめぐるアレクサンドリア沖海戦における勲功を賞して。アスラン・ザラ、アグネス・ギーベンラート」
アスラン・アグネス「はい!」
アスラン、私ともにそのまま国防委員長の前にスライドする。アスランは『最高評議会』の語が出ない分、まだ気が楽そうだわ。
アグネス「(ということはネビュラ勲章ではないわね。残念)」
シュライバー国防委員長「同海戦によって、セイバー、アスラン機、バビ、アグネス機は見事なコンビネーションを発揮し、スペングラー級1隻、デモイン級6隻、計7隻からなる空母打撃部隊とその艦載モビルスーツ隊を見事殲滅、その功績と果敢さを称え、『殊勲章』を授与する。おめでとう」
アスラン・アグネス「はい!ありがとうございます」
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まあ、取り合えず左胸の重さが増したことは、結構けっこう、ほくほくだわ。 - 66二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:53:29
次は黒海・コーカサス解放作戦の分か…。あの作戦、戦域が広くてすごく苦労したのよね。疲労で頭がおかしくなりかけたわ。
国防委員長は流石に疲れて来たみたいだが授与式はそのまま続行。私達の方が疲れたわよ。ちょっとは思い知りなさい!まともな戦争指導をして!
シュライバー国防委員長「ゴホン…。黒海・コーカサス解放作戦において一貫してすぐれたリーダーシップを発揮し、作戦を勝利に導いた功績を賞し、ミネルバ艦長、タリア・グラディスに国防功労勲章を授与する。おめでとう」
タリア「はい。ありがとうございます」
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シュライバー国防委員長「次にミネルバ・パイロット隊。アスラン・ザラ、アグネス・ギーベンラート、シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ショーン、デイル。カスピ海の制海権・制空権を巡る一連の戦闘において勇猛果敢な精神と優れた戦果を挙げたことを賞し、『殊勲十字章』(4回目 柏葉3個)を授与する」
アスラン・アグネス・シン・レイ・ショーン・デイル「はい!ありがとうございます」
国防委員長がまた左胸に『殊勲十字章』を着けてくれる。途轍もないことなんだけど、艦長とアスランがさらに高位の勲章を授与されているし、今一、実感が薄いわね。
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隣のシンに視線を向ける。シンも嬉しそうではあるが、私と同じく、艦長とアスランがより高位の勲章を授与されているためか、特に天狗になるふうでもない。
アグネス「(こいつが増長してもウザいだけだからね。ま、一緒に分相応に喜んでおきましょう)
シュライバー国防委員長「では続いて、ザフト軍より同じく黒海・コーカサス解放作戦をめぐる戦いにおいてその勇敢な戦いと国家への最上の貢献を称え、惑星強襲揚陸艦ミネルバ及びミネルバ・パイロット隊に『プラント最高評議会議長部隊表彰』を。代表タリア・グラディス」
タリア「はい」
シュライバー国防委員長「おめでとう」 - 67二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:59:14
タリア「ありがとうございます」
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アグネス「(ほう!これで『プラント最高評議会議長部隊表彰』6回で星が5つ溜まって銀の星1個に交換ね)」
ミネルバは大破していたから、この戦いでは部隊表彰は無理かと思っていた…。でも考えてみたら、メイリンたちや整備班はラドル隊と共同して戦っていたわね。いわば『グラディス隊』での授与か。
そろそろこの作戦での表彰も終わりかな。そう思っているともう一声、私とアスランとレイにかかる。
シュライバー国防委員長「コーカサスの制空権確保と対地攻撃に貢献したアスラン・ザラ、アグネス・ギーベンラート、レイ・ザ・バレルに『銅星章』を授与する。おめでとう」
アスラン・アグネス・レイ「はい!ありがとうございます」
左胸に更に勲章追加。ちょっと格が落ちるけど、コーカサス占領の主役はラドル隊と中東方面軍だからね。まあ、こんなもんでしょう。
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前のスクリーンから議長のありがたいお言葉が続く。昨日の作戦についてね。
デュランダル「昨日の会戦の高位勲章の授与は現在審議中だ。良い結果を待っていてほしい。今回、直接戦闘に参加したグラディス隊。つまりカーナヴォン、マルベース、ブルトンとそのパイロット隊は全員に『月軌道会戦参戦記章』、その後の人道的行動を賞して『人道記章』(7回目 飾版金1枚、銀1枚目)を贈る。受け取ってくれたまえ」
そこで議長は意味ありげに話を切る。一瞬、側に立っていたレイの眼光が光るのを目撃する。レイは議長に目線で首を振るようなしぐさを見せ、議長もそれを見て話しを再開する。
デュランダル「ミネルバの諸君、そしてグラディス隊の諸君の各地の奮戦、心強く思う。改めておめでとう。これからの活躍を期待している」
タリア「総員気を付け、敬礼」 - 68二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:02:05
ルナへの思いから読み取れるアグネスの成長が凄い
アスランがザフトのアスランになってないしシンが天狗にもなってないしでいい流れだけど議長とレイは何を仕掛けてくるつもりなのかな - 69二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:03:15
議長は艦長を何とも言えない気持ち悪い視線で見た後、敬礼を返す。
アグネス「(あの視線の意味は何だろう?計りかねるわ…)」
タリア「直れ」
パチパチパチパチパチパチパチ!パチパチパチパチパイ!パチパチパチパチパチパチパチ!パチパチパチパチパイ!
満場の拍手に包まれながら勲章授与式は無事幕が引かれる。モニターの向こうの地上組も元気そうで何よりだわ。
さて、ここまでで貰った勲章・記章(メダル)は―
『プラント最高評議会議長部隊表彰』6回(銀の星一つ)
『議会名誉黄金勲章』(最高位、共同受賞 複製のブロンズメダル授与)
『殊勲十字章』(4回目 柏葉3個)、『殊勲章』、『銀星章』、『銅星章』
『アーモリーワン事変従軍記章』、『ユニウスセブン破砕作戦従軍記章』、『アスハ代表護送任務達成記章』、
『フォックストロット・ノベンバー並びに同日発生した戦闘に対する参戦記章』、『オペレーション・スピア・オブ・トワイライト参戦記章』『インド洋攻防戦従軍記章』、『敵前上陸作戦参加記章』、『人道行動記章』、『ガルナハン・ローエングリンゲート攻略戦従軍記章』、『ガルナハン解放記念記章』『アレクサンドリア沖海戦従軍記章』、『ディオキア解放記念記章』、『黒海・コーカサス解放作戦従軍記章』、『月軌道会戦参戦記章』
『人道記章』(7回目 飾版金1枚、銀1枚目)、
感状(共同受賞 カーペンタリア基地司令官より)
アグネス「(ざっとこんなもんね。月軌道会戦の高位勲章は審議中っと)」
もうここまで来たらネビュラ勲章授与して欲しい。いや本当に。結構、トータルではそれに見合う功績は上げているつもりなんだけどな。 - 70二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:09:08
まさかアグネスがこれ程の人間的成長を見せるとは、このリハクの目を(略
- 71二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:11:37
授与式の後は広場にお集りの皆様、つまり今のグラディス隊に基地のお偉方を交えて立食パーティー。シンの食いしん坊ぶりには呆れるばかりだわ。あいつの持って来たケーキをルナマリアとメイリンと私、シンの4人で食べまくったことは内緒だわ。
モグモグもぐもぐ…、はしたない。パパやママがこの光景を見たらどう思うだろう?
アグネス「(そうだわ。もうここにはパパやママが知っている『アグネス』はいないのかもしれない…。開戦からここに至るまで、ミネルバに乗り組んで以降、様々な事態に私は直面し続けて来たから…)」
そう考えると漠然とした大きな不安感と小さな満足感を覚える。
この気持ちが何であるのか言葉に表す方法を私はまだ持ってはいないけれど。
さて、お腹いっぱいになってシャワーを浴びたんだからさっさと寝て、明日の任務に備えましょうか。
部屋の前でルナマリア、メイリンと挨拶を交わす。
アグネス「おやすみ、メイリン、ルナマリア」
メイリン「おやすみなさい、アグネスさん。おやすみ、お姉ちゃん」
ルナマリア「おやすみ、メイリン、アグネス」
部屋に入り、授与された略綬を制服に付け加えた後、ベッドにもぐりこんで静かに瞼を閉じる。ダイダロス基地、超巨大砲台、という言葉に軽い引っ掛かりと不安を覚えながら。
ピピピピピ!
アグネス「(もう朝か?しっかり休んだはずだけれど、少し気だるいわね)」
しかし、そうも言っていられない。ちゃちゃっと制服を着こんで身繕いをする。出撃前の朝のテンションは独特だ。いずれ慣れる日は来るのだろうか。
お隣のメイリンとルナマリアは私とほぼ同時に部屋を出て来たわ。ゴンドワナの休暇の順番は、今日で月軌道艦隊の次隊に移る。そのため、私も含め、3人とも自分の鞄を持って艦に戻る。と言っても、こじんまりしたもので、大したものは入っていない。着替えとデバイスと貴重品類、あと昨日授与された勲章。 - 72二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:15:33
アグネス本当に八面六臂の大活躍だよなぁ
できることが多くて替えが効かない人材すぎる
議長は現実が描いたルートから逸れ続けて頭を抱えてそうだ - 73二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 19:16:14
アグネス「(両親と旅行に行った際は、すごい量の荷物を御付きの者に運ばせていたわ。一家族で一体何をあんなに持って行ったのか、今となっては別の世界の出来事のように思う)」
アグネス「(両親と旅行に行った際は、すごい量の荷物を御付きの者に運ばせていたわ。一家族で一体何をあんなに持って行ったのか、今となっては別の世界の出来事のように思う)」
宿舎入口の保安兵2人に敬礼。短期間、1泊2日大変お世話になったわ。向こうも敬礼を返してくれたあと手を差し伸べてくれる。
保安兵達「ご武運を」
アグネス「はい。あなた達にも」
ルナマリア「お世話になりました」
メイリン「またお会いしましょう」
保安兵達「はい」
私達3人、一人ずつ、二人の手を順番に握っていく。几帳面そうな男性兵とがっしりした女性兵。ふと、思う。この二人にもプラントに家族がいるのだ。だから、月の裏側の安全を確保しに行く私達にこれほどの親切を示してくれているのだと。
アグネス「(当たり前のこと。その当たり前の事をうっかり忘れそうになる。目の前の相手はモブじゃないんだわ)」
もう握手を終えてしまったから、この感情を伝える手段は私にはない。大事に忘れぬよう心にしまっておこう。
私とメイリンはカーナヴォンに、ルナマリアはマルベースに駆け足で乗艦。直ぐ後からシン達が続く。朝ごはんは栄養ゼリー。カーナヴォン・パイロット組、皆で額を突き合わすようにぐびっと飲む。
レイと目線を合わせる。昨日の朝のミーティング以来、大丈夫かこいつ?
レイ「どうした?アグネス」
アグネス「あんた体調大丈夫?」
軍人らしく端的に尋ねる。腹の探り合い等している時間は無い。レイの顔色を確認。別に何時も通りね。相変わらず、鉄面皮の憎たらしい顔だわ。
レイ「問題ない。心配かけたな」
アグネス「なら良し!」
シン「良かった!」 - 74二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 22:23:55
向かいのシンが笑顔で会話に加わる。やはり昨日のレイの様子をこいつも案じていたらしいわ。レイはそんなシンに軽く微笑みかけ、ふと思い出したように義理で私にも同じ表情を向ける。
アグネス「(義理か!最初に心配してあげたのはこちらでしょうに!)」
やはりホモの考えることは分からないわ。まあ、シンとレイは特にそういう関係ではない、ただの親友みたいだけれど。
その後、艦長、ハイネ先輩、アスランが乗艦。敬礼を交わす。因みに副長は前からカーナヴォンのブリッジに詰めているわ。
ハイネ先輩とアスラン、私達は揃ってブリーフィングルームへ。ブリッジに艦長が到着したのだろう。艦の発進シークエンスが開始される。
アーサー「カーナヴォン、発進シークエンススタート。本艦はこれより戦闘ステータスに移行する」
メイリン「本艦はこれより発進します。各員所定の作業に就いて下さい。パイロットはブリーフィングルームで待機してください」
発進前に艦長より短い訓示。カーナヴォン、マルベース、ブルトンよりなるグラディス隊と後続するナスカ級6隻に向けて。
タリア「これより本作戦を開始します。月の裏側の状況は現在、我々プラント、ザフト軍にとって大きな死角となっている。そこに連合が大量破壊兵器を配備、備蓄している可能性は軽視できない。ダイダロス基地が想定より大規模である可能性も、また否定はできない。彼の基地は連合第3艦隊の母港であるのみならず、未確認情報でこそあるが戦略兵器級の大出力巨大砲台が存在するともされる。表でアルザッヘル基地と対峙し続けている母艦隊から援軍が必ず間に合うという保証はない。その分、皆の一層の奮闘を期待したい」
アーサー「機関始動。カーナヴォン発進する。コンディションレッド!」
メイリン「コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットはブリーフィングルームで待機を続けてください」
微かな振動の後、カーナヴォンの船体がゴンドワナから、にょっきり飛び出していく。それにマルベース、ブルトンが続き、その後ろから私達を待っていたナスカ級6隻が加わり、艦列を組み月の裏側に最大船速で前進していく。
アグネス「(月の裏に到達しだい、適当なところで、ジン長距離強行偵察複座型を発艦させなければいけないわね)」 - 75二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 10:09:24
☆
- 76二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 10:35:10
眼下に月を睨みながら9隻のナスカ級は突き進む。最初に目指すは『南極エイトケン盆地』。月の裏側の南極付近にある巨大なクレーターで、ダイダロスクレーターに向かう前段階として、ここで一旦、偵察用ジンを発艦させることになっている。
私達人類に馴染み深い方の月が終わろうとしている。『月の海』をウサギや馬に例えた我らのご先祖は本当にセンスがあったと思うわ。
私達の足は止まることは無く、順調に月の裏側に到着。カーナヴォンのモニターには不気味な巨大クレーターが映っている。あれが、南極エイトケン盆地か…。クレーター『ティコ』とはまた、全然違うわね。
シン「月の南極に連合はいると思うか?」
お向かいのシンが尋ねてくる。アホか。私が知るわけはないじゃない。
アグネス「さあ?ただ南極エイトケン盆地に連合の基地があるという情報はないわね。月の裏側に基地や戦力を隠したいなら表に近い場所には…」
『表に近い場所には配備しないはず』と言葉を続ける前に緊迫感のある艦内放送がブリーフィングルームに響く。
メイリン「敵艦隊発見!待ち伏せです。パイロットは搭乗機にて待機せよ」
艦内放送を聞いた瞬間に皆が一斉に立ち上がり、エレベーターに駆け込みモビルスーツデッキに。慌ただしくそれぞれの機体に乗り込んでいく。
グフのコックピットを起動しながらいくつもの疑問が私の頭をよぎる。
アグネス「(現在地は南極エイトケン盆地の真上、ここに連合基地は無い筈。隠していたのか?いや、すぐ手前まではザフト月軌道艦隊が定期巡回をしているから、大規模な基地が存在したとはやはり考えづらい)」
とするとやはりダイダロスからの巡回艦隊か…。
コックピットモニターにメイリンの顔が映る。表情を見るに結構やばそうね。
メイリン「敵艦隊を識別。第3艦隊です。アガメムノン級6、ネルソン級11、ドレイク級13。並走する大型モビルアーマー12機も確認」
アグネス「(文字通り待ち伏せね。どうしてこちらの動きが読めたのだろう―)」
月の裏側にザフト月軌道艦隊の支隊が派遣されることは昨日、急に決定したこと。敵が察知する暇があったとは思えない。月のパワーバランスが急変したため向こうも巡回を強化していたのか― - 77二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 10:59:29
アグネス「(それにしても、ザフトの月の裏側への進出までは予想できたとしても。具体的なルートまで読めるとは思えないわよね…)」
これも戦場の霧だろうか?よせ、今考えることじゃない!
タリア「グラディス隊、後続隊。モビルスーツ隊発艦開始!ジン長距離強行偵察複座型も全機発艦。周辺宙域・月の裏側の監視を」
一同「了解!」
モビルスーツ各機の発艦シークエンスが開始される。
メイリン「カタパルト推力正常。インパルス発艦スタンバイ。シルエットはブラストを装備します!針路クリアー。インパルス発進どうぞ!」
シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
インパルスはブラストで出撃。シンが敵を薙ぎ払うことが出来るかで私達の生死が決定するといってもいい。月軌道艦隊母艦隊にも報告は飛んでいるはずだけど、到底間に合うとは思えない。
メイリン「続いて、セイバー発進、どうぞ!」
アスラン「アスラン・ザラ、セイバー発進する!」
急がないと。先頭のグラディス隊が潰れたらまずい。モビルアーマーに随伴機が付いているならすぐにこちらに突っ込んでくるかもしれない。
メイリン「グフ、アグネス・ギーベンラート機発進スタンバイ。全システムオンライン。グフ、レイ・ザ・バレル機発進スタンバイ。進路クリアー。グフ、アグネス機、発進どうぞ!」
アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」
カーナヴォンのカタパルトから勢い良く撃ちだされ、先に発艦したインパルス、セイバーと合流。レイたちも順次撃ちだされ、編隊を組み、隊列を整えていく。後ろからはマルベース、ブルトン組も。コックピットの通信回線はブリッジとアスラン機に固定。
持ち回りは前回と同様。攻撃は私達ザラ隊、守りはハイネ先輩達ヴェステンフルス隊。
後続のナスカ級の部隊との合流は、どうする?彼らも発艦を開始しているが…。 - 78二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 14:01:29
⭐︎
- 79二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 15:05:30
なんという偶然だろうか
まるでこちらの手の内が敵に知られているかのようだ(棒) - 80二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 19:02:27
ザフトにスパイでもいるのかってぐらいの動き方だ
どうなってるんですか議長! - 81二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 21:13:35
戦力からしてよほど隠したいものがあるに違いない。ジブリール秘蔵のエロ本とか…
- 82二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 21:50:56
後続のナスカ級は2列縦隊でグラディス隊に後続している。各艦の艦長の号令の下、次々とモビルスーツ隊は発艦を開始している。
しかし、敵第3艦隊は既に全機発艦済み、既に布陣を終えている。まず、先頭の私達グラディス隊、20機と3隻が対処するしかない。
ザラ隊の前には12機の陽電子リフレクター装備モビルアーマーとそれに随伴するウィンダム隊、モビルアーマー1機に対してウィンダム3~6機。ど真ん中のモビルアーマーがザムザザーとゲルズゲー、両翼にはユークリッドがそれぞれ5機ずつ。
グフの光学センサーで映像を拡大。ザムザザーとユークリッドに守られ、その陰からウィンダムのドッペルホルン連装無反動砲がこちらを覗く。ドッペルホルン連装無反動砲がこちらを覗く?!
アグネス「アスラン先輩!ザムザザーとゲルズゲーの後背にドッペルホルン連装無反動砲を装備したウィンダム各1機。艦が狙われます」
アスラン「こちらも確認した。インパルスの照射と共に俺とアグネス、レイで仕留める。ショーン・デイル、ルナマリア機他3機のザクはそのすぐ両側のユークリッドに対処を。残りのは中央を潰してからだ!」
一同「了解」
セイバー、アスラン機よりコックピットに通信。
アスラン「アグネス、レイ。ザムザザーの方は俺が。二人はゲルズゲーの方を頼む!」
アグネス・レイ「了解」
まず、シンのインパルスが先行、ブラストシルエットの高火力を活かしケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲を照射。広範囲を薙ぎ払い、敵モビルアーマーにわざと陽電子リフレクターを起動させる。
前傾姿勢になったザムザザーにセイバーが高速飛行形態のまま突進!随伴のウィンダム2機がザムザザーとドッペルホルン連装無反動砲パック装備ウィンダムを守ろうと飛び出してくるのを高エネルギービームライフルで撃ち落とす!それと同時に一気にモビルスーツ形態に変形。
ザムザザーのコックピットにビームサーベルを突き刺し、ほぼ同時に背後のドッペルホルン連装無反動砲パック装備ウィンダムにビームライフルを撃ちこんで、巨大な爆発とやや小ぶりな爆発合わせて4つの閃光で宇宙を照らす - 83二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 21:55:27
鮮やかな手並みだが、こちらはそれどころではない。左翼のユークリッドと随伴3機が素早く反応。こちらに急接近したため、レイはそいつ等の対応に。ゲルズゲーと随伴は私一人が対処しなければならなくなったわ。
アグネス「(大丈夫。もともとモビルアーマーと随伴モビルスーツを1機で相手にする訓練をして来たじゃない!)」
グフの高機動力を活かして、ゲルズゲー上半身ビームライフル2つを躱し、下半身のビーム砲は撃たせる間を与えない。スレイヤーウィップで奴の頭部もろともイーゲルシュテルンを破壊する。
随伴ウィンダムが、ようやく自分の役割を果たそうとするので、頭部を破壊したスレイヤーウィップをもう一振りして撃破!
ほぼ同時にゲルズゲーに横側面からM68キャットゥス500mm無反動砲を撃ちこみつつ、次に飛び出してきたウィンダムはドラウプニル4連装ビームガンで撃墜。
ドッペルホルン連装無反動砲パック装備ウィンダムが対艦攻撃に特化のはずの大型砲を破れかぶれで撃ってくるが、それも躱し、テンペストビームソードで胴切りにする。
セイバーに一拍遅れで、こちらも大きな閃光と小さめの閃光3つ。
(カウントMS96 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8)
アグネス「(レイ、ルナマリア達はどうなっている?)」
レーダーと光学映像で確認。
ルナマリアはそのまま、ひるむことなく前進。ファルクスG7 ビームアックスでユークリッドを切り捨て、随伴のウィンダムをファイヤビー・誘導ミサイルで撃墜している。更にその後ろから後続するウィンダムの編隊はデイル他ザク隊がビーム突撃銃とファイヤビーで撃墜している。
レイはゲルズゲーの援護のために急接近してきたユークリッドを切り裂きつつ、ウィンダム3機に対処、更に後ろからもウィンダムの編隊が前進するがカバーに入ったショーンのビーム突撃銃とファイヤビーが彼らを撃墜。
アグネス「(順調じゃないか!このまま…)」 - 84二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:02:21
メイリン「報告!両翼のユークリッド隊。グラディス隊-カーナヴォンとマルベース、ブルトン―を一切無視して全力で前進。後続のナスカ級及び艦載モビルスーツ隊と交戦中」
コックピットにブリッジから急報。撃破されつつある味方をほぼ無視して連合モビルアーマー・モビルスーツ混成隊は、後続のナスカ級6隻に!当初からの作戦なのか。偶然か?いずれにしろ、彼らがやられたらこっちは挟み撃ちに。
アグネス「(確かあっちはゲイツR混じり。陽電子リフレクター装備モビルアーマーとウィンダムでは支えきれないかも
コックピット・モニターにカーナヴォンの艦長-隊長-
何時も通り、私達を落ち着けてくれるのね。
タリア「慌てるな。既に母艦隊にナスカ級よりなる追加部隊の援軍を要請…」
艦長の言葉を遮るように副長の報告が聞こえる。基本、艦長を立てるタイプの副長にしては珍しい。
アーサー「隊長。月軌道艦隊母艦隊より入電。敵アルザッヘル基地より地球連合軍艦隊出撃中。3個艦隊規模です!」
タリア「何ですって!?」
コックピットの通信回線をカーナヴォンブリッジに固定しているため、聞きたくもない情報が耳に入ってしまった。
アグネス「(慌てる要素しかないわ。何?今日が艦隊決戦の日なの?一昨日負けたばかりでそんなことを決断するほど、連合司令部は向こう見ずだったの?!)」 - 85二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:14:15
レーダーを覗くと、グラディス隊の背後では後続のナスカ級部隊が敵モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊に翻弄される様子が確認できる。対陽電子リフレクター装備モビルアーマー戦に慣れていないんだ。彼らは!自分達がよく戦っているせいで感覚がおかしくなっている。
コックピットに通信。セイバーより、グラディス隊全機に対して。
アスラン「隊長の言うように慌てる必要はない。着実に任務を。シン、このまま中央を進んで敵モビルスーツ群を薙ぎ払え」
シン「はい!!」
そうだわ。順番を間違えてはいけない。先ずは目前の問題に対処を。
シンのインパルスが、ザムザザー、ゲルズゲーを撃破後の空白から敵モビルスーツ群前方まで突進する。私とレイのグフ2機、ショーンとデイルのザクファントム2機が護衛と戦闘継続のために続く。
前後左右上下が敵だらけの空間、無数のビームを躱し、数えきれないほどののミサイルが私達に降り注ぐ中、ドニウプニルとビーム突撃銃でそれを迎撃しつつ、4機で必死にインパルスのベストポジションを確保する。ポイントに着くや、シンがブラストインパルスの一斉照射を開始。一帯の敵を閃光の渦に巻き込み、スペースデブリに変えていく。
アグネス「え…」
敵モビルスーツ群の背後から飛び出したドレイク級1隻が自ら先頭に急行して巨大なビームシールドを展開。こいつ陽電子リフレクター装備型なのか!!
シン、インパルスの攻撃は半分は不発に終わり、右翼左翼後ろの54機を吹き飛ばした段階でフェイズシフトダウンしてしまう。巨大なビームシールドに守られた残55機を超えるモビルスーツ群が陽電子リフレクター装備型を伴いながら急速接近。私達が今度は追い詰められる番。
喉までせり上がって来た心臓を飲みこみながら必死に声を上げる。
アグネス「ショーン、デイル。シンをカーナヴォンに!レイ!」
シン「了解!」
レイ「分かっている」
フェイズシフトダウンしたインパルスを、狙いすましたかのように飛び出してきた馬鹿者のウィンダム2機をグフ2機の無反動砲で1機ずつ撃墜する。
(カウントMS97 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8) - 86二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:18:44
ショーン・デイル「分かった」
それを目の当たりにしたショーン、デイルも金縛りが解けたようにモビルスーツの操縦を再開。シンを護衛しながら一旦後退する。
高速飛行形態にもう一度、変形したセイバー、アスランが私達を追い越しながら檄を飛ばす!
アスラン「アグネスの言うようにショーンとデイルはインパルスをカーナヴォンまで。インパルスは急速充電を。その間、二人はグラディス隊3隻の直掩を。ヴェステンフルス隊は後続ナスカ級の救援に向かっている。ここが抜かれたら危ない。他のザラ隊は前線を支えろ」
ザラ隊一同「了解」
前方からは敵モビルスーツ部隊56機。その更に後方からは、アガメムノン級のゴットフリートが12本、光の洪水になって、私達を掠めナスカ級に向け迸る。
アスラン「時間がない。先ず、アガメムノン級、ゴットフリートを何とかする。アグネス、レイついてこい。ルナマリアは残りを率いて耐えてくれ」
アグネス・レイ「了解」
ルナマリア「あ、はい」
ルナマリア…。そう言えばアスランから直で呼びかけられるの初めてか。私はいろいろあって全く感慨を抱かなかったけれど、フェイスからお声をかけられるのは光栄なことかもね。アカデミーで出たての士官としては。男としては無いと分かっていたとしても!!
アグネス「ふふ…」
どうでも良い心の動きが、極限まで達した精神の緊張をほんの少し緩めてくれる。
セイバーが高速飛行形態のまま、敵モビルスーツ群に突撃。後に私達、グフ2機が続く。少なくとも56本分のビームが宇宙を切り裂いてこちらに飛んでくる。良かった。相手は精鋭部隊だわ。狙いが正確で、とても避けやすい。 - 87二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:23:14
セイバーは敢えてアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲とスーパーフォルティスビーム砲を広範囲照射。あの陽電子リフレクター装備型ドレイク級が攻撃に対応するため、ビームシールドを展開。
その瞬間を見計らって、機体をモビルスーツ形態に変形すると、ビームサーベルであの憎たらしい発生器を切り捨て、さらに高エネルギービームライフルをそのまま滑るように連続発射!
ドレイク級が爆散し、直掩の3機のウィンダムもほぼ同時に撃墜される。セイバーはそのまま、アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲を今度はより広範囲に全力照射。20機ほどが爆発する。
飛び散るデブリをシールドで防ぎながら、私とレイは続いて切り込み、ドラウプニルでそれぞれ1個小隊3機ずつを屠り、アスランが空けた戦列の穴を広げていく。
(カウントMS100 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8)
ルナマリア達ザク隊も次々ビーム突撃銃を撃ちこみながら接敵していく。ファイアビーミサイルも4機のザクから全弾発射され、彼らによって一気に16機のウィンダムが撃ち落とされる。
アグネス「(あれ?一気に?!ミサイル、切れちゃったわ)」
この局面でこれは不味い―
コックピットに通信。
アスラン「アグネス、レイ。セイバーもエネルギー切れだ。一旦、ザク隊とカーナヴォンに帰還する。厳しいが後は頼む。ルナマリア、ミサイルなしだが行けるか?」
ルナマリア「はい!」
アスラン「頼む」
アスラン、セイバーとミサイル切れを起こしたザク3機は急いでカーナヴォンに。
アスランと通信しながらも、私とレイ、ルナマリアの戦闘は続行され、ルナマリアはビームアックスで、私とレイはテンペストでほぼ同時にウィンダムを切り捨てる。
更に追加でドラウプニル。2機を撃墜。ルナマリアのビーム突撃銃、レイのスレイヤーウィップが敵を閃光に変えたのを視認。
(カウントMS103 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8) - 88二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:31:08
残敵4機を追いかけながら、私とレイとルナマリア、グフ2機とブレイズザクは敵艦隊に突入を図る。まだ、各艦の直掩機が合計すれば90機はいるはずだわ。
アグネス「(かなり無茶ね…。正気じゃないわよ。アスランが無茶を言っている訳じゃない。状況が無茶苦茶なんだわ)」
逃げ損ねた不運なウィンダムを撃ち落とす。そのまま混戦に持ち込みやや斜め上を取ったポイントで、前列中央のネルソン級にM68キャットゥス500mm無反動砲を発射!命中撃沈させる。
(カウントMS104 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8)
ネルソン級の直掩機、更にその周辺の艦の直掩機がわらわら飛び出してくるが、基本、それはレイに任す。背後でドレイク級がルナマリアのビーム突撃銃とビームアックスで轟沈。
アグネス「(時間がない…。ゴッドフリートを黙らせる。それが至上命令。アガメムノン級撃沈のみに集中を!)」
グラディス隊と行動を共にしていたナスカ級6隻はどうなったのだろう。月軌道艦隊の本隊とアルザッヘルから出撃したという3個艦隊との戦いは?
アグネス「(頭から掃き出せ。そんなもの!全部後だわ)」
前進する自分の機体の眼下から迫って来た直掩は流石にレイに任せるのは無理だわ。一個小隊3機のウィンダム。1機目をテンペストで切り裂き、そのままドラウプニルで後続の2機を撃ち落とす。
(カウントMS106 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級4 ネルソン級5 ドレイク級8)
アガメムノン級6隻の艦列の前方を守るネルソン級1隻に無反動砲を撃ちこみ撃沈し、爆発の衝撃を縫うように一気に距離を縮める。グフの後ろを追ってきたルナマリア機がウィンダムにビーム突撃銃を撃ち、隙を作ったアホをビームアックスで斬って援護してくれる。 - 89二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:37:03
アガメムノン級1隻目と2隻目の間に突っ込み、左手に持ったM68キャットゥス500mm無反動砲を発射、命中させる。接近する直掩機はそのままドラウプニルで撃ち払う。かまう暇なんてない。取り合えず、1機撃ち落とした!
もう片側のアガメムノン級に右手のテンペストを突き刺し、切り裂いたうえで、更にその穴に無反動砲を撃ちこみ大爆発、轟沈させる。
(カウントMS105 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級5 ネルソン級6 ドレイク級8)
上下から迫って来る5機のウィンダム!
1機目をテンペストで2機目、3機目をスレイヤーウィップで切り裂き撃墜する。
隙が出来た瞬間にさっきの攻撃で中破していたアガメムノン級に無反動砲をもう一撃撃ちこみ轟沈させる。4機目と5機目のウィンダムは援護に来たルナマリアがビーム突撃銃で撃墜。
アグネス「(あれ?ルナマリア普通に射撃ができる?!)」
下手とまでは思っていなかったが、不向きだとは思っていた。嬉しい誤算ね。
(カウントMS108 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級6 ネルソン級6 ドレイク級8)
正面、上下から6機の敵直掩隊。ビームライフル6本のビームを近距離から発射される!回避行動をとるが、躱しきれない分は対ビームシールドで受け止める。ザクのシールドより頼りになるのは―
アグネス「嬉しいわね!」
ドラウプニルで2機を落とすや、側のアガメムノン級に無反動砲を発射。ブリッジの根元付近に着弾し誘爆が始まったのを確認しつつ、スレイヤーウィップでもう1機撃墜。
ルナマリアがビームアックスで2機、ビーム突撃銃でもう一機を火の玉に変える。
(カウントMS111 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級7 ネルソン級5 ドレイク級8) - 90二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:54:47
既に時間の感覚は麻痺している。視覚・聴覚・嗅覚・触覚から伝わるあらゆる電気信号が脳内を駆け回り、脳内麻薬が蛇口を捻ったように流れ続けている。もう自分は何も感じない。ひたすら散文的に機械より無機質に任務を遂行している。
何かを考えるだけのキャパシティはとうに超えている。おそらく疲労も限界を突破している。
アグネス「(辞めたい。帰りたい。初めて…。頭も体もどうかなってしまう)」
でも、皆がそうだ。ここで闘っている敵味方、全員。だから何ともならない。私が手を止めれば味方は皆死ぬ。勿論、私自身も含めて。それが嫌なら最後の瞬間まで敵を倒し続けるしかない。嫌という気持ちすら、次の瞬間には脳内麻薬の海に溶けて消えてしまうが―
また、ウィンダムがビームライフル発射でグフをロックオン。ビームをシールドで防ぐ。一体いつまで続くんだ、これは。そう思った瞬間、ルナマリアが後ろからビームトマホークを投げて、そいつを真っ二つに!すぐさま援護・撃墜してくれた!
アグネス「(月並みな表現だけど…。『私だけが戦っている訳じゃない』と言う事実がこんなに心を救ってくれるものなのね)」
報いなければならないわね!そのまま目前のアガメムノン級に肉迫。3機のウィンダムをドラウプニルで閃光にかえ、アガメムノン級のブリッジ真正面から無反動砲を撃ちこみ爆発、轟沈させる。
錯覚だろうか…。ブリッジの中に人影が見えたような気がする。逃げようとする者、最後まで任務を全うしようとする者、祈りを捧げる者-
コックピットにカーナヴォン・ブリッジから緊急通信!
アーサー「つ……うら…わに……えねるぎー……。は……い!」
はぁ?なに。良く聞こえない…。こんな前線だから当たり前だわ。目前に来たウィンダムをテンペストで切り裂く―閃光が弾ける瞬間に通信が一瞬回復する。 - 91二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 22:59:12
アーサー「月の裏側に高エネルギー体発生!!退避に備えよ!」
ルナマリア「例の砲台?!ここは南極よ!」
アグネス「(退避?退避ってどこに?!)」
月の裏側のほぼ中央、私達が戦っている南極の遥か半球の彼方、ダイダロスクレーターから巨大な緑色の光の大瀑布が月の大地から宇宙に向かって流れ上がっていく。膨大な、計り知れないエネルギーはクレーターの直上で大きくその角度を屈曲させ、直進。更に別の屈曲ポイントで折れ曲がり―
何?しっかりしろ。死にたいのか?!
アグネス「全機棒立ちになるな!止まった奴から死ぬ!目の前の敵を落とせ」
通信回線に絶叫しながら、目の前の目前のウィンダムをテンペストで袈裟懸けにする。無論、今の言葉は誰よりも自分に向けてのものだ。
(カウントMS116 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級8 ネルソン級6 ドレイク級8)
一方、巨大な光の滝は遂に月の表、私達が今朝出発した月軌道艦隊本体が存在したあたりの宙域を切り裂き、薙ぎ払い、やがて宇宙の闇へと消えて行った…。
何が起こったのか…。良く分からない。攻撃があったことは確かみたいだが…。私もとうにオーバーヒート気味だわ。一体何が?
レーダーを確認。遂にシンのブラストインパルスが到着。手始めにレイ機の周りに群がりつつあったウィンダムをフルバーストして蹴散らし、こちらに直進してくる。
今のでウィンダム20機は落ちたわ。逆に言えばレイも良くやっていたのね。
私を挟み撃ちするように接近するウィンダム3機ずつ計6機。先ず片側に急接近、ミサイルは右手のドラウプニルで撃墜しながら、スレイヤーウィップで駆け抜けざまに2機を撃墜。後ろから迫って来る編隊に振り向きざま左手のドラウプニルを撃ちこみながら、私の後ろを取ったつもりのアホなウィンダム1機を振り向かずにスレイヤーウィップで叩き落す。
私に気を取られた3機の内2機は後続していたルナマリア機のビーム突撃銃で撃ち落とされ、もう一機は彼女のビームアックスで撃破。後方ではシンがウィンダムだけでなくドレイク級・ネルソン級にも攻撃を仕掛けている。 - 92二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:05:00
私は直掩を失ったアガメムノン級の横腹に無反動砲を撃ちこみ、更に通り抜けざまスラスターからももう一発を撃ちこみ轟沈させる。ルナマリアも対空砲火を潜って最後のアガメムノン級の甲板、艦橋のすぐ手前に降り立つとビームアックスを大降りに一閃、艦橋を切り裂き船体にめり込ませ爆沈させる。
(カウントMS119 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級9 ネルソン級6 ドレイク級8)
コックピットレーダーを見るにセイバー、アスラン機とグフ、ハイネ先輩達も戦列に加わり残った艦を…。鬼気迫る勢いで沈め始めている…。
アグネス「(この動き…。異常だわ!戦争犯罪を犯している訳じゃないけど…。何時になく敵を『皆殺し』にしようと言う強い意志のようなものを感じる)」
特にヴェステンフルス隊と後続ナスカ級から加わったモビルスーツ隊。私の錯覚だろうか?さっきのビーム砲は?どうなっているの。
アグネス「(軽いようでいて冷静なハイネ先輩らしからぬ動き。割り切ってはいても非情な人ではないのに。他の機体も既に致命打を受けた艦に何発も攻撃を撃ちこんでいる)」
好ましいとは言えない。
アグネス「(降伏後の敵を殺傷している訳じゃないけど。やり過ぎると問題になるわよ。まあ、宇宙空間では結果は変わらないか)」
ようやくレーダーで確認できる範囲が広がり、全体の状況が分かる。カーナヴォン・マルベース、ブルトンは無事。グラディス隊は全機生き残っているが、後続のナスカ級は6隻から2隻に減っている。やはり慣れないモビルアーマーの相手はきつかったのだろう。傍に救難シャトルも視認。良かった。撃沈前に脱出できたクルーも少なからずいたらしい。
アグネス「(ホッとしている場合じゃない。戦闘はまだ続いている。集中を)」
アスランは何時も通り…じゃないわね。恐ろしい起動で艦を轟沈させ、残った機体を落とし続けている。ゾーンに入ったのかな。その方が早く決着がついていいけど。 - 93二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:13:09
月軌道艦隊本体もしかしてレクイエム直撃した…?
みんなが復讐に燃えるのはやむなしだけどここで怒りに呑まれるのは議長の思う壺だよな
周りの人たちをモブではなく一個人として見始めたアグネスだって例外じゃない
辛いだろうがなんとか踏ん張ってくれ… - 94二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:13:41
私もグフ、ドラウプニルで目前のネルソン級を轟沈。右翼でまだ持ちこたえていたドレイク級も同じくドラウプニルで撃沈。ネルソン級を沈めたルナマリアと合流する。
(カウントMS119 大型MA5 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級9 ネルソン級7 ドレイク級9)
ちょうどその頃、左翼でも最後の一隻。ドレイク級をセイバー、アスラン機が沈め、敵艦隊の殲滅が終了する。
カーナヴォン、マルベース、ブルトンから信号弾が上がり、無限に感じられた戦闘がようやく幕を下ろした―そう思った。
しかし―このタイミングで恐ろしい答え合わせが艦長より伝えられる。
タリア「ご苦労だったわね。皆、心を落ち着けて聞いて欲しい。もう知っている者も多いけれど―」
知っている者とは艦のクルーと後半戦に加わったモビルスーツパイロットね。じゃあこれは、主に私とルナマリアとレイあてのお話か…。
タリア「月軌道艦隊は先程の巨大ビーム兵器によるエネルギー照射を受けて、殲滅されました」
ルナマリア「…」
少し言葉に詰まる。しかし、ここまではある程度予想していたこと。
アグネス「大きな打撃を受けた…。と言う意味でしょうか?」
コックピットモニターに映る艦長に問いかける。
流石に殲滅とは穏やかじゃないわ。確かに巨大な砲撃だったけれど。全滅3割、壊滅5割なんて議論がある数字を持ち出すつもりはないけれど、まさか…。
タリア「アグネス。残念ながら…。旗艦ゴンドワナを含めた月軌道艦隊のほぼすべてが艦、モビルスーツもろとも消滅。何隻か、何機か生き残りが居るかもしれないけれど」 - 95二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:23:15
アスラン「敵艦隊の翼包囲に対して中央突破・背面展開を図り、中央にザフト艦隊が集結した瞬間を狙われた。今から緊急会議を行う。皆、一度帰投せよ」
一同「了解」
アグネス「了解」
カーナヴォン、マルベースに向かう。何か現実離れしていて実感がない。頭の中がフワフワしている。さっきまで脳内麻薬がジャブジャブだったんだ。正直今も正気では無いだろう。
コックピット・モニターでルナマリアと回線を繋げる。
ルナマリア「…」
悲しみも怒りもない。きょとんとした無表情の顔。快活な彼女らしくない虚を見るような視線が私に注がれる。何かの救いを求めるように。
言葉が出てこない。いざ、他人の顔を見たら、途端にさっき聞いた話が現実味を帯びてきてしまった。救いが欲しいのは私も一緒だ。おそらく自分も同じような顔をしているのだろう。
アグネス「…」
ただただ嘘であって欲しい。いや、艦長はそんな人ではない。艦長が噓を言わないなら私達が戦闘時の異常精神状態にあるのだろうか?
ただ、もし私が『ねえ、どう思う?』とルナマリアに問いかけて、彼女が『本当のことだと思うよ』と答えたら。この会話一つで恐ろしい現実が確定してしまう。先延ばしにしたい。私の一生が終わるまで。
だってそうでしょう!?信じられない。ザフト有数の主力艦隊が…。私達の母艦隊が―、あそこで出会い、互いの人生の、ほんの一瞬を共有した戦友たちの顔。電気信号となって瞬時に脳内を駆け巡りニューロンに焼き付いていく。
レイ「…」
レイにも回線をつなぐ。どんな顔をしているのかと思ったら、本当にこいつの表情は分からない。ただ浮かべている表情はルナマリアともおそらく私とも異なる。
アグネス「(この表情。敢えて言えば怒りと失望か…)」
怒りは分かる。失望は何に対してだろう。この出来事に対してかな?確かに現状に失望するべきなのかもしれないが...。私が抱いている感情とは明らかに異なる。衝撃と疑問と悲しみと喪失感と…。
現実感を未だに欠いたまま、私達-少なくとも私とルナマリア―はそれぞれの艦に帰還する。 - 96二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:34:20
怒りと失望か
下手しなくても全員丸ごと全滅するような策だしそれくらい思うよな
腹心のレイごと切り捨てるのと同義だし議長もそれだけ追い詰められているんだろうが - 97二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:35:38
あれ…なんか一気に本編より状況悪くなった…?
主力艦隊一式、特にゴンドワナまで落ちたのだいぶ不味くないか - 98二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 00:00:58
屈折照射できるとはいえ、拠点や待機中じゃなく戦闘で移動中の艦隊を正確に狙って壊滅なんて…出来るものなのか?
とか考え出すとね… - 99二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 00:06:11
残存戦力でダイダロス落とせるかこれ?
仮にデスティニーレジェンド前倒しで投入できたとしても月艦隊ほぼまるごとロストした穴埋めにはならんぞ議長… - 100二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 00:45:35
本編通りプラント直撃するよりは若干、マシなのか?
いや、月艦隊がほぼ消滅もヤバい
ここからどうなるんだ - 101二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 08:58:19
保守
- 102二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 13:54:09
カーナヴォンに帰還。グフからモビルスーツデッキに降りる。出迎えの整備班たちは、皆、無言だ。固まった能面のような顔と、てきぱき作業を進め続ける体がコントラストになり、艦内は異様な空気に包まれている。
レイ「行くぞ」
アグネス「分かってるわ」
背後からレイの声。その声音からは感情が上手く読み取れない。しかし、こいつの内心・考えなどに構っている状況でもないだろう。戦闘終了時の配置等から、私達が一番最後の到着。急いでエレベーターに乗りブリーフィングルームへ。
ブリーフィングルームに到着すると既に艦長達が揃っていた。敬礼しようとする私とレイを制止し、中に通してくれる。
リモートミーティングとなっているため、各艦の艦長も画面の向こうに。グラディス隊のマルベース・ブルトン両艦長に加え、生き残ったナスカ級の艦長2名も。脱出シャトルに乗に乗っていたクルー達は既に収容済みだが、ここに顔を出さないということは他の艦長達は艦と運命を共にしたということだろう。脱出する間もない戦死-
ハイネ「総員、気を付け。敬礼!」
ハイネ先輩の号令で呆然としていた意識が覚醒し、ザッと皆と共に敬礼する。艦長-隊長-と他の艦長達の返礼を受け直る。
タリア「そのまま聞くように。改めて皆、よく頑張ってわね。第3艦隊殲滅を完遂したこと。素晴らしい戦果だわ」
ハイネ「はい。ありがとうございます」
一同「ありがとうございます!」
タリア「うん」
艦長は一つ頷き、少し顔を曇らせた後、決心を固めたように私たち一人一人と目を合わせる。その後、艦内放送装置を自らオンにし、モニターの向こうの艦長にも同じようにするよう促す。今からのやり取りは5隻のナスカ級全クルー、全パイロットのもとに届くことになる。全艦の放送準備が整った段階で艦長は語り始める。
タリア「先程、最高評議会の承認の下、軍本部より緊急の辞令が私のもとに下り、私、タリア・グラディスが月軌道艦隊の臨時司令長官に就任しました。以後、グラディス隊と他の全月軌道艦隊残存艦艇・モビルスーツ隊は私の指揮下に入ります」
アグネス「(繰り上がり人事ね。艦長より上の艦隊上層部が全員戦死したから…)」
主力艦隊の司令官長官なんて名誉な、夢のようなポストのはずだけど、これじゃあ、ただの名ばかり管理職と同じだわ。 - 103二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 14:04:22
艦長-司令長官は、より強い決然とした表情のもと私達に告げる。
タリア「司令長官として、超巨大戦略砲の照射とこの宙域での戦闘で戦死した全ての者に深い哀悼の意を表する。彼ら彼女らは私達のかけがえのない戦友であり、真の勇者でした。
月軌道艦隊が本支隊を残して消滅したことはプラントにとって大きな痛手である。ただ、我等、月軌道艦隊がプラント6000万人国民、友好国国民、ザフト全軍の被ったであろう被害を代理して引き受けたのだと思いこの悲しみに耐えて欲しい。
前大戦アラスカ基地自爆に伴う衝撃から、連合・ザフト双方の際限のない暴力が加速し、多くの悲劇が発生したことを我らは忘れてはならない。各艦の整備補修等のため20分停船する。その間いつも通り救助活動を実行せよ」
アスラン「了解!」
アグネス「了解しました。実行します」
他のパイロット達が否定的な反応をする前に先手を打とうとしたのだろう。アスランが本当に珍しく声を張り上げ、私もそれに同調する。先ず、何か始めないと。何かを―
ハイネ「了解」
一同「了解」
ハイネ先輩が同意したこともあり、さざ波のように他のパイロット達も同調。何時も通りの任務が始まるのだわ。何時も通り―
シン「救助活動は大事ですけど!その…これからどうするんです?!」
隣から大きな声で尋ねるシン。流石に今日は、それを咎める気に慣れないわ。私達は20分後からどう行動するんだろう。
タリア「20分で救助活動と同時に最低限の艦の補修は切り上げます。機体の補修、電力枯渇機体の急速充電を続行しながら、月軌道艦隊は、全速力でダイダロスクレータ直上の第一屈曲ポイントを目指します。屈曲ポイントには、ある種のミラーのような装置とその護衛艦隊の存在が予想される。到着次第、敵護衛艦隊の無力化、屈曲装置の破壊を実行せよ」
命令を下す側、司令官長官の決死の表情とは裏腹に、私を含むブリーフィングルーム内のパイロットには不思議な安堵感と納得感が広がっている。 - 104二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 14:10:32
アグネス「(正しい。合理的で妥当な判断ね。ダイダロス基地を守っていた敵第3艦隊は今日、私達が殲滅した。精鋭の第8艦隊、間に合わせの混成艦隊の計二個艦隊も一昨日に殲滅したばかりだわ)」
だから、現在、月の裏側に存在する戦力はダイダロス基地自体の防衛モビルスーツ隊、そして、そのミラーの防衛艦隊、それから私達、ザフト月軌道艦隊(の生き残り)しか存在しない。あの超巨大戦略砲は一度全てのエネルギーを吐き出し終わっている。エネルギーチャージにかかる時間は不明だが、今、空であることは、はっきりしている。
破れかぶれの巨大砲砲撃の心配も今ならない。
アグネス「(連合がアルザッヘルから出撃させたという三個艦隊はフォックストロット・ノベンバー以降摩耗を続けた艦隊を再編した最後の虎の子。もう、あれ以上、連合も月の表に艦隊を保有していないはず)」
そして、その三個艦隊も今日の月軌道艦隊本隊との戦闘で損害を受けている。場合によっては、ザフト艦隊の動きを目標ポイントに留めるため、敵艦隊の一部はビームの巻き添えになって一緒に消し飛んだかもしれない。希望的観測は抱くべきではないが三個艦隊は2.75~2.5個艦隊ぐらいに数を減らしているかもしれない。
しかも、アルザッヘル基地自体がザフト軍援軍の逆上陸、反転攻勢の対象になりかねないから、残った艦隊全てをダイダロスの援軍に回せないし、派遣された敵援軍がダイダロス・クレーターに到着するより、こちらがミラーに取り付く方が早い。
ただ、一つ疑問がある。挙手。
タリア「アグネス。どうぞ。多分皆も聞きたがっているわ」
司令長官に促され、言葉を続ける。
アグネス「ミラーはともかく、ダイダロス基地、超巨大砲はどう対処しますか?我々の戦力ではそちらを陥落させることは不可能かと思いますが…」
司令長官は、ふぅ~と息を吐く。さっきからずっと呼吸を止めていたかのようだわ。他者と言葉を交わして、少しだけ緊張が解れたのかな。 - 105二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 14:26:21
タリア「第一屈曲点破壊後、本艦隊は一旦状況を本国から到着予定のザフト軍に委ね、地球軌道に。我々、月軌道艦隊最後の1隻ミネルバを迎えに行きます。その間、パイロットは少しでも休憩を。ミネルバにはラドル隊の協力のもと、新たに配備され始めたケルベロスバクゥハウンドを始め、モビルスーツを満載して待機させています。ミネルバが大気圏を突破、合流後は他の部隊と共にダイダロス基地に突入し、超巨大戦略砲台の完全破壊を決行します」
次はアスランが挙手。
アスラン「本国の…。プラントの避難状況はどうなっていますか?」
タリア「全市民をシェルターに入れるべく治安部隊・警察・消防等が全力を尽くしています。未成年者・高齢者・妊産婦は疎開船で一時脱出中。月軌道艦隊は第一屈曲点とダイダロス基地の破壊に専念せよ。これは最高評議会からの厳命です。」
アスラン「分かりました」
そう言えば、議長はどこだろう?昨日はメサイアにいたわよね。となると今、アプリリウスは議長不在か。
アグネス「(あのインチキ議長、ちゃんと最高評議会・60人議会と意思疎通は出来ているの?この決定、議長は知ってる?ちゃんと報連相は出来ているのか?)」
知ったことではないか。この期に及んで最高評議会と議長が別の指示を出すとも思えないし、そうなったら議長の命令は無視一択だわ。
話している内に『20分』がどんどん過ぎていく。整備班は今も手を止めず作業を続行していることだろう。私達は今から救助活動か…。この短時間に何人拾えるかは分からないが。私のグフはエネルギー切れだから艦内で待機か。
タリア「他に質問は?無いわね。では各人自らの務めを!」
一同「はい!」
司令長官、各艦艦長と敬礼を交わす。救助活動に行ける機体のパイロットはモビルスーツデッキへ。エネルギー枯渇機体のパイロット達はブリーフィングルームにクルーが持ってきてくれた寝袋を使用して休眠。枯渇機体のパイロット≒最激戦を戦ったパイロットだからね。休憩も優先される。該当者はハイネ先輩、アスラン、私、シン、レイ。 - 106二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 15:48:46
議長はこの被害を全世界に公開してロゴスの脅威を訴えるのかな?
それとも既に事態は議長の手を離れてしまっているのか - 107二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 22:42:13
アグネス「(結局、何時もの面子ね。マルベースでは今頃ルナマリアも寝袋の中かな)」
他のパイロットも救助活動が終わり次第、寝袋に。皆でミラー直前まで1秒でも長く休む。何気に休憩なしでぶっ通しの偵察ジンのパイロット達が一番きついかも知れない。
女性パイロットの私は一応、自室で休むことを許されるが、謝辞。男どもと雑魚寝は嫌だが、このまま一人になるのが恐い。何よりブリーフィングルームから出た瞬間に疲労で昏倒しそう。今は1分でも脳と体を休める。少しでも…。一瞬で意識が宇宙の深みに吸い込まれるように落ちていく。
メイリン「アグネスさん、時間です」
はッ!
アグネス「メイリン!ブリッジは?!」
メイリンの声で寝袋から跳ね起き、すぐ傍にメイリンの顔があったので危うく『ごっつんこ』しそうになる。そんなことに構っている場合じゃない。急いで寝袋から、体を引っ張り出す。
ちょっと申し訳なさそうな顔をしたメイリンが、慌てる私を宥めながら事情を話してくれる。
メイリン「私も休憩上がりです。ちょうど通路を通ったところで。男性に起こさせるのも、と。余計なことだったら―」
アグネス「余計じゃないわ。ありがとう、この仕切りもメイリンが?」
男子スペースとの間に何時の間にか、カーテンがかかっている。器用にしたものね。
メイリン「いえ。こっちは皆さんの様子を確認しに来た軍医に随行した女性の従軍看護師が。アグネスさんを見て気を効かせて」
アグネス「そう…。ありがたいわね」
アカデミーの頃、女性生徒同士で団結すること等、私は全く考えていなかった。そもそも大半が眼中になかったし。何か良さそうな男がいたら、つき合っている相手がいても分捕ったりしたこともあったような…。
アグネス「(何を考えていたんだろう。いざ、出撃したら同性同士助け合わなければいけないのに)」
まあ、それと配偶者獲得の競争は別だけれどね!いや、訂正。不義理はしないよう気を付けよう、これからは。
アグネス「良し!ありがとう。じゃあ、お互いに健闘を」
メイリン「はい!」
ブリーフィングルームからメイリンを送り出し、カーテンから、にょっきり顔を出す。男子どもの面々の内、シンや甲板組の内3名はまだ寝ているわね。そう言えばメイク落ちているかも…。まあ、どうでも良いわ。今の状況では。そもそも、こいつ等は皆対象外だし。 - 108二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 22:52:23
ちょっと驚いたデイルが返事をする。
デイル「いや?待機要員も含めて救助活動だろう。アグネス以外も寝てたし、終わった後、俺も寝た」
ショーン「だから、気にしなくて大丈夫!」
横からショーンも話に加わって来る。何かこの二人セットね。何時もバディを組んでいるから当たり前かな。
アグネス「(それはともかく。ふっ…。計算通り。自分からこう言えば相手はこういってくれると見抜いていたわ)」
それはともあれ、デイルとショーンの顔色を確認。疲れているが目に力があるから良し!
ご機嫌を取ったら、後は決意表明。
アグネス「ありがとう。ミラーの破壊頑張りましょう!」
デイル「おう!」
ショーン「はい。あっ!ミラーじゃなくて筒だった!」
アグネス「?」
筒がどうした?一体…。
疑問を解消するため周りを見回す。ちょうどシンと残りの甲板組も起き始めたわ。
その後、全員の起床をハイネ先輩が確認。点呼後、スクリーンモニターのスイッチを入れたアスランがブリーフィングルーム前方に移動。自然にミーティング準備が始まる。このタイミングで副長が入室、全員で敬礼を交わす。
副長は皆の顔を労うように見回した後、スイッチを操作して、月軌道艦隊5隻全てのブリーフィングルームと回線を接続、リモートブリーフィングを開始する。
アーサー「皆起きたな。しっかり聞いてくれ。疲れていると思うが、大勢の命がかかっている」
一同「はい!!!」
皆で気合を入れて返事。短時間とは言え脳を休めたからだろう。皆の声に意外なほど力が漲っているのを感じる。一種の異常な精神状態になっているのだろう。皆の火事場の馬鹿力がプラントを救うと信じて!
アーサー「良し。まず、先行したジン長距離強行偵察複座型から映像が届いた。確認して欲しい」
前方のモニターにダイダロス基地直上付近の光学映像が投影される。見慣れない巨大な筒-輪切りにされたオニール型コロニー-が浮遊している。
アグネス「(なるほど。さっきショーンが言っていた筒とはこれのことね)」
ハイネ「どうやら、こいつが俺達の云うミラーだったらしい。『ビーム偏光ステーション』或いは『中継コロニー』かな」 - 109二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 22:57:48
ハイネ先輩が副長の説明を補足する。副長も頷き、話を進める。
アーサー「一先ず、ここでは中継コロニーと呼称することにする。ダイダロス基地に存在する超巨大戦略砲は、撃ちだした巨大なビームを各ポイントの中継コロニーを用いて方向を調整し、対象物に命中させ、これを破壊するシステムであると推定される。各中継コロニーには大型スラスター等の移動装置及び位置制御装置等が外殻に装着されているものと推測」
モニターに表示されるダイダロス基地超巨大戦略砲のシステム模式図を見ながら考えを纏める。
アグネス「(なるほど。中継ステーションの数と位置次第でどこでも自在に狙える巨大な戦略砲ね。命中時、ビームは切り裂くような攻撃になるのか、それとも吹き飛ばすような形になるのか。両方か…)」
同じ模式図を見ながらアスランの呟く声が聞こえる。
アスラン「同じだ…。ジェネシスの時と。どうにかするしかない…」
アスランの慄くような声を決意表明ととらえた副長は語気を強めて皆に告げる。
アーサー「そうだ。ここで何とかしないと次は首都アプリリウスか、ザフト地上最大拠点カーペンタリアが連合軍の標的となるだろう。彼らが初手でそちらを撃たず、月軌道艦隊を狙った理由は、推測するに発射後の即時反撃を恐れてのことだったはず。生き残りの我々がその任を成し遂げよう!」
一同「はい!」
アーサー「では作戦を説明する。アスラン。続きを頼む」
アスラン「はい...」
アグネス「(副長、ナイスフォローね。トラウマ再発気味のアスランに説明を委ねてマイナスシンキングから気持ちをリセットさせるとは)」
隣のハイネ先輩からアスランに『頑張れよ』のアイサイン。アスランも『ありがとうございます』のサインを返し、皆に説明を開始。
モニター上の第一次中継コロニーの映像が拡大され、より鮮明に映し出される。長距離強行偵察機が最後まで無事だったのは不幸中の幸いね。こちらの目と耳はまだ無事なんだ。
アグネス「(戦闘においては哨戒・偵察の重要性が口を酸っぱくして説かれるけれど納得ね)」
勿論、あの偵察ジンが中継コロニー付近まで接近し得たのは攻撃隊が第3艦隊を殲滅したから。偵察と攻撃は相互に成り立っているのね。今更だけれど)」 - 110二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:04:23
アスラン「輪切りにされたオルニー式コロニーには予想通り一個艦隊相当以上の護衛部隊ついている。ザムザザーも2機発見。一機はドッペルホルン連装無反動砲装備のウィンダムと行動を共にしている」
アグネス「(ゲルズゲーとユークリッドは流石に使い潰したか。あるいは残りは基地防衛か。何にしろ、あそこにいないことが分かればそれで良いわ)」
ただ、楽観的観測に縋るべきじゃない。大型モビルアーマーがまだ多数いる可能性も考慮しなければならない。それに―
ハイネ「ザムザザーを始めとした連合軍陽電子リフレクター装備大型モビルアーマーの弱点・攻略法は皆もう分かっているな。シン?」
ハイネ先輩が攻撃前にもう一度皆に確認するため質問をシンに投げる。ミネルバ組は慣れているが、気を抜くことなど不可能だし、新参のグラディス隊は、まだ不慣れ。今日加わった月軌道艦隊組は、存在は知っていたとしても、ほぼ未知の領域と言ってよいはず。
ハイネ先輩の質問を受けてシンが回答を述べる。
シン「あ…はい!連合軍の陽電子リフレクター装備大型モビルアーマーは、総じて近接攻撃に脆いです。各機が搭載している大型砲・高威力砲は脅威ですが、動きが大ぶりな分、よく見れば回避可能です。敵の大型砲や高威力砲を躱して一気に接近し、近接戦で仕留めます。陽電子リフレクター発生装置は、発生器自体は無防備なので破壊可能です。そうすればビームシールド自体発生できなくなります」
合格!10000000000アグネスポイント。
ハイネ「良し!皆聞いたな。敵の機体のどこに砲が付いているか、どれがデカくてより危ないか。判断したら、よく見て、躱してながら、一気に切り込め!ビビったら負けだな。連合の大型モビルアーマー相手だと」
ビビったら負けか。言い得て妙ね。ただ今回問題なのはモビルアーマーではなく同じ陽電子リフレクターを搭載している― - 111二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:07:34
あれ? 107と108が繋がっていないような?
アグネスが起きて男性エリアを覗き込んで発声しないで返事の話に飛んでませんか? - 112二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:12:09
本当だ。ありがとうございます。訂正しておきます。
- 113二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:15:27
訂正です。
一番近くに立っていたデイルに、まず声をかける。ごっつい腕を組んで思案顔をしているわ。何か分かったのかな。ともあれ―
アグネス「ごめん。デイル、それに皆。救助活動手伝えなくて」
ちょっと驚いたデイルが返事をする。
デイル「いや?待機要員も含めて救助活動だろう。アグネス以外も寝てたし、終わった後、俺も寝た」
ショーン「だから、気にしなくて大丈夫!」
横からショーンも話に加わって来る。何かこの二人セットね。何時もバディを組んでいるから当たり前かな。
~以下同じ~
です。
- 114二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:20:31
アスラン「やっかいなことに第一次中継コロニーにはリフレクターシールド装備型ドレイク級が相当数配備されている。確認できるだけでも5隻。もっといる可能性が高い」
シン「じゃあ、どうするんです?!」
シンが大きな声で問いかけるが、そっちに関しては既に答えが出ている。私は飛び抜けた脅威とは感じていない。
挙手、アスランにアイサイン。上の人達は分かっているだろうけれど。
アスラン「アグネス。意見か?」
アグネス「はい」
アスラン「許可する」
アグネス「ありがとうございます。今回の作戦。私達には中程度の時間があります。ここでいう中とは。即時に超巨大戦略砲が発射される可能性がないという意味で短くはない。しかし、長期戦になれば、アルザッヘルからの援軍が到着するという意味で長くは無いという意味です」
アスラン「なるほど。それで『中』ならどうなる?」
アスランとアイコンタクト。皆に伝えて欲しい、の意味ね。じゃあ、ハッキリ言わなきゃ。
アグネス「焦らず堅実にやる時間はある、ということです。例えば、このリフレクターシールド装備型ドレイク級に関して言うならば…。この改修型は中継コロニー防御が目的です。基本的に持ち場のコロニーから離れられません。護衛艦隊を始末した後、全機でこのタイプのドレイク級を撃沈。そのまま中継コロニーもガナーウィザードと艦砲射撃で破壊すれば第一ミッションは完了です。我々を味方もろとも薙ぎ払おうにも超巨大戦略砲のエネルギー備蓄は空です。今なら」
皆と―シン、レイ、ショーン、デイル、甲板組と―視線を順番に交わす。それからリモート先の人達にも届くかは分からないが意識を向ける。おそらくこれが解答。今ここで出せるベストな答えなはず。
アスラン「同意だ」
ハイネ「俺も同意」
アーサー「良し。それで行こう」
副長、フェイス2名も同意してくれる。まあ、私が言わなくても司令長官と各艦艦長達も含め話は付いていたのでしょう。今のは儀式。役を貰えたことを喜びましょう。
さて―もう間もなくね。
退出する副長と敬礼を交わす。そう言えば、トライン副長の肩書き、今は何になるんだろう?それどころではないから良いか…。 - 115二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 08:01:57
この世界のアグネスは戦闘力もだけど視野が広くて、シン達と違う視点で考えられるのが凄いよね
- 116二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 14:35:16
ジブリールは今頃なにをしてるのだろうか
- 117二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 19:32:33
副長を見送ってすぐに艦内放送!
メイリン「ジン長距離強行偵察複座型より報告。こちらの接近を敵第一中継コロニー護衛艦隊が察知した模様。直ぐに発進シークエンスを開始します。パイロットは搭乗機にて待機せよ」
ハイネ「…」
アスラン「…」
レイ「…」
一同「…」
メイリンの声が耳に飛び込むや、私を含む全パイロットの運動神経のスイッチが勢いよくオンになる。言葉もなく皆でダッ!!という音と共にブリーフィングルームを駆け出し、艦内エレベーターに乗り込みモビルスーツデッキに。デッキに到着と同時にまたダッシュ。各自の機体に乗り込む。私達、一人一人が通り過ぎるたび、整備班の皆が黙礼してくれる。ここが自分の踏ん張りどころなのだと、彼らの眼差しを心に刻み込む。
グフのコックピットを起動。通信回線をカーナヴォン・ブリッジと隊長機、セイバーに固定。スイッチを操作しながら思う。こんなに純粋な衝動に突き動かされて戦いに臨むのはあるいは初めてではないだろうか。何をもって『純粋』と定義するのか、なんて私が知ったことではないが…。
アグネス「(祖国を守るために軍人になりました、なんていうのは建前。私は軍内で出世して、それを手土産に政財界のトップに駆け上がり勝ち組になるのが目標だった)」
それが今は家族と祖国を守るために必死だ。他は全部後回し、そっちはそっちで重要ではあるが…。混迷の世界では、普段の自分では到底想像できないことも起こるらしい。もしミネルバに乗っていなかったとしても、この戦いに関してだけは同じような心持ちになったのは間違いないけれど―
アグネス「(もっと一人で孤独に戦う羽目になったでしょうね。今よりずっと意固地に)」
コックピットモニターに艦長から通信。感傷はここまでにしよう。それと今は艦長じゃない!グラディス司令長官だわ!! - 118二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 19:34:56
タリア「今更、長い訓示は必要ないわね。月軌道艦隊・全クルー・全パイロットへ。皆、連戦で疲れてると思うけど、ここが正念場よ。今、頑張らなければ帰る家が無くなるわ。いいわね」
全クルー・全パイロット「はい!」
コックピットモニターの向こうのグラディス司令長官、その決然とした顔に僅かに満足げな笑みが浮かぶ。
司令長官が副長に一つ頷くと副長から号令。
アーサー「これより作戦を開始。敵護衛艦隊を無力化し、ダイダロス基地超巨大戦略砲の第一中継コロニーを破壊せよ」
メイリン「モビルスーツ隊、全機発進願います。インパルス発進スタンバイ。シルエットはブラストを装備します。全システムオンライン。カタパルト開放、進路クリアー。インパルス、発進どうぞ!」
シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
シンの発進を皮切りに次々と私達はカーナヴォンから連続で撃ちだされていく。
メイリン「続いてセイバー。全システムオンライン。進路クリアー。セイバー発進、どうぞ!」
アスラン「アスラン・ザラ、セイバー発進する!」
メイリン「グフ、アグネス・ギーベンラート機発進スタンバイ。全システムオンライン。グフ、発進どうぞ!」
アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」
自分の体がパチンコ玉となり弾き飛ばされるような感覚。前方のシン、アスラン機と合流。背後からレイ、ショーン、デイルの発進も確認。ハイネ先輩達、ヴェステンフルスの発進シークエンスも順調に進行中。
さて―
墜としますか!あの忌々しい筒を!!
目前には輪切りにされた巨大なコロニーの残骸。更にそれを守ろうと行く手を阻む大艦隊、その数60隻(リフレクターシールド装備型ドレイク級除く)!こんなにかき集めていたとは。
アグネス「(でも、アガメムノン級は3隻しかいないじゃない!ザムザザーもやはり2機)」
見て居なさい。月軌道艦隊の意地を。貴方達、私の勲章の錆にしてくれるわ! - 119二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 03:31:58
ho
- 120二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 03:33:33
先行するセイバーから通信。
アスラン「ブリーフィングの通り、先ずは第一次中継コロニーではなく、その護衛艦隊の無力化を優先する。一先ず第一目標はザムザザーとドッペルホルン連装無反動砲装備ウィンダムのペア、そしてもう1機のザムザザー。次ぎにアガメムノン級3隻。敵の数が多い、常に回避運動を心掛けろ」
一同「了解!」
セイバーは高速飛行形態に変形。雲霞のような敵モビルスーツ群、更にその後方に陣取る敵艦隊に突撃態勢を取る。
前方にはザムザザー2機。その後ろには随伴するモビルスーツの編隊!
アスラン「ドッペルホルン連装無反動砲装備ウィンダムが後ろにある方は俺が、もう片方はシンとアグネスで突破しろ。突破したらレイとルナマリア、デイルも続いて敵モビルスーツ群に浸透。ブラストシルエットのフルバーストで敵を薙ぎ払え。ショーンは俺に続け!」
アグネス・シン・レイ・ルナマリア・ショーン・デイル「了解!」
セイバーを先頭に突撃陣形に。速度はそのまま突き進む。ゴットフリートの太いビームが6本、断続的にこちらに飛び始める。
アスラン「ルナマリア以外のザク隊はビーム突撃銃とファイヤビー・誘導ミサイルで前線を押し上げろ。適宜、ヴェステンフルス隊と交代。ミサイル等の残数と電力消費には常に留意を!」
一同「了解!」
私達に指令を伝えるが早いか、セイバーはそのままザムザザーに単機駆け。
恐ろしい量の中小のビームが飛び交うが、その全てを躱し、飛来する無数のミサイルはピクウス76mm近接防御機関砲の弾幕で効果的に撃墜。
アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲を発射し、ザムザザーにビームシールドの展開を誘発させると一気に距離を詰め、機体をモビルスーツ形態に変形。流れるようにヴァジュラ・ビームサーベルで機体をコックピットごと串刺しに貫いて、直ぐに高速飛行形態に変形。
近接防御機関砲でミサイルを迎撃しながら、誘爆爆発しつつあるザムザザーの後ろに回り込み、素早くモビルスーツ形態に再変形。アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲を両脇に抱え、フルバーストしながら全方向を薙ぎ払うように機体を高速旋回。
前後左右上下の敵機を、件のドッペルホルン連装無反動砲装備ウィンダムを含め36機近ほど吹き飛ばす!セイバーが飛び退るタイミングでザムザザーが巨大な閃光となって爆発する。 - 121二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 03:41:39
見事な手並みだが感心している間などない。ほぼ同時に私とシンも、もう片側のザムザザーに切り込んでいる。
シンがブラストインパルスのケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲を一薙ぎして、ザムザザーに陽電子リフレクターを起動させたタイミングで、私が陽電子リフレクター発生機をスレイヤーウィップを使い破壊!
そのまま極端な前傾姿勢を取っているザムザザーをテンペスト ・ビームソードで思いっきり袈裟懸けにして致命打を与える。
飛び出してきた随伴のウィンダム3機はドラウプニル4連装ビームガンで撃墜。更に飛び出してきた2機は後方のルナマリアが放ったビーム突撃銃が狙撃、撃破。
誘爆しつつあるザムザザーを飛び越えるインパルスを皆で援護。もう2機のウィンダムを私がドラウプニルで墜とし、シンが突撃しながらインパルスをフルバースト、敵機30機を閃光に変える。
(カウントMS124 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級9 ネルソン級7 ドレイク級9)
そのままインパルスと私は突撃を続行。後ろでザムザザーの大爆発が起こり、そのデブリを蹴散らしながらルナマリアとレイ、デイルが続く。アスラン、セイバーにはショーンが随伴!
後方で前線を押し上げるザク隊のビーム突撃銃とファイヤビー・誘導ミサイルが命中し、火の玉と変わった多数の敵影がレーダーに映る。もっと後方では前線を潜った猛者たちが、ヴェステンフルス隊の的になり、またはハイネ先輩に切り裂かれるのが視認される。
それについて何かを感じている余裕などない!現実は散文的に淡々と、しかし凄まじい速さで目前に迫って来る。
艦隊前のモビルスーツ群に空いた大穴を塞ごうと、さっきと同数以上の敵機が、セイバーとインパルス目がけて殺到してくる。ウィンダムのビームライフルから発射された死の光線、ゴットフリートの閃光が網膜の奥まで焼き付く。必死に回避行動をとり、避け続けるしかない。 - 122二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 03:45:39
自分が躱すだけのが目的じゃない。大火力のインパルスを守るのが、私とレイとルナマリア、デイルの役目、セイバーを守るのがショーンの役目…、のはずなんだけど、何かショーンはアスランに守られてるわね。まあ―
アグネス「知った事じゃないんですけど!」
シン、インパルスを『大砲』としてベストなポジションに据える為、皆で全力アシスト。ルナマリアのファイヤビーミサイルが全弾発射され、一気に8機の敵機が火球になり、私とレイがそれぞれ2機をドラウプニルで1機をテンペストで切り裂き、敵陣ど真ん中への浸透を遂に果たす。
(カウントMS127 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級9 ネルソン級7 ドレイク級9)
同じころ、アスランのセイバーがフルバーストしてウィンダム20機ほどを太く赤い火線で焼き切る。セイバーはこの攻撃でフェイズシフトダウン寸前に。そのタイミングを狙ってきたウィンダムの編隊6機は、後ろのショーンがミサイルとビーム突撃銃で吹き飛ばしたわ。
シン「いけぇぇぇ!」
インパルスのケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲、デリュージー超高初速レール砲がフルバーストを開始!!敵モビルスーツ群を水平方向だけでなく3次元方向に薙ぎ払えるよう、器用に起動しながら撃ち続ける。前後左右上下等々等。
ブラストインパルスの破壊の暴風で敵機90機が蒸発!まさにベストポジションね。引き換えにエネルギーを消耗したインパルスはフェイズシフトダウンア寸前に。
私達は巻き込まれないように必死に対応して動きつつ、火線を潜ってインパルスに接近を試みる機体をドラウプニル4連装ビームガンとビーム突撃銃で撃ちまくる。今の瞬間、私は4機撃墜!レイとルナマリア、デイルも同じくらい墜とす。敵も必死だわ。
(カウントMS131 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級9 ネルソン級7 ドレイク級9)
セイバーから通信。
アスラン「セイバーとショーン機は弾薬補充と充電のため一旦後退。シンもデイルと下がれ」
シン「了解」
デイル「了解」 - 123二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 09:25:24
保守
- 124二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 11:48:37
同じコーディネーターでもアスランは頭ひとつ飛び抜けてるな
- 125二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 12:14:54
ブラストインパルスが強過ぎる
火力だけならほぼフリーダムだから当たり前ちゃ当たり前なんだが… - 126二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 22:37:15
保守
- 127二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:49:49
アスラン「アグネス、レイ、ルナマリアのグフ2機とブレイズザク1機はアガメムノン級3隻の撃破を最優先。ゴットフリートを止めろ!」
アグネス・レイ・ルナマリア「了解!」
結構ハードな命令だが粛々とこなすしかない。グラディス司令長官が言うように、ここで第一次中継コロニーを落とさないと帰る家が無くなる。それに元々、グラディス隊は敵艦隊を捕捉・撃滅するために編成されたのではなかったのか!
アグネス「レイ、ルナマリア!先ず一番手前の艦から!」
レイ「そうだな」
ルナマリア「うん!行くわよ」
当然のことながら、敵艦隊もこちらの行動は予期している。3隻のアガメムノン級を守ろうとネルソン級、ドレイク級が集結し初め、まばらになった直掩隊が編隊を組もうとする。
アグネス「(その前に、先ずは一隻。一番味方に近いアガメムノン級だけは、最初に沈める!)」
こちらに立ちふさがろうとする2隻のネルソン級、4隻のドレイク級、8機のウィンダムの編隊。彼らのビームライフルを躱し、そのうち自機に迫る2機に対処する。ウィンダムの攻盾タイプEの隙を見逃さず、ドラウプニル4連装ビームガンを撃ちこんで確実に撃破。
残りはレイとルナマリアに任せ、私は止まらず浸透突撃を続行。私が突き進む中、レイとルナマリアは敵機を火球に変え、ネルソン級とドレイク級に命中弾を叩き込む。
それでもアガメムノン級を庇い割り込んできたドレイク級1隻は自分で対処する他ない。彼の艦の12連装ミサイルランチャーから発射されるミサイルをドラウプニルで撃墜しながら、キャットゥス500mm無反動砲を発射、轟沈!
障害が無くなり無防備になったアガメムノン級のブリッジ直上に肉迫し、スレイヤーウィップを叩き込む。艦橋が抉られ、艦内で誘爆が始まるが、撃沈を確実にするべく、艦尾に回り込み敵艦スラスターからドラウプニルを連続発射!大爆発と共にアガメムノン級が閃光になり、その一瞬後には宇宙を漂う大量のデブリと化す。
(カウントMS133 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級10 ネルソン級7 ドレイク級10) - 128二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:53:26
私がアガメムノン級を1隻目沈めたのを合図にレイとルナマリアが戦闘を切り上げ、私と合流。2隻目のアガメムノン級に突進を再開。
宇宙を駆けながらレーダーを確認する。さっきのポイントに残存した敵艦はマルベース、ブルトンの120cm単装高エネルギー収束火線砲が命中し、全艦撃沈。敵直掩機もミサイルと電力を補充したザクが撃墜している。
ガナーウィザードに装備を変更した数機のザクはオルトロス・高エネルギー長射程ビーム砲を照射。今、相手にしていた艦列の後方のドレイク級数隻も立て続けに轟沈。
グラディス隊と残存ナスカ級からなる月軌道艦隊の火線はすでに敵艦隊に届き始めているが、その分危険も増える。急がなければならない。
アガメムノン級の護衛のため合流したネルソン級3隻、ドレイク級8隻が行く手を阻み、15機のウィンダムの編隊が私達を囲むように展開。かまっている暇は無い。
ビームライフルを躱し、2連装多目的ミサイル・ヴュルガーSA10から撃ちだされるミサイルはドラウプニルで撃墜。テンペスト・ビームソードでビームサーベルを引き抜こうとする鈍間な敵2機を切り捨て、前進。敵戦隊、艦列中央のネルソン級の脇をすり抜けるように突破。艦腹にドラウプニルを連続して的中させ、轟沈。また巨大な爆発を一つ発生させる。
その奥でアガメムノン級のゴットフリートがナスカ級を狙い撃とうとしている!そうはさせない。500mm無反動砲を発射!片側のゴットフリートが吹き飛び誘爆が起こるが、アガメムノン級もダメージコントロールを図り、なおもゴットフリートを前方に発射。
今の一撃はナスカ級の至近を通り抜けるに留まったが次は無い。大型ミサイル発射管からこちらに発射されるミサイルをドラウプニルで撃墜。アガメムノン級に誘爆が起こり始めるが、こちらも衝撃で宙を舞う。背後から、今を好機とビームサーベルで斬りつけて来たウィンダムが一機、スレイヤーウィップを振るって撃墜! - 129二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:59:26
アガメムノン級は大破しながらもゴットフリートの発射を諦めず、砲門に光が収束し始めるが、500mm無反動砲をもう一度、発射。命中させる。これが留めとなり、アガメムノン級は巨大な閃光となって燃え尽きる。
(カウントMS136 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級11 ネルソン級8 ドレイク級10)
レーダーでレイとルナマリアの無事を確認。私の突撃中、援護をし続けてくれた。二人とも敵機、敵艦を複数撃破。
何か感情を抱くべきなのか…。敵の勇闘や味方の援護のありがたみを―。しかしそんな間などあるはずもない。
アグネス「次が最後のアガメムノン級よ」
ルナマリア「うん!」
レイ「ああ」
後方ではザク組が各々、ドレイク級のブリッジを撃ち抜き、ハイネ先輩のグフがネルソン級を火球に変え続けている。そして、遂にエネルギーの補充が終わったインパルスがソードシルエットに換装して出撃。エクスカリバー・レーザー対艦刀を縦横無尽に振りぬき、振り下ろして次々と敵艦を輪切りにして爆発させていく。
ガナーゥイザードに変更されたザク組が5機。一斉に放った高エネルギー長射程ビーム砲がそのままネルソン級1隻とドレイク級4隻を撃ち抜いている。
アグネス「(味方を一機も落とさせてなどやるものか!)」
レイ、ルナマリアの先頭に立って、突き進む。私達のスラスターはずっと前回のままだ。前方から向かってくるウィンダムをルナマリアがビーム突撃銃で3機墜とし、両翼から接近してくる機体は私とレイがドラウプニルで撃ち払う。
此方を迎え撃とうとビームライフルを構えたウィンダムが一瞬、棒立ちになったので3機連続で撃墜し、上からビームサーベルで切りかかって来た2機はスレイヤーウィップを二振りして爆発させる。下方向からの敵はレイが対処し、レーダーに閃光が映っては消える。 - 130二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 00:04:52
アグネス「(連合のウィンダムパイロットは、敵に照準を合わせるとき隙だらけになる癖があるからね)」
助かるわ。本当に。
(カウントMS141 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級11 ネルソン級8 ドレイク級10)
残された1隻のアガメムノン級を守る為、11隻のネルソン級とドレイク級が集結。各艦の主砲とミサイルが火を噴くが、こちらも覚悟の上だ。敵艦に突っ込んででも落とす。プラントだけじゃない。グラディス隊のナスカ級が沈んでしまえば私達の帰る家が無くなるわ。
ミサイルを撃墜すると同時にキャットゥス500mm無反動砲を発射!ネルソン級を轟沈させ、艦列に穴をあけると浸透突破。レイが同じく500mm無反動砲でネルソン級を撃沈。ルナマリアがファルクスG7 ビームアックスでドレイク級の艦橋を叩き切る。
アガメムノン級に最後まで付き従っていた2機のウィンダムをテンペストですれ違えざまに切り裂き、艦底に一気に回り込むと中心付近に500mm無反動砲を発射!命中後、船体にテンペストを突き刺し、そのまま艦尾まで切り開きながら空いた穴にドラウプニルを撃ちこみ続け、大誘爆を引き起こす。テンペストを引き抜き、艦から離れたタイミングで巨大な閃光が発生。ダイダロス基地超巨大戦略砲・第一中継コロニー護衛艦隊の最後の主力艦が消滅する。
(カウントMS143 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級12 ネルソン級9 ドレイク級10)
直ぐにアスランに任務完了を報告
アグネス「アスラン先輩、アガメムノン級3隻、撃破完了。次の指示を」
アスラン「…。…。」
アグネス「(通信が乱れているわね)」 - 131二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 00:07:38
レーダーに目を遣ると電力チャージを終えたアスランは戦線に復帰。セイバーが通過したポイントに大爆発の閃光5つを確認。グフを高速起動させてドレイク級を屠り続けていたハイネ先輩は、入れ替わりに着艦。補給に入っている。
私達のすぐ傍にはまだネルソン級2隻、ドレイク級3隻!こちらに火砲を撃ち続けている!
アグネス「(敵艦轟沈時の乱れで上手く繋がらないのか…)」
アグネス「レイ、ルナマリア!」
レイ「分かっている!」
ルナマリア「こいつ等の対処ね!?」
アグネス「ええ!」
既に私とレイのグフの電力は40%を割り込んでいる。無駄玉は打てない。
アグネス「(撃ったことなど!ないけどね!!)」
レイが至近のドレイク級に500mm無反動砲を命中させ、轟沈、大爆発を起こさせる!
その間隙を縫って、私とルナマリアが突進。私は、レイと同じく500mm無反動砲を撃ちこんでネルソン級1隻を撃沈。ルナマリアは至近距離からのビーム突撃銃発射でドレイク級1隻を撃沈。レイはテンペストで艦腹を真一文字に切り裂いてネルソン級をさらに1隻撃沈する。
もう1隻のドレイク級は私がスレイヤーウィップを叩き付けて爆沈。
(カウントMS143 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級12 ネルソン級10 ドレイク級11)
爆発と閃光が収まった後、アスランに通信をもう一度試みる。ダメなら艦に戻るだけだけどね。エネルギーやばいから。
アグネス「アスラン先輩…」
アスラン「ああ。聞こえている。アグネスとレイ、ルナマリアは一旦戻って補充を。残敵の掃討は俺達が。完了次第、リフレクターシールド装備型ドレイク級撃破と中継コロニー破壊に移行する。準備を」
アグネス・レイ・ルナマリア「了解!」 - 132二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 07:41:39
保守
- 133二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 10:58:16
ザフト時代のアスラン+セイバーがこんな輝いてる二次創作も珍しい
頑張れアスラン - 134二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 21:43:55
☆
- 135二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:53:53
カーナヴォンに着艦完了。ルナマリアはマルベースへ。
モビルスーツデッキに機体ごと移動し、グフに電源が差し込まれる。コックピット画面に急速充電中の表示が見えた瞬間から、私の感覚は一気におかしくなる。意識の混濁が始まっていたのだが、その時は気づく由もない。
急に全ての音が聞こえなくなる。
アグネス「(違うわ。音は聞こえている…。ただ、バラバラの音のまま頭蓋骨の中を反響して。それが収まらないまま、別の音が耳の中に強制的に放り込まれ続けている…)」
気持ち悪い。ブリッジとの―通信…を…。
通信機器の音が上手く脳内で『意味』として結合せず、コックピット内の反応を理解できなくなる。視覚の狭窄が始まり、瞬きしても瞬きしても視界が元に戻らない。体の上下左右の区別も―。
狭いコックピットが自分を押しつぶすように迫って来る。上から下から前から後ろから。自分が圧搾機の中にいるかのよう。必死になってシートベルトを外そうとするが、指が操縦桿を握ったまま、固まって剥がれない。ヘルメットの中で、必死で息をして、苦しくて。それから深呼吸を試みるが、吸っても、吸っても肺に空気が届かない。溺れている―ヘルメットの中で溺れている?
ここは―どこだ!?!?
アグネス「(どこ?いつ食事をとったか…)」
食事を食べたのは戦闘前。どの戦闘の前?この戦闘-ダイダロス基地超巨大戦略砲第一次中継コロニー戦前だわ!
頭の中が真っ白なまま必死に息をする。
アグネス「ス―――ッ…。ハァ―――」
アグネス「(数を…。数を数えて…。心の中で。数を数えながら呼吸)」
1、2、3と3回。三回に分けて息を吸う。苦しくても何とかそこで我慢して1、2、3と分けて息を吐く。ひたすらこれを続けながら自分が―アグネス・ギーベンラートが戻ってくれるのを待つ。呼吸しながら、自分の体の末端部、手足の指一本一本に意識を集中してはリラックスさせを繰り返し、それを徐々に足首、手首の順で進める。良し。更に続行。肘、膝、両脇、両股、腰と体の緊張を解いていく。
アグネス「(鎖骨に意識を集中。ふぅっと力を抜いて―次は首の根元)」
顎の下、耳の付け根。顎の頂の緊張を解いたら―
メイリン「アグネスさん。応答を!応答をお願いします!」
コックピットに通信!メイリンから?!どうした? - 136二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:56:39
アグネス「こちらアグネス。ブリッジ、どうしましたか?」
目の前にはグフのモニター。モニター越しにはカーナヴォンのモビルスーツデッキが見える。手元の操縦モニターには急速充電中の表示。今、55…。56%!
メイリン「…。先程から何度呼び掛けても。衛生兵を…」
アグネス「衛生兵って…」
コックピットモニターからグフの足元を確認。軍医と衛生スタッフ、整備班が集まって何か話しているわね。結構、ヤバ目だったのかしら、私。
アグネス「必要ないわ。回復した。状況は?皆は無事?!」
メイリン「はい!現在、この戦闘に参加したザフト月軌道艦隊、全機・全艦無事です」
アグネス「良かった」
自分がせん妄状態に陥っている間に、味方が全滅しているなんてことになったら、一生の不覚だわ。ルナマリアに笑われてしまう。あっちは大丈夫かしら?
アグネス「(まあ、ルナマリアなら平気でしょう。強いし)」
ブリッジから、今度はグラディス司令長官の声が届く。
タリア「現在、アルザッヘル基地からの援軍が南極エイトケン盆地に上空に到達しているわ。こちらにあまり時間は残されていない。残敵は、例のリフレクターシールド装備型ドレイク級と僅かな直掩機を除けば掃討済み。レイは体調を悪化させて一旦、医務室で休ませているけれど…。貴女は?」
レイが医務室、どうした?いや―
アグネス「(どうしたじゃないわね。疲労の極よ。この72時間、断続的にずっと戦闘と救助活動が続いている。それも小規模な戦闘じゃない。『会戦』と称される規模の。間の一日もミーティングと公務だし。結局、ずっと仕事中だわ、私達)」
その上、私とレイ、途中からルナマリアは戦闘の展開上、休息を挟めるタイミングが極端に少ない。しかし― - 137二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:00:06
アグネス「(そんなことはどうでも良い。しっかりしろ!大変なのはみんな一緒よ!)」
レイのことは仕方ない。大事なことは自分が何をするべきか。
アグネス「行けます。出してください」
タリア「…。頼んだわ。グラディス隊のザクの内半数は既にガナーウィザードに換装済み。残り2隻のナスカ級艦載機と艦載機にはダイダロス基地の監視を行わせています」
アグネス「了解」
グラディス司令長官との連絡を終えるとコックピットのハッチを開放、足元で心配そうにしている医療班と整備班にお礼を!
アグネス「ご心配をおかけしました!ありがとうございます。無事です。出ます」
マッド・エイブス「行けるか!?」
アグネス「はい!」
こちらに手を振るヴィーノ、ヨウラン達に私も手を振り返し、コックピットを再び閉め、発進シークエンスを待つ。
ふとモニターの端にゾンビのような人影が映る。レイだわ!何で?医務室で寝ているんじゃないの??
衛生兵に肩を貸され、フラフラ、足を引きずりながらグフに向かって進む。戦う気なのか、あれで…。
アグネス「ブリッジ。レイは医務室では!」
私が言うのも烏滸がましいけれど、どう見てもあれは正常な状態ではない。
副長より応答。
アーサー「手持ちの薬を飲んだら体調が回復してきたと。症状の改善は軍医も確認。彼も出撃する。すまないが…」
アグネス「分かりました。フォローします」
アーサー「すまない」
手持ちの薬って何だろう。持病があったのか、あいつ。まあ、死なれたら困る。パーフェクト―ゲーム、目指すとしますか。 - 138二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:05:23
メイリン「グフ、アグネス・ギーベンラート機、グフ、レイ・ザ・バレル機発進願います。グフ、アグネス・ギーベンラート機発進スタンバイ。全システムオンライン。カタパルト開放、進路クリアー。グフ、発進どうぞ!」
アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」
何時もなら、楽にこなすカタパルトの射出。今日はとてもきつい。気を失いそうになりながら、何とかカーナヴォンの外へ。恐ろしい宇宙空間に満身創痍の身体で放り出される。
アグネス「(満身創痍って言っても外傷なんて負ってないけれどね)」
後方ではレイが発進。案外、しっかりと飛行して私に着いてくる。安心安心。タイミングを合わせてマルベースから発艦したザク、ルナマリア機とも合流に成功。
レイ機と回線を開き呼びかける。
アグネス「行ける?」
レイ「無論だ!」
アグネス「そう」
大丈夫そうね。案外顔色が良い。本当に薬効が現れて来たのかもね。
同時にルナマリアとも回線を開く。
アグネス「ルナマリア、平気?私は死にそうよ」
ルナマリア「同じく。もうちょっと、頑張るわよ」
アグネス「当然。一度の会戦でネビュラ勲章2個ってもらえるのかしら?」
勿論、そんな話は聞いたことがない。空元気だ。空元気でも元気は元気、自分と相手を勇気づけなくては!
ルナマリア「さあ…。歴史を更新しても良いかもね!」
レイ「かまわないが…。難しいぞ」
二人も乗って来た。悲壮感を感じさせなくてよろしい。100000000アグネスポイント。 - 139二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 01:45:46
良し!
アグネス「ハイネ先輩、アスラン先輩。アグネス、レイ、ルナマリア3名。キャットゥス500mm無反動砲装備のグフ2機とファルクスG7 ビームアックスとビーム突撃銃装備のブレイズザク1機で発艦しました。現在、第一次中継コロニーに向かっています」
コックピットモニターに応答、ハイネ先輩から。
ハイネ「3人ともよく来てくれたな。頑張れ。もう、ちょっとだ。まず、俺のグフとセイバー、ソードインパルスに合流して、リフレクターシールド装備型ドレイク級とその直掩機を撃破する。ガナーザク10機は同数のブレイズザクに護衛されて既に配置に着いている。一気に片を付けるぞ!」
アグネス・ルナマリア・レイ「了解」
巨大な忌々しい筒の前まで突進!さっきまで存在した護衛艦隊は既に燃え尽きてデブリと成り果てている。
コロニーの周りに漂うリフレクターシールド装備型ドレイク級は10隻。直掩のウィンダムが1隻につき2機程度。『筒』上と下にワンセットずつ。後は側面。
オレンジのグフ、赤いセイバー、同じく赤いソードインパルスと合流。
アグネス「(あれ?赤系統多いわね。私がバーガンディー、ルナマリアが赤だから…)」
レイは白だけど。フフッなんか面白いわね。連隊ヒーローなら設定の段階でやり直し食らうだろうけれど。
力が湧いてきたわ!!戦場にこそユーモアが必要ね。
グラディス司令長官から国際救難チャンネルの放送を受信。
タリア「ダイダロス・クレーター上空宙域の廃棄コロニー守備隊に通告します。貴官らの戦術目的は、もはや達成不可能です。他の護衛艦隊も全滅しました。抵抗を辞め、コロニーのスラスターを停止し、武装を解除、投降しなさい。大量破壊兵器を守るため己の命を浪費することは無意味です。繰り返す、コロニーのスラスターを停止、武装解除して投降せよ」
アグネス「(情け無用じゃないの!こっちはゴンドワナも月軌道艦隊本体もみんな死んだのに!!)」
とは言え―。言うだけ言わなきゃいけないのか…。人道的大義を全うするためには。実際、護衛艦隊は殲滅され、ダイダロス基地超巨大戦略砲のエネルギーチャージは、さほど進んでいないだろう。アルザッヘルの援軍は今、やっと南極を過ぎたところ。ここで彼らが死ぬことは無意味と言う他無いのだけれど…。 - 140二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 01:50:47
敵ドレイク級より通信。マジで降伏か!?
敵艦長「せっかくのご配慮だが…、お断りだ!青き清浄なる世界のために!!」
モニターの向こうの敵艦長が大声を張り上げ、1隻のリフレクターシールド装備型ドレイク級がこちらに12連装ミサイルランチャーを発射開始。それに呼応して、他のドレイク級も次々に攻撃開始。完全に好意を裏切られた形だわ!
ハイネ「行くぞ!攻撃開始」
一同「了解!」
アグネス「(いいんだ。『言うだけは言った』、そのことに意味がある)」
アスラン「ハイネと俺でコロニーの上部と下部は対処する。側面はアグネス、シン、レイ、ルナマリアが向かえ。直ぐに援護に行く」
アグネス・シン・レイ・レナマリア「了解!」
アスランのセイバーとハイネ先輩のグフは、向かい雨のように接近するミサイルを、ピクウス76mm近接防御機関砲とドラウプニル4連装ビームガンで撃墜しながら急速飛行。2機の放つ光が彗星のように宇宙を横切る。
私達もそれを追うように前進!二人が筒の上下に行くのを見送りながら、私達は横側面に切り込みに行く。
直掩のウィンダムが放つビームを躱し、複数のドレイク級から雨霰のように発射され続けるミサイルは、私とレイのドラウプニル、シン、インパルスの20mmCIWSで撃墜し続ける。ひるまず前進あるのみ!
更に接近すると、ドレイク級の3連装有線式魚雷発射管から魚雷が発射され、ウィンダムの2連装多目的ミサイル・ヴュルガーが火を噴く。撃墜するも降り注ぐ破片、衝撃、飛来し続けるビーム!
グフ2機は対ビームシールドを、インパルスは機動防盾を掲げ、突撃。若干、防御力に劣るルナマリアのザクウォーリアは肩のシールドを活かしつつインパルスの真後ろに続く。 - 141二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 01:57:46
アグネス「(そろそろか)」
ソードインパルスがフラッシュエッジビームブーメランを投擲!続けて2つ。リフレクターシールド装備型ドレイク級2隻の忌々しい鼻先が連続で斬り飛ばされる。
シン「今だ!」
アグネス・レイ・ルナマリア「了解」
そのままインパルスはエクスカリバー・レーザー対艦刀を振り上げて1隻目のドレイク級を切り捨てる。直掩のウィンダムをザクのファイヤビー・誘導ミサイルが同時に4機火球に変え、振り払ったファルクスG7 ビームアックスでもう片側のドレイク級を叩き切り、コロニーの真横で大爆発を2つ発生させる。
鉄壁に見えた第一次中継コロニーの守りもこうなると弱い。私とレイのグフはシンとルナマリアが作った空白から一気に侵入散開。
ウィンダム3機をドラウプニルで立て続けに撃破する。こちらに船体を向けようと悪足掻きをするドレイク級1隻はテンペストで切り裂き轟沈させる。更に、その横のドレイク級にキャットゥス500mm無反動砲を撃ちこみ爆沈させ、往生際悪くビームサーベルを抜こうとする鈍間な1機はスレイヤーウィップで叩き落とす。
(カウントMS147 大型MA6 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級12 ネルソン級10 ドレイク級11 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)
ほぼ同時前後してコロニーの『筒』の上下で大爆発が発生。グフとセイバーの信号は健在だから、沈んだのは向こうね!
一方、レイの方向でも再爆発が2つ。ドレイク級が閃光となって消えている。傍の小さい閃光はウィンダム4機。ドニウプニルとファイヤビーミサイルの餌食になったか。
シン「こんなものを…。うぉぉォォォォォ!」
ソードインパルスが廃棄コロニーに装着してあるスラスターを次々と粉砕していく。距離があるものはビームブーメランを投擲。近場のものはエクスカリバー対艦刀で、コロニーまで届くほどの勢いで破断する。
側面で次々と爆発が起こり、もはやこの巨大物体は『中継コロニー』としての用をなさなくなる。私達から向かって裏側のドレイク級2隻もアスランとハイネ先輩が轟沈、二人は直掩のウィンダムも殲滅して回っている。 - 142二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 02:05:59
タリア「第一次中継コロニー護衛部隊の消滅と姿勢制御システムの完全沈黙を確認。セイバー、インパルス、グフ、ルナマリア機は射線軸から退避、帰還せよ」
一同「了解!」
私達の退避と同時にカーナヴォン他4隻のナスカ級の火力が全力投射される。廃棄コロニーに120cm単装高エネルギー収束火線砲、66cm2連装レールガン合わせて20発、さらに300発近いミサイルが命中。コロニーの表面を削り飛ばして穴が幾つも開き始める。
更にそれをガナーザク10機が放つオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲の真っ赤なビームが押し広げる。つながったエネルギーの滝が上下に流れ下るとコロニーが縦に完全に破断される。
アグネス「(ようやく第一ミッション達成ね…。この後にダイダロス基地も何とかしなければならないけど)」
カーナヴォンに着艦。モビルスーツデッキに降り立つと整備班の拍手が起こる。ハイネ先輩とアスラン、シンはよく立っていられるわね。ああ、シンは私達よりは休む時間があったのか…。
皆の嬉しそうな顔を見ていると、月軌道艦隊母艦隊消滅後の能面のような表情が嘘みたいに感じられる。勿論、そんなものは錯覚。あの時の悲しみも怒りも消えてなどいない。そんなものに構っていられないほどの現実が次々と降りかかってきているだけのこと。たった1日の間に―
私はグフから降りるともう膝がガクガクして立ってなどいられない。隣でレイは担架で運ばれているわ。シンが駆け寄り、何かを叫んでいるが、もう私には聞こえない。気づかわし気なハイネ先輩とアスランがこちらに近寄ってきてくれる。それを恐ろしい勢いで押しのけた女性看護兵が私を負ぶって自室のベッドに直行してくれる。
アグネス「まだ詳報…」
女性看護兵「結構です!」
彼女は、呟いた私の声を遮り一喝すると、ベッドに私を下ろし手首を掴んで脈をとり始める。
アグネス「(C.E.でもこういう所はアナログなのね…。いや医療従事者の本能かな―)」
そんな考えが浮かんだあとのことはもう良く覚えていない。 - 143二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 07:54:49
死力を尽くした戦いである事が伝わってくる
ひとまずみんな無事でよかったけれど限界超えてガックガクなアグネスや“持病”があって担架で運ばれたレイが心配だ
ハイネとアスランは流石だな - 144二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 12:33:42
文字通りの総力戦だぁ
- 145二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 15:49:35
これでも時系列的にまだデストロイ登場前という恐怖
…流石にまだいないよね?ダイダロスに - 146二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 23:27:27
安らかとは言いかねる泥の様な眠り。底なし沼を漂い続けるよう。真っ暗でここに明かりなどない…。いや、明かりは見える。瞼の上。声も!!
メイリン「アグネスさん、起きて下さい!」
目を開けてみると、馴染み深い、赤毛のツインテールの少女の影が映る。
アグネス「おはよう、メイリン」
メイリン「おはようございます。アグネスさん」
アグネス「ありきたりな反応だけれど…。ここはどこ?カーナヴォンの医務室にしては綺麗ね」
白い清潔なベッドの上に自分は寝かされている。左腕には点滴がなされ、私が寝ている間にも栄養と軍医が処方した薬剤が適切な量、体内に注がれ続けている。
目線の先には知らない天井。いや、何か見覚えがあるわ!ここは―
アグネス「ここはミネルバね!もう大気圏を抜けて合流したの?」
メイリン「正解です。カーナヴォンからは既にミネルバ組のクルー・パイロット達がモビルスーツごと移乗ずみです。アグネスさんのグフも運び込まれていますよ」
アグネス「良し!」
カーナヴォンでお世話になった人たちにもしっかりお礼が言いたい。けれども、多分まだ、そういう状態じゃないだろう。状況はどうなっている?
アグネス「看護兵さん。点滴抜いてください!」
看護兵「ダメです!それは最後まで」
融通が利かない看護兵ね…。うん?
アグネス「久しぶり(?)ですね」
看護兵「ええ。お久しぶり?」
ミネルバの看護兵だったわ。当たり前か。ここはミネルバだし。完全に感覚がおかしくなっている。そもそも久しぶりではない。ディオキアで別れてさほど経っていないのに―
レイ「騒がしいな。静かにできないのか…」
メイリン「レイ!起きられる?大丈夫?」
レイ「質問は…。出来れば一つずつにしてくれ」 - 147二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 23:33:02
隣のカーテンの向こうにはレイ。メイリンがそっちにも顔を出している。あいつも返事が出来るようね。なら大丈夫か…。少なくても今すぐ死にそうではないわね。
アグネス「で?結局どうなの。持病は?治まったの?」
レイ「…」
カーテンの向こうの仕事仲間に声をかける。
アグネス「ただの疲労、だけではないんでしょう?私と感じが違うわ」
レイ「無用の心配だ。薬が効いて持ち直した」
アグネス「そう…」
私とレイのカーテン越しの会話を、メイリンは心配そうに聞いている。
レイの持病のこと、気にならないと言ったら噓になる。アカデミーや軍の健診で引っかからなかったのか…。養父の議長が何らかの便宜を払ったのか?
アグネス「(軍人・パイロットの持病隠し自体は珍しいことじゃないけれど)」
そもそも体の特徴を隠して軍に入隊すること自体は歴史上ありふれている。例えば、愛国心や家族の仇を執るため、女性が男性を装って入隊する場合など。あるいは年少者が年を誤魔化して入隊するといったケースも知られている。年齢詐称で軍に入隊する若者は第二次大戦でも散見された、確かアメリカ軍でも。
徴兵逃れで詐病を使う者が存在する傍らで、病弱者等が入隊を熱望し、軍担当者から説得され、追い返されるという事案は歴史上で繰り返し発生している。
アグネス「(レイはこのケースだったのかな。病身を押して首席になるとはやるわね。それとも当時はまだ症状が進行していなかったのかな?)」
予備役編入や配置換えが嫌で、病気や障害を申告しない軍人・パイロットも昔から問題になる。しかし、直ぐ傍の同期がやらかすとは…。この重要な局面で! - 148二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 23:40:20
レイ「問題ない。軍医にも副長にもそうお伝えして、納得していただいている」
アグネス「納得してくれてるわけないでしょう…。この状況で構っていられないだけよ」
メイリンがカーテンを少し開けてくれたため、レイと私の目が合う。彼の潤んだ何かを懇願するような瞳の光が、私の瞳孔に飛び込んで来る。
アグネス「(私にどうしろと…。こればっかりは何とも思いつかないわよ。と言うか、本当にそれどころではないわ)」
やっと点滴が空になってくれたわ。少なくとも私はこれで医務室から出られる。
看護兵に点滴を抜いてもらい、絆創膏を張ってもらいながら、レイに声をかける。
アグネス「まあ。モビルスーツ出撃の可否は私では判断できない。軍医と副長に、もう一度お話を。出るなら出るでフォローはする。猫の手も借りたい状況だし」
私の話をいつになく真剣に聞いた後、レイは言葉を投げかける。
レイ「俺が…。もし、短命な存在だとしたらどう思う?」
メイリン「それは…!」
看護兵「…!」
いきなり重いのをぶち込んで来るわね。こんな時に、メイリンも看護兵も言葉を失っちゃってるわ。
アグネス「(いや、こんな時だからか?もう、みんな死ぬかもしれないものね。医務室の向こう側の状況が、どうなっているかは知らないけれど)」
絆創膏を貼ってもらうと制服に袖を通す。制服の前を止めながら少し思いをはせる。
ゴンドワナ率いる月軌道艦隊-我がプラントの最有力艦隊の一つ―を一撃で消し飛ばしたダイダロス基地超巨大戦略砲。着々とエネルギーのチャージが進んでいることだろう。
アグネス「(事前に聞いた話だと、ここはおそらく地球軌道上。ミネルバに旗艦を移した月軌道艦隊はあそこに殴り込みをかけなければならない)」 - 149二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 23:44:08
懺悔や告白の一つもしたくなるか。あくまで仮定の話だし、そもそも、皆の前で担ぎ込まれているから今更ね。
アグネス「お涙頂戴は沢山よ!そう言うのが好きならシンやルナマリアとやって。今忙しいの。一緒に戦えるかどうか。それだけが大事、私にとって今は!」
そこで言葉を切ってレイの顔にもう一度目線を向ける。麗人、というに相応しい面差し。ホモじゃなければ良かったのに。差別的な意味じゃなく、男探し的な意味で。まあ、病気が発覚しちゃったから、どちらにしろ無しだけど。
アグネス「後で聞くわ。その続きは!」
傍のメイリンがハラハラしている。でも、当のレイ本人はクスッっと笑って、私に憎まれ口を叩く。
レイ「『後で聞く』と言うのはフラグではないか?」
アグネス「フィクションの中の話よ!」
レイ「パイロットは験を担ぐものとも」
アグネス「言ったわよ!そういう趣旨のことを。だから何?」
レイはカーテンを開け、上半身を起こし、衣服を正しながら私に真直ぐな眼差しを向ける。
レイ「一緒に戦える。少なくともこの戦いは。話せる範囲で続きは必ず話す」
それなら結構!1000000000アグネスポイント!
アグネス「先に行くわ」
メイリン「レイ、ゆっくりでいいからね」
メイリンと医務室から出て廊下に。廊下から軍隊では戦場だ。私達を見送りながら、レイも点滴の残量の目盛りを確認している。
レイ「ああ。すぐ行く」
返事を確認すると医務室の扉を閉める。そのうち来るでしょう。きっと。
ちょうど休憩上がりのメイリンはブリッジに戻る。私はそこで別れてブリーフィングルームへ! - 150二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 06:33:22
保守
- 151二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 07:55:16
レイもだいぶ擦り切れてんな…
本編ですら激戦だったのにそれ以上の鉄火場に何度も放り込まれりゃこうもなるか
寿命問題も早めに出てきたみたいだし - 152二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 07:56:35
議長から切られた可能性もあるし自分の身体はやばいしで心身ともにキツイ状況だよな
前スレのアグネスにとってのレイがそうだったようにいつもと変わらないアグネスの態度がレイにとって救いになっていればいいな
奇跡が起こって生き残れないものか… - 153二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 15:15:15
真面目に本編のifルートなもんで、巻き戻りモノのようなご都合要素が今のところ出てないのがお辛い…
2、3つ前のスレでファウンデーションの名前が出てたけど、アウラのアレがレイに有効かは分からないし、議長のツテも怪しいし…
- 154二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 23:58:39
保守
- 155二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 00:40:01
ブリーフィングルームに入室。敬礼、皆の返礼を受けて直り、懐かしい顔ぶれと再会する。
ガルナハン・ローエングリンゲート攻防戦で一緒に戦ったラドル支隊のバクゥパイロットやジンパイロット達!
アグネス「お久しぶりです!地上からこちらに!?」
バクゥパイロット「いやぁ。久しぶりだな。居ても立ってもいられなくて…。あの時の11名、『ガルナハン組』全員で参上だ」
それはありがたい。確かあの時、共同で戦ったパイロットは甲板組として加わった人を除けば、彼が言うように11名だったものね。
アグネス「(バクゥ3機、ガズウート6機、ジン2機)」
私の表情を読んだのか隣のジンのパイロットが補足してくれる。
ジンパイロット「流石にジンでは来なかったぞ。ザクに変更してもらっている。2機とも。こっちはバクゥ3機からケルベロスバクゥハウンド3機に変更だ」
視線を振られたバクゥパイロットが大きく頷く。あれ?
アグネス「ガズウートの6人は?どちらに…」
ケルベロスバクゥハウンドパイロット「あの6名ならミネルバの甲板だ。6機のガズウートは今回、砲台としてミネルバに固定して運用すると」
じゃあ、もう待機済みか。ありがたいわね。
ザクパイロット(元ジン)「俺たち2機はミネルバの直掩兼ガズウートのファルコーネSSM 地対地対艦ミサイルと電源コードの補充係だそうだ」
アグネス「お役目、ご苦労様です」
ビシッと敬礼。返礼を受けて、もう一度周りを見回す。私は寝ている(昏睡)している間にミネルバに乗り込んでしまったため、浦島太郎状態だわ。情報が欲しい。ガルナハン組11名が合流してくれたのは嬉しいが、そもそも今艦隊はどうなっている?超巨大戦略砲は?プラントは?
途方に暮れながら見回すと、アスランがこの世の終わりのような顔をして沈み込んでいる。
アグネス「(関わりたくない…)」
いや、関わらないわけにはいかないか…。何より今は情報が何より欲しい。ケルベロスバクゥの人達は宇宙のことは来たばかりだろうし― - 156二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 00:43:38
一旦ガルナハン組をお暇し、アスランのもとに。副長はまだ姿を現さない。どうなっているの?
アグネス「アスラン先輩、アグネス・ギーベンラート、任務に復帰しました」
私が話しかけ、敬礼をするとすぐに返礼を返してくれる。良かったわ。正気は失っていない様ね。
アスラン「…。アグネス。体は大丈夫か?」
アグネス「おかげさまで…。それよりも今の状況を教えてください」
私の質問を聞いて、アスランの顔がまた曇るが直ぐにそれを振り払い現状を教えてくれる。
アスラン「あの後、月軌道艦隊、つまり、カーナヴォン、マルベース、ブルトン、他ナスカ級2隻はダイダロス・クレーター上空から一時撤退、地球軌道でミネルバと合流した。改ミネルバ級ミネルバは地球上より22機のモビルスーツを艦載して月軌道艦隊に合流。だから月軌道艦隊は現在、ミネルバを旗艦に計6隻より構成されていることになる」
アグネス「そうですか…。無事に合流が成功して何よりです」
元が50隻とゴンドワナよりなる大艦隊だったことを考えるとあまりにも物悲しい。けれども受け入れるしかない。
アグネス「それにしても22機とは…」
元のミネルバはどう詰め込んでも15機か16機が限界に見えたけれど…。どうやったのだろう。先ず、22機集めるのも大変だっただろうが…。ラドル支隊以外はディオキアに到着していただろうジブラルタルのスエズ攻略軍から引き抜いたのかな。
アスラン「いや…。俺も合流時に初めて知ったんだが…。改ミネルバ級になるにあたり、この艦は、艦載機運用能力が大幅に強化されたそうだ。連合のスペングラー級の艦載機の多さに苦戦した戦訓と…。オーブがプラントの仮想敵国の一つになってしまったことで、オーブ軍のタケミカズチ級空母に対抗する必要が生じたためと言うことらしい。今のミネルバは同時に20機程度のモビルスーツが運用可能。それに加え補機を2機程は積める」
ほう。素晴らしいわ。流石、全長380m。
メイリン「じゃあ、今ミネルバに艦載されている機体は20機ですか?」
補機の2機は私達が抜けた後のカーナヴォンに乗せ換えないといけないし。 - 157二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 00:50:24
アスラン「今は26機だ。もう知っているかもしれないが、ガズウートの6機、6人は既に甲板で砲台としてスタンバイしている。その分空きが出来たから、20機。ハイネを含む元々のミネルバ組12人にガズウートパイロットを除くガルナハン組5人。残りの3機分はルナマリア他1名とジン長距離強行偵察複座型1機が乗り込む。ルナマリアの点滴が先程終わったそうだから…。」
ルナマリア、お前もか…。しかし、この乗せ方-
アグネス「(何だか、ガルナハンを思い出す限界突破ぶりね。逆に言えば地上から持って来た、他の9機、9名は、私達が抜けた後のカーナヴィン他グラディス隊に分乗したわけね)」
アスラン「グラディス司令長官とトライン副長はミネルバに。他のクルーも。カーナヴォンの要員の穴は地上からミネルバに同乗して者たちが埋めている」
なるほど、こちらの布陣は―月軌道艦隊限定ではあるけれど―理解したわ。厳しいけれど、絶望するような状況では無くない?アスランの顔は何?
メイリン「コンディションイエロー、コンディションイエロー。甲板防衛中以外のパイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合して下さい」
メイリンの艦内放送が部屋を駆け抜ける。というか、もう皆いるのだけれど。後は―
ルナマリア「ルナマリア・ホーク他4名。ただいま、到着しました!」
ブリーフィングルームと扉が開き、5名のパイロットと合流。敬礼を交わす。
うん?5名…。ルナマリア達の後ろにちゃっかりレイが付いてきたわ。副長と軍医を説き伏せたのかな。すごい根性ね。感心するわ。
アグネス「(すかした秀才野郎と思っていた…。勝手に私がそう思い込んでいただけだったのね)」
『人には人の、自分には自分の事情がある。悲しい過去があろうが関係ない』そう思って生きて来たし、それが間違いだとも思わない。ただ、だからと言って他人の痛みに鈍感になることは大問題だった。
他人への同情心や惻隠の情は弱さじゃない。他者を理解する努力、もしかしたら怠ってきたかもしれないわね。ただ、だからと言って、お涙頂戴に流されるつもりもない。私らしくないし―
アグネス「(ブッタじゃないけれど中道が大事ね。ほどほど、ほどほどね)」 - 158二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 00:57:41
ルナマリアがシンと私にも視線を向けるのでアイコンタクトを図る。『元気?』、『大丈夫』のアイサイン。ふむ。ちゃんとルナマリアも顔色が戻っている。何よりだわ。ルナマリアが『あんたは?』の目線を投げかけるので『元気』と返すわ!
彼女達が定位置に着いた頃にグラディス司令長官とトライン副長が入室。入室と同時に5隻の艦長の姿がモニターに映る。皆で一斉に敬礼。返礼を受け直ると合同リモートミーティングが始まる。
グラディス司令長官がブリーフィングルームの正面に立ち、スイッチを操作。音声を艦隊全艦に放送し始める。
タリア「月軌道艦隊全クルー、全パイロットへ。皆の奮闘によって、無事、ダイダロス基地超巨大戦略砲の第一次中継コロニーを破壊し、こうしてミネルバと合流。同時に地球から駆けつけて来てくれた友軍とも合流できたこと嬉しく思う。
協力して下さったラドル隊、ジブラルタル基地ザフト軍にも感謝を。
さて、今、諸君諸姉は自分達の置かれた現状が十分理解できず、少なからず混乱していることと思う。情勢は流動的で不確定要素も多い。しかし、我々が入手出来ている情報は可能な限り、皆と共有していきたいと思う。トライン副長」
アーサー「はい」
ここで副長にバトンが渡される。副長、結局今は何なんだろう?参謀長?ミネルバ艦長?良く分からないし、誰もわかってないのかも。
アーサー「適宜、捕捉を入れながら、時系列順に説明しようかと思う。先ず、我々が月の南極でダイダロス基地を母港とする連合軍第3艦隊と戦闘中に超巨大戦略砲が発射され、月軌道艦隊本体とゴンドワナが殲滅された。その後、第3艦隊は我々が殲滅。ここまでは皆よく知っていることだと思う」
そうね。あの忌々しい出来事、宇宙をかける死の奔流。恐らく、一生目に焼き付き離れないでしょうね。
アーサー「本国、プラント首都アプリリウスに第一報が届いたのは、まだ我々と第三艦隊戦闘中の時。奇跡的に生き残ったナスカ級1隻が素早く宙域を離脱。電磁パルスの影響がない地点から情報を伝達。アプリリウスのプラント最高評議会は大混乱だったそうだ。デュランダル議長は外遊中で不在、一時音信不通。シュライバー国防委員長も安否不明-」 - 159二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 01:01:05
アグネス「(議長はディオキア視察後、メサイア完成記念式典に行って能天気に居座っていたのね。国防委員長は前日、ゴンドワナで勲章授与式だったし…)」
まさか…。
アーサー「その後、第3艦隊との戦闘がほぼ終結した旗艦カーナヴォンの通信環境が安定。アプリリウスの最高評議会に第2報を伝達。
一時的に議長臨時代行となったルイーズ・ライトナ―最高評議員がその場を取りまとめる形で、議案を採決。特務隊員タリア・グラディスを月軌道艦隊の臨時司令長官に任命し、月軌道艦隊にダイダロス基地超巨大戦略砲の完全破壊を命令。司令長官から現在の作戦案を上申され、最高評議会が承認。
なお、タカオ・シュライバー国防委員長は本国へ向かうシャトルに搭乗中で無事が確認された。所要があって、予定を切り上げられたとのこと」
おおっ。国防委員長無事だったか!エアーマンとは言え、いないと困る。何よりだわ。周囲の見回すと、私と同じように皆が安堵のため息を漏らしている。大して有能な印象は無いけれど、特に憎まれるようなこともしていないからね、あの人。
アグネス「(というか、ほぼ議長の操り人形だし)」
しかし―案の定、議長とアプリリウスは音信不通だったか。もし、あの一撃が月軌道艦隊ではなくアプリリウスを砕いていたらどうなっていたことだろう。私の家族の命が消えていたことは言うまでもないが…。
アグネス「(まず、プラント中枢が大ダメージを受けるのは間違いないわね。最高評議会も60人議会も消滅。政治行政機能に文字通り大穴が空く)」
でも、議長は一人無事。もしそうなっていたら、彼が混乱を極めるプラントを取りまとめ、強力なリーダーシップを発揮していたことだろう。第一撃がアプリリウスであったなら、ゴンドワナも月軌道艦隊も無事。そして同時刻、『槍の穂先』のグラディス隊+ナスカ級6隻は第3艦隊を殲滅していた…。 - 160二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 01:12:40
背中に怖気が走る!あそこで超巨大戦略砲がアプリリウスを撃ち抜けば議長の一人勝ちが確定するところだったんだ。
救国の思いに駆られた私達、月軌道艦隊全軍は万難を排して第一次中継点もろともダイダロス基地を陥落させていただろう。そして返す刀で、援軍とも合流しつつ、アルザッヘル基地も。
アグネス「(破壊されるのがアプリリウス一基だけならプラントの再建は可能。ザフト軍は、ほぼ全軍が無傷。終末的危機の中、優れたリーダーシップを発揮したデュランダル議長は―異例の再選-どころか政治動向によっては終身独裁官にすらなりうるかもしれないわ)」
宇宙で連合を破り、月を制したら『積極的自衛権』を地上全域に示すだけなのだから。首都を破壊され、住民が根こそぎ皆殺しにされた国家の指導者として当然の権利を行使する。祖国の危機を救い、平和を勝ち取った唯一無二の英雄になれる―
アグネス「(考えすぎだわ…。そうであって欲しい)」
現にそうはなっていない。不確定要素が多すぎるんだ。そんな策略は。例えば、超巨大戦略砲の照準がメサイアに向く可能性だってあった。秘密裏に建造された要塞だが、連合が諜報活動でその存在を掴んでいない保証はない。
これまでだって、グラディス艦長が負けていた可能性も大いにある。軍事素人の議長は『強い艦と強い機体と強いパイロットを集めれば最強だ!』ぐらいのノリだったのかもしれないが…。
アグネス「(チェスですら運の要素はある。まして世界と言う盤のプレイヤーは全世界の人間全員だ。陰謀なんて誰もが同時に企んでいる)」
落ち着け、もしこの他愛のない思い付きが、事実の一端であったとしても。議長が内心、喜んだり落胆したりしていたとしても。今、私がするべきことには変わりはない!
よそう。今考えても仕方のないこと。インチキ議長を疑ったところで状況が好転するわけでもない。 - 161二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 02:07:14
これアスランのとこにラクス暗殺未遂の情報行ってる?
- 162二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 06:58:20
インチキ議長www
- 163二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 14:50:31
私の内心を他所に―いや、もしかしたら同じ考えに行きついている人もいるかも知れないが―副長の説明は続く。
今度は地上の世界地図がモニターに大きく映し出される。
アーサー「我々が第一次中継コロニー護衛艦隊に攻撃を開始するころ、ワシントンで大西洋連邦コープランド大統領が世界に向けて演説を開始」
ワシントンがポインターで示された後、コープランド大統領が演説する姿が映し出される。ニュースの編集映像ね。
アグネス「(要約すると、大西洋連邦大統領としてこのような事態となったことを遺憾に思う。地球連合の指導者の一人として、プラントの地球上、特にユーラシア連邦に対する介入行動を座視することは出来ない。我らの正統な自衛権の行使として今回、この大型兵器『レクイエム』の使用に踏み切ったものである、と)」
私達がこれまでダイダロス基地超巨大戦略砲と呼んでいた大量破壊兵器は、レクイエムと言う名称だったのね。各中継コロニーは「フォーレ」、「チェルニー」、「グノー」、「ヴェルディ」、「マルタン」等と名前が振られている―
アグネス「(それにしても、レクイエムとは趣味が悪い名前ね。もう、こちらに『絶滅戦争仕掛けます』と宣言しているようなものじゃない。フォーレは叩き落してやったけど!)」
冴えない大統領の演説はまだまだ続く。一人の人間としてこのような事態となったことを遺憾に思う。ただ、大統領としての義務を果たさないわけにはいかない。レクイエムの目標は軍事目標のみに限定し、プラントの民間人居住エリア・民間インフラに対しては不使用を宣言する、と。
アーサー「しかし、我々、つまりプラント最高評議会及び60人議会、軍本部はこの宣言を信用していない。演説のタイミングから考慮して、そもそもレクイエムの使用はコープランド大統領の命令ではなく、現地司令官等の独断で、彼は事後承認をしただけの可能性も高い。
プラント・ザフト軍は、レクイエム・ダイダロス基地が事実上、連合軍本部の直接統制下にないものと推認。プラント本国、特に首都アプリリウスがその第一目標になっているとの想定は変更せず、このまま作戦を続行する。皆もそのつもりで作戦に臨む様に」 - 164二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 14:56:55
一同「はい!」
というか、この状況で「ふー、やれやれ民間人は安全なんだな」なんて思うバカはいないわ。そもそも、凡庸なコープランド大統領にレクイエムのスイッチを押すだけの度胸は多分、無い。そして、いざ、押されてしまったら、事態を押し留めるだけの力量も無いだろう。
タリア「話が前後するけれど、レクイエム発射が判明した直後から、ライトナ―議長臨時代行の指導のもと緊急事態宣言が議決、プラント全市民の緊急避難命令が発動しました。
未成年者、妊産婦、高齢者は疎開船に乗って安全-と思われる―宙域に一時脱出。他の市民はシェルターに避難。ザフト軍本部はアプリリウスに連絡要員を残した上でディセンベル市に移転。評議員の内、ライトナ―議長臨時代行を含む7名、60人議会の内、31名はアプリリウスに踏みとどまり、他4名と29名はシュライバー国防委員長と合流してザフト軍事ステーションに移動。プラント中央放送局職員もアプリリウスに残留しています。以上の措置はメサイアの議長と連絡が復旧後、改めて協議が行われ、追認されました」
アグネス「(ナイスフォローね。これで『もしも』があったとしてもプラントはまだ立ち上がれる…)」
ただ、私の家族。特にパパは職業上、アプリリウスに残留しているはず。ママは移動組の方に随行しているのか…。ここからでは分からない。
モニターの大統領の演説が、また再生され始める。
連合はレクイエムの照準を第三国に向けることは絶対にありえないと確約。
さはさりながら、ユニウスセブン落下以後、地上国家が一致団結しなければいけない時期に同盟条約の加入を拒んだ国家が存在することは強い非難に値すると主張。汎ムスリム会議、大洋州連合に対してはプラントとの外交関係を速やかに断絶し、条約加盟手続きに入ること強く勧告する。また、オーブに対しては―
コープランド「また、オーブ連合首長国に対しては、我らの友人、同盟条約の同志として、速やかに軍事的貢献を果たすよう、切に希望するものである。プラント最高評議会に告ぐ。これ以上の流血は我らの望むところでは決してない。速やかに無条件降伏を受け入れ、連合軍の占領を受け入れるよう、改めて要求するものである」
アスラン「オーブは…」
アスランのこぼした呟きが私の耳に入る。なるほどこれで顔が暗かったわけか…。と言うことは― - 165二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 15:00:50
アーサー「皆が察しての通り、同盟条約非加盟国及びオーブ政府はこれを事実上の恫喝と解釈。オーブのカガリ・ユラ・アスハ代表首長はセイラン政権に対し、慎重な対応を求めたが…」
モニターに軍服姿のアスハ代表が投影される。オーブ政府とオーブ国民に国際救難チャンネルで呼びかけてくれているわね。
カガリ「―。このような恫喝に屈服し、プラントと戦端を開くことは、ただ国家の安全と安定を損なうに止まらない。一国、一民族を一撃で葬るほどの巨大な大量破壊兵器の使用に直接加担することに等しい。ここで連合の要求に盲従することは国家国民の主権を永久に差し、自ら隷属の道を歩みだすことを意味する。
私が愛するオーブ国民よ。どうか賢明な判断を。軽挙妄動は慎み、秩序を保って避難に備えよ。軍および政府機関はレクイエムの照準がオーブに向いた場合に備え、即時に国民の避難計画を策定・実行せよ」
アスランの顔色がやばいわ。これは―ダメだったみたいね。
アーサー「オーブはコープランド大統領の演説を受け、国家総動員令を発布。
また、汎ムスリム会議、大洋州連合にも一時動揺が走ったらしいが…。演説修了直後に第一次中継コロニー―『フォーレ』だな。これの護衛艦隊と月軌道艦隊の戦闘がザフト有利であることが伝わり、両国の動揺は急速に沈静化。艦隊殲滅とフォーレの完全破壊に後押しされ、汎ムスリム会議、大洋州連合は連合及び大西洋連合からの要求の完全拒絶の声明を発表。これは後から知ったことだが、我々の戦闘映像は議長の指示で、世界に同時中継されていたとのこと」
ほう、感心。議長もナイスフォローをするわね。あそこで私達が勝てるかどうか、勝つとしてもどの程度の勝ちか―辛勝か完全勝利か―はほぼ賭けだったはず。伸るか反るかの瞬間にこれだけの胆力を発揮できるのだから、黒でも白でも大人物であるのは間違いないわね。
アグネス「(それに比べてコープランド大統領…。事態を後から知らされたであろうことも大きいとはいえ。あんな演説した直後に連合が大負けしてしまって面目丸つぶれね。開戦時の失敗と言い、こいつは待ってないわね)」
敵がアホでつくづく良かったわ。 - 166二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 15:09:09
ここでグラディス司令長官が副長から少しバトンタッチ。アスランとシンに気づかわし気な視線を向けながら、話を続ける。
タリア「ただ、オーブは国家総動員を続行。少なくない公務員、軍人が抗命罪覚悟で住民の避難誘導を開始していることも確認されているけれど…。オーブ軍の出撃準備も完了し、もはや我が軍との武力衝突は避けようがない。ジッダで汎ムスリム会議の仲立ちのもと、両国大使が衝突回避を懸命に模索したそうだけれど、セイラン政権は『今更やめられないという結論になった』とのこと。我々は地上のことまで構っている暇は無いが、オーブは宇宙軍も保有している。あらゆる事態を想定しておくように」
あ~あ…。まさかこんな形でこれまでの努力が無駄になるとは…。アスランが地の底まで落ちたかのように落ち込むのも分かるわ。私もガックリよ…。シンは握った拳を自分の力で砕きそうな勢いだし。
アーサー「以上が現在の情勢である。戦況としては―」
モニターに月とプラント、周辺宙域の戦況図が表示される。
アーサー「ジュール隊が12宙域に中継コロニー『グノー』を発見。攻撃を敢行している。ただ、連合もそれを察知し、別の中継コロニー『ヴェルディ』の移動を開始。その上で『ヴェルディ』の護衛艦隊の半分も『グノー』の護衛艦隊に差し向けて来た。こちらもジュール隊に援軍を送っているが情勢は予断を許さない。現在、『グノー』、『ヴェルディ』の移動も停止していない」
アグネス「(12宙域の戦況はそうなっているのか…。ザフト最精鋭のジュール隊が釘付けにされている…。とは言え、こいつ等を放置して月にジュール隊を強行させた場合、中継コロニーの護衛艦隊が、コロニーを捨てプラントに特攻を仕掛けてくる恐れもある。絶対に放置できないわ)」
じゃあ、最重要の月は?どうなっている?
アーサー「月の情勢もまた予断を許さない。我々が一旦、ミネルバと合流のため撤収した後、連合は『フォーレ』の代わりに『チェルニー』を第一次中継コロニーとするべく移動を開始。既にダイダロス・クレーターにかなり接近している。彼らは『チェルニー』の穴は『マルタン』で埋まる予定のようで、そちらも移動を確認。ジュール隊の場合と同じように『マルタン』の護衛艦隊の半数は『チェルニー』の護衛艦隊と合流している」 - 167二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 15:18:38
アグネス「(どんどん敵艦が湧いてくる…。もういい加減にして欲しい。これが連合の物量と言うやつか。自分が直面すると潰されそうになるわね)」
アーサー「ダイダロス基地上空にはアルザッヘル基地からの援軍が到着していたが、ザフト軍ジャガンナート艦隊がアルザッヘルに逆攻勢の構えを示したことである程度の誘引に成功。とは言え、ダイダロス・クレーター上空には計85隻前後の連合大艦隊が集結している」
グラディス司令長官から補足が入る。
タリア「ジャガンナート艦隊は、ザフト艦隊の中で無事だったジャガンナート隊に他隊から抽出した部隊を合流させた急増艦隊ね。ただ、ハリ・ジャガンナート氏本人は軍内で人望もあり経験も豊富。アルザッヘルの抑えとしては適任でしょう」
ジャガンナート隊長か…。同じ強硬派でもあんまり知らないのよね、あの人。特に私の家とも連絡を取り合っているわけでもないし、エザリアおば様とも距離があるみたいだし…。
アグネス「(とは言え、この局面では派閥の論理は無視ね!)」
アーサー「本来、ダイダロス基地上空はホーキンス隊を主力とし、我々は徐攻となる予定だったが...。これではとても無理だ。第2次レクイエム第一中継点戦はミネルバ率いる月軌道艦隊、ホーキンス隊両者一体となって任務を遂行する。全艦覚悟を。ホーキンス隊は第2次ヤキン・ドゥーエを戦い抜いた精鋭。過度に悲観的になる必要はない」
一同「はい!」
アグネス「(ホーキンス隊と言えばハイネ先輩が前所属していた隊ね。精鋭なのは間違えないわ。何とか乗り切らなければ…)」
とは言え、この数…。おまけにレクイエムのパワーチャージは相当進んでいる。時間が無いというだけではない。味方を巻き込んだ自爆的攻撃の恐れも高い。
『青き清浄なる世界のために』。リフレクター搭載ドレイク級艦長の叫びが脳内を駆け巡る。
あの基地の主導権を握っている者達は常人じゃない。ブルーコスモスの思想に完全に染まった者たちだ。 - 168二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 15:23:37
タリア「我々の敵護衛艦隊総攻撃に合わせて、その間隙をつく形で、ローラン隊がダイダロス基地陥落のため直接攻撃を決行します。皆、この言葉を言うのは2度目になるけれど。どうか聞いて欲しい」
艦長-司令長官。慣れないわね。この人のもと戦ってきた日々はあまりにも濃密で…。私は気が付いたら、この議長の愛人に強い強い、強固な戦友意識を感じてしまっている。
アグネス「(らしくないわね。深入りし過ぎは禁物なのに…)」
グラディス司令長官の表情を見て、パイロット皆が背筋をピンと伸ばし、リモートミーティング先の艦長達も起立する。
タリア「みんな連戦で疲れていると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね。各員一層奮励努力せよ!」
艦隊全艦全クルー・全パイロット「はい!」
皆が揃って敬礼を交わす。艦長と副長の退出を見送り、私は更衣室へ。オーブのことは残念でたまらない。でも、今はそれどころじゃない。雑念を抱くぐらいならイズモ級を撃沈するイメージトレーニングでもするべきだ。オーブの総動員のタイミング上、宇宙での参戦の可能性はほぼ無いが…。
アグネス「(アスランの顔色は心配だけれど。今回はオーブと戦う訳じゃない。何よりレクイエムがジェネシスと同等の脅威だと彼自身が自覚している)」
故に彼のモチベーション低下、士気の不安はない。何より、ここでレクイエムを放置すれば、連合の声明に反対したアスハ代表とアークエンジェルが次の標的になるのだから。
アグネス「さあ、行くわよ!!」
パイロットスーツに着替え完了。ブリーフィングルームへ再入室する。 - 169二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 15:44:19
セイラン家はさぁ…
- 170二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 19:09:39
AAなんとか動いてくれんか
具体的にはフリーダムだけでも宇宙に上げてミーティアつけて…
って思ったところで気づいたけど本来ダーダネルスでやる介入行動こっちに回ってきたりするかな(もちろんザフト機まで撃つ状況じゃないだろうが) - 171二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 21:10:28
AAじゃなくてもいい、ターミナル&ファクトリー動いて
エターナル動かしてジャスティス+ミーティアを貸して下さい
ラクスが情報収集で宇宙に上がってるならワンちゃんあるか? - 172二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 00:30:59
戦闘宙域に高速で突き進む。艦列はミネルバ、直ぐ後ろにカーナヴォン、更にナスカ級2隻、最後尾にマルベースとブルトンと続く。モビルスーツは偵察機も含めて58機。
アグネス「(先程、ジン長距離強行偵察複座型4機は最後の休憩、補給を済ませて発進した。彼らの目が今回の戦場では鍵になるかも知れない)」
だから、わが身を大事に立ち回って欲しいわね。そのままホーキンス隊とも合流を果たす。あちらの陣容はナスカ級4機にザク24機と判明。精鋭部隊だけあって流石にゲイツは混じっていない。10隻と82機。主力艦隊殲滅後にしては良く短期間にかき集めたと言えるのではないかしら。
ただし、相手は85隻を超える艦隊。おそらくモビルスーツは440機ほど。ザムザザーとユークリッド多数を確認。『悪いが死んでくれ』ってことかしら。
かしら―ではない。おそらく、その通りなのだろう。こちらにグラディス司令長官とレイが居ることを思うと議長としても今の事態は想定の範囲外だったのかもしれないが...。
アグネス「(私達は囮。ローラン隊が基地本体を攻略する時間を稼ぐための。本当は私達もそちら側に居れるはずだったのだけれど、あんな大艦隊が湧いてきた以上、是非もないわ)」
ブリーフィングルーム内の空気は一種異様なものになっている。絶望・希望・失望・怒り・悲しみ等々あらゆる負の情念が渦巻き、戦闘前からストレス値がマックスになっている。パイロットスーツに身を固めた男たちのピリピリを通りこしてビリビリした空気。年頃の乙女には耐えられないわね。むさ苦しくて勘弁してほしいわ。
特にアスランとシンがやばい。オーブの参戦が確定したとの知らせを聞いて以降、まともに会話が出来そうにない。レイの表情は相変わらず意味不明だわ。本人の体調のことはさて置き、今の情勢をどう考えているのだろう。
うん?ルナマリアが私に目線で合図。『化粧室に一緒に行きましょう』ね。分かったわ。
女子二人、ブリーフィングルームに一番近い女子トイレに。
うむ。やはりナスカ級より綺麗で広い。素晴らしい!
感慨に浸る私に半ば呆れたようなルナマリアの声が掛かる。
ルナマリア「あんた、そのメンタル鋼…。どうなっている訳?」 - 173二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 00:41:39
何て友達甲斐のないことを言うの!
アグネス「失礼ね。ついさっきまでは悲壮感マシマシだったわよ、私も。オーブもあんなことになっちゃうし、任務の難易度はハイマックスだし…。でも、周りを見回したら、ね?」
自分のことで一杯一杯の中、ふと、周囲を見回す。すると男どもが、勝手にやばい雰囲気になっていた。それを目の当たりにし、各々の滑稽なほど深刻そうな顔に囲まれたら、何か一気に素に戻ってしまったわ。
アグネス「死ぬときは死ぬ、生きるときは生きる。体当たりしてでもレクイエムのプラント直撃は止める。やることは結局、これ以上でも以下でもないわ」
オッカムの剃刀だ。ここは物事を単純化するべき場面。変に動揺しても仕方がないわ。
ルナマリア「確かにね。周囲がパニックになることで、かえって自分が冷静になる、みたいなもんね。皆はパニックなんかじゃないから失礼だけれど…」
アグネス「だから、化粧室に来たんじゃない?まあ、何か私も流されてたわ。生き残って、英雄になって、超出世したいけれど。そこは戦場の運次第ね。今回はそれがベリーベリーハードってだけよ」
ルナマリア「違いないわね」
強がりを言い合いながら、女二人笑いあう。化粧室の鏡に映る私とルナマリア、お互いに最高の笑顔だ。
アグネス「(こんな風に他意なく笑いあえるの。ルナマリアとは久しぶりかもしれない。今から思い返すとアカデミーの途中から、何となく彼女は私に余所余所しくなっていた気がする)」
もしそれに原因があったとしたら、多分それは私の方なのだろう。
顔を真面目モードに戻す。私の表情を見てルナマリアも笑顔を引っ込める。
アグネス「ルナマリア!」
ルナマリア「な、何?!突然…」
おそらく、伝えるなら今しかないのだろう。
アグネス「もし、いや多分絶対!私の振る舞いのせいで、あんたを傷つけ、不快に思わせたことがあったんだと思う。どうか許して…。ごめんなさい」 - 174二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 00:45:39
日系の人が良くやるように頭を下げて見せる。何でも古典の授業によると、これは『あなたに首を撥ねられても構いません』のサインらしいわ。
ルナマリアは私の態度にやや戸惑った後、許しの言葉をかけてくれる。
ルナマリア「あんたね…。この状況でこんなことされたら許すしかないでしょう…。いいわよ。あ~あ。フレグの時、結構、傷ついたんだけどな…」
フレグ…フレグって誰?イル・ハン国の初代君主?
アグネス「(う~ん。う~~ん。ああ、アカデミーの時ちょっとつき合ってたやつね!?)」
アグネス「本当にごめん」
ルナマリア「良いって、もう。それより、あんた!戦争映画で突然、嫌な奴が良いやつになると―。やばいわよ!」
また、レイみたいなことを言われる。まあ、パイロットは験を担がないとね。
アグネス「どうやったら死亡フラグが折れるのか…。う~ん。あ…。そもそも私は嫌な奴じゃないわよ!聖人君子じゃないだけ!友達になんてことを言うの!?」
ルナマリア「おお!今ので折れたわね。私に感謝しなさいよ」
しょうもない会話の後、また二人で笑いあう。私は、きっと無配慮な振る舞いで多くの人を傷つけて来たんだと思う。一人一人に謝って回ることは出来ないし、する気もないが―
アグネス「ここでチェルニー落として、レクイエムぶっ潰したら全部チャラね。後は勲章授与されて、出世してめでたしめでたし、と」
ルナマリア「勝手に自己解決した…。あんたホントいい性格しているわね」
何とも言えない笑顔を向けつつルナマリアが右手を差し出してくれた。仲直りの握手…。
アグネス「(嬉しいわね。見捨てないでいてくれて…)」
ありがとう。そう精一杯の気持ちを込めて彼女の手を握って互いに静かに離す。
アグネス「じゃあ行きますか」
ルナマリア「ええ!」
負のオーラが充満するブリーフィングルームへ。そろそろハイネ先輩が皆のムードを上げようとし始めて居る頃かな。 - 175二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 00:48:33
艦内放送
メイリン「コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットはブリーフィングルームへ」
今から戻るところだって言うの!
ルナマリアと一緒にブリーフィングルームへ駆け込むとブリーフィングルームモニターに思いもかけないものが投影されていた。
アグネス「あれは…」
私達プラントの人間にとって、いや、あの第二次ヤキンドゥーエ攻防戦を目の当たりにした人類にとってあまりにも思い出深い宇宙戦闘艦の艦影が映し出される。あのローズレッドの船体、艦体前方にドッキングされたミーティア…。
ルナマリア「エターナルよ!ラクス様…」
パイロット達「おおぉぉ…」
歓喜の声を上げるルナマリア。周囲のパイロット達の顔にも喜色が浮かぶ。私も思わず気分が高揚するわ!
だが、待って欲しい。
アグネス「(ラクス・クラインはアークエンジェルに乗艦中でしょう。あの艦に単独大気圏突破能力は無いし…)」
そうかといって、ミーアにクライン派を動かす力があるはずもない。どうなっている?
アスランの元に視線を送ると彼も鳩が豆鉄砲を喰らったような顔。ダメだ…。またしても何も知らないアスラン・ザラだわ。
エターナルから通信。オープン回線だわ。
ダコスタ「こちらエターナル。当方に戦闘の意思なし。ミネルバ応答されたし」
赤毛に褐色の肌、剽悍な顔つきの青年がモニターに姿を現す。
ミネルバから回答。
タリア「こちらミネルバ。月軌道艦隊司令長官タリア・グラディス。あなたは?」
ブリーフィングモニターの半分には司令長官の上半身が。司令長官は警戒を緩めてはいないわね。と言うか私達が浮かれ過ぎなのか…。あの艦が『敵』である可能性を全く考慮に入れていない。
アグネス「(私もまだまだね。グラディス司令長官、流石だわ)」 - 176二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 00:58:44
ダコスタ「失礼しました。グラディス司令長官。自分はマーチン・ダコスタ。ラクス様からこの艦を預かっている者です」
慌てて敬礼をするダコスタ…先輩?さん?うーん。ダコスタさんでいくか―
タリア「それでそのミスター・ダコスタがどの様なご用件?」
ダコスタ「はい。地上から緊急の秘匿通信を受け、こちらに参りました。発信元は、この艦の本来の指揮官アンドリュー・バルトフェルド艦長。艦長からの命令です、ラクス様の意向とアスハ代表の強い要請を受け、エターナルは大量破壊兵器レクイエムの破壊に全力を尽くすように、と」
『おおぉぉ』と言う声がブリーフィングルーム…だけでなく艦内のあちこちから漏れ聞こえてくる。
しかし―。私とアスラン、ハイネ先輩は少し困惑中だわ。
アグネス「(ありがたい申し出ではあるけれど…。司令長官はどう応えるのだろう?)」
そもそも、エターナルの所属って、今どうなっているんだろう。ザフト軍でないことだけは確かだけれど…。
司令長官は迷っている。迷って迷って迷って出した結論は?
タリア「『あくまでエターナルの船籍はザフトにある』という理解の元、当方は貴艦の同行を拒絶はしません」
「やったー!」「やったー!」「うぉぉぉ!」
誰からともなく歓喜の声が上がり、それに皆が続く。
アグネス「(うーむ。まあ、良いか。私も喜んでおこう。その言い訳はきつそうではあるけれど…。戦乱の時代は思いもかけないことがいっぱい起こるものだし)」
何とでもなるだろう、多分…。今は勝つことだけに集中を。
ふと、こちらも見つめるアスランと目が合う。私を見つめられてもこればかりは良く分からないが…。
視線を優しく投げ返し、大きく頷いてみる。アスランはそれを見て少し安堵した様子。
純軍事的には、高速艦が増えてくれるのはありがたい。ミーティアは攻撃型の軍艦ではないが、高密度のミサイル弾幕を張ることが出来る。上手くいけばナスカ級2、3隻くらい防衛できるのではないか。あと気になるのは―
アグネス「(インパルスでミーティアが運用できるかどうかね。ドッキングと武装の操作自体は可能なはずだけれど)」 - 177二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 01:57:33
エターナル参戦してくれた、良かった〜
アスランがミネルバにいるのをカガリたちから聞いていたらジャスティス持ってきてるよね - 178二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 07:07:22
積んでるのか!?
アレを! - 179二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 07:27:08
ストフリインジャは流石にまだ製造〜調整中じゃないか?
- 180二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 11:07:15
オーブ軍が戦闘を始めそうだしカガリも動き出すかな
今の状況だとカガリが普通に帰るだけでセイランを制圧できそう - 181二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 11:50:19
ストフリインジャはまだないか
それでもミーティアがあれば大分違うな - 182二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 12:06:31
先に声明を出せたのは大きいよな
傀儡になっていた本編とは違いオーブ軍にカガリのスタンスがもう伝わってるって事だし
レイとかアスランから流石のアグネスでも荷が重い期待を向けられているけどなんとか彼女なりに応えているのが凄い
頼りにされてるね
- 183二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 12:06:40
運命時のミーティアって核動力機でなくても使えるの?
ミーティア自体にバッテリー搭載されてるってのはどこかで見たんですが時期は覚えてなくて - 184二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 19:26:02
またしても何も知らないアスラン・ザラで草
- 185二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 19:28:52
- 186二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 19:35:06
- 187二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 19:52:10
- 188二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 20:06:17
- 189二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 20:26:48
- 190二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 23:59:00
ブリーフィングルームのモニターにグラディス司令長官と副長、ダコスタさん。同時にミニサイズで各艦の艦長、ホーキンス隊長の上半身も映し出される。
全員で相互に敬礼。返礼を受けて直り、そのままリモートミーティングを開始。
タリア「この際、挨拶や事情説明は抜きにしたいと思います。お互い話せないことも多いはず…。それで構いませんか?」
ダコスタ「はい。ありがとうございます」
リモート先から精悍な顔をした軍人がダコスタさんに質問を投げかける。
ホーキンス隊長「それで…。不躾だが戦力は?新機体―例えばフリーダムやジャスティスに相応するもの―を艦載しているとか?」
アグネス「(ほう。あの方がホーキンス隊長。軍人らしい単刀直入簡潔な質問ね)」
しかし、質問を受けダコスタさんは少し困った表情を浮かべる。
アグネス「(やはり無茶か…。)」
ハイネ「隊長、お久しぶりです。ハイネ・ヴェステンフルスです」
ホーキンス隊長「おう!久しぶり」
ハイネ先輩が代わりに指摘してくれるみたいね。司令長官に一度目線を遣り、許可を受けると続けて話し始める。
ハイネ「隊長、残念ながら、それは、少し無理があるのでは。その2機のような核搭載機はユニウス条約で禁止されていました。条約非締結国にはそもそも効力は有りませんから、ダコスタさん達に効力が及ぶのかは不明ですが…。連合の宣戦によって条約自体も失効しました。しかし、いずれにしろ今回の事態があまりにも急すぎて、新機体の開発・調整が間に合うとも思えません」
ハイネ先輩の指摘を受けて、ホーキンス隊長も納得と同時に無念な表情を浮かべる。
そうね、でも仕方ないわ。
アグネス「(どうしても期待したくなっちゃうものね。私とて同じ。実際、フリーダムは修理済みだったわけだし…。でも、他の機体を0から作るのは―)」
出来たとしても、このタイミングで投入できるとは限らない。そもそも、連合がレクイエムを準備していたこと自体、ほとんどの人間はあずかり知らぬところだったのだから。 - 191二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 00:01:52
ダコスタ「ご理解をいただけて幸いです。我々も八方手を尽くしたのですが…。間に合いませんでした」
何と無くションボリした空気がその場に漂い始める。ただ、それはそれ、人としての礼を欠くほど前大戦の英雄は落ちぶれてはいない。
ホーキンス隊長「いや、この鉄火場に来ていただいたこと、改めて感謝します。となると、援軍はエターナル1隻ということになりますね」
ダコスタ「ありがとうございます。そう言うことになります」
二人のやり取りを聞きつつ、私はふと、あることに思い当たる。
アグネス「(『間に合いませんでした』ね。単なる言葉の綾かもしれないけれど…。もしかしたら機体の開発自体は行われていて、既に完成間近までは漕ぎつけていたのかもしれないわね)」
それが具体的に何機で誰を乗せるつもりか、までは予想もつかないけれど―。キラ・ヤマトは確定かな。もし本当に開発していたのなら。その部隊で誰を討つつもりなのやら。
アグネス「(備えあれば患いなし、ということなのか…)」
よせ。今考えることじゃない。明後日のこと等どうでも良い。大事なのは今日だ!今あるものを有効活用するのみ。急いで挙手!
アーサー「アグネス、何か?」
副長に当ててもらって、さっきから考えていた考えを述べる。相手はエターナル副長(?)のダコスタさん。
アグネス「ダコスタさん。ご持参いただいたミーティアの使用自体はインパルスでも出来るのではないでしょうか?機体のドッキングは可能な仕様のはずですし、武器の操作も」
私の質問に少し考えた後、彼は返答をしてくれる。
ダコスタ「確かに。しかし、ミーティアは本来、核動力機の支援を想定したもの。インパルスでは直ぐにバッテリーが切れてしまうでしょう。マルチロックシステムも使用できません」
無論、それは承知の上だわ。インパルスのバッテリーでは電力は一瞬で干上がる。でも、かまわない。 - 192二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 00:24:12
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- 193二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 00:26:05
アグネス「ミネルバとインパルスには、デュートリオンビーム送電システムが使えます。充電中は随伴のザクが直掩を。マルチロックシステムにしても、それが無い状態でシンはブラストインパルスを乗りこなし、味方を誤射したことは一度もありません」
アスランが一つ頷いて感想を述べる。
アスラン「なるほど、ミーティア本来のコンセプトとは大きく外れるが…。ミネルバと連携を前提としたうえでの運用なら可能なはず、ということか…」
話を聞いていたシンが挙手して私に疑問を投げかける。
シン「でも、バッテリーが干上がるたびにデュートリオンビームを数十秒程度受信しなきゃいけない。それじゃあミネルバから遠くに行くことは無理だし…。ああ、行かなくてもいいのか」
私達の議論の流れを聞いていた司令長官がシンの言葉を肯定する。
タリア「ええ。改ミネルバ級は敵艦隊に積極的に切り込むことを前提にした武装システムになっています。まして、この戦いは背水の陣。ザフト艦隊全軍、敵艦隊、更には第一次中継コロニー『チェルニー』に突撃するつもりです。皆も覚悟を。」
艦長「おぉぉ」、ホーキンス隊長「それは豪胆な…」艦長「望むところ…」
アグネス「(というか、それ以外に選択肢がないだけなんだけれどね)」
今回の作戦ハッキリ言って無茶苦茶だ。どうせ無茶なら無茶を衝き通した方がかえって上手くいくかもしれない。
シン「つまり、インパルスがミーティアで『遠出』をする必要は無いわけか。ミネルバの比較的周辺で強力な移動砲台のように運用すればいい、と」
ハイネ「話は分かるがうまくいくかな。ビームが飛び交う戦場で数十秒は結構長いぞ」
ハイネ先輩の指摘も、もっともだと思う。
アグネス「もし、取り回しが出来ないようなら、最悪、放棄してシン、インパルスは脱出を。エターナルの同意があれば、ということになりますが…」 - 194二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 00:28:07
私達の議論を見守っていたダコスタさんが思案顔を改め、結論を出す。
ダコスタ「分かりました。ミーティアを1機、インパルスに貸与します。パイロットの命を最優先していただいて構いません」
良し!!
アーサー「では、次の議題に。戦闘時の陣形については―」
手短にミーティングは終了。私は概ね満足している。しかし、傍らのシンは軽く困惑の色を浮かべている。
アグネス「どうしたの?ミーティアが嫌なの?」
もう。本当にすぐに戦闘開始だ。しゃっきりして欲しい。
シン「いや…。心強い支援機だと思うけれど…。でもすぐにデュートリオンビームを受けなければいけないから」
無理を押し通しての運用だからね。仕方ない。
アグネス「確かに弾込めに数十秒はマスケット銃より長いかも知れないけれど。でも、ウルバンの巨砲ことダーダネルス砲は一日7発しか撃てなかったのよ。隔世の感が有るとは思わない?」
シン「弾込め?電力補給のことか?」
ちょっと、きょとんとした顔でシンが聞いてくる。
アグネス「ええ。あんたの今回の役割は大砲兼破城槌でしょ。大砲の装填に数十秒は…。ま、しばしば歴史上あった事じゃない?」
私の話を、シンはゆっくり咀嚼し、やがて頷く。
シン「確かに大砲や破城槌の運用なら数十秒はあり得るな」
アグネス「でしょう!納得したなら良し」
シンとの会話を切り上げると、艦内放送が流れる。
メイリン「モビルスーツ発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り返す、発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ」 - 195二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 01:02:42
- 196二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 01:03:25
- 197二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 11:13:14
前スレの方が先に落ちた
- 198二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 12:06:16
帰宅後、次スレを立て直します。申し訳ありません。
- 199二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 19:20:35