ここだけアリスクの一人が(別ルートS) Part2

  • 1二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:29:08

    錠前サオリが内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティ/百合園セイアに拾われた世界


    ・ベアトリーチェが内乱を収める前に拾われた

    ・一人が抜けたことで全員の悲惨さや過程が変わっても本編まで生きている

    ※戸籍=学籍を得た経緯はキヴォトスには親(の役割を果たすもの)がいるか不明なのでシスターフッドの協力などで住処を与えてもらい入学できたことに


    部活はティーパーティー(サンクトゥス派)でセイアの付き人、後にアリウス派を復権・独立する(?)


    過去スレ

    ここだけアリスクの一人が(別ルート分岐)|あにまん掲示板dice1d2=@1 (1)@1.サオリ 2.ミサキ内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティに拾われた世界・ベアトリーチェが内乱を収める前に拾われた・一人が抜けたことで全員の悲惨さや過程が変わっ…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:29:40

    スレ立て待ってたぜ

  • 3二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:29:50

    立て乙です

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:30:14

    良質な書き手と概念出してくれる人が多くてうれしい

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:30:34

    出来たら初見の方のために過去スレも貼ってもらえると助かります

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:30:45

    立て乙

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:32:49

    >>1

    >>5


    救護騎士団の槌永ヒヨリ編

    ここだけアリスクの一人が|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    シスターフッドの秤アツコ編

    ここだけアリスクの一人が(別ルートA)|あにまん掲示板dice1d3=@3 (3)@1.サオリ 2.ミサキ 3.アツコ※アズサとヒヨリもアリスク入りするが択からは除外内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティに拾われた世界・ベアトリーチェが内乱を収め…bbs.animanch.com
    ここだけアリスクの一人が(別ルートA) Part2|あにまん掲示板アツコが内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティに拾われた世界・ベアトリーチェが内乱を収める前に拾われた・一人が抜けたことで重要性で全員の悲惨さや過程が変わっても本編まで生きている※戸籍=学籍を…bbs.animanch.com

    ティーパーティー(サンクトゥス)の錠前サオリ編

    ここだけアリスクの一人が(別ルート分岐)|あにまん掲示板dice1d2=@1 (1)@1.サオリ 2.ミサキ内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティに拾われた世界・ベアトリーチェが内乱を収める前に拾われた・一人が抜けたことで全員の悲惨さや過程が変わっ…bbs.animanch.com
    ここだけアリスクの一人が(別ルートS) Part2|あにまん掲示板錠前サオリが内乱の最中(幼少期)に記憶喪失になりトリニティ/百合園セイアに拾われた世界・ベアトリーチェが内乱を収める前に拾われた・一人が抜けたことで全員の悲惨さや過程が変わっても本編まで生きている※戸…bbs.animanch.com
  • 8二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:33:05

    ありがたや……

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:33:29

    たておつだ!

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:33:50

    立て乙

  • 11二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:34:59

    >>7

    ん、有能

  • 12二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 12:35:37

    立てに感謝
    大体概念は語り終えたから有志の概念提供があるまではSS待機かな

  • 13二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 13:14:44

    この時空のサオリの絆ストーリーは、激務すぎるサオリを先生がいろんな手を尽くして息抜きさせる話になりそう

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 13:20:29

    立て乙です
    今日はちょっと予定があってSS投下は明日になりそうなので少しお待ちいただければと

  • 15二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 15:15:22

    >>14

    把握

    待ってます

  • 16二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:19:25

    2スレ目感謝

    「おっと…大丈夫ですか?ナギサ様」

    「ありがとうございます…サオリさん」
    「少しの間、寄りかからせてください…」

    って感じでサオリは誰かといる時は精神的な余裕を見せるけど、1人でいる時は蹲ってそう
    それをハナコに偶然見られていて欲しい。

  • 17二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:42:19

    たておつ
    なんやかんやでミサキ=サンが結構きつめのこと言うのがつらいんよな
    サオリ=サンが一番効きそうやし

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 21:43:05

    先生赴任時にはセイアはもう居ないし、最初から割とメンタルヤバそう

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/28(水) 23:16:32

    「首長代理って知ってる?」

    「首長代理?セイア様がサンクトゥスの首長じゃないの?」

    「色々あったみたいでね、で、その首長代理の顔が凄く良いの!これなんだけど…」

    「わ…っ!」

    「あなたたち…」

    「「ご、ごめんなさい!!」」

    「サオリ様のことなら、この写真も良いわよ!(考え込んでいるサオリの横顔)」

    「「きゃーー!!!」」

    みたいな感じで一般生徒とティーパーティーモブとかから話題にされてたりしないかな

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 03:06:51

    >>19

    ポジティブな側面でとても好き

    長身クール美女で優しいところもあるって…良い

  • 21二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 07:44:00

    ハナコはハナコで補習授業部の実情を知った時に感情に任せてサオリを糾弾して後悔しそうな気がする
    (友情をナギサと一緒に裏切られたと思って)
    それが原因の一つでサオリの暴走につながったと知った時のハナコの様子が見たい

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:07:44

    >>21

    さぞいい顔をしてくれるだろうね

  • 23二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:08:10

    >>21

    抑えが利かないのは人生経験の少なさから当然といえるし、変態以外の行動のやることなすことが本人よ忌み嫌ってるトリニティしぐさなのは散々言われたし

    ナギサへの所業が返ってきたかのようにトラウマになりそう

  • 24二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:11:23

    >>21

    見てえ~~

    サオリ暴走前のどこかで言いすぎて(彼女に謝らないといけませんね)と(悪いのはサオリちゃんです)で

    謝る前に暴走して打ちのめされるハナコ

  • 25二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:12:31

    >>19

    トリニティだと達観風のセイアや人当たりのいいイチカともまた違ったタイプのイケ女だよね

  • 26二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:13:30

    >>21

    ミカが良い方向に動いたし揺り戻しとしてエデン四章にハナコ関わってくるのもありかも

    SS書き手!出番です!!

  • 27二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:33:09

    「す、すみません、サオリ首席行政官。少し宜しいでしょうか…?」
    「構わないぞ。どうした?」
    「こ、この書類なのですが…。」
    「ん?」ズイッ
    「?!」
    「ああ、この書類はな…。」ウンヌンカンヌン
    (ち、近い!まつ毛長い!いいにおいする…!)
    「…となるわけだ。分かったか?」
    「は、はひ…。」

    みたいなことがセイアが居なくなる前に起こってそう

  • 28二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:39:06

    サオリが暴走する原因の「私が」の中には
    ミカのアリウスとの和解案をセイアたちが頑なに否定してた時に、セイアの否定の態度を諫めることが出来ていたならミカがあんな行動に出ることは無かったのに…
    的なこともありそう

  • 29二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:40:57

    >>27>>28

    アリウス時代の記憶を完全に思い出していれば

    和解賛成派で上手く取りなそうとしただろうに

    自分が…わたしが…わるい… って思い詰めて…

  • 30二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:41:59

    >>27

    付き人サオリとセイアセットの隠れファン多そう

  • 31二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:43:43

    >>29

    自分がアリウス出身だと判明してから「あっそっか自分があの時和解案に理解を示せてたら…」ってなるんだよね

  • 32二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 08:47:55

    >>27

    主従やサオリに憧れてティーパーティートリニティを護る正実に入った子もいそう

  • 33二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 15:07:22

    >>16

    たいてい立ち直りが前提だけどこういう半共依存的な関係すき

  • 34二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 15:43:03

    >>21

    「サオリちゃん、あなたもあの女と同じように私たちを排除するつもりなんですね…」

    「私とセイアちゃんのようにサオリちゃんと私の間にも友情があると思っていましたが…残念です」


    「……ナギサ様の企みからハナコたちを守ろうと思っていたが、信じてもらえないなら仕方がない」


    「セイアちゃんを守れなかったサオリさんに期待なんてしていませんよ」

    「それに今は先生もいますので、さようなら」


    「……そうか」


    こんな感じでいざこざはありそう

    そのうえ、ナギサの妨害もそこまで過激にはならなかった(少なくとも温泉開発部の建物爆破がなくなった)のは後々に気付くとかで

  • 35二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 15:50:31

    >>34

    行間を埋める描写良い……

    これはサオリ暴走後にハナコも来てほしくなるね、止めるのと謝罪したくて

  • 36二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 15:51:11

    >>34

    この後にまた今度はアズサ助命の仕込みじゃなくセイアを護れない蓄積ダメージ爆発が

  • 37二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 15:54:03

    >>24

    >>36

    この人は忍耐強いから…と思ってメンタルケア怠ると爆発するよくあるパターン

  • 38二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 16:02:41

    暴走中のサオリはこの顔になってそう

  • 39二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 16:05:43

    >>38

    ※キチゲ発散自暴自棄モード

    アリウスを…アリスクを…家族を…潰す

  • 40二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 20:53:12

    サオリはどのルートでも闇の住人になる運命なの?

  • 41二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 20:55:18

    責任感が強くて自分の不平不満を溜め込みがちだからね
    爆発したらそうなるよ

  • 42二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 22:06:17

    トリニティで1,2を争う脳破壊が似合う女浦和ハナコ

  • 43二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 22:10:26

    本性は誰よりもトリカスなのに自分は違うと思ってそうなのがハナコ
    自身の本性を自覚した時に真の脳破壊が決まるんだ

  • 44“貴方”のためのキリエ24/08/29(木) 23:39:14

    「浦和ハナコ……」
    「こんな時間にお散歩ですか?ミカさん」

    想定しうる最悪の人間に見つかってしまった。自分の銃を手にし、サオリを追いかけようとした時だった。
    苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるミカを、ハナコはどこか失望にも似たような目で見つめていた。

    「もしそうだったとして、アンタにそんな目で睨まれる覚えはないのだけど?」
    「えぇそうですね、ですが貴方が今置かれている状況と、今起こってる状況を考えれば、そうとも言えないんじゃありませんか?」
    「……セイアちゃんのことでしょ」
    「はい、そうです。それに貴方のことについてもです」
    「まさかアンタも私がやったって、魔女だって言いに来たの?」
    「そこまで私は愚かじゃありませんよ。ですが、だからこそ聞きたいんです。“貴方は何をしているんだ”と」

    ハナコの言い分もごもっとも、でも彼女は何も分かってない。こうなったらハナコに下手に言い訳したところで逃げられるわけがない。そう判断したミカはため息を吐いてハナコに説明した。

  • 45“貴方”のためのキリエ24/08/29(木) 23:39:46

    >>44

    「……サオリが」

    「えっ?」

    「多分、サオリはスクワッドのところへ行ったよ」

    「えっ…?」

    「仲間に入ると思った?違うよ、あいつらを消しに行ったんだよ……文字通りにね」

    「そんな……こと」

    「サオリのせいで妙に頭が冷えちゃってさ、今なら分かるよ」

    「何があったんですか…?」

    「私がアリウスにセイアちゃんの襲撃を依頼したあの日、襲撃を受けた姿とさっき部屋で倒れていた姿、その二つのセイアちゃんが重なったんだと思う」

    「……」

    「それだけじゃないよ、今までにサオリが受けてきた言葉、境遇、攻撃、それらが重なって重なって重なって……それが一気に爆発しちゃったってワケ」

    「それって……」


    ハナコは目を伏せる。無意識のうちに拳を強く握って爪が掌に食い込んでいた。


    「その顔は心当たりがあるって感じじゃない?」

    「そんな…ことは……」

    「嘘、顔に出てるよハナコ。アンタってそういう顔出来たんだね」


    補習授業部の実態を知った日、普段の飄々とした仮面を脱いでサオリを糾弾したあの日、彼女の実状をそれとなく理解しておきながらそれでも感情に身を委ねてしまったあの日、確実にそれがサオリを追い詰めることになった要因の一つであったと、ハナコは理解した。理解してしまったのだ。

    思わず口元を抑えて涙が滲み出てくる。そんなハナコの様子を指摘こそすれ馬鹿にするようなことはしなかった。何故なら自分もその要因であると理解しているから。

  • 46“貴方”のためのキリエ24/08/29(木) 23:40:16

    >>45

    「そ、それで……ミカさん、貴方はどうする気なんですか?」

    「サオリを止めに行く。アイツに“家族殺し”なんて業を背負わせるわけにはいかないでしょう?」

    「……」

    「こんな騒ぎになっちゃったからさ、私はもう戻れない。でもサオリはまだ何もやってない。まだ絶対に間に合うはずなの」

    「わ……私も」

    「もしかして一緒に行くとか言い出すつもり?やめておいた方がいいよ。足手纏いになるから」

    「そ……それでも、私はサオリちゃんに……謝らなきゃいけないんです」

    「素直に聞いて貰えるとは思えないけど?」

    「それでもです…!」

    「……今のサオリと対峙する覚悟はある?」

    「当たり前ですッ!」

    「…………早く準備しなよ。待ってるから」

    「…!」

    「ただし見つからないようにね。私とハナコが一緒にいるところを正義実現委員会にでも見られたら全部おじゃんなんだから」

    「はい…!」

  • 47二次元好きの匿名さん24/08/29(木) 23:40:50

    良き概念だったので急遽書きました

  • 48二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 00:25:45

    概念のss化ありがたい
    浦和フラワーが曇りながら前を向くのはいい

  • 49二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 08:22:57

    >>38

    実際はもっと狂気が発露してても前情報知らずに見たら性癖壊れそう

  • 50二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 11:06:14

    >>39

    お労しや 姉さん……

  • 51二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 11:07:00

    >>36

    時間差で二回ダメージ受けるのいいよね…良くない

  • 52二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 17:00:06

    >>51

    辛いですね…苦しいんですよね……

    晴れるまではいくらでも曇らせていい

    台風のようなもの

  • 53二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 17:20:48

    >>52

    同意~

  • 54二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 18:17:10

    >>33

    「サオリさん…」

    「ごめんなさい…。今までのことを許して貰おうとは思いませんが…あなたを誤解しておりました」

    「勝手なことだと分かってはいます、ですが、時々でもいいので一緒に居てはいただけませんか?」

    「あなたといると心が安らぐのです…」

    って翼も使ってサオリに抱きついてるナギサ?

  • 55二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 21:56:24

    この時空、サオリはセイアよりも先に実装されることがほぼ決まってるからそれをネタにした二次漫画とかイラストがめっちゃ渋とかTwitterに投稿されそう

  • 56二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 22:19:46

    この出来事があった後ならウラワフラワーはアヤネ(とアビドス)に酷いことしない……よな?

  • 57“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:31:36

    >>46

    「なっ…!?」

    「これは……」


    アリウス自治区へ通じるカタコンベ、その入口の一つのとある地下通路。

    ミカは以前共謀していたということもあり、アリウス生の集合場所や拠点、そして暗号等を記憶していたため、二人はこの道へ辿り着いた。

    そして、着いてまず目撃したのは戦闘の跡。多くの弾痕に破壊跡、そして辺りに転がっている大勢のアリウス生を見るに、そう少なくない戦力を持っての激しい戦闘が行われていたことは想像に難くない。


    「ハナコ、その子たちは?」

    「……ただ気絶しているだけのようですね」

    「それもそうか……」

    「……過剰な攻撃を受けた方もいますね。今のスクワッドが、いえ恐らく先生が、ここまでのことをするでしょうか?」

    「それは、この子に聞くことにするよ」


    ミカが一人の生徒を抱えている、辛うじてまだ意識のあるアリウス生だ。

  • 58“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:32:19

    >>57

    「お……お前は、聖園ミカ…?」

    「うん、ちょうどよく起きたね。で、時間がないからさ、ここで何があったか教えてもらえる?」

    「そ、そんな筋合い私には…」

    「時間がないって言ったよね?このまま二つ折りにされたくないでしょ?」

    「ッ…!?……分かったよ」

    「それで?何があったの?」

    「あれは……」


    それは、今から一時間程前……

  • 59“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:32:56

    >>58

    ミサキとヒヨリは攫われたアツコを助けたいと先生にコンタクトを取ってきた。

    もし自分たちを信じられないならと渡されたヘイロー破壊爆弾を捨て、先生はそれを快諾し、アリウス自治区へと出発した。

    そしてこの地下通路。経路が限られている以上待ち伏せされているのは当然のこと。先生の指揮の下での待ち伏せ部隊との戦闘の最中、“彼女”が突然襲い掛かってきたのだ。


    「ぐっ…アンタは………」

    「さ、サオリ姉さん…?」


    そこにいたのは、ティーパーティーの制服を脱ぎ捨て、持てるだけの武器や装備を身に着けた錠前サオリだった。


    「アリウススクワッド、お前たちは………ここで潰す」

    「えっ…!?」

    「チィッ!よりによってこのタイミングで……」


    黒い殺気。

    二人が感じ取ったそれに、何処か恐怖を覚える。

    本当に目の前にいるのは“あの”錠前サオリなのか…?と。

  • 60“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:33:57

    >>59

    「お前たちは言っていたな『全ては虚しい』と。分かるよ、今なら。あぁそうか……これが“そう”なんだな」

    “サオリ、待って!!”

    「先生…?」


    その殺気がぶつけられる瞬間、先生が飛び込んできた。

    何故サオリがこんなところにいるのか、何故サオリはこんな殺気を放っているのか、トリニティで何があったのかを把握できてない先生はただ困惑の表情を浮かべるしかなかった。


    “サオリ……どうしてこんな所に?”

    「先生こそ……どうしてコイツらなんかと……」


    「いたぞ!スクワッドだ!」

    「増援か……」

    「先生、時間がない!早く!」

    “さ、サオリは早くトリニティに戻って!話は後で聞くから!”


    カタコンベの入り口は間もなく閉まる。もう時間はない。

    本来ならもっとサオリと話し合うべきだっただろう、向き合うべきだっただろう。

    だが焦りが、それらを塗り潰す結果になってしまった。

    第二波のアリウス生、彼女らにサオリが目を向けた瞬間にミサキ、ヒヨリ、先生がカタコンベへと突入した。

  • 61“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:34:23

    >>60

    アリウス生がサオリを囲む。


    「お前は……確か百合園セイアの付き人の……そうだ、錠前サオリだ!」

    「錠前サオリ、どうしてアンタがここにいる?」

    「……」

    「お前は何だ?スクワッドとどういう関係―――」


    それを言ったアリウス生はサオリに顔面を掴まれ、地面に叩きつけられた。


    「…………ただの他人だよ」


    そしてそのままサオリは彼女を近くの壁へ投げ捨てた。


    「いや違うな……」

    「私の………切り捨てるべき過去だよ」

  • 62“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:34:46

    >>61

    そして現在


    「それで……あっという間に追加部隊が全滅して……なんなんだアイツは……」

    「でもどうしてサオリちゃんはこの場所を?」

    「待機部隊の一つが突然連絡取れなくなったのはもしかして……」

    「サオリは多分そこを襲撃したんだろうね」

    「じゃあサオリちゃんもカタコンベに?」

    「そうだろうね、なら急がないと」

    「いや、もう入口は閉まって……」

    「あっ、それなら大丈夫だと思いますよ」

    「えっ?」


    そうしてミカは既に閉じられた扉の前に立ち。


    「ふんッ!」


    その拳で扉を吹き飛ばした。


    「ば…バケモン……」

    「さ、行くよハナコ」

    「えぇ、行きましょう」

  • 63“貴方”のためのキリエ24/08/30(金) 23:35:12

    >>62

    「一定時間で構造が変わるカタコンベ……」

    「ウイちゃんに『復元』してもらった地図が無かったら迷いっぱなしだったかもね」

    「……」

    「ハナコ?」

    「ミカさん、貴方はどうするつもりなんですか?」

    「なんの話?」

    「サオリちゃんを止めて、スクワッドを助けて、その後の話です」

    「……何も考えてないよ」

    「嘘、貴方のその目は、いつものような直情的なそれとは違います」

    「……私に帰る場所なんてないから……さ」

    「もしかしたら……アリウス生のその“先”。そこにいる黒幕と……刺し違えてでも……」

    「そういう話は全部終わってからにしなよ」

    「……確かに…………そうですね」

  • 64二次元好きの匿名さん24/08/30(金) 23:38:27

    臨戦?サオリは原作のサオリのジャケットが無い感じをイメージしてます

  • 65二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 05:39:13

    サオリ壊れちゃった…

  • 66二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 08:11:16

    茶会サオリは原作サオリより元の戦闘力は控え目なんだけど
    原作サオリが4章時点でだいぶ消耗していて弱体化してるのに対して
    茶会サオリは暴走状態でタガが外れてる+良コンディションだろうから
    結果的に原作サオリよりも強くなってそう。手が付けられない

  • 67二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 08:31:59

    メンタルはやられていてもサオリだし自己管理はしっかりするだろうから体調自体はバッチリ、むしろ怒りバフで絶好調になってそう

  • 68二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 09:11:22

    過去を切り捨てるために今(ティーパーティーの制服)を脱ぎ捨ててるの辛い

  • 69二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 14:23:40

    ハナコってサオリと仲違いする前は一緒に紅茶を飲んでたりしたのかな

  • 70二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 15:13:33

    >>69

    セイアをホストに三人でお茶会してそう

  • 71二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 15:50:07

    >>70

    たまにミカやナギサも呼ぶ

    原作よりもティーパーティーとハナコが近くなってそう

    だからこそ裏切られたと思う気持ちが……

  • 72二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 16:02:04

    >>68

    過去も現在も未来もかなぐり捨てる

    全ては虚しい

  • 73二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 19:48:44

    復讐者みたいなメンタルになってるサオリ 違うんだ、そんな方法で過去を断ち切ってもお前は何も救われないんだ
    せめてベアトリーチェをぶっ飛ばs……違う違う、毅然と光の側から対処を重ねるんだ
    アリウスの闇を明らかにし、正義実現委員会を動かし、正当な裁きを以て過去にケジメをつけるんだ
    ティーパーティの一員、サンクトゥスの首長代理まで登り詰めたサオリならそれができるはずなんだ

    まあ当のサオリがそれに気づいてないからこそこんな地獄が顕現してるわけなんですが(白目)

  • 74二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 20:08:19

    >>73

    落ち着いて考えればわかるんだ

    落ち着くまでにアリウスと一度戦うね……

  • 75二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:24:53

    このレスは削除されています

  • 76“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:17:45

    >>63

    一方その頃、スクワッドと先生はアリウス自治区の侵入に成功していた。

    そこで遭遇したのは、大勢のミメシスと「先生の敵対者」を自称するゲマトリアの一人、ベアトリーチェだった。

    自らが崇高へ至るという目的、そしてその為に長年アリウス自治区を支配し洗脳にも似た教育を施してきたという真実。

    そのような現状に怒りを露わに先生に、ベアトリーチェはミメシスたちを差し向ける。

    先生の指揮の元、スクワッドはどうにかしてこれを退けた。

    そしてその直後、先生たちの前に現れたのは……


    「………また会ったな、先生…そしてスクワッド…!」

    “サオリ…!?”


    地下通路の時よりも更に強い復讐者としてのオーラを出しているサオリだった。


    「私がこんなところで止まるわけがないだろう…?」

    「こ、ここまで追ってきたんですか!?」

    「いい加減しつこいっての…!」

    「どうしましょう先生!?」

    “ぐっ…仕方ない”

    “とりあえず、サオリを制圧しよう”

    「良かった。ちょっとムカついてきたところだったから」


    「悲しいな……まさか先生を相手にするとはな……」

  • 77“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:18:19

    >>76

    激しい戦闘だった。先生とスクワッドが辛うじての勝利を収めた。

    ミサキとヒヨリの二人は消耗が激しい。それに対してサオリは怒りでタガが外れた状態だった。

    先生の指揮があったとはいえ、先にサオリが倒れてくれたのは運が良かったとしか言えない。


    「やっと制圧できた……」

    「う、うう……倒せたんでしょうか」


    「……痛いな……やはり先生がいると厄介か……」

    “サオリ……セイアは多分無事だよ”

    “だからトリニティに戻って……サオリを傷つけたくない”

    「セイア……」

    “うん……だからッ!”

    「ふふっ……はは……」

    “…?”

    「くくっ……あはははははははははははははははははははははははは!!!!!」


    サオリが突然、狂ったように笑いだした。

  • 78“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:19:09

    >>77

    「トリニティに戻る?それは無理だよ先生…!」

    「だって私は……どんな顔してセイアに会えばいいんだよ!」

    「私は守れなかったッ!セイアをッ!それも二度もだッ!!」

    “………”

    「やっぱり無理なんだよ……私がアリウスである限り!」

    「私がどんな道を進もうと!例え私が前を歩こうと!」

    「過去が……いつまでもどこまでも私に襲い掛かってくるんだ!!!」


    焦点の合わない、狂気を孕んだ目、そして吐き出される怒り。その場にいる全員が言葉を失っていた。


    「私はここから始まったんだな……」

    「先生も見ただろう…?このアリウス自治区の実態を、あのベアトリーチェとかいう大人を」

    「もし私が記憶を失わずにずっとアリウスにいたとして……きっとあの大人の手によって私はテロリストの仲間入りしていたことだろうな…!傷つけ、恐怖へ陥れたアイツらと同じようになっていただろうな…!」

    「そんな私はきっと先生にも……セイアにも銃口を向けていたんだろうな……」

    「は、はは……はははははははは!!!」

    「なんてことだ……なんてケッサクなんだッ!!」

    “サオリ……”

    「所詮はその程度だったんだ!私の人生なんてものは!!」

    「虚しいなッ!虚しい虚しい虚しい虚しい虚しい虚しい虚しい虚しい!!!!」

    「こんなことならッ!どの道私がロクな目に遭わないというのならッ!!」

    「いっそ……私なんて死―――」

  • 79“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:19:54

    >>78

    “サオリッ!!!”

    「ッ…!?」


    サオリの独白を、先生が一喝して止めた。


    “それ以上は駄目だ…!”

    “それ以上はセイアの想いを……願いを……踏みにじることになる!”

    「……」


    先生の叫びで、サオリの動きは止まった。

    そしてぐったりと項垂れる。


    「……なら、どうすれば良かったんだ……」

    「わ……私は自分が……自分が分からないんだ」

    「何をしたいのか……何を成せばいいのか……」

    「う…うう……」


    「サオリ姉さん……急に笑ったかと思ったら今度は泣いてます。だ、大丈夫なんでしょうか?」

    「大丈夫だったらああはなってないでしょうが」


    誰の目にも分かる情緒不安定さ。少しばかり涙を流した後、サオリはそうして先生たちに背を向けてフラフラと歩きだした。


    「先生……私を止めないでくれ」

    「でないと私が……私じゃない何かになってしまうから……」

    “サオリ!”

  • 80“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:20:21

    >>79

    「い、行ってしまいました……?」

    「一体なんなの……」

    “サオリ……君はそこまで……”

    “もしかしたら……仕方のないことなのかもしれないね……”

    「先生?」

    「で、どうするの先生?あの調子だとまた追いかけてきそうだけど……このままバシリカに突入するのは少し危険じゃない?」

    「アリウスに聖徒会……更にサオリ姉さんまで……相手しきれませんよ」

    “……行こう、このままバシリカまで……時間がない”

    「は、はい」

    「仕方ない、か」


    (サオリ……)


    三人は、そのままバシリカへ向かう。

    もう戻ることは許されないのだから。

  • 81“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:20:55

    >>80

    バシリカへ行くために旧校舎地下の回廊を通る三人は、今後の作戦の為にと話しあっていた。


    「ここはバシリカまで一直線に繋がっている。でもまぁ、ここはだいぶ危険な地帯だろうね」

    “待ち伏せってこと?だけど一直線ならむしろ……”

    「いや、姉さん……錠前サオリの話」

    “サオリの……”

    「私が彼女ならどうするのか……考えたの」

    「彼女にとって一番の障害は多分、先生の存在。怪我もさせたくもないし、先生の指揮も厄介だろうから」

    「ならきっと……」


    そんな話をしていた矢先であった。


    コツン・・・コツン・・・


    ゆっくりとした足音が此方に近づいてくるのを全員が感じとった。

    サオリだ。

  • 82“貴方”のためのキリエ24/09/01(日) 00:21:29

    >>81

    「……随分早かったじゃない」

    「あぁ、思う存分泣いたらだいぶスッキリしたからな」

    「どうなってんのよアンタは本当に……」


    そしてサオリは武器を構え、照準を三人……ではなく柱に合わせた。

    柱を壊して分断させるつもりなのだと、即座に理解した。


    「先生!早く逃げて!」

    “くっ…!”

    「もう遅い」


    トリガーにサオリの指が掛けられた。

    その次の瞬間だった。


    「待って!!!」


    突然、サオリの後方から叫び声が聞こえてきた。


    「お前ら…は」

    “ハナコに……ミカ!?いったいどうしてここに!?”

    「いやぁ~ごめんね先生☆」

    「すいません先生……私たちは……」

    「うん私たちは」


    「サオリを止めに来たんだ」

  • 83二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 00:21:52

    次回、激突

  • 84二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 07:21:51

    毎日更新助かる
    アズサが来てない代わりにハナコとミカが来てる

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 09:27:05

    お労しや姉上
    暴走してない時のサオリはもっと輝いていたぞ!曇ってたけど

  • 86二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 09:38:13

    このルートでも虚しさに至るサオリ
    悲しいなぁ

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 10:09:44

    見て!
    これが過去に追いつかれて数カ月心労を溜め続けた鬱憤発散している姿だよ!かわいいね!
    お労しやサオリ姉さん…

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 13:58:57

    心の穴に虚しさを詰め込んでる…

  • 89二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 17:50:40

    全ては虚しいだけだ……

  • 90二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:05:25

    (ᓀ‸ᓂ)「たとえ全てが虚しいものだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない」

    (山のような書類仕事が目に入る)

    (‘ᓀ‸ᓂ`)「…書類仕事はその限りではない」

  • 91二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:10:43

    真面目にやろうとしてもトリニティのサオリとアリウスアズサじゃ効率が違いそう。だから向いてる力仕事か名目上の護衛を任せて好きにさせるんですね。

  • 92二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:18:17

    原作開始前のサンクトゥス首席行政官時代はサオリは、セイアは病弱だし拾われた恩もあるだろうしで護衛も兼任していそう
    …もしかして新興アリウス派は首長が最強とかいうことになる?

  • 93二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:20:26

    >>91

    それでもサオリは後任は育てるのは必須だし、アズサに最低限の書類仕事は振ってそう

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:22:23

    >>92

    ティーパーティー派閥の長で強者だとミカという前例があるな

    流石に武力はミカ以下だろうけど個人では充分

    さらに戦闘に長けたアリウス生徒を擁するようになる


    危険視されないよう友好的にいこうね…

  • 95二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 20:47:44

    >>94

    組織的には滅茶苦茶若いし規模も他派閥に比べて小規模だけど戦力だけは同等、下手すると上回りかねないのがな…

    内務だけじゃなく他派閥との交渉や擦り合わせも腰を据えてしっかりやらなきゃなさそうだ

    がんばれサオリ

  • 96二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 22:46:37

    アズサは「サオリ、次の仕事はなんだ?」ってサオリの周りをぴょこぴょこしてそう
    それを見てセイアが「ふふっ、まるで昔の君みたいだね」って揶揄う

  • 97二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:05:58

    シスターセイアですまないね

  • 98二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:30:59

    >>82

    「ハナコ……ミカ……」

    “ど…どうして二人がここに!?”

    「先生の気持ちも分かるよ……でも、サオリのあんな姿見たら、いてもたってもいられなくてね……抜け出してきちゃった☆」

    「私も同じです。サオリちゃんを止めたい、ただそれだけなんです」


    サオリが激情に支配されるその瞬間を見たミカが、過去にサオリと出来てしまった溝を清算したいハナコが、暴走し虚しさに囚われたサオリを止める為にトリニティから走り続けた二人が……


    ここでようやく間に合った。


    「お前ら……」

    「サオリさぁ……随分派手にやってるじゃん」

    「サオリちゃん!私たちは貴方を…!」

    「止める…か、笑わせる」

    「鏡見たら?そんな無様晒して……その方が笑えるじゃんね」

    「このッ……」

  • 99二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:31:28

    >>98

    “二人とも……”

    「先生は先に行っててよ…………あとスクワッドも」

    「聖園ミカ……」

    「別にさ、私はアンタらのことはどうでもいいの。むしろあんなになってなかったら、私がサオリの立ち位置にいたのかもね」

    「え、えぇ…!?」

    「だけどここでアンタら死んだら、サオリはもう戻ってこられなくなる」

    「だから私たちを救うと?」

    「そんな高尚なもんじゃないよ。ただ単純に………胸糞悪いでしょ?」

    「……」

    「それに私たちはサオリちゃんと話がしたいんです!……というよりは」

    「だから……ここは任せてよ!」

    “……”

    “行こう。ミサキ、ヒヨリ”

    「いいんですか…?」

    「はぁ……どいつもこいつもめんどくさい女ばっか……行くよヒヨリ」

    「は、はい!」

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:31:54

    >>99

    先生とスクワッドがアツコの元へ急ぐ。

    そしてそれを見送った後、ミカとハナコはサオリに向き合った。


    「それじゃあ私たちも始めようか」

    「お前ら……そこをどけッ!!」

    「その目つき……まるで獣だね。いや、脳みそある分よっぽど厄介か」

    「サオリちゃん……」

    「黙れ」

    「いいえ、黙りません!」

    「黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!」


    激情に囚われたサオリから発せられる圧力、狂気、覇気、それらを二人は全身で受けた。

    心のどこかで恐怖に竦む自分がいる。

    だがそれでも戦わなければいけない。

    サオリを引き戻すため、

    サオリを救うため、


    そしてなにより―――

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:32:26

    >>100

    「ハナコ、いける?」

    「アズサちゃんにもっと戦闘技術教わっておけばと後悔してますよ」

    「ふふっ、この状況でそんなこと言えるんなら充分だよ」

    「お前たちも邪魔をするのか……私は……過去だけじゃなくて、今さえも足を引っ張られるのか…!!!」

    「サオリちゃん……」

    「それにしても……なるようになるんだねぇサオリ……流石はアリウスってところ?」

    「ッ…!ミカァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」


    激昂したサオリの拳がミカの顔面に飛んでくる。


    「ぐあッ……」

    「ミカさん!!」


    ミカの体は数メートル先まで吹っ飛んだ。

    避けない。防御すらしない。

    その拳を自分へのケジメとして受け入れた。


    「うん、いいよ……一発だけはちゃんと食らってあげるよ」

    「うううう………あああああああああああああああああああああああ!!!!!」




    「来なよサオリ、倒すべき“魔女”はここにいるよ」

    「安心して。アンタのその怒りを、悲しみを、苦しみを、私たちが受け止めるから…!」

  • 102二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:33:02

    短めだけど今回はここまで

  • 103二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:34:42

    アリウス呼びが会心をついた

  • 104二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:35:37

    まさにvsミカの時と反転した構図になってる…セイア、アズサ、復活して来てくれ

  • 105二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:36:24

    次回が楽しみないいところで切るなあ

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 00:51:30

    良いSSのおかげでバッドエンド√のスチルとかその原因が想像出来ちゃうな

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 08:09:28

    自分にはもう何も残ってない(と思い込んでいる)同士の死闘、は~じま~るよ!

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 10:09:52

    >>106

    短編バドエンifも見たくなる

  • 109二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 13:45:35

    >>96

    かわいい…

  • 110二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 13:48:06

    女の子が感情むき出しで殴り合ってるのはいいよね(性癖)

  • 111二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 18:02:24

    ここのサオリ、拾われた当初にケーキとか食って目を丸くしてそう

    「?!?!?!…あま…!ふわふわ…!」
    「ふふ、ケーキが気に入ったようだね、ゆっくりお食べ」
    「けーき…おさとうよりおいしい…!!」

  • 112二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 18:14:15

    >>111

    目を輝かせて頬張るサオリと優しい目で眺めるセイア

    これは思い出に焼き付きますわ

  • 113二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 18:18:31

    >>111

    記憶を失って拾われて

    色々と周囲を知覚して身体を清めて落ち着いて初めに食べたケーキの味を

    月日が経とうとも忘れることはないサオリ…

  • 114二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 18:47:14

    >>111

    これはセラピーセイア

    積み重ねて大切な家族になっていた

    だからこそ倒れた時に暴走の引き金に…

  • 115二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 19:03:47

    どうして平和な描写が出る度に地獄度が増すんでしょうか

  • 116二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 19:15:59

    >>115

    地獄(後に晴れる)前提で楽しい過去を盛るペコ

  • 117二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 19:18:08

    セイアが予知夢の未来に関して諦めるようになる前は、悪い未来を回避するためにセイアの指示で東奔西走してたんだろうな

  • 118二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 20:20:03

    >>111

    この幼児サオリかわいいな…

  • 119二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 21:05:59

    >>118

    この可愛い幼女が、将来的には高身長イケメン美女になるとは…

    読めなかった あのセイアの予知能力をもってしても‼

  • 120二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 21:13:16

    アリウスから保護された時と身長逆転するやつ

  • 121二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 22:57:07

    この世界線のサオリ、時間があればシスターフッドでお祈りしてそう
    セイアの体を気遣ってだとか、助けられたことに対してとかで

  • 122二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:01:13

    匿ってくれた救護騎士団にも滅茶苦茶感謝してそう

  • 123“貴方”のためのキリエ24/09/02(月) 23:31:10

    >>101

    私は自分が嫌いだ。

    向こう見ずで直情的な自分が、

    追い詰められたらすぐ他人のせいにしてしまう自分が、

    そうやって感情のままに動いて、それで大切な誰かが傷ついて、

    それで後から後悔して、

    あぁ、なんて愚かなんだろう。


    私は自分が嫌いだ。

    才能“だけ”は人一番ある自分が

    トリニティが嫌いな癖に誰よりもトリニティに相応しい自分が、

    そうやって逃げ続けて、かと思ったら時々ムッとなって毒を吐いて、

    それで後から後悔して、

    あぁ、なんて愚かなんだろう。


    私は自分が嫌いだ。

    何も知らかった馬鹿な自分が

    自分が何なのか知りたかったくせに知った途端に癇癪を起こした自分が、

    そうやって目を逸らして、鬱憤も怒りも溜め続けて、

    それで後から後悔して、

    あぁ、なんて愚かなんだろう。


    誰か、どうか誰か私を―――

  • 124“貴方”のためのキリエ24/09/02(月) 23:31:49

    >>123

    「ハナコ、足元に手榴弾!」

    「くっ…!」

    「起爆する前に思い切り蹴って!」

    「このッ…!」


    足元に転がってきた手榴弾を、ハナコはサオリに向かって蹴って送り返す。

    起爆。

    サオリの目の前で爆発したそれは、明らかに普通の手榴弾のそれとはケタ違いの爆風を伴っていた。


    「うっ……これはっ……」

    「この爆発の感じ……まさかサーモバリック!?どうしてサオリちゃんがそんな物を!?」

    「正義実現委員会の保管庫から持ってきたとか?それか道中のアリウスの奴らから奪ったりしてね」

    「いずれにせよ、こんなのマトモに食らったら……」


    そう、いくら銃弾や爆発へ耐性を持つキヴォトス人であったとしても、この威力の爆発を食らってしまったらただでは済まない。

    そのハズだった。


    「ッ!ア゛ァァァァァァァァァァァ!!!!」

    「なっ…嘘でしょ!?……もうッ!」


    爆風を掻き分け、猛烈なスピードでサオリが向かってくる。

    そして蹴りを放つ。その軌道はミカの首筋を捉えている。

    すかさずミカも蹴りを入れ、二人の足が激突する。


    「くっ…かったぁ……何?ズボンの下に合金でも仕込んでんの!?」

    「うぅぅぅぅ……ミカァァ……」

    (サオリ……アンタこんなに強かったっけ?)

  • 125“貴方”のためのキリエ24/09/02(月) 23:32:31

    >>124

    聖園ミカと錠前サオリが戦ったらどちらが強いのか?

    そのような問いを投げかけたとき、ほとんどの人間がミカと答えるだろう。この二人をよく知る人間なら尚更だ。

    無論、戦場の状態、コンディション、勝利条件、それによっても状況が変わることは百も承知だ。

    だがそれを含めたとしてもこの評価が変わることはほとんどないと言える。

    ミカの才能は本物だ、そのパワーが、その神秘が、他の者のそれとは一線を画す。

    同じトリニティ内でも正義実現委員会のツルギや救護騎士団のミネと並ぶ程の武力を持っている。

    ミカに同行しているハナコも無視できない。

    彼女は基本的に非戦闘員でサポーターの側面が大きい。戦闘力にしても一般生徒に毛が生えた程度だ。

    だが、彼女の知性や知識はキヴォトス全土に広げても上位レベルと言ってもいい。おまけにミカによるナギサ襲撃事件やエデン条約調印式事件という修羅場を乗り越えてきたという経験もある。

    この二人が組むということはそういうことだ。よほどの事がない限り、勝ち目は薄いと言っても過言ではないだろう。


    だがもしも、

    その“よほどの事”が起こっているのだとしたら?

  • 126“貴方”のためのキリエ24/09/02(月) 23:33:00

    >>125

    「サオリちゃん!止まって下さい!」

    「黙れッ……私の憎しみを、虚しさを理解できないくせにッ……」

    「このッ!」


    不意打ちで撃ったはずのミカの銃弾を最低限の動きで回避し、そのままフラッシュバンを投げて目くらましをする。強い光で怯んだ隙に、的確に二人に銃撃を浴びせる。

    接近戦を仕掛けようとしても綺麗にカウンターを食らう。

    ハナコは兎も角、いくら耐久力の高いミカであっても、断続的な攻撃でダメージが蓄積され続けられれば、戦況が不利になっていくのは明白だろう。

    そう、この二人に勝る物があるとすれば、それは技術だ。

    セイアの護衛として、セイアを守るために長い間それを磨き続けた。どんな状況でも冷静にそして的確に敵へ対処できるようにと。

    更に言えば、今のサオリは激情に駆られている。怒りによって外れたリミッターは、ミカとの間に空いた肉体的優位を埋めるには充分すぎる程だ。

  • 127“貴方”のためのキリエ24/09/02(月) 23:33:50

    >>126

    「ハァ…ハァ…ミカさんこれ……」

    「でも負けてらんないのよこっちも……」


    サオリがミカに向かって手榴弾を投げる。形からして先程のサーモバリック爆弾だ。

    体を反ってこれを避ける。だがそれがサオリの狙いだった。

    この手榴弾のピンを、サオリは抜いていない。

    意識と視線を手榴弾に向けた後に待っていたのは……


    「えっ……」


    ナイフだ。その切っ先はミカの喉元を向いていた。

    刺される。これは回避できない。


    「ミカさんッ!!」


    ハナコがミカを突き飛ばした。


    「ハナ……コ?」


    そしてナイフが、









    ハナコへと刺さった。

  • 128二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:34:27

    次回、決着

  • 129二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:35:22

    人間なら即死だった…

  • 130二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:36:04

    サ、サーモバリックを持ち出してる…!??

    殺意が止まらない→…止まった……

  • 131二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:36:36

    言葉のナイフで滅多刺しにしたからこれでチャラに

  • 132二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:44:13

    まだまだ書きたいシーンがあるので、もしかしたらこのスレパート3まで行くかも?とだけ
    もしこのスレ埋まったら申し訳ないがお願いします

  • 133二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:45:42

    素晴らしい 書きたいことはなんぼあってもいいですからね

  • 134二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:56:51

    >>131

    ハナコのレス…か微妙

  • 135二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 23:59:22

    ちゃんと勇気を出せたなハナコ
    勢い的に多分ナイフ深く刺さっただろうけど

  • 136二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 00:04:13

    爆弾銃器に対しては生徒の耐久が高くて感謝
    刃物はモブでもヒナを切れるくらい耐性低かった記憶も

  • 137二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 08:05:44

    「セイア様、そのケーキは一体…?」
    「これかい?君の誕生日の為に用意した物だよ」
    「……誕生日?」
    「そうか…やはり君には色々と知ってもらう必要があるね」
    「いいかい?誕生日というのはね──」

  • 138二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 08:41:50

    >>137

    百合園家に保護されてから丁度一年くらいの出来事かな?

    敬語もしっかりできるようになっててグッド

  • 139二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 10:28:50

    >>137

    生まれてくれてありがとう↔歪んだばにたすの対義語

  • 140二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 12:17:24

    うーん誰も悪くないがゆえの地獄

  • 141二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 15:39:18

    >>137 続きみたいなもの

    「…失礼します」


    各分派の首長を務める3人がいるテラスへとやってきたサオリは、ミカからクラッカーを浴びせられる。


    「「「おめでとう(ございます)!」」」

    「あ、ありがとうございます…//」

    「サオリ、君はお化粧が好きだっただろう?これは私たちからのプレゼントだ」


    セイアからはサミュエラ「ザ・ビヨンド」を

    ミカからはサオリの色に合わせたマニキュアを

    ナギサからはチェリーローズカラーのグロスに加えて彼女の選んだ紅茶を

    3人からのプレゼントにサオリは涙を流していた。


    「もー、せっかくの主役が台無しじゃん!こっち来てよ。私が綺麗にしてあげるからさ」


    ———


    「どうでしょうか…?」

    「よく似合っているよ、サオリ」

    「ええ、サオリさんらしい優しい姿ですね」

    「ふふんっ、さすが私⭐︎」

    「君が威張ってどうする…」


    「で、では、写真を撮りますよっ!!」


    ティーパーティーの1人の少女が声を掛けると、4人は中央に寄り、カメラに向けて笑顔を見せたのであった。

  • 142二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 15:41:48

    SS乙
    エデンはここにあった…

  • 143二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 15:47:57

    >>141

    HAPPY END…

  • 144二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 15:58:06

    幸せ描写は健康にいい…
    それじゃあそこに至るまでのシリアスはもうちょっと続けるね……

  • 145二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 16:07:12

    >>143

    エンドというよりむしろ前日譚では?

    ハナコは訝しんだ

  • 146二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 19:33:41

    >>145

    うぐ

    刺されたのに元気そうで良かった…

  • 147二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 19:51:44

    今日はサオリの誕生日なのか
    おめでたい

  • 148二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 22:25:04

    >>141

    こういう思い出があるから現在が捻じれて歪んでもまだ諦められないのかな、いいよね

  • 149“貴方”のためのキリエ24/09/03(火) 23:46:29

    >>127

    「ぐっ……あっ……」


    サオリの放った怒りが、悲しみが、ナイフという形を持ってハナコに突き刺さる。

    その一撃を受けたのは彼女の肩。

    急所を外したとはいえ、その刃は深々と入り込んでいた。


    「ハナコ!!」

    「大丈夫です……だい……じょうぶ……です!……う、うぅ……」


    全身から汗が噴き出す。あまりの痛みに顔が歪む。

    少しでも気を抜けば意識を手放してしまいそうな苦痛がハナコを襲う。

    だがそれでも、彼女は立ち続ける。


    「ぐっ…!?」

    「やっと……やっと、捕まえましたよサオリ…ちゃん!」


    ナイフを持つサオリの腕を掴み、足を踏みつける。

    今出せる最大限の力を振り絞ってサオリの動きを封じた。

    だがサオリも黙って捕まるほどヤワではない。

    全身を使って必死に抵抗する。空いた腕でハナコを引き剥がそうともした。

    その度にハナコに刺さったナイフは、グチャグチャと嫌な音を立てながら傷口を掻きまわしていく。

    その度に血が溢れる。制服が赤く染まる。汗と血が混ざった液体が床に落ちて小さな水溜まりを形成していく。

  • 150“貴方”のためのキリエ24/09/03(火) 23:47:03

    >>149

    「あぁもう何やってんのよハナコ!」

    「来ないでくださいミカさん!!」

    「なっ!?」


    助ける為に駆け寄ろうとするミカを、ハナコは引き留めた。


    「これは……私への罰です。私が受けるべき痛みです…!」

    「ハナコ……」

    「私はサオリちゃんの心を裏切ったんです。ただ感情的に、その場の勢いで、つい口に出してしまったんです!」

    「……」

    「何が才女ですか!何が才媛ですか!大事な友人の心を壊してしまった私の……いったいどこが優秀だって言うんですか!!!」

    「どれだけテストの点が良くっても!どれだけ知識を有していても!それで誰かを傷つけてしまっては何も意味がないんです!!」


    ハナコの目から涙が溢れる。肉体の苦痛なんかよりも、精神の苦痛の方がよっぽど苦しい。

    だからハナコは叫ぶ。仮面は被らない。正直に、誠実に、心の底から湧き出す言葉をサオリに投げつける。


    「ずっと……ずっと……私は貴方に謝りたかった……本当ならもっと早くこうするべきだったのに……なぁなぁで済ませては絶対にいけなかったのに……」

    「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……貴方に酷いことを言って……貴方を傷つけて……許して貰えるなんて思っていません……それでも…!」

    「友達だから……もう少しだけ貴方と友達でいて欲しいから……」

    「だからッ!!!!!」

  • 151“貴方”のためのキリエ24/09/03(火) 23:47:30

    >>150

    ハナコは自分の銃口をサオリの腹部に押し当てた。

    そして……


    「私は貴方を……全力を持って止めるッ!!!」


    トリガーを引く。

    何度も、何度も、何度も、何度も、

    撃って、撃って、撃って、撃って、


    「ミカさん!貴方も今の内に撃ってください!!」

    「えっ…う、うん!」


    ハナコに動きを封じられたまま、サオリは二人から銃弾を食らい続ける。

    逃がさないと、サオリの腕を握る力を更に強めて。


    「ぐっ…あああああああああああああああああ!!!」

    「これでッ!終わりッ!……終われッ!!」


    そうやって撃ち続けて数十秒。


    「あっ……うっ……」


    ナイフを持つ手が離れる。力が抜けていって、膝から崩れ落ちる。

    サオリはとうとう、その動きを止めた。

  • 152“貴方”のためのキリエ24/09/03(火) 23:49:17

    >>151

    「終わっ……た?」

    「おっと、危ないよハナコ」

    「あ、ありがとうございますミカさん……」


    同じように力が抜けて倒れ掛かるハナコを支えてからゆっくり座らせる。


    「……痛いでしょ?」

    「えぇ、今にも気絶しそうなくらいには」

    「まだナイフは抜いたら駄目。死ぬよ」

    「分かって…ます」

    「ならいいよ。もうちょっとだけ我慢して。だから少しだけ休みな?」

    「そうさせて……もらい…ます」


    そう言ってハナコは気を失った。

    ミカはサオリの前に立つ。今度は彼女の番だ。


    「サオリ……私もアンタに良いたいことがあるの」

    「だからよく聞いて…って無理か。うん、でもいい。独り言ってことにする」

    「……私はね、サオリ。アンタの苦しみはなんとなく分かるよ」

    「勿論全部じゃない。全てを理解するなんて誰にも出来ないことだから」

    「…………私とサオリはさ、似た物同士だよ」

    「苦しかったでしょ?悲しかったでしょ?憎かったでしょ?……痛かったでしょ?」

    「自分じゃどうしようもなくなって、感情を抑えきれなくなって、爆発しちゃったんでしょ?」

    「もっと、素直になりたかったでしょ?もっと、自分の気持ちを分かって欲しかったでしょ?」

    「誰かの幸せを願っていて、心の底では……」

    「赤の他人よりも、大切な人よりも、なによりも………」

    「自分自身が、救われたいって思ったんでしょ?」


    「…………分かるよ」

  • 153“貴方”のためのキリエ24/09/03(火) 23:49:39

    >>152

    暴走したサオリとの戦いは、こうして終わりを迎えた。

    ようやく訪れた静寂の中で、ミカはゆっくりと息を吐く。


    「こっちは終わったけど……まだ先生たちが戦っているよね」

    「うん……それじゃあ行かないと、かな」

    「怒られちゃうかな、先生に。なんて言われるかなぁ。はぁ…なんかイヤだなぁ……」

    「でも、この二人をここに置いておくわけにもいかないからね」

    「よっと……」


    サオリとハナコを優しく担ぎ上げる。特に傷が広がらないようにハナコは特に気を使って。


    「な~んか、段々恥ずかしくなっちゃった」

    「だって仕方ないよね。あのハナコがああまで言うなんてさ」

    「あっ、そうだ。サオリにこれ言うの忘れてたね」




    「…………ごめんね」

  • 154二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:50:33

    これ書いてる途中で今日がサオリの誕生日だって気づきました。
    おめでとうサオリ!

  • 155二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:52:21

    目が覚めたら謝ろうなサオリ、ミカとハナコと仲直りしよう

  • 156二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 23:57:32

    >>150

    >>どれだけテストの点が良くっても!どれだけ知識を有していても!それで誰かを傷つけてしまっては何も意味がないんです!!

    友達だから……もう少しだけ貴方と友達でいて欲しいから……


    言えたじゃねえか……

  • 157二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 00:05:15

    そういえばまだハナコにナイフ刺さったままだね
    まぁ何も考えずに抜いたら多分出血多量で死ぬけど

  • 158二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 00:06:23

    >>156

    二年程度の付き合いでも友情はしっかりあったんだよ

  • 159二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 00:18:09

    もう少しだけと言わず永遠に友達でいろ

  • 160二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 08:56:19

    自我を失っていたとはいえ、責任が増えちゃったね…

  • 161二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 14:26:02

    ハナコが感情を見せる姿は健康にいい

  • 162二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 21:23:32

    >>161

    普段はお淑やかか変態だから年相応の時はよい…

  • 163二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:06:10

    >>96

    「―――というわけでして、サンクトゥス派の協力を得られないかと。」

    「成程…。うん、他ならぬ君の頼みだ、構わないよ。」

    「感謝します。それではその方向で進めて…」

    「失礼する。」

    「!」

    「?!ど、どうしたんだアズサ、突然入ってきて。」

    「驚かせてすまない、頼まれていた業務をすべて終わらせてしまった。次の仕事を手配してくれないか。」

    「そ、そうか…。…もう少ししたらハナコが手伝いに来てくれる手筈になっている。業務については彼女に聞いてくれ。それまでは待機だ。」

    「了解した。」

    「…それとアズサ、今後緊急の要件でない場合会談の場に許可無く入ってくるな。今回はセイア様だから良かったが他派閥だった場合、我々アリウス派の立場が危うくなる可能性がある。特に歌住サクラコ率いるシスターフッドの場合は最悪即日潰されることも考えられる。分かったか?」

    「む…分かった。」

    「それに以前も言ったが公共の場では私を呼ぶときは様付けと敬語を徹底しろ。お前が私を軽んじている訳ではないのは分かるが、皆がそれを理解しているとは限らない。気をつけろ。」

    「す、すまない…。」

    「すみません、だ。」

    「…すみません。」

  • 164二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:06:37

    >>163

    「あと」

    「サオリ。」

    「!…なんでしょうか、セイア様。」

    「…そう長々と話していては紅茶が冷めてしまうよ?」チラッ

    「…。」シュン

    「!…そう、ですね。少々話過ぎてしまったようですね。…アズサ。」

    「…はい。」

    「最後になるが…、よくやってくれた。」

    「…!」

    「まだ確認があるから何とも言えないが、この短時間であの量の業務を終わらせるとは思ってなかった。…成長したなアズサ。」

    「…本当か?私はサオリの役に立てているか?」

    「勿論、いつも助かっているとも。」

    「~~~~ッ!やった…!」

    「ゴホン…それではアズサ行政官、私はまだしばらくセイア様と会談の予定だ。先程言った通りハナコが来るまでは執務室で待機していてくれ。」

    「りょうか…承知しました、失礼致します。」

  • 165二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:07:36

    >>164

    「…行ったかな?」

    「はい、そのようですね。...申し訳ございませんセイア様、見苦しいものをお見せしてしまって。」

    「なに、あの程度構わないさ。しかし、失態とはいえ部下を見苦しいと言うのは感心しないな。」

    「あ、いえ。アズサではなく、彼女に取ってしまった私の態度について、見苦しいと申し上げたのです。」

    「!…ほう。」

    「改めて考えますと、この場で説教めいたことを言う必要はなかったかもしれません。どうにもアズサに対して厳しく当たってしまいます。」

    「それほど彼女に期待を寄せているという事だろう?良い事じゃないか。彼女が育てばアリウス派は安泰だな。」

    「恐れ入ります。」

    「しかし、白洲アズサか…。ふふっ、かわいらしいじゃないか。まるで昔の君を見ているようだよ。」

    「セ、セイア様…!///」


    書きたいところだけ書いた

    後悔はしてない

  • 166二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:10:51

    >>163

    >>

    特に歌住サクラコ率いるシスターフッドの場合は最悪即日潰されることも考えられる。分かったか?


    そんなことはしません…しないはずです…!

  • 167二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:10:59

    概念を文章にして膨らませてくれるのありがたい…

  • 168二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:12:05

    >>166

    ユスティナの逸話から警戒してそう

    実際は裏で助けてたっぽいけど


    あとサクラコ様の雰囲気

  • 169二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:12:09
  • 170二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:13:44

    良い未来を幻視できて嬉しい…

  • 171二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:15:23

    犬っ子みたいなアズサが可愛い
    尻尾振ってるのが見える

  • 172二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:29:47

    >>166

    「アリウスの件で『お話』があるのですが…『お時間』頂けますか?」とか言われたのかもしれない

  • 173二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:40:04

    救護やサンクトゥスはともかくフィリウスやパテルの方がヤバいと思うんだけどなぁ……(アズサの態度云々)
    純粋なサオリとアズサのやり取りが微笑ましいフォックスはいる

  • 174二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:45:24

    Q.アリウス自治区制圧の時は助けてくれたのに、何故そこまでサクラコ様とシスターフッドを警戒しているのですか?

    A.確かにあの時は助けられはしたが、組織がユスティナの後継である事とサクラコ本人の雰囲気と胡散臭さが主な要因だ。特にアリウス派を起こした数日後に護衛も連れずに現れ「これからは同じく『古傷』のある組織同士、『仲良く』していきましょう。アリウス派首長、錠前サオリさん。」言い放ち、と握手を求められたときは柄にもなくゾッとしたものだ。

  • 175二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:48:28

    一人で現れたのも誠意と信頼の証なのに!
    雰囲気のせいで何か裏があるようにしか思えない!

  • 176二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:49:48

    アリウス派にいるならだけどアツコがサッちゃんに適当吹き込みそう(小声)

  • 177二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:50:30

    >>174

    黒幕みたいなムーヴしやがって...

  • 178二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:51:20

    ↓苦悶の表情を浮かべるサクラコ様

  • 179二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 22:52:35

    ↑「誤解」を解こうとするサクラコ様

  • 180二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:23:26

    ↓苦悶ゆえに溢れる「暗黒オーラ」により「誤解」が加速するサクラコ様

  • 181二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:23:52

    このレスは削除されています

  • 182二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:25:55

    >>164

    アズサかわいい…

  • 183“貴方”のためのキリエ24/09/04(水) 23:35:25

    >>153

    間違いばかりの人生だ。


    本当はどうするのかが正解なのだと分かっているくせに、

    今やっていることが何の解決にもならないと分かっているくせに、

    それでも私は現実から目を逸らし続けた。


    アリウスとの和解。

    最初にミカが言い出したことが、結局今起こっている問題を解決するための最善策だった。

    あの日あの時、彼女がそう言い出した言葉をセイアの傍で聞いていたはずなのに、

    それでも私は、何を馬鹿なことを言っているのだと聞き流してしまった。

    だから彼女は単身でアリウスと接触して、セイアを襲撃するという考えに至ってしまった。

    だが仕方のないことだったのかもしれない。あの時は自分がアリウスの出だと知らなかったから。

    だとしても、もしあの時私がセイアへ、もう少しミカの話を聞いてやれと言ってあげていたら?

    もしかしたらたったそれだけのことで未来は変わっていたかもしれない。

    あの大人に支配された彼女たちの心に、ほんの少しでも寄り添ってあげられていたかもしれない。

    セイアも自分の生死の秘匿なんてことをする必要が無かったのかもしれない。

    エデン条約調印式事件も、事前に防ぐことだって出来たかもしれない。


    あぁ、分かっている。分かっているさ。

    そんなことはただの結果論だってことくらい。

    それでも、それでも私は………

  • 184“貴方”のためのキリエ24/09/04(水) 23:36:10

    >>183

    「サオリ……」


    セイア、私は……

    私は、お前が羨ましかったよ。

    お前が“それ”で苦しんでいることは重々承知している。

    だけど、お前の持つその力が、私は欲しかった。

    未来を見通せたなら、もしも選択の“先”を見通せたなら、私は間違えることなんてしなかったんじゃないのかって。そう思うんだ。


    「……そんな便利なものではないさ、未来を視えるなんてものはね」


    そうだろうな。

    そうでなかったら、私たちはもっと幸せになっているはずだから。


    「視えているだけでは何も出来ない。その先を視て、正しく動き、伸ばせるだけの腕を持っていなければ意味がない」

    「それに、例え視えてしまった最悪の結末を受け止め、“今”と向き合える勇気を持ち合わせていなければならない」

    「私にはそれが出来なかった。結末は変えられないと目を背けてしまったんだ。その癖あれこれ口出しして、挙句夢と現実の区別がつかなくなって、このザマだ」

    「私は皆が思うほどに、凄い人間なんかじゃ決してない」


    ……同じだな、私も、セイアも。

    私だって、目の前の現実を受け入れることが出来なかったから、こうやって苦しんで、色んな人を傷つけてしまった。

    これが私の間違い。私が負うべき罪だ。

  • 185“貴方”のためのキリエ24/09/04(水) 23:36:40

    >>184

    「確かにそうだな。……だから君は贖罪をしなければならない」

    「私と君は同じだ。だが、たった一つだけ違うモノがあるだろう?」


    あぁ、私は、

    私は、まだ動ける。歩いていける。戦える。


    だから私は、

    もう少しだけ、前を向いていこうと思う。

    もう少しだけ、今と向き合ってみようと思う。


    「怖くはないか?」


    怖いさ。でも、先生が、皆がいる。


    「そう、どんなに最悪な未来だとしても、変えられるのだとそう教えてくれたあの先生なら」


    きっと導いてくれる。きっと救ってくれる。私はその手伝いをしたいんだ。




    「行ってらっしゃいサオリ。せめて、後悔のないように」

    「行ってきますセイア。私は見つけてみせるよ」



    この先にある未来を、答えを。

  • 186“貴方”のためのキリエ24/09/04(水) 23:37:16

    >>185

    バシリカの至聖所。

    今まさに“彼女”の手によって儀式が進められようとしているその最中、

    アツコが、儀式の犠牲となってしまうその最中、


    「さあ、その目にしかと映しなさい!これが私……高位の存在となった姿です!」

    「なっ……」

    「あ、あうう……」


    遂に直接その姿を現したベアトリーチェ。

    儀式を成功させまいとする先生たちと相対する為に、彼女は自らの肉体を変貌させていく。


    「これこそが本来の姿―――偉大なる大人の姿なのです………!!」

    “それが正体なんだね、ベアトリーチェ”

    「そう……私たちはあんなものに、ずっと……」

    「これじゃあまるで……」


    「なんだ、大人というからにはどんなものかと気になっていたが……」


    「……!?」

    「その声は……」


    遠くから声が聞こえる。全員がその声の方を振り向く。

    そこにいたのは……


    「ただの醜いバケモノと何が違うんだこれは…?」

    “サオリ…!”

    「サオリ姉さん…!」


    錠前サオリ、決戦へ臨む。

  • 187二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:37:50

    サオリ、復活ッ!!

  • 188二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:40:06

    【悲報】ハナコ放置確定

  • 189二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:42:49

    (そこは次回やるから許して……)

  • 190二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:46:04

    次スレになりそう
    スレ主がいたら立ててもらいたいがいるかな

  • 191二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:47:13

    「もしも」を思い浮かべるサオリとセイア
    このスレ/世界自体が「もしも」だと思うとくるものがある

  • 192二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:47:55

    >>190

    広域規制が来る十数分前ですが建てますね

  • 193二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:49:24

    2スレ目までにサオリを正気に戻せてホッとしてます

  • 194二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:51:02
  • 195二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 23:55:23

    スレ立て感謝です

  • 196二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:01:42

    うめ

  • 197二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:11:56

    うめうめ

  • 198二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:16:03

    うめーい

  • 199二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:25:12

    ん、埋める

  • 200二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 00:25:43

    立て乙

オススメ

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