【オリキャラ🎲ss】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part6:reboot

  • 1佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 01:53:58

    ……そういえばメイド服のままだ、僕。

    佐藤カガリ 16歳(2年生)
    出身校:百鬼夜行連合学院

    身長 130+40 (40) cm
    胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛
    腹 2 (2) 1.細 2.中 3.中太
    尻 2 (2) 1.小さめ 2.やわらか 3.もちっ

    髪色:薄い黄色(3・1) 長さ64 (1で肩につかないくらい100で足元)
    瞳の色:オレンジ(5・2)
    肌の色:85 (1で芸術級スーパー美白、100で健康的こんがり褐色)


    (建て直しです!!!!ちょっとややこしくなったので自分用を兼ねて補足します)
    (スレ主からのお知らせ・Part5のあらすじの他、落ちたPart6の方に投稿していた3つほどの進行レスをコピーしてあるので、丸写しでこちらにも投げてから改めて投下していきます)
    (また、落ちたPart6の最後でダイスを2個振っていたのですが、こちらのスレで改めて振り直した結果を採用しようと思います 読みやすさ優先)

  • 2佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 01:54:32

    (これまで使わせていただいていた『よっこら少年少女』さんの配信中止に伴い、『ふわふわ鱈メーカー4』さんでスレ画を作成してみました 引きの図だと長身の感じが出てこれもいいなと思った)

    (追加で、現在のスレ主が想定しているロードマップをちょっと開示しておきます これはスレ主の横道逸れ癖を抑制するためですが結局逸れるかもしれません あしからず)
    (おさらいですが、当スレの時系列は「最終編直後」としてあります 調月リオは一応和解できたけど帰ってきてないし、光の剣の先端には例の人形が付いている感じです)
    (ここからの展開としては、現在真っ最中である『ゲーム開発部の新作デスマーチの巻(仮称)』にひと段落付いた後、原作イベント『白亜の予告状』での様子を楽しみ、そこからもう1つミレニアム絡みのストーリーを間に挟んでから、原作の『百花繚乱編』に絡める形でカガリちゃんの物語の最終幕を描く予定です)

    (……長すぎないか? いや まあ なんとかします! なるべく失踪しないように頑張ります)

  • 3佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 01:54:58

    情報まとめ

    「佐藤カガリ」こと天童アリスのストーカー のまとめtele​gra.ph

    1スレ目

    【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい|あにまん掲示板はぁ…………今日もかわいい……………………(スレ画は一番好きな表情)戦闘 dice1d100=@57 (57)@知性 dice1d100=@12 (12)@運動 dice1d100=@67 (67)@…bbs.animanch.com

    前スレ

    【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part5.1|あにまん掲示板わからない時はわからないって言う。……よし!佐藤カガリ 16歳(2年生)出身校:百鬼夜行連合学院身長 130+40 (40) cm胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛腹 2 (2) 1.細 2…bbs.animanch.com

    前回のあらすじ

    これまでに数々の不思議な出来事を経験し、時には自らを危険に晒すような行動に出ながらも、体験入部先のC&Cで参加した共同任務を前向きに乗り切ることができたカガリ。

    その晩、心境に変化を迎えたアリスの口から、かつて存在した彼女の友人『ケイ』の存在を知る。『ケイ』との離別を今も強く惜しむ感情、そこに連なる"別れ"自体を恐れる気持ちなど、初めて触れるアリスの内面を正面から受け止めたカガリは、彼女との接し方を今一度迷い、新たに探すことが必要だと気付いた。

    翌朝、モモイによる強引なモーニングコールで目覚めたカガリは、自分がゲーム開発部の陰謀によって無断でゲーム開発部に入部させられていることを知る。当然ながら極めて動揺したものの、なんだかんだ部員として最初の仕事をそつなくこなしてしまったばかりか、みんな揃っての朝食を楽しむくらいには現状を受け入れている模様。基本的に好感持ってる相手しかいない部活なので当然と言えば当然。

    こうして"ミレニアム生"として次々と新たなパーソナリティを獲得しつつあるカガリは、次なる進歩としてセミナー書記ノアからの「セキュリティ研修」の提案を受け入れ、ミレニアムタワー上階の事務室へ招かれる。研修の内容を聞いてみると、少し複雑そうではあるにせよ、普通の事務仕事をこなしていくだけのようだったが……

    ノアが考案する、ちょっとお茶目かつ合理的で理不尽な企みは、今も水面下で確実に進行しているのであった。どうなるカガリ。

  • 4二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 01:59:51

    立て乙!とりあえず即落ち回避に10まで埋めますね

  • 5二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:00:06

    保守

  • 6二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:00:16

    6

  • 7二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:00:28

    立て乙……前回落としてしまったフレンズなので自分も見てます……

  • 8二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:00:28

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:00:44

    このレスは削除されています

  • 10二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:01:00

    10!

  • 11佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 02:01:48

    ……この書類、すごい。大小2種類のサイズで字が書いてあるだけなんだけど、パッと見ただけで『何について纏めてある資料か』が直ぐわかるようになってるし、その殆どが引継ぎ用ファイルと対応してて、簡単に仕分けられる。ただ親切なだけじゃなく、どこか美学を感じるような……これを見てるだけでも書類の書き方の参考になるような、そんな感じ。かなり几帳面な人なんだろう。
    ただ、なんと言っても数が滅茶苦茶に多い。セキュリティ部門さん(仮称)もそれを承知でこんなに行き届いた造りにしてあるんだろう。

    「……ふむ、今のところ順調そうですね?」

    あ、はい。そっちの……その端っこに置いてある4枚だけ、他と繋がりが無かったので、確認してもらえると……
    「はい、ありがとうございます♪」

    ……いや、良い感じに進んでるけど、これって『セキュリティ研修』になってますか?
    確かに書類の内容はセキュリティのことがぎっしり書いてあるっぽい。でも僕の今の仕事を考えると、こんな高度なの内容覚えるつもりで目通してたら日が暮れるし、それはノアさんも分かってるだろうし……

    「おはようございまーーーーす!!!1年の黒崎コユキです!!!!!」
    !? ぉ、おはようござ、あっ、お邪魔してます。……え?
    「……あーっ、知ってますよ私!!!佐藤カガリさんですよね!!?!?先輩がよく話してました!!!!」
    え、ええっ、あ、はい。カガリであってます……えっと、コユキさん? は――
    「折角なので記念撮影しましょう! ほらこっち向いて!」
    !!??!??!??!?

  • 12佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 02:10:01

    ……コユキ、ちゃん? が、部屋の入口から僕の胸元までだだだーっと駆けてきて、くるっと振り返ってスマートフォンを構える。背ちっちゃいなこの子……

    「んー、やっぱ大きいですね。ちょっと屈んで……そうそう、そういう感じです! ハイチーズ!」
    は、はいちーず。……あの、これは一体――
    「ありがとー! よーし、みんなに見せに行っちゃおーっと」

    と言って、コユキちゃんは去っていった。な、なんだったんだ今のは。妙な部分しかなかったけど……

    「カガリさん」
    あ、はい。……えっと、今のは?
    「セキュリティ保全、失敗! アウトです!」バシーーーーーーーーーーッッッッ
    え゛ぁ!?!!?!? いっっっ……たくない。音の割に全然痛くない。
    「音の割に痛くないほうが、精神的ショックは大きくありませんか?」
    ……いや痛いかどうかじゃなくて!!!! な、なんですか今の、僕なんか変なことしました!??

    ヒントを探してあちこちを観察すると、さっき出て行ったはずのコユキちゃんが、じーっとドアの隙間からこっちを見ていた。……ん、んん? つまり、その、いわゆるグルだったってこと? グルって言い方も違う?

    「コユキちゃん、ありがとうございました。もう大丈夫ですよ」
    「あ、ハイ。よいしょっと……いやぁ、言われた通り、かなり大げさに行きましたけど。意外と気付かれませんね」
    ……もしかして、止めないと駄目でした?
    「お気づきになられましたね。1つ目の教訓、『重要書類をカメラに映してはならない』です」
    ……つまり、その。僕が意識してセキュリティを守るだけじゃなく、セキュリティが壊れそうな原因を見つけたら、自分から止めに行こう、っていう。
    「はい。他にもたくさん用意してあります♪」

    一気に100倍くらい難しい研修になった。そ、そんなの……言っちゃえば、セキュリティが壊れる原因なんてどこにでもありませんか……????

  • 13佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 02:15:23

    それはそうと、書類仕事は続く。流行り病で欠員が出たのも本当で、ここに積み重なった四角い山を片付ける必要があることも本当だからだ。ただ、さっきと違って、僕は明らかに神経を尖らせている……


    「そういえば、カガリさんなんでメイド服着てるんですか?」

    えっ。あーーーー……その、昨日から着替えるタイミングがなくて。

    「へえー」

    ……の、ノアさん、コユキちゃんのことちょっと教えていただけると……

    「コユキちゃんについてですか。うーん、そうですね……」

    「?」

    「事情は色々あるのですが、ミレニアムの大事な仲間ですよ。心根の優しい子ですし」

    「にはは、ノア先輩が言うなら間違いありませんね! あ、カガリさんも飲みます?」

    差し出された1つの紙コップに、茶色いコーヒー。まあ、ちょっと仕草を見てる感じでも、悪い人って感じはあまり……

    「あれっ、コーヒー苦手でした?」

    ……『人から勧められた飲み物を簡単に飲んではいけない』! ってやつなんじゃないですかこれ!?

    「いえ、違います。それはコユキちゃんの本物の良心です」

    ………………

    「あの、間違った指摘はハリセンの対象にならないので、構えなくても結構ですよ。むしろ変だと思ったことは何回でも仰っていただければ」

    「カガリさんがどーしてもと言うなら代わりに私が叩いてもいいですよ」

    大丈夫です……


    dice1d100=94 (94) 知性ステータス(16)以下で成功

    dice1d100=96 (96) 事務ステータスの半分(29)以下で成功

  • 14二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 02:16:02

    ファンブってる………

  • 15佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 02:57:20

    ……だいぶ進んでいる! やっぱりというか、ノアさんも書類仕事の鬼だった。なんとなくだけど、僕の訓練にもなるように、こまごまと気を遣ってもらっている気もする……優しいのか厳しいのかよくわからない。
    それとコユキちゃん。僕を出し抜く任務は終わったみたいだけど、だからと言って別に帰ることもなく、後ろのほうのテーブルでくつろいでいる……この部屋に堂々と居座ってるあたり、コユキちゃんもセミナーに近い立場だったり、何かしら仕事ができたりするんだろうか? 今のところ、ちょっと溌溂な子にしか見えないけど。

    「ねえ、ノア。この形の端子で繋げるドライブの在り処忘れちゃったんだけど、覚えてない?」
    「外付けの光学ドライブですか? どれどれ……」

    何やら薄いケースのようなものを持ったユウカさんの隣に、ノアさんがしゃがみ込んで何かの機械を観察している。こうして見ると本当に対象的な2人だった。絵になるなあ……

    「困りました、私も思い出せません」
    「そっか。仕方ない、ヴェリタスのところにでも行って借りようかな……」

    面倒そうにつぶやいてケースをくるくる回しながら、廊下に消えていくユウカさん。気のせいかもしれないけど、ノアさんの前だとリラックスしてるように――

    「カガリさん」
    ひゃっ。は、はい?
    「お気付きになられましたか?」
    ……あ、あーっ???? ちょっと待って、それは、つまり。
    「………………」
    あのケース、持ち出し厳禁、みたいな?
    「正解です♪」ペシッ
    ぐううううううううううううう……

  • 16佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 03:36:53

    「ノアはね、"完全記憶"って言って……要するに、1回でも見たり聞いたりしたことは、絶対に忘れないの。つまり、『私も思い出せません』なんて言った時点で嘘」
    ……あっ昔それ聞いたことある!!!!!うわあああああああああ!!!!!!!!
    「ふふっ。色々な所にヒントが隠れていますね」

    隠れていますねっていうか、隠しているのでは……? 気付けてない僕が悪いというか、そういう研修だってわかってるのにのんびりしすぎなのかもしれないけど……

    「カガリさん、他に気になることはありませんか?」
    え゛っ!? い、やぁ……ちょっと心当たりが……
    「知ってる側からしたら、バレてないのが不思議だけど」

    急に間違い探しが始まった。とりあえず室内を見渡して……それでも、何も目ぼしいものはない、ような。
    …………なんか。コユキちゃん、居なくない?


    「………………」ガタッ
    ……であーーーーっ!!?!?
    「やば、見つかった」
    なんか持ってる!!!!待てえええええ!!!!!!
    「ふっふーんもう遅いですよ!!!部屋から出ることさえ出来れば!!!!」ガラガラガラ
    なああああああああ!!!!!!
    「はい、セキュリティ保全失敗です」パシン

    ……全部、本当に全部引っ掛かってる……!!!!!!

  • 17佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/08/31(土) 04:22:23

    「なんか噂には聞いてますよカガリさん。確かミレニアムに不正入学してきたとか」

    普通に転入してきました!!!!

    「そうそう普通に転入してきたとか。……あれ、2年生だったっけ?」

    「そうですよ。私やユウカちゃんと同じです」

    「えっ、じゃあ先輩じゃん!!! あ、ゲーム開発部入ったってノア先輩言ってたけど、そこでも年長ってこと!?」

    まあ……そうだね。いちおうみんなから『カガリ先輩』って呼ばれてるし。

    「……いやー、でもなんとなく先輩ってイメージ無いですね。このまま『カガリさん』って呼んでいいですか?」

    そ、そっか。いいよ。

    「貴女ねえ……ごめんねカガリ、コユキって根っからこういう感じというか」


    慣れたような、諦めたような溜め息をつくユウカさん。まあ僕は呼ばれ方とか特に気にしない性質で、むしろ怖がられてなさそうなのでこれで良いのですが。

    にしても、元気というか軽いというか、明け透けというか……今まで会ったこと無いタイプ。強いて言うと、喋り方だけならニヤ様に近い……流石に僕でも全く別物だってわかるけど。


    (カガリとコユキの好感度を相互に決定します ノアユウからの繋がりなので両者ともに最低保証30)

    カガリ→コユキ dice1d100=50 (50)

    コユキ→カガリ dice1d100=50 (50)


    (研修ダイスはこれで最後)

    dice1d100=94 (94) 知性ステータス(16)以下で成功

    dice1d100=92 (92) 事務ステータスの半分(29)以下で成功

  • 18二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 04:46:22

    >>17

    好感度まさかの両方50!?しかもまた研修ダイスファンブってる!

  • 19二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 09:12:07

    失敗続きだな
    まぁ問題がよく分かって良いか

  • 20二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 12:33:48

    今度はなんだ

  • 21二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 19:38:19

    せきゅりてぃはむずかしい

  • 22二次元好きの匿名さん24/08/31(土) 23:30:05

    学びって大切だね

  • 23佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/01(日) 05:20:58

    「――よし、今日のところはこれで大丈夫ですね。お疲れさまです、お陰で随分早く済みました」
    やったーーー!! いろいろ勉強になってよかったです!!!
    「頭を使いましたし、糖分を補給しましょうか。お菓子を用意してくるので、そちらのテーブルで待っていてください」
    はーい!
    「なーんかノア先輩優しくないですか?????」
    「まあ……ああいうタイプ好きそうよね、ノアは」

    言われた通り椅子に座る。急に肩が重く感じる……なんだかんだ、ここに来てから1時間は経ってるのか。朝からいろいろあったな……そういや今日起きてからメールチェックとかしてないし。とりあえず件名見るくらいやっとこう。
    んっ、『端末のセキュリティテストにご協力ください』? 送り主が……あ、seminerってアドレスに入ってる。ミレニアム生を対象に送ってて、各生徒のスマートフォンのセキュリティ面を診断して採点、ミレニアムの安全保障のためにデータを収集します……へー、ハイテクなやり方って感じ。添付されたファイルを実行……これかな。
    ……あれ、なんか画面暗くなっちゃったような

    『『『Ca~li~for~nia girls♪♪ We're unforge~ttable♪♪♪!!!!!!!!!』』』
    うわ゛ああああああああ!?!??!!?うるっさ……ご、ごめんなさいすぐ止め――
    『『『Oh~~oh~~~♪♪♪♪!!! Oh~~oh~~~♪♪♪♪!!!!』』』
    止まんない!!!!!!!!!!
    「カガリさん!」
    あっノアさん! ごめんなさいなんか……なんか嬉しそうな顔してません!??!!?
    「セキュリティ保全失敗です!!!」パシーン
    やっぱりだあああああああうわああああああああん!!!!!

    いわく、この『標的型攻撃メール』がこの研修の最終問で、どういう内容のメールにするかはヴェリタスの皆さんに一任したらしい……通りでやけに信頼できる文面だと思ったし、改めて見返しても隅から隅まで怪しいところが見つからない。本気すぎる。
    そしてこの研修の映像が、始まってから今に至るまでヴェリタスで見られてるらしい。嘘でしょ死ぬほど恥ずかしいんだけど。いや、最後のだけならまだしも……ここまで全部……

  • 24佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/01(日) 05:53:40

    「……私に言わせてもらえるなら、ちょっと素直すぎるというか。大丈夫? カガリ」

    「私はそれも良いところだと思いますが……まあ、学ぶことはまだまだたくさん、と言ったところでしょうか」

    本当に面目ないです……


    しっとりとしたビスケットをご馳走になりつつ、研修の『仕上げ』ということで、軽い筆記テストみたいなのを受けている。とはいえ目新しい要素はあまり無く……さっき実際に体験したことを元に、それぞれのリスクに対してどういう対処をするのが好ましいかを自由に書く、という代物だった。

    個人的には、それっぽい書き方で誤魔化しが効くこういうタイプのテストが得意な気がする。数学の演算とかが特にへっぽこってだけかもしれないけど……とりあえず考えすぎても仕方ないと思うから、パパっと終わらせた。ノアさんに提出する。


    「……うん、お見事です。どの部分も最低限は抑えられていますし……特に最後の段落が良いですね、 特に教えていない筈ですが、自力でこの結論を出せることは素質かもしれません」

    最後のっていうと……怪しいメールの対処? む、むしろ一番自信無かったんですけど。

    「いえ、『周りに相談する』で合っています。1人で完結する案が無いわけではありませんが……結局のところ、セキュリティ対策というものはケースバイケースで、1人で答えを出せないことの方が多いですから」

    へー。人生みたいですね……

    「んふっ……ごめん、笑っちゃった」

    「え、ユウカ先輩こういうので笑うんですね。カガリさんが言うと面白いのかな」

    そう言われるとなんか変な気持ちになるなあ……

    「何はともあれ、これで本当におしまいです。お疲れさまでした」


    知性ステータスの成長 16+dice1d6=3 (3)

    事務ステータスの成長 58+dice1d6=2 (2) +6

  • 25佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/01(日) 06:13:49

    「ねえねえ、カガリさん。今度部室に遊びに行ってもいいですか?」


    挨拶して部屋を出ようとした時、駆け寄って来たコユキちゃんにそう持ち掛けられる。……興味がある、のかな? なんとも言えない表情、『とりあえず聞いてみた』って感じだけど


    「いやあ、何かの縁っていうじゃないですか」

    そうかも。でも、これからちょっと忙しくなりそうで、時間が作れるか……他のみんなに聞いてからでも良い?

    「……うーん、まあそうですよね。大丈夫です! それじゃ、お元気で」


    流されるまま廊下を踏む。コユキちゃんの頭越しに見えた、中のユウカさんに手を振る……何やら難しい顔をしていた。

    進もうとするとコユキちゃんも少し手を振ってくれたので、振り返して応える。無邪気……でも、無邪気ってだけじゃない気もする。今の受け答え、手応えが変だったし……




    (セミナーの3人との好感度関係がそれぞれ変化します)


    カガリ→ユウカ 68+dice1d6=5 (5)

    ユウカ→カガリ 58+dice1d6=6 (6)


    カガリ→ノア 46+dice1d10 +10


    コユキ→カガリ 50+dice1d10 -5

  • 26佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/01(日) 06:14:30

    >>25


    (ダイスミス!)


    カガリ→ノア 46+dice1d10=3 (3) +10

    コユキ→カガリ 50+dice1d10=5 (5) -5

  • 27二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 08:25:53

    ユウカノアとは結構好感触
    けどコユキどうした?

  • 28二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 12:29:36

    このレスは削除されています

  • 29二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 18:22:43

    ノアとユウカは結構良いな

  • 30二次元好きの匿名さん24/09/01(日) 23:25:54

    とりあえず研修は無事に終わってよかった

  • 31佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/02(月) 05:12:51

    ……た、ただいまー。
    「カガリ! おかえりなさい、今ちょうど休憩をとっていました」

    まだ部員の自覚がないので恐る恐る扉を開くと、アリスちゃんが明るく出迎えてくれた。ちょっと感激。

    「今回、いつもよりみんな少し大変そうなんです。カガリがよければ、いろいろ手伝ってくれると嬉しいです」
    もちろん。って言っても、戦力になれるかわからないけど――
    「カガリ先輩!!!!プロット練るの手伝って!!!!!」
    わ゛っ!? ……ぷ、ぷろっと?
    「ちょっ、お姉ちゃん!? さっき私が『カガリ先輩に背景美術手伝ってもらいたい』って言ったら『いいと思う!』って言ってたじゃん!!!」
    「だってこれ私1人で纏め切る自信ないよーーーー!!!今日だけである程度は形にするからさ、それならいいでしょ!!?」
    「そんなこと言ったって、私の方こそ今回描かなきゃいけない量すっごく多くて……!」
    ストップ!!ストーーップ!!! い、一旦落ち着こう!?

    ─────────────────────────

    (ということで 『ゲーム開発部の新作デスマーチの巻(仮称)』あらため、『ゲーム開発部の”鳥葬のまちエニーリス”作成録』の進行について話します)

    (いうて形式はこれまでのものに近く、各セクションごとにダイスを振る感じのやつです 今回のセクション数は5とします)
    (1回のセクションは、前半であるAパートと後半であるBパートに分かれていて、どちらも基本的に行動内容は1回です Aパートは『カガリが自分の時間をゲーム開発部の活動に費やすか、または他のミレニアム生との交流に使うかを決める部分』で、Bパートは『カガリが日常生活の中で自然とゲームの作成に協力している部分』になります)
    (つまり、先ほどの研修のような『ミレニアム生からのお誘い』を全部受けて回ったとしても、行動4回分はゲーム作成に貢献することになります)

    (現在はセクション1のBパート 便宜上、先ほどの研修がAパート行動だったことになっています)
    (パートがどちらであるかに関わらず、どの作業を手伝うかはダイスで決定します 初回は『モモイのシナリオ執筆』『ミドリのイラスト制作』の2つのみですが、セクション2からは『ユズのコード構築』、セクション3からは『アリスのテストプレイ』が追加されます)

    ─────────────────────────

  • 32佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/02(月) 05:25:08

    ……とりあえず、2人から今の状況を聞いた。

    モモイちゃんのシナリオの方は、『主人公が旅に出る部分、終盤で旅の目的がひっくり返される部分、エンディングの部分、この3つ以外何も決まってない』らしい。正確に言うと、一旦大まかに決めたけど、設定の矛盾に気付いて取り壊したらこれしか残らなかったとか……それは確かに、かなり怖いかもしれない。

    ミドリちゃんの作画は、『まだシナリオが上がってきてないけど、逆に言えば今の内にアクションパートのグラフィックは描き切らないと、微調整地獄に呑まれて取り返しが付かなくなる』のだそう。そして、『カガリ先輩が描いたスプレーアートを見た感じ、デジタル慣れさえ済んだら即戦力になるはず』と思ってくれたらしい。……い、いや、すごく自信が無いというか……

    どっちも助けてあげたいけど、僕はどっちにも手を付けられるほど器用じゃない。……どうしよう?


    dice1d2=1 (1)

    1.モモイのシナリオ執筆

    2.ミドリのイラスト制作

  • 33佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/02(月) 05:39:10

    「わかりました。こっちは何とかできるので、お姉ちゃんの方をよろしくお願いします」
    ほ、ほんとに大丈夫?
    「こういう修羅場、初めてじゃありませんし……それに、カガリ先輩にお姉ちゃんの手綱握ってもらったほうが、後から増える注文とか少なくて済みそうなので。期待してます」
    「妹の視線が痛い……自業自得だけど……」
    ……そんなにモモイちゃんのシナリオ作成って、その、怖い感じなの?
    「……カガリ先輩の転入試験の時、いろいろあったじゃないですか。なぞなぞしながら銃撃戦、鳥のものまねルーム、サボテンの着ぐるみの先生、最後は歌でエンディング」
    あ、あったねえ。
    「あれ、"お姉ちゃんが真剣に作ったシナリオ"です。放っておくとああいうのが出てきます」
    ………………
    「えっ違うよあれ、メチャクチャな話書こうってことだったからメチャクチャに書いたやつだよ!? そりゃ確かに、メチャクチャであることに真剣ではあったかもしれないけど」
    「そうなんだ。私は普段と同じだと思ったけど」
    「ぐふっっっっっ……た、確かに、ああいう風になることもなくもない、けど、本当にたまにであって――」
    とっっっ、とにかく、僕も手伝うから、頑張って良いの書こう!!!!!
    「そ、そうだね!!!!!えいえいおーーーーーー!!!!!!」

  • 34二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 11:47:15

    まずはモモイからか

  • 35二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 16:33:56

    初のゲーム活動だ

  • 36二次元好きの匿名さん24/09/02(月) 20:25:20

    よっしゃシナリオだ

  • 37二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 01:57:34

    保守

  • 38佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/03(火) 05:20:43

    とりあえず、モモイちゃんの言う『決まってある3つのシーン』について聞いてみた。以下の通り。

    「まず、旅立ちのシーン。幼い主人公が一念発起、世界に新しい太陽を取り戻す手段を探すために旅に出る! そして最初の村を出たところで、サングラスを掛けた謎の女性"ハーウィン"と出会って、待ち受ける試練の厳しさを彼女から教えられる。ハーウィンは少し話すとすぐ去っていくけど、この後も主人公が1人の時を見計らって話しに来るよ」

    「そして、そこから長い時間が経って、旅の目的がひっくり返されるシーン。旅の終着点に辿り着いた主人公は、ハーウィンから『消える前の太陽は大きな鳥の姿をしていたこと』、『太陽と恋人であった自分が、ある理由から太陽を弓で射落としたこと』、『主人公こそ太陽の生まれ変わりの子供であること』を教えられるよ! 同時に、自分が再び太陽として空から世界を照らす選択肢も生まれるけど、"一度失敗した者に努めてほしくはない"とハーウィンから止められるよ」

    「そしてエンディング。"灯台守"をしている攻略対象たちの中から、主人公への好感度が最も高かった1人が名乗りを上げて、『灯台守としての仕事で光を扱っていた能力を元にすれば、自分が新しい太陽になれないか』を志願しちゃう! 勿論それは、その子が二度と地上に戻ってこれないことを意味するから、それを止めて自分が空に昇るか、もしくはその子を見送るのか……プレイヤーに委ねて、その選択によって結末が変わるマルチエンディングにするよ。いろいろ条件を付け足して、悩み甲斐のある選択肢にしたいなって思ってる」

    あれっ、僕が思ってたよりもかなり暗い話じゃないか????
    聞くところによると、モモイちゃんがこのゲームの着想元として挙げるゲームも、プレイヤーによる選択が重要な心揺さぶられるストーリーらしい。興奮気味のモモイちゃんの姿はかなり珍しかった。

  • 39佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/03(火) 05:22:06

    「できれば、カガリ先輩にもプレイしてみてほしい……いや、先にプロットは仕上げちゃいたいかも。そっちのストーリー知ってたら内容寄っちゃうかもしれないし!」

    わかった。とりあえず、決まってるところは紙に書き起こしてみたり……

    「ふふん、それはもうやってあるよ。……まあ、さっき言った通り、今話した部分以外なんにも無いんだけど……」

    ……その、本当にこういうのやったことなくて。セオリーとか調べながらでいい?

    「オッケー! あ、必要な条件もいくつかあるから、それも話しておくね」


    ということで、ネットで検索したり、図書室に行って役立ちそうな本を仕入れたりしながら、少しずつ話を進めることにした。く、クリエイティブな活動……!


    (勉学と知性のステータスで4回ずつロール 成功数が多ければ多いほど良い感じ)


    dice4d100=67 69 99 61 (296) 勉学ステータス(55)以下で成功

    dice4d100=67 66 74 23 (230) 知性ステータス(19)以下で成功

  • 40佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/03(火) 05:49:17

    (……マジ? スレ主は少し頭を抱えています しかしカガリちゃんなら恐らくこうする)




    「うわーーーーん埒が明かないよーーーーーー!!!!!」


    モモイちゃんが机に突っ伏して叫ぶ。自分でびっくりするくらい、何の戦力にもなれなかった。僕は『お話を考える』みたいなことが元々苦手なのかもしれない……

    でも、ここで諦めたりしたところで問題が消えて無くなるわけじゃないから、少しズルい方法を使ってでも切り抜けたかった。……それで思いついたのが、ちょっと前、新素材開発部の人がくれた言葉である。


    『他のどの学校でもできない、ミレニアムサイエンススクールにしかない問題解決法。ずばり、『専門家に投げる』』


    よし、プロット作りの専門家に投げよう。僕はプロットが出来た後の手助けを頑張る!!!!!

    ということで、プロット作りの専門家を探すことにした。うーんよくわからない。ミレニアムにいる人に詳しい人、いわば『専門家の専門家』を当たると早いかも。

    ……頭の中に、ある人の姿がふっと浮かぶ。いや、それならもう、直接その人に頼めばよくない?


    *************************


    「おはようございます、カガリさん。今日はどのような件で?」

    ……その。聞いたところによると、『全知』って呼ばれてるらしいじゃないですか。それって具体的に、どれくらい全てを知ってるんだろうと思って。頼みごとが……

    「もちろん、文字通り『全て』を知っていますよ。もし私にとって未知の事柄であろうと、この完璧な頭脳から導き出される、即座かつ極めて有意義な回答をお約束致しましょう」

    「……ひ、ヒマリ先輩かあ。そう来たか、新入部員……」


    (『プロット作成のセオリーについての知識』を意味する勉学ステータスでのダイスを、ヒマリが代行してくれます それに伴い、オリジナルの部分に係わる知性ステータスの部分も、改めてカガリの数値で振り直しができます)


    dice4d100=65 45 53 4 (167) ヒマリの勉学ステータス(100)以下で成功

    dice4d100=50 100 70 35 (255) 知性ステータス(19)以下で成功

  • 41佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/03(火) 06:09:21

    「設定的に、複数の"灯台守"さんと同じタイミングで出会うのは無理やり感があります。かと言って旅の途中で出会う順番を決めてしまうと、後のほうに出てきた人は恵まれない感じになってしまいますね。ということで、『どの灯台に向かうかの順番はプレイヤーの自由』ということにしましょう」
    「た、確かに。……いや、それでもプレイヤーが最後に選んじゃった子は不遇にならない?」
    「そこは……ほら、ゲームをやっていると、『爆弾で壊れそうな壁があるけど、今は爆弾を持っていない』とか、よくあるじゃないですか。そんな感じで、灯台守さんの力を借りれば進める道みたいなものを、各地に散りばめておくのですよ」
    「なるほどっ、そうすればみんなに活躍の機会がある……!」
    「あと、このままでは"ハーウィン"さんが舞台設定について話さないといけない量が多すぎます。街の人の話とか、本に書いてある内容とかそういうのも織り交ぜて『伏線』という形で小出しにすると、プレイヤーに優しいかもしれません」
    「あ、伏線ってそうやって張るのか。言われてみればそんな感じかも」

    ――すごく盛り上がっている。
    そっか、ヒマリさんの長い話って、僕には内容がわからないことばっかりだったけど、わかる人が聞けばああなるんだ……とにかくモモイちゃんは楽しそうだし、ゲームにも沢山の進歩がありそう。このまま話が済むまで見守ってようかなー。
    ……うぐぐぐぐぐぐ、なんか、もやもやする! その、折角迎え入れてもらったのに全く戦力になれてないのが申し訳ない。申し訳ないんだけど、それとは別に、それ以上に、なんか……なんだろうこの気持ち。例えるなら、ご飯のお店に入ろうとしたら満席だったとか、友達を遊びに誘ったら先約があったとか、そういう時の気持ち。これは一体……

  • 42佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/03(火) 06:18:57

    「……カガリさん」

    ふえっ!? あれ、モモイちゃんは……

    「話したことのメモ取り中です。……カガリさん、ついさっきまでセキュリティ研修を受けていたようですね」

    はい。ノアさんと一緒にセミナーまで行って……

    「ゲームの構成要素は、基本的に発売まで秘密のことですから。あまり部外者に持ち込むようなものでもありませんよ」

    ……そう、ですね。これからは無いようにします。

    「……ふむ、何やら、既に思う所がありそうですね。悩んでいますか? 怒っていますか? 悲しんでいますか? 悔しいですか?」

    う゛……どれだろう。わかんないです……

    「何にせよ。そうやって目的のために手段を択ばない辺り、調月リオに似ているかもしれませんね」

    そ、そうなんですか? なんか嬉しいですね。

    「いえ、悪口です。私はあの女が嫌いなので」

    ええっ!!?!??!?

    「ふふっ。目的のために自分好みの手段を選ぶことを、人は美学と呼びます。覚えておいてくださいね」

    はい……気を付けます……


    (カガリとヒマリの好感度が相互に上昇します)


    カガリ→ヒマリ 66+dice1d6=5 (5)

    ヒマリ→カガリ 58+dice1d6=5 (5) -2

  • 43二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 08:15:18

    躊躇ないなカガリちゃん
    そこに持ち込むのか

  • 44二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 13:37:22

    頼ってくれたのは良いけど手段選ばな過ぎてちょっと…って感じかな

  • 45二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 19:59:01

    本人はグダッたけどこういう紹介ができるのは元々の気質かね

  • 46二次元好きの匿名さん24/09/03(火) 21:31:26

    よかったーこのスレ復活してたのか、カガリがちゃん好きだから嬉しい

  • 47佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/04(水) 04:35:23

    「たっだいまー!! 全然なんとかなりそう!!!」
    「おかえりお姉ちゃん。今回は期待してもいいの?」
    「モモイが自信あり気な時は死亡フラグです!」
    「そ、そんなことないってば!!! とりあえず聞いてよ、ミドリもびっくりする筈だから」

    ……お、重い……もたもたと遅れて部室に入る。本って大量にあると重いんだな。それもカバンとか使ってるわけじゃないから、手が真っ赤になってしまった。
    モモイちゃんの方は……うん、概ね好感触っぽい。僕は僕で自分のできることをしよう。しかしどこから手を付けたものか……

    「……本……見た感じ、小説ですか?」
    あ、ユズちゃんただいま。小説……たぶんそうかな、ヒマリさんは『おすすめの文学』って言ってたけど。借りてきちゃった。
    「いいですね、文学少女。カガリ先輩のことだし、勉強って感じかな……」
    そんな感じ。お話考えるの、すっごい苦手ってことに気付いて……そしたら『まずインプットを増やそう』って話になって。インプットっていう考え方初めて知ったけど、良い取り組みだね。
    「はい、すごく重要です。ゲーム開発部でも大事にしてます……」

    ユズちゃんが手で示した先に、ゲームソフトっぽい大量の箱、鮮やかな背表紙の漫画のような本が所狭しと並んでいた。……最初にちらっと見えた時は『ゲーム開発部らしいなぁ』って思うだけだったけど、こうして言われてみると、学びの山にも見えてくる。

    「『参考資料』ってことにすると、部活の経費扱いにできちゃうので。自然とこういう感じに」
    あ、ああ……すごくモモイちゃんらしいやり方……
    「うーん……モモイちゃんだけじゃなく、わりとみんなそうかもしれません。やり過ぎるとユウカ先輩に怒られますし」

  • 48佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/04(水) 05:12:52

    『ファウスト』、『ドン・キホーテ』、『星の王子さま』……これって絵本じゃなかったっけ? 『変身』、『緋色の研究』、『オリエント急行の殺人』……これは背表紙だけ見たことある。『ジーキル博士とハイド氏』、『1984年』、『アルジャーノンに花束を』。タイトルは全部、聞いたことあるような無いようなって感じ……もしかして僕以外には有名だったりするんだろうか。
    ヒマリさんからは、タイトルで気になった物をまず、と言われていた。そんなこと言われても正直全部気になる。ええい、とりあえず一番薄いのから……

    「――カガリ、インプットをするんですか? モモイから聞きました」
    ん、そうそう。って言っても、今まで学校の図書館にあるようなのしか読んだことなくて、難しい小説みたいなの初めてだけど。
    「それなら、ぜひカガリに"ゲーム"を遊んでみてほしいです。ハードもソフトも沢山あります」
    ……い、言われてみれば。ゲームのこと全然わからないままだったかも。
    「もちろん、世界には面白いテキストもいっぱいあるので、カガリの好きな時に触れてみるのが一番だと思います。でも、初めて遊ぶゲームは新しく知ることがとても多いし……何より、楽しいと思うんです」
    そう、だね。……アリスちゃんは、おすすめのゲームってある?
    「アリスのおすすめは『テイルズ・サガ・クロニクル』です! でも、それはもう遊んでもらいましたし……うーん……ユズ、モモイ、ミドリ! 初心者におすすめのゲームって、なんだと思いますか?」

    あー……に少し似ている、ぼんやりした相槌が3つ重なった。こっちの様子を見て、その『初心者』が僕だっていうのも察したみたいで……

    「……ごめんカガリ先輩、1時間貰っていい?」
    「うん、私もそれくらい掛かっちゃう」
    「わ、わたし、それだとまだ絞り切れてないかも……」
    そんなに!? ごめん、なんか、難しいこと聞いちゃって……
    「いえ……アリス、わかります。3人のやる気ゲージが、鋭く急上昇しているのが……! 楽しみに待っていてください、カガリ!」

    ……アリスちゃんが言うなら、そうなんだろう。
    とりあえずその1時間で、読書の方を進めることにした。なんとなくだけど、これからみんなに勧められるゲーム、借りてきた以外にも今の僕が読める本を『インプット』していくる生活は、気を抜くと10日くらい一気に建っちゃいそうな気がした。

  • 49佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/04(水) 05:55:14

    「――私のおすすめはこれ、『ゼルナの伝説 マジュロの仮面』! 救世の勇者の後日談、"あと三日で滅びる世界"を駆け巡って様々な人々の想いに触れていく、とにかくどこまでも深い描写が魅力のアクションアドベンチャーだよ!」
    「ちょっ……お姉ちゃんそれズルじゃない!? 私も一瞬迷ったけどさ、それ『時のフルート』も込みじゃん!!!」
    「いいじゃん別に!!!解像度も含めて、ゲームの世界にのめり込んでもらうって考えたらこれ以上は無いの!!!!」

    「私のおすすめはこれです……『聖剣伝承 Lore of Mana』通称LoM! 分厚い世界観に裏付けられた圧巻のグラフィックとサウンド、人物たちの複雑にねじれ合う感情、歯応えのある難易度に奥深すぎる育成・強化要素……個人的には初代プラステ最高傑作だと思ってます!」
    「み、ミドリ!? おかしいって、そりゃ私も出そうと思ったけど、初心者の手に負えるボリュームの作品じゃなさすぎない!?」
    「そんなことない、普通に遊んでも面白いし感動できる!!! 年単位で遊んでもいいタイトルなんだから早めに教えてもいいでしょ!!!!」

    「2人が古典を出してくるのは読めていました。なので、わたしは新しめのタイトルから……こちら、『Celeste』です! 言ってしまえば、ただ山の頂上を目指すだけのアクション……ですが、圧倒的な難易度とユーザーライクな仕様の両立、軽快な操作感と自由度の高いマップが導く没入感、ゲーム進度に合わせて盛り上がっていく演出を合わせ、『クリアする』喜びを引き立てる仕掛が盛り沢山になっています。現代プラットフォーマーの最前線を駆け抜けた一作です!」
    「「う、うわぁ……」」
    「遠慮ないね。本気で落としに来てるっていうか」
    「いや確かに、将来的に高難易度も触れてもらうならベストの選択だけど……」
    「だ、駄目だった……?」
    「いえ、良いセレクトだと思います! 例え困難な冒険だとしても、みんなで話しながら挑めば苦しくありません!」
    「うう……アリスちゃん……」

    ……とにかく凄いことはわかったけど、細かい部分の用語はまだ耳が滑ってしまう。
    ここまで来ると僕も流石に、ゲームとは『習うより慣れろ』な世界であることを完全に察した。専門家であるみんなが選んでくれたなら、全部良い作品なはず……! 時間は掛かるかもしれないけど、一つ一つ糧として取り込んでいこう。

  • 50二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 12:41:54

    インプットは大事
    本当に大事

  • 51二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 14:53:43

    わあどこかで聞いたことあるタイトル

  • 52二次元好きの匿名さん24/09/04(水) 20:31:47

    流石に全部は忙しすぎるな

  • 53佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/05(木) 05:15:56

    ……うわあ、本当に口の中入れ……うわ、うわーーーーー!!!!! 赤っ、ピンクっ、何これ怖!!!!! うわっ後ろの歯怖!!!!!!
    「こ、こういうダンジョンなので……」
    ジョボジョボ様も痛いんじゃないのこれ、これ食道みたいなとこ思いっきり踏まれて、僕だったらオエってなって吐くよこれ!
    「そういうのは大丈夫ですよ。ほら、デコの木様も痛がってませんでしたし」
    そ、そっか。んなぁぁぁ相変わらずモンスターもいるし……え、なんか人もいる。……ラト姫ェ!? これが!!?!?

    ……あれから数日。とりあえず僕は『時のフルート』から遊ぶことになって、今は海のマップを進めているところだった。
    自由に遊ぶとは言っても、目標が決まってるとやっぱりやる気が出るので、ダンジョン1つ攻略を目安に1日5時間くらいコントローラーを握っている。……なぜか、その様子をネットに配信しながら。

    「この時代に古の名作ゲームの初見プレイって珍しいからさ、新鮮な反応を記録しておきたいんだけど。どうせだったらってことで、カガリ先輩さえよければ、ユーザーとの距離縮めるために生放送でやってみようかなーって……アーカイブ残せば録画ファイル容量も食わないし?」

    概ねモモイちゃんの提案通りにしつつ、ミドリちゃんが付け加えた『音声オンリー』『スパチャ未開放』『コメントに反応しない』という条件のもと、いろんな人に見守ってもらっている。そして、自分では把握してないけど、今のところ上手く行っている……っぽい?

  • 54佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/05(木) 05:30:32

    『時フル』が終わると、今度はみんなで集中して新作ゲーム開発の時間!
    ミドリちゃんは1人もくもくとイラスト素材の錬成、ユズちゃんとアリスちゃんが自機の操作感やモンスターの挙動をひたすら調整。そして僕とモモイちゃんで、4人が持ち寄った『ヒロイン』……"灯台守"の設定案をストーリーに合わせて吟味して、主人公の冒険にどう関わっていくかを考えている。

    ちょい、アリスちゃん。今って大丈夫?
    「! はい、大丈夫ですよ。どうしましたか?」
    ありがと。この子ってさ、『狩り』……食べ物のために動物を自分で捕まえたり、ってできる? 一応、自分の手で殺めることになっちゃうから……
    「うーん……割り切れる、と思います。周りの大人からいろいろとしっかり教わっているイメージです! でもきっと、何も感じないわけではありません」
    おっけー。シーン出来上がったらまた共有するね!

    とまあ、こんな具合である。話を聞くと、自分が作ったキャラクターは自分の子供のようにも感じられるみたいで、だからこの『すり合わせ』も中々一筋縄では行かない……でも、キャラクターは物語があって初めて輝くし、"話の流れ"をたくさん取り入れることで魅力が増す、とモモイちゃんは言う。空き時間に文学をいくつか読んでみたことで、僕もそれに同意できるようになってきた。
    大変ではあるけど、この先には傑作の存在が待ち構えている気がする……!

  • 55佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/05(木) 05:53:02

    進捗に余裕があるわけじゃない時でも、ゲーム開発部は『残業』をあまりしないと聞いていた。初めに決めた時間以上には手を動かし過ぎず、しっかり休んで次に備えて、みたいな感じでメリハリをハッキリさせるんだそう。
    しかし、今回に限ってはミドリちゃんの手がずっと動いている。10分か30分休憩を取ることはあるみたいだけど、『モチベーションが溢れ出てる』らしく、一言も喋らずにパソコンと睨めっこしていて……

    「……ね、カガリ先輩」
    ん、どしたのモモイちゃん。
    「やっぱり、『現地のキャラ』っていうか……ヒロインの関係者、もっと強い存在感で描写したほうがいいかなって。主人公の旅に連れていくって、その場所から横取りしていくようなものじゃん。そういう重みがあった方が最後の選択の時もたくさん悩めるし」
    ……有り、だと思うよ。でも、その分ミドリちゃんに描いてもらう量増えちゃわない?
    「大丈夫、な筈。頼りすぎかもしれないけど」
    まあ、モモイちゃんが言うなら大丈夫か。あとは、じゃあ……今まで考えてたイベント案ってそのまま使えそう?
    「そのままって訳には行かないけど、ちゃんと考えてあるからちっちゃい改変で済むはずだよ。とりあえず1ヶ所だけサンプルで書いてみるね」

    ……こんな感じで、ミドリちゃんに触発されて作業に取り組んでしまっていることがある。別にそれはモモイちゃんだけじゃなく、ユズちゃんはムービーシーンの仕組みを仕上げ切ってしまったし、アリスちゃんも"エニーリス"のデモ版と似た形態の2Dアクションゲームと比較しながら遊んで大量のメモを取ったりしていた。
    僕はというと、とにかく今はインプットが急務なので、普段通りに楽しく過ごしている。ユズちゃんから貰ったパソコン(これも経費扱いらしい)で『Celeste』の攻略を目指したり、進まなくなったら一旦文学のほうに移ったり……試験勉強の時とは別の部分だけど、すごく頭を使っている気がした。最近、甘いものが特に美味しく感じるようになっている。

  • 56佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/05(木) 06:07:33

    「これが私の考えたヒロイン、"シエラ"。ぶっちゃけ自分がシナリオ担当ってこともあって設定説明役をベースに作ったけど、良いキャラになったと思う!」


    「好奇心旺盛で、主人公に興味を持ってくれて、主人公が考えていることを一緒に考えてくれる、って感じかな。いつも余裕がある雰囲気で、プレイヤーから『頼もしいお姉さん』って思われる人であってほしい……みたいな!」


    「でも、なるべく弱い部分を見せないようにする癖があって、辛い時でも頑張っちゃうタイプ。そういう部分に寄り添えるかどうかも主人公に与えられた試練だから、愛着が湧くような描写をいっぱい重ねたいね」


    ──────────────────────────────


    (モモイとの好感度が相互に上昇します)


    カガリ→モモイ 70+dice1d6=1 (1)

    モモイ→カガリ 68+dice1d6=3 (3)


    ──────────────────────────────

  • 57二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 12:29:59

    元が高めだからカガリちゃんからはそんなに変化無しか

  • 58二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 16:49:38

    よくやってる

  • 59二次元好きの匿名さん24/09/05(木) 20:09:26

    手が増えたから開発がちょっとスムーズになったか

  • 60二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 05:21:19

    インプットの時間だ〜〜!

  • 61佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/06(金) 05:37:45

    -セクション2 Aパート-

    わ、わー……久しぶりに日の目を見たって感じ。ここ最近は部室に篭りっきり、食事も誰かが買ってくる購買の品に頼っていたので、こうして食堂に来るのも久しぶりだった。
    なんだかんだ僕は、ミレニアムの敷地内だと食堂に来る頻度が高い……というよりも、他のところに全然行ってない。ストーカー時代の癖で、無意識に『そこにいる人に顔を覚えられそう』な場所は優先順位を下げているのかもしれない。それでも結構覚えられてたけどね、エンジニア部のみなさんとか……基本的にミレニアムの人って頭が良くて困る。適当に生きられない!
    ……なんだか自分が情けなくなってきて、カレーを食べてリフレッシュすることにした。スパイスがどうとかで頭が働くようになるらしいです。キーちゃんと食べた思い出の味でもある! 存在しない思い出だけど。

    「……あの、佐藤カガリさんですか?」
    んむ……はいカガリです。どちら様でしょう?
    「いや、大した者じゃないんですけど……いつも配信見てます」
    はいしん……あっ、配信!? でぇぇぁう、なっ、なるほど、そういう――
    「ちょっとちょっと、どしたの急に」
    「うぇ、ごめん。いやこの人がさ、最近見てるゲーム配信の人なんだよ」
    「あーーー言ってたね、作業用にってやつ? ……待って思い出した、ちょっと前のゲ開部ダイレクトでメイド服着てた人か! 切り抜きで見たわ」
    「そうそう! 聴きやすい声で起伏あって良いんだよ、昨日水の神殿やってたんだけど、水位上げ直した時のリアクションがさ」
    あ、あはは……そうですねーあれねー……

    一瞬嬉しかったし今も嬉しいけど、それ以上に気恥ずかしいぞ。自分がどんな顔してるのかわからない。ま、まあいいか、食事に集中してやり過ごすというか……食いしん坊キャラで……

  • 62佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/06(金) 05:59:54

    「カガリさん、お勧めのゲーム探してるって言ってましたよね! ちょっと良いですか、今メモに3つくらい推してるやつ書くんで、持ち帰ってもらえると……」

    「お話聞いてる限り一日にすごい沢山のことやってますけど、何時間くらい寝てるんですか? ってか目にちょっと隈できてません?」

    「『駈込み訴え』の考察っていうか感想っていうか、チャット欄でも盛り上がってましたよ。ちょっと難解ですけど機会あったら行ってほしいのあって、『人間失格』っていう同じ作者のやつで……」

    「ユズちゃんとの距離感どうなってるんですか!!?!??!?」


    ……人が集まってきてしまった。どうして。

    まずい、確実にこのままだと良くない。僕の悪い癖というか、頭が着いていかなくてもそれっぽく口を動かして会話を成り立たせてしまうところがあって、何がまずいかと言うと今このタイミングは『言って良いことと悪いこと』の区別をミスっちゃう可能性が高い。正直なところ、僕のパーソナルデータには人に聞かせるようなもんじゃないことが大量に入っているし……ど、どうしよ――


    「うるっせえええええええ!!!!!!お前ら食堂くらい静かに使えねえのか!!!!!!」

    「「「ひいっ!!?!??」」」

    …………ね、ネルさん? 心臓止まるかと思った……

    「んぁ? おーーーー、カガリだったか。いやあ偶然だなー。なんだ、最近はライブしてるとかなんとか……あ、ってことはコレも"ファンミーティング"みたいなやつか? 悪かったな邪魔して」

    い、いや、そういうわけでも。うるさくしてすいません、わざとじゃなくて……

    「ああ、ってことはただの野次馬か、こいつら。ったく、しょうがねえな」


    ……そう言って堂々と椅子を引っ張ってきて。僕の隣に腰掛けるネルさん。すると瞬く間に人払いが済んでしまった。気を遣ってくれた……のか? どこまでかわかんないけど、ちょっと白々しかったようにも感じた。

    ネルさんはその後、体調はどうだとかちゃんとメシ食ってるかとか、普通の会話を少ししてから去っていった。……なんか、お父さんみたいだな、やっぱり。


    (カガリからネルへの好感度が上昇します)

    53+dice1d10=8 (8)

  • 63二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 10:46:29

    カガリちゃんが口を滑らせると人のスリーサイズとか出てきそうなんだよなぁ…

  • 64二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 14:13:32

    ネルパパ…

  • 65二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 22:42:40

    そりゃこんだけ上がるわ

  • 66二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 08:09:06

    優し味

  • 67二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 13:15:10

    このレスは削除されています

  • 68二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 20:16:26

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 07:45:23

    大丈夫かな

  • 70二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 12:50:54

    ネルちゃん強いぜ

  • 71佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/08(日) 20:20:26

    「えーーー!!?!? も、もうそんなに有名になってるんだ……」
    「……ほんとだ、"作業用に流してる"って人が多いね。実際、私も聞きながら素材描いてると、なんとなく捗ってる気がするけど」
    「ユズが横でサポートしている部分も話題になっています! 他のメンバーと比べると今まで人柄を知る機会が少なかったので、これを機に注目されているみたいです」
    「わ、わたし!? そっ……そんなつもりじゃなかったんだけど……」

    今なら良いだろうということで、過去配信のコメント欄を見せてもらった。おお……思ってたより流れが早くて賑わってる……
    詳細を確認してみると、動画サイト側が『レトロゲーム』ジャンルに関心を持つ視聴者を引っ張ってきてくれているとわかった。従来からのファン層の支持が得られたこと、新作"エニーリス"の情報への期待、非公式切り抜きの存在など色々な要素が組み合わさって、これまでより1段階上の評価数に繋がった……というのが、モモイちゃんの分析。そして、モモイちゃんはこう続けた。

    「ぼーっとしてる場合じゃないよ、マーケティングのノウハウを身に付けるチャンス、活用しない手はない……! この流れに乗じて"エニーリス"公式アカウントを作ろう! とにかく、新規ユーザーの獲得を狙うなら今のタイミングがベストだって!」

    お、おおー。いいね! と、賛同だけしたつもりだった。SNSのことあんまり詳しくないので、とりあえず経過を見守ろうかな、って。
    その筈だったんだけど、気が付くと公式アカウントの管理は僕がすることになっていた。……いわく、『モモイちゃんは喧嘩っ早過ぎる』、『ミドリちゃんは折角勢いづいてるから数字の数で一喜一憂したくない』、『ユズちゃんはユーザーと直接関わるのが怖い』、『アリスちゃんは素直すぎる』という、それぞれの理由で。どれもこれも言われてみれば納得できたので、最終的に引き受けた。部員になるってきっとこういうことなんだろう。

    「い、いや、消去法で選ぶわけじゃないよ!? 配信で人柄の良さは知ってもらえてるし、オフィシャルな文章ひねるの得意っぽいし……あと良い意味でオタクっぽさ無い!!これ大事!!!」
    うう……ありがとうモモイちゃん、がんばるね……

  • 72二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 21:40:47

    SNS担当か、良いね

  • 73二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 08:04:41

    モモイとアリスは絶対触れなくていいところに触れそうだからな

  • 74二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 12:18:23

    信じて送り出した新人がネットスラングに染まるなんて…

  • 75二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 13:45:59

    >>74

    嫌だよ「◯◯で草w」とか言い出すカガリ

  • 76二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 21:25:10

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 08:04:56

    頑張ろうねカガリちゃん

  • 78二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 13:12:03

    大丈夫か

  • 79二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 20:23:57

    保守

  • 80佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/11(水) 03:40:49

    「カガリ、お客様がやってきました!」
    「こんにちは。……よかった、みんな揃ってるね。ゲーム開発部に、改めて話しておきたいことがあって出向いたんだけど」

    ……振り向くと、そこにはウタハさんが立っていた。話しておきたいこと……あー、うん。あの話かな。僕の意図が伝わったのか、5秒くらい視線が合い続ける。ウタハさんは何やら気まずそう顔をしている……
    『大丈夫です、覚悟はしていたことなので』という意味で、ぐっと親指を立てる。するとぐにゃっとウインクが返ってきた。よくわからないけど合意は取れたので、ミドリちゃんからちょっと不審がられつつもテーブルを囲み、本題に入る。

    「まず、謝らせてほしい。今回は本当に申し訳ないことをした」
    「お、おお!? 何、ウタハ先輩なんかやったの? 今のところ何も壊れてないんだけど」
    「いや、物損ではない。……以前、そちらの部員のカガリさんに、詐欺まがいのやり方で借金を作らせたことがあって」
    「! もしかしてレターパックで現金を送らせましたか?」
    「違う、いくら私でもそんなことはしない! ……まあ、これを見てほしい。改めて持ってきた」
    「領収書……キャンバス代に、110万2000円? カガリ先輩がですか??」
    あはは……いろいろあって……
    「意図としては、モモイがこの前話してくれた……"自分のとこの部員にしてしまおう"というアイデアに、少し近い。早い話が、お金の繋がりで縛っておこうと思ったわけだ。彼女、一体どこの誰が面倒を見るのか、あの時はハッキリしていなかったから」

    ウタハさんと並んで座っているこっち側の席に、険しい視線が突き刺さる。……や、やっぱり難しいですってこの話!!! 確かに強引な方法だったかもしれないけど、だからってこんな、今から指詰めますみたいなトーンで喋らなくても……

  • 81佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/11(水) 03:44:52

    「いや、かえって気を遣わせるのも良くないか。本題に入ろう。今回、お詫びも兼ねて、何か今のカガリに……ひいてはゲーム開発部に対して、私から助力できることはないか、と思ってね。提案があるんだ」
    提案、ですか?
    「うん。カガリ、そろそろ『プログラミング』に興味が出てくる頃合いなんじゃないか、って推測していて」
    あー! ……無い、ってことは無いです。ええと、それはつまり――
    「お、お願いします!!!!!!」
    ユズちゃん!??
    「……はっ! ご、ごめんなさい、つい……」

    ユズちゃんの表情が……なんか、『溢れ出る』みたいな感じになってる。久しぶりに見た。
    まあ……パソコンと睨めっこしてる時のユズちゃんって凄い顔してるし、そこに人手が増えるかもしれないなら、当然の反応かもしれない。しかし、手伝えるようになりたいのは山々だけど……まだ日程には余裕があるとは言っても、今日1日と締め切り目前最後の1日で長さが違うわけでもないし……

    「新作の開発に取り組んでいるという話も聞いてる。暫くの間はそっちに専念してもいいし、ぱっと身に付けてすぐ活用してもいい。その辺りはみんなで相談できた方が良いかと思って、今日こうやって直接話しに来た」
    で、ですよね。うーん……
    「ぜひ行ってきてください。こっちはわたしが何とかします」

    ……ユズちゃん??????
    僕はかなりびっくりした。僕はユズちゃんに対して、一回制止された上でさらに二回目の突きを繰り出してくる印象を持ってなかったので、何か尋常ならざるものを感じたのである。や、やっぱり僕、彼女について知らないことが多すぎるのかもしれない……

  • 82佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/11(水) 03:54:46

    「ちょ、ちょっと、ユズ!? いやっ駄目ってわけじゃないんだけど、その、一応我々とも相談してほしいといいますか……」
    「……ユズちゃんが部長だし、ゲーム作りも私たちの中で一番長くやってるから、意見が割れたりした時は頼ることもあるけど。でも、今は普通に話し合っても大丈夫な時だし」
    「あ、あぅ……ごめん、みんな……」
    「……ユズがこんなに強く意見するの、珍しいです。どうしたんですか?」

    なんとなく、自分が関わることなので、理由の難しい居心地の悪さを感じる。でも、しっかり聞いておいたほうが良いような気がした。

    「そ、その。色々あったけど、わたし、カガリ先輩と話せたこと、あんまりなくて」
    「あー。まあそっか、確かにユズと話してるとこあんまり見ないかも」
    「それで……話すためのきっかけ、ほしいな、って……思って……」

    ……テーブルをぐるっと見回す。平然と聞いてるのがモモイちゃんとアリスちゃん、なんだか納得したような顔なのがウタハさん、ぽかーんとしてるのがミドリちゃん……と、僕。すぐ納得するには、ちょっと予想外すぎる言葉だった。
    話すためのきっかけって……えっ、僕と話すのにきっかけって要るの?? むしろ自分のことは『話し掛けられたらすぐ応じてしまうタイプ』だと思っていたので、ハードルがよくわからなかった。ユズちゃんから見たら近寄りにくかったりするのか? 

    (注記:ダイスの結果、当スレの花岡ユズは佐藤カガリに対して95の好感度を持っています)

  • 83佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/11(水) 04:15:54

    「カガリ、"第1の試練"のクリア判定はもう受け取りましたか?」
    しれん? あー、あの……全部で4つある……ど、どうだったっけ……?
    「はい、第1の試練のボスはユズでしたよね」
    「ご、ごめん、伝える暇無かったかも。あの時はいろいろ頑張ってもらっちゃったし、クリアでも――」
    「いえ、そうではありません。その時アリスはこう言ったはずです、『"試練"だと言えばカガリは大抵のことに付き合ってくれると思うので、』と」
    うーん……否定できないかも。僕が上手くできるかはともかく。
    「なので、試練がまだクリアされていないのなら、もう一度同じことをしてみても良いはずです!」
    「……待ってアリス、それってつまり」
    「か、カガリ先輩っ! 試練です、エンジニア部でプログラミングを勉強してきてください!」
    ……な、なる、ほど??? いや、僕は元々良いんだけど、みんなが大丈夫か……
    「うーむ。ミドリ裁判長、判決は?」
    「…………無罪!」

    誰が始めたのかわからないくらいだけど、無罪の一言に拍手が湧く。とりあえず合わせて拍手しておく……

    「アリスちゃん、4つある試練のうち1つって私とお姉ちゃんで出していいんだよね?」
    「はい! その後他の誰かに残り2つの試練を任せて、最後にラスボスのアリスが待っています!」
    「ならいいや、みんなカガリ先輩に言うこと聞いてもらう権利は持ってるってことになるし。一応それで公平」
    試練って僕に言うこと聞いてもらう権利だったの……??
    「……でもカガリ先輩、実際アリスちゃんのこういうイベント拒めないんだろうなって」
    はい……お手柔らかにお願いします……

  • 84佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/11(水) 05:33:20

    「今のところ、馴染んでいるみたいだね」
    ……そうですか? 自分だとむしろ、いつまでもお客様気分になっちゃってるなー、とか思ったりしてて……
    「その辺りはあまり重要ではないと思う。勿論、心の持ちようも大事だけど……その心配が必要かどうかは、考えなくてもいずれわかるさ。わかってから考え始めれば良い」

    向こうでの気分転換用に2冊ほど本を持って、エンジニア部に向かう道中、ウタハさんが思い返すように言った。

    「言い換えてみる。今のところ、仲が良さそうに見えた」
    仲が、良さそう……うーん。一応、怖がられたりはされずに済んでるみたいですけど、それ以上はわかんないです。
    「それで充分だよ。それだけで毎日会話ができる」
    ……逆に、僕はみんなと話すの、まだちょっと怖かったりしますし。
    「それでも十分じゃないかな。毎日会話をしていたら慣れるはずだ」
    ええーーーーっ……それでいいんですか????
    「ああ。だって、あの子たちと比べたら、私の方がずっと怖く感じるだろう?」
    ……まあ、それは。
    「覚えていないかもしれないけど。カガリは、初めて私と話した時よりも、今の方が明るく話してくれていると思う……つまり、私が相手でさえ慣れるのだから、いずれあの子たちとのやり取りも慣れていくのは、ほとんど自明だと言える」

    ……言葉を紡ぐペースがあまりにも滑らかで、かつ迷いが無さ過ぎて、どこまで本気で言ってるのか逆にわからなくなる。
    でも、深読みするようなことも無いかも。なんとなくだけど、頼もしいっていうか……こうして人に知恵を話すことが、これまでに何回もあったんだろう、と想像させるような雰囲気を纏っていた。まさしく、"先輩"って感じの。



    (ユズのお願いにより、Aパートの行動が自動でエンジニア部でのプログラミング講習に変わりました 生きてればそういうこともあります)

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 11:10:39

    押しの強いユズは新鮮だ

  • 86二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 16:40:26

    こんなこと言うのもあれだけど
    ちゃんと先輩やってるウタハって逆に違和感あるな

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 20:27:56

    カガリちゃんが万能助っ人としてパワーアップしていく

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 08:14:39

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 14:19:22

    色々やれるようになると楽だからね

  • 90二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 20:21:11

    保守

  • 91佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/13(金) 04:12:44

    「ああっ、こんにちは! 本日はよろしくお願いしますね!」


    エンジニア部にやってきた。……『私は余計なことを言いません(本当です)』って書かれた板を首からぶら下げているコトリさんに出迎えられ、ちょっと言葉を失いながらも、案内に従って進んでいく。途中ヒビキさんとも目が合って会釈しました。


    「さて。事前に確認なんだけど、プログラミングの知識はどの程度持っている?」

    う、うーん。1回教わった筈なんですけど、ほとんど忘れちゃってて……『どういうものか』だけ覚えてる感じです。"事前に指示した通りに働いてくれる小人みたいなもの"って言われたかな。"小人の言葉を覚えれば覚えるほど、指示できることが増えて人間の仕事が減る"とか。

    「ふむふむ」

    あとは……"エラーが出たらとりあえずそのエラーの文言をそのまま調べろ"って言われたことくらい。

    「ああ、完璧だね。さっそく実践に移ろうか」

    ええ!??


    ウタハさんの手がマウスをかちかちと操作して、濃灰色の壁に何やらカラフルな文字がずらっと並んだような画面を表示した。これは……いわゆる『コード』ってやつ……


    「ひとまず、サンプル用のコードを5通りほど準備してみた。それぞれを観察して、『何を目的に書かれたコードであるか』を考えてみると同時に、その中にある『自分の知識で理解できた部分』をマークしてみてほしい」

    うひゃー……め、目が滑る……

    「まあ、斜め読みで構わないよ。言い当てさせる気が無いものも混ざっているし……あくまでも、今の知識量を調べるものに過ぎないから」


    ……や、やってみるか。ここは本題じゃないみたいだし、さくっと。


    dice5d100=10 19 90 50 44 (213) 技術ステータス(52)以下で成功

    dice5d100=81 5 10 68 81 (245) ゲーム:制作ステータス(49)以下で成功


    dice1d100=47 (47) 神秘ステータスの半分(42)以下で成功

  • 92佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/13(金) 04:31:44

    ……よくわからない部分が思ったよりも多い!!! この辺りとか……前後の繋がりから考えるに、『何か数字を受け取って、その数に応じた何かを次の場所に渡す』みたいなことをしていそうなんだけど、その内容にちっとも検討が付かない。……この考え方も国語っぽすぎるし。向いてないんじゃないですか僕。
    いや、でも、わかった部分もあるから、言うだけ言ってみよう! 試験勉強の時、先生から教わった"部分点"っていう考え方だった。まあ、転入試験は機械が採点するっぽかったから、活かす機会に恵まれなかったんだけど……

    「……ふむ」
    ど、どうでしょうか。前半はちょっと自信あるんですけど。
    「これ、本当に未経験かい?」
    「かなり良い線行ってるよね。想像って言われても納得できないわけじゃない、けど」ひょこっ
    わ゛ーっ!? あぁヒビキさんか……いつの間に背後に……
    「……人から教わったにしても、その順序が不可解だね。"こっち"を先に覚える初学者なんて存在しないと思うんだけど」
    ……ど、どうしました?。
    「どうもこうも、もしもこれが少しの予備知識だけで得たスコアなら、かなり奇抜な才能を持っていると言わざるを得ない」
    「……例えるなら、ロボットの友達がいるのかなって感じ。フランス語の変な単語だけ、又聞きで覚えちゃうみたいな……そういう覚え方になってる。普通、プログラミング言語だとありえないことだけど」
    ……ロボットの、友達……
    「飛び級教育はちょっと危険かな。ちゃんと基礎から固めていこうか、この分ならさほど時間も掛からないだろう」

  • 93佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/13(金) 05:12:42

    「さて。ひとまず今日は、"実際に動かせるコード"を書くところまで進みたいわけだけど……この時点で1つ伝えられることがあるから、先に言っておく」
    は、はい。
    「さっきサンプル用と言って読んでもらったコードに、実は『ゲーム的』な要素も交ぜてあったんだ。4つ目のこれだね」
    ……あー。僕はこれ、"扇風機の首の向きと風の強さを決める"みたいなやつだと思ったんですけど……
    「簡単に言うと、これは『物を投げる時、その重さや大きさ、投げる角度と早さから、着弾地点を計算する』プログラムだ。その気になれば1行で完結する代物だけど、要素を切り分けて書いてある」
    全っ然違う!!!!!!!
    「そして。何故こういう勘違いをしてしまったかについて。少し推測になるんだけど、考えがあってね」

    そこでウタハさんが、何かを少し考えるような……目を背けるような素振りをした後、眉を寄せながら言葉を紡いだ。

    「……カガリ、もしかして数学がすごく苦手だったりするかい?」
    うぐっっっっっ!!!
    「私も詳しいわけではないんだが……ゲームの開発って、物によっては高校数学の知識をかなり使うらしい、と聞いていて」
    え、えええ……そんなああああ……
    「こればっかりは改めて勉強する他にないかもしれない、と、私は思っている」
    「ふふ。安心して、カガリ」
    ……ひ、ヒビキさん? 安心とは。
    「"学んでいる知識が何に役立つものなのかわかっている時のほうが、勉強の進みは早い"。プラグマティズム、だよ」

    それってプラグマティズムっていうんですか? ……後で調べよう。ともかく吉報というか、ちょっと勇気が貰える考え方だとは思った。やってみるか……数学……

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 08:21:20

    すごく先輩だ…

  • 95二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 13:31:50

    でも技術的にはそこそこ理解できてるのは大きいぞ

  • 96二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:45:05

    頑張って覚えるしかないか

  • 97佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/14(土) 05:44:26

    「ちょっと長くなってしまったけど……第一目標について。今回の講習では『一般的なパソコン環境で動かせる、オーディオ再生ソフト』の完成を目指してほしい」
    えーっと。オーディオっていうのは、つまり……音とか声とか……
    「その通り。……ただし、今回は最初だから、『音声ファイルを再生する』という根幹の機能に関しては、自力で作り出さなくてもOKとしよう」
    再生する機能以外……えっ、それ以外に何か手を付けるべき場所あります??
    「ある。『再生』、『停止』、『一時停止』、『音量バー』……カガリは確か、デジタルカメラを持ち歩いていたことがあったはず。あれの映像再生の部分と概ね同じだ」
    あー! わかりやすい!
    「言い換えれば、"クリックなどの操作で動いてくれる機能"を自分の手で作ってみることが、第一目標の趣旨だね。これは用語だと、"ユーザーインターフェース"と言って……概ね、全ての形式のコンピュータゲームに組み込める部分だと思う。覚えておいて損をすることは絶対に無い。多分」

    それと。と呟いてウタハさんが開けた引き出しの中から、ものすごい数の本……参考書? が、出てきた。こ、これは……

    「基本、インターネットで調べれば疑問の答えは出るだろうけど……カガリはこういう、物理書籍を直接眺める方が性に合っているかもしれないな、と思ってね。使わなくてもいいけど、一応」
    わああああありがとうございます!!! 本当に何から何まで……
    「礼には及ばないさ。そうだね、キーボードと検索エンジンの扱いにも慣れてほしいから、まずは自分でネットを使った調べ物を試すところから始めてほしい……んだけど」
    「………………」ウズウズ
    「……特に難しいと感じた部分は、コトリに聞いてみることをお勧めする。というか、お願いする」
    ああ……
    「いや、説明の的確さは私が保証するよ。それに関しては本当に間違いない」
    「ふふん、お任せください! 見ての通り、今回は余計な情報を増やさないよう、特に! 気を付けていますから!」

    コトリさんが拳でどんと胸を打つ仕草をした時、『私は余計なことを言いません(本当です)』という札から乾いた音が鳴った。……頼もしい!

  • 98佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/14(土) 06:13:57

    「……『何がわからないのかわからない』、といった様子ですね。ではまず、"開発環境の準備"から始めましょう!」

    あっ……はい!

    「ここも選択肢はいろいろと存在しますが、ユズさんが以前仰っていたものと同じ、C#という言語をベースに始めてゆきます。恐らくですが、ここで覚える内容はそのままゲーム開発部での活動にも使えるはずです!」

    た、助かります。

    「いわばこの準備は、『文章を描くために紙とペンを用意する』に等しい段階です。基本アプリの導入から便利なツールの追加まで、私のマシンを使って手順を辿っていくので、そちらのマシンで真似してみてください!」


    一気に始まった!!!! ちょっと気圧されながらも、言われるがままにぽちぽちと文字を打ち込んだりしていくと、"開発環境の準備"とやらは意外にも早く済んだ。いわく、「拘ることもできるけど、初めはこのくらいでも不自由しない」ということらしい……


    「よし、ここまで来てしまえばこっちの物です。極端に言ってしまえば、必要なものを必要な順番で、手順通り投入していくだけ……さながら料理のようなもの!」

    じゃ……じゃあ今、目の前に広がってる真っ黒い画面は、台所みたいな。

    「そうかもしれません! さて、まずはウタハ先輩が『根幹の機能は自分で作らなくても良い』と仰っていたのに従いましょうか」

    はい! ……えーっと、自分で作らない場合は……?

    「ううむ。私も調べたことはありませんが、ネットを探せば無料でそれっぽいのが転がっているんじゃないでしょうか……?」

    転がっている!?


    にわかには信じがたい表現だけど、コトリさんが変な冗談を言うタイプとも思えなかった。調べて……みる、か……



    (ここからは状況に合わせてダイスロールを何回か行っていきます 流石にずっといるわけではありませんが、コトリが後ろにいる時はわかりやすく上方補正が入ります)


    dice1d100=80 (80) 事務ステータス+30(96)以上で成功

  • 99二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 10:17:00

    目標数値たっか
    良いところまで行ったけど分からないから分からなかったかな

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 13:13:39

    難しいな

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:53:23

    むっず

  • 102佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/15(日) 04:44:15

    >>98

    (すいませんめっちゃ表記ミスってました (96)"以下"で成功です、この場合ちゃんと成功してますねごめんカガリちゃん)


    ――あれこれ検索に突っ込むワードを試行錯誤して辿り着いた、なにやらミレニアムの人が書いたっぽいごちゃついた日記のようなページからリンクを辿り……うわっ英語のページ。隅から隅まで英語で書かれたごちゃついたページに飛んで……うーん、ダウンロード? さっきはダウンロードだったな。ダウンロードにしてみるか……


    「はい、良い感じです! 先程と同じくエクスプローラーから開いて……これは本体とreadmeが同時に入っているみたいなので、本体の方をこちらのウィンドウに放り込みましょう」

    放り込む……そいっ。うわーーーーなんか沢山入った!!!!!!

    「よし! 後はソフトとして実行すれば……実行できればいいのですが」

    ……え、実行していいですか?

    「もちろんです。実際に試してみるまで何もわからないのが、プログラミングの世界ですよ」


    実行させてみたところ、ちょうど鉛筆を2本束ねたような縦幅の、真っ黒いウィンドウが新しく出てきた。……何も書いてないと不安になる!!


    「ええと、readme読みましょうか。すみません、本来なら最初に読むものなんですけど」

    いや大丈夫ですわかります、とりあえず触りたいですよね。……えーっと、"位置で指定されたファイルが音声だった場合、それをマシンが認識しているオーディオに再生させるだけの簡単な"……

    「……あ。そういえば音楽ファイル用意してないですね……ヒビキ、今大丈夫ですか? そっちの方に余っているUSBとか――」

    「大丈夫、話は全部聞いてた。この中におすすめの音源入ってるよ」

    「さすがに話が早すぎます! 助かりました、ではこれを……あ、ここですね」チャキ

    ……えっ、それデータ入ってるの差したらすぐ使えるんですか!? 便利!!!

    「そうです!!! こちらUSBと言いまして、略さずに言……っと、危ない危ない、横道に逸れるところでした」

    「コトリ、楽しそうだね」

    「はい、すごく! なんでもそうですが、入門者のリアクションというものは凄まじく脳を健康にしてくれますね!」

  • 103佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/15(日) 05:11:32

    この、ファイルを位置で指定っていうのは……

    「エクスプローラーの画面の、この上の部分が図としてわかりやすいですね。○○区××市という住所の書き方に似ています」

    ああー。ってことは、この"001.mp3"を、……タイピングで入れる?

    「いざという時は手入力も出来ますが、右クリックから『パスをコピー』が間違いありませんよ」

    なるほど! ……よし、これを細長い所に持って行って……えーっと、エンター?


    『『『デッデレデレデン!!!デレデレデン!!!!』』』


    な、流れたーーー!!!うれしい!!!!

    「おめでとうございます!!!」

    「ふふ、おめでとう。良い曲だよね、グルメレース」


    『『ペー ポー ペーペーポー ペレペーポーペーポーペーペーポー』』


    ちょ、ちょっと音大きいかも。えと、止めるには……

    「今のところ、ウィンドウを消すしかありません!」

    ……そっか、それを作るのが僕の任務か。作るというか……"実装"?

    「そうですね! ということでここから、改めて質問があるまで、私は見守るだけになります」

    えっ!!? そ、そんなぁ……

    「先程までの、『何がわからないのかわからない』という状態は、少し抜け出せたと思います。つまり、カガリさんは『質問』の内容を考えられるようになりましたし……私の説明ではなく、参考書やインターネットに答えを求めることもできるようになった、はずです!」


    コトリさんが「できる」って言ってくれるなら、とりあえずやってみようかな……って気持ちになった。やっぱり僕って流されやすいのかも、みたいに少し思ったけど、どっちかというとこれはコトリさんが凄い気がする。



    dice8d100=91 44 56 1 53 66 39 47 (397) 技術ステータス+10(62)以下で成功

    dice1d100=5 (5) 神秘ステータスの半分(42)以下で成功


    dice1d100=25 (25) 目安は芸術:視覚ステータス(25)

  • 104佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/15(日) 05:40:01

    と、とりあえず、曲を止めたり動かしたりする方法を調べて。その時……いや、その時に限らず、いろんな説明の文章のの頭の方にある『○○の前に、まず××をする必要があります』みたいな部分を読んでは、なにそれ!!!! と思ったりして……
    そっちは(雑だけど)一旦やっつけたから、次は曲流すたびにパス名から入れなきゃいけないのをなんとかして……こういう一見難しそうなやつほど、意外と先人がどうにかしてくれてるから、素直にそれに倣って……
    あと、音量バー。作ってる途中で1回「数字を直接入れればいいじゃん、バーにする必要ないじゃん」って思いかけたけど、銃がほしい人に「直接投げればいいじゃん」って言って弾だけ渡すような人がいないのと同じで、バーのほうが良いんだろうな、って思ったから頑張って……
    地味な作業の途中で話し相手になってくれたヒビキさんの、「連続再生とループ再生とシャッフル再生もあったら嬉しい」という声も、無理でも怒らないでほしいですと言いつつ、試行錯誤してみて……

    ――ひとまず、まあ、やり残したこともあるけど、あくまで今の自分が作るものとしては、けっこう良いかもしれない。というものが、一応完成した。


    「……で、出来たのかい? コトリの助言も込みで、ギリギリ今日中に収まらないくらいかと思ってたんだけど……」
    「いえ、思ってたほど喋らせてもらえませんでしたよ。ウタハ先輩の読み通りと言いますか、本という形で情報が転がっていると食いつきがすごいみたいです」
    はい。ちょっと首と肩がごりごり言ってるので、今日はこの辺りで勘弁していただけると……一応仕上げっぽいことはしましたので……
    「いや、いくらでも時間は掛けてもらっていいんだけど。でも、そうか……それならこっちも、その気で見てみようかな」

  • 105佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/15(日) 06:14:08

    「…………ふふっ」
    え゛!? な、もう何か変なところありました……???
    「いや、変ではないんだけど。デザインが」
    デザイン……は、自分でマウスで描いただけです。ペイントツール? っていうの、使って……
    「良いですよね、このレトロな感じ。胸の中に眠っていた幼少期の何かが思い起こされます」
    「ああ、良い、この音量バーの"つまんでる感"、グッと来る。ロマンを感じる……」
    な、なんか気に入っていただけたみたいで……その、機能面のほうは変な部分ありませんか?
    「おっと、そうだったね」

    ウタハさんの操るカーソルがウィンドウ上部に進み、『ファイル』から『開く』からmp3までぱぱっと辿り着いた。メジャーっぽい形式に従ったおかげか、見た目で迷わせずに済んだっぽいかも……

    「ふむ、一時停止と再生……ちゃんと動くね。シークバー……バグを狙って振り回しても、挙動は正しいまま。10秒戻す、これも問題ない。倍速は……うん?」
    あっ、そこのボタンだけハリボテです。実装できませんでした……なんか音が高くなっちゃって……
    「なるほど。しかし、初めてでこれなら上出来すぎるくらいだよ」
    「うん。せっかくだから配布しようよ、これ」
    やったーーーーー!!!! ……今ヒビキさんなんて言いました?
    「配布。つまり、ネット上に公開して、誰でもダウンロードして使えるようにする……」

    ……ぴたっと凍り付いた僕の様子を見て、コトリさんがやんわり止めてくれた。

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 07:44:06

    やったねカガリちゃん

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:17:30

    ケイちゃんのご加護かな?

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 21:22:07

    初めてでここまで出来れば十分だわ

  • 109佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/16(月) 05:33:48

    「一つ区切りが付いたことだし、今日はこの辺りにしておこうか。これ以上はユズとの連携を意識しながら学んだほうが話も早いと思うよ」

    「あ、ついでですし、幾つか参考書を持ち帰ってはどうでしょうか? 先ほど斜め読みした限りですが、これと、これと……このシリーズが良さそうです!」

    「ふふ。お疲れ様、カガリ。また何か悩み事があったら、いつでも来てね」


    ということで、帰路。持参していたパソコンと、そこに追加で参考書数冊が入った紙袋を抱えて、てくてく歩く……

    実際のところ、貸してもらった参考書以上の何かを持ち帰っているように思えてならない。たぶん"知識"とか、"スキル"とか……そうやって言い表せるもの、ということにしてみる。試験勉強も知識の一部だけど、ここまで『劇的に自分の頭の中で何かが変わった』って体感できた点で、他の知識とは全く違っている気がした。

    ……気付いたらそれなりに疲れてるなぁ、自分。頭の変調も含めて、これはもしや"特異性"がまた暴れてるんじゃないか、いや別にただ脳みその運動に疲れただけなんじゃないか、と行ったり来たりする。本当のところはわからなかった。



    (技術ステータスの半分の値を基に、「プログラミング」ステータスを新たに獲得しました 講習で振った技術ダイスの成功数ぶんだけ追加で成長させて実数値を決定します)


    プログラミング dice10d3=3 2 2 1 1 2 3 2 3 1 (20) +26

  • 110佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/16(月) 06:07:18

    「あ、おかえりー。こっち割と良い調子だよ」
    ただいま。何よりじゃん。
    「そろそろ中間会議かもねーってさっきユズと話してて。カガリ先輩も、次は何取り組みたいか考えとくとよさそうかな。軽くでもいいし」

    ありがと、と返していつものポジション(棚の真横の陰)に座り込む。……あれ、そんなにお客様気分じゃないかもしれないな、僕。本当に"お客様"だった時は、僕が来るだけでちょっとした騒ぎになってたわけだし……これも進歩か。自分自身が何か変わったような気がしていなくても、周りのことは関係なく変わっていくのかもしれない。
    ……ちょっとまだ、プログラミングに頭を引っ張られている気がする……そっか、集中しちゃった分、メモ取りとか殆どしてなかったっけ。今からでも思い当たることは書いておこう、ちょうど成果物はあるんだし、改めて睨めっこしながら――

    「おや? カガリ、そのアプリケーションも何かのゲームですか?」
    ん、アリスちゃん。これはねー……なんか、音楽流すやつ。僕の勉強の一環ってことで、いろいろ教わりながら作らせてもらっちゃった。
    「……作ったんですか?」
    うん。もうちょっと丁寧に出来たかもしれないけど……
    「ユズ!!! カガリがこっそりアプリケーションを作って持ち帰っているのを発見しました!!!!」
    アリスちゃん!??!?

  • 111佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/16(月) 06:23:45

    呼び掛けに反応した首が赤い髪を置き去りにするスピードで振り返って、両手両脚を使いながらだばだばと駆け寄ってくる。僕を半分くらい吹き飛ばしながらパソコンの前を占有したユズちゃんが、まるで小さい文字でも読むみたいな近さですばやく画面を睨んだあと、訝しげなトーンで口を開いた。

    「これは……オーディオ再生ソフト、ですか?」
    そう、そんな感じ。再生機能部分は拾い物なんだけどね!
    「なるほど。ということは、カガリ先輩が作ったのはUIの部分ですね」
    ユー……確かそう、ユーなんとか。ウタハさんから『ゲーム開発にも役立つ』って聞いて。
    「……なんで言ってくれなかったんですか……??」
    えっ? ……い、いや、隠すつもりじゃなかったよ!? 頃合いを見てさっくり発表して、あと意見とかも貰おうかなって……
    「そうかもしれませんけどぉ……」
    「どったの。カガリ先輩が何か作ったって?」

    平然と僕の膝に乗ってくるモモイちゃんの頭が顎に軽くぶつかってきた一方、しれっと後ろに立っていたミドリちゃんの頭部がつむじの上に乗っかってきて、にわかにロックされる。うごけない……

    「えっ何これ、デザインダサっ」
    ぐうっっっ……
    「お、お姉ちゃん、これ多分カガリ先輩の手描き……」
    「……ホントだ、ペイントで描いてある!!! ごめん!!!!」
    べ、別に? エンジニア部では好評だったし――
    「おおっ、すごい、ちゃんと触ったら動く! え、コード読んでみていい? 読むっていうかユズに読んでもらいたいんだけど」

    スッと貶された直後にどーんと褒めてもらい、リアクションの取り方がすごく難しい。モモイちゃんってこういうところある。なんだか思ったよりみんなの興味を惹いてしまったというか、なんだかお祭りみたいになってしまっていた。
    ……僕の作ったもので、理由がどうあれ楽しそうな様子が見られるっていうのは、ちょっとどころじゃなく高揚感がある。ちょっとはしたないとも思った、けど、なんとなくこの気持ちはいつまでも新鮮に覚えておける気がした。

  • 112二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:17:25

    やったぜ

  • 113二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 20:49:14

    楽しいのが一番

  • 114佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/17(火) 05:16:31

    中間会議。正直、今の自分のことを『プログラミングが出来る』と思っているわけではないんだけど、そんな僕が"エニーリス"のコード作成に参加することに関して、みんな全く異議を唱えなかった。……い、いいのかなあ。頑張りますけど。
    今のところ一番順調なのがミドリちゃんで、壁・地面・扉みたいに汎用性のある絵(テクスチャ?)は殆ど描き切っちゃって、一足飛びに主要キャラクターのデザインを練り始めているらしい。。
    反対になんとも言えないのがモモイちゃん、いわく『埒が明かないから全ボツ覚悟で全部のストーリーライン繋げてみた』とのこと。……うん、後でそっちも確認しないとだな……

    「――なるほど。数学っぽいのが得意じゃないんですね」
    めんぼくないです……
    「いえ、大丈夫だと思います。今回、そういう演算が絡む部分の方が少ないので」

    ユズちゃんのパソコンを横から見せてもらうと、多機能メモ帳アプリみたいな物の中に"開発TODOリスト"と銘打たれた羅列が広がっていた。わ、わー……小説と同じくらい文字の密度が高い……

    「うーん、複雑そうなものは除外……あと処理が横方向に飛び回るのも避けて……なるべく手を動かしてる時間の方が長くなりそうな……」
    ……えっ。まさかこれ、1行につき1つの作業なの?
    「は、はい。なので本当に、人手が増えるのは有難くて……あっ! これお願いしたいです!」

    ユズちゃんが示した『会話パートの実装』のコードを、僕が担当することになった。……踏み入った沼の足元の深さを少し思い知ってしまい、ここで躓いてられない気がしたので、ちょっと気合いを入れ直した。

  • 115佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/17(火) 05:35:37

    会話パート……会話パートかあ。『時フル』にも『Celeste』にも入ってるし、なんとなく身近に感じるけど、ゼロから作るって思うと想像しづらかった。

    とりあえず『イベントが発生する時』共通の構文を共有してもらったので、ここを起点に考える。こういう時、"外側"から順番に組み立てると良い気がする……会話の外側……こう、"会話"という物体を、左右から両手でギュッと掴んでみたとして、実際に手の平とくっ付くのってどこだろう?


    「! カガリがダンスを踊っています、珍しいです」

    踊ってないよ!!!ただの身振り手振りだよ!!!!


    ……大げさに空気を掴んでいる様をアリスちゃんに見られてしまいましたが、ちょっと思い付きました。

    どんな会話にも『始まり』と『終わり』があって、違うのはその中身だけかもしれない。つまり、『①イベント発生→②会話パート開始→③会話パート終了→④イベント完了』という仕組みだけ先に作っておけば、そしたら後は"内側"……②と③の間に何を入れるかっていう簡単な話になるんじゃないでしょうか。よしっ、一旦この方針で……駄目なら駄目で考え直そう……



    dice1d100=25 (25) プログラミングステータス(46)以下で成功

  • 116佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/17(火) 06:01:20

    ――よっ、よかったーーーーーーー。調べたらそれっぽいの見つかった、助かった。
    結局、今の僕のプログラミングの成否を分けている要因は『調べ物が成功するか否か』だった。改めて、コトリさんが後ろにいてどんな疑問にも答えてくれるというあの環境が、尋常じゃなく恵まれた環境だったことを思い知る。頑張って独り立ちする必要がある……
    ええと、画像の呼び出しに使う構文が……確かこうで、画像置き場がここ。おおー、ミドリちゃんが描いたっぽいメッセージウィンドウらしきものがある! 画面に貼り付けて……この辺『会話パート開始』ごと括った方が良いかな。それで、これは下半分に表示するようにして、左上の隅から文字送り……あっそうだ過去ログの表示も頼まれてて……いや後にしよう、右端まで行ったら改行……後から立ち絵も来るんだったよね、サンプル画像引っ張ってきてテストして、ああこれちょっと手間掛かるかも……

    「……か、カガリ先輩……大丈夫ですか……?」
    ふぇっ? だ、大丈夫って……大丈夫だと思うけど。
    「その。2時間くらい、首の角度が全然動いてなくて」
    あ、確かにちょっと凝ってるか……も……? えっ、2時間!!?!?!?
    「はい……」

    時計を確かめてみると、正確には2時間と20分くらい経ってそうだった。うわーんどおりで身体がちょっと重い! ……えっ、本当に2時間経ってる? 体感だと30分くらいだった。というか、書き上がってるコードの文字の量を見ると、10分だったんじゃないかって考えた方が自然な気すらした。
    それなら流石に、休憩した方が、いいか。……もしかして手が遅いんでしょうか僕は!!!! こ、これも実力不足ってことでしょうか……

    「え、えっと……」
    はっ。ごめん、またぼーっとしてたかも……
    「いえ、その……無理は、しないでくださいね。……わっ、わたしも気を付けるので!」
    わかった。ありがとね、声かけてくれて……

  • 117二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 09:59:57

    集中してると時間が消し飛ぶからね
    あるあるだね

  • 118二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 13:08:10

    首ガッチガチやで

  • 119二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 22:34:21

    保守

  • 120佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/18(水) 05:05:08

    「――ふむ。コードを書き上げるスピードの改善、か」

    はい。ちょっと身の程知らずかもしれませんけど……でも、自分の性格的に、やってれば自然と早くなっていくような気もしなくて……

    「悪い目標ではないと思うよ。プログラミングで、よりシンプルで簡易な方法を探すことを美学の一つとする人もいるし……しかし、どうやって鍛えればいいものか」

    「……あ。それなら、私にいい考えがあるかも」


    日が変わって、講習2日目。自分視点でもちょっと無茶なお願いだったけど、動く椅子(?)に載って一度奥に消えていったヒビキさんには、何か考えがあるようで……


    「お待たせ。カガリ、これあげるね」

    え、ありがとうございます。……甘い匂いする。

    「ちょっと前にメカ作りの依頼を納品した時、依頼者さんからオマケで貰った、珍しいチョコのお菓子。私にはちょっと、甘すぎたんだけど」

    ……あっっっまい!!! こ、このカリカリした食感、糖分がほとんどそのまま固まってる時のカリカリじゃ……

    「今から"お題"と"制限時間"を言うから、そのお題に沿ったプログラムを、時間内に書いてみて。1回クリアできたら、それ1つを支給……って感じにすれば、やる気が出るかも」

    な、なるほど。確かに、最近ちょっと甘いものに吸い寄せられがちというか……

    「ヒビキ? それって、機械学習と同じやり方なんじゃ……むぐっ」

    「機械学習も人間の学習も、そんなに大きな違いはないんじゃないかな。同じ『学習』って言葉が使われてるからには……それおいしい?」

    「……ああ、中々パンチが効いているね。エネルギーの塊だ」



    dice8d100=61 6 85 53 5 15 25 99 (349) プログラミングステータス(46)以下で成功

    dice8d100=57 18 93 47 16 95 14 82 (422) 知性ステータス(19)以下で成功

    (成功回数に応じてステータスの成長量アップ)

  • 121佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/18(水) 05:42:29

    「……まあ、急かされている時に敢えて指摘するようなことではないかもしれないが……カガリの場合、そもそもタイピングがまだあまり早くない、というか」

    それは感じてます本当に。ど、どうすれば早くなるんでしょうね……???

    「あまり焦らなくてもいい、ってつもりで言ったんだよ」

    「うーん。"よく使う言葉"なら、キーの配列と位置関係で覚えて、一瞬で打てるようにするのも良いと思うよ」

    ……というと?

    「たとえば"else"とかだったら、手を動かす前にeとlとsの位置を確認して、イメージした順番通りに、間髪入れずタタタタッ、みたいに打っちゃうの」

    ……はいはいはいはい。こういう感じですね! 慣れたら楽かも!

    「そうそう。4~5字のワードなら、trueでもとぅるっと、falseでもふぁるっと打てるはず」

    「んふっ……そ、そうだね」

    ああー。僕、今のくだりごと覚えちゃった気がする……この知識……

    「確かに。思いがけず覚えやすくなった」



    dice6d3=3 1 2 2 3 2 (13) プログラミングステータス成長(成功数そのまま) なお上限10

    dice2d3=1 2 (3) 知性ステータス成長(成功数÷3)

  • 122二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 08:02:58

    結構上がったぞ

  • 123二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 12:16:26

    暗記は大事
    とぅるっと出来るかは分からんけど大事

  • 124二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 20:20:56

    上限10で13ってことは10延びたのか?

  • 125佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/19(木) 05:21:40

    プログラミング 46 → 56
    知性 19 → 22


    ……す、すいません、上着脱いでいいですか……
    「ああ。室温が高かったかな、私は普通程度に感じているんだけど」
    「頭使ってるのと、糖分摂ってるからかも。カロリーって熱のことだし」

    そういえばそうだっけ、と思いながらシャツの襟元をぱたぱたする。言われてみれば、首や頭の後ろが特に暑く感じた……体力的にはまだ全然いける。自分を追い込み過ぎるつもりも無いけど、不思議とやる気があった。チョコが美味しいからかもしれない。今のところ勝率は半々くらいですが……

    「ただいま戻りましたー! カガリさんまだいらっしゃるでしょうか」
    あっ、コトリさん! と、ユズちゃん?
    「こ、こんにちは。えっと、いま忙しいですか……?」
    休憩入れようかどうか迷ってる。ちょっとプログラミングで……せ、千本ノック? みたいなことしてて。
    「なるほど……ちょっと見てもいいですか」ずいっ
    ……ごめん、ちょっと汗くさいかも。
    「? そうかな……」すんすん
    なんで嗅ぐの!?!!?
    「いいですね、私にも見せていただけませんか。嗅ぎませんので」

    相変わらず緊張したけど、見てもらうことにした。……コトリさんがすごく沢山喋るのは相変わらずとしても、その横でユズちゃんも感想をしっかり言葉にしてくれたのが、少し意外だった。こういう頭を使う分野は黙々とこなすイメージがあったし、実際今までそういう風に見えていたし。
    2人から言われた内容は、『必要以上に多くを仮定してしまう癖』を改善点として挙げられたり、一方で『なるべく簡単な方法を選ぶことに成功している』という部分は褒めてもらったり。そこはウタハさんも言ってたっけ……ちょっと嬉しいかも。

  • 126佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/19(木) 05:40:06

    「この回は全体的に冴えていますね。カガリさんは後から思い付いて軌道を曲げていくパターンが多いですが、これは最初の構想を最後まで一貫できています」

    「そう、ですね。意識すれば、ラッキーヒットじゃなく、狙って何回もできるようになると思います……」


    そうやって一喜一憂していた時、ふと気づく……これ、"感想戦"じゃない? 百鬼夜行ではたまに将棋を触っていて、対局が終わった後、相手の人と一緒にその回の振り返りをすることがあった。この手は上手い、逆にこの手は焦りが出ていた、この手は結果的には良かった……そういう感じ。今しているのも、似た趣旨っぽい気がする。

    ……言っちゃえば、将棋もゲームだよな。もしかしてプログラミングもゲーム……ゲームというか、『ゲームっぽい』のか? 腕前が試される部分はそうかもしれない。あと、成長する部分……そこまで含んだらなんでもアリになっちゃうかも。


    「――あと、カガリ先輩のコード、読みやすいですよね」

    「ですね! 偏見になりますが、性格が良く出ているように思います」

    読みやすさ……あんまり意識したことないです。というか、ごちゃって書くと自分でも後から読めなくなっちゃいそうで。

    「複数メンバーで開発する時は強みになりますよ! 書くコードに属人性が無いことは、チームにとっての大きな武器と言えます。こちらのユズさんも今回、コードの読みやすさを向上させたいということで来てくれているので」

    へー。ユズちゃんが……

    「はい。『カガリ先輩が手伝ってくれるなら、わたしもなるべく助けになりたい』と、『せっかくお話できる機会なら楽しくしたい』と――」

    「………………」

    「コトリ、それは言ってしまって大丈夫なのかい?」

    「……い、いえ、ユズ、恥ずかしがることはありませんよ!? すごく立派です、少し感動も覚えました、一時期は部長会議にも姿を現さなかったユズが、こんなに他人に心を開いて、それだけでなく予め私を頼っていただけるまで……!」

    「あ、あうぅ……」


    ……今まで、どこか掴めないところがあるのを意識しすぎてたかもしれない、けど。もしかして、ユズちゃんってひたすらに優しくて良い子……????


    (ユズに対する好感度が上昇します)

    34+dice1d6=6 (6) +10

  • 127佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/19(木) 06:09:03

    -セクション2 Bパート-

    「え、シナリオ? ギリギリなんとかなってると思うけど」
    その。この前の中間報告で聞いた時、結構キツい作り方してたから……一応僕も目通していい……?
    「うーん。わかった、実際見てくれるのは助かる……けど! あんまりこっちには構い過ぎないで、ちゃんとユズの方行ってほしいかな」

    ……『プログラミングの勉強はしたけど、今日から実際にどこを手伝うかはそれぞれの進捗を踏まえて考えるべきかな』みたいな相談を、物のついでで話そうと思っていたので、完全に先回りしてきたモモイちゃんの言葉にびっくりした。
    見せてもらったシナリオの方は、ギリギリなんとかなりそうっていう表現が本当に的確だった。モモイちゃんの書くストーリー、クスっと笑える面白い部分と真剣な部分が、絶妙な混じり合い方をしている、気がする……まさかその『面白い部分』の半分くらいが、展開上の無茶をなんとか押し通すために用意した強硬策の産物だとは、ファンの誰も思いはしないだろう。いや、わかってる人もいるかもしれないな……

  • 128二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 08:34:10

    ユズと仲良くなったぞ

  • 129二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 12:51:35

    順調に進んでる

  • 130二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 17:56:08

    ユズからの好感度が謎に高いから距離感がw

  • 131二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:54:15

    皆頑張ってるなぁ

  • 132佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/20(金) 04:45:25

    さて。改めて今日から、ユズちゃんと一緒の開発体制で頑張っていくわけだけど……僕には一つ、新たな不安があった。不安と言っても別に、今のところ僕の勝手であってユズちゃんに掛かる迷惑は無いはずの、本当にちょっとしたことなんだけど。

    まあ、勿体ぶることでもなく、オンライン授業動画などを見てちょっと普通に勉強したのである。数学というものを。「ユズちゃんが書くような難しいコードにも協力できればいろいろ捗りそう」、って簡単な発想で始めた。けど、それにしたって大変だったし、効果の程も自分ではわからない……今回は誰にも「教えてください」と言わなかったから。


    「わ、わかりました。ありがとうございます」

    こっちこそありがとう。急にごめん、もうちょっと忙しくない時にした方が良かったかも……

    「やる気がある時に始めるの、良いことだと思います。これから頑張りましょう……!」


    そもそもミレニアムは勉強のための場所で、そこに転入させて貰った以上、もはや普通の数学知識に関して、僕は"覚えるための方法"を自由に受け取れる立場だった。

    それは例えば、買った商品に付いている説明書を見ないまま販売元に『使い方がわからない』なんて電話したら、言われた側は『まず説明書を読んでよ』って気持ちになるはず。それと同じで……誰かに教えてもらうとしても、自分で触ってからの方がいい! と思った。言ってしまえば僕の変な意地である。なんとなく、意地を試してみるなら今が丁度いいかも、って気がしたから。


    「すみません、わたし、良いテストの方法とか思いつかなくて……とりあえず、この『予告線描画』の実装、試してみてください。仕様についてはメモしてあるので、それを見ながら」


    ……ぱっと見だと本当にわからない。でも、エンジニア部で得た一番の教訓は『それでも詳しく読んでいけばなんとかなる(かもしれない)』ってことだったはず。潔く当たって砕けよう。



    (カガリのソロお勉強の結果と、それに基づいてコードの完成度を決めます)


    勉学ステータス 55+dice1d20=14 (14) (手探りなので振れ幅大きめ)


    dice3d100=95 22 56 (173) プログラミングステータス(56)と勉学ステータスー20(上の結果次第)を両方下回ったダイス1つごとに1回成功

  • 133佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/20(金) 06:16:56

    ……えーと……まず整理。このスキルは、Xキーを長押ししてる間、操作キャラから見て真上~正面~真下の間から自由に発射角を選べて……で、発射したものは毎秒256pxの速さのまま進んでいって、『敵属性もしくはオブジェクト属性のものに当たったら消滅』、『壁属性のものに当たったら反射』、そして『敵属性のものが近くにある時はパラメータ通りの速度でホーミング(厳密にはそれに向かってベクトルの方向を回転)』する。
    そういう性質の攻撃スキル『リビングアロー』を実装するのが、今回の本題。なんだけど、その補助として追加する"その方向に撃ったとしたらどういう軌道を描くのか一目でわかるような予告線を表示する"機能の方が難しそうだから、こっちをベースに考えたい。みたいな感じ。
    何を言っているのかは、一応わかる。その上で、かなり、いや相当の難敵では……

    「………………」
    ……ごめん、見てて面白い作業じゃないかも。
    「い、いえ! 見てたいだけなので……」

    見守っていてくれるみたいです。ユズちゃああああん……
    と、とりあえず。絶妙な角度に照準すると予告線が無限に伸びちゃいそうだから、パラメータで線の長さを制限する仕組みを作ろう。一番最初に作る機能では無くないかって自分でも思う、でもとりあえず手を動かしたほうが何か思いつけそうだった。何も思い付かなければ……力技でなんとかすることになる。なるべくスマートに作れればいいけど……

    ────────────────────────────────────────

    コードの羅列とデモ画面を往復して、予告と全然違う方向に飛んでいく矢とか、壁をすり抜けてその内側でのたうち回る矢とか、引力の設定を間違えたせいで空中に静止する矢とか、嫌な矢を一生分見た。そんなこんなで、40分ほど画面の前で格闘……結局ほとんど力技みたいになったけど、とにかくそれくらい経った時……

    「……い、良い感じじゃないですか?」
    今までの中だと一番良い! こ、これ決定稿……いける……?
    「大きめのデモステージに行ってみましょう。ちょっと借ります、開発用オプションから、ステージ選択……ここで、左のほうのマップに」
    ふおおおおお……

  • 134佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/20(金) 06:19:08

    「このカラスの敵にしましょう。画面上を素早く飛び回るので、ホーミングの試し撃ちにはうってつけです」
    ほんとだ、ジャンプしても届かない。
    「スキル一覧から選択して、さっそく照準を…… あれ?」
    よ、予告線の動きが、なんか、大量の輪っかを……どういうバグ……???
    「うう……とりあえず発射……!!!」

    バシュ ベシィッッ カァーーーーッ

    「あ、当たった……当たりましたよ!」
    やったーーーー!!! ちょ、ちょっと貸して、僕もやりたい……
    「はい! やりましたね……!」
    おおー。ホントに敵に向かってる、連射してもちゃんと動いてくれるし……ん?
    「……え、当たらない?」
    ……あー。的が小さすぎると、的の動き次第では方向転換の速さと矢の速さが釣り合って、ぐるぐる回っちゃうんだ。重力で落ち続けてるのに落ちてこない月みたいに。
    「なるほど。じゃあ、さっきの変な予告線は、敵が静止状態なら正しい挙動で……あれ、今回ってる矢の予告線が消えないのはなんでかな。長さ制限は付けたはず……」
    本当だ。でも、制限が無かったことになってるわけじゃなくて……消えた分だけ新しく伸びてる?
    「……あっ。予告線の長さ制限、"矢の実物からの距離"で決めませんでした? "発射地点からの距離"で決めれば、思ってた通りの挙動になりそう」
    あああーーーーーー……それっぽい……

    気が付くと僕たちは、傍目には意味不明であろうお喋りで盛り上がっていた。
    今まで別の世界にいたってわけじゃないけど、"ユズちゃんがいる世界"を始めて訪れたような気分になった。知らなかったことを知ると、ただ単純に、それについて人と話すことができる……思えば、アリスちゃんが『テイルズ・サガ・クロニクル』を勧めてくれた時からそうだったかも。ゲームについて全然知らなかった僕だけど、今では何も知らないってことはないし、むしろゲームの話するのちょっと楽しい。
    エンジニア部のみなさんがすごく仲良しなのも、そりゃそうかって感じに思えた。こういう風に、自分が学んできたことについて話す時間が数えきれないくらいある相手なら……あの人たちに限らず、ミレニアムで人と人が繋がる時って、こういう形になりやすいのかな。

  • 135二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 08:23:13

    ちゃんと話についていけるようになったな

  • 136二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 14:01:48

    あ~耳が痛い

  • 137二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 22:25:36

    友情が深まっていく

  • 138佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/21(土) 05:20:09

    ――それからも何回か、ユズちゃんから仕事を任されて……
    任せます! と言いながら頻繁に様子を見に来てくれるユズちゃんも、僕が慣れるにつれその頻度を減らし。とはいえ、慣れの有る無しに関わらず難しいバグは発生するものなので、問題が込み入った時は2人で解決を目指し……逆に、ユズちゃんが遭遇したトラブルを手伝いに行くことがあったりもして。

    「……うーん、この差分が出る回数だけ多いですね」
    まあ、どうとでも取れる表情って、どの台詞にも合っちゃうからね。あんまり被らせない方が良い?
    「いや、こんなに使われるなら、もうちょっと丁寧に描き直そうかなって思って。前よりはこの子の性格もわかってきました」
    「うおおおおカガリ先輩!! 台本書けたよ!!!」
    早っ!? ちょっと待って、えーと……ミドリちゃん!
    「はい、注文の素材はできてます。クラウドの方に入れました」
    「ちょっと今回は本当に面白いの書いちゃったよ。自分の才能が恐ろしいね」

    ……先日ついに実を結んだ、『プレイシーンとイベントシーンがスムーズに遷移する』仕組みの実現をキッカケに、みんながこれまで取り組んできたタスク同士が一気に交わり始めていた。波に揺られ続ける長い船旅が終わって、ついに未知の新大陸へ踏み入ったような気分。
    この期間を通して、"ゲームを作る"ということがどういう仕事なのか、具体的にわかってきた気がする。そして、だからこそ言えるけど……ここからが、恐らく、想像のさらに10倍くらい過酷。

    「カガリ、大丈夫ですか? 難しそうな顔をしていましたが」
    あ。大したことじゃないんだ、ゲーム作るのって大変だなって……今更思ったっていうか……
    「……確かに。みんな、どうしても調子が出ない時はあるようですし……かくいうアリスも、ここ1週間で計5時間しか寝ていません」
    えっ…………
    「でも、みんなで力を合わせれば、きっと完成させられます。アリス、それがとても楽しみなんです!」

    アリスちゃんはいつも輝いているけど、この時は特に強く感じた。


    (カガリの「ゲーム:制作」スキルが固定値で成長します また、これに伴って三次ステータスに移行します)

    49(ゲーム:制作の元の数値) +11(プログラミング÷5) +13(勉学÷5) =73

  • 139佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/21(土) 05:42:52

    「カガリ先輩って、コード書いてる途中に話し掛けられても、手が動きっぱなしですよね」
    ……あー、ほんとだ止まらない。癖かなぁ、『話を聞きながらメモを取りながら話を聞きながら』って、そういう生活だった時期があったような。
    「そういうところも、向いてると思います。数学が苦手なのは本当みたいですけど……プログラミングのスキルは、1つの要因だけでは決まらないので」

    ここ最近では珍しく、部室にユズちゃんと2人きりの日だった。なんでもモモイちゃんがセミナーから呼び出しを喰らったみたいで、ミドリちゃんアリスちゃんを引き連れようとしてたのを見て、僕もついていこうとしたんだけど……

    「いやー……カガリ先輩、後ろから刺してきそう。ユウカを言いくるめるには真面目すぎる」

    と言われてしまい、こうしてお留守番になった。僕の方こそ後ろから刺された気分だったけど。

    「――ちょっと、昔の話をしてもいいですか。急にごめんなさい」
    うん。聞かせて?
    「ありがとうございます。……その……"キャラクターの好み"、の話で」

  • 140佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/21(土) 06:02:20

    「思い出せないだけで、いつか見た漫画やゲームの影響かもしれないんですけど……ちょっと前に自覚した、"理想のヒロイン像"があるんです。母性というか、誰かを見守っているタイプで……でも、あんまり直接関わってくることはなくて、とにかく見守ってくれる」
    あー。いるかも、ミステリアスっていうか、儚げみたいな?
    「はい。優しいことは確かだし、信じられるけど、引き換えにどこか不器用で……目を離すと消えてしまいそうで、心配になるような。あと、笑顔が柔らかくて、素敵な……」
    うんうん。謎のお姉さんって感じの――
    「カガリ先輩について知った時、『この人だ』って思ったんです」

    ………………
    えっ。 ど、どういう……こと? 僕??

    「全部、そうじゃないですか? 見守ってくれてて、あまり関わってはこなくて、優しくてでも不器用で、消えそうで、笑顔が柔らかくて」
    え、えーーーー? それはその、ストーカーの後ろめたさとか、"消えそう"ってのも僕の場合は特異性の話が先に来るし、笑顔って言われても自分じゃわかんないし……
    「いえ、そういうことじゃありません、きっと……カガリ先輩、夢みたいな人だと思うんです。それは私の理想のヒロインに近いって意味じゃなくて、もっとそのまま、"夢"みたいな……」

    ……なんだか、声のトーンというか表情というか、初めて見るユズちゃんの感情だった。これは……僕は、どうやって受け答えるのが良い……いや、『良い』とか、そもそもあるんだろうか……?

  • 141佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/21(土) 06:28:20

    「でも、カガリ先輩ってギャップがありますよね」

    ……ギャップ、ですか。知らない言葉ではないけど……

    「私が想像してたよりも恥ずかしがり屋さんでした。びっくりしたことがあると大きく反応したり……たまに視線に気付いて手を振ってくれます。あと、意外とくしゃみが大きいです」

    ……えっと、僕が恥ずかしがり屋さんって知ってるのにそんなこと言う?

    「ご、ごめんなさい。でも、出会った頃よりも、カガリ先輩のこともっと沢山知れて……"理想"とは別のものって感じるようになったけど、もっと好きになりました」

    そっか。なんか嬉しいかも、ありがとね。

    「"エニーリス"に出すヒロイン、カガリ先輩を元にしようと思ってたんです。結局別物になっちゃいましたけど」


    ……あ、あーーー。言ってた気がする。恋愛シミュレーションの何かを……元ネタがなんとかって言って、僕に辛いカレーを……


    「わたし、最初にお会いした時、『ちゃん付けじゃなくても大丈夫』って言いましたよね」

    ……そうだった。ごめん、今の今までうっかりしてた……馴れ馴れしかった?

    「大丈夫です。わたしが『ユズ』って呼ばれてみたかっただけで……カガリ先輩はあまり得意じゃないみたいですし」

    う、うん。得意じゃないかも……

    「そういうところも好きです」


    ……また"好き"って言われた。

    面と向かってこの言葉を受ける機会は、かなり珍しい……というか、記憶の中を探っても、他に見つからない。嬉しい、けど……そしてユズちゃんも、にこにこと嬉しそうだけど。

    その。実際、どういう意味なんだろう? 恋愛的な意味とは思いづらいけど、かと言って『友達として』『先輩として』って言い切るには、それより近い雰囲気があるというか。単にキャラクターとして……ってのも、よくわからないし、何となく違う気がする。

    結局、それ以上は言葉が返せなくて、作業に戻った。思い返すと、"ありがとう"とか言ってよかった気もするけど……その時は不思議と、これも悩んでしまったんだよな。



    (カガリとユズの好感度が相互に上昇します)


    カガリ→ユズ 50+dice1d8=3 (3)

    ユズ→カガリ 95+1 =96

  • 142二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 10:33:26

    ユズからはほぼマックスだからな

  • 143二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 15:23:53

    仲が良いのは良いことだよ
    とりあえずはね

  • 144二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 20:53:29

    ジャンルが変わればそういう関係になりそうな距離感

  • 145佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/22(日) 05:51:41

    「これが、わたしが作ったヒロイン……名前は"フラム"です。みんなと打ち合わせして、"全ヒロインの中で一番『独善的』"ってことにしました」

    「作中では、たびたび『他の誰も考えないような大胆なアイデアを発想する』センスを発揮して、いつも一歩引いた目線から協力してくれるんですけど……最終局面、自分と主人公のどちらかが太陽として空に昇らなくてはならなくなった時、フラムは全員の目を欺きながら主人公を攫って、2人きりの逃避行を始めてしまいます」

    「主人公に高い好感度を持ってしまったフラムにとって、主人公より優先すべきものは、他に一つも無くて……それは自分自身も例外じゃないんです。それでも、彼女の言うことを受け入れるかどうかは、プレイヤー次第になってます」

    ──────────────────────────────

    エニーリスに出るヒロインの1人、"フラム"ちゃんの説明を最初に聞いた時のことを、ふと思い出した。そ、そっか。あれのモデル、僕か……
    別物になったって言ってたけど、具体的にどのくらいが別なんだろう。知ってしまうと気になる……! けど、気にしないほうが良いんだろうな。もし聞くとしても、全部の開発が済んでからにしようと思った。

  • 146??? ◆IEd0n050V224/09/22(日) 06:05:49

    ──────────────────────────────

    「時に。このコーヒー牛乳を見て、何か思い出すことはない?」
    「……珍しい物持ってるな、くらいだけど。急に何、あんたプレーン派よね」
    「私は先ほど購買でこれを見つけて、ある5文字の名前を想起した。"佐藤カガリ"と言うのだけど」
    「んー? よくあるような、無いような……」
    「こういう時に頼れるのは文明の利器だと思って、検索してみた。するとこの動画が出てきた」

    『……こ、こんにちはー。今日も"時のフルート"やっていきます、今回は未来での牧場っぽいところから……』

    「こ、これ……この声……!」
    「そう、私は彼女を知っている。君も知っているのなら、恐らくは2人も……」
    「私たち4人もいて、全員でカガリさんのこと忘れてたってこと? 普通あり得ないでしょ、そんなこと」
    「けれど、そうとしか思えない。とても不可解……」
    「どうするの? 相談してもらって悪いけど、私じゃ何も提案できない」
    「それは私も同じだよ。でも、我々にはこういう時……いつ如何なる時も頼れる、おおむね最強の協力者がいる」
    「……え、先生?」
    「いぐざくとりー。とはいえ、2人に話すのが先だけど」

    ──────────────────────────────

  • 147二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 08:23:53

    コーヒ牛乳で…
    いやまぁ分からんでもないが

  • 148二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 15:52:32

    連想には神秘は影響しない?
    もしくは心境の変化が神秘にも変質を齎した?

  • 149二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 23:01:53

    新たな知り合いが?

  • 150二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 08:04:29

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 14:32:00

    ゲームは順調

  • 152二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 20:10:35

    先生経由で来るのか

  • 153二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 06:53:03

    カガリがミレニアムに至るまでの経緯がわかるのかな

  • 154二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 13:36:16

    ゲーム制作に影響が出るイベントでなければいいんだが

  • 155二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 20:25:07

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん24/09/25(水) 07:39:35

    大丈夫かな

  • 157二次元好きの匿名さん24/09/25(水) 13:34:52

    このレスは削除されています

  • 158二次元好きの匿名さん24/09/25(水) 20:30:54

    規制かねぇ

  • 159二次元好きの匿名さん24/09/26(木) 07:27:32

    まぁ来るまで待てばよい

  • 160二次元好きの匿名さん24/09/26(木) 13:09:56

    このレスは削除されています

  • 161二次元好きの匿名さん24/09/26(木) 22:09:04

    保守しよう

  • 162佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/27(金) 04:10:21

    (こんばんはスレ主です 最後の更新→ホスト規制→いつも使ってる回線が潰れている時間→ホスト規制→今 という日々でした 保守マジでありがとうございます!!!!!!!!)
    (回線はまだちょっと危ないところありますが全然やっていきます やっていきます)

  • 163佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/27(金) 04:18:06

    -セクション3 Aパート-

    最近、寝起きが悪い。基本、僕が自分の寝床以外で寝た時って、翌朝は自然とぴったりの時間に起きるんだけど……近頃はそれが利かない。
    少し前に特異現象捜査部へお邪魔した時、なんとなくヒマリさんに相談してみて、『寝起きにコーヒーを1杯飲む』ことを勧められた。確かに、コーヒーってそこそこ好物だし……ということで、コーヒーパックとミルクと砂糖を常備することに。部室の冷蔵庫に入れさせてもらった。

    「あ。おはようございます、カガリ……一杯頂いてもいいですか?」
    勿論。今日も冷たいのにする?
    「はい! ありがとうございます」

    夜通しバグ取りをしているアリスちゃんの分も合わせて、さっと2杯分淹れる。ミルクと砂糖の量、2杯別々に決めるのも面倒なので、一緒くたにしている……アリスちゃんの好みに合わせて。僕の方はそんなに拘りが無いのである。
    とは言え、これはミルク入りのコーヒーというか、コーヒー牛乳な気がしなくもないけど……まあ、こっちの方が親しみがあるかも。マグカップの片方に氷をしゃらしゃらと転がす。

    「……パンパカパーン! アリスはコーヒーをご馳走になりました、これで俊敏性アップです!」
    やったー! って言っても、今の調子ですらかなり捗ってるみたいだけど……このメモ全部レポート……?
    「そうです! ユズが見たらびっくりしてしまうかもしれません」
    むー。仕分けくらいしとこうかな……根っこに近い不具合から順番に……
    「そちらはお任せしますね。アリスはこれから飛び道具のジャストガードを検証します!」

    メモを見ると、書いてあるのはバグのことだけじゃない。ステージや物語を通しで遊んでいて、『ストレスが溜まった部分』『退屈だと感じた部分』について、かなり率直に感想を言ってある……具体的に、どんな改善を求めるかまで含めて。
    アリスちゃんが着手しているのは"テストプレイ"という作業。モモイちゃん曰く、『アリスには私たち3人のゲーム哲学が丸ごとインストールされてるようなもの』ってことで、要するにアリスちゃんが感覚で導き出したアイデアは、3人の思うところと大体一致しちゃうらしい。
    ……『僕たちとは全然違う』とだけ知ってるけど、こんなに寝ないで大丈夫なのかな。キーちゃんもう少し詳しく教えてくれない……? 頭の中に声を飛ばしたけど、未だ生死も不明、当然応答はなかった。

  • 164佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/27(金) 05:09:57

    "エニーリス"の今の進捗は、憶測だけど4割8分……とりあえず山場は一旦超えられたと思う。最低限だけど『ゲーム』としての形が成り立ってきた印象があって、少なくとも最初の頃のような、ろくろの上で柔らかい粘土が暴れている時みたいな緊迫感は無い。
    相変わらず忙しいのはビジュアルのミドリちゃんとコードのユズちゃん、比較するとモモイちゃんとアリスちゃんと僕に火急のタスクは無い。もっとも、アリスちゃんは自分から仕事を増やす気満々で……

    「ねえねえ、ちょっとみんなで遊びに行かない?」

    ……『急に?』『本気で言ってる?』みたいな視線がモモイちゃんを包む。いや、僕もちょっとそういう気持ちになったけど。まあ本気で言ってそうだった。ミドリちゃんは怪訝に、ユズちゃんは明らかに取り乱しながら、次の句を待つ。

    「いや、私ってば申し訳ないことに暇なんだけどさ。だからこそ、ちょっとリフレッシュ挟まないと滅入るんじゃないかなー、っていうのを、横から見て感じ取って……こういう時に頭ほぐさないと、名作のつもりが怪作に仕上がっちゃうというか」
    「……一理あるかも。私、2週間くらいこれしかやってないし」
    「でも、遊びに行くって、どこに……?」
    「ふっふっふ……私に考えがあるよ! これを見たまえ!」

  • 165佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/27(金) 05:36:03

    ……"K.PCE"? なにこれ。
    「『KIVOTOS. Playing Culture Exhibition』、通常"ケーピース"! ゲームや音楽やノベルを中心に、主に同人規模で新鋭気質のコンテンツを作ってる人たちが参加して展示する、見本市みたいなやつ、だよ! 多分そう」
    「多分って……まあ、大体お姉ちゃんの言ってる通りだけど」
    「"ケーピース"、アリスもこの前見ました! 確か1週間後が開催だと……みんなで行くんですか?」
    「そうだよアリス。時にみんな、ちょっとこれを見てほしい」

    モモイちゃんのパソコンには、何か大きい建物の間取りのようなものが表示されていた。
    ふむふむ、『出展一覧』……『2階東側:D7』?って場所が拡大されてて、『ミレニアム:ゲーム開発部』って表記が……

    「なんと実は今回、特別な事情があって、展示側で参加できることになりました!!!」
    ええーーーーーっ!?!??!?
    「と、いうことは……モモイ、私たちのゲームを展示してみんなに見てもらえるってことですか!?」
    「いえーす!!! こんなチャンス滅多にないよ!!!!」
    「」
    「……気絶者が出たけど」
    ユズちゃああああああん!!!!
    「それで、今から……1週間? で、展示の準備が済ませられるって思ってるんだ、お姉ちゃんは」
    「か……顔が怖いですミドリさん。大丈夫、その、順を追って説明いたしますので」

  • 166二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 08:27:59


    急すぎる

  • 167二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 12:53:14

    とにかく回数と時間が必要な役割にアリスは適任だな

  • 168二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 23:08:26

    保守

  • 169佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/28(土) 05:13:42

    「まずここ、元々はK.PCEの主催者の人のスペースだったんだよ。その人も自分のゲームで出展する予定だったんだけど……いろんな都合で出せなくなっちゃって、私がそのピンチヒッターを頼まれて……って訳」
    「お姉ちゃんのその謎の人脈は何??」
    「普通の知り合いだよ? 今回のは本当にたまたま。で、もうスペースに試遊用のパソコンとか準備できてるから、中身のゲーム挿げ替えるだけで展示っぽいの作れるんだって。実際に何出すかはこれから考えるとして……」
    これから、って……こういう時に出せるゲームってあるの? その、普通に出しちゃったゲームはもう一回出してもそんなに意味無いだろうし、かと言ってまだ出来てない"エニーリス"は出しようがないし……
    「……い、一応……"デモ版"って形なら、エニーリスも出せると思います。ちょっと準備がいるけど……」
    「そう、それも選択肢の一つ! でも、『ピンチヒッターで来ました』っていうのは会場で明言するし、事前にも断り入れておくから、そこまでハードル高いわけじゃないと思うんだよね」

    モモイちゃんが『みんなが難しそうなら私1人でも1週間で出展できるし』と言った時、もう1回みんなで顔を見合わせた。……肝が据わってる、っていうんだろうか。これこそ他の誰も持ってないモモイちゃんの異能力だって思った。
    でも、タイミングがとても急ってだけで、真っ当にやればなんとかなりそうな話。出展以外にも、現地でいろいろ見て回るのは良い刺激になるだろうし……

    「よし、決まり! そうだね、出展の内容についてはユズとカガリ先輩で決めた方がいいかな……ミドリは会場で掲げる用のイラスト見繕っておいて、描き下ろしでもベネ! アリスは他の参加者さんの展示内容チェック! で、私は今の内から当日の段取り調べておくね。……みたいな感じで、ひとまず散!」
    「はい! 新しいクエストを受注しました、パーティで力を合わせてクリアしましょう! えい、えい――」

    「「「「「……おーーーー!!!!」」」」」

    ……びっくりするくらい早く話が纏まった。ゲーム開発部、すごい。

  • 170佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/28(土) 05:33:03

    ということでモモイちゃんの采配通り、僕とユズちゃんで展示内容を話し合うことに。実際にコードを書くメンバーだからって理由だと思うので、『実現できるかどうか』から話を進めたほうがいいかな。っていう前提を、ユズちゃんと共有したところで……


    「……どう、しましょうか」

    ……どうする?

    「………………」

    うーん……

    「ご、ごめんなさい、何も思い付かなくて……」

    だっ、大丈夫、僕も追い付けてない!! モモイちゃんの適応が早すぎるだけだと思う……!!!

    「そう、かも、しれません。リーダーシップっていうか……いつも引っ張ってもらってばっかりで」

    ……まあ、モモイちゃんに関してはお互い様って感じじゃない? こうやって引っ張ってもらってるのと同じ力で、振り回されることもあるわけだし。

    「ふふふっ。そうですね、きっと」

    へ、変なこと言った? 僕……

    「その……容赦無いなあ、って」


    ……確かに、ユウカさんみたいなこと言っちゃったかもしれない。

    それはともかく。一旦、難しく考えるのをやめることにした結果、選択肢はだいたい2つってことで合意が取れた。その上でユズちゃんに2つの手間を比べてみてもらうと、『どっちも同じくらい』らしくて……いっそコイントスにしよっか、ということに。


    dice1d2=2 (2)

    1.表面。デモ版の"エニーリス"を用意して展示しよう!

    2.裏面。折角だから簡単に新しいゲームを作ってみよう!

  • 171佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/28(土) 06:08:08

    「最近、"ローグライク"系のゲームを作れてなくて。そろそろやりたいなって思ってたんです」
    ろーぐらいく。とは?
    「うーん……『進めば進むほど敵が強くなる』、『でも進んだ分だけ自機も強化される』、『1回死んだら最初からやり直し』、みたいな感じかな」
    1回死んだら最初から!?
    「はい。クリアを目指す上で、自機の強化を早めに頑張るのか、遅くまで我慢するのか、リスクとリターンを計算したり……強化アイテムはどの順番、どの種類を取るのが強いのか覚えたり。セオリーを覚えていくと、その分クリアまで行ける確率が上がっていって、それがすごく楽しくて……」

    お気に入りのゲームについて話している時、ユズちゃんの目には不思議なギラつきが出てくる。そして声が少し高くなって、口端がふにゃっと上がったりもする。今回はその特徴が特に強く出ていた。
    モニターに開発画面が浮かび上がると、息つく暇もなくさっくりとゲームの定義が進んでいく。壁や床の定義、自機の定義、ヒットポイントの定義……

    「……っと。実装の話になるんですが……ジャンプとか作るとややこしいので、キーを押した方向にそのまま動くようにします。いわゆる『見下ろし型』で……広いマップを作ってもキリが無いから、1部屋ずつ切り替える感じにしようかな」
    な、慣れてるね?
    「『簡単な造り』っていうお題があると、捗るかもしれません。プログラマーって、なるべく楽に済ませる方法を見つけるのが仕事なので……待って、この形式でわざわざ攻撃ボタンから手離すことなんてないかも。それなら攻撃は出しっぱなしで良いか」
    ……あの、僕の仕事ある?
    「…………えと、ちょっと待っててください。どこかで詰まります、たぶん……そうなったら呼んでもいいですか」
    おっけー!!!みんなの様子も見て来るね!!!!!

    すごく楽しそうだったので、邪魔にならないよう一旦離れることにした。モモイちゃんの『リフレッシュ』の提案は正解に近かったのかもしれない。僕は何をしていようかな。……と思った辺りで、ちょうどスマートフォンが鳴る。
    電話? 非通知……じゃない、モモトークじゃん。発信元『各務チヒロ』……チヒロさん!?

  • 172二次元好きの匿名さん24/09/28(土) 11:09:14

    サブミッションだ

  • 173二次元好きの匿名さん24/09/28(土) 20:54:43

    何かあったのか

  • 174佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/29(日) 04:41:52

    『もしもし、カガリさん? 掛けといてなんだけど、電話で話すような内容じゃなくて……今からヴェリタスまで来れないかな』

    ……まあ、断る理由もなかった。多少長くなるような真剣な話題っぽかったから、いちおうユズちゃんに一言告げてから向かう。と言っても、なるべくゲーム開発部としての活動を優先したいけど……

    「ん。いらっしゃい、急に呼び立ててごめん」
    いえ、お気になさらず。ええと……何か良くないこと起こったりしました?
    「……うん、部分的にそう。意外と鋭いね」
    その……電話のトーンが、『お願い』というより『確認』の言い方だったので。
    「確認?」
    こう……『行けますか?』じゃなくて『行けますよね?』って感じ。でもチヒロさん、僕の時間の都合とか知らずに無視するような人じゃないだろうし……じゃあ、こっちの部室でのやり取りが聴かれてて、僕が手隙なの見計らって連絡したのかな、みたいな。
    「……コタマ。改めて、カガリさんに今後妙なマネは控えて」
    「えっ!!? わ、私!!?!?」
    あ、コタマさん。こんにちはー。
    「こ、こんにちは……え、私ですか? 今どちらかと言えば過失があったのは副部長の方では」
    「それは確かにそう。でも控えて、あんまり気軽にちょっかい出してたら痛い目見るよ」
    痛い目!? いやっ、いくらなんでも僕からコタマさんにそんな……ことは、あまり……
    「……1回、されたことありますね。意趣返しというか」
    あ、あはは……

  • 175佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/29(日) 04:58:55

    「要件って言うのが……始まりは、ヴェリタスに"依頼"が届いたこと。内容としては、『サイバー攻撃に対する防衛と、出来れば事態の根本的解決』って感じ」
    「そう、それで、シチュエーション的にドローンとか飛ばせなさそうで……カガリに助けてもらおうかなって」

    横から参加してきたハレさんが差し出した手に、なにやら1辺5cmくらいのキューブが乗っかっていた。……とりあえず受け取って、観察してみる。

    「"中継機"って感じかな。攻撃者を探す足掛かりにしたり、会場のトラフィックを監視したり……それもアプローチの一種でしかないけど」
    お、おお……その、準備が進んでるのはわかったんですけど、どうして僕に?
    「……その依頼者っていうのが、"K.PCE"の主催者なの」
    えっ!? そ、それは……つまり……つまり????
    「順に説明するね。ちょっと怖い話かもしれないけど」

  • 176佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/29(日) 05:34:41

    「今回のイベント……K.PCEだっけ? に、サイバー攻撃が発生すると思う理由として、依頼者はいくつかの根拠を挙げてた。

    『最近のインディーズゲーム開発者の間で、資料やコードを盗まれてリークされる事件が問題になっている』
    『自分も開発用のマシンが同様の被害に遭って、その承認欲求的な手口が噂の内容と似ていた』
    『被害者の反応を観察しているであろう犯人の興味が、自分が直近に開催するK.PCE、そこに集まる大量の開発者に向くであろうことは想像に難くない』
    『基本的に急造である会場はセキュリティ的に脆弱で狙いやすく、また広さもあって自分1人では対処し切れない』

    ってことらしい。まあ、主催者の立場からしたら、不安視するに足る根拠だと私は思う」


    「依頼内容を聞かされた時、私たちは『依頼者の素性』から『対象となる事物の背景』まで、不審な点が無いかしっかり下調べしてから、リスクとリターンを考慮して受けるかどうか決める。となれば私たちは当然、K.PCEについて調べるわけで……そこでハレが、『ミレニアム:ゲーム開発部』の出展を見つけたの」
    「そ。経緯を調べたら、そのスペースが元々K.PCE主催者の物で、そこに押し込む形でゲーム開発部の出展が決まったっていう流れで……嫌な言い方だけどこれ、私たちに依頼を受けさせるための『人質』じゃない? って。偶然かもしれないけど、タイミングが恣意的すぎ」
    「まあ、依頼の達成報酬は相場より多く貰えるみたいだし、異存があるわけじゃないんだけど……依頼者とモモイは実際にそこそこ仲が良いみたいだしね」

  • 177佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/29(日) 06:02:27

    「カガリさんだけに話そうと思った理由は……そもそもこの話自体が不安の源で、『みんなで楽しむために向かうイベントなのに、知ってしまったら純粋に楽しみにくくなる』から。それもあって、ヴェリタスだけでどうにかしようとも思ったんだけど……」

    「ちょっと前セミナーでセキュリティ研修受けてたじゃん、カガリ。ってことは一応、ゲーム開発部のセキュリティ担当なんだろうし、それならカガリにだけでも話しといたほうがよくない? みたいになったの。でも相当面白いことになってたけどね、研修の時」

    「まあ、大体マキの言う通り。……個人的には、『きちんと戸締りをする』とか『人気の無い夜道は避ける』とか、子どもに言い聞かせる防犯みたいな易いセキュリティ対策に留まらず……勿論、それも大事だけど! もっと深いところにある、サイバー領域の戦いについても知ってほしいな、って思ったの」


    「……こほん。とりあえず、カガリさんにこの話が共有できたことが第一の成果。会場で何かトラブルが起こるかもしれないっていうのを、そっちの部員のうち1人でも知っておいてくれるだけで、心理的にやりやすい」


    「もし協力してくれるなら解決が早くなるかもしれないけど、これを聞いた上で『ゲーム開発部の部員として、K.PCEの参加に集中する』ってことにしてくれても大丈夫。どの道、今回の依頼を失敗させるつもりはないから」



    な、なるほどなー。これは……僕自身の中に、どっちを選ぶ理由もあるっぽいし、直感で決めてしまおうかな……


    dice1d100=30 (30) 目安は倫理ステータス(54)

    dice1d100=85 (85) 目安は慈悲ステータス(62)

  • 178二次元好きの匿名さん24/09/29(日) 11:35:28

    なるほどそういう事情が

  • 179二次元好きの匿名さん24/09/29(日) 20:20:38

    これはどうなんだろう

  • 180佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/30(月) 05:06:06

    そこからの1週間は、山の高くで流れてる川みたいな、劇的な速さで過ぎていった。

    ユズちゃん謹製のおつまみローグライク『エニーリス外伝・お掃除大作戦(仮)!』。その作業に取り掛かれなかった僕が無理やり作った”エニーリス”本編の中ボス戦だけが体験できる小さい試遊版。ミドリちゃんが今日のために描き下ろしたイラストの大きなポスター4枚。モモイちゃんがミレニアムを駆け回って作ったプチマスコットと缶バッジ。
    ……息抜きのつもりが、気合い入りまくってない? すぐに走り出さないといけない状況に置かれて走り出した僕たちは、ゴールの位置を慎重に決めるような冷静さを失っていたかもしれない。

    『あー、もしもし? 現場入りしたっぽいね。一応今の内から警戒しておいて、多分目立った動きは無いと思うけど』
    ……そうですか? みなさん忙しそうだし、勿論こっちも忙しいし、ドサクサに紛れやすそうだなって……
    『今からクラッキングを始めたら、もし察知された時"犯人はスペース出展者の中にいる"ってところまで絞り込まれちゃうでしょ。向こうとしては避けたいはず』
    た、確かに。じゃあ、犯人は一般参加者と同じタイミングで……
    『絶対じゃないけどね。私たちも一緒に監視はしてるから、気を張りすぎないように』

    考えた結果、僕はチヒロさんの要望に乗っかって、ヴェリタスのお仕事を手伝うことにした。正義感……っていうのも、少し違うかもしれない。別に例の『攻撃者』の前で怒りたいわけじゃないし、みんなの為に悪者退治を頑張るぞっていうヒーローっぽい気持ちもなかった。
    ただ、ゲーム開発に取り組み始めてから、物作りの難しさが自分のこととして深く分かるようになった気がする。ただ難しいだけじゃない。一見理不尽で、終わりが見えなくて、たまに歯車が狂ってて、信じる力にも限界があって、いっそ腹立たしくもなるような……そんな荒れ果てた道。その先に何かあると信じて進んでいる道。僕たちゲーム開発部が、『物を作る人』が進んでいる道に、意地悪で火を付ける人がいるっていうなら……
    ……上手く言えないけど、"いなくなってほしい"と思う。なんだろうこの気持ち言葉にしづらい。家に鼠が入っていたら"外に出さないと"って思うのと、ちょっと似ていた。

  • 181佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/30(月) 05:46:35

    今はK.PCE開幕の直前、10時の一般開放に先んじて展示サークルが設営とかの準備を済ませるための時間。具体的にどれくらい時間がいるのかわからなかったから、なるべく早く会場入りするために揃って朝の4~5時くらいに早起きして……その後すぐみんなで荷物を分担して持ちながら、ミレニアムからD.Uまで電車に揺られて……もう割とハードだった。つくづく、1週間前に突然決まったとは思えない。

    「……ゲームの導入、できました! 今のところ、テスト通りに動いてくれてますけど……」
    ぐっじょぶ。後で1回触ってみよっか、こっちもそろそろ済みそ――
    「う、パネルの上の端に手が届かない……カガリ先輩っ、ちょっといいですか!!!」
    はいはーい! 思ったより狭いよね……ここの空間に100個くらい展示あるって考えたら、当然かもだけど。
    「カガリ、お釣り用の小銭がどこにあるか知りませんか?」
    っとね、お金関係はモモイちゃんが纏めてくれてた気がする……荷物覗いてみる?
    「……あ、ありました! ここに置いておきます、ひっくり返さないように気を付けてください!」

    ……モモイちゃんは今、周りの出展者さんに挨拶をして回っているらしい。そしてモモイちゃんがいないと相談が僕に集まってくる。モモイちゃんの場合、自由そうに見えてすごく気が回るタイプだからこそ頼られやすいんだろうけど……僕の場合はちゃんといい感じに答えられてるんだろうか?
    察するに、僕がいない場合はミドリちゃんが似た感じになるんだろう。でもミドリちゃんは最近、自分のやることに集中できてるっぽくて、なんだかそれが楽しそうに見える……ので、こういう時は僕が上手く回していきたいです。

  • 182佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/09/30(月) 06:06:23

    ……スマホの充電ギリギリだ……ユズちゃん、端っこのパソコンから充電していい?
    「あっ、はい。わたしもしておこうかな……」

    と言いつつもゲームの試運転に夢中なユズちゃんを横目に、僕のスマホと会場のパソコンとを、USBケーブルで繋ぐ。……スマホには、ヴェリタスのみなさん特製の"サイバー監視システム"が入っていて、こっそりそれをパソコン側に移し替えている。詳しくは全くわからないけど、『攻撃者』を見つけ出して狼藉を阻止するために必要不可欠、なんだとか。
    "K.PCE"の主催者さんは、『自分への信頼で会場に来ている出展者への道義的配慮』を理由に、必要以上のセキュリティ権限をヴェリタスに委任しようとはしなかったらしい。実際の防衛のために"使える"のは、このゲーム用パソコンの処理能力と、僕のスマホを中心とした小範囲で不審な信号のやり取りを検知するアプリ、人目の都合上ハデな動かし方は出来ないハレさんのドローン、あとは会場のフリーWi-fiとか……他にもあるかもしれないけど、目ぼしいのはその程度。
    チヒロさんはそう説明した後、不敵そうな様子で『十分すぎるくらい』と電話口に笑っていた。ほ、本当に……?

    「ただいまー! あれ、もう設営出来上がっちゃってない!?」
    「あ、お姉ちゃん。そうだね、あとは電子決済のやつとタブレット繋いで……」
    「おおっと、大事なの忘れてるじゃん。ちょっと太ペン借りるね」
    ……な、なんか書くの? えーと……"代打で緊急参戦、ゲーム開発部1週間エディション"?
    「事実だし、一応ハードル下げとこうかなって。ちょっと自慢みたいだけど、1週間とは思えない仕上がりになったからさ、お客さんに自慢しようよ!」

    それ自慢じゃん、ということを誰に指摘されるでもなく自分で気づいたらしく、頭の上にはてなマークを浮かべるモモイちゃん。非日常に首まで浸かっている今日は特に、いつも通りって感じのテンションが頼もしく感じた。
    間もなく"K.PCE"が開催されて、一般のお客さんが……どれくらいだろう。多分たくさん入ってくる。不安なこともあるけど、やれる分のことをやろう……!!!

  • 183二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 08:33:47

    作る側の自覚出てきたねカガリちゃん

  • 184二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 12:38:40

    最近はカード使うのが楽になって良いねぇ…

  • 185二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 20:40:44

    これで何も問題なければ良いんだけどな

  • 186二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 02:05:53

    楽しそうだなー
    なんだかんだ、ゲーム開発部が本当にゲーム開発しながらドタバタするのって、二次創作でもあんまりないから、見てるだけで楽しくなる

  • 187二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 08:32:32

    人の波

  • 188二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 13:12:05

    どれぐらい人来てくれるかな

  • 189二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 20:09:22

    保守

  • 190佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/02(水) 04:36:17

    「うわああああああああ本当に見た目まんまのゲーム開発部だ!!!!!! すごっマジで実在したんだこいつら」

    「……これドット絵の仕事量ヤバくない? 部活動規模でここまで描けるスタジオまだ存在してるんだ」

    「おお、カガリさんいるじゃん。こうして見るとデカくて草だ」

    「ちょっっっっこのゲーム難易度高すぎ!!! これで1人1クレジットってクリア者出すつもりないでしょ!!?」

    "おはよう、みんな。調子はどう?"

    「ここ写真撮っていいのってどこまでですか?」

    「触ってみた感じ思ったよりOneshotのパクリじゃないわこれ、正直すまんかった」

    「ひさしぶりーモモイちゃん! ぶっちゃけ冷やかしに来たんだけど今大丈夫そう?」

    「えっ、"エニーリス"ってちゃんと開発進んでんの!? GDDがよく爆散させる空気のタイトルだなって思ってたんだけど」


    ……凄まじく多い!!!!!!!!!!!!

    勿論その、来ていただけるのは非常に嬉しい、んだけど、丁寧に全員の応対してる暇が切実にない。お客さんの1人がぼそっと教えてくれたところによると、目立つスペースは開始20分くらいで押し掛けられてヤバくなりがちっていうから、ええと、あと10分くらい捌き切って……それで、落ち着けばいいんだけどぉ……


    「かっ……カガリ先輩、物販のほうに人が並び始めて……」

    でぁっ!? そんなに売れてるの!??

    「ちょ、ちょっと列整理お願いします! 身長的に、カガリ先輩じゃないと……」

    う゛……確かにそうか、えーーっと……すいませーん!!!ちょっと通路幅いただきます!!!!


    dice1d100=54 (54) 掃除ステータス(94)以下で成功

  • 191佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/02(水) 05:17:24

    ええっと……あ、そうか、プチマスコット570円と缶バッジ490円で売ってるから、お釣りのやり取りが発生してる分で遅れが……待って、端数70と90って放っておいたらお釣りの10円玉が枯れるのでは。それは良くない!!!!
    とっ、とりあえず、値段が書いてある頒布品のポップを見えやすい高さにしよう! 伸び縮みする棒にしといてよかった……それでえっと、えーっと……10円玉足りなくなりそうなことは、列の人にちゃんと言っておく。多分ごめんなさいって言えばこのくらいは許してもらえる!!! 後は……このままだと列がプレイエリア塞いじゃうけど、折り合いを付ける方法は……

    「カガリ先輩っ、スタッフさん助けに来てくれたよ!!!」
    「はいどうも。ちょっと失礼します、大きめに人動かすので巻き込まれないように離脱してください」
    あ、ありがとうございます! 助かったーーー……
    「いえいえ、思ったより荒れてなくてびっくりしました。っと……はーいみなさーん、安全のためもう少し間開けてくださーい!」

    パッと裏に戻って、次の箱を開封したり、あと結局100円玉も切れそうだったから布告、間違って試遊台でウィンドウごと消しちゃった人の対応、倒れかけのパネルを寸前で支えて、迷い込んだ小さい子を案内したりとか……現場だからこそ起こったトラブルもあるけど、未然に防げたかもしれないことが多い!
    でも、なんとか……なんとかピークは越えた、かも。椅子にどんと座って深呼吸……イベントって恐ろしい……


    "――みんな、大丈夫?"
    わ゛ああああああああ!?!?!??
    「……うわあっ!? え、先生!? ちょっとお姉ちゃん、先生来てる!!!」
    「ほえ? ……マジじゃん!!! なんで急に!!?」
    "加勢できればよかったんだけど、さっき人波にさらわれちゃって……"

  • 192二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 10:44:49

    一見さんが多い
    けどセーフ

  • 193二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 13:47:38

    大変そうだけど楽しそうね

  • 194二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 21:52:47

    まぁこういう場で一組だけ贔屓にするわけにもいかんし
    結果オーライってことで

  • 195二次元好きの匿名さん24/10/03(木) 07:49:37

    このレスは削除されています

  • 196二次元好きの匿名さん24/10/03(木) 13:58:53

    そろそろ次か

  • 197二次元好きの匿名さん24/10/03(木) 20:14:28

    このレスは削除されています

  • 198佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 00:24:33
  • 199二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 07:49:29

    たておつ

  • 200二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 07:50:21

オススメ

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