- 1◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:30:28
- 2◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:31:49
- 3二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 19:33:31
たておつです
油断してた…… - 4二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 19:36:54
ごみ〜ん保守のこと忘れてた
- 5◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:37:20
keyからの宣戦布告を受け、ぞくぞくと生徒が集まり、便利屋の参戦が確定しました。
リア「スレ主は明日1日これを首から下げていてください
『わたしはスレを落としました』 」
このスレでは、リアちゃんたちが頑張った結果、エデン条約襲撃直前でベアトリーチェの策が悉く潰され、ベアトリーチェの打倒にアリウスの兵力も加わった結果、アリウスがトリニティに併合され、アリウス分派として生活しています。
また、戦力の増大の著しいトリニティへの牽制でSRTが一応存続しています。
いえいえ、わたしも朝に急な会議が入って更新忘れてしまいました。
- 6◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:43:45
いえいえ、こうして見ていただけるだけでありがたいです。
早瀬リア
当時のアリウス唯一にして事務能力(100)をほこる事務員だった。
現在はパテル分派所属。次席事務官兼首長補佐官。
ミカ様大好きな忠臣。
早瀬ユウカとは他人
仲裁と交渉担当だが圧政の気配を感じるとミカに止められることもしばしば。
「この戦いが終わったら休みをいただきましょう………そうですね………百鬼夜行、百鬼夜行の温泉地がいいです………ミカ様やユウミ達を連れてゆっくりしたいです………」
- 7◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:53:22
準レギュラーキャラ
血祭キョウカ
トリニティの1年生
アリウス分校出身のくそつよわんこ系後輩。ツルギを師と仰ぐ。
「………………ムスッ」
『わたしはミラーをふっとばしました』
雨宮ミスズ
リアのアリウス分校内戦時代からの同期で当時の隊長。リジェネ付与の神秘を有する。最近影が薄い。
「画像が送られて来たけど………サクラコさん、あんな礼装を着るのにどれだけの覚悟が要るのかしら(畏怖)」
八百万マイ
リアのアリウス分校内戦時代からの同期。工兵隊の指揮をとる。
ヒフミと友達。ペロロもいいけどウェーブキャットも好き。
「ん、キョウカはもう一度教習を受けるべき」 - 8◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 19:59:55
早瀬ユウミ
リアの妹。リアより大きい。
リア並みの事務能力とそれなりの電子戦の知識を有する。戦闘力は他のアリウス生に比べると低い。
実はインフラ系はユウミのほうができる。
「あの、ミチル様?年度末の予算が………」
矢向ミチル
パテル分派の首席事務官。
仕事人間で淡々と仕事を進めることと他校との調整に定評がある優秀な事務官。ミカに懐いているリアにミカの相手はほぼ投げている。
「なんとかなります………きっとなんとかなるんです………」 - 9◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 20:07:35
「では、ごゆるりと………案内は引き続きキョウカに任せますので、残りの時間は荷解きや休息にあててください。キョウカ、頼みましたよ」
机に書類をトントンとあてて整えたあとリアは退出していった。
リアが退出すると、まとわりついて頬や脇腹をつついていたアリウスの同級生を引き剥がしてキョウカが立ち上がった。
「………あー!もー!やめるッス!あたしはへたくそじゃないッス!ちょっとテンション上がってミスっただけッス!あと!そこにいるのはアビドスから紹介されたなかなかの勇士ッス!あたしをいじる前にもてなすッス!」
「「「「………………」」」」ジー
キョウカが叫ぶと、群がっていた生徒たちが一斉に便利屋の方を向いた。
「な、なにかしら?」 - 10二次元好きの匿名さん24/09/06(金) 20:12:05
たておつです
落ちてたからショックだったけど良かった
続きを楽しみにしています! - 11◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 20:20:10
「ドレクライツヨイ?」
「そこの紫色の娘は数mあたしを蹴り転がせるくらいは強いッス!」
「「「!」」」ザザザザザッ!
聞いたアリウス生達は、すぐさまハルカを取り囲んだ。
「な、なんですか!?も、もしかして報復ですか!?」
「「「ワアアアァァァァァァァ!」」」
事務所でキョウカを蹴り回した報復かと焦るハルカにアリウス生達が群がった。
「ひっ!?」
「「「!」」」シャッ!シャッ!シャッッ!
群がる生徒を牽制しようと放たれた蹴りは無駄に巧みなステップで躱され空を切った。
「ワッセ!ワッセ!ワッセ!ワッセ!」
「あ、アル様ああぁぁぁ!?」
「ハルカあああぁぁぁぁ!?」
そして担ぎ上げられたハルカはどこかに連れていかれた。 - 12◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/06(金) 20:23:13
- 13二次元好きの匿名さん24/09/07(土) 04:55:29
ほ
- 14◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/07(土) 09:33:29
「あと、そこの3人はさっきの娘の上司ッス!風紀委員会に指名手配されてまだ捕まってないからたぶん強いッス!」
「「「ワアアアァァァァァァァ!」」」
「な、なんなのー!?」
アルとムツキとカヨコにもアリウス生達が群がった。
「丁重に『おもてなし』してやるッス!」
「ワッセ!ワッセ!ワッセ!ワッセ!」
そして残り3人も連れていかれた。 - 15◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/07(土) 17:46:17
「オラッ!クエッ!」「コレモウマイゾ!」「キャクジンシッカリクエ!」
「ネムクナッタラネテモイイゾ!」「フロモアルゾ!」
「ひっ、ひえぇ~!?」
アリウス生達に運ばれてきたアルが目にしたのは、きっちりと調えられたベットを背後に、食堂メニューを供物の如く並べられてあれも食えこれも食えと『おもてなし』されているハルカだった。
「キャクジン、ノミモノハイルカ?」「ハラハスイテイナイカ?」
「メシナラアルゾ」「ダイジョウブ、イッパイアル」
次々かけられる言葉に答えるのに迷っているアル達も、オレンジジュースを握らされ、回りに料理を並べられてしまった。 - 16二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 01:19:14
ほ
- 17◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/08(日) 01:26:07
「うへへ~、便利屋ちゃん達よく来たね~」
そして困惑する便利屋に声をかける生徒が1人。
「あ、あなたは小鳥遊ホシノ!」
「やあやあ、先にやらせてもらってるよ~」ズルズル
「ん、柴関には1歩及ばないけどこれもなかなか………」
見れば部屋の一角でテーブルを囲んで各々食事をとってるアビドス高校の生徒たちがいた。 - 18◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/08(日) 08:33:04
「相部屋にしてしまって申し訳ないッス!正実とSRTと工務部呼んだら流石に部屋足りなくなってきたッス!」
「いやいや~、さっき仕切りもつけてもらったから大丈夫だよ~」
便利屋が運ばれてくる少し前に付けられたカーテンを引っ張りながらホシノは言った。
「とりあえず好きに過ごして鋭気を養ってほしいッス!会議がある時は誰か出席してほしいッス!」 - 19◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/08(日) 18:05:11
一方その頃の………
dice1d3=3 (3)
1、リア
2、アリス
3、Rabbit小隊
- 20二次元好きの匿名さん24/09/08(日) 21:00:43
兎達か
- 21二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 06:38:51
保守
- 22◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/09(月) 10:07:19
一方その頃のRabbit小隊は………
「いいか?今回の作戦に学園のトップが参戦してるのはミレニアムとトリニティ、そしてアビドスだ」
「トップは来てないけどゲヘナとレッドウィンターからも参加してるからね~」
今回の作戦の参加者について勉強していた。
「FOX小隊から聞いたよ~、トリニティの重役に暴言吐いたって~」
「だから今後そんなことがないように本来は先で習う予定のカリキュラムを繰り上げて勉強するぞ」
「あの……トリニティとミレニアムについてはもううかがったんですが………」
「アビドスとゲヘナとレッドウィンター居るじゃん。全部色んな意味でヤバイしいろいろ地雷あるからな」
FOX小隊から聞かされた内容だけでは不十分として、Rabbit小隊は追加で指導を受けていた。
そしてそのとなりでは………
「ナンデモウイッコフエルンダヨォ!」「xトyダケデモメンドクサイノニ!」
「あー、その問題はね、教科書○ページのこの公式を使うんだ。これで1つ数を揃えて引けば……」
「コウ?」
「そうそう、そうすれば文字が2つになるだろ?後は今までのと一緒だ」
数人のアリウス分派生が勉強を教わっていた。 - 23二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 18:57:14
おっかしーなー
近くDivi:Sionの侵攻があるはずなのに普通に学生してるぞこの子ら
いやまあRABBIT小隊に関しては各学校の情勢やらVIPのこと勉強しなきゃいけないのは分かるんだが - 24◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/09(月) 20:55:50
"おー、ちゃんと勉強してるね!えらいえらい、飴ちゃんをあげよう!"
「ア,センセイダ!」「アメダマアリガト」「シゴトオワッタノ?」
そして勉強会をしているのを聞き付けた先生がやってきた。
"………さて、各校の重役の話かな?それならわたしもそれなりに顔が広いから力になれると思うよ?"
「ネエネエ、シゴトオワッタノ?」
「シッ!キットリアカラニゲテキタンダヨ!」
「ソットシトイテヤレヨ!」
"………た、ただの休憩だからすぐにもどるよ?"
どうやら先生は忙しいらしい。
「ってまてまて!?なんでお前達は呑気に計算ドリル解いているんだ?」
そしてようやく違和感を感じたサキが勉強中のアリウス分派生達を指差した。
「ダッテキュウケイチュウダシ」「1カゲツゴニテストアルラシイシ」
「ヘンニュウチョクゴニアカテントッタカラツギハホシュウダシ」
「いやいやいや!勉強は大切だけど今はそれどころじゃないだろ!?」
あまりの呑気さにサキが叫ぶと、勉強していたアリウス分派生達は数秒考えた後ポンと手を打った。
「ナルホド、センキョクニフアンアリ?」
「そうだよ!トリニティとミレニアムが手を組んでなお足りなくてあたし達や他校からも人員引っ張ってくるなんて異常事態に呑気にしてられるか!」
サキがそう言ったのを聞いてアリウス分派生達はやれやれと首を降った後に言った。
「「「問題ない、勝つのはわたしたち」」」 - 25二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:06:02
うわぁ急に全角になるなぁ!?
- 26二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 07:05:33
保守
- 27二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 11:01:23
信頼度の高さが本当にいいですねぇ
- 28◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/10(火) 20:19:56
「ヤレルコトハヤッテル」「ブッシモチャントアル」「センリョクモソロッテル」
「し、しかしだな……ここまでの規模の敵はここ数十年無いわけで………」
アリウス分派生達が理由を幾つか言ったが、それでもサキは心配なようだった。
「「「ソモソモ、マエノボウエイセンデセンリョクダシキッテナイ」」」
「は?」
わりと予想外の言葉がアリウス生の口からでた。 - 29◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/10(火) 20:42:52
「まて……ちょっと待て………どう言うことだ?戦力が足りないからわたしたちや他の学校を呼んでるんじゃないのか?」
「ン、ソレハソウ、ダケドチョットチガウ」
今までの前提が崩れるような発言にサキは頭を押さえながら質問した。いくら自分達の学校を残さざるおえなくなるレベルで戦力が増したからと言ってそこまで層が厚いのだろうか?
「ラビットガキタトキセンリョクガタリナクナッテタノハホント」
「ミンナオツカレ」「キュウソクヒツヨウ」
第一次防衛戦の経過は共有されていたが、犠牲者は出ていないもののそれなりに休息が必要なのは間違いなかった。
「パテルブンパモミカサマモ、セミナーノカクシダマモデテナイ」
アリウス分派やC&C、フィリウスの砲兵隊など多くの生徒が参戦していたが、後詰めに残したパテル分派と聖園ミカも残っていた。同等の戦力でお代わりが襲ってきたら厳しかったが、戦力自体は残っていた。 - 30二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 23:53:46
勝つために我慢しつづけて、味方を増やし、敵の邪魔をし、黒服相手に契約したリアが、勝つための準備をしているって考えたらそりゃ信頼もおけるよね
これだけの戦力呼んだのも、戦うためじゃなくて勝つためだし - 31二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 06:13:39
保守
- 32二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 14:32:53
万全だね
- 33◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/11(水) 20:28:57
「つまり、ここまでの戦力を集めたのは念のためってことか?」
サキが呆れたような顔で聞いた。
「ン、タブンソウ」「ヤレルケドツカレテタ」
実際、既存の戦力でもそれなりに戦えたことだろう、しかし相応の被害を覚悟しなければならないが………
「「「リアがその程度の準備しかしないわけがない、どんな手を使っても確実に勝利する算段を調えるのがリア」」」
『自分の大切なもの』を奪われるのを何より嫌う、ある意味で最も強欲な元アリウス生がそんなことをよしとするわけが無いのは、実際に『周到な用意の結果』を経験したアリウス分派生達はよく知っていた。 - 34二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 06:30:14
増援も金で買えるなら安いもんだし、これを期にコネ拡大にも繋げてしまうか……
- 35二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 16:05:57
足りなくて困るよりはね
- 36二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:02:48
備えあれば嬉しいなの精神
- 37◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/12(木) 21:10:01
「くちゅんっ!………?」
早瀬リアが会議室でくしゃみをした。
「リアちゃん大丈夫?」
「風邪か?疲れたなら休んだらどうだ?ここのところ働き詰めだったからな」
ミカとサオリは心配そうな顔を向けた。
「いえ、休息はミカ様と一緒に十分頂いていますので………纏まった休みは後程頂きます」
そう言ったリアはエリドゥ周辺を表した地図に部隊を表すプレートを1つ追加した。
『アビドス・ゲヘナ連合小隊』
「少数参戦の学校の連合小隊ですが、使者として送った血祭キョウカ及び共に仕事をした白洲アズサの評価は共に高い生徒達です………唯一の3年生の小鳥遊ホシノは1年生当時はゲヘナの情報部がマークしております、相応に高い実力を有していると思われます」
扱いが難しかった少数参戦の学校の運用の目処もたち、部隊運用が大まかに決まりはじめた……… - 38二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 06:00:43
『アビドス・ゲヘナ連合小隊』
アビドスと便利屋はここでも同じ場所で戦うこととなる。 - 39二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 14:15:41
保守
- 40◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/13(金) 14:52:43
「とはいえ少数には変わりありませんので、運用方法は慎重に……………
dice1d3=1 (1)
1、c&cの二ノ矢
2、アリウス本隊の先駆け
3、パテル分派隊の先駆け
でもどうでしょうか?」
- 41◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/13(金) 21:02:08
「先陣をきるC&Cに次ぐ第2の矢、C&Cが離脱するための隙を作り、本隊が半包囲するためにC&C及び正義実現委員会と協力して敵を引き込む役をしていただくのはいかがでしょう?」
少数だが全員が高い実力を有している生徒達、そこに組織力が高く、謂わずと知れた剣先ツルギを有する正義実現委員会を合わせれば、引き込む役としては十分だろう。
「ふむ………となると、私たちの役割は『蓋』か?」
SRTの代表として出席したユキノが言った。
「そうね、AMASに回り込ませて蓋をする手もあるけど、先の戦闘を見るに突破される可能性も考えて、あなた達に出てもらうのが適任ね………」
エリドゥの責任者である調月リオが言った。 - 42二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 08:39:22
このレスは削除されています
- 43◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/14(土) 10:08:57
正面の正義実現委員会と少数部隊、左翼にアリウス分派、右翼にパテル分派、後方からは戦闘ヘリとSRT、火力支援にフィリウスの砲兵隊………集めに集めた戦力を贅沢に投入した布陣………決してやらないが並みの学校なら軽く攻め落とせそうな具合になっていた。
「………こんなところか?」
「そうね、これだけの戦力があるならこの方法が無難だわ………」
「あ~、つ~か~れ~た~!リアちゃんお茶ちょうだい!」
「はい、ミカ様」
基本的な方針が固まり、会議室には弛緩した空気が流れた。 - 44二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 19:44:29
ほ
- 45◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/14(土) 20:57:08
一度退出したリアがカートを押しながら戻ってきた。
「お待たせしました、本日は暑いのでアイスティーを用意しました」
カップではなくグラスに注いでミカをはじめとした会議の出席者にサーブしていく。
「わぁ!ありがとうリアちゃん!」
「うむ………リア、おかわりを頼む」
サーブを終えて席につこうかといった所で、すぐさま飲み干したサオリがおかわりを要求した。
「………っ!………ただいまお持ちします」
普段のごとく「自分でやれ」と壁際に置いたカートを指差そうとして、他校の生徒の目を気にして注ぎに行った。
「ふぅ………申し訳ありませんミカ様」
「ん?なにが?」
「本来なら淹れたてをご用意したかったのですが………」
「あー、おっきいポット持ってきてないもんね」
会合からそのまま防衛戦に雪崩れ込み、その間も兵站の調整に苦心していた。当然会談時に使ったもの以外に、トリニティまで茶器を取りに戻る時間は無かった暑さだけでなく出席者の数もまたアイスティーになった理由だった。 - 46二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 03:04:18
ほ
- 47二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:11:25
アイスティーってさっぱりできて良いよね
- 48◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/15(日) 10:55:31
グツグツグツグツ………
「………………………」ポイッ…
朝早く、まだ眠っている主人を残してリアはベッドを抜け出した。本日の会議はは午後から、午前はその他の仕事が入っているため準備は今しかできない。大きな鍋に湯を沸かし、パックに詰めておいた茶葉を投入する。
「………………」
熱対流でクルクルと回るパックを、リアは苦々しく眺めながらタイマーのスイッチを入れた。
トリニティの問屋に買い付けに行った際、店主のマダム(赤くない)に教わった作り方。茶会で堂々とやるには少々荒っぽく見える作り方と味のギャップに可笑しな顔をして笑われたものだ。
タイマーが鳴ると同時にパックを静かに引き上げ、蓋をしてあら熱がとれるまで放置し冷蔵庫に入れて冷やす。作るのに時間を要するが、3~4人用のポットで出席者全員分を淹れてぬるくなった茶を飲ませるよりいいだろう。 - 49二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 11:04:27
赤くない草
- 50二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 15:59:35
スターシステムは使用されてなかったか
- 51二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 21:02:41
保守
- 52◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/15(日) 21:03:23
「本当に………冷やす時間は長いもののなぜこのようにざt…んん、簡単な方法であそこまで水色も味も良いアイスティーになるのでしょうか………」
アイスティーの仕込みを終えたリアは、自分用にとっておいたコーヒーの挽き豆をフィルターにセットしながら呟いた。なんなら赤くないマダムはティーバッグをそのまま放り込んでいた。
「あれが年の功というやつなのでしょうか………ろくでもない年の取り方をした赤い方とは大違いです」コポポ……
セットした粉に湯を注ぎながらリアは呟いた。
「おや?あなたはトリニティの………」
蒸れた粉が膨らむのを眺めていると、入り口の方から声がかかった。
「あなたは………自販機研究会の……お世話になっております」
「いえいえ!こちらこそ良いデータを取らせて頂いております!」
リアが頭を下げると部長はパタパタと手を振った。
おや?似たような方が居ましたか?
- 53二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 06:28:54
保守
- 54二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:23:01
部長ちゃんだ
- 55◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/16(月) 20:06:50
「ところで………ここでいったいなにを?」
珍しく食堂ではなく早朝のキッチンに居る生徒が部長は珍しいようだった。
「ああ、午後の会議に出すアイスティーの仕込みです……なにぶん時間がかかる作り方なもので……」
リアが何していたのかを話すと、部長はギラリと目を輝かせた。
「ほほぅ!もしやそれはトリニティ秘伝のレシピですか!?」
「い、いえ、そういうわけd」
「そうなんですね!?差し支えなければ教えていただけませんか!?ここ最近飲料系の商品開発が遅れているもので!」
否定しようかと思ったがずずいと距離を詰められ捲し立てられてしまった。 - 56◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/16(月) 20:20:35
「(どうしましょうか……………)」
リアは困っていた。部長は今回の防衛戦における兵站の面で多大な貢献をしているが………
「(あれはトリニティの秘伝というよりはあの店のマダムのレシピですし、ご厚意で教えていただいたレシピを勝手に教えるのは………)」
トリニティ総合学園所有のレシピならまあ教えても問題ないが、このレシピはトリニティのティーパーティー御用達とはいえ一商人の所有するもの………そのようなものを勝手に教えるのは憚られた。
「………申し訳ありません。このレシピはトリニティのとあるお店のものですので、わたしの一存で教えることはできません」
「そう………ですか………」
「ですのでこちらを………」
そう言ってリアは残念そうにしている部長に名刺を1枚手渡した。
「これは…?」
「紹介状です。これでもティーパーティーの経理も担当していますので………レシピはお教えできませんが、レシピを所有しているお店のご紹介はします」
「おお!素晴らしい!これからもよろしくお願いします!」
思いがけず他自治区の老舗の問屋への紹介を得た部長はホクホクで帰っていった。 - 57二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 05:41:07
自販機研究会の部長…ずっと得しとるな
- 58◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/17(火) 10:11:46
かくして部長の対応を終え、ミカの朝食を用意し、キョウカが連れてきた便利屋の出迎えを済ませ、午前の書類仕事と午後の会議を乗り越えたリアは、その日の夕方トリニティにメールを打った。
─パテル分派執務室─
「ふぅ………こんなものでしょうか……ユウミ、そろそろ上がりましょう」
「はい、ミチル様」
次席事務官のリアはエリドゥで働き、ジローちゃんもゲヘナに出向中の現在、パテル分派の事務室では事務長とユウミ、交代でトリニティとミレニアムを行ったり来たりしているリアの部下3人が働いていた。
「(ポコンッ)……おや?リアからのメールですね……なになに………?」
『件名:エリドゥ防衛戦の経過報告と申請
本日、ゲヘナより便利屋68が到着、先日申請した予算で納得して頂きました。
午後の会議にて防衛戦の方針を決定。詳しくは添付したファイルをご確認ください。
『○月◻️日PM議事録』
ps.この防衛戦が終わったらお休みを下さい
Zip.休暇申請(早瀬リア) 』
「………………………だいぶキてるようですね」
事務長は黙ってPCを閉じた。 - 59二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 16:52:46
このレスは削除されています
- 60◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/17(火) 21:03:57
「さすがにもう帰りましょうか………これ以上は明日に差し障ります………」
パタリと割り当てられたノートPCを閉じたリアは、エリドゥの事務室の鍵を閉めて廊下に出た。
「っと………いけませんね、カフェインがきれてしまいました………少し休んでから戻りましょうか………」
リアは自分の恩師の一人が聞いたら怒鳴り込んできそうなことを言いながら自販機で缶コーヒーを買ってベンチに腰かけた。
「………………(ズズズ……)」
ドリップに比べれば味も香りも劣るがそんなことより熱を持った液体が腹に落ちていく感覚と脳にクるカフェインが気力を回復させてくれる。
「………ほぅ……」
体の内に染み渡る熱とカフェインにリアは恍惚とした表情を浮かべた。
「うへぇ………なんか危ない娘がいるよぉ………」
そしてそこへピンク髪の小さめの生徒が通りかかった。 - 61二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 05:45:56
自販機の缶コーヒー飲んで恍惚とした表情を浮かべたロリ…そりゃおじさんも危ない娘認識するわな…
- 62◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/18(水) 10:14:48
「おや?………小鳥遊委員長、いかがされましたか?」
先ほどまでききかけのカフェインでポヤポヤしていたリアだが、すぐにキリッとした余所行き事務官モードに切り替えた。
「いや~、歓迎して貰うのは嬉しいんだけどお腹いっぱいになっちゃってね?腹ごなしに抜けてきたんだ~」
歓迎されるのは嬉しいが、ホシノ達はエリドゥに来る前に割りとしっかり食事をしてきたため、すぐに限界がきてしまった。特に体の小さいホシノは早めに離脱し散歩をしていた。 - 63二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 18:24:02
おじさんのうへうへ散歩
- 64◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/18(水) 20:07:57
「ところで事務官ちゃん大丈夫?けっこうアブナイ顔してたけど?」
「おやこれは失礼………ようやく仕事に区切りがついて一息ついたところだったもので」
それにしてはヴァルキューレにしょっぴかれそうなレベルでキマっていたようにホシノには見えた。
「ところで、とある人からこれを預かってるんだけど?」
「わたしにですか?」
ホシノから手渡された小包を開けると、200g程度のコーヒー豆と果実シロップ、そして黒い紙に書かれた手紙が入っていた。
「どういう関係かな?」
人気の無い廊下で2色の瞳がリアを見つめていた。 - 65二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:40:49
あっ……
そういや弟子みたいなもんでしたねリアさん…… - 66二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:47:33
契約もしたことあるしな……あっちから契約したもの返してきたけど
- 67二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:51:56
すっかり忘れてたけどそういえばそういう関係だったわ
好感度滅茶苦茶下がった音がする~ - 68二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 07:14:48
保守
- 69◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/19(木) 10:11:13
「どういう関係……この小包の送り主のことですか?」
「それ以外にあるのかな?」
小鳥遊ホシノは表情はにこやかにしているものの、視線は少しずつ冷たくなっていっていた。
「ふむ………」
対するリアとしては困っていた。小包の送り主は間違いなく黒服だろう。黒服と小鳥遊ホシノの因縁についてはリアも知っているが、リア自身はホシノに危害を加えたこともなければ会ったのもエリドゥに来てからのことだった。
「………ぅん………?」
その上ホシノの質問への返答にも困っていた。
別に疚しいと思うことは無いのだが、思い返すと自分と黒服の関係を表すのに誤解を招かない丁度良い言葉が見つからなかった。
「なに黙ってんのかな?言えないことでもあんの?」
ホシノの言葉にトゲが混じりはじめていた。
「その………丁度良い言葉が見つからないので………長くなってしまいますがよろしいですか?なにぶんそれなりに前からの知り合いなもので………」
「へぇ………『前からの知り合い』……ねぇ…?いいよ、全部話しなよ」
ホシノはリアと反対側のベンチに腰かけた。 - 70二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 19:53:36
これ下手するとホシノがリアのこと敵認定しちゃうな
- 71二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 20:21:12
いよいよこれからって時に最大戦力の一角が離反するのはキツいぞ?
- 72◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/19(木) 20:36:49
「まず初めて会ったのはアリウス自治区が内戦をしていた頃ですね」
「は?」
内戦期、リア達が『お母さん』からはぐれて少しした頃、食糧を探して彷徨っていたリア達に出会ったのが内戦で希少な資料が失われる前に回収しようと入り込んでいた黒服だった。簡単な道案内兼調査時の助手として食糧と事務作業の手解きを対価にリア達を雇い、調査が済んだらそのまま置いていっていた。
「内戦が終結してからは自治区で働く労働者と労働基準監督署のような関係でしたね、うちの自治区を牛耳ってたのがゲマトリアのメンバーだったもので………あること全部チクっていました」
「は?」
皆さんご存じの赤いあんちくしょうの所業はまるっと全部黒服に報告していた。
「後は………エデン条約への襲撃を阻止するためにわたしの『神秘』の一部を対価に取引をしましたね………一部の兵器の受け渡し停止と輸送経路への接触を見返りに受けました」
「は??」
「まあ、危なくておいて置けないと返却されましたが………」
「は????」
「正式にトリニティの生徒になってからは会っても連絡もとっていないので随分久し振りですね」
黒服自身は何度か様子を伺っていたが、リアから接触することは今までなかった。
「たんま………ちょっとたんま………!
………………なんかいろいろおかしくない!?」
ホシノは頭を押さえながらそう言った。 - 73二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 02:57:25
宇宙ホシノになってないだけマシかな?
- 74二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 08:58:37
保守
- 75二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 13:27:03
黒服が詐欺紛いじゃない真っ当な契約結んでるんだからホシノからすればそんな反応にもなるか
- 76◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/20(金) 19:17:15
「ですので、元研究協力者と言ったところでしょうか………」
リアがそう言うと、ホシノはなんとも言えない複雑そうな顔をした。
「えっと……あの、こう……詐欺みたいなことはされなかったの?」
自身にたいして行われた詐欺に近い契約に対し、あまりにも真っ当な契約を結んでいた目の前の生徒に、ホシノは警戒よりも困惑が勝ってしまったようだ。
「…?はぁ、なにを言うかと思えば………」
それを聞いたリアはやれやれと肩をすくめた。
「学なし!神秘なし!ついでに栄養不足で不健康!当時のわたしたちに詐欺で搾れるような客観的な価値などありません!(ドンッ!)」
リアは無い胸を張ってそう言った。 - 77二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 19:18:31
胸を張って言う事なのかそれは……
- 78二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 19:36:35
無い胸が説得力高めてるな……
- 79二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 04:34:51
堂々と悲しいことを...
- 80◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/21(土) 10:39:31
「えぇ…………それ胸張って言っちゃダメじゃないのぉ…?」
あまりにも悲しいことを堂々と良い放ったリアに、ホシノはより困惑を深くした。疑おうにも目の前の事務官の自分より低く自分より平らな身長と胸に納得するしかなかった。 - 81二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 19:28:42
保守
- 82◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/21(土) 21:16:38
「………わかった、一先ず黒服とそこまで深い関わりが無いことは納得するよ」
自分自身でさえ一歩間違えればここに居なかったかもしれない目にあったホシノには、さらに幼い頃に黒服と接触して生きていることが、逆に協力者や実験体としての価値の低さを証明しているように思えた。
「でも、それならなんで「キヴォトスのために戦えるの?何もかも失うような目にあって恨んだりしないの?」
ホシノ自身、まったく手を貸そうとしない連邦生徒会や梔子ユメの死によって怒りから連邦生徒会へのカチコミを考えたことが何度かあった。ならばこの生徒はどうだろうか。
「ミカ様が望まれたからです」
答えはとてもシンプルだった。 - 83◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/22(日) 07:54:06
「誰も見向きもしなかったわたしたちをミカ様が見つけてくださいました。ミカ様がわたしたちに手を差し伸べてくださいました。そして………一緒に生きることを望んでくださいました………それで十分です………わたしはキヴォトスに敵対するよりミカ様と共に生きたいです。だからわたしはわたしがミカ様と過ごす平穏な日々を奪おうとする圧政者に反逆するのです」
「………………………う、うへぇ……」
途中から頬を赤らめながらそう語ったリアに、ホシノは少し引いていた。別の意味でやばい娘だった。
だが納得もあった。
「(そっか、聖園ミカが事務官ちゃんにとっての『ユメ先輩』だったんだね………)」
自身の心を救ってくれる人に出会えること………その得難い幸運の価値をホシノは知っていた。 - 84二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 10:13:59
リアはおっぱいの大きい先輩が好き
ホシノもおっぱいの大きい先輩が好き
よし、仲良くできるな - 85二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 20:05:55
なんとかなった、かな?
- 86◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/22(日) 20:20:58
「ふむ…豆は焙煎してから2日……ガスの発生も落ち着いて飲み頃のフルシティロースト………せっかくなので自販機でホットサンドでも買って一緒に頂いてしまいましょうか………小鳥遊委員長はいかがですか?」
「うへぇ………おじさんはお腹いっぱいだからコーヒーだけでいいよぉ………」
黒服はともかくとしてこのちょっとアブナイレベルで聖園ミカに脳をこんがりウェルダンにされているちっこい事務官に害はないことを確認したホシノは、警戒するのをやめていつものゆるふわうへうへおじさんに戻った。
メジャースプーンで2杯分の豆を計り、ミルでコリコリと豆を挽いていく………無表情で淡々と挽いているがどことなくわくわくしているように見える。
「ふむ……(カリ…コリ…)……これは!」
「うへっ!?ちょっと事務官ちゃんなにやってんの!?お腹すきすぎておかしくなった!?」
おもむろに豆を一粒食べたリアを見たホシノはついに頭がおかしくなったのかと慌てた。
「失敬な……1粒くらいなら問題ありません。それより、これはおもしろいですよ?」
そう言ってリアはホシノにも1粒豆を差し出したが、ホシノは首を横に振って遠慮した。
沸いたお湯をサーバーに落として温める。湯を捨て、サーバーに再度沸いたお湯を注いでそこから細口ケトルに移して温度を調整する。
「うへ、けっこう面倒なことするね………」
「せっかくの新鮮な豆ですから多少の調整はしますよ?」
普段飲むのはコンビニか自販機、もしくはドリップパックかインスタントのホシノにはリアのやってる行程は少々面倒に思えた。だが普段から茶やコーヒーを扱うことの多いトリニティ生の中でもトップに位置するティーパーティーの付き人がやっているのならきちんと意味があるのだろう。 - 87◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/22(日) 20:23:16
「では、淹れていきます」
ツイっとケトルを傾けてドリッパーに湯を落とす。湯に触れた粉からガスが発生し、ぷっくりとドーム状に膨れていく。
「うへぇ~もういい匂いがするねぇ」
立ち上る薫りにふにゃりと目元を弛ませたホシノをおいてリアは膨れる豆と腕時計の秒針をじっと見つめた。
「……!ここです」
豆のドームが膨らみきってぽひゅっと呼吸をしたところに細く細く湯を落としていく。豆の層から湯が溢れないように浮かないように、細心の注意を払って落とされる湯は最早連続した水滴の列に見えるほど細くなっていた。
「………お待たせしました」
湯を投下し初めてから凡そ2分弱、ホシノの前に1杯のコーヒーが差し出された。 - 88二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 06:29:51
保守
- 89◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/23(月) 12:46:04
「うへぇ~!待ってました~!おじさんこんなに待ち遠しい2分は一昨日食べたカップ麺以来だよぉ~」
取っ手ではなくカップ本体を持とうとしてホシノは手を引っ込めた。
「(すごく熱い……!?)」
「冷めないようにカップは湯で温めておりますのでお気をつけください」
「うへへ~これはしっけ~……じゃああらためて~……(ゴクッ)…?……!?」
リアの忠告に従って、今度こそ一口飲んだホシノは一瞬固まり、下ろしたカップの中の黒々として光沢のある水面をまじまじと見つめた。
「(甘……!?いや苦……!?なに……この……これコーヒー…?キャラメル……?……いやでもこの苦いのはたしかにコーヒー…………????)」
黒く熱く甘苦い液体にホシノは目を白黒させた。 - 90二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 13:19:30
なお、廃校間際ギリギリで踏ん張ってるやつと、ほぼほぼ廃校みたいな状況の幕を引いたやつである
- 91二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 16:35:31
ちょっと調べたらキャラメラードってのが出てきた
これか? - 92◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/23(月) 20:17:31
「どうです?なかなかおもしろいでしょう?」
横を見れば自身もコーヒーを飲んで頬を弛ませるリアがいた。
「いやおいしいけど……事務官ちゃん砂糖かなんか入れた?」
「いいえ、入れておりません。これは豆由来のものです」
そしてそこからリアが蘊蓄を垂れ流しはじめた。
曰く、そもそもコーヒー豆は元々茶色ではなく、あの色はクロロゲン酸や糖類がカラメル化したものである。
曰く、温度によって抽出されやすい物質が変わる。
曰く、抽出時間と湯の滴下速度で味の調整ができるのだと………
「元々含まれている糖類がカラメル化したものが溶け出し、このように甘味が出るのです………少しずつ酸化してしまうので、焙煎からあまり時間がたっていないからこそ出せる味ですね」
半分ほど聞き流したがとりあえずうまい。そうしてゆっくりしていると………
「あー!リアちゃんまだお仕事してる!っておいしそうなの飲んでるし!わたしにもちょうだい!」
事務室に大きな声が響いた。
それもですね。いくつか甘味を出しやすいものがあります。砂糖的な甘味よりは薫り成分とカラメル由来の甘さですね。
- 93二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 06:32:07
保守
- 94◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/24(火) 10:10:02
「ミカ様!?」
「もう!ぜんぜん帰ってこないから様子見に来たらおいしそうなの飲んでるし!しかもアビドスの娘には振る舞ってるし!」
自分の副官がいつまでたっても戻ってこないから様子を見に来たミカは、その副官が今日来たアビドスの委員長とコーヒー飲んでゆっくりしていたことにご立腹のようだった。
「うへ~おじさんはそろそろ戻ろうかな?じゃあね事務官ちゃんご馳走さま~」
そして小鳥遊ホシノは面倒に巻き込まれる前に早々に離脱した。
「み、ミカ様?わたしは決してミカ様をほったらかしにしたのではないのですよ?小鳥遊委員長が知人からの小包を届けてくださったのでお裾分けをしていたのです」
「ふーん…?」
しどろもどろに弁解をするリアをミカは半目でみた。
「きょ、今日はもうコーヒーはやめておきましょう?眠れなくなってしまいますので……明日の朝入れて差し上げますので……」
「わたし待ってたんだけどなー、お腹空いてるんだけどなー」
他校との会談で気を張ったミカは、せめて夕食くらいは気を使わなくてもいいリアとゆっくりとろうと思って待っていたのだった。 - 95◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/24(火) 20:17:43
「で、でしたらこちらを……」
リアは小包の中からボトルを1本取り出した。
「それは?」
「百鬼夜行で取れた山葡萄を搾ったもののようです……希少なうえに最近詰めたばかりのようで鮮度も問題ありません」
「!よし!それで手をうとう!そうと決まれば行くよリアちゃん!」
エリドゥにおいてなにより希少なのは新鮮な果物……先の輸送で炭酸飲料や清涼飲料水はいくらか仕入れたが、オレンジジュース以外の新鮮な果汁飲料は仕入れが間に合わなかった。そこに珍しい山葡萄液である。ミカはそれで薄情な副官を許すことにした。
「はい、ミカ様!」
そしてリアも、自分の主人がわざわざ迎えに来てまで食事を共にしようとしていたことが嬉しかったのか、上機嫌で手を引かれて食堂に向かっていった。 - 96二次元好きの匿名さん24/09/25(水) 05:39:44
保守
- 97二次元好きの匿名さん24/09/25(水) 14:32:46
捕手です!
- 98◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/25(水) 18:21:20
──食堂にて──
「あ!リアちゃんパイセンとミカ様ッス!」
正義実現委員会の面々にエリドゥを案内し終え、夕食を食べに来ていたキョウカが今しがた食堂にやって来たリアとミカを見つけた。キョウカにとっては自分よりちっこいけど敬うに足る先輩と大恩人である。いつものごとく帰ってきた飼い主を見つけた大型犬のごとく駆け寄ろうとしたが…………
「はいはい、疲れてそうだから今は控えるっすよ~」
「ん、今は2人でゆっくりさせるべき……」
「あ~!(悲)」
またしてもイチカとマイに引きずられていった - 99◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/25(水) 20:50:48
「………………(カチャカチャ)」
「………………(ペラッ…ペラッ…)」
「……えへへ……もう、食べられません……(スピー)」
「………………サオリ姉さん、そろそろ休んだら?」
「ああ、これを戻したら休む」
リアとミカが夕飯を食べはじめた頃、早めに夕飯を済ませたスクワッドは割り当てられた部屋で休んでいた。
「ほらヒヨリ起きな、寝るならアツコとお風呂入ってからにしな………アツコも、眠くなる前に入っちゃいなよ」
「んぅ……ふぁい……わかりまひた………」
「うん、行ってくるね」
寝ぼけ目のヒヨリはアツコに手を引かれて風呂場に向かった。 - 100二次元好きの匿名さん24/09/26(木) 06:02:01
保守
- 101◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/26(木) 10:14:11
「はい、流しますよぉ」
「うん、おねがい」
泡立てたアツコの頭をヒヨリがシャワーで流していく。毛先までしっかりと流し、水気を切る。
「じゃあ交代」「はい、よろしくお願いします」
前後を交代して今度はヒヨリが頭を洗われる。泡立てたシャンプーで頭皮をマッサージするようにもみ洗いをしていく。
「えへへ~極楽ですね~、作戦の前なのにこんなに快適なんてすごいですね~」
「ね~」
アリウス分校最後の作戦では、直前期はリアが唇を噛みながら断腸の思いで物資を搾っていた影響で食事はギリギリ、シャワーなどなく濡らしたぼろ切れで体を拭ければましな方だった。 - 102二次元好きの匿名さん24/09/26(木) 17:52:24
シャワーすら贅沢かあ
- 103◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/26(木) 20:45:42
「快適ですね~」「そうだね~」
勢いを落としたシャワーをダラダラと浴びながら2人はゆるく呟いた。
「もう手放せないですね~」「そうだね~」
キュッと蛇口を回してシャワーを止め、タオルでがしがしと拭いて頭を乾かし、顔に垂れた髪をかきあげた。
「………アツコちゃん、勝ちにいきますよ」
「もちろん」
虚しさにはもう飽きた………
ようやく手に入れた安息の地を奪われてなるものか
「とはいえ暖まったら眠くなってきました」
「とりあえず今日はもう寝ちゃおう」 - 104二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 06:12:37
保守
- 105二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 15:25:14
保守
- 106◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/27(金) 18:26:08
「………………」
「………………」
黙々と銃の整備をするサオリと、それをつまらなそうに眺めているミサキが部屋に残された。
「………………」
「………………サオリ姉さん、ひょっとして緊張している?」
「っ!?そ、そんなことないぞ!?わたしはおちついている!」
「サオリ姉さん、そのネジ別のとこのだよ」
大丈夫と言いつつサイズの合わないネジを空回りさせていたサオリはミサキに指摘された。 - 107◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/27(金) 21:26:21
整備ミスを指摘されたミサキは、おとなしく整備台を離れて床に胡座をかいて項垂れた。
「なに?今さら怖くなった?」
ミサキが頬杖をついたまま半目でサオリを見ながら言った。
「………正直に言えば……そうだな………」
俯いて、手を組んだり、指をくるくると回したりしながらサオリは言った。
「今更だが………アリウスでは、奪われる生活だった………」
「………………」
「エデン条約では奪う側に回る筈だった」
「………………」
「だが……奪わずとも掴み取る機会を得た………」
「………………」
「望むことすら諦めていた幸福を得て………一度は脅威を退けて………怖くなった………」
「………………」
「なあミサキ………わたしはお前達を………アリウスの皆を守りきれるのか…?」 - 108二次元好きの匿名さん24/09/28(土) 06:37:00
富んだことによる贅沢な悩みだねぇ……
もっともっと何度も何度もしろよ - 109二次元好きの匿名さん24/09/28(土) 11:11:06
悩めるっていうのも良いことだ
- 110◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/28(土) 16:02:53
「………はぁ」
項垂れるサオリを前にしてミサキは呆れたようにため息をついた。この姉はずっとリーダーをしてきているくせに何故こうこうも自信が無いのか………
「姉さんならできるでしょ………」
「なぜそう言いきれる?今まで奪うか与えられるかしかしてこなかったわたしが、なぜ守れると言いきれるんだ?」
「アズサも私達も、ずっと姉さんが守ってくれてたじゃない」
何を今更と言いたげな顔でミサキは淡々と言った。 - 111◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/28(土) 19:43:26
「たしかに、あの生活から抜け出す切っ掛けを作ってくれたのは事務長と聖園ミカだけど………それまで守ってくれたのはサオリ姉さんじゃない」
サオリは理解が追い付いていないような顔をしていた。
「アズサが他の教官に処分されそうになった時の庇ったのは姉さんだった。小さい頃からわたしたちを守ってきたのも姉さんだった………わたしが知っている姉さんは、誰かを守ろうとしている時が一番強い人だよ」
そこまで言って恥ずかしくなったのか、ミサキはそっぽを向いてしまった。 - 112二次元好きの匿名さん24/09/28(土) 23:18:52
かわいい
- 113二次元好きの匿名さん24/09/29(日) 09:30:46
本人に自覚無かっただけでちゃんと守ってたんだよね、サオリは
- 114◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/29(日) 15:36:58
「それに、私達だってもう守られるばかりじゃないし………自分の身と姉さんの背中くらいは守れる」
「………っ………そう、だな………」
アリウスではずっと不安定で、放っておいたら居なくなってしまうのではないかと思っていたミサキも頼もしくなった………思えば、ミサキに弱音を吐いている所などアリウスでは見せたことはなかったかもしれない。サオリは顔を手で覆って天を仰いだ。 - 115◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/29(日) 20:44:18
「す、すまない!少し出てくる…………」
「はいはい………あんまり遅くならないでね」
ごろりと横になってひらひらと手を振っているミサキの声を背にサオリは廊下に出た。
「………はぁ………何をやっているんだわたしは………」
頭に手を当てながらサオリはとぼとぼと廊下を歩いた………消灯時間にはまだ早いが夕食時は既に過ぎ、皆自室で休んでいる時間のため人通りはなかった。
「………………はぁ………」
廊下に設置された自販機で飲み物を買い、ノロノロとベンチに座りこんだ。
「はぁ………かっこわるいな………わたしは………」
ミサキに励まされはしたが、安心すると同時に自分なんとも情けなく感じてくる。サオリは買った飲み物を手の中でもてあそんだ。
「アッ、サオリダ」ガコンッ
横から聞こえた声にサオリが反射的に目を向けると、アリウス分派の生徒が一人、自販機で飲み物を買っていた。
「………何をしているんだ?」
「カイダシ!アビドストイオリノカンゲイカイシテル!」
そう言いながらそのアリウス生は持ってきていたかごにポイポイと買った飲み物を放り込んでいた。
「コレアゲル!」
そう言ってアリウス生はサオリに1本ジュースを投げ渡した。
「わたしにか?」
「ウン!ナンカゲンキナサソウダカラ!」
元気よく言ったアリウス生の言葉が、気分の下がりきった今のサオリにはグサリと刺さった。
思えば自分はは分派の長を勤めきれているのだろうか?ナギサやセイア、あのミカでさえ分派の生徒からはそれなりに畏まった対応をされている………私には威厳が無いのだろうか?
「はぁ………」
「アリャリャ、コレハジュウショウ………ナニカアッタ?」 - 116二次元好きの匿名さん24/09/29(日) 23:24:43
守れるかどうかを心配するのは塀に守られる人間ではなくその塀を建てる人間、所有する人間の思考や
- 117二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 09:24:37
気の置けない仲って事もある
- 118◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/30(月) 16:24:02
「いや………わたしは首長としてうまくやれているのかわからなくなってな………」
「ナゼキュウニソンナコトカンガエハジメタシ……」
久しぶりに辛気臭い顔をしているサオリの発言にアリウス生はゲンナリした。
「……!ソウダ!チョットマッテテ!」
そして少し離れた自販機でナニかを購入し………
「オラッ!クエッ!」
「モガッ!?あっっっつぅぁあ!?」
辛気臭い面を晒している首長の口にねじ込んだ………出来立ての自販機たこ焼きを
「ハラヘッテルカラソンナコトカンガエルンダ!ダカラクエッ!ハライッパイナラダイタイドウデモヨクナル!」 - 119二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 18:38:59
食べ物系の自販機もほとんど見なくなったなあ(羽田空港に1台あったけどいつの間にか無くなってた)
そして出来立てのタコ焼きを口に突っ込むんじゃない!火傷しちゃうだろうが!!www - 120二次元好きの匿名さん24/09/30(月) 19:02:54
あつあつのたこ焼きを食えるのもサオリたちとリアが頑張ったおかげだよ
- 121◆K7oi2p2CoQ9Y24/09/30(月) 20:17:05
「むぅー!?むー!?(あっっっつい!?なにか!なにか飲み物を!?)」
口に出来立てのたこ焼きを捩じ込まれたサオリは、飲み物を求めて手足をバタバタと暴れさせた。
「ドウダ!?ウマイカ!?ジュースモアルゾ!オラノメ!」
「は、はやくみずをk…ガボッ!?ごぼっ!?」
手を伸ばしたサオリの口にアリウス生は歓迎用に買っていた1.5Lのペットボトルを突っ込んだ。
「あ~つかれた~……って!なにごとっ!?」
そこに疲れて休憩を取ろうとした先生が通りがかった。ペットボトルを突っ込むアリウス生とそのペットボトルを掴んだサオリ………端から見れば拷問の様であった。 - 122二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 00:08:51
絵面が酷過ぎるw
傍から見たら下剋上だよこれ - 123◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/01(火) 10:03:44
「ア、センセイダ!センセイモタベル?」
「ガボッ!?ゴボッ!?」ビクンビクン……
目の前のアリウス生はこちらを向くと先に買ったのだろうたこ焼きを差し出してきたが………
"いやいやいや!?その前にサオリがヤバイからボトル離して!?"
食事よりも暴れさせていた手足が痙攣にかわりはじめたサオリの救助の方が優先だった。
「ンオ?イッキニツメスギタ……ゴメンゴメン」
「ゲホッゲホッ!………たすかった(グッタリ)」
アリウス生が手を離し、サオリは解放された。
"なぜこんなことを?"
「サオリガヴァニタスシテタカラメシクワシテタ!」
エデン条約締結後、燃え尽きからの集団う゛ぁにたすを発症した際に確立された対処法………通称『MFN(飯食って風呂入って寝ろ)』に則った対応だった。 - 124二次元好きの匿名さん24/10/01(火) 20:17:46
ちょっと急すぎたが
実際空腹はマイナスになりがち - 125◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/01(火) 20:40:09
サオリが解放された後、アリウス生は先生と2、3話してジュース代としてお小遣いを受け取ると「チャントヤスメヨ!」と言ってサオリの背中をバシバシ叩いて去っていった。
"さて………なにかあったのかな?話くらいなら聞くよ?"
息が整い、床に座りこんだサオリを横に、先生は自販機で飲み物を買いながら声をかけた。
「いや………わたしは分派の長に相応しいのか自信が無くなってしまったんだ………」
"おぉぅ……これはなかなかにキてるね……"
そう言いながら先生はカシュッと音を立てて手元の缶コーヒーを開けて一口飲んだ。
"ぁ~キクねぇ……"と草臥れた声を出す先生の横で、サオリも手元の飲み物を一口飲んだ。
"それで?どうして相応しくないと思うんだい?"
先生は宙に視線を流しながら聞いた。
「……不安になってミサキに慰められた」
"そっか、ミサキは優しいね……"
「他の生徒にも心配されてしまった………それに先生も見ただろう?さっきの醜態を………」
一般生徒に雑に励まされる様子はたしかに何事かと驚かされた。
「ナギサもセイア、あのミカだって分派の生徒から敬われている……本当にわたしで良かったのか?」
ペットボトルを抱えて泣きそうな顔でサオリはポツリポツリと話した。
"………たぶん大丈夫だよ。アリウス分派の首長はきっとサオリでいいんだとわたしは思うよ"
サオリをしばらく眺めた後、先生は言った。 - 126二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 06:01:22
保守
- 127◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/02(水) 10:23:25
「慰めはいい……あの対応でわかる……わたしは派閥を率いる器ではないんだ……」
"そうかな…?わたしにはあの娘にも他の娘にもサオリは慕われている様に見えるよ?"
そう言って先生はサオリが抱えているペットボトルを指差した。
"それ、サオリの好きな銘柄なんじゃない?"
「あっ……」
サオリが抱えているペットボトル……先ほどの生徒が口に突っ込んでいたそれは、サオリが自販機で買った缶ジュースと同じものだった。
"たしかに、サオリはナギサやセイア、それにミカみたいに派閥を率いることにはまだなれていないのかもしれない……"
「っ!………そう、だな………」
"だけど、フィリウスもサンクトゥスもパテルも歴史が深い派閥だ………そのなかで率いる首長が出てくるのが自然だったんだろう………"
缶コーヒーを飲み干した先生は自販機でサオリと同じ銘柄のジュースを買った。
"でもアリウス分派はできたばかりだ………そして君達も歩きだしたばかり………アリウス分派の子達に必要なのは、ミカ達みたいな率いる首長じゃなくて共に歩んでくれるサオリみたいな首長なんじゃないかな?"
"まあ、ミカは一緒に歩きたがる方だけど………"と付け足して、先生はジュースを片手に踵を返した。
"ま、焦らずとも結果はついてくるさ!時間ができたら存分に悩むといいよ"
そう言って先生は仕事に戻って行った。 - 128二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 16:41:05
サオリならきっと大丈夫さね
- 129◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/02(水) 20:28:26
「………………」
サオリは先生を見送った後、手元に残ったペットボトルをじっと見つめた。自分を屋内で溺死しそうにさせたものだが、今は1つの道しるべのようにも見えた。
「………まったく、難儀な役目を負ってしまったものだ………」
サオリは残った中身を一気に飲み干し、自販機脇のゴミ箱に向かって投げた。
───スコンッ
投げられたボトルは真っ直ぐに中に収まった。
「わたしもあいつらもまだまだ未熟だな………だけど………共に歩むのを望まれるのなら………その間は歩いてみるか………」
軽く服を直してサオリは部屋に戻った。その顔は少し穏やかだった。 - 130二次元好きの匿名さん24/10/02(水) 20:43:37
がんばれ、サオリ。
- 131二次元好きの匿名さん24/10/03(木) 05:59:06
保守
- 132◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/03(木) 12:32:04
「あ!リアちゃんお疲れ様です」
「ふぎゅっ!?」
場所は変わってシャワールーム前脱衣場。
食事を終えたリアとミカは寝支度を調えるためにシャワーを浴びに来ていた。そしてリアはちょうどシャワーからあがって着替えも終えたヒヨリに捕まっていた。
「あ"~ぁ"~………」
わりと疲れが限界に近かったリアは、ヒヨリの湯上がりあったかふかふかボディに屈しかけて膝がガクガク笑っていた。
「ミカ様もお疲れ様です」
そしてアツコがリアの頭を撫でながらミカに挨拶していた。
「………………」(ピクンピクン……)
リアが寝落ちするのは時間の問題だった。 - 133二次元好きの匿名さん24/10/03(木) 20:30:39
このレスは削除されています
- 134◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/03(木) 20:41:28
ヒヨリとアツコ……2人ともアリウス自治区にいた頃の忙しそうに1人で事務仕事をしていたリアをよく労ってくれていた。そして今回もなにかと調整に大忙しのリアを労ったのだが………
「ぁ~………ぁ~………」
………………効きすぎた。
既にミカと食事をしてリラックスモードに入っていたリアにとって、湯上がりで高めの体温は辛うじて耐えていた眠気に止めを指すに十分だった。
「おっと⭐リアちゃんが寝落ちしそうだからもういくね⭐」
「………(コックリ……コックリ……)」
ヒヨリの胸に顔を埋めたまま船をこぎはじめたリアをひっぺがして、ミカはシャワールームに駆け込んだ。 - 135二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 06:48:38
アリウス洗いっこ文化は実にいい……
- 136◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/04(金) 12:10:08
「………ハッ!?わたしのマシュマロクッションはどこへ!?」
「あっ、起きた」
ミカにシャワールームまで連れていかれ、出始めの少し冷たい水を被ったところでリアは目を覚ました。
「………………ミカ様申し訳ありませんでした!」
そして現状とこれまでのことを頭で理解すると、流れるように膝を折ってシャワールームのタイルに額を擦り付けた。
「うん、リアちゃんそれやめようか?絵面がすっごくひどいから………それより、髪洗ってほしいな?」
全裸の小柄な生徒が土下座をしている姿は非常によろしくない。シャワールームを使っている生徒が他に居なくてよかった。
「はい、ミカ様……」
眠気が限界だったとはいえ、主人に手間をかけさせたのはリア的にはよろしくないことだった。
備え付けられた風呂椅子に座ったミカの髪を、リアはいつも以上に慎重に洗った。 - 137二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 22:11:13
保守
- 138◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/05(土) 07:28:23
「今度はわたしが洗ってあげるね⭐」
リアに髪を丁寧に洗われたミカは、恐縮するリアを風呂椅子に座らせ、泡立てたシャンプーを持って体を洗いはじめた。しっかりと髪の毛を湯で流し、細めの髪をわしゃわしゃ洗い1度流した後、ボディソープを手に取った。首から肩、腕、脇を通過して胴体へと洗っていき、背中をゴシゴシと洗いながらミカは微笑んだ。
「えへへ、リアちゃん……少しお肉ついてきたじゃんね⭐」
「ひゃっ!?」
脇腹をボディソープをつけた手で洗いながらすりすりと撫で回されてリアは悲鳴を上げた。トリニティ編入当初は痩せて肋が浮いていた体も、満足な食事ができるようになったことで健康的に肉がついてきていた。
その後リアは、ミカが満足するまで健康状態を見るための全身撫で洗いをされてしまった。 - 139二次元好きの匿名さん24/10/05(土) 14:13:40
もっと、もっとお肉つけて良いんやで
胸と尻にももっとつけばなおよし - 140◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/05(土) 19:54:03
「………………(クテッ……)」
「あ~さっぱりした~⭐」
所変わってミカとリアに宛がわれた部屋………
上機嫌で髪を調えているミカの横では、最低限髪を乾かしたものの、そこで力尽きてベットに沈んでいるリアがいた。
「んっんっんっんっ………ぷはぁっ!寝る前の飲み物は格別だね」
髪を調え、寝る前の軽いストレッチを終えてリアが事前に用意しておいたボトル入りの果実水を飲んで一息ついたミカは、ピッタリと調えられていた掛け布団を剥がしてお気に入りの抱き枕(リア)をセットし、布団に潜り込んだ。
「おやすみリアちゃん」
「………………ぁぃ……ぉゃ……ぃませ………ミカサマ………(スヤァ………)」
途切れ途切れに挨拶を返したリアがついに夢の世界に旅立ったのを確認してミカはリアを抱き寄せた。もともとちょうどいいサイズ感だった体に程よい肉がついたことで抱き心地がよくなり、エリドゥに来てからもミカは毎日ぐっすり安眠できていた。 - 141二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 01:18:49
ほ
- 142二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 10:04:31
主人のコンディションを整えるのも従者の勤めですゆえ……
- 143◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/06(日) 13:04:27
「………………」ムクッ………
エリドゥ内の一室で、1人の生徒が目を覚ました。
「「「………………………(スヤァ……)」」」
「………すみません……」
熟睡している同室の生徒達を置いて廊下に出る。
目指すはエリドゥ内部中枢の工房兼オペレータールーム………セミナー会長調月リオ……… - 144二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 20:43:33
何する気だ
- 145二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 00:56:55
ほ
- 146二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 06:53:39
し
- 147◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/07(月) 10:09:43
コソコソ………
エリドゥの廊下を怪しげな段ボールが進んでいく。
幸い消灯時間になっているため出歩いている生徒は殆どいない………
「「「(ナンダアレ……)」」」
そう、殆どいないが申し訳程度に館内にも見回りの生徒は配置されていた。
「(コソコソ………!)」ピタッ!
「「「………………」」」
近付くと止まり、距離を取るとまた動き出す段ボールは怪しさ満点だったが………
「ドウスル?」「アノハコニハイルテキイタッケ?」「クモデモ2mアルゾ」
今回の敵がそれなりのサイズの機械であるため、すぐには手を出さずにいた。
「………(コソコソコソコソ!)」
「「「………………」」」スススススススス……
一先ず目的を探ろうと、見失わない程度に距離を取りながら後をつけることにした。
「(コソコソ……コソコソ……)」
「「「………………」」」スススススススス……
深夜のエリドゥで、段ボールとアリウス生の奇妙な負いかけっこが始まった。 - 148◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/07(月) 20:10:42
「……(コソコソ…!)」ピタッ!
しばらく距離を置いて段ボールを追いかけていると、段ボールは中枢のオペレータールームの前で止まった。
「……オイ」「……アア」「サスガニアヤシイ」
消灯時間を過ぎてからオペレータールームに近づく怪しい段ボールに、様子をうかがっていたアリウス生達もついに動いた。
「フゥ………ツカレタ……オットコンナトコロニセモタレニチョウドイイダンボールーガ…!(棒)」
一人が偶然を装って段ボールに近づいた。
「モシモシ……イマヘヤノマエニフシンナダンボールガイル………ネンノタメケイカイシテクダサイ」
「どういうことなの…?」
そして一人が部屋の中にいる生徒……調月リオに注意を促した。
「オイ!ナニサボッテルンダ!(棒)」
「ダッテツカレタンダモン!(棒)」
そしてもう一人のアリウス生も動いて段ボールを挟んで時間稼ぎのための口論のふりを始めた。
「………(ど、どうしましょう……これでは段ボールから出られません!?)」
段ボールの中身はいっこうに側を離れない生徒に焦りはじめていた。 - 149二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 02:10:16
ほ
- 150◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/08(火) 10:09:31
「オマタセ、レンラクオワッタ」
「(ま、また増えました!?ど、どうしましょう)」
近くにいる生徒がまた一人増え、段ボールはさらに焦り始めた。そして………
「オラッ!デテコイ!」「イルノハワカッテル」
「ハコゴトハチノスニシテヤロウカ!?」
一先ず中身を確認することにしたアリウス生達は、小銃を段ボールに突きつけた。
「わあああ!?う、撃たないでください!アリスは悪い生徒ではありません!?」
── てんどう アリスが あらわれた! - 151二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 14:53:05
アリス?
なんでこんなことを - 152二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 18:45:07
お前かーい!w
いや確かに公式ショートでダンボール被ってたけどさあw - 153◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/08(火) 20:38:10
「「「………………」」」
「あ、アリスは!悪い生徒ではありませえええええん!?」
「「「………………(イラァ…!)」」」グリグリ…!
「わあぁぁ!?銃口でグリグリしないでください!どうか撃たないでください!?」
夜間の警備中に無駄に警戒を引き上げさせられたアリウス生たちは、苛立ちを込めてアリスに銃口をグリグリと押し付けた。
「イイワケハドウデモイイ…」「トットトモクテキヲハケ…」
「ドウデモイイリユウダッタラブンナグッテヤル…」
銃口を押し付ける2人の生徒と、腰から抜いた警棒で素振りを始めた1人を見てアリスは顔をひきつらせた。 - 154二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 01:35:29
例の顔してそう
- 155◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/09(水) 09:14:23
「えっと、アリスはリオ先輩とお話ししたくて………」
─アリスは わけをはなした!
「「………………………」」
─アリウスせいは だまっている!
「………………………………」ブンッ!ブンッ!
─アリウスせいは すぶりをした!
「うわあああん!本当なんです!日中は会議で忙しそうだから夜しかないと思ったんです!」
─アリスは さらに わけをはなした!
「ダッタラナンデダンボールカブッテタ?」
「コソコソスルリユウガアルノカ?」
「………………………」ブンッ!ブンッ!ブンッ!
─アリウスせいの すぶりのいきおいがました! - 156二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 18:51:43
ほ
- 157◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/09(水) 20:32:07
「なんだったのかしら………」
休憩のためにコーヒーを淹れながら、調月リオは警備の生徒からの『不審な段ボールがいる』という謎の報告について考えていた。
不審な人物ならわかる。だが、段ボールってなんだ?段ボール型のドローンでも居たのか?
「うわあああん!アリスは悪い生徒ではありません!?」
淹れ終わったコーヒーを口に運ぼうとしたとき、今回の原因ともいえる生徒の声が聞こえてカップをデスクに置いた。
「………あの時はスッとしたけど………正式な生徒にするのは早まったかしら…?」
『やっぱり合理的でない行動は控えたほうがよさそうね………』と、早くも自分の軽率な判断を後悔しながらリオは扉を開いた。
「なにごt………」
「うわあああん!?たすけてくださいいいい!?」
「オラッ!サッサトウシロムケ!」「ケツバットノケイダ!」
「ワタシノヴァニタスセイシンチュウニュウボウガウナルゼ!」
件のロボ系自称勇者生徒、天童アリスが警備の生徒に取り押さえられていた。 - 158二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 21:31:38
ケツバットって…ガキ使かいなw
- 159二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 08:39:21
保守
- 160◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/10(木) 10:01:47
「………ごほん、なんの騒ぎかしら?」
リオがそう言うと、アリスとアリウス生達の目が一斉にリオへと向いた。
「た、たすけてください!アリスは、リオ先輩とお話ししたくて来たんです」
「リオカイチョウ!コイツダンボールカブッテタ!」
「アヤシイダンボールノナカミアリスダッタ」
「ドウスル?ショス?ショス?」
一斉に話す生徒達に、リオはため息をついた。
「一先ず、話を聞くわ………拘束したまま連れてきてちょうだい…」
アリウス生達に捕まったアリスを、リオは執務室に招き入れた。 - 161二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 19:33:10
メタルギアの兵士達より優秀なアリウスモブちゃん達である
- 162◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/10(木) 20:22:43
執務室に連行されたアリスは、備え付けのイスに座らせられ、横を2人のアリウス生に固められていた。残る1人は万が一に備えてアリスの対面に座ったリオの隣に軽い盾を持って控えていた。
「それで?わたしに話があるそうだけど、なんの用かしら?」
アリスの戦闘能力はC&Cに条件付きで食い下がれる程度には高いが、今は勇者の証たる光の剣も没収されており、回りに居るのも奇襲狙いとはいえトリニティとゲヘナを壊滅させることを目的に訓練されてきた生徒達である………いかに機体性能に優れているアリスと言えど丸腰で相手取るには些か手強い相手である。
「オラッ!サッサトハケ」
隣に居た生徒に肩を小突かれてアリスは話し始めた。
「アリスも………アリスも戦わせてください!アリスのせいで大変なことになっているのに、アリスだけ指を咥えて見ているのは嫌なんです!」
「そのことについてはもう話した筈よ?あなたにできることは何もないわ」
冷えきった平坦な声で調月リオはそういった。 - 163二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 00:29:52
ほ
- 164二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 09:26:07
取り付く島もないな
- 165◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/11(金) 10:09:50
「……っ………そう……ですよね………」
再びリオからできることはないと言われたアリスは肩を落として俯いた。
「アノ……リオカイチョウ、スコシヨロシイデスカ?」
その時、リオの横に居たアリウス生が声をかけた。
「ああ、あなた達も大変だったわね……アリスを部屋に戻したらあがってもらって構わないわ」
勤務交代の時間を気にしているのかと思いリオはそう言ったが、アリウス生は首を横に振った。
「イエ……スコシテイアンシタイコトガアリマシテ……」
アリスの横にいたアリウス生達も顔を見合わせて頷いた。リオは怪訝な顔をした。
「アリスニ……ホウヘイノテツダイヲサセテハイカガデショウ?」
「………え?」
突然だされた助け船に、アリスは気の抜けた声を上げた。 - 166二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:03:58
光の剣を使って砲撃支援ってこと?
- 167◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/11(金) 21:34:14
アリウス生達は思った………『戦う意志が有るなら戦うべきである』と。
今のアリウス分派が有るのはあの時自分達自信が戦ったからである。そして戦うことができたのは、あの時『戦え』と言って背中を押して貰えたから……
「カイチョウガショメンデセイシキナセイトトミトメタトハイエ……アリスガテキニトッテノジュウヨウジンブツデアルノニハカワリアリマセン………アリスガコチラガワデアルトコウドウデシメスノハワレワレノシキニモカカワルカト………」
アリウス分派の生徒は口だけの者を嫌う。自らの手で道を拓き、我を通す意志と行動力を備えた勇士を好む。
そして、自分達がそうしてもらったように、恩人と戦う意思を示す者には手を貸すのを惜しまない。 - 168二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 06:47:53
ほ
- 169◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/12(土) 13:33:12
「………………」
調月リオは思案した。
一般生徒の無茶な頼みを二つ返事で受けるのは、学校の長として少々気安い………かといって戦力の大部分を占めるのは外様のトリニティやSRTである………彼女達だってこの戦の結末次第で大変なことになるので戦う理由自体は有るが、どこまでいっても他校の問題であることにはかわりない以上彼女達の士気を下げるのは避けたかった。
「………………条件次第ね…」
実際、それなりに戦える生徒を遊ばせておくのも勿体ない………『アリスが敵でないことを行動で示す』………これさえ満たせば満足なら、そう問題はないだろう。
「……!デハ…!」
「ただし、アリスにはわたしの指示に従って貰うわ………それが飲めるなら作戦への参加を許可します」 - 170◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/12(土) 19:35:04
「「「デハ、ワレワレはコレデシツレイシマス」」」
アリスをリオに引き渡したアリウス生達は、「ジャ、アトハガンバレヨ」と言ってアリスの背中をバシバシ叩いて激励し、リオに敬礼したあと自分達の部屋へと帰っていった。
「………………………」
「………………………」
「………………はぁ……」
「……えっと……わがまま言ってごめんなさい……」
「……いいわ……もう決めたことだもの……」
アリウス生達が帰った後、残された2人にはどことなく気まずい雰囲気が流れていた。
調月リオはすっかり冷めてしまったコーヒーを呷った。 - 171二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 22:55:37
良かった
- 172二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 07:50:41
ほ
- 173◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/13(日) 07:59:55
「ハァ……ユウカちゃん達は大丈夫でしょうか………」
セミナーの執務室で生塩ノアが呟いた。
緊急時に首脳陣が全員抜けるのは危険なため、残ってお留守番をしているが、今まで主にユウカと2人でしていた仕事には手が回らなくなっていた。
先日物資補給の際に会長に会ったがやはり忙しそうで、漸く腹の中を明かしてくれた彼女のことも、心配していた。
──~♪~~♪~♪~~♪
もう帰ろうとしていたその時、ノアのスマホに着信があった。
「!…(ピッ)…会長!そちらは大丈夫ですか?」
「ええ、今のところは大丈夫よ……そっちも一人で大変でしょう?苦労をかけるわね………」
一瞬『もっと長い間ほっとかれてましたけどね』と頭の片隅に浮かんだが、口には出さなかった。 - 174◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/13(日) 13:21:00
「なにかご用ですか?」
会長がなんの用も無しにただ体調を気にして電話をかけてくることなど無いだろう。お互い忙しい身である、会話を楽しみたいところだが話を進めたほうがいいだろう。
「ええ、エンジニア部が作ったレールガン………あれの図面を送って頂戴」
「レールガンの図面ですか?」
要求された物は意外だった。てっきり追加の物資かと思いきや決算報告で提出されるような図面をこの局面で所望するとは………向こうはどんな状況なのだろう?
「ええ、急遽此方にあるものを改装しなくてはいけなくなったの」
「そうでしたか……では、すぐに送りますね」
襲撃までさほど日数もないし、早いほうが良いだろうと、ノアはエンジニア部から提出されていた電子ファイルをそのまま送った。 - 175◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/13(日) 20:03:12
「あら、早いわね……さすがノアだわ」
ファイルの中味は………
dice1d4=4 (4)
1、きちんと報告書
2、設計資料そのまま
3、身内(ミレニアム生)ならわかる
4、コトリ
- 176二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 20:32:45
かんぺき~
- 177二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 22:51:43
え、コトリ?
- 178二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 02:16:50
そういや同業者にはどんな感じの解説するんやろうなコトリ
- 179二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 10:45:36
ズラズラっと書き連ねてそう
- 180◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/14(月) 12:47:47
─1時間後─
「………………」
レールガンの図面として送られて来た圧縮ファイル………キヴォトスに流通している銃火器とは違い大気圏外、宇宙空間での使用を目標に開発された物のためそれなりのサイズになるのは覚悟していたが………………
「うわーん!文章が長すぎます!」
長い、とにかく長い………
武器の歴史に始まり、投射物の優位性、運動物理学、火薬の発明と発展、電磁加速、金属の性質、新素材開発部との交渉履歴などなど………とにかく開発にあたって調べたことや取引したことが手当たり次第にまとめられている………
「………………ふぅ………」
リオはそっとパソコンを閉じた。自分で検証しなければならないと思っていた情報もまとめてあるようだったが、流石に今からこの文量に向かう気力は、一日中働いたリオには残っていなかった。 - 181◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/14(月) 20:27:53
「はぁ………流石に今からこれに向かう気にはなれないわね………」
調月リオは溜め息をつきながらデスクチェアの背凭れにもたれ掛かった。よく見れば化粧で隠しているものの目元に黒い隈ができていた。
「その……すみません……」
大変なのは現場の兵士だけではない、兵士が万全で戦場で力を振るえるよう場を整えるために、リオやリア、ユウカなどの裏方担当の生徒達は苦心していた。
「………あなたももう戻りなさい、続きは明日よ」
そう言ったリオはデスクを離れてソファに横になった。
「………………はい……」
アリスは最後に一礼して言われた通りゲーム開発部に割り当てられた部屋に戻った。 - 182二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 00:22:15
ほ
- 183二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 06:06:21
し
- 184◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/15(火) 10:08:46
「………(コソコソ…)……ふぅ、戻ってきました」
アリスはできるだけ騒がしくしないように部屋まで戻ってきました。警備には見つかってスニーキングクエストは失敗してしまいましたが、警備の生徒さんのお陰でリオ会長からOKを貰えたので結果オーライです!
「でもあの資料は長すぎます………」
これが「(1敗)」というやつでしょうか?と考えながらアリスは扉を開けました。
「ア~リ~ス~!ずいぶん長いトイレだね?」
「アリスちゃん………お話し……しよっか…?」
「あ、アリスちゃん?夜遊びはほどほどに……」
「あっ()」
入り口で光が漏れているのに気づくべきでした。扉の先ではパジャマ姿で仁王立ちしているモモイとミドリ、オドオドしているユズが居ました。 - 185二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 19:44:08
モモミドからのお説教かあ
- 186◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/15(火) 20:37:26
「こんの…!お馬鹿さんがあああぁぁ!?」
「ひぃん….!?」
開幕はモモイから落とされる特大の雷でした。
「あのねアリスちゃん?別にわたしたちに隠れてこっそりいく必要ないよね?相談してくれてもいいよね?ね???」
「うぅ………」
それに続けてミドリからの追撃が入り………
「ご、ごめんねアリスちゃん………その、悩んでるのに解消してあげられなくて……」
「 」
申し訳なさそうにするユズでノックアウトされそうになりまたモモイに戻るローテーションがアリスがダウンするまで続いて………
「もうさっさと寝ちゃいな!」
そう言ったモモイとミドリに布団に放り込まれて両サイドをモモイとミドリとユズにガッチリ固められてアリスは気を失いました。 - 187二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 00:36:56
草
- 188◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/16(水) 10:10:26
「 」
そして、アリスは夢の世界へ旅立ちました。そこにいたのは………
「ミカ様ミカ様、やらかし勇者様が来たようです」
「おっと⭐リアちゃんいくら報連相を怠ってこってり怒られたからってそれはかわいそうじゃん?」
普段より何割り増しかで言葉に棘のあるなぜか体操着を着たトリニティのちっこい事務官さんと語尾がおかしくなっているこれまたなぜか道着を着たパテル分派のお姫様みたいな首長さんでした。
「はい、ミカ様がおっしゃったように、今回のやらかしは報連相の欠如、結果オーライとかいっていましたが、後一歩でフルスイングがきまるところでしたね」
「ねー⭐なんなら会長さんの機嫌次第では門前払いか牢屋にご招待まであり得たじゃんね⭐」
無駄にわちゃわちゃとした動きでアリスの落ち度を指摘してくるのでした。 - 189二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 17:41:45
まさかのタイガー道場ネタが来るとはw
- 190◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/16(水) 20:35:55
「………………(ノソリ….)」
翌朝、アリスは無事に布団から起きることができました。ぐっすり強制的に寝かしつけられたはずなのに、なぜかどっと疲れた様な気がするのはなぜでしょう?
「ほら、アリス!朝ごはん食べに行こ!」
先に起きて顔を洗ったモモイにお湯で絞ったタオルを投げ渡され、サッと顔を拭くと少しスッキリした様な気がしました。そしてそのまま部屋を出ると………
「「「さ、行こっかアリス(ちゃん)」」」
ガッチリ両サイドと後方を固められてしまいました。どうやらアリスはまだ許されていないようです。朝うどん定食は美味しかったです。 - 191二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 06:45:19
朝うどん……いいな
- 192◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/17(木) 10:10:16
「追加の予算投入………ですか……」
早瀬リアはミカと朝食をとってから出勤した執務室で調月リオから言われた単語を死んだ目で繰り返した。
「………言いたいことは分かるわ、わたしだって今さら追加するつもりなんて無かったもの……」
膨らみに膨らんだ戦費は、既にミレニアムの下半期予算を食い潰す寸前だった。
「………………………」
セミナーの会計であるユウカなど既に思考を一端放棄して意識を彼方に飛ばしていた。
「使用目的と額は?」
先ほどまで死んだ目をしていたリアは、一周回って剣呑な光を目に宿して尋ねた。
「………(ノソリ….)」
その声を聞いてユウカも現実に帰還し、死んだままの目でリオを見つめた。
「….使用目的は作戦における戦意高揚のための物品用意………額はこれくらいね……」
調月リオは用意していた書類を2人に手渡した。
今日の18時~20時の間で次スレ建てます - 193二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 16:48:49
お金が…お金が消えていく…
- 194二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 17:56:27
ヤバい、これ勝ってもミレニアムが破産の危機に陥るぞ
- 195◆K7oi2p2CoQ9Y24/10/17(木) 19:27:19
- 196二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 19:29:38
うめうめ
- 197二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 20:36:47
うーめ
- 198二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 21:41:21
う
- 199二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 21:51:49
め
- 200二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 21:52:12
ハラが決めたぁ↑!!