もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7(再立)

  • 1二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 18:45:27

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。

    ※不注意から一度スレを落としてしまい、再度建てました。書き込んで下さった人、申し訳ありません。

    出世の点数稼ぎの場として『戦場』を求めた彼女。手柄を追い求める気持ちに変わりはなけれども、それだけではない様々な何かをアグネスは感じ取るようになっています。この世界の所謂、世界線は本編とは大きくコースを外れつつあるようにも見えますが...。果たしてその先の航路はどこに続くのでしょうか。

    宇宙の海を突き進むミネルバにどのような夜明けが待つのか。

    おつきあいをいただければ。

  • 2二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 18:50:29

    前スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart6|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの6スレ目です。自分の心境の変化や激動する世…bbs.animanch.com

    1スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら|あにまん掲示板アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。bbs.animanch.com

    2スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。はたして、アグネスは、ルナマ…bbs.animanch.com

    3スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart3|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。己を取り巻く不可解な状況に四…bbs.animanch.com

    4スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart4|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバとアグネスはその進撃…bbs.animanch.com

    5スレです

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart5|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバの活躍は起こるはずだ…bbs.animanch.com

    ※落としてしまった7スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。出世の点数稼ぎの場として『戦…bbs.animanch.com
  • 3二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 19:35:31

    建て直しありがとうございます!
    厳しい局面だけどみんな生き残ってくれ…

  • 4二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 19:42:11

    保守

  • 5二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:07:10

    立直しありがとうございます
    今って本編の時系列で言うならどの辺りなんでしょうか?
    クレタ沖海戦後、ラクスが宇宙に上がるくらい?

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:20:48

    保守

  • 7二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:32:33

    保守です

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:42:54

    立て乙ですよー

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:44:25

    >>5

    ミネルバがペルシャ湾まで空路を選んだことで、時系列が入り乱れ、前倒しになったりしています。一応タイミング的には本編の時系列で云う22話『蒼天の剣』あたりです。

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 20:48:23

    アグネス視点だとレクイエムのヤバさが際立ってて読んでて緊張感パねえのよ
    好き

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:12:33

    >>9

    お返事ありがとうございます

    うわ~まだ蒼天の剣なのにディオキア後の戦闘密度がえげつない

    アグネスが極限状態から悟りを開くのも納得です


    落ちた前スレのエピソードこちらに再掲していただけると嬉しいです

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:37:21

    皆と一緒に艦内エレベーターに乗りモビルスーツデッキへ。こうしている間にもジン長距離強行偵察複座型から情報が矢継ぎ早に届いている。

    敵艦隊の前面にはモビルアーマー・モビルスーツ混成群が展開。ユークリッド20機、ザムザザー2機、随伴モビルスーツ多数。艦隊本体の規模は88隻。アガメムノン級8隻を確認。

    デバイスの表示を見る皆の顔つきが歪む。多分、私も鏡がないだけで同じ顔をしていることだろう。想定よりもさらに敵艦隊の規模が大きい。

    流石にこの規模の陽電子リフレクター搭載モビルアーマー群を相手にしたことはない。おまけに、と言うかそちらが連合軍の本命だろうが、アガメムノン級が8隻。接近するだけでゴットフリートの嵐が襲ってくるだろう。

    アグネス「(やつ等、本気ね。一回目に中継コロニーを墜とされたときの戦訓を活かしている。形振り構わず、『チェルニー』、『マルタン』から全ての主力機を搔き集めて来たわ)」

    これが連合の力か…。これまで心の何処かでは彼らのことを侮っていたのかもしれない。この規模の物量を生み出すために投入された資源、それを兵器に変えて月の裏側に結集させる動員力。思想はともあれ優れた能力を持つ無数の軍人。おそらく、この艦隊のみでもクルーとパイロットの総計は26000人を超えるであろう。それを育て上げた教育力たるや…。

    エレベーターから降りる間際、皆で互いに視線を交わす。本当にこれが最後かもしれない。この中から死者が出るとは想像したくはないが、少なくとも月軌道艦隊・ホーキンス隊・エターナルよりなる合同艦隊の中からは間違いなく戦死者が出るだろう―。下手をすれば全滅。

    皆、それが分かっているから目線を離すことが出来ない。私でさえ、この瞬間は、自分が死ぬことより目の前の仲間の命が尽きるのを厭う。皆知った顔だ。苦楽を共にした、などと表現するにはあまりに短い時間、共に命を預け合って、虎口を脱してきた。

    そんなセンチメンタルな気分を打ち壊すように、ハイネ先輩が笑顔を浮かべながら皆に気合を入れる。
    ハイネ「いつも通りやるぞ!!」
    一同「おぉぉぉ!!!」

    何かにが吹っ切れたように皆で『おぉぉぉ』とか言ってしまったわ。アスランすらも口にした!本当に珍しい。

    ハイネ先輩、ナイス!そうよ。その通り、何時も通りよ。寧ろ、獲物がたくさん!手柄上げ放題!!

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:40:08

    >>11

    >>12が前スレのエピソードです。少し修正してあります。

  • 14二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:43:41

    アグネス「(連合軍、待っていなさい!皆、私の勲章の錆にしてくれるわ!!)」

    エレベーターを降りたら、整備班にも元気に挨拶。
    アグネス「お願いします。行ってきます!」
    ヴィーノ「ああ!シン、アグネス、レイ、皆頑張って」
    ヨウラン「行ってこい。補充、緊急整備、任せろ!」

    笑顔で頷き、グフのコックピットに乗り込み、システムを起動。
    長距離強行偵察中のジンより追加情報。

    モビルアーマー・モビルスーツ混成群はユークリッド1機に付きウィンダム3機、ザムザザー1機に付きモビルスーツ10機(内1機はドッペルホルン連装無反動砲装備)でユニットを組んでいる。

    コックピット回線に通信。ミネルバブリッジ・副長から。

    アーサー「既に皆にも報告が届いていることと思う。敵は陽電子リフレクター装備モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊を前面に展開。こちらを翼包囲する構えだ」

    コックピットモニターにレーダーと光学映像を受信。

    アグネス「(なるほど、ユークリッドのユニットが所謂、『鶴翼の陣』を敷いているわね、そして、レクイエム発射までの残り時間を考慮すれば、我々はあそこに突撃するしかない。迂回は不可能)」

    それぞれの『翼』は左翼右翼ともにユークリッド・ユニットが4個ずつ。

    アーサー「だが、本当に厄介なのは『翼』ではなく、『胴体』の方だ。中央の艦列は確認できる範囲では横5列で構成。まず。最前列中央にザムザザーのユニットが2個。2列目にユークリッドのユニットが6個。3列目も同様にユークリッド・ユニットが6個」

    深くて重厚な配置だ。でも、ここまでなら何とかできる。私達は一般部隊じゃない。ザフトの最精鋭が二つも揃っているのだから。しかし―

    アーサー「中央艦列4列目にはアガメムノン級6隻がネルソン級・ドレイク級を護衛に随伴して並び、最後の5列目にはアガメムノン級が2隻、同じく護衛の艦を伴って布陣している。言うまでも無いことだが、ここまでで『前衛』だ。その後ろにはネルソン級・ドレイク級より構成される多数の艦隊とモビルスーツ群が『中衛』として存在。我々の攻撃目標、第一次中継コロニー『チェルニー』本体はリフレクター搭載ドレイク級が10隻ほど直掩機を伴って護衛されている」

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:46:48

    副長はここで言葉を一旦区切る。

    アガメムノン級8隻全てを前衛に!

    アグネス「(通常なら、艦隊の中枢である宇宙空母をこんなに前方に配置しない。連合がこんな変則的な陣形を取る理由はただ一つ。2連装高エネルギー収束火線砲・ゴットフリートMk.71を集中運用し、こちらを撃滅するため。最悪、刺し違えても『チェルニー』を守り切るつもりだわ)」

    そのためだけに艦隊の要を投げ捨てようとしている。背水の陣は向こうも同じか。

    コックピットに通信、ホーキンス隊長から。
    ホーキンス隊長「今回、俺は直掩隊隊長だ。両翼からのユークリッドの突撃を何とか抑える。続きはハイネとアスランから伝える」

    ハイネ先輩に通信が切り替わる。
    ハイネ「全機。作戦はミーティングの通りに。俺、レイ、ショーンの小隊は中央左側から、アグネス、ルナマリア、デイルの小隊は中央右側から、敵艦隊に浸透突破を図る。目的はアガメムノン級の撃破・ゴッドフリートの停止。
    ミネルバの1回目のタンホイザー発射と同時に真っ先に敵陣に突入。側面・後背を顧みず、無駄な戦闘は極力避け、駆け抜けろ!ゴットフリートを止められなければ今回の作戦は破綻する。プラントの運命も…」
    一同「了解!」

    アスランが通信を引き継ぎ捕捉する。
    アスラン「グフはキャットゥス500mm無反動砲を、ザクはブレイズでファルクスG7 ビームアックスを装備。なお、コロニー破壊時に必要ならザクはガナーウィザードに換装する。インパルスは発進と同時にミーティアにドッキング。ミネルバとエターナルの間にポジションを取り、攻撃に備えろ。セイバーは攻撃開始時、インパルスに同行。戦況に応じて柔軟に他のフォローに回る。」
    一同「了解!」
    シン「了解!」

    メイリン「モビルスーツ発進1分前」
    止まることなくカウントダウンは進んで行く。

  • 16二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:49:48

    モニターに最後に現れたのはグラディス司令長官。

    タリア「ザフト・エターナル合同艦隊は、3列縦隊で敵艦隊に突入します。中央縦列がミネルバ、エターナル、カーナヴォン、ブルトンの4隻。左右にそれぞれナスカ級3隻と4隻。ゴットフリートが降り注ぐ中の突入となる。皆…」

    グラディス司令長官の顔に影が差し込む。彼女は声を一瞬詰まらせるが、決意と共に顔を上げ宣言する。

    タリア「本時刻より第二次レクイエム第一次中継コロニー破壊作戦を開始します。総員奮起せよ。ブリッジ遮蔽。モビルスーツ各機は事前作戦を尊重しつつ臨機応変に対応せよ。全機ミネルバ・ブリッジと回線を固定!」
    一同「了解!」

    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。インパルス発進どうぞ!」
    シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」

    ミネルバを先頭に10隻のザフト艦から、一気にモビルスーツ隊が飛び出していく。最初に発進したインパルスは艦内でドッキング済み。少しでも時間が惜しい。

    ブリッジの回線越しにダコスタさんの声が聞こえる。
    ダコスタ「ミーティア、リフトオフ!」
    アグネス「(これが吉と出るか凶と出るか)」
    コックピットモニターでミーティアとインパルスのドッキングを確認!

    メイリン「セイバー、アスラン機。カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。セイバー、発進どうぞ!」
    アスラン「アスラン・ザラ、セイバー、発進する」

    次は私か。そう言えば最後の晩餐、何だったかな。ああ、授与式のビュッフェか。
    メイリン「グフ、アグネス機。カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」

    このカタパルトも久しぶりね。やっぱり、こっちの方がスムーズで気持ちいいわ。

    宇宙に飛び出た途端、コックピットのレーダーが敵艦と敵機で埋まる。光で目がチカチカする。一番手前の一群がモビルアーマー・モビルスーツ混成部隊。後ろにはアガメムノン級8隻の大きな光点。護衛艦、随伴機勿論多数、ゴットフリートの射程圏内まで後90秒。

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 22:53:48

    敵艦隊、左右両翼のユークリッド・ユニットは半包囲を完成するため、既に進軍を開始している。

    コックピットの回線をアスラン機とも固定しつつ、このタイミングで、はたと気づく。

    アグネス「(『最後の晩餐』にしてたまるものか!)」
    さっきは変なことを考えたわね。

    ハイネ先輩、レイ、ショーン達3機、そして私とルナマリアとデイルの3機はそれぞれ小隊を組み中央左陣、右陣に。全艦全機に先行して突進していく。そのまま、敵モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊、敵艦列を浸透突撃して、何が何でもゴッドフリートを沈黙させる。

    ブリッジに固定した回線からは副長の指示が聞こえる。これはブリッジ内に対してのもの。

    アーサー「トリスタン、CIWS起動、ミサイル発射管、ナイトハルト、ディスパール装填」
    バート「ゴットフリートの射程圏内にあと60秒」
    タリア「タンホイザー起動。全艦に通達、ミネルバ・タンホイザー発射と同時に全艦回避運動開始。マリク、ミネルバの回避運動任せる」
    マリク「はい!」
    アーサー「了解!タンホイザー起動!目標敵モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊-」

    敵艦隊、前方にはザムザザー2機。後方に事前情報通りにユークリッド・ユニットが2列並んでいる。ザムザザーの後方から、厄介なドッペルホルン連装無反動砲がチラリと顔を覗かせる。

    チェン「タンホイザー起動。照準、目標敵モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊。プライマリー兵装バンクコンタクト。セーフティー解除」

    敵がぐんぐん近づいてくる。ユークリッドの高エネルギービーム砲デグチャレフの砲門が私とルナマリア、ショーンに照準を定めようとする。砲の中まで見えるほど。

  • 18二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 23:00:24

    タリア「前方のモビルスーツは射線軸より退避!」

    全機一斉に全力で回避運動。タンホイザーの薙ぎ払うような照射に巻き込まれないよう。しかし、突撃の速度は一切緩めないように!

    アーサー「うてぇー!」
    ミネルバから陽電子の死の光線が前方のモビルアーマー・モビルスーツ群に降り注ぐ。

    タリア「アンチビーム爆雷を発射!」
    発射と共に合同艦隊は回避運動を開始。ゴッドフリートに備える。

    合同艦隊正面のザムザザー、そしてユークリッド1列目が揃って前傾姿勢を取り陽電子リフレクターを起動。巨大なビームシールドが壁のように連なる。同時に後列から、アガメムノン級8隻、2連装高エネルギー収束火線砲ゴットフリートMk.71が一斉に放たれ、32本の光の暴風が合同艦隊に吹き寄せる。

    レーダーに大きな閃光が2つ。ゴットフリートを躱しきれなかったナスカ級が1隻、ミネルバに向かう射線に割り込み庇ったナスカ級がもう1隻。2隻の味方艦が戦闘開始とともに喪失。大勢の仲間の命が一瞬で燃え上がり、次の瞬間には消えてしまう。

    それに何かを感じる暇などない。目の前にユークリッドが迫っているから!

    グフの私が先頭に立ち、リフレクター展開姿勢から態勢を立て直そうとする1列目ユークリッドの脇をすり抜ける。横腹をテンペスト・ビームソードで切り裂きながら!
    飛び出してきたウィンダム3機をドラウプニル4連装ビームガンで撃墜。大小4つの火球を発生させながら後ろのルナマリア、デイルと共に2列目に向かって突き進む。

    (カウントMS150 大型MA7 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級12 ネルソン級10 ドレイク級11 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 23:02:43

    周辺のユークリッド随伴機が一斉にこちらに殺到する。数9機!ルナマリアとデイルのビーム突撃銃、ファイヤビー誘導ミサイルが連続して彼らの命を燃やし尽くす。

    中央部ではシンのインパルス・ミーティアがミネルバとエターナルの間から飛び出して戦闘を開始している!レーダーで確認しながら、私自身は前へ。

    アグネス「(ハイネ先輩達の方、それに両翼からの包囲攻撃を凌いでいると思われるホーキンス隊の様子までは確認できない。彼らを信じるしかないわ)」

    インパルス・ミーティアは120cm高エネルギー収束火線砲を発射。ビームがザムザザー2機を捉えるが、やはりインパルスの動力では貫通出来ない。予め、想定済みだわ。

    そのまま、ミーティアは、誘発させたビームシールドのやや後方まで躍り出る。ザムザザー本機は機体を旋回させ対処するが、背後に守っていたウィンダムまでは急な展開について行けない。
    60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管から、ミサイルが一斉射されザムザザーが守っていた20機のウィンダムが20個の火球となって消滅する。

    ミネルバもインパルスと時を同じくして攻撃を続ける。

    アーサー「トリスタン、クルヴェナール、ナイトハルト目標敵混成部隊中央部、撃て!」
    タリア「ミネルバ・ガズウート隊。攻撃開始!」
    ミネルバの全火力が一斉射。甲板ガズウート隊からもフルカ2連装ビーム砲、ファルコーネSSM地対地対艦ミサイルが中央ユークリッド隊全体に降り注ぐ。
    私達の背中も飛び越えて目前のユークリッドのも!

    ユークリッドの陽電子リフレクターが一斉に起動。ビームシールドが展開。ミネルバから発せられる火の雨から駆けつけて来た味方随伴機を守る傘となるが―

  • 20二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 23:07:37

    アグネス「今!」

    テンペストでユークリッドの右横腹をすり抜けざまに切り衝け、引き抜くやその穴にドラウプニル4連装ビームガンを撃ちこむ。次の瞬間に発生した大爆発を潜り抜け、遂に陽電子リフレクター装備モビルアーマー・ユニットの浸透突破を果たす。

    (カウントMS150 大型MA8 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級12 ネルソン級10 ドレイク級11 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)
    ほぼ同時に中央部で大きな閃光が2つ発生。アスラン、セイバーがザムザザー2機を屠ったと推測。

    しかし、そのタイミングでアガメムノン級8隻のゴットフリートが一斉射。

    ミネルバはインパルスの充電中。アンチビーム爆雷をばら撒くが―。

    マルベースがミネルバとミーティアの前方に突進!複数の火線を受け止めながら爆散する。

    …。人のこと等気にしている場合じゃない。ユークリッドの救援に駆けつけたウィンダム6機、さらにアガメムノン級を守ろうと前に出て来た3機が目前まで迫っている。ドラウプニルで3機は撃墜!更にその後ろから3機、撃ち漏らしと合わせ9機がグフに急接近!

    ルナマリア「いっけぇぇー!!」
    私に続くルナマリアのザクがファイヤビーミサイルを全弾発射。一度に8機の随伴機を叩き落とす!さらにビーム突撃銃閃光を放ち、残るウィンダム1機を火球に変える。

    ルナマリアの悲鳴のような気迫のこもった叫びが脳を駆け巡る。マルベースは彼女の乗艦だった―。私は知っていた筈なのに。

    アグネス「(感傷に流されるな。今なすべきことを!)」

    目前にはドレイク級4隻とネルソン級1隻に守られたアガメムノン級。
    デイルが後ろから一気に前に出て切り込みをかけ、ドレイク級のブリッジにビーム突撃銃を撃ちこんで爆散させ、私に道を開く。

  • 21二次元好きの匿名さん24/09/09(月) 23:25:15

    アグネス「(この一撃が我等コーディネイターの創世の光とならんことを)」
    アガメムノン級の直上からブリッジにキャットゥス500mm無反動砲を叩き込む。艦内で大誘爆が発生し、やがて内側から弾けるように閃光が発生、暗黒の世界を一瞬照らして消える。

    (カウントMS153 大型MA8 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級13 ネルソン級10 ドレイク級11 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

    同時にドレイク級が爆発、ルナマリアが振り下ろしたビームアックスによって。

    良し!

    アグネス「ルナマリア、デイル。次よ。戦闘は最小限。次のアガメムノン級へ突撃!」
    ルナマリア「了解!」
    デイル「了解…」

    アグネス「(ルナマリア…。戦闘は、大丈夫そうね)」
    その他のことは全部後だ。

    ブリッジより通信。
    タリア「タンホイザー起動。前方のモビルスーツは射線軸より退避せよ」
    アーサー「了解!タンホイザー起動!目標敵モビルアーマー・モビルスーツ混成部隊。撃て―!」

    タンホイザーの第二射目が放つ光線が敵前衛を一気に薙ぎ払う。ユークリッド隊はビームシールドを展開。ミネルバのタンホイザー発射の直後にインパルス・ミーティアは前方に突進!ユークリッドの列をすり抜けると60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管からミサイルを一斉射。

    ユークリッド4機とドレイク級3隻の随伴ウィンダム、21機がまとめて爆散する。後続して突撃したセイバーによって随伴機を失ったユークリッドも4機連続して撃破され、敵艦隊の盾が剥がれ落ちる。

  • 22二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 06:54:00

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 10:29:39

    たまにこのアグネスのセリフから一応これでもザラ派なんだなぁ…と再認識させられる

  • 24二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 15:36:52

    ブラスト+ミーティア、動力源さえ考えなければ実質的にフリーダムに近いよな…

  • 25二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 21:36:12

    タンホイザーの光が収まる頃、私達3機は敵陣を無我夢中で左方向に駆け続ける。
    目前に艦腹を晒すアガメムノン級1隻とネルソン級1隻、ドレイク級4隻。ゴットフリートがミネルバを向こうとしている!

    アグネス「(撃たせてたまるものか!ミネルバも他の感も―)」

    グフ1機とザク2機の急接近を察知したウィンダム16機がこちらに殺到する。機体をバレルロールされながらビームライフルの攻撃を躱し、ミサイル群をドラウプニルで撃墜、スレイヤーウィップの鞭を振り払い、撃ち払って6機を叩き落とし突破する。

    アガメムノン級に500mm無反動砲を発射!しかし、ドレイク級がアガメムノン級を庇って割り込んだため、そちらを轟沈させるのみに終わってしまう。

    背後では先程突破したウィンダム編隊の残りをルナマリアとデイルが殲滅。ルナマリアがビーム突撃銃で3機を仕留め、デイルがファイヤビーミサイルを全弾発射。7機を撃墜した。

    アグネス「(まだ…。まだ行ける。二人も頑張っている!)」

    アガメムノン級に再度、アタックをかける。
    既に奇襲の効果は薄れ、生き残った5隻が私達に向け艦首を急速旋回させ始めているが、構わない。その分、合同艦隊の危険が減る。

    おっとり刀で駆けつけた3機のウィンダム、内2機をテンペストで斬り捨て、アガメムノン級の上を取ることに成功!
    直上から500mm無反動砲を発射する。今度は割り込む者はいない!
    着弾!爆発する艦橋に止めを刺すべく、ドラウプニルを4連射。

    アガメムノン級は、ミネルバを狙うはずだった巨砲ゴッドフリートの砲門をあらぬ方向まま、内部からの爆発で粉々に砕け散る。
    (カウントMS159 大型MA8 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級12 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

  • 26二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 21:48:08

    敵艦撃沈と共にレーダーの視界が一時回復。回線も明瞭になる。

    アグネス「(目前に敵多数。瞬時に状況を把握しなくては!)」
    片眼でレーダーを食い入るように見つめる。

    アグネス「(中央左翼、ハイネ先輩、レイ、ショーンの隊は、皆、無事。ユークリッド2機撃破。アガメムノン級2隻、ドレイク級2隻を撃沈。相当数の随伴モビルスーツを撃墜)」

    大体こちらと同程度の戦果を挙げている。兎も角、皆が生きていてくれて嬉しい。
    アグネス「(戦闘中に何を…。しっかりしろ)」

    その一方、両翼から迫るユークリッド8機、随伴ウィンダム24機と戦闘したホーキンス隊の被害は深刻なもの。ホーキンス隊長は約束を守り、敵の『翼』をもぎ取り殲滅してくれた。その戦いによるものだろう。隊は24機から、11機に数を減らしている。

    アグネス「(戦いは勝たなくては意味がない…。そう思うしかない)」

    回線越し、グラディス司令長官と副長の号令が響く。ブリッジクルー達に対してのものだわ。

    アーサー「トリスタン、クルヴェナール、ナイトハルト、目標2次の方向、アガメムノン級1、ネルソン級1、ドレイク級4、随伴モビルスーツ群。撃て―!」
    タリア「ミネルバ・ガズウート隊。艦と同一目標に全火力を投射せよ!」

    ミネルバ、甲板ガズウート隊から噴き出す劫火!目標とされた6隻と19機のウィンダムの光点が一瞬で消える。

    これで敵のアガメムノン級はあと3隻。勿論、敵軍も決死の覚悟でミネルバと対峙している。
    6門のゴッドフリートの砲門が、ミネルバと充電中のインパルス・ミーティアを追う。

    それを察知したホーキンス隊のナスカ級2隻が120cm単装高エネルギー収束火線砲、66cm2連装レールガンを発射しながら突進。
    ナスカ級2隻の砲撃がドレイク級とアガメムノン級を捉えた時、彼らもまた敵が投射した無数の火線で貫かれ、爆散してしまう。レーダーの光点が4個、瞬きする間もなく消える―

  • 27二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 21:50:55

    デイル「畜生!」
    回線越しにデイルの悲憤の声。しかし、それどころではない。ルナマリアとデイルはファイヤビーミサイルが枯渇しているのだ!
    アグネス「ルナマリア、デイル。続け。ミネルバに一時帰還。アスラン先輩!」
    アスラン「了解。既に前線を押し上げる為、交代のザクを3機向かわせている。ハイネ達にも4機を。一旦、ミネルバに」
    アグネス・ルナマリア・デイル「了解!」

    スラスターを吹かし、全力で急旋回。これまでとは逆方向に―ミネルバに向かって突進。二人もついてくる。そう、それでいいわ。後ろから降り注ぐビームを回避しつつ、目前で慌てて方向転換をはかるユークリッドに500mm無反動砲を叩き込む。命中!

    随伴のウィンダムが行く手を阻もうとするがテンペストで2機を斬り、通り過ぎざまに返す刀でユークリッドを一閃。止めを刺す。

    後続するルナマリアが、もう1機のウィンダムをビーム突撃銃で撃破。デイルが通り過ぎたタイミングで、断末魔のユークリッドが巨大な閃光とともに暗黒の闇に引き込まれる。

    (カウントMS161 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級12 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

    交代組3機とすれ違う。彼らの斜め後ろから中央右翼最後のユークリッドが迫る。
    アグネス「デイル、ユークリッド!」
    デイル「おう!」

    デイルの投擲したビームトマホークがビームシールドの死角からユークリッドの胴体深く食い込み、焼き切れた外殻の内側で誘爆を引き起こす。

    炎に食い殺されて行く敵機と、私達の代わりに危地に飛び込む味方を軽く黙礼しつつ、私達は6隻まで数を減らした合同艦隊に辿り着く。同じタイミングでハイネ先輩とレイ、ショーンのグフとザク2機も合流。

  • 28二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 21:55:44

    ハイネ「みんな無事か?」
    一同「はい!」
    ハイネ「良し!よくやった。もうちょっとだ」

    かつての―いや、今も―仲間のホーキンス隊に大勢の犠牲者が出ている。しかし、ハイネ先輩は、その悲嘆を私達には感じさせない。割り切らなければいけないから、少なくともこの戦闘が終わるまでは―

    私達は順番にミネルバへ着艦、モビルスーツデッキに。手薄になった直掩は甲板組が埋めてくれる。消耗したモビルスーツがデッキに移動するなかでも、外では苛烈な戦いが続く。

    充電中・補充中もモニターの光学映像、レーダー両方で戦況の確認は続行する。
    インパルス・ミーティアが敵艦列中央に突進。もう行く手を阻む陽電子リフレクター搭載モビルアーマーはいない。

    シン「このォォォォォ!よくも!」
    インパルス・ミーティアの全火力が前方で敵に放たれる。
    120cm高エネルギー収束火線砲のビーム2本がドレイク級4隻を撃ち沈め、MA-X200ビームソードがネルソン級2隻に致命打を与える。出力の問題か、切り裂けはしていないが―誘爆を繰り返しつつ轟沈!

    60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管77門から大量のミサイルを噴射。ミサイル群はシンの技量により、マルチロックオンシステムなしで同時に54機のウィンダムをレーダーから永遠に消し去る。
    ミーティアに特攻を仕掛けたドレイク級2隻を93.7cm高エネルギー収束火線砲で撃ち抜いて、インパルスはエネルギー切れ。

    コックピットの回線を通じてブリッジのやり取りが聞こえる。
    シン「ミネルバ、メイリン、デュートリオンビームを!」
    メイリン「了解!デュートリオンチェンバースタンバイ。捉的追尾システム、インパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    刻々と状況の推移は続く。
    インパルス・ミーティアと入れ違に高速飛行形態のセイバーが矢の如く飛び出す。ミーティアが開いた血路がふさがる前に最後のアガメムノン級2隻を沈め、ゴッドフリートの脅威から味方艦隊を開放するためだ。敵の対空砲火・ミサイルの雨霰を巧みに躱し、撃墜しながら、アガメムノン級に接敵を図る。

  • 29二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 22:03:03

    味方の艦隊が半分になってる…
    それでも10倍くらいの圧倒的な物量差に押しつぶされないでよくやってるよ

    皆の無事を喜ぶアグネスがかわいいし誰にも欠けて欲しくないね

  • 30二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 22:34:06

    アスラン、セイバーはまず右側のアガメムノン級に狙いを定める。
    セイバーの急接近を察知したドレイク級1隻は盾になるべく、セイバーの軌道を塞ぐ。アスランは動じることなく飛行形態のまま、アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲2門を過たず同時に発射!
    ドレイク級とアガメムノン級1隻目が一瞬で2つの火球に変わる。その火が消える前に、モビルスーツ形態に変形し、高エネルギービームライフルで傍のネルソン級を撃沈。進路を確保すると、再び高速飛行形態に変形、次のアガメムノン級へ高速飛行を続行する。

    私達にとっての難敵アガメムノン級、最後の一隻の直上にセイバーは到達。瞬時にモビルスーツ形態に変形し、対空砲火を止めることなく続けるネルソン級を先にビームライフルで撃沈する。ネルソン級の残光が消える前にはアガメムノン級の後ろをとり、敵艦スラスターから艦首方向にスーパーフォルティスビーム砲を連続発射する。
    アガメムノン級の艦内で爆発が艦尾から艦首に連鎖し、巨艦はやがて内側から大爆発を引き起こす。
    アスランは、アガメムノン級の断末魔を看取ることもなく、再び高速飛行形態に変形。敵艦列から一旦離脱し、ミネルバに接近する。

    アスラン「シン、充電は?」
    シン「終わりました」
    アスラン「ミーティアをもう片方と代えて来い。ミサイルの残量が心配だ」
    シン「了解!」

    インパルス・ミーティアがエターナルに一旦向かう。今度はアスランの番だ。
    アスラン「メイリン、デュートリオンビームを頼む」
    メイリン「了解!デュートリオンチェンバースタンバイ。捉的追尾システム、セイバーを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    ふと、自分の機体の充電メーターを確認する。53%だわ…。
    デュートリオンビームの照射を受けるセイバーと、目の前の充電モニターを見比べている内、やっとアガメムノン級の―ゴットフリートの―脅威が消えたことを実感する。
    アグネス「(やっと止まった。でも、大勢の仲間が…)」

    はっ!何を考えているんだ、私は!まだ戦闘は佳境にも入っていない。しっかりしろ。今更、悲劇のヒロインぶるな。そんな人間では無いはず、アグネス・ギーベンラートは。
    アグネス「(しっかりしろ。しっかりしろ…)」
    今はただ、グフの充電率だけを考える。今、55%だわ。

  • 31二次元好きの匿名さん24/09/10(火) 22:41:15

    元ゲイツRの二人も既にとんでもねぇレベルのエースパイロットと化してんな
    今ならファントムペインとカチ合っても一方的に撃墜されることはないだろう

  • 32二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 08:28:26

    セイバーってこんなに強かったんだ
    キラにバラバラにされるイメージしかなかった

  • 33二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 08:51:16

    構成で言ったらライフリのプロトタイプみたいなもんだし…

  • 34二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 09:55:39

    セイバーも一部の能力はフリーダム超えてるからね

  • 35二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 12:27:45

    ブラストインパルスとミーティアインパルスの殲滅描写を見るたびにアニメ本編のブラスト使用率の低さに作劇上の都合を感じてしまう
    主人公(シン)が前線で暴れ回らず固定砲台になってバカスカ弾幕撃ちまくるのは戦術としては正解かもだけどロボアニメとしては絵面が地味だし…

  • 36二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 15:08:19

    まあ、ぷっちゃけ海上艦沈めるなら、甲板で剣振り回すより舷側にブラストの火力を叩き込んだ方が楽だよねっていう。海面ホバーもむしろ喫水線付近狙いやすそうだし。

  • 37二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 18:05:21

    こうしてみると一瞬で充電終わるデュートリオンビームってかなりチートだな

  • 38二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 22:21:03

    このレスは削除されています

  • 39二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:28:26

    11隻から6隻の数を減らした合同艦隊。先頭はミネルバ、後ろにエターナル、カーナヴォン、ブルトンと続き、両脇をホーキンス隊のナスカ級が1隻ずつ守る。

    ホーキンス隊のモビルスーツ11機は消耗した電力・弾薬を補充するため、母艦に着艦。

    魁になって散って行ったナスカ級の犠牲の上ではあるが、モビルスーツ隊はまだ69機生き残っている。4機は偵察機、緒戦で戦ったホーキンス隊11機と最初に突撃した私達6機は補給中ではあるが…。

    現在、最前線に立っているのは、私達と交代した中央左陣、右陣のザク計7機。アガメムノン級の脅威がなくなった今、直ぐに後続隊が先頭に参加することに―

    アグネス「えっ…」
    レーダーの中の7つの光点が一気に消えた…。瞬きする前は確かに健在だった味方機がなぜ?驚くべきことに周辺の敵機42機もまた蒸発したように消えている。

    状況が分からず混乱しているのは私だけではない。数の上では圧倒的に劣勢とは言え、彼らも歴戦の猛者だ。それが一瞬で…。

    ハイネ「な…」
    ルナマリア「何?!多勢に無勢、ってこと?」
    レイ「これは…」

    混乱の声が入り混じるコックピットに、メイリンの声が響く。
    メイリン「敵艦隊、本艦隊に向け、全艦、全機で突撃して来ます!攻勢にはリフレクターシールド装備型ドレイク級も参加。敵モビルスーツ部隊のうちウィンダム100機はエールストライカー装備!」

    エールストライカー装備ウィンダム100機!それが精鋭、敵の目玉か。

    リフレクター装備ドレイク10隻を先頭に陣形を再編した連合軍艦隊、背後にネルソン級とドレイク級で艦列を組み、多数のモビルスーツもろとも大波のように迫って来る。

    彼らも戦訓から学んでいる!リフレクター装備ドレイク級でコロニーを守ったところで、護衛艦隊が壊滅してしまえば、孤立して殲滅されるだけだと理解しているんだ!

  • 40二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:30:17

    アグネス「(370機を越えるモビルスーツ、69隻の艦隊の総突撃-。こんな事態、アカデミーの教科書にも載っていない)」
    所謂、バンザイチャージの大規模版と言ったところか。私達が数的に圧倒的に劣勢ということを置いておけば。

    急いでグフのエネルギーを確認。今…、充電率、57%。
    アグネス「(これでどうしろと!)」

    メイリン「ジン長距離強行偵察複座型より追加情報。敵攻撃隊にマルチランチャーパックのウィンダム50機を確認。Mk5核弾頭ミサイルを装備!!核搭載部隊が本艦に迫っています!」
    アグネス「!!」
    一同「!!??」

    コックピットモニター越し、全員の呼吸が一瞬止まるのが確かに聞こえた。

    アグネス「(やつ等も分かっているんだわ。少なくともこの場にはニュートロンスタンピーダーが存在しないことを。考えれば当然のことじゃない!なぜ、今まで…)」

    ブリッジ内の空気は臨界点を越えている。
    タリア「タンホイザー起動!アーサー、核部隊を狙える?!」
    アーサー「無理です。リフレクター装備ドレイク級の背後にいます!」
    タリア「彼らが発射を開始したら、薙ぎ払え」
    アーサー「了解!」

    体中の汗腺から冷汗が噴き出る。レーダーと光学映像は、リフレクター搭載ドレイク級がミネルバまで指呼の間に迫りつつあることを知らせている。更にその背後には、ウィンダムがマルチランチャーから核ミサイルを―死神の鎌首をこちらに覗かせている。

    メイリン「敵モビルスーツ隊。ウィンダム90機。リフレクター搭載ドレイクと核部隊の上下より、前進。突撃して来ます」
    タリア「何ですって!」

    ビームシールドを展開するドレイク級、Mk5核弾頭ミサイルをチラつかせるマルチランチャー・ウィンダム。その後方から、彼らを乗り越えるようにして進むウィンダム90機の大編隊の光がチカチカとレーダーを光で満たす。

  • 41二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:31:55

    ブリッジ内で号令!
    タリア「タンホイザー発射!あのモビルスーツ隊だけでも」
    アーサー「了解!タンホイザー起動!目標、前方敵モビルスーツ群、撃ってー!」

    敵艦列から最初に飛び出した30機のウィンダムがタンホイザーに焼かれ、一瞬で蒸発する。
    死の光線は更に後方の物体をも、その渦に巻き込もうとするが、リフレクター搭載ドレイク級のビームシールドが防波堤となり、それ以上に打撃が広がらない。

    後続してこちらに突撃してくる60機の敵影。更にその後方から30機がピストンのように加わり、結局90機の部隊は止まることは無い。

    連合軍を迎え撃つべく、こちらも今動かせるザク19機で隊列を組む。充電中の機体と直掩機を除いた分だ。更にインパルス・ミーティアがセイバーの護衛の下、その先頭に躍り出る。

    コックピットレーダーに一斉に光点が放たれる。これは―!

    メイリン「敵、マルチランチャー・ウィンダム。全機核ミサイルを発射中!前進中の味方機ごと、こちらを討つつもりです!」

    アグネス「!!!」
    一同「!!??」

    心臓が早鐘のよう。メイリンの声、コックピット内で確認できるレーダー・光学映像。すべてが自分の死を突き付けてくる。ここで私達が倒れたらプラントは―

    アスラン「インパルス、シン。ミーティアで迎撃!」
    シン「了解!」

    タリア「全艦、回避運動続行。マリク!」
    マリク「はい!」

    グラディ司令長官からシンに直接命令が下達!

    タリア「インパルス!シン。核を撃て。決して、撃ち漏らすな」
    シン「了解!」

  • 42二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:33:11

    襲い来るMk5核弾頭100発!

    シン「こんなことぉ!許すもんかぁ!!」

    叫び声と共にゾーンに入ったシンがインパルス・ミーティアを駆る。

    120cm高エネルギー収束火線砲が、天使の剣のように20発の核を一瞬で焼き尽くす。60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管77門から吐き出されたミサイルが、今度は一発も外れることなく悪魔の兵器を77の業火に沈め、この世から永遠に滅する。

    シン「うぉぉォォォォォ!」
    最後の3発を93.7cm高エネルギー収束火線砲が吹き飛ばし。その瞬間、インパルスはフェイズシフトダウン。電力切れになる。

    当然、それを見逃す敵ではない。突入してきた大編隊の内24機がエネルギー切れを起こしたミーティアに殺到。

    アスラン「こんなことは…。もうやめるんだ!」
    悲壮な叫びと共にアスランもゾーンに入る。

    高速飛行形態でミーティアの前に飛び出したセイバーは素早くモビルスーツ形態に変形。アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲をフルバーストして16機を叩き落とし、4機を高エネルギービームライフルで立て続けに撃墜。ビームサーベルを引き抜くや4機を斬り伏せ、インパルスとシンを守り抜く。

    残る66機のウィンダムは19機のブレイズザクに突撃。ザクはビーム突撃銃とファルクスG7ビームアックスを装備。

    まず、ザクの19機のファイヤビー誘導ミサイルが火を噴き、接近する敵影を一掃し始めるが―

    アグネス「う…。なに…」
    ルナマリア「そんな…」

    目前の光学映像では、見たこともないほど醜悪な光景が広がっている。核攻撃を行ったウィンダム50機が即座にマルチランチャーを捨て、リフレクター搭載ドレイク級の艦列を飛び出すと、一斉にビームライフルを発射。戦闘中の味方を背後から撃ち抜きながら、もろともザフト部隊を殺戮する。

  • 43二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:43:03

    味方機が次々と撃破され続ける。敵機ごとその後方の敵機に撃たれて…。66機のウィンダムと11機の味方が息をする暇もなく、閃光になって消える。
    嫌悪感が喉元までせり上がる。先の7機も同じような手口を使われたに違いない。私は思い違いをして居たのかもしれない。ブルーコスモスの思想に感化された人間のことを。

    レクイエムをぶっ放してジェノサイドを実行しようとする人間が真面な筈ないじゃない!!
    アグネス「(ずっと、やつ等は味方もろとも撃つぞ、撃つぞと想定してはいた…。でも、いざ目前でそれを見せられると、精神的にくるものがあるわね…)」

    味方ごと敵を討つなんて事例、歴史上ありふれている。ありふれ過ぎて、当事者になった時、それがどれほど心を締め上げられるものか、私は予想してすらいなかった…。
    手元のメーターを見る。グフの充電率は62、63%!

    アグネス「ブリッジ!グフ、アグネス機戦闘に参加します。出してください!」
    ルナマリア「ザク、ルナマリア機、私もお願いします」。レイ「グフ、レイ機、どうか…」

    コックピットモニターにハイネ先輩が映る。
    ハイネ「おいおい。皆バラバラに言うな。グラディス司令長官、グフ、ハイネ、アグネス、レイ機計3機、ザク、ルナマリア、デイル、ショーン機計3機。戦闘に加わってよろしいでしょうか?」

    タリア「充電率を…。問うても意味は無いわね、この状況では。許可します」
    良し!

    シン「ミネルバ、メイリン、デュートリオンビームを!」
    メイリン「了解!デュートリオンチェンバースタンバイ。捉的追尾システム、インパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」
    背後でメイリンの声。充電急いで!

    アビー「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、アグネス・ギーベンラート機、発進どうぞ」
    アグネス「誰?!」
    アビー「ジブラルタルから赴任しました。副オペレーターのアビー・ウィンザーです」

    そんな人、来てたんだ…。仲間が増えて心強いわね!
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」

    今は一刻も早く味方機の元へ。さっきの攻撃を耐えた8機のザクがまだ前線を支えてくれている!

  • 44二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 00:27:21

    無茶苦茶だぁ…頭CEにも程があるだろ…
    ゲームのマルチプレイとかでも、味方に当たり判定のある無しで殲滅速度が段違いなんだよね…爆発物とかバンバン使えるし。
    当たり判定があっても撃てるかは…

  • 45二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 00:49:09

    出撃、ミネルバのカタパルトを滑りながら、必死に心を沈める。整理するんだ。マインドフルネス、マインドフルネス。このままでは私は死ぬ。動揺を抑えろ。

    まず、核。連中は使う機会があれば使うと私は知っていた。私個人の思い込みではなく、プラント・ザフトの公式な懸念でもあった。その時が今日だっただけ。戦局の展開が異なれば、連合は核を使用しなかったかもしれない。あるいは多用したかもしれない。そんなことは考えてもしょうがないこと。

    さっきの同士討ちも。乱戦の中、フレンドリーファイア覚悟で攻撃を続行することはこれまでの戦史でも、たびたびあったこと。さっき自分で思っていた通りだわ。ここぞという状況なら、ザフトもきっとやる。私も味方ごと敵を撃つ。避け得ない戦況なら…。

    連合が特に異常な訳ではない。逆に私達が特別、『真面な』人間と言う訳でもない。ブルーコスモスの思想の是非はどう考えても害悪でしかないけれど。

    異常なのはこの状況だ。人間ではない。
    こちらはレクイエムを止める為なら、何でもする。連合は―というかダイダロス基地を根城にする連合軍ブルーコスモス派は―レクイエムを撃つためなら何でもする。そういう異常な心理状態にあるというだけのこと。

    そもそもの原因を作ったのは連合、ブルーコスモスの側だが、この瞬間はどうでも良いこと。

    アグネス「(そして、私は憎悪から戦っているわけではない。勲章と出世と故郷を守るために戦っている。見失ったらダメだわ)」

    まあ、それはそれとして、あの兵器を守るために戦う立場にはなりたくは無いわね。強すぎるんだ。抑止力としても―。これから吹き飛ばすのだから関係ないわけだけれど。

    カタパルトの疾走が終わり、宇宙空間に飛び出る。レーダーを再確認。ネルソン級とドレイク級、特にリフレクターのついていないドレイク級の突出が著しい。モビルスーツ群は第2波のため、後方から続々と結集している。

    これは敵の焦りだわ。終局は近い。急ぐ必要がある。

  • 46二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 09:25:19

  • 47二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 09:55:56

    この狂気こそコズミック・イラよ

  • 48二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 11:04:18

    地球で戦ってた連合軍が真っ当な軍人だったから油断してたぜ…頭ブルコスこわぁい

  • 49二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 13:31:25

    そういえばガンギマリ世界の割に味方ごと撃ってでも敵は殺してやるってシーン原作だと意外となかったな
    砂漠初戦のAAミサイル攻撃(ストライクはPSあるから誤爆しても死にはしないでしょ理論)とジェネシス関連ぐらいしか思い出せないや

  • 50二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 19:44:31

    これダイダロス基地にジブリール居るんじゃね?

  • 51二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 23:59:04

    グフのコックピット回線をオープンに。
    アグネス「ルナマリア、レイ、ショーン、デイル、甲板組、ラドル支隊、みんな聞いて!さっきの同士討ちは所詮、初見殺し。2度目は通じない、通じさせない!そうでしょう?」
    ルナマリア「ええ!」
    デイル「おう」
    レイ「当然だ!」
    一同「はい!」

    良し!

    上手く連携し、あるいは『仲間もろとも撃つ可能性』を考慮して戦闘すればそこまで脅威ではない。今、ミネルバと生き残っている者はラドル支隊組を含め皆、エースパイロットだ。

    アグネス「(最初にやられた人たちは不意を衝かれた。もうその手は喰わないわ)」

    コックピットにグラディス司令官より通信。
    タリア「モビルスーツ隊。全機発艦。敵艦・敵機全速でこちらに突撃中よ。タンホイザーのチャージとインパルス・ミーティアの充電時間が彼らにとっての勝機。この数十秒を何としても耐え抜いて。ミネルバ、ガズウート隊全力戦闘準備!」
    全艦全機「了解!」
    アーサー「誘導砲を分離、トリスタン、クルヴェナール目標敵戦艦!ミサイル発射管全門発射用意!」

    後方では私達と同じく充電を切り上げたホーキンス隊11機が発艦中。セイバーはシンを守る。ハイネ先輩に率いられて私達6機は生き残りの8機と合流。

    敵艦隊ドレイク級、敵モビルスーツ群。リフレクター搭載ドレイク級を乗り越え押し分け、総突撃を開始!!!36隻のドレイク級と無数のモビルスーツでレーダーが一気に光り、もはや意味をなさない。

    アーサー「撃ってー!」
    タリア「ガズウート隊攻撃開始!」

    ハイネ「アグネス、レイ、キャットゥ500mm無反動砲一斉射!全機、ミサイル迎撃!」
    一同「了解!!」

  • 52二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:02:58

    ミネルバのトリスタン、クルヴェナール。ガズウート隊のフルカ2連装ビーム砲が全門猛火を放つ!
    先頭のドレイク級9隻が爆散!ミネルバのミサイル発射管から放たれたミサイルとファルコーSSM 地対地対艦ミサイルが更に続く。

    バート「ミサイル、魚雷多数接近!!」
    タリア「撃ち落として!マリク回避任せる」
    マリク「了解!」

    敵艦がコケの一念で放ち続けるミサイル群。一隻のドレイク級に付き12連装ミサイルランチャーが4基、3連装有線式魚雷発射管が2基。撃ち沈められながらも執念で全弾発射し続けてくる。この世のものとは思えない高密度のミサイル弾幕が目前に迫る。

    ミネルバのCIWSは火を噴き続け、ディスパールも豪雨のような光の槍に矢となって抗い続ける。甲板のガズウート6機がフルカ2連装ビーム砲、14mm2連装近接防御機関砲、トリウィム3連装軽砲を機体が吹き飛ぶほどの勢いで掃射、押し寄せるミサイル、魚雷を撃墜し続ける。

    セイバーはミネルバに同行し充電中のインパルス・ミーティアを守り、アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲をフルバースト。60発近いミサイルと魚雷を閃光に変える。

    グフ3機はドラウプニル4連装ビームガンで、ルナマリア達、ザク11機はビーム突撃銃で弾幕を張り120以上のミサイルを皆で撃墜しながら、タイミングを合わせてキャットゥス500mm無反動砲を発射!3隻のドレイク級を火球に変える。

    (カウントMS161 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級13 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

    しかし、あまりの敵の猛攻に、さしものミネルバも前進を一旦諦め、回避航法を続けながら後退。エターナル、両脇のナスカ級も対空砲火を繰り広げるが…。

    コックピットからメイリンの悲鳴のような声。あの子が職務中に…。珍しい。

  • 53二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:08:39

    メイリン「前方より敵モビルスーツ群急速接近。さらにジン長距離強行偵察複座型から緊急入電。本艦隊後方より敵中規模艦隊接近。数20。リフレクター搭載ドレイク級5隻を先頭にネルソン級5、ドレイク級15。連合は第二次中継コロニー『マルタン』に最小限の足止め隊のみ残し、残りはこちらに急行させた模様です」

    アグネス「…」
    アグネス「(戦力の逐次投入は避けるべし、鉄則に忠実ね)」
    レーダーで確認すると後方でナスカ級ブルトンの大爆発を確認。あれが今報告を受けた敵援軍によるものか…。ホーキンス隊11機は一斉の方向転換、後方の安全確保に急行する。

    既に何かを感じる感性は摩耗している。
    前方からは、止まることなくミサイルの雨を降らせ、突進を続けるドレイク級、ビームの嵐を吹かせながら後続するネルソン級。その合間から、湧き出るように敵機の大編隊がミネルバに切り込んで来る。そちらに対処することに全神経を集中するべき!

    私達、グフ3機、ザク11機が、彼らにまず立ち塞がる。ザク11機がファイヤビー誘導ミサイルを一斉に発射!ミサイルを消耗気味の8機はさらにビーム突撃銃を全力で掃射。

    ハイネ先輩、私、レイのグフ3機はそれを確認すると、無反動砲を一旦手放し、編隊後列のウィンダムに突進する。ザフトに焼き尽くされて行く66機の味方の後方から、こちらに狙いを定めんとする敵手共。
    テンペストを引き抜き、スレイヤーウィップを鞭の如く振りかざしながら、私達は私達の仲間を守る。

    私が操るグフのスレイヤーウィップが、ウィンダム2機のビームライフルを持った右手を溶断!
    直後にテンペストで2機の胴体を切り裂く。爆発炎上して一瞬でデブリと化す2機の後ろに抜けたら、今度は隣を飛ぶウィンダム4機の背後を取り、ドラウプニル4連装ビームガンを連射し、閃光を4つ連続で発生させる。
    同時に攻撃を仕掛けたハイネ先輩、レイと合わせ計25機のウィンダムを屠りさる。

    25機の方はエースストライカーパックを装備していた。こいつ等が例の精鋭の内25機か…。

    ザクに拾って貰っていた無反動砲を投げてもらい、キャッチすると3人そろって突進中のドレイク級に1発ずつ致命打を与え、爆散させる。

  • 54二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:17:31

    (カウントMS167 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級14 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

    合同艦隊に降り注ぐネルソン級のビーム砲。ゴッドフリートをやっとの思いで止めたと思ったら今度はこれか…。
    ハイネ「俺とアグネス、レイでネルソン級を黙らせる。ザクはファイヤビーミサイルの補充に戻れ。帰るまでが出撃だ。ウィンダムから互いを守り合え」
    一同「了解!」
    ハイネ「ルナマリア、皆を頼む」
    ルナマリア「はい!」

    突進する敵艦にカウンターチャージをかける。ドラウプニルでミサイルを撃墜しつつ前へ、前へ!

    私達の迎撃を潜った敵編隊が既にミネルバに接近。耐えきってくれると願うしかない。先程から、ずっとミサイルを迎撃し続けたセイバーの電力は枯渇寸前だ。甲板上のガズウートも疲弊の極。敵はそれを見逃さない。見逃さないが―。

    この時のために待機させ続けていた甲板組5機とブレイズウィザードに換装済みの弾込め組2機、計7機のブレイズザクが、ファイヤビーミサイルを一斉投射。42機の敵影がコックピットレーダーから一瞬で消える。

    そのミネルバ直掩のザクを狙ったエースストライカー装備ウィンダム10機が、後方から狙いを定めていた。しかし、副長の号令の元、ミネルバの誘導砲が瞬時に迎撃。パっと燃え上がった瞬間には闇の中に彼らは引きずり込まれる。浮かび上がることは永遠にない。

    さらに甲板直通エレベーターを駆け上がって来た、ケルバロスバクゥハウンド3機のウィザード頭部リトラクタブルセレクション内ビーム砲6門が咆哮を上げる。合間を狙って猶もミネルバに特攻を仕掛けてきた敵機12機を次の瞬間には喰いつくす!

    みんなよく頑張って持ちこたえている。それはそうと―。

    アグネス「(電力の消耗がヤバい!)」
    出撃時は63%を超えていた筈なのにもう49%を割り込んでいる。絶え間なく飛んでくるドレイク級のミサイルと魚雷を撃ち落としながら行動しなければいけないからだ。私達が撃墜しないと艦隊が―。

  • 55二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:22:46

    コックピットにゾーンに入ったままのシンの声が木霊する。
    シン「このォォォォォ!いい加減に…」

    ハイネ「ミーティアの充電が完了したのか!」
    レイ「シン…」
    アグネス「(長かった…。この艦数十秒か)」

    ネルソン級に突撃する私達グフ3機の後ろで、やっと充電を終えたミーティアのフルバーストが弾ける。突撃を続けるドレイク級から、止めどもなく降り注ぎ続けるミサイル・魚雷。

    インパルス・ミーティア自身に向けられたものは93.7cm高エネルギー収束火線砲で消し飛ばし、60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管から発射されたミサイルで、ミネルバを狙ったミサイルも77発を撃ち落とす。

    元凶のドレイク級8隻は振りかざしたMA-X200ビームソードで切り裂き、120cm高エネルギー収束火線砲が6隻を撃ち沈める。
    高火力を叩き付けたインパルスは再びフェイズシフトダウンする。その隙を狙おうとするウィンダム7機をミサイル迎撃から一時的に解放されたアスラン、セイバーが迎え撃つ。

    高エネルギービームライフルで3機、スーパーフォルティスビーム砲で残り4機を火球に変え―今度はセイバーもフェイズシフトダウン。短期間で滝のように降り注いできたミサイルを迎撃し続けたためだわ。

    セイバーに艦首を向けようとするドレイク級最後の5隻を視認。ドレイク級3隻にグフ3機でキャットゥス500mm無反動砲を発射、巨大な閃光3つ輝き次の瞬間には消える。

    ハイネ先輩とレイに残りの2隻は任せ、私は支援に回る。随伴のエールストライカー・ウィンダム3機に対処しなければならない。
    1機目のビームライフルをスレイヤーウィップで絡めると、振動波でライフルを爆発させる。後ろに回り込もうと旋回した愚図をそのままドラウプニルで撃墜。ライフルを奪われたウィンダムがビームサーベルを抜くが、敢えて無視して、もう一方のウィンダムに近距離から500mm無反動砲を叩き込んで撃破。切り込んできたウィンダムをテンペストで居合切りの要領で斬り捨てる。

    私のグフの傍で連続して3つの爆発が起こり、ハイネ先輩とレイが撃ち沈めたドレイク級2隻が巨大な火球となる。

  • 56二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:29:48

    (カウントMS170 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級15 リフレクターシールド装備型ドレイク級2)

    アグネス「(長かった…。これが『正面の』最後のドレイク級か…)」

    アスラン「メイリン、俺とシンにデュートリオンビームを頼む」
    メイリン「了解!デュートリオンチェンバースタンバイ。捉的追尾システム、セイバーとインパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    感慨にふける間などない。今の一瞬でインパルスとセイバーを狙ったウィンダム6機がミネルバに来襲!

    甲板の瀬戸際まで駆け寄ったケルベロスバクゥハウンド3機がこれを迎撃し、リトラクタブルセレクション内ビーム砲で敵2個小隊を火球にして消し去る。

    ミネルバの状態は安全とは程遠い。

    レーダー上でホーキンス隊のナスカ級1隻とその直掩ザク2機の反応が突然消える!ミネルバとエターナル撃破を後回しにしたエールストライカー装備ウィンダムの標的になってしまった。これで合同艦隊はあと4隻…。

    アグネス「(後方から来た敵増援艦隊は?ホーキンス隊はどうなった?)」
    既に集中力は限界に達している。脳内の神経が焼け付き、目線を動かすたびにズキンズキンと頭が割れそうな痛みが走る。

    気にする暇なんてない。こちらの目前にはリフレクター搭載ドレイク級が一気に押し出してきている。無防備になったネルソン級を庇い一体になってミネルバと刺し違える覚悟だ。お互いにもう平時の冷静な精神は一万光年後ろに置いて来てしまっている。

    グラディス司令長官から通信。彼女の貫禄のある声がコックピット内に響く。

    タリア「全機、目前の任務に集中せよ。タンホイザー起動。ハイネ、ルナマリアを送ったわ。彼女とアグネスとレイを連れて、あのリフレクター装備ドレイク級の艦列に穴を空けられる?」
    ハイネ「やれます」

  • 57二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:33:07

    私とレイに尋ねる間もなく即答!いいわね、こういうの。
    タリア「よろしい。リフレクター装備ドレイクに空白が出来た瞬間にタンホイザーを発射。最後まで残ったネルソン級を掃討します。合図をしたらモビルスーツは退避せよ」
    ハイネ、アグネス、ルナマリア、レイ「了解!」

    タリア「アンチビーム爆雷を発射!ハイネ隊が血路を開くまで回避全力!」
    マリク「了解!」

    ハッキリ言って正気の沙汰ではないが、やり遂げるしかない。後方からでは激しい戦闘がまだ続いている。何より『チェルニー』破壊が間に合わなければ意味がない。
    ファイヤビーミサイルを充填した甲板組と、彼らを援護するショーンとデイルがカーナヴォンを守るべく出撃中。あちらは彼らに任せるしかない。

    ルナマリア「合流します」
    ルナマリアの赤いザクが来援。ハイネ先輩とレイ、私とルナマリアで編隊を組む。
    ハイネ「スパっとやってミネルバにタンホイザーを撃たせるぞ。着いてこい!」
    アグネス、ルナマリア、レイ「了解!」

    ミネルバ、エターナル、カーナヴォン、ホーキンス隊最後のナスカ級に正面からネルソン級の連装主砲が降り注ぎ始めている。

    そちらは、今はおく。その前のリフレクター装備ドレイクに二手に分かれて突撃を敢行。
    此方を迎え撃つべく、ドレイク級の12連装ミサイルランチャー4基はミサイルを一斉に噴射する。
    後ろのネルソン級の回転型ミサイル発射管からもミサイルの火線がこちらに向かう。グフは両手のドラウプニルで全力迎撃、後ろのルナマリアもビーム突撃銃を一心不乱に射撃。

    ずっとドラウプニルを撃ち続けて、こっちのエネルギーは残り28%だわ。ルナマリアのビーム突撃銃は、もう電力を使い果たし予備マガジン1つ目を使っている。グフの対ビームシールドたったの1枚が私達2人の命を保証している。

    ニューロンが焼き切れそうになる。飛び散った破片や爆風、火花がグフとザクの装甲を削り続けるが、命あってのものだ。どうとでもなる。

    ふと、ルナマリアに無性に声をかけたくなる。ルナマリアでなくてもいい。シンでもレイでも良い。いや、やっぱりメイリンか良いかな…。
    アグネス「(この孤独な棺桶の中で、どんなに微かでも人の温もりを感じたい。もう耐えきれない。何時まで続くんだ、こんなのが…)」

  • 58二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:36:23

    無論。そんなことをされても彼女は迷惑だろう。一瞬、いや半瞬気を抜いたら死ぬんだ、二人とも。今この瞬間もドレイク級のミサイルを撃ち抜いているのだから!

    それでも、突撃は現に成功している。目と鼻の先に迫った敵艦、もう少し。今!

    アグネス「ルナマリア!」
    ルナマリア「うん!」

    ルナマリアのザクが投擲したビームトマホークがリフレクターシールド装備型ドレイク級の憎い鼻面を一本へし折る。それを皮切りに全機で散開。突撃!

    ルナマリアは、今、リフレクターをへし折ったドレイク級の艦橋にビームを撃ちこんで爆散させている。私はその隣の艦に500mm無反動砲を叩き込んで撃沈。ハイネ先輩、レイのグフが敵を屠る閃光が2つレーダーに灯る。更に隣のドレイク級もドラウプニルで連射して爆散させる。

    ハイネ先輩と私で、もう一隻ずつリフレクターシールド装備型ドレイク級を500mm無反動砲で沈めたタイミングで、グラディス司令長官から合図が出る。

    タリア「前方射線軸のモビルスーツは退避せよ。アーサー発射のタイミング、任せる」
    アーサー「了解!タンホイザー目標敵残存艦隊」
    チェン「了解!プライマリー兵装バンクコンタクト。セーフティー解除」

    ハイネ「退避」
    一同「了解」

    死にぞこないのネルソン級とドレイク級が断末魔のように全火力を吹き出しているが意味はないだろう。私達は避けながら退避しなければならないので、すごく死にそうだけれど―

    アグネス「(すごく死にそうって頭の悪い表現ね)」

  • 59二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:45:01

    どうでも良い考えが脳裏をかすめた。しかし、次の瞬間に副長の号令がコックピットに響き、体が勝手にグフを操り、回避運動を完遂させる。
    ミネルバ艦首から発射された緑色をした死の大洪水発射されるが、それを受け流すべき、敵艦隊のビームシールドの堤防は既に決壊をしている。陽電子の無慈悲な光が、88隻を数えた大艦隊の生き残り19隻をこの世界から抹消し後には何も残してはくれない。

    恐ろしい静寂が周囲を包み、私を圧し潰そうとする。
    コックピットの画面が真っ赤に表示され、何事かと見れば、ホーキンス隊長戦死の急報。後方の敵を抑えて下さっていたから…。彼の隊はあと何人残っているのだろう。

    真っ白に焼かれた頭の中、様々なものがもう限界だと悲鳴を上げている。それでも、もう一度目線を下げ、グフのエネルギー残量を確認する。残り、たったの11%!

    アグネス「(もう嫌だ。正気じゃない。これは…)」

    無論。この場で正気かどうかなど関係は無い。さっさと帰ってエネルギーを補給して仲間を助けに行く。それしか私に選択肢はないんだ。『チェルニー』それともチェルニー破壊を優先するべきか。レクイエムのチャージの残り時間は…。

    頭が働かない。ダイダロス基地を直接責めたはずのローラン隊の吉報はまだなのか...。

  • 60二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:54:57

    アグネスが准将よりお労しい事に…
    こんなん一生のトラウマになっちゃうよ

  • 61二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 08:54:40

    狂気に逃げ込めないアグネスがお辛い…頭ザラ派なら楽になれるのにね

  • 62二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 09:30:01

    >>60

    このアグネスは戦後にも湧いて出てくるブルコスに心底うんざりするだろうな…

  • 63二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 09:48:04

    だが待ってほしい
    この世界線だとヤキン戦役もアニメの描写以上の地獄の様相だったのではなかろうか

  • 64二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 17:57:14

    恐ろしい事に原作の時系列に当てはめるとまだ2クール目なんだよなぁ

  • 65二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 18:16:09

    これでデストロイまで出てきたらどうなっちまうんですかねぇ…

  • 66二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 00:14:47

    アグネス「(関係ないか…。正気かどうかは―。これは本当に私の考え?少し落ち着けアグネス。衝動的で軽薄な所を改めようと決めたばかりじゃない!)」

    疲労と衝撃的な出来事の連続で、私は明らかに精神の均衡を欠いている。一旦呼吸を整えるべき。ありがたいことに目前の敵は消滅した。本当に『目の前』だけではあるが…。

    数を数えながら呼吸をする。マインドフルネス。マインドフルネス。まず、手柄のカウント。

    (カウントMS170 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級10 ドレイク級15 リフレクターシールド装備型ドレイク級5)

    さっき消し飛ばされた19隻。戦死者は5000人以上か…。全員が積極的に大量破壊兵器を守りたかったわけでもないだろう。無論、通常部隊よりはブルーコスモスカラーが強い者達であっただろうことは想像に難くないが…。

    苦しむのも痛みに悶えるのも生者のみの特権だ。私は生きている。ならば、生ける者の義務を果たすべきだ。

    アグネス「(正気かどうかは―。大切だ。どんな戦争も、どんな戦場も…。考えること・思考することを放棄した側が破れる!歴史の鉄則だわ。頭を冷やせ。士官学校出がみっともない。一兵卒じゃあるまいに)」

    そうすると次にするべきことが見えてくる。今こそルナマリアに話しかけるべきなんだ、私は。
    通信回線を接続、直ぐ近くのルナマリア機、赤いザクウォーリアに。さっきまでの私と同様、放心したかのように宇宙を漂っている。

    アグネス「ルナマリア、平気?」
    かつて傷つけた(ことが今日判明した)友に呼び掛ける。返事は聞く前から分かっている。

    ルナマリアからの返信。涙交じりの怒声がコックピットに響く。
    ルナマリア「う…う…。平気なわけ…ないじゃない!」

  • 67二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 00:22:25

    そう、真に心配するべきなのは私の精神状態ではない。彼女の心を気遣うべきなんだ。

    私達より、ルナマリアの方がずっと深く傷ついている。たった1日か2日で、彼女はアカデミー卒業から築いてきたものを一度に無くしている。初めて赴任し、力闘を繰り返してきた月軌道艦隊はこの銀河のどこにも存在していない。ゴンドワナも沈んだ。マルベースも燃え尽きた。おそらく、見知った人たちも皆…。
    一応、ミネルバは現在、月軌道艦隊の旗艦になっているが、それが彼女の慰めになるとも思えない。

    私が逆の立場なら。ミネルバと一緒に過ごした仲間たちを一度にすべて失い、悲しみに暮れる間もなく激戦中の激戦地に放り込まれたら。とうの昔に精神が崩壊しているはず。ルナマリアは本当に強い。

    ルナマリアから通信。
    ルナマリア「ごめん。八つ当たりした…」
    アグネス「許す!ミネルバへ戻るわよ。考えたけど、優先するべきは、やっぱり『チェルニー』。完全破壊は後でも良い。スラスターを潰して、一刻も早く制動を止めるべき。不完全でもね」
    ルナマリア「分かった。行こう」

    話が早くて助かるわ。やっぱり、こういう時は女の子の方が強いのかしら。あんまり関係ないか。

    ともあれ、グフとザク、スラスターを吹かせ、2機で編隊飛行を再開する。
    飛行しながら、ふと、ユニウスセブンを墜とした輩が思い浮かぶ。なるほど、彼らの心情、今なら、少しは理解できるかも。やり場のない怒りとはどういうものか、私は考えたことも無かった。頑張れば頑張るほど報われる人生を送って来たから。

    取り留めのない思いは散文的な現実に飲みこまれる。

    コックピット画面にすごい勢いで情報が流れ込む。『正面』敵艦隊が消滅したことによってレーダーと光学映像の解析エリアが一気に広がったためだ。

    まず、目を背けたかった事実であるが、やはりホーキンス隊は最後の一機まで全機撃墜されている。ハイネ先輩が、かつてヤキンを共に戦った戦友はもうこの世にいない。

  • 68二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 00:26:01

    メイリンが悲鳴のように私達に告げた敵増援艦隊。
    5隻のリフレクター搭載ドレイク級、5隻のネルソン級、15隻のドレイク級、おそらく艦載モビルスーツ80機以上は来襲したはず。
    私達、合同艦隊の主力、つまりミネルバ、インパルス、セイバー、グフ3機は全て前方の敵艦隊と戦っていた。ホーキンス隊が無事な訳がなかったのだ。

    アグネス「(合同艦隊の方脇を最後まで守っていたホーキンス隊ナスカ級の反応もない。直掩のザク2機も。カーナヴォンを守るため、転進したところ連合に撃沈されたのか)」

    合同艦隊の残存戦力はミネルバ、エターナル、カーナヴォンの3隻のみに。

    ただ、精鋭の彼らがむざむざ屠られたわけでは決してない。その証拠に敵増援艦隊から58機のモビルスーツ、11隻のドレイク級の反応が消えている。どれほどの苦闘をして下さったのか、想像もできない。

    アグネス「ハイネ先輩、アグネス機、電力残り11%。ルナマリア機と共にミネルバに帰還します」

    敢えて事務的にハイネ先輩に通信を送る。
    ハイネ「了解。俺もレイと帰還する。よくやったな!」

    何時もと同じ口調。改めてこの人の凄みを思い知る。

    アグネス「(ハイネ先輩が戦友の死を知ったのは私達とほぼ同時なはず。現実を突きつけられたばかりなのに、動揺を悟らせまいとしている。この人は割り切れる人なんだ。無情な訳でも非情な訳でもなく―)」

    ハイネ先輩とレイのグフ、2機と合流。ミネルバを目指す。すぐそこだ。

    疲れ果てた私達6人、6機をミネルバのカタパルトハッチが迎え入れてくれる。整備班が駆け寄る中、医療スタッフがレイのグフの足元に集まる。

    看護兵に降ろされたレイが担架で運ばれて行く。

  • 69二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 00:30:41

    アグネス「(レイの健康状態も限界か…。一旦休まないと。でも、すごいわね。健康な私でもパンク寸前だったのに…)」
    とは言え、しみじみと感慨にふける間はな…い?
    アグネス「うん?」

    驚いたことに、さっき出撃したはずの甲板組とショーンとデイルのザク7機が目の前に鎮座しているわ。敵前逃亡の―、のわけも無い。どうした?

    アグネス「デイル?どうしたの。さっき出撃したばかりでしょう?」
    デイル「ミサイルが切れたから帰って来た。皆で敵機34機を墜としたぞ!」
    アグネス「それは凄いわ!」

    いつの間に?グフのレーダーを再確認。
    アグネス「(信号の受信に一部、遅れが生じていた!グフもお疲れモードね)」

    いや、機体の問題じゃないかも知れない。単に私が見落としたのかも。集中力が限界を迎えている自覚はある。

    ともあれ、再確認すると敵モビルスーツ群のうち、カーナヴォンに群がっていたエールストライカーパック装備ウィンダムが丸ごと34機消えている。残る敵機は、増援艦隊の分を合わせて25機程度。

    ホーキンス隊長たちが我が身を捨てて稼いだわずかな時間は確かに意味があった。
    ミネルバ隊と入れ替えに出撃したらしい8機のザクも第二次攻撃隊として再びカーナヴォンの護衛に向かっている。今、反転すれば、後方の敵艦隊撃滅自体はおそらく可能なはず。

    でも、それより―。
    コックピットに通信、艦内には放送。グラディス司令長官から。

    タリア「本艦とエターナルはこれより、レクイエム第一次中継コロニー『チェルニー』破壊のため全速で突撃します。インパルス、セイバーもコロニー破壊に参加せよ。敵がいつレクイエムを撃つかも分からない。迅速に作業を行う必要がある。後方艦隊はカーナヴォンと先程出撃したモビルスーツ隊に対処を任せる」

  • 70二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 00:45:49

    結構無茶言うわね。ザク8機とカーナヴォンで後方の敵艦隊に対応しろとか、ちょっと無理じゃない?
    アグネス「(いや、別に倒さなくても時間さえ稼げればいいのだから、ギリギリ行ける、か?)」

    そんなことを他人事のように聞いていた私とハイネ先輩にブリッジから通信が届く。
    タリア「帰って来たばかりで、申し訳ないけれど。後方の援軍に行けるかしら?」
    この人はいきなり何を言い出すの?こっちは青息吐息よ。無論、皆がそうだとわかってはいるけど…。その中でも結構、やばい方よ、私もハイネ先輩も。

    ハイネ「私のグフの充電率はまだ、34%あります。しかし、アグネスの方は…」

    そうなのよね。グフ2機で突撃した2人以上に、ザクを連れて前を行った私のグフには負荷が集中している。電源コードを繋いでもらったが、まだ12%だ。これでも、帰りの途中に10%まで落ちたから、なかなか頑張っている。

    アーサー「レイのグフの充電率は33%残っている。彼は医務室で休ませるのでアグネスはそちらに。敵艦隊に対処した後、ミネルバかカーナヴォンに任意に着艦し、充電を行うように」
    タリア「頼んだわよ。お願い」

    はぁっ!正気?!他のザクは?
    アグネス「(あー。コロニー破壊のためガナーザクにするのね。スピード勝負って言っていたものね)」

    アグネス「了解!」
    軍人らしく返事は簡潔明瞭に。ここで踏ん張らねば家族の命も祖国も無くなる。
    それにモニターの向こうで艦長から―司令長官から敬礼してくれる。また、間違えてしまった。口に出していないから良いけれど。私にとってこの人は『艦長』なんだ。私も綺麗に返礼する。彼女の表情がこの命令が本意でないことを物語っている。

    じゃあ、覚悟を決めますか。
    バーガンディーに染めたグフを降りて、白いレイの機体に乗るべく昇降機へ。今頃本来の乗り手は医務室のベッドだ。大丈夫か、本当に。
    コックピットに乗り込んでスイッチを操作。ありがたい。35%までは回復している。
    回線にルナマリアの声。何々。何かやり取りしているわね。
    音量やレーダーをちょこまかと弄り、椅子の角度を調整していると再びモニターにグラディス司令長官の姿が映る。

    タリア「ハイネとアグネスに加えてルナマリアも敵後方艦隊に。3機出撃せよ」
    ハイネ、アグネス、ルナマリア「了解!」
    やはり持つべきものは友達ね。これで、きっと凌げるわ!

  • 71二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 10:02:43

    アグネス大丈夫か思考がとっちらかってきてるが…

  • 72二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 14:37:45

    アグネス自覚あるけど疲労と衝撃的な出来事の連続で思考力も集中力も割と限界なんだよな
    元々視野が広くて色々な情報を整理しながら判断するタイプだから思考が鈍ってる今はかなり危険な予感
    所々周りが話す内容を把握しきれてないくらいだし

    そんな中でもルナマリアのメンタルケアこなしたりレイやハイネの状況や戦況の把握をしてるの素直に凄い
    なんとか生き残ってくれ…

  • 73二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 14:48:40

    そろそろミネルバ隊も誰かしら死にはしなくても被弾・負傷までは行きそうな限界感あるな…
    本編でもルナザク大破して本人もダイダロス攻略まで骨折してるし

  • 74二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:01:59

    私達3機の発進シークエンスが開始される。
    メイリン「グフ、ヴェステンフルス機。カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、発進どうぞ!」
    ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ、行くぜ!」

    オレンジ色のグフが先頭を切って飛び出す。モビルスーツデッキの中では甲板組、デイルとショーンのガナーウィザード換装が急ピッチで進んでいる。

    メイリン「ザク、ルナマリア機。カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。ザク、発進どうぞ!」
    ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク、出るわよ!」

    ミサイルとビームトマホーク、ビーム突撃銃のマガジンを補充したルナマリアが発進。次は私か。

    メイリン「グフ、アグネス機。カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」
    レイ、借りるわね。この機体。ちゃんと返す予定だから、間違いなく!

    カタパルトから発艦すると、ミネルバ甲板上では、弾込め組ザク2機が艦内より延長させた電源コードを甲板上のガズウートに差し込み、ファルコーSSM 地対地対艦ミサイルを各機の両腕部に装備して回っている。ケルベロスバクゥハウンド3機はその間も僅かな隙間に陣取り、9つの頭で女神(ミネルバ)の番犬を務める。

    アグネス「(皆、戦っているじゃない。私は何を泣き言を言っていたのだろう…)」
    無論口には出していないが。

    コックピット画面にアスランとシンの顔が映る。二人ともお通夜に行くような顔をしている。

    充電の終了したインパルスはミサイルの残量が怪しくなったミーティアをエターナルに返還。フォースシルエットに換装され、MMI-710 エクスカリバー・レーザー対艦刀を握りしめている。

    アスラン「セイバーの充電。インパルスのミーティア返還とシルエット換装が完了した。これから俺達はミネルバとエターナルに先行して『チェルニー』のスラスターを破壊に行く。後方のことは…。頼んだ」

    ハイネ「任せろ!急げ、スピード勝負だ!」
    アスラン「ありがとう」
    ハイネ先輩の返事でアスランの表情の緊張が僅かに緩む。何よりだわ。緊張と言うより硬直していたから。

  • 75二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:06:08

    隣のモニターで押し黙っていたシンが、我慢できないと言った風に声を上げる。
    シン「3人とも、ごめん。俺…」
    ルナマリア「何であんたが謝るのよ!」
    アグネス「しっかりしなさい!自棄になったダイダロス基地の連中が引き金を引くかもしれない。急いで、注意して!」
    シン「うん。皆も気を付けて…」

    どんなけ手間をかけさせるんだ、この2人は。ちょっと嬉しけど。
    モニターを通してアスランとシン、ハイネ先輩、ルナマリア、私で敬礼を交わす。そして二手に、正反対の方向に分かれて飛び立っていく。

    すれ違うミネルバ、エターナルは目の前の障害が消えた今、持ち前の俊足を発揮し、流れ星のように宇宙を駆け抜ける。セイバーとインパルス、あの2隻と準備中の戦友たちが全火力を叩き付ければ『チェルニー』は1分と持たないだろう。巻き沿いの一撃を撃ちこもうなどという愚かな考えは空振りに終わるはずだ。

    私達が後方を守り抜けば―。

    頭を転じた、私達の前方では泥沼のように戦いが続いている。
    カーナヴォンもまた、ミネルバとエターナルの突撃を見届けると艦を旋回、艦首を敵艦隊に向け決戦の構えを見せる。私達も先に到着次第、ザクの隊列に加わる時だ。

    そこにハイネ先輩から通信が飛び込む。
    ハイネ「アグネス、ルナマリア。正面はザク8機とカーナヴォンに任せるぞ。俺達は敵モビルスーツ群と敵艦列の左側を一気に駆け抜け、艦隊側面・後列を強襲する」

    ほう!野心的ね。鉄床戦術を実行するのか。カーナヴォンとザク8機が重装歩兵の役、私達が重装騎兵の役ね。

    ルナマリア「了解!」
    ハイネ「アグネス、充電の残りは?」
    アグネス「34%です」
    なかなかギリギリね。

  • 76二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:10:09

    ハイネ「十分だな。そうだろ?」
    モニターには自信満々な―表情を作って見せる―ハイネ先輩の顔が映る。ならば私も自信満々に応えるしかない。
    アグネス「はい!十分です」
    これまで戦闘終了時に残量が66%だったこともある。つまりその時私は34%の電力で戦ったんだ。平気だわ。今日も。

    ハイネ「ルナマリアも良いか?」
    ルナマリア「勿論!」
    ハイネ「良し。二人ともよく聞いてくれ。俺達には今、『チェルニー』もダイダロス基地も関係ない。プラント本国の安全さえもだ。ただ、敵艦隊側方を駆け抜けることのみに全神経を集中しろ。そのために産まれて来たんだと思え」
    アグネス・ルナマリア「はい!」

    ハイネ先輩は私達の返答に満足したように頷くや、モニターの画面を切る。代わりにオレンジ色のグフのスラスターを全開にして、私達の先頭に躍り出る。男は黙って背中で語るってやつね。

    私とルナマリアもグフとブレイズザクのスラスターを全開。彼の背中を必死で追いかける。
    眼の前ではナスカ級の120cm単装高エネルギー収束火線砲、66cm2連装レールガンが火を噴き、ネルソン級5隻の連装主砲と応酬を重ねている。何時仲間が轟沈してもおかしくないが、止まることは許されない。

    そこを抜けて突き進むと、横目では、ザク8機がビーム突撃銃を一心不乱に撃ち続け、こちらに向かうミサイル群を撃墜し続けている。敵ウィンダムはまだ25機は生き残っていて、降り注ぐドレイク級とネルソン級のミサイルに混じり、ビームライフルを吹き出し続けている。

    味方のことを考えるなら、今は彼らの持ち場は彼らに任せるべきだ。

    全開になっているスラスターを更に踏み込む。突撃開始時に34%あった充電率は24%に激減している。今駆け抜けた瞬間に味方のザクが2機閃光になって消えた。その屍をジャンプ台にして遂に私達の編隊は敵艦列の左横腹に到達する。

    こちらの迂回攻撃を察知したウィンダム4機が即応して追尾してきたが、ルナマリアのファイヤビー誘導ミサイルが瞬時に4つの火球に変える。

    ほぼ同時にレーダーから味方1機と敵3機が消える。最悪-。

  • 77二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:11:17

    完全に存在しない記憶だった「宇宙空間(しかも月面付近)でエクスカリバー持って戦うフォースインパルス」のMG箱絵が現実のものに
    あのMGはこのDESTINYが放映された世界線のものだった…?

  • 78二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:14:01

    ハイネ「アグネス、1発目だ。行くぞ!」
    アグネス「了解!」

    敵艦列左側面からグフ2機、キャットゥス500mm無反動砲を発射!
    左端のリフレクター搭載ドレイク級は方向転換が間に合わず、ハイネ先輩が放った一発の餌食となり、その後列のネルソン級は私の一撃で巨大な閃光となって消え去る。

    (カウントMS170 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級11 ドレイク級15 リフレクターシールド装備型ドレイク級5)

    私が吹き飛ばしたネルソン級の後列に位置するドレイク級は、ハイネ先輩がドラウプニル4連装ビームガンを連射して撃沈。

    ここまで来たら電力のことを気にしてもしょうがない。私も既に20%を切っている。スラスターの勢いを減ずることなく、私は先輩を追い越し、敵艦隊の後方に遂に到達。

    ドレイク級1隻に500mm無反動砲を発射しながら、その横のドレイク級の艦尾スラスターにテンペスト・ビームソードを突き立て、2隻を閃光に変る。出来た空白に弾込めしながら突進して、前列のネルソン級も艦尾から攻撃。500mm無反動砲を撃ちこんで巨大な火球に変える。

    (カウントMS170 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級12 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級5)

    同様の手法を用いて、ハイネ先輩もドレイク級1隻、ネルソン級1隻、リフレクター搭載ドレイク級1隻を消滅させ、ルナマリアはネルソン級1隻、リフレクター搭載ドレイク級1隻を撃沈している。

    状況の急変を察して、ウィンダム部隊が引き返し始めるがザク隊の生き残りにそれを見逃す道理はない。ウィンダムが8機レーダーから消滅したことを確認する。

  • 79二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:21:39

    艦首を旋回させようと試みるネルソン級の横腹にドラウプニルを連射して轟沈させる。残り充電率15%!

    ルナマリアが引き返してきたウィンダム4機と戦闘。残りのファイヤビーミサイルを撃ち、ミサイルが切れるやビーム突撃銃とファルクスG7ビームアックスを振るい4機を閃光に変えている。ハイネ先輩も迎撃に出ている。私は私のなすべきことを!

    艦隊最後の生き残り、リフレクター搭載ドレイク級2隻が背中を守り合いながら、あの長い鼻を前後に展開しようとしている。鬱陶しいのでスレイヤーウィップでまず1隻目の陽電子リフレクターをはじき落とし、ブリッジに500mm無反動砲を放ち爆散させる。背後の1隻はテンペストで艦尾から切り裂き轟沈させ、敵艦隊の殲滅を達成する。

    レーダー中央部でハイネ先輩に向かっていった3機のウィンダムの光点が消滅。ということは今、私の目の前にいる3機が最後か。この愚かなほど大規模な会戦の幕引きを私に務めさせてくれるとは―。

    アグネス「(名誉なことね!)」
    1機目のウィンダムのビームライフルをスレイヤーウィップで叩き落とし、そのまま鞭を振るうように背後の回り込もうとした2機目を溶断、最初の1機にドニウプニルを叩き込み止めを刺す。間髪入れず、テンペストを引き抜き、ビームサーベルに片手を伸ばしかけた最後の一機を背後から袈裟懸けに斬り爆散させ、一息つく。

    (カウントMS173 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3
    イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級13 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級7)

    充電率7%。警報音が鳴っているわ。

    ハイネ「よくやった!」
    ルナマリア「あんたすごいわよ!」
    アグネス「二人もね」
    取り合えず、互いの健闘をたたえ合う。正直、達成感より開放感の方が大きい。あっちはどうなった?

    レーダーを確認…、するまでも無かったわ。
    遥か彼方で『チェルニー』が業火の中真っ二つに割れ、月に墜ちていくのがここからでも見える。

    終わったんだ、疲れた。

  • 80二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:24:24

    コックピット回線に入電。
    タリア「第一次中継コロニー『チェルニー』の破壊を完了。ハイネ、アグネス、ルナマリア、よく頑張ったわね。ミネルバもエターナルも無事よ。突撃に参加した皆も。ハイネ、アグネス、電力の残りは?」

    ハイネ「5%です」
    アグネス「7%です」

    タリア「よろしい。ルナマリア機と共に一旦カーナヴォンに着艦せよ。3人ともよく休み次の作戦に備えよ」
    ハイネ、アグネス、ルナマリア「了解!」

    3機でカーナヴォンに着艦を開始する。
    アグネス「(そういえば、結局、ダイダロス基地からの最後の砲撃は無かったわね。どうなったのか…。ローラン隊が止めたのか?)」

    ハイネ先輩の指示のおかげで『雑念』を捨てていたから、あまり気にしていなかったわ。本当は考えなければいけないはずだけれど…。

    モビルスーツデッキに着きヘルメットを外した途端、気が遠くなりかける。
    視覚も聴覚もおかしくなり、これまでの緊張の反動が一気に全身に襲ってくる。体中が弛緩し、視野が暗転する。もう声も出せない。

    こうなることを予想済みの医療班が既にデッキに待機してくれている。
    亡くなった仲間が大勢いるのに私達だけいいのか…。そんなに大切にされて。

    そんなことを朧気ながら感じつつ、意識を手放す。
    操縦桿からは手を離すことが出来なかったけれど。固まっていたから…。

  • 81二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:29:36

    お疲れ様アグネス
    ゆっくり休めるかはわからないけれど今はとにかく休め

    心身共に限界だろうが生き残れて本当によかった

  • 82二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:31:14

    アグネス大丈夫かサバイバーズ・ギルト発症してない?

  • 83二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:32:36

    やっと一段落…ついたんだよね?

  • 84二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:37:44

    ここまでやって議長がDP導入にレクイエム持ち出して来たらアグネスは間違いなく離反するだろうな

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:44:11

    これでまだデストロイが投入されてないんだよな…

  • 86二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 18:01:37

    一周回ってリフレクター持ちとの戦闘に慣れたから解体楽になるかも…?
    ベルリンの初戦からしてシンいきなり突っ込んでコクピット斬りつけてるし

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 18:52:47

    第一次中継点破壊でようやく一息つけた……
    次はダイダロス基地制圧でのコントロールを奪取かレクイエム本体の破壊か
    大西洋連邦とオーブはどう出るか
    オーブの動き如何ではAAも動く
    議長もどんな一手を打つのか
    続きが楽しみすぎる

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 22:44:52

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:09:57

    振動で体を揺さぶられ目を覚ます。これでも救国の英雄の一人のはずではあるんだけど。無粋なことをするわね。

    鉛のように重たい瞼を薄く開けてみる。知らない天井、今回は本当に知らない天井だわ!ここはどこ?!

    首を起こしてみると体がベルトでベッドの固定されている。これは何?!
    アグネス「ちょっと!ここはどこ!?なにするのよ!!」
    看護兵「どうか落ち着いてください!」

    見知った顔が隣から、私を心配そうにのぞき込んでいる。何度か耳にした母性を感じさせる声。
    カーナヴォンの女性看護兵ね。右手には点滴。先に左手に点滴をしたから今度は逆なのか。とするとここはカーナヴォンの医務室か。何か妙に狭いけれど。

    ルナマリア「ここは内火艇の中よ。今ちょうどミネルバに着いたところ」
    ちょっと呆れたようなルナマリアの声が傍で聞こえ、目線をそちらに向ける。私と同じようにベルトで体をベッドに固定された少女が点滴をされている。ルナマリア、疲れてそうだけれど、案外顔色良いじゃない。流石、体術お化け。

    アグネス「ごめん起こした?」
    ルナマリア「ううん。私はカーナヴォンで内火艇に乗せられた時に起きちゃったから」
    アグネス「そうだったんだ」

    なるほど。あの後、私達はカーナヴォンの医務室に担ぎ込まれ、ある程度休ませてもらったのね。そして今、ミネルバに送り届けられた、ということか。内火艇の中には私とルナマリア、両者に2名ずつの看護兵計4人。
    そして、ハイネ先輩!備え付けのシートに座っている。

    ハイネ「よ。起きたか、良かった。顔色が大分ましになって来たな、二人とも」

    シートベルトを外して立ち上がりながら、私達に声をかけてくれる。

  • 90二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:16:00

    ハイネ「すまないな。女性の寝顔を見るようなことは、良くないと分かって入るんだが。便が無くて。勘弁してくれ」

    ちょっとすまなそうにするハイネ先輩を見て、何だか面白さを感じてしまう。ルナマリアもそうなのだろう。ベッドの上、横向けに顔を見合わせ、ちょっと笑いあう。

    ルナマリア「いえ。そんなお気遣いは…。内火艇の数も限りがありますし」
    アグネス「ハイネ先輩のお加減は?お変わりありませんか?」
    ハイネ「いや。俺の事はそう気にしなくて良い。結構頑丈なんだぜ」

    疲労具合なら私達と大差なかろうに。本当に大丈夫そうな顔だ。やはり、『英雄達』のなかで『英雄』になれる人は格が違うらしい。

    アグネス「(私もまだまだ修行が足りないわね)」

    ハイネ先輩と看護兵達は、艇内から協力して私達を下ろしてくださる。何か申し訳ないわね。

    ガラガラ、ゴロゴロ、カーナヴォンの内火艇からミネルバの艦内ドックにベッドが転がり進む。ミネルバの内火艇もすぐ横に係留してある。もしもの時はこれが救助艇にもなる。

    アグネス「(ここに来るのはちょっと久しぶりね。ここの内火艇がその用途で使われることが無いよう祈るわ。クルー達の最後の命綱でもあるけれど、そもそも艦が撃沈すると事態になれば、脱出のタイミングがあるかは運任せだし)」

    現に私達が沈めてきた艦の多くがそうだった。救助艇を撃沈するようなことはしてないし、極力救助してきたが、助かった者は少ない。

    せっかく助けた捕虜もあの兵器、レクイエムで殺戮されてしまった。ゴンドワナに捕虜が乗っていることは間違いなく連合も知っていたはず。事前警告ぐらいできただろうに。仮に発射間際だったとしても。

    あの戦いから、そんなに時間はたっていないはず。寝ている場合じゃない!

    アグネス「あ…。私もう立てますので」
    ルナマリア「私も」

    異口同音に言葉を発する女二人に8発の雷が落ちる。
    看護兵達「結構です!点滴が終わるまでは大人しくしてください!」
    カーナヴォンから送ってくれた看護兵とミネルバ医務室から迎えに来てくれた看護兵両方から大目玉を喰らってしまったわ。

  • 91二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:18:22

    傍のハイネ先輩にも笑われてしまった。何とも気が抜ける話だわ。

    ハイネ「ちょっと大人しくしてろよ。直、そうも言ってられなくなるからな」

    ルナマリアと目線を交わす。先輩の口ぶりだと、また厄介なことになっているようだ。点滴が体に落ちきるまでは、目をつぶって大人しくしているか―。

    会議があるのだろう、急ぎ足で立ち去るハイネ先輩をルナマリアと黙礼して見送る。ベッドに体を固定されているから敬礼できないものね。もう、内火艇を下りたのだから解いて欲しいのだが。まあ、良いか。言われたように目を瞑り、身を委ねる。

    ガラガラ、ゴロゴロ2台のベッドは通路を進み、エレベーターを上がり、もう少しで医務室に着くのかな―。

    シン「ルナ!アグネス!大丈夫か?!」
    ルナマリア「シン!あんたこそ」

    やかましい!せっかく寝る気になったのに起こすな!

    アグネス「平気よ。いや、訂正、ぶっ倒れていたわ。あんたは元気そうね。何よりだわ」
    休憩を邪魔してくれた怒りで嫌味を言うが、このアホはそんな機微に気づくことは無い。

    シン「俺とアスランさんは大丈夫。元気だ。艦の皆も、疲れてたけど、大分回復している。レイは…。まだ、ちょっとだそうだけど。軍医さんが…」

    ふ~~む。レイはまだ、やばいか。と言うか今何時何分?

    アグネス「ねえ?あの戦いの後、どれくらいたったの?私、昏睡していたからよく分からなくて」
    ルナマリア「私も。周りの人が教えてくれなくて…」
    看護兵「ゴホン!」

    看護兵は咳払いしてシンに目配らせ。このアイサインは『話しても良いが、患者を開放して安静にさせて』の意味ね。

  • 92二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:21:28

    シン「あ…はい。あの後、ちょうど今、4時間半後だよ」
    アグネス「へぇ。そこそこ寝れたわね。教えてくれてありがとう」
    ルナマリア「じゃあね。起きたら声かけるから」
    シン「分かった」

    医務室に入室。レイがいる気配がするが、今はペチャクチャしゃべるべき時ではないだろう。点滴が切れるまで大人しく寝る、ちゃんと上官の言うことは聞かなくちゃね。

    アグネス「(あれ?ハイネ先輩って上官じゃないわね。そう言えば。斜め上の関係か…)」
    睡魔に落ちる間際、どうでも良いことを思い出したわ。まあ、今は良いか――。

    点滴が切れたタイミングで起こされる。入っていた薬が効いたのかよい目覚めね。

    メイリン「おはようございます、アグネスさん、お姉ちゃん!」
    アグネス「おはよう、メイリン。疲れは出てない?」
    メイリン「大丈夫です。今、休憩で」
    ルナマリア「おはよう。アグネスもおはよう」
    アグネス「おはよう。ルナマリア」

    うぉぉ。パワーが溢れてくるわ!若さは正義ね。歳を取ったことないけれど。

    いつの間にやらあの鬱陶しいベルトも外され、看護兵が綺麗に点滴を抜いて絆創膏を張ってくれる。澱のようにたまった様々なものが全て洗い流されるほど、ちゃんと休めたわけでは勿論ないが、そこそこ戦える程度には戻ったと見て言い。

    アグネス「それで、状況は?ローラン隊はどうなったの」
    メイリン「はい。そのことについてブリーフィングルームに…」
    ルナマリア「集合ってことね」

    やはり、万事がめでたしめでたしには、なっていないらしい。そんなものなのだろう。いい加減辞めて欲しいが。

  • 93二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:27:44

    このレスは削除されています

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 00:35:44

    アグネス「分かった行くわ。何分後?」
    メイリン「20分後です」
    アグネス・ルナマリア「了解」

    用件を伝えたメイリンは医務室を出ようとし、ふと足を止めて此方を振り向く。

    メイリン「無事で良かった」
    そう言ってちょこんと頭を下げると今度こそ彼女自身の持ち場に帰っていく。

    制服に袖を通しながらルナマリアと視線を交わし合う。おそらく、さっきの言葉は私とルナマリア両方に言ったものなのだろう。

    アグネス「(それとも、この戦いで生き残った全員にかな。あの子の目が涙で腫れていたこと。起きた瞬間に気づいてあげられなかった。おそらくオペレーターとして戦死の報もブリッジで伝え続けていたはず)」

    『仕事モード』の間は良い。それが解けて私人に戻った時、見知った人の死を実感した瞬間、メイリンはどんな気持ちになるのだろう。そして、ブリッジのクルー達は。
    正直、私の想像の範疇を越えている。それが分からないうちは少なくとも艦長席に座るべきではないのだろう。


    ところでレイはどうした?医務室に居ないけど。

    アグネス「看護兵さん。レイは?自室で休息しているんですか?」
    看護兵「いえ。許可が下りたとかで先にブリーフィングルームに向かいました」
    ルナマリア「えっ?!」
    アグネス「はぁ!?」

    相変わらず、あいつも生き急いでるわね。ともあれ、隣のルナマリアと頷き合う。
    なるようにしかならないものだ。

    医療スタッフに二人でお礼を言い、渡してもらった栄養ゼリーを一気飲みする。
    そして、そのままの勢いで私たち二人もレイ等に続いてブリーフィングルームへ。
    会議の中身は大体予想がついている。周囲の人が腫れ物に触れるように口にしないなら、恐らく、そう言うことなのだろう。

  • 95二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:38:05

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:42:58

    いやもう嫌な予感しかしない

  • 97二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 18:04:44

    レクエイム攻略でザフトの宇宙軍の戦力大分すり減らされちまったけど議長的に今後どうするつもりなんだろ?
    オーブの出方次第で邪魔なオーブを潰す口実ができればなーなんて思えるほど戦力的な余裕があるとは思えんぞ
    地上じゃヘブンズベースは確実に潰し解く必要あるし

  • 98二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 19:40:24

    会議開始15分前にブリーフィングルームに入室しようとする。すると部屋の外まで騒ぎが聞こえてくる。はっきり、『全滅』とか聞こえたわ。

    アグネス「(ああ。これは完全にローラン隊、しくじったわね)」
    隣のルナマリアと顔を見合わせる。とは言え、ここまでは想定済みの話。

    もともと、ローラン隊の奇襲が成功した段階で、第一次中継コロニー『チェルニー』をめぐる戦いは形がついているはずだった。何時までも、ダイダロス基地陥落の報が無いので、内心察してはいたのだ。

    アグネス「失礼します」
    ルナマリアと共に敬礼して入室。皆、パニック気味だが取り合えず返礼してくれる。部屋にいるのはラドル支隊5名(ガズウート隊6名は甲板で機体に乗って警戒任務中)、私を含むミネルバ隊12名、それにルナマリアか…。

    残った生き残りのザク5名は今頃、カーナヴォンに収容され、リモートミーティングの準備中だろう。ジン長距離強行偵察複座型4機の皆さんは偵察任務中。

    アグネス「(生き残ったのはこれだけか。月軌道艦隊はミネルバとカーナヴォン2隻。モビルスーツ22機と志願して出向してくれたラドル支隊11機。それとエターナル)」

    かなり頑張った方、と言う気にはなれないかな。今は…。

    心の中で、何かがまたビリビリし出す。ただ、一応約束だし、ルナマリアと一緒にシンに声はかけておこう。正確に言えば、約束したのはルナマリアだが、心配をかけたのは事実だからね。

    アスランの横で何やら途方に暮れたような顔をしているシン、まあ、しかたないか。
    アグネス「シン、さっきはお見舞いありがとうね」
    ルナマリア「心配かけたわね」
    シン「あ…ああ」

    う~む。この反応は感心しないな。傍のアスランに至っては、この世の終わりみたいな表情のまま顔面が硬直しているし。

  • 99二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 19:43:17

    アグネス「私達は詳細を知らないけれど、やっぱりローラン隊、上手くいかなかった?」
    シン「ああ。ダイダロス基地奇襲は失敗。ローラン隊は全滅…」
    ルナマリア「全滅…」
    アグネス「ローラン隊も結構な精鋭のはずなのに。やっぱり固いわね。ダイダロス基地。それで皆、あんな感じに?」
    シン「それもあるね…。いろいろあり過ぎて」

    溜息が出そうになる。いろいろあるのは何時ものことじゃない。確かに、一刻の猶予もない状況、皆が浮足立つのも理解はできる。

    基地奇襲が失敗したということは、レクイエムは無傷と言うこと。連合が心太式に『チェルニー』の次のコロニーを持ってくる恐れがある。というか既に移動を開始しているだろう。位置的に言えば『マルタン』だろうか。直ぐにでも基地攻略作戦を続行しなければならない。

    それにしても、周囲が浮足立ち過ぎだわ。特にアスラン。隊の主力にしてフェイスのアスランまで呆けられても困る。

    シンの相手はルナマリアに任せ、アスランに歩みを進める。

    アグネス「アスラン先輩…」
    敬礼しようとするとアスランに制され、傍の椅子に腰かけるよう促される。会議開始まで間がないのだけれど、仕方ない。アスランの表情が明らかにまずい精神状態を物語っている。

    アグネス「どうされました?」
    アスラン「ラクスが暗殺されかけていた」
    アグネス「えっ!いつ?!」

    このタイミングでそんなことが起こるのか!エターナルの派遣元だというのに。勘弁してほしいわ。

    アスラン「いや…。暗殺未遂が起こった時期自体はアークエンジェルがカガリとオーブを出国する前だったらしいんだが…」
    アグネス「なら、今そんなことを持ち出されても困ります。大事件には違いありませんが…。この状況で非常識な!エターナルからですか、そんなことを言い出したのは?」

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 19:47:07

    ラクス・クラインは大物なんだから、暗殺未遂の一つや二つ起こるだろう。ローラン隊が全滅してレクイエムがどうなるのか分からないというのに。今する話か?それが!

    アスラン「詳しくは後で―。時間が出来次第話す。ただ、エターナル、ダコスタさん達はこの問題を重視している。プラント上層部が関与していたのではないか、と。ともかく、俺達は―ミネルバは―無関係だと説明して、ひとまず矛を収めてくれた」
    アグネス「…。」
    イライラする。ラクスの命一つどうとでもなるだろう。一人一人の人命にはかけがえのない価値があるのは言うまでもないし、彼女が大物なのも分かっている。それでも、この局面で気にするほどのこととも思えない。

    そんな私の内心を察したのだろう。アスランが私にデバイスを見せてくれる。再生ボタンが押され、モビルスーツ・コックピットの映像記録が流れ出す。操作系統から考えておそらくこれはフリーダム、パイロットはキラ・ヤマトか

    アグネス「えっ…」
    映像にはオーブのオノゴロ島と思われる地点を攻撃するアッシュの機影が…。ザフトの最新鋭機。正規軍が一体何をしているんだ?あんなところで…。地下格納庫から一気に飛び出したフリーダムが5機のアッシュを連続で戦闘不能にする。

    アグネス「(凄い操縦技術ね。フリーダムのパイロットが極力、不殺戦法を選ぶという話もどうやら本当なのね)」

    浜辺に転がされた特殊部隊。観念したのだろう、5機のアッシュは次々と自爆していく。キラ・ヤマトの仏心はどうやら無駄になってしまったようだ。証拠を残すまいとしたのか…。

    あんな派手な攻撃をすれば意味が無かろうに。近隣住民が破壊された建物を発見し、オーブ警察やオーブ軍が本格的な捜査を開始して居たら、今頃、国際問題になっているところだ。

    フリーダムの背後のシェルターから、危機を乗り切った人々が朝日を浴びながら姿を見せる。子供たちと成人男性二人、成人女性二人、そして―

    アグネス「(ピンクのハロを両手で大事そうに抱えるピンク髪の少女。ラクス・クライン―)」

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 19:47:17

    まぁエターナル来てて向こうにアスラン居るの伝わってるからその情報は伝えてくるわな
    しかし嫌なタイミングになったもんだ

  • 102二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 19:51:27

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 20:03:51

    シェルターから出た人たちの姿をズームにする。

    アスラン「あちらの方がマルキオ導師、こちらがラミアス艦長、トラを思わせるシャツを着ている男性がバルトフェルド隊長。この紺色がかった黒色の長髪の女性がカリダさん、キラの母君だ」

    アスランの声がどこか遠く聞こえる。
    アグネス「(プラント上層部の派閥抗争か。それにしてもアッシュ使ったのか…。じゃあ、言い逃れ出来ない。ザフト正規軍よ、間違いなく。なんてことをしてくれたの!これがバレたらオーブの参戦を非難できなくなってしまう!)」

    道理で今大戦ではクライン派の腰が重いはずだわ。ラクス・クラインもアークエンジェルもこちらに不信感を持っている。

    先程の戦いの助力は、危機的な状況故の緊急避難のようなものだったんだわ。

    アグネス「念のために伺いますが…。フェイク動画と言うことは?」
    アスラン「メイリンに調べてもらったが、あり得ないと。原本はアークエンジェルに。これは送信されてきたコピーとのこと」

    恐る恐る続き尋ねる。
    アグネス「このことはもう本国に?」
    アスラン「いや…。グラディス司令長官までで留めている。前の戦闘が一段落して、事情を伺った。俺も知らなかった。少なくともグラディス司令長官やミネルバはこの件とは無関係と説明して納得していただいた。レクイエム破壊を見届けるまでは協力を続けてくれるらしい」
    アグネス「良かった…」

    全く良くないのだが…。今はレクイエム破壊が何よりも優先度が高い。犯人探しやらなにやらは今はポイだ。どの道、当日私達はあそこにいない。アリバイありで無関係。これについては確定した事実な訳だし…。

    アグネス「(パパから何も聞いていないわ。政権中枢でこんなことを実行させられる人物なんて…)」

    今は考えてはいけない。皆が心配するのもわかるが…。私まで浮足立ってどうする!

  • 104二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 21:06:15

    もうこれ以上議長余計なことしたらスパロボよろしくミネルバ(と一緒にいるナスカ級も)丸ごと離反しそうな…
    インド洋〜ガルナハン〜月とまともに休む暇もなく振り回された挙げ句これじゃあな

  • 105二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 21:08:25

    本編よりも穏便な手法かつ確固たる証拠映像つきでミネルバ上層部までアッシュ襲撃が伝わったのヤバいな
    いや議長止める方向にシフトするならいいのか?わからん…

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 23:57:35

    落ち着け、落ち着くのよ、アグネス。大丈夫、まだ挽回できる。…、何で私が挽回しないといけないのよ!!

    ともあれアスランのメンタルを立て直さなければ!

    アグネス「アスラン先輩。確かにラクス様が狙われた事実は、本当にとんでもないことです。
    しかし、プラント最上層部にも異なる主義主張の人間がいます。先輩もご存知では?」
    アスラン「…」

    『最上層部』の『本星』が誰かは敢えて言及しない。考えても仕方ない、今は。アスランも思うところはあるはずだけれども。

    アグネス「多くの犠牲によって、ようやくあの大量破壊兵器の撃破に王手をかけたのです。先ずはそれを達成して、真相究明はその後でも遅くはないのでは在りませんか?」

    アスランは未だ動揺を隠せない声で私の問いに答える。
    アスラン「ああ…。ユニウスセブンの犯人達のように、極一部の人間が勝手にやったことかも」
    アグネス「正規軍の精鋭が動いているのです。流石にそれは無いでしょう。優先順位を大切にして欲しいと申し上げたのです。現実逃避は良くありません」

    また、アスランが迷走しそうなので一応釘をさしておく。派閥の論理でこんなことをしたであろう馬鹿者は、万死に値するが…。他国の領土内で、そもそも暗殺という手段を用いるとは!

    アスラン「俺が離れている間に…」
    アグネス「アスラン先輩、親しい人達が悪意に晒されていた事実が堪えるのは分かります。高官の娘として、私にも多少は身近な問題ですから」

    そう言ってみると、やっとアスランが私と目を合わせてくれる。暗殺とか陰謀とかそういう人間社会の暗部と背中合わせに生きて来たという意味では、私達は『同志』のはず。それも、現在、間違いなく敵対していない、互いの背中を預け合う関係だ。『仲間』であることが確定している関係、それがどれほど貴重か互いによく知っているはず。

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 00:04:24

    アグネス「私も出来る限り、お力になりますから、今は…」
    アスラン「ああ…。分かっている。ありがとう」

    必死の説得が多少効果を上げたのか、硬直していたアスランの表情筋が多少は緩む。緩んでいるのか痙攣しているのか、見当もつかないが…。

    デバイスをアスランに返し立ち上がると、アスランがお礼をするように軽く黙礼してくれる。黙礼して返す。

    『力になる』とは言ったものの、具体的にどうするかは未定だ。正直、どうしたものか、降ってわいた話で私自身混乱している。本当に言ってみただけだ。嘘を吐くつもりはないが、彼もそのことは分かっているだろう。

    分かった上で、アスランは今、何より、共感と励ましの言葉を必要としているはず。そう思ったから、そう言ったまでだわ。

    ブリーフィングの開始時間が迫っている。アスランは前方の定位置に、ハイネ先輩も。私達も順序通りに各々の席についてデバイスを広げ準備をする。前方モニターが灯り、カーナヴォン艦長とダコスタさんの顔が映る。

    先ず、全員で起立して敬礼を交わす。立ったまま待つこと暫し、今度はグラディス司令長官と副長が入室されるので一斉に敬礼し、返礼後に着席する。

    ブリーフィングルーム正面前方に立ったグラディス司令長官が訓示を告げる。これは、もう決定か…。そうなると思っていたわ。

    タリア「前置きは…。必要ないわね。皆、良く頑張ってくれた。司令長官として、この合同艦隊に参戦した全クルー・全パイロットを誇りに思う。我々は義務を果たした、狭義では。しかし、より大きな広義の務めが残念ながら、残されている。心の準備を。副長」

    アーサー「はい。では、これよりダイダロス基地攻略第二次攻撃作戦について状況を説明する」
    一同「はい!」

    ダイダロス基地へ入れた一番槍が砕かれたから、私達が二番槍と言う訳ね。名誉なことだわ。もし、攻略出来たら、勲章と出世とボーナスと―。
    アグネス「(何より、少しの休みが欲しい!本当にお願いよ)」

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 00:32:57

    オーブに亡命してて表向きは消息不明で隠遁生活中
    この状態だとエザリア・ジュールやアグネスの親が属するザラ派にはラクスを暗殺する動機がない

    いきなり暗殺という手段を取る、暗殺未遂のタイミング直後に表に出てきた議長のラクス
    このあたりを加味するとどうしても容疑はあの人にいくよね
    そりゃあのひと肝いりの最新鋭艦の人たちにも疑いの目を向けるよね、クライン派

  • 109二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 02:24:54

    オーブで隠遁していて表舞台に立つつもりがないだろうラクスをわざわざ暗殺する理由がある上ザフトの精鋭を動かせる立場の人間なんてアグネスなら直ぐに思いついてしまうよなぁ
    おそらくアスランも

    でも今は生き残る事が最優先だ
    無茶な作戦続きでじっくり戦力がすり潰されているけど一人でも多く生き残ってくれ…

  • 110二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 10:30:30

    ついでにこれは視聴者しか知らず、登場人物は知り得ない情報だけど、あの部隊ラクスを殺した痕跡を残すなって言ってるのよな。暗殺した上でラクスの死を隠したい人って、筆頭容疑者以外にどれだけ居るんだろ。

  • 111二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:36:50

    このアグネス休みなしの仕事に嫌気さして戦後は軍に辞表叩きつけるけど受理してもらえない√にいきそう

  • 112二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:41:59

    >>111

    これだけ皆に配慮してフォローして戦果も上げて目端も利いてたら、キラの副官か、アグネス隊隊長コースすらあり得る…

  • 113二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:53:15

    >>112

    総裁にコンパス除隊の辞表受理して貰えないコース待ったなし!

  • 114二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 19:29:14

    >>103

    確かマルキオ導師って宗教が廃れたC.Eでナチュラル、コーディネイター両方から尊敬されてるという凄い人なんだよな

    この人も巻き込もうとした事実もさり気なく大きいと思う

  • 115二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 22:56:44

    >>109

    そろそろインパルスじゃキツイ

    デスティニーはまだロールアウトしてなさそうだしなぁ…

  • 116二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 23:21:11

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:08:53

    副長はまず、大まかな戦況の模式図を前方のスクリーンに映し出す。

    アーサー「先ず、我々が2度目の第一次中継コロニー、『チェルニー』の破壊を完了した頃、ジュール隊を始めとした諸隊は中継コロニー『グノー』の敵護衛艦隊を壊滅させ、これを完全破壊。諸隊は次の目標を『ヴェルディ』に定め、敵護衛艦隊と間も無く戦闘が開始されようとしている」

    ふむ。あちらの情勢はそうなっているのか…。せめてジュール隊だけでも月に来てほしかったのだが。
    アグネス「(今、本国は疎開船とその護衛で一杯一杯だろうから…。発見済みの敵艦隊を見逃すわけにもいかないのよね。あいつ等、何やりだすか分からないし)」

    スクリーン上の模式図に表示されていた『チェルニー』と『グノー』が消え、『ヴェルディ』と『マルタン』が残される。

    アーサー「現在、ダイダロス基地直上には中継コロニーはない。ただ、すぐそばまで『マルタン』が移動中と思われる。ただ、こちらの偵察体制も限界を迎えつつ有り、正確な現在位置までは不明だ」
    ハイネ「知っての通り、『マルタン』の敵護衛艦隊は、『チェルニー』攻防戦で大部分、俺達が迎撃、殲滅した。多分残りは多くはないだろう。他の中継コロニーからの増援がいなければの話だが…」

    ハイネ先輩が補足してくれた通りだと思う。連合も護衛のめどもなく『マルタン』を動かしはしないだろう。残った中継コロニーの護衛艦隊から艦とモビルスーツを抽出して、合流させているはず。

    アグネス「(とは言え、いくら連合軍の物量が豊富であっても無限に『心太(ところてん)式』対応ができるはずはない。名前が判明しているコロニーは『マルタン』まで。もう奴らの底が見えてくるころだわ)」

    だから、あと少しだ。この鍔迫り合いが終わる瞬間は―。

    アーサー「月の表側、アルザッヘル基地上空宙域では連合艦隊とジャガンナート艦隊の戦闘が一進一退で続いていた。しかし、我々、合同艦隊が『チェルニー』を墜とした段階で、敵艦隊は基地内に退却。その後、アルザッヘル基地で連合軍は、現存艦隊主義を決め込んでいる。ジャガンナート艦隊は彼らの抑えとして、月の裏側に派遣させることはできない」

  • 118二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:16:40

    月の表側、アルザッヘル基地は健在、駐留艦隊もかなりボロボロだが、それでもザフト軍を潜在的な存在感によって牽制する程度のことは出来てしまう。ジャガンナート艦隊には、もう少し頑張ってほしかったんだけれど。

    アグネス「(慌てて再編された艦隊だから仕方ないか)」
    ジャガンナート隊長は無名の御仁と言うわけでは決してないけれど、仕方ない。

    次は肝心の月の裏側の番だわ。
    副長がダイダロスクレーターをスクリーンに拡大して映し出す。周辺を指揮棒で適宜指しつつ説明を続ける。

    アーサー「このダイダロスクレーターに存在した連合のレアメタル採掘基地が、ザフトの想定をはるかに超える大規模な軍事基地であったこと。そして基地内に大量破壊兵器レクイエムが存在することは皆も知っての通りだ。基地はウィンダム、ザムザザー、ゲルズゲー、ユークリッド等で堅固に防衛されている。駐留艦隊はこちらが倒したが…」

    そう。駐留していた第3艦隊も、それと共に出撃してきた陽電子リフレクター装備モビルアーマーも殲滅済みだわ。基地直属の部隊は無傷だと思うけれど、それでも、ザムザザー、ゲルズゲー、ユークリッドの残りは相当少ないはず。

    そうであるからこそ、ローラン隊には頑張ってほしかったのだが…。

    私の視線に気づいたグラディス司令長官が少し窘めるような目線を投げかける。
    慌てて黙礼し、反省の意を示す。

    私は戦死した戦友を責めたいわけじゃない。仮にそう言った感情が僅かに心を過ぎったとしても、それが表の表情に出るのは考え物だ。まるで波状攻撃を受けているような現実を誰かのせいにしたいのかもしれない。

    アグネス「(これは白服への道は遠いわね。知り合いはいないけどローラン隊の人、ごめんなさい)」

    私に『分かればよろしい』のサインを送ると、グラディス司令長官はこのタイミングで副長から一時説明を引き継ぐ。思うところがおありなのだろうか。

  • 119二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:23:55

    タリア「連合軍はダイダロス基地攻防戦にて、ザフト軍の想定を遥かに上回る戦力を投下。基地攻略を図ったローラン隊は一歩及びませんでした。しかし、彼らとて、むざむざ敵にされるがままだったわけでは決してない。

    相応の戦果を挙げた上、全滅前に可能な限りの戦闘データを上空宙域で戦闘中だったミネルバを送信してくれたわ。おかげでこちらも対応策を練ることができる。今から見せる映像は戦友が身を…、いえ、命を削って私達に伝えてくれたもの。よく確認なさい」

    司令長官の言葉を受けて、副長はモニター画面を切り替える。
    モニターにコックピットからの映像記録。多分、機体はザクね。グラディス司令長官の話からすると、おそらく最後まで生き残っていたパイロットが送信したものだろう。

    アグネス「(称えられるべき敢闘精神ね。力不足を責めたこと申し訳ないわね。やっぱり)」
    ただ、今は懺悔の時間ではない。結局何が原因で敗退したのか確認しなければ。

    映像の中、ナスカ級10隻から発進したローラン隊は当初、順調に戦闘を進めていた。

    編成はグフ1機とザク59機。基地防衛隊のウィンダムを連続して撃墜し続け、ユークリッドも撃破。ザムザザー2機も火球に変え、ゲルズゲーと随伴ウィンダムすら月に転がるデブリに変えている。

    良いところまで言っていたんだ!本当に。

    このまま戦況が推移すれば、ダイダロス基地は陥落。レクイエムは炎に包まれ、『チェルニー』の戦闘もドミノ倒しのように終結したかもしれない。そうはならなかったけれど…。

    アグネス「(何が問題だったんだろう…。ゲルズゲーもユークリッドも、ザムザザーさえ墜としているのに)」

    対空砲への対策が不十分だったとかか?ガナーザクがいるからそれは無いわね。

    その答えが示されたのは一瞬後のことだった。

  • 120二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:31:09

    ダイダロスクレーターに突き進むローラン隊。その頭上を突然、真っ赤な大光線が12本横切り、隊の母艦であるナスカ級10隻を瞬時に撃沈させる。

    撃沈と言うより蒸発だわ!これは!!

    シン「えッ…」
    ルナマリア「なに?今の。別の要塞砲?」
    ショーン「わ、分からない…」
    アグネス「(今の一撃は?!ザムザザーの複列位相エネルギー砲『ガムザートフ』ではない。比較にもならない)」

    宇宙を赤く染め上げた大火砲、あまりの威力にその場のパイロット全員が凍り付く。正体不明の大砲撃、私にはアガメムノン級のゴッドフリートより強力に見えた。どちらかと言うとローエングリンに近い威力だわ。

    不規則発言は咎められるべきではあるけれど…。私も一瞬声が出そうになった。

    スクリーンモニターにはこの機のパイロットとローラン隊長の緊迫したやり取りが記録されている。

    パイロット「隊長!母艦が…」
    ローラン「慌てるな!進め。ザフトのために!母艦が落ちても大したことじゃない!基地を墜として皆で入城しすればいい。大型要塞砲に注意せよ」
    パイロット「了解!」

    やはり要塞砲か。ローエングリン砲台攻防戦をケースモデルとするべきだろうか?
    前進するローラン隊の視界が一瞬開く。基地まで指呼の間だ。

    そこに―、基地に立ちはだかる黒い城塞のように。

    巨大な陽電子リフレクター搭載モビルアーマーが3機布陣している。それと随伴のウィンダム隊複数。

    背部フライトユニットを兼ねた巨大な円形のバックパックが、今は前に倒され、機体頭部を覆っている。その不気味な先端部と横に伸ばした両手の手甲、計3か所に陽電子リフレクターが装備!

    アグネス「(いや、モビルアーマーじゃない。足が見える、モビルスーツだ。そんな分類にこの場で意味はないけれど)」

  • 121二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:34:17

    うわーデストロイ来やがった!

  • 122二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:34:38

    パイロット「隊長。モビルスーツです!ザムザザーやユークリッド並みの大きさです!!」
    ローラン「確認した。今はモビルアーマー形態か…。全員散開!急速回避!さっきのが来るぞ!」
    パイロット「了解!」

    巨大モビルスーツのバックパックに左右1基ずつ計4門、巨大な2連装砲塔が搭載されている!ローラン隊パイロット達が瞬時に散開した次の瞬間、真っ赤な光線がモニター一面、周囲の空間を薙ぎ払い、ナイアガラの滝のように降り注ぐ。

    良くこれを凌いだな。この人は…。

    モニターを見回すと、まだ、この段階ではローラン隊はかなりの数が生き残っている。あの主砲、エース級の腕なら、避けられぬものではないんだわ。

    ローラン「次の発射までが勝負だ!続け」
    パイロット「了解!」

    ローラン隊長達が各機スラスターを全開にして異形のモビルスーツに攻めかかる。随伴のウィンダムが迎撃に来るが、ガナーザクの餌食になり、スラッシュザクの斧の錆になって消えていく。

    アグネス「(もう少しだわ)」
    分かっている…。彼らはこれからみんな死ぬ。どうしてだ、あと一歩なのに。

    ローラン隊の接近に対して、この大型モビルスーツはバックパックの丸い端から20本のビームを放ち、射角を次々と変えながら、接近するザクを次々と撃墜する。

    3機で60本だ。とんでもない脅威だが、それを潜ってローラン隊長他数機のパイロット達はなおも突撃する。

    ただ、この映像を記録していたパイロットはタイミングを逃したらしく、一旦脇に退避する。

    その間、大型モビルスーツは機体主砲部の両側に位置するミサイルランチャーを使用し、ミサイル発射。さらにバックパックを背部にスライドさせ、遂に機体頭部を露出させる。

  • 123二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:42:42

    モビルスーツには頭部の口にはビーム砲!さらにモビルスーツ胸部に3連装ビーム砲を確認。

    アグネス「(今の動作で背丈が確定した。約56m。ユークリッドより2メートル大きい。モビルスーツ部の全高は約38m。グフやザクの2倍ちょっとのサイズ感か)」

    その2倍ちょっとの機体が過剰なまでの火力を具備している!
    大型モビルスーツのビーム砲4門がローラン隊長達に照準合わせ、一度に放たれる。4門の赤い大火力光線が全部で12本、ローラン隊は空間ごと薙ぎ払われ、膨大な砂塵が舞う。

    砂煙が収まった頃、ザフトの誇る精鋭は僅か1機を残して全滅している。そう、この映像を残した一人を残して。

    パイロット「付近に存在するザフト軍…。月軌道艦隊ミネルバ応答せよ。こちら、ローラン隊、応援に来られるか?」
    タリア「こちらミネルバ…。申し訳ないけれど、無理よ。こちらも…」
    パイロット「分かった。じゃあ、このデータを。俺が墜とされるまでは中継し続けるから、仇を…」
    メイリン「ローラン隊より映像記録データを受信しました。記録し続けています」
    タリア「分かったわ。武運を」
    パイロット「ミネルバも」

    ミネルバと生き残りパイロットとの緊迫した会話が続く。

    アグネス「(こんなやり取りがあったのか…。知らなかったわ)」
    自分の戦いに精一杯で。勿論、それで正しいわけだけれど。私が心の中で泣き言を呟き続ける中でこの人は…。

    少しでもデータを残すことを使命と感じたのだろう。このパイロットは巨大モビルスーツ3機の周囲を大回りに旋回し始めた。

    旋回中、妨害してきたウィンダムを2機撃墜!この方も決して凡庸な人間ではない。彼の貢献を無駄にすることは許されない。

    アグネス「(大型モビルスーツ頭部両側に対空自動バルカン砲塔『イーゲルシュテルン』4門を視認。頭の武器はこれに口のビーム砲で計5つ。胸部には3連装大型スキュラ。そして、背部に巨大な円形のバックパック。大威力を持つ2連装砲を左右計2基、その両外側に6連ミサイルランチャー。そして―)」

  • 124二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:49:53

    3機の内1機がバックパックを倒して再びモビルアーマー形態に変形。円形バックパックの端から20門のビームが発射されるが、このパイロットは全力で回避を続ける。バックパック端のビーム砲はやはり全部で20門が正解か。

    シン「あ…、あれ」
    ルナマリア「ちょっと…」
    アグネス「え…」

    3機の大型機体の両腕部が本体から分離し、この人に向け、ミサイルのように発射される。6つの鉄の拳が一斉にこの機体目がけて!

    パイロット「くそったれ!」
    飛来した拳が開くと5本の指に一門ずつ5門のビーム砲が装備されている。それが6つ、一度に放たれるビームは30本!
    初見で対応するのはあまりに難しい。この人の―私の戦友の―ザクの機体が熱線を浴び、爆発する直前で映像データは終了していた。
    場の空気が凍り付く。パイロット、リモートで映し出されるカーナヴォン艦長、ダコスタさん、皆言葉もない。

    タリア「皆、一度、ローラン隊に1分、黙祷を。その後会議を再開する」
    アーサー「黙祷!」

    目を瞑りながら、死者を悼む。レクイエムか…。最悪。あの砲を叩き壊して本来の意味に戻したい。死者への祈りの歌に。

    眼を開くと同じタイミングで瞼を開いたグラディス司令長官と視線が合う。気遣うような色が一瞬彼女の瞳を過ぎる。私からは『大丈夫。勝てます』のサイン。

    少し驚いたような表情になる司令長官に軽く胸を張って、『安心してください』のジェスチャー。

    アグネス「(だってあの3機、ほとんど動いていないじゃない)」
    多分あれは、作りかけ。外装と武装を何とか組み立てただけだ。内部の調整は準備不足もいいところ。流石に全く機動できないわけではないだろうけれど。

    私達の正面でグラディス司令長官、副長と並んでいるハイネ先輩とアスランも同じことに気が付いている。直感に優れているシンや、勘の言いルナマリアもすぐに分かるはず。

    この戦いは周到に準備されたものじゃない。ザフトも連合もほとんどなし崩し的に始まったんだ。準備不足の者達が互いに作戦もお粗末なまま、今ある武器を取って戦っている。

    そして、あの機体は初見殺しの感が強い。万全な状態ならまた違うだろうけれど―。今回に限っては、あの機体だけなら何とかなるわ。

  • 125二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:59:27

    デストロイ3機かぁ…
    乗ってるのステラ達かなぁ…

  • 126二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 05:46:03

    インド洋の戦闘でファントムペインとの戦いは一旦終わってるからステラもアウルも残ったままだし、ミネルバ追って宇宙に上がってきた可能性は十分あるんだよな…

  • 127二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 09:44:14

    デストロイか
    きっついなぁ

  • 128二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 12:52:30

    このレスは削除されています

  • 129二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 12:53:48

    デストロイの手の内も判った今、ミネルバ隊のエース達なら近づいてしまえば解体はできるだろう。
    むしろ問題はどうやって近づくか、かな?
    陽動もなく遮るもののない宇宙、ミネルバでもあの主砲を食らったらひとたまりもないぞ。

  • 130二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 12:59:01

    1機だけならともかく初戦から3機固まってるのはキツいかもな
    接近しようにも別の機体の弾幕や腕飛ばされたら面倒だ
    味方はリフレクターあるからって巻き込むような射角で撃ってこられる可能性すらあるし

  • 131二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 13:15:03

    ディスティニーインパルスの出番があったり?

  • 132二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 13:20:11

    >>131

    デストロイ3機相手に燃費最悪のデスティニーインパルスでどうにかなるだろうか…

  • 133二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 18:39:48

    これやっぱダイダロス基地にジブリール居るよなぁ
    基地陥落させて身柄拘束できれば後々の面倒ごと減るし他のロゴスもブルーコスモス切り捨てて大西洋連邦も和平路線に舵取りしそうだけどあの野郎逃げ足だけは一人前だからなぁ

  • 134二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:49:52

    原作だとジブリールは地球にいるタイミング?
    でもジブリール抜きでレクイエム発射するかというと…
    いや、通信衛生経由で指示出しを…?
    蝶の羽ばたきの影響がどんどん大きくなってて原作知識が通用しなくなってきたなあ。

  • 135二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:53:25

    ブリーフィングは多少の波乱を含みながらも無事終了。グラディス司令長官と副長、リモート先のカーナヴォン艦長、ダコスタさんと敬礼を交わす。モニターが落ちて二人の退出を見送ると部屋の中に張り詰めた空気が充満する。

    アグネス「(地上の情勢も気にはけど…。敢えて聞かない。全神経をダイダロス基地、なかんずく大型モビルスーツ3機攻略に集中するために)」

    それは、皆-アスランも―同じなのだろう。カーペンタリアもジブラルタルもオーブも大事だが…。自分がここで死ぬか、レクイエムが発射されるかしたら全部お終いになる。

    ハイネ先輩から目で合図される。そろそろ私達もパイロットスーツに着替えなければ。レイと私とルナマリアは医務室から直行したため、制服のままだわ。

    一度、部屋から下がると3人で更衣室に向かう。一応、レイにも声をかける。

    アグネス「それで体調は?戦闘可能なの?」
    レイ「問題ない」

    間髪入れずに答えるレイを、ルナマリアは心配そうに見つめる。そうか、ルナマリアはまだ知らないのかな。

    アグネス「レイ、良い?」
    レイ「構わない。既に知られていることだ」

    本来、病気や障害と言ったセンシティブな個人情報は慎重に扱わなければならないが、この状況だ。ルナマリアにも知っておいてもらう必要があるだろう。

    アグネス「こいつ。持病があるの。詳しくは聞けてないけど、携帯している専用の薬で発作を抑えてるらしいわ」
    レイ「そう言うことだ」
    ルナマリア「え…。どういうことよ!?」

    もう、更衣室入口だ。男女に分かれてさっさと着替えなければいけない。
    アグネス「ともかく、今回の攻略戦で背中を預け合うに足る働きは出来る、ということ。そうでしょう?」

    そう言ってレイに視線を投げかける。ここで『いや、自身がない』とか言ったら張り倒して医務室に逆送致しなければならないが―。

  • 136二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:01:49

    レイ「問題ない。今回の戦闘に支障はない。背中は…。良いだろう。守ろう」
    アグネス「だそうよ」

    心配性なルナマリアはなおも何かを言いたそうだが、厳しい現状は彼女も理解している。不安げな顔をしたまま頷くと―私は思いもかけないなかったことを言う。
    ルナマリア「分かった。ごめん。気づいてあげられなくって」
    レイ「…」

    えっ…。こっちが謝るの?どんだけ人が良いんだ、この女は?!悪い人間に付け込まれたらどうするの!
    レイ「う…うっ…」
    アグネス「えっ…。なに?」

    ルナマリアの言葉を聞いた瞬間、レイが堰を切ったように嗚咽を漏らす。もし出撃前でなければ号泣していたことだろう。鉄面皮な仮面が剥がれ落ちる。

    下から覗いてきたものは、申し訳なさと安堵感が混じり合った年相応の少年の顔だった…。
    レイ「二人とも。すまない。ありがとう」

    何か。勝手にレイが謝ったり、お礼を言ったりし始めたわ。まあ、いいけれど…。こいつのテンションがヤバいわね。精神の安定を欠いているのは、私も含め、もはや全パイロットだから気にしても仕方ないか…。

    言い終わるやレイは、さっさと男子更衣室の中に入ってしまう。こいつは、本当に…。仕方ない。本当はラクス暗殺の件など問い詰めたいことは山ほどあるが、全部、今は些事だ。そんなものは。

    アグネス「急ごう!」
    ルナマリア「うん!」
    超速度でパイロットスーツに着替え終え、二人一緒に呼吸を整える。

    これは戦争、試合じゃないんだから、心の準備なんてさせてはもらえない。戦記物語じゃないから伏線も回収もさせてもらえない。それでも今回、私達は攻勢をかける側だから、多少のタイミングをコントロールは出来る。

    ルナマリアと息が整ってきたところで、二人顔を見合わせ一つ頷くと一息に艦内エレベーターに駆け込む。

  • 137二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:06:07

    ちょうどブリーフィングルームから皆が出てきたところだったわ。同じタイミング着替え終わったレイとも合流する。

    エレベーターの中の空気は、ブリーフィングルーム内とはうって変わって、穏やかなものだ。皆が変な意味でリラックスしている。事前の打ち合わせが出来ているから、と言うわけではないだろう。

    アグネス「(次が最後だと分かっているからね。ダイダロス基地を陥落させて、この戦いに一応の終止符が打たれるか、自分が死んで楽になるか…)」

    縁起でもない話だが、皆もう疲れ切っている。

    『使命感や義務感で何度も心を奮い立たせ、自転車を漕ぐようにここまで来た。でも、もう限界だ。早く重荷を下ろしたい、やっと下せる』そんな気持ちだと表情が物語っている。

    良い考え方ではないわね。そんな考えでは生き残れない、ダイダロス基地も墜とせない。

    皆の勇気を奮い起こさねば。こういう時は―。
    アグネス「穏やかな夜に身を任せてはならない。老人は沈みゆく夕日を前に燃え上がり、怒るべきだ。消えゆく光に、怒れ!怒れ!」

    ディラン・トマスのかの有名な詩の一節を皆に向け、聞こえるように唱える。怒れ、抗え、名家のエリートたる私が、わざわざこんなことを口にする日が来ようとは。

    皆の視線が集まる。ありがたい。一人一人と視線を交わす。デイル、ショーン、甲板組5名、ルナマリア、レイ、アスラン―。

    アスラン「賢者は、自分の人生の最後が暗黒だと正しく知っていても、その言葉はまだ稲妻を発していないから、彼らは穏やかな夜に身を任せたりはしない!」

    きっぱりとした力のある声でアスランが続きを唱えてくれた。決然とした言葉とは裏腹に優しい眼差しをこちらに向けてくれる。体力的にゆとりがある分、思考力も落ちていない。頼りになるわね。

    隣のシンに視線を移すと読書が趣味な陰キャも唱和してくれる
    シン「穏やかな夜に身を任せてはならない…。消えゆく光に怒れ!怒れ!」

    ハイネ「良いな。そのフレーズ。『消えゆく光に怒れ』。皆、奮起しようぜ!まして俺達は老人じゃないんだ」
    一同「はい!」
    ハイネ先輩の号令で元気よく返事。エレベーターがモビルスーツデッキに着くと同時に各自の機体に―グフに―ダッシュ!!傷んだグフが出来る範囲で最上の補修を受け私を待っている。

  • 138二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:08:37

    コックピットに乗り込んでシステムを起動。回線をコックピットに固定。

    今回の作戦に当たり機動力に劣るカーナヴォンは足蹴纏いになるので、分離して安全宙域に置いてきた。ガーティー・ルー級襲撃に備え、ザク2機1編隊をガナーウィザードに換装して直掩させている。後ろと真下にオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲を向けていれば、そう簡単にはやられはしないだろう。

    エターナルにはザク2機を艦載してもらっている。

    ダイダロス基地へのアタックは機動力と防御力に優れたミネルバとエターナルで行う。2隻の巨艦が月の地平線、太陽の光を背にするように突き進む。

    ブリッジの内のやり取りがリアルタイムにコックピット内を震わせる。

    バート「間もなく敵制空権内に入ります」
    タリア「ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令」

    艦内と機内両方にメイリンの声が響く。
    メイリン「コンディションレッド発令。コンディションレッド発令」

    『赤』、ここからはスケジュールは秒刻みになる。ブリッジ内の様子と指示に全パイロットが神経を集中する。

    バート「10時方向にダイダロス基地。距離50!敵基地のスクランブル発令を確認!」
    アーサー「CIWS、トリスタン、クルヴェナール起動、誘導砲塔分離スタンバイ。ミサイル発射管全門ナイトハルト装填」
    タリア「甲板ガズウート隊、攻撃準備。フルカ2連装ビーム砲、ファルコーネSSM地対地対艦ミサイル用意。ただし、事前作戦通り地対地対艦ミサイルは命令あるまで発射するな。ブレイズバクゥハウンド、甲板直通エレベーターで配置開始」
    バクゥハウンドパイロット「了解!」

    アグネス「(ザクとバクゥハウンドのウィザードシステムを統合した設計局は久しぶりにいい仕事をしたわね)」

  • 139二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:11:29

    ローラン隊の第一次攻撃で数を大幅に減らしたウィンダムの編隊が襲撃してくる。まばらな襲撃。これでは特攻と同じだわ。
    タリア「砲撃開始!」
    ダコスタ「は!砲撃開始!」

    ブリッジ同士で回線がつながっているダコスタさんの声がグフのコックピットに流れ込む。

    接近しつつある30機ほどのウィンダムにミネルバから無数のナイトハルトが発射され、エターナルはミサイル発射管をフル活用して、艦体全方位に弾幕を張る。

    火線を潜って接近した敵影は次の瞬間には、やはり閃光となり消えている。ミネルバ甲板にスタンバイしているガズウートのフルカ2連装ビーム砲とブレイズバクゥハウンドのファイヤビーミサイルの餌食になったのだ。

    アグネス「(陽電子リフレクター装備モビルアーマーの姿がやはりない。ローラン隊に撃墜されたのが最後か…)」

    先攻隊の働きに本当に感謝したい。今のが護衛部隊の最後のあがきだ。ダイダロス基地への道は開けている。あの3機を除いては―。

    ジン長距離強行偵察複座型より入電!
    ジンパイロット「大型モビルスーツ3機、発進シークエンスを開始。それと…、これは。盗まれたセカンドシリーズ3機とウィンダム隊長機!大型モビルスーツの随伴しています」
    タリア「了解。面舵15、下げ舵10。山の陰に入れ。エターナルも続け。タンホイザー起動。残モビルスーツ隊発進せよ」
    メイリン・チェン・ダコスタ「了解!」

    なかなかにきつい展開ね、これは。でも事前に知れてよかったわ。
    アグネス「(『醜い月』とも呼ばれるボコボコの月の裏側。ジン長距離強行偵察複座型を先行させ、伏せておいてよかったわ)」

    アグネス「(それにしても地上から、この短期間に盗んだセカンドシリーズまで月に引っ張り上げるとは。大した気合の入りようね)」

    とは言えこちらに予定変更はない。あくまで『ちょっと強い随伴機』、ただそれだけだ。集中を乱すべきではない。

  • 140二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:15:06

    ギリギリのギリギリまで接近したミネルバとエターナルからモビルスーツ隊が一斉に発進する。引き絞られた弦から矢が放たれるが如しだ。

    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。インパルス発進どうぞ」
    シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」

    艦内でドッキング済みのインパルスが最初にカタパルトから発進。ダイダロスクレーターの端の盛り上がりに沿いながら飛行するミネルバとエターナル、その中間でインパルスはミーティアとドッキングを行う。

    ダコスタ「ミーティア、リフトオフ」
    一度弾切れになったミサイルは全弾、再補充が済んでいる。そのまま、ミネルバ、インパルス・ミーティア、エターナルの順で飛行。

    一方、ミネルバモビルスーツ隊の発進シークエンスは続く。
    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。セイバー発進どうぞ!」
    アスラン「アスラン・ザラ、セイバー、発進する!」
    メイリン「続いて、グフ、ヴェステンフルス機、アグネス機、レイ機、発進願います」
    ミネルバからハイネ先輩のグフが発進。後続のエターナルからザク2機が発進。

    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、アグネス機発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」

    私が出た直後にレイのグフも出撃、更にルナマリア、ショーン、デイルと続く。

    今回、ハイネ先輩、私、レイは、迷った末キャットゥス500mm無反動砲は持って行かない。代わりに両手にザクのビームトマホークを握りしめている。吉と出るか凶と出るか。

    レーダーに大きな光点が3つ。例の大型モビルスーツがホバースラスターでこちらに滑走してくる。形態はモビルアーマー状態だ。やや離れてガイア、カオス、アビス、ウィンダム隊長機が後続している。

    アグネス「(あれでは随伴機の意味が半分ないわ。あのモビルスーツが大火力過ぎて下手にそばに寄れないのね)」

    大型モビルスーツは未調整だろうし。ちゃんと真直ぐ進めてこそいるが…。

  • 141二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:38:12

    ジン長距離強行偵察複座型より緊急通信。
    ジンパイロット「大型モビルスーツ3機より主砲発射の兆候あり!」

    タリア「発進シークエンス一時停止!バクゥハウンド隊艦内収容。マリク艦首を一時上げ、アーサー!」
    アーサー「はい!タンホイザー、目標敵大型モビルスーツ群!」
    チェン「プライマリー兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除」
    アーサー「撃て―!」

    ダイダロスクレーター円端部の盛り上がった山場を一種の防塁とし、そこから一瞬艦首を覗かせるとミネルバは改良型タンホイザーの大光線を薙ぎ払うように敵大型モビルスーツに叩きつける。

    さしもの大型モビルスーツ3機もタンホイザーの光の大洪水は堪えるらしく、滑走を一度止められ、基地に押し戻される。後続のセカンドシリーズ3機はさらに深刻で、照射の余波を避けるために大きく飛び退っている。

    タンホイザーの照射自体は陽電子リフレクタービームシールドに完全に防御されてしまったが、勿論、これは想定の範囲内だわ。今の一撃はミネルバの発進シークエンスを再開させる為の牽制、そして―。

    アグネス「(それと同時にあの3機のパイロットに心理的な負荷かけ、『刷り込み』をさせるためのものでもある。『もし飛行して接近、攻撃しようとすれば機体下部、陽電子リフレクターで庇いきれない角度から攻撃されるかもしれない』と思わせるためのもの)」

    無論、3機で連携し合って襲撃するという手もあるにはあるが、あの様子だとそれも難しいはず。

    ミネルバのカタパルトがもう一度開き、甲板組5機が出撃する。こちらは先程の報告を受けスラッシュウィザードとガナーウィザードに換装してある。ガナーが3機のスラッシュが2機。セカンドシリーズ対策だ。

    ジンパイロット「大型モビルスーツ3機より再び主砲発射の兆候あり!!」

    タリア「ミネルバ上昇!甲板ガズウート隊、中央の大型モビルスーツに向けファルコーネSSM地対地対艦ミサイル全弾発射!」
    アーサー「トリスタン1番2番、クルヴェナール、ナイトハルト目標敵大型モビルスーツ右翼の大型モビルスーツに照準、撃てー」
    ダコスタ「エターナル、ミサイル発射管全門開け、目標敵左翼の大型モビルスーツに照準、撃てー!」

  • 142二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:44:53

    ミネルバとエターナルの全火砲が一斉射される。ただ、やはりタンホイザーほどの迫力には欠ける。ビームシールドを展開した大型モビルスーツは、こちらの攻撃を鬱陶しそうに受けつつも、ホバースラスターで前進してくる。

    タリア「ミネルバ下降、山の影に入れ」
    もう一度クレーターの影に隠れるミネルバ。それに業を煮やしたのか―それともミネルバが今も着々とタンホイザーのチャージを進めていることを不気味に思ったのか―大型モビルスーツ3機は、遂に両腕部を山影の合同艦隊に一斉発射する!

    5つのビームを発射しながら飛来する腕が6つ、クレーターの外輪外側で伏せる私達に向け高速で飛来してくる!

    良し!

    この時を待っていたんだ。さあ、やるぞ!

    目にも止まらぬ速さでクレーター端の山を飛び越える鉄の拳が6つ。私達にとっての『防塁』を奴らの鉄拳が飛び越えようとする。

    そのすぐ内側で私達グフ3機はささやかな保険である対ビームシールドを掲げながら、山壁にへばりつき、息を殺してトマホークの投擲に備える。

    ハイネ「シン!今だ!!」
    シン「はい!」

    山の頂を越える6つの腕に向け、インパルス・ミーティアの60cmエリナケウス対艦ミサイル発射管が一斉に火を噴く!

    6つの腕は角度を調整しながら陽電子リフレクターを起動、攻撃を完全防御する。ミーティアの攻撃に対しては―。

    同じタイミングで私達グフ3機はビームトマホークを投擲、宙を舞う大斧は、動きが一瞬鈍った6つの拳を砕き、次の瞬間には大爆発を発生させている。

    3機の大型モビルスーツはこれで陽電子リフレクター付きの両腕を永久に失った。それぞれ10門のビーム砲もろとも。

  • 143二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 07:59:31

    出撃前に泣いちゃったレイ、寿命の事を知ってもいつもと変わらないアグネスと持病の話を聞いてもどこまでも優しいルナマリアに心を動かされたんだな
    彼の未来がいい方向に向かって欲しい
    ラクス暗殺の件など問い詰めたいって考えてるアグネスはやはり色々察しているし波乱は多そうだけど

    先ずはデストロイを下してダイダロス基地を制圧しないとだな
    皆生き残れ

  • 144二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 11:08:56

    やっかいな腕ビームを真っ先に始末できたのは大きいな

  • 145二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 19:13:49

    ファントムペインいるけどデストロイには乗ってない感じか

  • 146二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 00:01:52

    終始アグネス視点だからわかりづらいけどジブリールも絶対ガチ焦りしてる状況だよね
    本人どこにいるか知らんけど正規軍の基地の防衛に本来汚れ仕事役のファントムペイン引っ張り出してくるぐらいだし

  • 147二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:21:52

    6つの拳の粉砕を確認すると、すぐさまインパルスはミーティアと分離を開始する。

    シン「メイリン、フォースシルエットとエクスカリバー対艦刀を」
    メイリン「了解。フォースシルエット、射出します。エクスカリバーレーザー対艦刀は直掩ザクから受け取って下さい」
    シン「頼む」

    外輪外側を飛行しながら、インパルスは機動力に優れたフォースシルエットに換装される。弾込め組のザクからエクスカリバーレーザー対艦刀を受け取り、シンの準備が素早く完了される。

    アグネス「(さっきの攻撃でインパルスはミーティアの120cm高エネルギー収束火線砲、MA-X200 ビームソード、93.7cm高エネルギー収束火線砲を使用しなかった。だから、まだ1戦するに十分な程度の電力は残っている)」

    弾込め組はシンに続いて、私達3機のグフにビームトマホークを、今度は1本ずつ手渡す。難しい判断だが、陽電子リフレクター装備大型モビルスーツとセカンドシリーズにキャットゥス500mm無反動砲はやはり不釣り合いだろう。便利な武器だけれどね。

    アグネス「(このビームトマホークも使う機会があるかどうかは未定。多分生死は一瞬で決まるから)」

    一方、アスランは敵の両腕破壊を確認すると、セイバーを高速飛行形態に変形させ、全速飛行の準備を整える。今まではモビルスーツ形態で私達の傍に待機してもらっていた。トマホークの攻撃が失敗した時のためだ。

    もうその必要はない。ここからは畳みかけるだけだから。

    コックピット回線に通信、アスランから。
    アスラン「ハイネ、アグネス、シン、レイ、ルナマリア、ショーン、デイル。準備は出来たか?」
    一同「はい!」

    アスランを含むこの8人が第一次攻撃隊だ。隊長はアスラン、多分最善の人物だと思う。出来れば一次で片を付けたい。

  • 148二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:26:01

    ヘルメットの中で必死に呼吸を続ける。心臓がバクバクする。まあこれは何時ものことだ。脳内麻薬が異常分泌され、精神と神経が状態異常を起こしている。恐怖か高揚か分からない何とも言い難い気持ちに包まれる。これも何時ものことだ。

    アグネス「(そしていつも通りに敵を倒す。何も特別なことじゃない。あの兵器もセカンドシリーズも。通信に集中を。)」

    ミネルバと共にクレーター外輪外側をなおも飛行しながら、アスランとグラディス司令長官の合図を待つ。

    アスラン「…。司令長官、お願いします」
    タリア「分かりました。マリク、ミネルバの艦首上げ、タンホイザー起動、目標敵大型モビルスーツ。3機に薙ぎ払うように撃て」
    マリク「了解」
    チェン「了解。プライマリー兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    タリア「撃て―!」

    グラディス司令長官の直接命令の下、クレーター外輪山より艦首を覗かせたミネルバのタンホイザーが発射され、再びクレーター内を死の大光線が襲う。

    腕を失った3機の大型モビルスーツは陽電子リフレクターを起動。ザムザザーと違い、あの大型モビルスーツは発生器が1基でも問題ないらしい。先程と同様に巨大なビームシールドが3つ展開され、セカンドシリーズ3機とウィンダム隊長機1機は後方に吹き飛ぶように退避を余儀なくされる。

    光の暴風雨に巻き上げられた砂塵が巨大クレーターダイダロスを覆う。月の裏側中央に嵐が巻き起こる様が上空からは確認できることだろう。

    もっとも、その渦のど真ん中、光の滝にダイビングするように突撃していった私達が眺めることは不可能だが!

  • 149二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:32:54

    タンホイザー発射と同時に、モビルスーツの腹を下に超低空水平飛行で私は7機の僚機と共にクレーターに突撃を敢行する。当然ながら、グフのコックピットモニターからほとんど何も見えない。これまでの人類が作成してきた月面地図をローラン隊とジン長距離強行偵察複座型が入手してくれた映像データで微修正し、それを元に後は勘で飛んでいる。

    アグネス「(完全な視界不良だわ。ガルナハンで坑道を飛んだシンの気持ちが、今になってわかるとはね)」

    舞い上がり続ける砂塵と今放たれたばかりの陽電子砲の余波のせいでレーダーすら狂いが生じている。超低空水平飛行などと言いながら、機体がゴツゴツ地面にぶつかる。コックピットの外殻に大きな衝撃が走った瞬間は思わずヒヤリとした。グフの堅牢なつくりに感謝する。

    この砂塵と陽電子砲の余波による煙幕は彼ら大型モビルスーツにも効いているはず、収まる前に切り込むつもりではあるが―。

    アグネス「?!」

    コックピットのレーダー―狂いが生じていることを承知で―4本の大光線が走る。ダイダロスクレーター内側の高さ9mほどを一気に薙ぎ払う!
    私の頭上を質量さえ感じさせる巨大なビームが四本通過する。さっきまで機能不全気味だったコックピットモニターが一面真っ赤に染まる。

    大型モビルスーツ1機の主砲が照射された後、私達の命綱の一つ砂嵐の煙幕は完全に一掃されてしまった。もう、私達は私達を剝き出しだ。距離こそ肉迫できたが。

    アグネス「(左翼の1機が先ず、あの巨大な2連装砲塔2基を発射したか)」
    これでもう煙幕作戦は終了。後は自力で突破するしかない。

    私達は今、ハイネ先輩とシン、レイとデイルとショーン、私とルナマリアの3編隊で突入している。勿論、大型モビルスーツ1機ずつに対応するためだ。それぞれ、右翼、中央、左翼に対応している。

  • 150二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:51:02

    アスランだけは例外として中央を単機掛けして進んでいた。そして、この事態に直面すると砂塵が薙ぎ払われた瞬間に機首を上げ、上空に飛びあがるとモビルスーツ形態に素早く変形する。無論、私達全機の囮になるためだわ。

    中央1機の大型モビルスーツが囮になるために上に行ったアスランに向け、主砲を一斉射!アスランはそれをさも当然のように避けると、再び高速飛行形態に変形、そのまま右翼のモビルスーツ上空に飛来する。

    それを目撃した右翼の1機は、奇妙に体を捩り、モビルアーマー形態からモビルスーツ形態に変形する。そして、セイバーに向け、胸部の大型3連装スキュラ、口部のビーム砲を発射するが、アスランは機体をバレルロールしながら旋回させて巧みに回避。

    それを目撃した右翼の1機は、奇妙に体を捩り、モビルアーマー形態からモビルスーツ形態に変形する。そして、セイバーに向け、胸部の大型3連装スキュラ、口部のビーム砲を発射するが、アスランは機体をバレルロールしながら旋回させて巧みに回避。

    アスランに気を取られ完全に足元が手薄になった右翼大型モビルスーツにフォースインパルスが肉迫する。インパルスは下から突き上げるようにエクスカリバーレーザー対艦刀を敵機コックピット目がけて刺突、勝負は一瞬で決まる。大型モビルスーツはパイロットの死と共に機能を急停止し、うつ伏せに崩れ落ちる。

    アグネス「(ヤキンで生き残るわけだわ。あれは…。どうやったら倒せるんだろう。倒す必要もないけど、味方だし)」

    自分の突撃を継続しながらも、脳裏で一瞬のうちに感嘆してしまう。余りの見事さに場違いながら。

    右翼と同時に左翼では、私とルナマリアが大型モビルスーツにアタックを仕掛けている。飛行姿勢は低空飛行から通常飛行に移行する。もう、あの姿勢を維持しる理由は薄い。

    セカンドシリーズの来襲はない。タンホイザーが効いた形だが、そもそもあの大型モビルスーツの随伴機は攻撃時に巻き込まれることを注意しなければならない。突然の戦場、未整備な機体、無理があるのだろう。

    アグネス「(私達には幸運だったわ。おかげで目前の黒鉄の城に集中することができる)」

  • 151二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 02:04:57

    この機体は砂塵を払うために主砲を撃った1機。狙うなら一番と言う好機。逃してはならない。

    突撃は、グフの私を先頭にザクのルナマリアが続く。一応、対ビームシールドを掲げてこそいるが、効果はあまり期待していない。

    大型モビルスーツは私達の急接近を受け、変形のため機体を捩りつつバックパック円端20門のビーム砲を発射する。まるで死のメリーゴーランドように緑の閃光が次々と私達に襲い掛かって来る。

    タイミングを必死に合わせ、回転しつつ迫って来る緑のシャワーの内側に身を捻るようにして飛び込む。頭上では変形を終えつつある敵機が首をこちらに向け、口部ビーム砲の照準を合わそうとする。背中に怖気が走るが、構わない、無視する。

    今は冷静に狙いを定め、奴の股下にビームトマホークを投擲することのみに集中、今!
    狙いは変形後にこの機体の姿勢制御の要となるスラスター2基、外部に剥き出しになっている。
    投擲されたビームトマホークは、回転しながら股を潜り、方向を斜め上向きに転じて、大型モビルスーツのスラスターを左、右と破壊し、円形バックパックのやや外側、右側主砲砲身口部を貫いて止まる。

    巨象が倒れるように倒れこむ大型モビルスーツ、その口部から私を狙ったビーム砲が空を貫く。ルナマリアは、あおむけに姿勢を崩すモビルスーツに飛び着き、飛び乗るやファルクスG7ビームアックスを一振り、胸部3連装大型スキュラを切り裂く。更にもう一振りしてコックピットを切り裂こうとするが…。

    アグネス「ルナマリア、それは要らない!」
    仰向けに倒れた大型モビルスーツの股間部をテンペストビームソードで刺し貫き、前後に切り裂くと、空いた切れ込みにスレイヤーウィップを叩き込み、高周波振動を直接機体の内部に流す。

    一瞬の後、大型モビルスーツはショートし、メインカメラから光が消える。
    アグネス「パイロットから情報を聞き出したい。頭部のビーム砲は潰して、念のため」
    ルナマリア「言われるまでもなく!」
    ルナマリアが言葉を発するとともに、頭部の自動バルカン砲塔システム『イーゲルシュテルン』と口部ビーム砲がビーム突撃銃に貫かれて爆散している。

    ほぼ同時に中央1機の大型モビルスーツが大爆発を起こし、衝撃波はまで届く。

  • 152二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 02:32:40

    アグネス「(ハイネ先輩。流石の判断力ね。戦場では当然か)」
    右翼の1機が倒れたので手が空いたハイネ先輩が間髪入れず、レイとショーンとデイルのフォローに向かったことが確認される。スーパーエースの切り込みに対応が追い付かなかったようだわ。

    その間、私は、間髪入れず、あおむけに倒れた大型モビルスーツのホバースラスター1機をテンペストで切り裂き、スレイヤーウィップを叩き込んでいる。本体と同様、高周波振動で内部をショートさせるためだ。再起動されたら困る。この機体の情報も欲しいがそれで逆転されては元も子もない。

    良し。戦闘不能、再起不能を確認。
    さて、次にするべきは―。

    今更のように飛行してきたカオスのカリドゥス改複相ビーム砲がこちらに向け発射される。ようやく随伴機の役割が果たせると言ったところか。

    身を捻って回避する。カオスはモビルアーマー形態、厄介ね。

    アグネス「アスラン先輩、カオス来襲!ルナマリア、起動兵装ポッド注意」
    ルナマリア「了解!」
    アスラン「了解。アビスはシンとショーン、ガイアはハイネとデイル、ウィンダム隊長機は俺とレイが対処している。そちらの対処は任せた」
    アグネス・ルナマリア「了解!」

    無線誘導された機動兵装ポッド2基を背後に認識。1基目は既にルナマリアが投擲したビームトマホークが命中済み!

    アグネス「(やるわね!)」

    背後で起動兵装ポットの閃光が一つ。あっちはルナマリアに任せて、私はグフを駆り、本体のカオスに切り込みをかける。

    カオスはカリドゥス改複相ビーム砲を発射して一旦、こちらを通り過ぎ、旋回して再攻撃のため、態勢を整えつつある。戦場の優勢はこちら―機体性能が高い自分の側だ―そう思い込んでいるようだ。

    馬鹿者め!グフのスラスターを全開にして急接近、相手の意表を突く!

    焦ったカオスが構える高エネルギービームライフルをスレイヤーウィップで巻き取り、爆散させ、同時にテンペスト・ビームソードで奴の片方腕を、ビームサーベル持っていた方の腕を切断、腕ごと巡航機動防盾も月面に落下する。

    それらの攻撃と同時にドラウプニル4連装ビームガンを連射し続ける。ドニウプニルが残った腕、ビームクローが装備された両足、カリドゥス改複相ビーム砲の砲門を破壊する。

  • 153二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 02:37:52

    最後にスレイヤーウィップをもう一度振りかぶり、カオスの胴体に巻き付け、高周波を一度に流し込み機体の完全確保に乗り出す。元々これはザフトの機体だ!

    起動兵装ポッド爆発を背後で確認。ルナマリア機、見事。こちらも仕上げか―。

    高周波を流し続けたカオスのショートを確認。メインカメラの電源が落ち、力を失った機体は月面に落下する。

    アグネス「(こんなに弱かったか…。こいつ等。分からない。考えている場合じゃない!)」
    敵援軍の恐れもある。ルナマリアと背中合わせに次の攻撃に備え、アスランの指示を仰ぐ。

    (カウントMS173 大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級13 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級7)

  • 154二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 07:36:27

    ここのアスラン+セイバーずっと強いな
    アグネス視点で過酷な戦場をしっかり描写されているから余計にそう思う

  • 155二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 08:12:25

    アスラン+レイvsネオが起きてる?!
    できれば撃墜じゃなくて捕虜にしてほしい
    エターナルに過去パイロットの生体データあればムウのデータと照合もできるし
    でもアスランはキュピーンないから気付けない
    レイお願いしますアスランとAAに恩売るチャンスだから捕虜にすることを進言してください

  • 156二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 09:09:21

    シンができた超回避をアスランがやれない訳ないわな
    それに今回は大量殺戮兵器の破壊が目的だからモチベが高いだろうし

    GIF(Animated) / 4.23MB / 11200ms

  • 157二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 11:47:17

    モチベ高目なのにこれでも絶好調じゃないというアスランの恐ろしさよ
    これ、アスラン脱走が起きてミネルバと敵対する展開になったらアグネスどう思うんだろ
    全面降伏? それとも必死で攻略法考えるのか

  • 158二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 12:16:15

    アグネス強っ!?
    2対1とはいえデストロイやセカンドシリーズを無力化とは、死線をくぐり抜けて成長したか、SEED発動してない?

  • 159二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 12:42:20

    ここだと序盤から割とセカンドステージ相手には有利取ってんのよね
    そっから更に連戦で原作以上のパワーレベリング済みのミネルバ隊vs原作よりも出番が少ない(ダーダネルス、クレタ無し)ファントムペインだとまぁこうもなるかも

  • 160二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 12:46:08

    元々ステラ搭乗でなければシン1機でベルリンのデストロイすぐ撃破できそうだったしな
    (ネオンダムやカオスはフリーダムやムラサメ隊が抑える必要があったけど)

  • 161二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 16:05:08

    デストロイは不完全でステラ達も乗ってないっぽいから本編より弱体化してそう
    それでも砲台としてはくっそ脅威だが…

  • 162二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 20:09:35

    仮にここでネオが捕虜になったら戦争犯罪に加担してるファントムペインの指揮官ってことで軍事法廷で裁かなきゃいけなきんだがネオ自身が記憶弄られた被害者でもあるんだよなぁ
    アスランとエターナル組がムウだと気づけても本人はネオだと言い張るだろうし記憶復活イベントも潰れるンだよなぁ
    レイと絡めばクルーゼ思い出してそこから記憶が蘇るか?

  • 163二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 20:25:01

    撃墜されて戦死したら記憶回復イベント以前の問題だし……
    この世界線でもマリューさんと再会してほしいってのはエゴなのかな

  • 164二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 20:31:08

    >>162

    アスランが地球に降りるタイミングで、ショック療法を試みるために連行してアークエンジェル組に面会させる…?

    でもザフトの捕虜をアークエンジェルに引き渡す理由がないんだよな。

    ミネルバが胡散臭い議長と袂を分かって独自行動でもしない限りは。

  • 165二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:13:41

    背中合わせのルナマリア機から通信。
    ルナマリア「はい。これ、抜いておいたわよ」

    ビームトマホークの柄が左脇に、にょっきり出る。どうやら私が大型モビルスーツに投擲したものを回収してくれたようだわ。ありがたく受け取る。
    アグネス「(迂闊だったわ。キャットゥス500mm無反動砲と引き換えに携帯してきた武器なのに。戦闘が終わったならすぐに回収に動くべきだった…)」

    受け取った武器を握りしめる。そう言えば彼女は?

    アグネス「あんた、自分のは?」
    ルナマリア「もう拾っておいたわ」

    なるほど。コックピット・モニターにはちょっと得意げなルナマリアの顔が映る。そつがないわね、優等生は。

    本当に和やかな空気を一瞬だけ肌で感じる。自分がこれまでの人生で、自らの短慮のせいで取りこぼしてきた大事なもの。電気信号となってニューロンを駆け抜けるその感傷を場違いながらも愛おしく思う。

    アグネス「アスラン先輩、次の指示を!」
    ただ、今、それに浸っている時間はない。

    援護に向かうなら中央か、いや…。もう意味はない。ガイアとハイネ先輩のオレンジのグフ、ショーンのファントムザクの戦いはもう決着がついている。

    こちらの勝ちだ。なにを持って勝ちとするかは問題だが…。
    おそらく、上空で戦闘中のウィンダム隊長機の命令だろう。カオスが撃墜された時点でガイアは四足獣形態に変形し、基地の方向へ逃走を図り始めていた。無論、こちらにそれを許す義理はない。

    ショーンのファントムザクは、獣形態のガイアを追いかけながらビーム突撃銃で撃ち続け、宙返りして前方に着地したオレンジグフは敵機の前に立ちふさがる。

    変形したガイアは行く手を阻むオレンジグフをグリフォン2ビームブレイドで切り裂こうとするが、逆にハイネ先輩が操るグフのテンペスト・ビームソードで片側のビームブレイドとビーム突撃砲を根元から破断される。
    小破したガイアは、こちらにも目もくれずそのままグフの横を駆け抜けて撤退に成功。機動力重視の機体ならではの行動だ。最悪!

  • 166二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:17:00

    それならば、ウィンダム隊長機かアビスを―。

    アスラン「いや!全機散開!ダークダガーL7機確認!!全機ランチャーストライカーを装着!ミネルバ、エターナル。ガーティ・ルーが付近にいる可能性大!」
    一同「!!!」

    アスランの指示、オープン回線で!!
    タリア「了解。熱紋探知厳に!」
    バート「了解!」
    タリア「ガーティ・ルー級は艦体両舷に熱紋探知回避用の推進剤予備タンクを装着しているケースも確認されている。警戒厳に」
    アーサー「了解!」

    コックピットの緊張は極限状態だが、私達の緊張は天元を突破している。
    コックピットの光学センサーを確認。ガイアが走り去った延長線上、ダイダロスクレーター内にある小クレーターを塹壕にするように320mm超高インパルス砲『アグニ』の不気味な砲身が7門こちらを覗いている。

    頭の中を取り留めのない考えが駆け巡る―どうして気づかなかった!
    -全機がレーダー不調になっていたからだ、タンホイザーの渦に飛び込んだことによって。

    奴らはなぜ今まで伏せていた?
    ―散々自分で答えを出していたではないか!あの大型モビルスーツと行動を共にできなかったためだ。そして今、隊長機から砲撃命令が出たんだ!

    『アグニ』3門は上空でウィンダム隊長機と戦うアスランとレイに照準、2門は右翼でアビスと戦うインパルスとデイルのファントムザク、もう2門は―。

    アグネス「ルナマリア!」
    ルナマリア「うん!」

    ダークダガーL、視認性を抑えた漆黒の機体、アーモリーワンを半壊させた。その指が高インパルス砲の引き金を引く瞬間を確かに目視する。『アグニ』の砲門に光線が収束するさまをスローモーションのコマ送りのように睨み、静かにグフと―ブレイズザクのスラスターをそれぞれ全開にする。

    砲門から光が溢れ、コロニーをも貫通する赤い閃光が真直ぐこちらに向かう半瞬前に私とルナマリア、左右逆方向に飛び退く。生存率を上げるために。

    大丈夫だわ。きっとうまくいく。さっきも―。

  • 167二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:22:20

    『アグニ』の赤い大光線2本が半瞬前どころか4分の一瞬前に私達が飛び去ったポイントを消滅させ、文字通り塵も残さない。

    体中から一度に汗が噴き出る。
    ともかく生き残った。止まってしまった呼吸を再開する。

    必死の回避行動は私達だけではない。上空ではセイバーとレイのグフが臨界プラズマエネルギーの奔流を必死に回避している。セイバーに至っては見越し射撃の分を含めて2門に狙われている。

    ただ、あの大型モビルスーツの砲撃を掻い潜ったばかり、私とルナマリア同様、彼らも避けきることに成功している。

    しかし、この一瞬の隙をついて隊長機には逃げ切られてしまう。あのウィンダム、頭部と片腕を切断され、もう撃墜寸前だった。おそらく最後の最後まで、砲撃命令のタイミングを見計らっていたのだろう。

    右翼では―。『アグニ』を避けきったシンとデイルの生存を確認!良かった…。

    周囲を確認すると、大破したアビスが転がっている。エクスカリバー・レーザー対艦刀で両肩部シールドごと両腕部を破断され、ザクが投擲したビームトマホークにコックピットを貫かれている。逃げ損ねたわね。これも戦場の運か…。

    視線の先では逃走したウィンダムとガイア、砲撃を行ったダークダガー7機が必死の逃走を続けている。

    ブリッジから回線。
    タリア「タンホイザー起動。マリク、ミネルバの艦首上げ、目標撤退中の敵モビルスーツ群。全機射線軸より退避せよ!」
    アーサー「了解。目標、撤退中の敵モビルスーツ群、ウィンダム隊長機、ガイア、ダークダガー7機」
    マリク「了解」
    チェン「了解。プライマリー兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除!」

    アスラン「全機射線軸より退避!」
    アグネス・一同「了解!」

  • 168二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:28:56

    ブリッジの指示とアスランの号令でまた、必死でタンホイザーを潜り抜ける。

    グフを腹ばいにさせ、機体を必死に月面に押し付け息を殺す。一体いつまでこの小競り合いを続けるのか、レクイエム本体の方がよほど大事ではないか。そう思ってタイムを確認すると、山際からの突撃後、ここまでの戦闘、たった3分に満たない間の出来事だった。信じられない…・

    アーサー「撃て―!」

    副長の号令と共にレーダーがショートする。今度は完全に壊れた。背中の上を光の大洪水が流れ下る。掠った瞬間、物質が消し飛ぶ恐ろしい業火、コックピットモニターが緑の光で染まり目を瞑っていても網膜が焦げ付き、前頭葉まで溶けてしまっているのではないかと言う錯覚を覚える。

    陽電子の濁流が過ぎ去った後、皆で顔を上げる。敵影は消滅。溶け残ったモビルスーツの残骸らしいデブリが月面にいくつも転がっているが、どれがどれやら…。オーバーキルもいいところ。グラディス司令長官、どうしたの?

    タリア「戦闘止め。戦果は十分よ。アビスとカオスのモビルスーツ本体、生存している大型モビルスーツのパイロットを連れてミネルバに即時帰還せよ。レクイエムの完全破壊に急行する。我々にもう障害はない。周辺に熱紋の異常なし。あと少しだ!気を抜くな!ミネルバ、エターナルは第一次攻撃隊収容後全速力でレクイエム本体に向かう」
    アグネス・一同「了解!」

    釈然としない気持ちを抱えながら、カオスの回収に取り掛かる。ルナマリアは大型モビルスーツのコックピットをこじ開けにかかるが、なかなか難しいらしくショーンとデイルも手伝っている。

    この光景をどう思えばいいのだろう。
    シン「アグネス!あれ!」
    アグネス「えっ…」

    藪から棒にインパルスから通信が入る。今度は月上空を確認する。レーダーはもう死んだも同然だ。

  • 169二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:38:34

    光学センサーを確認すると同時に震撼する。何だ、これは…。
    ダイダロス・クレーターほぼ直上に、中継コロニー『マルタン』と護衛艦隊20隻が急接近している。ミネルバが基地をめぐる戦闘をしている間に―。この短期間であそこまで巨大な塊を持ってくるとは!

    アグネス「(スラスターを後付けで増設したのか?そんな制動をさせてはコロニーも無事では済まないし、いざ、レクイエムの上空に持ってこれたとしても、今度は正確な照準もつけられないだろうに)」

    『もう撃てれば何でもいい、一撃空の化け物にぶち込んでやれ』そういうことか…。
    アグネス「(グラディス司令長官が強引に戦闘を撃ち切った理由がこれね。ミネルバ、エターナル共に大型モビルスーツをどうにかしないと動けなかったから)」

    逆をいうとセカンドシリーズもウィンダム隊長機もこの作戦では枝葉だ。極論見逃しても構わない。勿論、本当に見逃すわけにもいかないが...。

    アグネス「(あの護衛艦隊もおそらく連合宇宙軍の『心太(ところてん)』の最後の切れ端。あれを何とかしないとこの戦闘は終わらない)」

    デストロイに突っ込んだ時とはまた別のおぞましさと脱力感、絶望感、怒り、やるせなさが心の中に渦巻いて止まらない。まだ続くのかこれが―。

    アグネス「分かった。各自の務めを!」
    シン「分かった!」

    心にもない―違うか―心にどうしても浮かんでこない思いを吐いて何よりも自分を励ます。
    レーダーの修理は―。何とかするしかないだろう。そっちはヴィーノ、ヨウラン、マッド・エイブスに託すとして―。

    ふと隣を飛ぶルナマリア機を見つめる。ザクの掌には救助した大型モビルスーツのパイロットが乗せてある。だらんとして、ほぼ死人同然に見えるわね。

    抱きかかえているカオスから通信!国際救難チャンネルじゃない。元がザフト製だからたまたまか混線したのか...。

    スティング「(ステラとアウル)は無事か…」
    意識が朦朧とした声。小声で何か要領を得ないことを言っていたわね。なにを言っているのかよく分からなかったわ。

    アグネス「プラント、ザフトは貴官の捕虜としての権利を尊重する方針です。ご心配なさらなくても大丈夫です」

    ともあれ安心できるように声掛けはしておいた。まあ、生きているようで何より。少し心が軽くなったわ。

  • 170二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 02:06:40

    スティングは辛うじて生存
    アウルはダメそうですねこりゃ…

    ステラとネオが撤退したけど本編みたいにジブリール乗せたガーティ・ルーで逃げる気か…?

  • 171二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 11:22:46

  • 172二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 12:28:21

    なんだかんだネオとステラは原作√なぞるようになりそうかな

  • 173二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 14:39:39

    気が早いかもしれないけどルナはこのまま正式にミネルバ所属になるんだろうか

  • 174二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 18:03:00

    さすがネオさんアスランを相手取って撤退成功
    次はレクイエム本体破壊ミッション

    オクレ兄さんは捕虜返還とかはおきないだろうから……
    ザフトの実験体としていじくり回されるのかな
    薬とゆりかご切れで苦しみながら逝くことになりそう

  • 175二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 18:51:13

    ミネルバに着艦。余りに散文的な現実に無性にイライラしてくる。何時まで続けるんだ、こんな戦闘を!

    今更『マルタン』など持ってきて何になるのか。『フォーレ』も『グノー』も砕かれた。『ヴェルディ』も今頃、ジュール隊の刃先が掠め始める頃だろう。

    アグネス「(『チェルニー』だって私達が叩き割った。大勢の仲間の命と引き換えに―。基地防衛線の切り札だったであろう大型モビルスーツ、セカンドシリーズも撃破された)」

    じゃあこれからの戦闘はいったい何なんだ?!
    ダイダロス基地上層部を逃がすための時間稼ぎなのか。もしそうなら大成功だろう。こちらに網を張るだけの余力はない。ただ、仮にそうだとして現場の指揮官たちは異を唱えないのか。

    それともレクイエムをだしに一人でも多くのコーディネイターを殺めようとしているのか?!

    頭に浮かぶいくつもの疑問。答えなど分からないし、分かったところで意味などない。あの戦略砲を破壊するまでこの作戦は続行される。
    涙がにじんで来る。まだザフトの側は分かる。相手の連合-グルーコスモス―は何を考えているのか。ただ、『戦いのための戦い』をしているだけではないか。もはや、作戦も戦略・戦術目標もあったものではない。ほとんどテロだ!佐官や尉官級だけでも抗命しようとしないのか―。

    『戦争は虚しい』なんて道徳の授業か反戦主義者の戯言だと思っていた。当たり前のことを何で叫ぶのかと。戦争は良くないことかもしれないが、作戦や戦闘に参加できることは『アグネス・ギーベンラート』としては良いことだ。手柄を上げる機会が増える、そう思っていたのに。

    モビルスーツ内に持ち帰って来たカオスを下ろす。医療スタッフが待ち受けていて、直ぐにパイロットをコックピットから降ろそうとしている。ルナマリアが救助した大型モビルスーツパイロットは既に医務室に担ぎ込まれていた。15歳前後の少女だったらしい…。

    インパルスに代わってハイネ先輩が持ち帰って来たアビスも隣で横たわっている。やはり、パイロットは助からなかった。コックピットに突き刺さったデイルのビームトマホークに焼かれ、無惨なありさまだったという。突き刺さった瞬間にビームの刃が上半身に喰い込んだようだから、余り苦しむことは無かった―。そう思いたい。

  • 176二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 18:54:39

    アグネス「(苦しむことは無かったと思いたい…。なにを言っているんだ私は!苦しまなかったからなんだというんだ。今まで散々…)」

    熱暴走したような思考に苦しみながら、コックピットの電源を落としグフから降りる。整備班にレーダーの調子を確認してもらうためだ。

    傍では緑色のパイロットスーツを着たカオス・パイロットがちょうど救助され、移動式医療ベッドで運ばれて行く。

    それをただぼんやりモビルスーツデッキの簡易椅子に座り眺める。カオス・パイロットのヘルメットが脱がされ、本人の顔が晒される。ヘルメットの下は憔悴して、意識が昏迷中の若い男性だったわ。本人にしてみれば不本意であろうけど、こちらとしては暴れられるよりはずっといい。

    ふと、彼と視線が合った気がする。その鋭い顔つきは確かに見覚えがある。ディオキア市で会った緑髪の青年、ステラの兄貴分の人物、スティングだわ。何とはなしに名前を憶えていた。

    ルナマリア「知り合い?」
    いつの間にやら、隣に来てくれたルナマリアが私の表情を見て話しかけてくる。

    アグネス「うん。前話した少女。シンが救助した連合非人道部隊のステラっていう子、そのお兄さんね」
    不思議と驚きはない。そして感慨もない。「ああ。そうだったのか」と言うぐらい。感情が麻痺しているのか、摩耗しているのかも分からない。

    ルナマリアは私に何かを言おうとして、私の顔を覗いた後その言葉を引っ込めてしまう。そこまで危うい表情をしていたのか…。

    少し落ち着くべきだ。シンとアスランはデュートリオンビームでセイバーとインパルスの電力補充をすでに終えている。整備班の人は私が『悲劇のヒロイン』をしている間も必死にレーダーの簡易調整に取り組んでくれている。たった数分のタイムリミットの中を懸命に。

  • 177二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 19:00:00

    アグネス「(避難民出身のシンがこうした思いに囚われてしまうならまだわかる。私がこんな風になるなんて!情けない。どうかしているわ」

    少し疲れているだけだわ。

    さっき自分の言った―思った通りではないか、手柄のチャンスが勝手に来たんだ。もうこの戦いの勝利は決まっている。後はボーナスタイムだ!

    隣のルナマリアに視線を向ける。
    アグネス「慰めてくれてありがとう。もう大丈夫。それで?何か言いかけたでしょう」
    ルナマリア「ええ…。今、話すことじゃないかも知れないけど。ステラって子もガイアかカオスに?」
    アグネス「私達が知る由もないことだわ。取り合えず、シンには黙っておいて。この戦闘が終わるまでは」
    ルナマリア「勿論」

    深刻そうにうなずくルナマリアだが、これに関して、私はそこまで重大なこととは思っていない。連合の非人道部隊と何処かで戦闘になることは想定していた。彼女達が『有罪』なのか『無罪』なのか、『加害者』なのか、『被害者』なのか今は関係ない。

    私達は義務を果たした。後は政治が解決するべきだ。

    グフとルナマリアのザクの調整が終わった合図で、私達はそれぞれの機体に飛び乗る。次の戦いがまた始まるから。

    コックピットのモニターを起動すると、グラディス司令長官とダコスタさん、アスラン、ハイネ先輩の顔が映し出される。作戦の指示が出るのだろう。

  • 178二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 23:43:22

    全員の回線接続を待ち、4人の中でグラディス司令長官自ら私達に語り掛ける。少し珍しく感じる。

    タリア「皆、本当によく頑張ったわね。私はこの作戦で何度も『あと少し』と言う言葉を口にしたけれど。もう、言いません。ただ奮戦を。ハイネ」

    彼女もかなり参っていることだろう。あまり意識して意識していなかったが、殲滅された月軌道艦隊本隊に彼女の知り合いもいたはずだ。その後も自分の指揮の下、大勢の部下を死に追いやり、またこうして私達に無理を強いている。

    そのことを心苦しく思う気持ちで、グラディス司令長官の顔面は張り裂けそうになっている。彼女は決して表情に出すまいとはしているが、隠しきれるものではない。

    ハイネ「では今回の作戦を。偵察ジンからの報告で、射出口付近にコントロールルームに繋がっていると思しき通路を発見。アスラン、セイバーに突入してもらう」
    アスラン「これは私が単独で実行する。セイバーの機動力を十分に発揮させるためだ。皆、承知してくれ」
    アグネス・一同「はい!」

    ハイネ先輩は何時もの調子のままだわ。アビスのコックピットの中身を見たはずだが、動じていない。この精神性はどこから来るのだろう。プロ意識の鬼なのだろうか。

    それはそうとこの作戦、アスランの負担は相当重い。ジンが見つけたという通路がコントロールルームに繋がっていたとしても、内部構造は未知数であるし、最後の関門に防衛策がなされていないはずはない。ただ―。

    アグネス「(アスランの顔、かなり本気だわ。はっきり言って役不足ですらあるかもしれない)」

    何とはなしに気が付けば、私達は『アスランの本気』にかなり頼りきりになっている。良くない傾向だ。改めなければ。スーパーマンに頼った組織は脆い。ただ、今はそれどころではないのが正直なところだ。

  • 179二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 23:47:13

    ハイネ「残りの者は、待機中のカーナヴォンと直掩のザク2機も含め、全艦全機で『マルタン』と護衛艦隊に対処する。指揮は私が。なお、レクイエム・コントロール沈黙後、セイバーは即時に退避を。確認後、レクイエム射出口上空からミネルバはタンホイザーを照射。あの大量破壊兵器を完全破壊する」

    良し。遂にここまで来たか…。

    ハイネ先輩の言葉をグラディス司令長官が引き継ぐ。
    タリア「それがプラント最高評議会の命令で、かつ、力を貸していただいたエターナルの要請でもあります。完遂を!」
    アグネス・一同「はい!」

    レクイエム上空で護衛艦隊20隻と対決。内訳はアガメムノン級2、ネルソン級3、ドレイク級5、リフレクター装備ドレイク10、おそらく艦載機は112機前後。それだけでも結構なインパクトだが、下からは何時撃たれるか分からないレクイエム射出口が開けっ放しになっている。

    ハイネ「『マルタン』がレクイエムの真上に来てからじゃ遅い。こちらから襲撃しに行くぞ!」
    アグネス・一同「はい!」

    まあ、そうなるだろう。私達は囮役だ。今回はセイバー抜きで乗り切るしかない。

  • 180二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 04:55:25

    >>178

    スーパーマンに頼った組織は脆い。

    …もしかして自分がスーパーマンではないと思ってらっしゃる?

  • 181二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 12:15:22

    >>180

    アグネスの戦績は十分スーパーマンだよ…

  • 182二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 12:24:23

    レクイエム砲口の完全破壊なぁ…
    いやまぁタンホイザー直撃させられるなら確かにゼウス無しでも行けると思うけど

  • 183二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 15:52:04

    砲口の破壊だけなら突入成功できればザクでもやれるよ
    地下反応炉ごと破壊するとなるとゼウスシルエットが必要になるけど

  • 184二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 20:15:39

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:14:50

    タリア「本時刻をもって作戦を開始します」
    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。セイバー、アスラン・ザラ機発進どうぞ!」
    アスラン「アスラン・ザラ、セイバー、発進する!」

    司令長官の号令と共にセイバー発艦。以後単独で、レクイエム・コントロールを落とすべく突入作戦を敢行する。

    ミネルバとエターナルは艦首を上げ、一旦月面から離れ中継コロニー『マルタン』を目指す。途中でカーナヴォンと護衛のザク2機編隊とも合流、そのまま『マルタン』に接近していく。

    第三次『第一次中継コロニー』攻防戦。何とか、このコロニーが射出口の真上に達しきる前、接敵に成功する。これで、一応『巻き添え攻撃』の恐れはない―はず。

    あくまで、ここで私達が連合艦隊を倒しきればの話だが―。

    敵もこちらの攻撃を確信していたのだろう。10隻のリフレクター装備ドレイク級をちょうど『鶴翼の陣』に広げ、合同艦隊3隻の迎撃に突撃してくる。

    アグネス「(突撃してくる!?)」
    正気か?コロニーを守るつもりがないのか…。やはり、相打ち覚悟と、月上空を混乱状態にすることによる上層部脱出の援護が目的か?

    上層部の脱出はもう完了しているかもしれないが―。

    コックピットの回線は早速パンク状態だ。接敵予定時刻が大幅に前倒しになった。戦争はチェスのようにはいかないことをまた思い知らされる。

    アグネス「(結果的にこちらが奇襲を受けているような状況…。秒刻みの戦い、針は進み続けている!)」

    タリア「全モビルスーツ隊発艦急いで!」
    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。インパルス発進どうぞ」
    シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」

    インパルスをともかく発進させる。ミネルバからインパルスが出撃するとほぼ同時にエターナルからシークエンスが開始される。
    ダコスタ「ミーティア、リフトオフ!」

  • 186二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:22:13

    インパルスとミーティアのドッキング成功を横目にこちらの発艦は進み、ハイネ先輩のグフが出撃する。次は私の番だ。

    メイリン「カタパルト推力正常。全システムオンライン。進路クリアー。グフ、アグネス・ギーベンラート機発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、グフ、出ます!」

    今回の戦い、ハイネ先輩、私、レイのグフ3機はキャットゥス500mm無反動砲を携帯していく。

    ハイネ先輩の采配の下、私達は前回同様、『鉄床戦術』を決行する予定。これはグラディス司令長官、カーナヴォン艦長、ダコスタさんと話し合った結論だわ。セイバー抜きに正面から平押しし合うのは分が悪すぎる。

    ミレニアム、エターナル、カーナヴォン、そしてそれを守る月軌道艦隊と甲板組・ショーンとデイルのザク計12機が『重装歩兵』役だ。全機ブレイズウィザード換装済み、ファルクスG7ビームアックスとビーム突撃銃を装備している。

    シンのミーティアは古代なら『バリスタ』役だろうか。そして、ハイネ先輩と私とレイのグフ、そして私と編隊を組んで来たルナマリアのブレイズザク。この4機は『重装騎兵』役。連合が翼包囲を狙っているなら、その翼の更に背後に回り込んで敵の側面・後方を攻撃する。

    オーソドックスだが、これで間違いのないはず―。

    ハイネ「よし。準備できたな。回線はちゃんとミネルバと俺のグフに固定しておけ。ただ、一旦、突撃を開始したら後方のことは顧みず、ひたすら敵側面を駆け抜けることに意識を集中しろ」
    アグネス・レイ・レナマリア「はい!」
    ハイネ「良し!」

    ハイネ先輩とレイ、私とルナマリアの2編隊で敵の右翼後方に向けて突進を開始する。

    雁行状に並んでいるリフレクター装備ドレイクの最右翼を回り込む。12連装ミサイルランチャーからミサイルが続けざまに発射されるが、これは躱す。

    すると―。

  • 187二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:28:39

    ハイネ「エールストライカー装備ウィンダム!35機以上。後ろに隠れていた。こっちに来るぞ!」

    ハイネ先輩の言葉が言い終わる前にルフレクター装備ドレイク級の後ろにいた12機のエールストライカー装備ウィンダムが一斉にビームライフルの引き金を引いている。

    12本の光線がこちらに伸びるのを躱しながら、私達は突撃の突撃は続く。止まることは許されないのだ。

    ルナマリアがファイヤビー誘導ミサイルを初手で全弾発射し6機のウィンダムを撃破する。私達もそれに続いて接近戦を敢行する。

    私はグフのドラウプニル4連装ビームガンで2機のウィンダムを撃墜、更に本来の目的でもある背面からの敵艦列への攻撃を決行。キャットゥス500mm無反動砲をリフレクター装備ドレイク1隻の艦尾スラスターに撃ちこんで炸裂させる。

    (カウントMS175 大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級13 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級6)

    ハイネ先輩、レイも順調に戦果を挙げる中、艦列中央部の戦いで恐ろしい事態が起こっていた。

    回線にメイリンの切迫した声が響く。
    メイリン「中央、リフレクタードレイク級の後列からマルチランチャーパックのウィンダム40機!Mk5核弾頭ミサイルを全弾発射しています」
    タリア「インパルス・ミーティア!迎撃せよ」
    シン「はい!」

    アグネス「(また…。本気なのか!あいつらは!!)」
    ハイネ「集中を乱すな!俺達の任務を果たせ」
    アグネス・レイ・ルナマリア「はい!」

    私達に気合を入れながらハイネ先輩はテンペスト・ビームソードで敵機を立て続けに2機撃墜して手本を示してくれる。中央部ではシンがミーティアを操り120cm高エネルギー収束火線砲と60cmエリナケウス 対艦ミサイル発射管で発射されたという核弾頭を80個の閃光に変えている。

  • 188二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:33:40

    呆けている暇などない!

    レイとルナマリアがエールストライカー装備ウィンダムを落としてくれている。私は翼の後方に回った利点を生かして戦果の最大化に務めなければならない!

    ネルソン級1隻に斜め後方から500mm無反動砲を直撃させ、隣のリフレクター装備ドレイクの側面にドラウプニル4連装ビームガンを命中させる。

    直ぐ後方を飛んでいたウィンダムをテンペストで横一文字に切り捨てたと同時に、先に致命打を与えた2隻の撃沈を確認する。誘爆を繰り返し張り裂け、巨大な火球になり、ふと消えて行った。

    (カウントMS176 大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級7)

    ただ、恐ろしいのは今沈めた2隻、最後まで私-グフーに目もくれず、ただ本隊の合同艦隊にのみ火力を叩き込み続けていた…。気持ち悪い。

    『集中を乱すな』『駆け抜けることだけ考えろ』、ハイネ先輩の命令を心の中で必死に繰り返す。

    目前に迫ったウィンダム2機のビームライフルを躱しながらスレイヤーウィップを2振り、火球を2つ発生させる。エールストライカーだから、何時もより手ごわく感じる。背中を晒していたリフレクター装備ドレイク級のスラスターに今振っていたスレイヤーウィップを叩きつける。

    艦尾に始まった爆発が艦首に及ぶ直前、船体が内務から弾け、艦がまた閃光になって消える。

    (カウントMS178 大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級8)

    なんだかんだと順調に作戦は進んでいる。そんな錯覚さえ覚えていた矢先-

  • 189二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:39:35

    メイリン「カーナヴォン、撃沈。アガメムノン級のゴッドフリートです。インパルスの充電、あと21秒」
    ハイネ・アグネス・レイ「!!」

    突然の悲報に体内をゾッとする寒気が走り抜ける。間違いであって欲しい。でも、そんなわけはないと頭では分かっている。

    レーダーで敵艦列中央部を確認する。中央部、リフレクター装備ドレイク級の艦列から、相打ち覚悟で艦を突出させたアガメムノン級が2隻!

    こいつらが…。突然の特攻にカーナヴォンはミネルバとエターナルを庇うため、前に割り込んだ…。

    アグネス「(私の母艦、だった…)」
    お世話になった人や見知った顔が…。短くとも密度の濃い日々を戦った戦友が…。あと少しだったではないか!あと少しで…。

    タリア「タンホイザー起動!」
    アーサー「はい!タンホイザー起動。目標、敵艦列より突出したアガメムノン級2隻」
    チェン「プライマリー兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「撃て―!」

    回線内にブリッジの悲壮な空気が流れ込み、レーダーからはタンホイザーの照射と共にアガメムノン級の大きな光点が消えている。自分からビームシールドを踏み越えて来たのだから、彼らにとっては本望だろう。彼らにとっては―。

    私の親しんだ人達にとっては断じて違う。こいつ等と命をバーターする理由などない!
    アグネス「(あと少しだったのに。勲章を貰って休暇を取って自分の『英雄譚』を家族に語る。そんな、『めでたし、めでたし』があと少しだったのに)」

    冷静さを保てない。身内だけが大切で他の人はどうでもいい、そんな人間は卒業したつもりだったのに!

  • 190二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:42:12

    目前にエールストライカー装備ウィンダム2機。
    1機をテンペストで斬り捨て、後ろに回り込もうとした2機目はスレイヤーウィップを振り払って溶断する。

    視線が開けると、さっき核を撃った連中がマルチランチャーパックを捨てて編隊を組み、此方に突進してきていた。

    500mm無反動砲を先頭の馬鹿者に叩き込む。攻盾タイプEで防御されるがその間に接近、死角からスレイヤーウィップで機体を溶断、この機体の真後ろと右横のウィンダムもドラウプニル4連装ビームガンで爆散させ、左のやつもテンペストで斬り捨てる!

    斬り抜けたグフの後方で閃光が3つ瞬き消えるのをレーダーで確認してようやく少し理性を取り戻し、こちらに艦尾を向けているリフレクター装備ドレイク級にキャットゥス500mm無反動砲を発射、轟沈させる。

    ハイネ「アグネス!気持ちの整理は付いたか?」
    アグネス「はい…」
    ハイネ「良し。皆聞け。任務を果たせ、それが敵討ちだ!」
    アグネス・レイ・ルナマリア「はい!!」

    (カウントMS183 大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級9)

    私達の今のポイント。ちょうど敵艦列の後方だわ。後は畳み込むだけだ。左翼の敵艦敵機は遠くからミサイルを撃ちこんで来るだけで、ほぼ動きはない。おそらくあっちは合同艦隊本隊を誘引し続けるための牽制部隊。本命は私達が砕いた右翼と―。

    ハイネ「シン!中央右艦列に穴を空けた。充電は?終わったなら、こっちから撃て。全速で!」
    シン「はい!」
    今、私が沈めたリフレクター装備ドレイク級の空白にシンのインパルス・ミーティアが高速で飛来する。

    状況を理解した中央部艦列のリフレクター装備ドレイク級1隻とその後列のネルソン級が旋回しようとする。

    そうはさせない!

    ドラウプニルで弾幕を張り、スレイヤーウィップを振り回してウィンダム2機を叩き落とす。背後と横ではハイネ先輩とルナマリア、レイが敵機を落としまくって援護してくれている。

  • 191二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:45:27

    そのまま、ミーティアに対応しようと右旋回を終えようとしているリフレクター装備ドレイク級の横腹をテンペストで切り裂き轟沈させる。

    今、発生した大火球が消えた直後、インパルスのミーティアが私達の開いた空白を踏破、敵艦列後方から左翼後方に突進しながら、その全火力を投射する。

    シン「くっそー!もういい加減に!」
    ミーティアの120cm高エネルギー収束火線砲が咆哮を上げ、ネルソン級1隻、陽電子リフレクター装備ドレイク級2隻が餌食となって爆散し、傍を進んでいたウィンダム機も瞬時に燃え尽きる。

    突き進むミーティアのMA-X200ビームソードに薙ぎ払われて、それぞれ2本の太刀に3機ずつ切り捨てられる。生き残った4機もミーティア護衛しながら進んでいた私とルナマリアが即座に4つの火球に変えてしまう。

    シン「くぅ!」
    60cmエリナケウス 対艦ミサイル発射管77門全門からミサイルが発射され、左翼でグズグズしていたエースストライカー装備ウィンダム36機とネルソン級1隻に襲い掛かる。

    生き残っていたリフレクター装備ドレイク級1隻の旋回が間に合ったためネルソン級と背後に回れたウィンダム10機は助かったが、残りのウィンダム26機は大小の火球となって燃え尽き、レーダーから永久に消失する。
    役割を果たしたインパルス・ミーティアはエネルギー切れを起こし、私とルナマリアに護衛されながら暫しの眠りにつく。

    しかし、生き残ったネルソン級とリフレクター装備ドレイク級3隻、10機のウィンダムに安住の地はない。彼らがミーティアに必死に対応している間に月軌道艦隊・ミネルバ甲板組のザク10機が突撃を開始している。

    残敵が状況を把握するのとその命が燃え尽きるのはどちらが早かったのだろう。味方の突撃終了と同時に敵艦4隻と敵モビルスーツ10機の反応は消滅。

    (カウントMS187大型MS1(共同) セカンドシリーズ1(共同) 大型MA9 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母3 イージス艦2 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

  • 192二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:51:20

    沈黙。目の前から敵がいなくなってしまった。手元のレーダーからも。
    何を思えばいいのか。

    喪失感はあっても達成感はない。こんな思いをするために戦って来たのか?!私は。

    ハイネ「全員!まだ気を抜くな。ガーティ・ルー級がうろついてるかも知れないんだぞ!レーダー、光学、熱紋、全力探知、警戒せよ。アグネスとルナマリアはそのままシンを護衛しろ」
    アグネス・一同「了解!」

    何時も通りの声のハイネ先輩が私達に喝を入れてくれる。良かった。まだ任務があって…。
    インパルスとミーティアは守らないといけない。ヴィーノ達が治してくれたレーダーと熱紋探知装置に目を光らせる。

    ミネルバからは私達に向け、信号弾が撃ちあがっているが―。どうすればいいのか。

    どこに帰ればいいのか。別にこれは哲学的な問いではない。もっと現実的な問題だわ。

    月軌道艦隊は本当にミネルバだけになってしまった。感傷を抜きにしても全ての機体を艦載するわけにはいかないだろう。

    ミネルバ艦内はパニックだろう。実務的な意味でも。既にパンクしそうな数の機体を乗せていたのにカーナヴォンが沈んでしまったから。

    元々のミネルバ隊12機、ラドル支隊11機、グラディス隊・月軌道艦隊機の生き残り10機(ルナマリア機、偵察機含む)。これをどうしたものか。もともと改ミネルバ級になった際、運用機20機、補機2機乗せられるよう大改造されているのだけれど。

    アグネス「(これはきついわね。甲板に係留していくしかないかな)」
    散文的な現実は私達の内心などお構いなく押し寄せてくるらしい。立ち直ったり傷ついたりしている暇もないのね。分かっているわよ。何度でも…。

    シン「アグネス、いいか?」

    インパルスから通信。シンか。今人と話すのは気が進まない。何を言ってしまうか分からないから…。ただ、黙っているわけにもいかないだろう。
    アグネス「なに?」

  • 193二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:59:20

    シン「俺がもっと早くに…」

    モニターのシン。目元が結構やばいわね。本当にウザい―、と今日は思えない。『自分がもっと早くに』敵を倒せれば、あるいはカーナヴォンは沈まずにすんだのではないか…。

    直視したくなかったが、私もずっとその思いに取り付かれている。引きはがそうとしても纏わりついて剥がれてくれない。

    アグネス「あれが最速だったわ。まだ任務は終わってない。しっかりしなさい」
    シン「ああ…」

    シンに言っているのではない。自分に言い聞かせている。
    まだ任務は続いている。ミネルバに私のグフとレナマリアのザクでインパルスを護送する。ミーティアはエターナルに返還し、有事に備えインパルスは即充電してもらわなければならない。それまで終わらないんだ。幸運なことに―。

    もし任務が終わってしまったら、私はどうすればいいのだろう。

    シン「メイリン、デュートリオンビームを頼む」
    メイリン「了解!デュートリオンチェンバースタンバイ。捉的追尾システム、インパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    インパルスの急速充電が開始される。ちょうどそのタイミングで、私達が待ち望んでいた知らせが鼓膜を叩く。

    アスラン「こちらセイバー。レクイエムのコントロールを破壊した。ミネルバのタンホイザー発射に備え、退避する」
    やっとか、などと言うことはできない。分かっている。ただの八つ当たりだ。そんなことは自分で言わない、目の前で言わさない。飲み込んでいくしかないんだ。

    アグネス「(スーパーマンを逆恨みとか、屑のすることだ。私はしない。戦死した人とアスランが一番頑張った)」

  • 194二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:03:24

    感情的にならずに適切な言葉を選べるアグネス本当に偉い
    でも任務が終わったあとのメンタルが心配だ
    シンルナも含めてかかっている負荷が限界を超えてそうだもの

  • 195二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:06:21

    アスランの報告を聞いてグラディス司令官から命令が発せられる。

    タリア「了解。これより本艦はレクイエム射出口直上よりタンホイザーを照射。この兵器の完全破壊を行います。コントロールルームを破壊済みとは言え、最後まで気を抜くな」
    一同「はい!」
    アーサー「モビルスーツに関しては、先ず疲労の蓄積が甚だしいグフ3機とザク、ルナマリア機、着艦せよ。他の機は周辺宙域を警戒せよ」
    一同「了解!」

    アグネス「え…」
    そんな。帰れって…。いやだ、戻りたくない。

    そんな内心を吐露するわけにもいかない。ただのパニックだ、こんなもの。おかしな心理になっているだけだわ。落ち着け、落ち着け。

    ミネルバに着艦。整備班の人達の困惑した顔に迎えられる。

    皆に何時もの快活さがない。当たり前だ。ヴィーノ達はカーナヴォンで共に勤務していた仲間を失ったのだから。『おめでとう』とか『やったー。勝った』とか、誰かが思ったとしても口にできるわけがない。重苦しく悲痛な空気にこの人達も苦しんでいる。

    仕方ない。

    アグネス「ヴィーノ、レーダー直してくれてありがとう。お陰で生還できたわ!」
    ヴィーノ「え…え…。ああ」

    私の言葉を聞き、ハイネ先輩も思うところがあったのかマッド・エイブスに声をかける。
    ハイネ「班長。本当にありがとうございます」
    マッド・エイブス「いや、こちらこそ。おかげで…」

    少し皆の苦しい空気が緩んだところで、私達4人、揃って整備班の人達に敬礼する。

  • 196二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:11:33

    戸惑っていた整備班の人達も一斉に返礼してくれたので、最後はちょっとだけ笑ってエレベーターに乗り込む。

    ブリーフィングルームに入室すると改めて途方に暮れてしまう。

    座りながら作戦を見守る側になるなんて。まだ仲間は戦っている。

    インパルスはフォースシルエットに換装し、ミネルバと並走中だわ。今、セイバーが帰還、デュートリオンビームを受けて、充電した後、警戒中のザクをフォローに向かっている。

    こうしてここに座っているのは何か、本当に申し訳ない。消えてしまいたくなる。

    やがて、ブリッジの映像とリンク中のモニターにダイダロス基地にぽっかり空いた大穴、レクイエムの発射口が肉眼ではっきり覗ける距離に迫る。コントロールを破壊済みとは言え、肝が冷えるわ。

    艦内放送、グラディス司令長官から。
    タリア「この一撃をもって、猖獗を極めた戦闘に終止符を打ちます。タンホイザー起動、戦略砲レクイエム!照射後は全艦全機、退避行動を」
    アーサー「了解!タンホイザー起動。目標、戦略砲レクイエム、射出口から直撃させよ」
    チェン「プライマリー兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「撃ってー!!」
    タリア「退避開始!」

    ミネルバから照射される陽電子の滝、ダイダロスクレーターに穿たれた大穴に流れ込んでいく。

    光の渦が発射口の奥を直撃し、更にレクイエム自体にため込まれていた膨大なエネルギーの逆流さえ誘発したのであろう。射出口からは巨大な火柱が地獄の門を開いたかのように虚空を貫いて立ち昇り、衝撃波は本来地震とは無縁の月の大地を揺らす。

  • 197二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:15:52

    アグネス「終わったんだ。やっと…」
    ルナマリア「ええ…」
    レイ「…」

    炎の逆流は当分止みそうにない。火柱は囂々と吹き上がり続けている。

    タリア「国際救難チャンネルの放送を開始します。こちらザフト軍月軌道艦隊旗艦ミネルバ。連合軍ダイダロス基地守備兵に通告します。

    連合艦隊壊滅とレクイエム破壊により、貴官らの交戦目的は喪失しています。人道に基づく対応を保証するので速やかに武装を解除、投降なさい。機密資料等の隠匿・破壊はこれを許可しません」
    バート「シグナル確認。武装解除と投降、機密資料の提出に応じるとのこと」

    アグネス「(流石にここまでやられれば、下らざるを得わね。吶喊しようにも機体も尽きただろうし)」
    と言うか、第一司令室は今の爆発で吹き飛んでいるのではないか。今、降伏を飲んだのは第二、第三指揮所の士官なのでは。

    ミネルバと共にインパルス、セイバー、ザクも月面に降り立っていく。ガズウート隊、ケルベロスバクゥハウンド隊も出撃、降伏させたなら基地自体を確保しなければならない。幸いあくまで外見上ではあるが、レクイエムとアスランが突入時に破壊した対空砲ぐらいしか基地に損害はないように思う。

    ハイネ「じゃあ、俺達も行くか」
    アグネス・ルナマリア「え…?!」

    もう休んでいろ、と言われているのにどうしたんだろう?ハイネ先輩らしくもない。
    ハイネ「陥落させた城に入城するって言うんだ。しっかり締めくくらなきゃな」
    アグネス・ルナマリア「はい!」
    レイ「ええ…」

    少しだけ生気を取り戻した私達の顔を見てハイネ先輩も少し嬉しそうに頷く。
    ハイネ「じゃあ行くか。あ…。言うまでもないが捕虜は丁寧に扱えよ」
    勿論、そこはしっかり割り切っているわ。

    アグネス・レナマリア・レイ「はい!」

  • 198二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:40:19
  • 199二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:42:49

    激戦おつでした!

  • 200二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:50:37

    レクイエム破壊成功おめでとうございます

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています