×××海溝から回収された文書

[1 無銘の生徒 24/09/11(水) 16:49:02]

書き残しておく必要がある。
書いておかないとそのうち忘れてしまうだろうし、今日聞いたことは重要だと思ったから。
私にとって重要という意味ではない。私が、あるいはまだキヴォトスに生きる人達がなにかをできるだけの時間は過ぎてしまった。
でも、どこかの誰かがどうにかできるのかもしれない。少なくともその助けくらいにはなると信じて。
これをパイプに詰め、ロウで覆い、渓谷の奥底に投げようと思う。
いつの日か誰かがこれを読んで、考えをまとめるはず。
──それが許されるのなら。

[2 無銘の生徒 24/09/11(水) 17:02:06]

最初から書くことが出来れば良かったんだけれども、正直なところ、いつ世界が終わり始めたのかがわからない。
最後のピースがはまる前に長い間何かがあったのかもしれないし、得体の知れない何かが押し寄せてきたのかもしれない。
終末を知らせる喇叭を聞くことになるその日、私は学校を休んだ。
いつも勤勉に学業に取り組んでいたつもりである私だが、ふとその日だけは何故か無性に家を出たくなかった。今思えば、この気まぐれが私の今後の運命を決めたのだろう。
学校を休んだ私は何をするでもなく、流れるまま二度寝をした。
次に目を覚ましたのは黄昏時だった。外がやけに騒がしく感じたのでベッドから出て部屋の窓から外を見てみると、そこには混乱が広がっていた。

[3 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 17:06:55]

元ネタ好きだから期待

[4 無銘の生徒 24/09/11(水) 17:16:14]

至る所に飛び散る赤黒い液体。絶叫と狂笑、悲鳴、銃声に謎の鳴き声。あちこちで煙や火の手、爆発が起こっていた。
私の知っている街並みは狂気と恐怖の飛び交う地獄と化していた。
もし、この後この事態を理解させてくれる何かがなかったら私もすぐにあちらの仲間入りをしていたと思う。
呆然としている私を現実に引き戻してくれたのは手に持っていた携帯からの緊急放送だった。
画面には連邦生徒会からのキヴォトス緊急災害放送と表示されていた。その放送は画質も荒く、所々にノイズが走っており簡素なものであった。
なんでも、放送の案内が言うにはキヴォトスに敵対勢力が押し寄せてきて対応が取れなくなった時に自動再生される映像との事だった。

[5 無銘の生徒 24/09/11(水) 17:40:10]

こんな物が流れる時点で事態は良くない方へ向かっているのは学生の私でも想像できた。だが、それは私の想像とは比べ物にならないものだったんだろう。
流れる放送の機械音声は時たま何かに捻じ曲げられ、歪曲し、声の高さが安定しない酷く不気味な物に変化していた。何かからの干渉を受けてしまっていたのだろう。
それでも私は目を逸らさず見続けた。
放送ではキヴォトス市民がするべき行動についてを述べていた。直ちに窓のない地下室を避難し、追加の指示があるまで待機しろ、と。
放送は続き、次は連邦生徒会主席行政官からの案内とのこと。だがそこに写されたのは血が飛び散り、悲鳴が飛び交う連邦生徒会の放送室だった。
悪夢はこれで終わらなかった。
映像は急に赤くなったかと思いきや、喧しいピープ音を鳴り響かせながら、先程までの緊急災害警報を訂正し始めたのだ。
「さっきまでの放送は間違いだ。もう安全になったから外に出て大丈夫」
と。まるでこちらに誘うように。

[6 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 17:44:23]

あ、これはあの動画のやつか……

[7 無銘の生徒 24/09/11(水) 17:56:16]

と思ったら画面はさらに赤くなり、先の誘いを塗り潰し、
「外に出るな。明かりを消して、入り口を塞げ。誰であろうと中に入れるな。事が済むまで何があろうと誰であろうと返事をするな。音を立てるな。誰も信じるな。逃げて」
と呼びかけるような警告に変わった。
その後の私の行動は早かった。家中の物資をかき集め、こんな事もあろうかと備え付けられていた地下のシェルターにすぐさま籠った。
準備をしている間、放送は緊急災害警報を解除するとの旨を述べていたり、主席行政官の姿をしたナニカが会見を開いていた。それは連邦生徒会が既に沈黙している事の何よりの証拠だった。もはや頼れるのは自分のみ。
地下シェルターで息を殺し、隠れ続けた。
地下で隠れている間、僅かだがまだネットは繋がっていたのでSNSで情報収集をしてみた。

[8 無銘の生徒 24/09/11(水) 17:57:17]

付属されていた情報記録媒体に記録されていた映像

[9 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 18:20:47]

こんな感じの書き出しをSCPで見た気がするわね

[10 無銘の生徒 24/09/11(水) 18:22:23]

だが集まってくる情報は不気味で目を背けたくなる、酷く正気を削がれる話ばかりだった。
ある所では人々が殺し合いをし、お互いを喰い合っていると。
ある所では2匹の黒い巨大な猫が人を頭から貪り食っていると。
ある所では何対もの目と天使の羽を携えた異形の存在がそらから人々を浄化していっていると。
ある所では秘密主義の治安維持組織が自らの教えに反する者たちを殺戮していっていると。
こんなのはまだまだ序の口であり、更なるクソみたいな話が回線が切れるその日まで飛び交っていた。私は心の平穏を保つため、途中から情報を集めるのもやめた。だがそれでも私の精神を蝕む事態は終わらなかった。
地下室に籠っている間、扉を叩くノック音や私を呼ぶ友達の声がするのだ。扉を引っ掻き、叩き、開けてよと曲がった声で私を呼ぶ声が。
私はあの警告を信じ、ただひたすらに沈黙を続けた。恐怖で頭がどうにかなりそうだった。

[11 1じゃないよ 24/09/11(水) 18:22:38]

わからない人でも楽しめる用元ネタ

マリアナ海溝から回収された文書 - SCP財団

[12 無銘の生徒 24/09/11(水) 18:36:16]

どのくらいそうしていたのか。どれくらいの長さか全くわからなかった。
携帯の充電も予備の電源も底をつき、今が何日であの日から何日経ったのかわからなくなっていた。
1週間かもしれないし、1ヶ月かもしれない。はたまた数年経っていたのかも。
元々準備はしっかりするタイプの性格だったので食料の備蓄は充分にあった。でもそれらもやがては底をつき、ついに私は物資に事欠くようになり、外に出なきゃいけない日が来てしまった。
もう、随分と前には扉を叩く音も声もしなくなっていた。
意を決して、外に出てみるとそこには終わりが広がっていた。
何もかもが血塗れで、ありとあらゆる物が破壊し尽くされ、切り刻まれていた。でも不気味な事に生き物の死体もオートマタの残骸も住民であった者の痕跡が残っていなかったのだ。私は近くの残骸の中から目ぼしい物資を漁って地下室に戻った。

[13 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 18:45:33]

>>8

この人のホラーブルアカマジで怖いんだが

[14 無銘の生徒 24/09/11(水) 18:47:11]

それからは物資を漁っては地下室に戻り、また物資がなくなったら探しに外を出て、地下室に戻るという生活を続けていた。
物資を探すのは文字通り命がけだった。どこに行こうとも、地上には異形の存在がそこら辺を闊歩していたのだから。
全身が溶けた人型生命体や内臓をあちらこちらから引きずっている鎖に縛られた狼や。枚挙にいとまがないほどだ。
あのバケモノ達の頭には皆何かのカケラが浮かんでいた。それはまるで私達の上に浮かぶそれに似ていたような気ががしたがそれ以上は考えるのをやめた。
見つかったら一瞬で肉塊にしてくるような存在達から必死に正気を保ちながら、身を隠しながら、物資を探し続けた。
もはや何のために生きているのかわからなくなりそうだった。

[15 無銘の生徒 24/09/11(水) 19:00:13]

そんなある日の事、私はついに自分以外の生存者を見つけた。
傷だらけのその水色の髪をした女は連邦生徒会のメンバーのように見えたが服が酷くボロボロだったので詳しい所まではわからなかった。
彼女を自分の地下室まで案内し、豆の缶詰と水を分けてあげると少し回復したみたいだった。
わかる事でいいから何か教えてほしいと尋ねられたが、あの終末以降、出会った人間は貴女が初めてという旨を伝えると彼女はショックを受けたようだった。
彼女は何故世界がこうなってしまったのかを教えてくれた。曰く、この世界の外から来た、異常な存在が人々を狂わせ、反転させてしまったのだと。
バカな私には全てを理解する事は出来なかった。
私は彼女の治療を手伝い、何者なのかを聞いたが答えてもらう事は出来なかった。
治療を終えた彼女は全てを悟った顔をし、この世界線はもうダメだという事を話してくれた。

[16 無銘の生徒 24/09/11(水) 19:16:26]

私は酷く落胆していただろう。しばらくの間、座り込んで話を飲み込んでいた。
そのうち彼女はストレッチをし、怪我を確認し始めた。どうしたのかと尋ねたときにはブーツを履き直し、こう言った。
「やり直します」と。
彼女が言うにはとある場所にある装置と自身の神秘を使用する事で全てをやり直せるらしい。
時間を、世界線を巻き戻し、全てを忘れさり、ゲームをリスタートするかのようにやり直す事が出来るのだと。
辛く長い、険しい道のりになるだろうがいずれは全て元通りになり、ハッピーエンドになると。
私は唖然とし、つい彼女に「貴女の言ってる事はおかしい」と言ってしまった。これを忘れる人間なんていない。全てを元通りにできるなんてそんな御伽話のような事があるわけがない、と。
それを受け取った彼女は止まり、私を見て笑った。




「何故出来ないと？前にもやったんですよ」

[17 無銘の生徒 24/09/11(水) 19:22:37]

彼女がおかしいのかどうかはわからなかったけど、正気なんじゃないかと思う。地下室を出るときに彼女はここは水の中に沈むからどうとか言っていた。

どうか、彼女らが私を洗い流さないように。
彼女らが我々を隠さないように。
もっと色々なものを見つけて欲しい。
なにかを残そうとした人たちがいることを私は知っている。

世界を無駄死にさせないでくれ。
私達を忘れないで───

[18 1 24/09/11(水) 19:26:02]

というわけで終わりとなります。
昨日見つけたあるスレでの上記の動画がぶっ刺さり、ふと大好きなSCPのtaleと組み合わせ、終末後のブルーアーカイブの世界で出来ないかと思いついたのを衝動で書き殴ったものです。
色々と読みづらかったかもしれませんがお付き合い頂きありがとうございました。

[19 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 19:34:43]

面白かった

[20 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 19:42:07]

>>18

そのスレを教えてもらうことってできますか？

[21 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 19:43:46]

>>11

この話をブルアカでやる場合は生きてた頃の司祭の手記とかにならん？

[22 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 19:48:08]

>>20

多分これ

まあ動画が貼ってあってその元ネタの情報がちょいちょいある程度でそんなに内容が多いスレではないんだけどな

【閲覧注意】｜あにまん掲示板

[30 1 24/09/11(水) 20:09:13]

補足をすると外から来た異常存在=色彩
やり直しに関しては装置は本編の冒頭の列車を神秘は連邦生徒会長がその手の能力を有する説から取って来ています
なにかしらのSCPオブジェクトを物語に入れたわけじゃなく、オマージュのつもりで書いたのでクロスは入れませんでした

[54 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 20:44:11]

>>8

ちなみにこれの元ネタは恐らくこれ

ローカル66→日本国尊厳維持局→キヴォトス版だから興味ある人は調べてみてくれ

面白いぞ

[日本語字幕]Local58 - Contingency (有事対応)

[56 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 20:44:56]

>>54

ローカル58だった

66ってなんだよ

[57 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 20:47:11]

>>10

ある所では2匹の黒い巨大な猫が人を頭から貪り食っていると。

これキキョウとカズサ説

あるいはマリーとセリカ加えた四人から二人

[58 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 20:48:29]

>>10

あーっ絶対シスフ暴走してる…サクラコ様は異端切り捨てるタイプに変貌したのか真っ先に殺されたのか…

[59 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 20:50:02]

なんか>>1お疲れ様

組織やキャラとかの小ネタ解説してくれたら助かる

[80 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 21:34:07]

ブルアカの世界は廃墟に現在の世界ではない無名の司祭時代の機械であるアリスが残ってたりするし、リセット前の世界の遺物という設定は妄想が広がったわ
こういう設定の二次創作書きたいな……

[81 1 24/09/11(水) 21:36:10]

設定とか何もかんも元ネタ発祥です……
自分が考えた設定とかマジで何もないので……
ただ設定を置換しただけなので……

[87 1 24/09/11(水) 21:44:04]

>>83

ありがとうございます……

一応怪物達の元は

猫2匹→キキョカズ

天使の羽の異形→ティーパーティーの誰か（旧約聖書の天使本来の異形の姿）

殺戮秘密主義組織→おかしくなったシスフ

狼→カンナ（元ネタがフェンリル）

って所から取ってます。元ネタがわかりやすいやつらからです

[89 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 21:48:14]

>>87

狼はフェンリルからカンナか！

身体が弱いと異形化テラーに耐えられないらしいし

色彩に触れさせられてテラー化した影響で大勢殺したり人間性も失っちゃったのかな

ある程度狂うまでの過程の構想があるなら気になる

[97 二次元好きの匿名さん 24/09/11(水) 21:57:31]

>>89

キキョウは百花繚乱

カズサは放課後スイーツ部が酷い事になってそ

異形化して生き残った方がある意味で地獄