閲注?】相澤先生関連のSSを書いていく・2

  • 1124/09/11(水) 21:30:57
  • 2二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:31:15

    ありがとう

  • 3124/09/11(水) 21:32:19

    立ってる?
    立ってるっぽい?

  • 4124/09/11(水) 21:33:56

    画像が載ってない……

  • 5124/09/11(水) 21:34:44

    とりあえず10まで埋めます

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:35:19

    2スレ目だー!ありがとうー!

  • 7124/09/11(水) 21:35:53

    そう言えば>>1にも載せたけど今まで書いた奴1Pで纏めてあるから好きなやつあったら読んでくれ~

    書きかけのマイクのやつも載せてあるよ

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:36:01

    スレ主のSSが元気の源です!
    ありがとうございます!

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:36:49

    冷静に考えてこの短期間で5本は頭おかしい
    本当にありがとうございます

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:38:26

    生徒との絡みもマイクとの絡みも全てが大好きです
    負担にならない程度に楽しく末長く書いてくれ 全部美味しくいただくありがとう

  • 11124/09/11(水) 21:38:42

    ありがとやで
    昼間来れないので保守オナシャス
    居ない間は相澤先生の話なら雑談とかしててくれてええので好きに使ってください

    おやすみ!!!!!!!!!

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:39:26

    >>11

    おやすみ

    待ってるよ

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:40:18

    相澤先生の過去を生徒に知って欲しいが
    知ってどうする&本人の口からは一生出てこない
    っていうダブルパンチで妄想が進まない

  • 14二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:42:27

    スレ主もしかして一万字行かなきゃSSだと思ってたりしてない?我々は嬉しいが

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:45:06

    マジでスーパーティーチャー相澤先生の妄想で今食いつないでる
    オバホ戦あとにお茶子ちゃんの肩に手を置く相澤先生とか「爆豪を助けてくれ!くそぅ!」する相澤先生とか。
    生徒を救う相澤先生(救ってる自覚がもしかしたらない)に夢を見ている

  • 16二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:19:20

    相澤先生とA組女子のわちゃわちゃした絡みを一生見てたい
    女子たちで出かけたら偶然オフの先生に会って普段とちょっと違う先生におお...となるアシミナとか挨拶済ませてさっさと立ち去ろうとしたけどせんせーどこ行くのー、えっエリちゃんのプレゼント選ぶんですか?手伝ってもいいですか!!って押されて正直助かるし頷いちゃう先生見たい
    お礼は○ラペチーノとか(先生はコーヒー飲んでる)

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 05:05:58

    あー…好き

  • 18二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 10:39:09

    ほしゅ

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 18:35:08

    過去回想のとこで学生時代の相澤先生お昼にお弁当食べてたけど、出身地東京だから多分下宿生だろうし昔はちゃんと自分でお弁当作って持ってきてたのかと思うとすごくいい

  • 20124/09/12(木) 18:51:53

    ただいま
    今日は仕事中と移動中にポチポチしてたやつがもうすぐで書き終わりそうだからそっちを先に載せるね

  • 21124/09/12(木) 18:52:33
  • 22二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 18:56:53

    おかえり〜
    聞きたいんだけどスレ主が書いてるSSってその度に書いてる?
    前に書いたやつとかを手直しして出してる?

  • 23124/09/12(木) 18:59:53

    >>22

    その度に書いてるよ~

  • 24二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 19:02:01

    >>23

    ありがと

    私3日とかかけてスレ主の一本書けるかどうかだからすごい早いなって思って聞いてみた

    質と速度両方あるのすごい

  • 25124/09/12(木) 19:05:12

    >>24

    なんかここの住人めっちゃ褒めてくれるな

    照れるぜ


    私出力の速度が他の人よりたぶんだけど少し早いんだよね

    乗ってれば大体三時間で一万字くらい、遅くても五時間

    でも早い分雑なところとか誤展開とかあるから、早けりゃ良いとか長けりゃ良いとかじゃないと思うよ

  • 26124/09/12(木) 19:50:31

     やせ細った女性が対面に座る。
     事前に聞いていた年齢よりかは若干老けて見える疲れた顔、深緑色の長い髪。女性はインタビュアーよりも先に深々と頭を下げた。
    「本日は私の要望に応えていただきありがとうございます」
    「とんでもございません! こちらの方こそお礼を申し上げます。まさか貴女の方からご連絡を頂けるとは」
     インタビュアーは内心の動揺を隠して笑顔を取り繕った。
     ボイスレコーダーを起動し、メモを手にして椅子に浅く腰掛ける。
    「でもいったいなぜこのタイミングなのでしょうか。もうあの事件から八年の歳月が経ったわけですが」
    「……そう、ですね。色々とありますけれど、一番は」
     女性は長い長い間をおいて呟く。
    「……ようやく、私の中で折り合いをつけることが出来たから、でしょうか」
    「なるほど。息子さんを亡くされたのですから当然でしょう、今回はどのようなことをお伝えになりたくて連絡をくださったのですか?」

  • 27124/09/12(木) 19:51:10

    >>26

    「今回……今回は」

     緑谷引子は伏し目がちに視線を彷徨わせてから、気弱な視線を正面に向ける。

     伝説にもなったヒーロー・デクの母親とはとても思えない雰囲気で、けれど決して及び腰にはならないよう背筋を伸ばした。

    「担任の、イレイザーヘッドについて、世間の皆様にお伝えしたいことがあるのです」


     ‡


     稀代の無能プロヒーローといえばだれか。

     ネットでその話題が出るたびに真っ先に出てくる──あるいは殿堂入りとされている──のがイレイザーヘッドという男だ。

  • 28124/09/12(木) 19:51:54

    >>27

     無精ひげ、伸びた髪、ボロボロのヒーロースーツ。抹消と言う強個性を持ちながら大戦では大した活躍を見せず、今や活躍を聞かない時はないほどのプロヒーローとなった雄英高校元一年A組を危険に晒し続けた男。常にネットでは笑いものとされていて、元教え子たちも彼の話題となるとコメントに困るのか口を噤んだ。

     とくに彼の評価を決定づけたのは大戦におけるデクの喪失だ。OFAという宿命染みた個性を背負った少年のケアをせず、戦線に赴かせAFOとの一騎打ちで死亡させた。当時イレイザーヘッドへのバッシングは凄まじく、連日報道が行われた。

     両親は海外に逃げ、事実上の絶縁となり雄英高校にも居場所のなくなった彼が今どこにいるのか、誰も知らない。



     夢は、脳が過去の出来事をベースに見せるものだという。だから死んだはずの人間が変なことを言ってきてもそれはただの自分の願望に過ぎず、意味はない。

  • 29124/09/12(木) 19:52:31

    >>28

    『覚悟してくださいね』

     カイは昨日の夜の夢を思い出す。こんな時に考えることではないというのに。荒い息を吐きながら、夢の中の人物は自分を見ていたずら小僧の様に笑っていた。

     黒い髪を振り乱しながらカイは自宅までの道を走っていた。

     生まれ故郷の日本とは違い、まるで整備されていない地面を蹴って大急ぎで家へと向かう。途中、近所のクエンが「今日は美味しい果物が入ったよ!」と言っていたので「また今度な」と返しながら、走る。

     家につき、鍵を閉めて息を整える間もなく荷物をまとめ始める。こんな日がいつか来ると思って元々私物を少なめにしておいてよかった。

    「くそっ……八年だぞ……!」

     カイは舌打ちをしつつ荷物をリュック一つ分にまとめて背負い、玄関からではなく窓に向かう。

     だが、玄関の外から何か風を切るような音が聞こえたと同時に扉が轟音を立ててぶち破られ、その衝撃でカイも吹っ飛ばされた。

  • 30124/09/12(木) 19:52:55

    >>29

     瞬時に受け身を取って起き上がり、窓に向かうが、そこには既に金髪の男が立っていた。

    「やー、どーもどーも! 日系ベトナム人のカイさん! ちょーっとお話宜しいですか? 私日本の法的機関の者なんですけども」

    「お話宜しいですかって聞く人は玄関ぶち破らないんだよ」

     カイの視線は先ほど玄関を破った物の正体に映る。紫とピンクが綯い交ぜになった髪の毛のような物の塊が床に突き刺さっていた。

     ──レディ・ナガンか。

     目の前の男を制圧して外に出たほうが早いが、縦横無尽な弾丸が自分の体を貫く速度には勝てないだろう。カイは両手を挙げて壁に背をつける。

    「賢明です」

    「どうしてここが?」

    「トップシークレットです、と言いたいところですがね。まあいざというときの為に事前に見張りをつけといたんですよ。と言っても現地の協力者ですけど」

    「ッチ、やけに手際良いと思ったら八年前からかよ」

  • 31124/09/12(木) 19:53:52

    >>30

     観念したように脱力をするが、視線だけはぎらつかせてあたりを警戒する。目の前の男……日本の公安トップであるホークスが警戒心を解かせるための、無害な笑みを浮かべている。

     この男の笑顔が信用できないことなど、八年前の戦いで学習済みだった。

    「ホークス、アンタ今公安トップだろう。こんな東南アジアの端っこにいったい何の用だってんだ」

    「いや~、俺日本から出たことないんで観光とか初めてでしたよ。まあそこはおいおいやるとして。今日は貴方に会いに来たんですよカイさん」

     ホークスの笑みがわざとらしく形どられる。

    「いいえ、相澤消太さん。イレイザーヘッドの方が良いですか?」

    「…………その名前をアンタが出すことに、メリットを感じないが」

    「これがあるんですよね~!」

     ホークスは目の前で携帯を弄り始める。

  • 32124/09/12(木) 19:54:52

    >>31

     どうにか逃げられないかと視線を彷徨わせるが、ナガンの気配を感じることが出来ない。どうやらかなり遠くからこちらを狙っているらしい。窓や玄関の死角に非常口は作ってあるが、彼女にとってそんな物はないのと一緒だろう。

     大人しくホークスの動向を見ていると、彼は一つの動画を開いた。「八年の歳月を破り、今真実の告白」というタイトルの記事に付随した動画には、見知った顔が載っていた。

    「緑谷の……お母さん。っ、おいホークス! まさか」

     とっさに最悪の事態を想像して彼につかみかかった。

     全盛期よりは衰えている物のまだまだ現役として通用するカイ……相澤の腕力に、けれどホークスは全く怯まない。

    「しい。ちゃんと見てください、イレイザーヘッド」

     そう言って、ホークスは再生ボタンを押した。

  • 33124/09/12(木) 19:56:52

    >>32




    『では、雄英高校はイレイザーヘッドをバッシングさせることで緑谷家を守っていた、ということなんですね?』

    『いいえ。イレイザーヘッド自身が提案されたことなので高校の判断かはわからないんです』

    『彼が直接提案したんですか?』

    『はい。「今は御心を休めてください」と、息子を亡くした私たちを気遣って、メディアの目がこちらを向かないように矢面に立ってくださいました』

    『失礼ですが緑谷さんはその時は』

    『私は息子が死んでしまったことで頭がいっぱいで。先生がメディアに出ていることの意味すら理解しておりませんでした』

    『そうですよね、まだ十六歳のお子さんを亡くされたんですもんね』

    『先生は……先生は、A組の他の子たちにも被害が行かないように自分に関する話題はなるべく出さないようにと指示を出されていたようで。お恥ずかしい話ですが、私がそのことを知ったのは息子の代の子たちが卒業した日のことでした』

  • 34124/09/12(木) 19:59:33

    >>33

    『それは誰からお聞きになったんですか?』

    『息子の友人の、大・爆・殺・神ダイナマイトのお母さんからです』

    『美談のように語られますが、実際イレイザーヘッドが守れなかったからお子さんは亡くなられたのではないですか? 当時を私は知っていますが、あれは雄英高校の失態でしょう』

     画面の向こうでずっと俯きながら話していた緑谷引子が、初めて明確に首を横に振った。

    『いいえ、いいえ。あれだけの巨悪に、先生はよく戦ってくださいました。雄英高校も、出来る限り全てのことをしてくださいました。今ならわかるんです、今ならあれが最善を尽くし続けた結果だったとわかるんです。でも私はあの時いっぱいいっぱいで、先生を盾にして逃げてしまって。私だって戦場に出るあの子を送り出した一人だから、一緒に前に出なければいけなかったのに。それがずっと申し訳なくて、耐えられなくて』

    『それで今回、お話に来て下さったんですね』

    『はい』

    『でもそうなると次の問題が出てきますよね、雄英高校はどうしてイレイザーヘッドを守らなかったのでしょう』

     緑谷引子が応える前に、コメンテーターの一人が手を挙げた。

  • 35124/09/12(木) 20:03:33

    >>34

    『これは推測でしかないのですが……彼はおそらく、勝手に自分でインタビューを受けたんでしょうか。私も当時取材をしていましたが、雄英高校は徹底的に部外者をシャットアウトしていて、外部の人間が接触することは不可能でしたから』

    『じゃあ黙ってれば世間は忘れてくれたんじゃないですか? なんでわざわざイレイザーヘッドはメディアに出てきたんでしょう』

     新入社員のアナウンサーの言葉に年配のコメンテーターはせせら笑った。

    『そりゃあなた、あのデクの戦いをリアルタイムで見てた人たちはそれじゃ納得しないですよ』

    『そうなんでしょうか』

    『そうですよ、あの時遠くにいた私だって画面を見て、頑張れ、頑張れ! って声を出していたくらいです、避難所にいた人には神様くらいすごい人だったでしょうね。そんな人が相討ちで死んじゃったんだから、誰だって誰かのせいにしたくもなりますよ』

  • 36124/09/12(木) 20:04:34

    >>35

     熱弁するコメンテーターに対し、帰国子女で当時をよく覚えていないのだろう若いアナウンサーは「そうなんですか」と他人事のように呟く。

     それを見て、緑谷引子は改めて前を向く。

    『当時は……みんなが責める先を探してました』

     言葉は重い。

    『もし、あのバッシングがなかったら……みんな口々に見知らぬ誰かを責めて、息子の遺した「頑張れ」っていう大切な想いも消えてしまっていたのでは、と思うんです』

    『あのバッシングは必要なことだったと?』

    『そういいたくはないですが……結果としては、そうなってしまったのかな、と』

     涙声になってしまった緑谷引子の言葉を引き継ぐようにコメンテーターが喋る。

    『たしかに、デクの遺した善性ともいえる感性は今や世の中全体に行き渡っています。でもそれは確かに、あの大戦直後責める矛先があった故の安定ともいえるでしょうね』

  • 37124/09/12(木) 20:09:08

    >>36

    『今なら、大戦の傷跡も少しずつ癒えてきて、世の中の皆さんは息子の遺した想いを正しく受け取ってくださっていると思うんです。だから、私があの時先生の陰に隠れて逃げてしまった罪を償うのなら、今しかないのではないかと』

    『なるほど、だから今なんですね』

    『はい』

    『この決断をされるのは勇気が必要だったでしょう』

    『そうですね。……でも、私が今回この話をしたいと言ったら、たくさんの人たちが掛け合ってくださって。先生の元教え子の皆さんはもちろん、お仕事で一緒になっていたプロヒーローの方々、雄英高校の現関係者、特に校長先生……こうして、世間に全てのお話が出来るようになったんです』

  • 38124/09/12(木) 20:12:16

    >>22

    ごめんこれもし「投げながら書いてる?」って意味だったら違う

    書こうって決めた物をがーってある程度書いてからそれを分割して投げてる

    書くもの自体はその場で決めて「書いてくる~」って言ったタイミングで書き始めてる

    伝わってるか…?伝われ…!

  • 39124/09/12(木) 20:12:49

    >>37




     どこかのワイドショーを切り取った動画を見せられて、相澤は絶句した。二の句が継げぬとはまさにこのことだった。

     どうにか絞り出した声は声というよりも「音」で、自分の耳に響き不快さを煽る。

    「っ、なん、だ、これ……」

    「ご覧の通りです。八年前、貴方が決死の覚悟で作った「緑谷出久の遺した意志が浸透するまでの猶予」は間違いなく果たされました。それを受けて、その意志を引き継いだ皆さまが今度は貴方の名誉の回復に勤しんでいるわけですね!」

     やけくそ気味に言われた言葉に相澤は頭を抱える。

     逃げる意志を挫くそれに思わず床に座り込むと、新しい足音がやってきた。

    「げっ、まだそっち居てくださいって言いましたよね」

    「もういいだろ、そいつは逃げない」

  • 40124/09/12(木) 20:17:03

    >>39

    「そりゃそうですが……この人がこの森で本気で逃げようとしたら捕まえんのだいぶ骨折れるんですからね、わかってます?」

    「で、話はしたのか?」

     歩いてきたのは紫色の髪をした女性だった。

     レディ・ナガンと呼ばれたかつてのヒーローはどうやら現在公安にいるらしい。どういう経緯かは知らないが。

    「それはこれから」

    「……何の話があるってんだ」

     ガンガンと痛む頭を押さえつけてかろうじて声を出せば、やはりやけくそ気味のホークスが食い気味に被せてくる。

    「いやですねえ~。緑谷引子さんの告白を皮切りにSNSやワイドショーを中心に当時の関係者の心境吐露みたいなのがバンバン出てまして! 特にヒーロー関係者! 八年前は貴方の言い分が正しいと思って黙っていたけどやっと言えるんだ! って連日報道の嵐嵐嵐!」

  • 41124/09/12(木) 20:18:16

    >>40

    「そういうのは……公安がどうにかするもんじゃないのか?」

    「あっはっはっは! 公安が三百人規模の言論の自由奪えると思えます!? あの大戦経験者で肝座りまくりの三百人! 見せしめ一人二人で怯むメンツじゃないんですよもう!」

    「三百っ……!? おい、俺にはそんな交友関係はないぞ」

    「貴方になくても貴方の教え子にはあるんですよね」

     ホークスはそう言ってスマホを相澤に渡す。

     この地に来てから電子機器は持っていない。素性が漏れることを警戒したからだ。

     久しぶりに触ったスマホは前よりもずっと画面が大きくて、発色が良い。極彩色に彩られるニュース欄のスクリーンショットには一度は聞いたことのあるような名前から知らないものまでさまざま混じっていた。だがどれも、確かに教え子たちとかかわりがあるヒーローやその関係者に思える。

  • 42124/09/12(木) 20:23:39

    飯食ってきてからまた投げるね~

  • 43124/09/12(木) 21:08:32

    戻ってきた
    これからまた投げるね~
    ♡めっちゃ嬉しい読んでくれてありがとうやで

  • 44124/09/12(木) 21:14:21

    >>41

     混乱する頭は現状についていかない。眉間の間を抑えるが頭痛は収まりそうになかった。

    「あの大戦を経た人たちはヒーローだけじゃないですよ。ジャーナリズムを取り戻した報道関係者、少しでも多くの人たちに手を差し伸べることを目的としたNPO団体、ヒーロー科を有する全国の教育機関、自分の知名度を正しく使おうとするインフルエンサー……騒動がとんでもない数に膨れ上がってもう公安は手が付けらんないんっすわ」

    「……それは、さぞ大変だろうな」

    「大変なんてもんじゃなか~」

    「というか、アンタがそうやって出し抜かれるのは珍しいな。これだけ大規模だったら準備期間だって相当あっただろう。どうやって公安の目を……」

    「ラブラバが作った専用ネットワークで極秘裏に打ち合わせをされつつツクヨミに内偵されてたら出し抜かれもされるんすよね~!」

     ホークスは疲れ切った笑いを漏らす。

     反対に相澤は信じられないと目を見開いた。

  • 45124/09/12(木) 21:15:08

    >>44

    「常闇が……内偵……?」

    「内偵って言うかアレは囮でしたね。俺に疑わせるための囮。で、疑いが晴れてあー良かったツクヨミはそういうことしないよねって思ったらこれっす」

    「そ、それは……なんと言うか」

    「まあ出来の良い生徒さんをお持ちで」

     相澤の目の前に座り込み「で、ここからが本題」と笑った。

    「ご想像の通り、いま日本は大変なことになってます」

     真面目な話のトーンになり、相澤も身を正す。隣に居たナガンもようやく本題に入ったかと歩を進め二人の間に入った。

    「八年前に自分たちが大バッシングしていた奴が実は身を切って教え子たちを守ろうとしていた、なんとも美談です。だけど同時に当時の人たちには受け入れがたいことでもあります」

    「なんせあの日からヒーローデクの意志を継いできたと思っていた自分が、加害者だったわけだからな」

  • 46124/09/12(木) 21:15:31

    >>45

    「……だから、これは墓場まで持って行けと、俺はあいつらに教えた」

    「当時せいぜい十六、七歳の子供に? かけがえない友達を失って判断力の低下していた子供たちに? それは洗脳と何が違う」

  • 47124/09/12(木) 21:16:02

    >>46

     ナガンに痛いところを突かれて相澤は視線を逸らす。ホークスはそのあたりの年齢に特に思うところはないのか、笑みを湛えたまま黙って居た。

     ナガンが視線の先を遮るようにして座った。東南アジア特有の湿気を含んだ空気が床を湿らせているが、彼女もホークスも、気にした様子はない。

    「その様子だと担任を生贄にしたっていう負い目を生徒たちに残した自覚はあったみたいだな」

    「……」

    「先輩、言いすぎです」

    「悪い悪い」

     ホークスの咎めるような視線を軽くいなすナガンに、苛立ちはするが反論する言葉は思いつかない。仕切りなおすようにしてホークスは語る。

  • 48124/09/12(木) 21:16:47

    >>47

    「みんな限界だったんですよ。いつか自分たちの同級生が遺した『がんばれ』って想いが世間に浸透して、当たり前になって、誰もが誰かのヒーローになれる時代が来て……きっとそうなったら、貴方の名誉だって回復してもいいだろうって、そう思ってたんす」

    「簡単に世の中は逆戻りする。現にそうなりかけてるんだろう?」

     見苦しく自分の言葉を正当化しようとする相澤に、目の前に座る男は殊更優しい声を出した。詐欺師の声だ。

    「ええ。だから貴方にお話を持ってきたんですよ、イレイザーヘッド」

    「……?」

  • 49124/09/12(木) 21:18:18

    >>48

    「世間は大混乱! かつての罪悪感を隠すために攻撃的になる人や自分がしでかしたことに心を病む人、昔攻撃してた人を攻撃する人、沢山います! さて、この人たちの関心を根こそぎ奪うにはどうしたらいいでしょう?」

     相澤は首を捻る。

     ホークスという男はこういう回りくどいことをするような人間ではなかったと思うが。だが、聞かれている以上は答えなければならないだろう、イニシアチブは向こうにある。

    「それらを上書きするようなことを起こす?」

    「そう! でも、今世の中の関心はこの話題だけで暫くは他の話題で上書きするのは無理だとしたら?」

     面倒な問いかけだ。

  • 50124/09/12(木) 21:19:35

    >>49

     相澤はもう一度悩む。頭の回転は別に悪い方ではない。

     別の話題で上書きするのが無理なのであれば、例えば同じ話題の中でサプライズをするのはどうだろうか。そうだ、例えば今恐らく日本中が消息の確認をしたいと願っているような人がいきなり現われでもしたら……。

     そこまで考えて、相澤は思考をシャットダウンした。

    「…………………………………………いや、わからんな」

    「わかる奴の間だな」

     とっさに浮かんだ案に、いやな予感がして否定の言葉を出すがナガンが笑って茶化す。

     正解を当ててしまったらしく、頭を抱えるしかない。小さく「嫌だ」とうめくが、ホークスは至極楽しそうに笑っている。これは同じ地獄に人が落ちてきた時の畜生の顔だ。

  • 51124/09/12(木) 21:21:43

    >>50

    「一回生贄になってんですからもう一回くらいいいでしょう」

    「こんな世捨て人みたいな生活よりいい飯が税金で食えるぜ」

    「俺はこの生活に満足してんだよ敵どもが……!」

    「おい言われてるぞ公安トップ」

    「何言ってんですかどう見ても先輩のが敵ですよ」

    「どっちもだ」

     相澤の悪態はどうやら二人には届かない。

     元々相澤は腹芸が得意ではなかった。この二人にやさを当てられてしまった時点でもはや敗北は必定だったのだろう。

     項垂れる顔面に、資料らしきものの束が落ちてくる。

    「これは」

    「こちら、イレイザーヘッドと教え子たち感動の再会ストーリーロードマップになります」

    「クソが……!」

  • 52124/09/12(木) 21:26:23

    >>51

     無駄にポップなイラストに腹が立つ。

     相澤は資料を一瞬破り捨てようとして、けれど頭を抱えて悩み、最後はページをめくることを選んだ。

     いやに素直な彼を見てホークスは自分で渡したというのに驚いた顔をする。

    「もう少しごねられると思いました」

    「……昨日の夜、夢を見てな」

    「はあ」

     あまり興味の無さそうな「はあ」に、けれど相澤は怒りはしなかった。別に理解をしてほしいわけではなかった。これは独り言の延長だ。

     ナガンは逆に興味があるのかこちらを見ている。

  • 53124/09/12(木) 21:27:38

    >>52

    「緑谷が出てきた。正直、初めて夢の中で生徒にあったよ」

    「あの頃の夢を見て飛び起きる──とかはしないんですね」

    「そういう感傷に浸るのは合理的じゃない。死んだ人間は戻らないし、生きている人間には時間が流れる。少しでも良い選択をして前に進むのが生きている人間の努めで、教師はその選択肢を増やすことが務めだ」

    「骨の髄までセンセイっすね~」

     厭味ったらしく言うホークスに、相澤は取り合わない。この食えない男の言葉に一つ一つ返答していたらキリがないからだ。

  • 54124/09/12(木) 21:29:46

    >>53

    「で? その夢はどうなったんだ?」

     相澤は夢の内容を思い出す。

     まるで現実に起きた出来事のように、鮮明に思い出すことが出来るそれは、相澤の胸をざわつかせた。




     緑谷が、こちらを見ている。

     相澤は正直、自分がこんな夢を見るような人間だとは思っていなかった。驚き、声を失う。

    「緑谷……久しぶりだな」

    「恨みでもあるのか、とかは言わないんですね」

    「お前は人を恨んで夢に出るような奴じゃないだろう」

  • 55124/09/12(木) 21:33:41

    >>54

     相澤が言うと、緑谷は一瞬驚いたような顔をして、そのあとすぐに嬉しそうに笑う。「はい」と言う表情はあの頃と同じ少年のままで、嗚呼本当にここで彼の命は終わってしまったのだと痛感させられる。

     後悔がないわけではない。

     だがそれを抱え続けたままでは前に進めない。前に進む他の子どもたちを導けない。目の前の少年が自分を薄情だというわけがないから、きっとこの気持ちは自分の胸の内から出てくる感情なのだろう。

    「先生にどうしても言いたいことが二つあって」

    「多いな。一つにまとめろ」

    「いいえ二つ言わせてください」

     主張を押し通して緑谷は改めてこちらに向き直る。深い緑色の瞳が、まっすぐに見つめていた。不思議と、居心地は悪くない。

  • 56124/09/12(木) 21:36:42

    >>55

    「お母さんを守ってくれて、ありがとうございました」


    「……」


    「ちゃんと相手は倒したけど、もう自分が死ぬんだってわかった時、残していくお母さんのことがずっと心配でした。周りから酷いことを言われないかとか、僕が死んでそれを受け止めきれるかとか、ちゃんとご飯食べてくれるかなとか」


    「緑谷」


    「だから……お母さんがお父さんと一緒に二人で悲しむ時間があって、正直安心したんです。先生は無意味な自己犠牲とかはしないから、その為に矢面に立ってくださったんですよね」


    「……夢の中のお前に、何を言わせてるんだろうな俺は」


    「僕の言葉だと思って聞いてくださいよ」

  • 57124/09/12(木) 21:39:05

    ごめん全然関係ないけど思いついちゃったから今言わせて
    グラデ便箋風お耽美相澤先生っていう単語が今降ってきて憑りつかれてる

  • 58124/09/12(木) 21:47:14

    >>56

     これが自分の中の夢である以上、緑谷の言葉は相澤の願望だ。まさか死んだ教え子にこんなフォローを、しかも八年越しにさせるなど。

     どうか起きたとき忘れていてくれと心の底から祈った。

    「……で? もう一つは?」

    「はい! もう一つは……」

     緑谷はいつもの笑顔なのに、ほんの少しだけ凄んで見える顔つきになる。それに驚いていると、距離を詰められて拳を胸にとん、と乗せられた。

    「覚悟してくださいね」

    「は……?」

    「僕ら、絶対にあきらめないので!」

     そう言われて、夢から醒めた。

     夢で見た内容は全く持って忘れられず。まるで現実にあったことの様だったのだ。

  • 59124/09/12(木) 21:48:02

    >>58




     相澤は夢の内容を粗方話す。

    「ま、そういうことで少しは覚悟が決まっていてな」

     ホークスは全部聞き終わってから「怖い話ですか?」と半笑いになり、ナガンは何故か誇らしげだった。相澤は話したからにはもう良いだろうと資料を読み込んでいた。

     詳細に書かれたスケジュールにため息が出る。

    「……はー、ここまでちゃんと計画練ってるんだな、誰だこれ考えた奴」

    「米良さんですね」

    「誰だよ」

    「もうすぐで貴方の同僚になる方ですよ」

    「そうか俺アンタの部下になるのか……嫌すぎるな」

    「こき使いますよ~!」

    「こき使われるぞ」

    「本当に嫌すぎるな」

  • 60124/09/12(木) 21:48:39

    >>59

     深いため息をつく相澤を見て、ホークスは首裏をかいた。

    「実は、まあ、これは俺の贖罪でもありまして」

    「アンタの?」

    「ええ。ほら、ツクヨミに内偵されたって言ったでしょ? あの子全部バレた後すっごい申し訳なさそうな顔するんですよ」

     まあ、そうだろうな。

     相澤は言葉には出さなかった。この男がそれを知らないわけがないと思ったからだ。ツクヨミ……常闇という生徒は小難しいことを言うが嘘は苦手だ。

     それも尊敬する師匠であるホークス相手ともなればきっとその心労はとてつもなかっただろう。

  • 61124/09/12(木) 21:49:04

    >>60

    「あれを知った時、正直俺はこの子にここまでのことをさせてしまうのかって思ったんですよ」

     ホークスは相澤を通して遠くを見つめる。

    「俺にとってあなたは、公安トップとして最初の仕事を減らしてくれて、尚且つ国の安定に一役買ってくれた英雄でした。感謝はしていたけれど、同時にヒーローとして当然の行動でもあると思っていたくらいです」

     でも、とホークスは続ける。

    「でもあの子にとっては見捨ててしまった大切な担任の先生で、きっとずっと心の中に残り続けていたんでしょうね……そこに気付けなかったことが、悔しくて。みんな俺らみたいに割り切れないんですね、きっと」

  • 62124/09/12(木) 21:49:26

    >>61

    「未熟な生徒で申し訳ない」

    「まさか、立派なヒーローですよ」

     ホークスが素の表情で笑う。

     相澤はぱらぱらと資料を捲り終わった。幾分かは頭に叩き込んだが、まだ完全ではない。それよりもスケジュール的にはもうのっぴきならない事態のようだ。早く帰ったほうが良いだろう。

     吹っ飛ばされた荷物をまとめると、後ろからぽん、と肩を叩かれる。叩いたナガンが手に持っていたのは灰色の捕縛布だった。

  • 63124/09/12(木) 21:49:42

    >>62

    「これは……」

    「イレイザーヘッドといったらこれらしいからな」

    「はい、あとはゴーグルです」

    「……はあ」

     本格的に戻らなくてはならないらしい。新調されたヒーロースーツは袖がわざとほつれていた。ここまでする必要があるだろうか。

     馴れ馴れしくホークスが肩を組んでくる。

     相澤はそれを振り払って荷物を持って壊れた玄関へと歩いた。修繕費のことを聞けば現地に残った協力者がすべてやってくれるらしい。便利な話だ。

     車が通れる道まで出ると、現地の車にカムフラージュしたそれが泊まっていた。空港行のそれに乗り込むと、ようやく肩の荷が降りたのか三人は一度に息をつく。

     それがなんだか笑えてきて、発進した車の中に疲れ切った社会人たちの笑い声が漏れた。

  • 64124/09/12(木) 21:50:02

    >>63

    「大変ですよこれから~。まずは元生徒たちと感動の再会、雄英高校との和解、そのほか有名インフルエンサーの番組出演、あとは全国まわって講演会」

    「その講演会って俺何言うんだよ」

    「決まってるでしょう、優秀な生徒を育てるにはどうしたらいいか、ですよ」

    「問題児に反逆を起こさせないためには、とかの方が良いんじゃないか」

    「言いますね~」

  • 65124/09/12(木) 21:52:13

    >>64

    以上になります!

    構想は前スレ142の「おいて行かれる側の相澤先生」でした!

    ただ私の解釈だと相澤先生は絶対に曇らないと思うので、多分142の考えていたやつとは若干違うと思う…

    なんか解釈違いだったら済まない

  • 66二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:53:59

    うわああああああ!
    ありがとうございます!
    疲れた体に染み渡ります!

  • 67二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:55:36

    生きていてよかった

  • 68二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:56:00

    生の喜びを今噛み締めてる

  • 69二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:59:03

    本当に生きててよかったし先生大好きありがとう

  • 70124/09/12(木) 22:00:11

    相澤先生が曇らないって言うのは、所謂「どうしてこんなことに」とか悩んで悔やんで悲しんで立ち止まってしまうことはない、という解釈で
    白雲の一件で相澤先生は曇った結果ああなってしまった、と見ることも出来るけど自分はどちらかと言えば「白雲の死によって相澤先生の特性が強化された」という感じだと思うんですよね
    相澤先生は当時の山田が言うように腹が決まると強いタイプで、そこまでが長かった
    でも、白雲の死という迷っている時間が判断を誤らせることもあるというイベントを経て即断即決で自分の決めた道を行くという特性になってしまったんじゃないかと思ってるんですよ

    じゃあなんであの時コーイチの言葉で教職を選んだのかと言うと
    これもコーイチのおかげというよりは香山先輩と山田の後押し、それからあそこにいた人々のおかげでオリジンを思い出したからではないかなと思うんですよね
    自分にとって相澤先生のオリジンは白雲が死んだあのシーンではなく、白雲、香山、山田と「猫を飼う」という選択肢をしたシーンだと思っていて
    あの選択肢をするまで相澤はずっと自分の選択に迷いがあって何も決められなかったけれど、あの原点があるから少しずつ自分の道を考え決めるようになったと思うんですよ
    ただ、白雲の死によってもっと段階を踏むはずだったそれが一気にすっ飛ばされてしまい、どうして自分がこんな決断ができるようになったかさえも忘れてしまった
    けれどオリジンというのはいつだって心の中から湧き出るもので、決して失われるものではないので、ああいう形でよみがえり「教師という道もあるかな」と選択できたのではないかと思うんですよね

    何が言いたいかと言うと、相澤先生は自分で考え、その考えに基づいて行動し、責任を背負ってそれでも前に進める人間なので悔やんだり後悔して立ち止まり曇ってしまうことはないのではないかなと思います
    相澤消太はどんなことがあったって前に進める、強い人

  • 71二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:03:37

    >>70

    その解釈好きすぎるなにそれすごい

  • 72124/09/12(木) 22:03:50

    書いてて思ったのはホークス滅茶苦茶動かしやすい
    ごめんな公安トップなのに海外出して
    お前絶対日本に居るだろうにな

  • 73124/09/12(木) 22:10:01

    「まずは猫一匹から」っていうところは明確に今までの相澤と考えが変わったところだと思うんですよ
    あそこも「誰かと一緒になら何でもできると思ったのに白雲が居なくなったからそんなこともなくなっちゃったんだね…」という解釈が主流だとは思うんだけど、「誰かと何かをやるという『選択』をすることができるようになった」という相澤消太:オリジンだと思うんですよわたしゃ
    自分で決められなかった相澤消太が、誰かと何かをするという『選択』をすることができるようになった、そういう考えの幅を広げることが出来た、それがオリジンなのではないかなと
    でも白雲がいなくなって、誰かと行動するとその人を失う可能性が出てきてしまったから香山山田の元には戻らず、一人でいる『選択』をした
    それでも相澤が選んだ道だからと二人は何も言わず、ただ転機があったから声をかけた
    そういう感じだと思うんですよ

  • 74124/09/12(木) 22:10:47

    何を言ってんだろうな
    ちょっと冷静になったわ

  • 75二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:14:16

    スレ主の深い解釈すげえ好き ありがとうね

  • 76124/09/12(木) 22:15:13

    話したいこと話したらすっきりしたので寝ます!

    いつもこんな壁打ちスレに読みに来てくれてありがとう!

    >>66

    >>67

    >>68

    >>69

    こういうレスも嬉しい!

    壁打ちだけどやっぱ反応あると嬉しい!


    明日こそはマイクの続きちゃんと書こうと思います!

  • 77124/09/12(木) 22:15:32

    >>75

    こっちこそこんな怪文書よんでくれてありがとね!

  • 78124/09/12(木) 22:19:31

    あんま何本も書けなくてすまない
    自分が居ない時はマジスレで適当にお茶してて良いんで
    スレ消費とかもどうせ埋まったら立てればいいし気にせんでくれ
    寧ろみんなが話してくれてるとこっちも良いなって思ったネタで書いたりするから…

  • 79二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:24:49

    本当にスレ主さんの話が日々の糧になってる
    いついつまでも気長に大口開けて待ってるね……ありがとう……

  • 80二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:31:36

    せっかくスレに直書きされてるんだし感想良いか?

    ここ>>48のA組の心境めちゃくちゃ辛かったろうな…って泣いた

    みんながヒーローになれる時代まで待ってたんだろうな

    かっちゃんとかインタビューでイレイザーの話出るたびに殺しそうな顔してそう

  • 81二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:36:31

    ここ好きポイント
    8年の沈黙を破る尖兵がデクママなところ

  • 82二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 23:39:43

    スレ主のさあ、直接描写しないけど「きっとそうだったんだろうな」って思わせる文が好き
    今回のだと8年前のバッシングや当時のA組とか
    想像が無限に捗る

    それはそうとSSではなくね?もう普通に小説だろこれ

  • 83二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 23:50:53

    アングラヒーローやってる相澤先生なんかいくらでも見たいので、元生徒の誰かが人質事件に駆り出されて突入したらもう既に場を掌握しつつある相澤先生(たまたま巻き込まれてた)がいてやっぱ先生凄!!流石自分達の先生!!ってなる生徒たちがいてもいいと思うんですよ
    なおその手捌きに見惚れてたら『オイ見てないで手伝え』って叱られても良い

    そしてスレ主さん今日も素敵なお話ありがとう 良い夢が見れそう

  • 84二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:26:23

    >>70

    >>73

    元々相澤先生最推しとは言ってたしSS内容もそうなんだな〜って感じで見てたんだけど

    想像の100倍強火だった

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 05:29:15

    スレ主の地雷だったら消してくれて構わないんだけども、今建ってるA組体調不良スレにあるスパダリ相澤先生概念がすげぇ好き

  • 86124/09/13(金) 06:26:29

    >>85

    地雷ではないけど相澤先生の魅力は不完全なところにあると思ってるから最近あにまんで流行りのスパダリ概念はあんまり食指が動かない感じ

    それはそれとして先生やってる相澤消太が好きなので帰ってきたら体調崩しちゃった生徒かエリちゃんを寮まで送り届ける短い話は書くかも

    書いた場合他のスレで話題出したり迷惑になるようなことはしないでね

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 06:42:14

    >>86

    おけです

    ありがとう

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 16:10:47

    ヒーローのイレイザーも好きだけど先生やってるイレイザーが一番好き
    先生怒る時は本気で怖いけど褒めてくれた時は嬉しい生徒と日頃からちゃんと見てるから何気ない瞬間に褒めてくれそうな先生
    普段あまり褒めない人から貰った賞賛と褒め言葉ほど心に響くし残るし思い返してニコニコになるよね…

  • 89124/09/13(金) 18:26:32

    >>87

    ごめんマジごめん本当にすまん

    寝起きの時だったから文盲で「これ書けよ」的な要求に見えてた。全然そんなことなかった

    普通に好きな物を語ってくれただけだった本当にごめんね

  • 90124/09/13(金) 18:27:58

    マジで人が語ってくれたもんにケチつけた最低野郎になってしまったので本当に申し訳ない

    詫びにもならんかもしれんが土曜日に先生が生徒を介抱する話を3本ほど書きます許してくれ

  • 91124/09/13(金) 18:28:49

    とりあえずただいま!
    マイクの話を書きます

  • 92二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 18:38:04

    待 っ て た おかえり

  • 938524/09/13(金) 18:40:32

    >>89

    >>90

    気にしてないよ〜

    むしろスレ主の新たな相澤先生解釈が聞けてホクホクだったわ

    SS書いてくれるのはすごく嬉しいけど、最優先で自分の書きたいもの書いてね

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 18:40:55

    >>91

    お待ちしておりました!!

  • 95124/09/13(金) 18:42:06

    >>93

    すまんありがとう!

    寛大な心にガチで感謝

  • 96124/09/13(金) 18:43:09
  • 97124/09/13(金) 21:18:16

    ごめん普通に難産なのと投票の結果にちょっと耐えられなくて今日あげられるか怪しい
    明日休みだから回復したら夜中とかに投げるね…

  • 98二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 21:29:35

    >>97

    あぁ俺もだ分かるよ

    大口開けて待ってるね

  • 99124/09/13(金) 21:31:08

    ごめんあまりにも耐えられないからちょっと明るい話書く
    エリちゃんと相澤先生の話書いてくる…

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 21:59:19

    スレ主お疲れ様
    ゆっくり待ってるね

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:45:07

    このレスは削除されています

  • 102124/09/13(金) 22:46:30
  • 103124/09/13(金) 22:50:03

    >>102

    相澤先生は味覚が終わってるからそこらへんで料理も大変なことになれば良いかなって思ってる

    あとすまん心が本当にメタメタなので寝ます

    12時間後までに起きてないかもしれないのでその時は保守オナシャス……

  • 104二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:53:44

    今日も今日とてめちゃくちゃいいお話だったよありがとうね

  • 105二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:57:45

    すごく心がほっこりした
    いつもありがとうスレ主

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:03:00

    スレ主どれに投票してたんやろな…本当にお疲れ様ゆっくり休んでくれ


    >>102

    マイクと白雲が過去にしんでるの可愛いし全体的にほっこりした

    愛情たっぷりご飯でお腹いっぱいになってくれ…

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:11:48

    最近スレ主が小説を上げてくれるのが当然みたいな気持ちになってしまってる自分がいる
    スレ主はいつだってここを去れるのに毎日書いてくれてありがとな
    いや冷静に考えてこのクオリティ毎日書いてんのはやっぱおかしいって

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:16:25

    あんまこう言うこと言うとアレだけど俺相澤先生最推しだけど今同じくらいスレ主のことも推してるから失踪されたらマジで泣くかもしれん
    いつもありがとう今回のメシマズ先生も可愛いよ

  • 109二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 01:28:10

    >>102

    めちゃくちゃ好き…

    メシマズ相澤先生解釈一致すぎる

  • 110二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 07:40:07

    ほしゅほしゅ

  • 111二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 12:09:53

    保守しとくか

  • 112124/09/14(土) 15:37:50
  • 113124/09/14(土) 15:38:23

    >>112

     相澤先生の体は記憶よりもだいぶ小さくなっていた。

     壇上に華々しく飾られている骨壺に触れると、つるりとした陶器の感触が硬くなった指先から伝わってくる。

    「心操さん」

    「エリちゃん」

     最後に見た時よりもずっと大きくなった女の子は、目元を少し赤くしてこちらに近寄る。心操の隣に立つと、彼女の視線よりも低くなった相澤先生を見た。

    「先生、小っちゃくなっちゃったね」

    「そうだね。やっと身長並んだのにな」

    「心操さん小さめの先生って言われるの嫌がって牛乳たくさん飲んでたもんね」

    「やめてよ、昔の話だよ」

     エリちゃんは表情豊かに笑う。

  • 114124/09/14(土) 15:38:36

    >>113

     悪戯っ子みたいな顔をすると彼女の大きな瞳がくしゃりと歪む。本当に普通の子になったんだなあと思いつつ、その立役者の一人を見る。

    「三ヵ月くらい前だったかな。先生がね、遊びに来てくれたの。時間が出来たんだって」

    「そういえばそのくらいの時にちょっと休み取るって言ってたな」

    「心操さんは相澤先生の事務所なんだっけ」

    「そうだよ、先生が現場を引退したから個人事務所譲ってもらったんだ。先生がしていた仕事を引き継いだりしてたよ」

    「凄いなあ」

     本当に心の底からの「凄い」を貰って心操は照れる。ヒイラギの実みたいに真っ赤な目がこちらをきょろりと見ていた。

  • 115124/09/14(土) 15:38:52

    >>114

    「エリちゃんのところに来たとき、先生はなんて?」

    「いつもと同じ。元気? って聞いて、この間バンドで作った曲を聴いてくれて……あの日は一緒にお歌も歌ったかな」

    「先生が歌を!?」

    「うん。いつもは絶対嫌って言うんだけど、歌ってよってお願いしたら今日だけだよって言ってね、歌ってくれたの」

    「それは……聴いてみたかったな」

    「ダメ。あれは私の宝物だから」

     エリちゃんの突っぱねる態度は珍しかったが、嫌なことをしっかりと嫌と言えるようになったのは良いことだった。心操は「数年かけてでも聴かせてもらおう」と心に誓ったが、口には出さない。

  • 116124/09/14(土) 15:39:11

    >>115

    「俺の方は逆に仕事詰め込まれすぎて死ぬかと思ったなあ」

    「先生そういう配分上手そうなのにね」

    「今まではそんなことなかったんだけどね、半年くらい前からかなあ、ご実家に顔出すために休み取ったと思ったらいきなりめちゃくちゃ仕事取ってくるようになって。まあおかげで一人でも十分やっていけるくらいには人脈も顔も売れたわけだけど」

     ここ半年間、本当に死ぬほど忙しかった。

     今までは名ばかりの事務所副所長だった癖にありとあらゆるところに頭を下げ仕事をとり、それらを全て完璧にスケジューリングして心操に渡してきた。

     曰く「今までが放任過ぎたな、悪かった」らしいが、本心は分からない。人間関係など特に自分では上手く出来ているつもりでいたが、実際に忙しくなってみると大分甘かったのだと痛感した。アングラこそ人間関係が大事だとは言われていたが、これほどとは。

  • 117124/09/14(土) 15:40:19

    >>116

     前以上に警察やヒーロー関係者の伝手も出来て仕事関係もかなり充実している。

     けれど。

    「……良いことじゃないの?」

    「ううん……仕事が増えたのは良いこと、なんだけど」

     エリちゃんにはそれ以上言えなかった。自分が忙しくなったせいで相澤が死にそうになっていた時、遠くの現場にいたことを後悔しているなど、彼女には話せない。

     言葉に詰まる心操を心配そうに見ていると、壇上に他の人が登ってきた。

    「あれ、エリちゃん、心操。珍しい組み合わせだな」

    「轟……エンデヴァーも来てるのか」

    「ああ、思うところがあったみたいだからな」

     壇上には登ってこず、下で他のヒーロー関係者と話しているエンデヴァーにちらりと視線を送って、轟は骨壺に頭を下げた。

    「俺は最後に先生にあったのは一ヵ月前の飲み会だったんだ。……こんなことになるなんてな」

    「先生飲み会とか来るの?」

  • 118124/09/14(土) 15:40:38

    >>117

     エリちゃんの若干失礼な質問に心操は苦笑する。確かにヒーローとして仕事をしている相澤先生のことを知らないとそう思うのも仕方ない。

    「あの人案外人付き合いはちゃんとしてるんだよ」

    「へえ……」

    「でもお前の事務所付近に行くのは珍しいな。あそこらへん顔をガンガン売ってるタイプのヒーロー集まってるから苦手って言ってたのに」

    「どうしても抹消が必要で作戦に参加してもらったんだ。飲み会ついでに心操の宣伝もしてたぞ」

    「えっ……照れるな」

    「……どんな大きな作戦に参加しても、個人を名指しで宣伝してくれるのはお前だけだから、正直ちょっと羨ましかった」

  • 119124/09/14(土) 15:40:59

    >>118

    「みんなは顔を売るタイミングがあるから言わなくていいだけだって。俺はほら、メディア露出ゼロだから関係者に草の根運動しないとダメだし」

    「草の根運動……?」

    「あー……えーと、チラシ配りみたいな、地道に一人一人に名前を覚えてもらうこと、かな」

    「なるほど……!」

     昔と全く変わらない顔つきで納得したエリちゃんにほっとするが、轟が少し浮かない顔をしているのが心操には驚きだった。

     高校時代からあの劣悪な家庭環境で育ったとは思えないほどメンタルが強く、常に前を向くヒーロー向きの性格。実際今チャートは自分たちの代では一番高い三位につけている。

  • 120124/09/14(土) 15:41:28

    >>119

    「なんだろうな、必要があるとかないとか、そういう話じゃねえと思うんだ、こういうの。自分でもよくわからねえけど……どうしても心操はいいなって、思っちまうんだ。わり、こんなこと言われても困るよな」

    「ああうん、俺は今お前にそう思われてたことにちょっと恥ずかしさすら覚えてる」

    「? 恥ずかしいところあったか?」

     轟は特に自覚をしていないようだったが、ここまで相澤先生に懐いていたのか、と思うと少し面映ゆい。

     心操の代はその年起こったことがことだけに、クラスメイト同士の絆も先生への信頼も、他の代より強い自覚がある。だが、轟は特に自立したメンタルを持っていて、あまり先生に対し特別な信頼を持っているとは思っていなかった。

  • 121124/09/14(土) 15:41:47

    >>120

     そんな彼ですら、そう思ってしまうということは。

     心操はちらりと開錠の中を見る。クラスメイトの顔が散見されるが、皆一様に沈んでいた。

     ──やっぱ、先生まだ死ぬのは早すぎたよ。

     心操は首の裏を掻いた。最期に交わした言葉も思い出せない、いつも隣に居るのが当たり前だった恩師。言葉を投げかけても、骨壺から何か言葉が返ってくることはなかった。


     ‡

  • 122124/09/14(土) 15:42:23

    >>121

    今書いてあるのはここまで

    また書けたら投げに来るね

  • 123124/09/14(土) 15:49:04
  • 124二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 15:53:49

    おかえり 待ってたよ

  • 125二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:07:27

    おかえり!待ってました!
    葬式のどこか重いけどみんな世間話は普通にできちゃう絶妙な空気感伝わってくるの本当すごい

  • 126124/09/14(土) 19:03:01

    >>121


     ‡


     イレイザーヘッドと特に大きなかかわりがあったわけではなかったが、死んだと聞かされた時「まあ葬式くらいは行ってやるか」とミルコは思った。

     先の大戦で抹消は大活躍だった。更に自分はその場に居なかったけれど黒霧を掌握し最終決戦にて多大な貢献をしたらしい。陰気ではあるがヒーローとしての本質は共感できる部分が多く、嫌いなわけではなかった。

     きちんと喪服に身を包んで参列すると、先に来ていたらしいベストジーニストと体が全盛期の七割ほど戻ったエッジショットが目を剥いた。

    「ミルコ……普通の喪服持ってたのか」

    「お前それジーンズ生地で出来てたりすんのか?」

    「人の質問に答えないのは違反デニムだぞ……流石にちゃんとしたところで仕立てている。裏地にデニムを使っているが」

    「裏地ゴワゴワじゃねえか」

  • 127124/09/14(土) 19:03:17

    >>126

     ミルコはウェルカムドリンクをイレイザーヘッドの次女と言っていた女子から受け取って一口飲む。ジンジャエールのピリッとした味が舌の上に転がった。

    「ヒーローやってたら喪服買っとくもんだろ。大体年中同業が死ぬんだし」

    「確かにな。プロになってからは参列した結婚式より葬式の方が多い」

    「でも告別式に来てウェルカムドリンク出されたのは初めてだわ。イレイザーヘッドの家族おもろいな」

    「あと一口サイズの菓子もあったぞ。あれも美味かった」

    「マジかよ、あとで食いに行くわ」

     葬式会場とは思えない雰囲気の会場は正直ミルコをわくわくさせた。人が死んで楽しいという感性を持ち合わせているわけではないが、ヒーローを長く続けているとどうしても同業の死には慣れてしまう。

  • 128124/09/14(土) 19:03:36

    >>127

     その度に辛気臭い葬式に参加しては「こういう送り出し方はダルいな」と常々思っていたので、自分の葬式もこうしてほしいと親にあらかじめ言っておくべきだろう。

     二杯目のウェルカムドリンクは配膳ロボットから受け取った。イレイザーヘッドの教え子がコラボをしているグレープジュースは果汁百パーセントでフレッシュな味わいだった。

    「それにしても、辛気臭い顔してる奴らが結構いるな、こんな馬鹿みてえな会場なのに」

    「それもそうだろう。殆どはイレイザーヘッドの教え子たちだ、先生が死んだらそんな顔をするのが普通じゃないのか?」

    「高校時代の教師の顔なんぞ覚えてねえわ」

    「俺も怪しいな……」

    「お、お前たち……」

  • 129124/09/14(土) 19:03:52

    >>128

     後輩たちの薄情な言葉にジーニストは肩を落とす。そしてしばらく思案してからぼそりと呟いた。

    「そういえば俺も担任の先生全員の名前を言えと言われるとちょっと怪しいな……」

    「な!? そんなもんだって!」

    「ミルコと同類となると少し嫌だが……まあ、学生にとって教師など、大体がその程度の物だろう」

     エッジショットは言いながら、視線を会場に巡らせる。先ほどあいさつに来た大・爆・殺・神ダイナマイト!!は同級生と話しているが本調子というわけではなさそうだ。

     隣に居るデクとはあまり面識がないが、彼も同じように曇った顔をしている。

  • 130124/09/14(土) 19:04:07

    >>129

    「……随分と慕われていたみたいだな」

    「教師を慕うって感覚自体がわっかんねーわ」

    「進路相談に乗ってくれていた先生なら思い出せる。……結局、自分たちの進路にどれだけ真剣でいてくれたか、が記憶の要なんじゃないのか」

    「ほぉーん。ま、こんだけ悲しまれてたらそれはそれであいつも本望なんじゃねえの、知らねえけど」

     ミルコはいよいよ興味が無くなって、先ほどエッジショットが教えてくれた一口サイズの菓子を取りに行く。こういうところに置いてある物はあまり甘くなくて食べやすいのだ。

     皿の上に幾つか乗せていくと、一番美味そうな種類の最後の一個をとろうとして手が誰かとぶつかる。「わり」と声に出そうとして、顔を横に向けると昔はよく見た顔がこちらを見て驚いた表情を見せていた。

    「ホークス?」

  • 131124/09/14(土) 19:04:25

    >>130

    「ミルコ……普通の喪服持ってるんスね」

    「それさっきもう済ませたぞ」

    「そいつは失礼しました」

     ホークスならば遠慮する必要はないと最後の一個を皿に乗せる。目の前の男は特に気にした様子もなくミルコに譲った。

    「お前イレイザーヘッドと面識あったか?」

    「それ言ったら貴女もでしょうが。俺はヒーロー時代、ツクヨミがだいぶ世話になったのでそのお礼に」

    「はー、ギリガタイんだな」

    「心にもないこと良く言えますねえ」

     ホークスはミルコが粗方取った後に皿に自分の分を盛っていく。まるで女子みたいな量のそれを茶化そうとは思わなかった。

  • 132124/09/14(土) 19:04:48

    >>131

    「まるでトップヒーローが死んだみたいな集まり方っすね」

    「さっきクレセールに聞いたが二百五十人くらい来てるらしいぞ今日。教え子だけじゃなくてあいつ横のつながりもあったんだな」

    「そりゃアングラって地道な自己プロデュース力がないと詰みますからねえ。それもあの人個人事務所らしいですし、全部自分でってなると自然と本人の人脈が広がるんでしょうよ」

    「お前、大して面識無いにしてはイレイザーヘッドのこと良く知ってんな」

     ホークスの手が止まる。

  • 133124/09/14(土) 19:05:26

    >>132

     ミルコは男の顔を注意深く見ていた。冷や汗一つ浮かべない食えない表情の男はいたっていつも通りで。次に出てくる言葉はどうせ「いやあ最低限調べないとタダ飯食いに来たと思われそうで」みたいなこちらを言い含めた嫌味だろう。

     そこまで予想すると、なんだか勝手に苛立ちが腹の中に渦巻く。はあ、と興味が失せてため息を吐いた。

    「……ま、そういうこともあるか」

    「ちょっと勝手に納得せんでくださいよ気になるじゃないですか」

  • 134124/09/14(土) 19:06:01

    >>133

     ホークスは言い訳をするように続ける。

    「ただの予測ですよ予測。あんだけメディアに出てないんだからそんくらいしてるだろうなあって言うやつです」

     ──あ?

     予測が外れる。ホークスならばここで絶対にミルコに小さな嫌味を言い含めるだろうに。男は菓子を皿に盛りつけて、一つを口に含んでいた。

    「あ、これ美味いっす」

    「お、マジか?」

     ──まあ、良いか。

  • 135124/09/14(土) 19:06:24

    >>134

     別にどうでも良い。

     イレイザーヘッドはすでに死んでいるのだし、ここに居る連中は皆あの男の為に来ているのだし。

     それが変わらない以上、ミルコの興味は何かに向くことはなかった。菓子を一つつまんで、口に含めその美味さに舌鼓を打つ。


     ‡


     人が増えてくると段々と賑わいが増してくる。

     いろいろな人に挨拶をして、世間話をして、今後のキャリアとかを話していると主役は死んだ相澤先生なのに、どこか遠い話の様に思えてしまう。

  • 136124/09/14(土) 19:07:12

    >>135

     こうして人は誰かの死を乗り越えていくのかな、なんて柄にもないことを考えた。

    「出久。ウェルカムドリンク」

    「かっちゃん……あ、ありがとう」

    「あからさまに辛気臭い顔してんな。流石に周りが気ぃ遣う」

    「そ……だよね。うん、ごめん」

     かっちゃんから差し出されたドリンクは峰田君のコラボ商品だった。一口飲むけれど、味はあんまりしない。峰田君がこういう監修で手を抜くとは考えにくいし、多分僕の方に問題があるんだろう。

     ジンジャエールを飲んだかっちゃんは「炭酸抜けてやがる」とシュワシュワ言っているそれを飲んで悪態をついていた。

  • 137124/09/14(土) 19:08:10

    >>124

    ただいま~待っててくれてありがとやで


    >>125

    やった嬉しい~!

    こういう空気感って葬式特有な感じあるよね

  • 138124/09/14(土) 19:08:38

    >>136

    「……久しぶり、だね。かっちゃん」

    「あ? ……ああ、お前最近二足の草鞋で大忙しだもんな」

    「ああうん、まあ、そう……なんだけど」

    「お前のことは引子さんから聞いとるからあんま久しぶりって感じはせんな」

    「ええ、お母さんから……!? なんか変な事言ってなかった?」

    「言っとらんわ。でもお前、ちゃんと実家には顔出せや。先生ですら半年前に顔出ししとるんやぞ」

     言われて、僕はちょっと返す言葉が無くなる。

     教師とヒーローの両立生活は想像よりもずっと大変で、相澤先生に負担をかけながら最近ようやく軌道に乗ってきたところだった。

     だから家に帰る時間なんてあんまり無かったし、心配をされていても仕方がないと思ってしまう。

    「ちゃんと帰るよ」

  • 139124/09/14(土) 19:09:39

    >>138

    「本当だろうな。先生が死んだせいで引子さんかなりナーバスになってんぞ。出久が同じようなことになっちゃったらどうしようって」

    「お母さん……もう」

    「もう、じゃねンだわ」

    「Hey Guys! なぁに湿った顔してんだぁ~? ここだけ加湿器かぁ~?」

     もっと追及がきそうになって思わず身構えると、後ろから大きな声がやってきて事なきを得る。声の正体は髪を降ろしてサングラスをとったマイクだった。

     学校で見る姿とはまた違う表情に、ほっとすると同時に現実に引き戻される。

  • 140124/09/14(土) 19:10:16

    >>139

    「プレゼント・マイク……!」

    「もうちょい明るい顔してくれやリスナ~。相澤家の葬式のコンセプトって明るく送り出すだから笑顔が少ないと俺が姐さんたちにどやされちまう」

    「なんなんだよこの家の葬式」

     かっちゃんが悪態をついている。正直僕も同じ気持ちだった。お葬式はあんまり来たことがないけど、多分こういうのじゃないと思う。

     マイクはケラケラと笑っていた。

    「いやそれはね! ほんとにね! 俺も初めてこの家主催の葬式の映像見たときは思ったよね!」

    「相澤先生とは高校時代からのお付き合いなんですよね? いつ見たんですか?」

  • 141124/09/14(土) 19:10:45

    >>140

    「Soーなの! 高校ん時の同級生の葬式に参加した相澤が後日「別の家の葬式ってあんな感じなんだな……」つってて、その時映像で見せてもらったんだけど、crazyだなって思ったわ」

     そりゃ映像でこんなものを見せられたら目を疑いもするだろう。言葉正しくcrazyだ。

    「そういや先生、家族とはノリが合わねえってこの前会ったとき言ってたな」

    「えっ、かっちゃんも最近先生に会ったの?」

     ジンジャエールを飲んでマイクの雑談を聴いていたかっちゃんが、不意に口を開いた。プロヒーローになってからみんなと会う機会が僕は減ったけど、それ以上に同級生のみんなはもっと激減しているはずだ。

  • 142124/09/14(土) 19:11:09

    >>141

     でも、会う人は大体ここ数か月で一度は会っているみたいで、偶然の連続に驚く。

    「そういや轟の奴もひと月前に会ってんだよな。俺は二週間前。ちょうど現場が重なってよ、抹消があって助かったんだが……そん時に家族の話になって。姉ちゃんと妹が破天荒過ぎて大変だっつってた」

    「……イレイザーとA組、ここ最近会ってたんか?」

     マイクがそう問いかけてくるので、僕は手帳を開く。ここ最近の犯罪発生率と出動したヒーローのメモを見せた。

    「最近は犯罪発生率がちょっと上がってて現場が被ることも多くなって、そのおかげかA組はみんな先生と会えた感じなんですよ。かっちゃんもなんて流石に驚いたけど」

  • 143124/09/14(土) 19:11:42

    >>142

    「…………へえ、そーなん! なんだよ偶然に愛されてんなA組!」

    「良かねえわ。最終的に死に目に会えなきゃ一緒だ」

    「か、かっちゃん」

     せっかく場を和ませようとしてくれたマイクにかっちゃんが噛みつくものだから、僕は焦って頭を下げる。でも、マイクは既に僕らの方を見ていなくて、視線が別の方に投げられていた。

     その先を見ようと首を捻った瞬間、部屋の電気が落ちる。敵かと一瞬思ったが瞬時についたBGMと壇上のスポットライトに、演出だとわかった。

    「皆様」

     凛とした声が会場内へと響く。

  • 144124/09/14(土) 19:12:27

    >>143

    すまんキリが良いのでいったんここで区切る

    ちょっと一回外でないとあかん。次は21時から続き投げるから待っててくれ

  • 145二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 19:20:11

    待ってましたありがとう!!!!

  • 146二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 19:34:49

    続きありがとう!これもしかしてマイク気づいた感じ…?
    九時了解した〜!!!

  • 147二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:27:24

    スレ主が嫌だったらこのレスは消してね


    >>85(人の地雷に配慮できる優しいスレ民)

    >>86(素晴らしい相澤先生解釈+ちゃんと注意喚起する優秀なスレ主)

    >>87(了承と感謝が簡潔に伝えられるいいスレ民)

    >>89>>90(謝罪と代替案の提案という人間としてできてるスレ主)

    >>93(ポジティブ寛大優しいスレ民)

    >>95(ありがとうが言えるいいスレ主)


    この流れ何回も繰り返し読んで2人の人格の良さにずっと感嘆の溜息ついてる

    素直に謝罪できる人とか寛大に許せてむしろ自分にポジティブなものとして捉えられる人とか尊敬

  • 148124/09/14(土) 21:04:50

    >>147

    なんかこのスレめちゃくちゃ褒めてくれるな(n回目

    嬉しい、ありがとうね!

  • 149124/09/14(土) 21:05:09

    続き投げていくよ~

  • 150124/09/14(土) 21:05:30

    >>143

    「本日はお忙しいところ、息子相澤消太の告別式にご会葬いただきまして、ありがとうございました。私、相澤消太の母の──」


     黒い着物に身を包んだ女の人が壇上に立っている。結わえていても真っ直ぐだとわかる黒い髪と、意志の強そうな黒い瞳。

     相澤先生のお母さんだと言われてすぐに納得できる遺伝子だった。


    「息子の最期は敵との戦闘のさなかでございました。今でも信じられない思いでございますが、ヒーロー家系である以上、こういった覚悟は家族一同しておりました」


     場内はしん、と静まり返っている。

  • 151124/09/14(土) 21:06:03

    >>150

    「息子の話の前に、まず我が家のお話をさせて頂きたいと思います」


     そう言うと、BGMが転調した。そういう仕組みなんだ。


    「我が家は祖父の代から続くヒーロー家系です。『成長』の個性とヒーロー名『クレセール』を代々引き継ぎ、主に災害特化のヒーローとして活躍をしておりました。私は相澤の家に嫁入りした身ですが、三十代の頃に体を壊すまでは今は亡き夫のやっていたヒーロー事務所でサイドキックとして名を連ねておりました」

    「……そうなんか」

    「そうだよ、災害ではだいぶ有名なヒーロー」


     かっちゃんから問われたので小声で返事をする。

     クレセールのことは僕も良く知っている。

     実際の植物を急成長させることのできる個性で、正直抹消とは全く縁のない個性だ。

  • 152124/09/14(土) 21:06:37

    >>151

     ……となると。


    「息子は突然変異で生まれた個性で、自分の個性に昔から強いコンプレックスを持っていました。ですが若くして亡くなった夫や、夫の跡を継いだ長女の姿を見て強くヒーローに惹かれ、雄英高校へと導かれたのです」


     やはり、相澤先生の個性は突然変異だったらしい。

     あんな強力な個性だったら、家族がヒーローをしていて耳に入ってこないわけがない。


    「家で一人だけ全然違うってのは、まあ、堪えるよな」

    「……かっちゃん」

    「別に。お前のことじゃねえわ」


     かっちゃんが他の人に共感をしている、というのは正直驚いた。けれど、あんまり言うと拗ねるので口を閉ざす。

  • 153124/09/14(土) 21:07:08

    >>152

    「そこでかけがえのないご学友と出会い、別れ、進路を決め、一人でヒーローとして孤独に生きていく道を選びました。けれど一人で歩むその道の過程でなんの幸福か、それとも気が変わったのか、息子はヒーローのひな鳥を導く教師と言う道の選択をしました」

    「せんせい……」


     誰かのつぶやきが聞こえた。

     たぶん、教え子の中の誰かだろう。


    「そんな中、訪れたのが九年前のあの大戦です」


     ぴり、と空気が張り詰める。

     相澤先生のお母さんは一度呼吸を置いた。あの大戦に触れることはヒーローにだって負担を強いる。

  • 154124/09/14(土) 21:07:41

    >>153

    「避難誘導に当たっていた長女と次女の夫、及び長女の息子は現場にて戦死。次女は戦闘のさなかAFOに『成長』の個性を奪われ……かろうじて五体満足で生き残った当代『クレセール』の長女も、大戦のときに負った後遺症が原因で、二年前別の現場にて片足を失う大けがをいたしました」

    「……っ」


     言葉が出ない。


    「息子は対AFOとの戦いでの要として戦いましたが、最終的には右目と右足を失い、我が家は誰もかれもがヒーローとしては十分に責務を果たせない姿での帰還となりました。恐らく、ご会葬いただいた皆様の中にも、同じような想いをされた方は多くいらっしゃるのでしょう」


     体の大部分を失った人、個性を奪われた人、命を落とした人。ここにはそんな人たちが大勢集まっている。

     元々なかった個性を失った僕とは違う苦しみを負っている人たちが、大勢いる。

  • 155124/09/14(土) 21:08:14

    >>154

    「あの動乱の時代を経て、世界は今も大きく変わり続けています」


     それでも声は凛と響く。


    「ヒーローに頼り切る世の中から、一人一人が善性を持ち、誰かの為に動き続ける世の中へ。誰もが誰かのヒーローになる世の中へと、一歩ずつ変わってきております。ほんの少しずつ、けれど確実に、ヒーローが要らなくなる社会へと近づいているのです」


     かっちゃんが僕の脇を小突いた。

     痛いよ、と言おうとしたけど壇上に夢中で僕は目を逸らせない。


    「一方で、それでも『ヒーロー』になりたいと願う少年少女は大勢います。彼らは並々ならぬ決心を持って各ヒーロー科のある教育機関の門を叩くのでしょう。教える側と言うのは、その決心や熱意に必ず応えなければなりません」


     胸がぎゅっと締め付けられる。

  • 156124/09/14(土) 21:08:45

    >>155

     きっと相澤先生のお母さんは先生のことを言っているのだろうけど、同じ教師という立場として僕にもその言葉は深く刺さる。

     今のヒーローを目指す子たちは、僕らの代よりもずっとずっとヒーローという職に対しての思いが強い。

     僕らがそうでなかったとは言わない。ただ、入学時点でまだ僕らは完全に「学生気分」だった。でも、あの大戦を経験した子供たちは入学時点からずっとギラついていて。正直怖いくらいだ。

     だからこそ。


    「そんな世界で、それでも息子は教師であり続けることを選びました」


     だからこそ、相澤先生のことを、僕は尊敬している。

  • 157124/09/14(土) 21:09:29

    >>156

    「ヒーローとして現場に立てなくなったにも関わらず、それでも未来を目指しひたむきに努力を重ねる子供たちを導く立場を降りませんでした」


     それがどれだけ難しいことか、僕は知っている。

     壇上の相澤先生のお母さんが少し言葉を詰まらせた。


    「私は当時、その決意が正しいのか、判別がつきませんでした。それだけ世の中は激変していて、足も目も半分になったあの子に出来る子が遺されているとは思わなかったのです」

    「っ、そんなこと」

    「おい出久」


     思わず出てしまった声をかっちゃんの手が遮る。


    「けれど」


     その声が壇上に届くよりも先に、先生のお母さんはにこりと微笑んだ。そしてその瞳は会場に居る僕らへと注がれる。

  • 158124/09/14(土) 21:09:57

    >>157


    「どうやら、それは間違いだったようです」

  • 159124/09/14(土) 21:10:31

    >>158

     お母さんとおんなじ目で、僕らを見る。

     優しい優しい、息子を見る目だ。


    「校長先生にお聞きいたしました。息子が担任を持った生徒様方は、誰一人として殉職していないと」


     声はずっと優しい。


    「あの大戦を経験して、ヒーローは決して華やかなだけの職ではないことを理解しながら続けている皆様が、今もこうして全力で使命を全うしながらも生きていらっしゃる」


     静かに、会場の中に愛情に満ちた声が響く。

     胸が締め付けられる。呼吸が苦しくなる。


    「あの子の進んだ道が、選びとった物が間違いではなかったと、ここにいる全ての人が証明してくださっている」

  • 160124/09/14(土) 21:11:06

    >>159

     会場の中に嗚咽が混じり始める。

     さっきまで笑っていた声が、少しずつ先生の死を受け入れ始める。


    「親として、ヒーローとして、これ以上に嬉しいことはございません」


     先生のお母さんが、静かに頭を下げた。


    「皆様、今日この時まで生きていてくださって、ありがとうございます。そしてどうかこれからも更なるご活躍をされますよう、願っております」

  • 161124/09/14(土) 21:11:46

    >>160

     僕はもう耐えられなかった。

     ノベルティのハンカチで口を押える。目からはぼろぼろと涙がこぼれて、声を出さないようにするので必死だった。

     会場から小さく拍手が響き始める。

     轟くんだった。

     それが始まりになって、拍手が少しずつ広がっていく。僕らの心にあった小さな拒絶を溶かすように。

     それでも僕は顔をあげられなかった。あの人にお礼を言われるだけのヒーローではないと思ってしまった。

  • 162124/09/14(土) 21:12:18

    >>161

    「今だけは顔上げろ、出久」


     それでも隣に居る泣きくれた幼馴染が頭を掴むものだから。


    「センセーのお母さんが言ったこと、台無しにすんな」


     僕はかろうじて顔をあげた。

     後悔が胸の中に残っていて、とてもじゃないがあれだけの感謝を受け止めることはできない。

     それでも、その思いに報いたいと、顔をあげて頭を下げる先生のお母さんを見つめた。

     泣きながら、拍手の手を作る。拍手の音は雨みたいに会場内に響いて、鳴りやまなかった。

  • 163124/09/14(土) 21:13:00

    >>162


     ‡


     場内から拍手が聞こえてくる。

     漏れ出てくる声だけでも、とても素晴らしいスピーチだったとわかる内容だ。ぜひとも会場で聞きたかった。

     ホークスは目の前の男をつい、と見つめる。

    「俺らが中に戻らないとちょっと騒ぎになるんじゃないですか?」

    「ならねえよ、どうせこの後は相澤のメモリアル発表会で暫く会場は釘づけだ」

    「ははっ、昔の黒歴史とかも発表されちゃうんですかね、怖いなあ。死んだのに容赦ないって言うか」

    「本当に死んだのか?」

  • 164二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:13:29

    ちょっとガチ泣きしてる

  • 165二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:13:59

    ありがとう…

  • 166二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:15:01

    やっぱ気づいてる?

  • 167124/09/14(土) 21:15:08

    >>163

     目の前の男……山田ひざしは鋭い眼光でホークスを睨みつける。言葉の意味を理解しつつ、ホークスは首を捻った。

    「死んだんじゃないんですか? それともこれ相澤家の悪質なドッキリとか?」

    「ちょうど半年前、相澤がいきなり有休をとった」

     ホークスの言葉を無視して山田は続ける。

     その言葉はヒーローとしての物ではない。ホークスは首を竦めた。

    「今まで十年以上、一度もそんなことしなかった奴がだ。ちゃんとスーツ着て、髭剃って外出ていくのを俺は久しぶりに見たよ」

  • 168124/09/14(土) 21:19:07

    >>167

    「それがどうかしたんです? イレイザーヘッドだって社会人なんですからそんくらい」

    「そのすぐあと、また有休をとって実家に帰った」

     山田はホークスの言葉が入らぬようにして続ける。

    「今まで面倒見てきた子供たちにも話を聞いた。同じ時期に心操に仕事の取り方や自分の人脈を与え始めた。三ヵ月前にはエリちゃんに、一ヵ月前は轟、二週間前は爆豪、他の連中もみんなこの半年間に「仕事」や「街中」で「偶然」会って話をしてる。そんで、最近不自然に敵が増えた」

    「……何が言いたいんですか?」

     ホークスは後ろ手に持った携帯の電源を入れる。顔には出さないが若干指先は震えていた。

     けれど追及の手は休まらない。視線は鋭いままだ。

     二人の間にわずかな沈黙が横たわり、そして吹き飛ばすように山田は口にする。

  • 169124/09/14(土) 21:19:52

    >>168

    「……相澤は……」


     そして、縋るようにこちらを見るのだ。


    「相澤は、無駄死にには、ならねえか?」

  • 170二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:20:44

    いやあああああぁ(´;Д;`)

  • 171二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:21:48

    気づいていらっしゃる

  • 172124/09/14(土) 21:22:06

    >>169

    「は……」

     言われると思っていなかった言葉に、ホークスは携帯をとり落した。

     だが、山田はそれを奪ったりはしない。真摯にホークスの目を見て、決して目をそらさない。

    「あいつが半年間、わざわざ教え子たちの元を訪れた。もしあいつが誰かに狙われてて、そんで脅された結果そうしてたのなら……他に被害者が出ないよう、どんな手段を使ってでも誰かに知らせたはずだ」

     山田の声は小さい。

     会場からの声がかき消してしまいそうで、注意しないと聞き取れない。

  • 173二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:22:49

    気づいてももうどうしようもないしな…

  • 174124/09/14(土) 21:25:26

    >>172

    「でもそうしなかった。つまり、これはあいつの意思だ」

    「偶然事件で死んだとは」

    「ねえな。こんな偶然が何個も重なるのはもう故意だよ」

    「そうすか」

     声は少しだけ震えている。

     明らかに無理をしているのに、それでも山田ひざしは口を止めない。けれどその口調はDJらしくはなく、まるで子供の様だった。

    「アイツが、自分で選んで自分で死を偽装することを選んだ。どういう理屈かは知らねえ、そんでそこに公安が間違いなく絡んでる。敵の発生率を弄るなんて芸当、普通の組織には出来ねえよ」

  • 175124/09/14(土) 21:25:53

    >>174

    「……」

    「だから……死んだんじゃなくて、連れ去られたんだと、俺は思う。どっかでまだ、あいつは生きてんだろう。でも、死んだことにしないといけなかった、死なないと後々の辻褄が合わねねえんだろうな」

     ここまで言われてもなお、ホークスの心は穏やかだった。この話が外に漏れず、ここで終わることをどこかで理解していているのだ。

     ただ、この人のこの言葉を、きちんと聞いてやらねばと思うのだ。

    「だから俺が聞きたいのは、返してくれ、ってことじゃねえ。……なあ、相澤が行った先は、ちゃんと、ちゃんとあいつの思いをくんでくれるのか?」

  • 176124/09/14(土) 21:29:22

    >>175

     言葉は痛切な思いを含んでいる。

    「ただ死んだだけにならねえか? ここに居たほうがマシだったって、後悔することにならねえか?」

     ただの友人として一人の人を想う言葉。

     こんな重い言葉を、ホークスは人生の間でいったい何度聞いただろうか。

    「今ここで言ってくれ。あいつの人生を預かるなら、奪うなら。あいつが思った通りの結果を出すと、約束をしてくれ」

     こんなの、いくらでも誤魔化すことが出来る。

  • 177二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:29:34

    泣いてる

  • 178二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:31:17

    つらい

  • 179二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:32:28

    あぁぁぁおつらい
    マイクが友人と先輩と友人を失ってる…

  • 180124/09/14(土) 21:33:49

    >>176

     敵の発生率を弄った証拠などどこにもない。相澤消太が半年間の間に生徒たちと接触を行ったことなど言い訳が付く。

     ここで尻尾を出すわけにはいかない。

     失敗するわけにはいかない。スパイとして、いくらでも上手くやることが出来る。

     そう、思っているのに。


    「当たり前です」


     ホークスの声は上ずっている。

     涙を流すような人間ではない。それでも喉の奥が熱くなる。せめてこの言葉を届けなければと、羽の代わりに言葉を出す。

  • 181124/09/14(土) 21:34:19

    >>180

    「当たり前です、必ずやり遂げます」

    「……信じて良いんだな」

    「はい。イレイザーヘッドの想いは、我々が、必ず」

     ホークスは視線をそらさない。

     山田はその言葉を聞いて「そうか……」と、力なく呟いた。そして、ホークスに背中を向ける。

    「行くんですか」

    「DJが居なきゃ盛り上がりに欠けるだろ」

    「このことは」

    「墓場まで持ってく。あいつにはそう伝えておいてくれ」

    「……必ず」

     深々と去っていく背中に頭を下げる。

     足音が完全に聞こえなくなると、足元から力が抜けて毛深い絨毯にへたり込んだ。

  • 182124/09/14(土) 21:34:54

    >>181

    「きっついな……」

     そんなことを言う資格などないことを、ホークスは理解している。

     体育座りになって膝の間に顔を埋める。許されるなら翼を使って外に飛び出したかったけれど、そんな個性はもう自分にはない。

     自分で選んだ道だ。

     自分が選んだ道だ。

     それでも、いつだってヒーローはまっすぐで、誰もが世の中の為になるように動いている。

     手を強く握りしめて、立ちあがる。

     上げた顔は既にいつもの公安トップの表情だった。

  • 183二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:35:20

    マイク先生の思いと願いで救いはあるんだけど切ねえよ...........

  • 184124/09/14(土) 21:36:36

    >>182

    以上になります!

    マイクは感情的になるけれど相手の行動の意味を考えて自分の意見を押し付けるような真似はしないタイプ

    でもそれはそれとしてつれえこともある


    書いてるの文字数見たら二万字になってて流石に草生えた

    SSではないかもしれない

  • 185二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:37:09

    涙で画面が見えない
    ありがとうございます…

  • 186二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:38:08

    おいおい泣いてる
    マイク先生の思いも辛さもホークスの辛さも生徒たちの寂しさも全部ひっくるめて切ない

  • 187二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:39:49

    途中まで葬式のお話でさっぱりしてるな〜って思ってたけどお母さんの話あたりから「やっぱつれえわ」になって今ガチ泣きしてる

  • 188二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:41:10

    今エリちゃんSSを読み返してメンタル保ってる
    温度差で膨冷熱波出そう

  • 189二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:41:36

    >>154

    ここあまりにも辛すぎる

    相澤家ぼろぼろやん…

  • 190124/09/14(土) 21:43:27

    やっぱり故人の想いを胸に前に進む人たちは美しいと思うんですよ
    これが私のハピエンや
    とスレ主は供述しており

  • 191二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:43:40

    ドクターの抹消発言といい相澤の死の真相といい一人で墓まで持ってかないといけないことが多すぎるよマイク…
    学生時代仲良かった人みんな居なくなっちゃったし

  • 192124/09/14(土) 21:44:16

    読んだ後の感想とリアルタイムの感想どっちも嬉しい~!
    全部反応読んでます有難うございます

  • 193124/09/14(土) 21:45:10

    いつの間にかスレめちゃくちゃ進んじゃったので次スレ立ててきます!

  • 194二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:46:09

    うわあああああすごい…
    感情が揺さぶられるような文が…
    うわあああ(語彙力不足)

  • 195二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:48:00

    たった1人(になってしまった)の親友を失ったマイクがさ、「返してくれ」じゃなくて「アイツの思いを無駄にするな」って言うのがもう…

  • 196二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:49:09

    薬が無事完成したのがせめてもの救い
    よかったねぇ…😭

  • 197124/09/14(土) 21:49:45
  • 198124/09/14(土) 21:50:20

    マジで感想が間近で浴びれるの嬉しい~!
    本当に助かります栄養です

  • 199二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:51:00

    こちらこそ毎日毎日栄養をいただいております ありがとう

  • 200二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:51:04

    スレ主ありがとう
    埋め

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