- 1124/09/11(水) 21:30:57
先生関連のSSを書いていく
スレ主が相澤先生最推しで夢BLNL左右非固定の人間なので何が飛び出てくるかわからねえ、覚悟してくれ
前スレ
【閲注?】相澤先生関連のSSを書いていく|あにまん掲示板先生関連のSSを書いていくスレ主が相澤先生最推しで夢BLNL左右非固定の人間なので何が飛び出てくるかわからねえ、覚悟してくれbbs.animanch.com書いたやつまとめ(書きかけのもまとめてるよ)
SSまとめ(相澤先生中心雑多) | Writening自作発言とかしないでね 注意書き無しで色々飛び出してくるよ、気を付けてね CPなし# 1.ホークス+相澤 https://writening.net/page?s53aVA 2.山田+相澤 https://writening.net/page?VTUG4H 3.マイク+捏造…writening.net - 2二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:31:15
ありがとう
- 3124/09/11(水) 21:32:19
立ってる?
立ってるっぽい? - 4124/09/11(水) 21:33:56
- 5124/09/11(水) 21:34:44
とりあえず10まで埋めます
- 6二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:35:19
2スレ目だー!ありがとうー!
- 7124/09/11(水) 21:35:53
そう言えば>>1にも載せたけど今まで書いた奴1Pで纏めてあるから好きなやつあったら読んでくれ~
書きかけのマイクのやつも載せてあるよ
- 8二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:36:01
スレ主のSSが元気の源です!
ありがとうございます! - 9二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:36:49
冷静に考えてこの短期間で5本は頭おかしい
本当にありがとうございます - 10二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:38:26
生徒との絡みもマイクとの絡みも全てが大好きです
負担にならない程度に楽しく末長く書いてくれ 全部美味しくいただくありがとう - 11124/09/11(水) 21:38:42
ありがとやで
昼間来れないので保守オナシャス
居ない間は相澤先生の話なら雑談とかしててくれてええので好きに使ってください
おやすみ!!!!!!!!! - 12二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:39:26
- 13二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:40:18
相澤先生の過去を生徒に知って欲しいが
知ってどうする&本人の口からは一生出てこない
っていうダブルパンチで妄想が進まない - 14二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:42:27
スレ主もしかして一万字行かなきゃSSだと思ってたりしてない?我々は嬉しいが
- 15二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 21:45:06
マジでスーパーティーチャー相澤先生の妄想で今食いつないでる
オバホ戦あとにお茶子ちゃんの肩に手を置く相澤先生とか「爆豪を助けてくれ!くそぅ!」する相澤先生とか。
生徒を救う相澤先生(救ってる自覚がもしかしたらない)に夢を見ている - 16二次元好きの匿名さん24/09/11(水) 23:19:20
相澤先生とA組女子のわちゃわちゃした絡みを一生見てたい
女子たちで出かけたら偶然オフの先生に会って普段とちょっと違う先生におお...となるアシミナとか挨拶済ませてさっさと立ち去ろうとしたけどせんせーどこ行くのー、えっエリちゃんのプレゼント選ぶんですか?手伝ってもいいですか!!って押されて正直助かるし頷いちゃう先生見たい
お礼は○ラペチーノとか(先生はコーヒー飲んでる) - 17二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 05:05:58
あー…好き
- 18二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 10:39:09
ほしゅ
- 19二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 18:35:08
過去回想のとこで学生時代の相澤先生お昼にお弁当食べてたけど、出身地東京だから多分下宿生だろうし昔はちゃんと自分でお弁当作って持ってきてたのかと思うとすごくいい
- 20124/09/12(木) 18:51:53
ただいま
今日は仕事中と移動中にポチポチしてたやつがもうすぐで書き終わりそうだからそっちを先に載せるね - 21124/09/12(木) 18:52:33
- 22二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 18:56:53
- 23124/09/12(木) 18:59:53
- 24二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 19:02:01
- 25124/09/12(木) 19:05:12
なんかここの住人めっちゃ褒めてくれるな
照れるぜ
私出力の速度が他の人よりたぶんだけど少し早いんだよね
乗ってれば大体三時間で一万字くらい、遅くても五時間
でも早い分雑なところとか誤展開とかあるから、早けりゃ良いとか長けりゃ良いとかじゃないと思うよ
- 26124/09/12(木) 19:50:31
やせ細った女性が対面に座る。
事前に聞いていた年齢よりかは若干老けて見える疲れた顔、深緑色の長い髪。女性はインタビュアーよりも先に深々と頭を下げた。
「本日は私の要望に応えていただきありがとうございます」
「とんでもございません! こちらの方こそお礼を申し上げます。まさか貴女の方からご連絡を頂けるとは」
インタビュアーは内心の動揺を隠して笑顔を取り繕った。
ボイスレコーダーを起動し、メモを手にして椅子に浅く腰掛ける。
「でもいったいなぜこのタイミングなのでしょうか。もうあの事件から八年の歳月が経ったわけですが」
「……そう、ですね。色々とありますけれど、一番は」
女性は長い長い間をおいて呟く。
「……ようやく、私の中で折り合いをつけることが出来たから、でしょうか」
「なるほど。息子さんを亡くされたのですから当然でしょう、今回はどのようなことをお伝えになりたくて連絡をくださったのですか?」 - 27124/09/12(木) 19:51:10
- 28124/09/12(木) 19:51:54
無精ひげ、伸びた髪、ボロボロのヒーロースーツ。抹消と言う強個性を持ちながら大戦では大した活躍を見せず、今や活躍を聞かない時はないほどのプロヒーローとなった雄英高校元一年A組を危険に晒し続けた男。常にネットでは笑いものとされていて、元教え子たちも彼の話題となるとコメントに困るのか口を噤んだ。
とくに彼の評価を決定づけたのは大戦におけるデクの喪失だ。OFAという宿命染みた個性を背負った少年のケアをせず、戦線に赴かせAFOとの一騎打ちで死亡させた。当時イレイザーヘッドへのバッシングは凄まじく、連日報道が行われた。
両親は海外に逃げ、事実上の絶縁となり雄英高校にも居場所のなくなった彼が今どこにいるのか、誰も知らない。
‡
夢は、脳が過去の出来事をベースに見せるものだという。だから死んだはずの人間が変なことを言ってきてもそれはただの自分の願望に過ぎず、意味はない。
- 29124/09/12(木) 19:52:31
『覚悟してくださいね』
カイは昨日の夜の夢を思い出す。こんな時に考えることではないというのに。荒い息を吐きながら、夢の中の人物は自分を見ていたずら小僧の様に笑っていた。
黒い髪を振り乱しながらカイは自宅までの道を走っていた。
生まれ故郷の日本とは違い、まるで整備されていない地面を蹴って大急ぎで家へと向かう。途中、近所のクエンが「今日は美味しい果物が入ったよ!」と言っていたので「また今度な」と返しながら、走る。
家につき、鍵を閉めて息を整える間もなく荷物をまとめ始める。こんな日がいつか来ると思って元々私物を少なめにしておいてよかった。
「くそっ……八年だぞ……!」
カイは舌打ちをしつつ荷物をリュック一つ分にまとめて背負い、玄関からではなく窓に向かう。
だが、玄関の外から何か風を切るような音が聞こえたと同時に扉が轟音を立ててぶち破られ、その衝撃でカイも吹っ飛ばされた。
- 30124/09/12(木) 19:52:55
瞬時に受け身を取って起き上がり、窓に向かうが、そこには既に金髪の男が立っていた。
「やー、どーもどーも! 日系ベトナム人のカイさん! ちょーっとお話宜しいですか? 私日本の法的機関の者なんですけども」
「お話宜しいですかって聞く人は玄関ぶち破らないんだよ」
カイの視線は先ほど玄関を破った物の正体に映る。紫とピンクが綯い交ぜになった髪の毛のような物の塊が床に突き刺さっていた。
──レディ・ナガンか。
目の前の男を制圧して外に出たほうが早いが、縦横無尽な弾丸が自分の体を貫く速度には勝てないだろう。カイは両手を挙げて壁に背をつける。
「賢明です」
「どうしてここが?」
「トップシークレットです、と言いたいところですがね。まあいざというときの為に事前に見張りをつけといたんですよ。と言っても現地の協力者ですけど」
「ッチ、やけに手際良いと思ったら八年前からかよ」
- 31124/09/12(木) 19:53:52
観念したように脱力をするが、視線だけはぎらつかせてあたりを警戒する。目の前の男……日本の公安トップであるホークスが警戒心を解かせるための、無害な笑みを浮かべている。
この男の笑顔が信用できないことなど、八年前の戦いで学習済みだった。
「ホークス、アンタ今公安トップだろう。こんな東南アジアの端っこにいったい何の用だってんだ」
「いや~、俺日本から出たことないんで観光とか初めてでしたよ。まあそこはおいおいやるとして。今日は貴方に会いに来たんですよカイさん」
ホークスの笑みがわざとらしく形どられる。
「いいえ、相澤消太さん。イレイザーヘッドの方が良いですか?」
「…………その名前をアンタが出すことに、メリットを感じないが」
「これがあるんですよね~!」
ホークスは目の前で携帯を弄り始める。
- 32124/09/12(木) 19:54:52
どうにか逃げられないかと視線を彷徨わせるが、ナガンの気配を感じることが出来ない。どうやらかなり遠くからこちらを狙っているらしい。窓や玄関の死角に非常口は作ってあるが、彼女にとってそんな物はないのと一緒だろう。
大人しくホークスの動向を見ていると、彼は一つの動画を開いた。「八年の歳月を破り、今真実の告白」というタイトルの記事に付随した動画には、見知った顔が載っていた。
「緑谷の……お母さん。っ、おいホークス! まさか」
とっさに最悪の事態を想像して彼につかみかかった。
全盛期よりは衰えている物のまだまだ現役として通用するカイ……相澤の腕力に、けれどホークスは全く怯まない。
「しい。ちゃんと見てください、イレイザーヘッド」
そう言って、ホークスは再生ボタンを押した。
- 33124/09/12(木) 19:56:52
『では、雄英高校はイレイザーヘッドをバッシングさせることで緑谷家を守っていた、ということなんですね?』
『いいえ。イレイザーヘッド自身が提案されたことなので高校の判断かはわからないんです』
『彼が直接提案したんですか?』
『はい。「今は御心を休めてください」と、息子を亡くした私たちを気遣って、メディアの目がこちらを向かないように矢面に立ってくださいました』
『失礼ですが緑谷さんはその時は』
『私は息子が死んでしまったことで頭がいっぱいで。先生がメディアに出ていることの意味すら理解しておりませんでした』
『そうですよね、まだ十六歳のお子さんを亡くされたんですもんね』
『先生は……先生は、A組の他の子たちにも被害が行かないように自分に関する話題はなるべく出さないようにと指示を出されていたようで。お恥ずかしい話ですが、私がそのことを知ったのは息子の代の子たちが卒業した日のことでした』
- 34124/09/12(木) 19:59:33
『それは誰からお聞きになったんですか?』
『息子の友人の、大・爆・殺・神ダイナマイトのお母さんからです』
『美談のように語られますが、実際イレイザーヘッドが守れなかったからお子さんは亡くなられたのではないですか? 当時を私は知っていますが、あれは雄英高校の失態でしょう』
画面の向こうでずっと俯きながら話していた緑谷引子が、初めて明確に首を横に振った。
『いいえ、いいえ。あれだけの巨悪に、先生はよく戦ってくださいました。雄英高校も、出来る限り全てのことをしてくださいました。今ならわかるんです、今ならあれが最善を尽くし続けた結果だったとわかるんです。でも私はあの時いっぱいいっぱいで、先生を盾にして逃げてしまって。私だって戦場に出るあの子を送り出した一人だから、一緒に前に出なければいけなかったのに。それがずっと申し訳なくて、耐えられなくて』
『それで今回、お話に来て下さったんですね』
『はい』
『でもそうなると次の問題が出てきますよね、雄英高校はどうしてイレイザーヘッドを守らなかったのでしょう』
緑谷引子が応える前に、コメンテーターの一人が手を挙げた。
- 35124/09/12(木) 20:03:33
『これは推測でしかないのですが……彼はおそらく、勝手に自分でインタビューを受けたんでしょうか。私も当時取材をしていましたが、雄英高校は徹底的に部外者をシャットアウトしていて、外部の人間が接触することは不可能でしたから』
『じゃあ黙ってれば世間は忘れてくれたんじゃないですか? なんでわざわざイレイザーヘッドはメディアに出てきたんでしょう』
新入社員のアナウンサーの言葉に年配のコメンテーターはせせら笑った。
『そりゃあなた、あのデクの戦いをリアルタイムで見てた人たちはそれじゃ納得しないですよ』
『そうなんでしょうか』
『そうですよ、あの時遠くにいた私だって画面を見て、頑張れ、頑張れ! って声を出していたくらいです、避難所にいた人には神様くらいすごい人だったでしょうね。そんな人が相討ちで死んじゃったんだから、誰だって誰かのせいにしたくもなりますよ』
- 36124/09/12(木) 20:04:34
熱弁するコメンテーターに対し、帰国子女で当時をよく覚えていないのだろう若いアナウンサーは「そうなんですか」と他人事のように呟く。
それを見て、緑谷引子は改めて前を向く。
『当時は……みんなが責める先を探してました』
言葉は重い。
『もし、あのバッシングがなかったら……みんな口々に見知らぬ誰かを責めて、息子の遺した「頑張れ」っていう大切な想いも消えてしまっていたのでは、と思うんです』
『あのバッシングは必要なことだったと?』
『そういいたくはないですが……結果としては、そうなってしまったのかな、と』
涙声になってしまった緑谷引子の言葉を引き継ぐようにコメンテーターが喋る。
『たしかに、デクの遺した善性ともいえる感性は今や世の中全体に行き渡っています。でもそれは確かに、あの大戦直後責める矛先があった故の安定ともいえるでしょうね』
- 37124/09/12(木) 20:09:08
- 38124/09/12(木) 20:12:16
ごめんこれもし「投げながら書いてる?」って意味だったら違う
書こうって決めた物をがーってある程度書いてからそれを分割して投げてる
書くもの自体はその場で決めて「書いてくる~」って言ったタイミングで書き始めてる
伝わってるか…?伝われ…!
- 39124/09/12(木) 20:12:49
どこかのワイドショーを切り取った動画を見せられて、相澤は絶句した。二の句が継げぬとはまさにこのことだった。
どうにか絞り出した声は声というよりも「音」で、自分の耳に響き不快さを煽る。
「っ、なん、だ、これ……」
「ご覧の通りです。八年前、貴方が決死の覚悟で作った「緑谷出久の遺した意志が浸透するまでの猶予」は間違いなく果たされました。それを受けて、その意志を引き継いだ皆さまが今度は貴方の名誉の回復に勤しんでいるわけですね!」
やけくそ気味に言われた言葉に相澤は頭を抱える。
逃げる意志を挫くそれに思わず床に座り込むと、新しい足音がやってきた。
「げっ、まだそっち居てくださいって言いましたよね」
「もういいだろ、そいつは逃げない」
- 40124/09/12(木) 20:17:03
「そりゃそうですが……この人がこの森で本気で逃げようとしたら捕まえんのだいぶ骨折れるんですからね、わかってます?」
「で、話はしたのか?」
歩いてきたのは紫色の髪をした女性だった。
レディ・ナガンと呼ばれたかつてのヒーローはどうやら現在公安にいるらしい。どういう経緯かは知らないが。
「それはこれから」
「……何の話があるってんだ」
ガンガンと痛む頭を押さえつけてかろうじて声を出せば、やはりやけくそ気味のホークスが食い気味に被せてくる。
「いやですねえ~。緑谷引子さんの告白を皮切りにSNSやワイドショーを中心に当時の関係者の心境吐露みたいなのがバンバン出てまして! 特にヒーロー関係者! 八年前は貴方の言い分が正しいと思って黙っていたけどやっと言えるんだ! って連日報道の嵐嵐嵐!」
- 41124/09/12(木) 20:18:16
「そういうのは……公安がどうにかするもんじゃないのか?」
「あっはっはっは! 公安が三百人規模の言論の自由奪えると思えます!? あの大戦経験者で肝座りまくりの三百人! 見せしめ一人二人で怯むメンツじゃないんですよもう!」
「三百っ……!? おい、俺にはそんな交友関係はないぞ」
「貴方になくても貴方の教え子にはあるんですよね」
ホークスはそう言ってスマホを相澤に渡す。
この地に来てから電子機器は持っていない。素性が漏れることを警戒したからだ。
久しぶりに触ったスマホは前よりもずっと画面が大きくて、発色が良い。極彩色に彩られるニュース欄のスクリーンショットには一度は聞いたことのあるような名前から知らないものまでさまざま混じっていた。だがどれも、確かに教え子たちとかかわりがあるヒーローやその関係者に思える。
- 42124/09/12(木) 20:23:39
飯食ってきてからまた投げるね~
- 43124/09/12(木) 21:08:32
戻ってきた
これからまた投げるね~
♡めっちゃ嬉しい読んでくれてありがとうやで - 44124/09/12(木) 21:14:21
混乱する頭は現状についていかない。眉間の間を抑えるが頭痛は収まりそうになかった。
「あの大戦を経た人たちはヒーローだけじゃないですよ。ジャーナリズムを取り戻した報道関係者、少しでも多くの人たちに手を差し伸べることを目的としたNPO団体、ヒーロー科を有する全国の教育機関、自分の知名度を正しく使おうとするインフルエンサー……騒動がとんでもない数に膨れ上がってもう公安は手が付けらんないんっすわ」
「……それは、さぞ大変だろうな」
「大変なんてもんじゃなか~」
「というか、アンタがそうやって出し抜かれるのは珍しいな。これだけ大規模だったら準備期間だって相当あっただろう。どうやって公安の目を……」
「ラブラバが作った専用ネットワークで極秘裏に打ち合わせをされつつツクヨミに内偵されてたら出し抜かれもされるんすよね~!」
ホークスは疲れ切った笑いを漏らす。
反対に相澤は信じられないと目を見開いた。
- 45124/09/12(木) 21:15:08
「常闇が……内偵……?」
「内偵って言うかアレは囮でしたね。俺に疑わせるための囮。で、疑いが晴れてあー良かったツクヨミはそういうことしないよねって思ったらこれっす」
「そ、それは……なんと言うか」
「まあ出来の良い生徒さんをお持ちで」
相澤の目の前に座り込み「で、ここからが本題」と笑った。
「ご想像の通り、いま日本は大変なことになってます」
真面目な話のトーンになり、相澤も身を正す。隣に居たナガンもようやく本題に入ったかと歩を進め二人の間に入った。
「八年前に自分たちが大バッシングしていた奴が実は身を切って教え子たちを守ろうとしていた、なんとも美談です。だけど同時に当時の人たちには受け入れがたいことでもあります」
「なんせあの日からヒーローデクの意志を継いできたと思っていた自分が、加害者だったわけだからな」
- 46124/09/12(木) 21:15:31
- 47124/09/12(木) 21:16:02
- 48124/09/12(木) 21:16:47
- 49124/09/12(木) 21:18:18
- 50124/09/12(木) 21:19:35
相澤はもう一度悩む。頭の回転は別に悪い方ではない。
別の話題で上書きするのが無理なのであれば、例えば同じ話題の中でサプライズをするのはどうだろうか。そうだ、例えば今恐らく日本中が消息の確認をしたいと願っているような人がいきなり現われでもしたら……。
そこまで考えて、相澤は思考をシャットダウンした。
「…………………………………………いや、わからんな」
「わかる奴の間だな」
とっさに浮かんだ案に、いやな予感がして否定の言葉を出すがナガンが笑って茶化す。
正解を当ててしまったらしく、頭を抱えるしかない。小さく「嫌だ」とうめくが、ホークスは至極楽しそうに笑っている。これは同じ地獄に人が落ちてきた時の畜生の顔だ。
- 51124/09/12(木) 21:21:43
- 52124/09/12(木) 21:26:23
- 53124/09/12(木) 21:27:38
- 54124/09/12(木) 21:29:46
- 55124/09/12(木) 21:33:41
相澤が言うと、緑谷は一瞬驚いたような顔をして、そのあとすぐに嬉しそうに笑う。「はい」と言う表情はあの頃と同じ少年のままで、嗚呼本当にここで彼の命は終わってしまったのだと痛感させられる。
後悔がないわけではない。
だがそれを抱え続けたままでは前に進めない。前に進む他の子どもたちを導けない。目の前の少年が自分を薄情だというわけがないから、きっとこの気持ちは自分の胸の内から出てくる感情なのだろう。
「先生にどうしても言いたいことが二つあって」
「多いな。一つにまとめろ」
「いいえ二つ言わせてください」
主張を押し通して緑谷は改めてこちらに向き直る。深い緑色の瞳が、まっすぐに見つめていた。不思議と、居心地は悪くない。
- 56124/09/12(木) 21:36:42
- 57124/09/12(木) 21:39:05
ごめん全然関係ないけど思いついちゃったから今言わせて
グラデ便箋風お耽美相澤先生っていう単語が今降ってきて憑りつかれてる - 58124/09/12(木) 21:47:14
- 59124/09/12(木) 21:48:02
- 60124/09/12(木) 21:48:39
- 61124/09/12(木) 21:49:04
- 62124/09/12(木) 21:49:26
- 63124/09/12(木) 21:49:42
「これは……」
「イレイザーヘッドといったらこれらしいからな」
「はい、あとはゴーグルです」
「……はあ」
本格的に戻らなくてはならないらしい。新調されたヒーロースーツは袖がわざとほつれていた。ここまでする必要があるだろうか。
馴れ馴れしくホークスが肩を組んでくる。
相澤はそれを振り払って荷物を持って壊れた玄関へと歩いた。修繕費のことを聞けば現地に残った協力者がすべてやってくれるらしい。便利な話だ。
車が通れる道まで出ると、現地の車にカムフラージュしたそれが泊まっていた。空港行のそれに乗り込むと、ようやく肩の荷が降りたのか三人は一度に息をつく。
それがなんだか笑えてきて、発進した車の中に疲れ切った社会人たちの笑い声が漏れた。
- 64124/09/12(木) 21:50:02
- 65124/09/12(木) 21:52:13
以上になります!
構想は前スレ142の「おいて行かれる側の相澤先生」でした!
ただ私の解釈だと相澤先生は絶対に曇らないと思うので、多分142の考えていたやつとは若干違うと思う…
なんか解釈違いだったら済まない
- 66二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:53:59
うわああああああ!
ありがとうございます!
疲れた体に染み渡ります! - 67二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:55:36
生きていてよかった
- 68二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:56:00
- 69二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 21:59:03
本当に生きててよかったし先生大好きありがとう
- 70124/09/12(木) 22:00:11
相澤先生が曇らないって言うのは、所謂「どうしてこんなことに」とか悩んで悔やんで悲しんで立ち止まってしまうことはない、という解釈で
白雲の一件で相澤先生は曇った結果ああなってしまった、と見ることも出来るけど自分はどちらかと言えば「白雲の死によって相澤先生の特性が強化された」という感じだと思うんですよね
相澤先生は当時の山田が言うように腹が決まると強いタイプで、そこまでが長かった
でも、白雲の死という迷っている時間が判断を誤らせることもあるというイベントを経て即断即決で自分の決めた道を行くという特性になってしまったんじゃないかと思ってるんですよ
じゃあなんであの時コーイチの言葉で教職を選んだのかと言うと
これもコーイチのおかげというよりは香山先輩と山田の後押し、それからあそこにいた人々のおかげでオリジンを思い出したからではないかなと思うんですよね
自分にとって相澤先生のオリジンは白雲が死んだあのシーンではなく、白雲、香山、山田と「猫を飼う」という選択肢をしたシーンだと思っていて
あの選択肢をするまで相澤はずっと自分の選択に迷いがあって何も決められなかったけれど、あの原点があるから少しずつ自分の道を考え決めるようになったと思うんですよ
ただ、白雲の死によってもっと段階を踏むはずだったそれが一気にすっ飛ばされてしまい、どうして自分がこんな決断ができるようになったかさえも忘れてしまった
けれどオリジンというのはいつだって心の中から湧き出るもので、決して失われるものではないので、ああいう形でよみがえり「教師という道もあるかな」と選択できたのではないかと思うんですよね
何が言いたいかと言うと、相澤先生は自分で考え、その考えに基づいて行動し、責任を背負ってそれでも前に進める人間なので悔やんだり後悔して立ち止まり曇ってしまうことはないのではないかなと思います
相澤消太はどんなことがあったって前に進める、強い人 - 71二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:03:37
その解釈好きすぎるなにそれすごい
- 72124/09/12(木) 22:03:50
書いてて思ったのはホークス滅茶苦茶動かしやすい
ごめんな公安トップなのに海外出して
お前絶対日本に居るだろうにな - 73124/09/12(木) 22:10:01
「まずは猫一匹から」っていうところは明確に今までの相澤と考えが変わったところだと思うんですよ
あそこも「誰かと一緒になら何でもできると思ったのに白雲が居なくなったからそんなこともなくなっちゃったんだね…」という解釈が主流だとは思うんだけど、「誰かと何かをやるという『選択』をすることができるようになった」という相澤消太:オリジンだと思うんですよわたしゃ
自分で決められなかった相澤消太が、誰かと何かをするという『選択』をすることができるようになった、そういう考えの幅を広げることが出来た、それがオリジンなのではないかなと
でも白雲がいなくなって、誰かと行動するとその人を失う可能性が出てきてしまったから香山山田の元には戻らず、一人でいる『選択』をした
それでも相澤が選んだ道だからと二人は何も言わず、ただ転機があったから声をかけた
そういう感じだと思うんですよ - 74124/09/12(木) 22:10:47
何を言ってんだろうな
ちょっと冷静になったわ - 75二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:14:16
スレ主の深い解釈すげえ好き ありがとうね
- 76124/09/12(木) 22:15:13
- 77124/09/12(木) 22:15:32
こっちこそこんな怪文書よんでくれてありがとね!
- 78124/09/12(木) 22:19:31
あんま何本も書けなくてすまない
自分が居ない時はマジスレで適当にお茶してて良いんで
スレ消費とかもどうせ埋まったら立てればいいし気にせんでくれ
寧ろみんなが話してくれてるとこっちも良いなって思ったネタで書いたりするから… - 79二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:24:49
本当にスレ主さんの話が日々の糧になってる
いついつまでも気長に大口開けて待ってるね……ありがとう…… - 80二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:31:36
せっかくスレに直書きされてるんだし感想良いか?
ここ>>48のA組の心境めちゃくちゃ辛かったろうな…って泣いた
みんながヒーローになれる時代まで待ってたんだろうな
かっちゃんとかインタビューでイレイザーの話出るたびに殺しそうな顔してそう
- 81二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 22:36:31
ここ好きポイント
8年の沈黙を破る尖兵がデクママなところ - 82二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 23:39:43
スレ主のさあ、直接描写しないけど「きっとそうだったんだろうな」って思わせる文が好き
今回のだと8年前のバッシングや当時のA組とか
想像が無限に捗る
それはそうとSSではなくね?もう普通に小説だろこれ - 83二次元好きの匿名さん24/09/12(木) 23:50:53
アングラヒーローやってる相澤先生なんかいくらでも見たいので、元生徒の誰かが人質事件に駆り出されて突入したらもう既に場を掌握しつつある相澤先生(たまたま巻き込まれてた)がいてやっぱ先生凄!!流石自分達の先生!!ってなる生徒たちがいてもいいと思うんですよ
なおその手捌きに見惚れてたら『オイ見てないで手伝え』って叱られても良い
そしてスレ主さん今日も素敵なお話ありがとう 良い夢が見れそう - 84二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 00:26:23
- 85二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 05:29:15
- 86124/09/13(金) 06:26:29
- 87二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 06:42:14
- 88二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 16:10:47
ヒーローのイレイザーも好きだけど先生やってるイレイザーが一番好き
先生怒る時は本気で怖いけど褒めてくれた時は嬉しい生徒と日頃からちゃんと見てるから何気ない瞬間に褒めてくれそうな先生
普段あまり褒めない人から貰った賞賛と褒め言葉ほど心に響くし残るし思い返してニコニコになるよね… - 89124/09/13(金) 18:26:32
- 90124/09/13(金) 18:27:58
- 91124/09/13(金) 18:28:49
とりあえずただいま!
マイクの話を書きます - 92二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 18:38:04
待 っ て た おかえり
- 938524/09/13(金) 18:40:32
- 94二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 18:40:55
お待ちしておりました!!
- 95124/09/13(金) 18:42:06
- 96124/09/13(金) 18:43:09
- 97124/09/13(金) 21:18:16
ごめん普通に難産なのと投票の結果にちょっと耐えられなくて今日あげられるか怪しい
明日休みだから回復したら夜中とかに投げるね… - 98二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 21:29:35
- 99124/09/13(金) 21:31:08
ごめんあまりにも耐えられないからちょっと明るい話書く
エリちゃんと相澤先生の話書いてくる… - 100二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 21:59:19
スレ主お疲れ様
ゆっくり待ってるね - 101二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:45:07
このレスは削除されています
- 102124/09/13(金) 22:46:30
リアルタイムでみんなと共有したいというよりは「助かりたい」という気持ちが強いので一括公開にします
エリちゃんと相澤先生とA組とちょっとだけマイク
エリ+相澤+A組 | Writening 愛情たっぷりご飯。 久しぶりにA組のみんなに招待された昼食時、エリの耳に届いたその言葉は、今まで聞いたことのないものだった。 「愛情……たっぷり?」 「てめえ上鳴! 変な言葉覚えたじゃねえか! 死…writening.net - 103124/09/13(金) 22:50:03
相澤先生は味覚が終わってるからそこらへんで料理も大変なことになれば良いかなって思ってる
あとすまん心が本当にメタメタなので寝ます
12時間後までに起きてないかもしれないのでその時は保守オナシャス……
- 104二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:53:44
今日も今日とてめちゃくちゃいいお話だったよありがとうね
- 105二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 22:57:45
すごく心がほっこりした
いつもありがとうスレ主 - 106二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:03:00
- 107二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:11:48
最近スレ主が小説を上げてくれるのが当然みたいな気持ちになってしまってる自分がいる
スレ主はいつだってここを去れるのに毎日書いてくれてありがとな
いや冷静に考えてこのクオリティ毎日書いてんのはやっぱおかしいって - 108二次元好きの匿名さん24/09/13(金) 23:16:25
あんまこう言うこと言うとアレだけど俺相澤先生最推しだけど今同じくらいスレ主のことも推してるから失踪されたらマジで泣くかもしれん
いつもありがとう今回のメシマズ先生も可愛いよ - 109二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 01:28:10
- 110二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 07:40:07
ほしゅほしゅ
- 111二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 12:09:53
保守しとくか
- 112124/09/14(土) 15:37:50
- 113124/09/14(土) 15:38:23
- 114124/09/14(土) 15:38:36
- 115124/09/14(土) 15:38:52
- 116124/09/14(土) 15:39:11
「俺の方は逆に仕事詰め込まれすぎて死ぬかと思ったなあ」
「先生そういう配分上手そうなのにね」
「今まではそんなことなかったんだけどね、半年くらい前からかなあ、ご実家に顔出すために休み取ったと思ったらいきなりめちゃくちゃ仕事取ってくるようになって。まあおかげで一人でも十分やっていけるくらいには人脈も顔も売れたわけだけど」
ここ半年間、本当に死ぬほど忙しかった。
今までは名ばかりの事務所副所長だった癖にありとあらゆるところに頭を下げ仕事をとり、それらを全て完璧にスケジューリングして心操に渡してきた。
曰く「今までが放任過ぎたな、悪かった」らしいが、本心は分からない。人間関係など特に自分では上手く出来ているつもりでいたが、実際に忙しくなってみると大分甘かったのだと痛感した。アングラこそ人間関係が大事だとは言われていたが、これほどとは。
- 117124/09/14(土) 15:40:19
前以上に警察やヒーロー関係者の伝手も出来て仕事関係もかなり充実している。
けれど。
「……良いことじゃないの?」
「ううん……仕事が増えたのは良いこと、なんだけど」
エリちゃんにはそれ以上言えなかった。自分が忙しくなったせいで相澤が死にそうになっていた時、遠くの現場にいたことを後悔しているなど、彼女には話せない。
言葉に詰まる心操を心配そうに見ていると、壇上に他の人が登ってきた。
「あれ、エリちゃん、心操。珍しい組み合わせだな」
「轟……エンデヴァーも来てるのか」
「ああ、思うところがあったみたいだからな」
壇上には登ってこず、下で他のヒーロー関係者と話しているエンデヴァーにちらりと視線を送って、轟は骨壺に頭を下げた。
「俺は最後に先生にあったのは一ヵ月前の飲み会だったんだ。……こんなことになるなんてな」
「先生飲み会とか来るの?」
- 118124/09/14(土) 15:40:38
- 119124/09/14(土) 15:40:59
- 120124/09/14(土) 15:41:28
「なんだろうな、必要があるとかないとか、そういう話じゃねえと思うんだ、こういうの。自分でもよくわからねえけど……どうしても心操はいいなって、思っちまうんだ。わり、こんなこと言われても困るよな」
「ああうん、俺は今お前にそう思われてたことにちょっと恥ずかしさすら覚えてる」
「? 恥ずかしいところあったか?」
轟は特に自覚をしていないようだったが、ここまで相澤先生に懐いていたのか、と思うと少し面映ゆい。
心操の代はその年起こったことがことだけに、クラスメイト同士の絆も先生への信頼も、他の代より強い自覚がある。だが、轟は特に自立したメンタルを持っていて、あまり先生に対し特別な信頼を持っているとは思っていなかった。
- 121124/09/14(土) 15:41:47
- 122124/09/14(土) 15:42:23
- 123124/09/14(土) 15:49:04
- 124二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 15:53:49
おかえり 待ってたよ
- 125二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 17:07:27
おかえり!待ってました!
葬式のどこか重いけどみんな世間話は普通にできちゃう絶妙な空気感伝わってくるの本当すごい - 126124/09/14(土) 19:03:01
‡
イレイザーヘッドと特に大きなかかわりがあったわけではなかったが、死んだと聞かされた時「まあ葬式くらいは行ってやるか」とミルコは思った。
先の大戦で抹消は大活躍だった。更に自分はその場に居なかったけれど黒霧を掌握し最終決戦にて多大な貢献をしたらしい。陰気ではあるがヒーローとしての本質は共感できる部分が多く、嫌いなわけではなかった。
きちんと喪服に身を包んで参列すると、先に来ていたらしいベストジーニストと体が全盛期の七割ほど戻ったエッジショットが目を剥いた。
「ミルコ……普通の喪服持ってたのか」
「お前それジーンズ生地で出来てたりすんのか?」
「人の質問に答えないのは違反デニムだぞ……流石にちゃんとしたところで仕立てている。裏地にデニムを使っているが」
「裏地ゴワゴワじゃねえか」
- 127124/09/14(土) 19:03:17
ミルコはウェルカムドリンクをイレイザーヘッドの次女と言っていた女子から受け取って一口飲む。ジンジャエールのピリッとした味が舌の上に転がった。
「ヒーローやってたら喪服買っとくもんだろ。大体年中同業が死ぬんだし」
「確かにな。プロになってからは参列した結婚式より葬式の方が多い」
「でも告別式に来てウェルカムドリンク出されたのは初めてだわ。イレイザーヘッドの家族おもろいな」
「あと一口サイズの菓子もあったぞ。あれも美味かった」
「マジかよ、あとで食いに行くわ」
葬式会場とは思えない雰囲気の会場は正直ミルコをわくわくさせた。人が死んで楽しいという感性を持ち合わせているわけではないが、ヒーローを長く続けているとどうしても同業の死には慣れてしまう。
- 128124/09/14(土) 19:03:36
その度に辛気臭い葬式に参加しては「こういう送り出し方はダルいな」と常々思っていたので、自分の葬式もこうしてほしいと親にあらかじめ言っておくべきだろう。
二杯目のウェルカムドリンクは配膳ロボットから受け取った。イレイザーヘッドの教え子がコラボをしているグレープジュースは果汁百パーセントでフレッシュな味わいだった。
「それにしても、辛気臭い顔してる奴らが結構いるな、こんな馬鹿みてえな会場なのに」
「それもそうだろう。殆どはイレイザーヘッドの教え子たちだ、先生が死んだらそんな顔をするのが普通じゃないのか?」
「高校時代の教師の顔なんぞ覚えてねえわ」
「俺も怪しいな……」
「お、お前たち……」
- 129124/09/14(土) 19:03:52
- 130124/09/14(土) 19:04:07
「……随分と慕われていたみたいだな」
「教師を慕うって感覚自体がわっかんねーわ」
「進路相談に乗ってくれていた先生なら思い出せる。……結局、自分たちの進路にどれだけ真剣でいてくれたか、が記憶の要なんじゃないのか」
「ほぉーん。ま、こんだけ悲しまれてたらそれはそれであいつも本望なんじゃねえの、知らねえけど」
ミルコはいよいよ興味が無くなって、先ほどエッジショットが教えてくれた一口サイズの菓子を取りに行く。こういうところに置いてある物はあまり甘くなくて食べやすいのだ。
皿の上に幾つか乗せていくと、一番美味そうな種類の最後の一個をとろうとして手が誰かとぶつかる。「わり」と声に出そうとして、顔を横に向けると昔はよく見た顔がこちらを見て驚いた表情を見せていた。
「ホークス?」
- 131124/09/14(土) 19:04:25
- 132124/09/14(土) 19:04:48
- 133124/09/14(土) 19:05:26
- 134124/09/14(土) 19:06:01
- 135124/09/14(土) 19:06:24
- 136124/09/14(土) 19:07:12
- 137124/09/14(土) 19:08:10
- 138124/09/14(土) 19:08:38
「……久しぶり、だね。かっちゃん」
「あ? ……ああ、お前最近二足の草鞋で大忙しだもんな」
「ああうん、まあ、そう……なんだけど」
「お前のことは引子さんから聞いとるからあんま久しぶりって感じはせんな」
「ええ、お母さんから……!? なんか変な事言ってなかった?」
「言っとらんわ。でもお前、ちゃんと実家には顔出せや。先生ですら半年前に顔出ししとるんやぞ」
言われて、僕はちょっと返す言葉が無くなる。
教師とヒーローの両立生活は想像よりもずっと大変で、相澤先生に負担をかけながら最近ようやく軌道に乗ってきたところだった。
だから家に帰る時間なんてあんまり無かったし、心配をされていても仕方がないと思ってしまう。
「ちゃんと帰るよ」
- 139124/09/14(土) 19:09:39
- 140124/09/14(土) 19:10:16
- 141124/09/14(土) 19:10:45
- 142124/09/14(土) 19:11:09
- 143124/09/14(土) 19:11:42
- 144124/09/14(土) 19:12:27
- 145二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 19:20:11
待ってましたありがとう!!!!
- 146二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 19:34:49
続きありがとう!これもしかしてマイク気づいた感じ…?
九時了解した〜!!! - 147二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:27:24
- 148124/09/14(土) 21:04:50
- 149124/09/14(土) 21:05:09
続き投げていくよ~
- 150124/09/14(土) 21:05:30
- 151124/09/14(土) 21:06:03
「息子の話の前に、まず我が家のお話をさせて頂きたいと思います」
そう言うと、BGMが転調した。そういう仕組みなんだ。
「我が家は祖父の代から続くヒーロー家系です。『成長』の個性とヒーロー名『クレセール』を代々引き継ぎ、主に災害特化のヒーローとして活躍をしておりました。私は相澤の家に嫁入りした身ですが、三十代の頃に体を壊すまでは今は亡き夫のやっていたヒーロー事務所でサイドキックとして名を連ねておりました」
「……そうなんか」
「そうだよ、災害ではだいぶ有名なヒーロー」
かっちゃんから問われたので小声で返事をする。
クレセールのことは僕も良く知っている。
実際の植物を急成長させることのできる個性で、正直抹消とは全く縁のない個性だ。
- 152124/09/14(土) 21:06:37
- 153124/09/14(土) 21:07:08
- 154124/09/14(土) 21:07:41
「避難誘導に当たっていた長女と次女の夫、及び長女の息子は現場にて戦死。次女は戦闘のさなかAFOに『成長』の個性を奪われ……かろうじて五体満足で生き残った当代『クレセール』の長女も、大戦のときに負った後遺症が原因で、二年前別の現場にて片足を失う大けがをいたしました」
「……っ」
言葉が出ない。
「息子は対AFOとの戦いでの要として戦いましたが、最終的には右目と右足を失い、我が家は誰もかれもがヒーローとしては十分に責務を果たせない姿での帰還となりました。恐らく、ご会葬いただいた皆様の中にも、同じような想いをされた方は多くいらっしゃるのでしょう」
体の大部分を失った人、個性を奪われた人、命を落とした人。ここにはそんな人たちが大勢集まっている。
元々なかった個性を失った僕とは違う苦しみを負っている人たちが、大勢いる。
- 155124/09/14(土) 21:08:14
「あの動乱の時代を経て、世界は今も大きく変わり続けています」
それでも声は凛と響く。
「ヒーローに頼り切る世の中から、一人一人が善性を持ち、誰かの為に動き続ける世の中へ。誰もが誰かのヒーローになる世の中へと、一歩ずつ変わってきております。ほんの少しずつ、けれど確実に、ヒーローが要らなくなる社会へと近づいているのです」
かっちゃんが僕の脇を小突いた。
痛いよ、と言おうとしたけど壇上に夢中で僕は目を逸らせない。
「一方で、それでも『ヒーロー』になりたいと願う少年少女は大勢います。彼らは並々ならぬ決心を持って各ヒーロー科のある教育機関の門を叩くのでしょう。教える側と言うのは、その決心や熱意に必ず応えなければなりません」
胸がぎゅっと締め付けられる。
- 156124/09/14(土) 21:08:45
- 157124/09/14(土) 21:09:29
「ヒーローとして現場に立てなくなったにも関わらず、それでも未来を目指しひたむきに努力を重ねる子供たちを導く立場を降りませんでした」
それがどれだけ難しいことか、僕は知っている。
壇上の相澤先生のお母さんが少し言葉を詰まらせた。
「私は当時、その決意が正しいのか、判別がつきませんでした。それだけ世の中は激変していて、足も目も半分になったあの子に出来る子が遺されているとは思わなかったのです」
「っ、そんなこと」
「おい出久」
思わず出てしまった声をかっちゃんの手が遮る。
「けれど」
その声が壇上に届くよりも先に、先生のお母さんはにこりと微笑んだ。そしてその瞳は会場に居る僕らへと注がれる。
- 158124/09/14(土) 21:09:57
- 159124/09/14(土) 21:10:31
- 160124/09/14(土) 21:11:06
- 161124/09/14(土) 21:11:46
- 162124/09/14(土) 21:12:18
- 163124/09/14(土) 21:13:00
- 164二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:13:29
ちょっとガチ泣きしてる
- 165二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:13:59
ありがとう…
- 166二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:15:01
やっぱ気づいてる?
- 167124/09/14(土) 21:15:08
- 168124/09/14(土) 21:19:07
「それがどうかしたんです? イレイザーヘッドだって社会人なんですからそんくらい」
「そのすぐあと、また有休をとって実家に帰った」
山田はホークスの言葉が入らぬようにして続ける。
「今まで面倒見てきた子供たちにも話を聞いた。同じ時期に心操に仕事の取り方や自分の人脈を与え始めた。三ヵ月前にはエリちゃんに、一ヵ月前は轟、二週間前は爆豪、他の連中もみんなこの半年間に「仕事」や「街中」で「偶然」会って話をしてる。そんで、最近不自然に敵が増えた」
「……何が言いたいんですか?」
ホークスは後ろ手に持った携帯の電源を入れる。顔には出さないが若干指先は震えていた。
けれど追及の手は休まらない。視線は鋭いままだ。
二人の間にわずかな沈黙が横たわり、そして吹き飛ばすように山田は口にする。
- 169124/09/14(土) 21:19:52
- 170二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:20:44
いやあああああぁ(´;Д;`)
- 171二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:21:48
気づいていらっしゃる
- 172124/09/14(土) 21:22:06
- 173二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:22:49
気づいてももうどうしようもないしな…
- 174124/09/14(土) 21:25:26
- 175124/09/14(土) 21:25:53
- 176124/09/14(土) 21:29:22
- 177二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:29:34
泣いてる
- 178二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:31:17
つらい
- 179二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:32:28
あぁぁぁおつらい
マイクが友人と先輩と友人を失ってる… - 180124/09/14(土) 21:33:49
- 181124/09/14(土) 21:34:19
- 182124/09/14(土) 21:34:54
- 183二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:35:20
マイク先生の思いと願いで救いはあるんだけど切ねえよ...........
- 184124/09/14(土) 21:36:36
以上になります!
マイクは感情的になるけれど相手の行動の意味を考えて自分の意見を押し付けるような真似はしないタイプ
でもそれはそれとしてつれえこともある
書いてるの文字数見たら二万字になってて流石に草生えた
SSではないかもしれない
- 185二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:37:09
涙で画面が見えない
ありがとうございます… - 186二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:38:08
おいおい泣いてる
マイク先生の思いも辛さもホークスの辛さも生徒たちの寂しさも全部ひっくるめて切ない - 187二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:39:49
途中まで葬式のお話でさっぱりしてるな〜って思ってたけどお母さんの話あたりから「やっぱつれえわ」になって今ガチ泣きしてる
- 188二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:41:10
今エリちゃんSSを読み返してメンタル保ってる
温度差で膨冷熱波出そう - 189二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:41:36
- 190124/09/14(土) 21:43:27
やっぱり故人の想いを胸に前に進む人たちは美しいと思うんですよ
これが私のハピエンや
とスレ主は供述しており - 191二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:43:40
ドクターの抹消発言といい相澤の死の真相といい一人で墓まで持ってかないといけないことが多すぎるよマイク…
学生時代仲良かった人みんな居なくなっちゃったし - 192124/09/14(土) 21:44:16
読んだ後の感想とリアルタイムの感想どっちも嬉しい~!
全部反応読んでます有難うございます - 193124/09/14(土) 21:45:10
いつの間にかスレめちゃくちゃ進んじゃったので次スレ立ててきます!
- 194二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:46:09
うわあああああすごい…
感情が揺さぶられるような文が…
うわあああ(語彙力不足) - 195二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:48:00
たった1人(になってしまった)の親友を失ったマイクがさ、「返してくれ」じゃなくて「アイツの思いを無駄にするな」って言うのがもう…
- 196二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:49:09
薬が無事完成したのがせめてもの救い
よかったねぇ…😭 - 197124/09/14(土) 21:49:45
- 198124/09/14(土) 21:50:20
マジで感想が間近で浴びれるの嬉しい~!
本当に助かります栄養です - 199二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:51:00
こちらこそ毎日毎日栄養をいただいております ありがとう
- 200二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:51:04
スレ主ありがとう
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