【SS】【モブウマ娘曇らせ注意】ガラスの靴は合わない

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:05:42

    注意.モブウマ娘が終始ハチャメチャ曇ってます。

    中央ウマ娘の7割は未勝利のまま地方転校や引退を余儀なくされる。頭ではそれをわかった上で中央に私は入学した。それでもいざその7割に自分が入ることが濃厚になって来た時、平静でいられるウマ娘はいるんだろうか。
    私は今新幹線に乗って実家に帰っている。トレーニングやレース距離をトレーナーさんと話し合いどれだけ試行錯誤し努力しても芽が出ず、食欲不振等体にそのストレスが顕著に出始めた。それ故に医者に休養を推奨され、トレーナーさんや両親に実家に1度帰ることを薦められた。何がいけなかったんだろう。それを考える事自体も今の私には良くない。そうわかってはいてもやはりそれは難しい。夢にまで見たトゥインクル・シリーズ。そこにいけたと思っていたのに。
    「あっ。ダッフィー!」
    そんな暗い思案を巡らせていると通路を通っていた小さな女の子がぬいぐるみを落とした。慌てて拾ってあげると、それはダッフィーのぬいぐるみだった。
    「落としたよ。」
    「あ、ありがとう。」
    「すいません、ありがとうございます。」
    女の子とそのお母さんらしき人はぬいぐるみを手渡すと笑ってそうお礼を言って去っていった。
    「ダッフィーか、ディズニーランド懐かしいなぁ。」
    そうだ、この際1度レース以外の昔の楽しい思い出を思い出そう。

    小さい頃私はシンデレラのアニメが好きで、よくDVDを見せてもらった。私のシンデレラ好きを見て、私の両親は私をディズニーランドに連れて行ってくれた。初めて見るシンデレラ城はとても綺麗で、うっとりしたのを今でも鮮明に覚えている。その中にシンデレラのガラスの靴を試せるスポットがあって、私はそこに直行したのだ。でも、そのガラスの靴は私には入らなかった。正確には破損防止のためその靴の穴自体がガラス埋まっているので誰も履けないのだが、小さかった私にはそれがショックで少ししょんぼりしたのだ。まあ、すぐお父さんがポップコーンを買ってくれて機嫌はすぐ直ったのだが。
    __そんな思い出に浸っている内、どうやら実家の最寄り駅に着いたようだ。いけない。わざわざ駅に迎えに来てくれている両親を待たせてしまうのは申し訳ないし、乗り過ごさないようにしなくちゃ。

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:08:50

    いい曇らせですね

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:09:47

    両親は私を笑顔で迎えてくれた。母は、食欲不振の私でも食べやすいスープを夕食に作ってくれた。でも、ウマ娘のレースを見るのが趣味の父が1度もレースの話をしなかったのは、気を遣わせてしまったみたいで少し申し訳なかった。

    次の日両親は仕事だった。2人は私の傍にいられない事が少し申し訳なさそうだったが、昨日は木曜なのにわざわざ有給をとって迎えに来てくれただけでも十二分にありがたかったので、久々の実家で1人でくつろいでいるから気にしないでと伝えた。

    とはいえいざ家で暇になってしまうとやる事がない、思い返してみると小学校からレース教室に入り走ってばかりだったので、走ることから離れて過ごすのがかなり久々なのだ。__そうだ。シンデレラ。シンデレラのDVDを見よう。そうしよう。いつものDVDラックにしまってあるはずだ。
    ラックからシンデレラのDVDを探し出して、DVDディスクを機会に挿入すると、映像が再生された。
    「あ、始まる。」
    大好きで楽しみに見ていたシンデレラ。_そのはずなのに、どこか悲しくなる。何故なんだろう。
    そう思っていると、シンデレラが寝室で起きて、今は冷遇されていてもいつかは幸せになりたいと願う歌を歌い始めた。
    『夢は望むこと 眠りの中 かなしみも消える
    祈り続ければ いつかは必ず 虹が微笑むわ』
    小さい頃毎日のように楽しく見ていたシーン。その筈なのに、__何故か涙がこぼれてきた。違う。夢はそんなんで叶うものじゃない。私は、学んだ。トレセン学園で学んだんだ。

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:12:08

    『例えつらい時も 信じていれば 夢は叶うもの』
    違う、違うよ。それは選ばれた存在しか言えない言葉だよシンデレラ。私は、あなたじゃないから、ガラスの靴は入らないから。辛くてご飯が喉を通らないような時でも頑張った。頑張ってたらいつか報われるって信じてたら夢は叶うんだって信じた。
    でもね、そんな日は来ないで私はここまで来た。それが答えだったんだよ。
    「違う!違う違う!そんなん御伽噺なんだよ!!!」
    思わずテレビの電源を切って私はソファに泣きながら寝転んだ。こんなのシンデレラへの八つ当たりだ。それをわかっていても、私はこの夢物語を今は直視出来なかった。

    私はシンデレラではない。選ばれしお姫様なんかじゃなかった。だから、ガラスの靴は合わなかった。

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:13:37

    いい感じに心がキュッってなるストーリーですね

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 21:50:50
  • 7二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 22:12:31

    夢を叶えられないのが普通なんだ、王子様なんて本当に少ない、でも夢を叶えられないのは苦しいよね

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/09(木) 22:28:07

    >>7

    あっさり受け入れるには辛い事が現実には多すぎます…

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/10(金) 04:15:20

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  • 10二次元好きの匿名さん21/09/10(金) 04:15:47

    両さんも言ってたけど、シンデレラは元々超絶美人であって、持たざる者ではないからね……。

    シンデレラは“才能があったけど事情があり燻っていた”という、攻略ウマ娘達と同じ存在。

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/10(金) 05:24:25

    >>10

    こういうことを天下のジャンプで言えるから、両さん、ひいては秋本先生はすげえや

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