閲注 プライベートが保証されない感じのデクSS

  • 1二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:55:30

    晴れやかな秋空の下、ひらひらと紅葉が舞い落ちる。木の葉一片はささやかな風と戯れながらゆったりと街中を踊り、やがては速度を緩め軽やかにその身を落とす。行先は雄英高校の学生寮。その一室。とある少年の寮室の窓先であった。

    部屋の主の少年・・・。ずいぶん分厚く頼もしさを感じさせるとはいえ、人ひとりの範疇にすっぽりと収まるその背中に世界の命運を背負った、世紀の激闘からはやしばらく。両の手には内も甲もなく痛々しい傷が残っているし、その動きにはまだ若干のたどたどしさが宿っているものの、日常生活をこなすには十分な回復を経たのが分かるいで立ちである。

    瀕死の重傷を乗り越えてからは級友たちとともに街の復旧作業に明け暮れ、夕暮れと共に寮に帰っては後日の学業の準備に勤しむ・・・。少年の両腕からは激戦の余韻は決して消えておらず、個性を手放した喪失感もないわけではない。

    それでも少年は今日も瓦礫の街に立つ。それが自らを自らたらんとするヒーローとしての在り方なのだから。

  • 2二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:57:16

    清廉潔白を地で行くような、そんな少年ではあったが、彼も思春期であり、肉体は健康とは言えずとも強壮そのもの。当然その身にたまるのは疲労だけではない。ほとんどの男子がそうであるように、少年もまた定期的なSMASHを必要としている。

    PCを開き強烈な罪悪感に苛まれながら己の年齢を偽って年齢制限を生まれて初めてかいくぐる。18歳以上か否かと問いかけるYES/NOの一ページを前に一度は動きを止めた彼の指。10分以上持ったのは賞賛に値するだろう。

    そのとき彼の脳裏に響く音があった。

    音。・・・いや、それは”声”であった。

    「ヘイヘイヘイ!九代目!」
    「小僧、大人になったな」
    「今の世にはこんな娯楽が・・・」
    「一児の母としては複雑だな・・・」
    「継承者の選択を見届けよう」

    そう、懐かしい先人たちの声であった。

  • 3二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 20:58:18

    しかし、敬愛してやまない先人たちの声は今の少年には届いていないようである。彼が冷静なら問題なくその声を聞き取り、意図することすら叶わなかった再会に滂沱の涙を流すことは想像に難くない。だが、少年は思春期であり、眼前には甘美な曲線を描く肢体が画面を占めている。そして、激戦と激務に追われ集中力を失っている彼がほんのわずかな声をききもらしたとして、誰が少年を責められるだろうか。

    人は縁をもって他人とつながる。良縁もにんげあれば悪縁もあり、合縁あれば奇縁もある。縁は想いによって紡がれ人間(じんかん)を渡り、愛も憎しみも縁によって行き交うのが世の定め。

  • 4二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:00:40

    いや草

  • 5二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:02:53

    最終決戦の際、敵の精髄を打ち砕くため犠牲となったはずの先人たち、ワンフォーオールの歴代継承者たちをつなぎ止めたのも、また、少年の強い感謝と敬愛の念であった。眠っていたかのようであった彼らの意識は少年の強い感情に揺り動かされ、再び息を吹き返す。

    膨大な力こそ手放したものの、少年の無事と愛する者たちの勝利を喜ぶ彼らの声は今はまだ弱いが、この小さな背中の若き英雄に届くまでそう時間はかからないだろう。懸命に声をかけ続ける彼らが「プライベートは尊重する」という約束をうっかり忘れていたとしても、それは人情というものではないだろうか。

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:03:32

    時はしばらく戻り、少年の身に残り火がわずかに宿っていた頃。彼は級友の少女を追ってひたすらに駆けていた。なけなしの残り火が消えかかっていることなど眼中にもない。ただひたすらに彼女のことを想って跳ぶ少年の激情が歴代継承者たちの魂を呼び戻したのであった。

    そして少女に追いついてからの一幕。継承者たちは少年の中からその一部始終を見守っていた。
    ある者は涙ぐみ、ある者はうんうんとうなずく。またある者は微笑み、ある者は腕を組んで少年の心意気を讃える。

    少年と少女の間に高地の寒風が吹きすぎると同時に、初代の青年が口を開いた。ほとんど無意識に零れ落ちるような、そんな口調で。

    「ここは両腕できつく抱きしめた方がいいんじゃないだろうか・・・」

  • 7二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:04:01

    刹那、歴代継承者たちの目の色が変わる。
    「いや、待つんだ。傷心している少女に対して強い身体接触を試みるのは早計かもしれないぞ」そう告げたのは初代とも面識深い二代目であった。

    「いやこういうときこそガッと行った方がいいってこともあるんじゃねえかな」五代目も論議に加わる。三次元的な機動を得意とする彼の戦術観は確かなものとして面々に信頼されている。

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:04:51

    「俺らのときは時代も違うし、九代目くらいの年頃ならもう一歩くらい踏み込んでも…」語尾こそ濁しながらだが、六代目継承者ははっきりとした口調でそう告げた。一同の中では比較的若年層の彼だが、その高潔な精神は歴代継承者としての重責にふさわしい威厳を擁している。

    「いや、男女の関係ともなれば段階を適切に踏むことが必要だろう。まだ彼らはクレープを半分こしていない」四代目はどちらかといえば慎重派なのだろう。実際彼はその生涯をワンフォーオールの研鑽に捧げ、その膨大な力の蓄積に寄与することを選んだ。確実な勝利のために必要な手順を踏む、彼らしい判断であった。

    「志村さんはどう思う?」初代はここで初めて唯一の女性継承者である七代目に声をかけた。ここまで沈黙を守っていた彼女の言に一同の注目が走る。

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:05:25

    「・・・女は・・・」
    ゆっくりと口を開く彼女はすでになんらかの大組織の議長のような風格を携えていた。女性の口から出る恋愛についての一言。それも既婚者である女性の一言である。生涯を激戦の渦に置き続けた歴々の間にも確かな緊張とわずかな熱が走る。

    「・・・女は感情を無視した性急な決断を嫌う。当然それは安易な慰めも同じ・・・でもそれはあくまで一般論。今目の前にいるこの少女はヒーローであって、そのヒーローが自らの力不足を嘆いている。それなら仲間として受け止め、自分もともに在ることを明確に示した方がいい」

    おお・・・と男性陣がもらす感心の吐息。遠い生前の日々に思いを馳せ、今まさにこの場で友を勇気づけようとしている少年の心意気に強くうなずく継承者たち。

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:06:06

    高い文章力で蹂躙されるデクのプライバシーw

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:10:36

    超高尚な出歯亀の対話w

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:15:40

    超常社会にあって巨悪に立ち向かい、培い受け継ぎ続けた聖火のごとき光で人々を守ってきたお歴々が……なんかこう、なんとも真面目に下世話なことになってる

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:18:03

    全員目に一点の曇りも無いんだろうなぁ。

  • 14二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:31:43

    「その意味では彼の言動は完璧だったんじゃないかな」と初代が締めくくるかと思いきや・・・

    「いやそれはそれとして、女の子が目の前で泣いてるんだから抱きしめるくらいのことはしてほしい。九代目は少々奥手がすぎる」と七代目は早口で告げる。

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:32:08

    そこからはパブリックビューイングを楽しむ観客たちのように、どうせ聞こえないのだからと、応援の嵐である。生涯を戦いに捧げ、死してなお後進とともに戦い続けた彼らである。勝利と平和の美酒に興じるのを責めるのは野暮というものではないだろうか。

  • 16二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:41:49

    >>定期的なSMASHを必要としている。


    おう、もう…圧倒的な文章力の中に混ぜられる若干のネタに表情筋が緩むぜ。

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:51:37

    美文で思わず読んじゃったけど、これデクのデクがプルスウルトラしてるのと継承者のデバガメだよね?ww

  • 18二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:53:17

    四代目が真剣にクレープについて語ってるところで吹き出した
    この人らあの状況下でもしっかりクソナードの部分聴いてるよ…

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:54:20

    少年が大人の階段を上ろうと勇気を振り絞ってる後ろで実況は心を折る行為なんだよ。

  • 20二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 21:56:37

    圧倒的語彙力からお出しされるやりたい放題の継承者の皆さま
    まあ時代柄とか享年考えるとロクな青春過ごせた人の方が少なさそうだしテンション上がるのも分かるけどさあ!

  • 21二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 22:02:59

    今はまだデクには聞こえてないけど先代たちはフィーバーしてる感じかw
    聞こえるようになったらどうなるんだよw

  • 22二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 22:45:38

    そして時は流れて少年の部屋。

    窓際に降り立った一ひらの紅葉はうっすらと浅黄色に染まり、秋の深まりを先づいてくれている。
    整頓された学習机の上に置かれたウーロン茶のペットボトル。その肌に汗がにじまない程度には部屋の空気は冷えているはずだが、少年の顔はすでに上気し、その健康的で鮮やかな赤色は浅黄色の紅葉とのコントラスを演出している。

    少年の眼前に置かれたPCの画面には肌色がずいぶんと幅をきかせている、決定的な箇所はいまだ画面外で出番を待っているようであった。見る者の興奮を引き立てるように巧妙に演出された空気感と静かながらも巧みなカメラワークによって焦らされた少年。

    激戦のさなかであっても温かさと冷静さのアンビバレンツを保ち続けた彼の脳裏は、来るべきSMASHの瞬間を探ろうと血眼になっているかのようであった。
    そんな折、すでに冷静さを失っているかのように見える若き継承者の姿を冷静に見つめる者がいた。

    二代目継承者、駆動である。

  • 23二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 22:57:56

    幾星霜を経て大願を成した今、その背からは責が消え、その目からは圧が解け、もはや彼の表情を曇らせるものは何一つない。
    そのはずだが、彼の視線からは険が見て取れる。

    「なぜだ・・・九代目・・・」

    そのつぶやきを聞き逃す与一ではない。
    初代である彼は自らの継承者であり恩人でもある駆動にその悩みのわけを問う。

    「ああ、みんなも気づいているだろう。九代目、彼はPC上に表示されたいくつかの選択肢の中から、ほとんど迷わずに今の動画を選んだ・・・はじめてであるにもかかわらずだ。」
    「確かに不自然だ・・・アダルトサイトにアクセスするのもはじめての彼がこうもたやすく自分の性癖を把握できるものだろうか」与一も駆動に同意する。

    「小僧の中で何か性癖を決定づける出来事があったのかもしれねぇ」五代目・万縄が続ける。男気を強く感じさせる風貌の通り、その生き様もまた即断即決の快男児であった。
    「彼の年でそれは少々早計だ・・・彼はまだクレープ半分こを経験していない」四代目・四ノ森は少年の将来を案じている。その表情には困惑とともに新しい世代を見守る温かさがにじんでいる。

  • 24二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:03:39

    放っておいてあげてよぉ!!

  • 25二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:04:32

    頑なにクレープ半分こを説いてくる四代目に笑う

  • 26二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:04:52

    「・・・」
    「・・・・」

    沈黙を守る六代目・揺蕩井と七代目・志村。
    言葉を主体的に発しないという意味では確かにそれは沈黙ではある。しかし、歴戦の彼らにとって受動的態度でことの成り行きを見守るなどありえない。

    戦士が口をつぐむということは、口を開く必要がないということ。

    先代たちの発言の中にすでに彼らは我が意を得ていたのだろう。ことさら改めて言葉を足す必要などなかった。
    ただし、志村は女性ならではの視点でひとつ確認をする。

    「少年が今見ている動画の傾向を確認しよう。煙さん、分かる?」
    「ああ、どうやら学生モノのようだ。スタイルは豊満ながら背は低め・・・どちらかといえば丸みをおびた印象ってとこか」

    「決まりだね」与一が高らかに宣言する。

  • 27二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:13:56

    「僕らの意識が九代目に戻ってきたのは、彼の感情の昂りがトリガーなのは間違いない。なら彼の興奮の傾向がどこを向いているのかを把握するのは現状、最優先課題だ。」

    決して大きな声ではない。少年の荒い吐息と比べればかすかな音量のはずだが、不思議とその声は透明な波に乗っているかのように明瞭に各自の耳に届く。

    「僕らは活動していた時代も違うし、生い立ちもみな違う。だからこそそれぞれの力を合わせられると思うんだ。」
    ともに生まれ、ともに育ったにもかかわらず、手を取り合うことのできなかった過去。与一の胸に去来するのは取り返すことのできないあの日々への苦みか、手を取り合うことのできる友と歩める喜びか。

    「少年の性癖を知ろう。みんなで力を合わせよう。各自(ひとり)は全体(みんな)のために。全体(みんな)は少年(ひとり)のために。」

  • 28二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:16:47

    みんなキリっとして演説聞いてそう

  • 29二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:17:56

    個性:プライバシー侵害(心の中の住人たちが性癖を解析しようとしてくるぞ!)

  • 30二次元好きの匿名さん24/09/14(土) 23:24:41

    >>12

    AFOは倒れたしある意味もう隠居した爺さん婆さんの群れなのでちょっとゆるいのもしゃーない

  • 31二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 01:21:30

    丸みをおびた学生モノねぇ……ふーん?

  • 32二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 01:49:57

    ワンフォーオール•オールフォーワンてか
    いや、やかましいわ

  • 33二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 01:58:18

    デクのためを本当に思ってるんなら今だけは引っ込んどいてやれよ!!

  • 34二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 06:40:32

    ワンフォーオールの中ってロクな娯楽も無いだろうからAFOを倒した今となっては出歯亀するくらいしかやることない

  • 35二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:22:57

    あでやかなSMASHをBGMに、戦士たちは少年の中で決意を新たにする。

    その心意気の根本にあるのはどこまでも少年への想い、「彼の力になりたい」という挺身の想いである。無論彼ら継承者たちもこの少年があれほど焦がれた個性を手放したことを憂う気持ちなど微塵もないことは重々承知の上であるが、それでもこの純粋な若き英雄の一助となってやりたい想いが強くある。

    今までのような超人的な強さをもたらす個性ではなくなったが、それでも彼の心の中で悩みを共有しともに在り続ける先達というささやかな個性として少年を助けたい。それが歴代継承者たちの無垢なる願いであった。

    そんな彼らの行動方針が戦勝の美酒に多少酔わされて、少年の性癖を暴き立てることになってしまっても責めることなどできようか。

  • 36二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:32:51

    これまで2回あった継承者会議で三代目何も発言してないけどもしかしてエ口耐性無い感じか?一人でまた壁の方向いてない?大丈夫??

  • 37二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:34:44

    翌日から、いや正確にはその日の晩から、少年の心の中では継承者たちの白熱した議論が交わされることとなった。
    なにしろ歴戦の勇者、なにしろ肉体を越えた思念体。いまの彼らは食事や睡眠すら必要としない純粋な想いの結晶である。ともなれば想いが昂ってほんの気持ちばかり多少行き過ぎやすくなっていても不思議ではない。

    「学生モノを即決したところにヒントがあるだろう」と三代目。
    「制服そのものにフェティシズムを感じる可能性もあるが、まずはその線から考察するべきだろうね。夫もそうだった」と七代目。

    「俺たちの世代なら他人に性癖把握されるなんてたまったもんじゃなかったが、時代も人も変わってるからな・・・自分を基準にしちゃあ足元すくわれちまいそうだ」と五代目はひとりごちる。

    「学生である少年が学生モノをたしなむ・・・違和感があるね」と初代・与一が疑問を提示するや、これまで積極的な発言を避けていた六代目・揺蕩井が何かに気づいたように口を開く。

    「・・・同級生・・・・?」その発言は決して力強いものではなかった。それでも確かな存在感をもって議論の場を揺るがす。

    「そうか!九代目は異性との交際を経験していない以上、それを可能とする相手を欲するのは必定!同級生に意中のものがいるという可能性は高い!」と四代目・四ノ森が声を張る。
    (異性は未経験・・・・同性の可能性・・・いや無いか・・・?・・・いや・・・)七代目は思考の澱の一端を手放しはしないものの、それを明確に言語化することは避けることにした。

  • 38二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:39:35

    >>夫もそうだった」と七代目。


    おい おい

  • 39二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:44:41

    「確かに制服といえば彼にとっては同級生の印象が強いか。先輩や後輩というのもあり得るが、まだ一年生の彼が一番影響を受けるのはやはり同級生だろう。となると・・・」二代目・駆動が言葉を詰まらせると同時に三代目・ブルースが続きをつむぐ。

    「焦点は、彼の恋心が誰に向かっているのか・・・か。」
    「恋バナか。懐かしいね。私も若い頃は友人たちと花を咲かせたものだ。」七代目は遠い目をして過ぎ去った青い日々を温かく見守る。

    そこでひとつの問題点に気づいたのは、やはり危機回避を旨とする四代目・四ノ森であった。
    「ひとつ懸念がある・・・。彼はまだ16歳。我々の時代ならある程度大人として見れただろうが、時代を経るごとに成熟は後ろに押されるもの。九代目の心身がまだまだ成長途上であることを考えると・・・」とそこまで言ったところで続きを言ったのは、奇しくも彼からワンフォーオールを受け継いだ五代目・万縄。

    「自分の恋心にすら気づいてねぇ・・・ってこともあり得るってわけか。はっ、青いねえ!」口調こそ荒っぽいものの、彼の眼差しには新世代の青い春を心から喜ぶ色が見て取れる。

  • 40二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:51:33

    「決まりだね。」与一は高らかに宣言する。

    「当面は九代目の意中の相手が誰なのかを注視することにしよう。そしてできる限り早く少年の耳に僕らの声を届けるようにする。そうすれば、僕らで彼の恋を応援し、成就するまでのサポートをすることもできると思う。目標は、そうだな・・・ここはやっぱり」と、みなの顔をみてうなずき、歴代継承者たちもそれに呼応してうなずく。

    「「「「遊園地でクレープ半分こ!!!」」」」

    秋空のはすっかり夜の帳を降ろし、ベッドの中で少年はおだやかな寝息を立てる。明日もまた復旧作業がある。学業がある。個性を失ったとしても自分には知識も経験もある。できることをしよう、自分はヒーローなのだから。

    そう深く誓う少年の中で、先達の戦士たちもまた深く誓いを立てるのであった。

  • 41二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 08:57:55

    ほっといてやれよ!!!
    っていう気持ちと
    背中を押してやってくれ!!!
    って気持ちと2つある……!(

  • 42二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:03:14

    復旧作業の朝は早い・・・といいたいところだが、瓦礫の街とはいえ人間が寝泊まりしている以上、過度に早い時間から工事の音を響かせるのも道理に合わない。結局のところ、各所の作業は学生たちの始業時間とそう大差ない辺りから始まることになっていた。

    作業のうち、大型重機やハイパワー系の個性が必要なフェーズはあらかたが済み、あとは目視しながらの微調整が必要な作業ばかりとなっている。それでも力仕事は大いに必要であり、少年は張り切って友人たちと街に立つ。

    「このところ、よく行動を共にする女生徒は彼女らか・・・」与一は復旧作業が危険な部分はほとんど無いフェーズにあることを認識し、あくまで少年の意中の相手探しに神経を割いている。言うまでもないが、緊張が必要な場面では当然彼も彼らも身を引き締めるだろう。今は平和を謳歌するのも生き残った者の務めである。

    「カエルの少女、酸の少女、それに耳と音を使う少女・・・この三人か。もちろん入れ替わりも頻繁にあるから固定ではないだろうが、ひとまず少年が彼女らをどういう目で見ているかに注目しよう」四ノ森は意中の相手がこの中に居ないことを当然の可能性として挙げ警戒を前提としつつもまずは眼前の要素を検討することを提案し、当然面々の中に反対する者などいない。

  • 43二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:03:54

    歴代継承者、全員気ぶり勢は草

  • 44二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:09:04

    こんなに大真面目に四六時中ガン見してるくせに全員鈍すぎて草なんよ

  • 45二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:18:55

    >>44

    オールマイト含め継承者はみんなクソボケなんでしょう

    いや既婚者の7代目は気づけよ

  • 46二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:21:19

    「しかし恐れるべき事態もある。男女のことともなれば、当然相性というものもあるだろう。少年がこのうちの誰かに惹かれていても、相手が受け入れてくれなければ・・・」四ノ森の懸念は危機察知の面目躍如といったところか。

    「そうなったら我々全員で少年を慰めよう。九代目のケアこそが今の我々の本質だ」とブルースが続ける。
    「しかし・・・この耳の少女は電気の少年といい感じなのでは?」七代目がふと疑問を提示するや、議論は思わぬ方向に進むことになる。

    「なになに?どういうこと?」と六代目。
    「いや、煙さん。少年の視界の中ではの話だけど、電気の少年とこの少女・・・この二人なにかと一緒いるんだけど明らかに雰囲気が甘酸っぱいんだ。たぶん少女の方がちょっと歩み寄ってる」七代目は独自の分析を語る。

    「それでその電気の小僧は?」と五代目。
    「これがなかなか煮え切らない態度で。悪く思っていないし、何なら一番仲良くしてるけどあと一歩踏み出せない・・・といった感じのところ」七代目の分析が正しいか否かは分からないが、少なくとも的外れではないのだろう。

    「かあーっ、青いねぇ!」「青春か」「若いな」「男ならもっと積極的に・・・」
    振ってわいた話題に思わず盛り上がる面々。

  • 47二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:32:52

    人の中で関係ない恋バナしてんじゃねぇ!!!!

  • 48二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:33:25

    歴代継承者達を箱推ししてるから彼らがわちゃわちゃしてる素晴らしいssを読めてすごい嬉しいんだけど それはそれとしてデクかわいそ……強く生きて…

  • 49二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:35:20

    与一は冷静に状況を俯瞰する。
    「となると、今のところ耳の少女は可能性が低い・・・か。」
    「ああ、九代目の視点でいい雰囲気であることが認識されてる以上、そこに割って入ろうとするような男じゃないだろう」二代目が続ける。

    「小僧が見てたサイトの端っこにはNTRってのがあったが、見向きもしてなかった。やっこさん、純愛派だぜ」けらけらと笑いながら、優しそうに少年の視点を見守る五代目。

    「NTRにはNTRの良さがあると夫は言っていたがそれはあくまでフィクションの話。実際に体験しようとは思わないだろう。これで耳の少女の線は消えたね。」七代目も補足する。

    「酸の少女はどうだろうか?何かと親しくしているように見えていたが・・・」三代目の視点はすでに耳の少女から別へと移っていた。

  • 50二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:42:15

    「ああ、彼女も実は・・・」と七代目が語ろうとしたところ、
    「硬化の小僧だろう?あれはいい男だぜ。見ていて気持ちのいいやつだ。」と続けたのは五代目であった。

    彼らが話し込んでいる間も現実世界で少年は大小さまざまな瓦礫を拾い、ガラスを撤去し、ブルーシートを敷いて作業を進めている。激務、とまでは言わないまでも間断なく続く作業の中で洗練されていく動線の流麗さは彼の生来の真面目さに由来するのだろう。

    首にかけられたタオルが多少汗を吸って重くなってきたあたりで、持参したクーラーボックスを開け、友人に作ってもらった氷の中からウーロン茶を取り出し、面々に配る。実に気の利いた配慮である。

    一方で、継承者たちは酸の少女と硬化の少年の関係の話で持ち切りであった。

  • 51二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 09:58:35

    >>37

    >>49

    志村菜奈の夫への熱い風評被害

  • 52二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 10:00:16

    軽いノリで暴露されていく志村夫妻の趣向。

  • 53二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:03:50

    「これは関係ない話だが・・・」おずおずと切り出す四ノ森。その表情は実にばつの悪そうな色である。

    「見たところ、酸の少女は常に強酸に包まれているというわけではないにしろ、体内や体液は酸性値が高いはず・・・、その・・・褥を共にしたらどうなるんだろうか・・・?」

    恐らくは純粋な興味なのだろう。だからこそ、言葉を選びつつ慎重に意を表する四ノ森であったが、その問いは歴戦の戦士たちの頭を悩ますには十分な重さを伴っていた。しばらく、少年の視界を共有することも忘れてその議題について考え込む一同。

    その頃、少年は作業をいったん中断して休憩を取っていた。
    友人たちと歓談しつつも不測の事態に備え神経のどこかは常に周囲へのアンテナを張り続けている様はまさに戦士の相というにふさわしい。また彼の友人たちもまた同様であった。

    そんな折、近くで作業をしていた一人の少女がふわふわと空中からやってきた。はにかみながら互いに労う少年と浮遊の少女。ほんのりと頬に紅が差すのを友人たちはにこやかに見守っている。おそらくこの少女は後ほど酸の少女の質問攻めに合うのだろうが、いまそれを指摘するのは野暮というもの。

    少女の方も作業が終わったわけではなかったようで、多少の歓談を経てすぐに持ち場へと戻っていくが、その一部始終を歴代継承者たちは完全に見逃していた。彼らの専らの議題は酸の少女と硬化の少年の気高いながらも青い春である。

  • 54二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:11:33

    「青春といえば、あの透明の・・・葉隠さんといったか、あの子は確か・・・」三代目はあくまで落ち着いた様子で話を続ける。
    「ああ、尻尾の少年といい雰囲気にいる。今回の作業中も行動を共にしているようだ。」二代目がすかさず補足する。そのコンビネーションには些かのブランクも感じさせない。

    「あの子はいい男だ」「尾白くんだったか、いいよね」「いい・・・」「誠実そう」
    口々に尾白少年の人格を讃える継承者たち。

    「僕にもし娘が居たら彼みたいな男に預けたいな・・・」叶わなかった夢を語る与一の目には悔恨の苦みが感じられない。
    尾白少年と葉隠少女の関係について盛り上がっている中、歴戦の猛者たちはまたしても痛恨の見逃しをしてしまう。

    九代目を託した緑谷少年の手に一枚のハンカチが握られていることを。そのハンカチは浮遊の少女が渡したものであることを。

    「「尾葉いいよね!!」」 「「いい!!」」

  • 55二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:12:25

    余生を謳歌してやがる

    いやでも、頑張ったもんね、いっぱい楽しみな・・・

  • 56二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:16:48

    肝心なところを見逃してやがる……!

  • 57二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:20:39

    あれよあれよ日は進み、数週間後の週末。

    緑谷少年のもとに一通のメールが送られてきた。
    その内容は・・・

    「ヘイヘイヘイ!!九代目!!これは!!?」
    「小僧!!慎重に答えろよ!?ここが分かれ目だぞ!?」

    歴々の戦士たちはみな浮足だっている。二代目と三代目に至っては壁を向いて顔のほころびを隠しているほど。
    それもそのはず、女子からメールが来たのである。それも出かけないかとの誘いのメール。
    いかに戦い漬けの日々であったとはいえ、彼らもこれが何を意味するのか分からない程うぶではない。

    しかし彼らの声がいまだ聞こえていない緑谷少年は、
    「明日か・・・明日は峰田くんと映画見に行く約束しちゃったんだよなぁ・・・」
    どうやらこの誘いを断る腹づもりらしい。

  • 58二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:22:42

    煙さんの「ヘイヘイヘイ!」が汎用性高すぎる

  • 59二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:26:06

    バカヤロー!!!!!!

  • 60二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:29:53

    「馬鹿野郎!!!男友達なんてほっとけ!!!」思わず声を荒げる五代目。
    男性陣は声をそろえて峰田を切れと叫ぶが、唯一の女性である七代目だけは冷静であった。

    「いや、女としては自分を優先してもらいつつも友人関係は大事にしてほしい気持ちもある・・・。女にうつつを抜かして友情をないがしろにするような男は惚れるに値しない・・・が、難しいところだね」

    とはいえ、思春期の少年にとって異性からの誘いは甘美な響きを伴っているはず。
    「何をそんな迷っているんだ・・・九代目。遊園地にいけるんだ、クレープが買えるんだぞ。クレープが。」四代目は心配するような声色でそうつぶやく。

    「復興してはじめての映画館・・・峰田くん楽しみにしてたからなぁ・・・」

    「「「「「あっ・・・・」」」」
    あまりの慶事。身に余る喜びの感情が暴走してしまっていた。歴代継承者たちは少年が友人関係を極めて重要視している好青年であることを忘れてしまっていた。
    己の不徳を恥じるばかりの面々。今回ばかりは目をつむらざるを得ない。誰からの連絡なのかを把握のも控え、この場は背筋を正すのみ。彼らは偉大なヒーローなのだから。間違いをおかしてもそれを糧にすぐさま正す。それがヒーローの在り方である。

  • 61二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:33:10

    たぶんデク本人よりクレープへの執着が強い4代目

  • 62二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:39:11

    これで峰田を切れとは言えないよ。マジで究極の選択じゃん

  • 63二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:39:27

    「麗日さんには悪いけど・・・あっそうだ。いっそ麗日さんも一緒に映画に行ったらどうかな。僕から誘おう。
    えっと、"麗日さん、ちょうど明日映画に行くんだけど一緒にどうかな?"っと・・・」

    「そうだ、それでいい。それでこそ君だ。それでこそヒーローだ。」与一は己の暴走を恥じると同時に、相手へのフォローを忘れない少年の心意気に深く感銘を受けていた。

    しかし、七代目は何か見落としがあるのではないかと心配を抑えることができないでいた。何か重要な要素・・・たとえば自身がもう忘れてしまった思春期の少女の気持ち・・・。
    とはいえ、心配はしょせん心配。違和感はしょせん違和感程度のものでしかない。年を経た大人がサンタクロースを信じていた頃には戻れないように、自転車に乗れるようになった者が乗れないふりをするのができないように、七代目、彼女もまた思春期の少女の気持ちを察することなどできなくなっていた。

    ベッドの脇。サイドテーブルに置かれたサイダーの泡は少し控えめに、それでいて優雅に立ち昇っている。夜気は少年の思考に冷たさを与えるほどに冷えてはいなかった。

  • 64二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:40:09

    考え得る限り最悪の選択だろ!!!!

  • 65二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:40:35

    でもこの状況だとデクはそうするよな!!!

  • 66二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:41:12

    峰田くんと一緒にってところもちゃんと伝えろ!

  • 67二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:42:39

    五代目がデクのこと小僧呼びしそうだし、デクはこういうときこうしそうだし、キャラが想像しやすい巧みな筆致。
    ・・・でお出しされるのがデバガメ

  • 68二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:43:04

    当日の峰田の男気を信じよう。

  • 69二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:49:47

    雄英高校学生寮から近くはないところに映画館はあった。とはいえ、そう何時間もかかる距離ではない。復旧したばかりの電車に乗って数駅といったところか。

    秋空は冬の準備を始めている。うろこ雲は数日後の雨を予感させるが、少なくとも今日この日は青空とのコントラストを実に鮮やかに演出してくれている。
    少年はこの空が好きであった。雲一つない快晴も好きではあったが、様々な形の雲と青空が混在しているこの空模様が一番好きであった。実に晴れやかな表情である。こうも気分が良くなれば自然と道すがらの口数も増えるというもの。

    その両隣には冷や汗をかいて一言も話さない峰田少年と華やかに着飾った麗日少女が歩いている。彼女の方は笑顔で緑谷少年に相槌を打ってはいるものの、明らかに冷や汗がにじんでいる。

  • 70二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:51:36

    峰田ェ…お前は何も悪くないよ…

  • 71二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:55:24

    峰田(嘘だろ緑谷ぁぁぁ!!???)

  • 72二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 12:56:46

    歴代継承者たちは焦っていた。

    「何かがおかしい・・・。明らかに麗日少女に緊張が走っているように見える。意中の相手と出かけられてにこやかに談笑してはいるが、我々の目はごまかせない・・・何かがおかしいぞ」二代目継承者・駆動は緑谷少年の視界から麗日少女の緊張を巧みに読み取っていた。

    「まさか」
    「志村さん、心当たりある?」

    何かに気づいたように見えた七代目に対して、与一が声をかけた。

    「九代目は麗日少女を誘う際に、峰田少年が一緒に居ることを伝えていないのでは・・・」
    「・・・いくら小僧とはいえ、さすがにそんなこと・・・いや・・・しかし・・・」

    これが仲間内であったならげらげらと笑って流すところだが、目の前で繰り広げられる展開に一同全員心を一つにして叫ぶ。

    「「「「「 馬 鹿 野 郎 !!!! 」」」」」

    彼らの時代、クソナードという概念はなかったようであった。

  • 73二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:02:39

    いつもなら空気を敏感に感じ取る峰田少年。
    普段の彼なら血の涙を流しつつ、からかいながら何らかの急用ができたと偽ってその場を離れる心遣いを見せるだろう。

    しかし、今回ばかりは事情が違った。
    たまたま今回の映画館のエリアを担当していた彼はこの劇場の主人と懇意になり、その館主の特別な計らいで今回の上映会に呼ばれたのであった。本来ならテープカットよろしく、地元の名士たちや近隣住民たちへの奉仕が優先される局面での部外者の招待。そこには峰田少年の無私の尽力があってこそのことであった。

    つまり、自分がこの催しから抜けるわけにはいかず、かと言って呼ばれておしゃれまでして出てきた女子を帰らせるような無礼もできない。

    それは畢竟(ひっきょう)、峰田少年がこの場から逃げられないことを意味している。

  • 74二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:04:43

    まさかお色気系の映画じゃあないだろうな…

  • 75二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:06:33

    峰田は峰田で立派にヒーロー活動した上で友人としてデク誘ってるのか
    これは9代目が悪い

  • 76二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:08:55

    麗日少女の今日の装いは白を基調にしたワンピース。刺繡の装飾の細やかさから察するに、恐らくは友人の八百万少女のセレクトで手に入れた一張羅なのだろう。差し色で緑のラインを入れている。この配色は偶然だろうか、はたして。

    ガーリーな立ち上がりながらも、武骨な小物をところどころに配してイメージを引き締めている。
    普段の彼女の趣味からは少々外れた点もあり、こちらも察するに、同級生の女子たちのアドバイスを受けて考え出された珠玉のコーディネートといったところか。

    ということは、今回のこの催し、街に繰り出して映画を観るという一連の催しはA組女子全員の後援によるものだと言える。

    それが分からない継承者たちではない。
    だからこそ、彼らはみな一様に額に手を当て、天を仰ぎ見ていた。

  • 77二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:11:42

    デクはお茶子の雰囲気に気付いてるんかのぉ…

  • 78二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:14:38

    「とんだ伏兵がいたもんだ」五代目は額に手を当てたままつぶやく。
    「ああ、麗日少女が九代目を・・・そんな素振りは見えなかったはず・・・」三代目も同様のポーズのまま続く。

    「皆目もって想像もつかなかった・・・」二代目も額に手を当てて上を向いている。
    「まさかあの浮遊の少女が・・・分からないものだね・・・」与一も同じであった。

    「私たちの目をかいくぐるとは・・・大したタマだよ、あの子も・・・」唯一の同性である七代目は少女の内心を見抜けなかったことを恥じていた。

    無論、六代目も四代目も同様のポーズで悩んでいる。
    そして、一同の次の台詞はタイミングも声色も完全に一致していた。

    「「「「 ど う し よ う ・・・」」」」

  • 79二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:15:03

    全員節穴ァ!!

  • 80二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:19:03

    草生えるwww

  • 81二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:21:57

    「そういえば八木くんはどうだったんだろう?」与一の疑問は最もであったが、現実逃避の先としては少々力不足。
    「俊典は童貞だったよ」
    「「「あっ・・・」」」

    「せめて・・・せめて服装を誉めろ、小僧!!」と五代目
    「そ、そうだ!!誉めるんだ!」と四代目

    「ヘイヘイヘイ!九代目!!ほら!ひらひらとかついてるじゃん!誉めればいいよ!!」
    「「そうだ!!誉めろー!!」」


    一方、その頃現実世界では、緑谷少年はポップコーンを咀嚼する音が周囲に聞こえないように配慮しながら映画を楽しんでいた。

  • 82二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:21:59

    素振りは見せてたんだよなぁ!!!
    あんたらが見逃してただけなんだよなぁ!!!!!

  • 83二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:23:08

    ポップコーンむしゃむしゃ食べてたらうるさいもんね!デクはこういうとこ配慮しそう。いや、しそうだけども・・・

  • 84二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:24:10

    配慮する所が致命的にズレてるぞデクぅ!いやその配慮が間違ってるとかじゃないんだけどさ!

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:24:49

    しれっととんでもないことバラされてるオールマイト草

  • 86二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:24:59

    そういやコイツら尾白✖️葉隠でワチャワチャしてて肝心な所見てないのか

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:25:55

    お師匠が後を託した後も経験なしと確信されてるオールマイトが不憫でならない。

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:30:56

    緑谷少年が峰田少年の様子に気づかなかったのは、概して峰田少年の心遣いによるものが大きい。完全に無言になるでもなく、不自然にならない程度には会話に参加していたからであった。

    そのまま鑑賞会も終わり、帰り路も過ぎ、学生寮まで帰ってきた一同。峰田少年は突然忘れ物をしたといって駅の方へ走り出す。

    「えっ、大変だ!僕もいくよ!」と少年が言うのは決して間違った行為ではないが、選択肢としては完全なミス。それを受け入れる峰田少年ではない。継承者たちの怒号は聞こえないものの、峰田少年の言う通り、麗日少女を女子寮まで送る緑谷少年。

    そして、別れ際にひとこと

    「なんか照れくさいけど、今日の麗日さん、とっても綺麗だね。素敵だよ。それじゃ今日は楽しかったよ。また明日ね」

    そう言って別れる。

    継承者たちは想定を超えたスピード感に思わず目が点になってしまうのを抑えられなかった。

  • 89二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:35:09

    別れ際に言うんじゃねぇ!
    朝会った時に言いやがれ!!

  • 90二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:37:29

    >>89

    照れくさいから二人きりになったら言おうかな、って思ってたんだろうな


    遅えよ!!!!!!!!

  • 91二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:39:38

    「小僧はやる時はやると信じてた」
    「いや、僕も初代として鼻が高いよ」
    「次は遊園地に誘うべきだろう」
    「女はああいうのに弱い。見事なものだよ」

    継承者たちは掌を返したようにみな口々に少年を誉める。
    恐らく少年としても勇気を出したのだろう。その後彼は自室で顔を赤くして机に突っ伏していた。

    しばらくそうしていた彼だったが、急に立ち上がり、ベッドの脇に置いてあった小さなボックスを開け中から一枚のハンカチを取り出す。

    その刹那、一同に緊張が走る。
    「な!?女モノのハンカチ、麗日少女のものか!?」と焦る七代目
    「今日はハンカチを渡されるようなシーンはなかったはずだ」冷や汗とともにつぶやく三代目

    「まさか・・・」何かの可能性に気づく四代目
    「ヘイヘイヘイ!!!九代目!!!無断で拝借はダメだろ!!!」若者の過ちを責める六代目

    ハンカチを頬にあて、ほんの少し息を吸う緑谷少年。その頬には徐々に、だが確実に紅色が濃くなっていた。

  • 92二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:41:35

    たぶん今女子寮では緑谷出久糾弾の集いが催されてる

  • 93二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:44:04

    SMASHしちゃうのか?!

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:49:30

    「まずいね、九代目の九代目がプルスウルトラし始めてる」与一はあくまで落ち着いて冷静に語る。
    「ああ、今はまだローギアのようだが、すぐにでも四速まで来るだろう」二代目も状況把握に努めている。

    「薫香興奮か・・・夫も知らない性癖だ」七代目のこめかみにはひとつぶの汗が垂れている。
    「待て、彼の性癖は制服モノではなかったのか!?」四代目も焦りを隠せない。

    「これはもしかすると、あの浮遊の嬢ちゃんに懸想してるって線も・・・」五代目は警戒を解かずつぶやくように告げた。
    「確かにその線もありそうだ」六代目も同調する。

    「可能性は高くないが、麗日少女が九代目の意中の相手であるということもあり得る。もちろん判断材料が少なすぎて決断するには早いが・・・ワンフォーオール継承の条件を突き止めたときのように、一歩ずつ確認していくしかあるまい」三代目も明らかに表情に緊張が走っていた。

  • 95二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:51:24

    可能性低くねえよ!!その可能性しかねえよ!!!

  • 96二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:55:33

    志村夫の嗜好歴代に周知されてるんだ…

  • 97二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:58:48

    「ところで・・・」七代目は緊張を解かず、それでいて純粋な疑問を提示してきた。

    「男は好きじゃない女の私物でも興奮できるものなのかな?女の身からするとそれこそ理解できないんだが・・・」

    「「「・・・・・」」」
    黙り込む男性陣。これは返答を拒否しているのでも、返事に迷っているのでもない。どう説明すれば分かってもらえるかを考えているのだ。
    解けない疑問に悩む者がいるのなら答えを知恵を授ける。彼らはヒーローなのだから。

    「志村さん」口を開いたのはワンフォーオールを巡る戦いの端緒、初代・与一であった。
    「男にとってSMASHは定期的に必要なものではあるけど、それは愛情とかとは別の次元にあるものなんだ。このあたりの感覚はそれこそ十人十色で、好きだからこそより興奮するって人もいれば、好きだからこそ汚したくないって人もいる。まだ九代目がどっちなのかは分からないけどね」

    五代目は腕を組みながらうんうんとうなずき、二代目と三代目は壁を向きながらうんうんと二度首を縦に振る。
    四代目と六代目はぽりぽりとはにかみながらも肯定しているようであった。

  • 98二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 13:59:36

    さすが初代

  • 99二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 14:14:31

    「それはそうとして、あんなの痛くないのだろうか」四代目はあくまで心配している様子で疑問を告げる。
    「確かに若いとはいえ、あまり乱暴に扱うものじゃあない」三代目も同様に心配しているようであった。

    少年の部屋はいま窓から入ってくる月光の灯りのみ。防音が比較的しっかりしているこの学生寮。相当耳をすませば話は別だが、基本的には室内はほぼ無音である。そんな空間のBGMはといえば、時計の秒針が時を刻む音と部屋の主人が出す衣擦れの音。そして、主人の口から漏れ出る荒い吐息の音だけであった。

    不思議につややかな色気を感じさせる吐息。
    いったい何をしているのか、布団の中の動きは皆目見当もつかないが、継承者たちには把握できているようである。それをわざわざ暴き立てようというのは野暮というもの。

    静かな部屋の中とは対照的に少年の心の中の一室、継承者たちの部屋では・・・、

    「「「「「「 九 代 目 ー ー ー !!! 強 く や り す ぎ だ ー ー !!! 」」」」」

    先代たちがどうにか声を届けようと全力を出していた。

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 14:59:45

    クソ真面目に四速とか言い出すマイヒーローで鼻水噴いた

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 21:26:28

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん24/09/15(日) 23:00:23

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 04:21:59

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 04:25:46

    九代目の個性がトランスミッション5速で酸欠になりそうでヤバい

  • 105二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:10:57

    一同が必死になって声を届けているとき、ほんのわずかに震えのようなものが彼らの座す少年の心の中の一室に生じた。
    最初に気づいたのが四代目だったのはおそらく偶然ではないだろう。

    ろうそくの燈火のようにささやかで、それでいて優しい震え。
    そう。
    それは間違いなく、少年の声であった。

    数瞬遅れて他の面々も気づく。少年の声がこの部屋に響いて来ているのだと。

    「・・・さん・・・・」

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:20:03

    「・・・・さん・・・・っ・・・・」

    あくまでかすか。
    しかし、確かに少年の苦し気な声はこの部屋の空気を震わせ、先達たちの鼓膜を叩いている。おそらく物理的な過程を経ているわけではないのだろう。肉体そのものすらがありもしない歴代継承者の鼓膜を、物理的に叩いて音を届けているなどという話ではない。

    魂の躍動が確かに彼らの耳に届いているだ。

    「聞いたか!?いま"麗日さん"って言ったぞ、みんな!」四代目は珍しく声を大にしている。
    「「「聞いた聞いた!!」」」

    「これは確定じゃないか!?」ガタっと椅子から立ち上がり、身を乗り出す与一。その様からはかつての虚弱な印象は見受けられない。
    「いや待て!まだ少年の性癖が決まったというわけじゃない!ここは慎重に!」と諫めているのは三代目であるブルースだが、彼も少々興奮しているようである。彼らが気を昂らせるのも悪いことではないだろう。

    「ちょっと待って、おばちゃん何だか恥ずかしくなってきた///」
    「ヘイヘイヘイ!おじさんもなんか甘酸っぱいぜ!?///」
    「おいおい、煙さんも志村もまだまだそんな歳じゃないだろ。おっさんってのは俺みたいなのだが、小僧、おっさん顔赤くなっちゃう///」

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:28:42

    「麗日さん・・・・・」

    「「「「「 ま た 言 っ た !! 」」」」」

    「ブルース!どう見る!!?」兵は神速を尊ぶ。二代目は即断即決を求められ続けた生涯だったからこそ、その神髄を誤解なくつかんでいる。ここは拙速を求める局面ではない。
    「ああ、少なくとも九代目にとって浮遊の少女、麗日少女が魅力的に映っているのは間違いない!」

    歴代継承者たちの気勢がいっそう昂ったそのとき、一筋の稲妻が走った。
    無論、心象風景の話であり、実際にはなんの物理現象も起こってはいない。が、まさしく稲妻としか形容できない衝撃のようなものが歴代継承者たち、そして若き英雄の胸の奥底をしたたかに叩いたのである。

    思えば、戦いの中で消えていったはずの歴代継承者たちの意識が少年のもとに戻ったのは、緑谷少年が彼らを心から尊敬し、心の中に明確に居所を定めていたからである。そうして紡がれた縁をたどり、少年の熱情に呼ばれて戦士たちの意識は戻ってきた。

    今回はその逆。
    歴代継承者たちの猛烈な昂りが、力強い興奮が、その声を少年の耳に届けることを成功させたのである。

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:38:19

    「・・・・え・・・・・・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・」

    「刹那」という言葉がある。”ごくわずかな一瞬”を表す言葉であり、厳密には"指を一度弾く瞬間を60に分けた際の一つ分の短い時間"を指す本来は仏教用語から由来する語彙である。

    今回緑谷少年の思考はまさに刹那の一瞬のこと。その瞬間で彼は結論を先につかみ、追って状況を把握した。この思考の早業こそが激戦の中で彼を生き残らせた緑谷少年の真の意味での個性なのかもしれない。

    「・・・・皆さん・・・・」
    声が上ずる。視界がぼやける。少年の意識はいま、心中の一部屋に集中している。

    滂沱。

    抱擁。

    賞賛と激励。

    筆者はここでは筆を置かねばならない。この一部始終を詳細に述べるに十分な語彙を筆者は持たないのだから。
    たとえ緑谷少年の下半身が露出した状態であったとしても、それを詳らかにするのは無粋というものである。

  • 109二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:46:31

    漫画だったら、このシーンは台詞も音もなくて、ただただ抱き合うデクと継承者たちが描かれてると思う

  • 110二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:49:21

    デクの服装について無視すればめちゃくちゃ感動的なシーン

  • 111二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 11:50:30

    >> ま た 言 っ た


    いやかわいいな、アンタらw

  • 112二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:05:10

    あのハンカチはもらった物である、
    最近はあまり話せていない、
    それでも何かと目で追ってしまう、
    ・・・

    少年と継承者たちの会話は大いに盛り上がっていた。
    何しろ二度と会うことは叶わないと思っていた相手同士である。言葉を交わせるとも思っていなかった先達たちである。
    時を忘れて歓談に興じるのも人情である。

    少年は頑強な肉体と不屈の精神で戦い抜いた。
    子供らしい未熟がたち挟まる余地などなかった。だからこそ勝てたのだ。

    そのおかげで戦いは終わった。しかし、彼は今後の人生つねに"英雄たれ"という圧力をかけられ続ける。
    いまだけはその重圧から解き放とう。ここでだけは若い青さを見せられるようにしよう。そう決意した継承者たちは努めて少年を子供扱いしている。そして、その心遣いは少年にも十分に伝わっている。もちろん、彼の自尊心は尊重した上での話で。

    二代目継承者・駆動は少し引いたところから緑谷少年を見つめ、生前を思い出す。戦いに占められた人生、僅かな彩りとなった愛する者たち・・・泉下の世界で彼らと語らう際の土産としてはこれ以上ない話ではないだろうか。

  • 113二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:12:10

    これだけ語彙豊富で文章力に長けた筆者が筆投げる描写いいなあ!
    下半身丸出しなのを忘れれば

  • 114二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:16:50

    シコって大盛り上がりの真っ最中だろうが先代たちとの再会を察した一瞬で感動モードに切り替わるデクも大真面目ボケ継承者と同類だなと思わされてほっこりする
    好きな子で抜いてる現場おもくそ見られてんのにこの反応は強者

  • 115二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:24:32

    このレスは削除されています

  • 116二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:24:55

    「ところで九代目、いや緑谷出久くん。私たちは先達としてヒーローとして、君を叱らなくてはならないことがある」

    大人に叱られる。巨悪を滅する戦いに身命を賭してきた緑谷少年にとって多少の説教などもはや今更恐れるものではない。それも気心知れた先達たちである。これはありがたいアドバイスをもらえるのだろうと居住まいを正すのは、彼の生来の真面目さによるものだろうか。

    緑谷少年の脳裏にある己の罪、それは・・・、
    「自分の身をないがしろにしすぎたこと・・・・ですよね」
    ポリポリとこめかみをかく仕草には反省はすれど後悔は微塵もないといった姿勢がにじんでいる。

    それに対してワンフォーオールの偉大な先達、七代目・志村菜奈はふるふると優しく首を横に振り、ひとこと・・・



    「いや君、18禁のサイトにアクセスしただろ」

  • 117二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:27:58

    クソワロタ
    それはまったくその通りなんだが

  • 118二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:41:08

    「最初にアクセスするときには多いに迷っていたね。偉かったよ。でもそこで誘惑に負けてしまってはダメだ。君はヒーローだろ?平和と秩序を守る君自身が法をおかしていてはダメじゃないか。俊典もそういうところがあったが、そんなところまで似る必要はないんだよ?

    しかも、なんだあの動画の内容は。制服モノばかりだったじゃないか。最初は学生服ばかり選んでいるなと思ってたけど、婦警にナースにOLに、果ては時間停止なんてモノもあったね。あれはもはや制服とかそういう次元じゃないだろう。時間が止まってなら光も止まって何も見えなくなるはずだがまあそれはしょうがない。でもイヌまで動いているのはもう設定としてダメだろう。

    ああ、でも女性がひどい目に合うような内容の動画は避けていたね。きちんと愛を育んでいるような作品ばかりなのは好感が持てるよ。その点は偉かった。でも18歳まではダメだ。なに、もう16歳も終わりの方だ、あと一年と少しじゃないか。私も永久に禁止しろというわけじゃないんだ。」

    舞台芸術の世界では長台詞というのは敬遠されるらしい。
    観客の集中力を過剰に要求し、作品運びそのものがだれてしまうからだそうだが、今この場で緑谷少年は自身に「羞恥」の個性が宿っていればどれほど強くなれるか妄想することでこの現実から逃避していた。

    「石を投げられるのは罪の無い者だけ・・・・僕たちには九代目を責める資格はない」与一ら男性陣は心なしか隅の方によって避難しているかのように見える。四代目・四ノ森だけは何が起こっているのか分からないといった様子であった。

  • 119二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:41:47

    歴代と再開した喜びから一気に現実に戻されるヤツ!
    しかも女性の七代目から
    クソナード君には辛い!

  • 120二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:45:49

    オーバーキルだよお師匠
    それはそれとして与一も18禁見てたの!?

  • 121二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:48:26

    四代目だけきょとんとしてるの草
    さすがクレープ男

  • 122二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:54:58

    あの金庫ってパソコン使えたんだ…

  • 123二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:55:11

    師匠の師匠って実質二人目の祖母みたいな人にこんな説教食らったらもう立ち直れないんじゃ。

  • 124二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 12:57:19

    この空間に死柄木が居なくて本当に良かったという気持ちとお前のばあちゃんを止めろという気持ちが2つある

  • 125二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:01:47

    恐縮しきって謝り倒して小さくなっちゃうとかじゃなくて現実逃避でスンとしてるデクはやっぱ神経図太いよな

  • 126二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:03:49

    >>120

    超常遺子って18禁って言葉になじみとかなさそう

    だからいざそういう雑誌が捨てられてたりしたらついつい拾って読んじゃいそう

  • 127二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:08:41

    緑谷少年の胸に去来していたのは決しては単純な煩悶や稚拙な後悔ではなかった。
    人は一日のうちに万を超えるものごとについて思考を及ばせるというが、今少年の胸の中にあるのはまさしく「万感の想い」という表現がしっくりと来る。

    あらゆる個性を十全に使いこなした彼の思考はあらゆる雑念を取り払い、いま心の奥底でくすぶる一つの炎、情念の炎を拾い上げることに集中していた。
    そして、ほんの数瞬のうちに展開された論理は彼に一筋の光明を見せる。

    「18禁のサイトに年齢を偽って入ってのは事実・・・これは規約に違反するけど、逆に言えば・・・・」
    ブツブツと独り言を始める緑谷少年。彼を知る者にとっては見慣れた光景である。

    「志村さん」与一が七代目を呼び、緑谷少年の集中を乱さないように追い打ちを制止する。

    結論が出ると同時にがばっと顔を上げる若き英雄。その目から光は消えていない。猛烈な羞恥の暴風は彼の心の燈火を吹き消すこと叶わず。

    少年が得た結論は至極単純。
    18禁サイトがダメなら・・・・・・・

    「日常・・・・」
    ぽつりとつぶやく少年。彼は気づいていない。その道の先にはすでに多くの級友たちが走っていることに。その先頭には峰田少年がいることに。

  • 128二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:10:06

    日常からおかずを探すデク、爆誕

  • 129二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:12:39

    ヒーローとして成長するために遺憾なく発揮されたこの思考力と発想力が夜のおかずを探すために使われるの笑う
    でもこれはこれで平和そうで好き

  • 130二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:17:42

    次の日から緑谷少年の目に映る世界は、それまでの世界は全く違って見えた。
    万物にはエロスが宿っている、彼は心の底からそう感じていた。

    鳥のさえずり、風との戯れ、山川草木のすべてが新しい姿を見せてくれている。
    以前、級友の峰田少年は"タコはエロい"ともらしていたが、当時は分からなかったその精髄の一端をつかめたような気がして、緑谷少年はほんの少しだけ口角を上げる。

    数学の「y」の記号にすらエロスを感じ取ることに成功した少年にとっては、もはや18禁サイトなど濃厚なアイスクリームに古くなった蜂蜜を塗りたくったようなくどさを感じさせるものでしかない。

    そんな若き継承者の姿を見守る歴代の先達たちは、

    ” ど う し て こ う な っ た ”

    と額に手を当てて困惑していた。

  • 131二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:20:39

    性に目覚めたばかりの中学生みたいになっちゃったよ。

  • 132二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:21:31

    しょうがないよ
    A組女子の衣装の殆どがパッツンパッツンだし一人に至っては全裸だし!

  • 133二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:38:18

    すべてが魅力的に感じる。森羅万象を美しく見ることができる故に、少年の目には特別美しく映るものがある。
    それこそが”人”であるり、”命”である。

    ありとあらゆる命に深い慈しみの心をもって接する緑谷少年。当然その姿勢はそれまでのものとは少し異なる。その変化はどうやら肯定的な方向に進んだようで、彼の人物評にさらなるカリスマを加えるに至っていた。

    そしてある日の夜、学生寮のリビングで、たまたま会った二人の少年少女。くだんの少年・緑谷出久と浮遊の少女・麗日お茶子。
    少年はひときわ美しく見える少女に対して開口一番、
    「麗日さん、最近すごく素敵だよね、なんていうか目で追っちゃうくらい綺麗だし、存在そのものが可愛くて生まれてきてくれてありがとうって感じで」

    継承者たちも予想だにしなかった奇襲。神速をもって放たれた言葉の剣戟。少女は防御も間に合わず致命傷を受けることになる。そのままあれよあれよ出かける約束まで取りつけるや、少女の手を両手で握り・・・、
    「ホントに!うれしいなぁ!麗日さんと出かけられるなんて!早く日曜日にならないかなぁ!」
    と明確に喜んでみせる。

    その頃継承者たちは・・・、
    「「「「「一気に攻めすぎだバカ!!!自重しろ!!!」」」」」
    と一斉に叫んでいた。

    しかしデートに弾む少年の心はその苦言に対して馬耳東風をもって返すのだった。

  • 134二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 13:41:30

    急に飛ばしすぎだよ!!!もうクソナードとか呼べねえ

  • 135二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:00:34

    当日は現地に集合し、一目見た時点からおしゃれをほめちぎるファインプレーから始まり、食事の予約を忘れるなど学生らしいミスやふとした瞬間に男らしさを見せつつ、遊園地へと向かう少年と少女。

    復興はまだ途中ではあるものの、人々の心には余暇に娯楽を楽しむ余裕も出来ていた。
    だからこその遊園地である。

    日曜日に、復興したばかりの、近隣唯一の遊興施設に赴く・・・。ともなれば当然人混みは相当なものである。
    集団でいったならともかく、一対一のデートではぐれるなどあってはならない。何より、緑谷少年はこの美しい同級生とずっと触れ合っていたかった。

    「「「これはまさか・・・・」」」
    歴代継承者たちの顔には驚きの汗がにじんでいる。それもそのはず、つい先日まで18禁サイトにアクセスして怒られていた子供が、じつに見事な流れで自然に手をつなぐことに成功しているのである。

    「小僧・・・まさかこの展開を狙って!?」
    「ヘイヘイヘイ!?九代目!!?」

    「ここは遊園地・・・手もつないだ・・・」四代目・四ノ森の思考はすでに「先」を見ている。が、だからこそ少年の動きには驚かされる。

    「九代目!?どこに行く!?そっちは観覧車だ!クレープ屋はそっちじゃない!クソ!人混みの雑音でこちらの声が聞こえていないのか!?」

    継承者たち一同の中、唯一女性である七代目だけが気づいていた。少年の下半身はすでにプルスウルトラしており、座って前かがみになれる状況を求めているということに。

  • 136二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:05:03

    やっぱクソナードだったわコイツ

  • 137二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:05:33

    この性急さが童貞っぽいとも言える

  • 138二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:14:24

    観覧車に乗り込む少年と少女。

    高い位置に来るや、自分たちが守った街を眺め物思いにふける。
    遠くの地平線は少しずつぎざぎざとした起伏を取り戻しつつあり、足元には群像が活力とともに動いている。
    自分たちが守っている日々。自分たちが包まれている日々。若い二人の胸に生じる様々なな想いは自然と口数を少なくさせる。

    向かい合って座っていた二人は、いつの間にか隣同士に座っている。
    肩が触れている。

    耳をすませばお互いの呼吸が聞こえる。

  • 139二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:19:02

    観覧車は物言わず回る。頂点に差し掛かってもあくまで静かに己の仕事を全うしている。

    冬に近づいている秋の日、空には小さな雲の断片が一ひら、二ひら。
    風もなく穏やかに進む観覧車の室内に盛秋の陽光が優しく暖かさを届けてくれていた。

    近づく二人の距離。
    顔の距離が心の距離といったのはいつの時代の作家だったか、少年少女の顔の距離は次第に近づき・・・・

    すれ違っていった。

  • 140二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 14:26:40

    今日のデートが楽しみだった緑谷少年、ほぼ一睡もせずに今に至るが、さすがに限界が来たか。
    それとも戦士の心をとかすと程に安心感を得たか。その答えは青い春風と共に。

    ぽてんと寝落ちする緑谷少年。あっけにとられる麗日少女。地を割らんばかりに怒号を鳴らす歴代継承者たち。
    「馬鹿野郎!!小僧!!起きろ!!起ーきーろ!!バカ!!」五代目を筆頭に必死に少年を起こそうとするが、意識自体がないのだから声が届く届かないの話ではない。

    驚きと肩透かしとどこか安心と。
    いろいろな感情が混ざった表情でふわりと笑う与一。

    「これだから童貞は!!」と七代目が怒ったとき、ビクっと肩を震わせた者たちが誰なのかを明かすのは少々酷が過ぎる。

    今回のデートはここまでかと皆が思ったそのとき、四代目・四ノ森が叫ぶ。
    「まだだ!麗日少女が動いた!」

  • 141二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 16:15:19

    寝てるデクの中でクソやかましい継承者たちかわいすぎワロタ

  • 142二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 16:35:35

    お茶子!やるんだな!?今ここで!!

  • 143二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 16:53:12

    「何をするつもりだ、浮遊の少女よ・・・」二代目は三代目ともに少女の挙動に注意する。
    少年が意識を手放している以上、肉体を動かすことなどできるはずもないが、それでも状況を把握する必要性がなくなることはない。

    浮遊の少女・麗日お茶子は同級生の緑谷少年が寝静まっていることを確認し、ゆっくりと右手を動かす。
    その手が向かう先は少年の頭である。

    激戦の影響で側頭部の皮膚表面が変形している。
    髪の毛に覆われて誰にも、ひょっとしたら少年自身にも把握されることのない、大小さまざまな戦いの傷痕。
    優しく慈しむように撫でる。

    この傷を知るのは自分だけ。ここに傷があること、あそこに傷があること、こっちにも、あっちにも・・・それを知っているのは自分だけ。

    世界で自分一人だけ。

    うっとりとするような少女の眼差し。きっと誰に打ち明けることもない少女のひそかな独占欲に継承者たちは震えあがるばかり。

  • 144二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:02:29

    「いい子・・・・いい子やね・・・」
    そう呟いて級友の頭を撫でる一人の少女。
    秋の陽光が観覧車のゴンドラガラスに淡くあたって控えめな反射光で彼女の顔を照らす。

    地母神像を彷彿とさせるような穏やかな微笑みをたたえ、少女は鉄のゆりかごを堪能するのだった。

    ふと気づけば地上はすぐそこ。
    この分ならもう2~3分とかからないだろう。それを感じ取ったのか、少女の顔つきに変化があった。
    少年が深く寝入っていることを確認する少女。

    もう一度確認する。もう一度。念のため、さらにもう一度。
    意を決したような表情を取る。

    そして、少年の首筋にゆっくりと唇を近づけ・・・、
    触れるか否かのささやかなキスを落とす。唇は恥ずかしい。だから首筋に。小鳥のようなささやかなキスを。

    そのとき継承者たちは・・・・、

    「「「「「「 ~ ~ ~ ~ ~ っ !!!!////////////// 」」」」」

  • 145二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:04:02

    >>144

    や、やった!!!

  • 146二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:10:04

    「馬鹿野郎!!!起きろおお!!!!」
    「九代目!!!危機察知を思い出すんだぁ!!!」
    五代目、四代目続けて怒号。それもそのはず、この好機に当の少年はぐっすりと寝入っているのだから。

    「抱け!!!起き上がって肩を抱け!!!!」七代目はこめかみに血管が奔っている。
    少女の勇気を無下につぶす朴念仁を許すことなどできようか。

    「はは・・・」六代目はもはや空いた口が塞がらない様子。

    意外にも二代目と三代目は手に汗を握っている。
    喉を焼くようなもどかしい甘酸っぱさに、生前の脈動が戻ったかのような鮮烈な感動を覚えていた。

    「・・・・帰ったらみんなからお説教だね」与一は一人そう呟いて少年と少女を優しく見守るのであった。

  • 147二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:10:56

    外人4コマみたいになってそうな先輩たちw

  • 148二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:11:02

    もうこんなん愛じゃん…

  • 149二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:11:28

    ブラボー…おお…ブラボー…

  • 150二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:12:53

    ふざけた感じだけかと思ったら時々真面目にしめてくるなw

  • 151二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:17:02

    四様…危機感知は相手が敵意のある状態じゃないと発動しないのお忘れか?いやパニクって頭からすっぽり抜けたかw

  • 152二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 17:24:54

    >>140

    ビクっと肩を震わせた者たち…複数人は確定か…

  • 153二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:07:10

    本人が寝転けてる間のベストシーンを第三者から伝えられるのダメージでかすぎんか!!!!

  • 154二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:23:53

    デートから帰ってきてからの少年はといえば、自室のベッドで横になり、目をつむって心中の部屋を訪ねていた。もちろん今回はズボンを履いている。正直なところ、今すぐにでもズボンと下着を脱ぎ去って必要タスクを堪能、もとい消化したいところだが、今回ばかりはそうはいかない。

    歴代継承者たちの前で正座し、こんこんと叱られている少年。
    雄英の教師たちにはあまり長く語ろうとしない者が多い。親を除けばこんな風に自分だけを見て向き合って叱ってくれる大人の存在は少年にとっては新鮮であった。オールマイトこと八代目・八木は師としては少々甘いところがあると言わざるを得まい。

    「だから前の晩にあれほど早く眠れと言ったんだ!」
    「これは個性とかそういう問題じゃないぞ」
    「女に恥をかかせるな」
    「デート中に寝るなど言語道断」
    「結局クレープ半分こしてないだろう」

    それぞれ反論の余地もないほどの正論。
    ただ、継承者たちは少年が寝ていたときに起こった出来事を語ることはしなかった。おそらく少女に対して野暮がすぎると思ったのだろう。次こそは少年から行けと、強く背中を押すに留める。

    「それじゃ僕らはしばらく眠るから、あとは自由にしてね」与一はそう告げた。もちろん、嘘である。肉体どころか幽体ですらない彼らに睡眠など必要ない。やろうと思えば意識を手放すこともできるのかもしれないが、そんな至難の芸当を試す必要性もない。

    これはいわば方便である。この後のフルカウルを邪魔しないように、との初代の粋な心遣いであった。

  • 155二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 18:31:12

    お茶子ちゃんのシーン、マジで美しいな・・・

  • 156二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 19:00:57

    >もちろん今回はズボンを履いている。

    これだけでもう腹痛い

  • 157二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 19:19:29

    >「結局クレープ半分こしてないだろう」

    >それぞれ反論の余地もないほどの正論。

    ドサクサでクレープ半分こを必須要項並に扱ってて草

  • 158二次元好きの匿名さん24/09/16(月) 22:54:43

    お茶子のでっけえ愛が溢れてる描写の美しさの継承者会議のわちゃわちゃ感が同時に押し寄せてくるのクセになる どっちもたまらん
    てか本当文章力がすごいな

  • 159二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 00:28:28

    首すじへのキスは「執着心」だっけか
    自分しか知らないデクの頭の傷撫でるのといい、お茶子さんの矢印もかなりでっかくて重いな
    いいぞもっとやれ

  • 160二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 07:34:24

    気ぶり継承者概念いいぞ

  • 161二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 13:45:21

    その夜、7発のSMASHを放ってなお冷めやらぬ熱を抱えながら床に入る緑谷少年。いや、すでにベッドに横たわってはいたため、正確には"眠りに落ちた"緑谷少年。
    若さとはかくも力強いものかと、歴代の猛者たちは口々に賞賛の声をあげる。

    「ヴィランすら救いたいと言ったときはどうなることかと思ったが・・・」
    「大した小僧だぜ、まったく」

    「麗日少女との同衾の際にはこのパワーは抑えなくてはな」
    「危機回避どころか、彼女にとっては九代目自身が危機そのものになってしまう」
    「女の身はそうヤワじゃあないんだけどね、さすがに限度がありそうだ」

    「みんな」

    与一は静かにみなに語り掛ける。

  • 162二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 13:52:18

    「僕たちの願いはもう叶った。これから九代目はワンフォーオールの継承者としてではなく、一人のヒーローとしての、一人の人間としての人生を歩んでいくことになる。

    彼のもとでこうしてまた会えたんだ。
    彼の力になろうじゃないか。僕たちが彼の個性になろうじゃないか。」

    無個性であることの重さを緑谷少年はよく知っている。
    当然、彼と文字通りの一心同体である継承者たちもまた、それは十二分に承知している。
    彼らの望みはただ一つ。この若き英雄の力となること。純粋な力の塊として彼を支えることである。

    「英雄とはいえ、まだまだ若くて未熟な子供なんだ。僕らで支えよう。まず手始めに・・・・
    次のデートプランを彼と一緒に考えるんだ。」

  • 163二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:01:44

    決して頼まれたわけではない。
    少年が温厚な性格とはいえ、いくらなんでもと嫌がられることもあるだろう。
    しかし、彼らの意志は決して折れはしない。

    余計なお世話はヒーローの本質なのだから。

    秋は過ぎ去り、世は錦。
    冬雲訪れ、身は震え。

    それでもしかしと、熱をもつ。
    雄英高校、寮の一室、
    緑谷少年の部屋の窓辺に小粒の雪が身軽く降り立つ。

    ワンフォーオールの先達たちと最後の少年の数奇な交わり、これにてお開き。

    ~了~

  • 164二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:06:42

    このレスは削除されています

  • 165二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:08:45

    次作は・・・


    dice1d6=6 (6)


    1 大人になってもプライバシーが尊重されない感じのデクSS

    2 18歳超えてなおさらプライバシーが尊重されない感じのデクSS

    3 8年も経ったのにいまだにプライバシーが尊重されない感じのデクSS

    4 デクちん!って感じのデクSS

    5 私物が高値で取引されてる感じのデク先生SS

    6 プライバシーが尊重されない感じのアーマードデクVSヴィランSS

  • 166二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:09:41

    往年の水戸黄門を思い出すようなラストで草

  • 167二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:10:42

    七五調で語るとなんか歌謡番組のマクラみたいになるなw

  • 168二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 14:26:27


    面白かった!

    次作あるのうれしいけど、これ6だとほぼ全部網羅してねえかな!?

  • 169二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 15:36:01

    乙!おもしろかった


    >余計なお世話はヒーローの本質なのだから。

    この言葉がほほえましい意味で使われてるの良いね

  • 170二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 16:44:55

    脳内オカズのみで7発!?!?
    それはそうと乙!クソ楽しませていただきました
    童貞多めの大真面目ボケたちがせっせとデートプラン会議踊らせてるの楽しそう
    次回作もぜひ

  • 171二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 17:12:55

    お疲れ様でした!すっげぇ楽しかった!!
    アーマードデク編て事は最終回後か…
    うっすら死柄木がデク目線に居たけどこれ参戦する可能性があるとみていいんですか?このヤベェ空間に??

  • 172二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 22:13:26

    一気読みしちゃった…傑作を有難う

  • 173二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 06:38:01

    完結おつでした。
    新作は別スレで立つ感じかな

  • 174二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:04:33

    エピローグ

    「ここは・・・・」

    緑谷少年の心の中、もうじき18歳になるこの少年の心の中にあるとある部屋の一隅で、ある男の意識が目覚めた。ある男、といえば妙齢の男性を想像してしまうが、実際には少年と年恰好はそう離れてはいないだろう。
    悪意に惑わされ、道を捻じ曲げられた人生。意図して作られた悲劇と怨嗟の鎖。狂気の泥濘まみれてなお輝こうともがいた戦いの傷あと・・・そう、

    志村転孤、その人である。

    部屋の片隅に現れた彼に歴代継承者たちは気づかなかった。
    「最近ちょっと回数が多すぎないか?ちょっと少年に注意しようかと思うんだが」「いや志村さん、それはちょっと・・・」「小僧の歳ならまあおかしくはないか」「九代目ももう立派な男だな」
    議論は白熱している。いったい何の話をしているのか。

  • 175二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:07:38

    わーいエピローグだ!
    お祖母ちゃん、お孫さんも来たよ!

  • 176二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:20:58

    このレスは削除されています

  • 177二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:21:24

    「幽霊ども・・・か?」

    そう志村転弧がつぶやいた刹那。戦士たちは散開、捕捉、包囲までの動作を瞬時に終える。戦いと憎悪にまみれた生をたどった彼ですらも目で追えない速力。個性による一方的な攻撃力がないこの場においては、誰もが蹂躙者にはなり得ない。それは言い換えれば、数の不利を覆す戦力などないことを意味している。

    命を取り合った憎い相手・・・のはずだが、不思議にも歴代継承者たちの眼差しに殺意や敵意の黒い濁りは宿っていない。それもそのはず。なにしろ、この青年は、七代目の孫であるこの志村転弧は、被害者なのである。

    ”加害者にならされた”という被害。”悪に染められた”という被害。
    己の魂すらもを悪意の汚泥に沈められた若者である。譲渡の際に砕けて散ったとはいえ、一瞬でも彼と文字通り一心同体になった歴代継承者たち。どうして憎しみだけを向けられようか。

    「話そうか、十代目」

    そう告げる与一の声は優しい。志村転弧の視界には入っていないが、七代目・志村菜奈はこみ上げるものを感じている。いつの間にか用意された十の椅子。

    「みんな、座って座って。ここで争いなんて無理だよ。そもそもそんな気もないでしょ」
    継承者たちに促され、志村転弧も席に座る。クッションなどついていない武骨なはずの椅子だが、存外に座り心地は悪くない。魔王の椅子などよりは格段に・・・。

    「さ、新しい風も入って来たことだし・・・話を続けようか。」
    「・・・・・話ってのは・・・」志村転弧は当然疑問を口にする。それに対し、微笑む与一。


    「九代目の性癖についてだよ」

  • 178二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:35:50

    地獄というものがあるのだとしたら、自分はそこに行くのだろう。
    志村転弧はそう確信していた。またそうあろうと努めてきた。今思えばそう誘導されていたのだろう。

    ”地獄への道は善意で舗装されている”という言葉があるが、彼の場合はもっと悲惨であった。なにしろ無上の悪意によって、丁寧に、丹念に、入念に塗り固められた地獄行きの片道を不可逆滑車に乗せられてただ堕ちていく他に道などなかったのだから。

    そして彼は確認する。
    「ここが地獄か・・・」


    「18歳になると同時に制服モノを解禁するというのはどうだろう」「いやいや、もしかすると少年の性癖にも変化があったかもしれない」「たしかにコミックを読んでいるときも触手のページだけ視線がねっとりしている」「クレープは食べたが半分こはまだだ」「多少乱暴なプレイを望んでいてもおかしくはない」

    継承者たちはここしばらくの間、少年の性的関心の矛先のブレを敏感に感じ取り、議題に挙げていた。
    「同情するぜ、ヒーロー・・・」

    「十代目、君は?」二代目・駆動が声をかける
    「は?十代目って・・・」困惑する志村転弧。

    「事情はどうあれ、ここに来れたということは、九代目との間に確かな縁ができていたということだ。なら俺たちがごちゃごちゃ言うことはない。君は十代目だ。年恰好も九代目と近い。彼の性癖を把握するために年齢の近い君の性癖を教えてくれ」
    (地獄ってこういう感じなのかよ)

  • 179二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:46:55

    事情を把握するや、にやりと口角を上げる転弧、いや十代目。
    しわがれた肌には活力が戻っている。おそらく、史上最悪のヴィランとしての悪辣な道を歩かなければこういう顔になる、そう感じさせるような姿であった。

    「俺ぁヴィランだぜ?

    NTRに!分からせに!女騎士に!決まってんだろ!!」
    声高に叫ぶ。そう、自分は悪役なのだ。最後まで壊すために戦った悪役なのである。今更、放課後制服デートや週末遊園地で興奮するわけにはいかない。”先輩と遊園地で♡べた褒めイチャラブ甘々デート♡”と題うたれたビデオを愛用していたことは盟友ですら知らない。ここに至ってそれを知られるわけにもいかないのだ。

    「ふむ。そうなると、九代目が以前辛抱たまらず我々の目を盗んだつもりで視聴していた拳を肛門に差し入れていた動画よりだいぶ大人しめだな。ありがとう、よい参考になった。」
    「おばあちゃんは複雑だよ」

  • 180二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:54:55

    九代目!?ハード過ぎない?

  • 181二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 16:00:55

    確かにOFA歴代継承者たちがデクの性癖について熱く議論してる様子は地獄という言葉が相応しいだろうな…

  • 182二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 16:01:26

    「あいつの方がよっぽどヴィランじゃねえか・・・・」
    口元をおさえる十代目。

    敗北感。何に負けたのかも判然としないながらも、間違いなく負けたという確信がずっしりと背に乗っている。

    十代目はそれからしばらく何も言うことができなくなっていた。
    それでも議論は踊る。それこそが継承者たちに課せられた使命なのだから。それだけが彼らに残された唯一の道なのだから。

    その頃現実世界で緑谷少年は、峰田少年と上鳴少年に借りた肌色多めのコミックを熟読し、腋や足の裏の魅力に対する気づきを掴み始めていた。
    しばらく後、少年の視線の先には充電器につながれた一台のスマホが。もうじき自分の誕生日が来る。たまたまその日は週末である。峰田少年はパーティーを催そうと提案してくれたが、緑谷少年はいったんそれを保留にしている。誘いが来るかもしれない。その予感、いや願望を伴った少年の視線は自身のスマホに穴をあけんばかである。

    数分後、振動をもって着信を告げる愛機。刹那の反射で内容を確認する少年。はやる鼓動をおさえつつ、熟読し、反復し。拳を握り、声を出さずに叫ぶふり。

    きっと何か幸せな報せがあったのだろう。それを暴くのはまた次の次回に・・・。

    ~了~

  • 183二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 16:04:51

    高校生の恋愛っぽい!けどハードな性癖持ってるかもしれないんだよなぁ

  • 184二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:12:20

    死んで全てから解放された後も悪役演じる転弧、何だかんだ真面目だよなあ…
    やってることが性癖偽装で更にエグい性癖に負けてるのはアレだけど

  • 185二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:30:00

    >おばあちゃんは複雑だよ

    そりゃ死後に再開した孫とやることが性癖談義だとねぇ…

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