【安価】森の中の魔女の家とそこに通う来訪者【テスト】

  • 1二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:18:57

    舞台は剣と魔法の中世ファンタジー世界
    都市部からはなれたうっそうと茂る森の奥深くに魔女と呼ばれるものが住んでいます

    ●説明
    このスレは森にすむ魔女と来訪者の交流を描くスレです

    交流には「期限」があり、来訪者は「目的」をもちます
    規定回数の交流で目的を果たすかどうか、好感度の高さでエンディングを決める感じです

    このスレは短く簡単にシステムをチェックすることを目的にしています
    気軽にいつエタっても大丈夫な気持ちで参加して頂ければ幸いです

  • 2二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:19:21

    ●システム
    来訪者が魔女の棲む森の家に来訪できるのは一週間ごとに1回、合計5回だけです。

    来訪のタイミングごとに二つの安価を採用して描写していきます。
    好感度は、安価ごとに評価されて1d6~3D6上昇します。

    来訪が終わって好感度が上昇した後、1D100を振って現在の好感度以下が出れば魔女は来訪者に惚れます。

  • 3二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:20:47

    ●キャラメイク:魔女
    【名前】
    【年齢】
    【容姿】
    【体型】
    【性格】
    【口調など】
    【能力】魔女として与えられている特別な力です。薬作りや知恵とはべつにある普通じゃない魔法です。

    この下から募集開始です。
    23:30までに募集されたものの中から一名をダイスで決めさせていただきます。
    ちょっと無理と思ったら除外させて頂く可能性もあります。ご了承ください。

  • 4二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:21:41

    相談された場所見てたけど閲覧注意じゃないのね

  • 5二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:26:26

    >>4

    そのようになります

    エッチなのはジャンプ漫画ぐらいの範囲でお願いします

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:26:45

    【名前】アステリア
    【年齢】17
    【容姿】赤い長髪に金色の瞳をしている
    【体型】すらりとしたスレンダーな体型
    【性格】大人しく人見知りなところ以外は普通の女の子
    【口調など】感情が高ぶると魔力が暴走してしまうのであまり喋らないようにしている
    【能力】魔力の籠もった宝石を作り出せる

  • 7二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:26:55

    【名前】マルグレテ
    【年齢】104歳(人間換算で18歳くらい)
    【容姿】真っ黒いローブと三角帽子を被ったいかにもな魔女、灰色の波毛で気怠そうなアメジスト色の瞳
    【体型】細身であまり肉付きがよくない
    【性格】ものぐさで面倒くさがり
    【口調など】中世的な口調、よく溜息を吐く
    【能力】物体の腐敗(発酵)を急速に進める魔法

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:28:29

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:28:58

    【名前】リリア
    【年齢】255歳
    【容姿】銀髪 ツリ目 長い髪にとんがり帽子
    【体型】貧乳 尻がでかい ロリ体型
    【性格】傲岸不遜だが情は深い
    【口調など】私
    【能力】凄まじい知識量を持っており、しかもそれを即座に引き出せる
    要はアカシックレコード

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:29:00

    このレスは削除されています

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:29:19

    【名前】コイトール
    【年齢】85歳
    【容姿】デカい帽子にまみどりのローブ 顔がガキっぽいのを嫌い仮面で隠している
    【体型】幼児体型でイカ腹などまるみのある印象 太っているとかではない
    【性格】キツイ姑みたいで嫌味
    【口調など】「のね」「なのね」を多用 一人称はアチキ
    【能力】詠唱の省略 あらかじめ呪文を刻んだ木の札を消費して魔法を使える

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:30:32

    【名前】コルトット
    【年齢】見た目は14歳くらい
    【容姿】黄色いツインテールに青い瞳
    【体型】小柄で子供っぽい
    【性格】お気楽で明るい
    【口調など】にこやかで話しやすいがおいそれと距離は詰めさせない
    【能力】動物たちと会話ができる

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:32:03

    23:30までなので30もギリOKということで

    >>6

    >>7

    >>9

    >>10

    >>11

    >>12

    dice1d6=3 (3)

  • 14二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:32:35

    【名前】アオ
    【年齢】18歳
    【容姿】青髪サイドテール 優しげなタレ目
    【体型】巨乳 全体的にムチムチしてる
    【性格】おっとりしてて天然ボケ 優しいが気遣いがずれている
    【口調など】一人称わたくし お嬢様口調
    【能力】行ったことのある世界中のどこにでも一瞬で移動できる
    要はルーラ

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:41:36

    【名前】リリア
    【年齢】255歳
    【容姿】銀髪 ツリ目 長い髪にとんがり帽子
    【体型】貧乳 尻がでかい ロリ体型
    【性格】傲岸不遜だが情は深い
    【口調など】私
    【能力】凄まじい知識量を持っており、しかもそれを即座に引き出せる
    要はアカシックレコード

  • 16二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:42:00

    魔女が確定しました。引き続き来訪者の設定を募集します。

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:42:36

    ●キャラメイク:来訪者
    今回は性別男性でお願いします。
    【名前】
    【年齢】
    【職業】
    【性格】
    【境遇】
    【目的】魔女にする願いごと、もしくは魔女にしたいこと。どうしても叶えたい、叶えなければならない目的です。

    この下から募集開始です。
    23:47までに募集されたものの中から一名をダイスで決めさせていただきます。
    ちょっと無理と思ったら除外させて頂く可能性もあります。ご了承ください。

  • 18二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:45:03

    【名前】オルト
    【年齢】28歳
    【職業】冒険者(休業中)
    【性格】実直で真面目な性格
    【境遇】とある魔物討伐時に呪いを受け獣人のような風貌になってしまい現在は顔を隠して暮らしているため冒険者業はお休み中
    【目的】呪いを解いてほしい

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:48:20

    【名前】ギュスターヴ
    【年齢】27歳
    【職業】騎士
    【性格】野蛮でガサツで大雑把な乱暴者だが気のいい奴。
    【境遇】没落貴族の冒険者。英雄になる事を望んでいる
    【目的】英雄っぽい剣とかほしい

  • 20二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:49:14

    【名前】キース
    【年齢】25
    【職業】冒険者
    【性格】陽気 コミュ強者
    【境遇】親孝行のために出稼ぎに出るが、その間に父を無くしてしまい冒険者になったことを少し後悔気味
    【目的】死んだ父の遺した遺言書を解読してほしい

  • 21二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:49:33

    うむむ、募集時間が短すぎて申し訳ありません……。

    とはいえ書いた通りに間に合わせた方がいらっしゃいますので、こちら>>18を採用とさせてください。

  • 221924/09/17(火) 23:50:13

    いえ大丈夫ですよ。むしろこういうときに温情で採用とかしないのは信頼できる。正しい判断

  • 23二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:50:39

    5分はさすがに厳しかった

  • 24二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:53:27

    まぁテストスレだもんね

  • 25二次元好きの匿名さん24/09/17(火) 23:58:40

    では24:00からサクサクと開始しますね!

  • 26二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:05:03

    鬱蒼と茂る森の中。森の中心を流れる大きな川を、まず渡り、それから川沿いに上流に向けて歩いていくと、途中で木々が道を開くように左右に割れて人ひとりが歩けるぐらいの幅の小路を作っているのを見つけるだろう。
    その小路の先にあるのが、魔女の家である。
    魔女の家は、木々に隠れるようにひっそりと建っている。家は小さなログハウスのようだが、外からは中が見えないようにする工夫がされているらしく、覗き込んでも中の様子を伺うことはできない。
    ただ、屋根から突き出た煙突から、もくもくと立ちのぼる白い煙が、中で人が暮らしていることを示している。

    魔女はいつも、川を渡って森の傍の村の外れにやってきて、村の人間から食糧や雑貨などをいくらか仕入れて、代わりに薬草やちょっとした知識などを与える。
    村の人間たちも慣れたもので、彼女には一定の敬意を示して、しかし過剰に踏み入らないように距離を取って付き合っている。過去に過剰に足を踏み入れ怒りを買ったものの話は、村のおとぎ話として子供たちを怖がらせるのに一役買っているほどだ。

    魔女の話はほとんどのものが知らない。
    それは村を出入りする商人が、たまたま親しくなった村の雑貨屋から聞き出した話で、かつて魔女は村のものが罹った重い病をたちまち直したのだという話だった。
    それも、神殿に高い寄付を払わければ受けられないような、不治とされるような病だ。ほとんどの人間は眉唾の話と笑うだろう。

    しかし「獣の血で汚れる」と神殿での治療を断られ、呪いの治療のあてをなくしたオルトはその話に縋ることにした。

  • 27二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:12:16

    大森林と呼ばれる巨大な森林地帯、その一部がそうなのか、それとも村から見える範囲がそうなのか、とにかくそこを森の傍にある村の人々は魔女の森と呼んでいた。

    顔を隠した冒険者の男など怪しんで当然だろうが、食堂で弁当を包んで宿の部屋で喰ってる間に、重い病のかわいそうな人と思われたようだ。

    隠すようなことでもないと、宿の主人に魔女の森に行くつもりだと告げると、話に聞いたことに加えて、魔女の森には魔法が駆けられていると伝えられる。

    どうせ、行ってもぐるぐると迷子になって、また村に戻されるだけですよ、と、朗らかに言う村人に微妙な気持ちになりながら、森に向かう装備を整える。

    「お気をつけて」と見送る主人に手を振るとオルトは村を後にして、魔女の森へと足を踏み入れた。

    「……魔女の魔法ね。幻術の類か。こえーなぁ」

    冒険者としての経験上、そうしたものが存在することは知っている。
    オルトは頭の中で商人から聞いた話を反芻して、その話の通りに浅い場所を探して川を渡り、それから慎重に川沿いに上流へ向かって歩き出した。

  • 28二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:12:18

    もしかてこの世界の獣人ってかなりの差別対象なのか…?

  • 29二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:15:38

    というわけで一日目の安価です。
    初遭遇のシチュエーションとお願いの仕方について募集します。
    この書き込みから0:20までの書き込みで。
    初遭遇のシチュエーションと、お願いの仕方でそれぞれ1件づつ採用します。

  • 30二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:18:38

    森にかけられた結界を持ち前の魔術スキルと冒険者の機転を効かせて突破していくと木の実を採取している魔女と出会う。
    そこで「あんたが魔女‌さんかい?この顔治せるか?」と尋ねる

  • 31二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:19:11

    薬草摘みに出ていたリリアと遭遇するが呪いを帯びているオルトを警戒している

    オルトは話だけでも聞いてほしいのでどうにかして自分が危険な存在では無いと伝えようとしている

  • 32二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:22:53

    【名前】オルト
    【年齢】28歳
    【職業】冒険者(休業中)
    【性格】実直で真面目な性格
    【境遇】とある魔物討伐時に呪いを受け獣人のような風貌になってしまい現在は顔を隠して暮らしているため冒険者業はお休み中
    【目的】呪いを解いてほしい

    出し忘れていたオルトさんです。普段は顔は袋をかぶって隠しています。

  • 33二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:24:20

    >>30

    >>31

    遭遇シチュ dice1d2=1 (1)

    お願いの方法 (上で採用されなかった方)

  • 34二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:31:48

    「ああ、これか。なるほど……」

    オルトが川沿いに森を歩きながら注意深く周囲を観察していると、樹の枝に吊り下がっている小さな枝細工を目にした。
    小さなそれはよほど注意していなければ気付かないだろうが、小手先の技は得意だ。口の中で小さく魔力感知の魔術を唱えて確認する。

    「よしよし、見つけたな」

    オルトの目の前で、森が左右に割れていく。
    否、幻覚で隠していた風景がその正体を現したに過ぎない。魔女の家への小路は最初からあったのだ。魔女の術で隠されていただけで。

    さて、魔女は領地に足を踏み入れられて喜ばないだろうが、足を踏み入れなければ会う事すらできないだろう。どうやって話を聞いてもらうか。

    「……マズったな、土産でも買っていけばよかったか」

    頭の後ろを搔いてから、オルトは魔女の家の小路に足を踏み入れた。

  • 35二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:40:54

    魔女の家はどんなとこか、おとぎ話じゃ菓子でできているとか、人の頭の形をしていて口から入るなんて聞くが。などと思っていたせいで面食らった。


    道の途中で見かけた木の下で、少女がが背伸びして木の実を採っていた。

    長い銀の髪に、普段着だろう簡素で古ぼけたワンピース。指先でそろそろと木の実を採って、いる姿は真剣で、まるで大事な儀式のようだ。


    相手は木の実を採っている最中でまだこちらに気付いていない。もちろん、不意打ちなんて仕掛けるつもりはないが、しかし、この場合はどうやってもそうなる。

    ほんの少し、気付くまで待つかとも考えたが、逆に怖いかと考え直した。


    「こんにちは」

    「……こんにちは……?」


    声をかけたオルトに、魔女は虚を突かれたような声を上げる。

    それもそうだろう。

    こんな深い森の奥に人がやってくることなどほとんどないのだ。


    しかし、それはそれだとばかりに、オルトはフードを目深に引き下げて顔を隠したまま、言葉を続ける。


    「邪魔をしてしまってすまない。俺はあんたに危害を加えるつもりはない。話を聞いてもらいたくてきたんだ。頼むから怖がらないでくれ」


    dice3d6=4 1 2 (7)

  • 36二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:51:21

    「ずいぶん間の抜けた物言いだな?」


    背伸びを止めて向き直ると、少女は裸足の足で地面を踏み、アルトを見上げる。


    「怖がらせると思っているなら、声をかける時にもっと小さくなっていろ。上から見下ろして怖がるななどと童でも相手にしているつもりか?」


    相手の苛立ちの理由が子ども扱いしたことだと気付いて、アルトは内心で失敗したかと思った、魔女の結界を抜けてきたのだ、こっちが魔女だと気付いてるのを相手も知っているだろう。

    とはいえ、そこのところには誤解がある。


    「いや、すまん。そうだ、俺はあんたが魔女だと聞いてここに来た。それに怖がるなって言ったのは別の理由がある。これだ」


    アルトは顔を隠していた布を脱いで見せた。魔女の眉が動く。

    苦々しい顔は、神殿の連中と同じく、獣の呪いの証のこの顔を嫌ったからか。


    「……謝罪しよう。多少、誤解があったようだ。それと、お前が獣面をしていようがしていまいが、私は怖がらない。お前もそこは誤解しないように」


    そう言って、少女はくるりと背中を向けて、魔女の小路を奥に向かって歩き出す。ぼんやりその背中を見ていると、振り返ってこう言った。


    「話をしにきたんだろう。聞いてやるからついてこい」


    dice1d6=6 (6)

  • 37二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 00:57:48

    このレスは削除されています

  • 38二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:05:51

    魔女の家はお菓子製でも、大きな顔でもない、普通のログハウスだった。
    中は小奇麗に片付いて炊事場も作業机も背の低い彼女に合わせて作ってある。

    「(小人の家みたいだな……)」

    などと思って眺めていると、ジロジロ見るなと怒られた。

    「女性の部屋をぶしつけな目で見るのはよくなかったな。すまない」

    頭を下げて謝罪をすると、魔女はフンと顔を背けて「分かればいい」とだけ言った。
    そうして、テーブルに向かい合わせに座らせられて、オルトに魔女に促されるままにここに訪れた理由を全て話した。

    「獣の呪いか。……聖獣を殺したな?」
    「そうだ。……だが、その聖獣は狂っていて、殺して止めるしかなかった」
    「だろうな」
    「……信じるのか?」
    「分かるからな」

    獣の呪いは、神の使いと言われる聖獣を殺したものに与えられる呪いだ。
    そうと分かるものが見れば、迫害の対象になる。
    例えそこに理由があっても言葉で説明しても理解は得られない。

    それがオルトの今までの経験だが、魔女はあっさりと説明を信じた。

    「……解呪するには儀式の材料が必要になる。この森にはないものだ。お前が採ってこい。必要なものが揃えば解呪の儀式をしてやろう」

    そうして、事も無げにそういったのである。

  • 39二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:14:30

    「マジか……マジか!!!?」
    「叫ぶな、ツバが飛ぶ」
    「す、すまん……だが、いや、……本当に、できるのか?」
    「バカにしてるのか……?」

    魔女の目に剣呑な光が浮かんだので慌ててオルトは謝罪した。
    怒らせてこの話を潰したくない。なにしろ呪いを受けてから、はじめて掴んだ希望なのだ。

    「いやそうじゃないんだ。すまん。感謝する。是非解呪の儀式をしてくれ。材料の採取でも何でもする。必要なものを教えてくれ」

    机に手をついて頭を下げる。なんなら床に頭をついてもいいぐらいだ。

    「リストはすぐに作ろう。……長丁場になるぞ」

    気分を直したのか、もともと気にしていなかったのか、魔女は少し楽しそうに言うと羽根ペンと羊皮紙を持ち出して材料の列を書き始める。
    そこに並ぶのは、厄介なモンスターや難所の素材の数々だ。
    だが、オルトにとっては不可能というほどでもない、これまで溜め込んだ知識と経験をつぎ込めば為せるだろう。
    だんだん、これが現実のことだという実感がわいてくる。

    「それで、支払う報酬なんだが」
    「それは後払いにしよう。お前自身で払える報酬なら、なんであっても払うつもりできんだろう?」

    魔女は視線を上げもせずに、つまらなさそにそう言った。
    見透かされたような気持になって、オルトは「ああ」と生返事をする。

    それから、ずっと気になっていた質問を口にした。

    「それで、君の名前を聞きたいんだが。長い付き合いになるんだろう?」

    魔女は筆を止めて視線をオルトに向けて、「リリアだ」と答えた。

  • 40二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:15:41

    一度目終了。 好感度0+7+6=13


    惚れロール:dice1d100=62 (62)  (13以下で惚れます)

  • 41二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:16:21

    まあ初対面だしこれからよ

  • 42二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:23:19

    オルトが魔女の小路を通って帰路へとついたのを確認して、リリアは家のベッドに転がった。
    クッションを両手で抱きながら、久しぶりの来客の声と姿を頭の中で繰り返す。

    狂った聖獣を仕留めた男。
    どれほどの理不尽に晒されたのか。その体験は必然を絶するだろう。

    「……よくもまぁ、真面目ぶった態度でいられるものだ」

    魔女の家に来てからずっと、オルトはほとんど心を乱さなかった。
    客人として真摯に自分の願いを告げることに徹底し、魔女としての自分を疑うこともなく、何を尋ねることもしなかった。
    家の中を見て失礼なことを考えたのは多少の減点ではあるが。

    「どうせ、時間はいくらでもある。最後まで付き合ってやろう」

    口元を少しだけ緩めて、リリアは儀式の準備を始めた。
    神の獣の呪いを解くのだ。生半可な術ではない。

    しかしその知識はリリアの中にすでにある。

  • 43二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:27:19

    二回目募集です。
    オルトはリスト通りに集めてきた素材を届けにいきます。

    遭遇する時のシチュ(リリアが何をしてる時に遭遇するかなど)
    それからオルトの行動、セリフなどを自由にお願いします

    時間は1:35まで、きたものからダイスでランダムに
    時間内にこなかったら書き込まれたもの即採用でいきます

  • 44二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:28:05

    (あと2回目までやって3回目の募集しつつ今夜は終了の予定です)

  • 45二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:30:51

    素材を手に入れたオルトは川辺で釣りをしているリリアを見つける
    オルトは声を掛けつつ「冒険者として結構釣りは得意なんだ」と暫く二人で釣りに興じる

  • 46二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:37:24

    >>45採用で話をすすめまーす

  • 47二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 01:54:13

    それから一週間が過ぎた。

    オルトは各地を巡りリリアの書いたリスト通りに素材を集めて戻ってきた。
    決して楽な旅ではなかったが、リストに描かれていた素材を集める順番はよく考えていて、従っている限り無駄なくすべての素材を集められたし、オルトの知識にもなかった採取方法などまでよく書かれてあった。

    「……まったく、魔女ってのはスゲェんだな」

    どうやって魔獣の弱点やら、希少な薬草の保存方法やらの知識を仕入れるのか、オルトは考える。
    魔女は長生きだというから年の功というやつかもしれない。
    尋ねるのは止めた方がいいだろう。いや、子供のように扱われるのは嫌がっていたが、年長として扱うのはいいのだろうか?

    そんなことを考えながら森の方を見て川沿いを歩いていたから、その川で吊りでしたいた魔女の姿に気付くのが遅れた。

    だしぬけに頭を覆っている布が上に引っ張られて、オルトは「おぁ!?」とへんな声を上げてしまう。
    それから朗らかな少女の笑い声を聞いて、ようやく川縁の石に腰かける魔女の姿と、その手の釣り竿から伸びた糸が布を引っ張り上げたのだと気付いたのだ。

    「はっはっは、なんとはなしに試したが、見事に引っ張り上げたな!」
    「ああ……もう! ビビったぞ本当に! 街ならいっせいに悲鳴が上がってるとこだぞ!」

    魔女の三角帽子にワンピースという出で立ちでケラケラ笑う少女に、思わずオルトは食って掛かる。
    実際に肝が冷えたのだ。
    油断して獣の顔を見せてしまった子供が泣き叫ぶ声は、どんな獣の吠える声よりもオルトの心臓に刺さった。

    「ここは私の森の中だ。だれも悲鳴など上げん。もちろん私もな」

    だが、ピタリと笑うのを止めて真面目くさった顔でリリアにそう言われると、オルトも二の句は告げない。

  • 48二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:04:00

    「とはいえあんなに驚くとは思わなかった。よくない戯れだったな。すまん」

    「あー、いや、いい。確かにリリアの言う通りだ。ここでこいつをかぶる必要はなかったな」


    そのまま謝罪をされてしまったので、それで話は終わりになった。

    釣り針にかかった布が手元まで降りてきたので、オルトはそれを掴んで針を抜いて懐にしまう。


    「素材をもってきたんだが……邪魔したか?」

    「べつに邪魔じゃない。魚もさっぱり釣れてなかったしな」


    そう言って足元に置いた桶を持ち上げる。ひっくりかえしても中身は水も入ってない空っぽだ。


    「それなら俺も手伝おうか? 冒険者としてけっこう釣りは得意なんだ」

    「ふむ?」


    オルトの提案にリリアは首を傾げて目を瞬かせる。

    「まぁ……いいか」と呟くと、リリアは石に腰掛けて釣りの続きを始めた。


    ポーチから釣り道具を取り出して組み立てると、オルトも勝手に川で釣りをはじめる。


    dice3d6=5 4 3 (12)

  • 49二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:05:45

    オマケ:釣りの結果


    エリア:dice1d3=2 (2)  (1ダメ、2ちょっと、3しっかり釣れる)

    オルト:dice1d3=2 (2)  (1ダメ、2ちょっと、3しっかり釣れる)

  • 50二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:17:42

    それから日が暮れるまで、二人はなんとなく釣りを続けてしまった。


    まぁ、競ってなかったと言ったら嘘になる。

    得意と言った手前、それなりに結果を出したかったとついついオルトも欲が出た。

    先に魚を吊り上げた時のエリアの蔑むような視線でちょっと意地になったのはそれはもう否定不可能だ。


    「で……釣りの得意な冒険者とやらも、私の森ではたいしたことはなかったようだな?」

    「そういじめないでくれ。釣果はリリアもどっこいだろう」

    「フフフ、これに懲りたら腕を誇ることにもう少し慎重になるのだな」


    楽し気にそう言って二人で釣った魚を入れた桶を両手で抱え、魔女の小路を歩いていく。

    弾むような足取りは見た目相応の少女のようで、可愛らしさにオルトの頬が緩む。

    緩めているところをじろりと振り返ったリリアに見られて、「私をペロリと食べようとか思ったか?」とか言われた。


    「おとぎ話のオオカミじゃあるまいし」と答えると「子ども扱いをしたな、減点だ」と不機嫌な声が返ってくる。

    そうして理不尽さに頭を抱えながら、オルトは魔女の家へと辿り着いたのである。


    夕食はリリアが作った。

    魔女の食卓というものがどのようなものかはオルトには未知数であったが、これがなかなかに料理上手だった。


    素材は全て引き渡して、すでに用意されていた次の分の素材のリストを受け取る。

    泊まっていくかとリリアは誘ってきたが、オルトは一人暮らしの女の家には泊まれないと断って帰路についた。


    dice3d6=2 1 6 (9)

  • 51二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:18:23

    一度目終了。 好感度13+12+9=34



    惚れロール:dice1d100=6 (6)  (34以下で惚れます)

  • 52二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:25:57

    もう堕ちてる!

  • 53二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:27:32

    オルトが魔女の小路を通って帰路へとついたのを確認して、リリアは家のベッドに転がった。
    クッションを両手で抱きながら、一週間ぶりの来客の声と姿を頭の中で繰り返す。

    「……泊まっていけばいいのに」

    声が不機嫌になってるのを意識する。
    物欲し気にねだったつもりはなかったが、オルトの『子供扱いしてないアピール』にイラッとする。

    「女扱いしているというなら、泊まっていいという事の意味をもう少し深く考えるべきだろ……」

    肝心なところで外す男だ。
    オルトがペロリと食べるオオカミになっても、リリアとしてはまぁいいと言ったつもりだったのだが。
    誰がオオカミに食べられる娘だと、眉根を寄せて唸る。もう少し強くい言うべきだった。

    「………まぁ、いい。どうせあいつはまたくるからな」

    次の素材リストも渡したしオルトの腕ならば成し遂げるだろう。
    儀式の準備は整いつつある。

    報酬になにを要求するか、そんなことを思い浮かべて、リリアはクッションをぎゅうと抱いた。

  • 54二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:29:36

    二回目募集です。
    オルトはリスト通りに集めてきた素材を届けにいきます。

    遭遇する時のシチュ(リリアが何をしてる時に遭遇するかなど)
    それからオルトの行動、セリフなどを自由にお願いします

    時間は明日の8:00まで、きたものからダイスでランダムに
    時間内にこなかったら書き込まれたもの即採用でいきます

    惚れちゃったので四回目からルート分岐します。
    また、惚れ判定は続けます。成功すると深度がアップしてより惚れます。

  • 55二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:30:21

    明日というか今日と言うか、9/18の8:00まで募集でした

  • 56二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:37:26

    森に住む本物の獣人から話しかけられる
    ナンパもされる

  • 57二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 02:40:20

    リリアの家を訪ねるがノックをしても反応がなく、心配になって入ってみると何故か上の空で鍋をかき混ぜているリリアを見つけるので静かに後ろで見守る

  • 58二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 07:09:18

    凄まじく真剣な顔で額に汗を浮かべながら魔法陣を描くリリアを見つけ「いよいよか。大丈夫なのか?」と声をかける

  • 59二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 08:04:16

    時間になったので、以下のような感じで採用します


    >>57

    >>58

    遭遇するシチュ:dice1d2=1 (1)


    >>56

    オルトにおきるイベント

  • 60二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 08:19:24

    お仕事があるので昼過ぎに続きを書きます。
    さらにその先の安価は昼過ぎから夕方の間にお願いする予定です。

  • 61二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 14:16:58

    そろそろ全裸待機してよう

  • 62二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 15:18:16

    すいません仕事で呼び出されて今夜遅くまでかかりそうです
    予定より全体的に遅れます

  • 63二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:44:04

    それから再び一週間が過ぎた。

    予定通りに事が運んだならば、そろそろオルトが魔女の家に訪れる頃だったが、オルトはまだやって来ない。
    見積もりが甘かったのか、それとも何か予想外のトラブルに巻き込まれたか。

    チリチリと頭の奥で火花が散るような苛立ちを感じながら、リリアは作り置きの薬の材料を鍋で煮ていた。
    ぐるぐると緑と紫の薬草が混ざり合い、奇妙な模様を描いていく。

    運命は複雑だ。操ろうとすればするほどそれは指の中をすり抜けて予想していなかった模様を描き、リリアを驚かせる。

    「……いや、まだたった一日だ。これぐらいの遅れは予想できていた」

    だが、そう望めばリリアはそれすらも見通すことができる。
    リリアには運命の紡ぐ糸を辿り見通す力があった。頭の奥の、さらに奥、この世のものではないなにかに繋がっている。
    この場にいない、今のオルトがどうしているかを見ることはできない。
    だが、オルトがいつ来るかを見ることは容易い。この森の未来、魔女の家の未来、自分の未来を見ればいい。

    「いや……」

    リリアは頭を振った。自分がオルトにのめりこみ過ぎているのを自覚する。
    未来を見ることは良い結果を生まない。
    リリアは過去の経験から、一度自分が未来を見てしまうと、自分はその運命から逃れられなくなることを知っていた。

    もしも明日もオルトが来ない未来を見たら、それが現実のものとなる。そしてさらに明日も同じ結果だったら?

    「……いやだ」

    ぶるりとリリアは震えた。
    ずっと昔にそうやって失ったものを思い出してしまった。望んで辿るほどに希望を失っていく絶望、
    鍋をかき混ぜるスパテルの動きがはやくなり、鍋の中の素材はもう、混ざりすぎて元の色を失っていた。

  • 64二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:44:51

    「大丈夫か? 焦げた匂いがしているんだが」
    「…………ふぁっ!?」

    唐突に背後からオルトの声が聞こえて、リリアは珍妙な声を上げた。

    振り返ってみれば、確かに家のドアが開いていて、ドアの前でオルトが驚いた顔で立っている。
    リリアは瞬きをして周囲を見回す。
    日の位置から見てそれほど時間が経っているわけではない。

    「なにかあったのか?  その……ずいぶん集中しているようだったから、声をかけなかったんだが」
    「……なんで、ああ、そうか……いや……」

    リリアはほとんど反射的に、オルトの過去を辿ってしまった。
    魔女の小路を通り抜けて家に訪れる歩み、扉をノックをしても応えないことを不審に思う姿。
    躊躇いながらも扉に手をかけて、鍵がかかってないのに驚きながら中へ入って、鍋をかき混ぜ続けている自分の後ろ姿を見る。
    オルトはしばらくリリアの背中を見ていた。ただじっと見守っているだけの視線。

    「何か手伝えることはあるか?」
    「……ない」

    いやに心臓がバクバク鳴っていた。
    自分がどんな表情をしているのかも分からないままリリアは火を止めて鍋のフタを閉じる。
    確かに焦げた匂いがしていたが、今は考えるのは止めておく。

    それよりも先にすべきことがある。

  • 65二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 22:45:04

    リリアは身に着けていたエプロンを脱いで壁にかけると、オルトにテーブルに座るように促す体面に座る。

    テーブルの上に乗せられる素材の山。

    ざっと目を通した限りでは、リスト通りに揃っている。


    「無事でなによりだ。少し遅くなったようだが、素材採取で何か問題でもあったか?」

    「いいや、受け取ったリスト通りに問題なく素材の回収は終えられた。遅くなったのは……まぁ、ちょっと足止めされてな」

    「ふぅん?」


    オルトは獣の呪い受けた男だ、足止めされる理由には事欠かないだろう。

    まさか森の傍の村ではないだろうが、もしそうならば、村に立ち寄る魔女として多少は口を挟まねばなるまい。

    などとリリアが鋭く吊り上がった瞳で考えを巡らせたところで、オルトはあっさり否定した。


    「ちがうちがう、リリアが腹を立てるような理由じゃない。もっと呑気な話だよ」

    「呑気……?」

    「森で素材を狩ってる最中に、獣人の狩人と居合わせてね」


    オルトは苦笑いをしながら話を始める。


    dice2d6=3 1 (4)

  • 66二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:03:22

    「オオカミの獣人だった。腕のいい狩人だったよ。狙いは俺と同じくコカトリスだったから、俺は必要な素材をもらって残りは譲るって条件で共同戦線を張ることになったんだ」
    「ふむ…… 確かにあの森には獣人の集落がいくつがあったな」
    「まぁ、狩り自体は問題なかった。俺が剣で足止めしたところで、サーシャが矢で狙い撃つ。俺が二、三合したところで矢は見事に瞳から脳まで射抜いた。あっと言う間の楽な狩りさ」
    「ほぅ……サーシャか。サーシャね」
    「ああ、ごめん。そのオオカミの獣人の名前のことだよ」

    オルトの剣と立ち回りは、大柄の体躯から受ける印象に反して驚くほど堅実で隙が少ない。
    俊敏に次々と攻め手を変えるコカトリスの手数の多さに対して、鉤爪を剣でいなして嘴を身を翻して避け、それでいて大きく下がらず抑えつけるように刃を走らせる。
    ズバ抜けた集中力のなせる業だ。
    きっと冒険者として活動していた時には頼れる前衛として仲間を背にして守っていたんだろう。

    「なるほど、そのサーシャが足止めをしたのか」
    「いやまぁ結論はそうなんだが。えーとだな、それには理由があって」

    オルトはコカトリスの攻撃を避け続けていたものの、頭にかぶっていた布を鉤爪で裂かれていた。
    その下にある獣の顔をサーシャに見られたのだという。

    「……オルト、お前……コカトリスを相手にするのに頭から布をかぶってたのか?」
    「そりゃそうだろう。そうしないと獣の呪いを受けてるとバレるからな。もう慣れたよ」

    呆れた声でリリアが聞くと、オルトはあっさり頷いた。
    視界の狭さを考えれば、普通に撃ち合うよりも遥かに厳しいはずだ。

    「で、そのサーシャが騒いだか」
    「いや、それがだな…… イケメンだとか言われて求婚された」

    後ろ頭を掻きながらオルトが言いにくそうに答えた。
    リリアの瞳が一瞬で鋭く吊り上がり、その唇から冷え切った声でただ一文字を吐き出した。

    「………は?」

  • 67二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:23:52

    サーシャというそのオオカミ獣人は、斃れたコカトリスの前に立つオルトを見るなりこう言ったのだという。

    『はわー!? キミすっごいイケメンじゃん頼りがいのある腕っききでイケメンで性格もいいとかかなんなの結婚して!』

    「頭わいてんのか」
    「いや、ほら、結婚願望が意外と強い子だったみたいでな」

    とにかくいきなりの求婚に応えられるはずもなく、オルトはまず自分が獣の呪いを受けたただの人間であることを説明した。
    獣人にとってどんな顔に見えるか、なんて考えたこともなかったが、どちらにせよ自分の顔は偽物の顔なのだ。

    幸い、サーシャは落ち着くとオルトの話をよく聞き、呪いを受けた経緯も理解を示してくれた。
    そのうえで、落ち着いて休む場所がないだろうからと、彼女は自分の集落で一晩休んでいかないかと提案してきた。
    オルトは自分の顔と獣の呪いの話を聞いても態度を変えないサーシャに感謝し、その提案を受け入れた。

    「お前もしかしてめっちゃチョロいのか?」
    「いや、まぁ……否定はしないが」

    オオカミ獣人の集落に迎えられたオルトは、ちょっとした歓待の宴のあと、疲労を癒すためにすぐに宛がわれた部屋にひっこんで休んだ。
    明かりを消して寝台に横たわり、目を閉じてしばらくの時間が過ぎたところで、サーシャの来訪を受けて……

    「……もういい、その先は聞きたくない」
    「いや、待ってくれ。そのあとは誓ってなにもなくてだな」

  • 68二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:24:02

    「うるさい! ほら、次の素材リストだ。受け取ったらさっさと出ていけ!!」


    オルトは話を続けようとするが、リリアは聞こうともせずにテーブルから立ち上がり、準備していた素材リストを投げつけた。オルトは投げつけられた紙束を器用に散らばる前にキャッチする。


    「とにかく、そのサーシャの村を襲ってた怪物を倒してたら遅れてしまった、という話だtった! 話が回りくどくてすまん!!」


    それだけ口早に言って、オルトは一礼をして魔女の家を出ていった。


    dice1d6=2 (2)

  • 69二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:32:22

    三度目終了。 好感度34+4+2=40


    惚れロール:dice1d100=79 (79)  (40以下で惚れます)

  • 70二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:33:44

    オルトが魔女の小路を通って帰路へとついたのを確認して、リリアは家のベッドに転がった。
    クッションを両手で抱きながら、一週間ぶりの来客の声と姿を頭の中で繰り返す。

    実のところ、リリアはオルトが慌てて事情を説明した時にはとっくにそれを知っていた。

    話を聞いている途中で、リリアはほとんど反射的にオルトの過去を深く遡り、何をしていたかを見てしまった。
    なんのためらいもなくそれをした自分に驚き混乱した。
    確かに過去を辿っても運命を操るような危険はない。だが、それは人の秘密を自由に暴くことだ。
    それを好奇で振るうべきではない、と、リリアは自分の能力を戒めているつもりだった。

    「……だって、アイツがどうしたか、どうしても知りたかった」

    なんであんな、歓待された部屋に女が忍び込んだなどと話したのだとオルトを責めたい。
    事情を知ったあとならば、本人としてはそれほどまでに切羽詰まっていたのだとかそういう意図なのだろうと、冷静に推察こともできるが、しかしそうと分からずに聞いたらどう思うかなんて分かりそうなものだろう。

    「うぐぐ……!」

    手の中のクッションを握りつぶしてやりながら、リリアは怒りに歯噛みするのだった。
    自分の怒りの正体が、自分の中の感情への恐怖の裏返しだと、頭の芯の冷えた部分では理解しながら。

  • 71二次元好きの匿名さん24/09/18(水) 23:38:27

    四回目募集です。
    オルトはリスト通りに集めてきた素材を届けにきますが、森には別の侵入者がいます。

    教会から派遣されてきた聖騎士たちが、魔女の森の入口をうろついています。
    オルトの対応を安価でお願いします。

    また、聖騎士をやり過ごした後にリリアと会った後に話すこと、行動を一つお願いします。

    時間は明日の8:00まで、きたものからそれぞれ1件づつダイスでランダムに
    時間内にこなかったら最初に書き込まれたもの採用でいきます

  • 72二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 00:01:49

    皮肉にも獣となった事で上がった俊敏さで聖騎士の目を掻い潜って森に入り、リリアに「うさんくせぇ奴らが森を監視している」と警告する
    そしてリリア次第では聖騎士と事を構えても構わないと告げる

  • 73二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:20:32

    このレスは削除されています

  • 74二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 01:43:23

    侵入者を惑わす幻術があるのでリリアの身の安全に関しては一旦は慌てない。暗がりに身を隠しつつ肉食獣の耳と目で騎士の装備や会話から所属や目的を探る
    リリアとの会話では騎士の思惑を知らせつつ「自分のように幻術を見破る騎士が将来派遣される可能性」と「騎士のバックの組織と事を構えるリスク」を懸念し、「逃走、隠遁の補助」もしくは「死の偽装」の為の協力は惜しまないと告げる

  • 75二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 08:12:24

    時間になったので、以下のような感じで採用します


    聖騎士への対応:dice1d3=2 (2)

    >>72

    >>73

    >>74


    リリアへの対応:dice1d3=2 (2)  (被った場合は振り直し)

    >>72

    >>73

    >>74

  • 76二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 08:26:36

    被ったので振り直し

    >>72

    >>74

    リリアへの対応:dice1d2=1 (1)


    昼過ぎぐらいに書いて深夜までラスト安価出す予定ですー

    お仕事が忙しくならないことを祈って……

  • 77二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 17:52:01

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:52:43

    再び一週間が過ぎた。

    オルトは注文通りの素材を袋に詰め込んで、森の傍にある村を訪れていた。
    前回の来訪の時、怒らせたまま別れてしまったのがどうにも気になって、せめて土産になにか買おうと思ったのだ。

    ここで振り返ってみると、オルトの半生は粗野な戦いの中にあった。
    村で警備の兵士をしていた父親の背中を見て育ち、棒切れを振り回して兵士の真似事をしていたら、見兼ねた父の同僚に稽古をつけてもらえるようになりそれなりに格好がつくようになった。けれど三男坊だからと、村では親の後を継いで兵士の職には就けないと伝えられて村を出た。
    街の養成所で冒険者の訓練を受け、そこで知り合った仲間とパーティーを組んでからは前衛としてモンスターを引きつけ、或いはトドメを刺して後衛を守る。兵士としての訓練と心構えはそこでも十分に役に立った。仲間にも信頼され、大きな仕事を引き受けられるまでになった。
    今の境遇の原因は、冒険者ギルドを通さずに街に助けを求めに来たエルフの仕事を受けたことだ。
    森を荒らしていたのは聖獣だった。それも言葉を解さない狂った聖獣。邪なものの儀式にて作り出されたことまで暴き出し、森に害意を持っていた狂える神の信徒たちを滅ぼしたものの聖獣は元には戻らなかった。神の罰を受けると知りながら殺すことを選んだのはオルトの選択だ。
    神の罰、獣の呪いを受けてからは、呪われたものとの烙印を受けた自分の立場に巻き込まれたくなくて、半ば強引にパーティーを抜けた。
    それからの仕事は荒事が増えた。顔を隠した戦士の受けられる仕事に護衛はない。
    よくて狩人、山賊の討伐、殺しが多くなった。

    うだうだとい思考を巡らせて、言い訳しても仕方ない。
    ようするに、オルトは女に贈り物をする才能には恵まれていないのである。

    「酒がいいか、肉がいいか……甘味は……怒らせるかもしれないな」

    オルトは多少悩んだあと、雑貨店にあったもので一番高価な酒の瓶を買った。

    「贈り物なんだ。なにか、こう……上手く、女性好みの感じに包んでくれ」
    「えっ」

    良い酒ではあるが度数キツめの酒である。
    雑貨屋の店主は神より無理難題を与えられた預言者みたいな顔をしてしばし悩んだあと、ファンシーなリボンで包んだ。
    受け取ったオルトが静かに頷いたのを見てホッとする。無事に正解を引き当てた気持ちであった。
    もちろん品選びの時点で正解ではないのだが。

  • 79二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:53:05

    魔女の森へと足を踏み入れる前、入口に複数の足跡を見つけた。
    武装した男の重い足跡。村の者ではありえない。
    眉根を寄せてしばし考えると、オルトはいつものように飛び石を跳んで川を渡り、それから森をゆっくりと歩き始めた。

    魔女の術が効いているのだろう。すぐに方向感覚は狂って、どの方向が森の奥なのかも分からない。
    たいしたものだと舌を巻く。
    聖騎士達に遭遇したのは、そうやって森の中を彷徨い始めてしばらく経ってのことだ。

    「待て!」

    鋭い声を戦闘に立つ年輩の騎士が上げて、それに付き従っていた若者の騎士たちが足を止めて身構える。
    剣こそ抜いていないが、バケモノにでも遭遇したかのような警戒ぶりだ。

    「お前は何者だ」
    「この森に獲物を狩りに来た狩人ですよ。ここでは珍しい獣が獲れるんでね」

    年配の騎士にそう答える。
    もちろん大嘘だが、そんなにおかしな答えでもない。とはいえオルトも信じてもらえることは期待していない。
    予想通りに年配の騎士は視線をより鋭くし、騎士たちも疑わしげな視線を向けてくる。

    「こんな辺鄙な所にかの高名な聖騎士様がなんの御用で?」
    「……ふむ、私のことを知っているか」
    「教会が擁する偉大なる聖騎士ロットランド様のご活躍はこの辺境の地にも届いてますよ」

    もちろん、元々はオルトが冒険者の仕事をしていた中央の都市群での話だ。
    魔獣や邪教徒の討伐で名を上げ、教会にこの人ありと称えられた英雄。教会の力の象徴として教会の敵を倒す男。
    こうして相対してみると、なるほど視線の鋭さは刺すようで殺気を向けることに躊躇いがない。実にイヤな相手だった。

  • 80二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:54:04

    「なぜ顔を隠す」
    「……教会には一度顔を出してますんで、話ぐらい聞いてくれてたらありがたいんですけどね」

    オルトは聖騎士達の目の前で、顔を覆った布を脱いだ。解放感に息を吐く。
    ロットランドが「獣の呪いか!」と声を上げる。
    若者の聖騎士達は拍子抜けしたような顔をしていたが、その一言で驚愕を顔に浮かべて慌てて剣を抜いた。

    「聞いてませんでしたか? 教会でも説明したんですが。邪教徒に狂わされた聖獣に止めを刺して、やむなく呪いを受けたと」
    「……話は聞いている。それがお前か」

    ロットランドは剣を抜いた若者たちを諫めずにそのまま話を続けてきた。
    オルトの頭の奥で警報の鐘が鳴る。

    「まさか、俺を追跡してきた、とか?」
    「そうではない。だが、符合することがあり、合点がいった」
    「……説明を頂きたいんですがねね」

    若者騎士たちの殺意がピリピリと肌を刺す。
    内心の苛立ちを隠しながら、オルトは声色を落としてゆっくりと尋ねる。

    「聖女様より託宣があった。〝この地に神の奇跡を破る、邪なる秘術の気配を感じる゛と。我らはそれを止めにきたのだ」

    なるほど、と、オルトは理解した。
    それから状況のマズさも同様に。

    こいつらはこの森の魔女、リリアが『邪なる秘術』を使うものだと当たりをつけていたはずだ。
    そのうえ自分がノコノコと顔を出したせいで『邪なる秘術』を使う理由まで読まれた。
    確信をもった聖騎士は、森に火を放つぐらいは平気でする。

  • 81二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:54:52

    「……それはそんなにマズいものなんですかね?」
    「神の奇跡を破れるのならば、王都を守る結界の楔も、王権を司る錫杖も、破壊が可能という事だ」

    それほどのことか、と無意識にオルトは歯を噛みしめた。

    「知る者は尽く滅ぼさねばならぬ」

    自分の呪いはそんなに大仰なものなのかと。
    この獣の顔を捨てたいということだけのことで、それほどまでに恐れられるのかと。

    若者の聖騎士達が息を呑む。

    自分のせいだと気付くのに時間がかかった。
    怒りで威嚇するなんて、子供じみた真似をしてどうすると自分を戒める。

    「……あー、あー、すいません。聖騎士ロットランド殿。お察しの通りです」

    オルトは敵意がないことを示すために両手を上げて、それから聖騎士たちに向かって深く頭を下げた。

  • 82二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:55:02

    剣を抜いた相手に視線を切るのは自殺行為だ。

    若者の騎士たちの戸惑う気配。連中がまだマシな部類だったことにホッとする。


    「魔女殿にムリを言って術を使わせようとしていたのは私です。私はその術を使わせるため、素材と術の書かれた書物を集めていました」


    その場で地面に足を突いて座り、背負い袋を降ろしてその場に広げる。

    魔獣や薬草、素材がゴロゴロと出てくるのを見て、聖騎士達は驚きの声を上げた。

    それぐらいには希少な素材だ。言葉を裏付ける説得力は十分ある。


    「しかし、いまだ術を完成させるには至らず! 魔女殿のことは諦めて、さらに北の地に向かい賢者の知恵を借りようと考えておりまして。しかしそれが教会を恐れさせるほどの危険などとはまったく思い至らず、まさか巫女殿を思い煩わせ、聖騎士様が足を運ぶような時代になるとは夢にも思っておりませんでした!!」


    それから、オルトは一気に畳みかけるように言葉を並べた。

    聖騎士が何か言葉を発する前に、座ったままの姿勢でもう一度深々と頭を下げて謝罪の言葉を怒涛のように並べる。


    「もちろん術のことは諦めます。証明にこちらの集めた素材は聖騎士様方がお持ちください!」


    そうして聖騎士達の反応を伺った。

    ざわめく若者たちはすっかり毒気を抜かれた顔で、構えた剣先にも力はない。

    そして先頭のロットランドは、冷めた顔でオルトを見下ろしている。教会の法にのみ従い冷酷に処断を下す男の顔だ。


    「我々は神殿に戻り、巫女に伺いを立てる。託宣が変わらぬのならば、お前を災禍の中心と定める。心せよ」


    それだけを口にして、ロットランドは去っていった。


    dice1d6=1 (1)

  • 83二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:55:30

    魔女の家の戸を開けるや否や、メチャクチャに罵られた。

    「誰がお前に庇ってほしいなどと口にした! このゴマスリ土下座犬っころ!!」

    どうやら魔女の森での話はすべて聞かれていたらしい。
    しかしわりと傷つくレベルの暴言だったので、オルトもつい憮然とした表情をしてしまう。

    「なんだその『オレはまちがったことしてないし』みたいな顔は。時間を稼いだなどと思うなよ? 連中は次に来るときは大義名分揃えてくるぞ! 顔を戻してもその顔が大罪人として狙われるのでは何の意味もないだろう!!」

    まくしたてるリリアの言葉を聞いているうちに、オルトはようやく彼女がどうしてここまで怒っているのかを理解した。
    とりあえず、けっきょく持っていかれなかったのでそのまま持ってきた素材の山をテーブルに並べる。
    それからリリアが落ち着くのを待って自分の考えを説明した。

    「もう俺は獣の呪いを解いてもらうつもりはないよ。だから、あいつらが戻ってくることはない」

    リリアが驚きに目を見開くのを見て、オルトはむしろそれほど驚かれたことを意外に思った。
    聖騎士とのやりとりを聞いていたのなら、むしろリリアの方から断りの話を持ちかけてきてしかるべきだと考えたからだ。
    さすがにあれだけ脅されて、邪悪などと言われている術を使わせたりできないだろう。

  • 84二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:55:50

    「いや……しかし、それでもあいつらが戻ってくるかもしれんだろう……それなら、いっそ……!」

    「そうならないように俺はスタコラ逃げるから」

    「は……?」


    ぽかんと口を開いたリリアに、真面目な顔でオルトは告げる。


    「リリアに危害が加わらないなら、俺一人聖騎士と事を構えても構わないさ」


    心配をかけないように軽くそう言ってから肩をすくめてみせると、リリアの顔がみるみる赤くなる。

    怒らせたかな、と、オルトは身構えたが。リリアは怒声を浴びせる代わりに駆け寄り、その小さな拳で胸を叩いた。


    小さな声でなにかを言われたが、その声は嗚咽に埋もれて聞き取ることはできなかった。


    dice3d6=5 1 4 (10)

  • 85二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 21:56:43

    四度目終了。 好感度40+1+10=51


    惚れロール:dice1d100=78 (78)  (51以下でさらに惚れます)

  • 86二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 22:03:00

    「ところで、土産を持ってきたんだが」

    オルトが背負い袋から可愛らしく包まれた布を見せると、リリアは嬉しいような困惑するような、奇妙な表情を浮かべた。
    それから、テーブルに置かれたそれを恐々と触れて、いぶかしげに瞳を細める。

    「……なんだこれ?」
    「せっかくの贈り物だから女性向けに包んでもらったんだが」

    気に入らないか?という視線を向けられると、リリアも答えを返しにくい。
    ついさっき思わず大泣きしてしまった気恥ずかしさも手伝って、けっきょく無言で包みを解くことにした。

    中から出てきたのは度数のキツい蒸留酒であった。

    「…………なんだこれ?」
    「せっかくの贈り物だから高い酒を選んだんだ。うまいぞ!!」

    気恥ずかしさが消し飛んだリリアはテーブルの下でオルトの足を蹴り上げた。

  • 87二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 22:07:02

    オマケ:お酒の効果


    エリア:dice1d100=21 (21)  (70以下酔った)

    オルト:dice1d100=99 (99)  (70以下酔った)


    オルトが酔ったらお泊りコースです

  • 88二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 22:19:47

    一人で飲むのもつまらないから飲んでいけ、と言い出したのはエリアである。
    オルトは多少渋ったが、寂しそうな表情を浮かべたエリアを見てけっきょくは折れた。

    「んふふふふふ……オルトの腕は太いなぁ、こーやって両手で掴んでもな。ほら、掴み切れないから、こうだ!」

    いきなり腕を掴んできたと思ったら、両腕で抱きついてくるエリアに、オルトは固まりながら飲むしかできなかった。
    久しぶりに人と飲む酒は、まぁ、なかなかに嬉しいものだとか思ってた記憶はもう遥か過去である。

    「いや、いくらなんでもくっつきすぎだ。はしたないぞ」
    「穿いてないだとぉ……?」
    「いやそんなこと言ってないから! ナニ見せる気だ! 止まれ!!」
    「あららー、エッチなこと考えただなー? このスケベー。ざんねーん、ちゃんと穿いてまーす❤」
    「けっきょく見せてんじゃねぇか!」

    酷い有様だった。よく考えたらオルト以上に人と酒を飲む機会がなかったのかもしれない。
    なんかもうオルトとは次元の違うレベルで積もりに積もった何かが爆発しているのかもしれない。

    などと、魔女の痴態から必死に視線をそらしながら思うのだった。

    「(……子供みたいな体躯なのに、尻とか下半身は妙に色気があるんだよなぁ)」

    暑い暑いなどと薄着になって、子供みたいに無防備にジャレついてくるエリアを前に、必死に理性を高めながら。
    オルトも酔ってたらどうなっていたか、想像するだけに恐ろしい夜は更けていった。

    けっきょくオルトは泊りになったが誓ってなにもしていない。

  • 89二次元好きの匿名さん24/09/19(木) 22:23:00

    ラスト募集です

    ・獣の呪いを解呪する術を続行すれば聖騎士が派遣されてくる
    ・続行しなくても聖騎士はオルトを狙ってくるかも

    以上の状況です

    オルトがどうするか、エリアがどうするかの二点を募集します
    今回は可能な限り書き込みを採用してミックスします

    時間は明日の21:00までになります。よろしくお願いします。

  • 90二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 00:58:58

    リリアはオルトの為に術を行使する事を決意する
    オルトはリリアを聖騎士から守ると誓う

  • 91二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 01:18:20

    リリアを護るためにオルトは獣化の呪いを不可逆的に進行させる禁呪を使い聖騎士達を迎え撃つ。りりあはそんなオルトを元に戻す為に自分の寿命を代償にした神代の儀式を執り行う

  • 92二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 11:00:24

    このレスは削除されています

  • 93二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 19:25:52

    リリアは儀式を断行。オルトはそれに応える

  • 94二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 19:52:00

    オルト・森の焼き討ちを避ける為、入り口で聖騎士達と対峙。格上のロットランドに対しては防戦、獣人との狩りのように伏兵のリリアに致命の一撃を任せる。聖女の託宣がある以上、リリアも森にいては危険。逃亡を誘う
    リリア・幻術でロットランドと他聖騎士を分断した後に切り札として待機。成功後は派手に戦場を爆破、野生の狼のそれを加工した偽のオルトの生首を用意。損壊した死体で他聖騎士達にオルトとロットランドの相打ちを誤解させ、オルトの教会からのマークを外す

  • 95二次元好きの匿名さん24/09/20(金) 21:20:18

    >>90

    >>91

    >>93

    >>94

    書き込みありがとうございました。

    可能な限り採用しつつ、明日いっぱいくらいでラスト書き上げます。しばらくお待ちください。

  • 96二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 02:08:17

    期待しております

  • 97二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 12:11:39

    待機

  • 98二次元好きの匿名さん24/09/21(土) 23:23:06

    全裸待機

  • 99二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:34:01

    翌朝、エリアは起き抜けにこう言った。

    「儀式は続けるぞ。お前の獣の呪いは私が必ず解呪する」

    オルトは獣の相貌に不機嫌そのものの表情を浮かべてから、低く唸った。
    一瞬でも頭に浮かんだ喜びの感情を隠すためだと、リリアにはとっくに気付かれている。なんとなくオルトにもそんな予感はあった。

    「ああ、そうかい」

    止めさせたい。止めろと言っても止めないだろう。
    どうしてこうなったかなと思いながらオルトは深くため息を吐いた。
    それからおもむろに胸に手を置き、エリアを真正面から見下ろしながら静かに宣言する。

    「それじゃあ俺は命に代えてもエリアを教会から守ろう」
    「……よせ。そこまでしなくていい」

    表情を曇らせて否定するエリアに、オルトはゆっくりと首を振って諭すように言う。

    「もう分かってるだろ? 俺はそういうやつなんだ」

    エリアはそれでもとっさに口を開いて何かを言い返そうとしたが、けっきょく開いた口から絞り出された言葉は、「卑怯だぞ」という小さな恨み言だった。

    オルトにもその言葉は聞こえていたが、答えずにエリアの言葉を待つ。
    リリアは目をつぶってわずかにうつむくと絞り出すような声で絞り出した。

    「分かった。契約成立だ」

    差し出された小さな手を、オルトの大きな手がしっかりと掴んだ。

  • 100二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:34:27

    最後の素材集めはかなりの駆け足になった。
    グリフォンやワイバーン、ヒドラ、名だたる魔獣を矢継ぎ早に相手取る旅は過酷なものになったが、オルトは文句の一つも漏らさず黙々とやり遂げた。
    沼地や山岳の強行軍で装備のいくつかは喪失したが、深い傷を負うこともなく、五体満足で魔女の森まで戻ることができたのは、絶対に契約を守ってやろうというオルトの執念の為した奇跡であった。

    リリアの家に通うようになって、気付けばもうすぐ一か月も経とうとしている。
    顔を合わせた時間はそれほどでもない。
    だが、行って戻るという単純な行程が、獣の呪いを受けてからずっと街から街に人の目を避け続けていたオルトに長らく忘れかけていた我が家という概念を思い出させていた。

    「……迷惑な客だっただろうがな」

    リリアはそうは思っていないだろう。憎からず思ってくれている。
    それは分かっているが、結果としては自分一人で済ませていた災難に盛大に巻き込んだ。

    「終わったら、礼をしなきゃなぁ」

    失敗した場合を考えないようにするのはオルトのジンクスのようなものだ。

    エリアのことを考える。
    今回の土産は街の方の高級店で買ってきた甘味のクッキーだった。

    付き合って話をしてみれば、リリアは出会った頃の印象とちがってコロコロと変わる表情は愛らしく、ムキになると感情を示すべく仰に手足を振り回したりする。
    子供扱いするなという口癖のわりに、背格好相応の仕草が似あうのだ。
    たぶん、きっと、クッキーも好きに違いない。

  • 101二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:34:44

    魔女の家。

    「美味いなこれは! 最近ではこういうのが流行りなのか……!!」

    目を輝かせてクッキーを頬張るリリアの姿はマジでただの女の子だった。

    オルトが『チョコ入ってるから犬顔の俺はそのクッキーは食べられない』とか適当なことを言って一人で食べるように勧めると、多少はためらいを見せたもののけっきょくすべて一人で平らげてしまう。
    実際のところはチョコを自分が食べられるかどうかはオルト自身にもよく分からないが、リリアがニコニコ顔なのでまぁいいだろうという気持であった。

    「ふー……知ってるか、オルト。甘いものは頭の疲労に効く。お前の儀式のために私はしばらく頭を使いっぱなしだったからな、実によい土産だったぞ」

    そう言ってから、ぺろりと指先についたクッキーについていたチョコを舐めとると、その指先でテーブルの上に文字を描いた。
    光る軌跡が机に刻まれ魔法陣となり、そこに一本の短剣が召喚される。

    「残りの素材を組み込めば、この『契約破壊の短剣』は完成だ。これで聖騎士共が辿り着く前に獣の呪いからお前を解放してやれるぞ」

    自信に満ちた表情でそう言うリリアに、しかしオルトは首を振った。

    「いや、それを使うのは後で頼む」

    唐突な申し出に、リリアは「はぁ?」と声を上げた。

  • 102二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:35:04

    (今夜はここまでです。あとちょっとお待ちください)

  • 103二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 00:36:42

    おつおつ
    続きが気になるところで…

  • 104二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 11:04:33

    おつほす

  • 105二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:59:57

    読んでますよ、執筆がんばれ~(保守)

  • 106二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 00:10:05

    深夜の保守!

  • 107二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:39:55

    二日後、魔女の森の入口。

    川を渡ったその先で、オルトは聖騎士達を待ち構えていた。

    「やっぱり来たのか」
    「やはり待ち構えていたか」

    髭を蓄えた偉丈夫、聖騎士ロットランド。
    それに数人の聖騎士だ。

    この前引き連れていたような若者ではない、全員が厳つい雰囲気の鋭い目をした男達。
    その全員が聖騎士の証である神の代行の証である白銀の鎧を纏い、魔を断つ力を与えられた聖剣を腰に下げている。

    前のような様子見で済ませるつもりなどない、全力で叩き潰すための戦力だ。

    「神の意志に逆らうものは許されん」
    「俺にはそんなつもりはない。そうしなければ人が死んでいた。だから救うためにやった」
    「だが今度はお前の選択肢で魔女は死ぬ」
    「…………やっぱり俺の首ひとつじゃ許せないってか。まったく、託宣の聖女様ってのは狭量なんだな」

    漏れた怒りが言葉を紡ぐ。
    もともと挑発してやるつもりではあったが、オルトの言葉は本音だった。
    ギリギリまで、なんとかこの聖騎士達を言葉で煙に巻けないか、なんて思っていたのだから。

  • 108二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:40:14

    聖騎士達の反応は苛烈だった。抜き打ちの聖剣は火花を散らして宙を裂き、オルトの首筋へと叩きこまれる。
    地面を蹴って後ろに跳んで避けた、それを追撃して、さらに一閃。
    短剣で逸らして、鳩尾に蹴りを入れる。

    その背後から別の聖騎士の突きが胸を狙う。上体を逸らして避けた。
    手首を足の爪で裂きながら後ろに転がって距離をとる。
    身構えて向き合う。鳩尾を蹴った聖騎士はよろめきながら立ち上がろうとしている。
    手首を切った聖騎士は奇跡で傷をすぐさま癒していた。

    ロットランドは動いていない。

    「そうやって、囲んで棒で殴るのが聖騎士のやり方かよ」

    おそらくこいつは魔女を警戒している。なにか仕掛けてくると踏んでいるのだ。オルトは苛立ちに歯を剥いた。
    ようするにその仕掛けで聖騎士の一人や二人は試しに殺されてもかまわないって思ってるのだ。当の聖騎士連中もそのつもりでいる。
    本当に、こいつら命をなんだと思ってやがる。

    「やれ。攻め立て続けろ」

    ロットランドが命じると、聖騎士たちが足を踏み出した。
    息を吸って構える。ここでリリアの手を借りたら、計画がおじゃんになる。

    俺一人でしのいで、ロットランドを引っ張り出す。

    「こいよ聖騎士様。獣落ちのバケモノが遊んでやるぜ」

    意識して怒りと殺意に身を委ねる。体が熱を放つ。背筋が粟立つような感覚。
    心が獣に近付けば、獣化の呪いは不可逆に進行していく。
    バケモノになっていく。

  • 109二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:41:09

    だが、バケモノにだっていいところはある。獣の方が単純な反射神経や肉体能力は優れている。
    乗り手が使いこなしさえすれば――――――

    「ウォォォォォォルルルルルウウウゥゥゥッッ」

    前後に回った聖騎士が振るう剣の軌跡を掻い潜りながら、喉元に爪の先を滑り込ませる。
    鎧で守られていても、戦士が十全に動くためには隙間を作らざるを得ない。その隙間に滑り込むように鋭く。
    皮が破れて柔らかい肉が裂ける感触。

    「ぐひ……ぶぐはっ」

    喉を抑えて二人の聖騎士が膝をつく。兜の中が血で溢れて呼吸ができないはずだ。
    オルトはすかさずその腹に蹴りを叩きこみ、ロットランドめがけて弾く。
    その影に隠れて滑るように一気に距離を詰めた。

    「堕ちたか」
    「うるせぇよ」

    血で溺れる聖騎士の影から、ロットランドが抜き放った聖剣がオルトを迎え撃つ。
    オルトは賭けに勝った。
    聖騎士ごと斬られていれば、避けることもできずに即死していただろう。ロットランドの技量ならそれが可能だった。
    だがそうはならなかった。だからそうしない場合のロットランドの動きを予測できた。

    くだらない手だ。リリアから受け取っていた短剣をロットランドめがけて闇雲にぶつけただけ。
    聖騎士は飛び道具がとんでくるのは予測していなかった。自前の爪と牙のあるケダモノはそんなことはしないから。
    それに、短剣一本じゃあ神の祝福を受けた聖騎士の鎧は抜けない。
    反射的に避けることもできただろうに、ロットランドは避けなかった。恐ろしい動体視力と判断力の持ち主だ。
    だが、やはりギリギリの二択じゃ考えが甘くなる。

    オルトは聖騎士をしくじらせることに成功した。

  • 110二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:41:56

    聖剣はオルトの胸を浅く裂いた。

    「ぐうっ」

    予想はしていたが、切り口から焼けるような痛みが伝わり、ごっそりと体力が削られる感覚がある。
    構わずオルトは地面を蹴ってロットランドから距離をとる。追撃は来なかった。

    「なんだ……これは」

    ロットランドの動揺した声。
    俺の投げつけた短剣の当たった脇腹を抑えて、聖騎士は愕然とした表情をしていた。

    「分かるだろ。魔女の呪いだよ」

    胸の痛みを伝えないように余裕ぶった態度をとりながら、オルトは指先でロットランドの脇腹を指した。
    そこから痛みが伝わっているはずだ。リリアの説明ではそうなると聞いている。

    「獣の呪いをお前にも伝染させた。喜べよ、お前も俺と同類になった。ほら、頭の奥でケダモノの囁きが聞こえるだろう?」

    リリアの用意したそれは、感覚の伝染の呪い。
    単にオルトの痛みや感覚の残響をロットランドに伝えているに過ぎない。
    だが、聖騎士がなにを恐れるかをオルトは知っている。やつらは魔女を恐れている。排除せねば安心できないほどに。

    「……負傷者の治療をして待機せよ。奴は私が討つ」

    ロットランドは覚悟を決めた声色で聖騎士達に告げると、殺意の器をオルトに傾けた。
    溢れる水がこぼれるように、弾けた殺意に押しやられるように聖騎士が地面を蹴って襲いかかってくる。

    怯えればロットランドに気付かれる。
    オルトは獣の衝動を乗りこなしながら、聖騎士の剣を掻い潜って一撃を加えた。

  • 111二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:42:36

    かすめた刃が刃傷を作り、振り抜いた爪が鎧の装甲を引き剥がす。
    自然とオルトの顔に笑みがこぼれた。こいつは激情を乗りこなせていない、そこに付け入る隙はある。

    「滅びよ!!!!」

    憎悪の籠ったロットランドの一撃を避けて、後ろに跳んだ。
    森の木に足をかけて笑う。

    「イヤだね。俺はお前がケダモノになるまで、逃げ続けてやる。生き延びて、それから俺と同じ目に遭ってくれよ」

    聖女様に『この世の中のためにならないから滅べ』って託宣を受けて狩られちまえ。
    オルトの言葉に、ロットランドは声にならない憤怒を散らして地面を蹴って跳びかかった。
    聖剣が翻って大木が両断される。

    追いかけっこの始まりだった。

  • 112二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 03:42:51

    そうして聖騎士ロットランドと獣の呪いを刻まれた男が銛へ消えてから、半刻が過ぎた。

    最初に告げられていた予定に従い、聖騎士達は魔女の森の中へと足を踏み入れる。
    森に火を放てば死体を確認することができず、標的に逃げられる可能性を消すことができない。
    ゆえに、標的の確実な死か、あるいはそうするしか手が残されていない場合でもなければ森に火を放つような手は使えない。

    精鋭の聖騎士達は、互いに言葉を交わさずに粛々と森へと足を踏み入れ、魔女の小屋を目指した。
    すでに村に出入りしている商人から、辿り着く手段は聞きだしている。
    川縁を歩き、魔女の小路を見つけると、聖騎士達は頷き合い、聖剣を構えてまっすぐにその先を目指した。

    辿り着いた魔女の家は血の海であった。

    聖騎士達も息を呑むような、惨劇のあと、魔女とおぼしき少女の骸が小屋の前に転がっていた。
    三つに断たれた体躯は聖剣によるものだろう。
    飛び散った血を辿っていくと、その先にはロットランドがうつ伏せに倒れていた。
    血がその喉から溢れて地面を赤黒く染め上げている。傷跡を見るまでもない。すでに事切れているのは一目瞭然だった。

    「……おお、これは」

    そして、うつ伏せになったロットランドの向こうに。
    獣の呪いを刻まれた男の、狼そのものとなった獣の生首と、バラバラに刻まれた体躯が散らばっていた。

    それから聖騎士達は魔女の小屋と背教者の骸を焼き払ったのち、ロットランドの骸を神殿へと持ち帰る。
    獣の呪いを受けたという報告を鑑みた神官たちの判断により復活の奇跡は行われなかった。

  • 113二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 04:25:14

    店内のランプの灯りがともされたばかりの夕暮れの酒場。
    夕食をとりに来た街の人間たちの談笑や、この街を根城にしている冒険者たちの騒ぐ声で盛況の店内。

    その片隅のテーブルで食事をとる一組の男女。
    屈強な体躯の大男と、小柄な体格の少女。ともすれば親子にも見えかねない組み合わせだが、交わす言葉はとてもそうとは思えない。

    「だから、部屋は一つでいいと言ってるだろう!」
    「いや、そういうところは男女でちゃんと分けるべきだろう。部屋は二つだ」
    「女の方がいいと言ってるんだ。それとも……それともアレか。今さらやっぱり不服とでもいうつもりか貴様」
    「不服だ。脱ぎ散らかした下着なんでものを見せられるのは困る」
    「~~~~~~~~~~っ!!!」

    顔を真っ赤にして罵詈雑言を並べ立てる少女の声はなかなかにやかましかったが、男女の痴話喧嘩に口を挟むものは酒場にはいない。
    注文の品を運んできた勇気あるウェイトレスが『お二人とも仲がよろしいんですね☆』と笑いかけるとその声も鎮まった。

    二人が食事を終えて落ち着いてから、小柄な少女……リリアが問いかける。

    「それで、オルト。これからどうするつもりだ?」

    屈強な体躯の大男は、かつて獣の呪いでケダモノに身を蝕まれていた冒険者だった。
    今ではその相貌は呪いを受ける以前のもの、戦士としては厳つさの足りてない、穏やかな青年のそれに戻っている。

  • 114二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 04:25:29

    魔女の家での戦いから、数日が経っていた。
    聖騎士ロットランドを二人がかりで仕留めたオルトとリリアは、時間をかけて用意していた自分達の死体を聖騎士に見せることで死を偽装することに成功した。
    そうして森の奥深くまで逃れてから、ようやく長い期間をかけて準備していた解呪の儀式を行い、獣の呪いを解いたのである。

    それから二人で森を出て、街道沿いにある小さな街をぶらぶらと数日間過ごしてきた。
    リリアの方はしばらくは見慣れない街の様子を興味深そうに見ていたが、なにしろ魔女の森に隠れていた期間が長すぎる。
    さすがにいつまでも街に留まっているのも不安になってきた。

    「そうだなぁ、俺は間抜けだからあんまり深くは考えてないんだが……」

    なお、顔をはじめて目にしたリリアが思ってたより間抜け顔だな、と口にしたのをオルトは忘れていない。
    なかなかにショックな発言だったので、多少恨み言を行っても許されるだろう。

    「……それは悪かったと思っている。でも、本当にどうするつもりか決めて貰わないと、その、私も不安だ。あてのない私はお前に頼るしかないんだからな」

    髪を弄りながらポツポツと本音を漏らしたリリアに、さすがに言い過ぎたかと反省して、オルトは種を明かすことにした。

    「ここ数日、知り合いのツテを頼って神殿の動きを調べてもらっていた」

    神殿には聖女の託宣というこちらで予想ができない力がある。
    死を偽装して聖騎士たちが報告しても、その一言であっさりと引っ繰り返される可能性があった。
    それにロットランドが神の奇跡で復活する可能性もある。もしもそうなれば、躍起になって復讐のために襲ってくるかもしれない。

    しかし、そうした危惧をよそに、神殿からの動きはなかった。
    英雄ロットランドは獣の呪いを受けた狂戦士と魔女を相討ったと正式に発表され、その葬儀は粛々と行われた。
    聖女の託宣は下りず、神官たちの興味はいまや異教との紛争に向かっているらしい。
    あるいは何か知られているかもしれないが、正式に討ち果たしたと発表した相手だ。こちらが正体を明かさない限りは狙われる危険はないと思っていいだろう。

  • 115二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 04:33:40

    説明を受けたリリアは、ゆるゆると深く息を吐いて椅子に背を預けて力を抜いた。
    やはり逃亡生活の緊張は少女に重くのしかかっていたらしい。

    「乾杯するか」

    笑みを浮かべてオルトが誘うと、リリアはこくんと頷いた。
    ウェイトレスに注文したワインを二つのグラスに注いで。

    それから二人は互いの無事を祝ってグラスを煽る。

    「……美味いな」
    「だろう? 高い酒にしたんだ」

    悪戯っぽく笑うオルトに、リリアも少し前を思い出して笑みを返した。
    あの夜ぐらいに飲み明かして羽目を外してしまっても、今夜ぐらいは許されるだろう。

    「まだ聞いてなかったぞ。これからどうするか。……考えてるんだろう? じっくり教えてもらうぞ!」
    「ははは、せっかくだからリリアにあちこち見てもらおうって思って色々考えてたんだが」
    「いいじゃないか。これでも長生きしているからな。ちょっとやそっとの絶景では、私の目には適わんぞ」
    「うーん、まずリリアが好きそうだと思ったのは銀雨の森にある精霊王の霊廟なんだが……」
    「待てそこに私を連れていけるのか!?」

    酒が進み、話は弾む。
    それから翌朝、二人は一人部屋で目を覚ますことになったのである。

  • 116二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 04:34:07

    以上で、おしまいです。

    お付き合いしてくださった皆様、ありがとうございました。

  • 117二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 10:18:23

    おつ!面白かった!

  • 118二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 12:52:41

    お疲れ様でした! 読みやすくて面白かったです。やっぱり教会の聖騎士は怖いね(白目)
    酔っ払った時のリリアちゃんが可愛かったです

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