- 1124/09/22(日) 09:01:55
このスレはクトゥルフ神話TRPGを用いて、PLとPC、KPCを凛と冴で回していきます
リプレイに近い形で進めていき、初心者への説明はほとんどありません
今回のシナリオは【朝霧眠兎】さまからの「君を愁うことしかできなかったんだ」です。キャラクターに合わせた多少の改変があります。ネタバレを含みますので、プレイ予定の方等はこのスレの閲覧をお控えください
キャラクターシートに関しましてはハウスルールを用いてこちらで設定しており、現時点での公開はしません
人を選ぶ描写、背景設定があります。合わない場合はすぐブラウザバックをお願いします
スレ主が描写する2人の心情は、兄弟愛の範疇だと思って書いています
それでは、ひと時の間ですがお付き合いください - 2124/09/22(日) 09:02:46
dice1d2=2 (2)
KPCは……
①凛
②冴
- 3124/09/22(日) 09:07:11
それでは、ここからは凛の視点で進んでいきます
凛「……?」
凛は、気が付くと実家の玄関に立っていた
扉を背に立っているから今帰宅したところなのだろう
だが、凛は今までどこに行っていたのか、何をしていたのか記憶がない
ぽっかりと記憶が抜け落ちた感覚に首をかしげながら、慣れ親しんだ実家の中に入る
もう癖になったように壁時計を確認してみると
お昼を少し過ぎた時間を針が指していた
《アイデア》
凛(55)dice1d100=69 (69)
- 4124/09/22(日) 09:17:19
失敗ですね
凛は特に何も気が付かないまま、リビングへと向かう
まずは一息つこうと扉を開けたところで声がかけられた
冴「帰ったか、凛」
びっくりして凛は顔を上げる。部屋にいたのは冴だった
何故冴が実家に帰ってきているのか、そんな予定があっただろうか、凛は困惑しながらも険しい顔をした
何でいるんだよ、そう口にしかけた凛の耳に金属音が届く
ジャラリ。その音は冴の手首から聞こえていた
見ると、冴は両手首を手錠でつながれていた
凛「は? なんだよ、その趣味悪い手錠は……」
冴「……何言ってやがる、凛」
凛「気色わりー」
冴「……」
呆れたような顔をした冴は、やれやれとため息をつく
冴「凛、これはお前がやったんだ」
凛「何言って……」
冴「お前が俺を監禁したんだろうが」 - 5124/09/22(日) 09:23:36
凛はその言葉を聞いて思い出した
確かに俺は糸師冴を監禁して、ここに閉じ込めた
冴は別に怒った様子もなく、平然と椅子に座って凛のことを見ている
そう、凛は冴をここに縛り付けていたのだ
冴もそれを不思議と受け入れてくれている、でもどうしてかはわからない。これに関しては何も思い出せない
けれども、この状況をあっさり受け入れている自分が気持ち悪い
≪SAN値≫
凛(60)dice1d100=98 (98)
- 6124/09/22(日) 09:40:05
1d3のSAN値減少です
凛(60)-dice1d3=1 (1)
冴は拍子抜けするほどいつも通りに接してくる
凛「な、んで、監禁されてんだよ」
冴「てめーがそうしたんだろうが。手錠までかけやがって」
凛「……」
冴「何も覚えてねえのか? ……まあ、そのうち思い出すだろ」
冴はどこか達観した様子だ
凛は兄への苛立ちよりも困惑の方が大きい。どうして自分は冴を監禁しているのか思い出せない。兄に聞いても答えてはくれない
凛「いつからここに」
冴「凛が閉じ込めた時からだ」
凛「覚えてねえんだよ。日付で言え」
冴「詳しい日時なんざ俺も知らねえ。外もこんなだから、何回日が昇って沈んだかも把握してねえよ」
冴に促されるように窓の外を見ると、酷い霧がかかっていた。近づいて見るが、少し先の様子すら見ることが出来ない
凛「勝手に逃げりゃよかっただろ。逃げねえのか」
冴「行っていいのか?」
凛「……勝手にすればいい」
そう口では言うものの、凛は漠然と冴をここから出してはいけないと思う。何故か自分が冴をここに閉じ込めて、絶対に外に出さないようにしている。それだけが凛の覚えていることだ
冴「……どっちにしろ、凛の許可がねえと出れねえんだよ」
- 7124/09/22(日) 10:11:07
凛が頭を悩ませていると、そんなこと関係ない冴は立ち上がってキッチンへ向かう
凛「おい、何処に行く気だ」
冴「凛がいつ帰ってくるかわからねえから用意してなかった。悪かったな」
凛「あ?」
冴「飯にしよう」
冴は手錠がかかって不自由なまま冷蔵庫をあさり、手慣れたように食事の用意をしている。母親が作り置きしたような料理もあれば、買ってきたようなおかずもある。それらを不自由そうに盛り付けて、お盆に乗せ、食卓へ運ぶ
凛はそれを黙って眺めていた。手錠のせいでのろのろした動きの冴にいらつきはしないが、もどかしく思う
食卓にご飯が並んだところで、二人は食事をとることにした
凛「……おい」
冴「……」
凛「おい、こぼしてんぞ」
冴は両手が上手く動かせないせいか、ぼろぼろと食事を食卓や服に溢している。しかし慣れているのか気にした様子もない
凛「手錠外せよ」
冴「俺が外せる手錠に、手錠としての意味があると思ってんのか? 馬鹿か」
凛「……ちっ」
凛は手錠を外そうと席を立つが、手錠には鍵穴も何もなく、切断するしかないようだ。そのような道具はないため、手錠を外すことは不可能だとわかる - 8124/09/22(日) 10:29:11
凛は仕方なくこぼれたものを拭くためのティッシュとタオルを乱暴に冴に渡して食事を再開する
食事は実家でよく食べていたような、懐かしい味がするものばかりだ
凛「……」
冴「なんだ」
凛「……作ったのか?」
冴「さあな」
凛「は? てめえが用意したんだろうが」
冴「あったものを盛っただけだ」
凛「……」
意味の分からないことを言う冴に凛は顔をしかめるしかない。食べ終わった食器類を冴が片付けるのを、凛は手伝いもせず黙ってみていた
片づけを終えて、二人分のお茶をいれた冴がリビングに戻ってきた
ひとつを凛に、ひとつを冴の方に置き、冴は椅子に腰かけた
凛「……」
冴「さっき何も覚えてねえって言ってたな」
凛「…………」
冴「お前が覚えてねえなら、俺はそれでいいと思ってる」
凛「……?」
冴「時には忘れた方が楽になることもあんだろ。凛、そうじゃねえか?」
凛「何が……?」
冴「忘れたいことはねえのかって話だ」
凛「俺は……」
①忘れたいことがある
②忘れたくないことはある
③どちらもある
dice1d3=1 (1)
- 9124/09/22(日) 10:48:52
凛にはいくつか辛い記憶が思い浮かんだ。中には冴に関連することも。けれどどうしてか、この質問に該当する記憶は思い出したどれとも違うと思った。もっと堪えがたい何かを忘れている気がする
凛「……忘れたいことがある」
冴「そうか。それも一つの選択だ」
冴はお茶を飲み、一息ついた
冴「だが記憶はお前を形作る一部だ。記憶を失うってことは、お前が欠けることでもある」
凛「……さっきから、何の話だよ」
冴「忘れたいほど辛い記憶があって、それで落ちぶれたやつがいるとして……記憶を消して変わることが出来たなら、そいつは素晴らしいことなのか?」
冴「記憶の欠けたお前は本当に凛自身で、凛の望んだ変化なのか?」
凛は何も答えることが出来ない。記憶を忘れることに肯定的だったような冴が、一変して本当にそれでよいか問いかけてくる。凛には何が正解かわからなかった
黙り込んだ凛に、冴はやれやれと肩を竦め「ただ聞きたかっただけだ。意味なんてねえよ」と言う
冴「ここで俺と喋ってんのも退屈だろ。家の中でも探してみれば、何か思い出すんじゃねえか」
そう冴に促され、凛は家の中を見て回ることにした - 10124/09/22(日) 10:58:48
部屋から離れようとすると、凛はどうしようもない不安に襲われた。目を離せば冴が逃げてしまうのではないかという不安。そんなことを冴に打ち明けるわけにもいかないので、凛は冴のいるこの部屋を探してみることにした
静かな空間が居心地悪く、テレビをつけてみる。お昼のニュースがやっていた
数メートル先も見えないほどの濃霧が近隣地域で発生しているようだ
先ほど確認したように、窓の外は真っ白であり、遠くの様子は見えない
凛は、そういえば数日前から濃霧注意報が出ていたことを思い出した
凛「ひでー霧だな……」
冴「もうずっとこんな天気だ」
凛は、サッカーもできないなと口走りそうになるが、どうしてか冴の前でサッカーの話題を出したくないので、思うだけに留めた。今の冴にサッカーの話題を出すのは駄目だと、何故か強く思ったのだ
冴「何してんだ」
凛「……別に」
《幸運》
凛(60)dice1d100=89 (89)
- 11124/09/22(日) 11:03:41
全然成功しないな……
凛は机の上に旅行雑誌が載っていることに気づく。ドッグイヤーや付箋もついていて、しっかりと読み込んであるようだ
《アイデア》
凛(55)dice1d100=22 (22)
- 12124/09/22(日) 11:12:36
成功ですね
凛はその雑誌を見て、自分が冴を旅行に誘おうとしていたことを思い出す。しかしどういう理由で旅行に誘おうとしていたかは思い出せない
雑誌を見る限り、実家の近場の観光スポットにばかり印をつけている。サッカーばかりしてきた生活で、近場と言えど行ったことのない場所だ
しかし旅行というならもう少し遠出すべきなのではと凛は疑問に思ったが、それ以上は思い出せない
次に凛は本棚を見た
《目星》
凛(60)dice1d100=56 (56)
- 13124/09/22(日) 11:25:34
凛は本棚に記憶にない本があるのを発見した
「人間の意識について」というスピリチュアルな本だ
こんなもの誰が読むんだと思いながら、凛は手に取った
凛「これ、兄ちゃんの本?」
冴「違うな」
凛「……」
冴「母さんたちのでもないと思うが……凛が買ったんじゃねえのか」
そんなはずはないと思いながら、凛はその本を開く
前書きの概要だけをさっと読むと以下のようなことが書いてあった
*
人間の強い意識は周囲に影響を及ぼし、奇跡のような現象を引き起こす事例が複数報告されている。かつて幽霊や悪霊のせいにされてきた数々の現象は、人間の意識によって引き起こされたのではないか。
どこか胡散臭い内容ではあるが、今の自分に置かれた状況に関連があるのかもしれないと、凛は複雑な気持ちになった
本を置き、凛は部屋全体を見回した
《目星》
凛(60)dice1d100=99 (99)
- 14124/09/22(日) 11:44:45
あーファンブル……
凛はカーペットに落ちていた携帯の充電器のコンセントを踏んでしまった
あまりの痛さに悶えながらコンセントを壁に投げつけたくなるが、どうにか踏みとどまる
HP16→15
冴の前で酷いドジを踏んでしまったと、苛立ちと恥ずかしさで気まずくなりながら冴の方を見る。呆れた面をされるのだろうなと思った
しかし冴は凛の方を見ておらず、ずっと窓の外の空を見ていた
見られていなかったことに安心しつつ、半分八つ当たりで冴を呼ぶ。しかし冴は返事をしない
凛「おい? ちっ、無視かよクソ兄貴」
冴「……」
凛「……?」
様子がおかしいことに気づいて凛は冴の顔を覗き込む
冴は呆然と空を見上げていて、その目には何も映っていないようだった
まるで廃人になったような、ゾッとするようなその瞳に凛は焦りを覚えた
冴の肩を揺さぶり、声をかける。数回名前を読んだあたりで、冴はようやく凛の方を向いた
冴「……どうした?」
まるで何事もなかったように冴は凛を見て首をかしげている。凛は何も言えず、ただひどく安堵している自分に困惑するだけだ
壊れてしまったような冴の様子が目に焼き付いて離れない
そして凛はそんな冴の姿を何処かで見たことがあるような気がしていた
しかしどれだけ記憶をたどっても、思い出すことは出来ない
《SAN値》
凛(59)dice1d100=89 (89)
- 15124/09/22(日) 12:01:49
1d3の減少です
SAN値(59)-dice1d3=2 (2)
凛「なんでそんな面して外見てんだよ」
冴「あ? ただ見てただけだろうが」
凛「……」
冴「やることがねえと暇なんだよ」
先ほどの様子が嘘のように普通に話す冴に変わった様子は見られない
ある程度部屋を見た凛は、ここ以外も見に行くべきか悩む。冴の様子がおかしいのも気がかりだし、冴がここから出て行かないかも不安である
突っ立ったまま動かなくなった凛に、何を思ったか冴が話を振ってきた
冴「曖昧な話ばかりで悪いが」
冴「優しさっていうのは結局エゴなんじゃねえか」
冴「自分を顧みずに誰かを庇うのは、そいつに傷ついてほしくないからか? それとも、傷ついたそいつを見たくない自分の気持ちを優先したからか?」
冴「なあ凛、お前はどっちだ?」
凛「……」
優しさは
①エゴだ
②エゴじゃない
③場合による
dice1d3=2 (2)
- 16124/09/22(日) 12:19:46
凛「めんどくせえこと考えてんだな」
冴「……そうか。いや、ただの雑談だ」
凛「お前はどっちだよ」
冴「どっちかわからないから話題にだしてんだろうが。自分のためと、他人のための境界は曖昧だ。自分でわかったようでいて、結局はわかってねえんだろうな」
凛「……」
そこまで話すと、冴は疲れたようにため息をついた
冴「喉が渇いた。飲み物持ってこい」
凛「は? 自分で行けよ」
冴「お前が散らかしたこの部屋の掃除をする」
凛「……」
冴「別に逃げねえよ。あと、居間の方に貰い物の茶菓子が置いてある。それも早く持ってこい」
そう言って凛は部屋から追い出される
キッチンや居間はすぐそばにあるが、冴の様子が見えなくなるので先ほどは行く気にならなかった。しかし今はそのような不安感がなくなっている
居間に向かった凛は、テーブルの上にサッカー雑誌が開いたまま置いてあるのを発見した
《目星》
凛(60)dice1d100=84 (84)
- 17124/09/22(日) 12:24:06
出目が高いなあ……
特に変なところもないただの雑誌だ。冴か自分の特集でも載っているのかと思ったが、特に関連のないページが開かれているだけだ。ペラペラとめくってみるが、特に気になることは書かれていない。凛は興味を失い、茶菓子を見つけるために棚を探した
≪目星≫
凛(60)dice1d100=75 (75)
- 18124/09/22(日) 12:26:59
うーん!
凛はすぐに茶菓子を見つけて、棚から取り出した。その他に気になることもないが、一応部屋全体を見回す
≪目星≫
凛(60)dice1d100=58 (58)
- 19124/09/22(日) 12:38:40
おっ成功した
凛は部屋に見覚えのない本が落ちていることに気づく
拾ってみると医学書であることがわかった
真ん中のページにしおりが挟まっていて、何となく開いてみると以下の内容が書かれていた
*
解離性健忘とは、ショックな出来事が起きた際に自分の身を守るために起こる記憶障害のことです。記憶障害の範囲は「特定の記憶のみ」、「過去の記憶全て」、「ある出来事の特定の側面のみ」など患者により異なります。
また心的外傷後ストレス障害(PTSD)で見られるようなフラッシュバックが見られることがあります。忘れてしまった出来事が急に目の前で繰り広げられるのです。
記憶を取り戻すタイミングは人それぞれですが、健忘の原因となった心の葛藤の解決に至ることで記憶を取り戻すことが多いそうです。
*
記憶障害について読み終えた瞬間、突然ぷつりと家の電気が消えた
スイッチを押すが電気がつかず、どうやら停電したとわかる
凛は本を置き、茶菓子を持ったまま冴の元へと戻る。しかし扉を開けた先に冴の姿はなかった
血の気が失せ、心臓が止まったような衝撃に苛まれていると、部屋の奥の方で物音がした
どうやら奥の方にいたらしい - 20二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 12:48:02
(この淡々とした静謐な雰囲気を邪魔することが憚られてハートばかり押していますが楽しく読んでます)
- 21124/09/22(日) 13:06:33
部屋の奥に進むと、そこには冴がいた。しかし凛が近づいても冴は顔をあげない
暗闇の中で背中を丸めて、蹲っているようだった。そんな弱弱しい姿の兄を見たことがなかった凛は、動揺しながらも手を伸ばす
冴はいつもの表情が崩れ、目を見開き恐怖に瞳を揺らしていた。冷や汗を額から流し、呼吸は浅く、喉からはひゅうひゅうと音が鳴っている
冴は自分で自分自身を抱きしめるように肩を強く掴んでいた。何かに耐えるように、あるいは耐え切れずに苦しむように、震えている
冴「……くそ……んで……なんで……」
冴「いっ……ぅ、ぐ……り、ん……」
凛が震える冴の肩に触れようとした瞬間
パチリ。電気がついた
冴「何してんだ、凛」
照明のスイッチを押したのは冴だった
先ほどまで凛の目の前にいた冴は気づくといなくなっている
驚いて固まったままの凛に、冴はきょとんとして顔で話しかけた
冴「電気もつけねえで何やってんだ」
凛「兄ちゃん……?」
冴「茶菓子取りに行くのにどんだけ時間かけてんだノロマ。お茶は用意したからお前も座れ」
冴の様子はいつも通りである
先ほど見た冴は幻覚だったのか、凛は痛む頭を擦りながら考える
いや、違う
凛は確かに、あの冴を見たことがある
どこでみたかは忘れたが、確かに見たことがあるのだ
《SAN値》
凛(57)dice1d100=
- 22124/09/22(日) 13:08:24
(すまんな喋りにくい雰囲気で
いっぱい喋ってください)
《SAN値》
凛(57)dice1d100=71 (71)
- 23124/09/22(日) 13:26:21
1d4の減少です
SAN値(57)-dice1d4=2 (2)
冴に促されるまま食卓に着き、お茶を飲む凛
冴の様子はやはりいつもと変わらない。あの恐怖と絶望に塗りつぶされた表情の冴はどこにもいなかった
凛「さっきのあれは何だよ」
冴「あ? 何の話だ」
凛「……どこに行ってた?」
冴「トイレだが」
凛「…………停電してただろ」
冴「すぐに電気ついたが」
冴に聞いても先ほどの出来事を説明してはもらえないようだ
凛は諦めて先ほどの医学書の話を振った
冴「ああ、だから覚えてねえのか」
冴「凛、お前が言ってたように、お前には忘れたいほどの記憶があるんだろうな」
冴の言葉はどこか同情するような色を含んでいた。平時ならそれに苛立っていたかもしれない凛だが、今ばかりはどうしてか冴に申し訳なさを覚える
俯いた凛に、冴は言葉を続けた
冴「お前は、ずっとここにいた方が幸せだと思うか」
凛「……」
冴「変わらないものが存在すると思うか」
凛「…………」
冴「……凛……お前、死にたいと思ったことはあるか」
凛は顔を上げて冴を見た。冴の表情は変わらないまま。しかし凛はその問いかけにひどく焦りを感じた
冴「俺は……」
- 24124/09/22(日) 13:41:47
冴は一度言葉を止めて、それからゆっくりと息を吐き出します
冴「外に出るためには、外に近いとこに行かないとならねえ。行きたいなら行けよ」
冴「俺は凛の選択に委ねるしかないが……」
冴「まだぬりいとこに浸かってたいなら、仕方ない。今回は付き合ってやる」
冴「どうする、凛」
凛「俺は……」
エンディングが分岐します
凛が困っているようですね
安価で助けてあげてください
兄ちゃんに聞きたいことがあったらどうぞ(③の選択はエンディングには影響しません)
①玄関に向かう
②居間をもう一度探索する
③兄ちゃんとお話しする(聞きたい内容もあわせて)
- 25二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 13:44:00
③
「俺の行きたい場所に兄ちゃんはいるのか?」 - 26124/09/22(日) 13:51:37
凛「俺の行きたい場所に兄ちゃんはいるのか?」
冴「さあな」
凛「ちゃんと答えろよ」
冴「いるかもしれないし、いなくなるのかもしれない……行ってみないとわからねえよ」
凛「……」
また凛が困っているようですね
安価で助けてあげてください
兄ちゃんに聞きたいことがあったらどうぞ(③の選択はエンディングには影響しません)
①玄関に向かう
②居間をもう一度探索する
③兄ちゃんとお話しする(聞きたい内容もあわせて)
- 27二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 14:10:03
うーん 悩ましいけど②で!!
- 28124/09/22(日) 14:18:26
では凛は何となく居間に向かうことにしました
居間は先ほど来た時と様子は変わってない
放り投げられた医学書を机に置いたとき、ふと棚の方に視線が行く
凛は棚の奥にある古びた紙を一枚手に取った
それは確かに凛の筆跡で、見たことのない文字列が並んでいる
*凛は「記憶を曇らせる呪文」を手に入れました
この呪文は相手の目を見て、具体的に内容を指定することで使用出来ます。凛自身に使用は出来ません
例)「昨日お前がやったことを忘れろ」は不可能。
「昨日、洋服を買いに行った記憶を忘れろ」は可能。 - 29124/09/22(日) 14:26:56
凛は再び冴の元へと戻ってきた
凛「これ、何なのかわかるか」
冴「あ? ……何か書いてあるか?」
凛「ここに意味わかんねえ文字が書いてあるだろうが」
冴「……」
どうやら呪文の文字は冴に見えていないようだ
さて、することがなくなった凛は呪文が書かれたメモをポケットにしまった
どうしてかわからないが、その呪文はすっと凛の頭に入ってきた
もし使用しようと思ったならば、すぐにでも使うことが出来るだろう
凛「……俺、行くけど」
冴「そうか」
凛「兄ちゃんは、来ないの」
冴「……」
冴はその場から動こうとしない
たとえ凛が手を取って歩こうとしても、振り払われてしまうだろう
凛が扉に手をかけた時、冴がふっと笑った音がした
冴「行ってこい」
振り向けば出ていくのが億劫になりそうで、凛はそのまま玄関へと向かっていった - 30124/09/22(日) 14:30:15
玄関に向かうと、そこには一枚の紙が落ちていた
拾い上げて、内容を読む
**
それは死をもたらすものである。
それは手を差し伸べるものである。
その神は深い霧の中でただ待っている。
霧の中で対象に何度も対象自身が死ぬ幻覚を見せ、限りある生に救いなどないのだと教え込ませる。
そうして、絶望に染まった対象は、救いをもたらす神の手を取るのだ。
しかし、死は終わりではなく始まりである。
また新しい生を迎えるための門出なのだ。
――彼は、神の手を取ろうとした。
それを、お前はその目で見たはずだ。
***
《目星》
凛(60)dice1d100=36 (36)
- 31124/09/22(日) 14:34:17
凛は紙の裏にも文章が続いているのを見つけた
***
神の手を取ろうと彷徨う者は、夢の中にいる。
夢の中は水の中と似ている。
音も、視界も、苦しみも、痛みも。全てが夢の中だと穏やかに感じられる。
だからこそ、神の手を取ろうとする者の目を覚まさせてはいけない。
夢から起きた対象の心が、積重なった死に耐えきれる保証はどこにもないのだから。
***
それを読んだ瞬間、凛は思い出した
ここに来る前のことを
一体自分が、何に怯えて、何を忘れようとしていたのかを - 32124/09/22(日) 14:40:46
糸師冴は足の怪我の療養のために日本に戻って来ていた
初めての大きな怪我に、冴が気落ちしてたのを凛は感じていた
いつも通りに振る舞おうとする兄の姿がどうにも落ち着かない。凛はそんな兄の様子を気にしていたのだ
だから実家近辺の観光スポットを調べた
足の療養のため遠くには行けないが、少しでも気晴らしになればいいと、そう思って
そんな冴が、ある日突然いなくなった。誰にも何も言わず、連絡もなしに。凛は嫌な予感がしていた
霧の濃い日のことだった。胸騒ぎがしてすぐに冴を探した。視界は霧で埋まっていて、一メートル先の状況だってわからない日だった
そうして一日探し続けて、ようやく冴を見つけた。それは奇跡に近かった
けれど冴は
凛がどれほど声をかけようとも反応を返さず、抜け殻のようだった。何かを探しているようにふらつく冴に、凛は必死で呼びかけた
しばらくして、ようやく冴は凛を視界に入れた。焦点の合わない瞳で凛を見ていた冴の顔に、表情が戻る
その瞬間、冴は錯乱したように凛を突き飛ばした
何かに怯えるような仕草でもあったと思う。しかし何があったのか凛が考える暇もなく、冴は手に持っていたハサミを冴自身の首に…… - 33124/09/22(日) 14:55:01
冴「それで、気が付いたら俺は凛に監禁されてた。お前は全部忘れてやがったが」
凛が振り返ると、そこには冴が立っていた
記憶から戻った凛は混乱しながらも、後ろに佇む冴を見つめる
冴は呆れた顔をしている。記憶の中の怯え狂ってしまった兄の顔ではない。それにひどく安心する自分がいることに、凛はもう驚かなかった
冴「なんで俺がお前に閉じ込められたのかは、お前にしかわからねえ」
冴「ここはお前が作り出した空間だ。ここにいれば俺は死なない。飢えもしない。変わらない空間で、ただぬりぃ生活を繰り返すだけだ」
冴「ハサミで刺した記憶はあるが、俺は死んじゃいない。ピンピンしてる」
冴「凛、この空間はお前のものだ。俺の生死は多分……お前に握られてる」
凛は息を飲み、持っていた紙がぐしゃりと音を立てて皺になった
冴「死のうとした記憶はある。理由も覚えてる。怪我のことじゃねえよ。もっと……いや」
冴「起きたことは、映画を見たみたいに他人事だ。だからこうして落ち着いていられる」
冴「だが……戻ったらどうなるかはわからない。また首を掻っ切るかもしれねえし、そもそも、掻っ切った後なのかもしれない」
冴「悪いな凛」
冴「お前の選択に俺はどうこう言うつもりはねえよ」
冴「けどな、凛」
冴「兄ちゃんは死ぬまでお前の味方だからな」 - 34124/09/22(日) 15:03:10
ここから重要なエンディング分岐に入ります
その前にSAN値チェック
《SAN値》
凛(55)dice1d100=40 (40)
凛が出来ることは以下の通りです
①冴と話をする(なんでも質問していいです。エンディングには関係ありません)
②冴に「記憶を曇らせる呪文」を使用する
③呪文を使用せず外にでる
どのエンディングになろうとも、それがベストです
兄ちゃんとお話しするのもいいと思います
では凛が困っているので安価しましょう