【閲覧注意・現パロ・CP】「藤丸、彼女出来たって」

1二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:35:36

なにかが割れたような音がした
いつもクラスの片隅で昼食をとっている私は周囲の声に敏感だ
テスト範囲、先生への愚痴、下らないジョーク……
そう、これも下らないジョークだ。そうに違いない

「えっそうなの？」
「おう、モールで何回か女子と2人きりで歩いてるところ見たぜ」

─────
嘘。嘘だ
あいつはそんな彼女ができるような男じゃない
運動がそんなに出来るわけじゃないし、成績もそんな良くないし
精々ひとりぼっちの私に声をかけてくれ、た、ぐらいで………

頭の中で整理する程現実が怖くなる
もし彼女がいるのだとしたら、そういう所を好きになったのだろう

本当に付き合っているのか、確認する勇気もないまま私は高校を卒業した

2二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:36:24

数年後
「久しぶり」
「ええ、高校の卒業式以来ですね」
昔の自分には似合いそうもない小洒落たバー
そこで彼に再会した
「なんか変わったね、すっかり大人びたというか」
「そういう貴方はあまり変わってませんね」
「うん、昔からずっと普通。今もただの会社員だしさあ。アルトリアは？」
「私は少し前に起業しまして。今は一応社長という事になりますね」
「本当？凄いね。そっかー社長かあ。俺なんかに付き合わせて悪いね」
「いいえ、たまの休みぐらい友人と過ごしたいですから」

今日は私が彼を呼び出した
同窓会にはいけなかったが友達が連絡先を取っておいてくれたのだ
口は悪いが根は真面目な子だ。後でお礼をしなくてはいけない

「立香は…」
「ん？」
「付き合っている女性とか、いたりするんですか？」
「それって彼女って事？」
「端的に言えば」
「んー、居ないかな」
「それでは…過去にお付き合いしていた女性は…」
「ああ…うん…お察しの通り、女性とはお付き合いした事がありません！」
「そう、ですか…」
「急にどうしたのこんな事聞いて？」
「いえ、少し気になって」

そうか…あの心配は杞憂だったんだ…

3二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:37:12

「じゃあ俺、帰り道こっちだから。また一緒に飲もうね」
「ええ、また」

彼は私に背を向けて歩いていく。
私も長年の未練が晴れた。明日からまたいつもの日常に戻るのだろう
さよなら、私の初恋

───────本当に？
───────本当にこれで満足？
「………………」

「はあ、はあ。飲みすぎちゃった。終電間に合うか…？うわっ⁉︎」
「……」
「あ、アルトリア…さん？」
気づいたら走り出していた
彼を追いかけて、道を行って戻って、ついに見つけた
私は思わず後ろから彼に抱きついていた
「すみません…」
「大丈夫？何かあったの？」
こんな時でも彼は昔のままだ

「いいえ、もう遠慮する事はやめにしたのです」
「えっ？」
「私、昔から立香の事が好きだったんですよ？」
「────」
今までで1番面食らったような顔をしている

4二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:37:22

そのままホテル直行しちまえ！！

5二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:37:24

良いぞ、程よい湿度だ心地いい

6二次元好きの匿名さん24/09/22(日) 18:37:56

「終電、もう行っちゃいましたね。この辺りはよく来るので近くのホテルなら当てがありますが………どうしますか？」
正直ギリギリだ。精一杯勇気を出している。
だが最後の選択を彼に委ねてしまった。断られれば流石の私でも傷つくだろう
しかし。
「アルトリア」
「はい、なんでんっ⁉︎んっ……んぅ」
「俺も昔から好きだったよ」
「────」
恐らく、私は酷い顔をしていただろう
いきなり唇を奪われて、挙句の果てにカミングアウトを受けたのだから
告白したつもりが告白で返されてしまった

「行こう」
「…はい」