【再】(怪文書SS)アタシが知る風は

  • 1◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:06:33

    夕暮れ時
    誰もいない学園のコース
    アタシは一人この道を走っていた
    特別な理由なんてない
    アタシがここで走りたいから走る
    確かにそうではあるけれど
    別の理由があるとするならば
    ここで走る時の風を感じたかったから
    普通のトレーニングやレースの時じゃない
    アタシだけの風を感じてみたかったから

  • 2◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:06:50

    風はアタシの様に自由気まま
    時には後ろから叩きつける追い風に
    時にはアタシを押し留める向かい風に
    また時には押し出そうとする横風に
    変幻自在、掴みどころがない
    でもそんな、誰にも縛られない風に
    思うがままに吹き抜けていく風に
    どこか憧れを抱いている
    そんなアタシがここにいた

  • 3◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:07:05

    アタシはまたコースを走る
    その身に受けるは涼しげな風
    雨の中、走る時に感じるそれとはまた違う
    夕暮れ時でもあるけれど
    夏が過ぎて秋が来たとしみじみ思う
    だからこそレースは凄いなとアタシは思う
    涼しげな秋でも凍える様な冬でも
    レースの時はそう感じさせない程熱い
    でもそれは夏の様な熱風じゃなくて
    心の中から一気に広がる様な熱風
    きっとどんな季節でもこの熱風は起こせない

  • 4◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:07:22

    それだけじゃない
    レースの時は色んな風が吹き抜ける
    アタシがよく知るギラつくような熱さの風
    偉大さすら感じさせるような風
    冷ややかさと情熱を秘めた風
    アタシの目の前で、横で、後ろで
    レースを彩る様に数えきれない風が吹き荒れる
    アタシだって負けちゃいられない
    レースに吹き荒れる風よりも速く
    自由奔放な風になってアタシは駆け抜ける
    勝ち負けにこだわりはないけれど
    それでも勝った時は嬉しくて堪らない

  • 5◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:07:38

    だけどやっぱり
    レース関係なしにこうして走るのが好きだ
    勝ち負けに囚われなく
    アタシが望む様に
    自由気ままに走る時の風が好きだ
    時間も忘れて
    疲れなんて吹き飛ばす様に———

    「おーい、シービー!」
    「…………!」

  • 6◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:07:55

    その瞬間、アタシに別の"風"が吹き始める
    今吹いているそれとは別の"風"
    でもそれは、アタシが一番よく知っている"風"

    その"追い風"はアタシの背中を押してくれる
    その"向かい風"はアタシを受け止めてくれる
    その"横風"はアタシに色んな事を気付かせてくれる

    春夏秋冬、いつだって、どんな時も
    アタシにだけ吹き続けてくれる"風"
    レースで感じる風も
    こうして1人で走って感じる風も好きだけど
    いつだって変幻自在なこの"風"が好き
    本当の意味でアタシを自由にしてくれる……
    アタシがアタシでいられるこの"風"が
    どんな風よりもずっと好き
    直接聞いた事はないけれど
    アタシの両親もきっとこんな感じだったのかな
    そんな事をふと思う

  • 7◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:08:12

    「そろそろ遅くなるし家に帰ろうシービー」
    「あれ?キミも一緒なの?」
    「……『レースの祝勝会はアタシの家でやる』って自分で言ってただろ?」
    「あ、そうだった」

    "風"の主とそんな会話を交わし
    アタシ達は帰路につく
    走り終えた今この時も
    アタシの好きな風は吹き続けている
    世界に一つ、アタシだけに吹く"風"
    そう思えば思うほど
    アタシの頬は緩んでいく

  • 8◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:08:26

    誰かに縛られるのも誰かを縛るのも
    アタシはどちらも嫌いだけど

    この"風"だけは離したくない———

    こんな事思ったのは生まれてはじめて
    この"風"に出会えて本当に良かった
    今なら誰にだってそう強く言える

    「どうしたシービー?そんなに嬉しそうにして」
    「うーん………ナイショ!」

    風と"風"
    二つのそれを感じながら
    アタシは帰り道を歩いていく

    (明日はどんな"風"が吹くのかな?)

    明日という名の少し先の未来
    そんな未来に吹く"風"に心躍らせながら

  • 9◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:08:36

    アタシはこれからも走り続ける
    どこまでも、自由気ままに
    果てなき先へ駆け続ける

    『キミ』と言う名の風と共に———

  • 10◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:09:33

    以上になります

    色々あったので再投稿になります

    長文失礼いたしました

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 05:16:30

    なんだか詩的ですねえ

  • 12◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 05:23:04

    >>11

    感想ありがとうございます

    ちょっと詩というかポエムみたいにしてみました

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 16:13:52

    ええなシービーは……

  • 14◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 17:59:26

    >>13

    感想ありがとうございます


    いいですよねシービー……分かる

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 21:05:03

    誰かに縛られるのも誰かを縛るのも
    アタシはどちらも嫌いだけど

    この"風"だけは離したくない———

    ここのちょっと我が儘?な感じが奔放なシービーらしくて良いですね。
    見た目はクールで大人びているのに、無邪気だったりお茶目だったり、少し子供っぽい奔放なところがあるのがシービーの可愛いさの一つだと思います。
    良いSSをありがとうございます。これからも頑張ってください。

  • 16◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 21:34:04

    >>15

    感想ありがとうございます


    シービーといえば大人っぽさと子供っぽさが両立して自由奔放という絶妙なキャラ付けですよね……!

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 21:37:01

    どっちかというとゼファーっぽい

  • 18◆uHQLA9kpHm7m24/09/23(月) 21:49:16

    >>17

    感想ありがとうございます


    確かに風といえばゼファーですが今回は自由気ままに走りそれを通じて様々な風ともう一つの風を感じたシービーの物語ということで一つ

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 21:51:30

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  • 20二次元好きの匿名さん24/09/23(月) 21:59:48

    まあ確かにゼファゼファしてる

オススメ

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