(SS注意)デュランダルに耳掃除をしてもらう話

  • 1二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:23:48

    「────お待ちしておりました、我が君よ」

     トレーナー室に入るやいなや、慣れ親しんだ声が聞こえてくる。
     宝石のような輝きを放つ碧の双眸、ふわりと広がったポニーテール。
     担当ウマ娘のデュランダルは、軍服を模したような勝負服を身に纏い、直立不動で待ち構えていた。
     その、妙に重圧を感じさせる雰囲気に押されながら、俺は何とか口を開く。

    「やっ、やあ、デュランダル……なんか約束していたっけ?」

     デュランダルがこうして、トレーナー室にいること自体は、なんらおかしくない。
     むしろ、俺の方から言わなければ、四六時中、傍で仕えようとしているくらいである。
     ただ、彼女の口振りからするに、今日は何か明確な目的があるようだった。
     俺の言葉を聞いたデュランダルは────じとっとした目つきで、俺のこと見つめて来た。

    「……王よ、ここのところ、少々お疲れなのでは?」
    「えっ」
    「ここ数日、目の下には隈が見え、お顔も少し痩せたように感じられます、睡眠時間は十分に摂られてますか?」
    「えっと、それは、その」

     心配そうな表情を浮かべるデュランダルに、俺は目を泳がせてしまう。
     彼女の指摘が、全くの図星だったからである

  • 2二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:24:08

     ────ここのところの、デュランダルの活躍は目覚ましいものがあった。

     持ち前の“切れ味”は更に研ぎ澄まされて、その走りは自信と誇りに満ちている。
     それに対して、俺はどうだろうか。
     彼女が“聖剣”を捧ぐに、相応しいトレーナーに、近づけているのだろうか。
     そんなことを考える時間が増えてしまい、俺は家での睡眠時間を削って、勉強や研究の時間に当てていた。
     学園では表に出さないようにしていたつもりなのだが、やはり、彼女にはお見通しだったようだ。

    「我が君よ、貴方への諫言をお許しください」
    「あっ、ああ」
    「私のために尽力してくださるのは光栄の極み…………ですが、無理はいけません」

     デュランダルはゆっくりと近づいて、俺の顔へ、右手を伸ばした。
     白い手袋に包まれた指先が、隈を作っているであろう目の下を、すりすりと優しくなぞる。
     そして、小さな子どもに注意をする母親のような、慈愛の笑みを浮かべて、彼女は言った。

    「“担い手”が健在であってこその、“聖剣”の切れ味なのですから」

     聖剣と担い手、騎士と王、ウマ娘とトレーナー。
     お互いが十全な状態であってこそ、より良い関係が築け、結果を出していけるのだ。
     そう、彼女は、俺に伝えているのである。
     …………まったくもって、情けない。
     こんなに心配して、想ってくれている彼女の顔も見ずに、一人で突き進んでいたなんて。
     俺は自嘲気味に口元を緩めながら、彼女へ、謝罪と感謝を口にする。

    「ごめんね、デュランダル、それと、ありがとう、やっぱりキミは最高の騎士だよ」
    「……勿体なきお言葉」

     デュランダルは、いつもの得意気な表情を、見せなかった。
     ほっと安心したように息をついて、柔らかな微笑みを浮かべながら、俺の言葉を受け止めていた

  • 3二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:24:24

    「………………それで、何で勝負服なんて着てるんだ?」
    「ええ、我が君の外敵を駆逐するべく、騎士の正装にて馳せ参じた次第です」 
    「なんか急に物騒な話になったね」

     さっきまでの良い感じの空気を吹き飛ばしながら、デュランダルはそんなことをのたまった。
     外敵。
     さらりとそんな単語が出てきたが、全くもって心当たりはない。
     強いて言うならば、今日の朝に寮の部屋の前に居た、死にかけのセミくらいだろうか。
     いかにデュランダルとて、死にかけのセミに対して、戦闘態勢は取らないだろう。
     …………あっ、でもちょっと前にセミファイナル喰らって、震えながら箒を構えてたような。

    「……トレーナー殿、何か余計なことを思い出してませんか?」
    「いっ、いや、そんなことはない、よ?」
    「…………それはともかく……ふふっ、ようやく、『これ』の使い心地を試せる日が……っ!」

     やがて、デュランダルはわくわくとした表情を浮かべながら、細長いレザーケースを手に取った。
     品のある、俗な言い方をすれば高級そうな、手のひらサイズの小さなケース。
     彼女はそれを丁寧な手つきで開けて、中に入っているものを取り出した。

    「……スプーン?」

     銀色に輝く、先端に小さな匙のついた、小さな棒。
     持ち手と思われる部分には、幻想的な美しい装飾が刻まれていて、いかにも彼女が好きそうなデザイン。
     食器かと思ったのだが、それにしては匙の部分があまりにも小さい。
     デュランダルは俺の言葉を聞いて、くすりと笑みを零してから、それをこちらへと差し向けた。

  • 4二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:24:38

    「スプーンではありませんよ、これはシルバー製の、アンティークイヤーピックです」
    「……あんてぃーくいやーぴっく」
    「見てください、この騎士の魂を具現化したような意匠を……耳垢を刈り取る形をしているでしょう?」
    「そりゃそうだろうね」

     うっとりとした表情で、デュランダルはイヤーピック────耳かきを見つめていた。

  • 5二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:24:54

     デュランダル曰く、家族との旅行先で偶然見つけて、一目惚れしてしまったらしい。
     思い切って購入したものの、なかなか真価を発揮する機会はなく、持て余していたそうなのだが。

    「我が君が、時折お耳を気にしているようだったので、これは好都ご……良きタイミングかと思いまして」
    「そっ、そうだったの!?」

     そう言われて、今も、耳に手を伸ばしかけていたことに気づく。
     ……そういえば、最近はごろごろと鳴って、引っ張ったりすることがあったような。
     つまり、デュランダルの言う外敵の駆逐というのは、耳掃除のことなのだろうか。
     彼女はどこかしたり顔で、言葉を続けた。

    「耳掃除は疲労回復や睡眠促進の効果も期待できます、まさしく、一石二鳥です」
    「それは、そうかもしれないけど」
    「また、このズルジャンダルの切れ味、いや“掻き味”を発揮する、またとない機会」
    「いつの間にか名前ついてる」
    「あの、それで、その……私に貴方の耳掃除をさせていただきたいですが…………どう、でしょうか?」

     急にもじもじとした様子で、デュランダルはそんな『お願い』を口にした。
     いかに彼女でも、面と向かって耳掃除をさせてくれ、というのは恥ずかしいのかもしれない。
     ……担当に自分の耳掃除をさせる、というのはどうなんだろうか。
     もちろん、良いことではないだろう。
     しかし俺には、彼女を多大な心配をかけてしまった、という負い目がある。
     彼女が、やりたいと望むのであれば。
     少しばかり悩んでから、俺はこくりと、頷いた。

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:25:18

    「ああ、頼んだ、我が騎士よ」
    「……っ! ありがとうございます、トレーナー殿! このデュランダルに、全てお任せをッ!」

     デュランダルはぱあっと嬉しそうに顔へ花を咲かせてから、背筋を正し、恭しく頭を下げる。
     その尻尾と耳は、ぴょこぴょこと興奮気味に、動き回っていた。
     ……ところで、少し気になったことがあったので、問いかけてみる。

    「そういえばさ、耳かきの使い心地なら、自分で試してみれば良かったんじゃ?」
    「……私も、買った直後は、そう考えていました、ですが」

     遠い目をしながら、大きなため息をつき、デュランダルは小さな声で漏らした。

    「…………耳かきって、自分で使っている時は一切視界に入らないんですよね」
    「あー」

     デザインを気に入って購入したのに、使う時には見れないというのは、確かに致命的かもしれない。

  • 7二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:25:33

    「それでは、こちらへとお越しを、我が君よ」

     そう言いながらデュランダルは、ソファーの端の方へと腰掛ける。
     簡素なトレーナー室の中で、若干浮いているくらいに豪奢な、大きめのソファー。
     せめてこれだけでも玉座の間に相応しいものを、そんな彼女たっての希望により購入したものだった。
     なかなかのお値段であったが、ミーティングに、憩いの場に、仮眠用に、玉座の間ごっこにとかなり役立っている。
     俺は彼女に言われるがまま、そこへと歩み寄って、そして立ち止まった。
     そういえば、どういう感じで耳掃除をするのだろう、と考えてしまったからである。
     デュランダルは、柔らかく微笑みながら、ちょいちょいと手招きをし────自らの脚を、軽くなでる。

    「さあどうぞ、遠慮せずこちらへ、頭をお預けください」

     その言葉に、思考が一瞬、停止する。
     俺の視線の先には、ぴっちりサイズの白いキュロットに包まれた、デュランダルの太腿。
     聖剣の如き鋭い走りを支える、形の良い、美しい太腿。
     そこに、頭を乗せる────いわば、膝枕を、彼女は求めていた。
     耳をぴこぴこと動かしながら、今か今かと、待ちわびている。
     ……一度頷いたのだ、今更臆して、どうするというのだ。
     俺は腹をくくり、彼女の座る反対側へと、腰を落とす。
     そして、大きく深呼吸をしてから、ゆっくりと、彼女向けて、身体を傾けていった。
     ぽふんと、俺の顔が、彼女の太腿へと着地する。

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:25:48

    「あっ、あの、どうでしょうか、固くは、ないでしょうか?」

     ────暖かい、最初に抱いた感想は、それであった。

     薄手とはいえ、しっかりとした布地越しでも伝わってくる、デュランダルの温もり。
     そして、むっちりとしながらも鍛えあげられたハリを感じる、柔らかな肉感。
     それらが相まって、まるで緊張が解かされるような、じんわりとした安心感がそこにはあった。
     彼女への返事をする前に、思わず、ほっと息をついてしまう。

    「ふふっ、その様子ならば、大丈夫そう……ごゆるりと、お寛ぎくださいね、我が君」

     デュランダルはどこか嬉しそうにそう言うと、そっと、俺の耳へと手を伸ばした。
     細い指先が、俺の耳たぶに、ちょんと触れる────その瞬間、甘い痺れが、俺の身体に走った。
     ぴくんと、小さく身体が震えて、思わず、変な声を漏らしてしまいそうになる。
     …………しまった、忘れていた、そう焦りながら、ちらりと横目で彼女の様子を窺う。

    「………………へえ?」

     デュランダルは最初はぽかんしていたが、やがて、楽しげににまーっと笑みを浮かべる。
     そして、顔を近づけて、小さく耳元で囁いた。

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:26:02

    「トレーナー殿、お耳、弱いんですか?」

     ……俺は、誤魔化すように、デュランダルから目を背ける。
     耳が気になっていたのに耳掃除をしなかった理由、それは少しばかり、耳が敏感であったから。
     それゆえに耳掃除が苦手で、耳の中の手入れはずっと放置していた。
     俺の態度を肯定を受け取ったのか、彼女はくすくすと笑みを漏らしながら、すりすりと、指先で耳を擦ってくる。
     撫でるような手つきで、くすぐるように。
     すると、ぴりぴりとしたこそばゆさともに、ぞくぞくとした心地良さが、背筋に走っていった。

    「ご安心ください我が君よ…………この私が、丁寧に、優しく、ゆっくり、思う存分、お手入れしますので」

     デュランダルは、穏やかな声色で、そう言う。
     けれど、その背後からはふぁさふぁさと、抑えきれていない、ハシャぐような尻尾の音。
     大変なことを知られてしまった、と俺は心の中で肩を落とすのであった。

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:26:16

    「耳たぶ、ぷにぷにとしていて、なかなかの触り心地ですね」

     親指と人差し指で挟み込みながら、くいっと、俺の耳たぶが押された。
     すると、ツボを刺激したのか程良い痛みと、それ以上の心地良さが沁み渡って行く。

     デュランダルは、まずは耳のマッサージに取り組んでくれた。

     血行を良くして、耳掃除をやりやすくするのと、俺をリラックスさせるためとのこと。
     絶妙な力加減によって、耳全体をじっくりと解されて、気が付けばじんわりと熱を持っていた。
     あまりの気持ち良さに、すっかり俺の頭は彼女の太腿に溶け込んでしまい、瞼も重くなってくる。
     いっそこのまま────そう思ってしまった、瞬間であった。

    「ふぅー、ふぅー」

     少しだけ熱い、か細い吐息が、耳の中へと流し込まれていく。
     びくりと身体が反応して、沈みかけていた意識が、一気に覚醒まで導かれていった。
     そして、つんつんと、固い感触が耳を突いた。

    「ふふっ、まだ眠っちゃダメですよ? ここからが、本番なのですから」

     デュランダルからそう言われて、俺は少しばかり身を正した。
     そうだ、今まではあくまで耳掃除の準備、耳掃除自体は、これからなのである。
     やがて、そっとした動きで、匙の先端が俺の耳へと触れた。
     ひんやりとした、少し固めの、微かではあるが鋭い感触。
     それはまるで、彼女の走りの切れ味を彷彿とさせて、嫌いではない感触だった。

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:26:30

    「まずは外側、耳の溝からゆっくりと始めて行きます、一の匙、ヴェンヤンティフの疾走」

     まさかの技名を呟きながら、デュランダルはゆっくりと耳の溝に沿って、耳かきの先端を動かす。
     撫でるような力加減、けれど微かな剥離の感覚があり、それが妙に気持ち良い。
     正したばかりの身体からは、あっさりと力が抜け落ちてしまい、彼女の太腿に身を任せてしまう。
     耳の裏までしっかり匙が走った後、彼女の気配が耳元に近づいて来る。

    「外側はこのくらいで、次いで中を仕留めていきましょう、辛かったら、服を掴んでくださいね?」

     冗談めかしたデュランダルの言葉。
     虚ろになってきた思考でこくりと頷くと、耳の中へと静かに耳かきが入り込んでくる。
     雑音が響き渡る中、銀色の匙は入口の方から小刻みな動きとともに、耳の中を掻き始める。
     かりかり、ぱりぱり、と小気味良い音が耳の中に響き、心地良いくすぐったさが神経を刺激していく。

    「二の匙、チュルパンの祝福…………その、痛みなどはないですか、トレーナー殿」

     デュランダルは一旦手を止めて、少しだけ不安そうに、そう問いかける。
     すると、半端に耳の中を刺激されたせいか、むずむずとした痒みが襲い掛かって来た。
     身悶えそうになるのを必死で堪えて、絞り出すように、大丈夫だよ、という答えを返す。
     
    「ほっ、それは重畳です、ではこのまま奥の方まで続けていきますから、三の匙、オードの慟哭」

     聞こえてくる安堵のため息、デュランダルも緊張していたのか、少しだけ脚から力が抜ける。
     太腿の感触がより柔らかに、ふんわりとしたものとなって、顔が沈み込まんばかり。
     耳掃除の甘い刺激も相まって、俺の頭はどろどろに、彼女へと融かされていく。

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:26:43

    「んっ……これはなかなかに大物、ですね……動かないで……四の匙、ミュルグレスの光輝……っ!」

     ごりごり、と少しだけ匙の音圧が高まり、耳かきの動きも強く、大きくなる。
     けれど、俺の中には、何一つとして心配はなかった。
     デュランダルを信じていれば、不安などまるで感じることはないのだ。
     俺は静かに目を閉じて、彼女の耳掃除に、身を任せるのであった。

  • 13二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:26:57

     ふと、水の底から浮かび上がるように、意識が覚醒する。
     直前まで耳掃除をされていたのか、耳はぽかぽかと熱く、そして風通しが良くなっていた。
     ……どうやら、眠ってしまったようである、俺は慌てて起きようとして。

    「我が君、まだ、眠っていますよね?」

     ────デュランダルの囁き声に、俺の行動は遮られた。
     身体を硬直させてしまい、起きるタイミングを、完全に見失ってしまう。
     彼女は俺が眠っていると判断したのか、さらさらと、柔らかな手のひらで俺の頭を撫で始めた。

    「私は果報者です……私を信じて、私に寄り添って、私を認めてくれる、そんな人に出会えたから」

     それは、騎士としてではなく、一人のウマ娘としてのデュランダルの言葉。
     俺の方こそ幸せ者だよ、と言ってあげたいけれど、今はそれを伝えることは出来ない。
     彼女の暖かな手は、頭から、やがて耳の方へと移動していく。
     そして、摘まむように耳をくいっと引っ張ると、顔を近づけて来た。

    「……お慕いしておりますよ、トレーナー殿」

     ぽそりと、けれどはっきりと、響き渡るデュランダルの声。
     普段とあまりにかけ離れた、少しばかり湿っぽい雰囲気に、思わずドキリとしてしまう。

  • 14二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:27:11

    「私の走りを見つめるきらきらとした瞳、褒め称えてくれる優しい声、労ってくれる大きな手のひら」

     ぜーんぶ、大好きです。
     付け足される、甘い響きの言葉。 
     同室のウマ娘を思い起こさせるような、あまりに直球過ぎる言い回し。
     しかしそれは、俺の動揺を誘い、平静という鎧を断ち切るには、十分過ぎる剛の剣であった。
     彼女は、指先で耳を撫でつけて、もう片方の手で目元をすりすりとなぞり始める。

    「すっきりとした目で、きれいになった耳で、私の活躍を見守って、そして、いっぱい褒めてくださいね」

     デュランダルの、本当の『お願い』が、しっかりと俺の耳に、脳に、届けられる。
     今は頷くことは出来ないけれど、心の中で俺は、絶対に彼女の言葉に応えると誓うので────。

    「お耳、真っ赤ですよ────さっきからずっと、起きていますよね、我が君」

     刹那、全身がぴしりと硬直する。
     言われてから、耳が火照ったように、さらに熱くなっていたことに気づいた。
     恐る恐る目を開けて、少しだけ顔を傾けて、デュランダルの様子を窺う。
     彼女は、少し頬を赤く染めながらも、得意げな微笑みで、俺のことを見つめていた。

  • 15二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:27:27

    「ふふっ♪ さあ、我が君よ、次は反対側を掃除しますので、ごろんとしてください、ね?」

     完全に手玉に取られる形となった俺は、言われるがままに、ごろりと身体を回転させる。
     すると、目の前には白い布地に包まれた、デュランダルのお腹。
     爽やかでありながら淑やかな甘い香りと、少しばかりの汗の匂いが、鼻腔をくすぐってくる。
     体勢を変えたせいかのか、太腿の感触も先ほどから一変し、頭を彼女に包まれているような心地であった。

    「……ああ、王よ、僭越ながら、一つだけお伝えしたいことが」

     ふと、デュランダルは思い出したように、そう言う。
     そして、先ほどまで彼女の太腿に温められていた耳に触れて、こしょこしょとくすぐり始める。
     背筋に、ぞわぞわとした感覚が走り、俺の身体はぴくりと反応してしまう。

    「貴方のよわーいお耳は、王の騎士たる私がしっかりと、守護致しますので────」

     デュランダルは突然、ぎゅっと、強めの力で、抓るように耳を摘まんだ。
     ぴりっとした痛みを伴う感覚、けれど、不思議と、嫌な気分にはならない。
     そして直後、俺の耳に、抜群の切れ味を誇る“聖剣”の一言が、降り注ぐのであった。。 

    「────他の子には、何人たりとも、触れさせちゃダメですからね?」

  • 16二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:27:57

    お わ り
    話の寒暖差がひどい

  • 17二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 08:32:58

    ありがとうございます

  • 18二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 09:02:01

    あったかい気持ちになりました、ありがとうございます!

  • 19二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 12:34:10

    良き・・・

  • 20二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 13:06:48

    しっとりデュランダルいいですねえ

  • 21二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 17:13:57

    すこ…⚔️

  • 22二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 20:19:36

    これは…!
    デュランダルの耳かきASMRの可能性を感じる…!

  • 23二次元好きの匿名さん24/09/24(火) 20:56:11

    こしょこしょくすぐった後にギュッとするのがとてもえっちだとおもいました まる

  • 24124/09/25(水) 07:05:40

    >>17

    こちらこそ読んでいただきありがとうございました

    >>18

    この二人の仲の良さ的な部分は微笑ましいよね……

    >>19

    デュランダルいいよね……

    >>20

    基本的には騎士ムーブの明るい子ですが 執着の強いしっとり感もあると思います

    >>21

    こんな子好きになっちゃうよね

    >>22

    あの声から出るぽんこつ発言と甘い囁き声を織り交ぜて欲しい

    >>23

    こだわりの部分の一つですね

オススメ

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