(SS注意)デュランダルは頭を撫でられたい

  • 1二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:53:59

     それは、たまたま見かけてしまった光景が、原因だった。

     ある日のこと、私はとあるウマ娘と、そのトレーナーらしき人物を見かけた。
     もふっと広がる赤みのある髪、桜の花を模した耳飾り、桜色の混ざる青い瞳。
     サクラチヨノオーさん、だっただろうか。
     トレーニング直後なのか、ジャージ姿で白い湯気を立てていた。
     彼女は、自身のトレーナーの下へ、尻尾を振りながら笑顔で駆け寄っていく。
     そして────ぴょんと、頭を差し出した。

    「私、すっごい頑張りましたので、よくやったぞーって褒めてください!」

     チヨノオーさんは耳を左右にふわりと垂らしながら、じっとトレーナーを見つめる。
     わくわくとした視線をぶつけられたトレーナーは苦笑を浮かべながら、頭に手を伸ばした。
     そして、なでなで、わしゃわしゃと、彼女の頭に手のひらを這わせていく。

    「ひゃっ……ふふっ……ふひひ……っ!」

     気持ち良さそうに目を細めながら、チヨノオーさんはぴくんと身悶えする。
     そして、口元を緩めて、だらしのない顔で、尻尾をぶんぶんを振り回していた。

    「えへへ……もっと……もっともっと……なでてください……」

     蕩け切った表情で、チヨノオーさんは頭を、トレーナーの手のひらに押し付ける。
     私はそれを、じっと物陰で眺めながら、身体をぷるぷると震わせていた。

     なんて、なんて、なんて────羨ましい!

     私 も あ あ い う こ と し て 欲 し い !
     その日から、私の戦いは始まったのであった。

  • 2二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:54:13

     王に仕える高潔な騎士として、おねだりなんて出来るわけもない。
     しかし、王自身が私へとそれを求めるのであれば、受け入れるのはやぶさかではない。
     
    「我が君、お茶をお持ち致しました」
    「あっ、ありがとう、丁度喉が渇いていたんだ、さすがはデュランダル、気が効くよね」
    「そっ、そうですか?」
    「うん、お茶も丁度良い温度で美味しい、やっぱキミはすごいや」
    「……♪」

     トレーナー室で事務作業中の我が君に、お茶を差し入れる。
     すると、彼は微笑みを浮かべて、感謝と共に、私のことを褒めてくれた。
     耳から賜った言葉が染み渡って、身体が歓喜に満ちていくのを、じんわりと感じる。
     でも、今日は、それだけじゃ満足できなくて。
     私は、おもむろに頭を少しだけ彼に向けて、差し出した。
     そして、耳をぴこぴこと動かしてみせる。
     するとトレーナー殿は少しだけ怪訝な表情を浮かべて、ひょいとカップを持ち上げた。

    「キミも飲みたかったの?」
    「ちっ、違います!」
    「あっ、もしかして今作ってる資料が気になるとかかな、普通に見ても大丈夫なやつだよ」
    「……むう」

     普段は、私のことに良く気づいてくれる我が君。
     けれど、今日は何故か、私の意図を察してはくれない。
     思わず唇を尖らせる私に、彼は首を傾げるのであった。

  • 3二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:54:31

    「……すごい切れ味だったっ! やっぱりキミの走りは格好良くて、最高だっ!」

     模擬レース後、トレーナー殿は満面の笑みを浮かべて、駆け寄ってくる。
     結果はいつも通り、私が後方から“聖剣”の切れ味を示して、全てを斬り開いてみせた。
     真っ直ぐな彼の言葉を堪能しながらも、私は期待に胸を躍らせている。
     これは、あの時のチヨノオーさんと、同じシチュエーション。
     ……いや、早速真逆だった気もするけれど、殆ど同じようなものだろう。
     それに、事前にいくつかの布石も打っておいた。

    『私の髪、触り心地が良いととても評判なのですよ、我が王よ』
    『へえ、そうなんだ』

     まさしく、完璧な計画。
     姑息な手段かもしれないが、知略もまた騎士の武器。
     私は来るべき瞬間を待ちながら、そっと目を閉じる。

     ────その時、酸味を伴う匂いが鼻腔を刺激し、私は思わず顔を歪める。

     ……今日の走りは、なかなかにハードなものだった。
     前日が雨だったためにバ場は悪く、いつもよりもパワーを必要とした。
     故に、消耗をいつも以上に激しく、汗だってびっしょり、かいてしまったわけで。

    「……っ!」
    「……なんか急に離れた気がするけど、どうかしたの?」
    「いっ、いえ、何の問題もありませんよ、トレーナー殿、ええ、本当に」

     唯一の、盲点だった。
     私はジャージのジッパーを引き上げて、彼との距離を取りながら、話を続ける。
     ……完璧だったはずの作戦は、いともたやすく、瓦解するのであった。

  • 4二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:54:47

    「こんにちは、我が君……我が君?」

     翌日。
     この日も傍に仕えるべく、トレーナー室へと訪れたのだが、ノックをしても反応がない。
     中から気配はするのに、と違和感を覚えながら扉を引いてみると、鍵はかかっていなかった。
     もしかしたら、侵入者かもしれない。
     私は警戒レベルを上げながら、音を立てぬように、ゆっくりと部屋のなかへと入る。
     そして直後、顔を緩ませてしまう。

    「ふふっ、気持ち良さそうに、お休みなっていますね」

     我が君は、デスクに突っ伏して、あどけない寝顔を晒していた。
     ちょっとだけ可愛らしいその表情は微笑ましくて、暖かな気持ちにさせてくれる。
     私はタオルケットを棚から取り出して、彼の身体の上に、ふわりとかけてあげた。
     彼の心地良さそうな寝息を聞きながら、私は、あることに気づいてしまう。
     
    「……右腕が」

     トレーナー殿は、左腕を枕にして眠っていた。
     右腕の方はデスクの方に放り出す形で、フリーな状態となっている。
     まるで、どんなことでも、させられそうなほどに。

    「従者が求める報酬を与えられない……そんな醜聞を、我が君につけるわけには、いかない」

     これは、我が王の、名誉のため。
     私はそう自分に言い聞かせながら、眠る彼の視線に合わせるようにしゃがみ込む。
     そして、彼の右手を取って、起こしてしまわないようゆっくりと、自身の頭の上へと運んだ。
     ぽん、とトレーナー殿の大きくて、ごつごつとした、固い手のひらが、触れる。

  • 5二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:55:00

    「んっ……!」

     なんか、気持ち、良い。
     とても安心して、嬉しくなって、優しさが伝わってきて、心から暖かくなって。
     居心地の良さを感じながら────同時に、じれったさを感じてしまう。
     彼の手のひらを、頭の上に乗せただけで、これなのだ。
     チヨノオーさんみたく、わしゃわしゃと撫でてもらえたら、どれほどのものなのか。
     それを思うと、なんだか、とても悔しい気持ちになる。
     その快感は、今の状態では、決して得ることの出来ないものだから。

    「…………我が君の、いけず」

     私は不満の言葉を漏らしながら、とりあえず今は、この手のひらを堪能することとした。

  • 6二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:55:15

    このレスは削除されています

  • 7二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:55:54

    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

  • 8二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:56:11

     右の手のひらへ広がる、慣れない感触に、意識が覚醒させられる。

     柔らかくて、しっとりとしていて、ぷにぷにで、つるつるとした感触。
     一体何事だろうか、そう思って、俺は薄目を開けて様子を窺った。
     そこには────信じられない光景が、広がっていた。

    「えへへ……えへへへ……♪」

     担当ウマ娘のデュランダルが、でれっとした顔で、俺の手のひらに頬ずりをしているのだ。
     顔は少しばかり上気していて、じんわりとした熱がこもっている。
     彼女は眉をだらしなく垂らしながら、右頬へ、左頬へと、代わる代わる当て続けていた。
     尻尾はぱたぱたと激しく揺れ動き、耳はくるくると機嫌良さげに回り続けている。
     なんというか────とても、起きづらい。
     どういう意図なのかはわかりようもないが、とりあえず、彼女にとっては楽しいものらしい。
     ……じゃあ、しばらくはそのままにしておいてあげようかな。
     そう考えて、俺は寝たふりを決め込むことにしたのだが。

    「…………」

     ふと、手のひらから頬の感触が消える。
     デュランダルは、どこか熱っぽい目で、俺の手のひらをじっと見つめていた。
     やがて、彼女は俺の手のひらに、自らの顔を正面から近づけ始める。
     そして────ちろりと小さく、真っ赤な舌を突き出した。

  • 9二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:56:27

    「……れろ」
    「!!???」

     刹那、手のひらに、湿り気のあるざらついた感触が走った。
     それは、デュランダルの、てらてらと官能的に輝く、健康的な舌の感触。
     彼女は俺の手のひらを一舐めした瞬間、ぴくんと身体を跳ねあがらせる。
     そして────うっとりと表情を蕩けさせると、再び、手のひらへと顔を近づけた。

    「れろ……んちゅ……はむ……あまい……おいしい…………♪」

     デュランダルは、ぺろぺろと、俺の手のひらを舐め始める。
     時折、その柔らかな唇を合わせたり、指をぱくりと咥えてみたり、やりたい放題。
     それはまるで人にじゃれつく犬のようであり、妖艶に男を墜としていく魔女のようでもあった。

    「えへへ……わがきみー……わがきみー……♪」

     響き渡る、甘ったるい声。
     俺はぞくぞくと走る奇妙な刺激を浴びながら、ただただじっとこらえ続けるのであった。

  • 10二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 03:56:42

    お わ り
    とあるスレ用です

  • 11二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 08:36:47

    素晴らしい

  • 12二次元好きの匿名さん24/09/27(金) 08:47:47

    えっちすぎる

  • 13124/09/27(金) 19:02:23

    >>11

    そう言っていただけると幸いです

    >>12

    聖剣は叡智の結晶だからしゃーない

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています