【SS】ゆきのふる日

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/23(水) 01:53:17

     雪は嫌いだ。寒いし、滑るし、視界も悪い。トレーナー室の窓から外を覗くと、しんしんと雪が降り積もって、普段は賑わっているグラウンドも安全の為か人は殆ど居なかった。

    「うー、寒い。トレーナー、外で呆けてどうしたんだ?」

     入ってきたシリウスは肩を震わせながら、暖房の一番よく効く位置に椅子を持ってきて座る。冬の間はそこがシリウスの定位置になっていた。暖かい場所をすぐに見つけて居座るなんて、まるで猫みたいだと思ったが、本人は気分を悪くするだろうから言わないでおく。

    「雪は好きじゃないと、眺めていて思っただけだ」
    「アンタは猫みたいにこたつで丸くなっている方が好きそうだしな」
    「否定はしないが」

     猫だと思っているのはお互い様らしい。他所からは狂犬扱いもされるから、どっちが正しいのやら。

    「じゃあ今日は休みか?」
    「ミーティングしたいなら用意するが」
    「昨日よりアップデートされてるならやってみな」
    「……自由解散だな」
    「そうだろうと思ったよ」

     昨日の今日で、ミーティング内容が増えているわけもなく。練習が無いなら、シリウスだけではなく俺自身も暇になってしまった。いや、やるべき仕事が無いわけではないのだが、急ぎという程でもない。そもそも期日には間に合うようスケジュールも組み終わっている。

    「なら、少し外に出ないか」
    「こんな雪の日にか?」
    「ここらじゃ雪も滅多に無いからな。このままだとアンタ、雪の日があったことも忘れるだろ」

     そりゃ、確かに以前雪が降ったのがいつかなんて覚えてはいないが。覚えておく必要もない。

    「だから、雪が降った日には思い出させるのさ。私と歩いたことを。そうすれば、憂鬱も少しは晴れるだろう?」

     むちゃくちゃだ。そんな理由で外を歩くものか。だけど
    悪くないと、そう思っている自分が居た。

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/23(水) 01:55:42

    イケメンだ

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/23(水) 01:58:01

    雪の日と自分を結びつけようとする策士ですねこれは

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