- 1佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 00:18:15
せっかくの"お祭り"っぽいし、楽しく過ごしたい!
佐藤カガリ 16歳(2年生)
出身校:百鬼夜行連合学院
身長 130+40 (40) cm
胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛
腹 2 (2) 1.細 2.中 3.中太
尻 2 (2) 1.小さめ 2.やわらか 3.もちっ
髪色:薄い黄色(3・1) 長さ64 (1で肩につかないくらい100で足元)
瞳の色:オレンジ(5・2)
肌の色:85 (1で芸術級スーパー美白、100で健康的こんがり褐色)
(Part7です! ミレニアム内での立場や特異性のことを巡ってあたふたする時期が過ぎ、真っ当に日常パートができるようになった今、思いつき優先進行に磨きが掛かってしまった気がします)
(なんならK.PCEはセクション3始まった瞬間に思いついた産物です いや、百鬼夜行編に向けての背景情報を少しずつ出すことには成功してるので……予定通りに進めばいけるはず……) - 2佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 00:23:38
情報まとめ
「佐藤カガリ」こと天童アリスのストーカー のまとめtelegra.ph1スレ目
【オリキャラ🎲】天童アリスのストーカーです、通して下さい|あにまん掲示板はぁ…………今日もかわいい……………………(スレ画は一番好きな表情)戦闘 dice1d100=@57 (57)@知性 dice1d100=@12 (12)@運動 dice1d100=@67 (67)@…bbs.animanch.com前スレ
【オリキャラ🎲ss】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part6:reboot|あにまん掲示板……そういえばメイド服のままだ、僕。佐藤カガリ 16歳(2年生)出身校:百鬼夜行連合学院身長 130+40 (40) cm胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛腹 2 (2) 1.細 2.中 3…bbs.animanch.com前回のあらすじ
ゲーム開発部の一員になってからの初仕事、新発表されたばかりのタイトル『鳥葬のまちエニーリス』の製作に携わるカガリ。
モモイの勧めで不朽の名作『ゼルナの伝説 時のフルート』を遊ぶ様子がなぜかファンに生配信されたり、ついでということで"エニーリス"公式アカウントの中の人になったり、エンジニア部でプログラミングの知識を教わったり……ごく地道にタスクを進めていくはずのある日、開発環境に新しい風を呼ぼうとしたモモイによって突然の提案が成される。またモモイか
キヴォトスにあまねく新鋭気質のクリエーターが一堂に会して展示を行うコンテンツ見本市イベント、"K.PCE"。ちょっとした事情もあり、予定をやむなく中断したモモイの知人の代打として、展示側で参加できることになったゲーム開発部一行。
一方、直後にこっそりヴェリタスからの打診を受けていたカガリは、時を同じくしてヴェリタスが受任した『K.PCEの会場をサイバー攻撃から守る』依頼に際し、現地で攻撃者を捜索する実働メンバーとして協力することにもなっていた。自分たちの出展スペースを訪れた大量の来客ラッシュをなんとか捌き切り、次の動きを考えようと息をついた時、なぜか現場にシャーレの先生が現れ……
- 3二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 00:33:01
たておつ
- 4佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 00:55:30
いわく、先生がK.PCEに来たのは"ただの自分の趣味"らしい。ちょっと目が泳いでた気がしないでもないけど……まあ追及はしない。悪いことする人じゃないのは知ってるし。
あと、先生から見てもさっきの人の流れはすごかったらしく、見兼ねてお手伝いを申し出てもらえた。とはいえ今は落ち着いてるから、どうしようね……って感じでみんなと顔を見合わせていたら、
「問題ありません。スペースも狭いですし、それぞれがそれぞれの役割をこなしているので、今のパーティに先生は不要です! それに先生がいたら、先生を目当てに危ない女性が集まってきてしまうかもしれません……むしろハードモードです!」
……って、すぱっとアリスちゃんが言い放ってしまって。当然アリスちゃんに悪気はゼロなんだけど、先生が(たぶん後半部分で特に)ショックを受けていたので、咄嗟に「せ、せっかくだから会場の案内してくるね!!!」とか言って袖を引いて、変な空気になる前に無理やり連れ出してしまった。何を案内するんだ、僕が何も知らないのに……!
"……ここは……充電コードを貸し出してるところだね。どうしてここに?"
えぁ、えーー……いや、その、人っ気が無い所のほうがいいかなって! アリスちゃんのはちょっと言い過ぎとしても、先生ってば有名人だし!
"そう? 一応メガネ掛けてるし、大丈夫だと思うけど"
いやそんなの変装にならないですって。と言いたかったけど、自信ありそうなので言えなかった。 - 5佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 02:34:57
えーと……そうだ、公式サイトに書いてある分にはですね! 僕たちがいたところがコンピュータゲームのエリアなので……ここから見て右側に音楽関連の人たちが纏まってる、らしいです! で、反対側に行くとTRPG・ボードゲームやテーブルゲームの出展が多くて……もっとあっちまで行くと、小説とか漫画とか……
"本当にいろいろあるんだね。私も見て回ろうかなぁ……"
先生ってゲームとかするんですか?
"するよ! と言っても、最近は買い切りのタイトルあんまり触れてないけど。スマホで遊ぶゲームっていうのもあって"
へー。そっちはあんまり知らないかも……
って思いつつ、先生の視線をあっち側に誘導して、腰元のカバンからインカムを取り出す。そしてさりげなく髪で覆い隠すようにしながら右耳につけて、通話開始。
『……あ、スポット着いた? じゃあ手順通り、次はフリーWi-fiお願い』
は、はい。あの……今、近くに先生がいて……
『先生……って、あの先生? えー……どうしよう、バレたらちょっとややこしいかも』
"っと。カガリ、何か言った?"
あっいや、独り言です!! たくさん人いるなーって……
ハレさんの連絡通り、事前に受け取った工作用のスマホを使って、会場のフリーWi-fiに接続する。先生には不審がられないよう、情報に多感でよく画面を見てる学生ですよ~って顔にして……というのも、この作戦っていうのが割と危ない手段で……
"あれ。スマホ変えたんだ"
っ……あー、これですか? そうですね、ゲーム開発するってなるといろいろと不便だったというか……
"ん? でも、さっき公式サイト見せてくれた時のスマホって……"
に、2台持ちっていうんですかね!? こう、機密とか入っちゃってたらマズい方はこっちで、オフラインで!
"………………"
『えっ、もしかしてバレそう? ……チヒロ先輩ー、代わりに言い訳の準備して』
……まだバレないかもしれないじゃん!!!!!
(対決ロール ダイス1個につき1回ずつ成否判定)
dice8d100=39 67 95 43 74 73 67 28 (486) カガリの交渉ステータス(87)以下で成功
dice8d100=48 25 60 68 27 7 25 51 (311) 先生の交渉ステータス(120)以下で成功
- 6二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 03:10:15
頑張ってるけども…
- 7佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 03:58:19
"――なるほど、このイベントにサイバー攻撃が。それで依頼を受けて、未然に防ぐために頑張ってるんだね"
はい……その、一応、悪いことをしているわけでは……
『そうだよ。今回はちゃんとした依頼を受けてやってるから』
"うん。勿論私も、その部分に文句を言ったりはしないよ"
会話が漏れないように辺りを気遣いながら、先生も交えての通話。内容が内容だからちょっと不安だったけど……このまま追求されなければ、当初の予定通り……
"それで、カガリは何を懸念してるの?"
!?!!? ……懸念……懸念か。そうですね、その……その言い方になるほど気がかりってわけでもないような……
『……カガリ? その、上手く誤魔化せる?』
"カガリが隠し事で慌てる時って、後ろめたいことがある時だよね。普通の秘密の時はむしろ堂々としてる"
"カガリの感性は信頼してるし、その上で相談にも乗れるから。迷ってることがあるなら、教えてほしい"
――えっと。今からやろうとしてるハッキングっていうのが……
『ちょっと、カガリ!?』
ちょっと難しいんですけど。「攻撃者が会場内の誰を狙っても対処できるように、フリーWi-fiを使った人みんなのスマホにウイルスを忍ばせて、そのウイルスにこっそり自己防衛をさせる」っていうので……
"……わかった。ってことは……もしもし、チヒロ? 多分聞いてるよね"
『うん、お察しの通り。こんにちは、先生……ちょっと言い訳させてくれる?』
"勿論。別に、そんな悪い言い方にしなくても大丈夫だと思うけど" - 8二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 04:51:40
ん、保守しよう
- 9佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 05:01:09
「まず、『サイバー空間で争い事をする時、攻撃側だけが圧倒的に有利』って原則。攻撃者が『今から1分後に攻撃します』って挨拶に来てくれるならまだ辛うじて対等だけど、そんな親切はあり得ないし、だからこそ相手は撃つ方法もタイミングも場所も選び放題で、防衛側はその事後から対処しないといけない。もしそれを覆したいなら、尋常じゃない方法が必要になる」
「次、単純に『個人単位のセキュリティは自己責任』って話。これは正直言ってかなり過激な意見だけど、通信量を浮かせるために嬉々としてフリーWi-fi使ってるやつの端末なんて、どんな目に遭ってもおかしくない。残酷なようでいて、それがセキュリティの世界の現実」
「最後に。そもそもこのフリーWi-fi自体、私たちが主催者に依頼して特別に設けてもらったもの。つまり、主催者はこの"警察ウイルス作戦"を確認した上で同意してるし、なんなら『感染したデバイスの処理能力によって単純な防衛/逆探知による反撃を切り替える』機能とか『時刻が明後日の0時を指した時点で自己削除する』仕様とか、隅々まできちんと話し合った上で作ってる」
「……まあ。それでも、ここに接続した人に無断で取ってる作戦ってことは変わらないけどね」
な、なるほどー……????
(パッシブスキル"ちゃんと話を聞く"、発動 難しい話が始まったので知性ステータス成長チャンスですよカガリちゃん頑張ってください)
dice1d100=68 (68) 知性ステータス(22)以下で成功
- 10佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/04(金) 05:34:08
”話してくれてありがとう。聞いた感じ、完全に問題が無いわけではないけど……時と場合によって、綺麗事ばかりを言ってはいられないってことは理解できた、と思う”
「おお?」
"この分野に関してはみんなの方が専門家だから、今回のことはヴェリタスを信頼して、私から余計な口出しはしないことにするね"
「やったー。流石先輩、舌戦を制すもの」
「なんかその言い方嫌なんだけど」
"ただ、思ったより大変なお仕事みたいだし、『見守り』って形で近くにいていい?"
"みんなが本来の役割に集中するためには、変ないざこざを代わりに引き受ける人がいても良いと思うんだ"
「それなら、こっちとしても願ったり叶ったりだけど……いいの?」
"勿論。むしろ、見学できてちょっと嬉しいかも!"
あ、ああー……久しぶりに会ったけど、先生はいつも先生らしいというか……これは敵わないな、と思ってしまう。別に張り合ってるわけじゃないけど。でも、先生の"強さ"ってそういう類のものに感じた。
(シャーレの先生がパーティに加わりました!) - 11二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 09:11:05
やはり本職の話は難しいか
- 12二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 12:04:16
先生が加わるとゲーム的にイベント始まったなって感じが高まる
- 13二次元好きの匿名さん24/10/04(金) 20:29:27
何事もないのが一番なんだけど
- 14二次元好きの匿名さん24/10/05(土) 08:06:40
改めて防衛ミッションだ
- 15二次元好きの匿名さん24/10/05(土) 14:12:58
どうなるかね
- 16二次元好きの匿名さん24/10/05(土) 21:19:55
早めに保守
- 17二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 07:22:27
ほしゅー
- 18二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 13:15:00
サイバーで捕まえられたら楽なのに
- 19二次元好きの匿名さん24/10/06(日) 20:16:22
大丈夫だろうか
- 20二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 06:35:29
ほ
- 21二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 12:42:24
また規制かな
- 22二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:16:18
保守しよう
- 23二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 08:04:05
大丈夫かね
- 24二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 12:26:13
このレスは削除されています
- 25二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 20:50:48
厳しいか
- 26二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 08:14:55
もうちょっと待っていたい
- 27二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 18:37:13
ほしゅ
- 28二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 21:54:52
このレスは削除されています
- 29佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/10(木) 02:18:23
(ホスト規制から復帰しました!!!!保守ありがとうございます 流れが脳内でまとまったのでこれもきっかけと思ってやっていきます……)
- 30佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/10(木) 02:18:58
というところで。最初の用事は済んだから、改めて先生と会場を見て回ることに。
僕の興味の向き先的にも、あと索敵のことを考えても、コンピュータゲームの展示が纏まってるエリアを回るのがしっくりくる。なので来た道をそのまま戻って、ついでに僕らのブースがどうなってるかも様子見……
「あ……お、おかえりなさい、先生、カガリ先輩。こっちは問題ありません」
"ただいま。暫くカガリと一緒に見物することになりそうなんだけど……連れ回して大丈夫かな"
「あっ、はい! 緊急時だけお互いに連絡できれば」
あれ。アリスちゃんどこ行ったの?
「アリスちゃんは……ボードゲームを見たいって、あっち側のエリアに。」
……1人で?
「そうですね、1人で」
………………
「ちょっ……あのちょっと待って、カガリ先輩? ヤバい時の真顔になってる、落ち着いてほしい」
にゅっと後ろから出てきたモモイちゃんの呼びかけではっとする。確かに今、ちょっと固まってた……その、大丈夫。言われるまでもなく、僕はアリスちゃんについての物の考え方がかなり変で。具体的には――
「あの。カガリ先輩が思い込んでるほど内面まで子どもじゃないですよ、アリスちゃん」
うぐっっっっ……
「妹よ、時にはオブラートに包まないといけない指摘っていうのがあると思うよお姉ちゃんは」
も、問題ないです、僕、ミドリちゃんにはそういうのどんどん言ってほしいから……
「……まあ、気持ちはわからなくも無いけど。今は私たちだけで十分回せるので、カガリ先輩もいろいろ見てきてください……これもインプットだと思って」
"そ、そうだよカガリ! 新しい発見が私たちを待ってる!" - 31佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/10(木) 02:49:29
……いた、アリスちゃん。流石にあんな大きい鉄の塊持ってたら遠くからでもよくわかる。
片っ端からブース回ってる……もう荷物結構多いな。大きめのエコバッグ持ってるけど、その調子だと向こうの端に着くころには溢れてるんじゃ。あ、でもオリジナルの紙袋とか作って一緒に渡してるところもある! あれ良いかも、モモイちゃんとかも知ったらやりたがりそう、とは言っても今回の僕たちはそんな大きさのもの頒布してないけど……うぐ、ちょっと人増えてきてる。大丈夫かなアリスちゃん、躓いたりしないだろうか……
"えっと……カガリ?"
はい、なんでしょう先生。
"さっきからずっと見守ってばっかりだけど……"
"アリスと一緒に回ったりはしないの?"
…………いや、僕が横にいても邪魔になるんじゃないかなって。
"私が今ここにいるのって、カガリにとって邪魔だったりする?"
え゛!!? まっ、あの、そういうつもりで言ったわけじゃなくて……!!
"こうやって、後ろにくっついてるだけなら大丈夫じゃないかな"
"それに、もしこれから何か起こるんだとしたら、近くに居ておいた方が安全でしょ?"
dice1d100=73 (73) 精神力ステータス+30(94)以下で成功/先生の応援でボーナス
- 32佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/10(木) 06:19:29
「――あ。奇遇ですねカガリ、ボードゲームを見に来たんですか?」
う……うん。やっぱりこっちの方が馴染みがあるかな、って……
"ふふふ、私もいるよ!"
「先生! じゃあ、みんなでゆっくり回りましょう。部費から出た軍資金があるので、気になったものがあったらどんどん言ってください!」
ボードゲームエリアは、イラスト付きのポップや派手なテーブル掛けみたいなものが少なく、コンピュータゲームエリアに比べて落ち着いた雰囲気だった。考えてみれば確かに、ボードゲームには『実物』がある……ブースの中で一番目を引くものは、その実物であるべき、ということなのかも。
"あっ。これ、2人で遊ぶゲームかな"
ん……本当だ。サッカーみたいな、ホッケーみたいな……
「おっとと、いらっしゃいませー! これは"ストライカー・ザ・サムライ・カブトムシ"、センサーを使ってガラスの蓋越しにカブトムシ人形を動かして、箱の端っこのゴール目指してサッカーボールを蹴らせる、いわゆる1v1対戦モノだよ!」
「これ、侍なんですか?」
「侍だよぉ。ほら、和服っぽいの着てるでしょ。まあ言っちゃえば侍要素は見た目だけだね」
"見た目は可愛いね。虫苦手な人でも遊べそう"
「でしょ! とりあえずやってみてくれていいんだよ、サムライパワー感じてってよ!」
……誰と誰で遊ぼう? と相談しようと思った時には、既に先生がカメラを構えてテーブル横に立っていた……じゃあ、お言葉(言葉も使ってないけど)に甘えよう。アリスちゃんもやる気満々みたいだし。
dice5d100=62 31 68 23 35 (219) ダイス1つごとに判定、ゲーム:運動系ステータス(44)以下で勝利 果たして勝ち越せるのか
- 33佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/10(木) 06:50:47
……指でつまめる大きさのセンサー(正式にはサムライココロと言うらしい)を持ち、透明な蓋の上でつるつる動かすと、その下で自分のカブトムシ人形が追ってくる。で、センサーの"ボタン"を押すとシュートができて、それで3つあるボールのどれかを相手のゴールに……
「光よ!!!!!!!!!!!」
う゛わあああああ!!??!?!?
「スローリィですよカガリ。サッカーもカブトムシも、その戦いは一瞬です! つまり、やるかやられるか……!」
「今の防御よかったねぇ金髪の君。そう、センサーを一定以上に離すと、目が光ってダッシュモードになるよ。シュートした直後はなれないけど」
……あっ、ダッシュモード中にシュートが撃つのも無理なんだ! 解除は……2秒くらい止まれば消える。な、なるほど、攻めと守りをいっぺんにはできなくて……おりゃ!!!
「っと、危なかったです! 見た目の割にバランスが取れていますが……でも、これはきっと強いはず! 必殺ダブルシュートです!」
だああああああああ!!!!! ちょっ、今の止められなくない!!??!??
「おお~~~すごい!!! 狙って出せるもんじゃないよさっきの、やるねえ!」
結果、3勝2敗。相当慌ただしい盤面でもないと『不意を突いたシュート』が成立しにくい分、防御側が有利……ついでに言うと、"待ち"の戦術が強かった。ちょっと遅延気味の戦い方になっちゃったけどこれも真剣勝負。
聞けば、このゲームはまだ開発途中で、出展したのは実際に遊んだ人からのフィードバックが欲しかったからだそう。ゆくゆくは攻撃側有利にしたいから、何かアイデアは無いかと尋ねられ……ちょっと考えてみる。元がシンプルだし、出来ることはたくさんありそう……
dice1d100=21 (21) 技術ステータス(52)以下で成功
dice1d100=34 (34) 交渉ステータス(87)以下で成功
dice1d100=21 (21) ゲーム:制作ステータス(73)以下で成功
- 34二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 08:06:15
良かった
見て回って楽しいのもこういうイベントの醍醐味だよね - 35二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 12:58:54
中々一進一退だ
- 36二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:06:26
ダイス全部成功じゃん
- 37二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 06:50:44
運が巡ってきた
- 38二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 12:53:50
お祭りみたいで楽しいね
- 39二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:26:10
このまま平和に済めばいいのに
- 40二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 07:44:34
保守
- 41二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 12:03:41
成長か?
- 42二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 19:11:04
経験はするほど良いからね
- 43二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 22:42:37
この経験はゲーム製作に活かせそうだってやつか
- 44佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/13(日) 04:01:29
うーん……シュートの"伸び"がもう少し長いといいなって。今よりもボールは減速しにくい方が盛り上がりそうです、ボールを重くしてシュートの力も強くするとか……
「なるほど! それだと攻撃側も強くできるね」
あと、壁にぶつかった時のカンカンって音、ちょっと耳に響くかもです。でも音が出たほうがたぶん楽しいんですよね! だから、もっと低く鳴るようにしたり……
「あ~。箱の素材買えようかな、硬質のペパクラとか……」
えっと……あ、これは遊び心地とは関係ないんですけど。センサーと人形動かすのにボタン電池必要って、ちょっと面倒じゃないですか? 充電スタンドとかあった方が……
「たしかに~~~!! それ自分基準で考えちゃってたわ。さんきゅさんきゅ、いやぁ人に聞くって良いねえ」
じゃっこれお礼ね、という一言でぬっと手が伸びてきて、僕の手のひらに直接なにか温いものを押し付けられた。こ、これは……オリジナルステッカー? と、センサーとカブトムシ人形が2セットずつ! やったー!
……まさか、このクオリティの物を来た人全員に渡してるのか? と思って心配になったが、そうでも無いらしく、いわく「モラルがありそうで、コネ作っときたい人にだけあげてる」「だから他の人にナイショだよ」ってことみたい。本人にそれ直接言っていいんですか。
「パンパカパーン!! やりましたっ、10連勝です!!!」
"カガリ助けて!!!アリスが強すぎる!!!"
ええーっ……
「あはははっ! そこまでやってくれると作者冥利に尽きるよ! あと1ヶ月くらいで第2デモ出せるから、気が向いたらまた遊んでね~~~!!」
お返しにプチマスコットを受け取ってもらい、明るく見送ってもらった後、3人で元の道筋に戻る。
1v1対戦ゲームか……ユズちゃんがその類めっぽう強いって聞いたことあるけど、自分じゃ触ってこなかったな。何か知見があるかもしれない……
dice1d100=84 (84) ゲーム:制作ステータス(73)以上の出目でdice1d4=1 (1) 点成長する
- 45佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/13(日) 05:25:03
……先生、あれ見に行きたいですか?
"えっ!? ど、どれのこと?"
あの、テラフォーなんとか? って書いてあるやつです。足遅くなったし、覗き込んでるなって……
"き、気付かれるもんだね……"
「ナイスですカガリ! 先生、気になったものがあるなら正直に言ってください!」
"うん、ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうね"
そのゲームはかなり大きい箱に入っていた。でも非電源で、ボードゲームとカードゲームの中間みたい……タイトルは『Terraform and Shipwreck』。どっちも知らない単語。
「SFの用語で『テラフォーミング』っていうのがあってですね。宇宙に浮かんでるただの岩の塊みたいな星に宇宙船で降り立って、水と酸素を与えたり、雨が降るようにして植物を育てたり……ってすると、最後には宇宙服無しで暮らせるようになっちゃう、っていう」
"うん。PCゲームではよく見たけど……ボードゲームでそれができるの?"
「そうだよ。山札からカードを引いて星の地形や恒星との距離感を決めたら、手の届くところから順番に資材を使ってテラフォームして、期限までになるべく『生活適地』を広く作ることを目指して頑張ろう、って感じ。最大6人で協力もできたり」
"ほうほう……!"
「そうやって居住用惑星のデータを作る『テラフォーム』編と、そのデータに宇宙船で不時着してきて生還を目指す『遭難』編で、遊び方が2つあって。どっちも自分でやってもいいし、友達と片方ずつ遊んだりもできます」
"えーー!!!楽しそう!!!!"
このブースに試遊用スペースは無いみたいだったけど、先生は即断で購入した。はしゃいでる先生の姿は少し新鮮だった……
「先生はよく、宇宙の題材を好んでいるイメージがあります。本船の時も楽しそうでした」
"いやはや仰る通りです。本能なのかもしれない……メカも車も好きだし。ロマンってやつかな"
……もしかして、エンジニア部のみなさんと気が合ったり?
"うん、何回か意気投合したことあるよ! みんな拘りがあるから、完璧に一致することは珍しいけど"
と、談笑しながら歩いていた時。人波がもつれたのか、急いで通り過ぎる誰かが、アリスちゃんの肩にぶつかった。
dice1d100=68 (68) 運動ステータス(67)以下で成功
- 46佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/13(日) 05:59:31
「っあ、ごめんなさい! 失礼しました!」
……って言って、向こう側に消えていく1人の生徒。すぐ人ごみに紛れて消えていったけど……
"アリス、大丈夫だった?"
「平気です! 荷物も……潰れたりしてないと思います。先生も気を付けてください」
"うん、ありがとう"
「……? カガリ、アリスの顔に何か付いていますか?」
ごめんアリスちゃん。落ち着ける場所見つかったら、荷物の中調べてみていい?
「は、はい。それは大丈夫ですが……」
"……カガリから見て、何か気になった? 今の"
僕の考えに根拠みたいな物はなくて、答えに困る。ただ、一瞬目が合った時の反応に、含みがあったような……
もっと言うと、『笑ってる』感じがした。普通、こんな騒がしい場所で自分が走ってて、誰かとぶつかった直後、あんな顔になる?
あれって……ちょっと前にアカネさんから少し教わった、『悪意』ってやつじゃないのか。考え方が短絡してるかもしれないって自分で思うくらいだったから、先生には言い辛かった。
dice1d100=100 (100) 精神力ステータス(64)以下で成功
dice1d100=77 (77) 掃除ステータス(94)以下で成功
- 47二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 07:38:47
精神ブレてるな
クールだ、クールにいこう - 48二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 12:10:57
動揺してる?
- 49二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 21:19:56
何かあってしまったのかな
- 50佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/14(月) 05:31:57
……な、何これ? 割りばしの束みたいな……
「『タッチ・ザ・レインボー』というおもちゃです! その棒をなるべく高くバランスよく積み上げた方の勝ち、って聞きました!」
なるほど……これは?
「『パーティーピーポー毒殺事件』、参加者の1人がパリピ探偵になって、お酒とダンスとその場のノリで犯人をでっち上げる推理モノです!」
そっか……
『ハッカーは意外と物理的手法にも頼る』。チヒロさんから事前の注意を教わった時の、その内の文言の一つ。
ぎゅうぎゅう詰めになったゲームたちを一つずつベンチの上に出し、袋の中に不審な点がないか探る。多分、アリスちゃんに直接何か仕込むとしたら、すれ違い様にこの隙間を狙うのが一番簡単……もし逆の立場だったら、僕はそうする気がした。今は自分の犯罪者思考にちょっと感謝……っと。これは……?
"これって……ゲーム開発部のブースで売ってたプチマスコット?"
「そうです。支度する時に紛れ込んでいたんでしょうか」
………………
"気になる?"
この子、おしりの部分だけ、縫い合わせに使ってる糸の色が違いませんか。
「……!」
アリスちゃんの前では気が進まない手順だけど、同じ部分の糸を引っ張って、(鋭いものが手持ちに無かったので)尖った歯で無理やり噛み千切った。飛び出した一塊の綿は、引っ張られたように真ん中で割けていて、その内側に……
"……これ、盗聴器?" - 51佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/14(月) 06:04:54
ひとまず、調べないことには何とも言えない。現物をスマホのカメラで撮って、ヴェリタスのみなさんに送信……想像の数倍は早いスピードで、コタマさんから折り返しの連絡が返ってくる。
『ほぼ確実に盗聴器ですね。音質は期待できませんし、連続稼働も難しそうですが……ソフトでの解析も前提に入れれば、会話の内容をまるまる奪うことくらいは他愛もありません』
わ、わあ……よく一目でわかりましたね先生。
"うん。シャーレに仕掛けられていたのと、少し似てたから"
『はい、私が使っているものと動作原理は同じです』
そうですか……
「……アリス達の話を、盗み聞こうとしていた人がいる、ということですか? 一体、なんのために」
『仮説としては、問題になっていた"リーク"の一環として盗聴を……と言っても、少し妙ですよね。これまではサイバー攻撃で得られる情報しかリークしていなかった筈で、今回に限ってこんなに直接的な方法を取る理由がわかりません』
モヤモヤする。頭が止まらない……上手く言えないけど、自分の中で何か暴れている気がした。
「攻撃者はもしかして、アリスちゃん個人に興味があるのか?」って少し思う。そんなまさか、僕じゃあるまいし……そう、僕にとってそれが問題なのかも。全然理屈が通ってないって、自分でもわかってるのに、黒い靄みたいな発想が、耳の奥でざらざら鳴り始めて……
『えっ、なんですか? ……はい、あ、そうですか。すみません、ちょっと今から副部長に代わります』
"うん、わかった"
『……あ、あー、あー。代わったよ。カガリさん、聴こえてる?』
ふぇっ!? は、はい。なんでしょうか?
『調子悪そうだなって思って。一旦、防衛も兼ねてゲーム開発部のブースに戻って、アリスと一緒にいてくれる?』
え。で、でも今回の依頼のこととか、まだ全然済んでないですし……
『ひとまず先生に引継ぎお願いする。いいよね、先生』
"勿論だよ、なんなりと"
『それと……こうなった以上、アリスにも今回のこと伝えておかないとでしょ。カガリさんにはそっちをお願いするよ』
傍を見ると、アリスちゃんはちょっと不安そうな顔をしていた。
……確かに、僕が考えるべき以上のことを考えちゃってたかもしれない。とりあえず一仕事できて、その成果を共有できた筈だから、次の指示が貰えるまで待っておこうかな…… - 52二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 10:13:14
あるんだ、盗聴機…
- 53二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 11:23:15
あくまで1参加者だからねカガリちゃんも
- 54二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 20:06:07
普通に自分達のブースも気にしなきゃだし
- 55佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/15(火) 04:49:25
「――サイバー攻撃……この会場に、そんなことが」
う、うん。黙っててごめん……
「謝る必要はありません! アリス達のこと、守ってくれていたんですよね?」
……うーん。僕がそんなに大層なことまでするわけじゃないけど。
「それに、なんだかカッコいいです。友達にも内緒の極秘のミッション、とてもドラマチックな展開だと思います!」
極秘!? まあ、一応……
「さっき、荷物を漁っていた時もですよ。手際がまるで若手の主人公とバディを組んでいるベテラン捜査官の――」
やめてアリスちゃん!!!!!!!!!!!!!
「ウワーーーッ!? 急にどうしたのカガリ先輩、びっくりした」
つい叫んでしまい、みんなの視線が集まる。ごめん。……自分、褒められること全般に慣れてないというか、変な気恥ずかしさがあるんだけど、こんな感じだと特に混乱することに気付いた。こういう、『カッコいい』みたいな……その、勿論嫌とかじゃない。でもじっと座ってられなくなる。
あと、僕の中にある『アリスちゃん大好き』の部分が、ここぞとばかりに元気を取り戻そうとしてるのも怖い。頼むから静かにしててくれって感じ。……もしかして顔にも出ちゃってるんだろうか、今まさにミドリちゃんからの冷たい眼差しが……
「……お姉ちゃん、一緒にその辺り回らない? そこの2人込み合った話してるっぽいし」
「あ、そうなの? じゃあ行こっか、ちょうど絵師さんとかのエリア行けてないんだよね」
い、行ってらっしゃい! 何かあったら連絡してね!
「はい、こちらこそ。留守は任せます」 - 56佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/15(火) 05:18:48
……そういえばユズちゃんどこ行ったんだろう。と思って軽く探すと、荷物をクッション代わりにして全体重を預け、ブースの奥の隅っこでしなびていた。
大丈夫? と呼びかけてみたものの、口をあうあうさせるばかりで返答が無い。燃え尽きちゃったみたい……そっとしておくことにする。しばらくは僕とアリスちゃんの2人で対応するか……
「……こんにちは。今って見学しても大丈夫?」
あ、はい! 展示はそこの試遊台で……2種類あります、会場限定のミニゲームと、新作のデモと。
「ありがと。……ああ、新作って"エニーリス"か……順調に進んでるんだね」
何やら、異様な雰囲気のお客さんだった。整った身なり、綺麗な姿勢、つやつやの黒い髪……でも、目立つ要素はそんなに無い。強いて言えば、頭の上にある猫っぽい耳が一対……
……、このイベントに人って、ラフで特徴的な装いの人が多いはずなんだけど。その中で一番普通というか、『気品』があるというか……一見、どこか別の会場から迷い込んだんじゃないかって感じ。
「……このお姉さん、かなり操作が上手です! ここで遊ぶのが初めてのはずですが……!」
「ふうん……前評判通り、硬派って感じ。後ろ歩きが妙に重たいスピードなのはGDDっぽいけど……あとはグラフィックの精巧さも」
あ、ありがとうございます。褒めてもらえてるのかな……
「一応ファンだよ。あんまり忖度しないけど……新作が出る時は、楽しみにしてる」
dice1d100=39 (39) 目安は神秘ステータス(84)
- 57佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/15(火) 05:53:47
「……あなたが、GDDの新入りって人?」
多分そうです。佐藤カガリって言います。
「まあ、何かハッキリ理由があって入ったんだろうね」
あはは……まあ、そんな感じで……
「さ、さっきからこの人にボスをハメ殺しされっぱなしです! 製品版では改変を入れたほうがいいんでしょうか……」
「このクオリティなら一般層にも届くだろうし、無暗に難しくし過ぎなくてもいいんじゃないの……っと、私が口出しすることでもないか」
ボス撃破に38秒77というタイムを記録して満足したのか、来た時と全く同じく瀟洒に立ち上がった彼女が、追加でグッズの購入を申し出てくれた。ここは僕がカウンターの内側に立って、いそいそとお会計を担当……している間に、すごく顔を覗き込まれる。な、なんだろう……
「……考え事してるだけ。気にしないで」
なるほど。あ、えっと、1060円です……
「ん、この通り。……カガリさんって、話し合いとか任されるタイプだったりする?」
えっ? まあ……そう、なんですかね……?
「それなら多分、今日の内にもう一仕事あると思う。疲れてるみたいだけど、しっかり休んでおくと良い」
有難う、それじゃ……と言って立ち去ったお客さん。全部謎だったけど……だから一応、身振り手振り全部見張ってたけど、変なことはしてないし、悪い人じゃない、はず。
アリスちゃんは「うわーん!!!なんなんですかあの人、この後の展開の伏線ですか!?」と混乱していた。伏線かあ……だとしたら、将来また会うこともあるのかな…… - 58二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 06:44:52
キキョウ…?いやオリキャラか?
- 59二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 12:40:48
そういや疑惑あったな…
- 60二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 20:55:52
誰かは置いとくとしても、何か知ってるのか
- 61佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/16(水) 05:24:24
そんなこともありながら、2人で受付を回す。最初にかなり押し寄せてきた反動か、客足はそれなりに穏やかで、試遊台がすべて埋まることも殆ど無かった……
あと、僕の"ファン"っていう人も数人くらい来た。対応がわかんないっていうか、しどろもどろな言葉しか返せなかったけど……それに限らず、僕が使い物にならなくなった時は、アリスちゃんが横から援護してくれた。初対面の人と打ち解けることの上手さはアリスちゃんに敵わない気がする……思い返せば、僕もその技術で打ち解けたうちの1人だし。
それで、かれこれ数十分ほどが経った時、僕個人の方のスマホから着信が鳴る。
『も、もしもし? 今って大丈夫?』
……マキちゃん? な、何かあったの。
『あの、今日熱出して休んでるんだけどさ。カガリが"K.PCE"の現地に居るって、ハレ先輩のチャットで聞いて』
大丈夫????
「体調は平気! その、本当はイベント行くの諦めてたんだけど……先生も来てるって聞いたから、さっきモモトークで先生におつかい頼んだんだよ。でも、1個だけ先生に頼めないのがあって」
そういうことか。大丈夫だよ、お目当てのタイトルさえ教えてくれたら……
『その……"ヒルガオ恋路日録"っていう、いわゆる乙女ゲーで……』
……な、なるほど? 乙女ゲー……
『くれぐれも先生には内緒にしてね!!! あと、大人しく寝てたってことにしないと怒られるから、チヒロ先輩にも秘密!!! 急にごめん、今度何かお返しするから、じゃあね!!!!』
き、切れちゃった。つまり、趣味を知られるのが恥ずかしいってことなんだろうか……? - 62佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/16(水) 05:42:06
「――話は聞かせてもらいました! 緊急クエストですね?」
緊急……まあ緊急かも。場所調べた感じ、10分以内には行って帰ってこれそうだけど……
「アリス、どうしているのが良いですか? 同行も待機もできます」
……んー…………
「か、カガリ先輩。留守ならわたしに預けてもらって大丈夫です」
ユズちゃん! その、お客さん来るかもしれないけど……
「なんとかします。後ろから見てたので、その通りにやれば……なので、改めて一緒に回ってあげてください」
言われてからもちょっと悩んだけど……ユズちゃんの提案を受けることにした。1エリア回るのに掛かる時間を考えると、モモイちゃんミドリちゃんがそろそろ戻ってくる気もしたから。
……一応、チヒロさんにモモトークで相談しようとしてみたものの、応答が無い。既読は付いてる……やっぱり忙しいのかな。 - 63幕間 ◆IEd0n050V224/10/16(水) 05:55:36
─────────────────────────
事が早ければ、もう直ぐ始まることすら有り得る気がした。
ここは文化的な催しだから、あまり目の前で銃撃戦みたいな騒ぎを起こされてほしくは無い……私が参加することで問題が膨らむのはもっと御免だ。つまり静観が正解。物事が想定通りに進みながら、それを眺めるしか出来ないとあれば、少しは厭な気分にもなる……
もっとも、あの"シャーレの先生"がいるなら、破滅的に悪いことは起こらなさそうだけど。
……思い返すほどに、不思議な感覚。私個人の傾向からして、ああいうタイプは得意じゃない筈なんだけど、意外にも話しやすかった。
───────────────────────── - 64二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 08:06:07
恋愛ものっていうか多分R16とかそのぐらいのかな…
- 65二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 12:34:38
カガリと話したお客さんかな?
- 66二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 20:18:44
嫌だなぁ何か起こるのかなぁ
- 67二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 07:39:07
保守
- 68二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 12:44:10
この移動で鬼が出るか蛇が出るか
- 69二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 20:19:17
とりあえずお使い行かなきゃな
- 70佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/18(金) 05:12:19
「……はい、お代ぴったりですね。ありがとうございます! ご友人の方にもよろしくお伝えください!」
あまり離れ過ぎるのも良くないと思ったので、なるべく急いで向かってすぐに買い物を済ませる。結構人気のメーカーさんっぽいけど、あんまり並んでなくてよかった……
現在地はゲームエリアの端っこあたり。でも、ここから反対側にあるゲーム開発部ブースの様子が全く見えないわけではない……目を凝らせば、通路に面してるあたりで何が起こってるかくらいはわかる。インカムでヴェリタスのみなさんとの連絡も簡単だし、折角ここまで来たなら何か物色しながら戻ろうかな? と、思った矢先。
『『♯♯ーーーー!!!♯♯ーーーー!!!♯♯ーーーー!!!』』
うわ゛ああーーーーーー!!?!?!??
「か、カガリ!? い、今の音は……大丈夫ですか!?」
そのインカムから恐ろしい音量のビープ音が鳴り響いてきて、比喩じゃなくびっくりして吹き飛んだ。ひっくり返る手前のところでアリスちゃんに支えられながら、平静を取り戻すまで10秒くらい固まる。
『――ご、ごめんカガリ! こっちのスピーカーにマイクくっつけちゃってた!!』
あっ、あ……ハレさん? 今の音って……
『落ち着いて聞いてね。犯人がゲーム開発部の試遊台に、直接クラッキングを仕掛けてきた。なんと有線で』
……えっ……ゆ、有線??????
「それって、ユズの目の前に居ながらってことですか!!?」
『うん。もう逃げてるだろうけど、なるべく早く戻ってほしい。詳しい説明は余裕がある時にする』
一応、通信は繋ぎっぱなしにしておくらしい。通行人にぶつからないよう気を付けながら、急いで来た道をまっすぐ戻る……
(犯人の逃げた先は?)
dice1d3=2 (2)
1.あっち側
2.そっち側
3.こっち側
- 71佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/18(金) 05:39:54
一応、盗聴器を仕掛けてきた人の顔を思い浮かべて、鉢合わせる心の準備をしながら走っていたけど……何事もなく帰ってきた。
現場に不審人物はいない。慌てている様子のユズちゃんがこっちを見つけて、息を切らしながら駆け寄ってくる……
「か、カガリ先輩!!! 大変なんです、いまっ、そこの試遊台で……」
大丈夫、大体わかってるから。ユズちゃんは怪我してない?
「えっ? は、はい……わたしは、何も」
「ユズ、ごめんなさい。カガリとアリスで、みんなに秘密にしていたことがあります」
当たり前だけどかなり混乱させてしまったので、『ちょっと裏の事情があって、それを知っているとイベントが純粋に楽しめなくなっちゃうから、ヴェリタスと話し合って隠すことにしていた』とだけ伝える。それを踏まえて、あとはヴェリタスに説明をパスすれば――
"ただいま、みんな。いないのは……モモイとミドリだけみたいだね"
『ありがと、先生。人手はギリギリ足りてるか……まずは状況の確認からだね』
小走りで戻って来た先生のスマホから、チヒロさんの声。ブースの内側に全員で収まり、一度輪のような形を作ってから、先生の指示で初期対応を始める。ユズちゃんはモモイちゃんとミドリちゃんに直ぐ帰ってくるよう連絡、アリスちゃんは近くに居た目撃者とのすり合わせ、僕はヴェリタスから支給されていたアプリで被害に遭った試遊台の診断データを送信……
現場が一旦の落ち着きを見た時、「少し遅くなったけど」と前置きながら、チヒロさんによる説明が始まった。
『とてもじゃないけど信じられないことが起こった。いや、それも言い訳か……根本的にはこっちの落ち度だと思う。とにかく、振り回しちゃってごめん』 - 72二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 09:25:40
有線って
大胆な事するなぁ - 73二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 13:09:52
おつかいは出来たけど大変なことになったな
- 74二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 20:49:12
何か分かったのか
- 75佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/19(土) 04:08:48
『まず、マキがカガリさんに頼んだおつかい。おつかいは本当だけど、"先生とチヒロ先輩に内緒"ってところは完全に嘘』
ええーーーっ!?!!?
『犯人がアリスの荷物に投げ込んできた盗聴器、そのまま放っておいてたでしょ。あの時、カガリさんには嘘の説明をしてて……実際にはそこそこ音質が良い、キャッチした内容はリアルタイムで聴き取れる性能なの。嫌だったらその場で破壊するしかない』
"私がここに着いてすぐ壊しておいたから、もう安心だよ。チヒロに頼まれてて"
な、なぜそんなことを……
『盗聴器越しに、犯人の行動を操りたくて。"現在ブースにいるのは1人だけ"、"防衛側の作戦本部はそれをまだ知らない"っていう条件が合わさったら、あっちの心理としては攻撃を仕掛けたくなるはず……で、目論見は成功したんだけど』
『いやー、まさか物理で来るとはね……流石にあたしでもそんなことしないよ』
『"犯人は遠隔でハッキングを仕掛けてくる"って、私たちの方が思い込んでたの。と言っても、Wi-fiに繋がってないマシンに対して遠隔で攻撃するには、目標から半径15mくらいの位置には立っている必要がある……でも、この会場でそこまで距離が離れてれば、顔バレの心配は殆どゼロ』
『私個人の経験則ですが。クラッカーなら誰しも、"顔がバレない"という利点を自分から捨てる真似はしません。仮にそんなことをする人がいるなら、相当な実力を積んだ自信家か……もしくは、普通では考えられないくらい危機感が薄い人物か』
……それは、どっちなんですか?
『……100パーセント後者だね。だから今、そのせいで攻撃を許してしまった事実に、心底イライラしてる』 - 76佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/19(土) 04:31:21
『……あー、カガリさんには話し損ねてたっけ。今回の依頼の、最終目標のこと』
? このイベントに対する攻撃を阻止する、ってことじゃありませんでしたっけ。
『それもそうなんだけど。追加で、"犯人が攻撃してる現場を抑えて、現行犯で捕まえる"っていうことになったの。先生の提案で』
"うん。その子も私の生徒の1人だし、せめて話しておきたくて……だから、現場を抑える役割も私がするつもりだった。実際には私が着くよりも先に逃げられちゃったんだけど"
「……ま、待ってください。それなら、こうして話している間に逃げられちゃうんじゃ……?」
『それは大丈夫。その会場は建物の内側で窓とかもないし、スタッフオンリーじゃない出入り口は2つしかない……奥側の1つは、先生がちょうど連れてた"正義実現委員会の子"に臨時で看板立てて封鎖してもらってて』
"手前側のもう1つはすぐそこだから、私がここから見張ってる。今のところ不審な子は通ってないよ"
なるほど。なんかさっきから変な立ち方してるなぁと思ったら……
「それでは、今から追いかけっこですね! 先生は足が遅いので、引き続きそこを見張っているとして……アリス達で手分けして探しましょうか?」
『……探すより手っ取り早い方法もあるよ。ちょっと、気は進まないけど』 - 77佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/19(土) 05:13:38
『カガリさんに頼んで試遊台にインストールしてもらった、アレのことなんだけど。監視システムみたいな……』
「そ、そんなの入れてたんですか!?」
ユズちゃんごめん……
『仕方ないよ。それで、実は裏機能として、"不正にアクセスしてきた端末にウイルスを送り返す"っていう仕組みも付けてあってさ。今、犯人のスマホは間違いなくそのウイルスに感染してるってわけ』
"ハレ、フリーWi-fiの時も似た手口使ってなかった?"
『それはちょっと否めないね。で、位置情報はぶった切られたっぽくてわかんないんだけど、それでも見つけ出して捕まえる方法があって……』
『……"犯人のスマホのスピーカーをジャックして、すごく大きな音を鳴らさせる"ってだけ。こういう事態も予想してたから、ハレに頼んで仕込んでもらってた……その機能を発動したら、会場内のどこにそいつがいるか、猿でもわかる』
少し、先生の顔が硬くなった。
先生が何を考えているか想像してみる……というか、これは僕の中の『優しさ』をわざと大きく膨らませた考えかもしれない、けど。その作戦って、犯人だけじゃなく、その周りにいる人まで怖がらせちゃうやり方なんじゃ……?
『……やっぱり、先生は気乗りしなさそうだね。でも、犯人がこれ以上他の場所を攻撃できなくなるって意味でも、最も速効性があって、最もセキュリティ的に安全な作戦だと、私は思ってて……こうするかもしれないことも、事前に主催者さんへ伝えてある』
"なるほど。相変わらず、チヒロはその辺りが巧いね"
『極端だし、過激な方法っていうのも、認める』
"………………"
先生、どうしますか……?
"……私は、カガリの考えを聞きたい"
"K.PCEというイベントに参加している1人で、予めヴェリタスに近い立場で協力していて……ゲーム開発部のメンバーとして、被害に遭った当事者でもあるから"
dice1d100=26 (26) 目安は倫理ステータス(54)
dice1d100=80 (80) 目安は慈悲ステータス-20(42) ※さっき精神力で大きく失敗してたので下方修正付き
- 78二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 08:04:34
これは…どう出る…?
- 79二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 12:54:13
ダークサイドはなるべく進まないでほしいけど
- 80二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 20:52:02
しかしなんでこんなことを…?
- 81佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/20(日) 05:05:06
もし僕が決めていいなら、他の人たちを不安にさせる方法では使わないようにしたいです。
『……ふむ』
捕まえる為なら形振り構わない、って最初に決めてたなら、有りだったかもしれないけど……今回は、出来る限り事を小さくしようって意気込みでここに来たので。実際、少しは騒ぎになっちゃうとしても、最初に決めたことを自分で真っ向から破るのは、気が進まない……というか。
"カガリらしい、実直な考え方だね"
『そうしようか。滅多なことが無い限り、心臓に悪い作戦は封印で』
「では、改めて作戦会議です! 今すぐ会場を歩き回れるのは、アリスとユズとカガリの3人ですが……どうやって探しますか?」
"……ハレ。もしかしてだけど、ドローンって使えたりする?"
『おお。流石だね先生、今まさに言おうと思ってた。操作アプリもそろそろ立ち上がるから、カガリが荷物から出してさえくれれば』
"ありがとう。それなら……"
先生が発表した作戦は、『心臓に悪い作戦』に負けず劣らず、速効性がとても高い計画だった。みんなで改めて会場の地図を軽く読み直し、ハレさんのドローンが撮影した映像を先生とユズちゃんが確認できるように別の通信を繋いで……軽く気合いを入れながら、ひとまず散開。
なるべく荒事は避けたい、けど。それ以上に、怪我も禍根も残らないように終わらせたい……! - 82佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/20(日) 05:47:37
配置の整理! 犯人がこの会場から逃げるためには、先生が抑えてる『南側の出入り口』か、封鎖の看板と警備員付きで塞がれてる『北側の出入り口』の、どちらかを無理やり突破する必要がある。
会場を3つにエリア分けして、3人が別々に待機しておく。アリスちゃんが西側の『小説・マンガエリア』、僕が中央の『TRPG・ボードゲームエリア』、ユズちゃんが東側の『コンピュータゲーム・音楽エリア』……それぞれがある程度見通しが良い位置に着いたら、目を光らせつつも、基本的にはドローンで捜索してるチームからの連絡が来るまで待機……
"……映像、2台分ちゃんと届いてるよ。画質も結構いいね"
「こっちも見れるようになってます! ひ、人がすごく多い……ちゃんと見つけられるかな……」
『顔写真さえあれば、解析AIに頼めるんだけどねー……正直こっちはあんまり戦力になれないかも、先生の口伝てでしか見た目わかんないし』
"多分、なんとかなるよ。見た目だけがヒントでも無い筈だしね"
dice2d100=36 1 (37) チヒロとハレの技術ステータス-40(50)以下で成功
dice1d100=85 (85) ユズのゲーム:運動系ステータス-20(85)以下で成功
dice1d100=76 (76) 先生の知性ステータス(90)以下で成功
- 83二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 09:24:21
全成功じゃん?
- 84二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 14:08:07
やったぜ
- 85二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 20:11:58
早めに保守
- 86二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 07:36:41
大丈夫かな
- 87二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 12:52:34
勝ったな
- 88二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 20:37:31
保守
- 89佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/22(火) 05:01:17
"……あ、見つけた。アリスがいるエリアだね"
もうですか!?
"A機の映像の、右下辺り……ちょっと挙動が怪しい。やっぱり、追われてることは察してそう"
「むむむ……じゃあ、気付かれないように近づき――」
「アリスちゃん、遭遇は数的有利を取ってからにしたいかも。ここは一回、気付いてないフリでやり過ごして……!」
「なるほど、わかりました!」
「あと、カガリ先輩。アリスちゃんが今、エリアの北側にいるので……南側の端、犯人を挟むような位置に移動してほしいです。目は合わせないようにお願いします。わたしも合流しますね」
おっけー! じゃあ、先生からも様子が見えるような場所で……
『慣れてるねー、ユズ。経験者?』
「メ、メタルギアを少し……」
……目立たないよう適度にうろうろしながら、続報を待つ。どうやら犯人は僕にまだ気付いてなくて、アリスちゃんから離れるように南側へと歩を進めているらしく……
それはつまり、先生が抑えてる出入り口を強行突破するつもりかもしれない、って意味でもある。銃撃戦になる可能性を考えて、先生にその場を離れてもらうことも考えたけど、本人はそのつもりがなさそうだった。
「……カガリ先輩と合流できました! えっと、一旦横に隠れて……犯人が南側のスペースまで来れるようにします」
なるほど。南西の隅っこに追い詰める感じだね……
「では、アリスもこのままゆっくり追いかけます! 包囲網は完成間近です!」
『……よし、顔認証に使えるくらいの画像は撮れてるかな。万が一取り逃がしても追跡は可能だと思う』
"ありがとう、チヒロ。これで準備は粗方済んだかな"
一挙手一投足に目を光らせながら、なるべく隙間が無くなるように3人で陣形を組んで、それとなく近付く……もう少し、もう少し距離を詰めてからの方が確実。その時が来たら先生が合図をくれる。
ふと、犯人がその場に立ち止まった。それは、出入り口近くに控えている先生をじっと観察しているような視線で…… - 90佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/22(火) 05:14:32
……違う。今、僕と目が合った。
アリスちゃんとユズちゃんにも一瞬ずつ睨みを利かせる。続けざまにくるっと上を向いた目は、2機のドローンを順番に見やったような気もする……
"気付いてたんだね。いつからだろう"
全員の疑問を代弁するような先生の声で、緊張が少し和らぐ。……ここまで来てなんのつもりだろう? 降伏……って感じの表情には見えない。何に対してかはともかく、やる気満々って感じ……でも、荒事をするんだったら不意打ちの方が絶対に良いはず。なのにこうやって堂々と立ってる理由は……
……交渉?
「カガリ先輩? 何を――」
たぶん大丈夫、ユズちゃんはそのまま待ってて。ちょっと話してくる。
「………………」
先生から制止されることも予想してたけど、それが無いってことは、別に良いってことだろう。そうして僕が一歩踏み出すと、犯人は意外にもふにゃっと笑ってみせた。
「佐藤カガリさん、だったっけ。ゲーム開発部の」
こんにちはー。まあ、そうですね、色々あったんだけど……君は?
「んー……名乗るのにちょうど良い名前がない。本名も出したくない、ってか気軽に出すもんでもないし」 - 91佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/22(火) 05:27:44
「"エニーリス"、ちょっと触らせてもらってさ。正直粗捜しっていうか、重箱の隅つっつくつもりで来たんだけど、実際めっちゃ出来良くてひっくり返るかと思った」
えー! 嬉しい。ありがとうございます、なるべくあのままの遊び心地でリリースできるように頑張ります。
「マジ頑張ってほしい。邪推だけど、カガリさんの存在が大きいんだろうなって思ってんの」
話しぶりはとてもフレンドリーだった。まあ、ちょっとマイペースな気がしないでもないけど、ミレニアムにもそういう人はごまんといるし……特にコトリさんとかと比べたら……
「思うんだけどさ、今までのGDDに何が足りなかったかって、真面目さだよね。いや、不真面目とは言わないけど、作ろうとしてるモノのスケールと比べて不十分だったんだよ」
あー。まあ、仰ってる意味合いはわからなくもないというか……
「ゲーム作り、楽しい?」
……は、はい?
「楽しそうだよね。見たらわかる」
一気に2歩分、距離が縮まる。手を伸ばせば触れるような位置。
それと、さっきまでには無かった気迫みたいな物もあった。だからって圧されて退き下がったりしないけどね、よっぽど酷いことされるとしても殴られるくらいで済むだろうし――
dice1d100=1 (1) 戦闘ステータス(62)以下で成功
- 92佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/22(火) 05:58:03
すごくラッキーっていうか、狙ってくる位置がなんとなく見えた。右手で懐から何か取り出して、頭めがけて思いっきり振り下ろす感じだったので、サッと手を使って守る。で、ついでに得物も掴んじゃう。
……ナイフ!?!?!!?? の、刃じゃない側? 背中側? の冷たさが、手のひらにじんわりと伝わってくる。 ……何それ。えっ? どういうつもり……????
「クソが、何もかも上手くいかねえな俺」
……これ、果物用のナイフ? 意外と優しいってこと?
「うるせえ」
しれっと蹴りが飛んできたので、くるっと身を翻して避ける。左側に動いてしまったのでナイフを受け止めている手がねじれて、相手の手からぽーんと抜けて僕の手元に来た。1mちょっと離れて、気まずく見つめ合う……とりあえず、ナイフは後ろ足で蹴って無かったことにするとして。
「………………」
ええっと。色々あったけど、もうちょっと話し合いが必要なんじゃないかな、って僕は思うんだけど。
「あっさり捨てたな。刺し返してやろうとか思わねえの?」
刺し……えっ、なんで?
「…………っ、あ゛あああ゛あ゛ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」ガバッ
うわーーーーーーー!!?!??!?? ちょっ何っ急に、掴みかかるにしても脈絡が……!
「知るか!!!!!!お前みたいなやつ嫌いじゃないと思ってたけどお前は嫌いかもしれねえよ!!!!!!!!!」
何を言ってるの!!? ま、待って、とにかく落ち着い――
「光よ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
……あっ。
dice1d100=58 (58) 運動ステータス(67)以下で成功
- 93佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/22(火) 06:12:11
……破壊的な直感に身体を支配されて、光に包まれながら思いっきり横に転がってみた。するとなんということだろう、黒焦げになった犯人が僕の隣に倒れている。一瞬の出来事だった。なんか、盾にしちゃったみたいで申し訳ないけど、でもこれで文句言われる筋合いもないよね。
「か、カガリ先輩っ!!!!」
あっユズちゃん。全然大丈夫、僕に怪我はないんだけど……そっちが……
「ごめんなさい、刃物が出てきた時、すぐ助けに出るべきだったのに……か、固まっちゃって……うう……」
「……目標、戦闘不能。ミッションコンプリートです!」
"お、お疲れ様、みんな! とりあえず……どうしようか"
『えっと……ひとまず、そいつの武装解除が先、かな。2人以上で取り掛かってね』
……みんな揃って混乱していた。勿論僕も。アリスちゃんのレールガンが鳴らした轟音で、こっちに異変を感じ取った参加者さんたちの視線が、立ち上がろうとした瞬間の僕に全部集まって、変に申し訳ない気分になった…… - 94二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 11:50:05
普通に不審者だったな
- 95二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 13:14:57
こいつも訳アリか?
- 96二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 20:59:39
戦闘パーフェクトはC&Cでの仕事のお陰かな
- 97佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/23(水) 04:49:21
「……い、いたよお姉ちゃん! しかもみんな揃って!」
「ちょっとユズ、何がどうしたのさ! 急に呼び戻したと思ったら誰もブース居ないし。なんか大きい音は聞こえてくるし……!」
"あはは……ちょっと事情があってね。2人とも無事でよかった"
「ご、ごめん。あの時バタバタしてて……」
そういうモモイちゃんも、『急いで帰ってきた』感じでも無さそうだけど。荷物くらい置いてきてもよかったのに……
「うぐっ……と、とにかく! うちの部に関わることなら、ちゃんと説明してほしいなって!」
久しぶりに1ヶ所に全員集まったところで、再び2つに分かれる。改めてブースに戻ってお客さんを待っている方と、犯人を連れて静かな場所でゆっくり事情を聞く方……
僕は後者に入った。というか、先生が1人で話すつもりだったっぽくて、慌てて僕も交ぜてもらうことにした。先生、危機感が無いわけじゃないと思うんだけど……もう少し用心してほしい。一応刃物持ってたんだからねこの人。
"そうだね……私からも聞いていいかな。お名前は?"
「……あんた、シャーレの先生だろ? あんまり良い噂聞かないぞ」
わ、悪い人じゃないよ! 間違いなく変な人だけど……
"厳しいご意見。じゃあ、せめてどこに通ってるかだけでも……"
「ゲヘナ。あんま登校してねえけど」 - 98佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/23(水) 05:09:29
「俺さ、元々は個人でゲーム作ってたの。SNSもやってて……ゲーム開発部の中の人とも相互フォローだったし」
そうごふぉろー……ああ、お互いにフォローってことか。え、相互フォローってどういう関係なの?
"人によるかな。知り合い以上友達未満ってこともあるし、下手な友達より親しいこともあるし"
「友達は違う気がする。もうゲームも作れてないし」
"……それって、今日こういうことをした動機と、何か関係があったりする?"
むすっとし続けていた彼女だけど、その質問で一層険しい顔つきになった。
「わかんないわ。動機とかあるのかな……強いて言うなら、メンタル病んでたと思う」
"ゲーム開発のことで?"
「それもある。"行き詰まり感"っていうか……進んでない感じ。くたびれた分が報われてない……報われなさそうな感じ。これ完成させたからって何? みたいな」
……う、うん。個人でゲーム作ってる人、たまに見るけど……絶対辛いよね。時間も体力も……
「それに耐えられなかったわけ。モチベが枯れて……それでもなんか一部分だけ作り上げて発表すると、褒めも貶しもそこそこ届くんだけど、なんもリアルに感じられなくなる。『こいつら薄いこと言ってんな』って。多分その時には既に病んでるんだろうな」
さっき最初に話した時も、意外によく話す人だなって思ったけど……こうして機会を設けたら、その数倍くらいの言葉が聞けた。ほんの十数分前までの、全く正体不明の敵って印象と比べると、あまりにも普通の人間だった。 - 99佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/23(水) 05:33:01
「……動機の話だっけか。"先生"が言う所のサイバー攻撃は、ヤケで始めたと思う……ゲーム開発者が標的だったのは、まあ、構ってほしかったんじゃないかな。居場所だったから」
"やってる時って意外と楽しかったりするの?"
「不謹慎な質問だな。まあ面白いよ、有名なスタジオのリーク情報投稿するとさ、RTしてくるのって大体プロフに『ただのゲーム好き』とか書いてるやつなんだよ。あーやっぱり! ゲームは好きだけどゲーム開発者の立場とか利益に微塵も興味ねえやつらって山ほどいるんだな! ってケラケラ笑いながら見てた。下らねえ、マジで」
……怖っ。どっちも怖いんだけど。
「で、今となっちゃ俺もその1人ってわけ。なんかもう、尊敬とかリスペクトだとか、疲れた……向いてないし。自分の場合、外側にいる方がまだマシ」
"………………"
再犯の可能性は低い、かな。なんとなくそう思う。ただ、ここからもっと鬱屈とした生き方に変わっちゃいそうでもあった。
そして多分、僕が直接どうにかするのも難しい、僕自身、生徒としてゲーム開発者として、かなり恵まれた立場にあるってことは十分自覚してる……そこから建設的な取り組みを考えるには、あまりに無知だってことも。
「めっちゃ自分語りになっちゃった。ちょっとスッキリしたかもな、どうも」
あっ、うん……ねえ、1個聞きたいことがあるんだけど。
「んー?」
君がさっき言ってた『ゲーム開発部の中の人とも相互フォローだった』って、多分モモイちゃんかミドリちゃんだよね。どっち?
「……それ聞いて、何か役に立つのか?」
せめて話しておいたほうがいいんじゃないかなって。……好きなんだよね?
恋愛的な意味に限らず、って付け加える。その一言で挽回できないくらい、彼女は動揺していた。 - 100佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/23(水) 05:46:19
"カガリ。……こうやって聞き出すのは、やめておかない?"
……た、確かに。ちょっと余計なお世話っていうか、簡単に触れるべきじゃないかも……
「いいよ先生、ちょっと興味ある。どうしてそう思った? 佐藤カガリ」
え、えーと……さっき話してた『動機』、『サイバー攻撃を始めた動機』ではあったけど、『今回に限ってわざわざK.PCEの会場まで来た動機』じゃないな、って。別に今までのリークって、サイバー攻撃だけで出来てたんでしょ?
「……あー、まあ、そうか」
それでね。今回の事件の捜査、先生と僕たちだけじゃなくて、ちょっと有名な凄腕ハッカー集団のみなさんにも協力してもらってて……
「はあ???? ……待て、"ヴェリタス"って言うんじゃないだろうなそこ」
"まさにそうだよ!"
あ、あはは……そう、そのヴェリタスが、グループチャットに送ってくれた情報によると。今日この会場で、ハッキングを受けた形跡が残ってるのはゲーム開発部ただ1つだけ、らしくて……
"……本当だ、届いてる。じゃあ、この会場に来たのは、最初からゲーム開発部だけが目当てで?"
はい、そうなんじゃないかなって……それで、性格とか色々考えると、事前に相互フォローだった可能性があるのはモモイちゃんとミドリちゃんかな、と。 - 101佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/23(水) 05:59:38
「実際、かなり執着してたと思う。主にモチベとか……モチベに限らず、その時の俺に必要なもの、全部持ち合わせてたやつと相互フォローだったから。嫉妬っつーか、自分が情けないというか」
"……改めて見ると、荷物も少なめかも。最初から大がかりなハッキングをするつもりは無かったんだね"
「盗聴器くらいかな……プチマスコット売ってるのは知ってたから。買って埋め込んでからしれっと返せば、部員の誰かが身に付けてくれるかもって思って。もう完全にストーカーだな、気持ち悪」
うぐっっっっ………
「後は、スマホにハッキング用のソフト入れたやつくらい。てか聞いてくれ、あれブラックマーケットで"ヴェリタス製"って言われてたから買ったんだぞ。今回に限ってそのヴェリタスが相手とか、何の冗談……」
ブラックマーケットに流れてるんだ……
"……もう一つ、気になるものがあるんだけど"
"果物用ナイフ。人を傷付けるつもりで用意してたなら、あれが一番駄目だよ"
「ああ、ナイフ? そういうんじゃないよ、さっき背の部分で殴りかかったのはその場のノリで……もし捕まったら、ケジメで小指切るのに使おうかなって思ってただけ」
えええええ!!?!??!?!!??!?
"それも駄目。当たり前だけど、『人』には君自身も含まれる"
「そっか。すいませんでした」 - 102二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 12:38:39
つらいなぁ
周りからじゃ何ともしがたいのがつらい - 103二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 20:15:39
何でもあるなブラックマーケット
- 104佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/24(木) 04:22:30
「で、自分はこれからどうなるんですかね」
……どうなるの? 僕も知らないので先生の様子を伺ってみた。
決して明るい表情とは言えないけど、そこまで鎮痛そうでもない……じゃあ、大丈夫かな。
「やっぱ矯正局? 自分を見つめ直すってやつ? それで言うとSNS断ちもすることになるか。あと、卒業とかのこともちょっと考えなくて済むし……別に悪かないのかもな」
"厳密には、私はそうする権限の持ち主じゃないんだけどね。現場にヴァルキューレ生がいたわけでもないし"
そ、そっか。なら、この場合は……現行犯逮捕しましたって言って、ヴァルキューレに通報?
「え、まだしてなかったんだ。いつでもどうぞ、別に俺もう逃げないし」
"ところで。話は変わるんだけどさ"
"ゲームを作る側としては、苦い思い出があるみたいだけど……遊ぶ側としては、どうなの?"
急な質問だったので、空気が一瞬止まった。目を瞑って悩ましそうに逡巡する彼女……
「……まあ、面白いなって思ってる。やるジャンルすっかり変わったけど……だいたい楽しんでるよ、個人としては」
"いいね。楽しめるのは素晴らしいことだと思う"
"だったら、改めてこの会場を回るのはどうかな。新しい発見があるかもしれない"
……先生!? そ、それって……
「あー。それは、先生がちゃんと監視しててあげるよ~ってことですか?」
"1人で回りたいならそれでも大丈夫。趣味の散策に大人が着いていっても、気を遣わせるかもしれないから"
だ、大丈夫なんですか、それ。その、考えはわかるんですけど、一応ちょっと心配っていうか。
"大丈夫だよ。容疑者が捕まったとは言っても、ヴェリタスは今日いっぱい会場の監視を続けるだろうし……"
……『何か起こったら、起こってから考えればいい』みたいな?
"そうだね。私がなんとかする"
「………………」
せ、先生。まさかそこまで言う人だとは……いや、思ってないわけじゃないけど。そういう人ですよね、先生。 - 105佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/24(木) 04:41:46
「――わかった。見て回るよ……あんたが期待してるらしい何かと、同じものを期待することはできないけど」
"私が期待してるもの?"
「うん。俺になんかいい影響が有ればって思ってる口振りじゃん」
"……そうかもしれない。優れた作品は、受け手の人生を変えてしまうことがあると思ってる"
"私は実例を見たことがある。あるゲームに出会ったことで、全く新しい世界を知った子がいてね"
「そっか」
それだけ言ったかと思えば、服のポケットに両手を突っ込んだまま、会場へ歩き出す彼女。
掛ける言葉が思いつかなかったので、じっと見送ろうとしたら、ふと振り返って、こっちに向けて口を開いて……
「あー……教えておいていいかな。俺の名前は――」
「うわーーーーっ!!?!?? ドスケベなすびさんだ、久しぶり!!!!!!!!」
!?
"!?"
「……は、はい? あっ……え、あの、誰ですか?」
「あ、顔じゃ覚えてないか。モモイです、ゲーム開発部のモモイ。ホントに久しぶりだもんね、アカウント全然動いてなかったし……」
あの、モモイちゃん? ドス……ドス何? 知り合いなの?
「あ、カガリ先輩……と先生。私のネット友達の『ドスケベなすび』さんだよ、オフで会うの初めてだけど」
「ごめんなさいそのハンドルネーム丸ごと使って呼ぶのやめてくれませんかマジで」
「えー。自分で付けておいて……じゃあドスなすさんか。こっちも割と気持ち悪いと思うけどね」
ドスなすさんの顔色がみるみる青くなっていく。……なるほど、モモイちゃんの方だったか…… - 106二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 04:53:57
あの…ナイフ持ち出すほど病んでたとか色々ぶちまけた事よりもダメージでかいんですが…
ノリでつけたHNをリアルで呼ぶのはやめて!死ぬから!社会的に死ぬから! - 107佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/24(木) 05:00:00
"っ、そういえば!! モモイはどうしてここに!?"
「私? ユズからいろいろ説明されて、先生のこと探してた。なんか、うちの部がハッキング受けてて、その捕まった犯人と話してるって聞いて」
「……へ、へえー」
そ、それで探してたの? なんで?
「1発くらいぶん殴ってやろうかなって」
「………………」
モモイちゃんらしいね!!!らしいけどそこまでしなくて良いんじゃないかな!!!!
「でも、結局ユズに『ごめん』の一言も言ってないらしいじゃん! 穏やかなのはユズの良いところだけど、舐められてもいいって意味じゃ――」
"犯人なら、もう引き渡したよ。今は運営の事務所にいて、ヴァルキューレの到着待ち"
「!?!!??」
「あ、そうなんだ。くう……一足遅かった……」
事務所突撃はしないんだ、モモイちゃんと言えど。
「いやー、ユウカとかに比べたらちょっと迷惑掛けづらいよね……またK.PCE出たいなって気持ちあるし……」 - 108佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/24(木) 06:03:04
「あ、ドスなすさんって会場どのくらい見た? ってかうちのブース来た? 今回展示側で参加しててさ」
「いや全然見てなくて……そう、その、今来たばっかで」
「そうなんだ。じゃあ最初に見てって、すぐそこだから! ゲーム2つあるよ」
「……あの、来たはいいんだけど、気後れしてるんだよね。俺もうゲームも作ってないし」
「え、気にしなくてよくない? お客さん全員の中でゲーム制作者とか10%もいないと思うよ。えっ待ってゲーム作るのやめたの!? ど、どうしたの、何かトラブルとかあった!?」
「いや……ただ単にその、精神面……」
「あーーーーそっかー……」
「………………」
「まあ、いろいろ飽きて暇になったらまた始めてもいいんじゃない? 割と待ってる人いるし実際、私もほどほどに期待してるし」
「……でも、アンチとかもいるし、俺」
「平気平気。なんならアンチも『待ってる』の内みたいなもんじゃん、たまに燃料注いであげなよ」
「お前さぁマジでイカれてるって頭……万人がそうはなれねえって……」
かなり困らされてるみたいだけど、ドスなすさんの声色はさっきより格段に明るかった。なるほど確かに、こういう人にはモモイちゃんの振る舞いがすごく響きそう……良くも悪くも。
……なんか、僕とは似ても似つかない筈が、なぜか他人のように思えなかった。も、もしかしてアリスちゃんの話になってる時の僕って、こういう感じで映ってるのか? 考えすぎなような、それっぽいような……
「うーん、結局カガリ先輩も先生も暇してそうだし、連れ帰っちゃおうかな。いいよね先生」
"大丈夫。改めてブースの様子も見たいし"
「じゃ、そういうことで。気が向いたら来てね!」
「あ、うん……じゃあな」
去り際、ぽつんと立っている彼女と目が合う。……少し困っているような、怯えているような感じで……モモイちゃんが来る直前までの、風が吹けば飛びそうなくらい『無抵抗』の様子からは一変していた。
僕は、このことをどう受け止めるべきだろうか。
dice1d100=72 (72) 目安は倫理ステータス(54)
dice1d100=80 (80) 目安は慈悲ステータス(62)
- 109二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 08:27:50
混乱してらっしゃる
ドスケベなすびかぁ… - 110二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 13:42:42
どっちも上回ったな
- 111二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 20:07:59
ちょっと気が紛れた?
- 112佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/25(金) 05:55:57
……普通に考えるなら、この人とゲーム開発部はもう関わり合いにならないほうがいいし、それがこの人の為でもあるんだろう。でも……
………………
「な、なんだ? やっぱ殴るか?」
いや、流石にそんなんじゃないけど。いつかちゃんと、謝りに来てくれたら嬉しいなって……
「っ……わかってる、それは」
あはは……僕が言うと、あの子が言うより子供っぽい意見に聞こえますね。人のことを言える立場じゃないからかな。
「どういう遠慮だ。許すも許さないも好きにすればいい、俺がしたのってそういうことだろ」
んー……別にいいです。人のことを『許す』とか『許さない』とか決めていい権利なんて、持ってない方が幸せじゃないですか?
……それじゃ、と言ってくるっと立ち去る。……最後の言葉、僕が以前から持ってるポリシーとかじゃなく、自分でも何が適切かわからなくて、苦し紛れに出した言葉だったけど……ひとまず意味不明ではなかったと思う。
信じるのとは違うけど、僕はこれ以上疑わないようにする。『先生が信じてるなら』って理由で。再び立ち入った会場には、さっきと全く変わらない賑わいが続いていて、今日の作戦が概ね成功したことを表現してくれていた。
精神力ステータスが成長します 64 +dice1d10=9 (9)
戦闘ステータスが成長します 62 +dice1d4=4 (4)
- 113佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/25(金) 06:18:27
「あ、カガリ先輩。……おかえりなさい」
ただいまー。今どんな感――
「大丈夫そうでした? 例の人」
……う、うん、割と平気だと思うよ。ですよね先生!
"カガリもこう言ってることだし……"
「……そうですね。大丈夫です、その、私も文句が言いたいわけじゃなくて……」
ミドリちゃんの顔は少し疲れて見える。……事件のこと、結局最後まで話せてなかったし……すごい速さで適応しちゃったモモイちゃんはともかく、ショックを受けて当然だろう。
「優しいですよね、先生もお姉ちゃんも……しかもカガリ先輩まで。私はちょっと、みんなと違うというか」
……そうかな。ミドリちゃんも優しくない?
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、違うってのは本当のことだと思います」
うん、同じだとは思わないよ。みんなとは違う感じで優しいよね。
「………………」
いつも頼りにしてるから……良くないって思ったことは言ってね。なんだか、こればっかり頼んじゃってる気がするけど。
「頼りにしてくれてるなら、まるでそれが普通のことみたいに自分1人で考え始めるのはやめてほしいです」
うぐっっっ……
「私は、ゲーム開発部のメンバーなので……部のことは部のみんなで考えたい、って気持ちがあります。それ以外の考え方も知ってるし、大事だと思うけど……でも、気になっちゃうというか」
これからは気を付けます……
「ごっ、ごめんなさい、怒ってるんじゃないんです! 私もよく、わからなくて……」
大丈夫! その、たまにこういうこと話そうね。僕はいつ蒸し返されてもいいから!
「……ありがとうございます」 - 114二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 07:00:29
成長値もほぼ最大でミドリとも距離が縮まったからかなり実りのあるイベントだったね
- 115二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 12:37:26
仲良しが一番
- 116二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 20:35:54
終わり良ければって事か
皆ともまた距離縮まったし - 117二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 08:14:04
保守
- 118二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 14:09:54
このレスは削除されています
- 119二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 20:25:02
早めに保守
- 120佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/27(日) 05:04:11
「ミドリさー、やっぱりカガリ先輩と回ってきたら? さっきなんか言ってたよね」
な、なんかとは。
「結局機会逃し続けてるから、カガリ先輩にビジュアルとかサウンドとか触れさせて何かビビッと来ないか試してもらいたいなー、って。私も賛成だよそれ」
……そうなの?
「そうです、けど。でもカガリ先輩、いろいろあって疲れてるかもだし」
大丈夫だよ? ミドリちゃんから誘ってくれるならいつでも――
「ほらもう、聞いたらこうなっちゃうじゃん!!! 私が黙ってた理由!!!!」
「い、言わんとしてることはわかるけど……いや、ごめん、確かにこれは私の悪い癖かも」
――しかし、妹よ。やっぱり姉としては、ミドリが自分のわがままを言う機会もあってほしいって思うんだよね……と、モモイちゃんは続けた。
前触れもなく良い話みたいな空気を流してきたことに不満の色を示しながらも、横で聞いていた先生たちからの後押しもあって、僕とミドリちゃんで会場を回ることになり……
「連れ回すことになっちゃいましたけど……あんまりプランとか練ってなくて。手探りで回ってもいいですか」
うん、全然。っていうか、手探り以外の回り方ってあるの……?
「一応、私のジャンルの好みはあります。でも、こういう会場に来てる時こそ、新しいものに触れてみたいので」
なるほど。じゃあ、片っ端から回っちゃおうか!
「はい。そしたら、まずは――」
dice1d2=2 (2)
1.ビジュアル
2.サウンド
*エンカウント!*
dice1d3=2 (2)
1.……そわそわ
2.びくっ
3.金髪女子の身長差コンビ発見!!!!!
x.猫の手 (※封鎖中)
- 121佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/27(日) 05:54:02
ここが音楽関連のエリア? な、なんか……派手……やんちゃというか……
「うん、やっぱり治安が一番悪いのはここですね」
治安が悪い!?!!?
「大丈夫です、慣用表現なので。DTM作家さんの性っていうか……感覚が鋭敏な人が多くて、ブース造りも自然とこんな感じに」
DTMとは「デスクトップミュージック」の略で、ざっくり言うと『パソコンに取り込んだ音をソフトを使って編集する形で楽曲を作る方法』ってことらしい。演奏と収録っていう高いハードルをくぐれる利点の他、DTMならではの表現も多く生まれていて……まあ、そんな感じ。なんだか異世界旅行に来た気分だった。
「個人的には物語音楽とか、歌詞カード付きの冊子とか同梱されてるようなのも好きなんですけど……作風にすごく引っ張られちゃうことがあって。でもホーリーサウンドの新譜は現物で欲しいな、確かこの辺りに」
ほーりー……あそこかな。今お留守かも。
「……仕方ない、時間が有ったら引き返します。っと、この辺りは合成音声島ですね! ボカロを代表とした機械の声で歌入りの曲を作ってる人たちで、最近は特に小説や漫画やゲームを題材にして曲が書き下ろされるってことも多くなってて、いつかうちでも頼んでみたいなって」
ボカロ……初音ミクとかのこと?
「そうです、以前キヴォトスでもライブが……ああああああっ!? ぴ、ピストンコラージュ合同!? 待って何それ初耳なんだけど、こ、こんなものが……ちょっと行ってきます!!!」
……行ってしまった。ミドリちゃんあんな声出るんだ。
買うだけなら一瞬で済むところを、画面に映された不思議なモノに釘付けになりながら、ブースの人と熱い議論を交わしている様子のミドリちゃん。……この間に、僕も近場で何か探してみようかな。
と思って目星を付け、少し良い雰囲気の場所に入った時。『こんにちは』と挨拶した声が、横から来た別の人の言葉と混ざってしまった。
「……ア、すいません」
いやっ、こちらこそ……え?
「えっ」
ドスケベなすびさんじゃん。なんで?
「い、いや、普通に回ってて……言われた通り……」
そう……でしたね。その、僕も普通に……
「ああ……」
「え、お二方とも知り合い? めちゃ運命だね、良いもん見た」
ブース主さんの気さくな声でちょっと現実から引き剥がされる……いや、普通に気まずいんだけど。 - 122佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/27(日) 06:11:05
「で、何。お前もヴェイパーウェーブ好きなの?」
……ほんとだ、これVaporwaveって言うんですね。その、正直なところ、ブースの雰囲気が良かったから来ただけなんですけど。
「え、むしろそっちの方が嬉しいかもしれん。タダでこれ渡したい気持ちに駆られる」
「この人なら商業性ある部活の一環で来てるから経費で落ちますよ、どの道」
言い方!!!!!
「だってモモイが実際によく言ってたし……」
「じゃあ、じゃあさ、新譜か旧譜どっちかお買い求めいただけたら、もう片方プレゼントってことで」
……し、新譜で。せめて高い方で。
「マイドアリィ~。え、部活って何? ちゃんとこれ経費で落とせる?」
その、ゲーム開発部です。作品に活かせるアイデアが無いか探してて……
「ひゃー! ゲームってまた大変だね、尊敬するわ私」
「この人マジですごいですよ実際」
な、なんか話しづらっ……こんなに話しづらさ感じたの久しぶり。どうしてだ。
やり取りから逃げて、受け取ったディスクケースを観察してみる。……わざとなのか、セピア色に塗られたプラスチックで出来てて、しかもジャケットはインクが褪せたような淡い色調でデザインされていて、すごく古い雰囲気がした。あと、微妙に違和感のある日本語がそこかしこに書いてある……もしこんな内容のメールが届いたら、絶対開かないだろうなって感じの。なんなんだこれは。
(≪音楽/Vaporwave≫のエッセンスを獲得した!) - 123二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 10:27:50
こういうのは制作者の癖が出るからねぇ
と言うかドスケベちゃんメッチャ喋るじゃん - 124二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 13:16:35
こういうのもまた即売会良いところだ
- 125二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 20:32:43
ヴァイパーウェイブってジャンルが普通にあるのか
知らなかった、面白そう - 126佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/28(月) 05:35:17
……その、なんで同じ方に歩いてくるんですか?
「別方向行ったらまるで俺が逃げたみたいになって心証悪いな、って思ってたんだけど今ちょっと後悔してる」
そうですか。いや別に、僕は良いんですけど、そろそろミドリちゃんが――
「カガリ先輩! すいません急に、お買い物は一通り……あれ、お知り合いさんですか?」
「ヒュァッ」
……まあ、ちょっと。ハンドルネームしか知らないけど。
「おお、ということはカガリ先輩にもネットのお友達が……! いいですね!」
う、うーん……
(こんな時は内なる慈悲の声を聞こう)
dice1d100=59 (59) 目安は慈悲ステータス(62)
- 127佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/28(月) 05:56:11
えっとね? さっき会ったんだけど、元々モモイちゃんの知り合いらしくてさ。"ドスケベなすび"さんっていう……
「エッ」
「あー、なすびさんか。よく横から見てました、確かゲーム作ってましたよね」
「は、ハイ。あの、すいません……な、んか……」
「姉がお世話になってます。ちょっと喧嘩っ早いというか、見てて危なっかしいと思うんですけど」
「いやでも、俺の方も正直同じような、俺のほうがむしろ酷い感じもあって、ぇひ」
「そうですか? 割とブレーキ踏んでた印象が……」
「っご、ぉ、ごめんなさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
突然の大声に、少し周りの視線が集まる。……なるほど、そうきたか……
「えっと、ごめんなさい、とは……? すいません、話があんまり――」
ミドリちゃん、ちょっと場所変えよう。この人たぶん静かなとこの方が良い。
「そ、そうなんですか」
たぶん! ドスなすさんもそれでいいですよね、第2ラウンドってことで。
「あ、ぅぁ……ぶぇ」
思考の混濁がすごそう。引っ張って連れていこうかな……当人にそのつもりがあるなら、ゲーム開発部の未来に禍根を残さないって意味でも、清算の機会はちゃんと大事にしよう。と僕は思ったんだけど、これは正しい選択なのだろうか。 - 128佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/28(月) 06:32:43
それで、自分から話します? 僕から話します?
「……頼んでいいかな……話すガソリン、なくて……」
「だ、大丈夫なんですか!?」
んー……そうだね。その、先生と僕があらかじめ話してあるって前提で、結論言っちゃっていい?
「はい。その前提でですね」
この人がまさに、うちのブースのハッキングの現行犯なんだけど。
「……はい!?」
「ヒィィ……ア……」
一応、さっきの別れ際に『いつか謝りに来てくれたら嬉しい』って言った……んだけど。正直、こんなに早いとは思ってなくて……
「ご、ごめん、なんか、気が焦ったっていうか、今じゃないのかなって思ったんだけど、焦ったみたいで」
「そう、ですか。わかりました」
ミドリちゃんの目はかなり厳しい。僕もよくこういう目を向けられることがあるので、一緒に怒られてる気分になってしまう……なってしまうというか、実際僕に対しても怒ってるかもしれない。いや、むしろそう考えたほうが自然かも。
「お姉ちゃんはこの事、知ってますか?」
「知らない。はず。さっき知り合いとして挨拶はしたけど、それだけ」
うん。その時この人が白状するつもりだったかはわからないけど、それよりも先に先生が、上手く庇っちゃって……
「なら、これ以上のことは聞きません。先生が私たちに黙ってたってことは、私たちが知らないほうが良いことかもしれませんから」
「……ごめん、本当に」
「いいです……いや、よくないですけど。でも、全部保留です。今日はみんな、楽しむために来てるはずなので……あなたもそうしてください」
その言葉はおそらく、ちょっとした慈しみであると同時に、それを厳しく突き放して、自分自身について考えさせるものでもある。僕はミドリちゃんの中に、モモイちゃんとどこか似ている部分、モモイちゃんとは決定的に違う部分を、それぞれ見つけた気がした
歩き出したミドリちゃんを追いながら、彼女の様子を振り返って確かめる。さっきと同じ表情、さっきと似た場面……でも、言うべきことはもう全て言ってある。なので、『じゃあ、お元気で』みたいに無難な言葉を告げて、足早にそこから消えることにした。 - 129二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 10:17:50
まぁそうなるよね
言われただけで解決するものじゃないし - 130二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 20:06:01
ちょっと湿っぽくなっちゃったな
- 131佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/29(火) 04:15:58
……うーん。み、ミドリちゃん、上の空っぽいなぁ。
ミドリちゃん、ゲーム開発部だと『引き締め役』として大事なところに声掛けしてくれるけど。お互いに慣れ親しんだ相手だからこその役割でもあって……そして、さっきのドスなすさんに限らず、この子は出会った当初の僕にもずっと公平な言葉をかけてくれてて、でもそれってすごく心を疲れさせることで……
「………………」
ミドリちゃん! も、もうちょっと一緒にどっか回ってみませんか!
「えっ?」
あの……1人だとどこ行けばいいかわからなくて! 紹介……してほしいなって……
「……ふふっ。たしかに、まだ案内の途中でしたっけ」
さっきの話、ちょっと厳しい雰囲気のままの解散だったけど、だからと言って悪い終わり方じゃなかったはず!
なのでこれ以上のことを考えるのは後にする。そして元の日常に戻ることにする。ミドリちゃんがもやもやしてるなら、今この時くらいは僕が率先して明るく振る舞ってみる……こういうの、あんまりした経験がないけど。やっぱり変だったかな……ふふってさせちゃったし……
dice1d2=2 (2)
1.ビジュアル
2.サウンド
*エンカウント!*
dice1d3
1.……そわそわ
2.金髪女子の身長差コンビ発見!!!!!
3.猫の手
- 132佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/29(火) 04:16:25
- 133佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/29(火) 05:33:26
この辺りのブース、人物のイラストが多いね。みんな美男美女って感じだし……
「……お、おお。K.PCE、シチュボまで専用のエリアがあるんですね……すごいイベント」
しちゅぼ? とは。
「シチュエーションボイス、の略です。キャラクターが何かを喋っている内容の、セリフの声を収録したもので……耳かきをしてくれたり、寝かしつけてくれたりするシチュエーションが特に人気だったりします」
へー! 面白そう……ちょっと試してみたいかも。
「あ、でも、変なのもあるので気を付けてください! 一応、注意表記に従えば大丈夫だとは思います」
注意……あ、あー。えっちなのとか?
「それもそうなんですけど、ちょっと残酷だったりショッキングな表現も中にはあります。需要があるから生まれてる作品ですし、そこに悪意があるわけでは決してないとしても、刺激が強いのは確かなので……」
く、詳しい。やっぱり頼りになる……もしかしてこっそり趣味なのかな。ここの雰囲気的にも、どことなくマニアックな感じが漂ってるけど。……それはそれとして、さりげなーく、ミドリちゃんの背中側に身を乗り出しておく。
不穏なことに、後ろからの視線を感じた。たぶん追いかけてきてる……また不審者? 『マニアックなジャンルには魔物が潜んでいる』みたいな迷信っぽい考えに賛同するわけじゃないけど、でも明らかにこのエリアに入ってからではあって。うーん。どうしたものか。
「カガリ先輩、どうかしました?」
ん……いや、ちょっと進んだらまた雰囲気が違うなって。さっきまではタイトルが長文だったけど、短くまとまり始めたっていうか……
「こっち側は、ボイスドラマが纏まってるみたいです。名前の通り、映像無しで声をメインに楽しむドラマって感じの」
そういうのもあるんだ……そこの角のブース、ちょっと見てみていい?
「はい! えっと、"双子シスターの美味なる事件簿"……沢山ありますね。シリーズものなのかな」
あらすじを流し読みしながら、通って来た道からは隠れるように少し身を縮める。……こうすれば、追っかけて来てる人、近くまで来てくれるんじゃ? - 134佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/29(火) 05:52:07
「うーん、サスペンスか……うちの場合、お姉ちゃんに書かせると途中から凄いことになっちゃうし」
それはそれで面白そうじゃない?
「……実際、問題点を持ち味として開き直って作ったものほど評判が良いって傾向、ありそうなんですよね。いつか考えてみようかな」
いいね、いつか……っと。ちょっと失礼。
「? はい」
えーっと……はい、こんにちは。どちらさまですか?
「……うわーーーーーっ!?!?!??!??!?」
『気付いてないフリ』に全力を注いだ甲斐あって、後ろに回り込んで肩を掴むまでほぼ警戒されなかった。まあ、こんなにあっさり捕まってくれるってことは、大して後ろ暗い動機もないんだろう。見立て通り。
……小っちゃいな。ミドリちゃんよりさらに身長が低い。でも全然子供っぽくはない、驚いてはいるけど怯えてない感じ。どうしよう、これもヴェリタスに報告するべきなのかな……
「な、なんなのー!? なんで捕まえといて凝視するのさ!!!」
あ、ごめんなさい。いや、なんでずっと僕たちのこと見てたのかなって……
「……ずっと、って、後ろに着いてきてたんですか?」
「ご、ごめんって、怖がらせるつもりじゃなくてさ!? ただ、良いな~って思って見てて、気付いたら無意識に追いかける形になっちゃったというか……」
……良いな~って思って見てた??
「ふふふ、わざわざこんなオタク向けイベントで2人ペア組んで回ってるんだもん、そこそこの面白い関係なんじゃない? って気がしたんだよ。しかもお姉さんの方は一般人っぽい雰囲気だし! 一際光って見えたってワケ」
いわく、彼女の名は『メルリー』。職業病というか、こういうことを考えずにいられない、っていう風に自己紹介された。それだけ聞いても、何の職業か全く想像が付かなかった…… - 135二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 08:29:06
今まさにNMMNが製造されようとしている
- 136二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 12:50:07
カガリちゃん後輩感強いからあれだけど地味に170あるもんな
ゲーム部とはほぼ頭一個分の差よ - 137二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 20:02:04
出会ってしまった…
- 138佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/30(水) 04:39:08
「で、お二方は制服的にミレニアムの人たちかな? ミレニアムだと早瀬さんとか良いよねぇ~、1回本出したこともあるけど、先生からたびたび話聞いてたらまた描きたくなっちゃってさ。ねえねえ、ミレニアム内の"生の情報"っていうかさ、描写の解像度がぐっと高くなるようなこと知らない? 他の校に比べたら想像で補うしかない部分が大きいんだよ」
い、いや……よくわかんないです。転入したばっかりなので……
「おおっ、それもまた夢のあるシチュエーションだね!? じゃあさ、転入生であるお姉さんから見た時、周りの人たちってどう思う?」
……頭良い人ばっかりだな、とか、変な人が多いなって……
「カガリ先輩、そこまでにしてください。続きは私が話すので」
ぐいっと掴まれた袖が後ろに引っ張られる。何やらひそひそ話で言いたいことがあるらしく、しゃがんで耳を差し出すと……
「今、聞き覚えがあったので『メルリー』で調べたんですけど……この人、実在の人物をネタにして描いた変な内容の漫画を自費出版してる、有名な同人作家さんみたいです」
「本来、そういうネタは『ナマモノ』って言って、いろんな意味で危険なジャンルなんですが……この人、そういうのをあんまり省みずに本を出してるみたいで。有名っていうか、悪名になってるらしくて」
「なので、その、私が良いって言うまでカガリ先輩は静かにしててください。カガリ先輩、聞かれたことは全部答えちゃうので、この人との相性は最悪そのものです」
……と、とにかく、あんまり身の回りを喋らないほうがいい、ってことかな。どこか掻い摘んだ説明だった気がするし、どうして危険なのかとか正直ピンと来てないけど、とりあえず確実に静かにしておこう。ミドリちゃんは僕の扱いがとても上手い。
「し、失礼しました。ミレニアムのことなら私のほうが詳しいと思います! その、あまり過激でなければ」
「お、おお? よくわかんないけど、教えてくれるならすっごい助かるよ! だいじょぶだいじょぶ、わざわざ変なコト聞いたりしないって、際どい部分は想像で補うのが楽しいんだから」 - 139佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/30(水) 05:12:38
「――うわ~~~~どうしよ!!! こんなに知っちゃったら私、少なくとももう1冊は早瀬さんの本出さないと、いつか何も手に付かなくなっちゃうよ!!!! もう既に妄想が捗って止まらないもん……!!!」
「そ、そうですか。えっと、なるべく加減していただけると」
「任しといてってば。いや~ありがとね本当に」
ミドリちゃんが後ろ手に手招きしてくれたので、一歩前に出た。……あんまりしっかり聞いてない……聞かないようにしてたけど、何かとてつもない話をしていた気がするので、ミドリちゃんの背中にちょっと隠れながら。
「あっ、ごめんね変な話盛り上げちゃって。悪いオタク仕草出ちゃったな」
い、いえいえ。職業病って言うなら仕方ないのかなって……
「すごい、オタクに優しいギャル(見た目だけだけど)が実在してる。え、2人はどうしてここに?」
おたく……ぎゃる……
「えっと。私たち、部活動でゲームを作ってて……何か良いインプットになるものが無いかなって」
「ほうほう、ゲーム制作! なるほどね、つまりこの辺りを回ってたってことは、ストーリーとか描写の部分で参考になるものを探してたって感じかな。それなら私、良い作家さんをいくつか知ってるよ! いっそのこと一緒に回ることもできるし」
あぇーーーーー……ミドリちゃんどう思う?
「……この人、創作者としては本物だと思います。乗ってみる価値はありそうだなって」
「そ、そんな仰々しくしなくていいって、対価もリスクも無いから! 同じオタクのよしみでね!?」 - 140佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/30(水) 06:12:46
「まずこれ、『あんこ問ミステリヰ』シリーズ! シリーズって言っても前後繋がってないからどれから入ってもいいけどね。登場人物の数とキャラ付け、設定を掘り下げるタイミングと頻度、話のメリハリの付け方……ボイスドラマっていう重い形式にも拘わらず、見直す度に新しい発見があって、秀逸な造りに驚かされる傑作だよ!」
な、なんかすごそう!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「次はー……おっ、『ミッドナイト・デイライト』さんの作品もいいね。いわゆる睡眠導入用の音声で、物語って感じでもなく、ある世界で起こってることを淡々と言葉で伝えてくるだけなんだけど……とにかく、描写が凄い! 声と環境音だけなのに色合いまで想像できるような、むしろだからこそ空気の流れとか光の熱さとか、目に見えないものまでわかるような……ぜひ一度体験してみてほしい。ちょっと凝った文章を書いてみたくなっちゃうはず」
「あっ、これ少し知ってるかも。取り上げてる記事見たことあります」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
「目指すテーマがゲーム作りなら『数量2のありふれた交換日記』も欠かせないかも。『登場人物2人が互いを意識して綴る言葉を交互に流す』っていうコンセプトだけをそのままに、重厚なストーリーを10作以上リリースしてるんだけど……極論、創作における"会話シーン"の何たるかが全部まるごと詰まってると思うよ。ホントに世界変わっちゃう」
……メルリーさんって、思ったより真面目な人ですか?
「ん~、そう見えるだったらそうかもね。見直しちゃった?」
「この人の場合、その真面目さが怖さでもあるというか……」
蓋を開けてみたら、どれもこれもすごく勉強になったし、ここだけでかなり戦利品が増えた。結果を見ると、すごく良い出会いだったと思う……僕の不注意次第では変なことになってたかもしれないんだけど! そこはまあ、上手く間に入ってくれたミドリちゃんのおかげである。つまり2人ともありがとうございます。
(≪文章*起承転結≫、≪文章*修辞/レトリック≫のエッセンスを獲得した!) - 141二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 09:21:37
ギャル…?
まぁ褐色で金髪だから見た目はギャルか - 142二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 13:01:37
順調に見識が広がっていく
- 143二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 20:14:10
これは今回かなりレベルアップできたのでは?
- 144佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/31(木) 05:12:45
――メルリーさんと解散した後も、自分たちのフィーリングでいろいろと買い漁ってみて、一通り回れたかな、という時。荷物の重さも加わってか、ミドリちゃんががくっと肩を落とした。
「ハァ………………」
……だ、大丈夫? しんどそうだけど。
「ごめんなさい、顔に出てましたか」
顔っていうか声に出てた。
「そんな……」
いわく、「さっき、ちょっと余計にプライバシーを話し過ぎたかもしれない」とのこと。何を話したんですか?? それとなく聞いてみたけど、言い渋っていた。まあ当たり前か。
「その、ごめんなさい……カガリ先輩に謝ることじゃないかもしれないけど。いや、でも、カガリ先輩は話し過ぎちゃうからって言って代わりに出て、私がこんな感じなんて……」
み、ミドリちゃんなりに気を付けたんでしょ!? 僕にしたって言われるまで全く無警戒だったんだから、それよりはマシだったんじゃ……
「……確かに、自分たちゲーム開発部のことについては、全く話さないように気を付けてて。でも、そっちに注意し過ぎて、ユウカ先輩と先生のこと、誘導に乗っかって話しちゃって……」
……何か問題が起こったら謝ろう!! 僕も一緒に謝るから!!!
「なんでカガリ先輩が一緒に謝るんですか?」
えっ。それは、まあ、頭数揃えて行ったほうが誠意が伝わるというか……
「そういうところですよ、本当に」
ええええええええ!?!?? - 145佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/31(木) 05:29:14
……で、でも! ゲーム開発部のことは隠しててくれたんだよね。それは僕個人としては助かったと思う、ありがとね!
「隠してたというか……興味を持たれないようにしました。カガリ先輩が入って来てから特に、相関図が複雑になって……あの人の嗜好的に、喰い付かれたら終わるって思ったので」
さっきから思ってたんだけど、ミドリちゃんってメルリー先生と考え方近くない?
「言わないでください、私も気にしてるんです」
ごめん。……そうだね、一回興味持ったら、ゲーム開発部ってネットに残ってる痕跡とか多いし……というか、ゲーム開発部で出してるゲームに、みんながそのまま出てることも無かったっけ?
「それなんです!!!!!!!」
えっ!?
「その時の私が、モデルがいるから描くのが楽とか、迂闊な理由でそうしてて……でも冷静な時に考えたら、危ないのもそうですけど、若気が至り過ぎっていうか、作品に作者が出るって……私たちもう高校生なのに……!!!!」
だ、駄目なの??? いいじゃん、仲良しなの伝わるし、名前とかも自然に覚えてもらえるし――
「そういうことじゃないんです!!!!!!!」
うわーーーーーっ!!?!??
「はあ…………はあ…………すいません、取り乱しました」
……なるべくこの話に触れるのはやめよう。昔のことなら、僕が直接関係あるわけじゃないし……なにか、折り合いみたいなものが付くまで、そっとしておくのが良さそうだった。 - 146佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/10/31(木) 05:41:32
時間が過ぎるのはあっという間で、辺りを歩いている人の数も少しずつ減っていた。
祭が終わる……やっぱり少し寂しくなる。最先端のカルチャーとかテクノロジーが集まってるK.PCEも、百鬼夜行で昔から親しまれているようなお祭りと、根本は同じなのかもしれない。悔いが残らないようにいっぱい回りたいな。
*エンカウント!*
dice1d2=1 (1)
1.……そわそわ
2.猫の手(ぶっちゃけるとこれが出た時にイベント終了)
- 147二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 10:55:02
もうちょっとだけ続くんじゃよ?
- 148二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 12:47:11
このダイス君はイベント全部回るタイプだったか
- 149二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:29:59
今度は誰だろ
- 150佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/01(金) 05:15:00
……み、ミドリちゃん? えっと、こういう所って、僕たちが来ていいの??
「? あー。まあ、ちょっとえっちな表現とか入ってますけど……"R-15"の範疇ですし。ブースの内容は一つ一つ開催側で審査してるだろうから、全然問題ないと思います」
そ、そうなのか。肌の露出度がすごく高い男性とか女性とか……いや、胸の先っぽとか出してセーフなの? って思うんだけど。いやでも、みんな堂々と歩いてるように見える。
漫画・イラストの出展が纏まってるエリア……その中でも、ゾーニングを必要とするものがここに集まってるみたいだった。
「カガリ先輩、あんまりこういうの見たことありませんか?」
う、うーん……百鬼夜行だと……
見たことある度
dice1d100=15 (15)
興味あった度
dice1d100=52 (52)
恥ずかしいと思ってる度
dice1d100=11 (11)
- 151佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/01(金) 05:36:20
人並みには興味あった、けど……大胆にルールを破るほどの勇気も、当時の自分にはなくて……
「ああ……カガリ先輩っぽい」
なにその言い方!!!!!
「多分ですけど、スマホで探したりしたこともありませんよね」
……あー、そっか。そういうのもできるのか……
「………………」
えっ。僕なんか変なこと言った?
「……個人の自由だと思います! その、回ってる途中で気分が悪くなったりしたら、すぐ言ってくださいね」
ミドリちゃんが少し戸惑った様子でそう気遣ってくれた。……まあ、気分が悪くなるってほどでもないけど……しかし、慣れない気持ちはどうしてもある。積み重なった癖として、直視は避けてしまう……自分が見ないようにしているものって、逆にあっちは自分を見ているんじゃないかって錯覚して、そわそわする。自意識過剰ってやつだ。
……ずっとこの調子でいても甲斐が無い! ちょっと勇気を出そう。むしろ近くに知り合いがミドリちゃんしかいない今こそ類稀なるチャンスじゃないんですか。大丈夫大丈夫、しょせん絵だし。その中でもなるべく可愛い系の絵柄……あれとか! 横に一歩踏み出して、気になったブースに向かう――
「きゃっ!?!??」
わ゛ーーーっ!?? ご、ごめん!!!
「だ、大丈夫ですか? ちょっとカガリ先輩、そんなに慌てなくても……」
弾みで衝突してしまったピンク髪の生徒が、僕と同じように転んで崩れている。膝や胴の上に覆いかぶさって来たバサバサという感触は、どうやらその子の荷物みたいで……これ、本? 冊子みたいな?
「っ、だ、駄目っ、見ないで!!!!」
「……あー。そういう」
…………うわあ。え、えーーー。ここR-15って約束じゃなかったっけ。これ……いや、ちょっと……わーーーーー。そんな……こんなに大きいの現実に……すご……
起き上がった彼女が僕を制止したのは、僕がこんな感じのことを一通り思い終わった後のことだった。その……ごめん。本当にごめん。 - 152佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/01(金) 05:57:08
とりあえず、特別なことは何も無かったかのように淡々とした態度で、散らばった本を拾い集める。あまりに衝撃的なことが起こったので却って冷静になってしまった。たぶん全部集まったので、改めて謝りながら、彼女に手渡す……
す、すごく手が震えている。だよね……そうなるよね普通。声も出てない。ど……どうすればいいんだ、僕……
"――コハル! 転んだみたいだったけど、怪我はない?"
「ふえっ!? せ、先生……なんでここにいるわけ!?」
"ここの展示の性質上、1回は見て回って、問題が無いか確かめないとって思ってて……"
「それっぽいこと言ったって無駄!! どうせ先生もエッチなの買いに来たに決まってる、私は騙されないんだから!!!」
"そんなぁ……"
せ、先生? お知り合いですか、その"コハル"ちゃんって……
"あっ、カガリ。この子は……さっきの作戦で手伝ってもらった『正義実現委員会の子』で"
"私は元々、コハルに教えてもらってこのイベントに来たんだよね"
「うう……教えるんじゃなかった、こんなことになるなんて……」
す、すごい挙動の子。今まで会った中だと、マキちゃんとかに近いタイプ……いや、全然違うけど。そのくらいしか例えようがないくらい未知の存在だった。
同時に、ミドリちゃんの気配が薄くなっていることに気付く。……僕と同じように戸惑ってるんだろうか。
コハルを見たミドリの第一印象
dice1d100=6 (6) 1に近いほど先生をめぐっての恋敵候補、100に近いほどシンプルに苦手なタイプ、50に近いほど普通に関われる
- 153二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 08:49:40
コハルだったか
- 154二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 09:55:13
エッチなのはダメ! ”有罪” ”没収” ”死刑”
- 155二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 14:25:26
先生への懐き度を見抜いたか
- 156二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 22:51:38
保守
- 157佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/02(土) 04:54:24
「せ、先生? その人たちって、知り合いなの……?」
"あ、うん。ミレニアムの子たちで……ちょっと色々あってね"
「そうですね、色々……」
「……な、なんか怪しい。1人は猫耳ついてるし、もう1人はいかにも男の人好みって感じの体型だし……ま、まさか、こういうところで好奇心旺盛な学生に恩を売って、その見返りとしてあんなことやこんなことを……!!!」
「……はあ!?」
"ち、違うよ!!! どうしたのコハル、急に――"
待って、一旦落ち着いて。……コハルちゃん、で、大丈夫?
「な、なによ! 庇ったって無駄、先生がどんな人なのかは知ってるんだから!」
コハルちゃんの声はさっきからずっと甲高かった。……悪意があってやってるわけじゃなさそうだと思う……ただ、余裕が無いっていうか。先生もびっくりしてるし。
dice1d100=83 (83) 交渉ステータス(87)以下で成功
- 158佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/02(土) 05:10:17
「……な、なに、怒ってるの!? 確かにちょっと、いくら先生だからって言い過ぎたかもしれないけど」
うーん。その、僕は全然いいし、先生もちょっと慣れてそうだけど。……こっちのミドリちゃんが、そういう感じのこと言われるの、得意じゃないかもしれない……人によっては言われたくないかもしれない、から。よかったら気を付けてほしくて。
"……!"
僕は大丈夫だけど!!! その、むしろこっちこそごめんね、取り乱させちゃったの、間違いなく僕のせいだし……
「……わかった。ごめんなさい、ミドリさん」
ぺこりと頭を下げてそう言ったコハルちゃん……謝ってほしいとまで言ったつもりはなかったので、やっぱり根っこは良い子なんだなと思った。ミドリちゃんの方も、ちょっと難しい顔ではあるけど、ひとまずこれ以上は何も無さそう。……引き合いに出したのも良くなかったかな、あとでちゃんと話しておかないと。
「……コハル、さん。この辺りはまだ回るんですか?」
「え!? そ、そう……ね、あっち側も漁りたいなって思ってる、けど……」
「その……よければ、私も見てみたいなって。こういうエリアがあるって知らないまま来ちゃったから」
「………………」
"……私の同伴が必要そうだったら、遠慮はしないでね!"
コハルちゃんはその提案ですごく混乱していて、先生の一言はギリギリその助けにならないくらいのサポートに見える。……なんか不思議なことになっちゃったな。これも縁ってやつだろうか…… - 159佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/02(土) 05:33:56
……そんなこんなで、ミドリちゃんとコハルちゃんが互いに気を取られている間、先生が小さな声でお話を持ち掛けてきた。
"ありがとう、カガリ。内心ちょっと慌ててたんだけど……助けられちゃったね"
……そ、そうかな。そんなに良いことしたつもりもなくて、ただなんとなく出しゃばっちゃっただけなんですけど。
"あの時は、みんな一斉に冷静さを取り戻すことが大事だったから。カガリもなんとなくそれはわかってたみたいだし……"
"実際、そういう言葉選びだったと私は思う。誰も刺激しないまま、きちんと言うべきことは言ったって意味で"
なるほど。……先生だったら、どうやって話しました? 僕が出なかったら自然とそうなってたと思うんですが……
"私? 私は……その場では、どっちにも偏らない立場から『落ち着く』ことだけを促すと思う"
"その後、それぞれと2人きりの時間を作って、大事なことはそこで伝えるかな。心の準備が必要だったり、他の誰にも聞かれてない方が楽な子もいるから"
……たし、かに。人前で怒られる……怒るとまで行かなくても、至らない部分を指摘されるのって辛い体験だし、見てる側もちょっと疲れる出来事かもしれない。知ってはいたはずが、意識したことはなかった。
"その場で言ってしまう方法にも、良い点と悪い点はある"
……!
"確かにショッキングだけど……時には、じっくり考え込まない内に清算することで、気持ちが拗れずに済むことだってあるし"
……先生、僕の心読みました?
"えっ!?"
いや、時々そうとしか思えないことを仰るので……つい……
"……もし心が読めたら、もっとみんなの助けになれるかもしれない。そんなことは不可能だけど"
"でも、理解しようとすること、歩み寄ることは諦めないようにしてる。何回も間違うかもしれないけど、全部ひっくるめて、なるべく正直に受け止めたい"
(交渉ステータスが成長します)
87 +dice1d4=4 (4)
- 160佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/02(土) 06:01:00
「いらっしゃいまs……ま、待ってください、その大人の方は一体」
”あ、連邦捜査部シャーレの先生です。今日は殆ど趣味で来てて”
「れれれれ連邦捜査部!?!?? たっ、逮捕だけは、なにとぞ逮捕だけは勘弁してください!!!!!」
この人そんなに悪いことしてるのか?? と僕が疑問に思ったのを察してか、ミドリちゃんが耳打ちで教えてくれる。
「R-15とは言ったんですけど、実際のところ、18の方も割と入ってるみたいです」
えっ。18って……大丈夫なのそれ。
「……その、場所と場合によりますけど、正直なところ、キヴォトスでは珍しくないです。そもそもが『学園都市』で、つまり学生が主体で……取り締まりすぎると、逆に闇商売に流れていって、危険に繋がりかねないので」
やっぱりミドリちゃん詳しくない????
「カガリ先輩が知らなさ過ぎるのもあります」
そ、そっか……そうだとすると、かなりミドリちゃんから親切にしてもらってるな僕。なんとなく、こんなに知識がないほうが割合として珍しいんだろうなって気はする。と言ったところで、先生とブース主さんの方も誤解が解けたらしく、頒布物と展示を見せてもらうことに。
"そういえば、コハルの推してる作家さんなんだよね。どういうところが好き?"
「……じ、人体の描写だと、同ジャンルの中でもトップクラスに上手いと思ってて」
「確かに。ちょっと誇張気味の表現にしてるところも、じっくり見ても全然違和感が無い……!」
「あと、男の人と女の人のやり取りも、ちゃんと血が通ってる感じがして……どっちにも愛着があって描いてるみたいで、見てるとどっちも好きになっちゃうのが、すごく良い」
「ふ、ふへへ。こんなに褒めてもらえると嬉しいっすね……実際こだわってるんです、ありがとうございます」
……見本誌をぱらぱらとめくると、そこに描かれている人物と目が合った。
なにか、迫力がある。真実味というか……目が、確実に意思を持ってるみたいな。表情は、3つか4つの感情をいっぺんに表現しているかのような、複雑な印象を纏ってて……身体のラインには、生物的な美しさが宿り。そこからページ全体に目を向けると、甘い雰囲気が……
見る広さによって、それぞれ違うテクニックが見つかる。こ、これがえっちな本……すごい……!!!! - 161二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 08:50:46
ちょっと違うすごさな気がする
- 162二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 14:24:22
それはえっち本の凄さではないぞカガリちゃん
進んではダメだカガリちゃん - 163二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 20:29:34
15と18の境目なんてほぼあってないようなもんだしな
- 164二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 08:08:23
あさ
- 165二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 19:01:18
一応ゾーニングしてるからR-18が混ざっててもセーフだね
- 166二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:36:28
セーフ…セーフか?
- 167二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 07:59:12
保守
- 168二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 12:37:41
このレスは削除されています
- 169二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 20:26:01
保守
- 170二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 07:59:38
大丈夫かな
- 171二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 12:52:30
このレスは削除されています
- 172二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 20:17:41
保守
- 173佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/06(水) 05:55:45
「興味、あるの?」
ふぇ゛!? きょ、興味……どうだろ、まだわかんない……
「……この人の他にも、おすすめの作家さん、たくさんいるの。後で送るから……その、連絡先」
連絡先? ……う、うん。わかった。
「あとっ、この会場にも良いのあるから! 案内してあげる」
と言いながらも、コハルちゃんは先生の後ろに隠れていた。積極的っていうか……どういう風の吹き回しだろう。ありがたいけど……だ、大丈夫かな、無理してない? 震えてるけど……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こ、これ。『ひとまわり大きな恋人』シリーズ……ジャンルは、ソフトSMかな。カップルの関係性の築き方とか、すごく丁寧に描いてて、満足感高くて……」
……わあーーーーーー……ひぇ……
「あの、こういうリアクションする人にウチの本見せていいの? いや、名誉なことなんすけど、心配というか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「異種×人間で一押しなのが、ここの本。ハッピーエンドの話が多かったり、ちょっと面白かったりして、プレイの内容にも夢があって……自分もこの世界に行ってみたいなって思ったりして」
な、なにこれ、うにょうにょの……生き物??? イカの脚みたいな……ちょっと怖い……
「怖いと来ましたか。まあ慣れですな、そのうち可愛く見えてきますよその子たちも、ひひひ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……ちょっと勧めていいか悩んだけど、これも。『百合』ってやつで……その、2人が恋人同士になっていく中で、元の関係性がどれくらい残るのか、もう友達ではいられなくなるのか……みたいな、そういう葛藤とか遠慮とか……ドキドキして、すごく良くて」
……お、女の子同士!? そ、そっか、そういうのもあるのか、あ、あーーー、あーーーーーー……!!!!
「え、この人いま初めて百合知ったんですか? 私の本で? ……ビデオ回しとけばよかった……」
気付くと僕は、片手で数えきれないくらいのブースを回り、紙の重さを袋に感じながらエリアを出ていた。価値観を揺るがすものが、大量に……ちょっと気が遠くなる。何もかもチラっと見ただけなのに。全部しっかり読んだら、どうなってしまうんだろうか……
(≪ジャンル*R-18≫、≪モチーフ*同性愛≫のエッセンスを獲得した!)
(流れでコハルとのモモトークを交換した) - 174佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/06(水) 06:20:43
「これで、たぶん大丈夫。そ、そうこれはあくまでレクチャーなんだから! 勘違いしないで、私は別にそういう趣味じゃないの!」
か……勘違いしないほうがいいんだね。 その、付き合ってもらっちゃってよかったのかな。ありがたかったけど……
「だってあなた、こんなところに来てえっちなもの見ちゃったなら、帰ったら自分でいろいろ調べちゃうじゃない!!! そうに決まってるわ!!!!」
……そ、そうかな。否定はできないけど。
「絶対そうよ! だ、だから、ネットとかで変なの見ておかしい趣味になっちゃって、それで突然周りに変なことするような、危険な生徒になるかもしれないし……それならちゃんと知ってる人が教えたほうが、ずっと健全でしょ!? は、ハナコだって昔は純粋だったのよ、きっと、それが今じゃ……ホントにっ、気を付けないと駄目なの!!!!」
わあ゛あああ落ち着いてコハルちゃん!!!! だ、大丈夫だから、ちゃんと気を付けるから!!!!!
"……なるほど。コハルなりに、カガリを心配してのことだったんだね"
こう言われはしたけど……えっちな本について解説してる時の、コハルちゃんの熱意が伝わってくる感じが、嘘だったってのはちょっと無茶だと思う。僕にとっては、それって別に恥ずかしいことじゃないと思うけど……恥ずかしいってこともあるよね。大っぴらにするような話でもない。
なんとなく、どんな子かわかった気がする。ふと先生と目が合うと、少し頷かれたような……なんだか、コハルちゃんと並んでる時は特に『保護者』みたいな出で立ちだった。
(カガリとコハルの好感度を相互に決定します 先生が関わってるので両者ともに最低保証40)
カガリ→コハル dice1d100=69 (69)
コハル→カガリ dice1d100=21 (21)
- 175二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 07:57:12
どんな沼なのか知らずに踏み込むよりは一理ある…のかな?
- 176二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 13:09:59
コハル人見知りだからなぁ
- 177二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 21:03:57
いずれ必要にはなるんだろうけど…
ここで得て良かったのだろうか… - 178二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 21:13:26
part 1から一気見してしまった!!カガリちゃ...ついにそのジャンルを知ってしまったか!
...ん?これミドリにアリスをどう見てるのか聞かれた時「要はえっちな目かどうか」って話だったけど...これカガリちゃん質問の意味を分かってなかった可能性が...?な、なんてこった! - 179二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 08:38:37
知恵熱出しそう
- 180二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 11:07:35
イケない方向に世界が広がっていく
- 181二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 20:20:27
保守
- 182二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 02:12:22
真夜中の保守。コハルの矢印が低いのは...なんだ?怖がってるって程でもなく、人見知りはそこまで...弱み握られてるから!?
あとカガリちゃんこの流れでその数字はエt((((しけぇ! - 183二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 11:13:12
まぁ初めましてだしね
- 184二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:09:29
未知との遭遇
- 185二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 08:01:10
保守
- 186二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 13:37:55
大丈夫かな
- 187二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 21:07:35
保守
- 188二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 08:49:12
保守
- 189二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 18:53:16
保守
- 190二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 21:08:25
また規制かねぇ
- 191佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/10(日) 22:25:00
"難しく捉えなくても大丈夫だよ。私から見ても、コハルに後ろめたい思惑は何も無いし"
"強いて言うなら……これをきっかけに、カガリと友達同士になれるかもしれないくらい"
「っ!? な、何言ってるの先生、こんなきっかけで友達になるなんて、絶対おかしいわよ!! そ、それに私が、まるでえっちなことに興味があって連れ回したみたいな……!!!」
"ご、ごめん、そんなに深い意味で言ったわけじゃなく――"
「まさか、先生……えっちなことに興味がある人と私を引き合わせて、私までえっちにしようとしてるの!!?!?」
"そうじゃなくて!!!!!!"
大変なことになってきた。コハルちゃんの主張はどんどん転がっていって、先生はどうにか宥めようとすることしか出来ていない……しかも今、聞き間違いじゃなければ『死刑』って聞こえた。し、しけい……
「……カガリ先輩、行きましょう」
あ、うん! あの子は……先生に任せよっか……
「………………」
その場を離れ、少し落ち込んでいる様子のミドリちゃん。……物の例えみたいに言っちゃったけど、やっぱりミドリちゃんにとって大きい声でえっちな話って……いや、そうじゃない、のか?
「ふう。気分切り換えないと! そろそろブースに――」
その。気になってるのって、先生のこと?
「……切り替えようとしてたんですけど、今」
ごめん。そう言えば前、聞いたことあるなって思い出しちゃって……
「……まあ、そうです。先生のこと、良いなぁって思ってるので。あんな風に、私だと出来ない甘え方してる人とか見ちゃうと、なんか」
あれって甘えてるの???
「私はそう思いました。……あの子、自分が先生のこと好きなの気付いてるのかな。気付いてなさそうっていうか、気付いてないのに、あれって」
聴いたこと無いくらい声が低いよミドリちゃん!!!!
「すみません。その、コハルさんのことが嫌だったとかじゃ、ないんですけど」
ミドリちゃんの言葉はそこで止まって、『嫌』の代わりに適切な言葉を探し始めたみたいだった。けれど、中々良い表し方が見つからないみたいで……
「やっぱり、もう少しその辺回ってもいいですか。なんとなく」 - 192佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/10(日) 23:43:28
そうして迷い込んだのが、詩集とか小説とか、まあ文芸のジャンルが纏まってるエリア。
それはそうとさっきからミドリちゃんの表情がずっと難しい感じで心配です。少し上の空というんでしょうか。かと言って僕の方から気の利いた雑談とか持ち掛けられるわけでもなく、そわそわしながら歩いていたところ、ミドリちゃんの方から話し掛けてくれました。
「――私も詳しいわけじゃないんですけど、この周辺はかなりディープな世界だと思います。バックボーンがそれぞれ全然違って、フリーの小説投稿サイトとかで名を上げた人もいれば、学校のサークル活動で来てる人も……あと、珍しいところだと掲示板のやる夫スレで有名になった作者さんとかもいて」
ヤルオス……な、何語?
「信じられないくらい説明が難しいので、ここでは控えます」
そ、そっか! その……お目当ての作品とかあるの?
「……正直に言うと、全く無いです」
あっ、うん……
「悪い意味でお姉ちゃんみたいな人多い気がするんです。お姉ちゃんは身内だからまだいいんですけど……絵描いてると、変な人に絡まれること多くて。そういう人って結構、普段はこういう世界にいるみたいで……ごめんなさい、ただの偏見です」
み、見たことないくらい荒んでる。ついでみたいにモモイちゃん刺しちゃってるし。
……でも、今朝から今まで本当に沢山のことが起きたし。ただでさえ人が多くて賑やかなところにずっと居るわけで、いろいろ目に入れてたら疲れるのも当たり前で……ミドリちゃんってば頑張り屋さんだし……
「あの、なんで急に撫でてくるんですか?」
えっ。あー……なんとなく? ただの、労いみたいな感じの。
「……確かに、ちょっと子供っぽかったかもしれません。成長しないとなって思ってはいるんですけど」
そんなつもりでもなくてね!!? い、嫌だったかな……
「いや、大丈夫です。……ありがとうございます」
……優しい! しっかり冷静で誠実で、その上で優しいっていうのが僕の知ってるミドリちゃんだった。こういう部分があると、仮にちょっと子供っぽいくらいのこと、むしろ長所だとすら思ってしまう。
(カガリとミドリの好感度が相互に上昇します)
カガリ→ミドリ 70+dice1d6=6 (6)
ミドリ→カガリ 65+dice1d6=3 (3)
- 193佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/11(月) 01:05:10
「……あっ」
そのまま不意に駆け出して、少しして戻ってきたミドリちゃんの手に、こじんまりとした本が抱えられている。
「"歌集"、みたいです。短歌? が、たくさん入ってるって」
へー。短歌って、五七五七七の……
「多分。ちょっと見てみます」パラパラ
詩みたいなの、好きなの?
「あんまり知りません。でも、デザインが良くて……ちょっと気になっちゃったっていうか」
和紙っぽい模様が付いた菖蒲色の表紙に、タイトルは黒い筆文字で『千の玄冬で作る生涯』……1ページに含まれてる数と、本の厚みからして、本当に千首の歌が書かれてあるみたいだった。
「……そこの子。熱中するのは結構だけど、道の真ん中に突っ立ってたら危ないでしょ」
「あっ!? ご、ごめんなさい……」
「周りに気を付けること。……ああ、GDDの人たちか。また遇ったね」
……あっ、さっきの人! この人、さっきアリスちゃんと留守番してる時に来た、ゲーム開発部のファンっていう……!
「ファン……こ、こんなしっかりした感じのお姉さんが、うちの……?」
「言われるほど大した者じゃないけど。……そうだ、折角ならミドリさん本人にも伝えておこうかな」
「えっ!? ひぃ……なんでしょうか……」
「今回のグラフィック、事前の情報で期待してた通りの雰囲気が出てて、個人的に凄く満足してる。無理しろとは言わないけど、製品版も同じくらいの質で描き切ってくれると嬉しい」
「……! あ、ありがとうございます!!!! 頑張ります!!!!!」 - 194佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/11(月) 02:25:17
「……歌集か。文芸、興味あるの?」
「! 興味……というか、これ見たことで興味出たばっかり、かもしれません」
「入りたての内なら、極端な恋愛物は避けた方が賢明だと思う。それが悪いってわけじゃないけど、もっと味が濃すぎない淡いテーマから入ったほうが、文芸に慣れてきた時に楽しめるものの数は多くなるはず」
「な、なるほど……!」
「なんて。別に私も偉そうなことを言える立場じゃないけどね」
……すごく親切。本当に、冷たいのは声だけで……よくよく見ると表情が少し緩んでいるようですらあった。ミドリちゃんの気分、かなり明るくなったみたいだし。
「――で。さっきから視線を感じるんだけど。私に何か用?」
え、ぁ、なんでもないです! なんか……綺麗な人だなーって。あはは……
「言うに事欠いてそれか。渉外役としてはあまり褒められない思考だね」
すいません……
「まあ、いいけど。……ふぅん……」
……あ、あの。僕の顔に何か変なところが……????
「いいや、そうじゃないけど……そうだね。失礼ついでに、一つ質問させてもらおうかな」
う゛っ。……なんでしょうか。
「あんた、『佐藤カガリ』だったよね。私は『桐生キキョウ』って言うんだけど」
――もしかして、何処かで会ったことがある? っていうのが、された質問の内容。
彼女の言葉は、その後にも何か続いた気がするけど……何かに気を取られたみたいに、上手く聞き取れなかった。
dice6d100=83 7 70 88 48 39 (335) 目安は神秘ステータス(84) +12時間
- 195二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 02:28:45
やはりキキョウ…!三つが下回って一つが100って事でいいのかな?
- 196回想 ◆IEd0n050V224/11/11(月) 02:31:11
この感覚……そうだ、ダイブ装置で『キーちゃん』と話してた時の、あの場面と似てるんだ。
─────────────────────────
「一度、休息に移ることを推奨します。より多くの記憶を取り戻す手段を探しているようですが、パラメータが異常な相を示しているようです」
うーん……もうちょっと頑張っちゃ駄目? 手応えっていうか、もう少しで突き破れそうな感じがして。
「私が知る限り、神秘というものは無限のポテンシャルを持つ概念ではありません。あなたは危険性の高い行動に及んでいるかもしれない。例えるなら、自ら腕を切り落とすような」
……えっと。神秘って、特異性のことだっけ。
「ああ、そうでしたね……もし、あなたの”神秘”が記憶の復元を阻害する性質の物であるならば、数十回数百回に渡ってあなたの思考を阻むことによって、少しずつ消耗している可能性がある、ということです。目的を遮る壁だとしても、安易に突き破ってはならないこともあります……目には見えませんが、この空間にも綻びが現れ始めています」
わかった、教えてくれてありがとね。じゃあ……ちょっと休憩したほうがいいのかな。
───────────────────────── - 197佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/11(月) 02:53:18
頭の中で、何かが曲がっているようなイメージがある。キーちゃんが言っているのが正しかったなら、これは僕の特異性……"神秘"、が、消耗している? 時の、感覚で……
しかも、『曲がっている方向が逆』っていうイメージもあった。あの時は、僕が記憶を掘り起こそうとして無理やり『こっちから押していた』のが、今は『あっちから押されている』みたいな……
「……どうしたの。顔色、悪いけど」
つまり、『記憶が僕のほうに近付いてきてる』ってこと? しかも普通の記憶じゃなくて、ダイブ装置で探ったような、思い出せない理由がハッキリとあるような記憶で……それって、キキョウさんと僕は実際に会ったことがあって、?
[[ゴールテープ。雷予報。イベントホライズン。恐怖症。樹海。クレバス。]]
……これは。ええーと……C&Cに体験入部した時の、アリスちゃんが出てきた直後の……
[[楽興。リミナルスペース。奇術師。チーズで出来た月。水素爆弾。カリキュラム。]]
つまり、そういうこと?
[[正解。]]
「か、カガリ先輩? 大丈夫ですか!?」
ごめん、多分このまま気絶する。いや、気絶しないかも……そうだったらもっとごめん。
「……ええええええええ!!?!??」 - 198佐藤カガリ ◆IEd0n050V224/11/11(月) 02:59:00【オリキャラ🎲ss】天童アリスのストーカーです、通して下さい【佐藤カガリ】Part8|あにまん掲示板今のうちに。佐藤カガリ 16歳(2年生)出身校:百鬼夜行連合学院身長 130+40 (40) cm胸 3 (3) 1.小盛 2.並盛 3.大盛腹 2 (2) 1.細 2.中 3.中太尻 2 (2) 1…bbs.animanch.com
(ということで新スレです!!!!!! 行き当たりばったりですが楽しくやらせていただいています 見てくださってる全ての人々にかんしゃあ……)
- 199二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 07:40:41
たておつです
- 200二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 07:41:06
乙