先生、ぴょんこを見てください

「ん、ぅ……」
"……ふぅ、ぴょんこはイケない子だね。まさかミヤコのふりをしてまで私に迫るだなんて"
「だってぇ……その方が、先生喜んでくれるでしょ？」
なんですか、これは。
"気持ちは嬉しいけど、やっぱりぴょんこはぴょんこだよ。ミヤコじゃない。だから……誰かのふりじゃなくて、あなたのままで接してくれると嬉しいな"
「そうなんだろうね……でも」
ぴょんこ。あなたは一体何をしているのですか。
私の似姿で。私の声で。私を騙り先生に迫り、飼い主の私から愛を奪おうとしているのですか。
「ご主人のマネ、上手だったでしょ？それで先生ったら思わず息を呑んでたんだから、説得力に欠けるよ」
"あはは、そうかもね"
「でしょー？」
私はあなたたちのダシじゃない。こんなことは許されない。
……どうしたのですか月雪ミヤコ。あなたはこの不埒な二人組を直ちに制圧し、その関係について詰問すべきなのではないのですか。

「先生が生徒に手を出すのは、職業倫理上いけないことですが……私は、生徒ではないので」
やめなさい。
"……まるで見ていたように言うんだね？"
私のものです。奪わないでください。
「うふふ、そんな馬に蹴られそうなことなんてしてないよ。ただご主人ならこういうこといいそうだなーって思っただけだよ」
"ぴょんこは洞察力がすごいね。折角だし、他のことにも活かしてみたらいいんじゃないかな？"
先生も何を仰っているのですか。
「うーん、どうかなー……でも先生が言うのなら、色々やってみてもいいのかな」
"それがいいよ。ぴょんこがもっと素敵な子になってくれたら、私は嬉しいよ"
「なら、そうするね！私も先生にいっぱい褒めてほしいから！」
やめろ。やめろやめろやめろ。
私のだ私のだ私のだ私のだ。何をしているあのメスは。なんと悍ましく烏滸がましい。私の姿で先生に迫るとは。

───RABBIT1、これより目標を制圧する。