厄ネタ聖杯戦争をしよう3【🎲/⚓️】

  • 11 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:20:02

    前回までのあらすじ
    発狂済みセイバーマスター、ド虚弱にしてやたら他マスターに狙われることが確定したアーチャーマスター、ほぼほぼ格闘漫画のアルエゴマスター&キャスターマスター、全体的に怖いバーサーカーマスター、未だ底知れぬビーストマスター、もう全部意味わからんアサシンマスター

    さあ、どうなる!!!!!

  • 21 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:21:21

    あっ、やべ、4です、4

    立てちゃったんでこのままでいきますけども


    前回

    厄ネタ聖杯戦争をしよう3【🎲/⚓️】|あにまん掲示板あにまんの厄ネタと曇らせが大好きなあんちゃんたちと一緒に厄ネタまみれの聖杯戦争つくっていくよ〜〜〜〜おい……なんでこんなにトンチキまみれになっていやがる………………bbs.animanch.com

    初回

    厄ネタ聖杯戦争をしよう【🎲/⚓️】|あにまん掲示板厄ネタと曇らせが大好きなあにまんのみんなー!厄ネタと曇らせがいっぱい入った聖杯戦争しようとりあえずレギュレーションおいとくね①召喚サーヴァントは水着や季節等のものと他作品キャラ本人(ふじのんとか)は無…bbs.animanch.com
  • 3二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 15:21:27

    YAMAの翁、未亡人に身を狙われる

  • 41 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:22:31

    設定①
    マリア:ランスロットのマスター
    人妻 妖精の子孫 英霊剣豪 根源接続者 愛する人を自らの手で殺してしまい、後悔の末死にたがってる
    目的
    妖精等の幻想種の血筋根絶やし
    見た目
    ゼノビアみてえな服のセンス・死ぬお母さんの髪型・若々しいがよく見れば中年とわかる・巨乳・銀髪緑眼
    戦闘スタイル
    拳を強化して殴る


    土御門トリスタン(仮名)/篠森ナナシ:バーヴァンシーのマスター
    ケルヌンノスの化身(ミニヌンノスになれる) cvジョージ 父母からも愛されなかった被虐待児 肢体不自由 双子の姉がブラック企業で過労死
    目的
    健常な肉体になること
    見た目
    黒髪ロング・目が死んでるし隈がすごい・枯れ木みたいに痩せ細ってる・中性的なイケメン・目玉以外作り物
    戦闘スタイル
    遠隔から遅効性の呪詛


    ゴータマ・シッダールタ(仮名)/土御門明星:道満のマスター
    攻撃的クソメンヘラ 転生した晴明(血筋直系) 才能コンプ 皆から慕われてる悪人 伝承科関係者
    目的
    土御門家の再興
    見た目
    和製ドウェイン・ジョンソン・白髪肌黒・190cm・テンプレ陰陽師衣装・マッチョ
    戦闘スタイル
    陰陽師パンチ

  • 51 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:23:22

    設定②
    アンセヲ:メディアのマスター
    ホムンクルス(無性別) アステカ菌の適合者 猪の人造獣 他者からは姿と声がモザイクとして観測される 典型的魔術師思想 彷徨海出身
    目的
    人間になること
    見た目
    猪耳の獣人・ぼさぼさ茶髪・太ももが太い・イケメン(ただしモザイクなので気づかれない)
    戦闘スタイル
    ククルカン譲りの空中殺法


    YAMAの翁(仮名)/八夜史鬼:輝星のハサンのマスター
    自称山の翁の子孫 YAMA育ち 過去8回の前世の記憶を持っている 特殊な動機で特殊清掃員や遺体修復士などに就職した青年 ユニヴァースの香り
    目的
    全歴代のハサン・サッバーハを超えた真のハサン・サッバーハになること
    見た目
    ポニテ褐色肌美乳美尻・黙っていればイケメン・おしゃれメガネ・パンダの着ぐるみ・黒ジャージ
    戦闘スタイル
    環境利用闘法


    殺生院夏希:源頼光のマスター
    アーチャーのマスターを始末するためならどんな手も使う
    そのマスターを始末できなくなった時は自爆するつもり。やけっぱち。カルト宗教でご神体として崇められている幼女 母を探し求める元人間の怪物 頭バーサーカー 鬼の血をひいている
    目的
    自分を怪物にした実母(キアラ)と実父(篠森ナナシの父でもある)、およびその関係者への復讐
    見た目
    ほぼキアラ・白髪超ロング(床に着くほど)・貧乳・尻がデカい・角度によって色が違う目
    戦闘スタイル
    見た目と弱いフリを使って近づいて首狩り特攻

  • 61 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:24:36

    設定③
    ナギコサン(仮名)/獣道進:蘆屋道満(ビースト)のマスター
    希死念慮が強いがそれに勝るフィジカルの強さで生き残っている 全ての元凶 遠い先祖である竜種の血が色濃く出ており気が高まるとドラゴンに変身する ベランダで怪しい植物を育てている 見た目はなぎこさん
    目的
    元人間の怪物達の居場所を作る
    見た目
    普段:なぎこさん+爬虫類目+ゴスロリ
    竜形態:髪色と同じ色の鱗のハルファルク
    戦闘スタイル
    八極拳


    開催地:冬木/Badendな第5次後
    聖杯:キアラの父親の骨で作られている
    道満がなぜビーストに?:聖杯ぱぅわー

  • 71 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:29:50

    全体的にカオスと化してはいるが厄があることには変わりないので引き続きどうにか舵とっていきますよ

    >>3

    見えるものにとって見えないものって魅力的だからね、シカタナイネ

    メタ的にはナナシくん改めトリスタンくんにばっかヘイト集中すると本当に『死』なので同じく主人公力のある史鬼くんに半分よりちょっと多めに受け持ってもらおうという算段です

    まあ史鬼くんならいつか袋叩きにされるようなことがあっても生きてるやろ

  • 81 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:30:57

    そんなこんなで話としては
    セイバーvsアーチャーになぜかサプライズハサンしてきたところからまた再開になります〜

  • 91 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:39:56

    夜の街を駆けていくふたつの影。
    青い髪の少年が赤色の少女を姫抱きし、黒髪の青年が酷く痩せた少年を背負って走っていた。

    「おい!そろそろ離せよ!」
    「……マスター」
    「もうちょっとで俺んちだから我慢しろ〜」
    「「は?」」

    アサシンとアーチャーの声が揃う。

    「まて、こいつら拠点に連れてく気なのか」
    「正確にはその一つだけどな!なんか怪我してるし」
    「は?は?何言ってんの?オマエマスターだろ?なんで他のマスター助けてんの」

    とても真っ当な疑問にニカリ、と青年は笑う。

    「俺は真のハサン・サッバーハになる男だからな!傷ついた奴らは見逃せないのさ」
    「…………言っとくが、マスター。ハサンは別に正義の集団じゃない」
    「……?いや?正義の味方だろ、ハサンは」
    「は?」

    何を言ってるこいつは、という目を受けながら青年は笑う、笑う、笑う。

    「俺のじいちゃんたち悪い奴らだったんだけどさ。父ちゃん母ちゃんもそれが嫌で俺の事連れて出てったわけだし。そんで時々『山の翁が我らをいつか罰するだろう』って言ってたんだよな。悪い奴らにおしおきするってことは正義の味方ってことだろ?ほら、ハサンは正義の味方で、ハサン・サッバーハはヒーローの中のヒーローだ!」

    瞳孔の開ききった目でそう言った。

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 15:42:06

    もしやハサンに脳を焼かれているのは両親の影響か?

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 15:45:46

    >>9

    狂儲ちゃんが後方腕組み無言頷きしてそう

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 15:47:58

    まあ基本肉弾戦メインの奴らばっかだかは遠距離からデバフ掛けてくる奴とか先に潰すか確保しておきたくはある

  • 131 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 15:48:22

    「よっしゃあ、着いたぜ!ここが俺の拠点……のひとつだな!ギャハハ、くつろいでっていーぜー。あっそだ救急箱持ってくるな」

    どたどたと去っていく青年を見送ってトリスタンは周りを見回した。
    和風のお屋敷だ。そこそこ大きい。気になるのは、畳や壁がかなり傷んでいる、ということか。

    「は……廃墟?」
    「ああ、あのバカマスターはこの廃墟に勝手に住み着いて拠点にしてる」
    「い、いいのそれ……」
    「いいんだよ管理者もいねえし!」

    と、青年が救急箱を持ってやってきた。

    「んじゃ手当するなー」
    「あっおい待て」
    「だ、だいじょうぶ、だよ。アーチャー。なんかへんなのはたぶん……入ってないし……」
    「そんなの分かんのか?」
    「う、うん。分かる。呪いとか、毒とか、わかるから……」

    手当をしながら青年が言う。

    「あっ、そういやここさ。昔は魔術師殺しとかいうおっかねーのとその息子が住んでたらしいぜ!まあもうどっちも死んだかなんかしたみてーだけど」
    「そ、なんですか」
    「おう!だから今はここが俺の拠点……よし!あんまり傷は深くないみてえだな!良かったぜ!」

    そう言って手当を終えた。

  • 14二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 15:50:33

    このレスは削除されています

  • 151 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:02:39

    「あ、あのあのあの、えと、俺、俺なんも出来ないけどお礼とか」
    「ん?ギャハッ、いやいーぜ別に。助けたかっただけだからな!!!」
    「何言ってんだこいつ」
    「訳わかんねえだろ。俺も分かんねえ」

    本当に、本当にただひたすらに助けたかっただけだというのか?この、殺し合いの中で?
    トリスタンにとってそれは、とてもではないが信じられないものであった。
    なぜ、どうして?本当に?本気で?

    「ほ、本気で、言ってるの。な、なんで、こんなこと、できるの。ひとってみんな、怖いのに。なにやったって、どんなことしたって、気持ち悪いからって嫌だからって追い立てて、利用するだけして捨てて、人間ってみんな、そうなのに……!」
    「そんなの俺が人の『助かったー!』ってホッとした顔が好きってだけだけど。それにほら、俺は真のハサン・サッバーハになる男だからな!」
    「だからハサンはそういうのじゃねえって」

    なにか、頭の奥で。ずっと強ばってた何かが割れた気がした。

    「あ、あ、あ、あの、あの、えと、あの。きょ、協力!そだ、協力しませんか!あの、俺、あんまり戦うのとか得意じゃない、けど、遠くから攻撃するのとか、得意だし。あっ、や、役立たずだからヤダっていうなら、ひ、引っ込みます。こ、これ以上迷惑かけるわけには、あ、ならやっぱり今のなしであのすみません………………」

    自分でも何を言っているのかわからない。
    一体なにを口走っている?こんな何も出来ない奴がいたところで、いや、アーチャーはすごいけどすごく強いけどとにかく俺がいたところでなにも、できないのに…………。

    「おっ、マジ!?協力してくれんの!?いやー俺もアサシンもどっちかっつったら近接だったから遠くから狙われたりしたらどうしよーってなってたとこだったんだよな!!!いいよなアサシン!協力しようぜ!」
    「俺が何言っても聞かないだろお前は」

  • 16二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:04:25

    ナナシくんと史鬼くんのバディものになりそう

  • 171 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:10:35

    本当に、本気で、そう言って青年は笑った。

    「マスター……わかってんの?協力したところで最後はコロシアイだからな?」
    「うあっ、そ、そうなんだけど……。で、でも……その……」
    「まあそうだな!でも別にだからってずっと敵対しなきゃいけねえわけじゃねーし!」
    「もうこいつ言い出したら聞かねえな。諦めろ今から撤回しても無理やり仲間にされるぞ」
    「ええ…………」

    そうして、二組は同盟を組むことになったのだった。

    「えと、えと、俺はし…………土御門トリスタン。よ、よろしく」
    「俺はYAMAの翁!よろしくな!」
    「や、やま……?」
    「八夜史鬼だろ」
    「なっアサシン貴様いつの間に我が真の名を……!」
    「バイト先で呼ばれてたし名札つけてただろうがよ」
    「ぁ゚っ」
    「あ、はは、よろしく史鬼さん……」
    「はぁ〜〜〜〜しょうがねーから協力してやるよ。アサシンだっけ?」
    「ああ、そっちはアーチャーか。……その、互いに苦労するな」
    「アンタよっかマシ」
    「……そうだな」

    トリスタンと史鬼はぐ、と握手を交わす。
    月が、そろそろ落ちる頃だ。

  • 181 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:16:29

    ────
    閑話休題/一方その頃

    「未だ、小競り合い。全てのサーヴァントが出揃った初日だ、致し方ないか」

    派手な髪をなびかせ女──だろうか。それが笑う。

    「ああ、待ち遠しい、待ち遠しや、聖なる杯の中身が満たされた果ての……我らの楽園よ……我らの夢よ……」

    蛇のような瞳をきゅう、と細め、くつくつと笑い声ばかりを零す。

    「あれの、ビーストの使い所はきちんと選ばねば。変に出して袋叩きにもされれば目も当てられん。だが、まぁ。問題は無い。ゆっくりと、じっくりと。時機を伺う隙は……いくらでも、あるのだから……」

    つづく

  • 191 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:16:47

    第二話+幕間はこれで終了です

  • 20二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:18:07

    セイバー、バーサーカー、自業自得でアルターエゴに恨まれてる同盟結成

  • 211 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:26:59

    あと一、二戦くらいやったらそろそろ脱落者出そうかなって感じすね

    この後の展開(バトルかは問わない)


    >>24までからダイス

  • 22二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:30:38

    セイバーvsバーサーカー

  • 23二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:33:00

    バーサーカーとマスターの蜜月()

  • 24二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:38:21

    アルターエゴVSビースト

  • 25二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 16:44:54

    dice1d3=1 (1)

    1.セイバーvsバーサーカー

    2.バーサーカー陣営の蜜月

    3.アルターエゴvsビースト

  • 261 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 16:46:35

    あっコテ忘れてた
    セイバーvsバーサーカーやりまーす!
    ヒント:マリアさんは幻想種絶対コロすウーマン
    ヒント2:夏希ちゃんは鬼の血が入っている


    待て、次回

  • 27二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 17:07:33

    どっちかが潰れてくれればナナシ君は助かるな

  • 281 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 17:52:07

    ───第三話・The panic of

    「バーサーカー。具合、どう?大丈夫?」

    バーサーカー・源頼光の胸の中、心音を聞くようにもたれかかり夏希が問う。

    「ええ、ええ。この通り……本調子、とはまだ言えませんがそれでも虫の一匹二匹であれば充分に潰せます」
    「ああ、よかったぁ…………。万が一のことがあったら、どうしようかと思ったの……」
    「そんなに心配していてくれたのですね。良い子……母はとても嬉しいです」
    「うん、うん……。ああ、ほんとに、本当に……貴女が……ううん、これはこの戦争が終わってから。憎いアイツらを殺し終わってから」

    バーサーカーの手が夏希の白く長く細い髪を梳かす。それにうとり、と目を細めすりすりと頬をバーサーカーの身体に擦り寄せた。

    「私の身体は、鬼のもの……。多分、父様の方にその血が流れていたのね……。とても薄いものだったけれど、母様は私の魂をいじってその奥にあった血を呼んだの……。私は変わってしまった、鬼に……成ってしまったの。嫌、嫌よ……そんなのやだ、私は化物になんてなりたくないのに……」

  • 291 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 18:08:26

    ほろり、泣き出す少女を抱きしめる。
    鬼を倒す身ではあれど、目の前に居るのは鬼でなく、鬼に怯える一人の小さな子。
    よいこ、よいこと頭を撫でる。
    己の血を頑張って律そうとするその姿にきっと、自分を重ねていた。

    「だから、みんな、殺すの。私を鬼にした人たちを、その周りの人たちを、全部殺すの……。あいつも、篠森ナナシも、殺すの。そうすればきっと私、鬼にならずに済む、済むんだから。人で居られるんだから……」

    その、矛盾を。指摘するものはここにはいない。
    ただ母娘ごっこをする二人がいるのみである。

    「バーサーカー、私のバーサーカー。誰より強いバーサーカー……。一緒に居てね、ずーっと一緒に居てね……私もう、貴女しかいないの……貴女しか……」
    「ええ、ええ、必ず。どこまでも共に在りましょう……」

  • 30二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 18:16:20

    これナナシくんにも鬼の血が混じっていることになるよな…

  • 311 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 18:17:03

    ───
    山から怪物殺しが降りてくる。
    妖精、精霊、鬼、竜、神、幻想で生きるなにもかも、その血を持つものを、根絶やしにするものが降りてくる。
    彼女が拠点としていたのは山の中の城、かつてあるホムンクルスたちが存在したそこを手に入れ、そこで淡々と機会を伺っていた。幻想種滅殺の機会を。

    「ねーえ、セイバー。セイバー、聞いてるの」
    「……は」
    「セイバー、あまり喋らなくなってしまったわね、ふふ、ふふ」

    無論、彼女から受ける精神的負荷もある。が、それ以上に令呪がセイバーを縛っていた。

    『私に逆らわない』

    漠然としたその命令は本来効き目が弱いはずだ。
    しかし、彼女は規格外。全てを知る、根源を知る、根源接続者である。
    根源から流れ込む無限の魔力が、そして彼女自身の奥の奥に流れる妖精の血が、膨大な圧力としてその命令を刻んでいた。
    セイバーにはもはや異議を挟めない。どんな忠言もすることは適わない。決して彼女を裏切れない、決して彼女にたてつけない。たとえどれほどの理不尽をその手で行うことになったとしても。

    「うふ、うふ。あの子にまた会う前に、全ての邪魔を消しましょう。ねえ、セイバー知っている?あの教会跡にいる子、鬼なのよ。うふふふふ!」

  • 321 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 18:27:03

    セイバー対アーチャーの一件から月が沈み日が昇りまた沈み。
    一度電線の高電圧にやられたはずのマリアの身体には既に傷はなく、とうに全快していた。

    ものを言わなくなったセイバーを引き連れて山を下る。

    貴方が悪いのよ、貴方が悪いの、貴方が私に口答えをしようとするから悪いのよ。
    精霊全てが悪い生き物でない、なんて、貴方の立場からすれば当たり前でしょうけど。ふふ、でも、今の主は私だもの。昔の貴方がそうしたように裏切られては堪らないわ!自分を恨みなさい、ランスロット。不義理な己を恨みなさい。

    そう口ずさみながら降りていく。
    教会へと、女が向かう。
    怪物殺しが、向かっていく。

  • 331 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 19:12:33

    「鬼神(おにがみ)様」

    部屋の外から御神体たる彼女を呼ぶ声がする。

    「なぁに」
    「襲撃です、セイバーが、襲撃してしました!」
    「なんですって……!」

    バーサーカーが立ち上がる。

    「マスター」
    「ええ、行って、バーサーカー!殺してやりなさい!」


    教会の、正面から。
    堂々とドアを蹴破りそれが入ってくる。
    恐ろしい怪物殺しが入ってくる。

    「うふ、うふ、鬼の匂い。隠れていても、隠していても、わかる。サーヴァントも、マスターも、ここに居るのはどちらも鬼。そうでしょう?バーサーカー……」
    「戯言を。その首、落として差し上げます」
    「行きなさい、セイバー。殺しなさい。すべからく、ひとでなしは討ち取るのよ、ふふ、ふふ!」

  • 341 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 19:19:50

    戦いは──互角である。

    円卓最強の騎士、平安源氏の棟梁。

    どちらも決して引けを取らぬものたち。

    大きな広間の真ん中、剣戟が鳴り響き続けている。


    「さぁ、殺しましょう。鬼を、殺すの。他の鬼はどこかしら?あちらかしら?こちらかしら」


    マスター<我が子>を狙っている────!

    勘づくも、しかし何が出来るわけでなし、なぜなら目の前にはセイバー。凄烈なる騎士がいる!


    「どきなさい!!」


    セイバーは答えることなく。その首へと剣は迫る。

    それを防ぎ、押し返し、切り伏せようにも、目の前の騎士はそれをさせるほど弱くない。


    女が、寝室へと。『御神体』の安置されし本殿へと向かっていく。


    「あちら、あちらにいるわ。ふふ、ふ、うふふふふふ」

  • 35二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 19:28:45

    観測不可なサプライズハサンがないと対処難しいんだよな根源接続者

  • 361 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 19:34:37

    御神体に手を触れさせぬと襲い来る黒服など、彼女の前では紙も同じ。無惨にも頭を飛ばされ胴を千切られた人であったものがごろり、転がっている。

    「うふ、いた、いたわ。ふふふ」

    ぎぃぃぃぃ………………扉が、ゆっくりと開いていく。
    その中で、子供が一人女を見ていた。

    「お、」
    「お?」
    「お、お、おねがい、おねがいします、ころさないで、おねえさん、ころさないでぇ……!」

    弱く、か弱く、か細く、子供は情に訴えるように、涙声で命を乞うた。

    それに、女は笑った。

    「うそつき」

    十にも見たぬ、小さな少女を、あっさりと容赦なく蹴り飛ばした。

  • 37二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 19:36:08

    絵面最悪で草

  • 381 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 19:45:55

    「ふっ、う、うううう……!!!」

    夏希は逃げた、逃げていた。持ち前の鬼としての回復力のお陰で蹴られてもあまりダメージがないのは幸いであった。だが、マリアが追ってくる。ゆっくりとだが確実に追ってくる。
    とにかく、どこかに隠れて落ち着かないと──!
    走って、別の部屋に隠れて。

    「鬼さんそちら、ふふ、手を鳴らしなさい?」

    ぱち、ぱち、ぱち。
    意識なんてしてないのに勝手に手が動き柏手を響かせる。

    「なんで、なんでなんで、なんで……!止まって止まって止まってよぉ……!」
    「うふ、うふ、そっちね?行くわ、今行くわ」
    「いや、いや……!」

    壮絶な鬼ごっこ。ただし鬼は追われている方だ。
    迫る、迫る、どこまでも迫る。
    どこに隠れようと意味は無い。
    女は全てを知っている、知っているのだから。

  • 39二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 19:50:31

    観測不可能な史鬼と竜種のヤギコサン以外には基本有利だろうしな
    なんなら史鬼には普通の殴り合い斬り合いなら勝てるだろうし

  • 40二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 19:58:43

    全体的にマスター陣が怖いよお

  • 411 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:00:32

    斬り合う、斬り合う、斬り合う。
    両者全くひけをとらず、大広間の真ん中剣戟は響き続けている。
    幸いなことは双方相手に全く宝具を打つ隙を与えていないことだろう。
    逆に言えば宝具を打った方こそがこの勝負を制すると言っていい。
    言葉は無い、交わす余裕など存在しない。義理もない。
    我が子を思うバーサーカー。主の凶行を止められぬセイバー。どうにしろ、何も共有できぬものなれば。

    その、中で。
    転がり込む影。
    夏希であった。

    「あら、戻ってきてしまったわ、うふ」
    「───マスタ、」

    ほんの、本当にほんの少しだけ、バーサーカーの指が緩んだ。
    それを見逃すほど、見逃せるほど、セイバーは下手ではなかった。
    剣が、光る。

    「縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)───!」

    セイバーの剣が、宝具が、バーサーカーの身体に───

    「あ、いや、いや、いやあああああああああ!!!」

  • 421 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:08:59

    夏希の魔力が強く、強く、強く荒れ狂った。
    鬼としての力が、溢れていく。
    だが、たかがそんなことでマリアを、セイバーをどうにか出来るほど甘くは────

    「あら、」

    ふと、気づく。ここはどこだろうか。先程まで教会にいて鬼を追い詰めていたのに……。

    「あれは、なにかしら」

    なにかがこの暗い空間の中輝いている。
    近づく。近づいて、それを見る。それを、見る。
    それを──────見る。

    マリアが、マリアのかたちをした██が。彼女の夫と息子を───────

    「い、い、い、いやああああああああああ!!!!!!!やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてええええええ!!!!!!」




    「バーサーカーーーーーー!!!!!全部、全部壊しなさい!!!!!!」
    「牛王招雷・天網恢々────!!!!!」

  • 431 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:18:41

    どぉん、と、音を立て。大広間ごとセイバーとそのマスターは……吹き飛んだ。

    「ふ、うう、うううううう……!!!」

    その奥。鬼の角の生えた夏希が……泣いていた。
    彼女は殺生院夏希。魔性菩薩・殺生院キアラの一人娘。あの魔性の持つ術式、万色悠帯。この世界においては肉体を持つものにも精神作用を起こすそれは既に彼女に受け渡されていた。ただし鬼とならねば使えないという最悪な制限付きで。

    マリアのトラウマは、乱暴に暴かれた。彼女は愛する夫ができるとわかった時、その時のために己の運命を見る力を閉ざした。そして、最悪の結末に至ったあと、その力はもはや開かなくなっていた。周りの運命は見える、故に支障は無かったがしかし、だからこそ彼女個人にのみ作用するそれは───彼女にとって、予想外の災厄となった。
    そして。
    令呪によるバーサーカーの宝具発動でもって、セイバーとそのマスターは吹き飛ばされたのだ。

    「ごめんなさ、ごめんなさい……ごめんなさいい…………」

    泣きじゃくる夏希を、己もボロボロであるというのに、やわらかくバーサーカーは抱きしめていた。

  • 44二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:20:18

    キアラェ…

  • 451 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:26:05

    「は、はぁっ……あ、ああ……」

    セイバーは、消滅した。令呪の一押しによって力の増した宝具には耐えきれなかった。

    「う、あっ……ふううう……」

    だが、マリアは生きていた。妖精の血を引くものの頑丈さか、あるいは───執念か。

    「う、ふ、ううう……まだ、生きてる、生きてるわ。生きているなら……」

    ずる、ずると這いずりながら、その身はゆっくりと回復していく────。神霊も、魔性も、全て吹き飛ばす一撃を受けてさえ、彼女は、未だ。

    「まだ、まだよ、まだ……殺すわ、殺して、そうしたら。う、ふ……八夜、史鬼くん……ふふ、あなた、とても……げほっ」

    「──夫に似ているわ」

  • 46二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:30:23

    え、旦那さん滅茶苦茶頭おかしかったってこと…?

  • 47二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:32:00

    理念とかが似ていただけかもしれないだろ!

  • 48二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:32:39

    狂人の言う事を真に受けちゃあいけないよ

  • 491 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:33:37

    ────
    閑話休題/一方その頃
    アーチャーとアサシンが同盟を結んだその後。
    四人はそのまま交流会と洒落こんでいた。
    もちろん言い出しっぺは史鬼である。

    「協力すんなら互いのこと、知っとこうぜ!あっ、別にサーヴァントの真名とかは言わなくてもいいからな!!!」
    「「当たり前だろ!!!」」

    アーチャーとアサシンのツッコミを歯牙にもかけずにパーティー用のお菓子とジュースをがさごそとちゃぶ台に並べていった。

    「あ、あのあの……あの……」
    「おん?どしたよ」
    「お、俺あの……あんまりもの、たべられなくて……」
    「食えってんじゃないから大丈夫!俺が食いたいから出したんだしさ!」

    わさわさと、結局飲み物を飲んだりお菓子を食べたり当たり障りのなさそうなことをいくらか話しつつ、史鬼は尋ねた。

    「俺さ、環境利用闘法……っつーの?その場にあるもん使って戦うのが得意なんだけどお前はー?」
    「おれっ、おおおお俺は……その……呪い、とか…………。い、陰湿でごめん……」
    「おん?いいじゃん呪い。かっけーじゃん!知ってる?なんか今そういう漫画流行ってるらしいぜ俺は読んだことないけど」
    「今私の宝具が陰湿っつったか?」
    「ひ、ひえええ……言ってないです、か、かっこいいです、呪い」

  • 50二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:38:30

    今回の癒し枠二組…どうにか頑張ってほしいところ

  • 51二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:40:11

    ああー浄化されていく気持ち………まさか追い詰められてきたセイバーがもういないとは思わんだろうな…いや円卓最強が最初に脱落は魔境すぎる

  • 521 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:41:13

    だよなー!とぼりぼりポテチを食べていく史鬼。

    「あ、でもその……」
    「うん?」
    「お、俺もともと居るだけでも結構呪いを撒いちゃう……みたいで……。あ、今は、そこまででもない、けど、前はほんとに、みんなすぐおかしくなって……あはは……俺やっぱり」
    「ほーん。でもわざとじゃないんだろ?じゃあいいんじゃん。俺は気にしねえし、そもそも呪いあんま効きにくいんだよなー」
    「う、うそ」
    「ホントホント!マジだって俺山にいたころめちゃくちゃ呪われてたし!ギャハハ!なにされても情報吐かない修行〜っつってさ!物理的なのもそれ以外もすげー色々されてたんだぜ?でも呪いとかあとなんか魔術とか、全然ないってわけじゃねえけど効き目悪かったからな!」

    げらげら、なんてことないように史鬼は言った。

    「え、ええ……それは、家族に?」
    「うん。じいちゃんばあちゃんそれ以外にも色々。父ちゃんと母ちゃんは途中でなんかやっぱりやだーってなってそんで山降りてきたけど」
    「そ、そなんだ。あれっ、じゃあ今は……」
    「うん?ああ、死んじゃった。なんつーかな、バラバラになって死んでた。よくわかんないんだよなー、俺がガッコから帰ってきたらさ、全部真っ赤になってて。強盗ってことになったんだけど納得できんかったから、今死体あらいとかやりながら色々調べてんだ」

  • 53二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:46:01

    マスターもサーヴァントも見た目若いから仲のいい学生グループに見える

  • 54二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:47:18

    癒やしだ…

  • 55二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:48:25

    大体根源接続者と快楽天の娘が悪い

  • 56二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:50:15

    キアラ「あら?私は許されたのですね」

  • 571 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:50:58

    それもまた、なんてことのないように。でも、それは。

    「つ、らく、ないの」
    「ハサン・サッバーハはこんなことではへこたれないのだー!ガハハ!」

    それは、とても。

    「そいやお前はー?親とか」
    「っおい」

    アサシンが止める。だが、トリスタンとしてはここに来てそれを隠すのは……あまり、平等でない気がした。

    「俺は、その。みんなに嫌われてたから」
    「そうなのか?」
    「うん。いらない子だった。親が、適当にヤッて適当に産まれたのが、俺と姉さんだから。結婚だってしてなかったし。育てては、くれたけど。でも姉さんも俺もずっと、ひどいめにあってたし。俺が、全然手も足も動かないし、なのに変な力はあるし、きもちわるいって、姉さんにまで、そう言われてた。……父さんと母さんはいつのまにか居なくなってたし、姉さんは……ブラック企業に勤めて過労死しちゃったけど」
    「お、お前……」
    「うん……」
    「お前苦労してきたんだな〜〜〜〜!!!」
    「わ、わわーーーー!」

    ぐしゃぐしゃーっと抱きしめられ頭を撫でられる。そんなものは生きていて初めての経験だった。当たり前のようにキャパがオーバーし……。
    ぼんっ。ふわふわとしたぬいぐるみのような生き物の姿になっていた。

    「おわー!?変化の術!?そんなもんまで使えるのかお前!や、やわらかっふわっふわ!うお……すげ……」

    それでもなお撫で続ける史鬼の手をべしい、と叩き、アーチャーがふわもこのトリスタンを取り上げた。

    「こいつ私のだから、勝手に触んないで」

    照れたトリスタンのか細い声とやたらとテンションのあがった史鬼の声、アサシンの溜め息が屋敷の中に響いていた。

  • 581 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:57:33

    ───
    閑話休題2/それからその頃

    「ふむ……セイバーが落ちたようです」
    「あら、そうなの。……それは?」
    「ああ、これは先の戦争の監督役が使っていたものの模造品……のようなもの。英霊の同行を知ることが出来るのです。すこし改良を施したのでエクストラクラスのサーヴァントであれわかります。たとえばこれなどは一昨日戦ったアルターエゴのものですね。健在です」
    「ふうん、なるほど、よく出来てるじゃない」
    「光栄です」

    キャスターは案外アンセヲを気に入っていた。礼儀がなっていて、自分の実力をわかっていて、過度に誇りも卑下もしない。なかなかに心地のいいマスターだ。

    「あら、これは?」
    「ああ、これですね、ライダーの枠にあるエクストラクラス……。実は分からないのです」
    「分からない」
    「ええ、なるべく今まで出たエクストラクラスは全て調査し当てはめたはずなのですが……。それほどまでのイレギュラーなのかもしれません。注意をしておくに越したことはない」
    「…………なにか……」
    「はい」
    「嫌な予感がするわね…………」

    柳洞寺跡の地下の工房にそんな声が響いていた。



    つづく

  • 591 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:58:01

    第三話及び幕間はこれでおわりです。
    いえい!

  • 601 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 20:58:46

    それじゃ次の展開も募集でーす

    >>63までからダイスしますね

  • 61二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:58:58

    最初の脱落者はランスロットだったか…

  • 62二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:59:28

    アサシンvsアルターエゴ

  • 63二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:00:24

    バーサーカーvsビースト

  • 64二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:01:06

    アルターエゴvsビースト

  • 65二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:01:16

    このレスは削除されています

  • 66二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:01:42

    キャスターvsビースト

  • 671 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 21:02:51

    うーんもひとつオマケで含めちゃお

    dice1d4=1 (1)


    1.アサシンvsアルターエゴ

    2.バーサーカーvsビースト

    3.アルターエゴvsビースト

    4.キャスターvsビースト


    ふぁいっ

  • 68二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:03:26

    あ、拠点爆破されたことのお礼参りだこれ

  • 69二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:03:35

    アルターエゴとビーストなら道満対決か…

  • 701 ◆7prKFkU5YqFi24/10/07(月) 21:04:05

    ビーストを覚悟していたが華麗に避けてったな……

    よしっ、次回はアサシンvsアルターエゴとなります
    因縁(自業自得)の対決だな!!!

    続きは次の日になります、ご歓談&考察&感想&保守などしてお待ちくださいねー

  • 71二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:04:13

    道満対決ならず…
    でもこれはこれで面白そう

  • 72二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:05:33

    ちょっとスレ違いになるけどカルデアのキアラさんにこの惨状を見せてみたい

  • 73二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:05:40

    史鬼くんが頭のおかしい女にロックオンされてしまった件について

  • 74二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:09:24

    野良の根源接続者がその辺ウロウロしだすとか恐怖意外の何者でもない

  • 751 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 06:24:07

    再開です

  • 761 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 06:29:45

    ────第四話・The lough of
    交流会は恙無く終わり、トリスタンとアーチャーは己の家へと帰っていった。

    「うーっし、まさか協力者が出来るとはなー!やはり俺はハサンを超えるハサンになる男……」
    「もう勝手に言ってろ……初代様に怒られても知らん、俺は」
    「初代様にお目見えし首を斬られるということは実質認められたも同然……」
    「なんでそこの知識はちゃんとあるんだよお前は」

    やいのやいの、と言いながら片付ける。
    今日はバイトは無い、昼間は少し体を休めて、夜になったらまた活動する算段だ。

    「つーぎはどこ行ってみるかな〜キャスターのとこかバーサーカーのとこか、それとも……獣、のところか」
    「っおい」
    「ギャハ、そんな心配そうな顔すんなよ。大丈夫、俺ちゃんと実力量れるタイプだから」

  • 771 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 08:14:23

    その時、だった。
    どすどす、と音がして、そして。

    ドン、と。
    門が、蹴破られた。

    「っ……!!!」

    走り出ていくそこには、二人の大男が立っていた。


    「見つけたぞ……YAMAの翁……よくも、よくも我が根城を……壊してくれたな……!!!」
    「んあ?あっ、もしかしてアルターエゴのマスターか!」

  • 78二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 08:30:34

    再開やった…
    嬉しい…アーチャーアサシンが好きすぎて…

  • 791 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 08:52:40

    「あれは……あれは、この戦争のために財産を注ぎ築き上げたもの……。我は、我らはこのために、聖杯のために全てを賭けてきたのだ……。それを貴様ァ!礼装ごとぶち壊してからに!!!!!」
    「うおっ、すっげぇ怒ってる」
    (当たり前なんだよな……)

    アサシンは既に霊体化済みである。当たり前ながら正面切って戦うタチではない。アルターエゴの頑強さは『知っている』。

    「話にゃ聞いてたが、会うのは初めてだな!アルターエゴのマスター、明星だっけか?あとそこのアルターエゴは蘆屋道満、キャスター・リンボ、『異星の使徒』だったもの……そうだろ?アンタはともかくそのサーヴァントはロクなもんじゃないから仕留めようとしたんだが……ダハハ!こないだは外したな!」
    「ン、ン、ンンンンンンンン…………なぜ、それを」
    「ああ、うん。うちのがお前を知ってたからな!」

    アサシン──耀星のハサン。忘却補正を持つサーヴァント。彼は覚えている。今まであった戦いを覚えている。故に、星見の組織のことだって、真白な世界で大切なものを喪っても前を向くマスターのことだって、当然ながら覚えている──────!!!!!

  • 801 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 09:15:08

    じり、と。殺気が高まっていく。
    風船のように、爆発する寸前まで。
    明星は史鬼を睨みつけ、対する史鬼は笑っている。

    戦力差、は明確に史鬼が下のはずだ。サーヴァントにしろ、魔術師としてにしろ、敵わぬはずだ。だが、そんなことは些事とばかりにそれは笑っている。
    悪びれることも、怯えることも無く。

    「どうした、こいよ。俺のこと、やっつけたいんだろ?」

    ふくれあがったそれが────弾けた。

    「おおお……!!!」

    乱暴に見え緻密に計算された拳が史鬼を襲う!だが、避けた、避けた!

    「遅い遅い!」

  • 811 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 10:57:27

    ぴょんぴょん、と屋根に飛び移り、拳を避ける。
    あまりに身軽なそれの、最も驚異的なところはそこに魔術が介在していないこと。
    その上でこの身体能力であった。

    「よっしゃあ今度はこっちからっ」

    そして木へと飛び移り、足で枝を折りそのまま蹴り飛ばした!即席の槍が明星に迫る。だが、それが当たるほど鈍くはない。避けた───瞬間、で、あった。
    その枝が地に突き刺さったと思いきや"その下にあった何かが破裂した"。

    「があっ!?」

    飛び散る鋭利な石、それを見下ろし史鬼はまた笑う。

    「おう、ここ俺の陣地だから。色々しかけてあんのよな!」

    けらけらと、笑うそれに。アルターエゴが静かに印を組む。その瞬間。

    「オラッ!」

    強襲したアサシンの一閃が、その首を吹き飛ばした!
    ……が。

    「おやおや、そこに居ましたか、アサシン殿」

    『黒き命』

    異星の神の使徒として動いていた時ほどの力はなかれども。だが、未だ首の取れた程度で消える生命で無し。

    「ッチ、だろうな!」

  • 821 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 11:26:32

    アサシンにとって、呪いや魔術は天敵である。
    故に、真っ先に仕留めねばならぬものなれど、しかし相手は蘆屋道満。
    サーヴァントの中でも屈指の生き汚さを持つ英霊だ。

    狙われる前にまた霊体化する。隙を見計らわねばならない、だが、道満、リンボという男は何が最もやられたくないことなのか、それを知る男である。

    そう、マスター。
    アサシンなどには目をくれず、再度、史鬼を呪殺せんとし────

    「は、じかれ、た……?」
    「おう、俺呪いとかあんま効かねえから」

    かの陰陽師、蘆屋道満の呪いである。決して効いていないわけではない、ただ効きが弱いだけだ。しかし、今この瞬間ハッタリでもそう思わせることさえ出来ればそれは充分な隙だ!

    「よしじゃあ行くぞーーー!俺の、必殺───」
    「反転」

  • 831 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 11:39:09

    急激に迫った明星が、その腹を撃ち抜く。

    隙、確かに隙は出来ていた。ただ明星のそれは極端に小さく。そして、行ける、と思った史鬼の側にはそれ以上の隙が出来ていた、そんな話である。

    その術。本来悪しきものを撃ち抜くそれは反転し、善こそを撃ち抜く。

    彼にとってそれは、一溜りもない衝撃で───

    「が、ああああ……!!!!」

    吹き飛ばされ、地を、転がった。

    「マスター!!!」
    「おや、前に出ますか」
    「ぐ、ぎ……」
    「マスター!相性が悪い、離脱するぞ!」
    「い、や……まだ、まだ……!そも、逃がしてくれねえよ、これは……!」

    立ち、上がって。そして。
    ド、と。明星の背に、呪詛が這った。

    「ま、ま、ま、待てえ……!!!史、史鬼くんに近寄るなぁっ」

  • 841 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:02:23

    呪詛を祓いながら振り返る。
    カチカチと、震えながら、痩せこけた少年がそこに立っていた。

    「トリスタン……!」

    史鬼が呼ぶ。
    硬直。誰も動けぬまま少し経って。

    「アルターエゴ」
    「はい」
    「引くぞ」
    「良いのですか。今なれば宝具など使えば」
    「アルターエゴ」
    「はい」

    明星は、ちらりと史鬼を見る。頑丈な男だ、単純に強い。だが脅威というほどでもない。問題は。

    「う、ぅ」

    問題は、この。

    「お前のその呪詛は神に由来するものだな」
    「ひょぇっ、ど、して」
    「血が流れている、あるいは仕込まれた……というよりもむしろ、『そのもの』か」

    それだけ言って、明星は立ち去った。
    史鬼はいい。だが、『これ』は今相手にしたくは無い。それが結論だった。

  • 851 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:17:16

    「……早速助けられちまったな!」
    「よ、よ、よかった、よかったぁ……!変な予感が下から来てみれば変な人に襲われててえ……」
    「…………まあ喧嘩売ったのはマスターの方だったからな。あのアルターエゴが色々アレとはいえ」
    「うわひっさーん!昨日の強さはどうしたわけ?」
    「ギャハッ、まあシンプルに相性が、悪い!!!」
    「ええ〜………………」

    わさわさと、四人が無事を喜び合う中。
    明星はアルターエゴと共に引き上げながらずっとなにかを考えていた。

    「……アルターエゴ」
    「はい」
    「酷い違和感がある。お前はおそらく、そもそも召喚しえないものだ。違うか。誰か、何者かにより霊基を混ぜられて成立した本来はその場限りのそれだった」
    「ン、ンン……」
    「おそらくは、他にもいる。召喚出来ぬはずの存在が、出来ぬはずのことが、在る。勘に過ぎんが、おそらくはあの呪いを操る男のサーヴァントも」
    「それを知って、どうするので?」
    「我としては、たとえ聖杯がどれほどきな臭いものであろうとも使えさえすれば問題ないが。しかし…………それもまた、ふむ…………」

    アルターエゴは、そうしてまた考え込む明星を見る。
    ああ、やはり。
    似ているのは魂だけ。本質的には、似ても似つかぬ男だ。

  • 861 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:26:07

    ───
    閑話休題/一方その頃

    「うう。う、うううう……」

    夏希は泣いていた。身体を抱え、鬼へと引きずられていく衝動に引き裂かれ、今にも反転してしまいそうだった。
    バーサーカーに抱きしめられながら、バーサーカーを愛おしいと思うのに、ゆえに壊してしまいたいと脳によぎるのを拒絶し続けながら泣いていた。

    「鬼神様、お客様が──」
    「だ、れ」
    「獣道、と申しております」
    「通して」

    かつん、と。派手な髪色とフリルのふんだんに使われた服とを靡かせた女の形をしたものが入ってきた。

    「苦しそうだな、夏希」
    「何者、ですか」
    「バーサーカー、大丈夫。このひとは、協力者、だから」

    警戒するバーサーカーを宥め夏希はそれに乞うように見上げる。

    「……鬼の力を解放してしまったと聞いた」
    「セイバーと、戦った時に、私……っうう、嫌……っ」
    「安心してくれ。ほら、息をちゃんと吸って吐け」

    そう言ってゆっくりと背を撫でた。

  • 871 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:34:11

    「落ち着いたか」
    「あ……わた、し……」

    ゆらゆらと、光の入らぬ目に少しだけ、光が戻った。

    「目覚めてしまったものは仕方ない。が、抑えることは出来る。どうだ?」
    「うん……落ち着いた……」

    その衝動が落ち着いたらしい夏希に胸をなで下ろし、バーサーカーは改めてそれを見る。

    「……貴方は」
    「ああ、私は……。私は、獣道進。たまたまお前たちが聖杯を造らんとしたのを知ってな、微力ながら手伝った……というわけだ」
    「彼のおかげで私、衝動を抑えられたし、彼のおかげで私、父様のことも母様のことも篠森ナナシのことも殺せるの」
    「なぁに、私のしていることは所詮は手伝いだ。……よし」
    「もう、行くの?」
    「ああ、今回は様子を見に来ただけだからな」

    そう言ってそこを後にし、獣道はふっと笑う。

    「全ては順調、何もかもが順調だ。なぁに、全ては我が手の中……何をせども、この聖杯は必ず我が願いをこそ叶えるのだから」

  • 88二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 15:40:24

    このレスは削除されています

  • 891 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:41:07

    ───
    閑話休題/そしてその後

    眠っている。と、わかった。夢の中ではいつだって、現実よりももっと楽しい光景が広がっている。
    豊穣の地、楽しげな宴、傍には共にいてくれる巫女がいる。そうしていつまでも、どこまでも、いつか忘れ去られてもずっと人間たちのことを見守るのだ。
    そんな、夢を。
    今の自分とは全く違う名を呼ばれ敬われ奉られ、そんな夢を。
    今日もそんな夢を見た。
    はず、だった。

    血だ。血だ。誰の血だ。
    俺の血だ。
    酒の中に、何かが入っていた?
    どうして?どうして?
    豊穣の地はない、周りは全て海だ。
    六匹の何かがまわりで踊る。
    倒れ伏す自分の上で踊っている。
    巫女が、たいせつなあのこが。
    なきさけぶあのこが。
    ばらばらに、ばらばらに、されて。そして。

    「わ、わぁっっっ!!」

    目が、覚めた。

    「なんだ……今日の夢……」

    恐ろしい、恐ろしい、酷い悪夢にずっと、震えていた。

    つづく

  • 901 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:41:38

    第四話+幕間おわり!!!
    シンプル難産だったななんか…………

  • 91二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 15:46:53

    乙です
    夢で「おまつり」を見てしまったかぁ…

  • 921 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 15:55:39

    次の、展開!!!どうする


    >>95までからダイス

  • 93二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 15:57:36

    ビーストvsキャスター

  • 94二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 15:57:38

    アーチャー陣営とアサシン陣営で作戦会議

  • 95二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 16:09:46

    マリアvs夏希

  • 96二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 16:10:08

    ビースト道満、主に黙って単独行動

  • 97二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 16:16:27

    このレスは削除されています

  • 981 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 16:16:52

    ダイスミスった


    4つ目も入れちゃお

    dice1d4=1 (1)

    1.ビーストvsキャスター

    2.弓殺作戦会議

    3.マリアvs夏希

    4.ビースト道満の単独行動

  • 991 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 16:17:21

    獣vs術
    ついにビーストが動く……!こりゃまた大変だな!!!待て、次回

  • 100二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 17:01:25

    メディアさんまーたリンボと戦うん?とことんついてないな

  • 1011 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 18:08:03

    ───第五話・The change of

    アンセヲは考えあぐねていた。
    果たしてこの状況、打って出るべきか、それとも未だ待つべきか。
    未だ、脱落者はセイバー一人。ならばやはりもうしばらくはいわゆるアナグマ戦法を決め込むべきか、あるいは……。

    「だが、妙な予感がする」

    それは人造獣ゆえの直感か、それとも。

    「この、謎のエクストラクラス。これがなにかさえ分かれば……」

    慎重に、調べなくてはならない。
    既に使い魔は放っている。
    あとは彼らが情報を持ってきてくれるのを待つだけ……。

    「っ……!!!!!」

    飛び上がる。

    「こ、れは…………」

  • 1021 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 18:26:50

    アルターエゴの他に、もう一人。同じ顔立ちのサーヴァントが居た。
    いや、それはいい、それはいいのだ。英霊というのはそも多角的な側面を持つ者。同じ聖杯戦争に、別の側面の同一人物が召喚されても決しておかしなことではない。
    だから、そうではない、そうではないのだ。
    視認する。
    視覚情報からそのサーヴァントのクラスを分析する。
    あれは。

    「ビー……スト……?」

    噂話でしか聞いた事のない。
    単一で人を滅ぼす偉業を為す役割を持つもの。
    あれは、あんなものが、こんなところに居ていいわけがない────!!!

    「まずい、まずい、まずいまずい!!!悠長に争っている暇などない、なんだっていいあれは力を合わせて倒さねばならぬもの……!そもビーストは英霊を七人召喚しそれでもって打ち倒すべきもので、ああ、はやく、アレが完全に成りきる前にどんな手を使っても……!!!」

    ばちん。
    使い魔越しに、目が、合った。

    「ッア」

    ぶし、と目が潰れ血が出る。
    あれが、ビースト。目が合うだけで、呪詛が流れ込む……!!!

    「マスター!今なにがあったの!?説明してちょうだい!」
    「きゃす、た……わた、私は……いや、違う。くそっ……ビーストが、人類悪が、『ここ』にいる……!!!!!」

    敬語を使う余裕すら無くし、悲鳴をあげるようにアンセヲは言った。

  • 1031 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 19:09:59

    「見られましたね」
    「あの使い魔は、ふむ、キャスターのところのアンセヲと言ったか……あれかな?」

    ビーストとなりし道満は、この数日でこの身体が『出来ること』をある程度把握していた。
    あまりにも規格外だ。
    それこそ指先ひとつで街ひとつ壊せそうなほどだ。

    「いかがしましょうか」
    「ふうむそうだな。そろそろ試運転にはいい頃合いかもしれん……。お前の、好きにするといい」
    「ええ、ええ。そういうことなれば、お任せを」

    そうしてドアから出たその時には、その姿はどこにも見えなくなっていた。

  • 1041 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 19:21:08

    「っ来る!とにかく他の参加者に使い魔で連絡を──」

    バチン。

    「だ、めだ。気取られている!ああ、使い魔が全て、全て!来る、来る、来る──!」
    「マスター!」

    ぱしん、と、キャスターが狼狽えるアンセヲの頬を打つ。

    「キャスター……」
    「私のマスターでしょう。しゃんとなさい!」
    「あ、ああ……。申し訳ない、少し冷静になった」

    ひとつ、深呼吸。
    モザイクの下、見えぬその目には活力が戻っていた。

    「ええ、それで、敵は?」
    「敵はビースト、人類悪。こんなところに出てきていいはずもない難敵です。しかし……おそらくまだ羽化はしていない。未だ幼体なのです。なぜならもしも成体になっていたのならば、とうに聖杯戦争自体が崩壊しているからです。あれはそれほどのもの。未だ表立って活動していないのならば、あれはまだ力を蓄えている最中なのでしょう。もしも成体であったならばあれ以外のすべての戦力を結集させたとてどうなるかわかりませんが、あるいは今ならば」
    「ええ……。そうね。どちらにせよ逃げ場はないみたいだし」
    「ええ、はい。今ここで……打ち倒すより他に道はありません」

    ジジジ、とどこからか音がなり、何者かが侵入したことを伝える。
    柳洞寺正門、そこに───陰陽師の姿をした獣が立っていた。

  • 1051 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 19:48:55

    最初から、全力で────!!!

    「令呪をもって命ずる!キャスター、全力をもってあの獣を打ち倒せ───────!!!!!」

    出し惜しみはしない、ここで全てを賭けて構わない。援軍など期待出来ぬ以上、ここで必ず打ち倒す……!!!
    決戦用に備えていた全ての礼装、全ての魔力を解き放ち、何をしてでも、必ず!
    キャスターの放つ、令呪で強化された魔力弾がこれでもか、とビーストを襲う。
    散弾銃、いやさミサイルと言ってもいいほどのそれが地面を抉り取りながら撃ち込まれていく。
    人間が、いやサーヴァントであれこれを喰らえば粉微塵になってもおかしくはない、それを。

    「急急如律令」

    その、ひと言で。
    こともなげに切って捨てた。
    足元にひらり落ちるは数体の式神。ただそれだけで、防いでみせた。

  • 1061 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 19:58:19

    囲め、囲め、効いていなくとも。数多の竜牙兵で囲み、数多の魔力で打ち砕け。
    効かない、効かない、効かない、効かない。
    なにをどうせども届かない!!!
    獣が笑っている。虫を払うかのように、全てを無効化していく。

    「お、お、おおおおおお!!!!」

    アンセヲが吠える。
    己の身に宿るアステカの神の因子を最大限に解放する。
    「キャスター!!!令呪をもって、命ずる!!!私に、ありったけの強化を!!!!!」

    キャスターがアンセヲにこれでもか、というほどの強化を、耐えられるギリギリまで施して。
    宙を、舞った。
    飛んだ、と言っていい。
    浮いていた、ともあるいは言うかもしれない。
    規格外の跳躍力でもって飛び上がり、そして。

    「炎、神をも灼き尽くせ(シウ・コアトル・ツァレアーダ) ────!!!!!」

    ビーストへと、墜ちた。

  • 1071 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 20:31:32

    そして。



    そして。
    キャスターは、アンセヲは、地に倒れ伏していた。

    「ふむ、なるほど、なるほど。音に聞こえし裏切りの魔女、彷徨海で造られし人造獣。これほどのものでしたか」
    「しかし。やはりこの霊基。中々に難しい。力の調整、というものにはまだ時間がかかりそうですな」

    ビーストの頭の上、飛んでいた蛾が両断されて地に落ちる。

    「──さて、」

    そう、身を翻し戻ろうとして。

  • 1081 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 20:31:52

    『キャスター!宝具を使え!!!聖杯との繋がりを断ち切れ────!!!』

    最後の、令呪が消えた。

    「破戒すべき全ての符────!!!」

    刃は。
    ビーストの指二本で止められた。
    消滅するキャスター。

    「くっ……」
    「不意討ちとは、やりますなぁ。まあ、それもここまで、ですが」

    ぱしゅ、と。呪詛によりアンセヲの心臓が弾け飛ぶ。
    その身体に、魂にかかっていた術式が解け、猪型の獣人の姿が現れ、そして、それきり動かなくなった。

    そうして今度こそ、ビーストはその場を去った。




    そこから少し遠くで、一匹の蝙蝠型の、傷ついた使い魔が必死に羽根を動かして、明星のもとへと向かっていた───。

  • 109二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 20:38:12

    命燃やしてんなぁ

  • 1101 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 20:43:32

    ────
    閑話休題/一方その頃

    トリスタンはアーチャーに連れられ、靴屋に向かっていた。ずっと家に居ても面白くない、と言うのだ。
    まあそれは当たり前だし、気分転換だって必要だし、なにかあってもきっとアーチャーとなら大丈夫だろうし、と、新都に出て、今彼は靴屋の前でアーチャーが出てくるのを待っていた。

    「あれ、トリスタンさん!」

    聞き覚えのある声を聞きそちらを見ると黒服に連れられた夏希がいた。

    「あ、えと、夏希ちゃん」
    「はい!」
    「ぐ、ぐ、偶然、だね。どうしてこんなところに……?」
    「ちょっとだけお出かけしにきたのです!」
    「あっ、そ、そうだよね……」

    そうしてそのまま二人は雑談に興じることとなった。
    いくらかたどたとしく言葉を交わし、それからふっとトリスタンは言った。

    「で、でも夏希ちゃんも大変だね、ここ、この歳で監督者なんて大変な……役目……。そ、その……ご両親とかは……何か言ってるの……?」

    一瞬。夏希の目が揺らいだ。

    「わたしのおとうさんとおかあさんは、わたしをすてたのです。なのでいまは教団のみなさんが、わたしのおやがわりなのです!」
    「そ、そだったんだ……ご、ご、ごめんね……」
    「いえいえー、きにしてません!」
    「な、なぐさめになるかわからないけど、俺とおなじだね」
    「え?」
    「お、俺も、俺も父さんと母さんに虐待……されてて、へへ。姉さんにも嫌われてて。姉さんはもう死んじゃったし、父さんと母さんは行方が分からないし。で、でも、なんとか、生きてるから……その、大丈夫、だよ」

  • 1111 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 20:43:49

    そこまで言ったところでアーチャーが行くぞ、とトリスタンを呼ぶ。

    「あ、俺、そろそろ行くね……」
    「……はいー」

    彼のことを見送って、そうして、夏希は俯いて言った。

    「知ってます、知ってるわ、知ってるの、そんなの。篠森ナナシが筆舌に尽くし難い目にあってきたことも、その身体が不自由なことも。でも────!!!」

    ぼろり、その瞳から大粒の涙がこぼれおちる。

    「たかがその程度で手を下ろせるなら、たかがその程度で諦められるなら、たかがその程度の同情で……憐れみで……許せるなら……!私は、私は鬼になんてなってない────!!!!!!!」

    思い切り噛んだ唇から、血が一滴滴り落ちた。

    つづく

  • 1121 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 20:45:34

    第四話+幕間は終了でーーーーす


    ぶっちゃけもう半分くらい来てる感あります

    まあエタるよりは短い方がまだうんその



    とりあえず次はバトル以外の回にするので募集します

    >>115までからダイス

  • 113二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 20:47:20

    ナナシか夏希の過去回想

  • 114二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 21:06:07

    アサシンとアーチャーの作戦会議

  • 115二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 21:28:02

    アサシンと死鬼、アーチャーとナナシの交流

  • 116二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 21:30:01

    dice1d3=2 (2)

    1.ナナシor夏希の過去回想

    2.殺弓作戦会議

    3.殺組と弓組のそれぞれの交流

  • 117二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 21:30:56

    作戦会議しまーーーす!!
    それ以外のふたつも組み込んでもいいかもしれないな
    では今日はここまで!再開するまで保守や感想や考察やら色々お願いします!

  • 1181 ◆7prKFkU5YqFi24/10/08(灍) 21:33:51

    コテ入れ忘れてたけど上のふたつはスレ主なので安心してください

  • 119二次元好きの匿名さん24/10/08(灍) 21:56:01

    作戦会議…どんなのになるのか
    主人公組大好きだから死なないでほしい‥

  • 1201 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 05:51:00

    ───第六話・The play of
    「作戦会議だッッッッ」
    「アッハイ」

    史鬼とアサシン、トリスタンとアーチャーは史鬼の拠点にまたも集まっていた。
    アルターエゴ襲撃時の被害はまだ放置されていて、史鬼自身の怪我も治ってはいないが、それはそれとしてなぜかトリスタンより元気そうであった。健康優良児である。

    「とりあえずわかってる範囲で状況を説明していくぜ〜」

    取り出したるはホワイトボード。
    一体どこにそんなのを仕舞っていたのか、という疑問が湧くがまあそんなこともあるのだろう。

  • 1211 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 06:57:33

    「とりあえず召喚されてんのは七基な〜」

    と、かつかつと書いていく。

    「セイバー、アーチャー、アルターエゴ、キャスター、アサシン、バーサーカー、ビーストだな」

    と、書いたところでアーチャーが叫ぶ。

    「っっっっと待て!!!!」
    「おう」
    「ビースト召喚されてんのかよ!!!」
    「みたいだぜ」
    「そ……れならこんな呑気やってる場合じゃねえだろ!!!」

    え?え?とトリスタンはアーチャーを見る。
    アサシンも頭を抱えていることだし、一体何なのだろうか。ビーストというクラスはそれほどまでにヤバいなにかなのだろうか。

  • 122二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 08:38:12

    やっぱりカルデアがおかしいんだよな…普通にビーストがいるし
    キャスターとセイバーが敗退、アサシンアーチャーが同盟…うーむ

  • 123二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 09:02:38

    ちょっと待って、
    セイバー→❌ マスター→アサマス執着
    アーチャー→◯ マスター→◯
    アルターエゴ→◯ マスター→◯
    キャスター→❌ マスター→おそらく❌
    アサシン→◯ マスター→◯
    バーサーカー→◯ マスター→アチャマス敵視
    ビ ー ス ト
    うーん、これは…抑止力仕事しろ!ビーストがいるぞ!案件ですね。アルターエゴがどう動くかもわからんしバーサーカー陣営もビーストよりアチャマス優先しそう。

  • 1241 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 09:12:03

    そもビーストとはなんなのか。
    懇切丁寧に説明を受け、トリスタンは叫んだ。

    「マジでこんなことしてる場合じゃないよ!!?!!」

    がたぶる、と部屋の隅で震えるトリスタン。だが、史鬼は笑っている。

    「おう、だからこその作戦会議だな!」
    「こんなの二組でやれっこないよ〜〜〜………………」

  • 1251 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 09:37:04

    「まーまーまー。なんとかなるって!な!」
    「な、なんでそんな自信あるの…………」
    「わけわかんねえだろ、こいつ。俺にもわけわからん」

    トリスタンから溢れる現実味のない絶望感。
    史鬼から溢れる理由のない能天気さ。
    既に座礁に激突してバラバラになっていそうな船のような様相である。始まって五分も経っていない。

    「まあそもそも完成してないしな、あの獣。ならまあやりようあるだろ」
    「そ、そんなものなのぉ……?」
    「まあ他にも色々理由はあるが、一番なんとなりそうな理由っつーとあれだ、そもそも適性がないまま獣になってんだよな、今回のやつ。なっ、アサシン」
    「あん?なんか知ってんのかオマエ?」
    「ああ、なんだ、まあ。あのビースト……少なくとも姿かたちに関しては見た事のある奴だった。……アルターエゴだ」
    「ほえ」
    「は?」
    「そうなんだよなー」
    「えっ、えっ?アルターエゴとビーストが同一人物だったってこと?じゃあ黒幕は……」
    「いや違う違う。そもそも同じ英霊が違うクラスで呼び出されるってことは無くはないらしいからな。アサシン情報だけど」
    「そ、そうなんだ……」

  • 126二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 09:40:55

    ナナシくんのヌンノス、夏希の鬼…これ考えちゃったんだけどさ、双子のお姉ちゃん巫女の生まれ変わりとか、ない?
    あと家庭やばいな。
    うん。
    …抑止力仕事しろ。

  • 127二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 09:41:29

    まあマスター達が根源接続者、ヌンノスと鬼の血族、晴明の生まれ変わり、アステカ菌の適合したホムンクルス、ユニヴァース接続者、キアラと鬼の娘だったから力合わせれば脱法不適正ビーストならワンチャン何とかなる要素はあるにはある

  • 128二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 09:45:59

    キアラのパッパから作られた聖杯がキアラの娘、つまり孫とキアラの夫の母違いの息子に災難をふりかけている。
    つまりキアラが悪いな。

  • 129二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 09:51:22

    というか間桐もアインツベルンも遠坂も衛宮も言峰もついでに柳洞寺もいないのか。
    というか冬木自体人がいないいないしてる?
    …二世、グレイ!来てくれ!
    スレ主の想定としてはどのルートのどのバッドエンドですか?

  • 1301 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 10:27:24

    >>129

    あんまり内容には関係ないのでここで言ってしまうと、想定としてはFGOコリジョン元のSNです。

    コリジョンした結果本来ならば3ルートのどれかになるはずがマリスビリーの勝利という結果が上書きされ全員死亡した、という結果だけが元の世界に残されました。

    そしてコリジョンした結果聖杯の綺麗なとこだけ持ってかれて泥が残されました。

    2世は泥をなんとかしてないないしました。

    冬木に人はいます。ちゃんと暮らしています。

    ただ、聖杯戦争に少しでも関係した人間は持っていかれました。

    一般人であれ、おそらくもっていかれました。

    穂群原学園の学生や教師ももっていかれました。ライダーの結界で被害を被ったのを関係した判定されました。

    藤ねえももっていかれています。

  • 131二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:30:10

    >>130

    うわぁ…わぁ…

    …これ二世もしかして…もしかしてだけどタヒんでる?

  • 132二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:30:42

    四次に参加してるし聖杯頑張ったし

  • 133二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:32:36

    というか藤ねぇ…
    つまり認識としてはネームドプラス教師学生がいないいないしてるってことでいいの?

  • 1341 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 10:34:14

    一応五次関係者だけなんで2世は多分大丈夫ですメイビーきっと


    >>133

    そうですねえ!!!あともしかしたらHFで黒聖杯に食われる予定だったひとたちも持ってかれてるかもですね、ガハハ!!!!!

    人はいるけど廃墟が多い、そういうことです。

  • 135二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:40:55

    これ黒桜も含めると人居なくなりすぎて冬木市消滅しそう…
    居ないのが突然タヒなのか存在ごと消滅したのか…
    いずれにせよ大混乱だろうな。とくに教師の家族とか衛宮のバイト先とかお寺もなくなっていろいろと大変そうだし…

  • 136二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:44:18

    …あれ?これアンリマユはいないのか、そっか冬木の大聖杯じゃなくて別の大聖杯だからか

  • 137二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:47:10

    >>134

    つまりバゼットはいないと。

  • 1381 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 10:47:28

    「明言するとアルターエゴとビーストの真名は蘆屋道満だ」
    「蘆屋……道満……」
    「ああ。そしてその蘆屋道満にはビーストに成ろうとして成れなかった実績がある。なんだっけか、人類悪は人類愛、人類を全て愛しているからこそそうなる……らしい。そして蘆屋道満にはそれが無かった。だから成れるはずがない」

    アサシンの説明に沢山のはてなを浮かべながらトリスタンは問う。

    「えっ、じゃあなんで成れてるの??」
    「俺は聖杯になんかあんじゃねえかな〜って睨んでる」
    「聖杯ねえ……出来んの?そんなこと」
    「ものによっちゃ不可能ってほどでも無えだろうっつーか現状それ以外に理由思いつかねえんだよな!ギャハハ。聖杯ひとつで本来辿らん歴史とか色々作ること出来るってアサシンも言ってたし」

    アバウトだな……アーチャー陣営の共通の見解であった。

    「っつーかアサシンはなんでんなこと知ってんだよ」
    「……俺はサーヴァントとして召喚された時の記憶を忘れない性質をしている。普通のサーヴァントは忘れる、というより記録になって次の召喚には持ち越さないのが常だが俺は全て持ってる。……前に世界の危機に召喚されたことがあった。その時は他にも凄い数の英霊が召喚されていた、信じられないようなことも沢山見た。今話しているのはその時の話だ」

  • 1391 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 10:48:55

    >>135

    >>137

    はい!!!

    まあ一応まだ冬木市はあるけど冬木市そのものが完全に廃墟になるのも時間の問題なかんじスね

    イメージとしては突然死と失踪が半々な感じですかね

  • 140二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:53:55

    氷室のパッパが市長さんか…
    パッパ大丈夫?生きてる?

  • 1411 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 10:55:29

    「たくさんの……英霊……世界の危機……」
    「だからその……実は、俺は今回召喚された英霊全ての真名を把握してる」
    「マジかよ。……私も?」
    「正直お前の存在に一番驚いた。だってお前本当なら召喚されるはずないだろ、異聞帯……無かったことになった世界の存在なんだから」

    驚愕の
    事実が
    多すぎる。

    「そ、う、なの……?」
    「あーーーー……そうだよ。聖杯戦争の知識は聖杯が流し込んできたけど。私をなんで呼ぶことが出来たか、は私にもわかんねえ。だって私は……」

    あの日、あの時。
    お母様、ベリル、予言の子、失意の庭、カルデア、……カルデア?

    「あ゙?もしかしてお前が居たのってカルデアか?」
    「お前にとって異聞帯の出来事は生前のものだからまあ知ってるだろうな……そういうことだ」

  • 142二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:56:57

    ここでカルデアくるの?!

  • 143二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:57:37

    ホラースポットとか都市伝説の地としてオカルトマニアの話題になってそうだなこの冬木

  • 144二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 10:59:48

    うーん混沌としてまいりました

  • 145二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:00:29

    >>143

    たしかに。間桐邸とかアインツベルン城とか廃校?とか

  • 146二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:01:23

    とりあえず冬木と市役所ファイトなのと…もしかして藤村組逝ったか?

  • 147二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:02:19

    >>139

    わぁ…火葬場もたいへんだ

    葬儀場も…

  • 148二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:03:11

    >>147

    あ、ガス会社もだ

  • 149二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:05:20

    安価とはいえ呪い関係の鯖多いのが本当に酷い

  • 1501 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 11:06:19

    「いやー、この戦いが終わったらそのカルデアの話も色々聞きてえな!!!」
    「話せる時間があるかは知らねえけど」

    話が色々と逸れていったため省略。

    「え、えと……それであの……結局そのビーストのことはどうするの……?」
    「あっ、そうそうその話だったな。とりあえずやりようはあると思うんだよな。別の霊基とはいえアルターエゴもいるしさ、もしかしたら本質的には別だったりするのかもしれねえけどまあとにかく通じるものが別にあるなら色々できるっちゃできるだろ。そもそも脱法ビーストだしな、詳しいことわかんねえけど」
    「そ、そんなんでいいの……?」
    「いいんだよ、重要なのは手の内を知ってるやつが居るってことなんだから。その辺も含めて色々探るためにアルターエゴに凸ったんだけどいやー相性ド悪かったな」
    「えっ…………」

    ぽかん、とトリスタンが口を開く。

    「それだったらアルターエゴとそのマスターに正直に言って協力した方が良かったんじゃ……」
    「俺もそう言った」
    「協力するより戦った方がある程度情報取れんだろ」
    「そんなわけねえだろ!?!?!」

    おおアーチャーのツッコミが冴え渡る。
    この男、戦闘民族だったか……。

  • 151二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:07:35

    >>149

    それ。

    というかほんとにパーヴァン・シーどうやってきたのさ。

    というかやっぱり抑止力もしくはカルデア案件になりそうなんですがそれは

  • 152二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:08:38

    脱法ビーストというパワーワード
    やっぱおかしいよ…

  • 153二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:09:31

    だってビーストの資格ないしあいつ

  • 154二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:11:28

    >>153

    せやな


    …二世さーん、もっかい聖杯を破壊しにきてくれませんかね…?

  • 155二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:12:04

    というか聖杯って作れるんだね、今更だけど

  • 1561 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 11:19:35

    「お、俺としては、その、今からでもアルターエゴ組に話つけたほうが、いいんじゃないかなって、あと、他のひとたちにも、その……」
    「皆で力を合わせて……って?」
    「だ、ダメかな………………」

    まあ、確かにそれが無難?な解決方法ではある。

    「いいと思うけどなんか全員あとで寝首掻いてきそうなんだよな」
    「うええ………………に、人間っていつもそう……!!!」

    トリスタン渾身の本音の吐露であった。

    「正直初回のアルターエゴ襲撃で全部ケチついてる気がするんだが???」
    「悪いやつなことには変わりないしそもそも戦って情報勝ち取るタイプなんだよ俺は」
    「ほんとこいつマジでこいつどういう生き方してあっなんでもねえ」

    生き方についてはここにいる全員何も言う資格がない。
    脛やら背やらありとあらゆるところに傷の多すぎる四人組である。

  • 1571 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 11:20:30

    >>155

    まあそもそも最初の大聖杯がアレだし……盈月もあるし……

  • 158二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:26:14

    大体全部見通せて魔力バフもやばそうな根源接続者味方に欲しいけど滅茶苦茶目が曇ってる状態なのがな……

  • 159二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 11:36:02

    これ根元接続者のセイバーマスターはどう動くの?根元接続者についてはミリしらだけどすごい人らしいけど。

  • 1601 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 11:37:18

    「と、とにかく寝首うんぬんはあとで対策するとしてとりあえずまずビーストからどうにかしましょうよぉ……」

    そういうことになった。
    当たり前である。

    「おっしゃあじゃあ全員と話つけるか〜〜。任せろ〜交渉は得意だからな」
    「嘘つけ!!!!!」
    「え、えっと……俺は……」
    「おー、トリスタンはさ、呪い、得意だろ?」
    「う、うん」
    「俺は呪いには耐性あるけど詳しくないし、アサシンは耐性雑魚雑魚だし」
    「本当にそれがわかっててよくアルターエゴに初手で喧嘩売ったよな!?止めたよな俺は!何度も止めたよなマジで!」
    「お前は強いし、多分詳しい。だからコレ、預けるぜ」
    「これは……?」
    「アルターエゴの使ってた式神。俺にはさっぱりだけどお前らなら『どういうものか』なんとなく分かるんじゃねえか?アルターエゴとビーストがもとは同じ英霊なら、それがめちゃくちゃ役に立つと思うぜ!」
    「あ……うん、俺、頑張る……!!!」
    「はーーー……ったく……貸せ、私も見る」
    「う、うん!」
    「んじゃあよろしくな!!!」

    そう言って早速、とばかりに史鬼たちはアルターエゴの根城へと向かっていった。

    「じゃ、じゃあ俺たちは俺たちで、何ができるか、考えよ……」
    「しょうがねえな」

  • 1611 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 11:48:28

    >>159

    根源接続者はですねえ……簡単に言えば全知全能なんですよ……

    例としては沙条愛歌とか「両儀式」とかが該当します。

    生まれつき全ての運命を知ってるし色んなことを捻じ曲げたりもできる感じのやつですね。あとなんか恋バグ起こす。

    マリアさんがどう行動するかはまあ……オイオイネーというかなんというか考え中というか多分あの人めちゃくちゃ目が曇りまくりというか頭が飛んでるので普通に協力は面白くな……難しそうというかなんというか

  • 1621 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 12:05:01

    ────
    閑話休題/一方その頃

    明星は拠点の建て直しをしつつ、色々と考えていた。

    「ふむ……」
    「いかがされましたか、マスター」
    「うむ。やはりこの聖杯戦争、強く違和感がある。アルターエゴ、お前はなにか知らないか。本来なれば存在しえないもの同士、あのアーチャーのことなど分かりはしないか」

    黙り込む。この蘆屋道満にカルデアの記憶は無い、あるのは異星の神の使徒として在った時の記憶までである。そしてこの男、インド異聞帯が崩壊するまでそこに留まっていたので、インドとオリュンポス以外の異聞帯のことをあまり知らない。つまり。アーチャーのことも知らないのだった。それはそれとして。

    「拙僧としましてはアレはいわゆる『剪定事象』、無かったことになった世界の英霊では、と」

    この通り、洞察力は人並み以上であるために。なんとは無しに予想がついていた。

    「しかしなんだってそんなものがこの聖杯戦争に。いやそもそもこの聖杯戦争は『何』だ。何のために行われた。……最初から、か?っあああ!!!憎らしい憎らしい憎らしい!!!クソッ、才能さえ、更なる才能さえ我にありさえすれば!!!!!」

    唐突な発狂も最早慣れたものである。マスターとサーヴァントとして共にあるうちにこの目の前のよくわからん男が晴明なのかそうでないのかについては段々とどうでも良くなってきていた。少なくとも立ち居振る舞いは晴明とはかけ離れているのだし。

    「明星殿!」
    「どうした」
    「キャスターから、使い魔が」
    「……なんだ?これは…………」

    使い魔に記された魔力による情報を読もうとした瞬間である。

    「たーのもーーーーー!!!アルターエゴとそのマスター居るか!?!!」
    「道場破りじゃねえんだぞ!!!」

    つい先日戦った、アサシンとそのマスターがまたも修復途中のドアを蹴破ってきたのだった。

  • 163二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 12:13:07

    >>162

    もはやギャグ

  • 164二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 12:20:33

    幸運値高そうだなYAMAの翁

  • 1651 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 12:25:04

    ──
    閑話休題2/そしてその後

    アーチャーとトリスタンはしげしげと式神……呪符を眺めていた。

    「た、多分、俺らのとは違うやつで……えと、東洋のものっていうのはわかるけど……。かたち、かたちはわかる。原理、とか複雑なことはわからない、けど、どこを壊せばいいのか、そういうのは、わかる」
    「へえ〜……思ったよりやるじゃん」
    「え、えへへへ…………」

    そして、ちらり、とアーチャーを見る。

    「お、お、俺たちの呪いは、少し似てるかも……ね?」
    「はァ?」
    「ひ、ひえっ、変な意味じゃなくて、その……産地、っていうのかな、なんかそういうのが同じな……気がして……」

    ありてないことだ。だってアーチャーは本来なら存在しないはずの英霊。だが、トリスタン特有の感覚は『同じものだ』と示していた。

    「う、うう……」
    「別に、怒ってねえよ」
    「そ、う……?」
    「まあ見ててイライラはするけどな」
    「うううう…………」

  • 1661 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 13:25:23

    ふと。思った。

    「そ、そういえば、アーチャーは……その、どんな世界に……いたの……?」
    「それ聞くの?」
    「あ、あう……すみませ……」
    「一々謝ってんじゃねえよ」
    「うう…………」

    ぐしゃぐしゃ、と頭を抱えつつ。
    それでもなんとなく話してやろうという気になったのは。
    ……その自由に動かぬ手足が、身体が、昔の自分を思い起こさせたからなのか。
    だから、話してやった。
    特にお母様のことは重点的に話してやった。
    それが、アーチャーの……妖精騎士トリスタンの、最も中心にあるものだったからだ。

  • 1671 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 13:26:14

    「う、うう、う……」
    「…………言っとくけど。同情とかそういうのは要らないから。あ、それとも怖くなっちゃったぁ〜?そうよね、私、誰よりもザンコクでサイアクな」
    「君、は。おかあさんに愛されていたんだね」
    「───は?」
    「ごめん、俺、ちょっと」

    ふら、と。手足を引きずって、トリスタンが部屋を出ようとする。

    「お、おいちょっと、どこ行くんだよ!」
    「ごめ、んね」

    ひゅっ、と息を飲む。
    うらやましい。ねたましい。にくらしい。そんな、目が。
    恨めしい目は向けられたことがあった。
    軽蔑する目も、下に見る目も、恐れる目も、向けられたことはあった。
    それでも一度だって、心底羨ましいものを、心底恵まれたものを見る目は受けたことがなかったから。

    「ごめんね。勝手に俺と同じだって思ってた。そんな雰囲気が、そんな呪いがあったから。馬鹿だよね、トリスタンって名前、お母さんに貰ったって言ってたのに。愛されてないはずがなかった」
    「なに、言って」
    「名前、返すよ。きっとそれは、俺が預かっていいやつじゃない」

    それだけ言って、トリスタン───ナナシは出ていってしまった。

    「なん、だよあいつ。勝手に───」

  • 168二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 13:27:08

    ナナシくん…

  • 1691 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 13:51:43

    ナナシは、ふらふらと街を歩いていた。
    聖杯戦争中である、アーチャーを置いて外をうろつくのは危険だとわかっていても、今は顔を合わせたくなかった。
    そも、命の危険があるなんていつものことだ、何も変わらない。他害されるのだって同じだ。ああ、なんだ、元に戻っただけじゃないか。
    死にたくない、死にたくない、そう思ってここまで来た、けれど。
    死にたくない、と思うということはつまり、いつだって死にそうだという証左なのだから。

    と。

    「あれ。トリスタンさん?」
    「夏希、ちゃん」
    「どうしたんですか?かおいろ、とてもわるいですよ?」
    「ああ、いや、えと……。ごめんね、今はその、ナナシ、って呼んで欲しい。トリスタンって名前は……返しちゃったから」
    「ふぅん、そうなんですか〜」

    ほわほわ、と夏希が笑う。強い子だ。俺と似たような、そんな境遇なのに。そんなことをナナシは思う。

  • 1701 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 13:52:05

    「……勝手に。人のことを俺と同じだって、思っちゃったんだ。それで、嫉妬した。ひどい、よね。嫌な目に、合う人なんて、少ない方がいい、のに……」

    こんな小さな子供になにを言っているんだろう。それでも口は止まらない。

    「父さんも、母さんも、姉さんも。俺を、愛さなかった。誰も、愛さなかった。だから、一人だけだったとしても、母親に愛されてたのが羨ましかった……」

    こぼれおちる、こぼれだす、己の、感情が。

    「君、は。そんな気分に、なったり、する?家族のいる人を見て、羨ましいなって、憎たらしいなって」
    「………………」

    夏希は黙り込む。そして。

    「わたしもおもいます。でも、それいじょうに両親が憎らしいです」
    「……え」
    「父様も、母様も、父様の元の家族も、母様の教団の皆も。なにもかも、なにもかも全てが、憎くて憎くてしかたなかったのです……」

    そう言って、ゆっくりとナナシに歩み寄り抱きしめた。

    「な、夏希ちゃん」
    「ナナシさん。教えて、あげますね。私の父親の苗字……篠森って言うんですよ」
    「……え?」

    夏希の、鋭い……とても鋭い鬼の爪が、ナナシの首に突き刺さった。



    つづく

  • 1711 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 13:53:35

    第六話+幕間、終了!!!!
    えー、次なんですけど、はい。
    見ればわかると思いますがこのままバーサーカー戦に突入でーーーーす!!!!!


    それはそれとして第七話のあとビーストの倒し方についてね、ちょっとね、ダイスなどね、したいなぁ………………。はい……。
    ずっとアドリブでやっているので……。

  • 172二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 14:09:12

    ナナシくん!
    大ピンチだぞナナシくん…

  • 173二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 14:11:26

    死ぬなよナナシくん…
    ところでなんでヌンノスになれるんだろうこの子

  • 174二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 14:17:02

    多分アーチャーアサシンが敗退したらまともなサーヴァント居なくなるんじゃない?
    道満✕2と頼光ママだし。
    けど死鬼くんが敗退する想像がつかないんだよね…
    あとナナシくん、目玉以外が作り物ってどういうことだい

  • 175二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 16:30:21

    史鬼くん早く来てくれー!

  • 176二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 16:44:47

    道満って魔性持ちだから頼光の特効入るから対ビーストではかなり必須なんだよな

  • 1771 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 17:18:18

    ───第七話・The sin of

    私が形作られたのは、とある教団の教祖の胎の中だった。
    母親は文字通りに魔性の女、父親は彼女に囚われた哀れな羽虫、周りにいた人間は、彼女のための餌だった。
    私という存在は戯れの中で作られた。ものだった。
    それだけならば、まだよかった。
    ひとつ不幸があるとして、それは父親の中に鬼の血が入っていたこと。
    私にその血は色濃く出たこと。
    そしてそれを、母は面白がったこと。
    私の中身はあっという間に弄られ、違う何かに成り果てた。
    気づけば父も母も居なくなり、私は教団の御神体となっていた。
    この身の内を焼く鬼の衝動ひとつを残し。みんな居なくなっていた。

  • 1781 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 17:24:45

    「やった、やった、やった!!!!!」

    歓喜のままに叫ぶ。今この手の中で篠森ナナシは息絶えた。

    「やった、やった、私、これで!」

    父の血を、絶やせた。

    「ああ、でも、まだ」

    そう、まだ父と母が残ってる。必ず、必ず見つけ出して、殺してやらなくちゃ……!

    「この死体は、どうしよう?」

    このまま放っておく?それとも……めちゃくちゃに、しちゃう?
    そんな、浮かれた心のまま考えて、いたのに。

    「いた、痛い……う、ううう……!!!」

    確実に、頸動脈を断ち切ったはずのそれが、起き上がった。

    「どう、どうして……夏希ちゃん……」

    落ちかけの首をガクンとさらに傾けて、それがこちらを見る。

    「っひ……!?!!」
    「痛い、いたい、よ。なんてことするの……」

  • 1791 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 17:32:04

    「ひ、や、やだ、やだ……!なんで、生きてっ、生きてるの……!」
    「あ、あぅう……、ま、また壊れちゃった……。うう、俺の身体……直さないと……」

    かくん、とまた首が落ちるように動く。その度に作り物のような血が撒き散らされていた。

    「ねえ、どう、して……?どうして、こんなこと……」

    かくん、かくん、首を揺らしてそう問うそれにパニックになりながら、頭の奥で夏希は考える。

    ───あれ、作り物なんだ。あの身体、どこが本体なのかわからないけど、それ以外全部、偽物なんだ!

    「いや、近寄らないで、近づかないでぇっ……たすけて、バーサーカー、バーサーカーーーー!!!」
    「きみも、そんなこと言うんだ……ひどいよ、おなじだって、おもったのに。人じゃないなにかに生まれて父さんと母さんから捨てられて、傷つきながら生きてきた、そんな同類だって、思ったのに……」

  • 1801 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 17:41:31

    「マスター!」

    バーサーカーが降るようにやってきて、ナナシの前に立ちはだかる。

    「あ、ぅ…………」

    とたん、じり、と後ろに下がるナナシ。
    その身体が『目玉以外』全て作り物であるとはいえ、魔性殺しにして神殺しに両断されれば一溜りもないのだ。

    「お、お、おまえ、おまえあのとき、の……」
    「今は、あの羽虫は居ないようですね」
    「っ……!」
    「邪魔が居ないのなら今ここで……マスターの願い通りに切り捨てましょう」

    震えながら一歩ずつ、下がるナナシから怯えるように夏希は叫ぶ。

    「殺してっ……バーサーカー!あいつのこと!早く殺して……!!!」

  • 181二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 17:52:12

    うわぁ……何だかすごい事になってるな……

  • 1821 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:04:22

    「なんだよあいつ……いきなり……」

    取り残された部屋の中、呆然とアーチャーは呟いた。

    「あんな顔で、謝って……そんなの……」

    同情なんていらない、なんて誰が言えた話なのだろう。だって今自分はこんなにも、こんなにも…………

    「っ!!!」

    嫌な、予感がした。
    怖気、寒気、サーヴァント特有の、マスターに何かがあったような感覚。

    「あのっザコ!なにしてんだ!!」

    飛び出す。
    何が起こっているのか分からない、わからないが、とにかく早くいかないと─────!!!

  • 183二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:12:51

    >>179

    あ、そっか

    作り物ってこういうことか

  • 184二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:14:49

    にしても…よく逆に目ん玉以外別物にできたな…
    一体どうなってるんだ

  • 1851 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:15:43

    その身体は、作り物。
    最初からそうだったわけじゃない。
    最初の自分の体は、今のこの身体以上に痩せこけて、小さくて、目だけがギョロギョロ動いていた。
    虚弱。
    栄養も取れず、骨と顔だけ、髪すらろくに生えてはいない。
    それでもなぜか、生きていた。生きてしまっていた。
    どれほど嬲られても、息を止めることだけは出来なかった。

    毎夜、夢見る。
    美しい豊穣の土地の夢を。
    傍らの巫女の夢を。

    巫女は、どこか双子の姉によく似ていたけれど。
    でも、姉は俺を嫌っていた。
    その責任感だけで俺を飼っていてくれた、けれど。否、多分、捨て方というものが分からなかったのだろう。姉も俺と同じく親によって縛られていたから、自由になる方法がわからなかった。
    両親がどこかに行ってしまったあとも。

    いつか姉も過労死して、俺は指一本動かすことも出来ないまま台所の隅で息をしていた。
    その時の俺の住んでいた家が、地震かなにかで崩れる日まで。

  • 186二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:21:06

    >>177

    鬼はお父ちゃん由来か…

    そしてキアラェ…

  • 187二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:23:24

    >>185

    やっぱりお姉ちゃん巫女の生まれ変わり説出てきたよ…

  • 1881 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:23:31

    地震で家が崩れたとき、奇跡のように俺に瓦礫は落ちなかった。全部周りに落ちていった。でも、それだけだ。結局動くことも出来ず、ただずっとそこにいた。

    ……突然、誰かがやってきた。
    深く赤い髪の色をした女性だった。

    「なんだ、お前、生きてるのか」

    俺を見下ろして、彼女は言った。

    「うわ、なにこれどうなってる……へえ、面白い。なるほど。魔眼は別枠の魔術回路、とは言うが。お前魔眼だけで生きてるのか。目玉が本体、というやつだ。脳ですらない、というか脳すらない。すごいな、頭蓋骨だけはある無頭児だ」

    自分の何かが、その女性の興味をひいた、ということだけはわかった。

    「よし、少し待ってろ」

    そう言って立ち去って、帰ってきたあとの彼女の鞄の中にはひとつの身体があった。

    「面白いものが見れたからな、特別だ。身体をやる。とはいえおそらく身体を移したところで手足があまり動かんことには変わらないだろうが、ま、今よりはマシだろう」

    そうして俺には、ほんの少しだけ自由な身体が与えられた。
    多少なりとも身体が動くことだけ確認して、その女の人は去ってしまった。
    ……名前を聞くことも出来なかった。
    それが、今の俺の、始まりだった。結局のところ、この瞳はあらゆる人を呪って。ある程度抑えることが出来るようになった今もそれが怖くて、みんな怖くて、さまよった果てに、ここにいた。そんな話だ。

  • 189二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:25:03

    >>188

    燈子さんナイスです。

    というか脳がない!?

    魔眼だけで生きてる!?

    わーお、すごいや

  • 190二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 18:32:52

    夏希を愛してくれる人、受け入れて人は結構いるけどナナシ君にはアーチャーとYAMAの翁が来るまではいなかったのがな…

  • 1911 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:38:38

    刃が、迫る。
    魔性殺しの、神殺しの刃が。
    上手く動かないその身では、避けることすら敵わない。
    開いた目がずっと、それを見つめて。

    「っらあっ!!!性懲りも無く私のマスター襲ってんじゃねえよ!!!!」

    あの日のように。
    鮮やかな髪と服をゆらして、アーチャーがそこに立っていた。

    「アーチャー……なんで……!」
    「いいから、私から離れんな!!!」

    ガンッ、となんとかいなす。
    とにかく、なにがなんでも自分のマスターを傷つけさせる訳にはいかないと、少女がそこに立っている。サーヴァントが、アーチャーがそこに立っている。
    こんな、俺を。こんな、俺と。一緒にいて、一緒に笑って、触れて、背負って、悪態をつきながらも見放さずにいてくれた、そんなひとが立っている。

  • 1921 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:45:36

    バーサーカーは圧倒的だ。
    アサシン曰く、彼女の真名は源頼光。だが、それがわかったところでどうしようもない。つける弱点なんて無い。ただ、怪物に対する圧倒的な強さが証明されてしまっただけ。
    そんな、絶望の塊のような相手に、アーチャーはそれでもと向かう、それでもと立ち向かっている。俺を、守るために。

    それでいいのか?

    ナナシはそう、考える。

    このままでいいのか?

    ナナシはそう、思考する。

    このままでいいのか?

    ナナシはそう、自問する。

    このままで……いいわけないだろ!!!!!

    「っああああああ!!!!」

    ずっと、抑えてきた。
    今までやってきた呪いだって、全部この目から漏れ出たものだけを使ってた。
    恐ろしかったから。
    全部をめちゃくちゃにしてしまうのが怖かったから。
    でも。
    ここで使わないというなら、ここでさえ使えないというのなら、俺に息をする価値も意味も無い─────!!!

  • 1931 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:53:23

    「呪層展開、俺の瞳は緑を注ぐ────!!!」

    魔眼の回路が白熱する。
    ずっと封じていたものが急速に展開されて痛い、痛い、痛い、でも知るものかそんなの知るものか!ここでアーチャーを失う方が、アーチャーが傷つく方が、もっともっとずっと怖くて怖くてたまらないんだから!!!

    とてつもなく強力な、気の遠くなるほどの年月封じ込められていた如き呪いがバーサーカーを襲った。

  • 1941 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 18:53:38

    続きは次スレでやりまーーす!!!

  • 1951 ◆7prKFkU5YqFi24/10/09(ć°´) 19:00:10
  • 196二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 19:00:30

    立て乙
    うめ

  • 197二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 19:02:50

    うめ

  • 198二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 19:03:11

    埋め

  • 199二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 19:03:22

    埋める

  • 200二次元好きの匿名さん24/10/09(ć°´) 19:03:29

    200ならマリア乱入

オススメ

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