- 1二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:40:05
- 2二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:40:22
ごめん勢いで建てた
- 3二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 20:48:29
そういう天羽くんは腰がカクついてそうじゃん
- 4二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:09:36
迅「最善から2、3番目くらいかな」
- 5二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:10:41
- 6二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:15:00
- 7二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:21:51
麓郎の事がめっちゃどぎついピンク色に見えてそう
- 8二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:36:14
- 9二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:41:36
- 10二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 21:43:31
- 11二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 23:15:15
勢いで立てたのはわかったがもっと詳しく
- 12二次元好きの匿名さん24/10/07(月) 23:19:52
赤面師の生き残り
- 13二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 06:55:12
- 14二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 10:54:48
何がムダになるんですかねぇ……
- 15二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 11:16:33
素行が悪いと言うより粗相が悪い
- 16二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 12:01:02
赤面と涎の感じがエッチングすぎるんですが
- 17二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 15:50:04
何かよく分からないけど妙に惹きこまれるスレやめろ
- 18二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 20:09:33
まあコラ元自体がそもそも天羽の以外なシーンだからね
- 19二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 20:54:04
ジャクソンの何が堅かったんですかねえ……
- 20二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 21:10:55
- 21二次元好きの匿名さん24/10/08(火) 22:45:32
ほう、若天(小悪魔受け)ですか・・・たいしたものですね
- 22二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 07:27:43
これランク戦見ながら天羽がジャクソンとの夜の個人戦妄想して独りで悶々してる変態さんなんじゃ
- 23二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 07:30:54
ランク戦じゃなかった遠征選抜試験だった
- 24二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 07:40:48
>麓郎さんってそういうとこあるし……♡
もう匂わせにしか見えない
- 25二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 07:44:46
若村にはもっと腰を使ってほしい(意味深)天羽概念
- 26二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 12:01:12
麓郎さんは堅実で地道な努力の人
真面目で人の言う事を真面目に真正面に受け止める人
誰が見ても努力が報われるべき人だと思う
でもそんな当たり前は案外四角四面に通用してくれない
オペの華さんも麓郎さんの師匠の犬飼さんも何故そうなったのかわかってる
俺もつくづく毎度毎度思い知ってしまう……♡
全然満足出来た試しないのに……♡麓郎さんだって今の自分に満足出来ない理由がわからないまま腰が引けてる自分が嫌なのわかってる癖に……♡
なんだか離れたくないな♡満足出来ないのわかってもついつい今度こそは殻を破って欲しい♡って期待する♡
麓郎さん攻めるのいまだよ♡ってサインを送ってはみるけど戦略・戦術がCランクな麓郎さんはわかってない♡ - 27二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 12:17:33
Cランク段階って言ったのクローニンさんの親戚のヒュースだったな♡麓郎さん♡が完全に折れちゃう♡萎えちゃう♡ボーダー抜ける♡かもと思ってみんな言わなかったコト♡全部口にしてる……
強すぎ香取隊長におんぶにだっこされてた♡ってことすら自覚足らなかったの……♡初めて知ったみたいな顔して可愛い……いや、ダメダメなんだよ……♡
♡麓郎さんのそういうトコ♡
麓郎さんそこまで言われないと本当にわからない人……だったの想定♡してたけど予想以上に見えてなかったんだな……♡
選抜試験に紛れ込んであの場にいたかったかも……♡
麓郎さん凄くショック受けてるけど折れてない……♡萎えてない……♡
はあ……♡だから麓郎さんのこと目を離せない♡期待するのやめられない♡
閉鎖環境試験が終わるまで♡ここでのモニターするだけで我慢出来るかな……♡ずっと身体が熱いんだ♡
若村隊長♡楽しみにしてる♡
天羽くんのキャラ行方不明でごめんなさい - 28二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 12:24:27
- 29二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 12:26:37
- 30二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 13:59:50
よかった若村は健全だった
- 31二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 18:16:31
- 32二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 18:42:45
妄想でこんなことになってるってこと?
- 33二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 19:18:32
- 34二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 19:20:43
まさかのトコからの供給は途絶えさせるのが惜しい
- 35二次元好きの匿名さん24/10/09(水) 20:23:45
- 36二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 01:57:25
懐かしのイコナス以来の無から出たカプだな
- 37二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 05:29:52
スレを保守れば麓郎さんに対して謎の熱感情を抱いている漆間が摂取できるなら誰でも書き込むだろう
誰だってそーする おれもそーする - 38二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 06:23:08
漆間への熱い風評被害
- 39二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 07:02:52
天羽の若村への熱感情の根本
1に近いほど性欲寄り
100に近いほど恋慕寄り
dice1d100=100 (100)
若村はS級の天羽の視線に気づいてるか
100に近いほど確信してる
dice1d100=5 (5)
- 40二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 07:37:38
一方通行やんけ!!!
- 41二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 08:18:59
天羽を応援したくなるくらいの純愛じゃないか
若村気付いてあげて - 42二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 11:49:46
- 43二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 11:54:22
ボーダーの未来がちと不穏だな
- 44二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 12:31:21
ボーダー上層部からしたらそりゃ特化戦力の黒鳥がホモに落ちてやばい事になってるってなったらそりゃ騒動の一つもおきる
- 45二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 19:59:42
難しい年頃の子どもが主要戦力のボーダーで実際に起きたらイメージダウンで上レスで根付さんが頭抱える案件だったわ
- 46二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:08:52
天羽は若村が若村隊作ろうとしても黒鳥持ちでチーム組めないし黒鳥捨てられても自分が入ると香取隊の二の轍踏む可能性あるから「入れて」って言えないんだよね
- 47二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 01:54:14
天羽の周囲の隊員が協力してくれたりせんやろか、雪丸とか
- 48二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 09:53:52
そもそもなんで天羽はジャクソンに首ったけなのか?
①ずはりひとめぼれ
②真面目さ実直さ
③努力がから回って目が離せない
④実は惚れたのは若村臨時隊長になってから(ランク戦まではそこまでじゃなかった)
⑤縁結びの神様のイタズラ(100カノの神様のような)
⑥その他(他にあったら頼む)
dice1d6=2 (2)
- 49二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:33:02
どうしようくっつけたいけどどうやってくっつけられるか全然わからん
- 50二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:33:03
ジャクソンの真面目さ実直さに触れるたびに想いも積み重なったんやろか
どこまでも純愛やね - 51二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:38:38
出力の仕方がモニター見て悶々してるだけだから……
閉鎖環境試験後に思い切って告白したら結果はともかく気持ちはスッキリするような気はする
若村も人間関係には誠実だから返事がすぐ出来なくてもきちんと「一晩」とか「遠征試験を今は優先したい」ってけじめの期間はしっかり区切りはつけそう - 52二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:43:47
このレスは削除されています
- 53二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:45:51
- 54二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 02:15:44
努力次第で何とかなる可能性はあるね!
天羽が好感抱いてる箇所をちゃんと伝えてあげるところからかな - 55二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 06:43:02
- 56二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 06:45:39
- 57二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 07:06:50
- 58二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 16:03:19
相談相手
①香取
②三浦
③染井
④犬飼
⑤誰も思いつかない
dice1d5=4 (4)
- 59二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 16:22:41
「ろっくん相談っていきなりどうしたの?」
隊員が比較的少ない訓練室の端に犬飼は銃手の弟子の若村に呼び出された。
閉鎖環境試験の間の経験で燻らせていた原因と向き合いひとつ殻を破り近いうちに卒業していくと思ったのだが、それとは別のことのようだ。
「実は……告白されました。……相手は男で……」
それ以上は若村は口に出さなかった。犬飼もそこは追及のポイントじゃないことはわかる。
「相手は強引だったのかな」
「そうではなくて、ただ真剣に俺の真面目さや実直さが好きになったって伝えてきて……そこまで言わせること俺やってきたつもりないし」
「うん。それでろっくん?結局君の悩みってなんなの?」
犬飼は天羽のことと思うか、32以下で察する1d100=
若村の悩みの本質1d5=
①好きな人(華)がいる
②告白されてダイス結果74くらい(そこそこ以上)嬉しいと思う自分に戸惑っている恐い
③天羽の実力が想像出来ないくらい格上で幾ら自分が好きと言われても理解出来ない
④ため息ついてる上層部の顔(特に根付)の顔が浮かんだ
⑤実は天羽には見下されてるくらいに思っていたのが逆だと知った驚き - 60二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 16:24:09
- 61二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 16:53:47
このレスは削除されています
- 62二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 17:00:55
『もしかしてS級の天羽くんかな?』
ボーダー内でもなかなか姿を見せない天羽。しかし犬飼はたまたまなのか直感が働いたのか何故か天羽月彦の顔が浮かんだ。
確かに若村との接点では告白されたらびっくりして誰かに相談したくなるかもしれない。
しかしたぶん若村麓郎の悩みの本質はそこじゃないと犬飼は確信してる。それを若村の口から言って貰えないと相談に乗れないと思った。
「……嬉しかったんです。」
「そう。」
「嬉しいと思った俺がなんかわからなくて怖くなって、あも……相手には返事を待って欲しいって言って。犬飼さんに相談したんです」
「ろっくん。俺ちょっと飲み物買ってくるから」
犬飼は悩める若村からリクエストを貰ってそそくさと自販機に行く。相談は相談と言っても、解決策を求めるそれでなく、誰かに言葉にしてアウトプットしたものを聞いて欲しい部類だと確信する。
犬飼を待ってる間に小銭を用意していた若村が差し出したのを断り犬飼はソワソワとジュースを若村に渡して自分の分を開けた。炭酸飲料の刺激が弟子の恋バナに落ち着きをなくしてしまう頭にはちょうどいい。
「相手も俺も男なのに変ですかね?」
「そんなことないと思うよ」
「告白されて嬉しいのに、そんな気持ちが怖くもあって。付き合いたいとか全然そんなこと考えられなくて。」
「いきなり告白されて、返事出来なかったなら何も決まってないってことだよね。それを今からどうしたいかだよね」
犬飼は若村がどうしたい、それをひたすら待った。
若村は缶ジュースのタブをやっとというタイミングで開き一口だけ飲んで息を長く吐く
「俺は……」
dice1d3=3 (3)
①一緒にご飯食べながらじっくり話したい
②一日だけ試しにデートしてみたい
③告白に対して断ろうと思う
- 63二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 17:06:15
「断ろうと思います」
「嬉しかったのに?」
dice1d4=3 (3)
①俺には今やらなくちゃいけないことが沢山あるから
②あいつと今の俺とじゃ釣り合わない
③嬉しいだけで気持ちが固まってないのに付き合ったら天羽に失礼だと思った
④嬉しい気持ちを怖がってる理由がはっきりしない
- 64二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 17:22:10
「俺は舞い上がってる浮かれてるんだと思います。そんな浮ついた勢いで付き合うのは失礼だと思います。」
「誠実だね。」
犬飼は若村のそんなとこを天羽が好きになったのかもと想像した。見ていて気持ちのいい色を見たのだなと犬飼は自分には見えない若村の色に想いを馳せる。
そんな素敵な色を見せながらも、若村は天羽に残酷な言葉を近いうちに告げるのかと天を仰ぐ。
「ろっくん。若いんだからね、もう少し軽く考えない?」
「そりゃ返事持たせて断るから」
「そうじゃなくて、そうやって重苦しく眉間に皺寄せて死刑宣告するみたいな顔で断ったらダメって話」
「え?」
「人を好きになるって難しいようで簡単でもあるからね。断られたけど好きになって良かったってせめて軽やかな気持ちになれるようにして欲しいかなって俺が相手の子の立場なら思うかなって」
犬飼が天羽なら振られる瞬間も好きな若村の色を綺麗に見たいと思った
「自分が好きになった人が素敵な人だったってずっと思ってたいじゃん……あくまで参考までにね」
「ありがとう、ございます」
犬飼は若村を置いて了承を得ようともせず立ち去る。
若村はもう自分がどうしたいか決めた。今はそれでいい。 - 65二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 17:23:11
天羽サイドとかは明日以降の予定です
- 66二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 18:20:53
ちと時間が出来たので天羽サイド
天羽月彦はベッドに顔を埋めうつ伏せに寝転がっていた。
普段から訓練をしているところを見てその真面目で実直な眼差しと姿勢をついつい目で追うようになり、いつの間にか恋に落ちた相手、若村麓郎に勇気を出して告白してしまった。
天羽の心境dice1d3=1 (1)
①気持ちを告げてスッキリしている
②返事待ちなので落ち着かない
③今になって恥ずかしくなってきた後悔してる
- 67二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 18:35:21
気持ちはスッキリしている。
今までランク戦やら閉鎖環境試験のモニターでヤキモキしてたばかりの自分から何か憑き物が落ちたみたいだ。
「あはは」
自嘲気味に笑う。モニターを観ているだけの頃は妄想ばかり掻き立てられては若村のまだ見せたことのないあられのない姿すら幻視していた。
麓郎さんごめんなさい。
非ぬ妄想に耽っていたのに。自称カナダ人のヒュースから今までの仮初の現実から醒めた若村を見て自分の中の何かが弾けた。
閉鎖環境試験場から出てすぐの若村に急いで接近し、二人きりになれる場所に行き矢継ぎ早に言いたいこと、若村の真面目で実直な眼差し姿勢それで空回りして折れそうになっても諦めないところが好きと言葉の限り伝えた。
若村は今思い出すと口を開けてぽかんとしていた。
ひどく驚かせ戸惑わせたと気づく。
「ダメじゃん。俺。」
一方的に好きになって一方的に告白した。
「はあ……」
今のところ発作的な若村への気持ちの昂りは落ち着いている。
だんだんと天羽はdice1d2=1 (1)
①期待が大きくなる
②不安が大きくなる
- 68二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 18:55:55
天羽の頭の中ではありもしないかもしれない期待が大きくなっていく。
麓郎さんと付き合いたい。それが叶うなら何をしようかと白紙のノートを予想図で彩るような気持ちだった。
何段階も飛び越した妄想ではない。小さく刻むようなステップの小さな小さな願望たち。
手を繋いでみたかったんだ。一緒の帰り道を歩きたいんだ。ご飯も一緒に食べたいんだ。バレンタインに男子だから恥ずかしかったけど、チョコ渡してみたいな。
麓郎さんに月彦って呼ばれたい。
自分でも吹き出してしまうような可愛らしい願望たちに目の前が滲む。
黒トリガー持ちの最大戦力のS級隊員。
そんな現実的な自分の立場を思い出す。
麓郎さんが若村隊を作っても自分は若村隊隊員になれない。もしなれる可能性があっても香取隊での二の轍を踏まないために身を引くべきだ。
もし自分が麓郎さんを好きだと上層部にバレたらどうなるんだろうとも想像して不安になった。
そんな立場の自分より天羽月彦という若村麓郎が好きな自分を大切にしたい願望はある。でも最優先には出来ない。
日常的で可愛い願望たちを叶えられることと出来ないことを選り分けて捨てなきゃいけないものは捨てる。
スマホが鳴る。迷わず天羽は出た。若村とは連絡先の交換は出来なかった。だから番号のメモを渡した。
若村からの電話越しのメッセージはシンプルで、あの時の返事を直接したいってものだった。
声だけでも真剣さは伝わってきた。
無性に胸を掻きむしりたくなるくらいに心臓が鼓動を打っていた - 69二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 00:28:46
- 70二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 06:51:35
保守代わりシークレットダイス
dice1d100=75 (75)
dice1d100=11 (11)
dice1d100=47 (47)
???の結論
dice1d100=21 (21)
- 71二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 12:01:12
もう桜が咲き始めるんだな
若村はパン屋でサンドイッチを2人分と紙パック牛乳を2個買って自分が待ち合わせに指定した公園に足を動かす
入り口近くの時計の前で天羽が待っていた。
待ち合わせまでまだ20分弱ある。今来たばかりの雰囲気ではない。その前からすると天羽は遅く見積もったとしても待ち合わせ時間の30分前にはここに来ていたことになる。
若村に緊張が走る。天羽が人との待ち合わせに遅刻することはないにせよそんなに早く誰かを待つイメージがなかった。
「天羽。待ったか?」
犬飼のアドバイスから変な緊張感とかを漂わせないよう努めて天羽が若村を見つけて目が合った瞬間にすぐ声を出した。
「いや。今来たばかり。」
すぐ嘘だとわかる嘘をつかれた。こんな見晴らしのいい公園の中で若村と同じタイミングで来てしまえば公園入り口で鉢合わせるほうが早い。
「こんなとこでする話じゃないからついてきてくれないか?」
こくんと天羽は頷いて若村のあとについていく。 - 72二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 12:15:51
この公園の中には景観のために水鳥がやってくる池や噴水も配置されている。しかしそれらは機能の一部分でしかなく貯水場や浄水場が奥まった場所にある。
家族連れが多い公園と貯水施設の中間の池を眺めて歩ける遊歩道の脇にある東屋と言ってもいいのだろうか、屋根とテーブルとベンチがある場所に誘導する。
独りになりたい時にはちょうどいい場所だが木々が植えられてる側にあり掃除が間に合ってないのか落ち葉やタバコの箱とか空き缶の放置もあったりするのだが、幸いにも今回はそれらは片付けられたタイミングだったようだ。
向かい合って座れる席でまず座ろうと席を若村は勧めるように自分が先に座る。
天羽には聞きかじりの心理学の都合から自分の斜め向かいに座るよう手を動かしたつもりだ。それか真正面でも向かいの席。
「天羽……」
「麓郎さん」
天羽は若村の思惑を裏切るように自分のすぐ隣にベンチの幅には余裕があるはずなのにぴったりとひっついて座ってきたのだった - 73二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 18:18:00
『なんか思ってたものとかけ離れ過ぎてる???』
静かな場所で対面でしっかりと誠心誠意込めて告白を断ろうと若村は計画して肚を決めたはずだった。
強い風が吹いて木々の枝を揺らす音がうるさいくらいで、まだ春の始まりの時期で日陰にいるのは肌寒いくらいだ。
まだ掛け物を二人は羽織っているが、若村は天羽との予期せぬ密着距離のせいで天羽の体温を感じるような錯覚を起こしそうだ。
それ以前に若村の認識からすれば天羽はこんなに他人との距離感が近い人間だったっけ?と現在の状況と若村含めたボーダー隊員共通の天羽の認識のギャップに混乱している。
寧ろ天羽は他隊員と距離は離れてるはず。天羽があまりにも単騎戦力特化であることを差し引いたとしてもだ。
お前はひっつかれたら逆に離れていくやつだろという目線を向ける。
天羽はいきなり自分の眼前で横を向いた若村に一瞬肩をびくっと震わせて首を若村の方に向け赤くなった。
「近すぎだよな」
若村が腰をズラそうとしたら天羽が大丈夫だからと若村の服の腕部分を引っ張る。
「麓郎さんは大事な話をするんだよね」
先に切り出されてしまった。なんかカッコ悪いと小さな自己嫌悪に胸がちくっと刺された。
「えっと……」
天羽の逸らし気味の目線と至近距離だからこそ意識が行く目尻の赤みに若村は自分が思うより、天羽は自分に期待を寄せてきていることを感じ取った。
それでも言わないといけない。
「天羽の気持ちには応えられない。」
天羽の口元が僅かに緩み、緩む前よりきつく引き結ばれる。
「なんで、ですか?」 - 74二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 18:39:33
天羽の表情だけでは程度はわからないが、天羽にとってショックになることを言った自覚は強くある。
「天羽が男だとか、天羽が原因じゃないんだ。要するに俺の気持ちの問題」
「それがどう違っていうんだろ?」
「俺はお前からの告白に自分でもわけがわからなくなるくらい『嬉しい』って思ったんだ。だけど嬉しいから先の感情が何も思いつかない。嬉しいって思ったことが好きとかお付き合いしたいにならなくて。そんなのただ嬉しいって感情に浮かれてるだけだろ?」
どこまで行ってもこの人は愚直と言っていいくらい真面目だ。天羽はやり場のない悔しさに奥歯を噛み締めた。
「だから付き合えないし、お前のことを好きになる保証のない俺のことは諦めてくれ。」
狡い人と天羽はふつふつと怒りすら湧いてくる。告白を断るために余計に天羽が若村を好きになってしまうことをしてしまうのにイライラする。
「俺は確かに麓郎さんの真面目さや実直さが好き。でも俺は麓郎さんみたいになれないし、麓郎さんを目指すつもりもないし好きだからって麓郎さんみたいになろうって思ったことはいっこもない。麓郎さんがたまたまそういう人で俺がたまたま麓郎さんを好きになったきっかけがそうだっただけ。同じ真面目や実直なやつでも別人だったら俺が好きになる保証はないのは同じだし、付き合いたいって思うこともたぶんない。」
天羽は大きく息を吸った。
「俺は麓郎さんが好きって感情に浮かれて、麓郎さんは俺に告白されて嬉しいって感情に浮かれてる。」
感情に浮かれてるのはお互い様なんだからと天羽は自分の感情のままに麓郎の誠心誠意を切り捨てるように吐き捨てた。 - 75二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 18:57:56
若村は俯いた。
「どうせまたどうやって天羽に納得してもらえるのかとか、どうやって傷つけないようにとか、俺の言葉をしっかり聞いて考えてるだろうね。そんなことされたら余計に好きになって諦められないのわからないかな?」
本気で断りたいなら俺はそういうのしない。
「俺だったらその場で無理でおしまいだよ。食い下がってきたらキモいとか好きだったのに一瞬で嫌われてしまうことも平気で言うし。」
それは流石にと若村はひいている。
「麓郎さんがそうやってきても、そういう嫌われるためのフリとかって分かりやすいだろうから諦めきれないだろうね」
小理屈は通用しないとばかりに天羽は意地悪く口角を上げた。目は真っ直ぐ若村を見ている。今度は逆に若村が目線を逸らした。 - 76二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:19:13
「麓郎さんが俺を好きになる自信がない。付き合えないのはわかった。だけど俺はまだまだ麓郎さんが好きなままだし付き合いたいと諦めてない。付き合えたらやりたいこと沢山あるし」
「それは天羽が辛くなるだけじゃ」
「またそんなこと考えてる。そういうの嫌なんだよ。だけど好きになっちゃったんだよ。」
俺はそれ以前にと目を瞑る。
「色々麓郎さんのこと思ってばっかで何も積み上げてないし。麓郎さんに好きになって貰う努力ひとつもしてこなかった。諦めるのはせめてそれから」
いや一番デカい努力してるだろと若村は呟く。
「告白してきてくれただろ?」
「最初の一歩踏み出せただけ」
そう言い切れる強いやつなんだなと若村はある種の尊敬で絆されそうになる。いや今回は断るためにとブンブンと首を振って打ち消そうとした。
「麓郎さんが嬉しいって浮かれた気分になってくれたのが最初の成果かな」
小首を傾げ満足げに口元を緩める天羽を見ると変に若村はドキドキしてくるようで不覚にも目線を合わせられない。
「天羽がそんなやつとは思わなかった……」
「だって麓郎さんがそういう人じゃなかったら見せるつもりなかったから。他の誰にも見せるつもりなかったし。」
若村の目の前がくらくらする。天羽にもっと若村が浮かれた気持ちになるよう煽られてるみたいだし、ここまで言わせて置いて男としての責任とか甲斐性を試されているようで若村の軸である「浮かれた気分で付き合うのは論外」がぐらぐら揺らされている。 - 77二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:36:14
「俺実は昨日までらしくなく弱気になってたんだ。俺なんだかんだS級隊員だし、若村隊がもし結成されても隊員になれないとか負担になるとか考えてた」
「え」
「告白断って諦めて貰う最大のチャンスは今日の待ち合わせの電話してきた時だったんだよ。そういう攻めどきわかってないから麓郎さん」
そうだったのかと若村は悔しくなる。やっぱり駆け引き含めて戦術はC級レベルなんだと思い知らされる。
「俺に喋らせれば喋らせるほど絆される麓郎さんが手に取るように見えるんだ。」
「そこまで言われるほど俺単純じゃねえから!」
少しの図星で声を張り上げてしまう。クスッと笑われて下を向いた頭のこめかみを軽く突かれた。
このまま天羽に優勢を取られたままだと悔しい。
二人ともベンチの真ん中あたりに座っている。身長は若村の方が高い。ならいけるかと身体ごと天羽に向き直りベンチに足ごと上がり天羽の両肩を掴んで押し倒した。 - 78二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 20:02:04
押し倒された天羽は若村にこんなことされるのは予想外だったようで目を白黒させた。
「へへっ。歳上怒らせるなよ?」
「………えっと、麓郎さん? 大胆になってくれるのは嬉しいけど、まだ昼で外だよ?」
「そういうことじゃない!」
天羽は何故かもじもじして何かを期待するように目を瞑ってきたので若村はあっさりと天羽を解放した。
「真面目に話をしよう」
「ずっと真面目に話してたつもりなんだけど、麓郎さんの真面目って堅苦しくってことになってない?」
「俺がなんで天羽の告白が嬉しかったか理由がはっきりした気がする」
「どういうこと?」
「強いていえば救われたのかもな。」
自分の努力が愚直で現実逃避的だったと思い知らされた。それに目が曇り、自分を過大評価して香取を過小評価した。香取は態度では不貞腐れてたけど、実は彼女なりの努力を若村が適当だと言うたびに傷ついてたのかもしれないとさえ想像した。
今はやるべき努力とか自分なりにやっていけるように刻んでいる最中だ。
でもそれまでの自分のやってきた過去に夢で魘されて今の自分がやめてくれと叫ぶ悪夢を見たことがある。
「俺の欠点と裏表の俺の性格を口に出して好きって言ってくれるやつがいたってことが俺にとって凄く救いになった。」
天羽は起き上がろうとせず両手のひらで顔を覆っている。若村はどうしても手のひらの下の顔が見たくて、天羽の片方の手首を掴んで引きあげた。
その顔は真っ赤で目が潤んでる。
「嬉しくて浮かれてただけなんて嘘だったんだ。」
天羽に恨み言のように言われる筋合いは若村にはなかった。
「嬉しくて救われて、浮かれてたんだって。」
「そういうとこが好きで堪らなくて、嫌で堪らないんだよ……」
初めて聞く語尾が弱い言葉に若村の胸の中がむずむずするようだった。 - 79二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 20:03:42
今日はとりあえずここまで。
もう少し切ない路線行くはずがどうしてこうなった? - 80二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 00:58:28
s級隊員としての天羽月彦じゃなく、一人の普通に恋する少年としての天羽月彦らしさが出てて、ギャップを感じられるわ
- 81二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 06:51:06
裏話
「今のところお前の目にはどう見える?」
「最悪の事態は避けれたってとこですね。どっかの星からの侵攻と違ってこういうのって戦力投入や政治的な動きはノイズになりますから。」
「最悪はどうなってた?」
「恋に恋する乙女のラスボス化ですかね。アフトクラトルの侵攻より性質が悪くなってたかも」
「三門市が更地になると言わないところが君らしい。ところで若村麓郎は天羽月彦を御せるかね?」
「いやー無理というかそこを期待しちゃいけませんよ。若村麓郎に恋してるのは素行難あり黒トリガー持ちS級隊員の天羽月彦じゃなくて、ただの16歳の初恋経験してる天羽月彦なんですよ。ラスボス化するのはS級隊員の天羽月彦ではなく若村麓郎を好きになっちゃった普通の恋する少年の天羽月彦。色々前提が違います。S級隊員を普通の初恋に夢中になってる男の子が喰ってしまうの恐いでしょ。しかも本人が気づかないうちに」
「S級隊員の自分と恋する自分の折り合いを天羽月彦自身がつけられるかどうか、それだけが問題なだけに干渉は出来ないと」
「そうですね」
「十代の若者が主戦力のボーダーにおいて他隊員にも起きると予想出来るな」
「烏丸隊員ファンは互いに抜け駆け禁止の暗黙の了解を守っていますけどね。」
「その暗黙の了解を三雲隊長が破ってしまいそうなのだが?」
「ははは」 - 82二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 12:10:26
保守代わりの補足
迅が言わなかった最悪のルート
個人的に「深海少女(アナザー含む)」
原曲の意図とは大きく外れるが
「服もひどく汚れてしまった」
「笑顔も醜く歪んでいった」
「誰にも見せる顔なんてないのもう放っておいてよ」
の部分がヒロインが手の施しようのない罪を犯したように思えたから
若天が成立するルートだがランク格差やらで上層部に交際がバレた際に「ボーダー内部では交際してることを他隊員に悟られないように」と圧を掛けられ本部内では没交渉に近くなる
若村隊結成。C級から上がりたての隊員で構成することに。
指揮官としてレベルを積み上げることに。
C級の比較的期待枠のアタッカーから隊長ではなく恋愛対象として好意を向けられ断る若村。
アタッカーが色々探りを入れ天羽に目星がつく。
アタッカーは見せつけるように隊員同士の交流と称して対抗心剥き出しに。
天羽とアタッカーが衝突。止めようとした若村巻き込んで大惨事。アタッカー死亡、若村の生死不明状態。
呆然自失のまま処分を逃れるためボーダーのA級から逃げ回る。周囲に被害が及ぶ。
若村もかなり天羽に絆されていて天羽に寄り添えなかった自分を責めてしまい極端な手段で天羽を守ろうとする
ゲートを開き近界にトリガーを持って駆け落ちする。
香取は若村を一発殴ると遠征に意欲的になる
犬飼はチームメイトの次は弟子が密航したため胃が死ぬ - 83二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 17:01:29
本筋に戻ります
天羽が起き上がる様子がないので若村は仕方なくテーブルに置いたサンドイッチの入った袋を開ける。
「腹減ってない?」
「そうかも」
天羽は手のひらでなく腕で赤面した顔を隠している。
「サンドイッチ買ったけど一緒に食う?」
バネ仕掛けのおもちゃみたいに天羽は飛び起きた。口元があわあわと震えている。
「い、いいの。」
「そうだけど。これチョコクリームじゃなくて薄い板チョコとホイップ挟んでるから珍しくて。チョコ好きだろ。」
「好きだよ。……なんで俺の好物知ってるの?」
「なんとなく誰かから耳にして……誰だったかな?思い出せない。」
誰から聞いたなんて別に問題じゃない。教えた覚えのない天羽の好物を知ってる若村に対して緊張感を覚えて、恋人としてやりたかったことのひとつをここで簡単に実現させられたことに戸惑いを隠せない。
板チョコサンドを口にする。食パンとホイップの柔らかさに薄い板チョコのパリパリ感がアクセントになっている。ただし甘いものと甘いものの組み合わせだから口当たりが重たく感じる。
「麓郎さんのは?」
「卵サンドだけど」
「一口欲しい。」
若村は自分の歯型がついてない部分を一口分より大きめに千切ろうとする。そうさせる前に天羽は若村の歯型がついた卵サンドにかじりついた。
「意地汚い真似すんなよ……」
若村は天羽の行動を咎めるけれどサンドイッチにかじりついたときに一瞬だけ見えた白い歯やピンク色の舌とかはむっとパンに密着した唇に見惚れたことにドギマギしてる。
「ん。おいし」
うっとりと卵サンドを咀嚼する姿に年下の男に色気すら抱いてる自分がわけわからない若村だった。
「麓郎さんも」
卵サンドを飲み下して次は当然自分の番とばかりにチョコホイップサンドを差し出してくる。しかも三角形の歯型で欠けた方を若村に向ける。
こいつ。流石の若村も天羽の狙いがわかった。
「いただきます。」
天羽のほんのり赤い頬で期待でわくわくとずっと待ってる姿をずっと見ていることに耐えられなくて、若村はやけくそになってサンドイッチに食いついた。
「間接キス……しちゃったぁ……」
若村が食いついた瞬間に身を屈めて耳元で囁かれてしまった。意識しないようにしてたのにと、うっかり大きめに齧ってしまった甘くてひたすら甘いチョコサンドを無言で咀嚼して飲み込む。 - 84二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 17:21:08
「おい。天羽、こんな行儀の悪いこと他のやつと」
「しません」
「あ?」
「麓郎さん以外にしないってば。」
そういう意味じゃない畜生とは思っていても、ぷいっと恥ずかしげに顔を背けられるとこれ以上何も言えなくなってしまう。
ああとかううとか非難にならない非難めいた声しか出せない。自分の分の卵サンドを食べようと思ったら、それにも天羽の歯型がくっきりついて臆してしまう。
天羽の方は若村をチラチラ見ながら、大きめについた若村の歯型に添うようにパンを唇に挟んで小さな一口ずつを堪能するように平気そうな顔で食べている。
若村はまたやけくそになるしかないと思ってサンドイッチに噛み付いた。
天羽にはその仕草をちらちらと窺いながら胸焼けするほどの甘いサンドイッチを食べ終えようとしている。やけくそになってがっついて食べる麓郎さんの顔っていいなと思いながら。
「あ、また別のサンドイッチあるんだ。」
「はいはい。どうぞ。」
半ば投げやりな返事の若村にも構わずサンドイッチを紙袋から取り出した。
「飲み物もわざわざ……残念。同じやつだね。」
ハムレタスサンドを口に咥えて味を確かめる。甘いサンドイッチのあとにはハムの普段意識しない塩気が強調されるようだ。
「こっちも美味しいよ。」
「だーかーらー行儀悪いって」
さっきの繰り返しだと言わんばかりにサンドイッチが若村に差し出される。
「ん。」
「いや俺別の……」
「ん。」
若村が別のサンドイッチを取り出しても天羽はハムサンドを差し出し続ける。
「はい。あーん。」
結局若村は根負けした。 - 85二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 17:35:50
結局はサンドイッチはどれも美味しいから味見し合おうみたいに間接キスの応酬状態になり、若村はどっと疲れてテーブルに突っ伏した。
同じ姿勢になってる天羽から視線を感じる。
「麓郎さん。」
「なんだよ。」
「俺のこと、名前で……月彦って呼んでくれる?」
「あー……月彦。」
くすくすと笑い声が聞こえる。
「これで満足かよ。天羽。」
「月彦ですよ。」
「あも」
「月彦だって」
「わかったよ。月彦だな。」
とんでもない安請け合いをしてしまったと後悔する。いや別に天羽の前だけで呼べばいいだけなのだが。
「待てよ」
二人きりの時だけ名前呼びの方が恋人っぽくないかと懊悩する。
そんなことは知らないとばかりに天羽はこっちを見ている。顔を突っ伏したままでは鼻先が痛いので仕方なく顔をそちらに向けた。
「俺は諦めませんから。」
赤面もしていない普段の不敵でダウナーそうな目つきの表情で言われた。
気に長い戦いになりそうだと若村は遠くを見る目をした。 - 86二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 17:37:25
シークレットダイス
dice1d50=22 (22)
- 87二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:03:34
後日談
「ろっくん。天羽とのことどうなった?」
「すごく手強いです。あいつ。」
あー…と犬飼は全てどころか若村の意識の外まで把握したように頷いている。
「ろっくんは誠実過ぎるから付き合うより振るほうが難しいよね。」
「それ痛いほど自覚してます。月彦のやつ……」
「月彦? 天羽のことだよね? 名前呼びってことは付き合うことにしたの?」
「違いますよ! まだ月彦……じゃなくて天羽は諦めてなくて」
分かれる間際まで苗字の天羽呼びする度に月彦だと訂正されたのが身体に染み付いてしまっている。意識してないと天羽のことを月彦呼びしてしまう。
「ろっくん、それもうさ……『天羽が諦めてくれない』んじゃなくて『ろっくんが意地張ってるだけ』とか『ろっくんが天羽との関係隠したがってる』ようにしか見えない。」
「なんでそんな絶望したくなること言われなきゃいけないんですか!」
よく見てろっくんと言われ訓練室を見渡す。
「ろっくんの口から月彦って名前飛び出した時からザワザワしてるよここ」
犬飼に指摘されて周囲を見ると、自分が注目の的になってることにやっと気づいた。
「天羽のやつ……」
「天羽は何も言ってないよ。しつこく質問されても『麓郎さんに聞いてください』の一点張りだし。」
犬飼は力なく笑っている。
「あとね。あの公園の遊歩道外れの東屋の池の対岸の広場で狙撃手の連中が集まってバーベキューしてたらしいんだけど、実際そこにいた?」
「そこで話をしました」
「狙撃手バーベキュー一行の誰かが東屋に誰かいることに気づいてさ。アイビスのスコープを双眼鏡代わりに見てみようって誰か思いついたらしくて。ろっくんと天羽がイチャイチャとサンドイッチ食べさせあってる場面見たって。ええと……10人くらいだけど他ポジションの友達に見てみろと連絡したやつもいて。アイビスのスコープ越しに20人くらいには見られてたよ。」
「嘘だろ。」 - 88二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:17:42
犬飼は深いため息をつく。
「あくまで俺の予想だけどろっくんのほうが池に近い側にいただろ。それで奥側に天羽。」
言われてみればそういう配置で座っていた気がする。というか言われなきゃ隣同士以外で配置なんて覚えてなかった。
「奥にいる天羽がろっくんを見ると遠くの池の対岸が見える。天羽のSEはモニター越しでも色が見えるくらいだから10人くらい集まれば、訓練された狙撃手の色を識別出来たんじゃないかな。それを見つけた天羽は告白を断ってきたろっくんへの反撃を思いついた。」
天羽の前のめり気味の言葉とかサンドイッチのあれこれは天羽が浮かれてやってるとばかり思っていた。しかしそれは若村が池の対岸に意識が行かないようにするためかつ、若村を自分から逃がさない戦術だった。
「固められちゃったね。外堀。」
そう。周りに誤解でもなんでもいい。なりふり構わない天羽月彦の狡猾かつ緻密で必死の作戦だったのだ。
負けた。
ごく素直にその戦術に天羽の恋心に敗北した。 - 89二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:25:28
「で、結局ろっくんはどうするの?」
「地道に誤解解くしかないですよ。」
「否定すればするほどドツボに嵌まると思うんだけどな。それ以前にさ。今大事なのはしっかり話したあと、ろっくんが天羽のことどう思ってるかだと思うよ。」
俺が月彦をどう思っているのか?
それは……
dice1d6=5 (5)
①可愛い
②俺にはもったいない
③付き合っていると周囲に勘違いされても気にしないでいよう
④もう全面降伏
⑤好きになってしまって悔しい
⑥次こそは俺が振り回す側だ
- 90二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:36:31
これは犬飼に言えない。
好きになってしまって悔しい、なんて。
浮かれてなんかないのに。精神的にはまんまと月彦に踊らされたのに。あの時間に見せてくれた自分だけに見せてくれた表情全部でチャラにしてしまえるほど、好きだと思えてしまった。
もっといろんな表情が見たいと思った。
「なんかいろんなこと諦めがついた感じです」
「最早無駄な抵抗はしないほうがマシって感じだね。」
次天羽にあったらどうしようか。そんなことを考える。
「麓郎さん! 美味しい卵サンドの店教えて貰ったんだ。卵サラダタイプも厚焼き卵タイプもあって」
銃手たちの注目を浴びながらも平然といつもの表情で真っ直ぐ月彦が若村に歩み寄っていく。
若村は逃げも隠れもせず、犬飼さえも気にしないように返事を返す。
「一緒に食べようか。月彦。」
天羽月彦は他には絶対に見せないような綻んだ顔をしていた。 - 91二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:42:44
- 92二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 00:34:20
面白かった!!!感謝!
- 93二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 02:42:59
- 94二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 09:28:11
おまけ
犬飼は影浦からの電話に面食らっていた。
「え?ユズルくんからカゲに?ろっくんが大変って?」
『狙撃手連中は合同訓練多くて結構つるむだろ。今回もその一環で公園の池の側にいるわけで』
池の対岸の奥まった場所の遠目から見える東屋で対面じゃなく横並びになって座っている二人組に若者のノリで興味本位でアイビスからスコープだけ取り外して覗いたらしい。
『東屋にいたのが若村とあのS級の』
「天羽くんかな」
『その天羽が一緒にいるからバーベキュー始まる前からそっちのけになっちまったわけで。お前なんか知ってる?』
「知らないなあ。ま、カゲの電話だけじゃなんとも言えないからそっち行くよ。10分あれば行けると思う。」
狙撃手集合してる対岸では天羽の告白を若村が断る愁嘆場なんだけどと内心思いつつ犬飼は公園に向かった。
池はかなり大きくて遊歩道を歩いて対岸に行こうとすればゆうに15分くらいは掛かる。そんな距離の対岸をアイビスのスコープを回し見しながら黒山の人だかりが出来ていた。
「犬飼先輩も来てたんですか?」
「さっき呼ばれたよ。ろっくんと一緒に天羽くんがいるなんて意外だなあ。」
あくまで知らないスタンスを守ってスコープを覗く。
サンドイッチを二人で食べている様子だ。和やかに見えて修羅場感のない様子にほっとする。
「仲良かったんだね。」
別の隣にいた誰かにスコープを渡す。隣にいる誰かを意識せず視界にも入れなかった。
「ええええ?! 麓郎あんた。ちょっとそれ!イチャついてんじゃないわよ!!」
すぐ横にいた香取の文章にならない叫び声に身構えられず反射的に身体が震えた。
「犬飼先輩見てよ!」
スコープをまた渡されて覗いてみる。天羽にサンドイッチを差し出されてあたふたしてる若村がサンドイッチにかじりにいこうとした。
「天羽ちょっと手を引っ込めた。」
もともと天羽の手の位置が若村にサンドイッチを差し出すには天羽側よりだなとは思っていたが、天羽が手をわずかに引っ込めることにより若村の顔がより天羽の顔に近づくよう誘導されてしまっている。加減違いで若村からキスされることも狙えるやり口だとも思えた。
完全に天羽のペースにされたなと犬飼は思った。
それよりも池側にいて天羽の顔を見て喋らないといけない若村はともかく、天羽からはこの人だかりは見えているだろうにと思う。
それも天羽の狙いかなと犬飼は悟った。 - 95二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 17:39:05
初登場からずっと不思議少年な天羽が、久々の登場でジャクソンに対して、「麓郎さん」+「そういう所あるし」なんて名前呼びと後方理解者面してくるとは全く想定してなかったんよな
それからずっと囚われてる - 96二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 18:02:41
不思議な子でもあり葦原先生から「捨て犬」モチーフでデザインされて上層部から扱いづらい決戦兵器的な扱い(ちゃんとあの上層部からなら人間として扱われてるけど本人視点だとそう受け止められても致し方ないポジション)
最強格の天羽の見る麓郎さんの「そういうとこ」の解像度が高いのもポイント高い
強いやつと戦うのが好きな少年がどちらかと言えばザコ(ごめん)の部類のジャクソンに目をいつ向けてたんだ?ってなってたんだわ
しかも今回でジャクソンの自己過大評価の発覚でさらに天羽からすれば自分のこと見えてないザコになるわけで
ならSEで麓郎さんがっつけるようになったらどんな風に良い色が見えるの?君には?それが見たくて若村麓郎の解像度が上がるくらいどこからか見てたの?と色々2人の関係が知りたい
- 97二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 18:09:54
若村の中の人がFGOのカドックで初めて知ったからいつか「ワンホイールエクスカベーター!!」なノリで弾けたりオッサムに「波乱万丈かよ」とツッコめるポジションになって欲しい願望はある
オッサムは唯一無二の相棒や後方理解者が多いけどツッコミ役が足りない気がする
天羽があの代永さんだからジャクソンと会話いつかして欲しい