- 1二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 19:56:54
ここだけ先生がSCP-998-jp(外宇宙通信電波)に登場するエージェントの世界線。
エージェントが死後にキヴォトスの先生として連邦生徒会長に呼び出される。
母親から消防士さんのことを聞かされて育った彼は、財団に就職後に消防士さんのことを調べ、SCP-243-jp(恩人へ)やSCP-147-jp(この檻の外へ)を知っている。
前の職場(財団)のことを話さなかったが、消防士さんの命日をきっかけに話し始める。
セキュリティクリアランスはレベル3と思われます。
SCP-998-jp(外宇宙通信電波)
SCP-998-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-998-jp(外宇宙通信電波)のtale
きっとどこかで、そしてどこかに、 - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-243-jp(恩人へ)
SCP-243-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-147-jp(この檻の外へ)
SCP-147-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づいて作成します。
Creative Commons — 表示 - 継承 3.0 非移植 — CC BY-SA 3.0creativecommons.org写真
https://images.app.goo.gl/rGySaXtx12DcJn2R9
追記:SSを書きましたので、投稿します。
- 2二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 19:57:46
期待
- 3二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 19:59:50
>>1生徒はユウカです。
最近、先生の様子が変だ。
最近の先生がぼーっとしていることが多くなっている。
他の学校でも最近そんな調子らしい。何か悩みがあるのだろうか?
心配になった私はシャーレの当番である今日、先生に聞いてみることにした。
ユウカ「先生」
“どうしたの?”
ユウカ「最近、様子が変です。何か悩みがあるのでしたら私に相談してください」
“ありがとうユウカ。でも、この悩みは誰にも解決できないと思うよ”
ユウカ「先生、私心配なんです。この前なんてぼーっとしていたせいで少しの段差に躓いたじゃないですか。それに悩みなら打ち明けた方が何かいい解決策が思いつくかも知れませんし」
先生は少し沈黙した後、少し遠い目をしながら答えてくれた。
“…墓参りに行きたいんだ”
ユウカ「墓参りですか?」
その言葉を聞いてなんとなく理解した。
先生はキヴォトスの外からやってきた人だ。ならそのお墓もキヴォトスの外にある可能性が高い。確かに解決できそうにない悩みだ。
そこまで考えてユウカはふと疑問に思った。
誰のお墓なのだろう?と。
先生の親兄弟なのか?それとも…
ユウカは、疑問に思ったことを先生に質問することにした。
ユウカ「誰のお墓なんですか?先生の親兄弟ですか?」
“……母の命の恩人のお墓だよ。今日が命日なんだ”
先生の母親の恩人。ならお墓参りしたいのも当然ーーー
ユウカ「って今日が命日なんですか!?」
あまりにもさらっと口にしたので思わず突っ込んでしまった。
“クスッ”
先生は、ユウカの反応が面白かったのか笑った。
続く
- 4二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 20:00:33
ユウカ「笑い事じゃありません!どうして今まで言わなかったんですか!?」
“言わなかったんじゃなくて言えなかったが正しいかな”
ユウカの言葉に先生が返す。続けて
“前職は秘密主義的でね。話すことができないことが多いいんだ。母親の命の恩人もその秘密に抵触する可能性がある以上話せなかったんだ”
ユウカ「…怪しい職場じゃないですよね?」
先生の前職があまりにも怪しすぎたせいでつい漏れ出てしまった。
“否定はしないよ。でも、やっていることは世界を守る仕事だ”
先生は少し誇らしそうに話す。そして
“そうだね。ユウカになら少しだけ話すよ”
先生はいたずらっ子のような表情を見せた。
少しの沈黙の後、ゆっくりと先生が話し始めた。
“私の母の恩人はね、消防士なんだ。キヴォトス人は炎に平気だけど僕らは違う。炎に触れるだけで火傷を負い、最悪死んでしまう。だから命懸けの仕事なんだ”
“私の母が幼い頃、大きな火事にあっしまってね。その時に建物の中に閉じ込められたみたいなんだ。その時に助けてくれたのが彼なんだ”
“でも母を助けた代わりに彼は全身に大火傷を負って亡くなってしまったんだ”
“母は彼に顔向けできるような生き方をしてきた。彼に命を救ってもらった以上、それに相応しい生き方をしないといけないって考えて、悩んで、焦って…大きな過ちを犯しかけた”
ユウカ「大きな過ちですか?」
大きく頷いた先生は少し悩んだ後、また口を開いた。
- 5二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 20:01:37
“ユウカ。もし過去を変えることができるとしたらどうする?”
突拍子のない質問に私は驚いてしまった。
ユウカ「過去を変えるって今は関係ないじゃないですか!」
“実はそうじゃないんだ。母の犯しかけた大きな過ちと関係がある。ユウカ。過去を変えたらどうなるか知ってる?”
どうしてこんな話題に変わったのか分からない。けど、過去を変えようとしたことそれが先生の母親の過ちなのだろう。だから真面目に答えることにした。
ユウカ「…バタフライエフェクトが起こると思います」
“そうだね。バタフライエフェクト。それが起こりかけたんだ。恩人に繋がる不思議な電話機があるんだ。母は研究者でねその電話機を調査していたんだ。その一環で亡くなった人に通じるのか?という実験をするために母に電話機を使わせたんだ”
“その結果見事に繋がったんだ。それも過去それも彼が死ぬ直前に。さっき言ったようにバタフライエフェクトが起きる可能性がある以上、実験は中止になった。だけど母は彼に伝えてしまったんだ。自分を助けた代わりに死んでしまうことを”
ユウカ「それじゃあ…」
分かってしまった。私も同じ立場なら同じことをするだろう。生きていて欲しくて。助けたくて。
“でも結局過去が変わることは無かったんだ”
先生のその言葉で少し拍子抜けしてしまった。…がすぐに本当の事に気づいてしまった。きっと彼は…
“母は助けられた時のことを何度も教えてくれたんだ。「大丈夫だよ。〇〇」彼はそう言って助けてくれたらしい。その時どうして自分の名前を知っているんだろうって思ったって”
気づけば私は泣いていた。バタフライエフェクトが起こらなかった原因は一つしない。過酷な運命を知りながらそれでも助けに向かったのだ。それはどれほどの勇気がいるのだろう。
“ありがとうユウカ。彼のために泣いてくれて”
先生は背中を摩りながらユウカが落ち着くのを待った。
おしまい。
- 6二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:01:40
恩人3部作だと!?期待!
- 7二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:11:31
外宇宙先生偶に通信した宇宙人のこと思い返してそう
- 8二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:23:55
コレプレ先消防士だったりしない?
- 9二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:52:50
収容違反ですね普通に
- 10二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 20:54:11
- 11二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:17:50
ゲーム開発部で書いてみた。
最初に謝っとく。ユズの反応書けんかった。
モモイ「先生ってアリスに初めて会った時、“あの人みたいだ”って呟いたよね?それってどういうこと?」
ミドリ「先生、少し嬉しそうでした。まるで憧れた人と同じ光景を目にしているみたいでした」
ゲーム開発部部室。久しぶりにゲームがしたいとやってきた先生に姉妹二人は質問を投げかけた。
そんな二人の言葉に私は少し驚いた。あの人と同じようなことをしたのがそんなに嬉しかったのか。私は少し恥ずかしくなった。
アリス「先生達はアリスと出会ったことを話しているのですか?」
モモイ「そうそう。アリスと出会ったあの日ね先生とミドリと三人でーーー」
モモイがアリスに出会うまでのことを話している間に私は少し冷静さを取り戻した。
私はあの人について知りたくて業務とは別に色々と調べていた。時には担当した博士に話を聞きに行ったりした。
そしてSCP-147-jpに辿り着いた。
モモイ「先生聞いてるー?」
モモイの言葉で我に帰る。あの人のことになると深く考え込んでしまうみたいだ。
モモイ「それでね先生。本題なんだけど、あの人って誰のこと?」
ユウカにあの人のことを話してから私は皆にあの人を知ってほしいと思うようになった。だから彼女達にも話したいと思った。
“あの人っていうのは私の母親の命の恩人のことだよ。あの人のおかげで母も私もこうして今存在しているんだ”
モモイ「じゃあどうしてその命の恩人さんがアリスと出会った日のことと関係があるの?」
モモイの言葉を聞いて私は話すことにした。SCP-147-jpと呼称されていたクラゲのような生物と母の恩人の出会いと別れのことをーーー
“少し不思議なお話をしようか。これは一人の少年ととある精霊さんとのお話だ” - 12二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:19:15
“少年は一人山の中を歩いていた。
「今日はあの廃屋を探索しよう」
なんだか今日はあん廃屋が気になって仕方がなかった少年は廃屋を冒険することにした”
アリス「少年も冒険するのですね。仲間です」
“少年は廃屋を冒険する中でふと地下室の扉を見つけるんだ”
モモイ「地下室の扉!?お宝がありそうな雰囲気」
アリス「はい!ゲームでは地下室の扉には秘密があるのは定番です」
“少年は地下室に降りると緑に濁った大きな水槽があったんだ。恐る恐る覗くとそこにはクラゲのようなヒト型の生物が中にいたんだ”
アリス「魔物ですか!?討伐しないと」
“違うよアリス。この生物は友好モブのような存在だよ”
アリス「魔物じゃないなら問題ないですね」
“そう。じゃあ話を戻すよ。少年は最初は驚いた。そんな少年にその生物は話しかけてきた。
「ここから出してほしい」
懇願するような声で頼んできたその生物のことが可哀想になった彼は
「大丈夫だよ」
そう言うとその生物を妖精さんと呼び連れて帰ることにしました”
モモイ「その少年すごいね」
“そしてお風呂場で保護していたんだ。でも謎の生物を保護したのを誰からか聞いたのか研究者達がやってきて二人を保護したんだ”
モモイ「二人は大丈夫なの?やばい組織とかじゃないよね?」
“安心してほしい。残酷なことはしないよ。冷酷なことはするけど”
モモイ「全然安心できない!」
ミドリ「先生。今までのお話を聞いている限りその少年があの人っていうことだよね?」
“そうだよ。あくまで報告書しか知らないから作り話に近いけどね”
少し苦笑しながら答えた。報告書でしか知ることができなくなったこの物語をもう少し皆に話したい。
- 13二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:20:59
“保護した研究者は妖精さんについて調べることにしたんだ。妖精さんは研究者と友好的かつ協力的だった。このまま何事もなく終わるはずだったんだ”
モモイ「でもそうじゃないんでしょ?物語なら私はここでどんでん返しをするね」
ミドリ「お姉ちゃん…」
アリス「何が起こるんでしょうか?魔王がやってきて妖精さんを連れ去るんでしょうか?」
“妖精さんは水の交換から水槽に帰らず戻りませんでした。研究者の仲間達が妖精さんを水槽に戻そうとしますが抵抗します。少年がどれだけ呼びかけても水槽に戻ることはなくそして…妖精さんは倒れ、二度と目覚めることはありませんでした”
ミドリ「そんな…どうして…」
アリス「アリスは分かりません。どうして妖精さんは戻らなかったのでしょう…」
“彼女が永遠の眠りにつき、どうしてそのようなことをしたのか分かりませんでした。だから仲間たちは妖精さんとよく関わっていた研究者に話を聞くことにしました”
- 14二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:21:18
“ 妖精さんは私に少年を解放してくれないかと頼んできた。
研究者はその時のことを思い出しながら仲間へ話し始めた。
研究者「少年を解放してほしい?無理だ」
妖精さん「どうして?あの子は今、檻の中に居るのと変わらないじゃない」
研究者「それでもだ」
妖精さん「…あの子にはこれから色々な未来が待っていて、無限の可能性がある。あの子はいつか消防士になりたいと言っていた。けど、そうはならないかもしれないし、その通りになるのかもしれない。誰かをひどく傷つけてしまうかもしれないし、その逆に誰かの命を救うことになるかもしれない。どちらにしても、今のこの状況ではそうした可能性を持つ事さえあの子は出来なくなってしまっている」
妖精さん「私自身がそれを奪っているのかもしれない。そんなの耐えられない。檻の中に閉じ込められ、自由を奪われる辛さを私は何よりもよく知っている。からこそ何とかしてやりたいの」
少しの沈黙が流れる。
妖精さん「…ほんの一瞬だけれども、あの子のおかげで自由を得る事が出来た、私はそれでもう充分なの」
研究者「ーーーといった会話をした。」
仲間「他には何か言っていましたか?」
研究者「少年を解放してくれないなら自分があの子にしてあげられることは1つなんだ、と言っていたよ」
仲間「それが何なのか、心当たりはありますか?」
研究者「心当たり?私たちはそれを見たじゃないか」
少年は妖精さんの狙い通りに三日後に解放され自由になったとさ。
おしまい”
すまん。力尽きた。
- 15二次元好きの匿名さん24/10/10(木) 21:24:33
乙。妖精さぁん…
- 16二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:39:49
外宇宙通信電波はどうすればいいか分からない。
宇宙人系で行くなら特異現象操作部とか?
友情で行くなら補修部かなぁ…。
これ、先生が死ぬネタバレをどうにかしないと…。
それは置いといてこんなの考えてみた。
“ユウカ。これ作ったから活用して”
ユウカ「これなんですか?」
“ん?『黒崎コユキの禁止リスト』”
ブライト博士の禁止リスト
ブライト博士の禁止リスト - SCP財団scp-jp.wikidot.com財団の人間なら問題児対策に作るだろうという妄想でした。
- 17二次元大好き匿名さん24/10/10(木) 21:42:10
- 18二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 00:02:34
このレスは削除されています
- 19二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 00:44:44
- 20二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 06:03:42
このレスは削除されています
- 21二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 06:29:08
このレスは削除されています
- 22二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 15:32:39
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 15:36:35
- 24二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:33:42
>>14 ゲーム開発部続きです。
賑やかだった部室は面影もなく、皆、 涙を流して泣いていた。
ミドリ「…こんなのってないよ…」
アリス「アリスは理解できません。どうして妖精さんが死ななければならないのですか?」
優しい彼女達には辛いお話だったかもしれない。そんなことを考えていると、後ろのロッカーが開いて、中から泣いているユズが姿を現した。
ユズ「先生。このお話をゲームにしてもいい?」
“もちろん”
私はその言葉を聞いて無性に嬉しくなった。そしてすぐに言葉を返していた。
モモイ「ぐすっ…よーし、じゃあ、ゲーム開発開始だ〜!」
泣いていたモモイが、突然大きな声を上げ、それに答えるように皆も慌ただしく動き始めた。
その姿を見ながら私は青空を見た。
妖精さん。貴方の話を聞いて彼女達が前に向き始めました。貴方のおかげです。
ーーー貴方の意思は願いは今、少女達の夢に向かうための原動力になっています。
慌ただしく動き始めたゲーム開発部に私は一言。
“最高に面白いゲームを楽しみにしてるね”
「「「「はーい!」」」」
後に発売されたノベルゲームは皆に絶賛され、希代の良ゲーとされた。そのタイトルは…
『この檻の外へ』
- 25二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:43:56
次は補習授業部で書きました。
“ゼルメアは無事だろうか…”
ヒフミとアズサの二人の仲睦まじい様子を見てついぞ会うことができなかった友を思い出す。いつか、どこかでと約束した戦友。
ハナコ「あら、ゼルメアさんって誰のことでしょう?」
彼女のことを口に出していたのかハナコに聞かれてたみたいだ。
ハナコ「もしかして先生のコレですか?」
彼女は小指を立てながら聞いてくる。
コハル「えっちなのはダメ、死刑!」
彼女の言葉に反応したコハルが口を出す。
“いや、会うことができなかった戦友だよ”
そう。彼女との関係を表すならその表現が一番しっくりする。姿は知らないけれどでも確かに地球を救った…と思う。
ハナコ「戦友ですか?」
“そう、戦友。二人で世界を救ったのさ”
彼女に誇らしげに語る。私の作戦が上手くいったのかは分からないけど、成功したのだと信じてる。
ハナコ「確かに先生のことですから世界を救っているかもしれませんね」
コハル「そんなの嘘よ!だって先生は弱いじゃない!」
痛いところをついてくる。私はエージェントなのにも関わらず、このキヴォトスでは弱い分類に入る。エージェントとしてのプライドなどこの世界に来てからへし折られるどころかスクラップになってしまっている。せめて財団神拳でも使えたら…。
アズサ「先生は戦いでもしていたのか?」
“うーん、正確には戦いが起こるのを防いだってところかな”
私たちの話を聞いていたようで話に入ってきたアズサに私は答える。その答えに皆困惑の表情を浮かべた。
私は彼女達にゼルメアとの話を語ることにした。アズサとヒフミのように敵対組織にいながら友となったあの日の些細なきっかけを。そして私の一世一代の大博打のお話を。 - 26二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:46:25
“君たちは宇宙人って信じるかい?”
コハル「そんなのいるわけないじゃない!」
アズサ「コハルはうちゅうじん?というものを知っているのか?教えてくれ」
コハル「アズサは宇宙人を知らないの?いい、宇宙人ってのはねーーー」
ヒフミ「あはは…アズサちゃんは相変わらずです。ですが先生、どうして急に宇宙人の話なんかを?」
“私の故郷の天文台のひとつに強力な通信電波を受信したんだ。この電波には未知の文字データが含まれていたんだ。このことをきっかけに私たちは宇宙人との交流が始まったんだ”
ヒフミ「それはすごいですね。でも知らない言語を使う宇宙人とどうやってコミュニケーションをとったんですか?」
“彼らは高度な言語解析、翻訳装置を有しているみたいでね、交信のたびに私たちの言葉を勉強していったんだ。その結果、違和感がない言葉遣いができていたよ”
ヒフミ「すごい宇宙人なんですね」
“ああ。そんなある日、私は残業をしていたんだ。その時にとある通信を受信したんだーーー”
私はあの日のことを思い出す。 - 27二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:48:01
些細なきっかけから始まった。当時の私は夜勤をしていた。
“ふあぁ〜眠いなぁ…”
大きなあくびをしながら資料整理と電波受信の監視を行っていた。時計を見ると2時半過ぎを指していた。
“朝まで時間があるな”
時計を見ながらそんなことを口にする。
『ハイ、ダレカイル?』
突然のことで私は固まってしまった。まさか急に電波を受信するとは。
『ダレモイナイ? ハナシガシタイノニ』
続けてそんな言葉を受信した。その言葉に私は慌てながらも丁寧に電波を送信した。
『こんばんは █████(先生)という者です あなたのお名前は?』
『コンバンハ ナマエハ ソッチノ発音ニアワセルナラ ゼメルア』
『いい名前ですね』
『アリガトウ』
どうやら私のファーストコンタクトは問題なかったようだ。緊張していたのか少し腕が震えていた。
私は沈黙の時間ができないように質問をした。
『性別とかはありますか?』
『ソッチノ言葉デイウト メス』
『女性、というんですよ メス、というのは地球じゃ動物に使う言葉ですから』
『ソウナノカ マチガエタ』
『それは仕方ないですよ』
『ソウカ オシエテクレテ アリガトウ センセイ ト ヨバセテクレ』
『先生だなんて大袈裟な。普通に名前でいいですよ』
今回の通信でどうやら彼女は悪い存在じゃないと感じた。次の質問を返そうとしてーーー - 28二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:48:44
『ちょっと待って オブザーバーが来た、通信を切らなきゃ』
『ナゼ?』
『僕は貴方と通信するのを実は許可されていないんです このことは内密でお願いします』
『ワカッタ ツギハイツ話セル?』
『明日の夜ですね、交代前に』
『ナラ ソレマデマッテル』
『じゃあまた、ゼメルア』
『ジャアマタ、センセイ』
危なかった。バレていたら始末書だけでは済まされない。それほどまでに危険な行為だ。だけど、私はもう一度彼女と関わりたいと思うようになった。しかし…
“キミの中では私は先生なのか…”
少し頬を緩めた。 - 29二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:49:29
ハナコ「それは素敵な出会いですね」
“そうだろう、そうだろう。些細なことだったが宇宙人と友達になったなんて夢にも思わなかった”
ハナコの言葉に興奮するように話す。その表情はにやけていて、嬉しさが伝わってくる。
“こうして私は彼女との交流を始めたんだ。秘密裏に交信するのはとても楽しかったよ”
ヒフミ「宇宙人と友達になるなんてすごいです先生。平凡な私にはとてもじゃないけど真似できません」
“宇宙人だとか関係なかったんだ。彼女は彼女だった、ただそれだけのことだよ。彼女だったから友達になったんだ(ヒフミが平凡?)”
アズサ「先生、宇宙人とは宇宙にいるのだろう?どんな姿をしているんだ?」
“さあね。結局会うことができなかったから”
ハナコ「ゼルメアさんはどんな見た目なんでしょう?宇宙人としてよく知られているグレイは全身銀色の全裸ですから彼女も裸だったりするのかもしれませんね」
コハル「えっちなのはダメ死刑!」
“彼女の容姿については目が二つ、鼻が一つあるという教えてくれた情報しかないからね。もしかしたらペロロさまのような姿かもしれないよ?”
ヒフミ「ペロロさま!?ペロロさまの姿をしていたんですか!?」
“ヒフミ落ち着いて!かもしれないってだけだから!”
興奮したヒフミを落ち着かせるのにしばらく時間がかかってしまった。
“彼女とはその後何度か交流してね。本当に楽しかったよ。私が住んでいた星の近くにまでやってきて、感想をもらったこともある。だけど、あの日の質問から全てが変わってしまったーーー” - 30二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:50:27
『ネェ センセイ 地球の人って野蛮ナノ?』
彼女の質問に私は一瞬戸惑ってしまった。少し考えながら返信する。
『うーん 時にはそうかも どうして?』
『こっちの偵察隊が地球ニハ兵器がタクサンあるって』
『あぁ 地球じゃどこの国も持っているんだ 残念なことにね』
『私タチのネイルードが地球人は危険デ こっちを攻撃スルつもりだって』
『ネイルードって?』
『軍人タチの中で一番偉いヒト ミンナその人の言イナリ 今宇宙船ニ兵器を装備しだしてる』
『そんな 地球の人はそっちと争う気はないのに』
やばいと心の底から思った。戦争が起こるかもしれないと。
『私タチのほとんどノ人もソウ思ってる』
その言葉に安堵した。戦争をしたくないのは向こうも同じらしい。
少し私は考え込み。そして言葉を返した。
『確かに、地球の人たちは全員が平和主義とは言えないが だけど私の母は、自分の命を顧みなかった人の手で火事から救い出されたんだと言っていた 人ってのはそういうもんだ』
そう。あの人のような人も沢山いる。この職場で沢山見てきたから。
『ソノ通りだと思う デモ、そうは考えられナイ人も中にはいるの 残念なガラね』
『少なくとも、君と僕は違う そうだろ?』
“この日から雰囲気が悪くなっていった。上層部は戦争しようと画策し、ついには準備を始めた。このまでは本当に戦争が起こると私たちは確信した”
“どうにかしたかった。戦いたくなかった。だから私達は策を練った。戦争をさせないために” - 31二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:52:06
『戦争になるノ? 私、センセイたちと戦いタクナイ』
『僕もだ』
少しの間、間隔が空いた。その数秒の時間すら長く感じた。
『ねェ、センセイ』
『何だい』
『私タチがネイルードを止めレバ 戦争は起きないカナ』
その言葉に含まれていることに私はいち早く気づいた。
『本気で言ってるのかい』
だからそう返すしかなかった。
『ネイルードは戦争を起こしたがってル 自分の権力がさらに増すカラ そっちのネイルードもそう思ってるハズ』
『確かにネイルードがいなくなれば、戦争は起こらないかも…… でも無理だ 不可能だよ』
『センセイ、このままジャ、私タチの両方に多クの死者が出ル……! ドウにかしないト』
『どうにか、ってどうするつもりなんだ?』
『こっちのネイルードに反発シテル人たちを集めて、何トカシテ引きずりおろすノ』
『そんなこと出来るのかい?』
私は彼女にそう返した。この絶望的な状況でひっくり返す方法があるのかと。
『時間さえアレバ』
そう。時間があればいいのか。
私は気づけば返信していた。
『どれだけあればいい?』
『アト一週間は』
一週間。この状況でその時間を作るのは難しい。だけど、この賭けに私は乗ることにした。
『分かった、君を信じる 僕が何とか時間を稼いでみるよ』
『ホントに?』
『うん 多分、うまくいくはずだ』
そう、私が考えた策。それがうまくいけばきっと…。
『まさカ、キケンなこと?』
『いや ちょっとしたことさ、心配しないで』
少しの間隔。私は大きく深呼吸した。そして平静を装って言葉を綴っていく。 - 32二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:52:49
『そうだ、このことがばれないように、ここの交信ログは全部消しておくよ』
『私もこっちのを消してオク』
『君に会えないのが唯一残念だよ』
『私モそう思う』
泣きそうになりながら、それでも私は平然を装った。
『ネェセンセイ、全部終わっタラ マタ私と話してクレますか?』
『もちろんさ』
さよならだ。ゼルメア。もう会うことはないだろう。
『それじゃあゼメルア、成功を祈ってる また、いつかどこかで』
『じゃあマタ、センセイ いつか、どこかデ』
通信を終わらせて、私は一世一代の大博打を行なったんだ”
ヒフミ「大博打ですか?それは一体…」
“それはね、退職届を提出することだよ”
コハル「先生、仕事辞めちゃったの!?どうして!?」
“担当者の私が辞めることで現場が混乱して一週間は持つと思ったんだ”
アズサ「なるほど。流石だ先生」
“私の策は功を成したと思うよ”
ハナコ「でも面白いですね。お二人はまるでヒフミちゃんとアズサちゃんを見ているようです」
ハナコのその言葉に私は嬉しく思った。
“そうだね。彼女達を見ているとゼルメアのことを思い出すんだ”
そして彼女の言葉に私は同意した。敵対している組織に属していた。それでも絆を深め友達になった。 - 33二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:53:29
……私にとってエデン条約の件はあの日とかなり共通点がかなりあった。
二人のことしかり、トリニティがゲヘナのことを野蛮だといっていたこともそして私が撃たれたことも。
最初にエデン条約のことを聞いた時、ゲヘナとトリニティは犬猿の仲だと聞いた。だから問題が起こるかもしれないと。
だけど私は不安など無かった。時間をかけてもいい。今は啀み合っててもいい。だけどいつか、ゼルメアみたいに種族の垣根を超えた友情を育めるだろうと。
二人が仲良くしている姿を見て思い耽っていると、ハナコが耳元で話しかけてきた。
ハナコ「部活動が終わった後、少しお話しませんか?」
“分かった”
私は彼女の言葉に二つ返事で答えた。 - 34二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:54:41
放課後、補習授業部の部室でハナコと二人きりになっていた。
ハナコ「こうして部室で二人きりだなんてドキドキしますね」
“どうしたんだ?珍しい。分からない問題でもあったのかい?”
ハナコ「もう少し先生とお話を楽しみたいのですか……本題に入らせて下さい」
さっきまでの笑顔が嘘のように真剣になったハナコに私は正面から答える。おそらく彼女は分かってる。
ハナコ「先生は、退職したことで一週間稼げたとおっしゃいましたね?」
“ああ”
ハナコ「でも、それだと少しおかしいのです。仮にも宇宙人と戦争ができるほどの大きな組織です。にも関わらず、貴方が居なくなるだけで機能が停止するとは到底思えません。先生、あの日何をしたんですか?」
ハナコのあまりにも真剣な表情に言葉がつまってしまう。どうにかして話を逸そうにも思いつきそうにない。
ハナコ「先生のお話にはおかしな点がいくつかあるのです。例えば、初めのほう。先生は夜勤をしていたっとおっしゃていましたね。であるなら、当然日勤の人も居るはずです。つまり担当者は貴方だけではありません。貴方がいなくなったところで代わりがいると考えられます」
ハナコ「そしておそらく、このお話には政治も関わっていますね?先生の上司さんもおそらく戦争しようとしていたのでは?そんな状況で人が一人いなくなったところで問題など起こるはずもありません。ですが、一つだけ方法があります。そして、その策を先生は遂行してしまうでしょう」
“……”
ハナコ「ただ、退職届を出しただけでなく、先生は何かをした。相手を引き摺り下ろせるほどのことを。いえ、正確にはそうするように誘導したと言うべきですね」
何も言えなかった。彼女が言っていたことは間違っていない。シャーレの先生という立場である今ならともかく、私は無数にいるエージェントの一人でしかなかった。だから当然代わりも多くいた。 - 35二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:55:31
ハナコ「先生。教えてください。不安なんです。先生は言いました。『私の策は功を成したと思うよ』と。どうして断言していないんですか?」
ハナコ「私自身、この結論はあり得ないと、おかしなことだと思っています。ですがどうしても想像してしまうのです。教えてください。先生、
ーーー貴方は死んでいるのですか?」
頭のいい彼女のことだ。ありえない話であっても察してしまうのだろう。だから彼女に答えよう。本当のことを。
“……私はあの日、退職届を胸ポケットにしまった。そしてわざと上司の前で胸ポケットから退職届を出そうとした”
“緊張状態が続いていたから上司は勘違いして護衛達に命令したよ。『撃ち殺せと』私の狙い通りに。無実の人間を殺したんだ。あの上司は今頃檻の中だろう”
言い終えた私の前でハナコは静かに涙を流した。
“どうして生き返っているのか分からない。だけど、第二の人生を先生として皆を支えていきたいと思っているよ”
ハナコ「先生。教えてくれてありがとうございます。少しお願いがあります。しばらく抱きついてもよろしいですか?貴方が今、生きていることを確認したくて…」
彼女はしばらくの間、胸の中で泣いていた。
おしまい。 - 36二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 17:56:44
話に出てきた財団神拳はこちらから
SCP-710-JP-J - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 37二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 18:38:59
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- 38二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 18:50:22
- 39二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 19:31:29
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- 40二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 19:41:36
彼はキヴォトスに来た時に使えなくなりました。一つ目の理由として、死んでいるので鍛えていた肉体がなくなっており、平均的な成人男性の肉体に転生していたからです。二つ目として、キヴォトスにはSCiPがない設定です。なので必然的に財団神拳も使えません。そしてこの世界はMKシナリオが起こるので今後、使えることはないでしょう。
- 41二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:07:31
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- 42二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:10:07
え、起こるのMKなの?捲られたヴェールじゃなくて?
- 43二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:13:21
先生一度死んでいたのか
財団の理念が変わる...学園テクスチャの影響とかが発端とかな - 44二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 20:25:27
- 45二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 20:35:53
保守
>>44 確かに魅力的だ。
- 46二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:50:08
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- 47二次元好きの匿名さん24/10/11(金) 20:54:57
妙に保守が多い気がする
- 48二次元大好き匿名さん24/10/11(金) 23:59:03
他にも書きたい概念がある。
・消防士さん転生概念
梅花園に消防士さんの転生体(記憶なしの女の子)がいる概念。先生が梅花園に遊びに来た時に新入りとして紹介される。その時に少女に「〇〇(先生の母の名前)?」って口にするんだ。シュンとココナはこちらは先生よ?そんな名前の人はここにはいないわって話しているけど、先生はどうして母の名前を?と疑問に思うんだ。確信したのは、お昼寝をした後に少女が夢の話として妖精さんのお話をしたこと。これによって確信するんだ。先生が帰り際に少女を優しく抱きついて“ありがとう”って口にする。すると少女から明らかに男性の声で「ああ。安心した」って言うんだ。先生は泣きながら帰路について、少女は二度と先生の母親の名前も妖精さんのことも話すことがなくなるっいう概念。 - 49二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 00:08:46
- 50二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 00:13:01
・戦友が生徒になる概念
ある日、救護騎士団に呼ばれて先生は向かうんだ。そこで一人の女性に出会う。人じゃない容姿だけど人っぽい感じ。頭にはヘイローがある。
“初めまして。私は先生の〇〇(先生の本名)君は?”
「ハジメマシテ。 イヤ ヒサシブリ ト 言ウベキカナ? センセイ?」
「忘レタノカ? ゼメルア ッテ名前ヲ」
みたいな感じで本当の意味で先生になる。
姿のイメージは星のカービィのスージー。
https://images.app.goo.gl/ZtdUdmjBbfajfAqt9
- 51二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 00:14:16
- 52二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 00:18:27
- 53二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 00:22:59
ここの先生緑色のスライムに過剰反応したりとかピニャータに警戒したりとかしないかな…
- 54二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 00:39:30
とある一幕
「なりません!生徒は憎悪を軽蔑を…呪いを謳わなければなりません!お互いを騙し傷つけ合う地獄の中で私達に搾取される存在であるべきなのです」
この女の言葉に私は怒りで頭がおかしくなりそうだった。脳裏に浮かぶのは私が世界で一番嫌いなSCiPだ。名をSCP-014-jp-EX。この女とどうしても被ってしまう。子供の自由のために未来のために戦った彼らへの侮辱にも等しい行為。
“黙れ”
“私の大切な生徒に話しかけるな”
彼の顔はこの世のものとは思えないほど怒りに満ちていた。
SCP-014-JP-EX - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 55二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 00:46:24
- 56二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 00:47:44
>>55 訂正
起こる→怒る
- 57二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 01:12:16
黒服との大人の戦いから抜粋
「なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? なぜ? 理解できません、なぜ? なぜ断るのですか? どうして? 先生、それは一体何のためですか?」
“あの子たちの苦しみに対して、責任を取る大人が誰もいなかった”
心底から理解できないというように、幾度となく疑問の言葉を繰り返す黒服。彼からの困惑と疑念とが綯い交ぜになった視線と正面から向き合い、その視線に応えるように自らの意志を表明する。それでもなお黒服は納得せず、依然として疑問を投げかける。
「……何が言いたいのですか? だから、あなたが責任を取るとでも? あなたはあの子たちの保護者でも、家族でもありません。あなたは偶然アビドスに呼ばれ、偶然あの子たちと会っただけの他人です。一体どうして、そんなことをするのですか? なぜ、取る必要のない責任を取ろうとするのですか?」
“それが、大人のやるべきことだから”
黒服の疑問に、ハクノははっきりと答えた。生徒達が困っているのなら力の限り助ける。それは己の意志だ。あの人たちに誇れるような生き方をするために。それが私の信念であり、心からの思いだった。
「……ああ、そうですか。大人とは『責任を負う者』、そう言いたいのですか?」
しかし、黒服は納得しなかった。しばらく沈黙したあと、彼は徐ろに口を開いた。その声色には先程までのような余裕はなく、どこか苛立っているようにも聞こえる。 - 58二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 01:12:42
「先生、その考えは間違っています。大人とは、望む通りに社会を改造し、法則を決め、規則を決め、常識と非常識を決め、平凡と非凡とを決める者です。権力によって権力のない者を、知識によって知識のない者を、力によって力のない者を支配する、それが大人です」
黒服の言葉は淡々としていたが、その中には強い思想と反抗の念が滲み出ていた。彼の言葉は、まるで社会の暗部に潜む暗黒の一端を垣間見せるかのようだった。子供とは搾取の対象であり、大人とはそれを支配する者。黒服はそう断じた。
「自分とは関係のない話、なんてことは言わせません。……あなたは、このキヴォトスの支配者にもなり得ました」
“サンクトゥムタワーの制御権……”
「お察しのとおりです。この学園都市における莫大な権力と権限。そしてこの学園都市に存在する神秘。その全てが、一時的とはいえあなたの手の上にありました。……しかし、あなたはそれを迷わず手放した」
そこで一旦言葉を区切ると、黒服は先生に対してはっきりと言い放った。
「理解できません。一体その選択に、何の意味があるのですか? 真理と秘義、権力、お金、力……その全てを捨てるなんていう無意味な選択を、どうして!」
“黒服。強者が弱者を支配するその考えを否定することはない。だけどね…”
『少年を解放してくれないなら自分があの子にしてあげられることは1つなんだ』
『大丈夫だよ。〇〇』
脳裏に浮かぶ恩人たち。彼らの勇気を。
“……いや、言ってもきっと、理解できないと思うよ”
先生は静かに、しかし確固たる信念を持った声で黒服の疑問に答えた。
- 59二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 06:14:30
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- 60二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 08:17:47
そういやコイツ財団倫理(倫理観ゴミ カス)じゃないんだな…本部の人間とからなここまで先生出来ないよ…
- 61二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 15:02:48
財団の冷酷ではあるが残酷ではない精神ではないんだよな
- 62二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 17:14:50
救護騎士団からの連絡を受けて私はトリニティへやってきた。どうやら緊急の用事らしい。と言うのも詳しく聞かされておらず、すぐに来てと言われたのだ。
トリニティ内の指定された病院へ足を踏み入れると、声をかけられる。
セリナ「お待ちしていました。先生」
“セリナ、緊急の用事って?”
少しの不安と共に彼女へ声をかける。
セリナ「実はトリニティ郊外で意識不明の生徒がいまして、病院に運びました。見たことのない服装をしておりまして。どこの生徒なのか分からず先生に連絡をした次第です」
ここは数千もの学園がある学園都市だ。彼女達が知らない学校があってもおかしくはない。
“それで、その生徒は?”
セリナ「ご案内します」
セリナに案内されやってきたのは病院の一室だった。
セリナ「失礼します。!目が覚めたのですね?」
彼女のそばに駆け寄ったセリナは、ベッドの横にあるナースコールを押した。しばらくして医者と看護師がやってきて彼女を診断していた。
診断が終わり、医者と看護師が出て行った後、私達は彼女に向き合う。
セリナ「初めまして。私の名前はセリナといいます。よろしくお願いします。そしてこちらがーーー」
“初めまして。私は先生をしている〇〇だ。よろしくね”
彼女は私の名前に驚いた表情をした。そして私に質問をしてきた。
???「センセイ キミ ハ エスシーピーザイダン ヲ シッテルカ?」
セリナ「そのえすしーぴー?とは何のことでしょう?」
“……君は何者だい?どうしてその名を知っている?”
私は彼女に警戒した口調で言った。私は前職の職場の名前など一度も口にしたことがない。それなのになぜ知っているのだ。
???「ワタシ ヲ 忘レタノカ?」
私の言葉に戸惑ったように彼女は言った。しばらく考え込んだ後、ハッとした表情をした。
???「忘レテタ キミハ ワタシヲ 見タコトガナカッタナ」
???「デハ 改メテ ジコショウカイ ダ」
???「ハジメマシテ。 イヤ ヒサシブリ ト 言ウベキカナ? センセイ?」
???「覚エテイルカ? ゼメルア ッテ名前ヲ」
その名前に私は驚き涙を流していた。
“…そうか!そうか…ようやく会えたんだなゼメルア…”
- 63二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 17:16:08
病室には二人分の泣く声が響いたとされる。
その後…彼女はトリニティに編入した。今は補習授業部に所属し、この世界のことを楽しんで学んでいるようだ。
『〇〇(先生の名前)は死にました』
一つの通信を確認した私はその言葉を理解するのに時間がかかってしまった。自分の初めての友達。彼の訃報の知らせであった。つい先程まで宇宙船内は大忙しだった。ネイルードを引き摺り下ろし、ようやく暇ができた日のことだった。
自分の地球でできた初めての友達の死を知ったのは最後に通信してから二週間が経っていた。
ゼメルア「センセイ ガ 死ンダ!? ソンナバカナ!? 二週間マエニハ 生キテタンダゾ!?」
私が彼の死をようやく理解した時、椅子から立ち上がり大きな声を出してしまった。周りにいた船員達も驚いて動きを止めていた。
どうして!?なぜ!?頭の中でそのことだけがぐるぐると回っていた。
どうにかして落ち着こうと椅子に座った時、ふと気づく。通信に知らないファイルがくっついていると。私は意を決してそのファイルを開く。それは初めて見る人型の姿をした生物の動画だった。その動画を恐る恐る再生する。
“この動画を見ているのならおそらく私は死んでいる。約束を守れなくてすまないゼメルア”
“死ぬ前にキミに伝えたいことがあったんだ。だからこの動画を後輩に頼んでいた。私が死んだならこの動画を君に送ってほしいと”
“本当にすまないと思っている。君との約束を守ることができなかった。私にはこのやり方しか出来なかったんだ”
“私と友達になってくれてありがとう。君とのやり取りはとても楽しかった”
“私は死んでしまったけど、君には長生きしてほしい。君の友達としてのお願いだ”
“もし、生まれ変わったら次もまた友達になろう”
「バカヤロウ…カッテニ 死ヌンシャネェヨ」
溢れ出す涙を止める手段が今の私にはなかった。
- 64二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 17:17:17
おまけ
MK後のある日。
ハナコ「ゼメルアさんって先生が言っていた人ですよね?」
“ああ。どうやらそうらしい”
ハナコ「じゃあ、彼女にコレ見せてもよろしいでしょうか?」
彼女が持っていたのは一枚のプリントそこには『きっとどこかで、そしてどこかに、』と書いていた。
“それは?”
ハナコ「例のサイトで見つけたんです。読んでみますね?『私の母親は幼い頃、一人の消防士に命を救われたらしい。その消防士はーーー』」
“ちょっ!やめてくれ!!”
ハナコ「いえいえ、やめませんよ?だってほらここ、ここに書いてある『「見ていてくれ、ゼメルア」』これを教えてあげないといけないじゃないですか」
“やめてくれぇー!!”
先生は逃走した。
以上、いじられる先生でした。 - 65二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 17:48:31
彼の倫理観がまともな理由は一応あるんです。
一人目の先輩→SCP-014-jp-EXに出てきたSCP-014-jp-EX-1(王国第一皇女として育てられた子)性格はサオリに似ている。新人だった頃に教育してくれた恩人。
先生がブチギレた理由の一つである。
二人目の先輩→SCP-554-jpに出てきたお嬢ちゃん。
三人目の先輩→SCP-2040-jpに出てきた佐々木さん。
四人目の先輩→ SCP-1160-JP-EXのSCP-1160-JP-EXこと冴島 亮子さん。
彼らとは任務出会い、仲を深めた。
先生にとって尊敬する大先輩である。
SCP-014-jp-EX
SCP-014-JP-EX - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-554-jp
SCP-544-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-554-jp tale
進路相談 - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-2040-jp
SCP-2040-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-2040-jp tale
最近の女学生のガラケー事情 - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-1160-jp-EX
SCP-1160-JP-EX - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 66二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 17:51:23
“死ぬ前にキミに伝えたいことがあったんだ。だからこの動画を後輩に頼んでいた。私が死んだならこの動画を君に送ってほしいと”
ここ訂正。後輩ではなく先輩の冴島 亮子さんに頼んでます。この中じゃ一番やりそうな先輩に頼みました。
- 675124/10/12(土) 18:21:24
- 68二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 18:23:01
・先輩のことを話す概念
これはもともと先輩、同期、後輩の予定でした。でも日付見たらまさかの全員年上。諦めて全員年上にしました。
なぜサオリに近い先輩がいるのかというと、サオリに話したいから。彼女って環境がサオリに似てるから。
サオリ→アリウススクワットのリーダー。
全ては虚しい
先輩→国のトップの立ち位置にいた。
他の"呪文"について聴取を行った結果、"私は愚かな犬"、"私はただの人間"といった意味のドイツ語であり、いずれもその意味を理解していないことが分かりました。←コレ。
しかも本当に無意味な人生だったというおまけ付き。
こりゃ先生、意識しますね! - 69二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 18:28:03
もう一つの概念。
・初音ミク(ブルアカ)がSCP-1139-jp『電子の歌姫』の転生体概念。
どちらにもミクいたなと思って。
SCP-1139-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comミク調べたらストーリーで歌を歌えなくなったらしい。そりゃ先生全力で解決しますわ。
- 70二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 22:18:21
元の名前は春鳥 美句(はるどり みく)かな?
- 71二次元大好き匿名さん24/10/12(土) 23:54:00
一様ある程度考えている。
SCP-014-jp-EX
これはサオリにする予定。
SCP-2040-jp-EX
これはツルギにしたい。他に恋愛好きなキャラいたかな?
SCP-1160-jp-EX
正義実現委員会の誰かにしたい。募集しようかな?
SCP-554-jp
これはもう一度ゲーム開発部にお願いする。ゲームの第二弾を作るためのアイデアを出してもらうために。 - 72二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 00:07:08
- 73二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 00:14:06
・先生がショタ化してヘイローを持つ概念。なお、ヘイローは財団のシンボルとする。
【クロス】ブルアカの生徒に|あにまん掲示板こんな感じのヘイローを持った生徒が居たらbbs.animanch.com【ブルアカ】先生が体だけショタ(ロリ)化してナメクジヘイローを手に入れた世界線|あにまん掲示板bbs.animanch.com神秘は再現。カメラを待てば欲望カメラのようなSCPに。生物系は自分の肉体で再現する。重ねがけも可能。
これのせいでブライト博士が一時的にキヴォトスにやってくれるとかありそう。(MK後の予定)
- 74二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 00:15:38
あの首飾りバカ、来ててもなんらおかしくねぇんだよなぁ…
- 75二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 00:24:19
銀弾組のやつ貼っときます。
SCP-1983 - SCP財団scp-jp.wikidot.com↓これが『監獄行きのクライスラー』
SCP-213-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.com後、tale
Silver Bullet - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 76二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 00:29:14
このレスは削除されています
- 77二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 00:31:47
- 78二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 00:46:54
- 79二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 01:01:25
先生の設定上、倫理観はまともです。そんな中、財団で活動するのは苦痛でしょう。時には人を殺すことがある。人を助けたい。この矛盾で苦悩していた先生を救ったのが冴島 亮子でした。彼女がかつて言われたことを次は同じように悩んでいた後輩に話す。かつての後悔と共に。
- 80二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 01:08:08
何となく投下。
この先生はアリスの味方ですが、リオ会長の考えをを肯定しています。その上で、その役割は子供がするものじゃない。って言う。アリスの味方だけど、アリスが世界を滅ぼす存在になったら差し違えてもアリスを殺す覚悟もある(最終手段)。 - 81二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 01:16:13
ここの先生は黒服達は財団の研究者達と同じ存在だと思ってそう。財団の研究者たちって財団なかったら黒服と同じルート辿りそうだし。
- 82二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 01:22:06
ゼルメアさん先生と再会できてよかったぁ
- 83二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 08:43:17
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- 84二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 17:56:26
う〜ん財団職員…
- 85二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:02:21
シャーレの部室。先生とサオリは業務をこなしていた。
“少し休憩しようか”
ある程度片付けた書類の山を見て休みを提案する。私は立ち上がりシャーレ備え付けの冷蔵庫から缶コーヒーを二つ取り出し、サオリに渡した。
缶のプルタブを開けて一口飲む。
“ふぅ…付き合せちゃってごめんね。サオリ”
サオリ「謝る必要はないぞ先生。このくらい容易いことだ」
『謝る必要はありません〇〇(先生の名前)。このくらいは容易いことです』
脳裏に浮かぶ雛倉先輩の声。彼女を見ているとどうにも先輩を思い出してしまう。もう一口、コーヒーを飲む。
サオリ「少しいいか?先生」
“どうしたの?”
サオリ「先生に聞きたいことがあるベアトリーチェのことだ」
“アレがどうしたの?”
サオリ「先生がベアトリーチェに激昂したことがあっただろう?その時の先生の表情がどこか私怨を感じられたんだ」
“……”
私怨があった。そう言われると否定できない。アレは私が最も嫌う存在だ。恩人達を否定し、雛倉先輩と同じ目に合わせた。冷静でいられた自信はない。
サオリ「もしよかったら話してほしい。先生がどうしてそこまで激昂したのかを」
“……君と同じような環境にいた人を知っているからかな…”
サオリ「私と?」
サオリの問いにこくりと頷いた。
……先輩。すみません。彼女が前に進めるようにあなたのこと話します。 - 86二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:03:46
“雛倉先輩…前職で新人教育をしてくれた先輩がいたんだ。先輩の教えのおかげで助かった経験は数えきれない”
“雛倉先輩は本当に君によく似ている。冷徹なようでどこか激情家。責任感も強い。そして何より彼女の過去も虚しいものだった”
サオリ「Vanitas vanitatum et omnia vanitas」
“君たちがよく言っているその言葉。『全ては虚しい。どこまで行っても、全てはただ虚しいものだ』という意味だったね。前職の経験上、私は否定できない。でも君は…君たちは前に進もうとしている。だから君に話すよ。私の尊敬する雛倉先輩の話”
“始まりは10代前半の女児がドレスを着用し儀仗を所持した状態で街中で発見されたことから始まった。彼女のことを警察…ここで言うワルキューレ警察学校で保護、その後私の前職場で調査をすることにした。前職の研究者達は最初、彼女は異世界からやってきたと考えていた。”
サオリ「異世界?先生のようにか?」
“そう。私がキヴォトスにやってきたように彼女もまた異世界からやってきたと考えられていたんだ”
サオリ「それならば私より先生の方が似ている環境なのでは?」
“最後まで聞けば分かるよ”
“研究者達は彼女にインタビューをした。彼女が王国第一皇女であること、両親である国王と女王の元で5人の家臣と20人の召使と生活していたこと、そして皆が狂ったように笑ったあと気が付いたら路上にいたことをそのことを話した彼女は不明瞭な呟きを繰り返し始めたのでインタビューを一時中断した”
サオリ「…よく分からないが嫌な感じがするな」 - 87二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:04:50
“彼女を落ち着かせてからインタビューを再開した。彼女の国は荒れ果てた大地の中に建つ唯一の王国であること、周りは過去の魔法大戦で荒廃してしまったことそして彼女は炎の魔法を使えることを話した”
サオリ「魔法か。そんなものがあるのか?」
“その事を調べるために実際にやってもらった。彼女は2時間かけ魔法陣を作った後、魔法の呪文を唱えた。『火と炎を司る我が友よ、今一度我に力を貸してほしい。その聖なる火を持って敵を打ち砕け、Mein Leben war sinnlos』その結果、何も起こらなかった”
サオリ「どういうことだ?魔法を使えるじゃなかったのか?」
“当然、魔法を使えなかった少女は混乱した。何度も何度も同じ言葉を繰り返した。『Mein Leben war sinnlos! Mein Leben war sinnlos!』っと。研究者は彼女に聞いたんだ。その言葉の意味を理解していますかっと”
サオリ「意味?魔法の呪文ではないのか?」
“『Mein Leben war sinnlos』この言葉はドイツという国の言語だ。それを翻訳すると、『私の人生は無意味だった』という意味になる”
サオリ「は?」
“ほかの呪文も似たようなもので『私は愚かな犬』『私はただの人間』といった意味になる”
サオリ「先生。これは一体どういう事だ?」
呪文に隠れた悪意の言葉。その意味に彼女は絶句していた。私も初めて聞かされた時は意味が分からなかった。 - 88二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:06:57
“『私の14歳の誕生会の時です。久々に王国内の全ての人間が城に揃い、私の誕生日を祝福してくれました。両親が"今日はあなたのために最大のサプライズを用意した"と言い、皆が微笑みながら何か準備を始めたところまでははっきりと覚えています。』
『おそらくそこから先は私は夢を見ていたのだと思います。あんなことがあるはずもない。』
『あれは夢です。夢なんですよ。』
『何か仕掛けを作動させた途端に城がパタンと倒れました。城はただの板でした。私が狼狽えているとその瞬間全員が一斉に笑い出しました。そして皆が、声を揃えて、揃えて…』
『 「ドッキリ大成功」と…そして私の顔を指さして皆がゲラゲラと笑い出して…あれは夢です。夢に決まっています。』
後の彼女へのインタビューで語った事だ。”
サオリ「何だそれは!?ドッキリだと!?そんなくだらない事で彼女はこんな目にあったというのか!?」
サオリの嘆きにも近い叫び声がシャーレの部室に響く。
“後の調査で彼女の供述に合致した廃遊園地跡とされていた土地が発見された。魔法の練習場所としていた箇所を調査したところ特撮に用いられる火炎の発射機構が発見され、廃遊園地の存在していた土地の持ち主の調査を行ったところ、彼女の養育者とみられる人物の存在が浮上した”
サオリ「そいつはどうしてそんなことをしたんだ。場合によっては…」
“落ち着いてくれサオリ。奴のことは大丈夫だ”
先輩の話によるとDクラス職員になったらしい。少なくとも楽には…。
“そいつへのインタビューで言っていたことだ。
『仲間内で面白いことをしようと色々話してたんだが、ある日新しく入ってきた奴が人間を”飼育”したら面白いんじゃないかと提案したんだ。そしてその飼育した人間に今まで飼育していたことをバラすとどんな顔をするか、とね。面白いことに飢えていた私たちはそれに飛びついたわけだ、本当に凄いこと考える奴がいるもんだと感心したよ。』
『商売柄今まで人が嘆き苦しみ絶望する姿を多く見ていたが、純粋な子供が絶望する姿を見るのが最も面白かったんだ。そして最高のお膳立てをしてその顔を見られた。大変だったがその苦労に見合うだけの価値はあったと思うよ。』
下衆野郎が…じゃなくて結論としては彼女は醜い大人によって10年以上も無駄な人生を歩まされたんだ”
つい口から本音が出てしまった。全く教育に悪い。 - 89二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:08:12
サオリ「確かにベアトリーチェに散策利用されてしまった私たちに繋がるものがあるな」
“雛倉先輩は当時のことを話してくれたよ。
『自分が信じてきたものが虚像であり、歩んでいた人生が悪意によって作られた無駄な物だった。私の心は虚しさでいっぱいだった。自分が生きている意味すら見出せなくなっていた』
『自分自身が分からなくなって、迷って悩んであの時の私は絶望と虚しさの中で生きていた』
『そんな私を救ってくれたのが立花先輩だった』
『彼女のおかげで今がある。だから今度は私が後輩の手助けをしたいんだ』
サオリ。君は今、自分探しをしていて分からないこともたくさんあるだろう。でも大丈夫。君にならできるよ。先輩が自分を見つけれたように”
サオリ「……先生。ありがとう」
“業務、再開しようか”
サオリ「そうだな」
サオリなら大丈夫。人生は長いからいつかきっと…。 - 90二次元大好き匿名さん24/10/13(日) 20:09:29
立花先輩はこれに出てきます。事件の黒幕が出てきますが、本来の目的の為の踏み台として事件を起こしています。つまり黒幕にとって彼女たちはどうでもいい存在なのです。
君のその顔が… - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 91二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 22:45:35
乙。っぱ物語系SCPの胸糞感よ…
- 92二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 01:12:16
このレスは削除されています
- 93二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 06:27:50
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- 94二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 17:33:29
- 95二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 17:34:34
- 96二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:39:07
“ユウカ、ノア、これ作ったから活用して”
前から準備していたものをユウカに渡す。ヴェリタスの皆と協力して作ったものだ。
ユウカ「これなんですか?」
“ん?『黒崎コユキの禁止リスト』”
ノア「コユキちゃんの禁止リストですか?どうしてこんなものを?」
“問題児にはコレが一番だからね”
宇宙戦争が始まるかもしれないという状況で、本部からやってきた博士。見た目どう見てもオラウータンだったが、見た目が変な博士は割といる魔境なので特には考えなかった。だが、この男、めっちゃ問題児だった。お陰でミニトマトが怖くなった。
“うちの前職の話はユウカにはしたよね”
ユウカ「はい。いかにも怪しい組織のことですね?」
“その職場の本部からやってきたいわゆる上司の禁止リストを真似してみたんだ”
ノア「その人はコユキちゃんみたいに傍迷惑な人ってことなんですね?」
“いや、コユキの方がマシだった…”
ユウカ「コユキの方がマシだなんてどんな人なんですか?その人」
“コユキ✖️エンジニア部✖️ヴェリタス✖️ゲーム開発部✖️100➖(倫理観➕人間性)=ブライト博士と思っていてほしい。しかも本当に天才だから首にできないという厄介な人だった。
ユウカ「想像するだけで頭が痛くなります」
“その想像を超越しているから常識人には思考を理解できないよ”
ノア「その人はどのようなことをしたのでしょうか?」
“多くのことは語れないけど、覚えている分だけ話すよ”
ブライト博士がやってきた日、職員が皆集まってセミナーが開かれた。その時、私は徹夜で寝てしまっていたせいで目をつけられ、散々な目にあってしまった。二度と会いたくない。
- 97二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:40:30
“まずはブライト博士について語るよ。名前はジャック・ブライト。財団一の問題児という二つ名を持っている、あらゆる意味で理不尽に生き続ける男だよ”
ユウカ「理不尽に」
ノア「生き続ける…ですか?」
“そう。彼を語る上で欠かせないもの。ユウカに『恩人へ繋がる電話機』の話をしたね。この男は『不死身の首飾り』を持っているんだ。
ユウカ「不死身だなんて有り得ない!…と言いたいところですが、電話機の一件があるから一概にはいえないですね」
“プラチナで作られた首飾りで中央には卵型の大きなルビーが、周りにはブリリアントカットのダイヤモンド13個が、星型に飾られている。この首飾りに触れた人型生命体は人格を消去され、代わりにとある人物の人格が乗り移る。その人格こそがブライト博士だ”
ノア「乗り移るだけではなく人格を消すだなんて…」
“そう。意識も記憶もすべて消されてしまう。
更に、接触から30日間は首飾りを取り上げるとその体は機能を停止。それ以上接触を続けると乗り移った人格が完全に定着する。首飾りを取り上げてもその人はもはや別人であり、『彼』のコピーその物になる”
ユウカ「ちょっと待ってください。コユキ✖️エンジニア部✖️ヴェリタス✖️ゲーム開発部✖️100➖(倫理観➕人間性)の人間が増えるんですか!?」
“うん。増える”
私の答えにユウカは頭を抱えてしまった。 - 98二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:43:17
“元々、ブライト博士は人間だった。でも◯されてしまい、近くにあった首飾りに取り込まれて不死身となった”
ユウカ「◯されたのですか!?この人!?」
“色々あってね。今はこの現象から解放されるために研究を続けている”
ノア「なるほど…死にたいのですね。そのために…」
“おそらく。ブライト博士の記憶や意識は別の身体に移っても維持されている。そうでないといくら優秀とはいえ研究が儘ならない。それは同時にその首飾りが存在する限り彼自身も存在し続けるということだ”
“この首飾りは自殺したとある人物の所持品だった。どうやっても傷つけられなかったことで研究者たちが回収、研究をしていた。損傷すら与えられないなら破壊などもってのほかで、入念に封印したとしても遠い未来で何がある分からない。だからこそブライト博士は己を含め、研究に積極的だ”
ユウカ「……私なら到底耐えられない」
ノア「でも、どうして自殺した人を取り込まなかったのでしょうか?」
“ブライト博士自身による推測だが、おそらく『自殺』が原因とされてる。先の人物はきっとこの首飾りの効果を知っていて、発動させる為とはいえ自ら命を絶ち『死ぬのを受け入れてしまった』。対してブライト博士は◯されている。この違いだと考えられている”
“そろそろ本題といこうか。『ブライト博士の禁止リスト』私が知っている限りは288個ある”
ユウカ「多い!!」
“一つ、管理下にある研究対象を使って触手モンスターを作ることは可能ですが許可されません。
パルマー博士が懇切丁寧に頼んできていたとしてもです。”
ユウカ「可能なんですか!?」
“一つ、クレフ博士のショットガンの弾の中身を鳥の餌、紙吹雪、ケーキのトッピング、おがくず、潤滑剤で詰め替えるべきではありません”
ノア「地味に嫌なイラズラですね」
“一つ、ブライト博士が他の職員と"魂"の取引をすることは許可されていません。
たとえあなたが"魂"を大量に持っていたとしてもです”
ユウカ「解放されたがっている割に結構楽しんでますね!」
ノア「何気にブラックジョークですしね…」 - 99二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:44:08
“一つ、「私の双子の悪い方がやったんだ」は、もはや現実的な言い訳とはみなされません。
「私の双子の良い方がやったんだ」と言い換えてもだめです”
ノア「コユキちゃんがやりそうなので今のうちにチェックしときます」
“一つ、突然皆が静まり返ることの意味は「何やってんだこいつ!?」であって、「どうぞ続けてください」ではありません”
ユウカ「本当にこの人何なんですか…」
ノア「私も呆れて言葉が出ません…」
“一つ、『巨大ロボット』という語句を含んだ収容手順の提案は、いかなるものであっても自動的に却下されます”
ユウカ「エンジニア部じゃないですか!」
ノア「気が合いそうですね」
“一つ、ブライト博士が将来の宿主に対して「君は非常に頭がよくなるよ」と伝えることは許可されていません。
ブライト博士が宿主たちを『残機』と呼ぶことは許可されていません”
ユウカ「人を残機呼ばわりしないでください。ゲームじゃないんですよ」
“一つ、全ての職員は、ブライト博士、クレフ博士、コンドラキ博士と新規のまたは継続した接触を図る前に、良いアイディアと独創的なアイディアの違いを学ぶセミナーに参加する必要があります”
ユウカ「どんだけ警戒されてるんですか」
ノア「それにブライト博士と並び連ねられている二人も碌な者ではなさそうですね…」
“このセミナー、寝ちゃったせいで大変な目に会ったよ。もう二度と同じ過ちをしないと決めたね”
ユウカ「先生も何やってるんですか…」
“一つ、ブライト博士は新任の職員たちに、自分の一家に関わる架空のホラーストーリーを語り聞かせてはいけません”
ユウカ「この人にもちゃんと家族がいるんですね」
ノア「どんな教育しているんでしょう」
“一つ、ブライト博士は新任の職員たちに、自分の一家に関わる実際のホラーストーリーを語り聞かせてはいけません”
ユウカ「…実際?」
ノア「家族も何かあるんですかこの人」
“一つ、ブライト博士は、自身や家族についての真面目なビデオを作成するために自身の意識を動画投稿者に移すことは許されません。
それが全て真実である場合は特にです”
ノア「何かがあるのが確定してしまいました…」
“以上で弟妹は研究対象になり、父親は前職トップの一人と実しやかに囁かれる問題児の話は終わり。ご清聴ありがとうございました” - 100二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:45:03
ユウカ「カエルの子はカエルの体現みたいな人ですね」
ノア「聞いている限り現状に不満は無さそうに見えます。だったらどうして死にたがっていると断言しているのですか?」
ユウカ「確かに。確証も無いのに断言するのはおかしいわ。先生、何かあるの?」
ノア「先生。何をもってして死を望んでいると断言しているのですか?」
“……とある研究対象による実験。対象の深層心理の願望を映し出すカメラを使った実験。写真に写っていたのは”
“青い空、遠く広がる草原、真ん中には墓石が一つ。”
“『ジャック・ブライト 漸く憩う』”
“ブライト博士を対象とした実験の結果だ”
その後の話
コユキ「違います。ノア先輩!私がしたんじゃありません!私の双子の悪い方がやったんです!」
ノア「嘘をついてはいけませんよ?コユキちゃん。貴方に兄弟姉妹がいないことはすでに調査済みです」
コユキ「いい作戦だと思ったのに!うぁぁぁんなんでぇぇぇ」
ユウカ「本当に言うとは思いませんでした」 - 101二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 18:45:48
おまけ話
財団にいたころの話
「今回の件も含めてKetelクラスはめんどくさいですね」
“本当にKetelクラスはふざけてるってことだぶぁっ”
お皿からトマトが飛んで顔面に命中する。
“…な、なんだったんだ”気絶
ブライト「あははは!傑作だ!」
先生な今
フウカ「先生、料理ができましたよ『ミニトマトのカプレーゼです』」
“ひっ”
フウカ「どうしましたか?先生」
“こ、このトマト飛んでこないよな?”
フウカ「トマトが飛ぶわけ無いじゃ無いですか」
“そ、そうだよね…あはは…”
先生がトマト恐怖症概念
不死身の首飾りについての記事
SCP-963 - SCP財団scp-jp.wikidot.comブライト博士の禁止リスト
ブライト博士の禁止リスト - SCP財団scp-jp.wikidot.comカメラについての記事
SCP-978 - SCP財団scp-jp.wikidot.comトマトについての記事
SCP-504 - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 102二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 18:51:40
ブライトのバカヤロー!
- 103二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 19:46:23
- 104二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 22:58:36
- 105二次元大好き匿名さん24/10/14(月) 23:03:51
- 106二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 06:11:10
ほしゅ
- 107二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 16:27:00
ほしゅ
- 108二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 16:33:19
ほ
- 109二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:02:31
ツルギに関しては無事に書けました。私の解釈がありますので注意ください。もう少し待ってね。
新しい概念その1
原点回帰。クロコが先生と関わる中でプレ先生の話(消防士さん視点から見る妖精さんと電話)を思い出す話を思いついた。
>>103すまん。長くなる以上、アンパンマンだけになる。これに関しては別にスレを立てたいものだ。皆の正義感を作った存在を後輩ちゃんに教えたいね。
- 110二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:23:52
ツルギはキヴォトスに来て初めての趣味仲間だ。私達は恋愛小説や漫画を趣味としてよく読んでいる。
ツルギ「せ、先生。き、今日交換する本、も、持ってきました」
“ありがとうツルギ”
気に入った本を交換して読み合う交流をしていて、よくツルギはやってきてくれる。
“はい、これが私のオススメだよ”
ツルギの本を受け取った私は代わりに私のオススメを差し出す。
ツルギ「あ、ありがとうございます」
ツルギは顔を赤らめた。
ツルギ「先生」
“どうしたの?”
ツルギ「先生は、その…えっと…決まった恋愛ジャンルしか読んでないですよね。ぜ、前回のは『記憶喪失の恋人が思い出すまで待ち続ける恋愛小説』でしたし、前々回もその…『遠距離恋愛の小説』でした。そ、その…どうしてで、しょうか…」
“あー…意識してなかったけど考えてみればそうだね”
考えてみれば私は待ち続ける恋愛ものを好んで読んでいる。それは佐々木先輩の影響なのだろう。
“ツルギ。少し恋話をしようか”
ツルギ「こ、コイバナ…恋話!?えっと、その、あの…ぎゃあああああ〜〜!」
“ちょっ、ツルギ落ち着いて!”
嬉しさか恥ずかしさか、声を荒げたツルギをどうにか落ち着かせた。
ツルギ「せ、先生…すみません…」
“大丈夫。気にしてない。それよりもとある先輩の恋の話をしよう。恋愛ものが好きな君なら気に入ってくれると思う。私には佐々木という名前の先輩がいる。彼は妻がいてね。その二人のお話だ” - 111二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:24:23
“中学を卒業する子供たちの卒業式が行われた日。佐々木先輩は、一枚のラブレターを好きな人の下駄箱に入れました。春から違う高校に通ってしまうのでその前に思いだけを伝えようと好きた人が来るまで校門でまちつづけていました。”
ツルギ「せ、青春だ。ほ…本当に小説みたいな恋愛をしてる…」
ツルギの顔からは楽しみなのが分かる笑顔をしていた。怖いけど。
“ですが、その青春は一つの境界によって引き裂かれてしまいました。佐々木先輩の目の前に境界の膜が現れ、学校全体を覆ってしまいました”
“慌てて境界に入ろうとした佐々木先輩でしたが、入ることができませんでした。どうにかしようと境界を触っていると、不可解な点に気がついたのです”
ツルギ「ふ、不可解な点?そ、それは一体…」
“佐々木先輩は驚きました。なぜならば幕の中にいるあらゆるものが止まっていたからです”
ツルギ「と、止まっていた?じ、時間停止?先生…これは一体」
“この異常な事態に私の前職の組織が解明に取り組みました。そして、境界内の時間が恐ろしいほどにゆっくりになっていることが分かりました。内部で一番近い人間が境界に触れるのに200年かかる程に”
ツルギ「そ、そんな、に…200年!?それじゃあ、先生の先輩は告白なんてできない…」
“先輩は故郷で待ち続けた。ずっとずっと…気づけば30年経っていた” - 112二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:25:46
“ある日。前職の研究者が異常が無いか確認しにやってきた。案内役として佐々木先輩を同行させた。その状況を先輩と記録の録音を交えて話そうか。
研究者「佐々木さんはいつもこんな坂を登っているのですか?」
録音は、研究者の言葉から始まった。
佐々木「いえ、私も学校まで足を運ぶのは5年ぶりです、仕事が忙しくなりまして…固定カメラでの記録は今も継続していますし、前任はそれでも良いとのことでしたが定期報告の頻度を増やしますか?」
研究者「一応、現状を確認してから判断しましょうか………何か不満でも?」
佐々木先輩の表情がそう見えたのか、研究者は少し不貞腐れた声で聞きました。
佐々木氏「いえ、ただ今までの人達も似たようなことを言っていたもので。頻度を増やしてもすぐに減らすように指示がありその担当者は長くて3年で他の研究所に移動していってしまいましたから」
研究者「それはなぜです?」
佐々木「無駄だからですよ、あの空間には変化が無いんです」
研究者の問いに佐々木先輩は諦めの声色で答えた。
研究者「無駄?いや、前任の残した資料では時間の遅延であると書いてありました。対象達は動いているのでしょう?」
佐々木「1年で数センチの移動を変化と言えるんですかね?貴方達だって時間がゆっくり進むようになっただけの学校より、他のものを研究したいはずです。前の博士が言っていました。もっと刺激的な物を研究したいと私だって同じ選択をするはずです」
研究者「我々が他の研究を優先したからと言いたいのですか?」
佐々木「別にそこまでは言ってませんし、責めてるつもりもありません。ただ、僕は夢を見ていたんです。科学は人を幸せにするのだと。ですが、実際には今を維持するのに精一杯なのだと、未来を夢見ることも難しいのだと知ってしまったんです」
研究者「この一件を研究することで危険な物品の進行を抑えることができるようになるかもしれません」
佐々木「その研究ができないんですよ。境界の中には入れない。変化は無いから観察も無駄。恐らく変化があるであろう境界と中の学生の接触だって200年は先なんです。そもそも変化があるってのも予想でしかない。境界と接触することで境界は消滅するのか。境界の範囲が広がるのか。少なくとも、今この瞬間に出来ることなんて何もないんです」
研究者は彼の言葉に沈黙した。 - 113二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:26:26
佐々木「中の人達はね、みんなが時間に取り残された30年の間に何が起こったのかを知らないんです。生徒会長の妹さんは今度孫が生まれるそうですよ。
研究者「え?」
佐々木「3組の藤田さんは甥っ子が海外で個展を開くようなカメラマンになりましたし、新婚だった古文の水嶋先生の旦那さんは再婚して幸せな家庭を築きました。出入り業者の宮永さんは津波で実家を無くしています。校長先生の奥さんは最期まで校長先生が出てくることを願っていました」
30年の月日の現実に研究者は何も話せなくなってしまいました。
佐々木「それを、みんな知らないんです。それを知らずにあの日の真っ只中にいるんです。それをみんなが知るのは数百年先なんです。僕らに出来ることなんて何もなくて、ただ、楽しそうにしてるみんなを外から見てるしかないんです。みんなそれが辛くて街を離れていきました。今も活動してる人なんてほとんどいませんよ」
研究者「…貴方は他の現地協力者と違い家族が巻き込まれた訳ではない、クラスメイトが巻き込まれただけだ、ならば、なぜ貴方はこの街に留まっているのですか?」
研究者にとってそれは知りたいことだった。どうしようもない状況で、皆が絶望する中でなぜ彼はここにいるのかと。
佐々木「きっと笑います」
研究者「笑いません」
佐々木「……ラブレター、ラブレターを出したんです、同じクラスの委員長に。昔は今みたいな携帯端末も当時はありませんでしたから、文房具屋で買ったレターセットに中学生の拙い文章で一生懸命書きました。委員長は今も下駄箱で私の書いたラブレターを読んでいるんですよ。30年もかけてね」
佐々木「別に委員長に告白の答えを求めている訳じゃない。ただ、一目見たいんです。願わくば、出てきた彼女を助けたい。40を過ぎたおっさんが、中学生の女の子を想って、科学者になる夢を諦めて、やりたくもない仕事をしながらこの寂れた街で老いて死んでいく。…気持ち悪いでしょう?」
「そんなことはありません。貴重なご意見です」
佐々木先輩の自虐とも言える言葉に真正面を向いて返しました。 - 114二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:27:02
佐々木「……そろそろ見えてきますよ。外に出ている2人が橋本さんと平手さんで、他の人は校舎の中に…」
研究者「…3人いませんか?」
境界内の情報を話し始めた佐々木先輩。しかし、研究者の気づきによって発された言葉によって止まってしまう。
佐々木「そんな、どうして…」
研究者「報告では校舎外にいるのは2名だけのはずです。後の1人は誰ですか!!」
研究者の質問に佐々木先輩は答えました。
佐々木「…どうして…委員長です、さっき話した、まだ下駄箱にいるはずなのに」
研究者は彼女が持っているものに気づきました。
研究者「あれは手に何か持って…手紙?」
そう。彼女が持っていたのは手紙でした。
佐々木「…読み終えたのか? いや、それにしてもなんで外に出ているのか…」
佐々木先輩の質問に研究者が答えました。
研究者「…走ってるんですよ」
佐々木「え?」
研究者「あの体の傾け方、手の角度、間違いありません。境界の中の時間は一定です。ならば、他の人より速く動いているとしか考えられません」
佐々木「だとしても、急に走り出した理由なんて…」
研究者「顔を見ればわかります。貴方に伝えたい事があるんですよ。手紙の返事を伝えたくて、思わず走り出してしまった。30年前の貴方の手紙が彼女を走らせ境界への接触を早めた。貴方は結果的に境界内の全ての人の時間を進めたんです。
佐々木「…そんな…今更…30年だぞ!!私は今まで何を…あの笑顔に応えられるものか!! 彼女は生きている、それなのに!!時間を止めていたのは…俺の方じゃないか!!」
これで記録は終了だ。
中の生徒は20年以内に境界線にたどり着くと考えられているよ” - 115二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:27:39
ツルギ「あああああ〜〜!!」
ツルギは声を上げながら大号泣していた。
“よしよし”
ツルギを落ち着かせるために頭を撫で続ける。すると、ツルギが質問をしてきた。
ツルギ「ひぐっ…それでそのあとどうなったんですか?」
“その後は、空間内にいた猫が飛び出し茂みの葉が境界線に接触したことで境界が消失したよ。中にいた生徒たちは保護され社会復帰プログラムを受講させることになったんだ”
ツルギ「それはよかったです」
“最後にそのプログラムの説明会のある挨拶を紹介させてくれ”
ツルギ「ぐすっ、?ある挨拶?」
“「今は混乱していることだろう、だが、私達はただただ嬉しいのだ、何よりも、同じ時間を共有できることが」
「貴方達が下校している間に世界はとても便利になった、全部教える、何が起こってしまったのか、少しずつ、一緒に前に進もう、ただ、まずはこれだけ言わせてほしい」
「ようこそ未来へ 」
佐々木研究員補佐の言葉より抜粋”
“どうたい?良い話だろう”
ツルギ「ひぐっぐず…ばい。とてもいい話でじた。ありがとうございました」
“ツルギ。私がなぜ誰かを想い待ち続ける恋愛ものを好むのか。それはね、実際に知っているからなんだ。人を想う心は時空を越え、未来さえ変えることができるということを”
ツルギ「ああああああ〜〜!!」 - 116二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:35:55
- 117二次元大好き匿名さん24/10/15(火) 18:48:29
- 118二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 00:05:12
よろしくおねがいします…
- 119二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 01:02:10
- 120二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 01:11:55
そして、彼の同僚を考えました!
かの佐久間エージェントです。新入りの時からの同期で親友。苦楽を共にした存在です。
挫けそうになった時は彼を思い出して奮起するのです。終わらない英雄譚を紡いでいる友に恥じないように。
恩人、先輩、同僚…人に恵まれていますね。倫理観がおかしくならなかったのは間違いなく彼らのお陰です。
終わらない英雄譚
SCP-268-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comtale
駄作の一章、祈りの一頁 - SCP財団scp-jp.wikidot.com英雄などではない、ただの財団エージェントの収容報告書 - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 121二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 01:13:36
アッ…推しオブジェクト…
- 122二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 06:31:19
保守
- 123二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 17:27:49
ほ
- 124二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:40:20
私はイチカのモモトークで連絡を受け、シャーレ近くの公園で待ち合わせていた。
イチカ「お待たせしたっす。先生」
5分も経たないうちにイチカがやってきた。隣には同じ正義実現委員会の子がいるみたいだ。
“前世待ってないよ。はい、これ”
私は先ほど買った缶ジュースを二人に渡した。まさかイチカ以外の子もいるとは思っていなかったので自分の分も渡した。
“それで?相談ってなに?”
イチカ「それっすね。実は相談があるのは私じゃなくって後輩なんっす」
“後輩?じゃあこの子が…”
私は隣の子を見た。
後輩「わ、私はイチカ先輩の後輩の正実モブコと言います。えっと、イチカ先輩が先生なら分かるかもって…」
少し緊張しながら後輩ちゃんは自己紹介をしてくれた。
“それで質問って?”
後輩「先生は正しいって正義ってなんだと思いますか?」
“どうしてそんな質問を?”
後輩「その…分からなくなったんです。私は漠然とした正義感でこの組織に入りました。だから、ゲヘナは悪!って考えがあったんです」
後輩「だけどエデン条約で私の中の何かが壊れました。ゲヘナは野蛮だって言ってたのに、空崎ヒナは先生を守っていました。アリウスの生徒たちは悪い大人に利用されて苦しんでました。ミカ様はアリウスの皆と仲良くなりたいと言っていました」
後輩「どれも正しいはずなのにトリニティのゲヘナ嫌いは変わらず、アリウスは指名手配。挙げ句の果てにはミカ様を魔女呼ばわりです」
後輩「分かりません。正しさってなんですか?正義って何ですか?」
後輩ちゃんの心の叫びが聞こえてきそうだ。流石は正義実現を掲げてる組織の人間だ。こんな相談をしてくるとは。
イチカ「それで先生。相談に乗ってくれるっすか?」
“そりゃ勿論。そうだね。私が好きなキャラクターを元に正義とはを語ろうか”
“故郷ではーーー
ーーー今回上げた四人以外にも故郷には沢山の『正義』を持つキャラクターは沢山いるんだ”
イチカ「皆、かなり濃い人生っすね。正義って結構、深いっす」
後輩「…先生はどうなんですか?」
“ん?私かい?”
後輩「そうです。先生の正義を知りたいです。学園を救ってきた先生なりの正義のあり方を教えてほしいです」
“そうか。なら話そうか。私の正義が固まった話を” - 125二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:41:18
“私の故郷で連続殺人事件が発生した。三ヶ月に8人も殺された事件です。その犯人として一人の少女が捕まりました。ちょうど君たちくらいの年齢かな”
イチカ「いきなり重い話っすね。しかもそんな短期間で8人もとは恐ろしい犯人っす」
後輩「そんな凶悪犯は罪を償わせないといけません」
“現場に落ちていた凶器は成分分析ができない未知のものだった。そして私の前職の研究者たちはその凶器を調べるために彼女を死亡扱いにし、研究所へ連れて帰った。
イチカ「何気に誘拐っすね」
“…否定はしない。研究者たちは最初に彼女にインタビューすることにした。彼女はインタビューでこう語った。
『10年前、まだ私が小学生だった頃、私の両親は強盗に殺されました。私は自身の無力を嘆き、同時に悪への強い怒りを覚えたのです。その時から私には悪を断罪する正義の心を剣に変える力が目覚めました。剣道を学び、刀の扱いに自信を持てた時、私は断罪を始めました』
そう答えた。だから人を殺したのか?研究者はそう問います。その答えは…
『人ではありません。悪です。あれらは人でなしの悪なのです』
そう断言しました。警察に通報すれば良かったのでは?という問いにも… 『それでは意味がありません。たとえ警察が捕まえても、あれらは数年で野に放たれます。悪を野放しにすれば、あれらは新たに罪を重ねることでしょう。故に、私は白銀の剣を振るい、悪を断罪し続けたのです』
研究者はさらに質問します。貴女が殺した被害者の中には万引きをしただけの中学生もいました。彼らは殺すに値する罪を犯したと思いますか?
『罪は罪です。それを裁くのが正義の味方である私の使命。…悪に大きいも小さいも無いのです。罪は罪。小さな種は悪意を浴びて成長し、いずれは悪の花を咲かせることになります。そうなる前に芽を摘んだ。それだけのことです』
そう口にしたのです”
イチカ「いくら何でもやりすぎっす。これじゃ正義とは呼べないっすよ…」
後輩「まるで正義に盲目になっているみたいです…」 - 126二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:42:31
“そうかもしれないね。そんな回答の中、研究者は疑問点があった。それは…彼女が最後に殺した男の子のことです。貴女の幼馴染みの彼は品行方正、剣道部の主将を務め、次期生徒会長に推薦されるほど周りから信頼されていました。夜は自主的なパトロールをして連続殺人鬼を止めようとしており、警察官を目指すほどの正義感にあふれ、聞き取り調査をした全員が彼を正義の味方と言っていた男の子でした”
イチカ「完璧超人って感じがするっす。どう考えても殺されるような犯罪なんて起こしそうにないっすよ?」
後輩「それに皆に正義の味方と言われるほどの人物です。そんなことしないと思います」 “研究者は彼について質問しました。すると、彼の話題になった瞬間、彼女の言動に変化が見られました。 『え、あ、そう…ですね。マサくん…あ、違っ、か、彼は、その…純粋な人でした。世の中がどれだけ悪意に満ちているかも知らない、真っ直ぐな人。彼は私にお守りをくれました。いつか、悪い人をみんなやっつけて、私が安心して笑えるように、正義の味方になるんだって。その約束の証なんだって。とても嬉しかった。…だから、私も正義の味方になると決意したのです。彼に頼るのではなく、私が自分の意思で悪を裁こうと。絶望の淵にいた私に手を差し伸べてくれた優しい人のいる世界を守るため、正義の味方になるのだと。彼ならば私と共に正義を成せるパートナーになれるはずだった』 『彼は私の断罪を知って…止めようとしたのです。あまつさえ、警察に自首をさせようと語りかけてきました。まるで私が悪かのように言ってきたのです。許せませんでした。彼は私と同じ正義を掲げてはいなかった。…ただ、ただそれだけです』”
後輩「つまり彼は返り討ちに会ってしまったってことですか?」
イチカ「違う正義を掲げていた…っすか。少しきついっすね」 - 127二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 18:44:42
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- 128二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 18:45:30
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- 129二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:49:28
“彼女は幼馴染について聞いてきました。
『マサくん…彼はどうなったのか知りたいんです』
それは彼を気遣った言葉でした。…貴女が殺したんですよ?と研究者が問いました。その言葉には殺した人をなぜ気にするのかという意図がありました。
『はい、それは理解しています。彼は死んだ後、人々からどう思われているのでしょうか? 彼の正義の稚拙さは報道されましたか? 私の正義こそが正しいと証明されましたか? 私は…正義の味方になれましたか?』
その言葉に呆れるように研究者は答えました。…連続殺人鬼と相討ちになった勇気ある少年、と新聞の見出しにありましたね。
『…そうですか。彼は…正義の味方になれたのですね。それは…なんとも妬ましいことですね』”
イチカ「こいつ全然反省してないっすよ!!」
後輩「少なくとも彼女の方が稚拙だと思います!」
二人の大声が公園に響いた。
“研究者たちは彼女を調査するために幼馴染の母親にもインタビューを試みた。彼女はこの一件で心を病み、カウンセリングを受けているみたいだ”
イチカ「流石に誰でも心を病むんじゃないっすか?この状況…」
“記録か彼女が話したことを言うよ。
『あの子はね、とっても良い子だったわ。家に来るときはいつも手作りのお菓子を持ってきてくれてね、とっても美味しいの。あれは亡くなったお母さまに似たんだと思うわ』
『彼女が犯人よね。でもね、それでも彼女は優しくて良い子なの。本当に良い子なのよ?』
『ああ、ごめんなさい。彼女ね、ご両親のお葬式の時…泣かなかったの。口をぎゅっと閉じて、くりくりっとした目で2つの棺をじっと見つめてたわ』
『私も気になったから、葬儀の後で聞いてみたの。そうしたらね、うちの息子が心配するから私は泣くわけにはいかないんだって、そう言ったの』
『まだ小学校上がりたての女の子が、私の息子を気遣って自分を押し殺してたの。自分がどれだけ傷付くことになろうと、他人のために気遣える優しい女の子。彼女ね、嘘をつく時どうしても仰々しい話し方になるのよ。嘘をつける自分を演じてるの。そんな可愛くて良い子なのよ。気が付いたら私は彼女を抱き締めて泣いてたわ。なんて愛しいのだろうって。ヨシくんも彼女のそんなところにコロッとやられちゃったんでしょうね』 - 130二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:51:29
『ヨシくんはうちの子のこと。名前の下の方からとってヨシくん。それでね、ヨシくんはどんな悪者もやっつけられるくらい強くなって、君を守る正義の味方になるんだって言ってたわ。まだ自分は弱いから、もしもの時はこのお守りを使ってくれって、アルミホイル丸めたみたいな銀色のおもちゃの剣を渡したりしてね。そこで彼女も堪えきれなくなったみたいで、ようやく顔をくしゃくしゃにして泣いてくれたの。それからは私もヨシくんも施設に行った彼女を気にかけて、一緒に色んな所へ行ったわ。離婚することになって旦那も出ていったばっかりで、私達も寂しかったしね。1年もしない内に彼女も私にワガママを言ってくるくらい打ち解けてくれたの。もう娘も同然だったわ。それにね、彼女、今でもお守りを大切に持ってるのよ。健気でしょう?』
『彼女は罪を犯したわ。でもね、それは優しいからこその罪だと思うの。普段から他人を気遣う彼女だからヨシくんのことに気付いたし、自分よりもヨシくんを気遣うような彼女だからこそ犯せた罪』
『母親である私は気付くことすらできなかった。だから…』
『 あの子は正義の味方でも何でもないの。あの子はヨシくんの…』
徘徊をし始めたのでここで鎮静剤を打ち、インタビューを終了させたみたいだ”
イチカ「なんかイメージと違うっすね」
後輩「それに何か意味深ですね。母親が気づいている何かを見落としている気がします…」
“そうだね。この違和感。研究者たちはその違和感を拭えず調べ続けたのです。そして真実に辿り着いた”
イチカ「真実っすか?」 - 131二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:53:06
“その日のインタビューでの会話は普段とは違っていた。
研究者「はじめまして」
少女「はじめまして。私を開放してくれる気にでもなったのでしょうか? ならば早く開放してください。 私は正義の味方として断罪の行使をしなければいけないので」
研究者「はい。いくつかの制約はありますが、貴女は開放されます」
少女「え?」
研究者「どうしました? 貴女が望んだ事ですよ?」 少女「…今まで私を監禁しておいて急にさようならなんて。どんな心境の変化なのでしょう」
研究者「まるで外に出たくないような反応ですね」
少女「何が言いたいのですか?」
研究者「冴島 亮子さん。貴女はやりとげたのです」
冴島少女「…やりとげた?」
研究者「貴女が連続殺人犯と疑われた理由は犯行時刻に何度も夜間外出をしていたという当時入居していた施設の職員の証言だけです。それを裏付ける証拠として現場で採取された貴女の指紋と毛髪、緊急搬送後に行われた家宅捜索で押収された血液の付着した衣類、そして事件の詳細が書かれた貴女の日記があったからです」
冴島少女「ええ、私が正義を行使したその証しですね」
研究者「洗濯はしなかったんですか?」
冴島少女「…洗濯?」
研究者「押収した衣類からは全ての被害者の血液が検出されました。こんな決定的な証拠、さっさと処分するなり何度も洗濯するなりしてDNA採取を難しくすればよかったのに。そもそも、◯害時は毎回同じ服を着ていたのですか? 大量の血液が染み込んだ服を洗わずに着続けるのは心身ともに衛生上よろしくありません。貴女も年頃の女の子です。よく耐えられましたね」
冴島少女「…ええ。正義を執行するに相応しき聖なる鎧です。闇夜に紛れて悪を斬り裂く。正義の味方には決まったコスチュームがあるものでしょう? それに洗濯しなかったのは勲章です。どれだけ断罪したのか証しとして刻んだまでのこと。正義の味方の証しを洗い流すなど言語道断でしょう」 - 132二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:53:56
研究者「ならば、何故あの日は着ていなかったのですか?」
研究者「…何を言っているのかわかりません」
冴島少女「最後の事件の時、何故そのコスチュームを着ていなかったのですか?」
冴島少女「それは…」
研究者「報告書には衣類…正確には黒のジャージだそうですが、それは部屋から押収されたとあります。つまり、貴女は最後の事件の日、その聖なる鎧とやらを着ていなかったことになります。それは何故です?」 冴島少女「…気分ではなかったので」
研究者「…聖なる鎧。確かに貴女にとっては聖なる鎧でしょう。貴女が連続殺人犯であるためには最も重要な物的証拠です。洗濯して血液が採取できなくなれば証拠としての価値が下がるかもしれない。事件発覚後、確実に警察に調べてもらう必要がある。だからこそ、最後の事件の時には着て行けなかった。今まで付着させてきた被害者の血液よりも大量に出るであろう自身の血液で鑑定をやりづらくするわけにはいかなかったから」
冴島少女「なぜ私が血を流す前提の話になっているんです? からかっているのなら今日はお引き取りください」 - 133二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 18:56:31
研究者「我々が出した結論を言いましょう。貴女は連続殺人犯でもなければ刀を生み出せる超能力者でもない、ただの一般人なんです」
冴島少女「…何を言うかと思えば、私の正義を否定するのですか? 確かに私は正義の刃を出現させることはできなくなりました。それでも、悪を憎むこの心の叫びは間違いなく私だけのものです」
研究者「違います」
冴島少女「違わない!」
研究者「…貴女は最初から特異性を持っていなかった。刀を生み出し、それで連続殺人を行っていたのは…」
冴島少女「やめなさい…やめて!」
研究者「貴女が唯一◯害した杉村という青年だった。そうですね」”
イチカ「は?」
後輩「え…殺したのは一人だけ?」
イチカ「先生…どういうことっすか…?」
“続いて研究者は語り出す。この事件の真実を。
研究者「逆だったんです。杉村青年は地元の警察からも信頼されていて自主的な夜間パトロールをしていても疑われなかった。見付かったとしても軽い注意くらいだったのではないでしょうか。咎められても剣道部だから自衛できるとでも言って切り抜けたこともあったのかもしれません。でも、貴女だけは違った。貴女だけは杉村青年の行動の違和感にいち早く気付き、彼を尾行した」
冴島少女「…違います。私が正義の味方です」
研究者「そこで貴女は杉村青年の凶行を目撃し、彼が去った後に自分に警察の疑いの目が向くように自分が現場にいた証拠として指紋と毛髪を残し、自分が着ていた服に被害者の血を付着させ、殺している様子を克明に日記に書き残した。彼を守るため、代わりに自分が警察に逮捕されるように」
冴島少女「…違います」
研究者「しかし、彼は犯行を重ねていった。貴女でもどこまで罪を被ることができるかわからない。そもそも、自分が逮捕された後に彼が犯行を続ければ計画は破綻してしまう。だからこそ、貴女は心中覚悟で彼を殺した。自分が生き残れば自分の犯行だと供述し、例え相討ちでも彼を正義のために凶刃に散った英雄に見せるだけの準備を万全にした。貴女の捨て身の献身が彼を正義の味方として英雄視させているんです」
冴島少女「 …彼は…いえ、私が正義の味方です。揺らぐことのない正義が私の中にある」 - 134二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 19:00:06
研究者「裏付け調査を行いました。現場付近の監視カメラに彼と被害者が路地裏に入って行く場面と、その後ろをついて歩く貴女の姿が撮影されていることが確認されました」
冴島少女「あ…あ、ああ! 違、違う! 私が殺しました! マサくんは関係ない! 私が殺したんです!」
研究者「落ち着いてください。…冴島さん。私は最初にやりとげたと言いました。貴女がこの施設に来てから3ヶ月が経とうとしています。警察とは違う組織、それも想像の範疇を越えた我々という存在に貴女も慌てたことでしょう。ですが、貴女はそれすらも利用した。我々は貴女を一刻も早く安全に収容するために死亡したと報道するように各所に通達した。通達してしまった。貴女の死亡届は受理されてしまった。死んだはずの貴女をそのまま解放すれば我々の存在が公になるリスクがある。少なくとも警察やマスコミ、戸籍を改竄できるだけの権力を持つ存在がいると一般人に感付かれてしまうかもしれない。だから、我々は全力で貴女を連続殺人犯として死なせておかなければいけないんです」
研究者はそう断言した。一般人が真実を知ることはない。とも”
イチカ「つまり犯人は彼女の幼馴染の男の子だったってことっすよね。誰も、一人の男の名誉を守るために自分の命まで含めた全てを擲って世間にケンカを売るなんて予想つかないっすよ?」
後輩「これが彼女の献身なんでしょうか…」
“いや、彼女はそれを否定してる。私は独善的な人間だと。いくら仲がいいからと人殺しそうだからといって尾行などしない。と”
後輩「では一体何故?」
“彼女が語ったことだ。
『最初は偶然でした。偶然、両親を殺した強盗の犯人を見つけて、マサくんが尾行しようって言って、人気の無いところでマサくんが刀を出して犯人の脚を斬りつけて動けなくしたんです。マサくんの超能力は昔から知っていましたし、そこは驚かなかったんですがあまりの速さに状況を理解する前にマサくんが聞いてきたんです。…どうする? って』
『それで私、言っちゃったんです。…殺してほしいって』 - 135二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 19:00:49
『マサくんはそれはもう惨たらしく殺してくれました。本当は止めるべきだったんです。止めて警察に付き出して、脚の傷は適当な嘘をついて、犯人には刑務所で罪を償ってもらって…無理でした。私の気持ちに嘘はつけませんでした。両親の仇が形を失って血と肉の塊になっていくのを見て、ありがとうと言いました。マサくんに殺してくれてありがとう。悪い人を倒したマサくんは正義の味方だねと言いました。それからマサくんは私に人を殺す様を見せるために夜のデートに誘ってきました。自分がどれだけ強くなったかを見てほしい。子供の時の約束を守るために、正義の味方になった自分を見てほしいと』
『私にはこうするしかなかった。私がマサくんを壊してしまったから、その責任をとらなければいけない。道を外れた彼を止めるには…マサくんを守るために…』
『あの日、ジャージを着ていかなかったのは別に証拠がどうとか考えていませんでした。ただ、血に塗れた服を着たくなかったんです。マサくんに最期に見せる私は綺麗なものにしたかった。私はただの自分勝手な女です。だからマサくんも私を殺してくれなかったんです。私がお守りでマサくんに斬りかかった時も、マサくんは反射的に斬り返してきて、私の左腕に刺さった瞬間にマサくんは私だって気付いて、手を止めて…私に…ごめんって…。私はマサくんに守られ続けた…最低の女です。私がマサくんみたいな正義の味方になれるはずが…マサくんと一緒にいられる、こと、なんてあるわけ…』
彼女も含め、杉村青年も正義の味方なんかじゃなかった。彼は最初から最後まで冴島 亮子の味方で、彼女は杉村青年の味方だったんだ” - 136二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 19:02:01
後輩「ありがとうございました。勉強になりました」
“待ってくれ。まだ続きがある”
帰ろうとした二人を慌てて引き止める。
イチカ「もう終わりじゃないんすか?」
“もう少し付き合ってくれ。まだ私の話をしていないよ?”
イチカ「そういえばそうっすね」
“私も…同じように正しさが分からなくなってしまったことがある”
新人の頃の忘れられない記憶。破裂音、硝煙の匂い、鮮やかな赤…手に残る引金の感覚。
“仕方がなかった。しょうがなかった。やらなきゃいけなかった…”
そうしなければ多くの無辜の人が犠牲になる。
“そして分からなくなったんだ…そんな時、先輩が話しかけてくれたんだ”
思い出す。あの日のことを。
杉村先輩「悩んでいるね」
“先輩ですか”
あの日以降、私は悩み続けていた。どうすれば良かったのか分からなかった。
杉村先輩「私は…人を殺したことがある」
“エージェントなら当然では?”
杉村先輩「いや、エージェントになる前だ」
“えっ?”
杉村先輩「好きな人を殺した。必要だと思ったから。正しいと思ったから。その結果、あの私は死んでエージェント杉村という残骸が残った」
杉村先輩「人を殺すことは間違っているのか、正しいのか。そう聞いたらほとんどの人は確かに、間違っていると答える。けれど、この組織では──人を、殺すこともある。そして、私たちはそれを容認している。それはきっと、間違っていると考える人も、沢山いるだろう。けれどそれでも、私たちは、これからも活動しなければならない」
「私もね、同じように悩んでいた時、言われた言葉がある。それはーーー」”
“大事なのは、その行為について考えて、話して、未来に繋げること。自分は間違っていたのか、もっと他に方法があったんじゃないか。自分だけじゃなくていろんな人と悩んで、次は、より良いと思えるようにする。出来ることは、それだけだ”
“杉村先輩…いや、冴島 亮子先輩が私に教えてくれたことだ。私は一人で抱え込むのではなく、共に考えること。共に歩むこと。それを教えてくれた。そしてそれこそが、私にとっての正義になったんだ” - 137二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 19:02:51
イチカ「…先生がいろんな生徒たちと協力し合っている理由が分かった気がするっす」
後輩「…先生。私、まだ正義ってものがわかりません」
“そうか。それは残念だな”
後輩「だから自分で見つけていきたいと思います。色んな人と関わって、協力して、自分なりの正義を持ちたいと思います」
“そう言ってくれるだけでも話した甲斐があったね”
その後
イチカ「最近あの子噂になってるっすよ」
“噂?”
イチカ「そうっす。ゲヘナに行って空崎ヒナに会いに行ったり、その足でミカ様に会いに行った他、アリウス生にも会いに行ったみたいっす」
“行動力!!”
イチカ「その代わり、みんな悪くないのにどうしてエデン条約であんなことになったの〜って悩んでたっす」
“……難しい問題だけど頑張って解こうとしてるんだ…今度、他のキャラクターを紹介しようかな” - 138二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 22:33:54
とある一幕。
黒服「クックック…お待ちしてましたよ…先生」
生徒A「先生!助けてください!」
“……擬態しなくていいぞ”
黒服「擬態?何の話でsy…」
“生徒たちのヘイローの上に突然と現れたSCiPの力を神秘化している財団のロゴマークのヘイロー…通称財団ヘイローが現れ、キヴォトス中が混乱したこの一件。私の財団ヘイローが財団そのものの神秘化であったことから、生徒たちが持っている財団ヘイローに触れることで回収することができていた”
“全ての財団ヘイローを回収したが、一つだけ見つからなかったSCiPがあった。それが生徒A、君の財団ヘイローだ。生徒A…いや、ジャック・ブライトと言った方がいいか?”
ブライト「おやおや、気づかれてしまったかね。そうだとも。改めて名乗ろう。私の名はジャック・ブライト。財団の研究者の一人さ。君は私を知っているようだね」
“かなり世話になったさ。それで今回の一件。ゲマトリアと協力し、財団ヘイローを生徒たちに与えたのは君だね”
ブライト「そうだとも!どうしてだと思う?聞きたいかい?」
黒服「クックック…ブライト博士。ここは私が説明を。先生、あの日、色彩の一件でこの世界にSCiPの概念がやってきてしまいました。このままではこの世界にSCiPが実体化するのは必然……このままではキヴォトスが滅びてしまう。我々はキヴォトスの神秘を研究する者。研究対象が無くなってしまうのは惜しい。そこで出会ったのが…」
ブライト「私だ。私は黒服と協力し、SCiPの概念を神秘化し、ヘイローに封印する策を思いついた。この計画はいわばMKクラスシナリオに近い。SCiPという存在を空想のものにすることで実体化する可能性を無くすのだ」
黒服「ええ。この計画のおかげでSCiPが実体化する可能性は無くなりました。成功です」 - 139二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 22:34:13
“理由は理解できた。だが、生徒たちを利用したのはなぜだ?”
黒服「利用したのではありません。せざる終えなかったのです。ヘイローは彼女たち特有のもの。彼女達生徒以外ではヘイローを与えることは不可能だった」
ブライト「それにだ。生徒達が困っているなら君は助けるらしいじゃないか。君を利用させてもらったよ」
“私を?”
ブライト「ヘイローに封印したSCiPだが、何らかの形で生徒が死亡した場合、実体化してしまう可能性が高い!そこで考えた。財団のそのもののヘイローを作ろうと」
黒服「さすがの私も驚きました…まさかこのような方法があるとは。そして先生、あなたが財団のエージェントだったことも」
ブライト「この計画の本当の核。それは君だよ先生。この計画は先生、君をSCP財団そのものにすることだったんだ」
“私を?”
ブライト「そのために君にそのヘイローを授けた」
“どうしてだ?黒服たちゲマトリアはともかくブライト博士、あなたにメリットなど…”
ブライト「メリット?ハハハハ!!君は私がどこの所属なのか忘れたのかね。私は財団として当然のことをしたまでだ。この世界にSCiPが溢れることは私達の世界も脅威になる可能性が高い。財団の一人である以上、人類の存続は絶対だ」
“……なるほど”
ブライト「さて、そろそろです。私を収容しなさい。先生」
“!それは…”
ブライト「安心するといい。私は彼女を乗っ取っているわけではない。彼女のヘイローがある限り彼女が死ぬことはない」
“了解した。ブライト博士、あなたを収容します”
ブライト「それでこそ財団のエージェントだ」
黒服「先生。ありがとうございました」
“ああ。黒服もご苦労様”
黒服「今夜は飲みましょうか?」
“……そうするよ” - 140二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 22:37:25
- 141二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 22:38:47
うん、やっぱ中身が真人間だから真面目モード混ざると色々とバグるわブライト博士
- 142二次元大好き匿名さん24/10/16(水) 23:28:12
SCPってさ、エロ系も沢山あるよね。なら、ハナコに初めてあった時、何も思わなそう。ハナコの発言とか素通りできそう。水着で徘徊とかSCPに比べたらな…
- 143二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:30:09
ディルドにだって夢はあるとか鋼入りのダンとかか…
- 144二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 06:25:24
保守
- 145二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 16:34:49
保守
- 146二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 18:21:04
“……で、何でここに居るの?ブライト博士”
ブライト「ん?サプラ〜イズだよサプラ〜イズ」
財団ヘイローの一件後、私の中に回収されたはずのブライト博士はなぜか私の目の前にいた。何故かペロロ様の姿で。
ブライト「私の異常性を忘れたのかね?」
“あっ…増殖能力…”
ブライト「そうだ。私は自身が回収されることを見越していたのでね。この『神秘によって意思を持ってしまったペロロとか言う人形』に人格を植えておいたのさ」
“何のために?”
ブライト「勿論!知的好奇心のためさ!というのもあるが、本題はこちらだ」
そう言うと、ブライト博士はパソコンを見せてきた。そのパソコンにはとあるサイトが開いていて…
“SCP財団のサイト?……何が目的で?”
ブライト「落ち着きたまえ。生徒たちに害をなそうとしているわけじゃない!だからアイアンクローをやめたまえ!」
ブライト博士に言われるがままアイアンクローをやめる。
ブライト「いいか。これはSCiPの存在を完全固定するためのものだ。君が収容したSCiPの存在を広めることで『これは創作である』という認知を広げるためのものだ」
“SCiPたちは神秘化して封印しているではありませんか”
ブライト「私たちが収容したのは『意思を持っているSCiP』だけだ。ならば物は?場所は?空間は?概念は?それらがここに生まれる可能性はまだ捨てきれん。現に財団ヘイロー事件の前に異空間にいたDクラス職員と会ったそうじゃないか」
“なるほど”
ブライト「これでよし。このサイトはキヴォトス中にばら撒かれた。これで安心だ」
“ありがとうございます。ブライト博士”
ブライト「いやいや、このくらい問題ないさ。さて、私はこの辺で失礼するよ」
“どこにいくのです?”
ブライト「ちょっとコユキという子に用があってね。失礼s」
“ちょっと待て!!” - 147二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 18:23:02
とある一幕
カイテンジャーを見て
ブライト「あれがカイテンジャーというやつかい?」
“ええ。ヒーロー活動に勤しむのはいいのですが関係ないものまで爆破してしまう困った生徒です”
ブライト「複数人のヒーローと聞いたらあれを思い出すね『手のひらヒーローズ』」
“あのゴミと生徒を一緒にしないでください”
アバンギャルド君を見て
ブライト「デザインセンスはアレだけど技術は一級品だ」
“さすがリオだ。まさか天災を唸らすとは”
ブライト「やはり財団もロボットを作るべきだと思わんかね?」
“財団神拳の方が強いので間に合ってます”
ハナコとの会話
ブライト「清純そうに見えて痴女とは人は分からんものだな」
ハナコ「ええ。あの解放された快感がたまりません」
コハル「えっちなのはダメ!死刑」
ブライト「この程度などエロとは言わん。やはりSCP-3265やSCP-738-jpのようなぶぁっ!」
“変なことを言ったら殴る”
ブライト「もう殴ってる!」
コハル「わ、分からないけどえっちなものなんでしょ!そんなのダメなんだから!死刑!死刑!」
“何というか…えっちなのはダメ!死刑。ではなくえっちなのこれ(絶句)?(業が)深ぇ…(深淵)。だからなぁ…” - 148二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 18:23:34
オチのベロキチ
ヒフミ「先生!このペロロ様下さい!」
“絶対にやらん!”
ブライト「可愛い子にお持ち帰りさせるのも悪くない…」
ヒフミ「喋れるペロロ様人形だなんて!どんな手を使ってももらいます!」
“大人のカードを使う”
ハナコ「まあまあ、落ち着いてください」
“ってことがあった…”
黒服「クックック……。阿慈谷ヒフミ…彼女は大のペロロ様好きでしたね…」
“ああ。今回のことでSCP-2200-jpのお父さんの気持ちが分かった気がするよ…”
胸糞注意⚠️
手のひらヒーローズ
SCP-565-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.com⚠️注意⚠️注意⚠️
これはエロ系になります。苦手な人は見ないように!SCPはエグいのが多いので見る方は自己責任でお願いします!
SCP-3265
SCP-3265 - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-738-jp
SCP-738-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.comSCP-2200-jp
SCP-2200-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 149二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 18:27:15
イクメンとか反り立つのはでっかいくまさんのとか…うん、財団の下ネタは異常性癖過ぎて…うん…
- 150二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 18:55:49
ブライトとコユキだと…?妙だな…
- 151二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 18:57:04
- 152二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 19:02:53
先生がイオリやカリンに対しておかしい理由って絶対SCPやろ。褐色大好き!みたいなSCPありそう…
- 153二次元大好き匿名さん24/10/17(木) 19:05:39
- 154二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 01:19:23
この先生はあらゆる世界線でも活躍するだろうな。嫌われ概念でも、後任の先生でも。
- 155二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 06:11:51
保守
- 156二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 12:48:08
胸糞×胸糞=や っ た ぜ
- 157二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 17:46:41
ステージの上で元気に明るく歌い踊る彼女。『初音ミク』という名前のバーチャル・シンガー。
歌が歌えないと相談された時は平静を装っていたが、内心は荒れていた。SCP-1139-jpのことを思い出したからだ。このSCiPは思い入れがある。新人の頃、資料整理として初めて関わったSCiP。ボカロが好きだった私は真実に驚き涙を流したものだ。だが、
“ミク〜!!”
今は全力で楽しませてもらおう。
ー初音ミクの楽屋ー
ミク「せ、先生……見ていて、くれましたか?みなさん、あんなに……!私の心……届いたのかもしれません……!」
満面の笑顔で語る彼女。
“最っ高のステージだった。おおいに楽しめたよ”
ミク「先生……!」
スタッフ「ミクちゃーーん!!」
公演のスタッフが彼女に勢いよく駆け寄ってくる。
スタッフ「すごい盛り上がりだったよ!聞こえるかい?今もこんなに熱いアンコールが……!大成功だ!ーーー
ーーーライブは始まる前はどうしようかと思っていたけど、良かった…本当に良かった……」
ミク「ふふっ、先生のおかげです」
スタッフ「そっちの、えっと……先生?さっきはヒヤッとしたが、結果的には助かったよ。プレッシャーも焦りもあって、キツイ言動をしてしまってすまなかった。何とお礼をしたら良いか……」
“いえ、頑張ったのは彼女だ。お礼なら彼女に”
スタッフ「そうか。なら、ふたりとも、ありがとう……そ、そうだ!今からアンコールって、行けそうかい?聞こえている通り、ここまで届いてくるほどの熱狂ぶりだよ…このままじゃ大人しく帰ってもらうわけにはいかないようだ」
ミク「わ、私は大丈夫です…」
スタッフ「助かる!じゃあ私は準備をしておくから、少し落ち着いたらステージ裏に来てくれ…!」
そう言うとスタッフは駆け出して行った。バタンとドアが閉まる音が響く。 - 158二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 17:47:04
ミク「お、思わず承諾してしまいました…」
“大丈夫?実は体力がもう限界とか……?”
ミク「あ、いえ、そういうことではなく……実はライブが終わったら感謝の意味も込めて、先生をお食事にお誘いしようと思っていたのですが……。アンコールまで歌うと、ちょっと遅くなってしまいそうだなと」
ミク「実はライブの終わる時間に合わせて、レストランを予約していたので……」
“ミクの心のままに、でいいんだよ”
ミク「……本当にいいんですか?いくら先生だといえ、バーチャル・シンガーと二人で食事に行ける機会なんてそう無いかもしれませんよ?……なんて。ですが、そうですね。先生にそう言っていただけるのでしたら……今は歌って来ようと思います。先生とのお出かけは、今度あらためてお誘いしますね」
「行って来ます。私は、みなさんにたくさんの歌と気持ちを届けるバーチャル・シンガー……『初音ミク』ですから!」
そう言うと彼女は部屋から出ようとする。閉める直前、私の方を向いた彼女は、
ミク「先生、ありがとう!」
『……ありがとう!』
お礼を言って去って行った。どこか報告書に添付していた音声と同じ声で。
ドアが閉まり一人になった楽屋。
“ああ。常盤さん。彼女はこのキヴォトスでも生きています”
目頭が熱くなるのを感じながら私は呟いた。 - 159二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 17:47:28
ーある日ー
ミク「先生、今日一日、デートに付き合ってくれてありがとうございます」
“問題ないさ”
ミク「なんか歌いたい気分です。だから歌いますね!すぅっ……♪……♫」
彼女は歌い始めた。美しい透き通るような歌声だった。やがて彼女は歌い終えた。
ミク「やっぱり歌うって楽しいですね。大きな声で自分の心を歌に込める。私はやっぱり歌が好きです」
“そうか”
ミク「先生……実は今の私は『初音ミク』じゃ無いんです」
“知ってるよ。君は、『春鳥美句』だね”
美句「!!どうして私の名前を?」
“常盤さんを覚えているかい?”
美句「先生は常盤さんを知ってるの!?」
“同じ職場で働いていたよ”
美句「常盤さんには迷惑をかけてしまいました。病気のせいで外に出ることができなくてずっと病室にいました。やがて声が出ないせいで歌も歌えなくなってそれで……夢、叶えたかったなぁ……」
“常盤さんは『初音ミク』という音声合成ソフトを作り出した。その音声合成ソフトはあらゆる人が使い始め、やがて世界中に広がった。君の願いは常盤さんの手によって『初音ミク』という形で叶えている。形は違えど君はもう世界の歌姫なんだ。春鳥美句”
美句「……そうですか。常盤さんが…ああ。嬉しいのに涙が止まらない…うぁっああ〜っ」
“泣いていい。泣いていいよ”
泣き始めた彼女の背中を優しく撫でる。
美句「そろそろ、時間ですね。先生私はもう満足です。これ以上死人が現世に留まるわけにはいかないでしょう?」
“……分かった。それじゃあ、ヘイローを収容するね”
美句「お願いします。先生、ありがとうございました。少しの間でしたが、楽しむことができました!」
“そうか。なら良かったよ”
美句「先生。さようなら」
“ああ。さよならだ”
ミク「……あれ!?意識が……先生?…泣いているんですか?」
“いやっ、なんでもない。なんでもないんだ”
彼女の想いはここに。そして皆の心の中で生き続けるのだろう。
財団ヘイロー時の一幕。財団ヘイローによって一時的に現界した、春鳥美句との思い出。 - 160二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 18:03:05
財団ヘイロー
ホシノ✖️アベル
ツルギ✖️不死身の爬虫類
イズミ✖️ウロボロス
ミク✖️電子の歌姫
新しく考えたもの
イブキ✖️小さな魔女
ノア✖️カイン
コユキ✖️伝書使
他に誰かいるかな?
キキョウ✖️ねこです。よろしくお願いします。を考えてしまったが、これはやばそう。どこ見てもキキョウがいるのはちょっと湿度が高くなりそうですね。 - 161二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 18:55:22
- 162二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 20:57:44
先生の初めての人殺しは相棒である。ただ、彼はスパイであり、Kクラスシナリオを引き起こそうとしていた。そこを止めるために殺した。
エージェント蒼井のような経歴を持っているので、職員からは警戒されていたが、彼は先輩や仲間を頼ることを選択。罪に囚われるのではなく、向き合い二度と起こらないようにすることを決意します。
どうせなら、エージェント蒼井と似た経歴だが、違う考えで乗り越える人を見たかった。
先生は人と向き合って共に考える人です。なので拷問教会があっても断るでしょう。一人では出来ることは少ないでも皆でやればどんなことでもできると考えているので。先生、実は『スイミー』好き。
ホシノに相棒扱いされてるの地味に重いな。
実は最初に考えていたのはエージェント蒼井を殺すことだった。でも圧倒的に過去だった。2016年は無理だな。流石に。2■■■年だから。他のは20■■年だからギリギリ行けたんだけどね。新人時代でも20■■年と考えると流石に80〜90になるし。
- 163二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 20:59:38
- 164二次元大好き匿名さん24/10/18(金) 21:05:40
消照闇子はミユで。…あれ最凶では?
それとオールドAI。これいいね。
街中で生徒たちが喧嘩をして、ショットガンを撃ったらクラッカーになってなんとも言えん空気になってそう。ハルカやったらアルちゃんが安定の白目剥く。
- 165二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:12:48
なんなら「ジャックが楽しそうなことしてたから来ちゃった☆」というノリで来そうなんだよクレフ…
- 166二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:26:23
神身事故はどうなるのかな?
SCP-2105-JP - SCP財団scp-jp.wikidot.com - 167二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 06:13:04
ほ
- 168二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 06:27:19
保守
- 169二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 13:13:32
- 170二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 18:36:22
- 171二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 21:09:30
シロコはいつも通りにロードバイクに乗って通勤していた。朝の風が頬を撫で、清々しい気分であった。
シロコ「んっ?」
ふと目を向けるとそこにはオレンジの何が転がっていた。よく見ると人だった。
シロコ「ん、大丈夫?……!」
シロコはそのオレンジ色の服を着た人に声をかけた。そして気づく。先生以来の人間の男が倒れていることに。
シロコ「どうしてこんなところに?それに……D-0442?なにこれ……」
その男はオレンジ色のジャンプスーツを着ており、D-0442と文字が刻まれていた。
シロコ「……とりあえず回収する」
そう言うと、その男を背負い、再びロードバイクを漕ぎ出した。
ーアビドス高校ー
ガラガラ…アビドス対策委員会の扉を開けたシロコ。
ノノミ「シロコちゃん、おはようございます〜⭐︎……ところで背中に背負っている人は?」
セリカ「ま、まさか誘拐!?証拠隠滅しなきゃ!」
アヤネ「落ち着いて下さい!セリカちゃん!シロコ先輩、彼、どうしたんですか?」
シロコ「ん。デジャヴ……じゃなくて、砂漠の真ん中で倒れてた」
???「くっ…うう……こ、ここは……」
セリカ「め、目を覚ましたわよ」
ノノミ「とりあえず、彼に話を聞きましょうか〜」
シロコは男を椅子に座らせ、アヤネは彼に水を渡す。水を見た男はコップを手に取ると勢いよく飲み干した。
???「……生き返った。ありがとう。えっと……学生さんかな?」
ノノミ「はい⭐︎私たちはアビドス高校の対策委員会です」
???「アビドス…聞いたことがない。…少なくとも日本じゃなさそうだ……」
男は頭を抱え、深く考え始めた。
セリカ「どうするのよ。ホシノ先輩に報告するの?」
アヤネ「はい。それが良さそうな気がします」
ガラガラ……対策委員会室のドアが開いた。4人はドアの方を向く。そこにはホシノが入ってきた姿があった。 - 172二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 21:10:02
ホシノ「うへぇ……遅れてごめんねぇ……寝坊しちゃうなんておじさんもう歳かなぁ……」
ノノミ「噂をすれば、ですね⭐︎」
ホシノ「ん〜?皆、どうしたの〜?」
シロコ「ん、説明する」
シロコは一連の流れをホシノに話した。
ホシノ「……事情は分かったよ〜とりあえず自己紹介でもしてもらおうか〜」
そう言うと、ホシノは男に声をかけた。
ホシノ「おじさんはアビドス高校3年の小鳥遊ホシノだよ〜。あなたの名前は〜?」
???「名前か。D-0442。それが今の名前だ」
ホシノ「それは名前じゃないでしょ?」
D-0442「かつての名前は捨てられた。D-0442という名前が言いにくいなら…無名とでも呼んでくれ」
ホシノ「身分を証明できるものは?」
D-0442「無いな。強いていうならこのジャンプスーツくらいか……」
ホシノは困惑した。名前も身分を証明するものもない。何もない男に。だから質問をした。
ホシノ「どうして名前も身分証もないのかな?おじさん疑問だよー」
D-0442「……君たちのような子供に聞かせるようなものじゃない」
男は少し考えた後、そう答えた。
セリカ「ぜーったいあの人何かあるって!」
教室の一室を無名と名乗る男に貸したはいいものの、セリカはどうしてもあの男の素性に疑問を抱いていた。
シロコ「ん。セリカも気づくくらい怪しい。何かある」
セリカ「そうよ。シロコ先輩の言う通りよ!…なんか貶された気がするけど」
ホシノ「おじさんも同じだよ〜。でも下手に追い出すと何しでかすか分からないでしょ〜。なら私たちが見張れる方がいいでしょ〜」
アヤネ「それに彼にはヘイローが無い以上、先生と何らかの関わりがあるかも知れません」
ノノミ「まずは先生に報告ですね〜分かりました⭐︎」
セリカ「今日は学校に泊まりそうね」
ノノミ「お泊まり会ですね⭐︎」
ノノミとの電話によって、明日の先生は昼過ぎにアビドスにやってくることになった。 - 173二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 21:10:29
その頃、便利屋68では……
カヨコ「アル社長。この男性は?」
アルが、男の肩を支えて事務所に入って来たのを見たカヨコは彼をソファーに座らせながらアルに質問を投げかけた。
アル「路地裏でボロボロになっている所を見つけたから助けたのよ」
???「ああ、助かった。ありがとよレディ?」
アル「(かっ、かっこいい!)礼には及ばないわ。当然のことをしたまでよ」
???「当然…か。なるほど少なくともいい女ってのは間違いじゃ無さそうだ」
お互いに軽口を言い合う二人。アルはこの状況に満足しているようだ。
アル「改めて自己紹介よ。私は陸八魔アル。この便利屋68の社長よ!そしてこちらが…」
カヨコ「私は鬼方カヨコ」
ムツキ「むふふ。浅黄ムツキだよ。よろしくね」
ハルカ「えっと…伊草ハルカ…です。よろしくおねがいします」
???「俺もか?…俺はD-14134だ。言いにくいなら…そうだな、ネームレスとでも呼んでくれ」
カヨコ「身分を証明するものは?」
D-14134「それも無いな」
ムツキ「どうして何も無いの?何かあったの〜?」
D-14134「お子様にゃ刺激の強いことさ」
男の回答を聞いて四人はしばらく話し合いをした。 - 174二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 21:11:10
アル「ここの部屋を使いなさい」
D-14134「いい部屋だな。感謝する」
アル「礼には及ばないわ。ゆっくりして行って。それじゃあ、ゆっくり休んで」
そう言うとアルは部屋から出て、事務室に戻る。扉を開けると、3人はアルに声をかけた。
カヨコ「社長。あの人怪しいよ。なのにどうして部屋を貸したの?」
アルの決定によって男を事務所に泊まらせることとなった。
アル「アウトローは怪しい人でも部屋を貸すのよ」
カヨコ「そんなこと無いと思うけど……まあ、敵対しても無力化すればいいし」
ムツキ「そうそう。見たところ先生みたいにヘイローが無いから簡単だと思うよ」
ハルカ「わ、わたしはアル様の意思に従います」
便利屋の四人は警戒しながらも一夜を過ごした。
戻ってアビドス高校
彼女達が話し合いをしている中、D-0442に教室の一室で横になりながら状況を振り返る。始まりは怪物に見つかってしまったことから始まった。 - 175二次元大好き匿名さん24/10/19(土) 21:11:37
監獄の中
D-14134「見つかっちまった。逃げるぞ!」
D-0442「了解」
敵は鈍足。この調子で逃げればいい。しばらくして怪物から逃げ切ることができた。
D-14134「何だ?この扉……」
D-14134が見つけた青い扉。しばらく二人で見つめ合う。
D-0442「どうする?入るか?」
D-14134「……入ろう。ここには何かある」
二人は青い扉を開ける。そこには青い棺桶があった。見たこともない棺桶に二人は困惑した。
D-14134「新しい棺桶…見たこと無いな」
D-0442「開けてみるか」
棺桶を開けるも空であった。
D-0442「色が違うだけの棺桶かもしれん。だが、直感が何かあると言ってる」
D-14134「おい、足跡だ。こっちに来るぞ!」
コツコツと足音が鳴り響く。次第に大きくなってゆく。扉を開けるのも時間の問題だ。
D-0442「隠れる場所なんてない!この棺桶に入るぞ!」
こうして二人は棺桶に隠れたが、気づけば二人は逸れてしまい、D-0442は砂漠地帯にいた。ということだった。
D-0442「しかし、アビドス高校なんて聞いたことがない。砂漠地帯ならおそらく中東かアフリカの地域の高校か?」
考えようとしたものの、疲れが溜まっていたのか気づけば眠りについていた。 - 176二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 06:34:01
保守
- 177二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:36:34
バールの兄貴じゃねぇか!
- 178二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:40:16
幸運を、死にゆく筈だった貴方に、敬礼を
- 179二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 21:57:02
次の日の昼頃、アビドス対策委員会と便利屋68は柴崎ラーメンの屋台でばったりと出くわしていた。
ムツキ「あれ?アビドス高校の皆じゃん。お久しぶりー」
アヤネ「ムツキさん。お久しぶりです」
D-14134「無事だったようだな。ブラザー」
D-0442「お前もな相棒」
便利屋68とアビドス高校がお互いに挨拶するように一緒にいたD-14134とD-0442の二人も再会し、挨拶をしていた。
ホシノ「二人は知り合いなのかな〜」
D-14134「ブラザーだな」
D-0442「相棒かな」
ホシノの質問に答える二人。知り合いであることは分かったものの、やはり二人は自身の身分を明かそうとしない。ホシノは警戒心を上げた。
アル「とりあえず、まずは食べましょ?お腹空いたでしょ?」
そう言い、アルが屋台の暖簾をめくると…
“ずるずるっずずっ…うまっ”
先生が柴崎ラーメンを啜っていた。
アル「あら、先生じゃない」
声をかけたのはアルだった。
“ん?アルちゃん!それに……!Dクラス”
穏やかな表情でアルに答え、他の皆のことも視界に入れた先生だったが、男二人を見た瞬間、穏やかな表情が一変、険しい表情になった。
D-14134「分かるってことは、あんた財団の人間か」
シロコ「財団?」
シロコはその言葉に疑問を持っているようだが、先生は男二人を優先した。
“番号は?”
D-14134「D-14134だ」
D-0442「D-0442」
二人は先生の問いに答える。今の空気は正に最悪であった。
“14134と0442だって!?なぜここに!?”
二人の番号を聞いた先生は驚いた様子で返す。顔には驚愕の二文字が浮かびそうだった。そのまま先生は長考しようとするが、D-0442によって止められた。 - 180二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 21:57:29
D-0442「なぁ、あんた。財団の人間ってことは、ここは財団が関係している場所か?」
“いや、ここは財団も知らない異世界さ”
彼の言葉に正直に返す。そう、ここには財団も何もないのだから。
D-14134「異世界?っまあ、いつものことか」
D-0442「そう言うもんか」
だが、先生の言葉に返す二人。動揺もなく、淡々としている二人にセリカは突っ込んだ。
セリカ「なに簡単に納得してんのよ!」
D-14134「まあ、いつものことだからな」
D-0442「財団だったら収容か終了処分だし。それに比べたらマシだろ」
“否定できないなあ”
セリカの言葉に三者三様で答える。
ホシノ「先生は二人のこと知ってるの?おじさんに教えて欲しいなぁ〜」
“あー、簡単に言えば前職の部下みたいなもんかな?”
D-14134「部下っていうか駒だろ」
D-0442「モルモットとも言うな」
“そうだけど、未成年の前で言うことじゃない!”
先生は頭を抱えてしまう。
“と、とにかく、あまり財団のことは話さないで欲しい。彼女たちの健やかな成長に支障が出る”
D-0442「……まあ、そうだな。彼女たちには普通に生きてるもんな」
D-14134「少なくとも、俺たちみたいにはなりそうにないな」
二人の何かを言いたげな表情のまま、しばらく沈黙が流れる。その流れを切り出したのはこの店の大将だった。 - 181二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 21:57:56
柴大将「先生たち、そろそろ注文いいか?」
“柴大将!よし、皆今日は私の奢りだ”
その言葉を聞いた生徒達はやったーと喜んでいる様子。
“そこの二人もな”
男二人にそう声をかけたが、二人は固まっていた。
D-0442「柴犬が喋ってやがる。どうなってんだこの世界……」
D-14134「殆どが獣にロボだ。人間なんて殆ど居やがらねぇ…何なんだ?」
その呟きから、先生は共感してしまった。最初に来た時も同じこと思ったなぁ……と。
ラーメンが来るまで待つことになったため、先生は、その間に事情を聞き出すことにした。生徒たちから離れた端の席に座った後、テーブルに録音機を置き、深呼吸をした後、開始した。
“さて、D-14134、D-0442。どうして君たちが居るのかを教えてほしい。まずはD-14134。あの扉の異空間からどうやって脱出を?”
D-14134「これがさっぱり分からねぇ。全ての心臓を撃ち抜いて視界が真っ暗になったと思いきや監獄の廊下にいた。それから探索していたところにブラザーと出会ったのさ」
“ありがとうございます。つまり、D-0442と一緒に居たと?”
D-14134「そう言うことだ」
“では、二人に聞きます。どうしてここに?”
D-0442「監獄で奇妙な青い扉を発見してな。その扉の奥には青い棺桶があった。それに入ったらここに居た」
“……青い棺桶?”
D-0442「そうだ。見た感じはあの世界の棺桶と変わらなそうだったが…もしかしたらこの世界に繋がっていた棺桶かもしれないな」
“嘘だろ……”
先生は頭を抱えてしまった。 - 182二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 21:58:30
少し離れた席では生徒達が聞き耳を立てていた。
ノノミ「異空間だとか、心臓を撃ち抜くとか言ってますね」
シロコ「ん、3人しか分からないみたい」
セリカ「くっ、聞こえにくい!もっと寄って!」
アヤネ「皆さん、先生たちが気になるのは分かるのですが、聞き耳するのは…」
ホシノ「おじさんも気になって仕方がないんだよ〜」
アル「かっこいいわ!」
カヨコ「先生、頭を抱えてる。何かあったのかな?」
ムツキ「くふふ。面白いことが起きそうだね?ハルカ」
ハルカ「えっと……そうなのですか?」
3人の話が気になってたまらないらしい。それぞれ、興味や警戒心からで、別々の考えがあるようではあるが……。
柴大将「君たちラーメンできたよ……」
柴大将は困惑しながらラーメンを提供したのだった。
D-0442「あの子たちはSCPか何かか?」
そう問いかけたのはD-0442だった。
“いや、さっきも言ったようにこの世界に財団は存在しない。私自身も死人のはずだ”
D-0442「あんた死んでたのか?」
“なぜか生き返っているけどね。まあ、今の生活も悪くない。人を導くというのもなかなか楽しいものさ”
D-14134「なあ、あんた、本当に財団の人間か?少なくとも機械共みたいじゃなさそうだ」
“まぁ、財団にも、色々あるのさ”
少し遠い目をしながら答えた。
柴大将「柴崎ラーメンお待ち」
柴大将がラーメンを運んできてくれた。
D-0442「久しぶりのまともな飯だ。しかもラーメン。いただきます」
D-0442はそう言うと、ラーメンを啜り始めた。その顔は笑顔だった。
D-14134「レーションじゃねぇまともな食事だ。ありがたくありがたく頂戴するよ」
彼もまた食べ始めた。
“ずるずるっずる”
先生も替え玉を啜っていた。 - 183二次元大好き匿名さん24/10/20(日) 21:58:57
- 184二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 22:06:11
まぁアウトロー(元死刑囚)だから…うん…
- 185二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 08:20:01
冤罪や失態でなることもあるけど基本死刑囚とかだからアウトローだな
- 186二次元大好き匿名さん24/10/21(月) 17:24:59
ある日の夜。ホシノはD-0442と屋上にいた。
ホシノ「どうしたの〜話があるってさ。おじさん眠いんだけど…」
D-0442「小鳥遊ホシノ。君はどうして学校に残ったんだ?」
ホシノ「どうしてそんなことを?おじさんの過去を知りたいのかなー?でも、知りたいならまずは無名さんから話すべきじゃない?」
D-0442「……そうだな。まずは自分から話すべきだな。……俺には妹がいた。両親が交通事故で死んで高校生の俺と小学生だった妹が残された。二人で生きるために俺は学校を辞めてがむしゃらに働いた。妹に楽して欲しくて寝る間も惜しんで働いたさ。仕事にかまって妹となかなか会えない日々が続いたこともあった。それでも妹がいれば良かった。それは些細な喧嘩だった。言い合いになって「家から出ていけ!」って言っちまった。その翌日から妹は帰らず行方不明になった。警察にも捜索届を出して、町中を探して、探して探して……一週間後、妹は尊厳を奪われて死んでいたところを見つけた」
ホシノ「…っ」
D-0442「妹は…夢はいい子だった。人に優しく、賢かった。人望もあった。中学校では生徒会長をしていたほどに。俺は妹を誇りに思ってた。どうして妹が殺されなきゃならなかったんだ!どうして……俺は後悔した。あの日、妹を迎えに行っていれば……仕事にかまけるのではなく、もっと妹と関わっていれば……妹を見ていれば……あんなこと言わなければ……俺が居なければ……」
D-0442「俺は憎しみのまま犯人達を見つけ出し殺した。許せなかった。妹の何もかもを奪った犯人達に、そして守れなかった自分自身に。復讐…と言っても罪は罪、俺は死刑囚に。そのまま財団に雇われて今に至る。……話す気になったか?」 - 187二次元大好き匿名さん24/10/21(月) 17:25:23
ホシノ「……私はーーー」
ホシノは気づくと話し始めていた。堰を切ったように言葉が何故か流れてくる。ユメ先輩のこと、ユメ先輩の最期そして、後輩と出会った日々のこと。借金を返すために黒服と契約したこと、そして、テラー化してしまったことを。
D-0442「なかなか悲惨な過去だな」
ホシノ「……それはお互い様でしょう?」
D-0442「ああ。だが、俺はお前が羨ましい。俺が過去を認めたのは手遅れになった後だった」
ホシノ「…私もそうなっていたかもしれないね」
D-0442「後輩達のお陰で踏みとどまることができたんだろう?」
ホシノ「対策委員会のみんなには感謝してる」
D-0442「そうか。……過去は変えられない。死者は戻らない。それでも歩み続けるしかない。一度でも銃から離れた弾丸が戻って来れないように」
ホシノ「うん。私は過去も今も背負って前に向くって決めたの」
D-0442「俺は救われないし逃げられない。人を殺した俺は妹の笑顔すら血に塗られている。そんな俺みたいにはなるなよ?」
ホシノ「忠告、感謝するよ」
D-0442「ホシノ。Morituri te salutant」
ホシノ「何それ?」
D-0442「祈りの言葉さ」 - 188二次元大好き匿名さん24/10/21(月) 17:28:20
やっぱ、二人って似てるんだよね。過去に囚われ、自罰的で。そして過去を背負って前に進もうとしてる。
- 189二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 20:45:30
便利屋の小話
・例えの話
D-14134「便利屋68…彼女達はまるで薔薇のようだ」
“薔薇かい?”
D-14134「アルは一輪の花。相手を惹きつける魅力がある」
“彼女はカリスマ性があるからね”
D-14134「ハルカは棘。アルを守るための牙」
“実際、ハルカはそんな感じだね”
D-14134「ムツキは、茎だな。花の近くにいて支えてる。少し別の場所に茎を伸びますのが致命的だがな」
“うん、他の人に悪戯をするって解釈でいいかな?”
D-14134「そしてカヨコ。あの子は根っこだ。常に冷静になって周りを見て、判断している。仲間の暴走も止めてるしな」
“縁の下の力持ちってやつかな”
D-14134「情熱的な赤の薔薇だろうな」
“私的には不可能を可能にする青い薔薇のイメージだけど”
・憧れの話
アル「あなたはまさにアウトローね!」
D-14134「そんな着飾った言葉は俺にゃ似合わねぇ。俺は落ちぶれた間抜けさ」
アル「そうかしら?よく似合うと思うわよ?」
D-14134「そうか。なら今は託されたものがあるから…かもしれんな。だが、アウトローというなら、俺よりも先生の方が合うんじゃないか?」
アル「先生?」
D-14134「財団の人間なら、何だってやるはずだ。捨て駒にされた奴がいるだろ?」
アル「先生は今まで酷いことした事ないわよ?」
D-14134「……本当に財団の人間か?」 - 190二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 21:26:04
仕方ねぇよほぼ特異点だからあの先生は…
- 191二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 06:08:15
保
- 192二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 06:22:34
守
- 193二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 12:33:24
ほ
- 194二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:36:28
対策委員会室でゆったりしていた先生達。今日は一日は予定はない。うとうと眠気が襲ってきていた。
ドタドタドタ!と廊下を走る足音が鳴り響き、眠気が覚めてしまう。扉に注目すると、扉から勢いよくセリカが入ってきた。急いでやってきたのか、息切れを起こしているようだ。表情は焦り切っている。
“どうしたの?セリカ”
セリカ「ぜぇ、ぜぇ、し、柴大将が、柴大将が…」
ノノミ「セリカちゃん落ち着いてください!」
セリカ「柴大将が攫われた!」
セリカの大声が部屋中に響き渡る。
ノノミ「柴大将がですか!?」
セリカ「そう、つい先程のことなんだけどーーー」
セリカの話では、柴大将のお使いの帰り、屋台のまで帰っていたのだが、その目の前で柴大将が攫っていったのだという。柴大将を攫った男二人組を追ったものの、いつの間にか見失ったらしい。
セリカ「そ、それでみんなで一緒に柴大将を探して欲しくて」
息切れを起こしながら頼み込むセリカ。
シロコ「ん、当然。柴大将には世話になってる」
ノノミ「はい!柴大将に恩返しをする番です!」
アヤネ「私も皆さんと同じです。必ず見つけ出します」
ホシノ「準備万端だよー」(臨戦状態)
“この世界で数少ないまともな大人…逃すわけにはいかない!”
セリカの言葉に皆返す。そんな中、D-0442は嫌な予感がしていた。
D-0442「まさか…監獄の奴らか?」
不安を残しつつ、柴大将が見失った場所へ向かうのだった。 - 195二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:36:51
現場に到着すると、そこは見晴らしの良い道路出会った。廃墟と、数台の車しかなく、足跡も残されていない。
“手がかりがまるでない…”
この状況に皆が困惑する中、シロコはあるものを発見する。
シロコ「この車…新品みたい…」
シロコが発見したのは連結駐車された3台の車の真ん中にある青い車だった。
ホシノ「こんな所に新品の車を止めるなんて所用者は何をしてるのかな?」
ノノミ「見たことのない車ですね⭐︎」
セリカ「……それでこの車、柴大将の誘拐に何か関係があるの?」
“D-0442。どうした?”
対策委員会の皆は青い車を調査するために手に触れようとしている時、先生は、D-0442の様子が変なことに気づいた。
D-0442「やめろ!」
彼が突然大きな声で静止した。
D-0442「先生。ペン貸してくれ」
先生は無言で頷くと、自分が持っていたペンをD-0442に渡す。彼はペンをトランクに入れ、閉めた。束の間に開くとそこには…
シロコ「ペンがない……」
セリカ「はあ?どうしてよ?ありえないでしょ?」
D-0442「やはり……間違いなかったな」
“SCP-213-jpだと!?”
対策委員会の皆が驚く中、D-0442と先生はこの車の正体に気づいてしまった。クライスラーという車で、SCiPであるということを。 - 196二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:37:15
先生はD-0442の助言で、D-14134を呼ぶことにした。
アル「柴大将が誘拐されたと聞いて手伝いに来たわよ?」
カヨコ「柴大将にはお世話になってるから」
ホシノ「応援、ありがとね」
D-14134「見つけたのか?」
D-0442「ああ。あの青のクライスラーだ」
二人の男はクライスラーを見つめる。その横では先生がクライスラーのSCiPについて説明していた。トランクから異界に行けることや、その中にいるバケモノ達のこと、そして柴大将を攫った可能性が高いことを。
セリカ「助けに行くわよ!」
“いや、皆で行動するのは危険だ。ここは少数チームで行こう”
ノノミ「少数チームですか?」
“そう。あの異界は危険すぎる。だから全員を連れて行く訳にはいかない。そこでだここはホシノ、アル、来てくれるかい?”
先生は、機動力の高く強いホシノと、狙撃能力が高いアルを選んだ。
セリカ「ホシノ先輩なら大丈夫そうね」
ホシノ「おじさんに任せてよ」
ハルカ「アル様、頑張って下さい!」
アル「も、勿論よ!」
“D-14134、D-0442。案内を頼む”
D-14134「ああ。当然だ」
D-0442「了解」
アヤネ「待ってください!お二人もですか?」
“あの二人は異界をよく知っているからね。事情は後で話す。さあ、行くよ?”
D-14134、ホシノ、アル、先生、D-0442の順番で入って行く。残された生徒達は彼らが無事であることを祈るしかなかった。 - 197二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:38:20
“ここが監獄……報告書で知ってはいたが……”
監獄に潜入した5人は周りを警戒しつつ、柴大将を探していた。
D-0442「ここの突き当たりに心当たりがある」
“何があるんだ?”
D-0442「一言で言えば新入りを調べる場所だな。俺もそこに行った」
“了解。ホシノは前衛を。アルは中央でいつでも狙撃できるように。D-14134、D-0442は後ろを警戒してくれ”
静寂な雰囲気に呑まれそうになりながらも警戒を怠らない5人。
柴大将「やめろ!離すんだ!」
5人に聞こえる形で柴大将の声が聞こえてきた。
アル「柴大将の声!行きましょう?」
“ああ。警戒を怠らず行くぞ!”
声の方へ進むに連れて柴大将の声も大きくなる。
柴大将「離してくれ!開店の時間なんだ!」
アル「柴大将!」
柴大将「どうしてここに!?」
5人が見たのは、イソギンチャクみたいなバケモノが柴大将を脇に抱えた姿だった。 - 198二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:38:55
アルによる狙撃は、バケモノの頭にクリーンヒットした。が、効いていないようで、何事も無かったようにこちらを見ている。
アル「えっ!?嘘!?」
D-14134「言い忘れていたが、あいつらに攻撃は通用しないぞ?」
D-0442「本来は逃げるしか無いんだがな」
“柴大将を助けて逃げればいい!ホシノ、いつでも助けれるように準備しておいて!”
ホシノ「了解」
バケモノは柴大将を、抱えていない方の腕で攻撃をしてくる。ホシノはそれを避け、顔にショットガンをぶっ放す。
ホシノ「うへぇ。攻撃が効かない相手なんて初めてだよ」
“ホシノ!無理に攻撃しないで!守りに転じてくれ!アル!一定の距離を保って牽制して!D-14134とD-0442はバケモノの周りを回り警戒させて”
アル「任せなさい!銃弾が効かないだけなら問題ないわ!」
D-14134「Fa◯k!まさかバケモノと正面でやり合わなきゃいけねぇとか最悪だ!」
D-0442「こちとらバールしか武器がねぇんだけど!」
“D-14134、カウント3で、渡した閃光弾を投げて!皆は目を瞑って!……3!2!1!”
カッ!!と爆発した閃光弾から強い光が溢れ、一面を白色に染め上げる。バケモノは悲鳴のような唸り声を上げ、両手で目を覆った。
“ホシノ!!”
ホシノは尽かさずバケモノの手から離れた柴大将を捕まえると、先生の側に戻ってきた。
“撤退!!”
すかさず撤退しようと走り始めた。
D-14134「ブラザー。先生達を送ってやれ。俺は殿を務める」
だが、一人の男はバケモノを見つめ動かない。
アル「そんなの認めないわ!帰るわよ!ネームレス!これは社長命令よ!」
D-14134「悪りぃな。俺はこいつらを見張っておく。先に帰ってなアル。いや、ボス!」
アル「…帰ってきなさいよ?」
D-14134「そいつは無理な相談だ。……ボス!Morituri te salutant」
アル「何よそれ!?そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
“アル、撤退するよ!走れ!!……D-14134!Morituri te salutant」
アル「ちょっと!先生!引っ張らないで!」 - 199二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:39:24
先生達は青い扉を通り、青い棺桶を開けてアルを押し込める。
アル「ちょっと!せんせ……」
棺桶の扉を鍵を使って閉める。するとアルの声が聞こえなくなる。
D-0442「ホシノ。入りな」
ホシノ「あなたは来ないの?」
D-0442「ああ。俺は閉め続けなきゃならねぇ。すまんな」
ホシノ「……分かった。無名さん。Morituri te salutant」
D-0442「ああ。Morituri te salutant」
ホシノは自ら棺桶に入ってゆく。D-0442は棺桶の鍵を閉めた。
“まだ救い続けているのだな”
D-0442「先生は俺たちのことを知ってたんだったな。ああ。どちらにしろ閉めて壊す人間が必要だろう。それに青春に俺たちのような罪人は要らないだろ?」
“……私はそうは思わないけど。それを決めたのなら何も言わない。君たちは大人だから」
D-0442「先生。妹が最後まで楽しむことが出来なかったあの子達の青春を…守ってあげてください」
“当たり前だ。私は大人だからね”
D-0442「さよならです。先生。Morit…いえ、ここは日本語で。幸運を死にゆく俺より敬礼を」
“ああ。幸運を。死にゆく貴方に敬礼を”
先生が棺桶に入った後、鍵を閉め、棺桶を破壊した。これであの世界への道は閉ざされた。 - 200二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 17:40:07
しばらく混乱するであろう監獄。隠れるためにダクトに逃げ込む。
D-14134「よう。逃げ切れたか?」
ダクトにはすでに先客がいた。
D-0442「ああ。皆帰ったよ。だが、夢の国に迷い込んだみたいだったな」
D-14134「ああ。不思議な世界だった。……夢だったりしねぇよな?」
D-0442「いや、それは無さそうだぞ?」
そう言言うとD-0442は、胸ポケットから一本のペンを取り出す。先生がクライスラーの確認のために入れたペンだ。そしてそのペンにはシャーレの文字と紋章が刻まれていた。
D-0442「見ろ。先生のペンだ」
D-14134「夢じゃ……無かったんだな」
しばらくの沈黙が流れる。
D-14134「この状況……懐かしいな。初めて会った時を思い出す」
D-0442 「ああ、懐かしい。あの時は30年前の人間と知って驚いたよ」
再びの長い沈黙の後、D-14134は口を開いた。
D-14134「…なぁ」
D-0442「どうした?」
D-14134「…死にゆく俺から敬礼を、ブラザー」
D-0442「ああ。死にゆく俺より敬礼を相棒」