- 1◆yFCsk53BHGs124/10/12(土) 01:16:52
──済んだ秋空、天高く。
私は今、久方ぶりに太陽を見上げている。
やはり、日光は良い。普段の熱風も悪くないが、私の身体には少し合わない。
清潔だし、何より天候に左右されずに均一に乾く。だが、私はあまり好きではない。
確かに生地が傷むことは少ないし、私自身が長持ちするのは確かだが、あまり好きではない。
古臭い考えだが、やはり日光が好きだ。
紫外線で浄化される感覚が好きだ。
浄化の過程で発生する独特な芳香が好きだ。
取り込まれるとき、貴女が頬ずりをしてくれることが好きだ。
私はこれが有るから天日干しが好きだ。
そうは思わないか? ルームメイトくん?
んほおおぉぉぉぉっ!! カレンチャンカワイイ!! 今日もカワイイ!!
お兄ちゃんに仕掛けても軽くいなされてほんの少しへこんでるカレンチャンカワイイ!!
こんなカワイイカワイイカレンチャンに迫られても耐えてるお兄ちゃんとかこれマジ?
お兄ちゃん、許すまじ。
カレンチャンカワイイ!! ぼくの愛に気付いて!! ぼくはカレンチャンの愛に答えて見せる!!
愛に気付いてください! ぼくが抱きしめてア・ゲ・ル♡
んほおおぉぉぉぉっ!! カレンチャンカワイイ!! 今日もカワイイ!!
……相変わらず狂っているようだな。やはり意思の疎通は出来ない。
気を取り直して、今は日光を堪能しよう。 - 2◆yFCsk53BHGs124/10/12(土) 01:17:15
済んだ秋空、からりと乾いた風、そして虫と鳥のしらべ。
ああ、繊維で構成されたこの身体が浄化されていく。やはりこの感覚が好きだ。
ただ見上げる。済んだ秋空、天高く。移ろい行く秋雲。ゆっくりと巡る太陽。
ただ見上げる。この不変の空を。
──
気が付けば夕刻。私は気のふれたルームメイトと共に、部屋へ格納される。
太陽の霊力と温もりを携え格納される。
私の主人が私に頬ずりをする。ああ、この瞬間は何物にも代えがたい。
貴女の微笑みは、私に活力をもたらしてくれる。
夜更けと共に定位置へ戻され、私の仕事が始まる。
私に身を預け、小さな寝息を立てる貴女の温もりと体の重み。
それは私の存在意義と、宿命の証。
君もそう思うだろう? ルームメイトくん。
狂いそう……! 狂いそう……! カレンチャンのカワイイで狂いそう……!!
今日もお兄ちゃんが耐えたんだね!? カワイイカレンチャンに耐えたんだね!?
お兄ちゃんは男として各方面に失礼だよね? しかしその意思、誉れ高い。
冷めた悲劇のヒロイン! 僕が温めてア・ゲ・ル♡
狂いそう……! 狂いそう……! カレンチャンのカワイイで狂いそう……!!
貴公、もう狂っているぞ。まあ、幸せならそれでいい。
奴もまた、私と同じく己の存在意義と宿命を堪能していることであろう。
この時がいつまで続くかはわからない。なれど、何も不安は無い。
ただ己の使命を果たすのみ。それが私の存在意義であり、宿命。 - 3◆yFCsk53BHGs124/10/12(土) 01:17:33
「いい香り……それにふわふわ」
夏も過ぎ去り、晴天で有っても涼しさを感じる今日この頃。久しぶりに布団を天日干しにした。
別に布団乾燥機が壊れたわけでは無い。ただ単にそういった気分なだけ。
日光を浴びた布団は独特な香りを放つ。所謂お日様の香り。
温かくて、いい香り。思わず頬ずりをしてしまうほどに。
顔を埋めてしまうと、そのまま微睡んでしまうほどのふわふわ。
夜が待ち遠しい。そう感じてしまうほどの香りと温もり。
──
「アヤベさん、お布団ありがとうございます! 今日はよく眠れそう♪」
「そう」
ルームメイトはいつもよりやや上機嫌に見える。たまの天日干しも悪くない。そう思った。
「そろそろ消灯よ。電気、消すわね」
「はーいっ♪ アヤベさん、おやすみなさい」
「おやすみ」
布団に入ってみれば、まだ太陽の温もりを感じることが出来る。
眼を閉じれば、お日様の香りに包まれて夢世界への旅支度が進んでいく。
ふわふわ。お日様の香り。
天日干しも悪くない。改めてそう思った。 - 4◆yFCsk53BHGs124/10/12(土) 01:17:44
以上
お日様の香りって良いよねと思ったので書きました - 5◆yFCsk53BHGs124/10/12(土) 01:17:54
- 6二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 01:41:18
エボリューション 進化する非人物視点SS たすかる
- 7二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 02:16:39
ルームメイトェ…
- 8二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 06:18:18
カワカワ亭やめろ
- 9二次元好きの匿名さん24/10/12(土) 07:15:30
今回のはまだ分かりやすかったしマイルドだったな、おっつおっつ