神輿は軽くてバカが良い編 第8章 代理モブ「1曰く、この後の展開の予定は未定です」編

  • 1◆uWDvNjj9ac24/10/13(日) 18:52:30

    前スレまでのあらすじ

    反アリウス派の生徒とカイザーファームが差し向けた刺客たちをどうにか退け、
    シャーレやミレニアムの協力もあって何とかトリニティ全体を巻き込んだ大事件は収束した。

    そんな中、カナたちは友人であるトリニティ生の嘘、その裏に隠された不器用な優しさを知るのであった。

  • 2二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 18:55:06

    立て乙です

  • 3二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:05:20

    たておつです
    未定かあ

  • 4◆uWDvNjj9ac24/10/13(日) 19:17:27

    >>前スレ197

    トリモブ「…まぁ、愚かだったのは、私もカスね」


    ミサキ「いや、そんなことは無いでしょ?確かに、もうちょっと、やり方は合ったと思うけど……」


    トリモブ「その通り、幾らでもやりようはあった。幾ら言い訳を並べても、もっと正直に、

         真正面から警告出来なかったのは、アリウスのみんなを信じ切ることが出来なかった私の弱さカス。

         これも二枚舌の政治に慣れすぎてしまった弊害………いや、それも言い訳カスね」


    ナレーション

     被害者側であるアリウス分派のミサキが擁護をしても、彼女自身が自らの罪を許さない。

     アリウス分派のトップであるカナが「裁かない」と下した以上、こんな自罰行為はただの自己満足だ。


    トリモブ「カナ様、ご寛大なお心に感謝いたしカス。

         ですが、この罪に向き合わないことは私の淑女魂が許しません。

         私は私自身を告発し、法廷に全ての沙汰を委ねるつもりカス」


    ナレーション

    しかし、それでも、このままのうのうと学園生活を送ることはトリニティ淑女としての矜持が許さなかった。

  • 5二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:23:13

    予定は未定ってことはしばらく続きが来ない可能性もあるかな?

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:47:42

    語尾がカスなのに優雅さを感じる

  • 7二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 19:56:34

    この子の名前知りたくなってきた
    それほど魅力的だよ彼女は

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 20:01:38

    語尾がアレなだけで根は真の淑女か

  • 9◆uWDvNjj9ac24/10/13(日) 20:16:08

    >>4

    ミサキ「だから、何でそう…・っ!?」


    ナレーション

     尚も納得がいかないと詰め寄ろうとするミサキを、カナは片手で制した。

     カナはホストを任させるだけあって、昔から良く周囲…特に「人」を良く見ている。

     だから、分かるのだ。たとえ自分たちが許そうと、罪だとすら思っていなかったとしても、

     自らの罪から逃げることは彼女自身の誇りを傷つける。それは彼女にとって1番許せないことなのだと。


    …分かった。なら、私はトリモブを許さない。


    ミサキ「カナっ!?」


    トリモブ「…本当、カナは優し過ぎるカスね」


    ナレーション

     だから、カナは許すことをやめた。許されることが、彼女にとって1番の罰になるからだ。


    沙汰を下す!トリモブはえっと…あれだ、あの……なんか良いの無いか?


    サオリ「わ、私か!そうだな…無難に奉仕活動で良いのではないか?」


    それだ!トリモブは明日からえっと…・1週間奉仕活動!決定!閉廷!


    トリモブ「はい、謹んでお受け致します」


    ナレーション

     まぁ、罰の下し方は色々と閉まらなかったが。

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 20:34:28

    でもらしいんじゃあないか?w

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 21:11:36

    まあこれくらいが丁度良くはあるな

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/13(日) 21:31:03
  • 13二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 06:38:27

    やったぜ

  • 14二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 13:51:07

    長引かせても困るしね

  • 15二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 20:14:54

    そんなもんで良いんだよ

  • 16◆uWDvNjj9ac24/10/14(月) 21:16:04

    >>9

    《トリニティ本校舎 家庭科実習室A》

    トリニティモブ生徒「あの子たちが例の……」

    正義実現委員会モブ「先輩たちが褒めていらっしゃった……」

    救護騎士団モブ「やはり緊張していらっしゃいますね。万が一の時は直ぐに救護出来るよう準備を……」


    ナレーション

     好奇、好意、嫌悪、善意、害意、尊敬、畏怖………

     …本校舎へと訪れた、予想通り、カナたちアリウス分派一行は数多くの視線と感情に晒されることとなった。

     注目を浴び続けるというのは想像以上に精神に負荷が掛かることであり、

     加えて、自分たちの評価に仲間たちの未来も掛かっているとなれば、そのプレッシャーは凄まじい。


    ヒヨリ「ううーっ、凄く見られてます。や、やっぱり、私何か変なんでしょうか…?」


    大丈夫だ、髪を整えた私が保証する。ヒヨリは可愛い!


    サオリ「ああ、ヒヨリは可愛い。姉である私が言うのだから、間違いないさ」


    アツコ「何時、お姉ちゃんになったの?」


    ナレーション

     …筈なのだが、そこは強靱な精神力と冷静な判断力を有するアリウス分派。

     内心では要注意人物が居ないか常に警戒しながらも、表向きは軽口を叩いて、上手く平常心を装っていた。

  • 17◆uWDvNjj9ac24/10/14(月) 21:28:34

    代理モブ「余談ですけが、作中の動向を見る限り、
         カナちゃんは贈り物だと「おしゃれな櫛」を1番喜ぶタイプだと思います。
         次点で美容関係のアイテムと大人数で楽しめる物じゃないでしょうか?
         遊び道具ならボードゲーム「ザ・人生」、食べものならホールケーキ、チケットなら映画のペアチケット。
         兎に角、自分だけでなく他の誰かと楽しめるものを喜ぶ印象です」

    代理モブB「ルリちゃんも美容関係以外は同じような印象ですね。
          兎に角、周囲……特に幼馴染みのカナやアズサ、元第3分隊の面々等、周囲の人物に執着があるタイプ?
          だとすると、カナ、アズサ、第3分隊員の好きなモノを喜ぶとかありそうですね」

    代理モブC「シズ?多分、トレーニング器具と(偵察用という意味で)望遠鏡ですね。
         いや、アレで意外とクマちゃんのぬいぐるみとか喜ぶのも可愛いですけど………
         そういう意外性はツルギ先輩とキャラ被りするのでダメです」

  • 18二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 05:04:02

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 09:29:53

    ヒヨリは可愛い
    皆も可愛い

  • 20二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 12:49:41

    シズはある意味で裏表なさそう

  • 21二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 21:00:05

    意外性あるキャラだったら普通に学校行ってそう

  • 22◆uWDvNjj9ac24/10/15(火) 22:06:17

    >>16

    カナ「ヒヨリ、自分のほっぺた触ってみろ。ぷにぷにブルプルの美容液要らずだぞ?」


    ヒヨリ「え、えへへぇ、そうですかねぇ?」


    トリモブ「ヒヨリが可愛いのは同感カスが、もう少し引き締めるべきカスね。お腹とか」


    ヒヨリ「うひゃあっ!?と、トリモブちゃんっ!?」


    ナレーション

     ぬるりと自然に会話に紛れ込みながら、トリニティ制服の上からヒヨリのお腹を摘まんで見せた少女が1人。

     みなさんお馴染み、アリウスの盟友ことトリモブのお姉さんである。


    トリモブ「ええ、カナ様たちアリウス分派の皆様におかれましてはご機嫌麗しゅうカスね」


    サオリ「家庭科実習に参加するのか?」


    トリモブ「いえ。今回は奉仕活動の一環で授業のお手伝い……とはいっても、

         予め材料やらプリントのコピーやらを用意しておくだけの簡単なお仕事。

         奉仕活動も大事カスが、メインはみんなの様子見に来た感じカス」


    ナレーション

     授業中に奉仕活動?と思うかも知れないが、自治区を有し、街の行政機関や治安維持組織までもが学生に運営される

     キヴォトスにおいて、全ての学生が毎日決まった時間に授業を受けることなど有り得ない。そこで、

     トリニティでは仕事のシフトと相談しながら自らカリキュラムを作成する。大学に似たシステムが導入されている。

     つまり、少女がこの時間を奉仕活動に充てていても何も可笑しくはないのだ。


    トリモブ「…とはいえ、みんなは私が思っているよりもずっと強いカスから、余り心配はしてないカス。

         アリウスらしく、適度に緊張しながら自分らしくやれば大丈夫カスよ」

  • 23◆uWDvNjj9ac24/10/15(火) 22:11:10

    代理モブ「大学システム云々は完全にオリ設定です。
         「みんなが授業受けてる間、行政機関も治安維持組織も運営ストップするのはヤバくない?」
          と考えた1による捏造ですね。実際、どうしてるんでしょう?本編で情報出てましたっけ?」

    代理モブB「映像教材見ながら授業するのは知ってますし、テストがあるのもエデン条約編で知ってますけど、
          普段の授業は全員自習だと学校の意味is何?になっちゃいますしね」

  • 24二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 23:16:38

    期待の保守

  • 25二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 07:46:56

    学業と政治を両立するにはこういう解釈が合理的…か?

  • 26二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 12:48:04

    まぁこのスレではって事だし
    分かりやすくていい

  • 27二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 12:53:20

    一般生徒ならともかく、生徒会や治安組織の存在を考えると単位制が一番丸いかもね

  • 28二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 20:22:41

    アリウスの環境でなんであんなに育ったんだろうな、ヒヨリの腹

  • 29二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 03:03:43

    保守

  • 30◆uWDvNjj9ac24/10/17(木) 06:37:07

    >>22

    ナレーション

     優しい、しかし力強い絶対の意志を感じさせる笑み。それは少女からアリウス分派への信頼の証だった。

     憑き物が落ちたような、或いは背負っていた荷物を降ろしたかのような、友人の笑顔を前にカナたちも笑みを返す。

     真の友情に言葉は要らない。その言葉を体現した光景が、そこにあった。


    ああ、任せろ。沢山練習したからな。


    ナレーション

     本校舎の生徒たちから遠巻きに見られながら、一堂は少しの間、楽しく談笑する。

     暫くすると、チャイムが鳴って、授業が始まった。


    トリモブ「おっと、もうこんな時間カスね。それじゃあ、映像教材を再生するカス」


    ナレーション

     キヴォトスの学園では先生がシャーレの1人しかいないので、生徒の1人が映像教材を再生するまで談笑が続く。

     映像が再生されると、生徒たちは視線を画面に向け直して意識を切り替える。

     不良校のゲヘナなんかでは映像が再生されても授業に意識を切り替えれない……どころか、

     そもそも授業に出ない生徒も多いようだが、外面を気にするトリニティらしいといったところか?

     少なくとも、表面上は全員が授業に集中し始めていた。


    『"これ、もう映ってるの?"』


    ある生徒の声(映像越し)『はい。先生、ですので、レンズから離れてください』


    ナレーション

     再生された映像教材がシャーレの先生のどアップから始まった時は、流石に驚愕で何人かの生徒が目を見開いた。

  • 31二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 10:45:33

    人のドアップってなんか怖いんだよな
    なんでだろ

  • 32二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 17:36:37

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 20:27:00

    いよいよ本番だ

  • 34二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 23:12:36

    保守

  • 35◆uWDvNjj9ac24/10/18(金) 06:50:56

    代理モブ「まったくの余談ですが、改めて考えてみると、カナの戦法は「隠れて、攻撃して、隠れて」を繰り返すので、

         ミユがやると凄く強いのでは?彼女は狙撃手ですがゲームではSTRIKER扱いですし、専門ではないにしろ、

         SRTで白兵訓練もしているでしょう。前衛での戦い方の1サンプルとして学ぶのもアリだと思います」


    代理モブB「まぁ、正実やヴァルキューレよりは、特殊部隊のSRTの方がゲリラ戦法を活かせますかねぇ……?」


    >>30

    ヒヨリ「えへへ…材料既に量ってくれるから楽ですね」


    サオリ「だが、油断は禁物だ。フウカ先生の教えを忘れるな」


    料理は理論・知識・技術・愛情。勿論、全部覚えてる


    ナレーション

     先生のどアップにはみんな驚かされたが、授業自体はスムーズに進んだ。

     幾ら、元々は料理の知識・技術がまるで無かったとはいえ、アリウス分派はその道のプロに師事している。

     ゲヘナ学園給食部部長、愛清フウカ。こと料理においてはキヴォトスでも有数の腕を持つ彼女の教え、

     その全てに真っ直ぐに向き合い学び続けた時間が実を結んだのだ。


    正義実現委員会モブ「料理、上手いですね……練習してきたのでしょうか?」


    アイリ「アリウスのみんなは、スイーツも作れるのかな?」


    カズサ「いやぁ、どうだろう?難しいと思うけど…」


    ナレーション

      その勤勉さを褒める者、料理を通してアリウスに興味を示す者、友人の興味に続く者

      そんな手際の良い姿を見せたことで、周囲の生徒たちの間にも関心が広がっていった。

  • 36二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 12:51:16

    やったぜ
    好感度アップだ

  • 37二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 13:34:40

    アリウス分派の子達はチョコミント肯定派しかいないだろうし(食べられる物ならばなんでもご馳走)アイリ達と仲良くなれそう

    ただしヒヨリ、テメーは(調子に乗り食いまくって太る未来しか見えないから)駄目だ

  • 38二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 20:54:14

    これは料理としても結構いい線行ってるのでは

  • 39二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 23:07:48

    ひたすらに幸あれ

  • 40◆uWDvNjj9ac24/10/19(土) 00:26:22

    >>35

    ナレーション

     練習は長くても、本番というのは終ってみれば一瞬なものかもしれない。

     流石に逮捕者が出たばかりということ、数多くの生徒が集まった場であることが幸いして、

     アリウス分派に反感を抱く生徒たちも碌な妨害も出来ず、何のトラブルもないまま授業時間は過ぎていく。


    アイリ「あの、アリウス分派のみなさん、少し良いですか?」


    ナレーション

     そんな中、天荒を破るように生徒たちの視線の中心…アリウスの生徒たちの下へと声をかける生徒が1人。

     後ろでは、黒髪の猫のような耳を持つ生徒が驚愕に口を開けて慌てていたが、それより印象的なのは、

     赤く腫れていた2人の目だろうか?


    カズサ「うわぁぁぁぁーっ!?何してるの、アイリっ!?」

    アイリ「え?だって、アリウス分派のみなさん、凄く手際良いし…」

    カズサ「だからって、こんな、いきなり話しかけたら……」


    大丈夫だ。話ぐらいなら別に良い。


    ナレーション

     カナはカズサの中に浮かんだ警戒を敏感に感じ取り、しかし、表面には出さずに笑顔を返した。

     そこに演技の色はなく、ただ「警戒されている」と分かった上で、純粋に好意を返したのである。


    カズサ「そ、そう?


    ナレーション

     元々アリウスでも内戦・圧政の中で笑顔を振りまくカナの姿は、警戒されたり、邪険に扱われたり、

     時には銃を向けられたこともあった。それらを乗り越えて上で、今の一致団結したアリウスある。

     両者図らずも、カズサは神子柴カナがアリウス分派のホストである由縁を目の当たりにすることとなった。

  • 41二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 07:53:14

    あの二人なら良い意味で面白いだろうな

  • 42二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 12:53:08

    一般生徒とは初遭遇じゃないか?

  • 43二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 19:01:26

    期待のほ

  • 44二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 20:05:58

  • 45◆uWDvNjj9ac24/10/19(土) 23:07:58

    >>40

    サオリ「それで、私たちに何の用だ?」


    ナレーション

     無警戒なカナに代わり、不可視の脅威への備えを表に出すのはサオリの役目だ。

     流石に睨みつけるようなあからさまな真似はしないが、荒事慣れした………

     例えば治安維持組織の生徒や指名手配犯、名前の売れた通り名持ちの不良等の実力者であれば気づけるほどの、

     力強い威圧を振り撒いて周囲を牽制していた。「仲間に手を出せば撃つ」という、確固たる意思をぶつけていた。


    カズサ「っ!…アイリ、やっぱり止めとこう。私たちは初対面だし、あんまり迷惑かけるのは良くないよ」


    アイリ「そ、そうかな?」


    ナレーション

     そして、幸か不幸か?その威圧に気がつける程度には鉄火場に慣れていたカズサが、アイリを引っ張る。

     彼女は理解していた。もし、アリウス分派の生徒たちに何かあれば、目の前の少女は鬼へと変わるのだと。


    ナツ「おや、遠慮とはらしくない。人の好意は素直に受け取るものだよ」


    ナレーション

     もっとも、カズサの逃げ道は他ならぬ彼女の学友に潰された訳だが。

  • 46二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 08:30:59

    なつつよい

  • 47二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 11:35:24

    良い押し方だな

  • 48二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 20:47:23

    知り合い増えるのは良いことよ

  • 49◆uWDvNjj9ac24/10/20(日) 22:30:00

    >>45

    ナレーション

     戦場を知る少女兵としての冷徹な1面こそあるものの、基本的に人の良いカナの鶴の一声もあって、

     アリウス分派の生徒たちはアイリたち仲良し4人組改め、放課後スイーツ部の面々に力を貸すことになった。


    アイリ「あの、カナ様、これ……」


    ガスマスクだが、どうかしたか?


    ナレーション

     のだが、スイーツ部の手の中には、何故かカナから手渡されたガスマスクがあった。


    ヨシミ「いや、何でガスマスクなんか渡されたのか聞きたいんだけど……」


    ああ、そういうことか。

    これは私たちの料理の先生から教わったんだが、玉葱を切って涙が出るのはリュ…リュ…何だっけ?


    アツコ「硫化アリルだよ」


    それだ!そのアリルが蒸発して、鼻や目に入ってくるかららしい。


    カズサ「だからって、え、これ被るの?」


    ナレーション

     アリウスの生徒たちからすれば、たかが涙が止まらない程度のことで動揺することはないが、

     基本的に良いところのお嬢様が多いトリニティ生にとっては一大事。料理に集中出来ないのも無理は無いことだ。

     だから、アイリは料理慣れしている風に見えたアリウスを頼ったのだが……その解決法は斜め上をいっていた。

  • 50二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 23:22:09

    対処法がストロングすぎるな

  • 51二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 08:12:43

    まぁ普通に効果ありそうだけどさ…

  • 52二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 09:12:48

    なんだろ…凄く純粋だから見てて微笑ましい

  • 53二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 15:05:17

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 20:47:56

    フウカ先生の教えが活きている

  • 55◆uWDvNjj9ac24/10/21(月) 22:29:15

    >>49

    アイリ「そろそろ良いかな?」


    確かめる時は、菜箸で野菜を突き刺せばいい。


    ナレーション

     ガスマスクをつけて料理と向き合う少女たちという、端から見ると異様な光景を生み出したカナたちだったが、

     その調理工程自体は極めて順調に進んでいた。フウカ先生の教えはちゃんと身についていたのである。

     

    カズサ「それはいいんだけど、まだマスクつけてなきゃダメなの?」


    サオリ「何故、そうも外したがる?曇り止め加工があるから、湯気を前にしても視界良好だろう……?」


    ナツ「そうだよ、カズサ。スイーツのような甘さはないけれど、武骨な機能美もまた1つのロマンだ」


    ナレーション

     ガスマスクに慣れないカズサとヨシミは外したがっていたが、

     サオリたちからすれば有用な装備を身につけず作戦に臨むのは有り得ない。

     何故マスクを嫌がるのか?心底不思議そうに首を傾げるサオリや、

     独特の感性を持ちだしてサオリを援護するナツに逃げ道を塞がれ、カズサは漸く最後まで着け続ける覚悟を決めた。

     ナツだけならば関節技を決めても友人同士のじゃれ合いだが、サオリたちに同じことは出来ないからだ。


    アイリ「わぁ!刺さりました!凄く簡単に刺さりましたよ、カナ様!」


    よし、じゃあ次の工程にいけるな。


    ナレーション

     その間、約2名は仲良く笑い合いながら料理を進めていた。聖域の誕生である。

  • 56二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 08:07:45

    良い感じだね

  • 57二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 12:55:28

    浪漫派だからなナツは

  • 58二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 21:01:47

    かわいい

  • 59◆uWDvNjj9ac24/10/22(火) 23:09:28

    >>55

    ヒヨリ「うわぁ…っ!もう食べられますよこれ!」


    気持ちは分かる。けど、まだダメだ。


    カズサ「いや、まだ材料茹でただけだよね?」


    ナレーション

     途中、食い意地を発揮したヒヨリをカナが宥める等の事件がありつつも、一同は順調に料理を勧めていく。

     アリウス式生存戦略料理で培った我流の調理技術と、ゲヘナが誇る超一流料理人であるフウカ先生の教え、

     その2つが合わさった今のカナにとって、教科書通りの家庭料理レシピは少し簡単だったのかもしれない。


    アイリ「えっと、次はスパイスだよね」


    ああ。クミン、ターメリック、ガラムマサラだ。

    最低限この3つが揃えば、スパイスカレーが作れるってフウ……私たちの料理の先生は言ってたぞ。


    ナレーション

     カナはゲヘナとトリニティの間にある溝を考えて、うっかり口にしかけたフウカ先生の名を寸前で誤魔化した。

     アリウス分校の歴史の中にもゲヘナとの対立はあったが、それはカナたちよりもずっと前の世代のことだ。

     カナたちにとって重要なのはフウカ先生が恩師であることであって、ゲヘナ云々は大して気にならなかった。

     …のだが、それカナたちアリウス分派の生徒の話。殆どのトリニティ生から注目を集めている自分たちが、

     ゲヘナ生であるフウカ先生の名を出すのはリスクが高いとカナは判断したのだ。


    (…エデン条約、上手くいくといいな)


    ナレーション

     誰にも聞こえないように、カナは心の中でそっと未来を願うのだった。

  • 60二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 08:04:04

    この4人ならフウカの名前出しても大丈夫だと思うけどそんなの分かるはずないよね…

  • 61二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 14:15:06

    順調に成果が出ている

  • 62二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 14:24:51

    >(…エデン条約、上手くいくといいな)


    そう言えばミカと接触してから速攻でアリウス解放まで行ったから、エデン条約はまだ交渉中だったか

    ここからどう転がるのか・・・

  • 63二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 20:24:01

    割とスルッと行きそうだけどね
    もうちょっかい掛けてくる人いないし

  • 64◆uWDvNjj9ac24/10/23(水) 22:31:50

    >>59

    んー…よし。ヒヨリ、味見してみろ


    ヒヨリ「えへへぇ……お、美味しいですぅ。で、でも、もう少しコクがあった方が……」


    アイリ「あ、なら、チョコレートはどうでしょう?たしか、コクが出るって聞いたことがあります」


    ナレーション

     食い意地の張ったヒヨリの舌を頼りに味の調整をしながら、料理を仕上げていくカナたち。

     何を隠そう。今回の調理実習のメニューは伝統と安心のトリニティカレー。

     かつては他学園の料理だったカレーを過去の生徒が持ち帰り、それを他の生徒たちがアレンジしたモノ。

     つまり、カレーライスである。


    サオリ「…いや、それは入れすぎじゃないか?」


    アイリ「え?そうでしょうか?甘くて美味しくなると思いますけど…?」


    うん。美味しくなるけど、作っているのはスイーツじゃないからな。


    ナレーション

     放課後スイーツ部の面々が加減を間違えてチョコレートを板1枚丸ごと入れようとしたり、

     若干のトラブルあったものの、それらも日常の中の優しい思い出の一欠片に終わり、

     そうしてカナたちはトリニティの伝統の1つ。トリニティカレーのレシピを継承したのだった。

  • 65二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 23:14:59

    成功だな

  • 66二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 08:04:03

    良い思い出ができたね!

  • 67二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 13:48:57

    やったぜ

  • 68二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 13:52:25

    そもそもトリニティカレーってなんだよって今更ながら困惑してる
    美味そうだけども…トリニティカレー…伝統ってなんだ…?

  • 69二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 20:16:26

    >>68

    トリニティのモチーフ的にスープカレーみたいなもの(インディカ米にターメリックで着色した野菜と肉のスープをかけた料理「マリガトーニスープ」)か、第二次世界大戦後に生まれたチキンティッカマサラとかじゃないかな?

  • 70二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 20:19:17

    伝統とは美味しいものだよ

  • 71二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 20:30:42

    トリニティに吸収合併されたやたらスパイス使いがちで頻繁にダンスバトルが始まる学校が存在する可能性…?

  • 72◆uWDvNjj9ac24/10/24(木) 22:10:27

    >>69

    代理モブ「17世紀初頭、東インド会社の誕生により生まれた独自ルートの開拓と大型船舶の製造により、

         かつては高級品であった香辛料が大量に輸入できるようになりました

         更に、仕入れ先…もといインドで財を成したイギリス人が現地の人間ごと食文化を吸収、

         東インド会社の影響か?当時は東洋文化ブームが怒っており、瞬く間にイギリス全土に広がりました」


    代理モブB「しかし、香辛料を複雑に組み合わせるインドの料理を家庭で再現することは難しい。

          そこで、スパイスを配合したカレー粉が誕生。より英国人向けの改良レシピが考案されます。

          さら小麦粉を混ぜてとろみをつけ、ライスと合わせて食べるスタイルが確立されました。

          これが現在のカレーライスの祖先、「英国式カレー」になります」


    代理モブC「まぁ、「Fate/Grand Order」外伝漫画、「英霊食聞録」第一巻の受け売りですけどね。

         イギリスでカレーのレシピが最初に載ったのは、

         1796年ハンナ・グラース著『簡単に作れる料理の技法』だそうです」

  • 73二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 23:41:44

    情報感謝ですな

  • 74二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 23:42:13

    このレスは削除されています

  • 75◆uWDvNjj9ac24/10/24(木) 23:44:36

    >>64

    正義実現委員会モブ「うわぁ……本当に良い匂い」

    トリニティモブ生徒「あれほどの知識と手際の良さ。相当に準備をしてこられたみたいですね」

    救護騎士団モブ「本当によかった………っ!もう救護の必要なアリウス分派の生徒は居ないのですね」


    ナレーション

     完成したカレーは、周囲の生徒たちが「本当に自分たちが作ったモノと同じ料理か?」と疑うほどに見事だった。

     別に他の生徒たちが料理下手という訳ではないが、お嬢様学校の生徒故か?普段から料理をするという子は少ない。

     ………いや、まぁ、トリニティ自治区は物価が高いから少しでも節約を…っ!と考える生徒も居なくはないが、

     そういう子は少数派で今回の調理実習には参加していなかった。

     どこかのティーパーティーホストのように趣味の一環で時折厨房に立つ子なら居るが、それも毎日ではない。

     短期間とはいえ専門家に指示し、自分たちだけでも文字通り研究と呼べるほど料理にのめり込んだカナたちほど、

     料理に慣れ親しんだ生徒はいなかったのである。


    よし。ちゃんと、カレーも食器も全員分あるな?


    アイリ「はい、あります!」

    ヒヨリ「えへへ…やっと食べられるんですね…」


    ナレーション

     まるで教科書の写真からそのまま現実に持って来たかのような、非の打ちようがない見事なトリニティカレー。

     その芳醇なスパイスの香りは食欲をそそるだけではなく、作り手の少女たちに幸運と笑顔を運んできたのであった。

  • 76二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 07:50:13

    頑張ったねぇ

  • 77二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 12:50:02

    カレー食べたくなってきたな

  • 78二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 20:44:31

    カスちゃんに作ってもらった思い出の味が

  • 79◆uWDvNjj9ac24/10/25(金) 22:48:44

    代理モブ「取り敢えず、これで一応、動乱の家庭科実習編はお終い。

         後は後日談も兼ねて、サラッと短いエピソードをやってから……腹くくって、やりますか。最終編」


    >>75

    《ミニエピソード 仲正イチカの休日》


    ナレーション

     イチカは疲れていた。というのも、ここ最近、正義実現委員会は過去最大級の修羅場を迎えていたのである。

     アリウス分校の解放と吸収合併にともなうゴタゴタ、

     一部の生徒がカイザーファームと組んでやらかした事件の後始末、

     それらと並行して延期になったエデン条約関連の仕事も熟さなければならない。忙しくない訳がなかった。


    イチカ「ん゛んぅ〜っ!解放感やばいっスねぇ!」


    ナレーション

     しかし、そんな忙しい日々は終わった。

     イチカは度重なる連勤の分の代休として、エデン条約本番前にまとまった休みを得られたのである。

     というより、委員長のツルギが取らせた。どう考えてもオーバーワークだったので。


    あ、イチカ!ご機嫌ようだな!


    イチカ「あ、カナちゃ…カナ様じゃないっスか。お久しぶりッスね」


    ナレーション

     そんな時である。イチカがカナとばったり出会ったのは。

  • 80◆uWDvNjj9ac24/10/25(金) 23:01:06

    >>79

    ナレーション

     すんでのところで、カナへの継承をティーパーティーのホストに相応しい貴人に対するそれに治したイチカだが、

     その笑顔は引きつっていた。


    本当に久し振りだな!?元気にして……無かったみたいだな。大丈夫か?手伝いとか要るか?


    イチカ「ああ、いや、大丈夫っすよ。一応、今日から暫くは休みなんで」


    本当か?なら、いいんだが………無理はするなよ?身体は大事にした方が良い。


    ナレーション

     疲れた様子を感じ取って、カナが心配そうに尋ねてくるのにイチカは愛想笑いを返した。

     ………実のところ、イチカはカナたちアリウス分派に対して負い目があった。

     先の新校舎襲撃事件。イチカたち正義実現委員会はまんまと黒幕の手の平で踊らされ、

     本来成すべき正義を成せず、守るべき友をみすみす危険にさらしてしまった。その負い目があった。

     イチカの内心では、カナに会って謝らなければという理性と、

     顔を合せずづらいという後ろめたさが両立していた。

     そこに突然の邂逅である。イチカの内心はもうぐちゃぐちゃであった。


    イチカ「本当に大丈夫っすよ。確かに今は疲れが残ってるけど、帰って一眠りしたら元気満タンっす」


    あんまり大丈夫そうには見えないから心配なんだが、イチカがそういうなら………

    あ、でも、休みなら、今日じゃなくていいから少し時間あるか?


    イチカ「え、まぁ、ありますけど……」


    ナレーション

     繰り返しになるが、イチカには負い目があった。だから、カナの提案を断ることは難しかったのである。

  • 81二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 08:19:05

    カナ様は人が悩んでいるのにすぐ気づきそうだよね

  • 82二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 12:13:53

    気分転換は大事

  • 83二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 20:13:21

    スイーツでも食べるのかな

  • 84◆uWDvNjj9ac24/10/26(土) 22:09:39

    >>80

    イチカ「あの、これ、どうしたんっすか?」


    買った。


    ナレーション

     突然の邂逅から数日後。カナに招かれて新校舎の側にある学生寮………つまり、カナの部屋へとやって来たイチカ。

     まだ買い物をして欲しい物を買う。という文化に慣れないのか?最初から備え付けられていた家財や壁紙ばかりで、

     カナ本人の明るさからは想像し難いほど殺風景な部屋………の片隅にドンッ!と鎮座する立派なソレを前にして、

     イチカは困惑の声を上げるしか無かった。

     

    イチカ「いや、買ったって……業務用っすよね?これ?」


    ああ、先生オススメのアビドスの老舗メーカーにオーダーメイドして貰ったやつだ。


    イチカ「お、オーダーメイド…?」


    「清貧は美徳とは良いますが、アリウス分派のみなさんは予算を使わなさすぎます。却って不健全です」って、

    ナギサに怒られたからな。それに思い切って買ってみたら、これがまた良いモノなんだ!凄く気に入ってる!


    ナレーション

     大きな鏡を挟むように立つ2つの棚には、美容用品らしいボトルが幾つか並んでいる。

     また鏡の下には取っ手のついた引き戸のようなモノがあり、前へと倒せば中を見ることが出来るだろう。

     黒を基調としたシンプルながら瀟洒なデザインのソレに、イチカは見覚えがあった。


    イチカ(これ、美容室にあるやつっす……)


    ナレーション

     その小さな独り言が、口をついて出ることはなかった。

  • 85二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 23:17:28

    期待の保守

  • 86二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 08:15:40

    シャンプーのボトルかな

  • 87二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 13:29:09

    思い切ったな
    大人買いじゃん

  • 88◆uWDvNjj9ac24/10/27(日) 19:50:31

    >>84

    今日はコイツを使う練習に付合って欲しい。高い買い物も使わないと意味が無いからな。


    イチカ「練習……っすか?」


    大丈夫だ、そんなに大掛かりなことはしない。

    ただちょっと髪に櫛入れて、毛先整えてから洗って、渇かして、また櫛入れて……後は香水つけるぐらいだ。


    イチカ「まぁ、それくらいならむしろ助かります」


    ナレーション

     イチカも年頃の女の子とはいえ、近頃の忙しさは尋常なものではなかった。

     ついつい若さに甘えて、時間を作る為に日々のケアを犠牲にしてしまっていたことを、

     1日寝て冷静になったことで今更ながら後悔していたイチカにとっては願ってもない申し出だった。

     ただ1つ心配なのはカナの腕だが、大きく髪型を変えようという訳でもないのなら酷いことにもならないだろう。

     そこまで考え、イチカはカナの頼みを快く引き受けて席に座った。


    イチカ「それじゃあ、宜しくお願いするっす」


    ああ、任せてくれ。イチカの髪は奇麗だから1回触ってみたかったんだ。

    サオリの黒髪はオーロラみたいだけど、イチカの髪は同じサラサラ系でも艶やかさが違うからな。


    イチカ「お、おお……もしかして、けっこう詳しい感じっすか?」


    ちゃんと勉強し始めたのは最近だ。けど、昔からよくみんなの髪を整えてたな。


    ナレーション

     慣れない褒め言葉に少し照れながらも、迷いのないカナの口振りと手つきに少し感心し、

     イチカは新しい友人の腕前を信じて身を任せた。

  • 89二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 20:47:11

    美容院のあれって今一調べても名前とか出てこなくて困る
    レベルアップして温水シャワーとか追加されそう

  • 90◆uWDvNjj9ac24/10/27(日) 22:45:22

    >>89

    代理モブ「実は1も正式名称が分からなくって名前濁したんですよね。……どこで売ってるんでしょう?あれ」


    代理モブB「まあ、そもそも1は美容室なんて上等なところ行った覚えが無いんですけどね。

          髪切るのは大体床屋です。床屋だって頑張ってるんですから」


    代理モブC「それはそれとして、アイドルサクラコ様可愛すぎませんか?」

  • 91二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 08:20:34

    ドレッサーとは違うんですかね?

  • 92二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 13:24:14

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 20:13:07

    鏡があって棚があってだから近いのは多分ドレッサー
    なんだけど特注品だからかなりパワーアップしてるんだろう

  • 94◆uWDvNjj9ac24/10/28(月) 20:37:29

    >>88

    イチカ「いやぁ、意外というとあれっすけど、カナにこんな趣味が合ったとは知らなかったっすね」


    趣味……そうか、これも趣味になるのか。


    イチカ「いや、気付いてなかったんっすか?」


    ナレーション

     かつてのアリウスにおいて趣味に時間を費やすような時間は無かった。

     誰もが目の前のことに必死で、生きることに苦しんでいた。好きなことを趣味にするという概念自体が無かった。

     しかし、こうしてトリニティの生徒となって屋根にも食料にも困らない生活を送る中、

     改めて指摘されてみると、カナは他の誰かの姿を美しく飾ることが好きだったのだと気がついた。


    ……私は、みんなに笑って欲しかった。難しいけど、苦しいけど、それでも少しでも幸せになって欲しかった。


    イチカ「カナ様……?」


    ちゃんと髪を整えたら、顔を洗ったら、みんなはもっと奇麗になると思った。

    鏡を見た時に自分が奇麗だったら、可愛かったら、美しかったら、かっこよかったら……

    …こう、ぽわぁってする。嬉しい。だから……、みんなにも、そう思って欲しかった。それだけだ。


    イチカ「…なんか、ちょっと分かるっす」


    ナレーション

     仲正イチカには趣味がない。それは彼女の万能とも呼べる天賦の才が故の弊害、天才が故の孤独である。

     しかし同時に、イチカは仲間や上司たちから頼られてもいて、他者との交流の意味と意義をよく知っている。

     だからこそ、分かるのだ。大切な誰かの幸せをこそ喜ぶカナの善性が。その在り方の美しさが良く分かる。

     何故、カナは急にこんな自分語りのようかことをしたのかは分からないが、イチカは本気で思った。

     「かくありたい」と憧憬した。

  • 95二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 23:14:56

    そういうことね…

  • 96二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 08:44:52

    期待の保守

  • 97二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 12:41:31

    最初はそれだけだったのがデカくなったものだ

  • 98二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 20:11:05

    また少し仲良くなれたな

  • 99◆uWDvNjj9ac24/10/29(火) 23:04:04

    >>94

    そっか。なら、お揃いだな、仲良しだ。

    イチカ「それはそれは…光栄っすね」


    ナレーション

     冗談めいたカナの言葉にイチカも軽く返し、2人は笑った。

     「通じ合えた」とまでは、言えないかもしれない。「嫉妬がない」と言えば、嘘になる。

     しかし、それでも2人は笑った。お互いが、お互いの眩しいところを想って、それを認め合うことが出来た。

     それは愛の始まりだ。友愛であれ、恋愛であれ、敬愛であれ………あらゆる愛は認め合うことから始まるのだ。


    イチカ、最近忙しかっただろう?髪がちょっと荒れてる。

    イチカ「あー、やっぱり分かりますかね?」

    私たち…アリウス分派関連で色々あったからな。正実も、ティーパーティーも、ずっと忙しかった。


    ナレーション

     設立したばかりの新分派とはいえカナはホストであり、仮にもティーパーティーに籍を置く学園トップの1人だ。

     トリニティの主要な組織の動きは(主に側近に就任したアツコのメモのお陰で)把握している。正実も例外ではない。

     アリウスがアリス救出やら新校舎防衛戦やらでドタバタやっている間にも、

     トリニティで頑張っていた生徒たちが沢山居ることを、イチカもその1人であることを、カナは知っているのだ。


    私たちアリウス分派は元兵士の集まりだ。だから、普通の生き方が分からなくって変なことしてるかもしれない、

    それに、アリウスは敵が多い分派みたいだし、これからも面倒なことを色々引き起こすかも知れない。

    けど、それでも………それでも、躊躇わずに目の前の敵のことを考えられるのはみんなのお陰だ。

    ミカ、ナギサ、セイア、先生、サクラコ、トリモブ…………それに、イチカたち正実のお陰だ。

    イチカ「カナ様……」

    だから、1回言っておきたかった。イチカ、ありがとう!


    ナレーション

     イチカが見た鏡越しの笑みであっても、カナの表情は華のように咲いていた。

  • 100◆uWDvNjj9ac24/10/30(水) 06:37:59

    >>99

    代理モブ「これで、イチカの休日編はこれでやりたいこと終ったので一段落。後はエピローグですかね」


    代理モブB「ちょっと急ぎ足かなとも思いますが、まぁ、最初に短編と言っているので、

          あんまり引き延ばすのもアレなのでこのぐらいで畳み始めます。最終編はどうしても長くなりますからね」


    代理モブC「そもそも、引き延ばす理由もありませんしね」

  • 101二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 07:59:34

    リオの姿が見当たらないな……ミレニアムに捕まったか?

  • 102二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 12:43:46

    ええ子や

  • 103二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 20:07:52

    ほっこりする

  • 104二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 22:53:22

    とりま良かったな…イチカ

  • 105◆uWDvNjj9ac24/10/30(水) 23:24:10

    代理モブ「調月リオ……・もとい月雪リアちゃんはアリウス分派の一般トリニティ生として普通に学生してます。

         仮にも身分を偽っているので、大勢の前に出たくないと家庭科実習への参加は辞退しました」


    代理モブB「まぁ、家庭科実習はあくまで第1歩なので、ここを回避したところで、

          本校舎の生徒たちとの合同授業や交流の機会が増えていくのは避けられない訳ですが」

    >>99

    …っと、出来た。こんな感じでどうだ?

    イチカ「大満足っすよ!ここ最近、お手入れサボってたのに、こんなに奇麗になるなんて…っ!」


    ナレーション

     それから、しばらくの間、2人で談笑を楽しみながらカナはお手入れを進めていき、

     瞬く間にイチカは元の美しさを取り戻し、疲労が一目で伺えるような焦燥した現代社会ゾンビから蘇った。

     カナがサラサラ系と称した黒髪は枝毛の1本も無くなってブランドのシルク生地のように滑らかに、

     肌も洗顔剤と美容液で洗われ、カナがシャーレの当番中に先生から貰った香水の爽やかな香りを纏っている。

     更に、興が乗ったカナによって、翼も専用のブラシで美しく羽根を整えられ、手足の爪まで丁寧に磨かれた結果、

     イチカは、まるで御伽噺に謳われるかのような…世界で1番美しいという言葉さえ似合う美少女へと変身を遂げた。


    素材が良かったからな!A5ランクの最高級黒毛和牛は誰が焼いても美味くなる。

    イチカ「肉……いや、言わんとすることは分かるっすが………」


    ナレーション

     例え話は不評であったが、カナの仕事振りは本職美容師にさえ劣らない。

     それは勿論、本職美容師がヘボだからではない。しかし、カナが美容の天稟を持って生まれた訳でもない。

     イチカという少女への敬意、美へ向き合う真摯な姿勢、美容を通じて相手を幸せにしたいというオリジン、

     その全てが備わって初めて至れる境地。そこにカナの心が到達しているからである。即ち、愛の勝利だ。


    A5ランクの最高級だぞ?こう、滅茶苦茶凄い感がしていいと思うんだが………本当に奇麗になった。本当だぞ?


    ナレーション

     畢竟、神子柴カナという少女の本質は「愛の人」なのである。

  • 106二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 08:19:15

    A5ランクの最高級黒毛和牛は誰が焼いても美味しいのに変わりはないが、最高の料理人が調理する方が圧倒的に美味いのだ

    あとはわかるね?

  • 107二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 13:18:04

    つまり…お肉は美味しい…?

  • 108二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:17:06

    汝隣人を愛せってやつか

  • 109◆uWDvNjj9ac24/10/31(木) 22:58:33

    >>105

    イチカ「…あー、別にカナ様の言葉を疑っては無いっすよ?あんまり、聞かない例えなんでちょっと驚いただけっす」


    ナレーション

     カナの反応を見てイチカは自らの失策を確信した。

     アリウス解放のゴタゴタから時間が経って忘れがちだが、カナたちアリウス分派の生徒は殆どが元少女兵。

     最近まで安定して得られていた食糧は僅かな配給のみ……いや、配給というのも烏滸がましい。残飯だ。

     アリウス分派の生徒たちの身体は残飯と野生の獣と虫で出来ていると言って過言ではない。

     A5ランクの最高級黒毛和牛。それはカナにとって、どんな金銀財宝よりも価値がある宝物に違いない。


    そうか?なら、いいんだが………

    イチカ「そうっすよ。見ててください、カナ様」


    ナレーション

     そういうとカナは立ち上がり、自らの姿を見せつけるようにクルリと回ってみせる。


    イチカ「どうっすか?A5ランクの輝き、出てるっすか?」

    …ああ!最高に奇麗だ!やっぱり、イチカは美人だな!


    ナレーション

     笑顔の華が二輪咲いた。きっと、このトリニティで1番明るくて、可憐な二輪の華だ。


    イチカ「さてと、じゃあ、買い物がてら街の人たちに自慢でもしてくるっすかね」

    私も一緒に行っていいか?前に先生に香水貰ったお礼を買いたい。


    イチカ「じゃあ、カナ様もお洒落しないとっすね♪いい服屋さんがあるんっすよ」


    ナレーション

     そして2人は出掛けていった。お洒落をして、友だちと笑いながら街を歩く。

     その何気ない時間こそが、2人にとってのブルーアーカイブなのだから。

  • 110◆uWDvNjj9ac24/10/31(木) 23:04:37

    代理モブ「これでエピローグもお終い。イチカの休日編、これにて終了です」

    代理モブB「あ、ついでにカナが先生に貰って、イチカにつけた香水はサミュエラ「ザ・ビヨンド」。
          ブルアカ本編に登場する高級贈り物です。これ、イチカが1番喜ぶ贈り物でもあります」

    代理モブC「あの如何にもイケメン女子みたいな顔して、お洒落な香水を滅茶苦茶喜んでくれるの可愛すぎますよね。
          なんでイチカ先輩は1のシャーレに来てくれないんでしょう???」

  • 111二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 08:13:24

    これは私の感だがカナに髪を整えてもらうの1番多いのはミサキな気がする

  • 112二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 14:32:48

    香水がお揃いになるの可愛いな

  • 113二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 22:39:21

  • 114◆uWDvNjj9ac24/11/01(金) 23:37:30

    >>109

    ナレーション

     某日、エデン条約調印式会場。遂にやって来た、エデン条約の調印式にはアリウス分派の生徒たちの姿もあった。

     流石にアリウス全員ではないが、カナというホストの下でティーパーティーに参加している生徒たちは全員参加だ。

     トリニティ代表のトップ陣としてナギサたちと並ぶカナ、そんなカナの後ろに側近として控えるサオリとアツコ、

     アズサ・ミサキ・ルリを代表に一般ティーパーティー生として式典に参加する生徒たち。皆、気合いが入っている。

     ………小テストで赤点を取って為に学校で補習しているヒヨリも、志は皆と同じだろう。


    ミサキ「………」


    アズサ「ミサキ、緊張するのは分かるけどそわそわし過ぎだ。凄く目立っているぞ?」


    ミサキ「………緊張なんかしてない」


    ルリ「返事、ワンテンポ遅れてるわよ。作業変わるから、一旦紅茶でも飲んできなさい」


    ナレーション

     カナはチラチラと忙しそうに動き回る仲間たちを横目に見ながらも、自らの立場を弁えてお利口に座っていた。

     それぞれ自治区を保有する学園が数千も集まった学園都市キヴォトスにおいて、

     三大校の一角に数えられるトリニティ総合学園。そのトップを務める3…4人の生徒会長の1人であるカナは、

     一挙一動に責任が伴う立場にある。幾ら学生とはいえ、公の場でそう簡単に動くわけにはいかないのだ。

     特に他校…ゲヘナ学園と合同で行う今回の調印式では、優雅に君臨する女王としての振る舞いを見せねばならない。


    ……なぁ、ナギサ


    ナギサ「カナさん、貴女の今の仕事は象徴として君臨する姿を見せることですよ」


    ナレーション

     それはそれとして、カナは仲間を手伝いたかった。

  • 115二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 00:34:56

    そうか、やっとエデン条約が何の妨害もなく締結されるんだ!
    …されるよね?

  • 116二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 08:15:09

    ヒヨリィ…

  • 117二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 14:30:20

    延びに延びたからな

  • 118二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 20:33:16

    今度こそちゃんと終わりますように

  • 119◆VLlUGaOg9c24/11/02(土) 20:53:56

    代理モブ「旧アリウス分校生徒会室から発見されたベアトリーチェの遺産をヒヨリ辺りがうっかり起動して、

         平行世界(原作時空orあにまん他スレ)のアリウス生を召喚するシュチュエーションを思いつきましたが、

         今は別のエピソードを進めているので暫く封印しておきますね」

    >>114

    ミカ「ていうかさぁ、ゲヘナの連中遅くない?やる気あるの?」


    ナレーション

     ナギサに釘を刺されて不本意ながらもカナが席に座り直した一方で、ミカは終始不機嫌そうに肘をついていた。

     そもそも、トリニティとゲヘナの間には長い確執の歴史がある。それを解消する為のエデン条約ではあるのだが、

     だからといって簡単に矛を収められるなら最初からいがみ合いは生じない。

     ミカは単なる代表格。ゲヘナとの平和条約に少なくない不満を抱いている生徒は数多くいた。


    セイア「…ミカ、君の本音は我々も理解しているが……せめて表面上だけでも取り繕ってくれないかい?」


    ミカ「えー?でも、実際遅くない?アイツ等、人を待たせて何様じゃんねぇ?」


    ナレーション

     とはいえ、ミカもティーパーティーのホストの1人。何も考え無しに不満を撒き散らしている訳では無い。

     要するに、これはガス抜きだ。ゲヘナ嫌いのエデン条約に否定的な生徒たちに対して、

     「お前たちの気持ちは良く分かる。ちゃんと理解しているぞ」と、寄り添うポーズをして見せているのだ。

     

    ナギサ「………ミカさん、予定時刻までには態度を改めて下さいね」


    ナレーション

     そんなミカの思惑に気付いているからこそ、ナギサも口五月蠅く言うことはしなかった。溜息はついていたが。


    何か来てるぞ?これは………大きい風船?


    ナレーション

     そんな中、何かに気がついたカナは空を見上げる。雲の中から、ゲヘナの校章が刻まれた飛行船が現われた。

  • 120二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:05:05

    来たか万魔殿

  • 121二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 23:00:22

    まあ、本来はこれが落とされてたから遅くて当たり前な気も…

  • 122二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 08:56:43

    流石トップだな

  • 123◆VLlUGaOg9c24/11/03(日) 10:00:23

    >>119

    ミカ「うわぁ、本当に来た!?どうやったのっ!?セイアちゃんの感みたいな奴?」


    いや。何というか、こう、感覚でふわっと………うん?


    ナレーション

     少し興奮気味なミカの質問に答えようとしていたカナだったが、

     今度は何か奇妙なモノでも見つけたかのように、突然に現われた疑問を前に首を傾げた。


    ナギサ「…?どうかなさいましたか?」


    いや、多分気のせいだと思うんだが、今、風が変わったような………?


    ナレーション

     不可思議そうに首を傾げるカナだったが、空を見てもゲヘナの飛行船しか飛んでいない。

     なので、その場は気のせいだろうと片付け、目の前の調印式に集中することにした。

  • 124二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 11:30:13

    何か不穏な空気…?

  • 125二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 19:50:19

    流石にないやろ…ないよな?

  • 126二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:28:56

    この世界じゃ普通に着陸できそうでよかったね飛行船君

  • 127二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:28:51

    どうなることやら…

  • 128◆VLlUGaOg9c24/11/03(日) 23:32:45

    >>123

    マコト「キキキ……これは久し振りだな、ティーパーティーの3人娘………いや、4人娘か」


    ナギサ「ええ。お久しぶりになりますね、マコト議長。本日は宜しくお願いします」


    ナレーション

     ほどなくして、着陸した飛行船から万魔殿の生徒たちが現われた。

     カナ経由で先生に伝えられた「アリウスと共謀してのテロ未遂」の件で釘を刺された効果か?

     内心はどうあれ、表面上マコトもナギサも穏やかな風を装いながら調印式は進んで行く。


    ティーパーティーモブ「あらあら、これはこれは、ゲヘナのみなさん随分とお元気そうで何よりですわ。

               あんまり遅いので心配していたのですよ?招待状をうっかり食べちゃったんじゃ無いかって」


    万魔殿モブ「ああ、そりゃあ残念だったな。もうちょっとで、羽が抜け落ちて良いチキンになれたのに」


    イチカ「はい、そこストップっすよー!」


    イオリ「今すぐ、銃から手を離せ。でなければ、規則違反者として連行するぞ」


    ナレーション

     ……少し過剰な挨拶もあったが、両校の治安維持組織働きによって銃激戦は回避出来たので、

     ゲヘナとトリニティが揃ったにしては随分と平和に終った方である。両委員会は本当によく頑張った。


    マコト「キキキ………部下の統率も出来んとは。弛んでいるのではないか?」


    ナレーション

     ミカが拳を振るおうとするのを、カナが慌てて腕を掴んで静止する。

     そんな背後のやりとりに内心溜息を吐きながら、ナギサはポーカーフェイスを保ちながら言葉を続けた。


    ナギサ「…早速で済みませんが、調印式を始めましょう」

  • 129二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 07:57:41

    このまま済んでくれ

  • 130二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 12:27:44

    ちょっとした口論ぐらいならまぁ

  • 131二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 12:38:01

    ベアおばももういないし、まあ大丈夫やろ(フラグ建立)

  • 132二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 20:39:30

    謝肉祭見るに下の方は特に問題ないっぽいけど
    上がこれなんだよなぁ

  • 133◆VLlUGaOg9c24/11/04(月) 22:07:39

    >>128

    ナレーション

     ギスギスした雰囲気とは裏腹に、調印式そのものはつつがなく進行した。

     陰謀家というと少し語弊があるかもしれないが、色々と企みがちなマコトは結構ヤバい秘密を抑えらていて動けず、

     ティーパーティーのゲヘナ嫌い代表であるミカも「転校したばかりのカナちゃんたちに迷惑はかけられない」と、

     流石に今回ばかりは大人しく調印式の進行を見守っていた。

     ………ミカの場合は、「受け継いだだけの空っぽな憎悪」の行き着く先をアリウス分校で知ったというのも、

     エデン条約の調印に従っている大きな要因かもしれない。


    イブキ「おおーっ!マコト先輩かっこいいなーっ!」


    ナギサもかっこいいぞ!なんていうか、こう、凄く凄い!


    ナレーション

     ………約2名ほど、無邪気に意気投合している生徒もいたが、エデン条約の理念を考えれば喜ばしいことだろう。

     せっかくのキメ顔をふやけさせたマコトと、

    「何を言っているのですか、カナさんは…」と不満を漏らしながらも嬉しそうに頬を染めたナギサの2人は、

     両校の生徒たちが掲げた旗のアーチを潜るように歩き進め、調印の署名の元まで歩み進んだ。

     そうして、2人がペンを手に取った……その時だった。


    ティーパーティーモブB「式典中、申し訳ありません!至急、ナギサ様にご報告したいことが!」

    万魔殿モブB「マコト様、連邦生徒会より非常招集の連絡が…っ!」


    ナレーション

     両校2人の生徒から、急報が飛び込んできたのは。

  • 134◆VLlUGaOg9c24/11/04(月) 22:11:56

    >>133

    “うわっ、もうこんな時間っ!?急いでタクシー掴まえないと…っ!“


    ナレーション

     少し時間は巻戻り DUシラトリ区。本来であればゲストとして調印式に参加する予定であった先生だったが、

     調印式の延期に伴い再設定されたスケジュール日程には既に先約の仕事が入っていた。

     なので、先生は先約の仕事を大急ぎで済ませ、せめて途中からでも間に合うよう調印式へと急いでいた。のだが……

     

    アロナ「先生、連邦生徒会からメールが届きました。

        行政官のリンさんが、主要自治区の代表生徒を招集するようです」


    “…えっ?今日?リンちゃんが?“


    アロナ「はい、添付データによるとキヴォトス全域で超高濃度のエネルギー帯が観測されたそうです。

        でも実際のところ、目視での確認は出来ず………

        各自治区が協力し合って、この現象の原因と正体を突き止めるのが、今回の招集理由だそうです!」


    ナレーション

     アロナの報告を聞いて先生の頭に浮かぶのは、カナから託された先代アリウス分校生徒会長ベアトリーチェの遺産。

     その研究レポートの内容は極めて複雑怪奇かつ専門的な知識を要するモノで、先生自身殆ど理解は出来ておらず、

     結局、ヒマリやリンといった頼れる生徒たちに分析をお願いする形になってしまっているが、

     それでも生徒を反転させるという「色彩」の存在や、アリスの誕生にも関わる「無名の司祭」の名は覚えていた。


    “目やカメラには写らない、超高濃度エネルギーか………“


    ナレーション

     そんなものが本当に存在するのなら、それは特異現象と呼ぶに相応しい異常事態だ。

     先生は幸か不幸か?その特異現象を作為的に引き起こしかねない危険な存在を知っていた。それも複数。


    “…トリニティとゲヘナのみんなには悪いけど、これは本当に非常事態かもね“

  • 135二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 22:31:33

    おっとここで最終編が始まるだと!?

  • 136二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 23:08:08

    緊急時ゆえにこれが起こるか…
    しかもカナは若干違和感の形で感じ取ってたからな

  • 137二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 09:15:11

    エデン条約当日に最終編だと!?こんなの僕のデータにはないぞ!

  • 138二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 14:27:41

    家庭科騒動もあってここまでずれ込んでたか

  • 139二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:16:19

    後々を知ってるとマジで非常事態だからな

  • 140◆VLlUGaOg9c24/11/05(火) 22:15:53

    代理モブ「警告。ここから先はブルーアーカイブ最終編「あまねく奇跡の始発点」の履修を前提に物語が進みます」

    代理モブB「ネタバレもそうですが、原作中とほぼ変わらない場面の描写は丸々カットしたりします。
          なので原作を知らない方は「あれ?どっか読み飛ばした?」となるかもしれません」

    代理モブC「いや、まぁ、そもそもカナちゃんは原作に登場しないオリキャラなので、 
          カナちゃん視点+αだと思えば、原作知識抜きでも楽しめるかも知れませんが………。
          素直に原作を履修することをオススメします。滅茶苦茶面白いので」

  • 141◆VLlUGaOg9c24/11/05(火) 22:33:20

    >>134

    ナレーション

     よりにもよってなタイミングの非常招集により、連邦生徒会へと集まったトリニティ・ゲヘナの一同だったが、

     実際に行われた会議の空気は最悪の一言であった。

     まず、今回の非常招集はシャーレの先生の名前も利用してどうにか主要自治区の代表生徒たちを集めたのだが、

     その先生がまさかの大遅刻。会議開始前から今に至るま影も形も見当たらない。

     加えて、招集の理由が「原因不明のエネルギー帯の調査」というもの。確かに異常事態かも知れないが、

     キヴォトス中から重鎮集めてやることか?と言われると、難しいものがあった。

     

    マコト「……」


    ナギサ「……」


    ナレーション

     これには集まった生徒たちも目に見えてやる気を無くした。

     ナギサのように我関せずの態度で紅茶を飲んでいるのは未だ良い方で、マコトは完全に寝ていたし、

     他の学園の生徒たちも「いや、もう帰って良いかな?いいよね?」というような、帰宅ムードを漂わせていた。


    カナ(小声)(私もナイフとか磨いて、なんか、こう、強者っぽい雰囲気出した方が良いか?)


    セイア(小声)(止めはしないが、その行いに意味は無いだろうね)


    ナレーション

     ………約1名ほど、ズレたことを考えているバカもいたが、そんなカナも目立つことはない。

     それは周囲の生徒たちが好き勝手し始めているからであり、既に会議が崩壊の兆しを見せているからだ。

  • 142二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 07:47:27

    大事な日に呼び出されて、その呼び出した本人が遅刻してたらやる気もなくすよね

  • 143二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 13:00:17

    ナイフ砥ぎはそれはそれで強者とは違う方向に面白そうではある

  • 144二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 20:43:09

    先生間に合うかな

  • 145二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 21:51:43

    このレスは削除されています

  • 146◆VLlUGaOg9c24/11/06(水) 21:56:36

    サクラコ「…先生はどちらにいらっしゃるのでしょうか?
        「シャーレ」も、この非常対策委員会に参加すると伺ったのですが」

    リン「そ、それは……」

    ナレーション
     重苦しい空気の中、その場の全員の脳裏に浮かんでいた疑問をサクラコが口にするものの、
     会議の進行役を務めていた連邦生徒会からの回答はなかった。つまり、正式に答えられる回答が存在しないのだ。
     聞かれると都合が悪い、或いは、連邦生徒会でも正確に事態を把握出来ていないということに他ならない。
     それは、この場に集まったキヴォトスの重鎮たちを落胆させるには充分な回答であった。

    サクラコ「本件以上に急を要する案件で、「シャーレ」と話し合わなくてはなりません」

    ミネ「急を要する案件……サクラコさん、それはどのような?」

    サクラコ「それは……ここでお話しするには、少し……」

    ナレーション
     サクラコは生徒会…ティーパーティーの人間ではないが、シスターフッドという一大組織を率いる長。
     トリニティの代表生徒の1人として会議に出席する資格は充分であり、その発言はトリニティの言葉と同義である。
     であるからして、公の場で下手なことは口に出来ない。それは仕方の無いことではあるのだが………

    ミネ「シスターフッドは、まだ私たちに何か隠し立てしていることがあるというのですか!」

    ナレーション
     悲しいことに、シスターフッドには疑われるには充分過ぎるほどの後ろ暗い歴史があり、
     サクラコ自身も根は善良であるものの、誤解を招きやすい言動をしてしまう人物であった。

  • 147◆VLlUGaOg9c24/11/06(水) 22:13:31

    >>146

    ズダァン!(空砲)


    ナレーション

     会議室内に空砲の音が鳴り響き、室内の全員が撃った人物……・カナへと意識を向ける。

     カナは何時も通りのニコニコとした笑顔を浮かべながら、しかし、その両腕には愛銃と銃剣が握られていた。


    ミネ、サクラコ。その話、今じゃないとダメか?


    ミネ「当然です。トリニティ、引いてはキヴォトスの為にもシスターフッドの暗躍を許す訳には……」


    ナレーション

     救護騎士団長ミネは身を乗り出し、サクラコを問い詰めるように睨み付ける。

     正しく一触即発といった雰囲気であるが、流石に他校の生徒たちも集まる公の場で内輪揉めを許す訳にはいかない。

     だからこそ、カナは会議中に武器を抜くような物騒な真似をしているのだ。


    それを言うなら!……ここで喧嘩するのと、大人しく座ってるのと、どっちがキヴォトスの為になる?


    ミネ「し、しかし……」


    というか、サクラコやシスターフッドが何かした証拠あるのか?

    そもそも、犯罪を暴き立てるのは正義実現委員会とかヴァルキューレ…だったか?の仕事じゃなかったか?


    ミネ「………発言を撤回します。会議の進行を妨げてしまい、申し訳ありません」


    ナレーション

     ミネ自身、思い込みが激しい性格ではあるものの全くの愚か者ではないのだ。

     こうして真っ当に説教されて冷水を浴びせられれば、冷静になって自分のしていたことの愚かさを反省できる。

     だから、ミネは自らの行いを反省して丁寧に頭を下げた。

  • 148二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 22:56:20

    この場でのストッパーとして止めるならこれくらいの勢いが必要ではあるか…

  • 149二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 01:46:56

    遅刻してるのってやっぱカイザーが邪魔してるのかな

  • 150二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 07:56:21

    >>149

    多分そうだと思う

  • 151二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 11:09:36

    カナちゃん立派になって…

  • 152◆VLlUGaOg9c24/11/07(木) 18:40:56

    >>147

    ナレーション

     1連のやりとりは一見すると、トリニティの重鎮2人が犯した失態を生徒会に窘められたように見える。

     しかし、この場に集まった各学園の幹部たちにとってはそれ以上の意味があった。


    マコト(ほう……?)


    ナレーション

     居眠りを決め込んでいたマコトでさえ、帽子の下の目を開いた。

     この場に集まった生徒たちは、皆、キヴォトスでも有数の学園に君臨する小さな権力者たちだ。

     全員が女王、或いは副王、若しくは大臣と呼べるだろう。当然、彼女たちには地位に見合う器がある。

     だからこそ、カナたちアリウス分派が新興の勢力であることも、カナに元々政治の経験が無いとも、知っている。

     知っているからこそ、目を見開いた。単なるお飾りではなく、カナの中にも女王たる器があることを思い知った。

     でなければ、いかに相手側に非があろうとも、あの救護騎士団の長を窘められはしない。


    うん。分かってくれて嬉しい。ありがとう、ミネ。


    ミネ「いえ、今回に関しては私とサクラコさんに非がありますので……」


    サクラコ「え?」


    ナレーション

     私もですか?とでも言いたげなサクラコの驚きの表情は、ミネによって華麗に無視された。

     現時点で何の罪の証拠も無くとも、サクラコの言い回しが怪しいのは事実であったからだ。


    だとしても、素直に謝れるのも凄いことだ。


    ナレーション

     優しい笑みを浮かべたカナの言葉に表裏は無い。カナに策謀を巡らす頭はない。ただ純粋に褒めているだけだ。

     しかし、それは対外的に見れば、偉大なるアリウスの女王が寛大な沙汰を下す姿にも見えた。

  • 153二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 20:23:07

    偉い

  • 154二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 23:13:50

    とりまストッパー成功か

  • 155二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 08:09:09

    トリニティにまた勘違いされる子が増えるのか…?

  • 156二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 13:13:01

    勘違いって言うか過大評価って言うか…

  • 157◆VLlUGaOg9c24/11/08(金) 18:41:22

    代理モブ「この時のサクラコ様が言っていた要件。多分、ユスティナの(覚悟)礼装を見つけた件だと思います。
         この会議のシーンよりも前に、それらしいモノを発見したような描写がありますし、
         原作だとこの後の最終編のストーリーで(覚悟)礼装のお披露目ですからね」

    代理モブB「そう仮定すると、たしかに他校の生徒も大勢集まっている会議の場だと言いづらい内容ではあります。
          けど、仮にも非情対策委員会を発足しているような事件よりも大事な要件って何だよ?って聞かれて、
          ちょっと答えられないです。は、もう怪しさの塊ですよね」

  • 158二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:25:27

    なるほど

  • 159二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 22:46:06

    そういうことが

  • 160二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 08:19:51

    答えづらいのは確かなんだけど場所がねぇ

  • 161◆VLlUGaOg9c24/11/09(土) 09:37:47

    >>152

    リン「…会議進行への御協力、感謝致します」


    気にするな、元々身内のやったことだ!

    ああ、でも、せっかくだから、私からも質問……というか確認?したいことがあるんだがいいか?

     

    リン「確認ですか…?」


    ナレーション

     先程の騒ぎがあったからか?リンは少し顔を強ばらせたが拒否する理由も権限も彼女にはない。

     それに「確認」という言い方は、リン自身少し引っかかった。


    ああ。連邦生徒会からは先生に連絡したんだよな?


    リン「当然です。委員会に出席するという旨のご連絡も頂いています」


    だよな。先生ならそうする。あの人は生徒相手だと異様に甘いからな………


    ナレーション

     カナはその場で顎に手を当てて少し考え込んで見せたかと思うと、身体の向きを変えて今度はナギサに向き合う。

     その表情からは華のような笑みが消えて、真剣な…敵を見据え少女兵としての顔が現れていた。

  • 162◆VLlUGaOg9c24/11/09(土) 11:27:46

    >>161

    ナギサ、アリウス分派のホストとして進言する。先生を探そう。


    ナギサ「…それは、先生が来ていないのではなく、来られない状況にあるということでしょうか?」


    ナレーション

     ナギサもまた、カップをソーサーに置いてカナに向き合った。

     繰り返しになるが、カナは元々政治家でもなければ組織の長でも無かった。ただの明るい一般少女兵だった。

     しかし、カナはバカで無知で未経験なだけであって、愚かでも器が足りない訳でもない。

     未だ未熟ではあるが、カナの身に宿る女王の器を誰よりも認めているのは、何を隠そう、先達であるナギサである。

     だからこそ、ナギサはカナの言葉を軽んじない。自らと同格の…信頼すべき同胞の言葉として、進言を受け止めた。


    多分、そうだとおもう。先生が生徒との約束を破るなんて考えにくいし、あれ何だったっけ?し…して……


    リン「…もしかして、シッテムの箱でしょうか?」


    それだ!その箱は何か、こう、物凄く凄い端末だって前に聞いたから、故障やハッキングの線は薄いと思う。

    なら、物理的に手に取れないようにした方がずっと効率的だ。先生は………誘拐されたのかもしれない。


    ナレーション

     それは兵士としての経験が生んだ、合理的かつ姿の無い敵の存在を見据えた結論であった。

  • 163二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 13:28:05

    鋭い

  • 164二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 20:42:17

    これで皆動くかな

  • 165二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:55:28

    どうなるかね

  • 166◆VLlUGaOg9c24/11/10(日) 09:07:56

    >>162

    《DU ヴァルキューレ警察学校本部》


    ヴァルキューレの生徒「何なんですか、貴女たちは!?これ以上は越権行為ですよ!?

               先生の捜索は我々ヴァルキューレ警察学校の領分です!」


    ヒナ「だから、そのヴァルキューレ……引いては提携しているカイザーに容疑が掛かっているのよ」

    ツルギ「捜査権限については……連邦生徒会から正式に礼状が出ている」


    ナレーション

     カイザーコーポレーション。キヴォトスに古くから根を堕ろす大企業ながら、悪い噂の絶えない会社だ。

     つい先日の家庭科実習騒動においても子会社カイザー・ファームの影が会った上、

     それより少し前にもカイザーPMCによるアビドス高校生徒会副会長の誘拐等の事件があった。

     そんな会社が警察学校と提携などと言われれば疑わしいのは当然であり、

     連邦生徒会は先生誘拐の容疑で強制捜査もやむなしと考え、礼状の発行に踏み切ったのである。


    ヴァルキューレの生徒?「そ、そんな無茶苦茶な……」


    マリナ「無茶?何が無茶だと言うんだ?こちらは正式な令状を持って来ているんだぞ?」


    イチカ「それとも、なんかあるんっすか?捜査に入られたら不都合なこと」


    ヴァルキューレの生徒?「そ、それは……」

  • 167二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 13:11:25

    見るからに怪しい

  • 168二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 20:13:27

    押し切るのかな
    それはそれで面倒もありそうだが

  • 169二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:50:28

    保守

  • 170◆VLlUGaOg9c24/11/10(日) 22:58:23

    >>166

    ナレーション

     そもそもの話、ヴァルキューレ警察学校は連邦生徒会の1部署である防衛室の指揮下にある学校。

     ヴァルキューレからすれば連邦生徒会は母体であり、スポンサーでもある。

     その連邦生徒が、ヴァルキューレの本分である治安維持の為に正式な令状を発行している。捜査協力の令状を、だ。

     つまるところ、ヴァルキューレの生徒たちからすれば連邦生徒会の令状とは某時代劇の紋所のようなもの。

     立場的には、謹んで令状に従わなければならないのだが………


    ヴァルキューレの生徒?「……申し訳ありません。私だけでは判断しかねますので、1度上司のものと相談を……」


    ヒナ「上司?貴女たちヴァルキューレ全員の上司である連邦生徒会長代理様が発行した令状が既にあるのに?」

     

    ツルギ「シャーレの先生は私たちとは違う。銃弾1発が致命傷になるほど、脆い存在だ。

        だからこそ、我々……いや、連邦生徒会としては迅速に安全を確認しなければ安心できない」


    ヴァルキューレの生徒?「そ、そう言われましても………」


    ナレーション

     にも関わらず、応対に出てきた生徒は気まずそうに口をモゴモゴさせるばかりで、ヒナたちを中に入れたがらない。

     まぁ、キヴォトスでも有数の学園において治安維持を担う組織の幹部たちが首を揃えているのだから、

     動揺するのは当たり前と言えば当たり前だが、それを差し引いても煮え切らない態度であった。


    ミナ「まぁ、良いでは無いか。確認ぐらい。通信機を使えばこの場で今すぐに確認を取れるのだから」


    ヴァルキューレの生徒?「え?それは、その、難しいと言いますか………」


    ミナ「何故だ?緊急用の直通回線ぐらいあるだろう?

       連邦生徒会が各自治区の学園を招集し、こうして令状まで持たせるほどの一大事。今こそ、使い時だろう?」

  • 171二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 08:13:11

    よし!そのまま押し切れ!

  • 172二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 13:44:24

    怪しい…怪しいな

  • 173二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 20:55:49

    致し方無いとはいえ絵面が圧迫面接

  • 174◆VLlUGaOg9c24/11/11(月) 21:31:45

    >>170

    ナレーション

     ミナが上司に確認してもいいと言っても、通信機に手すら伸ばさない。

     幾ら応対している生徒が下っ端だと言っても……いや、下っ端だからこそ、ここまで話が通じないのはおかしい。

     これでは、まるで、本当に中を見られるのは不都合だと言っているようなものである。


    ヒナ「…埒が明かない。今から10秒以内にそこを通すか、トップに通信を繋ぎなさい。

        でなければ、公務執行妨害と判断して撃つわ」


    ナレーション

     最初に痺れを切らしたのは、このメンバーの中でも比較的先生との交流が深い、ゲヘナ学園風紀委員会だった。

     ゲヘナ学園の特性上、シンプルな荒事に慣れ過ぎなほど慣れきっていたのもあるだろう。

     委員長のヒナは誰よりも早く愛銃の引き金に指をかけて、ヴァルキューレの生徒に判断を迫った。


    ヴァルキューレの生徒?「ひぃっ!そ、そ、そうだ!先にDU全域の捜査を済ませてしまうのはどうでしょう!?

                皆さんが捜査を進めている間、私が上の方に話を付けておきますので……」


    ヒナ「不要よ。既にDU全域および周辺の学園自治区には充分な数の人員を配置して捜索に当たっているわ」


    イチカ「ウチのカナ様なんて、「こういうのは得意な方だ!」って、走って行っちゃったぐらいっすよ」


    ナレーション

     必死に絞り出した提案もバッサリと切り捨てられ、ヴァルキューレの生徒?は絶望に打ち震えるしかなくなった。

     目の前に居るのは、キヴォトスでも有数の学園から集まった治安維持組織の幹部たち。全員が圧倒的な強者だ。

     特に、風紀委員会のヒナと正義実現委員会のツルギは個人で戦略兵器に匹敵する猛者である。

     武器を取ったところで勝てる訳がない。しかして、言う通りに中に入れてしまえば自分に未来はない。

     それが分かっているからこそ、ヴァルキューレの生徒?はガタガタと恐怖に震えながら涙を流した。

  • 175二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 22:53:35

    多分上司も報告聞いてそっと通信切りそうだなこりゃ…

  • 176◆VLlUGaOg9c24/11/12(火) 07:01:08

    あれ?まだ中に入ってないのか?そろそろ、捜査が終ったかと思ったんだが………

    ナレーション
     先生捜索の為にDUを走っていたカナが続報を聞こうとヴァルキューレにやって来たのは、そんな時であった。

    ツルギ「…申し訳ありません。入り口で足止めをされていまして…」
     
    ナレーション
     他学園の生徒の目もある上、そもそも生徒会であるティーパーティーは正義実現委員会に命令を下す権限を持つ。
     今のホスト…会長はナギサとはいえ、カナも歴としたティーパーティーのホストの1人。
     ツルギはカナに対して礼節を尽くすべき目上の相手として振る舞い、努めて丁寧な口調を心掛けた。

    あ、いや、責めたつもりはなかったんだ。
    みんな頑張ってくれてるのに、ちょっと嫌な云い方しちゃったな。すまない。それに、ありがとう。

    ナレーション
     カナは目に見えて落ち込んだ顔をして、高い立場にあるにも拘わらず、素直に謝罪と感謝の礼をしてみせる。

    ツルギ「…いえ、勿体ないお言葉です」

    ナレーション
     誰にでも1度はあるような小さな失敗。いや、失敗と呼ぶことすら大袈裟な表現の齟齬。
     そんな、ありきたりな日常の1ページに一喜一憂する姿はトリニティの女王と呼ぶには余りに素朴で、
     しかし、だからこそ、尊く輝かしい威光を放つ。
     神子柴カナとはそういう少女であることを、ツルギは初めて自らの身で体感するのだった。

  • 177二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 11:58:56

    新鮮な対応だ

  • 178二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 14:52:20

    …組織の上も来たら入れない訳にはねぇ…?

  • 179◆VLlUGaOg9c24/11/12(火) 18:37:14

    >>176

    ナレーション

     相手側の人数が増えた上に、そいつはティーパーティーのホストの1人。

     いよいよ絶望感が増してきたヴァルキューレの生徒?は眼前の恐怖に屈し、膝を折りかけた。……その時だった。


    それにしても、凄い完成度だな!?誰がメイクしたんだ!?


    ナレーション

     カナが好奇心の星に瞳を煌めかせ、興味深そうにヴァルキューレの生徒?を観察しながら関心の声を上げた。


    ヴァルキューレの生徒?「め、メイクですか?私はそういうのに余り詳しくは……」


    え?でも、全身キッチリ、ヴァルキューレコーデしてるじゃないか。

    顔だけだったら私でも分からなかったけど、全身見たら体格で分かったぞ?大人の人だろ?


    ヴァルキューレの生徒?「あ……ああ……っ!」

    っ!?大丈夫か!?顔色悪いぞ!?救護騎士団……は、ヴァルキューレに無いんだったか?兎に角、休まないと!


    ナレーション

     ヴァルキューレの生徒?は、いよいよ自分が生きているのかすら分からなくなった。

     膨大な冷汗を流しながらも、そのジットリとした感覚すらも感じられず、頭は真っ白でもう何も考えられない。

     カナがその身を支えなければ、その場に膝をついていたことだろう。

     

    ヒナ「ねぇ」


    え、ああ、たしか、調印式の警護してくれてた風紀委員会の人か?

    すまない、後でも良いか?今はこの人を安全な場所に運ばないといけないから………

  • 180◆VLlUGaOg9c24/11/12(火) 19:00:35

    >>179

    ヒナ「……助けるの?」


    困ってる時に助けて貰ったら、嬉しい。だから、助けたい。……ダメなのか?


    ヒナ「別にダメとは言わない。私にはそんなことを言う権限はない。けれど……敵よ?」


    ナレーション

     ヒナは不思議だった。だって、敵というのは、犯罪者というのは、己の銃で討ち果たすべき相手だ。

     ヒナは本来心優しい少女だ。他者を慈しむ慈悲の心も、誰かの為に痛みを背負う強さもある。そんな少女だ。


    ヒナ「彼女…或いは彼が何を企てているのかはまだ分からないけれど、

       ヴァルキューレの生徒に扮装してこんなところに居る以上、良からぬ企てがあるのは間違いないわ」


    ……まぁ、そうだな。ただのコスプレにしては場所が悪い。


    ヒナ「だから、そいつを放っておくのは危険。厳重に拘束して、早急に尋問にかけるべき。

       私はそう思うのだけれど………」


    ナレーション

     しかし、それでも、ヒナはゲヘナの風紀委員長であった。犬も歩けばテロに遭う、あのゲヘナの守護者だ。

     ヒナは知っている。凶悪な犯罪者たちがいかに身勝手なのかを。そいつ等を野放しにしてしまえば、

     真面目で善良な生徒が割を食うのだとよく知っている。

     だからこそ、ヒナは不思議なのだ。誰よりも悪の理不尽を知る筈のカナが何故、目の前の悪人に寄り添うのか?

     「風紀委員長」という役目に疲れ切った今のヒナには幾ら考えても分からなかった。


     え?困ってる時に助けて貰ったら、嬉しい。だけじゃダメなのか?


    ナレーション

     まぁ、カナはそもそもそこまで深く考えてはいないのだが。

  • 181二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 21:43:29

    たくましい

  • 182二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:30:35

    よく言われるヴァルキューレのモブに扮したカイザー兵だけども、立ち絵がないだけで一応生徒のPMC兵もいるからその線もあるっちゃあるんだよな…

  • 183二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:56:05

    まあ、こうなるよなカナなら

  • 184二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 08:00:52

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:12:31

    カナちゃんの性格が上に立つと鷹揚さとかに見えるの面白いな

  • 186二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 20:29:49

    訳を話してくれるだろうか

  • 187二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 22:36:55

    期待の保守

  • 188◆VLlUGaOg9c24/11/13(水) 22:41:46

    >>180

    ヒナ「だ、ダメという訳ではないけれど………」


    ナレーション

     空崎ヒナは困惑した。困惑するしかなかった。だって、理由が理由になっていない。

     カナの言うそれは、計算式になっていない数字にそのまま=を付けたようなもの。問題を問題と捉えてすらいない。

     

    そりゃあ、この人は悪い人なのかも知れない。けど、悪くても「人」だ。それが全てじゃない。

    だったら、きっと、困ってる時に助けて貰える嬉しさは……あの、なんか、ぽかぽかする感じは分かるはずだ。

     

    ナレーション

     ヒナたち他校の生徒たちには知る由もないことだが、これは他でもないベアトリーチェとの戦いで学んだことだ。

     ベアトリーチェという圧制者、恐怖と暴力の象徴であった大人、本来であれば舞台装置で終る筈だった………、

     そんな彼女の言葉と行動に疑問を覚え、想いを馳せることで至った【解】。

     どんなに大きく見えても、反吐が出るような悪しき存在でも、逆に聖人の如き善の存在でも、人は人に違いない。

     当たり前だけれど、誰もが忘れがちになってしまうこと。それを、カナは磔にされたあの日からずっと覚えている。


    勿論、助けたからって、私たちも助けて貰えるとは思ってない。思ってないけど……助けた方が私も嬉しい。


    ナレーション

     理想と呼ぶには余りに単純で、夢想と呼ぶには余りに強い意志を秘めた、子どものように純粋な願い。

     子どもたちが作り上げる青春都市キヴォトスではありふれた……

     …しかし、キヴォトスの子どもたちが忘れがちな、純真にして無垢な心の宝石。


    ヒナ「…そう、なら私から言うことは無いわ。元々止める権利も無い」

    いや、でも、ヒナは私のこと心配してくれたんだろう?それは嬉しい。ありがとう!

    ヒナ「……先生が貴女のことを褒めていた理由がよく分った」


    ナレーション

     その輝きの灯が宿ったカナの瞳は不思議と先生のそれに似ていて、ヒナの目にはとても美しい星に見えた。

  • 189二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:06:12

    つよいなぁ

  • 190二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 12:51:12

    良いねぇ…

  • 191二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 20:03:35

    保守

  • 192◆VLlUGaOg9c24/11/14(木) 22:41:45

    代理モブ「とりあえず、200が近いので明日新スレを立てます。どう考えても、このスレで終りませんからね。

         ここまでスレ使って、まだ先生と合流すらしてないってどういうことですか………」


    >>188

    ヴァルキューレの生徒?「な、なんで、そ、そこまで……」


    だから、さっきも言った通りだ。困ってる時に助けて貰ったら嬉しい。だから、助ける。


    ナレーション

     カナの言葉に衝撃を受けたのは、助けられようとしているヴァルキューレの生徒?も同じだった。

     学園都市キヴォトスの社会構造は弱者に厳しい。彼あるいは彼女は、暗い裏社会へと落ちた落伍者である。

     力が足りず奪われ、狡猾さが足りず騙され、運が足りず救われず、転がり落ちるように悪事に手を染めた。

     それしか生きる術を知らなかった。知る道すら得られなかった。だから、ヴァルキューレの生徒?は知らないのだ。

     単純で純粋で、ちっぽけで何よりも強い、善意という名の宝を初めて見た。


    ヴァルキューレの生徒?「ほ、本当に、たったそれだけで……?」


    それにただの悪い人じゃないぞ!私には分かる、この人は努力の人だ。

    メイクの力だけじゃない。細かな仕草に歩き方にも拘った変装術。一朝一夕じゃあ身につかないな。


    ナレーション

     「私じゃないと見逃しちゃうね」と、少しだけ冗談めかしてカナは笑う。

     ヴァルキューレの生徒?が見上げたカナの姿は、まるで暗夜を照らす月光のように煌めいて見えた。

     ……もう、身体の震えは止まった。冷たい恐怖は知らない暖かさに溶かされて、手脚の感覚も戻った。

     ならば、後はもう立ち上がるだけだ。ヴァルキューレの生徒?は、自らの意思と力で地面を踏みしめ直した。


    ヴァルキューレの生徒?「…………降参です。この状況、力でも論理でも敵いそうにない」


    ナレーション

     そして、清々しい気持ちに身を委ねて両手を挙げた。

  • 193二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 08:29:02

    何とかなったか

  • 194二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 13:14:20

    一件落着
    まだまだ途中だけど

  • 195◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 18:42:20
  • 196二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:04:26

    たておつ

  • 197二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:39:45

    おつです

  • 198二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 23:27:07

    かんしゃ~!

オススメ

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