【閲注クトゥルフTRPG】カイザーとCoC

  • 124/10/14(月) 13:02:41

    このスレはクトゥルフ神話TRPGを用いて、PCPLをカイザーで回していきます
    リプレイに近い形で進めていき、初心者への説明はほとんどありません

    今回のシナリオは【朝霧眠兎】さまからの「終末旅考」です。キャラクターに合わせた多少の改変があります。ネタバレを含みますので、プレイ予定の方等はこのスレの閲覧をお控えください

    キャラクターシートに関しましてはハウスルールを用いてこちらで設定しており、現時点での公開はしません

    人を選ぶ描写、背景設定があります。合わない場合はすぐブラウザバックをお願いします

    それでは、ひと時の間ですがお付き合いください

  • 224/10/14(月) 13:08:19

    カイザーはまばゆい光に照らされて目を覚ます
    先ほどまで確かに青い監獄内のベッドで眠っていたはずが、どうしてか毛布の柔らかさはなく、寒さにぶるっと身震いした
    何故かひんやりとした感覚が頬にしみて、幼い頃のような固い床に転がされた感覚が服越しに伝わる

    違和感を覚えつつ身体を起こすと、そこは昨日の寝たはずの部屋ではなかった
    下に広がっているのは苔が生えたコンクリート。土埃が重なり、その上に植物が生えている
    カイザーは一度頭を振り、再度辺りを見渡す。カイザーの頬に、鮮やかな西日が当たった。眉を顰めながらそちらを見ると、太陽が覗いている。どう見ても、外だ

  • 324/10/14(月) 13:13:41

    確かにブルーロック内の建物にいたはずだ

    だが、太陽はカイザーの目にはっきり映る

    そしてその下に広がる光景も


    部屋ごとに区切られていたはずの壁が、見る影もなく崩れ落ちている。建物として残っているのは基盤くらいで、屋根もろくにない

    崩壊した壁の向こう、そこには永遠と続く廃墟が広がる。それは一晩で崩壊したのではなく、崩壊してからしばらく経っているかのような時間の流れを感じさせた


    どういうことだ? ひどく出来のよい夢でも見ているのか? カイザーは困惑しながら立ち上がる

    生した苔が、歪んだ視界が、世界を薄緑に染め上げた


    〈SAN値〉

    カイザー(75)dice1d100=32 (32)

  • 424/10/14(月) 13:20:34

    成功なので1の減少です
    SAN値75→74

    カイザーがいる場所はどうやら二階のようだ
    ここで何があったのかは酷い破損のためわからない。外壁も8割ほどはがれており、ほとんど野ざらしの状態だ
    カイザーは自分の服を見た。寝巻ではない。練習で着ているようなジャージをまとっていた。ポケットや辺りを見渡すが、スマホも何もない

    そうしていると、背後から声がかけられた

    潔「やっと起きたかよ」

    最近よく聞くようになった声だ。振り返ると、カイザーのよく知る姿がそこにはあった。潔は瓦礫を危なげなく避けながら、カイザーの方に歩いてくる

    カイ「世一、一体どうなってるんだ」
    潔「俺だってわかんねえよ。目覚めたらここにいて、お前が起きないからそこらへん見てきてた」
    カイ「ここはどこだ?」
    潔「さあ……ブルーロックでもないし、そもそも東京……いや、建物が壊れすぎてて何もわからない」
    カイ「……」
    潔「少し歩いても同じような光景ばっかだったよ」

  • 524/10/14(月) 13:30:32

    潔「他に人もいねえし、俺たち以外残して世界が滅んだみたいだな」

    カイ「クソ趣味が悪い事言うな。これが夢なら酷い悪夢だ。寝起きは最悪だろうな」

    潔「そこまで言うことねえじゃん。はあ、何でよりによってお前と……」


    潔はやれやれといった態度だ。先に起きていたせいか、随分と落ち着いている。そんな潔に違和感をおぼえながらも、カイザーは腕を組む


    潔「ここにいても仕方ないし、外に出ようぜ」

    カイ「……そうだな、ここらを歩いてきたんだろう世一。案内しろ」

    潔「えっ」

    カイ「なんだ?」

    潔「……あー、えっと、俺苦手でさ、道覚えんの」

    カイ「は?」

    潔「実は1時間かけてこの場所に戻って来て……あんま、覚えてないっていうか……はは」

    カイ「……」

    潔「……悪かったな」


    そんな会話をしながら、二人は探索を始める

    〈目星〉

    カイザー(25)dice1d100=53 (53)

  • 624/10/14(月) 13:34:37

    失敗しちゃった


    カイザーが瓦礫の山を探索しそうとしたとき、その瞬間。ガラガラと嫌な音がして反射的にカイザーは顔を上げた。その直後、大きな破片がカイザーのすぐ横を落下し、床にぶつかって砕け散る。足元に破片が転がりこつんと当たった

    あと1センチでもズレていればカイザーの頭に当たり、ただでは済まなかっただろう。心臓が嫌な音を立てた


    〈SAN値〉

    カイザー(74)dice1d100=38 (38)

  • 724/10/14(月) 13:44:45

    減少無しです

    深く息を吐き出した後で、カイザーは再び瓦礫を見た
    そこに1枚の古びた紙が挟まっているのが見える。日焼けと滲みで読みづらいが、それはここら一帯の地図であるとわかった

    それに手を伸ばして読もうとしたとき、別の場所を探索していた潔が戻ってきた

    潔「なんかすごい音しなかったか?」
    カイ「なんでもない。そっちは何かあったか」
    潔「……ふーん。あ、そうだ、食料と水があったぜ。そっちは」
    カイ「ここらの地図があった」

    潔がもってきたのは2つのリュックだ。そこには二人で分け合うと1週間ももたないであろう水と食料がある

    カイ「……コンパス、メモ、鉛筆にライター……随分と見つけてきたな」
    潔「だろ? いやー、運が良かった」
    カイ「……まるでこういうときのための備えみたいで、クソ気持ち悪い」
    潔「……」
    潔「きっと、俺らと同じような人がいたんじゃないか? そいつらが置いて行ったものとかさ」
    カイ「何故置いていく必要がある? 置いてどこへ行った?」
    潔「それは……」
    カイ「……まあいい。地図を見るぞ」

  • 824/10/14(月) 13:57:24

    地図を見ると、細かい文字は滲んで見えなくなっているが、ランドマークのような大きな建物に関してはどこに何があるかわかる。奇妙なことに、地図はドイツ語で記載されていた

    良く読めるのは、駅、湖、食糧庫、大学、教会、遊園地、電波塔の7か所だ

    見えている方向から一番近いのは、駅と湖のようだ


    カイ「どうする」

    潔「どうって言われても……」


    潔は外の方を見てうーんと唸った


    潔「見ろよ、もう日が沈みそうだぜ。このまま出るのはあぶねえから、今日はここで休もう」

    カイ「世一のわりに利口な判断だ」

    潔「一言余計なんだよ。つか、寒いな……」

    カイ「燃えるものでも集めるか。日があれば多少はマシだろう」

    潔「だな。じゃあ木、集めてくる」



    そうして二人で火を起こし、ぱちぱちと薪が爆ぜる音を聞いていた。外はすっかり暗くなり、刺すような冷たい風がカイザーの肌を撫でる


    カイザーは夜空に浮かぶ月を見上げた。その違和感に顔をしかめる。明らかに月が大きい。欠けた月が空に穴を開けるように、廃墟の町の背後に控えている。まれでここが地球ではないかのような、あるいは世界が大きく変化してしまったような、何とも言い難い不気味さがあった

    潔も何も言わずに空を見上げている。何を考えているか、カイザーには見当もつかない。互いに正気を保っているのかもわからない


    〈SAN値〉

    カイザー(74)dice1d100=94 (94)

  • 924/10/14(月) 14:06:10

    誤字 日→火

    カイザーは1の減少です

    74→73


    しばらくの静寂の後で、潔が口を開いた


    潔「なあカイザー、この世界のことどう思う」

    カイ「……クソ悪趣味。さっさと醒めろって思うな」

    潔「まだ夢だと思ってんの? ……ま、そうか、夢だよなこんなこと」

    潔「……」

    潔「なあ、寂しい? 怖い?」

    カイ「まだこの話を続ける気か?」

    潔「それとも清々した?」

    カイ「……」

    カイ「お前はどうなんだ世一」

    潔「俺は寂しいよ。サッカーできないし、両親にも会えない。蜂楽や千切とも会えねえし、よりによって生きてるのはお前だけだし」

    カイ「……そうか」

    潔「お前はどうなんだ、カイザー」


    ①清々した

    ②……

    ③どうでもいい


    dice1d3=3 (3)

  • 1024/10/14(月) 14:16:36

    カイ「滅んだ世界のことなんてどうでもいい」

    潔「本当に? サッカーできないし、ご飯は碌に食べれないし……それに友達……はいないだろうけど、親のこととか考えるだろ、普通」

    カイ「普通ね……どうでもいいな」

    潔「……お前……いや、何でもない」

    潔「……」

    潔「じゃあ、お前にとってどうでもよくないものってなんだよ。大切なものは、譲れないものは?」


    妙に話を続けてくる潔をカイザーは鬱陶しく思った。死んで寂しいと思うような人間などカイザーは思い当たらないのだ。潔の顔には別にカイザーへの同情だとか哀れみだとかはなく、ただ純粋な興味で聞いてきているようだ


    カイ「どうしてそんなことを聞く? それを聞けば明日も生きて行けるのか世一は」

    潔「どうしてって……」

    潔「……」

    潔「ただの暇つぶしだ。深い理由なんてない。ただ知りたいだけだよ」


    潔は少し呆れたように笑った


    潔「話の続きだカイザー。眠くなるまで付き合ってくれよ」

    カイ「……仕方ないな」

    潔「それで、お前が大切にしてるものとか、譲れないものって、なんだよ」

    カイ「……」


    カイザーの大切にしているもの、譲れないものは?

    安価

    >>11>>12

    ダイス振って1個に絞ります。何書いてもどうにか進行します

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 14:52:45

    自分で買ったサッカーボール

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 15:28:33
  • 1324/10/14(月) 15:36:41

    >>11

    >>12


    dice1d2=1 (1)

  • 1424/10/14(月) 15:40:33

    カイ「サッカーボールだ」

    潔「ボール? 意外だな。ボールならなんでもいいの?」

    カイ「違う。自分で買ったサッカーボールだ」

    潔「へえ、なんで?」

    カイ「……お前に言う必要があるか?」

    潔「俺以外に話す相手がいないんだからいいじゃん」

    カイ「……」

    カイ「…………………」


    カイザーはサッカーボール含めた自分のことについて話す?

    ①すべて話す

    ②部分的に、同情されない範囲のことを話す

    ③何も話さない


    dice1d3=1 (1)

  • 1524/10/14(月) 15:48:10

    どうせもうこの世界にはろくに人がいないのだからと、カイザーは昔語りをしてやった。潔は時々反応を見せたが、カイザーが不快に思うような反応はせず、ただ聞き手に徹していた


    潔「なんだ、お前ってそうだったんだな」

    カイ「クソつまらない反応だな」

    潔「びっくりしてるんだよ。納得もしてる。それにこんな事でもないと、カイザーの口から直接聞けるなんてことはなかっただろうし」

    カイ「……」

    潔「でもさ、世界がこんなになってもそのサッカーボールが大切なんて、お前ってすごい奴だよ」

    カイ「……」

    潔「皆色んな思いでサッカーしてんだなあ」


    潔はカイザーから話が聞けたことに、非常に満足そうにしていた。何故こんなに聞きたがったのかカイザーには理解できないが、話してスッキリしたような気もしていた


    〈聞き耳〉

    カイザー(25)dice1d100=72 (72)

  • 1624/10/14(月) 16:00:48

    失敗しました

    潔「……カイザー」
    カイ「……」
    潔「おい、カイザー」
    カイ「うるさいぞ、もう寝させろ」
    潔「なんか聞こえないか」
    カイ「……?」

    潔に言われ身体を起こすと、確かに瓦礫の影から微かにノイズが聞こえた。ジリジリとなく音源を探すと、そこには一つのラジオがあった。どうやら電源が入っているようだ
    潔がそれを持ってきて、チャンネルを合わせていると、ある周波数で声を拾った

    それは低い女声にも少し高い男声にもきこえる、落ち着いた不思議な声だった。カイザーは眠い目を瞬かせて、その声に耳をすませる

    『お久しぶりです、見知らぬ貴方。わたしたちはここにいます。ここにわたしたちはいます。
    わたしたちは栄えていました。優れた文明を、優れた文化を、優れた技術を持っていました。

    民は勉学に勤しみました。勉学は国を豊かにしました。
    民は仕事に勤しみました。仕事は財を豊かにしました。
    民は芸術に勤しみました。芸術は心を豊かにしました。

    些細な争いもありましたけれど、それでも活気に溢れた国でした。
    わたしたちはここで生きていました』

  • 1724/10/14(月) 16:06:14

    ラジオはそこで終わってしまい、あとはひどいノイズだけが続く

    潔は神妙な顔でラジオを見つめて、こう呟いた


    潔「地図に、電波塔があったよな」

    潔「この放送を流した奴がそこにいるはずだ」

    潔「なあ、どうせすることもないんだし、電波塔に行ってみようぜ、カイザー」


    カイザーはもう眠る寸前だったが、どうにかその提案に頷いた

    今日はたくさん話をした。自分のことについて話したのは初めてだ。そんな疲労もあったのか、再び寝転んだカイザーはものの数秒で気絶するように意識が落ちる。潔が何かを言ったような気がしたが、聞き取ることは出来なかった


    〈??〉

    カイザー(16)dice1d3=2 (2)

  • 1824/10/14(月) 16:12:17

    朝は凍えるほど冷え込んだ昨晩と違い、過ごしやすい気温だった

    しかし夢は一向に冷めず、広がるのは瓦礫ばかりだ。いい加減現実だと受け入れるべきかと、カイザーはため息をついた


    地図を確認すると、電波塔に行くために駅か湖を通れるようだ


    潔「目印になるし、どっちかに寄って歩いて行こうぜ。思ったより遠かったら、そこで野宿でもいいしさ」

    カイ「そうだな」


    カイザーは何となく昨日のラジオのことを思い出しながら、ラジオを潔の鞄に放り込む。お前が持てよと文句が飛んできた気がしたが無視した


    潔「どっちに行く?」

    カイ「地図で見れば距離はさほど変わらないな」

    潔「うーん湖なら水ありそうだし、駅なら寒さが凌げそうだ。カイザー、お前の判断に任せるよ」

    カイ「あいあい」


    ①駅

    ②湖

    dice1d2=1 (1)

  • 1924/10/14(月) 16:20:09

    駅に行くことを決めた2人は、初めて朽ち果てた街へと降り立った
    建物の中で見ていたのと変わらず、栄光の陰もなく壊滅していた。しかしそこはかつて発展した都市だったのだろう。遠くには高層ビルらしき建物がいくつかそびえたっているが、草木に埋もれてしまっている

    風化しただけ……とは思えないように建物が崩れ、地面は抉れている。人影はおろか、人以外の生命の姿もない。亡骸すらも。カイザーたちを残して世界が滅んでしまったようだった

    潔「すげーな。本当に何もない」
    カイ「……」
    潔「どう、カイザー?」
    カイ「……」

    カイザーはその滅んだ街にどこか懐かしさを感じた。かつて自分が幼い頃過ごした街並みに似ている気がした。しかし完全に一致しているわけでもなく、既視感のある街並みだと感じるだけ。

    カイ「日本ではなさそうだ」
    潔「そうだな。地図もドイツ語だったし、ここはドイツかも」
    カイ「……」
    潔「ああでも、だとしたら俺は何でドイツにいるんだって感じだし、違うかも。何にせよ、確かめることなんてできねえけどさ」

    そんな会話をしながら二人は駅へと歩いて行った

  • 2024/10/14(月) 16:27:02

    たどり着いたのは、かつて駅だったものだ
    元々無人駅だったのか、ほとんど屋根もついていないホームに2両ほどの電車が止まっている

    潔「みてカイザー。電車にも苔がついてる」
    カイ「随分と長い間放置されたんだな」
    潔「動くかな……? ちょっと中はいってみる!」

    少年のようにウキウキしながら中に入っていく潔。カイザーは外にいたまま、その駅をぐるりと一周見渡した。なんだか妙に懐かしい。一度来たことがあるような感覚を覚えた

    潔「あー、駄目っぽい。動かねえわ」
    カイ「当たり前だ。世一くんは馬鹿ねぇ」
    潔「なんだよ、いいだろ少しくらい希望を持っても」
    カイ「……」
    潔「それよりカイザー。ここ少し暖かいぜ。今夜はここで休もう。昨日は寒くて死ぬかと思ったし」

    そう言いながら潔はリュックを置いた。どうやら潔の中ではもう電車で一晩過ごすことは決定事項らしい。特に反対する理由もないため、カイザーもリュックを置く

    そうして、今晩の飯の支度と寝床づくりを始めた

  • 2124/10/14(月) 16:36:16

    準備をしながら、潔が話しかけてきた


    潔「なあカイザー、なんで争いは起こると思う?」

    カイ「は?」

    潔「……」

    カイ「ゴール妨害をまだ根に持ってるのか?」

    潔「ちげえよ! あー……そうだな、なら、最低何人いれば、争いって起きると思う?」

    カイ「?」

    潔「俺たちはあんなに仲が……ほらその、アレだったけどさ、今はこうして話をしているだろ? 二人ならさ、協力するんだよ。でも大勢いればまた話は変わるだろ? もっと人がいたなら、俺はお前と協力してなかったかもしれない」

    カイ「あー、そうだな。世一くんは難しいお話が好きなのね」

    潔「いいだろ、何でも。で、どうなんだ」

    カイ「……」


    ①二人でも起きる

    ②三人から起きる

    ③興味ない。考えたって意味ないことだ


    dice1d3=3 (3)

  • 2224/10/14(月) 16:45:57

    カイ「どうせもう俺たちが生きているときに争いなんざ起こらないだろう。考えるだけ無駄だ」
    潔「……」
    潔「なら、質問変える。自分の名誉のために人を殺すのは、いけないことか?」
    カイ「名誉のため、ねえ。どうでもいいが、そいつの好きなようにすればいいんじゃないか」
    潔「なら、金が欲しいから人を殺すのは?」
    カイ「やりたきゃやればいいだろ」
    潔「自分の命を守るために人を殺すのは?」
    カイ「……」
    カイ「…………」
    カイ「例えば今、世一が俺を殺しに来たとしよう」
    潔「……」
    カイ「別に俺はお前を殺さずにいなすことが出来る。が、今後のことを考えたら、その殺意がある時点で殺しておくべきか、あるいは役立つと考えてリスクを承知で生かすか……」
    潔「……」
    カイ「命には価値がある。きれいごとなんざクソ食らえで言うが、俺は合理的に見極めたうえで、殺すべきなら殺すだろうな、お前のことも」
    潔「……」
    潔「ふーん、ま、俺は殺さねえけど」
    カイ「だろうな」
    潔「こういうのって正解はないよな。色んな考えがあるってだけ。ひとつ言えるのは、別に俺はカイザーを殺す気はないってだけだ」
    カイ「こんな物騒な質問をしてくる奴に言われても説得力はないな」
    潔「ただお前の考えを知りたかっただけだよ。昨日も言ったろ、深い意味はない」

  • 2324/10/14(月) 16:50:45

    そうして二人は食事をすませ、気が付けばまた目を見張るほどの月が空に浮かんでいた。そうしてカイザーがぼんやり月を眺めていると、またラジオが声を集め始めた

    『お久ぶりです、見知らぬ貴方。
    そちらはお変わりないですか。
    こちらも変わりはありません。変わることはありません。

    わたしたちは滅びました。文明も文化も生命も、全てが潰えました。
    全てが火に飲まれました。
    全てが水に沈みました。
    全てを風が攫いました。
    わたしたちは滅びました』

    ラジオの声が途切れると同時に、潔が寝転んだ。カイザーも寝転がり、曇りガラスから見える月を見上げる

    潔「もう少し電波塔まで時間がかかるな。体力温存しとこ」

    そう言って、しばらくして潔から寝息が聞こえてきた
    昨日の凍える風がないおかげか、今日は楽に寝ることが出来そうだ。カイザーも目を閉じ、静かに息を吐き出した

  • 2424/10/14(月) 16:53:52

    翌朝。朝食を取りながら潔とカイザーは地図を広げていた


    潔「なあカイザー、電波塔に行くには食糧庫、もしくは大学を通るんだな」

    カイ「ああ、距離はどちらも変わらない」

    潔「俺方向音痴だから、結局カイザーが案内するわけだし、お前が決めていいよ」


    ①食糧庫

    ②大学


    dice1d2=2 (2)

  • 2524/10/14(月) 16:56:56

    カイ「待て世一」

    潔「え?」

    カイ「通り過ぎるな。ここが大学だ」


    てっきり大きな公園の跡地だと思ったらしい潔は、大学を通り過ぎようとしてしまった。呼び止められて戻ってきた潔と一緒に、カイザーはその建物の中に入っていく


    〈目星〉

    カイザー(25)dice1d100=22 (22)

  • 2624/10/14(月) 17:06:21

    初期値成功しました

    建物の通路の隅で、カイザーは鍵を発見した。潔に見せてみるが、鍵なんてなくてもどこも入れそうじゃね、と言われる。荷物になるし捨てるかと思ったが、それを潔は引き留めた

    潔「一応持っておけよ。どうせ、大して荷物にもならないんだし」

    その後も図書館や体育館に行ってみるが、どこも崩落寸前で長居するにはリスクが伴うようだった。寝泊りできそうな場所を探すが、風通しの良い寒い場所くらいしか安全なところはない

    潔「うわー、絶対寒いじゃん。無理無理」
    カイ「なら中で寝たらどうだ? 起きたらスクラップになってるかもしれないが」
    潔「そういうこと言うなよ! わかったもう、ここで飯食べて寝るぞ。もう日が落ちそうだ」

    そう言いながら二人は焚火の準備と寝床づくりを始めた。ある程度準備が終わり、食事を楽しんでいると、また潔が妙な話題を振ってくる

    潔「なあカイザー、死んだら何が残ると思う?」
    カイ「また大好きな質問コーナーか? よくも飽きずに話題が出てくるものだ」
    潔「なあ、お前は何が残せると思う?」
    カイ「さあな。骨くらいは残るんじゃないか。それも無くなったら何も残らない」
    潔「でもさ、例えば世界一のストライカーになったら、サッカー界の歴史にずっと名が残るだろ?」
    カイ「文明が消えればそれすらも無くなる。今がその証明じゃないか」
    潔「うーん……」

  • 2724/10/14(月) 17:13:49

    潔「そうだな、俺が死んでもカイザーが死んでも、世界は続いてるけど」
    潔「人がいないとさ、世界が続いてるかとか、そんなのわからないっていうか、何も残らないし意味がないのかな」
    カイ「仮に俺とお前しか人類がいないとして、男同士な時点で人という種族が途絶えるのは確定だ。そうして俺たちが消えれば、もう人が生きた歴史は何もかも廃れなくなるだろうな」
    潔「それってなんかさ……つまり、なかったことになるんだろ、全部」
    潔「俺たちが生まれてきたことも、俺たち以外の生きていたものも、全部なかったことになるのか?」
    カイ「……」
    カイ「この状況でそんなクソみたいな話題が出せるとは思わなかったぞ世一」
    潔「ごめん」
    カイ「いや、どうせ考えることになっていたことだ。にしても、世一にそんなことを考える頭があるとは思わなかったな」
    潔「お前俺を貶さないと生きてけないの?」

  • 2824/10/14(月) 17:18:19

    会話が終わると、またラジオから声が聞こえた。それが合図かのように、二人は寝転んだ


    『お久しぶりです、見知らぬ貴方。

    わたしたちは許されたかったわけではありません。

    肯定されたかったわけではありません。

    否定されたかったわけでもありません。

    正しいか、間違っていたのか、それを知りたかったわけでもありません。


    ただわたしは聞きたかったのです。

    わたしではない誰かの言葉を、わたしではない誰かの思考を。

    わたしは聞きたかったのです』


    その声を聞きながら、カイザーは目を閉じる。この状況で人の話が聞きたいなどとイカレてやがる、そんなことを思いながら眠りについた


    〈??〉

    カイザー(14)dice1d3=2 (2)

  • 2924/10/14(月) 17:21:04

    翌朝、今日は曇り空だ。電波塔まではあと少しのようだ

    おそらく、あと二日もすればたどり着けるだろうとカイザーは予測した


    潔「教会か遊園地、どっちいく?」


    ①教会

    ②遊園地

    dice1d2=2 (2)

  • 3024/10/14(月) 17:30:49

    誰もいない古ぼけた遊園地についた
    もちろん電気はついておらず、アトラクションはひとつも動いていない。かつては人をワクワクさせるような鮮やかな装飾がなされていたのだろうが、今は塗装が剝がれ、侘しさを感じさせる

    潔「俺さ、小さい頃遊園地苦手だったんだよな」
    潔「音がうるさくてさ。こう、頭が痛くなって……」
    潔「楽しいんだけどな。でもほんとにちっちゃい頃はマジ無理だったから、来て早々泣いてたって母さんから聞いたわ。今は平気だけど」
    カイ「……」
    潔「行ったことある?」
    カイ「ないな」
    潔「そっか。残念」

    動かないアトラクションを意味もなく見て回る。もし普通の家庭だったなら、ここで遊んだ経験があっただろうかと、カイザーは思う。潔はアトラクションが動かないかガチャガチャと何かいじっていたが、もちろん動く気配はない

    潔「気分だけでも味わうか? ほら、あれに乗ってみろよ」
    カイ「この歳で、この状況で、俺があんな馬に乗って楽しめるとでも?」
    潔「ほんとなら回るんだぜ? ま、何が面白いかは俺もわからねえし、むしろ乗ってるのを見てる側の方が面白いんだけどな」

    そうしている内に日が沈み、今日はここで夜を過ごすことになった

  • 3124/10/14(月) 17:34:24

    潔「明日世界が滅ぶなら何をする?」

    カイ「またか」

    潔「ああ、もう滅んでるけど。そうじゃなくてさ。俺たち目が覚めるまで普通にサッカーしてたわけだけど、そんな日常で明日世界が滅びますって言われたらさ」

    潔「カイザーはどうする?」


    キャラブが出るまで想像は自由ですので……安価します

    明日世界が滅ぶとき、カイザーがすること

    >>32

  • 32二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:49:34

    美味しいもの食べる

  • 3324/10/14(月) 22:06:13

    潔「美味しいもの? 例えば?」
    カイ「……パンの耳のラスクとか」
    潔「ふうん。俺はきんつばかな」
    カイ「なんだそれは」
    潔「日本のお菓子だよ」
    カイ「……」
    潔「ラスクはさ、行きつけのお菓子屋とかで買うの?」
    カイ「いや、パンの耳で作る」
    潔「自分で?」
    カイ「ああ」
    潔「すげー、自分で作れるんだ」
    カイ「きんつばは自分で作らないのか」
    潔「わ、和菓子はハードル高いだろ」

    そんな会話をしていると、また夜がやって来た
    最初にいた頃には欠けていた月だったが、段々と丸みを帯びてくる
    もうすぐ満月を迎えるようだった。そう寝転びながら考えていると、またしてもラジオから声が聞こえた

    『お久しぶりです、見知らぬ貴方。
    だからわたしは貴方を呼びました。
    貴方の言葉を知るために、貴方の思考を知るために。
    わたしは貴方を呼びました。

    もう少しでこの旅は終わります。
    ここは何の意味も持ちません。

    話をしても何かが変わるわけではありません。
    過去が変わるわけではありません。
    未来が生まれるわけでもありません。
    それでも、貴方の言葉が聞きたかったのです』

  • 3424/10/14(月) 22:06:35

    そうして、カイザーは眠りについた


    〈??〉

    カイザー(12)dice1d3=2 (2)

  • 3524/10/14(月) 22:13:06

    翌朝、今日は憎たらしいほどの晴天だった

    地図を見ると、そろそろ電波塔に到達するようだ


    潔「お、カイザー。あれか?」

    カイ「だろうな」

    潔「まだちょっと遠そうだけど、今日中にはつきそうだなあ」

    カイ「はぐれるなよ世一。居なくなっても探さないからな」

    潔「流石に迷子にはならねえよ」


    そうして二人は歩き続けた。途中に昼休憩を挟み、また歩き出す。電波塔が近づくにつれて、二人の口数は減っていった。妙な雰囲気が漂い始める


    ようやく到着した時、もう陽は沈みかけていた。西の空では役目を終えた太陽がさっさと帰ろうとしているところだ。電波塔から伸びた黒い影は二人に覆いかぶさり、冷たい空気を漂わせた


    潔「なんか、地味な造りだな」

    カイ「……展望台も兼ねているな。あそこにデッキが見える」

    潔「ほんとだ。星見えるかもな。行ってみようぜ」

    カイ「まて、入口はどこだ」


    〈目星〉

    カイザー(25)dice1d100=81 (81)

  • 3624/10/14(月) 22:18:05

    失敗ですね

    カイザーはぐるりと辺りを歩いてみるが、入口らしきものは見当たらない
    すると、反対から潔が呼ぶ声が聞こえた

    潔「あったよ。でも開かないんだ。鍵かかってる」
    カイ「鍵? そんなものどこにあるんだ」
    潔「さあ……どうする? 流石に地面に落ちてはいないと思うけど」
    カイ「そうだろうな」
    潔「……」
    潔「…………あ」
    潔「カイザー、鍵、拾ってなかったか?」
    カイ「あ? ……そういえば」
    潔「物は試しだし、ちょっと使ってみろよ」

    そう言われ、カイザーはポケットに入れていた鍵を鍵穴に入れてみた
    それはかちゃりと音を立てて、開錠する。どうやらここの鍵だったらしい。都合が良すぎる。まるで仕組まれてるみたいだとカイザーは不気味に思った

    潔「お、開いたな。行こうぜ」
    カイ「…………」

  • 3724/10/14(月) 22:20:54

    扉を開けると、そこはエントランスのようになっていた


    潔「埃っぽいな」

    カイ「いや、思ったより綺麗な内装だ」


    警備がいるようなカウンターの他に、複数の扉が存在している。階段などはパッと見で見当たらなかった


    カイ「どうする?」

    潔「適当に開ければ見つかるんじゃないか」

    カイ「……」


    〈幸運〉

    カイザー(75)dice1d100=71 (71)

  • 3824/10/14(月) 22:24:39

    カイザーが適当に選んだ扉を開ける前に、潔はその扉を開けてスタスタと進んでいった。迷いなく選んだような潔の行動を不思議に思いつつ追えば、階段が続いていた

    その扉のすぐそばには、プレートがかけられている。近くで目を凝らせば、階段と記載されているのが分かった


    カイ「よくここだってわかったな」

    潔「階段ってプレートに書いてあるだろ」

    カイ「ああ、ドイツ語でな」

    潔「……」


    二人で階段をのぼると、開けた場所に出た。そこにもまた複数の扉がある


    〈聞き耳〉

    カイザー(25)dice1d100=66 (66)

  • 3924/10/14(月) 22:30:45

    カイザーはどこからかノイズ音が聞こえることに気づいたが、どこの扉かまではわからなかった
    けれど潔にはわかったようで、少しだけ開いている扉に迷いなく進んでいく。カイザーは黙って潔についていった

    扉を開けると、そこはラジオの包装室のような場所だった。周りには機械があり、そこの中心に机が置かれている。その近くにある椅子の上に、一つの小さなラジオが置いてあった

    『お久しぶりです、見知らぬ貴方』

    椅子にあるラジオと、カイザーの鞄に入っているラジオから同じ声がする。机の上に置かれたマイクが、そのラジオの音を拾い、カイザーたちの持つラジオに流れてきていた。このちっぽけなラジオが自分たちを導いてきたのだと、カイザーは悟った
    ラジオは言葉を続ける

    『ここは旅の終わりです。ここが夢の終わりです。
    夢はいつか覚めるものです。
    さぁ、貴方。優しい貴方。目を開けて。
    もうじき、朝が来ます』

    何を言っているのだと呟こうとしたとき、黙っていた潔がカイザーの腕を掴んだ

    潔「ほら、行くぞ」

  • 4024/10/14(月) 22:41:06

    まるで歌うように潔はカイザーに語り掛け、腕を引いて展望台へと続く階段へと昇っていく。カイザーは抵抗などせず、ただ待てと一度制止の声をかけただけだ。潔は止まることなく階段を駆け上がり、そして突き当りの扉を開けた


    見晴らし台に出た潔はパッとカイザーの腕を離した。そうして、軽い足取りで見晴らし台の中心へと躍り出る

    潔は両手を広げてカイザーの方に振り返る。後ろには月があった。大きな満月だ。その逆光に、潔の表情をはっきり見ることは出来ない。それでもその影の中で、確かに潔は笑っていた

    潔「なあカイザー」
    潔「お前にはこの世界が、どう見えた?」

    カイ「……」
    カイ「クソみたいな世界だった」

    潔「……」

    カイ「ボールはねえし、ラスクも食えない。何より世一と二人きりだ」

    潔「…………くくっ」
    潔「あはは、そうだな! きんつばもなかったし! サッカーも出来ない! 退屈だよな、そんなの」

    潔は心底楽しそうに笑っていた。カイザーはつられて笑うこともなく、ただぼんやりと月の下で笑う少年を眺めた

    潔「それじゃあ、夢から覚める時間だ。この夢を忘れてくれても、覚えていてもいいけど、まあ、好きにしろよ」
    潔「じゃあな、カイザー。いや、見知らぬ誰か。お前は、お前の行く先を見失わないように」
    潔「……いっぱい話してくれてありがとう」


    そう声がかけられた瞬間

    ぱちり、とカイザーは目を覚ました

  • 4124/10/14(月) 22:53:59

    目に映るのは見慣れた天井。ブルーロック内にあるカイザーの自室だ
    ゆっくりと身体を起こす。酷い寝癖を片手で撫でつけながら時計を見た。六時ちょうど。もうすぐ他の連中も起きてくる時間だ

    ゆっくり首を回し、身体をほぐすように伸びをすると、ぽろりと何かが転がり落ちた
    それは結晶だった。緑色の結晶は二層構造になっているようで、中ではさらさらと砂のようなものが流れている。カイザーはしばらくそれを眺めたが、やがて興味をなくしてベッドに放り投げた

    食堂に行けば、同じく朝食を取りに来たであろう潔が、黒名や氷織とともに歩いてきた
    カイザーは何となく潔をじっと見つめる。そんな視線に気づいたのか、潔は面食らった様子で、なんだよと尋ねてきた

    カイ「今日はどんな夢を見たんだ」
    潔「あ? 覚えてねえよ……あー、待て! 確か……そう、きんつば買いに行った夢だ!」
    カイ「……」
    氷織「どんな夢なんやそれ?」
    黒名「きんつば、きんつば」
    カイ「…………」

    カイザーのことなど忘れ、三人で話し出した潔を見て、カイザーは誰にもバレないように安堵のため息をついた

    ネス「珍しいですねカイザー。世一に何か用でも」
    カイ「ああ。でももう済んだ」
    ネス「?」
    カイ「とんだクソ道化だった。気づかなかった自分にクソ呆れるほどな」

    カイザーはそう言って、朝食をとるために席につく

    今日もまた、一日が始まる

  • 4224/10/14(月) 22:55:12

    以上、「終末旅考」でした
    お付き合いくださりありがとうございました

  • 43二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 23:18:16

    おつ!楽しかった!
    途中のシークレットダイスが何だったのか良かったら解説をお願い

  • 44二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 23:46:16

    >>43

    シークレットダイスはCONを減らしてましたね

    寒い中寝ているのでCONが削られます(駅は寒くなかったので削ってない)

    他には電波塔の入り口で、鍵を見つけていないとCON(体力)減らしながらこじ開けることになり、減少します

    0になったら強制的に目が覚めます。電波塔までたどり着かないこともあり得ました

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